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平成27年度 沖縄振興推進調査 経済産業省 平成27年度外国人観光客消費動向にかかる ビッグデータによる観光高度化方策及び産業波及可能性調査 報告書 平成 28 年3月 内閣府沖縄総合事務局 経済産業部

平成27年度外国人観光客消費動向にかかる ビッグデータによる観 … · ・ビッグデータ、オープンデータについては、関西に比べ、若干、東京の意識が高いが、いず

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平成27年度

沖縄振興推進調査

経 済 産 業 省

平成27年度外国人観光客消費動向にかかる

ビッグデータによる観光高度化方策及び産業波及可能性調査

報告書

平成 28 年3月

内閣府沖縄総合事務局

経済産業部

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目 次

1章 事業の背景及び目的 ..................................................................................................................1

(1)背景 .............................................................................................................................. 1(2)目的 .............................................................................................................................. 1

2章 国内ヒアリング調査.......................................................................................................................3

3章 海外ヒアリング・視察調査 ........................................................................................................ 13

4章 外国人観光客消費動向にかかるビッグデータ利活用による観光高度化方策の検討

................................................................................................................................................................. 29

1 消費動向をビッグデータ化し活用するためのデータ収集・分析方策の検討 .................................................. 29

(1)外国人観光客の消費動向 ............................................................................................... 29(2)データの収集について ...................................................................................................... 38①活用可能なデータ等の現状 ............................................................................................... 38②データ収集における課題 .................................................................................................... 39(3)データ利活用における課題 ............................................................................................... 40①ビッグデータ活用に対する意識の醸成 .................................................................................. 40②データサイエンティスト等のデータ分析人材育成 ...................................................................... 40

2 ビッグデータ活用による産業展開の方策検討 ...................................................................................................... 40

5章 検討委員会................................................................................................................................ 41

(1)第1回検討委員会 .......................................................................................................... 41(2)第2回検討委員会 .......................................................................................................... 44

6章 ビッグデータ利活用セミナー .................................................................................................... 47

【ビッグデータ利活用セミナー1】「ビッグデータとは!~ビッグデータによる価値創造~」................................... 47

【ビッグデータ利活用セミナー2】「ビッグデータ活用がもたらす未来 個別化の時代へ」 ........................ 86

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1 章 事業の背景及び目的

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1章 事業の背景及び目的

(1)背景

「沖縄振興計画」においては、情報産業および観光・リゾート産業が県経済をけん引する重点産

業として位置づけられている。また、「沖縄成長産業戦略」においては、ビッグデータを利活用するこ

とで、多様な消費動向を把握し迅速な商品開発・高度化を図っていくことが期待されており、さらに

観光産業においては、観光誘致の拡大、一人あたり消費額拡大に向けた取組の必要性について

も言及されている。

そのような中で、沖縄県の情報産業は、継続した各種施策の推進により技術・ノウハウが蓄積され

観光産業に次ぐ産業として成長を続けており、また、観光産業は、大型クルーズ船対応の環境整

備や国際航空路線の誘致等により外国人観光客が大幅に増加しており、さらなる拡大に向けて各

種施策が推進されている。

(2)目的

本調査事業では、来沖外国人観光客の消費動向にかかるビッグデータの収集・分析にかかる観

光産業や地域の製造業等における販売戦略の改善や商品・サービスの高度化につなげるための

方策や課題についての検討等を行うとともに、ビッグデータの活用に向けた人材育成等にかかる方

策についても検討を行う。

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2章 国内ヒアリング調査

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2章 国内ヒアリング調査

① ビッグデータに対する取組

・e-Kansaiレポートは、関西地域の情報化の実態把握のために実施。

・2014 年からビジネスにおける「ビッグデータ分析」や自治体の「オープンデータ」調査を実施。

・企業や自治体に対してデータの利用状況についてアンケート調査やヒアリング調査を実施し

た。

・ビッグデータ、オープンデータの利用状況を全般的に産業分野について聞いている。

・ビッグデータやオープンデータの利活用の部分において、ある程度の企業において使って

いる。また、外部データを積極的に利用したい意識は高いが、自分のデータを他に出すか

については、出さない。

・ビッグデータ、オープンデータについては、関西に比べ、若干、東京の意識が高いが、いず

れにしても、データ分析をする人材が不足している。オープンデータの活用においても、その

前の段階で取組としては、さほど進んでいない。

・オープンデータを利用する場合データのハンドリングをどうするのか、データの標準化をどう

するのか。抜けているデータをどのように補完するのかが問題となっている。

・企業の中には、データ利活用を不要と考えたり、メリットを理解していない企業が相当数いる。

・どのように自社のデータやオープンデータを自分のビジネスに利用して良いかわからない企

業も多い。

・データの分析のみを行っている個別の企業に対してヒアリングを実施。

・自治体に対してもデータの活用状況についてヒアリングを行った。

・オープンデータに対して利用する現場の意識は高い。ただ、情報政策課や統計分析課部

門からデータを保有している現場に依頼が行くと壁があってなかなかオープンデータ作成へ

とは進まない。

・オープンデータにするという方向性については同意が得られている。

・オープンデータを利用しようとすると、ソースが PDF であったり、CSV であったり、データの精

度以上に、その構造の問題により、処理の際に不具合が生ずる。

※データ構造の違いにより、取扱いに差がでるため利用が進まない

・そのオープンデータを活用した新規ビジネスの展開の有無については不明

・民間によるオープンデータ利用については、その効果の程は不明。

② 中小企業のビッグデータ活用

・東京におけるマーケットはある程度できているが、地方は置いてきぼりの感がある。

⇒ マーケットとして動いているのは、首都圏だけではないか

・データで儲かる(デモカンプロジェクト)を立ち上げたばかり。

・一般にオープンデータは地域に賦存するデータである。

・民間事業者が行政等のオープンデータを使っている。

・地域は地域で(地域のデータを活用しながら)動かないといけない。

企業名 一般社団法人関西情報センター(Kansai Institute of Information Systems)

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③ 中小企業に対する支援

・「デモカンプロジェクト」もうかる関西。

・ビッグデータもオープンデータどこにあるのか。コーディネートする機能があるか。

・データは欲しいけれど、自分たちのデータは提供できないという企業が多い。

・企業が持っている情報とオープンデータとクロスしてデータ分析を行おうとしている。

・オープンデータの利用促進を図るため、KIISでは下のリンク集をつくっている。

http://kilins.kiis.or.jp/contents/OpendataBigdata/index.html

・できるだけ多くの方に参加を呼び掛け、拡がりを持った取組を心掛けている。

④ データ分析・解析する人たち/データサイエンティストの育成について

・以前にデータサイエンティスト育成のセミナーを実施した。大阪ガスがデータ分析を行う。大

阪ガスの協力のもとに実施したが、十分に参加人数が集まらなかった。

・東京で開催されるデータサイエンティストの有料セミナーは参加者が見込めるが、大阪では

まだ厳しい状況である。

・当センターの賛助会員で、情報セクションを持つ大手の会社はすべて東京に移転。そのた

め、統括事業を東京で行うこととなり、支社レベルでのデータ分析や人材育成が困難。

企業名 大阪商工会議所

① ビッグデータのセミナーを開催したきっかけ

・ビッグデータ、3Dプリンター、IoT という技術/トピックスがあって、それについて事務局側が

会員のシーズやニーズの把握が出来ていないと、会議所としての事業を進められないが、現

状ビッグデータについては、2府5県に声をかけ、勉強会を開始したところ。

・ビッグデータの活用は大手では行われているが、実際に中小企業で活用した場合にはどの

ような影響/効果が出るのか、活用した場合には事業も上手くいくのか、事業のヒントがある

のではないかを含めて勉強会を実施した。

・一年間の集大成としてビッグデータに関するアンケート調査を実施した。

・ビッグデータの利用状況や障壁なども含めて課題を洗い出して、政府に対して提案を行っ

た。

・翌年度は、支援メニューの検討、事業化の推進を行ったが、ビッグデータについては、時期

尚早であったと思う。

② 中小企業の現状

・中小企業では、顧客データ、販売データなどの管理について、卸業者から指導されることも

多い。

・中小企業の中には、最先端のビッグデータではないが、データを活用している企業も存在し

ている。

・社内データの活用により業務改善や市場分析を行っても、メディアからそれがビッグデータ

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活用なのか?と疑問を呈されることがある。

・ビッグデータビジネスに関しては、中小企業での活用事例がない。

・大企業の活用事例を参考にしても、中小企業に対してはかえって逆効果となる。

・有名な城之崎温泉の観光関連での活用事例については、中小企業がビッグデータを活用

できるのか、また、自社データをもって何をするのか考える必要がある。

・自社で使えるデータが無い場合は、誰かが加工したデータを活用するのか。

・ビッグデータ活用で有名な城之崎温泉は、観光協会等が中心となっておらず、外部に委託

して行っているため、内部では仕組みを理解していない者が多い。

・ビッグデータ活用を中小企業が単独でやることは荷が重い。

・ほとんどの企業では他社のデータを積極的に利用したいが自社のデータを他に出さないと

回答する企業が多いので一切のデータ提供は期待できない。

・城之崎温泉も含め、関西は陸続きなので、沖縄と異なり長距離バス利用が多い。

・路線によって利用者の年齢構成が異なるが、その情報(データ)が事前に判れば、顧客の望

むサービスやお土産を準備できるのではないか。

・顧客毎の層によってターゲットを絞ることができる。

③ 大阪のインバウンドについて

・大阪もインバウンドが多い。

・観光庁と大阪観光局と日本百貨店協会がそれぞれ出すインバウンド情報があるが、内容が

異なっており、情報を出したくない企業毎の事情が隠されている。

・ビッグデータを活用したインバウンド対応の事例は聞いていない。

企業名 神戸市役所

① ビッグデータ活用のきっかけ

・神戸は阪神・淡路大震災からの復興 20 年目の年であり、現在、観光誘致に力を入れてい

る。

・国内観光向けマーケティングを実施した結果、神戸は、日帰り(近畿圏の)観光客が8割、

宿泊(遠方からの訪問客)2割となっている。

・周辺の府県の方々からは非常に愛されている地域である。

・遠方からの観光客については、一度、神戸を訪れることで認識(知名度)、愛着が湧いてくる

ようであるが、そうでない場合、興味自体が薄いことが判った。

・今後、社会人口が徐々に減少する中において、新たに観光客を獲得しなければならない

が、富裕層をターゲットにできないかと考えている。

・震災以降、神戸市は復興予算を中心に事業を進めてきたが、観光誘客に向けて、観光プロ

モーションを行った。

② なぜビッグデータなのか

・神戸市役所は、市を訪れた方々にアンケート調査を実施した。

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・神戸市を訪れる方々は、市役所側が考えるような、神戸の魅力に惹かれ何度も訪問する場

合が多い。

・神戸市に興味を示さない方々に対するアプローチとして、WEB や SNS などの観光の動向

調査が必要であり、さまざまな情報、ビッグデータの活用が求められている。

③ プロモーションの予算

・上述のことから、約 1,300 万円のプロモーション予算を計上し、博報堂が採択さ

れた。

・予算は、単年度毎に実施。26 年、27 年は随意契約を結んだ。

④ 教育、人材育成について

・前述の事業により神戸市が得たマーケティング情報については、ホテルの現場、土産品開

発等などで活用して欲しいと思っているが、事業者毎にそれぞれ目的や方向性が異なるた

め、彼等の求めているものとは異なる情報を提供しても、活用は難しいと思う。専門化し過ぎ

るとかえって利用しづらくなる。

・昨年、「ビッグデータを活用した観光マーケティング」を実施し、事業の中でセミナーを開催し

たが、結果として殆どの方がデータ利用はしていないという状況。

・その後については、神戸市が主体となったセミナー等は行っていない。

⑤ アンケート調査について

・web 上で報告書をアップして使ってもらっている。

・観光データのビッグデータ活用やデータサイエンティストの育成については神戸市としては、

専門員は置かず、外部の会社に委託している。

・観光関連については、IT 部局(情報政策課)は関与していない。

・観光専用のウェブサイト「Feel KOBE」は、市の外郭団体が運営しており、神戸市の情報と

異なっている。

⑥ 課題

・関西圏からの訪問客は宿泊しないため、遠方からの観光客(宿泊客)を増やしたい。

・訪問客に対しても、今後神戸を訪問する可能性ある方に対しても、例えば「Feel KOBE」を

活用して、効果的な情報の発信を行う必要がある。

・Feel KOBE 内にはどこのサイトから飛んできたのか web 上の動きも把握。

・ビッグデータを活用し、データの山から有用なデータを掘り起こし、仮説検証を行う。

・仮説設定については、事業者毎に回答が異なるため、何をテーマにするかも重要。

・神戸が訪問先として選ばれなかった理由についても調査済み。

・本質的な解が絶対多数の答えの中に様々な表現で埋もれている場合もある。

・神戸市としては、意図してマーケティング情報等を抑え気味に広報している。

・長期の戦略的計画は出していない。

・何が本質的な事なのかに重点を置いて調べている。

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・神戸のライフスタイルやコンテンツ等、本質的な部分での魅力を知って貰うことで、リピート率

