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2.1.3 ロカボ食
(1) 概要(目的・内容)
ロカボは、一般社団法人 食・楽・健康協会の登録商標であり、適切な糖質量の意味で用
いられている。一般社団法人 食・楽・健康協会は、極端な糖質抜きではなく、おいしく楽
しく適正糖質を取ることを推奨し、1 食で摂取する糖質量を 20~40 g、デザートは 10 g 以下、1 日 70~130 g にするという適正糖質を提唱している(これ以外のカロリー・脂質・たんぱく質などに制限はない)。ロカボマークには、ロカボ糖質量が記載されており、ロカボ
マークにより、「おいしく楽しく適正糖質=ロカボ」を普及させるとともに、マークに表示
されたロカボ糖質量から1食あたりの適正糖質量 20~40 g を計算しながら商品を選ぶことができる。
「ロカボと糖質」(ロカボオフィシャルサイト)11によると、ロカボ糖質量は世界的な表
示基準である Available Carbohydrate(有効糖質)を元に算出され、消費者庁の食品表示(炭水化物(糖質+食物繊維)の表示義務はあるが、糖質の表示義務はない)に比べ、消費者が
理解しやすいものである。世界的な食品表示には、炭水化物の表示義務はなく、ロカボ糖質
の表示義務が記載されている。
図 11 ロカボマークの例
出所)ロカボオフィシャルサイト(https://locabo net/about/, 2017/10/24 閲覧)
(2) 背景・経緯
一般社団法人 食・楽・健康協会は、2013 年 11 月に設立された。以下を目的として、セミナーや商品開発サポートを通して、料理人、食関連の企業、医療従事者、一般の人に対す
る高血糖の注意喚起を行ってきた。ロカボ食の推奨活動はその一環として実施されており、
ロカボマークはロカボ食の普及のため、2016 年 6 月に制定された。
11 「ロカボと糖質」(ロカボオフィシャルサイト)(https://locabo net/study/, 2018/03/15 閲覧)
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【一般社団法人 食・楽・健康協会の目的 12】 (食前のみならず食後の)高血糖に対する社会的注意の喚起 血糖値測定の普及とその意義の啓蒙 科学的根拠に基づく最新の栄養学についての啓蒙 (理想論でなく現実論の生活に基づく)生活を楽しみながら健康になる社会の実現
(3) 適合性評価の仕組み
一般社団法人 食・楽・健康協会が審査を行う第二者適合性評価の仕組みである(図 12)。
図 12 適合性評価の仕組み(ロカボ食)
出所)三菱総合研究所作成
(4) 効果・影響
ロカボ食による効果 13としては、以下が挙げられる。
体重の改善 血糖値の改善 高脂血症の改善 血圧改善
※食後高血糖には、認知機能、心臓病、脳卒中など様々な問題を引き起こすリスクがある。 ※食後血糖値を上がらないようにすることは、生活習慣病の予防にもなる。 ロカボマークにより糖質量を消費者が理解しやすくなるほか、1 日の糖質量を 130 g 以下
としているため、炭水化物を摂取しない等の極端な糖質制限に比べ、継続しやすいといえる。
12 「食・楽・健康協会について」(一般社団法人 食・楽・健康協会ホームページ) (http://www.shokuraku.or.jp/about html, 2018/03/15 閲覧) 13 「ロカボとは」(ロカボオフィシャルサイト)(https://locabo net/about/, 2018/03/15 閲覧)
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(5) 普及・浸透策
「dancyu 低糖質のお菓子づくり」(株式会社プレジデント社)や「世にも美味しい ゆるやかな糖質制限ダイエット」(世界文化社)といった、糖質の抑えた健康的な調理法・食生
活に関する書籍が出版されており、ロカボオフィシャルサイトでも紹介されている。レシピ、
食生活等を発信することで、消費者への普及が図られている。
(6) 活用事例
56 社(2017 年 10 月 6 日時点)が会員企業となっており、ロカボ商品 71 品、ロカボレストラン 38 メニューが提供されている。
図 13 ロカボ食品の例
出所)ロカボオフィシャルサイト(https://locabo net/locaboproduct/, 2017/10/24 閲覧)
1) 株式会社ローソン
株式会社ローソンでは、高齢化社会や健康志向ニーズの高まりを受けて、2012 年よりロカボ食品の開発に本格的に取り組んでいる。ローソンでは、2016 年に社員 20 名が一般社団法人 食・楽・健康協会の「ロカボチャレンジ」に参加する等、ロカボ自体の認知向上にも
