30
242 技 術 書・ポ ン プ 場 (4) 機器の基礎ボルトの検討 基礎ボルトの選定に当たっては、耐震性を含む検討を行うものとし、以下により基礎ボルトの引 抜力とせん断力を求めて、これが各ボルトの許容応力以下であることを確認する。 ① 基礎ボルトの選定フロー 基礎ボルトのせん断応力による選定フローを、図-5.47 に示す。 なお、この選定フローではボルト本数は固定しているが、あまりにボルト径が大きくなる場合 にはボルト本数を多くして、基礎ボルト1本当たりの引抜力(R b )ボルトに作用するせん断力(Q 又はせん断応力(τ )を計算して再度検討を行う。 また、基礎ボルトが基礎の隅角部、辺部に打設される場合には、せん断力 Q によりコンクリー トが破壊しないことを確認する。 START ボルト径の仮定 Rb,τ の計算 Rb 許容引抜荷重 Ta の計算 (引抜を生ずる) (引抜を生じない) ボルト径を 大きくする ボルト径を 大きくする Ta > Rb τ<4.4 kN/cm 2 fts の計算 (fts=1.4ft-1.6τ) f ts >σ(=R b /A) END fs >τ No Yes Yes No No Yes Yes No 表-5.65 注 3)参照 図-5.47 基礎ボルト選定フロー

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242

技 術 書・ポ ン プ 場

(4) 機器の基礎ボルトの検討

基礎ボルトの選定に当たっては、耐震性を含む検討を行うものとし、以下により基礎ボルトの引

抜力とせん断力を求めて、これが各ボルトの許容応力以下であることを確認する。

① 基礎ボルトの選定フロー

基礎ボルトのせん断応力による選定フローを、図-5.47に示す。

なお、この選定フローではボルト本数は固定しているが、あまりにボルト径が大きくなる場合

にはボルト本数を多くして、基礎ボルト 1本当たりの引抜力(Rb)ボルトに作用するせん断力(Q)

又はせん断応力(τ)を計算して再度検討を行う。

また、基礎ボルトが基礎の隅角部、辺部に打設される場合には、せん断力 Q によりコンクリー

トが破壊しないことを確認する。

START

ボルト径の仮定

Rb,τの計算

Rb

許容引抜荷重 Ta の計算

(引抜を生ずる)(引抜を生じない)

ボルト径を 大きくする

ボルト径を 大きくする

Ta > Rb

τ<4.4 kN/cm2

fts の計算 (fts=1.4ft-1.6τ)

fts >σ(=Rb/A) END fs >τ

- +

No

Yes Yes

No

No Yes Yes No

表-5.65の

注 3)参照

図-5.47 基礎ボルト選定フロー

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243

第 5 章 主ポンプの設計

表-5.65 ボルト(材料 SS400)及びステンレスボルト(A2-50)の許容応力表(単位:kN/cm2)

ボルトの径 長期許容応力 短期許容応力

引張( ft ) せん断( fs ) 引張( ft ) せん断( fs )

ボルト(SS400) 11.7 6.77 17.6 10.1

ステンレスボルト(A2-50) 10.5 6.08 15.8 9.12

注 1) 上表の値は、以下の指針に基づく。

・「建築設備耐震設計・施工指針」((財)日本建築センター)

・「配電盤・制御盤の耐震設計指針」(JEM-TR144)

2) ボルトの引張応力を検討する必要が生じた場合には、表-5.65 の ftの値を用いる。

3) 引張とせん断を同時に受けるボルトの強度確認は、次による。

① < fs

② <( fsと ftsの最小のもの)ただし、fts=1.4 ft-1.6

ここに、 : ボルトに作用するせん断応力

: ボルトに作用する引張応力(σ=Rb/A)

fs : せん断のみを受けるボルトの許容せん断応力(表-5.65の値)

ft : 引張のみを受けるボルトの許容引張応力(表-5.65 の値)

fts : 引張とせん断力を同時に受けるボルトの許容引張応力

ただし、fts< ft(=4.4 kN/cm2以下の時は、 fts=ftとなる。)

4) 上表の引張許容応力は、ボルトのねじ谷径断面を評価してある。選定のための計算には、軸断面積(呼径による断面

積)を用いてよい。ねじ谷径断面は軸断面の 75%とした。

5) ねじ部にせん断力が作用する場合は、軸断面積を用いて表-5.65 の fsの値に 0.75 を乗ずること。

② 基礎ボルトの引抜力

( i )短形配列の基礎ボルトの場合(例えば、横軸ポンプなど)

短形配列の基礎ボルトは直交 2方向の外力に対して、以下により独立して検討し、引抜力の

大きい方の条件を採用する。

Rb=t

GVGH

n

FWhF

 ・)--(

(kN) ........................................ (5.42)

ここに、 Rb : 基礎ボルト 1本当たりの引抜力(kN)

FH : 設計用水平力(kN)

FH =FH1+FH2+FH3

FH1:水流や水圧によって発生する水平方向動荷重(kN)

FH1=FC =4,000

πd 2・H・・g(kN)

d : 吐出し口径(m)

H : 吐出し口にかかる水圧(m)

: 水の密度(kg/m3) =1,000

g : 重力の加速度(9.8m/s2)

FH2 : 機器の回転振動によって発生する水平方向動荷重(kN)

FH2=・W

の値は通常 0.2、ディーゼル機関の場合は 0.3 とする。

W:機器の重量(kN) W =W0・g/1,000

FH・hG-(W-FV)・ℓG

ℓ・nt

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244

技 術 書・ポ ン プ 場

W0 : 機器の自重(kg)

g : 重力の加速度(9.8 m/s2)

FH3 : 水平方向地震力(N) 式(5.39)による。

FV : 設計用鉛直力(kN)

FV=FV1+FV2

FV1 : 鉛直方向動荷重(kN) 水平方向動荷重と通常は同じとする。

FV2 : 鉛直方向地震力(kN) 式(5.40)による

hG : 据付面より機器重心(G)までの高さ(cm)

ℓ : 検討する方向からみたボルトスパン(cm)

ℓG : 検討する方向からみたボルト中心から機器重心までの距離

(ただし、ℓG < ℓ/2)(cm)

nt : 機器転倒を考えた場合の引張りを受ける片側の基礎ボルト総本数

(図-5.48において、検討方向の片側に設けられた基礎ボルト本数)

G : 機器重心位置

図-5.48 短形断面の場合の引抜力とせん断力

(ii)円形配置の基礎ボルトの場合(例えば、立軸ポンプなど)

円周上に配置された基礎ボルトの引抜力については、モーメントの中立軸が円の中心を通る

ものとして、便宜的に式(5.43)により求めることができる。(図-5.49)

n

FWhF

DnR V

GHb-

-・・

4= ................................................ (5.43)

ここに、Rb、FH、FV、hG、W、G は、(i)項と同じ。

D:円形断面の基礎ボルトスパン(cm)

n:基礎ボルトの総数

W

Rb

W FV

FH

hG

G

LG

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第 5 章 主ポンプの設計

図-5.49 円形断面の場合の引抜力とせん断力

③ 基礎ボルトのせん断力

基礎ボルトの総本数によってせん断力を負担するものとして、式(5.44)による。

=An

FH

又は

n

FH=Q .................................................. (5.44)

ここに、:基礎ボルトに作用するせん断応力(kN/cm2)

Q:基礎ボルトに作用するせん断力(kN)

FH:設計用水平力(kN)

A:基礎ボルト 1本当たりの軸断面積(呼径による断面積)(cm2)

n:基礎ボルトの総数

Rb

W FV

FH FH

hG

G

D

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246

技 術 書・ポ ン プ 場

(5) 立軸ポンプの基礎ボルトの計算例

この計算例は箱抜き式の場合であり、基礎ボルトを鉄筋に溶接する場合、スラブ貫通式の場合等

には、別途検討を要する。

① 計算例

主ポンプ形式 : 1,500mm

Ⅰ型二床式立軸斜流ポンプ

主ポンプの長さ(L) : 4,000mm

主ポンプの計画全揚程(H) : 5m

吐出し量 : 300m3/min

(吐出し口径(d) : 1.5m)

基礎ボルト : M36×16 本(仮定)

荷重分布 : 図-5.50参照

② 重心位置(G)の設定

計算を簡単にするために、重心位置(G)を吐出し中心と吸込管端までの距離(=1,700+4,000)