の向上が図られる可能性もあり、Facebook やツイッター等の SNS で個人の発信情報を集め

て、クリアにする必要あり。

・SNS では個人名は挙げられておらず、書き込みされた情報については精査せず収集を行っ

ている。(サンプル数 80,000)

・地理情報は、コロプラ(位置情報ゲーム)を使って集めている。

企業名 伊藤久右衛門

① ビッグデータ活用のきっかけ

・当方はもともと、アパレル業界(呉服屋)でマーケティングの営業を行っていた。

・データ分析においては、感性なども必要と考える。

・データ分析は結果が伴ってなければ意味がない。

・データ分析など、誰にでもわかりやすく可視化していくことが重要。

・当初は、Excel などを活用してできる範囲での処理を行っていた。

・目的や課題など明確になっていない場合にはデータは触らない。また、オープンデータにも

触らないこと。

・目的や課題などが明確になっていないのでデータを見ていてもなんらアクションが起きない

し、起こらない。

・ビッグデータといっても小手先の手法では何も解決しない。

・ビッグデータはデータが増えた・巨大化したのではなく、カテゴリが増えたという理解。

・データを活用する中において、さまざまなデータの統合を行い、共通項を生み出す。

・データを用いて、点と点の予測ができる。また、点と点がつながる。

・当初、e-コマースなど、業界で誰もやっていなかった頃、宇治でインターン事業を行っていた

のは2店舗だけ。

・社内の基幹システムは、経理、人事、営業、購買、などの内製化されたシステムをファイルメ

ーカーで作っていた。

・必要に応じて、手づくりのシステム開発を行って、それを利用していた。

・e-コマースはシステムができたが、インターネット事業での収益は業績が伸びていた。

・前日データの取り込み。メールや電話などを利用して、注文を確認して受注処理を行ってい

た。

・購買、生産が午前中の処理を行っていた。出荷処理の完了が終わるまで4時頃にならない

と前日の締め処理が終わらない状態。

・会社のリソースを全力で投入していたが、効率が悪かった。

・各部門における問題を洗い出すために、受注データを取り込む部門から購買部門、品質部

門、など全ての部門を経験して改善を図った。

・データより先に組織図を固めるところから始める。

・当時の従業員はパート 30 名、正社員 10 名、現在の正社員は 100 名。ユニクロより先に正

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社員化を図った。

・当時は業績が伸びているのは個々が能力を最大限に発揮していると考えていたが、横同士

の連携ができていない。また、全体の利益が見えていない状態。

・会社の業務は情報(伝票、お金、製品など)でやりとりしていた。

・情報は共有、共同でなければならない。

・情報を会社の中でシームレスに行うことにより新たなサービスができる。

・上位で A と言えば末端のコールセンターの担当者まで伝わる。

・社内の情報、活用基盤をベースに構築。

・全社で共通、共有のデータの活用ができるようになった。

・システム、データの特性とは、システム化していくのと、デザイン化していくこと。

・システム化していくことは、人の意思を入れずに1秒でも早くし処理を行うこと。

・デザイン化していくことは人の意思を入れて、戦略化していくこと。

・共通の情報をもとに意思決定支援を入れていく。

・現在、受注したものを如何に早く処理するか、システムの効率化を進めている。本日受注し

たものは、翌日発送など。

・また、イレギュラー案件への対応もあり、全自動化ではなく半自動化もある。

・イレギュラーは目視確認していたが、異常値を計測することで、未知の意思決定の材料にし

ている。

・データが全てではなく、データによる分析を毛嫌いする人(感性重視等)もいるので、データ

半分程度で捉えている。

・上述のシステムを導入し、社内での理解を得ることで、多くの社員が集めたデータを見なが

ら、全員からオープンイノベーションが生まれるようにした。

② 本格的なビッグデータの取り組み

・京都駅周辺への店舗の出店の際に国勢調査の人口統計データと家計調査を組み合わせ

て、分析を行い、店舗の場所決定や販売予測などを行った。

・オープンデータが公開されているので、それを活用した。

・まず、売上基盤を構築するためにデータを集める範囲を決める。

・社外の e-コマースのデータを見る。

・国勢調査の人口総数の情報を基に 2km メッシュの GIS をもとに地図データによる検討を始

めた。

・同じお茶の産地である静岡には、宇治の十倍の人口がいるが、戦略・購買層も異なることか

ら、売上が即十倍というわけではない。

・政府が公開するオープンデータを活用し、ターゲットエリアを分析し特定、折り込みチラシ配

布した。

・量販店ではなく地元に根付く、ブランドを作っていく。

・利用者、セグメントも考えて、DM を行った。

・メーリングリストはピンポイントで流しているが、個人情報の整備はきちんと行うこと。

・オープンデータはそのデータ毎に形式が異なることが多く、中小企業が取り扱うのは難しい。

・一部には、オープンデータを加工して提供する企業がある。

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③ 社内の人材育成(データ解析、分析等)について

・現在、各現場の担当者が必要な情報をサーバーから取り出し、商品開発や営業戦略・販売

などの分析を行っている。

・通常、日々のデータに対して、現場に精通した、担当者が行っている。

・当社においては、データサイエンティストは不要である。現場毎に必要な情報を取り出し、そ

のデータを使い、部門毎に必要なことを考えるようにしている。

・いわゆるデータサイエンティストの仕事はマーケティング部門、システム部門などに所属する

スタッフがなるべきものかも知れない。

・お茶ばかりを売っていた当社であるが、データ分析結果、購買層に男性が殆どいなかったこ

ともあり、新製品開発の中で 30 代、40 代の男性向け抹茶入りのリキュールを作り、小ロット

で作って商品テストを行った。

・また、「お茶屋」はあまり売り上げに季節感がないため、バレンタインデー向けの商品として、

抹茶をまぶしたホワイトチョコ(生)を開発し、上述のリキュールも含め、web のアクセスログな

ども含め状況把握に努めたが、新規の顧客は少なく、7 割がリピーターであり、また男性顧

客の増加もほぼ認められなかった。(女性客が夫のために購入するパターンや、リキュールを

冷凍し、かき氷状の冷たいスイーツとして女性が食するパターンが判明。新たなリキュールの

使い方を口コミ情報から収集した)

・上述のように、ターゲットを絞り商品開発をしたとしても、結果として狙った購買層に刺さらな

い場合も多く、システマチックに結果を求めてはいけない。

※ビッグデータを活用し、商品開発を行ったのではなく、社の年間の売り上げ推移・購買層等

様々な観点からの検討結果であるため。

・商品に対する管理情報は賞味期限も含め各部門から見ている。

※販売猶予

・担当者が、値段が高いものから賞味期限の短い商品を並び替えて、その日には販売しない

といけないものを抽出、製法して出荷している。

・商品部門が利用しているが、営業も見ている。

・現在、1万人のお客様に対してピンポイント、クラスタリングの機能を利用してメルマガを発行

している。←頭が回らないので、この表現は保留しておきます。

④ 人材育成について

・全社員、売上情報、入荷情報、出荷情報、商品マスターなどを社員が共有している。

・ブランド力を維持するため、ディスカウントセールは行っていない。

・ただし、情報をインターネット部門に移して、シークレットセールを行っている。

・各部門で、必要なスキーマ(データベースから抽出する項目定義)を作って、データを要求し

た時には常にデータが更新されるようになっている。

・データを社内でオープン化して全社員が使えるようにした。

⑤ データの活用について

・一般的に中小企業においては、データ整理・分析について経営者の理解がなく、予算がお

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りないため、データの活用事例は少ない。

・経営者が、現場をヒアリングして業績を上げるために、経営者が毎日の業績(売上、利益な

ど)を把握しなければならない。

・宇治のお茶は、静岡茶と較べ量産は出来ないので、こだわりで行きたい。

⑥ 次の展開について

・アメリカで宇治の茶を「宇治道(UJIDO)」とネーミングし、抗酸化性の高いスーパーフード(健

康機能食品)として料理用の抹茶製品の販売戦略を構築する。

https://ujido.com/?v=e75edac1b83f

企業名 オージス総研

① ビッグデータ活用のきっかけ

・2009 年にオージスインターナショナルを設立した。2011 年ごろからシリコンバレー一帯では

ビッグデータを活用した BA(Business Analysis)が流行りだしていた。

・日本でも、大手の NEC、日立などが 2011 年から初めてビッグデータを取り入れ始めた。オ

ージス総研では 2013 年から BA の業務を開始した。

・データを活用するといっても具体的に何をしたいかわからない企業もいる。具体的な事例を

見せることでイメージが湧いてくるが、ビジネスを開始した時に困ったのは事例が少ないこと

だった。

② オージス総研の「データ分析戦略」

・オージス総研では、データ分析のためのコンサルティングフレームワークを作っている。基本

的なプロセスがあるが、データ分析行うにあたりテーマ設定、何を目標にしたかが重要であ

る。

・企業の戦略においては、ITのインフラ構築や基幹システムの構築による IT 戦略もあるように

ビジネスを解決するとしてデータ分析自体も戦略と考えている。

・企業が課題を解決する際に「データ分析」を行うことで解決することを目指している。

・ハードウェアが進化したことでデータの処理速度は革新的に進歩した。処理速度が向上して

きたことで、ビッグデータを扱う基盤ができた。従来のアンケート調査などに加え、SNS等をリ

サーチするなど、大量の情報を扱い、単なる解析でなく予測することが増えてきた。

③ ビッグデータ活用の課題

・目的に応じて必要なデータを様々な角度から統計解析を行い、その結果をもとに具体的な

施策として現場に落としていかなければならない。

・企業側には、「データがあるから、それを分析してどうにかならないか」という考えがあるが、重

要なのは、「課題は何か。目的が見えているか。」である。

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・たくさんのデータがある。世の中にそうそう綺麗なデータはないが、目的を果たすデータがあ

るかを見極めることも重要であり、それが無いとデータがあるだけで何かを得られるという期待

感で終わってしまう。要件が決まっていないと、何も得られないし、決まらない。

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3章 海外ヒアリング調査

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3章 海外ヒアリング・視察調査

香港

Cross Border Publishing Co(出版社)

① 出版した日本旅行関連の雑誌について

・ほぼ毎月契約ライターを日本現地に派遣し独自取材を行っており、主にグルメ、ショッピン

グ、旅行の素材を収集している。

・香港の個人旅行者にとって、レンタカーは主要な移動手段となっているため、充実した交通

情報を雑誌に取り入れ、特に地図の詳しい情報を掲載している。例えば、観光スポットとの

距離、地点ごとの所要時間などである。

② 沖縄エリア版の旅行雑誌のリニューアル頻度と発行部数は

・毎年リニューアルしており、今年の最新版は、6、7月に発行する予定。

・雑誌は有料で1回の印刷で 8000〜10000 冊程刷る。九州、大阪、北海道版などもあり、これ

らは別ライターが担当している。

③ ライターについて教えてほしい

・当社と専属契約しており、今まで数冊の日本旅行関連書籍を当社で発行している。

・旅行の達人で日本が大好きな方。基本的に自分の体験したことしか記事にしない。

・彼女にとってこの沖縄版は初めてだった。また、彼女が体験できなかったところに関してはコ

ンベンションビューロー香港事務所に写真などの素材を依頼している。

・九州、大阪、北海道版などもあり、これらは別のライターが担当している。沖縄版のリニューア

ルに関しては私が担当している。

・現在香港から沖縄への直行便が開通されており、特に LCC も利用できるので非常に行き

やすくなっている。

④ 雑誌に関して、読者からの意見等を収集しているのか。反応は。

・収集している。読者からの最も良い反応は地図が非常に見やすいということである。

・これも当社の最も強いところである。特にこの雑誌の前後に両方地図が印刷されているの

で、読者からの評判が良い。

⑤ 読者からの意見はどのように収集しているのか。

・雑誌の中にアンケート表がある。これにより読者の反応や何を求めているのか全部把握で

き、読者からストレートに生の声が聴ける。

・その中から、個人旅行者がレンタカーを利用する際に、最も求めているのは交通情報だとい

うことが分かった。

・自社の Facebook ページにもよく要望や意見が送られている。

⑥ 出版する前のリサーチなどは行っているか。

・ライターが事前に様々な情報収集を行っている。

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・専門のリサーチ会社に依頼せずに、主にインターネットや OCVB 香港事務所などを通じで