関わっている 14。また、2017 年には、ローソンが勧めるロカボ商品のパッケージに糖質量を記載し、ベーカリーやオリジナル菓子の 20 種類の商品パッケージにはロカボマークを記載するとしている(図 14)15。ロカボマーク掲載対象商品は、順次拡大していく方針であるとされる。さらに、ローソン商品の組み合わせによるロカボメニューを紹介している(図
14 「ローソン社内で「ロカボチャレンジ」実施しています!」(2016 年 6 月 23 日)(ローソン研究所ホームページ)(http://www.lawson.co.jp/lab/kenko/art/1272920 4665.html, 2018/03/15 閲覧) 15 「ロカボで健康、はじめませんか。ローソンのおすすめ商品に「ロカボマーク」が付きました。」(2017 年 11 月 7 日)(ローソン研究所ホームページ)(http://www.lawson.co.jp/lab/kenko/art/1272920 4665.html, 2018/03/15 閲覧)
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15)。
図 14 ロカボマークの記載イメージ(株式会社ローソン)
出所)株式会社ローソンホームページ (https://www.lawson.co.jp/lab/kenko/art/1312793 4665 html, 2018/02/20 閲覧)
図 15 ロカボメニューのイメージ(株式会社ローソン)
出所)株式会社ローソンホームページ (https://www.lawson.co.jp/lab/kenko/art/1312793_4665 html, 2018/02/20 閲覧)
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2.2 海外事例調査
2.2.1 Codex 規格 韓国のり
(1) 概要(目的・内容)
乾燥のり、焼きのり、味付けのりの 3 種類ののりを対象とする Codex 規格である。類型別製品の定義および製造方法、必須成分および主要品質要素、食品添加物の使用基準等の内
容を扱う。特に、原草以外にも青のり、カジメ、カプサアオノリ等、多様な海草類を選択性
原料として使う韓国のりの特性が反映された内容となっている。 なお、Codex 規格では、”Laver Products”の名称が用いられている。
(2) 背景・経緯
のりは、韓国にとって、主要な輸出品目の一つである。韓国からの乾のり輸出先別輸出量
の推移をみると、2011 年以降急激に増加している(図 16)。
図 16 韓国からの乾のり輸出先別輸出量の推移
出所)「輸出入統計」(韓国関税庁) (注)「平成 26 年度水産物流通情報発信・分析委託事業のうち世界の自由貿易体制が我が国の水産業に
及ぼす影響の把握・分析 事業報告書」(水産庁漁政部加工流通課)で作成された図を引用。な
お、2011 年以降、量が急増した理由として、新品種の開発が挙げられている。
このような貿易上の背景等もあり、韓国は、2010 年の FAO/WHO 合同食品企画計画第 17
回アジア地域調整部会において、のり製品の Codex 地域規格原案を提案した。そして、執行委員会にて、2011 年に、アジア地域調整部会で審議を行うことが決定された。その後、2014年の第 19 回コーデックス地域調整部会、2016 年の第 20 回アジア地域調整部会において規格原案全体について議論を実施した。第 20 回では、会合直前の物理作業部会(PWG)によ
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って用意された規格原案をもとに議論が行われた。 そして、2017 年 7 月の第 40 回 Codex 総会にて、韓国が提案した「のり製品規格案」がア
ジア地域の規格として認定された。2019 年採択を目標に韓国食品研究院と研究等に取り組んできたが、当初の目標より 2 年早い 2017 年の総会で多くの加盟国から支持を得て標準規格に採択された。
(3) 適合性評価
Codex 規格では、規格を策定しているのみであって、適合性評価は行っていない。
(4) 効果・影響
日本は、国内基準(食品衛生法における酸化指数、枚数によるロット管理等)と Codex 規格で定められた基準の間に齟齬が生じ、既存の製品の仕様や名称に影響が出ることをリス
クとした。そこで、既存の商品の仕様等を考慮し、産業に支障の出ない規格とするように意
見を主張してきた。日本の場合、国内流通が主であるが、地域ごとに認識が異なる。そこで、
水産庁、水産試験所、全国海苔問屋協同組合連合会を中心に、有識者委員会を設立し、韓国
政府や韓国海苔業界の活動内容に関する情報収集を行いながら、議論に参加した。韓国は、
規格の内容よりも規格が策定されること自体に重点を置いており、協議内容には妥協も見
られたといえる。最終的には日本の主張も考慮され、日本の既存製品に対する影響は生じな
い規格となった。
(5) 普及・浸透策
(特になし)
(6) 活用事例
(特になし)