の中央と仮定する。正確には、各々について計算する必要がある。

5,700÷2=2,850

したがって、重心高さ hG=4,000-2,850=1,150mm=115cm

③ 水流による反力

吐出し水流による反力 Fc は、計画全揚程 H から吸込水面の高さ hWを引いた圧力が、吐出し口

にかかることになるが、hWは運転状態によって変化するから、安全側として計画全揚程(H )そ

のものが吐出し口にかかるものとして計算する。

FC =4,000

π d 2・H・・g

ここに、 FC : 水流による反力(=FH )(kN)

H : 主ポンプの全揚程(m) H=5

d : 吐出し口径(m) d=1.5

: 水の密度(kg/m3) =1,000

g : 重力の加速度(m/s2) g=9.8

9.801,00051.5

4,000= 2

πFC =86.55kN

注) 水流、吐出し圧力による反力(スラスト)は、配管レイアウト上で相殺する場合、または主配管の壁

貫通部で支持する場合などは、考慮しない。

d

L

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第 5 章 主ポンプの設計

④ 水平加振力

運転中の振動による水平加振力 FUは、垂直加振力の考え方から

FU=0.4W3′

ここに、Ⅰ型二床式

W3′:立軸ポンプの床盤荷重(1.2 倍しないもの)

「13.4.1 ポンプ荷重」 表-13.10から W3′=327/1.2=272.5kN

したがって、

FU =0.4×272.5=109kN

⑤ 下向きの力

転倒モーメントの計算においては、下向きの力 Fw は W3′±0.2W3′であると考えて、最小の値と

する。

FW=0.8・W3′

=0.8×272.5=218kN

⑥ 設計用水平震度

設計用水平震度(KH)は、式(5.41)より

KH =Z・KS

ここに、

KS :設計用標準震度 主ポンプは地下 1階に設置されているので、表-5.64より

KS=0.4

Z :地域係数 Z=1.0 とする(図-13.42(詳細表-13.37より)より)

KH=1.0×0.4=0.4

⑦ 設計用水平地震力

設計用水平地震力 FH3は、式(5.38)より

FH=KH・W3′=0.4×272.5=109 kN

⑧ 設計用鉛直地震力

設計用鉛直地震力は、式(5.40)より

FV =KV・W3′=2

1KH・W3

=2

1×0.4×272.5=54.5 kN

⑨ 荷重分布

以上の荷重分布を示すと、図-5.50のようになる。

注)G:重心位置

図-5.50 立軸ポンプの荷重分布(例)

FW

W W

W

t

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技 術 書・ポ ン プ 場

⑩ 基礎ボルトの引抜力

図-5.50に示す基礎ボルトの引抜力 Rbは、式(5.43)から式(5.45)が導かれる。

n

FFh FFh F

DnR VW

GUHCCb

・)(・・

=4

ꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏ (5.45)

ここに、 (計算例各数値)

Rb :基礎ボルトの 1 本当りの引抜力 (kN)

n :基礎ボルトの総本数 (n =16)

D :円形断面のボルトスパン (cm) (D =305cm)

FC :水流による反力 (kN) (FC =86.55kN)

FU :水平加振力 (kN) (FU =109kN)

FW :下向きの力 (kN) (FW =218kN)

FH :水平地震力 (kN) (FH =109kN)

FV :垂直地震力 (kN) (FV =54.5 kN)

hC :図-5.50に示す寸法 (hC =170cm、表-5.38の D 寸法)

hG :図-5.50に示す寸法 (hG =115cm)

以上の計算例各数値を式(5.44)に代入し、基礎ボルトの引抜力(Rb)を求める。

Rb=30516

4

{86.61×170+(109+109)×115}-

16

54.5)-(218

=22.399 kN/本

⑪ 基礎ボルトのせん断力

図-5.50に示す基礎ボルトのせん断力(Q )は、式(5.44)から式(5.46)が導かれる。

Q=n

FFF UHC ++ ....................................................... (5.46)

計算例各数値を式(5.46)に代入し、基礎ボルトのせん断力(Q )を求める。

Q=16

10986.55+109+=19.03 kN/本

⑫ 基礎ボルトの短期許容引抜荷重

基礎ボルト(箱抜 L 形 M36、16 本)回りの寸法は、図のとおりとする。

基礎ボルト 1本当たりの短期許容引抜荷重 Taは、

Ta=80

1CF ・L・W(「建築設備耐震設計・施工指針」((財)日本建築センター)を参照。)

ここに、

Ta :基礎ボルト 1本当たりの短期許容引抜荷重(kN/本)

FC1 :充填モルタルの設計基準強度(kN/cm2)

FC1=1.2 kN/cm2(通常の場合)

L :基礎ボルトの埋込長さ(cm) L=68

W :箱寸法(cm) W=25

Ta=80

1.2×3.14×68×25=80.07 kN/本>Rb=22.399kN/本

したがって、Ta>Rbにつき安全側にある。

800

L=

680

M36

16×305

FC1

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第 5 章 主ポンプの設計

⑬ 基礎ボルトの短期許容せん断力

せん断力(Q )については、表-5.65より、基礎ボルト(SS400、M36)の、短期せん断許容応

力 fsは、

fs=10.1kN/cm2

この場合、断面積は呼称面積でよいこととなっている。

基礎ボルト(M36)断面積 A は、

=10.1743.64

3.14=

4= 22

2 d π

A

cm2

ボルトの短期許容せん断力は、

fs・A=10.1×10.174=102.757 kN/本>Q=19.03 kN/本

したがって、安全側にある。

なお、引張りについては、基礎ボルト自体の許容応力にあることを確認する。

短期引張許容応力 ftは、

ft=17.6 kN/cm2

この値は、ボルトのねじ谷径断面を考慮しており、計算には呼称断面積でよいこととなってい

る。

⑭ 結論

引張とせん断を同時に受けることから、

≦( ftと ftsの小さい方)

ただし、fts=1.4 ft-1.6 ................................................... (5.47)

ここに、 :ボルトに作用するせん断応力(kN/cm2)

=10.174

19.038=

A

Q=1.871 kN/cm2

:ボルトに作用する引張応力(σ=Rb/A)(kN/cm2)

=10.174

22.399=

A

Rb =2.202 kN/cm2

fs :せん断のみを受けるボルトの許容せん断応力(表-5.65の値)

ft :引張のみを受けるボルトの許容引張応力(表-5.65の値)

fts :引張とせん断力を同時に受けるボルトの許容引張応力

ただし、fts≦ ft(=4.4 kN/cm2以下の時は fts=ftとなる。)

式(5.47)から、

fts=1.4×17.6-1.6×1.871=21.646 kN/cm2

したがって、

ft =17.6 kN/cm2 <fts=21.646 kN/cm2

=2.202 kN/cm2<ft=17.6 kN/cm2

であるから、仮定した基礎ボルト(M36×16 本)は、十分安全である。

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250

技 術 書・ポ ン プ 場

(6) 配電盤の基礎ボルトの計算例

配電盤の基礎ボルトは、「配電盤・制御盤の耐震設計指針」(JEM-TR144)に準じて設計するが、

詳細については、「電気設備計画設計技術指針(高低圧編)」を参照すること。

なお、盤の箱体とベースとの締付ボルトの強度計算や、盤据付アンカーボルトを設ける場合は、

埋込アンカー又はあと施工アンカーとし箱抜アンカーは採用しない等、製作・据付上の留意事項は、

指針(JEM-TR144)に準じて検討すること。

① 計算例

配電盤形式 : 屋内自立閉鎖型

基礎ボルト : M12×4 本(仮定)

荷重分布 : 図-5.51参照

設置階 : 1 階(仮定)

耐震クラス : A(仮定)

② 設計用水平震度

設計用水平震度(KH)は、式(5.41)より

KH =Z・KS

ここに、

KS :設計用標準震度 盤は 1階に設置されているので、表-5.64より

KS=0.6

Z :地域係数 Z=1.0 (指針(JEM-TR144)より、通常は 1.0 として設計する)

KH=1.0×0.6=0.6

③ 設計用鉛直震度

設計用鉛直震度(KV)は、式(5.48)より

KV =(1/2)・KH ....................................................... (5.48)

KV =(1/2)×0.6=0.3

④ 荷重分布

以上の荷重分布を示すと、図-5.51のようになる。

注)G:重心位置

図-5.51 盤の荷重分布(例)