情報収集を行い、取材計画書を当社に提出させている。当社が最終的にこの取材計画書

を判断する。

⑦ 日本国内からの取材依頼があるか。

・ある。そういう場合はやはり広告となるケースがほとんどなので、読者にマイナスの影響を与え

ないよう慎重に検討する。

・一般的には、取材依頼の内容を事前に計画書を提出して頂いた上で判断する。お金を出

せばなんでも掲載できるのではなく、客観的な記事を書くのが原則である。

・また、例として実際に現場で取材して、香港人の好みにあまり合わないということが分かった

場合などは、掲載予定のページ数を減らすなどの対応をしている。

⑧ この雑誌の中に Wi-Fi レンタルの情報が掲載されているが、詳細を教えてほしい。

・当社は Wi-Fi のレンタル会社と提携し、沖縄を訪れる時に Wi-Fi のレンタルサービスを提

供している。具体的に言うと、本雑誌を購入した場合、Wi-Fi のレンタル用のコードを入手で

きる。レンタルする際に割引を得られる上に、一日のレンタル代金もフリーとなるサービスが受

けられる。このレンタルサービスを提供している会社は、香港の企業である。

⑨ 香港人は沖縄に対してどのようなイメーを持っているのか。

・ビーチ、サンシャイン、食事に関して日本食と違うという特徴がある。例えばステーキなど米国

風のイメージが強い。

⑩ 沖縄は日本の中の沖縄というイメージが強いか。

・やはり、それぞれの体験感覚が違うので、沖縄と日本は別々で思っている方が多いだろう。

・例えば、「日本旅行に行った」と言えば日本本土のことを指している。沖縄に行ったら「日本

に旅行した」とは言わない。

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EGL Tours(旅行社)

① 沖縄への送客について。

・メインの業務は団体送客である。毎日少なくとも一団体約 20~30 名の団体客を沖縄に送っ

ている。一週間合わせて 10 団体前後沖縄に送客している。

・現在香港と沖縄の交通は非常に便利になっており、香港航空とドラゴンがよく利用されてい

る。LCC も開通されているが、席や運航時間に制限があるため、団体客の場合は利用しな

い。LCC の運賃、特にキャンペーン時は非常に安いので、利用者のほとんどは個人旅行の

方となっている。

② 香港人は沖縄に対してどのようなイメージを持っているのか。

・沖縄に対する最大のイメージはやはりビーチだと思う。きれいな海とビーチは香港人にとって

大変人気である。また、香港人は日本への旅行が大好きでリピーターが多い。

・沖縄への旅行は本土の東京や大阪へと比べると近い(距離)、安い(物価)、中国との繋がり

が深いというところは香港人にとって魅力的だと思う。

③ 香港人にとって、不動産や医療ツーリズムなどに興味があるか。

・不動産の投資については、沖縄エリアに興味があまりないと思える。あるとしたら本土の東京

や大阪等だと思う。香港は低金利なので、不動産投資をしたいと考えている人が多い。

④ 御社と日本現地との提携旅行社はどこか。

・沖縄現地法人があるので、そこを通して手配を行っている。

⑤ 観光客は沖縄のホテルについての評判はどうか。

・香港人にとって、最も人気のある滞在プランは 4 泊 5 日である。

・当社の観光客は団体が多いので、ビジネスとリゾートホテル両方使っている。

・ビーチ付きのリゾートホテルはやはり人気である。特にオーシャンビュー部屋の多いホテルは

評判が良い。例えばルネサンスホテル等。また、サービスも良いという評判もある。

・4 泊 5 日プランの料金は時期と宿泊ホテルにより異なるが、大体 10 万円からの販売価額と

なる。

⑥ 沖縄の料理についてどんなイメージか。

・本土と比べると沖縄での食事は安いというイメージがある。

・ゴーヤチャンプルーなどのチャンプルー料理より、アグー、本部牛など人気がある。

・グルメを目的として沖縄に観光するお客も多いので、当社は専属利用できるレストランとの契

約もしている。例えば北海道のカニを食べたいとかそういう注文がある場合、特別なサービス

を提供する工夫をしている。

⑦ 旅行の申し込み方法について。

・代理店、コールセンター、インターネット予約という三つの申し込み手段がある。

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・代理店は香港に 6 店舗あり、代理店での申し込みがメインである。どこの店舗に行っても凡

そ 30 分以内に行けるところなので便利である。

・若者の場合はインターネットの利用が多い。

・申込者の 90%以上は女性の方となっている。

⑧ 離島のプランを作っているか。

・今のところはまだないが、過去に石垣島へのチャーター機を手配したことがある。

⑨ 観光客へのアンケート調査を行っているか。沖縄に対しての意見等を収集している

か。

・もちろん、観光客へのアンケートを取っている。香港人の旅行好みからいうと、ショッピングは

大きな目的の一つである。

・沖縄は東京、大阪と比べると、大型ショッピングモール(高級デパート等)が少ないという意見

がよく反映されている。日本製の商品が求められている。また、和食が少ないという意見もあ

る。

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JNTO(日本政府観光局香港事務所)

① 香港市場について

・現在、香港は最も成熟している市場だと思う。物流のこともあるが、食と観光のパッケージは

香港において最も受け入れやすい。

・香港の人口は約 730 万人で、そのうち約 150 万人が日本に訪問している。5 人(4.7 人)に

一人の香港人が日本を訪れており、インバウンドでは、他地域と比較して香港人のリピートが

最も高い。

・香港へ訪問する日本人の数は 102 万人に対し、日本を訪問する香港人の数は 152 万人。

香港へ訪問する日本人の数の約 1.5 倍となっている。

・これまで香港人の海外旅行先は台湾がトップだったが、2014 年に初めて逆転した。2014 年

日本への旅行人数は 152 万人に対し、台湾への旅行人数は 151 万人で、僅か 1 万人の

差であるが、香港の海外旅行マーケットの中で日本はトップだったことになる。

・香港人は、沖縄について、安い、近い、日本という印象が強い沖縄は日本と違った特別な

存在でというイメージを持って沖縄訪問する香港人がほとんどである。「沖縄が好き」という理

由だけで行く人がかなり増えている。

② ブランディングについて

・観光と場所のパッケージに関して、どのような形で香港からお客を日本へ呼び込むかを考え

るうえで二つのポイントを挙げる。短期的には新しくキャッチなものを出していく。中長期的に

は沖縄=○○というようなブランティングが大切だと思う。

・例えば、鹿児島県は 30 年前から香港に事務所を設置しており、鹿児島の黒豚や黒酢を普

通に販売しているので、香港人にも馴染みがあり刷り込まれている感じである。それにより中

には鹿児島に行ってみたいと思う機会も増える。

・それ以外にも、香港では、岡山県=桃、青森県=リンゴ、いちご=あまおう=福岡県といった

イメージが定着している。

・食は一つの切り口となっていることから、沖縄への旅行もそういう流れとなっていくと思われ

る。物産と絡めてブランディングを行い誘客に繋げるという手法は非常にやりやすいと思う。

・マレーシアやシンガポールでの医療ツーリズムも進んでいる。安いし、言葉も通じるので非常

に利用しやすい。日本では言葉の壁がある。広東語のできる医者がいれば行くと思うが、現

在は、マレーシアやシンガポールのほうが進んでいる。

③ 宿泊日数について

・データによると、沖縄は最初にチャーター機、それから定期便、そして LCC まで定着が進ん

でいる。

・沖縄旅行の宿泊数は北海道より少ないという事実が分かっている。北海道の宿泊は 5、6 泊

に対して、沖縄は 2、3 泊しかない。宿泊日数を増やすためには、新規商品の開発が必要と

なってくるだろう。

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・北海道は今でも新鮮なシーフードを提供して人気を集めている。今後は、沖縄でも食を楽し

むことを求めて、宮古島や石垣島といった離島への誘客も考えられる。そのためには、直行

便も必要になり、離島への新規観光商品の開発も必要になってくると想定される。

・香港では 10 回以上のリピーターという数字も出ているので、まだ行ったことのない場所に行

ってみたい、ほかの季節に行ってみたいなどの需要もあるだろう。

④ 媒体について

・旅行先を決めるのに新聞を読んで決める香港人は 2 割程度である。

・新聞の信頼性が高いという事実から、沖縄の観光や物産を宣伝したいと考えるときに、まず

新聞に露出してからウェブで掲載するという流れが良いのではないか。

・また、口コミも重要で、Facebook に掲載されている情報を見ながら旅行を決める人も多い。

⑤ 旅行形態について

・約半分以上は個人旅行となっている。中国人のいわゆる「爆買い」の状況の中で、1 泊 1 人

当たりの消費金額を見ると香港人の消費額は最も高い。また、香港人のレンタカーの利用

率も 12.5%と高い。

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Miramar Travel(旅行社)

① 沖縄観光について

・香港と沖縄の直行便が開通された後、沖縄は人気の観光地となりつつある。以前は、東京、

大阪等がメインの観光地であったが、現在、沖縄は新しい日本の旅行先の選択肢の一つと

なっている。

・香港人の旅行の目的は、ショッピングとグルメ(和食)がメインである。そのため両方が満足で

きる東京、大阪等の大都会への観光が人気を保っている。

・それに対して、東京や大阪とは異なる体験ができる沖縄は、香港人にとっては、「近い」、「安

い」、「行きやすい」といったことに加え、「ビーチがきれい」など、まるでハワイのような南国気

分となるといった、魅力がある。

・ダイビングやマリンスポーツ等を楽しむ人も多く、ほとんどは個人で予約している。また、ホエ

ールウォッチングを予約する人も増えている。

・香港人はグルメが大好きである。牧志公設市場は非常に人気があり香港人の好きなスポット

の一つとして定着している。公設市場の 1 階で食材を購入し、2 階の調理場で調理するとい

うシステムも香港人の好みに非常に合う。

② 旅行形態ついて

・旅行形態については、団体旅行のほうがメインである。団体旅行の場合、4 泊5日のプラン

の中で、普通は1日のオプションが含まれており、その日は自由行動となる。

・個人旅行の場合、レンタカーを利用するのがほとんどである。

③ 困ることついて

・東京や大阪などの都市と比べると、地下鉄や電車がないため沖縄の交通が不便なことは明

らかである。

・例えば、那覇市に宿泊する場合、運転できない個人の旅行者は、なかなか沖縄の北部に行

けない。また、北部のリゾートホテルに宿泊する場合、車を持っていなければ観光ができな

い。そういった苦情を観光客からよく聞く。交通の不便さで観光客の行動がかなり制限され

ているのは事実である。例えば、桜の開花情報がよく出ているが、観光客はどのように行け

ば良いのか全然わからないので、旅行商品としてもよい結果がなかなか出せない。

・香港人はショッピングが大好きなので、東京と大阪と比べるとショッピングモールやデパートが

少ないという不満の声もよく聞かれる。

④ 沖縄旅行の魅力ついて

・香港の観光客にとっては、沖縄は日本の中にあるという認識が強い。東南アジアや世界各

地にも素晴らしいビーチ、綺麗な海が数多存在しているが、なぜわざわざ沖縄を選んだかと

いうと、やはり沖縄という立地の前に日本という大きい存在があるから。人気の要素は日本の

一地方だからとも言えるだろう。例えば、食の安心安全、治安の良さなどである。

・沖縄は、東京や大阪、日本文化とは異なる独自の文化や歴史を持っているので、他地域と

は違う体験ができる。

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・東京、大阪等への旅行はゆっくりできず、ほとんどが観光やショッピングに忙しいことに対し、

