14
2005年11月 第一生命保険相互会社(社長 斎藤 勝利)のシンクタンク、(株)第一生命経済研究所 (社長 石嶺 幸男)では、全国に居住する 20 ~79歳の男女600 名を対象に、標記につい てのアンケート調査を実施いたしました。 この程、その調査結果がまとまりましたのでご報告いたします。 ≪アンケート調査の実施概要≫ ・・・・・・・・・・・ ■ 公共トイレの利用頻度は? ・・・・・・・・・・・ ■ 公共トイレに対するイメージは? ・・・・・・・・・・・ ■ 公共トイレでどんな不快・不安体験をしたか? ・・・・・・・・・・・ ■ 公共トイレに求める機能・設備は? ・・・・・・・・・・・ ■ 改善してほしい公共トイレはどこか? ・・・・・・・・・・・ ■ 公共トイレをどのように改善してほしいか? ・・・・・・・・・・・ ■ 公共トイレをきれいに使うために効果的な方法は? ・・・・・・・・・・・ ■ 公共トイレに望ましい管理方法は? ・・・・・・・・・・・ ■ 障害者対応トイレを使ったことがあるか? ・・・・・・・・・・・ 10 ■ 障害者対応トイレには誰と入ったか? ・・・・・・・・・・・ 11 ■ 障害者対応トイレを使うことへの抵抗感は? ・・・・・・・・・・・ 12 ≪研究員のコメント≫ ・・・・・・・・・・・ 13 ≪目次≫ 株式会社 第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部 研究開発室 広報担当:丹野・新井 〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-13-1 TEL .03-5221-4771 FAX .03-3212-4470 お問い合わせ 20~79 歳の男女 600名に聞いた 『公共トイレに関するアンケート調査』 ~利用者からみた公共トイレの管理と利用のあり方~ この冊子は、当研究所隔月発行の調査報告書、 「ライフデザインレポート」5月号、および11月号を もとに作成したものです。 「ライフデザインレポート」をご希望の 方は、 右記の広報担当までご連絡 いただくか 、または 下記のホームページよりお申 し込みください。 ☆当研究所ホームページアドレス 【http://group.dai -ichi -life.co.jp/dlri/ldi

20~79歳の男女600名に聞いた 『公共トイレに関するアン …group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/news/news0511.pdf20~79歳の男女600名に聞いた 『公共トイレに関するアンケート調査』

