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27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 1
平成23年度建築基準整備促進事業報告会
「27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討」
事業者:鹿島建設,清水建設,大成建設,竹中工務店
共同研究者:建築研究所,日本免震構造協会防災科学技術研究所
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 2
多数繰り返し加力実験に基づいて,実大免震部
材のエネルギー吸収性能を把握し、長周期地震動
に対する免震建築物の安全性向上に寄与すること。
調査の目的
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 3
(イ)多数繰返し荷重を受ける免震部材の構造実験
実大実験計画・実施(実大実験計画WG)(ロ)長周期地震動に対する免震建築物の応答評価
免震部材特性の評価(免震部材実験WG)建物応答評価(建物応答評価WG)
(ハ)免震建築物の地震観測
観測の実施・記録の分析(地震観測WG)(ニ)東日本大震災による免震建築物の挙動の
調査と反映項目の整理・検討
免震建物の挙動分析(地震観測WG)
調査の内容
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 4
調査の実施体制(1)
事業主体 管理技術者 担当業務
◎大成建設 長島一郎 全体調整・調査業務全般
鹿島建設 竹中康雄 調査業務全般
清水建設 中西啓二 調査業務全般
竹中工務店 山本雅史 調査業務全般
担当技術者 主な担当業務
◎大成建設 計8名 全体とりまとめ
実大免震部材実験・建物応答(天然ゴム系積層ゴム、弾性すべり支承、オイルダンパー)、実大実験計画
鹿島建設 計5名 免震部材実験、建物応答(鉛プラグ入り積層ゴム、鋼材ダンパー)、
建物挙動
清水建設 計4名 免震部材実験、建物応答(高減衰積層ゴム、鉛ダンパー)、
地震観測、建物挙動
竹中工務店 計3名 免震部材実験、建物応答(弾性すべり支承、粘性系ダンパー)、建物挙動
(社)日本免震構造協会内に委員会設置
(学識経験者、実務技術者により構成)調査計画、結果の検討・評価
◎幹事会社
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 5
調査の実施体制(2)
■有識者による委員会(日本免震構造協会)
本委員会(主査:北村春幸)
免震部材実験WG(主査:高山峯夫)
実大実験計画WG(主査:長島一郎)
建物応答評価WG(主査:古橋剛)
地震観測WG(主査:飯場正紀)
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 6
本日の報告内容
1.実大実験計画・実施
(実大実験計画WG)
2.免震部材特性評価/建物応答評価
(免震部材実験WG/建物応答評価WG)
3.地震観測・建物挙動分析
(地震観測WG)
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 7
1.実大実験計画・実施(1)
実大免震部材を用いて、長周期・長時間の揺れに対するエネルギー吸収性能を詳細に把握する。
■目的
■実施方針
多数回繰返し荷重を受ける免震部材の構造実験の実施
実大免震支承・オイルダンパーについて大型震動台(E-ディフェンス)を用いた実験詳細計画を作成し、手法の検証を兼ねた実験を実施する。
今年度試験体 ①弾性すべり支承(高摩擦)Φ800 動的繰返し試験, 地震波② オイルダンパー 1000kNタイプ 動的繰返し試験, 地震波③ 天然ゴム系積層ゴム Φ1000 静的繰返し試験
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 8
■加力装置
1.実大実験計画・実施(2)
・震動台と上部の反力梁間に支承を挟み、鉛直軸力を導入後,水平1方向、2方向に加力・ダンパーは受梁方向に加力
反力梁
支承 主梁
受梁
v
u
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 9
■加力精度
1.実大実験計画・実施(3)
・軸力導入時に、震動台を1/769傾斜させて支承面圧を均一化・水平加力時の震動台上下変位を、無負荷時に計測した逆位相波で補償加振した結果、変動軸力は10%程度以内
4000
4500
5000
5500
6000
2 3 4 5 6 7 8 9 10
支承軸力軸力 (kN)
(s)
-500
-250
0
250
500
2 3 4 5 6 7 8 9 10
水平加力波形 計測波形
目標波形
(s)
mmロードセル最大軸力
主梁方向±400mm加力時