沖縄では、家族を連れて海へ泳ぎに行ったり、比較的ゆっくり滞在できる。

・近年、沖縄はだんだん人気が出てきていると感じている。

・東京や大阪、北海道などは有名な観光地なので宣伝しなくても集客できる。しかし、リピータ

ーを考える時、やはり違うところに行ってみたいと思う人が多い。その際に、沖縄は良い選択

となるだろう。

・沖縄への旅行マーケットは、本格的なスタートから約5年が経過した。しかし、沖縄に一度訪

問したことのある観光客に尋ねると、近いうちにすぐまた沖縄に来ると答える人は少ない。こ

れは、1 回の旅行で沖縄本島の観光ポイントをほぼ全て見ることができたからだと思われる。

・沖縄へのリピーターを求めるなら新規商品の開発が必要である。例えば、離島観光の商品

開発等が考えられる。ただし、交通(チケットの購入)等きちんと対応できる環境の整備など

が必要になってくる。

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台湾

百福旅行社(旅行社)

① 台湾人が沖縄旅行をする理由

・台湾から沖縄に多くの観光客が訪れている理由は「安い」「近い」「日本である」という3つの

要素の上に、航空機の便数が多いことが挙げられる。

・日本人がイメージしている「沖縄の独特な歴史文化」にニーズがあるというよりは、「なぜ国際

通りで寿司が食えないのか」、「(期待していた)ラーメンが少ない」という台湾人観光客からの

声をよく聴くので、沖縄はあくまで日本というイメージが存在している。そのため、沖縄に訪問

することは、単に沖縄に来ているのではなく「日本に行く」という前提である。

・統計では、現在、来沖外国人観光客のトップは台湾で凡そ全体の約 40%以上占めている。

人気の理由としては、「近い(飛行時間 1~1.5h)」「安い(25,000 元台)」「日本」といったキー

ワードに加え 4 日間で観光できるという点がある。(台湾人の一般的な旅行期間は 5 日間)

② 沖縄旅行の形態について

・全体としては団体旅行が圧倒的に多い。初めての沖縄観光は団体旅行を選択するのが一

般的で、二回目以降から個人旅行を選択する傾向が強い。

・団体旅行のターゲットは家族連れの旅行者であり、その他に社員の慰安旅行などの需要も

ある。

・個人旅行のターゲットは 40 歳以下の若い世代がメインとなっている。飛行機のチケットとホ

テルさえ予約できれば、残りの旅行プランは自由にできるので、自由に行動したい若者に対

しては人気だ。事前の情報収集や旅行の計画を含め、全て自分で行わなければならない

が、若い消費者はインターネットでの情報収集で下調べや手配ができる。

・台湾の運転免許の翻訳版を携行すれば日本での運転が可能なので、レンタカーを利用し

て個人旅行が手軽にできることも挙げられるだろう。

③ 航空チケットの購入について

・チケットの購入は、個人旅行でも旅行社に依頼するのが一般的で、台湾人に人気の高いエ

バー航空を利用する場合もほとんど旅行社を通して購入する。

・ピーチ等の LCC については、オンラインで予約しなければならないため、個人での手配とな

るが、LCC の運賃が安いので個人旅行者にとっての魅力は大きい。

・一般的に若者(子供連れの若い夫婦を含め)は LCC を利用する傾向が強い。年配の方

(親連れの家族旅行を含め)にとっては、自力で旅行プランを計画し年配(親)の人の面倒を

見るのは大変だということから、やはり一般的に団体旅行を優先に考える傾向にある。

④ プロモーションや広告について

・プロモーションや広告は、新聞、インターネット(Facebook、LINE)、テレビの三つの手段があ

る。そのうち FB と LINE といった口コミの利用は効果的で主流となっている。

・クルーズ船はテレビを利用してプロモーションを行っているケースが多い。

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⑤ 消費活動について

・台湾の団体旅行者も個人旅行者も旅行先での消費意欲は高い。

・観光客の消費活動に関しては、飛行機の利用者だけではなく、クルーズ船で来ている観光

客の消費も計算する必要がある。

・一般的な消費活動については、交通(バス、タクシー)、観光地の入場料、ショッピングとラン

チくらいに過ぎない。クルーズ船の場合、数時間しか現地に滞在しないことに対して、航空

便で来沖する観光客は 2 泊以上滞在するので、航空客の方が消費活動は活発的だ。

・しかし、クルーズ船で一回だけの送客は数千人以上にものぼるので、トータルの消費金額は

かなり大きい。

⑥ ビッグデータの活用とプロモーションについて

・ビッグデータの活用については、旅行社だけではなく、広告会社等など他の企業からも情報

が得られると思う。

・現在、最も有力な宣伝方法と言われているのは、特定した消費者に正確かつダイレクトに発

信するという手法だ。そのために沖縄の現場のリアルタイムな生情報は欲しい。

・宣伝広告には大変コストがかかるため、正確でリアルタイムな情報は強い武器となる。

・また、消費者も媒体ごとに信頼性が異なる。例えば、政府や公共機関が発する情報に対し

ては消費者の信頼性は非常に高い。

・沖縄観光のプロモーションや宣伝を台湾で行うとき、単に企業の活動のみではなく、公的機

関(例として OCVB)との連携があれば費用対効果がかなり向上する。具体的に言うと、例え

ば公的機関が推薦または指定する情報等だ。信頼性が高い情報は消費者への浸透力が

強い。

・台湾でのマーケティングは、よく「公式認証制度」という手法を利用する。公的機関が正式に

認定した台湾でのパートナーということであれば非常にマーケティングしやすい。

・台湾人の好みや消費習慣等は日本人と異なるので、台湾人をターゲットとして考えるとき

は、台湾人向けのやり方を検討したほうが良い。

・自社では毎月約 30 万台湾元(およそ 120 万円相当)の広告費用をかけている。しかし、タ

ーゲットを特定し、消費者に正確且つダイレクトに発信できているとは言いがたい。そのた

め、旅行先現地とお互いに情報を共有できる環境づくりは非常に重要だ。

・例えば、沖縄で発表されている観光統計やレポートなどは、日本語版のみではなく中国語

版や英語版等も提供してほしい。台湾の旅行広告の現状からいえば、各旅行社は連携せ

ず独自に情報を収集しているため情報が足りていだ。

⑦ 台湾の旅行社の課題について

・旅行商品の「高度化(High Quality Travel)」と「深度化(Deep Travel)」が必要だ。現在の台

湾の旅行社業界の課題は、「価格競争」「低利益」「内容のマンネリ化」といった古いビジネス

モデルを改善していくことである。現状の沖縄側の観光広告はイメージ喚起に偏重し、具体

的な提案や情報提供に欠けていると思う。

・課題解決には、さらに多様かつ大量な現地情報が必要であり、そのためには台湾と日本の

中小規模旅行社同士の連携・協業が必要だ。

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育学資訊(情報)股份有限公司(株式会社)(情報サービス業)

① ビッグデータの活用とオープンデータの状況及びマーケティングキーワードについて

・ビッグデータ関連サービスの事例として、SNS 媒体でのビッグデータ活用がある。

・現在の消費者のほとんどは、消費活動を行う前にインターネットから情報を収集している。

・上図は年代別の購買意欲に関するデータである。青色は購買する前必ずインターネットで

調べる者の割合であり、オレンジ色は広告よりインターネットユーザーからの口コミのほうが

重要だという者の割合である。

・上記は、欧米の調査会社よる華人社会に対する調査結果である。73%以上の消費者はイ

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ンターネットで感想を投稿しており、76%以上のユーザーはインターネットでの評判を見てか

ら商品やサービスを決めている。これは、SNS 上で収集したデータであり、おそらく世界共通

の傾向であると考えている。ビッグデータの収集により、インターネット媒体から商品の分析と

マーケティングができ、さらに口コミ内容の把握もできる。

・良い評価と悪い評価、全ての情報収集可能である。悪い評価をした消費者がいれば、即時

にクライアントへの連絡ができ、クレーム等への対応も速やかに行うことができる。また、口コミ

の内容についての分析、書き込みをしたユーザーの追跡も可能である。

・SNS 等のビッグデータを活用して何かできるかというと、インターネット上での世論、口コミを

分析することで顧客の潜在ニーズをあぶり出し、新たなビジネスチャンスを得ることや新たな

顧客の獲得することにもつながる。

・イベントや広告活動については、開催前、開催中、開催後の全ての期間においてユーザー

の反応(好き、嫌い、良い、悪い、クレーム、トラブルへ等)を把握することができる。

・経営者にとっては、分析結果にもとづいて次の対応をどうすべきかを判断するための非常に

良い材料となる。情報を活用することによって、「誰が(Who)」「いつ(When)」「どこで

(Where)」「なぜ(Why)」といった問題点を詳細に把握ができるため、事象に対して適切な対

応を打ち出せることは大きいメリットだ。

② 同社のサービスによる、台湾におけるデータ分析事例について

・台湾では過去に、高架橋に設けられた ETC システムで、高架橋の下の一般道を通った車

両からも料金が徴収されていたというトラブルがあった。その際に、インターネット上の書き込

みなどを追跡することでクレームの内容が把握でき、改善が図られたという事例がある。

・上図は、ビッグデータ分析を活用した、欧米、日本、台湾での結婚指輪に対する評価のデ

ータである。

・それぞれの国民はそれぞれの好みが異なり、台湾では「推薦」が高い。台湾の消費者は口コ

ミを見てから自分の行動を決めるという習慣があり口コミの重要度が高いことがわかる。

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・台湾でのアンケートでは、鍋料理についてのデータ分析事例では、消費者は食の安全

(24%)よりサービス(34%)と味(42%)のほうに注目していることを示している。

・台北市郊外の景勝地である「陽明山」をテーマとした分析では、市民が一番関心を持ってい

るのは、交通関連、観光スポット、イベントの順となることが分かった。また、イベントへの評価

は非常に良いものの宣伝が不足しているため、周知が図られていないことなどが、インターネ

ット上からのデータ分析で明らかとなっている。

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甲木企画有限公司(株式会社) (広告・貿易業)

① 台湾人の購買行動

・台湾人の購買行動で特徴的なことは、

①口コミによるものが多い

②日本などで流行しているものに敏感

③購買前の下調べを良く行い、価格や機能性などのデータへの信頼度が高い

④流行は熱しやすく冷めやすい

という点が挙げられる。

・台湾は日本に比べると、「コト(事)」より「モノ(物)」志向が強いが、現在、台北などの大都市で

はライフスタイルへの価値観など「コト(事)」を志向する層も増えている。

② 台湾でのプロモーション

・これはプロモーション全般で言えることだが、「如何に消費者を教育するか」に主眼を置いた

方が良い。台湾人が理解しやすいイメージ作りと購買動機につなげるための「教育」が必要

だ。

・沖縄の商品を例に挙げれば、特産品を活用した土産物的な商品が多いが、これらの商品は

本来、現地で購入してこそ意味がある商品だ。

・それを台湾で販売しようとする場合、まず台湾人が理想とする沖縄のイメージを作り出すこと

が必要だ。例を挙げれば、自社の場合は「健康」や「環境」である。これを消費者に刷り込ん

で理解をうながし、購買意欲を高めるにはメディアの力が必要となる。

・また、台湾のような成熟市場においては、如何に「データ」や「エビデンス」を活用して消費者

の信用や信頼を得るかも重要なことである。台湾では「口コミ」まで持って行くことが重要であ

り、流行につながるまでの「仕掛け」を如何に行うかがポイントだ。

③ 台湾人へのプロモーションで注意すべき点

・健康食品を例に取ると、効能等の表示について政府の規制が非常に厳しい。日本が緩和

する方向に進んでいることと真逆である。

・さらに、台湾では最近、食品への有害物質混入など「食の安全」についての事件が相次ぎ、

消費者が成分等について非常に敏感になっている。従って、機能性や効能などを謳う商品

については注意を払う必要がある。

・台湾では口コミで情報が拡がるため、如何に話題となる「仕掛け」をするかがポイントだ。その

ためには、現地に入り込んだプロモーションは不可欠である。ただし、一旦、問題が発生する

と、これも口コミで拡散しやすいため大きな失敗につながりやすい。

④ 商品販売やプロモーションにおけるビッグデータの活用

・台湾でも、商品販売やプロモーションでのビッグデータ活用はこれからの段階だが、整理す

ると、

①流行等の根拠となっている販売や消費に関わるデータ

②競合分析に必要な市場規模やシェア率等に関わるデータ

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③機能性など商品のエビデンスに関わるデータ

などが必要だ。

・ビッグデータの活用には期待が持てるが、商品販売に結びつく「消費者ニーズ」「購買行動

モデル」「購買決定要因」を如何に検証するかという点がポイントとなる。

・台湾は、これらの情報に敏感で企業も情報やデータ収集にそれなりの投資をしているところ

が多いが、沖縄では、これらの情報やデータに鈍感というか、無関心な企業があまりにも多い

ことが気になる。

・自社は、日本の商品を台湾に輸入することはもちろん、台湾の商品を日本に輸出もしてい

る。そのため、日本側のデータが入手できれば、台湾での日本商品のプロモーションはもとよ

り、台湾商品の日本でのマーケティングにも活用でき、メリットが大きい。

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4章 外国人観光客消費動向にかかるビッグデー

タ利活用による観光高度化方策の検討

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4章 外国人観光客消費動向にかかるビッグデータ利活用による観光高度化方策の検討