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2.2.2 ISO 22000
(1) 概要(目的・内容)
ISO 22000 は食品安全マネジメントシステムに関する国際規格である。HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)の食品衛生管理手法をもとに食品安全のリスクを低減するものであり、ISO 9001 と HACCP の概念を融合して開発され、2005 年 9 月に発行された。食品製造業および、農畜産物生産・漁業・養殖等の一次生産分野、食品およびその材料の生
産、加工、配送及び保管、あるいは食品設備製造・据え付け、施設消毒等の各種サービスま
でを対象とし、フードチェーンに関与する全ての組織を対象としている。 特徴は、HACCP の内容を全て含み、さらにマネジメントシステムの要素が加味された国
際規格である点、サプライチェーン全体を対象にしており、幅広い適用範囲を意図する内容
である点といえる。また、次の 4 要素を組み合わせ、FSMS(Food Safety Management System、食品安全マネジメントシステム)に対する要求事項を示している 16。
相互コミュニケーション(互いに連絡を取り進めること) システムマネジメント(仕組みで保証すること) 前提条件プログラム(安全衛生条件を維持するために必要な基本条件、そして活動すること) HACCP(7 原則 12 手順により食の安全を確保すること)
ISO 22000 の構成は以下の通りである(図 17)。
図 17 ISO 22000 の構成
出所)一般財団法人 日本品質保証機構ホームページ
(https://www.jqa.jp/service list/management/service/iso22000/ , 2017/10/04 閲覧)
16 「食品安全マネジメントシステム(FSMS)認証(ISO 22000)」(公益財団法人 日本適合性認定協会ホームページ)(https://www.jab.or.jp/iso/iso 22000/, 2018/03/15 閲覧)
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(3) 適合性評価の仕組み
認証機関が審査を行う第三者適合性評価の仕組みをとっている(図 18)。IAF(国際認定機関フォーラム)が、ISO/IEC 17011(適合性評価機関の認定を行う機関に対する一般要求事項)に基づいて、認定機関を承認し、認定機関が認証機関を認定する。
図 18 適合性評価の仕組み(ISO 22000)
出所)三菱総合研究所作成
(4) 効果・影響
認証取得の効果として以下が挙げられる 18。 ・安全な食品の提供に関するリスクの低減 ・業務効率の改善や組織体制の強化 ・仕事の見える化による業務継承の円滑化 ・継続的な改善による企業価値の向上 ・法令順守(コンプライアンス)の推進 ・海外企業を含む取引要件の達成 特に、ISO 22000 発行以前は、各国、各社で異なる HACCP 関連規格や自主規格を使用し、
規格への準拠を求められていた事業者はダブルスタンダードへの対応が必要であった。し
かし、ISO 22000 により、異なる自主規格の共通部分を合わせることが可能となり、取引上は差分のみの確認で済むようになり、ダブルスタンダードへの対応が不要になった。このよ
うに、ISO 22000 は国際的に規格の整合性を確保し、業界全体でコストダウンの効果をもたらした。
なお、ISO 22000 は、大手小売や食品メーカーで構成される国際団体 CGF(The Consumer Goods Forum)の推進する GFSI(Global Food Safety Initiative)から、承認を受けることがで
18 「ISO 22000(食品安全)」(一般財団法人日本品質保証機構ホームページ)(https://www.jqa.jp/service list/management/service/iso22000/, 2018/03/15 閲覧)
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きなかった。その背景には、中国の規格の急増が関係している可能性がある。すなわち、中
国国家認証認可監督管理委員会(CNCA)は認定機関であるが、審査を中国人にしか認めておらず、不透明性が課題として認識されたと考えられる。 現状では、CGF に加盟する多くの事業者が GFSI 承認規格を商取引上の基準として活用し
ているため、ISO 22000 だけでは、商取引としては十分ではない場合がある。したがって、オランダの FFSC(Foundation for Food Safety Certification)が ISO 22000 を含む ISO を活用し、GFSI に承認されるために必要な項目を補完した新たな食品安全認証規格を FSSC 22000として開発した(図 19)。現在では、ISO 22000 認証単体に加え、FSSC 22000 としても取り込まれた形でも多く活用されている。