ℓG

hg

G FH

箱体

FV

ベース

中心線

ボルト シンダーコンクリート基礎

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251

第 5 章 主ポンプの設計

⑤ 基礎ボルトの引抜力

図-5.51に示す基礎ボルトの引抜力 Rbは、式(5.49)により求める。

1

GVGHb

n

FWh FR

)・(・=

ꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏꞏ (5.49)

ここに、 (計算例各数値)

Rb :基礎ボルトの 1 本当りの引抜力 (kN)

W :盤の総重量 (kN) (W =5kN)

n :基礎ボルトの総本数 (n =4)

n1 :基礎ボルトの片側本数 (n1 =2)

hG :据付面から盤重心までの高さ (cm) (hG =100cm)

ℓ :検討する方向から見たアンカーボルトスパン (cm)

ℓ 1:前後方向 (ℓ 1 =30cm)

ℓ 2:左右方向 (ℓ 2 =50cm)

ℓ G :検討する方向から見たアンカーボルト中心から盤重心までの距離(cm)

ℓ1G:前後方向 (ℓ 1G =15cm)

ℓ2G:左右方向 (ℓ 2G =25cm)

FH :設計用水平地震力 (kN)(=KH・W) (FH =0.6×5 =3.0kN)

FV :設計用垂直地震力 (kN)(=KV・W) (FV =0.3×5 =1.5kN)

以上の計算例各数値を式(5.49)に代入し、基礎ボルトの引抜力(Rb)を求める。

(前後方向) Rb1=230

15(5-1.5) - 1003.0

=4.125 kN/本

(左右方向) Rb2=250

25(5-1.5) - 1003.0

=2.125 kN/本

⑥ 基礎ボルトのせん断力

図-5.51に示す基礎ボルトのせん断力(Q )は、式(5.44)により求める。

Q=n

FH

Q=4

3.0=0.75 kN/本

⑦ 基礎ボルトの短期許容引抜荷重

基礎ボルト(あと施工接着系アンカーボルト、M12)1 本当たりの短期許容引抜荷重 Taは、

指針(JEM-TR144)より、以下に基づく。

・「自家用発電設備耐震設計のガイドライン」(日本内燃力発電設備協会)

ボルトの短期許容引抜荷重は、

Ta=9.20 kN/本>Rb=4.125kN/本 (Rb : Rb1、Rb2の大きい方の値)

したがって、Ta>Rbにつき安全側にある。

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252

技 術 書・ポ ン プ 場

⑧ 基礎ボルトの短期許容せん断力

せん断力(Q )については、表-5.65より、基礎ボルト(SS400、M12)の、短期せん断許容応

力 fsは、

fs=10.1kN/cm2

この場合、断面積は呼称面積でよいこととなっている。

基礎ボルト(M12)断面積 A は、

=1.130.24

3.14=

4= 22

2 1d π

A cm2

ボルトの短期許容せん断力は、

fs・A=10.1×1.130=11.413 kN/本>Q=0.75 kN/本

したがって、安全側にある。

なお、引張りについては、基礎ボルト自体の許容応力にあることを確認する。

短期引張許容応力 ftは、

ft=17.6 kN/cm2

この値は、ボルトのねじ谷径断面を考慮しており、計算には呼称断面積でよいこととなってい

る。

⑨ 結論

引張とせん断を同時に受けることから、

≦( ftと ftsの小さい方)

ただし、fts=1.4 ft-1.6 ................................................... (5.50)

ここに、 :ボルトに作用するせん断応力(kN/cm2)

=1.130

0.75=

A

Q=0.664 kN/cm2

:ボルトに作用する引張応力(σ=Rb/A)(kN/cm2)

=1.130

4.125=

A

Rb=3.650 kN/cm2 (Rb : Rb1、Rb2の大きい方の値)

fs :せん断のみを受けるボルトの許容せん断応力(表-5.65の値)

ft :引張のみを受けるボルトの許容引張応力(表-5.65の値)

fts :引張とせん断力を同時に受けるボルトの許容引張応力

ただし、fts≦ ft(=4.4 kN/cm2以下の時は fts=ftとなる。)

式(5.50)から、

fts=1.4×17.6-1.6×0.664=23.578 kN/cm2

したがって、

fts=23.578kN/cm2 >ft=17.6 kN/cm2

=3.650 kN/cm2<fts=17.6 kN/cm2

であるから、仮定した基礎ボルト(M12×4 本)は、十分安全である。

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253

第 6章 主原動機の設計

関連条項〔基準 9、運用 9-3〕

6.1 主原動機の選定

主原動機の選定は、基準 9、運用 9-3 によるが、電動機と内燃機関の一般的な比較を表-6.1に示

す。

表-6.1 電動機と内燃機関の比較

区分 電 動 機 内 燃 機 関

ディーゼル機関 ガスタービン

利点

① 送電所が近く、供給電圧が電動機

要求電圧と合致する場合、イニシャ

ルコストは少なくてすむ。 ② 操作が簡単である。 ③ 構築物に対する荷重が少なく、振

動の少ない円滑な運転が行われる。 ④ 保守管理が容易である。

① 停電時に操作が中断され

る心配がない。 ② 運転頻度の少ない機場に

おいては電力料金(特に基本

料金)の節約ができる。

① 冷却水が不要である。 ② 運転頻度の少ない機場に

おいては電力料金(特に基本

料金)の節約ができる。 ③ 振動の少ない円滑な運転

ができる。

欠点

① 買電の場合、受電経路の断絶、発

電所、変電所等の事故があった場

合、ポンプ自体の能力をはなはだし

く減退させる。 ② 買電の場合、運転頻度の少ないも

のに対しては契約電力(特に基本料

金)の関係上ランニングコストが大

きくなる。

① 構築物に対する荷重が大

きい。 ② 休止期間中にも、定期的に

保守運転を行う必要がある。 ③ 保守管理が面倒であるが、

保守点検・整備は殆ど現地で

実施可能である。 ④ 制御用直流電源が必要で

ある。

① 出力別機種が少ない。 ② 排気用ダクトが大きく、そ

のスペースが必要である。 ③ 燃料消費率が大きい。 ④ 休止期間中にも、定期的に

保守運転を行う必要がある。 ⑤ 主要な点検・整備は工場に

持ち込む必要があり、保守管

理が比較的面倒である。 ⑥ 制御用直流電源が必要で

ある。

主原動機の選定においては、ポンプ場の立地条件、主ポンプの運転状況、信頼性、管理費等の条

件を勘案し、比較検討の上で も経済的な方式を選定する。なお、電源の故障に備え、電動機と内

燃機関を併用することも考慮する必要がある。

6.1.1 主原動機の種類

6.1.1.1 主ポンプ用電動機

電動機の概要及び一般的な機能等を示す。

設計に当たっては「電気設備計画設計技術指針(高低圧編)」を参照のこと。

電動機の種類を大別すれば、三相誘導電動機、同期電動機、直流電動機、交流整流子電動機とな

り、これらの電動機のうちで主ポンプ駆動用電動機としては、三相誘導電動機は構造が簡単、取扱

いが容易、価格が安価等の利点から も多く用いられている。三相誘導電動機の中にはかご形誘導

電動機と巻線形誘導電動機がある。かご形誘導電動機は小容量から大容量まで広く適用されている

が、大容量になると、始動電流の関係から巻線形誘導電動機も多く使用されており、詳細は電力会

社との協議により決定する。

なお、かご形誘導電動機と巻線形誘導電動機の一般的な比較を、表-6.2に示す。

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254

技 術 書・ポ ン プ 場

表-6.2 かご形誘導電動機と巻線形誘導電動機の比較

かご形誘導電動機

巻線形誘導電動機 トップランナーモータ 標準型

構 造 簡単、堅牢である。 やや複雑である。

保 守 故障少なく、簡単である。 スリップリング、ブラシがあり、やや複雑

である。

始動電流 大(600~900〔%〕) 大(500~800〔%〕) 小(100~150〔%〕)

始動トルク 70~150〔%〕 100~150〔%〕

始動方式 直入れ又は減電圧始動 二次抵抗始動注)