1 消費動向をビッグデータ化し活用するためのデータ収集・分析方策の検討

(1)外国人観光客の消費動向

訪沖外国人観光客の滞在中の消費活動

1.空路

(1)買い物で訪れた場所

訪沖外国人観光客が買物で訪れた場所は、国際通り(90.3%)が最も多く、コンビニエンスストア

(72.2%)、スーパー・ショッピングセンター(71.8%)が続いた。

買い物で訪れた場所(那覇空港調査、複数回答)

(出所)平成26年度外国人観光客実態調査

国・地域別で見てみると、全体の傾向に比べて特徴的なのは、台湾および中国においてドラッグ

ストアの訪問割合が高い(台湾 88.0%、中国 76.1%)ことである。また、米国においては、国際通り

買物の場所は国際通り、コンビニエンスストア、スーパー・ショッピングセンターの割合が高

い。

購入した商品は、菓子、医薬品が多く、医薬品は台湾や中国からの観光客が多く購入し

ている。

観光消費額は中国が最も高く、土産買物費の割合が過半を占めている。

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の訪問割合が低く(39.0%)、空港の売店(49.2%)や、観光地の土産店(45.4%)の訪問割合のほ

うが高い。

買い物で訪れた場所(国・地域別、那覇空港調査、複数回答)

(出所)平成26年度外国人観光客実態調査

(2)買物で実際に購入した場所(那覇空港調査、複数回答)

買物で実際に購入した場所についても、訪問した場所同様に、国際通り(82.4%)が最も多く、コ

ンビニエンスストア(69.1%)、スーパー・ショッピングセンター(67.9%)と続く。

買物で実際に購入した場所(那覇空港調査、複数回答)

(出所)平成26年度外国人観光客実態調査

国・地域別に見ると、訪問した場所同様に、台湾および中国におけるドラッグストアでの購入割合

が高い(台湾 85.3%、中国 73.9%)ことが特徴的である。

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買物で実際に購入した場所(国・地域別、那覇空港調査、複数回答)

(出所)平成26年度外国人観光客実態調査

(3)沖縄で購入した商品

沖縄で購入した商品については、菓子類(76.2%)が最も多く、医薬品(51.7%)、その他食料・飲

料(51.1%)が続く。

沖縄で購入した商品(複数回答)

(出所)平成26年度外国人観光客実態調査

国・地域別でみると、医薬品の購入割合が高いのは台湾(72.4%)と中国(58.5%)であることが

わかる。また、米国はその他食料・飲料(60.9%)の割合が高く、中国は化粧品・香水(68.7%)の

割合が高いことも特徴的である。

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沖縄で購入した商品(国・地域別、複数回答)

(出所)平成26年度外国人観光客実態調査

(4)最も満足した商品

最も満足した商品については、菓子類の割合が 21.8%で最も高い。

最も満足した商品

(出所)平成26年度外国人観光客実態調査

国・地域別では、台湾の医薬品(21.5%)が最も満足したと答える割合が高く、米国は、その他食

料・飲料(34.1%)の満足度が高い。

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最も満足した商品(国・地域別)

(出所)平成26年度外国人観光客実態調査

(5)観光消費額推計結果

沖縄県が推計した、平成 26 年度の 1 人あたり観光消費額は、106,051 円だった。四半期別で見

ると、消費税免除制度改正の影響により 10〜12 月期および1〜3月期の観光消費額は伸びた。

中国および香港の観光消費額(中国 137,580 円、香港 89,077)が高額である一方、台湾、韓国の

消費額の低さが目立つ結果となった。

観光消費額推計結果(四半期別、パッケージ参加費のうちの県内消費額含む)

(出所)平成26年度外国人観光客実態調査

(6)費目別観光消費額

費目別に観光消費額をみると、中国の土産買物費(80,607 円)の高さが際立っていることがわか

る。一方で、韓国の土産買物費(25,220 円)が低くなっている。

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費目別観光消費額(パッケージ参加費内訳を含む)

(出所)平成26年度外国人観光客実態調査

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2.クルーズ船調査

(1)買物をした場所

買物をした場所をみると、国際通り(51.2%)の割合が高く、ドラッグストア(47.2%)、スーパー・シ

ョッピングセンター(35.1%)が続く。

買物をした場所(那覇港調査、複数回答)

(出所)平成26年度外国人観光客実態調査

国・地域別にみると、台湾のドラッグストアの利用割合(60.2%)が高く、中国はアウトレットモール

の利用割合が最も高くなっている。

買物をした場所(国・地域別、那覇港調査、複数回答)

(出所)平成26年度外国人観光客実態調査

買物の場所は国際通り、ドラッグストア、スーパー・ショッピングセンターの割合が高い。

購入した商品は、医薬品、菓子類が多く、医薬品は台湾からの観光客が多く購入してい

る。

観光消費額は中国が最も高く、土産・買物費の割合が過半を占めている。

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(2)沖縄で購入した商品

購入した商品は、医薬品(44.7%)が最も多く、菓子類(34.3%)、その他食料・飲料(28.6%)が続

く。

沖縄で購入した商品

(出所)平成26年度外国人観光客実態調査

国・地域別では、台湾(54.9%)の医薬品購入の割合が高く、中国は化粧品・香水(43.3%)や電

化製品(30.8%)の購入割合が高いことも特徴的である。

沖縄で購入した商品(国・地域別)

(出所)平成26年度外国人観光客実態調査

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(3)観光消費額推計結果(バスツアー参加費のうちの県内消費額を含む)

観光消費額は全体では 25,240 円だが、中国の購入額(46,988 円)の高さが際立つ。

観光消費額推計結果(バスツアー参加費のうちの県内消費額を含む)

(出所)平成26年度外国人観光客実態調査

(4)乗客一人あたり費目別観光消費額

乗客一人あたり観光消費額の費目内訳では、中国の土産・買物費(34,260 円)の高さが際立つ。

乗客一人あたり観光消費額費目内訳(国籍・地域別)

(出所)平成26年度外国人観光客実態調査

客種別の観光消費額は、個人行動客(26,525 円)とバスツアー客(25,509円)の消費額の水準に

比べ、乗務員(17,250 円)の観光消費額は低い。

客種別 1人あたり観光消費額

(出所)平成26年度外国人観光客実態調査

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(2)データの収集について

①活用可能なデータ等の現状

【オープンデータ】

平成 24 年に「電子行政オープンデータ戦略」(IT 総合戦略本部)が決定され、その戦略に基づ

き、オープンデータ政策が進められてきた。平成 26 年には、府省ホームページ全体のオープンデ

ータ化を進めるための利用規約「政府標準利用規約(第 1.0 版)が決定し、オープンデータ流通コ

ンソーシアムからは、「オープンデータ化ガイドライン第1版」が公表された。また、平成 25 年には、

「地方公共団体オープンデータ推進ガイドライン」が公表され、オープンデータが本格的に一般に

広める段階へと進んできた。

また、全国規模でのビジネスコンテストの開催やオープンデータを利活用したビジネス事例の収

集し、周知することでオープンデータの利活用を促進している。

【民間保有データ】

民間企業が保有するデータについては、現在、電力・ガス、交通機関等の一部の公益企業が保

有するデータの公開が進められているが、それ以外の企業等における公開については、検討も含

めてほとんど進んでいないのが現状である。

民間の保有するデータとして、個人の識別が不可能な匿名化されたデータの活用が望まれる中、

平成 26 年に「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」が策定され、平成 27 年に個人

情報保護法の改正案が閣議決定された。

これらを背景に、パーソナルデータ活用の推進が期待される一方、民間企業は、情報漏洩リスク

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やコストなど、パーソナルデータを保有することによる負担が生じる。民間保有データの活用につい

ては、公的機関等も連携しながら、データを適正に管理し安全に活用するための基盤整備が求め

られている。

【GPS 情報や SNS 等のデータ】

インターネットの普及、スマートフォン・タブレット等の急速な普及により、SNS アプリを使用して購

入した商品やサービスについての感想等、個人レベルの情報発信がいつでもどこでも手軽にできる

ようになった。これから商品やサービス等を購入しようと考えている消費者は、企業の発信する情報

とインターネット上の様々な口コミ情報を合わせて購買の意思決定を行うようになっている。そのよう

な状況の中で、消費者の行動を分析するうえで SNS のデータを分析することは、企業のマーケティ

ング活動において重要になってきている。

観光分野では、観光庁において、観光ビッグデータを活用した観光振興に関する調査研究が推

進されており、外国人については、2020 年訪日外国人旅行者数 2,000 万人が目標とされている。

現在、訪日外国人旅行者の旅行動態及び潜在的なニーズを把握するため、携帯端末の GPS機能を活用した流動分析、携帯電話の基地局情報を活用した地域特性分析、Twitter 等を活用