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 10
■試験体1:弾性すべり支承(高摩擦)Φ800
1.実大実験計画・実施(4)
・多数回繰返し試験 周期4秒
50m×1セット:水平1方向50m×2セット:水平2方向
・地震応答波試験
:水平1・2方向
-400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400-1000
-800
-600
-400
-200
0
200
400
600
800
1000
変形 mm
荷重 kN
U方向
全体
滑り積層ゴム
・繰返しに伴って摩擦係数が低下0.147→0.062(長周期試験)
・セット間のインターバルでは摩擦係数が回復(上昇)
0 100 200 300 400 500 600 7000
50
100
150
200
250
時間 sec
温度 °
A1A2
A3
A4
A5A6
A7
A8A9
A10
A11
A12A13
すべり板の温度変化
0.00
0.05
0.10
0.15
0.20
0 100 1 107 2 107 3 107
Friction Coef. μ
Total Absorbed Energy ΣE(kN・mm)
摩擦係数の変化水平荷重ー変位関係
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 11
■試験体2:オイルダンパー 1000kNタイプ
1.実大実験計画・実施(5)
・多数回繰返し試験 周期4秒
限界試験:100m・大変形・大速度試験
±600mm, ± 150cm/s・地震応答波試験
・繰返しにより油温は上昇20℃→108℃ (限界試験)
・最大減衰力と吸収エネルギー量は4~5%程度低下(限界試験)
-400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400-1500
-1000
-500
0
500
1000
1500
変形 mm
荷重 kN
V方向
水平荷重ー変位関係
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 12
2.免震部材特性評価/建物応答評価(1)
長周期地震動に対する免震建物の安全性照査のクライテリア設定に向けて、現状の評価手法の検証と見直しを検討する。
■目的
■実施方針
長周期地震動に対する免震建築物の応答評価の実施
縮小,実大のエネルギー吸収性能の実験結果を踏まえて,免震部材特性の評価(モデル化)と建物応答評価を行う。
今年度ケース① 鉛プラグ入り積層ゴム② 高減衰積層ゴム③ 天然ゴム系積層ゴム+鋼材ダンパー④ 天然ゴム系積層ゴム+鉛ダンパー⑤ 天然ゴム系積層ゴム+弾性すべり支承(高摩擦)⑥ 天然ゴム系積層ゴム+弾性すべり支承(低摩擦)+粘性ダンパー(減衰こま)
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 13
2.免震部材特性評価/建物応答評価(2)
・上部構造を剛体モデルとした1質点モデル・免震層 標準条件
積層ゴムによる免震周期 4.0秒程度ダンパーの負担せん断力係数 3.0~3.5%免震支承毎に設定
■ 解析モデルと入力地震動
■入力地震動OSKH02 (大阪・此花 平均) 98 Gal, 38 cm/sAIC003(愛知・津島 平均) 199 Gal, 27 cm/sSZO024(静岡・浜松 平均) 577 Gal, 40 cm/sKGIN (東京・新宿 平均) 42 Gal, 22 cm/s
-300
-200
-100
0
100
200
300
0 100 200 300 400 500 600 700 800
Time(s)
Acc.(cm/s2)
0
50
100
150
200
250
300
350
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
周期(s)
VE(cm/s) OSKH02
AIC003
SZO024
KGIN
エネルギースペクトル
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 14
2.免震部材特性評価/建物応答評価(3)
・昨年度の実験結果を基にした詳細なモデル化をプログラムに反映
・多数回繰返し特性を考慮した長周期地震動に対する応答解析を実施し、繰返し依存性の考慮/非考慮による応答比較を行った。○鉛プラグ入り積層ゴム熱伝導解析と温度上昇による力学的特性変化
○高減衰積層ゴム積層ゴムの代表温度を指標として復元力特性を評価
○弾性すべり支承(高摩擦)摩擦係数の累積吸収エネルギー依存性を考慮
○弾性すべり支承(低摩擦)摩擦係数の累積変位と吸収エネルギー依存性を考慮
○鋼材ダンパーバイリニアとトリリニアモデルを比較
○鉛ダンパー振幅および繰返しによるエネルギー吸収量の考慮