回転速度制御方式 インバータ制御(VVVF) 制御用抵抗器注)又は静止セルビウス

適 用

① 構造簡単、保守簡単、安価などの点から小容

量から大容量まで広く適用されている。 ② トップランナーモータは、 JIS C4213 にお

ける、極数が 2P~6P、出力が 0.75kW~375kWの低圧電動機が対象となる。

① 始動電流を制限する必要のある場合。 ② 回転速度制御を制御用抵抗器又は静止

セルビウスで行う場合。 ③ はずみ車効果(GD2)の大きい負荷、始

動頻度が高くかご形では対応できない負

荷の場合。

注) 電動機の始動方式及び回転速度制御方式の抵抗器には金属抵抗器と液体抵抗器がある。回転速度制御方式の抵抗器は、無段階

での制御が可能であることと発熱量を抑えきれることから、一般的には液体抵抗器が使用される。

(1) 電動機の選定

電動機の選定に当たっては、次の事項を検討する必要がある。

① 負荷から要求される特性や保守の難易性等に対し適しているか。

② 電源容量との関係で始動方式は妥当であるか。電圧降下は発生しないか。

③ 電動機容量に対する電圧は、製作適用範囲、経済性等に対し妥当であるか。

④ 保護方式、冷却方式が使用環境に適合しているか。

(2) 電動機の保護・冷却方式

三相誘導電動機の保護・冷却方式は、開放防滴保護形、全閉外扇形、全閉内冷形等がある。

詳細は、JIS C 4034 に記載されているが、各方式の特徴はおおむね次のとおりである。

① 開放防滴保護形は、外気が内部に侵入するため、塵芥やほこりが少なく、湿度が低く、換気

しやすい場所で使用される。ただし、騒音規制の厳しい場所や塩害のひどい地域には不向きで

ある。

② 全閉外扇形は、電動機本体外部の換気扇で自己冷却するもので、小容量から中・大容量まで

幅広い容量の電動機で用いられている。

③ 全閉内冷形は、外部からの供給水によって強制冷却するもので、音が小さく換気対策も容易

である。一般には大容量の電動機で使われている。

なお、かご形電動機では、全閉外扇形を標準とすることが増えている。

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255

第 6 章 主原動機の設計

(3) 電動機の始動方式

電動機の始動方式を、表-6.3 に示す。

表-6.3 電動機の始動方式

始 動 方 式 端子電圧 電源電圧

始動トルク

全電圧始動トルク 始動電流

全電圧始動電流

直 入 れ (全電圧始動)

1.0 1.0

(70~150%)

1.0

(500~900%)

- 始 動 オープン回路 クローズド回路

0.577(=1/√3) 0.577(=1/√3)

0.333 0.333

0.667 0.333

リアクトル始動 80% タップ 65% タップ 50% タップ

0.80 0.65 0.50

0.64 0.42 0.25

0.80 0.65 0.50

コンドルファ始動 80% タップ 65% タップ 50% タップ

0.80 0.65 0.50

0.64 0.42 0.25

0.64 0.42 0.25

特殊コンドルファ始動 50%→70% 2 段タップ

0.5→0.7 (0.25)→0.49 0.25(発 電 機) 0.49(商用電源)

VVVF 始動 - 1.0 0.167

巻線形誘導

二 次 抵 抗 始 動 1.0 1.0 定格電流の 100%~150%

注 1) 本表の数値は、直入れ(全電圧始動)を 1.0 としたときの他の始動方式について比率で表している。 2) かご形誘導電動機の直入れ始動の場合の始動トルクは定格値の 70~150%、始動電流は定格値の 500~ 900%である。トップランナーモータの場合は、これらの確認が必要である。

3) タップ値はメーカー参考値である。

4) 特殊コンドルファ始動は、発電機の過渡時 大電圧降下による出力を低減させる目的で用いる始動方 式で、初期始動用 50%タップで始動し、加速用 70%タップに自動昇圧する。始動トルクは比率 0.49 と 考えて良いが、始動電流は、発電機の容量を決める際には 0.25、商用電源の変圧器容量を決める際に は 0.49 と考える必要がある。(一般社団法人日本内燃力発電設備協会 NEGA C201)

(4) トップランナーモータ

三相誘導電動機は、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(昭和 54 年 6 月 22 日法律第 49

号)」に基づくトップランナー制度の対象機器として、平成 27 年 4 月から、電動機製造事業者等が

加重平均で電動機効率の目標基準値を達成したものを出荷することが義務付けられている。適用範

囲は「JIS C4213 低圧三相かご形誘導電動機-低圧トップランナーモータ」による。

この目標基準値に適合する「トップランナーモータ」は、始動電流が 600%~900%と標準電動機

の 500%~800%と比べて大きくなるので、電気設備のシステムとしての保護協調(ブレーカー容

量・電圧降下・フリッカー、力率値等の再確認)が必要である。また、トップランナーモータは標

準電動機に比べて回転速度及び電動機寸法が大きくなるので、既設の電動機のみを更新する場合に

は、ポンプ軸動力の増大を考慮したインペラ外径の修正、電動機寸法を考慮した共通ベース・軸継

手の取替について検討する必要がある。

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256

技 術 書・ポ ン プ 場

〔参 考〕

1.電動機の種類と特徴

(1) かご形誘導電動機

番 号 名 称

1 固 定 子 鉄 心

2 固 定 子 巻 線

3 回 転 子 鉄 心

4 軸

5 軸 受

6 固 定 子 枠

① 構造が簡単、堅牢で取扱いが容易で、しかも安価であるので小容量から大容量まで も

多く用いられる。

② 保守が簡単である。

③ 始動時の損失が電動機内部にすべて発生するので、はずみ車効果の大きい負荷や高頻度

始動の用途には回転子の熱容量を大きくすることが必要である。

④ 始動電流が大きい(定格の 5~9 倍)ので、電圧降下が電磁接触器の離落あるいは外の

機器に対して悪影響を与えるので始動方式等の検討を要する。

⑤ 始動トルクが巻線形に比べて小さい。

⑥ 回転速度制御方式には各種の方式があるが、インバータ制御(VVVF)が多く用いられ

る。

⑦ 低負荷では力率が低いが、コンデンサを入れることにより改善できる。

(2) 巻線形誘導電動機

① 始動電流を制限する必要のある場合、回転速度制御を制御用抵抗器又は静止セルビウス

等の回転速度制御装置で行う場合、及びはずみ車効果(GD2)の大きい負荷、始動頻度が

高くかご形誘導電動機では対応できない負荷を運転する場合等に用いられる。

② 電動機の外部に始動抵抗器を接続し始動電流を制限(一般に定格電流の 100%~150%)す

ることができる。

③ 回転速度制御を行う場合、外部に回転速度制御用抵抗器を接続し、簡単に回転速度制御

ができる。この場合、抵抗器で発生する損失はすべて熱となり、効率の低下につながる。

番 号 名 称

1 固 定 子 鉄 心

2 固 定 子 巻 線

3 回 転 子 巻 線

4 回 転 子 鉄 心

5 軸

6 軸 受

7 ブラシ及び保持器

8 スリップリング

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257

第 6 章 主原動機の設計

④ 効率よく回転速度制御する場合は、静止セルビウス方式が適している。

⑤ 始動完了後二次短絡運転を行う場合は、二次短絡及びブラシ引上装置(手動及び電動)

をもつブラシ引上装置付と、回転速度制御のため常時スリップリングとブラシが接続して

運転するブラシ引上装置なしの 2種類がある。

⑥ ブラシ引上装置なしで二次巻線を短絡して運転する場合は、外部回路で電磁接触器を用

いて短絡する。

⑦ スリップリング、ブラシがあり、保守が必要。

2.回転速度制御方式と特徴

回転速度制御方式には各種の方式があるが、現在多く用いられている回転速度制御方式と特徴

を、表-6.4に示す。

表-6.4 回転速度制御方式

回転速度 制御方式

二次抵抗制御 インバータ制御 静止セルビウス制御

主電動機 巻線形誘導電動機 かご形誘導電動機 巻線形誘導電動機

制御方法

① 巻線形誘導電動機の二次抵

抗値を調整して回転速度制御

する。 ② 二次抵抗器には制御をスム

ーズにするため液体抵抗器を

用いる。 ③ 操作方式は遠方及び自動制

御を行う関係上、電動操作と

する。(切替で手動が可能)

順逆変換共等価正弦 PWM 制

御にて出力電圧、周波数を可変

する。

① サイリスタインバータの点

弧角を調整して直流電圧を制

御し回転速度制御する。 ② 二次出力をサイリスタイン

バータにより電源周波数の交

流に変換する。

出力範囲 実用的には 75kW 程度以上で

ある。 特に制限はない。 特に制限はない。

回転速度 制御範囲

60~100% (100%時=約 0.94 同期速度)