した訪日外国人意識分析等、ICT を活用した動態調査を実施し、新たな広域観光周遊ルートの検

討や、観光資源を世界レベルへ磨いて活かす地域づくり等への検討が行われている。

②データ収集における課題

県内においても外国人観光客の行動については、カーナビ GPS や Wi-Fi スポット等による携帯

端末等の利用情報の活用などが検討されており、民間のレンタカー事業者や通信事業者等の取り

組みにより、一部、調査研究は行われているものの、民間の保有するデータを本格的に活用するに

はいまだ基盤が整っていないのが現状である。

カーナビ GPS の活用については、大半のレンタカーに GPS 情報を収集する機材が装備されて

いないため幅広く活用する体制は整っていない。Wi-Fi スポット等による携帯端末等の利用情報の

活用についても同様であり、特に消費者側からも

技術的には可能なことから、費用対効果も含めて今後も調査研究や実証事業等の取組の推進

が求められるとともに、その成果を踏まえて本格的な基盤整備が望まれる。

パーソナルデータの活用については、銀聯カードや各種クレジットカードの利用情報、各種ポイン

トカードや RF タグ等のポイントデバイスの利用情報の活用が検討される。

より詳細な購買情報については、各種クレジット会社と POS レジ等との連動による商品購入情報

の活用等が考えられるものの、現段階では POS 情報の公開については、企業側の懸念があるとと

もに中国人の利用が多い銀聯カードと POS 情報の連動も現状としては検討されていない。

SNS 等のデータについては、インターネット上から誰でも収集できるデータであり、システムの導

入にコストをかければどのような企業でも活用が可能である。ただし、膨大なデータの中から必要な

データを収集するためには、目的をはっきりとしたうえで取り組まなければならない。

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(3)データ利活用における課題

①ビッグデータ活用に対する意識の醸成

ビッグデータを活用する前提として、組織自体がデータを活用する意識を持っていることが必要

である。企業においては、データを収集して分析することで何が得られるのか、社内にデータはある

が、どのように活用すべきかわからないという状況が多くあるのが実情といえる。

多くの企業では、データを活用するうえで「具体的な目的」と、その「費用対効果」が不明瞭であ

る。また、社内のデータを取り扱ううえで関係する部署や担当など、部門横断に取り組めない体制が

あるなど、組織体制に課題があることもある。

これらの課題解決に向けては、具体的にデータを活用して「何をするか」をはっきりと目的を定め、

それによって見込まれる費用対効果を試算し、データを基にした取組による「成功事例」を小さなも

のからでも創出していくことが必要である。それによりデータを活用する意識を組織的に高めることで、

部門横断的なシステムの導入、データに触れる人材を増やすなど、全体的な意識の向上にもつな

がると考えられる。

②データサイエンティスト等のデータ分析人材育成

ビッグデータを活用するうえでの課題として、データ分析を行う専門的な人材不足がある。一方で

分析を行う人材を育てることは非常に難しい。統計分析の知識が必要なうえ、分析ツールや IT に

精通していることに加え、自身で仮説を立てられるようなビジネスに精通している人材である必要が

ある。

多くの企業ではデータ分析は社内で行っている。また、専門の担当者ではなく、それぞれの業務

担当者が行っているのが実情といえる。沖縄県内も同様な状況にあり、さらにはデータを保有してい

てもそれを活用したことはないという企業も多いと考えられる。企業によって求められるデータ活用の

度合いは異なることから、専門的な人材を有しなくとも業務に必要な情報を十分に得られる場合も

あるが、より高度な分析を必要としても、それを担う人材がいないというのが実情である。

データ分析を行う人材の育成のため,情報科学,統計・機械学習の研究教育機関,それにデー

タを持つ現場としての研究機関・企業とのネットワークを確立させる必要があり、社内・社外を問わ

ず、いかに人材を確保していくかを検討する必要がある。

現状では、実践的な内容を教えられるような講師等も先進的企業における有識者に限られ、そ

のため、こういった企業への協力要請は必須である。

2 ビッグデータ活用による産業展開の方策検討

現状では、生データを提供している企業は非常に希少であり、データをいかに収集するかが課題

となる。個人情報の保護、情報漏えいを防ぐための安全確保、運用にあたってのルールなど、パー

ソナルデータを活用するための基盤整備を進め、データを保有する企業から有料で収集していく体

制を確立させる必要がある。また、SNS 等の情報収集については、海外の情報サービス会社等の

現地企業と提携するなど、情報を共有できるネットワークの構築の必要がある。

外国人観光客消費動向にかかるビックデータを活用にむけては、①SNS での情報発信、ブログ、

検索サイトなどの情報「キーワード」等と組み合わせ、②外国人観光客の宿泊施設の予約、宿泊等

と他データとの組み合わせ、③観光客の行動範囲情報(移動、宿泊、食事、お土産等の購買・消

費)などの組み合わせなど、いくつかのデータを組み合わせて分析できる環境を整える必要がある。

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5章 検討委員会

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5章 検討委員会

(1)第1回検討委員会

平成 27 年度

外国人観光客消費動向にかかるビッグデータによる観光高度化方策

及び産業波及可能性調査検討委員会

第1回委員会

1. 日時: 平成 28 年 1 月 21 日(木)10:00~12:00

2. 場所: 内閣府沖縄総合事務局

3. 出席者: (敬称略)

委員 山川 朝賢(委員長) 株式会社アイディーズ 代表取締役社長

国吉 博樹 沖縄セルラー電話株式会社 執行役員兼ビジネス開発部長

澤岻 千秋 株式会社御菓子御殿 専務取締役

中村 靖 沖縄ツーリスト株式会社 OTS レンタカー部 常務取締役

東恩納 盛雄 ザ・テラスホテルズ株式会社 マーケティング販売部ディレクター

比屋根 隆 株式会社レキサス 代表取締役社長

宮城 尚志 株式会社沖縄物産公社 代表取締役専務

米須 友昭 株式会社ユービックシステム 代表取締役社長

委員(代理) 徳元 一郎 沖縄ハム総合食品株式会社 営業部長

総合事務局 久田 友次郎 内閣府沖縄総合事務局 経済産業部 企画振興課長

濱川 均内閣府沖縄総合事務局 経済産業部 企画振興課 課長補

渡名喜 美和 内閣府沖縄総合事務局 経済産業部 企画振興課

事務局 伊波 貢 ブルームーンパートナーズ株式会社 代表取締役

當間 智幸 ブルームーンパートナーズ株式会社

4. 配布資料: 資料1.委員会名簿

資料 2.実施計画書

資料 3.ビッグデータに関する各種定義と今後の展望

資料 4.座席配置図

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議事要旨

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(1)事業趣旨説明

各種データを収集して各企業がコラボして最終的にはあらたなサービスを作る。

県内産のサービス、商品を売っていく。コラボして売っていく環境を作りたい。

各種データがどこにあって、誰が、どういう内容を持って、利用してよいか。データを取

り出せるか。整理されているか。

だれも、情報を把握していない。各事業社で商品開発に対して情報がない状況である。

3、4 社で OTS と自社データを持っているところとコラボや、スマイルタグと他のサービス

を連携する。データのヒモ付けをしないと利用できないので各委員からの意見を聞きな

がら進めていきたい。

(2)データの収集及びデータ活用の現状について

リストバンドを国際通りと観光施設で使えるように実証実験を提供している。

個人情報は IC タグの番号に置き換えて情報を収集している。

お店で購買した金額の収集。POS と連携はしていない。購買内容は不明。

リストバンドでどこのお店で購入したかはわかる。

ツアー客に氏名をニックネークで、男・女、年代、国籍などはパスポートリーダを利用し

て情報を収集している。

POS データがある。外国人が購入した商品を分類大中小で何を買ったかわかるが、国

籍は不明。台湾、香港、大陸、韓国、それぞれの購買志向性の違いはわかるがその

人のニーズ、年代、セグメント、等がまだ不十分。

手つかずの分野として動物病院向けの動物業界、動物病院向けのグラウドシステムを

開発している。飼い主のスマホに対して、犬、猫に IOT のウェアブルをつけて膨大なデ

ータを収集している。また、病院から疾病データ、飼い主から同のようなやり取り、店舗

から犬、猫の運動量等も取得している。ペット保険の加入率 4% 海外では 15%となっ

ている。その基礎情報を病院、スマホから収集して、犬、猫の病気の予測として未来に

あった保険を提供する。

機械学習で膨大なデータから AI にて情報を分析収集している。ウェディング業界向け

のアルバムサービスを行っている。500 枚~600 枚中 50 枚の選定を画像解析と機会

学習することによってプロが選んだようアルバムサービスを提供している。

ホテルは宿泊の方の国籍、国内ならどこからを訪れているかを把握しているが、沖縄で

は成田から沖縄に入る外国人はカウントに入っていない。ホテルでは実際に泊まって

いるのでアメリカ人やイタリア人やフランス人等のように把握している。

平成 23 年度に通信会社方から依頼があって、GPS を利用した動線 100 人、国土事

務所の外郭団体から 450 名、7 回の実証実験を行って 1,800 サンプルを収集し海外

のお客の動向を取った。

小売店舗で POS データを利用している。POS データで商品の売れ筋を分析している。

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パスポートリーダで外国人の売り上げを把握している。商品購買の情報を収集し、蓄

積している。

携帯電話 95%が県内のお客様。通話回数、通話時間などの解析は行っている。

インフラ基盤として Wi-Fi は、沖縄県が整備を推進している。Wi-Fi を活用してヒートマ

ップの作成ができる。お客様がどのような観光地、観光地に集まっているかを把握する

ことができる。観光地ランキング。どういった場所にお客様が行ったかの動線情報を把

握することができる。

(3)データ活用の今後の方向性・期待すること

製造メーカとして、どういった原料の物が、人気があるのかが分かることによって、商品

開発に結びつけて、商品開発、加工、価格に結びつけていけることができればと思っ

ている。

(4)データ活用にあたっての障壁

POS と連携できていない。

国内情報はあるが、外国人情報となると、国籍の問題、セグメントができない。

現状のカーナビでは通信機能がついていないので無理だか、新たに通信機能のつい

たタブレット端末があれば可能である。

(4)データを活用する場合のデータの課題

病院によってカルテの記入が異なる。

データサイエンティストが不足している。

全国から出した家計調査と弊社のファイミリーインデックスとの乖(かい)離がある。

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(2)第2回検討委員会

平成 27 年

度外国人観光客消費動向にかかるビッグデータによる観光高度化方策

及び産業波及可能性調査検討委員会

第 2 回委員会

1. 日時: 平成 28 年 3 月 14 日(月)10:00~12:00

2. 場所: 内閣府沖縄総合事務局

3. 出席者: (敬称略)

委員 山 川 朝 賢 ( 委 員

長)

株式会社アイディーズ 代表取締役社長

国吉 博樹 沖縄セルラー電話株式会社 執行役員兼ビジネス開

発部長

澤岻 千秋 株式会社御菓子御殿 専務取締役

長濱 徳勝 沖縄ハム総合食品株式会社

中村 靖 沖縄ツーリスト株式会社 OTS レンタカー部 常務取

締役

比嘉 徹 株式会社レイメイコンピュータ 代表取締役

宮城 尚志 株式会社沖縄物産公社 代表取締役専務

米須 友昭 株式会社ユービックシステム 代表取締役社長

委員(代理) 玉川 卓二 ザ・テラスホテルズ株式会社 マーケティング販売部

シニアマネージャ

濱川 均内閣府沖縄総合事務局 経済産業部 企画振興課

課長補佐

渡名喜 美和 内閣府沖縄総合事務局 経済産業部 企画振興課

事務局 伊波 貢 ブルームーンパートナーズ株式会社 代表取締役

當間 智幸 ブルームーンパートナーズ株式会社

4. 配布資料: 資料 1.第 1 回検討委員会議事概要

資料 2.第 2 回検討委員会参考資料

資料 3.第 2 回検討委員会名簿

資料 4.座席配置図

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議事要旨

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(1) データを効果的に活用するための組織づくり

社外のクライアントに対して、データを提供したいのだが、なかなか整備がされていない。

(2) データの収集・調査・分析手法に関する情報提供

色々なホームページとか、SNS とかそういう所からも情報収集した方が良いと思った。

最近では、台湾とか中国とか日本に来る前に、サイトで有名な人がつぶやくと、買い物

客が増えることを聞きます。そういった情報を先に先手を取って、日々情報を入手する

ことが必要かと思います。

物産公社では、小売りの POS データと卸の販売データと両方持っています。

私どもの店舗、9店舗の販売データを中分類だけど業者向けにフィードバックしている。

私どもは店舗で外国人向けに商品をバーコードスキャンして、消費動向の調査を行っ

ている。約1ヶ月間で1万タッチのデータがある。

外国人の興味は、沖縄の商品だけではない。日本全国の商品を求めている方々が多

い。

ツーリストバンドを配布して2万人分の消費者動向のデータある。

課題となっているプライバシーに関する署名を頂いている欄とか、そのような問題が

多々ありますけど、データを集める、それをどうやって活用していくかというのを研究とい

うか考え始めている段階です。

SNS とかそういうものと掛け合わせた時に、どういう風なデータが出て来るのかを期待し

つつ、データを蓄積している。

宿泊客のデータは収集している。

販売状況は、旅行会社にお願いして、自社、他社の比較をして、原因分析を行ってい

る。

アイディーズ沖縄は、クックパッドという会社と提携している。

クックパッドというのは、例えば3カ月後のバレンタインデーに向けて、サイトを立ち上げ、

さまざまな食材などの情報を収集している。

現実の過去の去年の同時期のデータを付き合わせて販売予想をたてるということを行

っている。

レンタカー会社は、装置産業です。時期に応じて常備台数を変動させる。

現在、先読カレンダーを利用することで、価格も調整できている。ビッグデータは、私ど

もではまだ取っ付きにくいが、カレンダーなどシンプルな感じで対応させて頂いておりま

す。

商品名と数量とお客様の客層などの3つのデータを収集できたら、消費動向や沖縄商

品のビッグデータがすぐ使えるなという思いが常にある。

公的機関の方が、そういう組織を作り上げてそれに参画していただくというのをすれば、

すぐにでも沖縄のビッグデータができ上がると思う。

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お客様が Wi-Fi、GPS、決算に NFC などを利用すれば、観光客の行動や消費動向を