図 19 ISO 22000 の位置付け・他基準との関係
出所)一般財団法人日本品質保証機構ホームページ
(https://www.jqa.jp/service list/management/service/iso22000/, 2017/10/04 閲覧)
(5) 普及・浸透策
(特になし)
(6) 活用事例
ISO 22000 の認証状況に関しては、全世界で 32,139 件の登録があり、ISO Survey 201619によれば、日本での登録は 1,180 件である(2016 年時点)。ISO 22000 の認証を取得する組織の数は増加傾向にある。
19 ISO Survey of certifications to management system standards - Full results 05. ISO_22000_-_data_per_country_-_2007_to_2016(https://isotc.iso.org/livelink/livelink?func=ll&objId=18808772&objAction=browse&viewType=1, 2018/03/15 閲覧)
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(7) その他(物流について)
容器包装に関しては、2013 年に ISO22000-4「食品安全のための前提条件プログラム-第4 部:食品の容器包装製造」が発行され、ISO 22000 と組み合わせ FSSC 22000 の認証も行われている。2017 年には、オランダから新規作業項目が提案され、投票の結果承認された。オランダの国家規格である NTA 8059「輸送保管のための食品安全に係る前提条件プログラム」(2016 年 12 月)が添付されている。
一方、社会資本整備審議会・交通政策審議会が、『今後の物流政策の基本的な方向性等に
ついて』(2015 年 12 月 25 日)において、「多頻度・小口配送や定時配送等といった顧客ニーズに応じたきめ細やかなサービス、コールドチェーン、宅配システム等我が国物流事業
者が有する世界でも最高水準のサービスやノウハウ等を基に、アジア諸国とともにアジア
の標準を積極的に形成していくことが重要である。このため、我が国物流システムの規格
化・国際標準化を主導的に果たしていくような取組の検討が必要である。」と答申している。
また、日本の物流企業は、ASEAN地域等における物流環境の改善に向けて貢献することや、海外の物流企業との競争も激化している中、適正な競争環境を主体的に構築していくとい
う観点が重要だと考えられている。 このような背景を受け、ヤマトホールディングス株式会社は、2017 年 2 月に英国規格協
会(BSI)より、小口保冷配送サービスに関する BSI/PAS 1018 を発行した。2016 年 3 月から設置されている、我が国物流システムの国際標準化等の推進に関する連絡検討会では、
PAS 1018 は先行事例として中心的な議題に取り上げられている。ヤマトホールディングス株式会社は、BSI から PAS 1018 を発行したことを契機に、今後、PAS の ISO 規格化を目指す 20。
20 「BSI グループジャパン(英国規格協会)、小口保冷配送サービスに関する国際規格 PAS 1018 を発行」(ヤマトホールディングス株式会社ホームページ)(http://www.yamato-hd.co.jp/news/h28/h28 118 01news html, 2018/03/15 閲覧)
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2.2.3 ISO 16578
(1) 概要(目的・内容)21
ISO 16578 は、Molecular biomarker analysis –General definitions and requirements for microarray detection of specific nucleic acid sequences(分子生物指標分析 –マイクロアレイを用いた特定核酸配列の研究に関する一般的定義及び要求事項)の規格である。 マイクロアレイによる測定に関する用語の定義、および測定における最小要求事項を示
している。マイクロアレイで測定可能な DNA や RNA 等、核酸の濃度範囲を示す指標の定義や、濃度を高い精度で保証した標準物質と呼ばれる核酸を用いてマイクロアレイで測定
可能な濃度範囲を決める手法について記述している。GMO 検出をはじめとする食品検査にマイクロアレイを用いる場合に、国際的な共通認識の中で測定妥当性が評価できるよう考
慮されている。 なお、マイクロアレイとは、遺伝子検査に主に用いられるバイオチップの一種で、基板上