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2005年11月

第一生命保険相互会社(社長 斎藤 勝利)のシンクタンク、(株)第一生命経済研究所

(社長 石嶺 幸男)では、全国に居住する 20~79 歳の男女 600 名を対象に、標記につい

てのアンケート調査を実施いたしました。

この程、その調査結果がまとまりましたのでご報告いたします。

≪アンケート調査の実施概要≫ ・・・・・・・・・・・ 1

■ 公共トイレの利用頻度は? ・・・・・・・・・・・ 2

■ 公共トイレに対するイメージは? ・・・・・・・・・・・ 3

■ 公共トイレでどんな不快・不安体験をしたか? ・・・・・・・・・・・ 4

■ 公共トイレに求める機能・設備は? ・・・・・・・・・・・ 5

■ 改善してほしい公共トイレはどこか? ・・・・・・・・・・・ 6

■ 公共トイレをどのように改善してほしいか? ・・・・・・・・・・・ 7

■ 公共トイレをきれいに使うために効果的な方法は? ・・・・・・・・・・・ 8

■ 公共トイレに望ましい管理方法は? ・・・・・・・・・・・ 9

■ 障害者対応トイレを使ったことがあるか? ・・・・・・・・・・・ 10

■ 障害者対応トイレには誰と入ったか? ・・・・・・・・・・・ 11

■ 障害者対応トイレを使うことへの抵抗感は? ・・・・・・・・・・・ 12

≪研究員のコメント≫ ・・・・・・・・・・・ 13

≪目次≫

株式会社 第一生命経済研究所

ライフデザイン研究本部 研究開発室 広報担当:丹野・新井

〒100-0006 東京都千代田区有楽町 1-13-1

TEL.03-5221-4771 FAX.03-3212-4470

お問い合わせ

20~79 歳の男女 600 名に聞いた

『公共トイレに関するアンケート調査』 ~利用者からみた公共トイレの管理と利用のあり方~

※ この冊子は、当研究所隔月発行の調査報告書、 「ライフデザインレポート」5月号、および 11 月号を

もとに作成したものです。 「ライフデザインレポート」をご希望の方は、 右記の広報担当までご連絡いただくか、または 下記のホームページよりお申し込みください。

☆当研究所ホームページアドレス 【http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi】

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1

≪アンケート調査の実施概要≫

1.調査地域と対象 全国に居住する 20~79歳の男女

2.サンプル数 600 名

3.サンプル抽出方法 第一生命経済研究所生活調査モニターより抽出

4.調査方法 質問紙郵送調査法

5.実施時期 2004 年 12月

6.有効回収数(率) 587 名(97.8%)

7.回答者の属性

人 % 人 %

男性 20 代 50 8.6 女性 20 代 47 8.1 男性 30 代 47 8.1 女性 30 代 53 9.1

男性 40 代 47 8.1 女性 40 代 48 8.2

男性 50 代 49 8.4 女性 50 代 50 8.6 男性 60 代 52 8.9 女性 60 代 51 8.7

男性 70 代 47 8.1 女性 70 代 46 7.9

男性 計 292 50.1 女性 計 295 50.6

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2

公共トイレの利用頻度は?

最も利用されている公共トイレは、「買い物施設のトイレ」。 全体的に、女性よりも、男性の方が公共トイレを利用している。

「駅のトイレ」「公園・歩道などのトイレ」は、女性の利用割合が特に低い。

さまざまな場所にある公共トイレについて、その利用頻度をたずねました。

全体では、月1回以上(「週1回以上」+「月1~3回程度」)利用した割合は、「買

い物施設のトイレ」が72.4%と圧倒的に高い結果となりました。

月1回以上利用する割合を性別にみると、「ホテルのトイレ」以外のすべてのトイレに

おいて、男性の方が公共トイレの利用頻度が高いことがわかります。特に、「駅のトイレ」

や「公園・歩道などのトイレ」に関しては、男性に比べて女性の利用割合がかなり低いこと

も見て取れます。

図表1 各場所の公共トイレの利用頻度(全体、性別)

月1回以上 性 別

全体 男性 女性

72.4 74.3 70.5 48.2 49.3 47.1 32.0 47.6 16.6 29.3 39.7 19.0

28.3 35.3 21.4 19.1 19.2 19.0 12.6 21.6 3.7

12.3 13.7 10.8 10.1 14.0 6.1 8.2 7.5 8.8

(N=587)

26.7

10.7

13.3

22.8

7.0

3.6

4.3

45.7

37.5

18.7

6.5

21.3

15.5

8.3

10.4

8.5

6.5

11.4

23.9

10.7

6.0

19.6

17.5

7.3

17.0

22.3

17.0

12.9

19.6

33.0

19.6

33.7

42.2

26.7

42.9

45.8

47.9

6.6

22.5

42.4

16.2

19.6

50.3

24.4

19.9

24.7

1.4

1.7

2.7

2.2

1.5

3.1

3.4

1.9

2.2

1.9

1.5

1.7

1.9

1.7

0 20 40 60 80 100

買い物施設のトイレ

飲食店のトイレ

駅のトイレ

オフィスビルのトイレ

公共施設のトイレ

病院のトイレ

公園・歩道などのトイレ

劇場・映画館・ホールのトイレ

道路の休憩施設のトイレ

ホテルのトイレ

週1回以上 月1~3回程度 年6~11回程度 年1~5回程度 使わなかった 無回答

(%)

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3

公共トイレに対するイメージは?