捉えることができる。

(3) 個人情報の取扱い等法的リスクと予防策の検討

基本的に個人情報を所得するには、必ず顧客からの署名を頂いている。

県とか国に対して、個人情報の扱いに対しては、しっかり開示するべきと思います。

私ども、日本の全国約 3,000 万人の個人情報は、スクランブルをかけて個人が特定で

きないように管理している。

弊社のシステムは、Edy カードを使って会員管理をしている。何をどれだけ買ったかとい

うのが全部わかるわけですが個人情報は保有していない。

(4) データ利活用について今後の検討

データ分析は重要になってくるので社員教育や技術習得の場を設けたい。

ビッグデータ等を活用して次の商品開発、県産品または、インバウンド向け県産品の販

路拡大、これをやっていけるような体制作りをしていきたい。

人材の部分で、ビッグデータなど相当量の多種多様なデータが存在すると思いますか

ら、それを扱って整理するという人材、プロフェッショナルを育て上げないといけないなと

思います。

やはり我々もかなりのデータが収集、共有し、やはり第三者機関の様なものを設けて、

沖縄物産情報管理センターみたいなものを作って、一括でセキュリティー管理を行うの

も必要だと思う。

ビッグデータを那覇市内の交通渋滞緩和などへの試みなど活用できれば、派生ビジネ

スチャンスも出てくるのではと思います。

沖縄クリップは情報発信という話をさせていただきました。今取り掛かっているのは Wi-

Fi 環境整備です。観光客にアプリ登録をいただいて、必要な情報を選定して PUSH 型

で提供する。

私どもの会社でも、全国の商品のデータベースが 400 万アイテムの商品があります。I コ

ード化という統一したコードで収集した情報を物価指数プロジェクトへの提供や国、大

学にデータを提供して、サイエンティストなどの育成に利用したい。

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6章 ビッグデータ利活用セミナー

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6章 .ビッグデータ利活用セミナー

【ビッグデータ利活用セミナー1】「ビッグデータとは!~ビッグデータによる価値創造~」

河合

改めまして富士通の河合です。私は富士通でビッグデータのエバンジェリストをやっていまして、エ

バンジェリストとは何かとクエスチョンかと思いますが、エヴァンゲリオンではなくて、やはり色々ビジネ

スを啓蒙するためにとか、そういう概念を自分の中に広めるということを代表してやらせていただいて

います。

どうぞよろしくお願いいたします。

大好きな沖縄でこのような機会を頂けて、非常に光栄に思っております。

よろしくお願いします。

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今日お話しする内容は、富士通はベンダーですので、お客様から色々お話しをもらって、最先端な

ことも色々やらせて頂いてますけど、内容としてはですね、まずは教科書でも分かるような話ををさせ

て頂いて、その後、我々がやっている取り組みと、またちょっとご提言みたいなことを最後に加えさせ

て頂けたらなと思っています。

ご質問も含めて 55 分までということなので、もし中で理解しにくいことがあったら、どうぞ最後に溜め

ておいて質問、なんなりとお受けしますので、宜しくお願いします。

まず最初は ICT の進化です。

ビッグデータって何かって話なんですけど、教科書にもこういうの書いてありますが、

皆さんも色んな年代の方、いらっしゃいますが、入社した時に、パソコンのあった方もいればなかった

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方、私も実はなかったです。

という方向で、それなのに今皆さんスマホをお持ちで、色んなデータを日々発生させているという状

況にあると思います。

もともとコンピューターはこの以前からあったんですけど、ここで何が起こったか、パラダイムシフトで

すね、手作業をコンピューター化させたというのは大体 70 年代、皆さんもご経験されている方はご

理解頂けると思います。

その後、90 年代になるとインターネットというのが登場してきて、今日、お話しいただく森さん

の所も楽天さんということで、登場されたのはこの年代ですね、

そうすると何が起こったかというと、普通に事務作業やってた、コンピューターでやっていたのがこう

やって繋がれちゃった というような時代が来たと、その後に 2010 年以来、ビッグデータ、IoT という

言葉が出たんですね。

ここで何が起こったかというと、一人でやってた、繋がった。そして次に何かが出てくるというのが今の

時代です。

それが背景に何があるかと話なんですけど、まあ端的にいうとお手持ちの資料にありますけど CPU

の性能と通信こういう技術的な進歩が起こった。

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今までできなかった技術的なテクノロジーが進歩したことによって、大量のデータを扱えるようになっ

たし、速さも意識してできるようになった。

ということで、CPU 性能も通信の性能もこんな感じで進歩してきたわけです。非常に速いですね。ス

ピードが。

やることも色々、可能なことが増えてきた、というような状況です。

ちょっとだけ宣伝、富士通の京、2位じゃだめなんですかで有名な京コンピューターです。で、これ

10 の 16 乗、これが CPU をこんだけ積んで、すごく速い計算ができるようになった世界随一の

今、これ実はスパコンで色んな分野で1、2、3位を決めるんですが、そこでまだ1位じゃないですけど、

中国にとられちゃったんですが、今グラフィックの所ではまだ1位というような。

こういうような性能のものが登場して来ているというのが時代背景としてあるわけです。

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そうすると何が起こるかというと、今までできなかった。簡単ですよね、性能とか通信の速度が速くな

れば、入れ物が大きくなったという事なので、色んなものが取れるようになっちゃいましたと、ということ

でハイパーコミュニテッドワールドっていうのは富士通が理念としてやってるものなんですけど、世界

を繋げて色んな新しい価値を見出そうというのが、世界が到来しているというのが、今の状況になり

ます。

ではビッグデータって何か。

ちょっと言葉を皆さん認識は共通化 したいので、少しお勉強モードで進めさせていただきます。

ビッグデータとは何か、モノなんですが現象なんですかなんて色々、私も3年位前から、こんなような

話をしてるんですけど、バズワードじゃないかと、すぐなくなるんじゃないか、みたいなことも言われて

きたんですが、まだありますね。去年あたりからちょっと IoT が出てきたりして、ちょっと下火にビッグデ

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ータという言葉がなったんですけど、またここへきて盛り上がってきているというのが感覚としてありま

す。

何かと言うとモノはモノですね。データがたくさんあるし、飛躍的に伸びて、みなさん身をもって体験

されてきてると思いますが、で改めてみなさんがおっしゃている定義ですけど、

ボリューム(Volume)、バラエティー、(Variety)、ベロシティー(Verocity)です。

量は多い、種類は多い、頻度はすぐ溜めているわけではない、もうすぐそこら辺に沢山のデータがい

ろんな種類のモノがある、これ使わない手はないんじゃないか、っていうのがビッグデータなんです。

最後の3V 足すバリュー、4V ですね、バリューを高めるというのが、今やっぱり世の中で起こっている

ことであって、日本だけやらないという訳にはいかないですね。

私も年初にシリコンバレーに行ってきました。ラスベガスの展示会をみてきました。すごいです。

シリコンバレーはいろんなベンチャー訪問してきたんですが、ラスベガスの展示会ではすれ違う人、

中国人か韓国人かちょっと分かりませんけど、アジアの方だらけです。

出展者もそうです。日本の方はあまりお会いしませんでした。正直セキュリティの関連で展示会で名

札をつけなければいけないですね。で一応東洋人、会うたびにつけてみたんですけど、日本人の苗

字は長いので、すぐ分かるんです。アルファベットで。すれ違う人みんな2文字か3文字のアルファベ

ットの人が非常に多くて、もうアジアの勢いはすごいと感心して帰って来ました。

そんな感じで価値をどう出すか、ここがやっぱりポイントになります。

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次に IoT ですね。IoT とはインターネットオブシングス(Internet of Things)なので、みなさん何となく

お分かりだと思いますけど、インターネットにモノが全部繋がるよ、通信はさきほど言いましたけど、速

くなっているので繋げないのがほとんどなくなってきたという状況で、繋げたら何が起こるかというのが

価値、そのことだという風にお考えください。

ICT、自動車、家電いろんなとこで、毎日新聞に載っていて、私も疲れちゃうんですが、昨日は囲碁

が5戦でやっと1勝したというのが出てましたね。AI で。囲碁は道、外れてしまいますが、

囲碁はあと5、6年くらいかかるんじゃないかと実は言われてた世界なんですが、チェスとか将棋は

今までの過去の暗記させれば何となくできた世界なんですが、囲碁は中々、碁盤も目の数も違うし、

打ち手が全然読めないはずなのに、それがもうきちゃったということでちょっと焦ったりとかしてますね。

あとは中小企業での IoT を使った行政府が推進するみたいな記事が載ってたので IoT という言葉

もビッグデータと絡めて重要なワードとなっています。

だけど、ビッグデータと IoT って何なのっていう話になると思うんですけど、簡単です。

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IoT ってインターネットオブシングス、インターネットですから繋がっているだけです。別にそこで解析

するわけではないし、ただ非常にネットワークが重要なので、溜まる重要なデータというのは IoT。

IoT で溜まったデータを、IoT だけではなく元々お持のデータもあるし、顧客データもあるわけですの

で、そういうのを分析してアクションやビジネスボードに落とすのを、ビッグデータと私は捉えています。

ただインターネットオブシングスの方は別にここに統計力が必要だとかデータサイエンティストが必要

だとかあんまり言われません。

こっちの世界は結構言われますね。

データサイエンティストが価値を生み出す。集めたところで何もアップしない。何もしない。こっちで何

かをやらないと価値が生まれないというのが IoT とビッグデータの関係です。

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IoT の方ですけども、いろんなモノが繋がると申しましたが、こんな感じのモノがいっぱい出てきてま

すね。靴だとか指輪だとか小さいモノ、

それから回るくねくね回るセンサー。それからこれは耳たぶにつけて、眠気を覚ますセンサーとか。

色々なものがある。

どんな仕組みになっているかとお話しますと、センサーシューズ、ここに仕込んでいるんですね。足っ

て走る時まわりますよね、柔らかいセンサーとここで重心とかを測って、この中に GPS だとかこの重さ

の変化だとか速度だとかジャイロセンサーとか、いろんなモノを入れてます。

センサーとソフトウェアが入ってます。ソフトウェアが入って、ネットワークで飛ばすわけですね。IoT の

ウェアラブルというのはすべてこのような仕組みになっています。

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センサーとネットワークとソフトウェアとチップ。これが IoT のいろんなとこに繋がっているウェアラブル

機器です。これによってまたデータがどんどん溜まるわけです。

リストバンドとかでもヴァイタルセンサーとか身につけたりとか、みんなこうやって組み込みソフトウェア

っていうことで結構重要になっていって、

このプログラマーが不足しているとか、情報もありますね。

というようなことでビッグデータがどんどん日々増えていく。

次、オープンデータです。

これは名前の通りと思ってください。

オープンデータというのは、政府とか公共の方々がお造りになっているデータを皆さんがきちんと使

えると。簡単にいうとそういうものです。

ただ、さきほどビッグデータで3V と言いましたけど、量はさておき、種類は色々有るわけですね。

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データの形式、簡単なところでいうと pdf ファイル、じゃあ皆さん、pdf ファイルとエクセルを解析してく

ださいというとすぐできますか、という話なんですね。オープンデータはそういう種類が多い。世界中

のデータのことをいうので、中々、規約を作りのも難しい。オープンデータは作るのも難しいですね。

それは今政府が一所懸命やって頂いてるのが現状です。

これらを合わせて、ビッグデータというのを先ほどのセンサーもそうです。ウェアラブルが発生しますし、

オープンデータもあります。企業内にもあります。それらを使って何をやりますかと。発生するデータと

書きましたけど、実は皆さんお持ちなんです、データを。お持ちなんだけど使い切れない。というのが

実態です。

というのがまずデータのご説明になります。

次、人工知能 AI ですけども、人工知能という訳は個人的にはどうかと思うんですが、知能というのは、

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やっぱり右脳と左脳があるので、機械に右脳はできないと私は思っています。この間も文学部の教

授の方が、感動する小説の人工知能が書けるんですか、と質問されたんですけど、ある程度は書け

るんですが、

感情の度合いって皆さん違うので、そんなことはできませんと一応お答えをしてきましたけど、人工

知能 AI が機械的に何ができるかっていうと、知覚、色覚判断の支援ですね。判断はある程度できま

すけど、最終判断は人間がやるべきだ。

ということで、機械学習、ディープラーニングという言葉が出てきています。有名な所では、グーグル

さんが犬の絵をディープラーニングで判断させているのがありますけど、簡単なんです。0と1の世界

なので、関連付けてどんどん、ニューロネットワークって皆さんだいたい絵をみたことあると思うんです

が、関連づけてますね、これはイエスイエスイエスとずっとやっていくと答えが出るという世界がどれだ

け早く、どれだけ多くのデータでできるかっていうのが人工知能の世界なんですね。

ですので、人間とは違います。知能じゃないんです。速く計算するゲーム。要は簡単にいうとドリルを

する能力は高いけど、ドリルは作れません。人工知能は。それが人間の仕事。だけどドリルを解く所

は人間知識いらなくて、無理じゃないかという話であれば、一般の有効性は非常に高いと思ってお

ります。

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富士通も実は 30 年前から、人工知能、研究していましてワトソンは有名ですけど、IT の世界で。昨