に一群の DNA プローブ(特定の遺伝子を検出するための DNA 断片)を高密度で付着させて配置し、直接あるいは間接的に、同時に大量の生物由来物質を分析できるものを指す。ま
た、バイオチップとは、DNA、RNA といった核酸、たんぱく質、糖鎖などの生態分子や細胞を固定化して、活動を定性的、定量的に検出する機能、またこれに生体分子の分離や反応
などの機能を組み合わせて、ガラスや、プラスチックの基板、電極基板、中空繊維などに構
成したものを指す。
(2) 背景・経緯 21・22
世界的な市場が期待される食品の品質検査等の産業利用においては、煩雑な手順、コスト
面等の理由から、生物現象の学術研究のように複数回の測定を統計解析して結論を導くア
プローチは適用できず、1 回の検査で信頼性の高い結果が出せるよう測定精度を保証する必要がある。そのためには、サンプルの前処理、測定、データ解析・判定等の方法及び手順の
確立をはじめとするバイオチップの標準化が不可欠である。しかし、2010 年段階ではバイオチップの精度を保証するための標準化が進んでおらず、産業利用の拡大を阻害する要因
となっていた。 また、近年マイクロアレイでは、食品分野をはじめ、環境や医療等の分野における遺伝子
検査への利用が活発になり、これまでの研究用途から産業用途へと、市場がシフトしていた。
これはマイクロアレイに関する技術が成熟度を増し、分析精度や再現性が大幅に向上した
ことが理由にあるが、測定精度の管理等の点で問題があった。マイクロアレイの測定精度に
関わる用語の定義を統一し、精度保証のための手段を提供するような標準が必要であった。 これらの背景の下、JMAC(特定非営利活動法人バイオチップコンソーシアムの略称。バ
イオチップ関連の産業促進・市場創出を目的として、2007 年に設立されたバイオ産業分野の業界団体)を中心にバイオチップに関する企画の提案・手続きが進められた。JMAC は、
21 「世界初、マイクロアレイ関連技術の国際標準化を達成~ISO 最終国際規格案、各国投票で承認~」(JMAC プレスリリース、平成 25 年 10 月 17 日) 22 「バイオチップ規格の国際標準化へ大きく前進~JMAC を中心に作成した日本の提案が ISO において新規作業項目に採択、規格化を目指した審議開始~」(JMAC プレスリリース、平成 22 年 11 月 19 日)
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各関係機関と連携し、ISO 規格の立案、実証実験を行ってきた。その結果、2013 年には、日本発のバイオ分野の国際標準規格 ISO 16578 が発行した。
(3) 適合性評価
バイオ業界では、製品認証機関による認証を受けることで、特に国際市場において他の未
認証製品に対して優位性を確保するというビジネスモデルが広まっている。このような状
況を受け、JMAC では、国際標準の開発と併せて、2013 年 3 月に、製品認証を行うための機関:一般社団法人 日本バイオテクノロジー認証機構(Japan Biotechnology Certification Organization; JBCO)を発足させた。認証機関 JBCO が審査を行う第三者適合性評価の仕組みとなる(図 20)。
JMAC は、今後、ISO 16578 のみならず、バイオテクノロジー関連の認証を行っていくための準備を進めていくとしている。
図 20 適合性評価の仕組み(ISO 16578 等の JMAC が関わる認証)
出所)「第 5 回 JMAC シンポジウム 要旨集」(特定非営利活動法人 バイオチップコンソーシアム)
(4) 効果・影響 22
JMAC のプレスリリースによると、JMAC の会員企業の大部分を占めるバイオチップメーカーや検査会社、世界的なサプライチェーンにおける相互理解やデータの互換性の進展、国
際市場におけるバイオチップ製品およびバイオチップを用いた検査・診断結果に関する信
頼性の向上、市場の拡大が効果として挙げられる。また、本規格において定義されたマイク
ロアレイに関する用語が、医療分野等においても、共通の概念において用いられることが期
待できる。
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(5) 普及・浸透策
JMAC の手掛ける標準化の分野における国際シンポジウムが 2013 年から 2017 年まで 5回開催され、標準化の意義、標準化によるバイオ産業への貢献について普及活動を行ってき
た。また、バイオ産業振興のために、会員企業のニーズのある分野について、共同で調査活
動を行っている。
表 8 JMAC 正会員法人一覧
出所)「第 5 回 JMAC シンポジウム 要旨集」(特定非営利活動法人 バイオチップコンソーシアム)
(6) 活用事例
現在、製品認証を行う認証機関として JBCO が発足したところであり、今後活用が進むと予想される。