10~100% (100%時=約 0.95 同期速度)

50~100% (100%時=約 0.95 同期速度)

特 徴

① 電動機の保守が面倒であ

る。 ② 設置スペースは小さい。 ③ 設置が簡単で手軽に使用で

きる。 ④ 二次電力をすべて二次抵抗

で熱として放出するので効率

が悪い。 ⑤ 金属抵抗器では無段階制御

ができないので、採用に当た

っては注意が必要である。 ⑥ 液体抵抗器は温度によって

二次抵抗が変わるので、十分

な冷却が必要である。

① 電動機の保守が容易であ

る。 ② 設置スペースは静止セルビ

ウスより小さい。 ③ 商用電源周波数に関係なく

広範囲の無段階回転速度制御

ができる。 ④ 全回転速度領域で高効率の

運転ができる。 ⑤ 1 次電源側への高調波の影

響が有るので対策が必要であ

る。

① 電動機の保守が面倒であ

る。 ② 設置スペースが大きい。 ③ 無段階回転速度制御ができ

る。 ④ 高精度の回転速度制御がで

きる。 ⑤ 全回転速度領域で高効率で

ある。 ⑥ 力率が悪い。 ⑦ 回転速度範囲が狭くなるに

つれて装置は小形となる。 ⑧ 1 次電源側への高調波の影

響があるので対策が必要であ

る。

注)1) 回転速度制御範囲において「100%時=約 0.94 同期速度」等の意味は、100%の場合においても電動機同期速度に

対して約 94%の回転速度であることを示す。なお、原動機回転速度の制御範囲は、ポンプ吐出量の制御範囲とは異な

るので注意すること。

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技 術 書・ポ ン プ 場

3.高調波対策

電動機の回転速度制御方式としてインバータ制御や静止セルビウス制御を採用する場合は、高

調波が発生して系統に接続された各機器に悪影響を及ぼすことがあるため、十分な対策が必要で

ある。

1)高調波対策に関する指針等

高圧需要設備に関しては、「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドラ

イン(経済産業省)」に具体的な規制値が示されており、発生次数毎に所定のレベルまで高調波

を抑制することが要求されている。

低圧需要設備や自家発電設備を電源とする設備では、このような具体的規制はない。(電気・

電子機器(家電・汎用品)に適用される「家電・汎用品高調波抑制対策ガイドライン(経済産

業省)」においても、低圧需要設備における具体的な許容レベルは定められていない。)

2)高調波による影響

高調波による影響として、次のようなものがある。

・電力コンデンサの過熱・劣化・振動

・電動機巻線の過熱・絶縁破壊

・変圧器の過熱・磁気歪振動・効率低下

・許容等価逆相容量(PG4)による発電機定格の増大(PG4 の求め方については、電気設備

計画設計技術指針(高低圧編)参照。)

3)代表的な対策方法

高調波対策の代表的な方法と特長を表-6.5に示す。

高調波抑制対策機器は製作コスト、設置コスト、運用コストともに高くなる場合が多いので、

回転速度制御方式の適用を検討する際には高調波対策に係る費用も考慮する必要がある。

表-6.5 代表的な高調波対策方法

発生器側での対策 フィルタによる対策

PWM 等価正弦波制御方式の

VVVF 装置 LC フィルタ アクティブフィルタ

回路構成

高調波抑制効果 優れている 劣る 並 単独で使用する場合

の発電機定格 PG1 PG4 PG1

構成 発生毎に 1台必要 発生源毎に 1 式(次数毎)

必要 主幹電源に対し 1台必要

1 台当たりの価格 並 安価 高価

適用 発生源の数が少ない場合に 経済的

単独で用いられることは少 ない

発生源の数が多い場合に 経済的

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第 6 章 主原動機の設計

6.1.2 主ポンプ用内燃機関

内燃機関としては、図-6.1のように、ディーゼル機関とガスタービンに分類される。

主ポンプ駆動用としては、保守管理性、信頼性の面で実績の多いディーゼル機関が一般に使用さ

れるが、機関出力、設置スペース、経済性やポンプ場付近の環境基準等によっては、ガスタービン

が使用されることもある。

ディーゼル機関は水冷式と空冷式に大別される。空冷式(出力 270 kW 程度まで)、機付ラジエー

タ方式(出力 400 kW 程度まで)は給水系統設備の簡素化が可能となる。出力が 400 kW を超える場

合には、給水系統設備の簡素化が見込めないが、節水に効果のある方式として、別置ラジエータ方

式、管内クーラ方式、槽内クーラ方式、クーリングタワー方式がある。

内燃機関の選定に当たっては、機能、信頼性、補機設備・減速機・土木、建築費等を含めた経済

性、保守管理性等の面より総合的に検討する必要がある。

ディーゼル機関とガスタービンの比較を、表-6.6に示す。

内燃機関

ディーゼル機関

水冷式

空冷式

ガスタービン

立 軸

横 軸

直接冷却

間接冷却

クーリングタワー方式

別置ラジエータ方式

管内クーラ方式

二次冷却方式 立 型

L 型

横 型

槽内クーラ方式

清水循環方式

機付ラジエータ方式

図-6.1 内燃機関の分類

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技 術 書・ポ ン プ 場

表-6.6 ディーゼル機関とガスタービンの比較

内燃機関の種類 項 目

ディーゼル機関 ガスタービン

補 機 設 備

① 冷却に関連した各種補機設備が必要である。

② ガスタービンに比べ関連する補機設備が多い。

③ 始動装置(空気槽、直流電源装置等)容量が小さい。

① 冷却水が不要となることにより、補機設備が簡素化される。

② 燃料貯油槽の容量がディーゼル機関に比べ大となる。(燃料消費率が大きい)

③ 始動装置(空気槽、直流電源装置等)容量が大きい。

始動性・操作性

① 関連する補機設備が多く、操作はやや複雑である。

② ねじり振動の制約より回転速度制御時には注意を要する。

③ 高過給機の場合、始動トルクが出力に比し小さくなることがあるので注意を要する。

① ディーゼル機関に比べ始動性が良い。 ② 制御は複雑であるが、ディーゼル機関に比べて操作は簡単である。

建 屋 ・ 基 礎

本体荷重及び動荷重が大きいのでそれに見合う強固な土木基礎が必要である。

① 機器荷重及び動荷重が小さい。 ② ディーゼル機関に比べ排気量、発生熱量が大となるので、大きな排気消音器、ダクトのスペースと大型の換気設備を考慮する必要がある。

振 動 ・ 騒 音

① 往復動内燃機関のため振動や騒音が大きい。

② 周囲の環境によっては建屋側での十分な考慮が必要となる。(空冷式の騒音はパッケージ化により比較的容易に対応できる)

① 回転機械なので振動は小さい。 ② 本体発生音は大きいが高周波音域であるためパッケージ化により比較的容易に対応できる。

燃料・排気ガス

① A 重油 ② ガスタービンに比べ NOx 値が高い。 ③ 排気温度はガスタービンより低い。

① 灯油、軽油、A 重油が可能であるが、維持管理や環境を考慮して選定する。

② ディーゼル機関に比べ NOX・SOXやばい塵量の低減が図れる。

③ 排気ガス量はディーゼル機関より多い。

保 守 管 理 性

① 点検個所はガスタービンより多いが、点検整備はほとんど現地で可能である。(水冷式)

点検整備は専門業者による対応となる(空冷式)。

② 寒冷地では凍結防止等の対策が必要である。

③ 無負荷運転は短時間しかできない。

① 構造が簡単なため、部品点数も少なく点検個所も少ないが、主要部の分解整備時は工場へ持込む必要がある。

② 通常の日点検、月点検では点検する箇所は少ない。

③ 軽負荷運転が可能である。

危 機 対 応

① 専門業者による緊急修繕対応が可能である。(水冷式)

製造業者以外の緊急修繕が困難である(空冷式)。

② 老朽化でなければ安定した部品供給が可能である。(水冷式)