全体的に、「公園・歩道などのトイレ」に対するイメージが最も悪い。 「駅のトイレ」「公園・歩道などのトイレ」には、男女問わず9割前後が

「汚い」「くさい」と感じている。「暗い」「こわい」などの安全面に関しては、 男性よりも、女性の方が悪いイメージを持っている。

「買い物施設のトイレ」「駅のトイレ」「公園・歩道などのトイレ」の3つのトイレそ

れぞれについて、衛生面および安全面での悪いイメージ、具体的には「汚い」「くさい」

(衛生面)、「暗い」「こわい」(安全面)という、いわゆる“4K”をどの程度感じる

か、をたずねました。

全体では、「汚い」「くさい」と感じる人の割合は、「買い物施設のトイレ」に対して

は4割前後であるのに対し、「駅のトイレ」に対しては9割近く、「公園・歩道などのト

イレ」に対しては9割以上を占めています。また、「暗い」「こわい」と感じる人の割合

も、「買い物施設のトイレ」に対しては2割を下回っているのに対し、「駅のトイレ」に

対しては過半数、「公園・歩道などのトイレ」に対しては8割前後となっています。

性別にみると、「買い物施設」に対して「汚い」「くさい」と感じる人の割合は、女性

が男性を大きく上回っています。一方、「駅」「公園・歩道など」のトイレに対して「汚

い」「くさい」と感じる人の割合は、男女であまり差がありません。また、「暗い」「こ

わい」と感じる人の割合は、いずれのトイレにおいても男性より女性の方がかなり高く、

女性の方が公共トイレの安全面に対して、悪いイメージを持っているといえます。

図表2 公共トイレに対するイメージ(全体、性別)

買い物施設のトイレ 駅のトイレ 公園・歩道などのトイレ

40.4

37.8

19.3

15.2

32.2

29.5

14.4

7.9

48.5

46.1

24.1

22.4

0 20 40 60 80 100

汚い

くさい

暗い

こわい

全体男性女性

(%)

89.4

86.7

62.0

52.3

88.4

86.3

54.5

37.3

90.5

87.1

69.5

67.1

0 20 40 60 80 100

汚い

くさい

暗い

こわい

(%)

94.4

93.4

87.2

78.9

94.9

92.8

83.9

68.2

93.9

93.9

90.5

89.5

0 20 40 60 80 100

汚い

くさい

暗い

こわい

(%)

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4

公共トイレでどんな不快・不安体験をしたか?

全体では、「便器やその周りが汚くて不快になったこと」が最も多く、駅や公園・歩道などのトイレでは9割前後が体験している。駅や公園・歩道 などのトイレでは、女性の過半数が不審者・盗撮の不安を感じている。

前頁の3つのトイレに対して、不快・不安になった具体的体験の有無をたずねました。 不快になった体験をみると、買い物施設においては「便器やその周りが汚くて不快」(52.6%)が最も高く、駅や公園・歩道などにおいても、買い物施設に比べて割合がかなり高い結果となっています。 性別にみると、買い物施設で「便器やその周りが汚くて不快」の割合は男性より女性の方が高いことがわかりました。また、駅や公園・歩道などにおいて「たばこのにおいや吸い殻で不快」の割合は、女性より男性の方が高く、その他の項目の割合の男女差はあまりありません。 次に、不安になった体験をみると、「不審な人がいないか不安」「盗撮されていないか

不安」の割合は、買い物施設においてはいずれも2割程度にとどまっていますが、駅や公園・歩道などではさらに高い結果となっています。

性別にみると、いずれの項目においても、男性より女性の方がかなり割合は高く、特に、「盗撮されていないか不安」があると答えた人の割合は、男性ではいずれのトイレにおいても2割を下回っているのに対し、女性では買い物施設においては約3割、駅や公園・歩道などにおいては過半数を占めています。男性よりも女性の方が不安体験を持っているという結果も、女性の方が各トイレに対して「こわい」というイメージを持っているという結果と共通しています。

図表3 公共トイレでの不快・不安体験(全体、性別)