○粘性ダンパー(減衰こま)累積吸収エネルギー依存性を考慮
■ 免震部材特性モデル
いずれのモデルも、実験結果の力学的特性を精度よく表現できた。
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 15
大阪と東京において、各1棟の免震建物の地震観測を実施した。東京の建物においては、2011年東北地方太平洋沖地震を始めとして、多くの記録が観測された。
■ 地震観測結果
0 67 133 200
最大値X
20110309201103111447 201103111514 201103111526 20110314201103152011031620110319201104112011041220110416201104212011071520120101
最大加速度 (cm/s2)
GL
36F
4F
M4F
1F
震源マップ 最大加速度の分布
余震 2011 3/11 15:14
本震 2011 3/11 14:47
3.地震観測・建物挙動分析(1)
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 16
2011年東北地方太平洋沖地震について、動解モデルによるシミュレーションを行い、観測記録と良い一致を示した。
解析モデル 観測と解析の比較
1F
2F
3F
免震層
4F
5F
36F
RF
…
0 40 80 120 160 200
観測記録
解析結果(Normal)
解析結果(110311修正)
解析結果(Hard)
解析結果(Soft)
X方向最大加速度(Gal)
36F
免震F1F
免震部材の設定設計値 :Normal製品検査結果 :110311修正温度変化の特性変動等を考慮:(免震層水平剛性及び降伏変位
最高:Hard、最低:Soft)
3.地震観測・建物挙動分析(2)
■地震記録のシミュレーション
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 17
青森, 1
岩手, 1
宮城, 7 福島, 2
茨城, 6
千葉, 4
東京, 23
神奈川, 7
愛知, 3
大阪, 2
その他, 5
不明, 1
関東40
東北11
都道府県の内訳
各事業主体での観測記録、国の施設・自治体等の観測記録や報告書等、学術誌・関係機関等の報告書、日本免震構造協会・応答制御建築物調査委員会報告書等の公開情報を収集し、全62棟について分析を実施
(cm/s2)
0
200
400
600
800
0 200 400 600 800
350km
250cm/s2
震央距離 (km)
入力加速度
東北~茨城 千葉~ 近畿
3.地震観測・建物挙動分析(3)
■観測記録による挙動、免震効果(1)
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 18
0
0.5
1
1.5
2
2.5
0 200 400 600 8000
5
10
15
20
25
0 200 400 600 800
最大加速度比
免震層変位(cm)
入力加速度 (cm/s2)入力加速度 (cm/s2)
直上階
最上階
NRB+流体系ダンパー
NRBLRBHDRすべり
・上部構造の加速度は約200cm/s2で頭打ちとなり、免震効果が見られた。
・免震層変位は東北で5~24cm、関東で3~15cmであった。・累積変位は仙台市で10~22m、関東で5~15mであった。
東北(茨城含)
関東
3.地震観測・建物挙動分析(4)
■観測記録による挙動、免震効果(2)
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 19
JSSI「応答制御建築物調査委員会」の報告書から免震EXP.Jと履歴系ダンパーに関する成果を抜粋
(1)免震EXP.J・アンケート結果より327棟中90件で免震EXP.Jに損傷が生じたことが判明、原因分析と再発防止策の提言を行った。
・免震EXP.Jに求められる性能や免震EXP.Jに対する設計者、施工者、製造メーカーの姿勢について提案がなされた。
(2)鋼材ダンパーと鉛ダンパー・地震による主な現象は、鋼材ダンパーの残留変形、取付けボルトの回転、塗装の剥離及び鉛ダンパー本体の亀裂である。
・保有性能の評価方法として、鋼材ダンパーの形状変化率と鉛ダンパーの亀裂深さによる一次判定並びに両ダンパーについて疲労損傷度に基づく二次判定が提案された。
3.地震観測・建物挙動分析(5)
■免震建築物の挙動調査
27-3 長周期地震動に対する免震建築物の安全性検証方法に関する検討 20
今後の課題
1.実大実験計画・実施・試験条件・検証項目の整理と対象部材の選定・大変形試験の条件検証
2.免震部材特性評価/建物応答評価・実大免震部材実験による現状の評価手法の検証・繰返し依存性の簡易的評価法の検討
3.地震観測・観測記録の継続とデータの蓄積・免震建物応答性状の分析