国内で調達できない部品もあり、緊急時の部品供給が困難である(空冷式)。

① 製造業者以外の緊急修繕対応が困難である。

② 国内で調達できない部品を使用した機種があり、緊急時の部品供給が困難である。

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第 6章 主原動機の設計

〔参 考〕

1.空冷ディーゼル機関

空冷ディーゼル機関は、冷却水は不要で、ブロワで送られる空気により、エンジンを直接冷却

するもので概念図を、図-6.2 に示す。

なお、空冷ディーゼル機関は出力 270kW 程度まである。

2.ガスタービンの分類

ガスタービンは出力軸の方向により立軸、横軸に分類され、立軸はさらに立型、L型、横型に

区分される。

ガスタービンの分類を表-6.7 に、概念図を表-6.8に示す。

表-6.7 ガスタービンの分類

表-6.8 ガスタービンの概念図

立軸ガスタービン 横軸ガスタービン

立型ガスタービン L型ガスタービン 横型ガスタービン 横型ガスタービン

注 1) GT:ガスタービン(GG:ガス発生機、PT:出力タービン) G:減速機 P:ポンプ 2) 大出力ガスタービンに関しては減速機を内蔵しない場合もある。

ガスタービンの 形式

原動機としての 出力軸方向

ガスタービンの種類 軸の構成と方向

ガス発生機 出力タービン

立軸ガスタービン 立方向

立型ガスタービン 立方向 立方向

L型ガスタービン 横方向 立方向

横型ガスタービン 横方向 横方向

横軸ガスタービン 横方向 横型ガスタービン 横方向 横方向

空気

ブロワ

シリンダー 冷却フィン

図-6.2 直接冷却の概念図

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262

技 術 書・ポ ン プ 場

立軸ガスタービンは、横軸ガスタービンに比べ設備の設置面積を小さくすることができるが、

ガスタービン本体の比較だけでなく、設置高さ、給排気ダクトの配置、保守管理性や土木・建築

費の経済性等を検討し、形式を選定する。

立軸ガスタービンと横軸ガスタービンの比較を、表-6.9に示す。

表-6.9 立軸ガスタービンと横軸ガスタービンの比較

形 式 立軸ガスタービン 横軸ガスタービン

機器構成

設置面積 極小 小

高 さ 高い 低い

減 速 機 内蔵 別置

保 守 性 一床式の場合、パッケージ廻りに点検歩廊が

必要 床面からの保守が可能

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第 6 章 主原動機の設計

3.ディーゼル機関の冷却方式

水冷ディーゼル機関の冷却方式の比較を表-6.10に示す。

表-6.10 水冷ディーゼル機関冷却方式の比較

項 目 冷却方式

機付ラジエータ 別置ラジエータ 管内クーラ、槽内クーラ クーリングタワー

適用単機出力 400kW 以下 2000kW 以下 2000kW 以下 2000kW 以下

系統機器区分 直属系統機器 直属系統機器 管内クーラは直属系統機

共通系統機器

(予備機設置)

冷却水

機関内不凍液のみで、定

期的に補充する

不凍液の温度が高いた

め、開放型の調圧水槽を

設置して、配管等の熱膨

張対策としているため、

蒸発分を補充する。

蒸発等による消費が も

少ない

蒸発と飛散で冷却水

量の 3%程度を見込

冷却水ポンプ

機付ポンプ 機付ポンプ

(揚程が不足する場合は

電動ポンプを設置)

機付ポンプ

(揚程が不足する場合は

電動ポンプを設置)

機付きポンプ(電動ポ

ンプが必要になるケ

ースが多い)

ファン動力 機関本体取出し 電動ファン 不要 電動ファン

二次冷却方式から

の改造の留意点

ダクト設置スペース

室内の換気風量

屋外の設置スペース

騒音対策

主配管、水槽内の設置ス

ペース、搬出入方法

屋外の設置スペース

対策騒音

注 1)適用単機出力が 2000kW を超える場合は、二次冷却方式の採用を検討する。

2)二次冷却方式から改造する場合は、設置スペース、騒音、換気風量等に留意する。

4.内燃機関の付属装置

(1) 始動装置

ディーゼル機関の始動方式は、分配弁方式、エアモータによる方式及びセルモータによる方

式がある。

分配弁方式は、着火前でも比較的大きい始動トルクが発生し、従来は中・大型機関に採用さ

れてポンプの直結始動が可能なものもあったが、近年は高過給化により始動トルクが小さくな

る傾向にあるため、クラッチ付の要否を検討する必要がある。

エアモータ方式やセルモータ方式は、始動トルクが小さいため、クラッチ等(遠心クラッチ、

油圧クラッチ、流体継手)を設置して無負荷始動とする必要がある。

また更新する場合は、機種により回転方向が固定化されているため、注意が必要である。

ガスタービンの始動方式は、セルモータによる方式とエアモータによる方式があるが、後者

は、空気槽の容量がディーゼル機関の場合に比べて5~6倍程度大きいものを必要とするので、

前者を採用しているのが一般的である。

ガスタービンの軸形式は一軸式と二軸式に分けられるが、一軸式にはクラッチを設ける必要

がある。

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264

技 術 書・ポ ン プ 場

(2) 排気装置

内燃機関から発生する騒音には、排気管から大気中に放出される排気音と、機関の運動部分

の振動や燃焼音等によって生ずる機関自体の機械音とがある。これらの騒音は、騒音規制法等

により規制される。

ポンプ場における騒音対策は主として排気音であり、これを減衰させる有効な方法は、排気

系統中に消音器を設備することである。消音器には低周波音に効果のある容積型、高周波音に

効果のある吸音型に分けられるが、消音量に応じて使い分けることが望ましい。特に消音量が

大きいときは、容積型と吸音型を直列に組合せると有効である。

また、ポンプ場における主ポンプ及び自家用発電機の駆動用原動機として用いる内燃機関は、

大気汚染防止法に基づき、「ばい煙発生施設の設置の届出」等の規定を遵守する必要がある。

(大気汚染防止法の対象となるばい煙発生施設:燃料消費量 50L/h 以上の内燃機関が該当)

(3) 寒冷地における留意事項

ディーゼル機関の性能を十分発揮させるためには、機関の冷却水温度は適切な高さに保つ必

要がある。冷却水温度が極端に低い場合、機関が過冷却状態となり機関の始動性に影響するほ

か、過冷却状態が長く続くと、クランク室内の結露により潤滑油が劣化し機関を損傷する可能

性もある。

寒冷地における留意事項には次のようなものがあるが、室温・水温等により十分検討して選

定する必要がある。

① 機関の吸気管やジャケットに赤外線ランプ等を使用して照射する。

② 機関のジャケットを保温するため温水循環(ヒータ+温水循環ポンプ)とする。

③ 冷却水槽にヒータを取付け、機関及び潤滑油槽内にその温水を通す温水循環とする。

(4) 初期潤滑油ポンプ

一般に水冷のディーゼル機関では、機関の始動前に潤滑油を行き渡らせるための初期潤滑油

ポンプが必要となる。(機種により不用となる場合があるので確認が必要。)

なお、空冷ディーゼル機関は、潤滑油管路が短く非常に短時間で油圧が立ち上がるため、初

期潤滑油ポンプが不要である。

初期潤滑油ポンプの電動機容量(目安)を、表-6.11に示す。

表-6.11 ディーゼル機関の初期潤滑油ポンプ電動機容量(目安)

機関出力(kW) 電動機容量(kW)

~ 300 0.4 ~ 0.75

300 ~ 600 0.75 ~ 1.5

600 ~ 900 1.5 ~ 2.2

900 ~ 2000 1.5 ~ 3.7

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265

第 6 章 主原動機の設計

6.2 主原動機の回転速度及び出力

6.2.1 主原動機の回転速度

6.2.1.1 電動機の回転速度

電動機の回転速度は、基準の運用「9.3 主原動機の設計」に記述のとおり、動力伝達装置を考慮

する場合は減速比を加味し回転速度を決めるが、主ポンプと直結する電動機の回転速度は、下記の

条件を満足するように決める。

Nm ≦ N

ここに、Nm:電動機実回転速度(min-1)

誘導電動機回転速度=同期速度-スリップ

同期電動機回転速度=同期速度

同期速度=数極

×120 電源周波数

N :「5.5.3 主ポンプの据付高さと回転速度」により求められた主ポンプの回転速度(min-1)

誘導電動機実回転速度の参考を、表-6.12に示す。

表-6.12 誘導電動機実回転速度(min-1)

極数 50Hz 60Hz

4 1,450(1,465) 1,750(1,765)

6 970(985) 1,160(1,175)