買い物施設のトイレ 駅のトイレ 公園・歩道などのトイレ

52.6

33.0

23.9

20.8

20.3

45.2

34.9

19.9

14.0

9.9

60.0

31.2

27.8

27.5

30.5

0 20 40 60 80

便器やその周りが汚くて不快になったこと

たばこのにおいや吸い殻で不快になったこと

ゴミが多くて不快になったこと

不審な人がいないか不安を感じたこと

盗撮されていないか不安を感じたこと

全体男性女性

(%)

89.1

71.2

67.8

52.1

32.4

90.1

76.7

66.4

37.7

13.4

88.1

65.8

69.2

66.4

51.2

0 20 40 60 80 100(%)

91.3

73.3

80.4

73.8

40.4

93.8

79.5

82.2

66.1

19.9

88.8

67.1

78.6

81.4

60.7

0 20 40 60 80 100(%)

不快体験

不安体験

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5

公共トイレに求める機能・設備は?

全体では、8割以上が「安全性」と「清潔さ」は「不可欠」と考えている。 女性が特に必要としているのは、「荷物置き場・荷物かけ」

「非常通報装置」「ゴミ箱」「鏡」、男性は「洋式便器」。

公共トイレにおける機能や設備の必要性をたずねました。

全体では、「不可欠」または「ある方がよい」と答えた割合が9割を超えたのは、高い

順に「安全性」「清潔さ」「明るさ」「荷物置き場・荷物かけ」「トイレットペーパー」

「非常通報装置」「待ち時間の短さ」の7項目でした。また、「不可欠」と答えた人の割

合だけをみると、「安全性」と「清潔さ」は8割を超えています。次いで「トイレットペ

ーパー」「明るさ」「荷物置き場・荷物かけ」も6割以上となっています。

「不可欠」と答えた人の割合を性別にみると、全体的には男性より女性の方が不可欠と

答えた割合が高い項目が多い結果となっています。特に、「荷物置き場・荷物かけ」「非常

通報装置」「ゴミ箱」「鏡」と答えた割合は、女性の方が男性よりも 10 ポイント以上高く、

その一方、男性の方が不可欠と答えた割合が 10 ポイント以上高い項目は「洋式便器」でし

た。

図表4 公共トイレの機能・設備の必要性(全体、性別)

「不可欠」と答えた男女の割合

男性 女性

79.8 84.4

80.5 79.7

74.0 73.6

65.8 71.9

47.6 73.2

38.0 49.8

29.8 48.5

23.6 49.2

40.8 29.2

8 2 . 1

8 0 . 1

7 3 . 8

6 8 . 8

6 0 . 5

4 4 . 0

3 9 . 2

3 6 . 5

3 4 . 9

3 1 . 5

1 6 . 5

1 8 . 6

2 3 . 0

2 9 . 6

3 6 . 6

4 9 . 2

4 8 . 6

4 4 . 5

5 1 . 3

6 0 . 8

9 8 . 6

9 8 . 6

9 6 . 8

9 8 . 5

9 7 . 1

9 3 . 2

8 7 . 7

8 0 . 9

8 6 . 2

9 2 . 3

0 2 0 4 0 6 0 8 0 1 0 0

安 全 性

清 潔 さ

ト イ レ ッ ト ペ ー パ ー

明 るさ

荷 物 置 き場 ・荷 物 か け

非 常 通 報 装 置

ゴ ミ箱

洋 式 便 器

待 ち 時 間 の 短 さ

不 可 欠 ある方 がよい

(% )

32.9 30.2

注:25項目中、「不可欠」と答えた割合が高かった上位 10項目を掲載

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6

改善してほしい公共トイレはどこか?

全体では、7割以上が「公園・歩道などのトイレ」「駅のトイレ」は改善してほしいと考えている。男性が特に求めているのは、「公園・歩道など」「駅」、

女性は「買い物施設」「病院」「劇場・映画館・ホール」。

改善してほしいと思うことが多い公共トイレを複数回答でたずねました。

全体では、「公園・歩道などのトイレ」(75.8%)と「駅のトイレ」(72.9%)が圧倒

的多数を占め、他の項目はいずれも3割に満たない結果となりました。

性別にみると、「公園・歩道などのトイレ」「駅のトイレ」の割合は男性の方が、「買い物

施設のトイレ」「病院のトイレ」「劇場・映画館・ホールのトイレ」の割合は女性の方がそ

れぞれ5ポイント以上高い結果となっています。

図表5 改善してほしい公共トイレ<複数回答>(全体、性別)

男性 女性

79.5 72.2 75.7 70.2 24.0 24.7 21.9 25.1 16.4 22.4 13.7 19.3 17.5 14.6 8.6 14.6 7.2 3.1 1.4 1.0 6.8 7.5 1.7 6.8

75.8

72.9

24.4

23.5

19.4

16.5

16.0

11.6

5.1

1.2

7.2

4.3

0 2 0 4 0 6 0 80

公園・歩道などのトイレ

駅のトイレ

飲食店 のトイレ

道路の休憩施設のトイレ

買い物施設のトイレ

病院のトイレ

公共施設のトイレ

劇場・映画館・ホールのトイレ

オフィスビルのトイレ

ホテルのトイレ

その他の公共トイレ

特にない

(%)

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7

公共トイレをどのように改善してほしいか?

全体では、「きれいにしてほしい」(86%)が圧倒的に多く、以下

「明るくして」「安全性を高めて」「トイレットペーパーを設置して」が続く。 特徴的な点は、「駅のトイレ」には「混雑を解消して」(25%)、

「買い物施設」には「荷物置き場・荷物かけを増やして」(33%)が多い。

前述の設問において、いずれかの公共トイレを改善してほしいと回答した人に対して、

どのような点を特に改善してほしいと思うか、をたずねました。 全体では、「きれいにしてほしい」(86.5%)と答えた割合が圧倒的に高く、次いで「明るくしてほしい」(40.0%)、「安全性を高めてほしい」「トイレットペーパーを設置してほしい」(ともに33.3%)となっています。 性別にみると、「きれいにしてほしい」「明るくしてほしい」と答えた割合は男性の方が5ポイント以上高く、その一方、「安全性を高めてほしい」は女性の方が10ポイント以上高い結果となっています。また、「荷物置き場・荷物かけを増やしてほしい」「乳幼児やその保護者が使いやすいよう整備してほしい」も女性の方が5ポイント以上高く、清潔さ以外に改善を求める点は、男女に差があるといえます。 次に、改善してほしいと答えた割合が高かった3つのトイレ(公園・歩道など、駅、買い物施設)について、それぞれに改善してほしい点をたずねました。 まず、「公園・歩道などのトイレ」についてみると、「きれいにしてほしい」と答えた

割合が9割を超え、また、「明るくしてほしい」「安全性を高めてほしい」といった安全性に対する要求も5割前後を占めています。「駅のトイレ」についても、上位4項目は公園・歩道などのトイレと同じですが、「混雑を解消してほしい」が5位と比較的上位であるのは、駅のトイレならではの特徴です。「買い物施設のトイレ」については、全体的には他のトイレよりも改善してほしいと答えた割合が低いですが、「荷物置き場・荷物かけを増やしてほしい」(33.3%)は2位となっています。

図表6 公共トイレで改善してほしい点<複数回答>

(全体、性別、最も改善してほしい場所別)

性 別 場 所 別

男性 女性 公園・歩道など

駅 買い物施設

89.7 83.3 93.2 90.0 60.0 43.4 36.5 53.2 35.2 13.3 27.2 39.5 49.5 26.2 16.7 34.9 31.6 39.1 34.8 30.0 20.2 17.1 13.2 23.3 23.3 17.6 15.2 2.7 25.7 10.0 11.0 16.7 8.2 16.7 33.3 7.7 14.8 13.2 8.6 16.7 3.7 4.2 1.4 1.9 10.0

86.5

40.0

33.3

33.3

18.7

16.4

13.8

11.2

3.9

0 20 40 60 80 100

きれいにしてほしい

明るくしてほしい

安全性を高めてほしい

トイレットペーパーを設置してほしい

洋式便器を増やしてほしい

混雑を解消してほしい

荷物置き場・荷物かけを増やしてほしい

乳幼児等が使いやすいよう整備してほしい

その他

(%)

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8

公共トイレをきれいに使うために効果的な方法は?