8 730 880

10 580 700

12 485 580

14 415 500

16 360 435

18 325 390

20 290 350

注) 上表の実回転速度は誘導電動機のスリップを約 3%程度見込んで決定

したものであり、( )書きはトップランナーモータの値である。この値

は誘導電動機の特性により多少変化する。

6.2.1.2 内燃機関の回転速度

内燃機関の回転速度はポンプ室床版荷重、ポンプ室スペース、減速機の減速比、騒音、振動、回

転不整率、動力伝達系の危険速度、クラッチの容量等に直接、間接に影響するので、経済性の点も

含めて、表-6.13に示す範囲で十分検討して決定する。

表-6.13 内燃機関の回転速度

内燃機関の種類 定 格 出 力 定格回転速度

ディーゼル機関

588kW 以下 1,800min-1以下

588kW 超~1,397kW 以下 1,200min-1以下

1,397kW 超 1,000min-1以下

ガスタービン 立軸 3,000kW 以下 ポンプ回転速度

横軸 3,000kW 以下 1,800min-1以下

注 1) 1,800min-1の高速ディーゼル機関の場合、クラッチがないと始動できないものがあるので注意する必要がある。 2) 3,000kW 超のガスタービンの定格回転速度は、個別に検討する。

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技 術 書・ポ ン プ 場

6.2.2 主原動機の出力

主原動機の出力は、式(6.1)により算出される。

P= ・(1+R)= ・(1+R) .............................. (6.1)

ここに、P :主原動機の出力(kW)

:密度(水の単位体積当り質量)、常温清水の場合は 1,000(kg/m3)

g :重力の加速度(9.8m/s2)

Q :主ポンプの吐出し量(m3/min)

H :主ポンプの全揚程(m)

p :主ポンプの効率(表-6.14~表-6.23による)

g :減速機伝達効率(表-6.24による)

R :主原動機の余裕係数(%)×100

1

主原動機出力は、主ポンプの運転範囲内で過負荷が生じないよう余裕を見込む必要がある。ポン

プの軸動力は運転点により異なるので運転範囲内の軸動力の大きい点で過負荷を起こさないよう、

その点の軸動力に対して電動機の場合 5%以上、内燃機関の場合 10%以上の余裕をとる。さらに、

設計点の軸動力に対して、電動機の場合 10%、内燃機関の場合 15%の余裕をとる。

主原動機出力の選定は、前述で算出した値のいずれか大きい方の値で決定する。

なお、主ポンプの運転範囲が概定の場合の主原動機出力の選定は、「5.4.3.1 主ポンプの特性」を

もとに決定する。

ただし、内燃機関の場合の出力算出における大気条件は、下記 の標準大気条件注)としている。こ

の条件と異なる場合は、ディーゼル機関の場合「往復動内燃機関-性能」(JIS B 8002)、ガスタービン

の場合「ガスタービン-受渡試験方法」(JIS B 8041)により出力補正をしなければならない。

注) 標準大気条件

大気圧(Pr)100kPa 相対湿度( r):30% 大気温度(Tr):298K(25℃)

・g・Q・H

60×1,000・p・g p・g 0.163・Q・H

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267

第 6 章 主原動機の設計

6.2.2.1 主ポンプの効率

主ポンプの効率は、表-6.14~23に示す値以上とする。

表-6.14 高揚程渦巻ポンプの効率(吸込口径 200mm 未満) 吐出し量(m3/min) 吸込口径(mm) 効率

0.30 50 0.470

0.45 65 0.510

0.70 80 0.540

1.10 100 0.570

1.70 125 0.600

3.00 150 0.640 注 1) 本表の効率を保証効率として取扱う場合の保証条件は、JIS B 8301 による。

2) 中間水量における効率を求める場合は、下記を参考に計算する。 (例)吐出し量 1.50m3/min における効率

1.10-1.70

0.570-0.600×(1.50-1.10)+0.570=0.5900

したがって、効率は 0.590 とする。

表-6.15 高揚程渦巻ポンプの効率(吸込口径 200mm 以上)

吐出し量(m3/min) 吸込口径(mm)

効 率

単 段 渦 巻 ポ ン プ 多段渦巻ポンプ

Ns Ns

160 250 400 630 150~250 程度

4.0 200 0.750 0.760 0.760 0.750 0.690

6.3 250 0.770 0.780 0.780 0.770 0.720

10 300 0.790 0.800 0.800 0.790 0.750

16 350 0.810 0.820 0.820 0.810 0.790

20 400 0.815 0.825 0.825 0.815 0.795

25 450 0.825 0.835 0.835 0.825 0.805

32 500 0.830 0.840 0.840 0.830 0.810

40 600 0.840 0.850 0.850 0.840 0.820

63 700 0.850 0.860 0.860 0.850 0.830

85 800 0.855 0.865 0.865 0.855 ―

100 900 0.860 0.870 0.870 0.860 ―

130 1,000 0.860 0.870 0.870 0.860 ―

160 1,200 0.865 0.875 0.875 0.865 ―

注 1) 本表の効率を保証効率として取扱う場合の保証条件は、JIS B 8301 による。

2) Ns は「5.5 主ポンプの据付高さと回転速度」の式(5.32)で求めた値とする。

3) 多段渦巻ポンプで Ns=150~250 の範囲を外れる場合は別途確認をすること。

4) 中間水量における効率を求める場合は、下記を参考に計算する。

(例)吐出し量 18.0m3/min、Ns=200 における効率

① Ns=160 の場合の計算

16-20

0.810-0.815×(18-16)+0.810=0.8125

② Ns=250 の場合の計算

16-20

0.820-0.825×(18-16)+0.820=0.8225

③ Ns=200 の場合の計算

160-250

0.812-0.822×(200-160)+0.812=0.8164

したがって、効率は 0.816 とする。

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268

技 術 書・ポ ン プ 場

表-6.16 高揚程立軸斜流ポンプの効率

吐出し量(m3/min) 吐出口径(mm) 効率 8 超~ 12 以下 300 0.690 12 超~ 18 以下 350 0.710 18 超~ 23 以下 400 0.730 23 超~ 28 以下 450 0.750 28 超~ 36 以下 500 0.760 36 超~ 50 以下 600 0.790 50 超~ 70 以下 700 0.800 70 超~ 90 以下 800 0.810 90 超~115 以下 900 0.820

注 1) 本表の効率を保証効率として取扱う場合の保証条件は、JIS B 8301 による。 2) 本表の効率は据付床面から吸込ベル先端まで 4m 以下の条件で示してある。こ

れを超える場合は、0.01 減じた値とする。

表-6.17 低揚程横軸軸流ポンプの効率

吐出し量(m3/min) Ⅰ型 Ⅱ型 全揚程が 2.5m 以下 全揚程が 2.5m 超

12 超~ 23 以下 0.720 0.680 0.690 23 超~ 36 以下 0.770 0.730 0.740 36 超~ 50 以下 0.780 0.740 0.750 50 超~ 70 以下 0.790 0.750 0.760 70 超~ 90 以下 0.800 0.760 0.770 90 超~115 以下 0.810 0.770 0.780 115 超~150 以下 0.820 0.780 0.790 150 超~200 以下 0.830 0.790 0.800 200 超~255 以下 0.835 0.795 0.805 255 超~325 以下 0.840 0.800 0.810 325 超~400 以下 0.845 0.805 0.815 400 超~480 以下 0.850 0.810 0.820 480 超~600 以下 0.850 0.810 0.820

注 1) 上記の効率は、Ⅰ型は Ns=1,500 の場合であり、Ⅱ型は Ns=2,000 の場合である。 2) 全揚程が 2.5m 以下の場合は、「5.4.4.1〔参考〕主ポンプ選定上の注意」を参照のこと。 3) 本表の効率を保証効率として取扱う場合の保証条件は、JIS B 8301 による。

表-6.18 低揚程横軸斜流ポンプの効率

吐出し量(m3/min) Ⅰ型 Ⅱ型 全揚程が 3.2m 以下 全揚程が 3.2m 超

12 超~ 23 以下 0.740 0.710 0.720

23 超~ 36 以下 0.790 0.760 0.770

36 超~ 50 以下 0.800 0.770 0.780

50 超~ 70 以下 0.810 0.780 0.790

70 超~ 90 以下 0.820 0.790 0.800

90 超~115 以下 0.830 0.800 0.810

115 超~150 以下 0.840 0.810 0.820

150 超~200 以下 0.850 0.820 0.830

200 超~255 以下 0.855 0.825 0.835

255 超~325 以下 0.860 0.830 0.840

325 超~400 以下 0.865 0.835 0.845

400 超~480 以下 0.870 0.840 0.850

480 超~600 以下 0.870 0.840 0.850

注 1) 上記の効率は、Ⅰ型は Ns=900 の場合であり、Ⅱ型は Ns=1,300 の場合である。 2) 全揚程が 3.2m 以下の場合は、「5.4.4.1〔参考〕主ポンプ選定上の注意」を参照のこと。 3) 本表の効率を保証効率として取扱う場合の保証条件は、JIS B 8301 による。