公共トイレを“きれいに使う”“安全な場所にする”ために、最も効果的な方法は、「係員が定期的に巡回する」。「注意書きをはる」や「利用を有料

にする」に対して効果ありと回答している人は、5割前後しかいない。

公共トイレをきれいに使ってもらうため、または、安全な場所にするためのさまざまな

管理方法について、どの程度効果があると思うか、をたずねました。

公共トイレを“きれいに使ってもらうために効果がある”と答えた人の割合が最も高か

った方法は、「係員が定期的に巡回する」で約8割を占めています。次いで、同じく係員

による管理方法である「係員が入口等に常にいる」(65.2%)があがっています。その一

方、「利用を有料にする」ことに対して効果があるとした人は47.9%に留まっています。

また、公共トイレを“安全な場所にするために効果がある”と答えた人の割合が最も高

かった方法も「係員が定期的に巡回する」で9割を超えています。また、「係員が入口等

に常にいる」「監視カメラを設置する」といった監視についても、8割以上の人が効果が

あると答えています。一方、「利用を有料にする」「注意書きをはる」といった方法に対

しては5割前後の人しか効果があると答えていませんでした。

図表7 公共トイレをきれいに使ってもらうための(安全な場所にするための)効果的な方法

8 0 . 1

6 5 . 2

5 5 . 9

5 2 . 6

4 7 . 9

9 1 . 8

8 5 . 3

8 2 . 6

4 3 . 1

5 4 . 9

0 2 0 4 0 6 0 8 0 1 0 0

係 員 が 定 期 的 に巡 回 す る

係 員 が 入 口 等 に常 に い る

監 視 カメラ を設 置 す る

注 意 書 き を は る

利 用 を有 料 に す る

き れ い に 使 っ て も ら う効 果 が あ る安 全 な 場 所 に す る効 果 が あ る

(% )

注:「とても効果がある」または「やや効果がある」と答えた人の合計

(%)

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9

公共トイレに望ましい管理方法は?

最も望ましい管理方法は、「係員が定期的に巡回する」(83%)で、

次いで「注意書きをはる」(65%)。 「利用を有料にする」に対しては、「望ましくない」人が 45%もいる。

前頁の管理方法に対して、それぞれどの程度望ましいと思うか、をたずねました。

その結果、望ましい(「望ましい」+「どちらかといえば望ましい」)と答えた人の割

合が最も高かったのは、「係員が定期的に巡回する」(83.5%)でした。このことから、

係員の巡回は効果があり、かつ望ましいと考える人が多い管理方法であるといえます。

次いで、「注意書きをはる」(65.2%)、「係員が入口等に常にいる」(54.0%)を望

ましいと答えた人の割合が高い一方、「利用を有料にする」に対しては、望ましくない(「望

ましくない」+「どちらかといえば望ましくない」)と答えた人が半数近くいました。

図表8 公共トイレの各管理方法の望ましさ

(% )

83.5

54.0

46 .7

65.2

26.7

24.7

23 .3

24 .5

25 .9

19 .6

28.3

45.8

1.5

1.7

1.7

1.5

10.1

8.9

4.9

1.4

0 2 0 40 6 0 8 0 1 0 0

係 員 が定 期 的 に巡 回 す る

係 員 が入 口 等 に常 にいる

監 視 カメラを設 置 す る

注 意 書 きをはる

利 用を有 料 に す る

望 ましい どちらともいえない

望 ましくない 無 回 答

(% )

注:「望ましい」は「望ましい」または「どちらかといえば望ましい」と答えた人の合計、 「望ましくない」は「望ましくない」または「どちらかといえば望ましくない」と答えた人の合計

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障害者対応トイレを使ったことがあるか?

全体では、過半数が「使ったことがある」(52%)と回答している。

男性(42%)よりも、女性(62%)の方が使ったことがある割合は高い。 最も使ったことがある割合が高い年齢層は「女性の 20~30 代」(78%)。

公共トイレにある、乳幼児連れの人や高齢者などの障害者以外の人の利用も想定した、

車いす使用者等のための設備や広いスペースのある「障害者対応トイレ」について、使っ

たことがあるかどうか、をたずねました。

全体では、「ある」(52.6%)が過半数を占め、「ない」(46.3%)をやや上回りまし

た。

障害者対応トイレを使ったことがある人の割合を性別にみると、女性の方が男性より約

20ポイントも高い結果となっています。

性・年齢層別にみると、女性の20~30代では8割弱が、男性の20~50代と女性の40~70

代では5割強が、使ったことがあると答えています。

図表9 障害者対応トイレを使ったことがある人の割合(全体、性別、性・年齢層別)

5 2 . 6

4 2 . 8

6 2 . 4

5 4 . 6

5 1 . 0

2 3 . 2

7 8 . 0

5 5 . 1

5 3 . 6

0 2 0 4 0 6 0 8 0

全 体 (N = 5 8 7 )

< 性 別 >

男 性 (N = 2 9 2 )

女 性 (N = 2 9 5 )

< 性 ・年 齢 層 別 >

男 性 2 0 ~ 3 0 代 (N = 9 7 )

男 性 4 0 ~ 5 0 代 (N = 9 6 )

男 性 6 0 ~ 7 0 代 (N = 9 9 )

女 性 2 0 ~ 3 0 代 (N = 1 0 0 )

女 性 4 0 ~ 5 0 代 (N = 9 8 )

女 性 6 0 ~ 7 0 代 (N = 9 7 )

(% )

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障害者対応トイレには誰と入ったか?

全体では「一人で」(32%)が最も多く、「要介助者と」(12%)は最も少ない。

「一人で」が最も多い年代は、「女性の 60~70 代」(40%)で、 次いで「男性の 40~50 代」(35%)。

障害者対応トイレに誰と(一人で、乳幼児と、要介助者と)一緒に入ったか、をたずね

ました。

全体では、「一人で」(32.2%)が最も多く、次いで「乳幼児と」(19.6%)、「要介

助者と」(12.6%)という結果になりました。

性別にみると、障害者対応トイレを一人で、または乳幼児と、または要介助者と使った

ことがある割合は、いずれも男性より女性の方が高い結果となっています。

性・年齢層別にみると、障害者対応トイレを一人で使ったことがある割合は、「男性60

~70代」以外では3割を超え、最も高いのは「女性60~70代」(40.2%)でした。また、

乳幼児と使ったことがある割合は、男女とも若い年代の人で高く、特に女性20~30代では

半数に近い状況です。一方、要介助者と使ったことがある割合は、女性40~50代において

最も高い結果となりました。

図表 10 障害者対応トイレの同行者(全体、性別、性・年齢層別)

※回答者全体に占める割合(%)

性別 性・年齢層別 全体

男性 女性 男 20~30 代

男 40~ 50 代

男 60~ 70 代

女 20~ 30 代

女 40~ 50 代

女 60~ 70 代

N=587 N=292 N=295 N=97 N=96 N=99 N=100 N=98 N=97

一人で 32.2 28.4 35.9 32.0 35.4 18.2 35.0 32.7 40.2

乳幼児と 19.6 14.7 24.4 23.7 15.6 5.1 48.0 15.3 9.3

要介助者と 12.6 9.9 15.3 12.4 9.4 8.1 11.0 19.4 15.5

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障害者対応トイレを使うことへの抵抗感は?