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269

第 6 章 主原動機の設計

表-6.19 低揚程立軸軸流ポンプの効率

吐出し量(m3/min) Ⅰ型 Ⅱ型 Ⅲ型

全揚程が 2.5m 以下 全揚程が 2.5m 超 12 超~ 23 以下 0.710 0.630 0.640 0.670

23 超~ 36 以下 0.760 0.680 0.690 0.720

36 超~ 50 以下 0.770 0.690 0.700 0.730

50 超~ 70 以下 0.780 0.700 0.710 0.740

70 超~ 90 以下 0.790 0.710 0.720 0.750

90 超~115 以下 0.800 0.720 0.730 0.760

115 超~150 以下 0.810 0.730 0.740 0.770

150 超~200 以下 0.820 0.740 0.750 0.780

200 超~255 以下 0.825 0.745 0.755 0.785

255 超~325 以下 0.830 0.750 0.760 0.790

325 超~400 以下 0.835 0.755 0.765 0.795

400 超~480 以下 0.840 0.760 0.770 0.800

480 超~600 以下 0.840 0.760 0.770 0.800 注 1) 上記の効率は、Ⅰ型・Ⅲ型は Ns=1,500 の場合であり、Ⅱ型は Ns=2,000 の場合である。

2) 本表の効率は、据付床面から吸込ベル先端まで 4m(吐出し量 400~600m3/min のポンプでは 4.5m)以下の条件で示し

てある。これを越える場合は、0.01 減じた値とする。 3) 全揚程が 2.5m 以下の場合は、「5.4.4.1〔参考〕主ポンプ選定上の注意」を参照のこと。

4) 本表の効率を保証効率として取扱う場合の保証条件は、JIS B 8301 による。

表-6.20 低揚程立軸斜流ポンプの効率

吐出し量(m3/min) Ⅰ型 Ⅱ型 Ⅲ型

全揚程が 3.2m 以下 全揚程が 3.2m 超 12 超~ 23 以下 0.730 0.680 0.690 0.710 23 超~ 36 以下 0.780 0.730 0.740 0.760 36 超~ 50 以下 0.790 0.740 0.750 0.770 50 超~ 70 以下 0.800 0.750 0.760 0.780 70 超~ 90 以下 0.810 0.760 0.770 0.790 90 超~115 以下 0.820 0.770 0.780 0.800 115 超~150 以下 0.830 0.780 0.790 0.810 150 超~200 以下 0.840 0.790 0.800 0.820 200 超~255 以下 0.845 0.795 0.805 0.825 255 超~325 以下 0.850 0.800 0.810 0.830 325 超~400 以下 0.855 0.805 0.815 0.835 400 超~480 以下 0.860 0.810 0.820 0.840 480 超~600 以下 0.860 0.810 0.820 0.840 注 1) 上記の効率は、Ⅰ型・Ⅲ型は Ns=900 の場合であり、Ⅱ型は Ns=1,300 の場合である。

2) 本表の効率は、据付床面から吸込ベル先端まで 4m(吐出し量 400~600m3/min のポンプでは 4.5m)以下の条件で示して

ある。これを越える場合は、0.01 減じた値とする。 3) 全揚程が 3.2m 以下の場合は、「5.4.4.1〔参考〕主ポンプ選定上の注意」を参照のこと。 4) 本表の効率を保証効率として取扱う場合の保証条件は、JIS B 8301 による。

表-6.21 大容量立軸ポンプの効率

吐出し量(m3/min) 立軸軸流(Ⅰ型) 立軸斜流(Ⅰ型) 600 超~ 740 以下 0.815 0.840 740 超~ 850 以下 0.815 0.840 850 超~1,000 以下 0.820 0.845

1,000 超~1,150 以下 0.820 0.845 注 1) 上記の効率は、軸流は Ns=1,500 の場合であり、斜流は Ns=900 の場合である。

2) 本表の効率を保証効率として取扱う場合の保証条件は、JIS B 8301 による。 3) JIS B 8327 2002 模型によるポンプ性能試験方法の改正により、効率の換算式が

変わり、ポンプ効率を見直しした。

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技 術 書・ポ ン プ 場

注) ポンプ効率の範囲は、Ⓧ-Ⓨ間とする。

図-6.3 立軸ポンプ効率範囲(吐出し量:600m3/min以下)

注1) ポンプ効率の範囲はⓍ-Ⓨの間とし、ポンプの性能は同一範囲での模型試験にて確認する。

2) Ds、Db寸法は、表-5.52及び表-5.53による。

図-6.4 立軸ポンプ効率範囲(吐出し量:600m3/min超)

X

Y

X

Ds Db

Y

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271

第 6 章 主原動機の設計

〔参 考〕チューブラポンプのポンプ効率は、表-6.22、6.23を参考とする。

表-6.22 軸流チューブラポンプの効率

吐出し量(m3/min) Ⅰ型 Ⅱ型

全揚程が 2.5m 以下 全揚程が 2.5m 超 36 超~ 50 以下 0.780 0.700 0.710

50 超~ 70 以下 0.790 0.710 0.720

70 超~ 90 以下 0.800 0.720 0.730

90 超~115 以下 0.810 0.730 0.740

115 超~150 以下 0.820 0.740 0.750

150 超~200 以下 0.830 0.750 0.760

200 超~255 以下 0.835 0.755 0.765

255 超~325 以下 0.840 0.760 0.770

325 超~400 以下 0.845 0.765 0.775

400 超~480 以下 0.850 0.770 0.780

480 超~600 以下 0.850 0.770 0.780 注 1) 上記の効率は、Ⅰ型は Ns=1,500 の場合であり、Ⅱ型は Ns=2,000 の場合である。

2) 全揚程が 2.5m 以下の場合は、「5.4.4.1〔参考〕主ポンプ選定上の注意」を参照のこと。 3) 本表の効率を保証効率として取扱う場合の保証条件は、JIS B 8301 による。

表-6.23 斜流チューブラポンプの効率

吐出し量(m3/min) Ⅰ型 Ⅱ型

全揚程が 3.2m 以下 全揚程が 3.2m 超 36 超~ 50 以下 0.800 0.750 0.760

50 超~ 70 以下 0.810 0.760 0.770

70 超~ 90 以下 0.820 0.770 0.780

90 超~115 以下 0.830 0.780 0.790

115 超~150 以下 0.840 0.790 0.800

150 超~200 以下 0.850 0.800 0.810

200 超~255 以下 0.855 0.805 0.815

255 超~325 以下 0.860 0.810 0.820

325 超~400 以下 0.865 0.815 0.825

400 超~480 以下 0.870 0.820 0.830

480 超~600 以下 0.870 0.820 0.830 注 1) 上記の効率は、Ⅰ型は Ns=900 の場合であり、Ⅱ型は Ns=1,300 の場合である。

2) 全揚程が 3.2m 以下の場合は、「5.4.4.1〔参考〕主ポンプ選定上の注意」を参照のこと。 3) 本表の効率を保証効率として取扱う場合の保証条件は、JIS B 8301 による。

6.2.2.2 減速機の伝達効率

減速機の伝達効率は、表-6.24に示す値以上とする。

表-6.24 減速機の伝達効率

主原動機出力 減速機の種類 75kW 未満

75kW 以上 ~220kW 未満 220kW 以上

直交軸傘歯車減速機(一段) 0.950 0.960 0.970

直交軸傘歯車減速機(二段) 0.930 0.940 0.950

平行軸歯車減速機(一段) 0.950 0.960 0.970

平行軸歯車減速機(二段) 0.930 0.940 0.950

遊星歯車減速機 0.950 0.960 0.975

注 1) 機付ファン空冷減速機の場合は、上表から 0.005 を減じた値とする。 2) 油圧クラッチ内蔵の場合は、上表に 0.98 を乗じた値とする。 3) 流体継手内蔵の場合は、上表に 0.96 を乗じた値とする。