「一人で」使うことに対しては、4分の3(75%)が抵抗を感じている。 「乳幼児と一緒に」使うことに対しても、約4割(39%)が感じている。

性別では、男性よりも女性の方が抵抗を感じている。

障害者対応トイレを一人で、および乳幼児と一緒に使うことに対する抵抗感をたずねま

した。

全体では、一人で使うことに対して抵抗を感じる(「とても感じる」+「やや感じる」)

と答えた人の割合(75.8%)は、4分の3を超えました。一方、乳幼児と一緒に使うこと

に対して抵抗を感じる人の割合(39.5%)は、一人の場合よりは低いですが、約4割を占

めます。障害者対応トイレを乳幼児と一緒に使うことに対する抵抗感は、一人で使うこと

に対する抵抗感ほどではないものの、少なくないことがわかります。

性別にみると、一人で使うことに対しても、乳幼児と一緒に使うことに対しても、男性

より女性の方が抵抗を感じています。

図表 11 障害者対応トイレを使うことに対する抵抗感(全体、性別)

抵抗を感じる割合 全体 男性 女性

N=587 N=292 N=295

75.8 69.5 82.0

39.5 37.0 42.0

38.5

9.7

37.3

29.8

17.7

42.2 17.7

1.2

0.5

5.3

0 20 40 60 80 100

一人で障害者対応トイレを使うことに対する抵抗感

乳幼児と一緒に障害者対応トイレを使うことに対する抵抗感

とても感じる やや感じる あまり感じない まったく感じない 無回答

(%)

注:「とても感じる」と 「やや感じる」の合計

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≪研究員のコメント≫

すべての人にとって不可欠であるにもかかわらず、忌み嫌われがちなトイレ。特に、家

の外にあるトイレ、ここでいう公共トイレには「4K」、すなわち「汚い」「くさい」「こわ

い」「暗い」というマイナスの形容詞が、常に付きまとっていました。

しかし近年では、公共トイレがまちや施設のイメージを左右し、ときには集客などにも

影響するという観点から、施策やビジネス戦略の上でその整備が優先課題の一つにあげら

れるようになってきました。また、少子高齢化への対応、防犯・防災、環境保全など、さ

まざまな社会的側面においても、だれもが安心して使える公共トイレの重要性が認識され

つつあります。

今回の調査では、そんな公共トイレに着目し、利用者の意識を探りました。調査結果か

らまず確認できたのは、前述の「4K」に象徴される衛生面や安全面の問題はやはり大き

く、その改善が望まれているということです。特に、女性からは、公共トイレの安全性の

確保が強く求められています。

そういった問題の改善方法として、利用者が最も望ましく、かつ効果的と考えているの

は、係員の巡回です。一方、係員やカメラによる監視などについては、常に監視されるこ

とに対する抵抗感が背後にはあるようで異論もありました。また、最近話題になることも

多い有料トイレについては、賛同者があまりいませんでした。日本ではまだなじみの薄い

有料化を導入する際には、利用者の十分な理解とコンセンサスを得ることが必要でしょう。

今回の調査は、あくまでも利用者の立場から考察したもので、どのような方法が実現可

能で有効かを検討する上では、管理者の立場も考慮する必要があります。ただ、少なくと

も言えるのは、公共トイレの良し悪しは、管理のあり方もさることながら、利用者の使い

方によっても大きく異なるということです。そのことは、筆者が調査にあたってさまざま

な公共トイレを見て廻った際にも実感しました。利用者は、公共トイレの改善を管理者に

任せるだけでなく、自らのマナーやモラルを振り返ってみることも大切なのではないでし

ょうか。

以上は、一般のトイレについての結果ですが、この調査では、障害者対応トイレに対す

る一般利用者の意識についても焦点を当てました(ここでは、乳幼児連れの人や高齢者な

ど障害者以外の人の利用も想定したトイレも含め、車いす使用者等のための設備や広いス

ペースのあるトイレを「障害者対応トイレ」と総称しています)。

調査結果によると、障害者対応トイレを、乳幼児や要介助者と一緒に、あるいは一人で

も利用する人は、少なくありません。近年、障害者以外の人も対象とする障害者対応トイ

レ(「多目的トイレ」「多機能トイレ」「だれでもトイレ」「ユニバーサルデザイントイレ」

などの名称で呼ばれるトイレ)は増えつつありますが、そういったトイレは障害のない人

にも便利さをもたらす一方で、そこしか使えない障害者の利用を妨げることもあります。

今後は、障害者対応トイレの利用のあり方について、社会全体でさらに議論していくこと

が必要だと思います。

(研究開発室 副主任研究員 水野 映子)