日国際通りのかりゆしのショップに行って、ペッパーがいてびっくりしました。ペッパー君が今日は元

気みたいな声かけてましたが、あれもケースを与えれば、話しかけるというプログラミングをしているの

で、機械に近い、人でも何でもない。それをどう使うかというだけです。富士通がやってるのは手書き

の文字の認識とか、サイバー攻撃とかこのような所には人工知能の研究はしております。

結局はどういう風に使うか、未来なんですけど、例えば、応答システムというのが割と分かりやすいん

ですが、単なる答えが決まっている塊があるんですね。それに対して質問したら、なんか答えると何と

なく成り立つみたいな世界が今の所、人工知能なんですけど、将来的には質問したら、人工知能の

システムの方がいろんな回答候補とか推論知識とかデータベースを持っていて、この辺りから、質問

に対して答えをやり取りをすること、どんどん狭めていくわけです。速く沢山の解答の中から。それに

よって的確な答えが返るというのは、可能ですね。

お医者さんが、インフルエンザか風邪か、と判断するときに、熱はありますか、関節痛いですか、それ

はいつからですか、で診断すると思うんですけども、それと同じで多分ものの研究によりと 2030 年に

なくなる職業というのがあるらしいんです。なぜならルールさえあれば、別に人間の右脳を使わなくて

もいい世界があれば、いらないからです。

なので、ルールさえ与えれば、答えは出ます。

ただ、右脳の方はどうですかと言えば、人工知能の方では一生できないと私は思います。

というので、今までの所は教科書ベースの話でした。

言葉の定義もいろんな方が色んなことをおっしゃってますけど、ビジネスに使う時はどうかという観点

でお話しさせて頂きます。

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次にビッグデータができることについてお話しさせて頂きたいと思います。

概念的には今までもデータがなかったわけじゃないんですね。

期間データ、ログデータというのは実は、色んなお客様からお話しを頂くんですが、今データあるん

だけど、全部今まで捨ててた、2年間分だけとっているけど、ずっと捨ててた、それを何かに利用でき

ないかという相談が多いです。

今までなかったわけではなく、それを可視化して分析して何かに使おうなんていう動きが、結構今ヒ

ートアップしているようなのがビッグデータの世界ですね。

これは概念図ですが、その中で、富士通の方にお客様から色々お話しを頂いたのが、こんな分類を

しています。

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POCPOB と書いてありますけど、プルーフオブコンセプトとプルーフオブビジネスみたいなものです。

なんでこういうことをしているかというと、実はお客様、これをやらなくても今は困らない。

別に新しいことなので、今は困らない。ただ、1年後、2年後、さっきアジアの人が凄く元気だというお

話しをしましたが、その人たちは既にやっているんですね。なので、ちょっと早く始めたい人たちは、

まず、小さいデータを預けてみてとか、そういう話しが多いです。

マーケティングですね、POS データお持ちなので、皆さん。POS データの分析は今まで皆さんやって

たわけなんですけど、それと SNS をぶつけてみるとか、地域のイベントと合わせて何が見えるか、とか

新しい発想がマーケティングはやりやすいので、それでこれくらい話し来ています。

あと交通とか製造業、農業あと設備保全、このあたり結構、POC とか POB とかやらせて頂いてます。

これで成功すると本格的にプロセスに落とし込むという段取りになっています。

後半にちょっとその進め方のお話しをさせて頂きますけれど、今こんな感じのことが始まっております。

でなんかバラバラと事例も紹介させて頂きますけれど、新しいという意味でちょっと持っていきたいん

ですが、

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例えば、パシフィックパーティ、パリーグの野球中継を思い出してください。これも例えばイチロー選

手の活躍を見たい時に 11 時からのプロ野球ニュースとかスポーツコーナーでちょろっと出るだけみ

たいな、それは自分が見たい所じゃないんだと。みたいのはイチロー選手の全部の打席をみたいと

かホームランだけ見たいとか、走った所だけ見たいとか、色々そういうニーズに応えて、この絵に手繰

っていって印をつけたわけですね。

そうすると、それと野球の結果の分析を一緒に同時に行いまして、視聴者がみたいものを見ると。と

いうような新しいビッグデータの活用になっています。

それからデジタルヘルス、これはアメリカでラスベガスのショーに行った時、3分の1くらいはデジタル

ヘルスの話しでした。デジタルヘルス、デジタルフィットネス。何かと言うと、ヴァイタルセンサーをつけ

て、血圧だ脈拍だといろんなモノを測ることができる。これはフィンランドで実際やった話しなんです

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が、フィンランドは元々コマーシャルでもやらさせて頂いたんですが、カルテが共有できて、日本みた

いに自分の病院だけではなくて、全部共有できる仕組みもあるので、そこにこのヴァイタルセンサー

の情報を入れると、いろんなお医者さん同士の総合的な情報を共有できるし、またここにジャイロセ

ンサーとか入っているので、転倒したりとか、GPS も入っているので、どこに今病院にいるのかという

情報もゲットすることができるような事例です。

次は製造業です。これはオムロンさん。

ペイント版作っている会社さんですが、見えにくくて申し訳ないですが、ここにビッグデータの解析し

たのが出てますけど、もともとラインにセンサーが付いてて、ペイント版が流れるわけです。工場の中

で作って、次の人がこう乗せる。そういう所で、時々詰まるらしいんです。工場のラインが。それを全

部、溜めてたんだけど、止まっている情報を知ってたんだけど、何もやってなかった。で、これを見え

る化したい。

ということで、集めて見える化して、これ左0軸が時間で、上が停まっているかどうか、ラインごとにい

れたんですね。そうすると、どこで、停まっているか、いつ停まったか、というのが全部見える化できた、

そうすると無駄なとか、なんで停まったのかとか、というのが即座に改善できて 30%も効率化したとい

うのが、パブリックにも発表されています。ですので今まで捨てていたデータを、見える化しただけな

んですね。だけど、そういう風に30%も効果が出たという、これを多分プロセスに次は落とし込むとい

うステップに含まれると思うんですけど、どこで何が起こってたかというのが、わかるので、それを改善

するという。例えば、人の動きだとか、あとラインの間隔だとか多分そのことにステップアップされること

だと思います。

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製造業のもう一つの事例ですが、最近またお話し頂くのが、品質が非常に製造業では重要なもの

になってて、モノを作るときに色々エアバックの事例とか色々ありましたけれども、熟練工の方々が非

常に活躍している場面ではあります、結構経験と勘で、業種にもよるんですが、これくらいだったら大

丈夫だとか、そういうノウハウで動いているところが結構ありますね。それを、あるお客様から熟練工

の方ほど、分散する装置というか、プロセスに進むときに、指示をだす人の、熟練工の技を機械学習

でいきたいという、お題をいただきまして、熟練工の方が見る順番って決まっているそうです。指示だ

すときここのデータが変だから次こうやって。というのを熟練工が何人かいらして、それを全部見える

化して、熟練工のノウハウを機械学習で解くと、要は正解というか、どう動けばいいか、というのが一

目瞭然に分かる。そうすると熟練工の方が何人も作れるわけですね。これも機械のなせる技ですね。

いきなり次は農業の話になります。

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富士通のデータです。富士通はレタス作っているんですが、これは会津若松工場というところで半

導体を作っていたんですが、半導体って無菌というか、綺麗な工場でしか作れないモノで、そこで半

導体の技術が下降して、植物工場に変化させた。これは楽天さんでも売っているんですけど、一袋

二百何十円か400円の幅で、葉っぱが4枚くらいしか入ってないんですが、非常に高付加価値なレ

タスなんです。カリウムが入ってないので、低カリウムで、糖尿病の方などに喜ばれている。

あと高級クルーズ、船の旅っていままで野菜でなかったらしいです。すぐ、葉物って野菜が出なかっ

た。サラダ出せなかった。だけどこれ実はすごく売れてます。高級クルーズの船に。無菌なので、腐ら

ない。いつ開けてもパリパリしている。しかも、エグ味がない。これがなんでできたかというと、これが半

導体工場の中で、レタスを作ったモノです。色んな IT を使っています。これは色んなノウハウを溜め

込んだ、ドキュメントとか秋田大学の人たちと一緒にやったんですが、そういう知の輪があったんです

ね。ノウハウを溜め込んだとか、食料クラウドのあきさい、あきさいというのは、元々、今日はあまり詳し

い話しは持ってこなかったが、元々和歌山のみかんの農家の方が、甘いみかんを作りたいと、自分

はノウハウを凄く持っている、天気とか土の状況、土の養分、成分の状況、それから水分とか、日照

時間、いつ蒔いて、いつ収穫してという計算、全部ノウハウを持っている、それを IT 化したい。一番

甘いみかんを作るノウハウを持っているので IT 化したいということであきさいというクラウドを作った。

これは、獺祭という日本酒の私がいつも飲むところに提供させて頂いているですが、ノウハウお持ち

の人たちをデータ化すればいい。

そうすると、次の人も使える。もちろんノウハウにも IT があるので、活用して頂く。

そのあきさいを使ったり、あとダッシュボードと言って、色んな工場の中のモノを見えるようにした。

それから、電気です。

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電気の情報も見えるようにしたのが、この会津若松工場です。

ちょっとだけビデオをご覧になっていただきます。

すません、割愛させていただきます。

製造業のことをもう少しだけ、詳しく説明させていただきますが、今のレタス工場の所は製造業のサ

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プライチェーンの研究の所から、販売の所まで全部データ使っているんですね。今まであったデータ

と内部のデータと外のデータ、両方使うと、気象データ書いてますけど、こういう新たな組み合わせ

で分析をして野菜まで作れるというような事例になります。

後は、今からこういう囲いは色々お話し頂いているそのものなんですが、研究開発の方も特許情報

の検索とか、自分の所の研究が本当に世の中の役に立つのかという事を調べたいというので、SNS

で調べてるというか、あと需要要素、これも昔からある話ですけど、昔は外のデータ、政府が出してい

る、統計データとか、リサーチ会社が出している、統計データを扱ってましたが、今はリアルに色々、

とってこれますので、そういう需要要素ですとか、あと品質、生産性の精査データを使う保守サービ

ス、それから、計画まで入れた需要要素。このような言葉も今まであったデータを使ったり、外のデー

タを使ったりして、色んなバラエティーが組み合わせによってできるとういう事が製造業のデータ活用

になります。

それを顧客志向、品質、生産性、安全だと書いていますが、このような切り口だと、キーワードがあり

ますが、データを使って色んな事ができるようになりましたというのが、このまとめになっています。

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マーケティングですけど、これを皆さん身をもって体験されていると思います。色々検索するといっぱ

い来ますよね。広告みたいのが。知らない間に、アクセスをするとみんな自分のデータ吸い上げられ

て、それによって、IT にマーケティングされていますけど、そういう世界がもう来ています。

元々どういう事かというと、これは一例なんですが、SNS からレコメンドをもらったり、みたらアクセスロ

グ取られます。他者に委託するとアクセスログ、取られてます。だから SNS やると口コミチェックされて

ます。それから問い合わせすれば、もちろん個人データ取られてます。あなたは誰ですか、何が好き

ですか、何買いましたか、どこの人ですか、というのを全部わかります。これ中国の方などは、これ本

当に凄くて、特に日本に住んでいる中国人の発信力ってすごいらしいんです。ちょっと調べたんで

すが、その人たちが、SNS でつぶやくと、みんながそのデータを見に行って、そのサイクルが非常に

活発に行われている。こういうのがマーケティングの今の実態です。

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ソーシャルメディアについてちょっとだけお話しすると、SNS でツイッター、ブログ、それからフェイスブ

ック、日本ではそれがありますけど、これ何かと言うと、今までは 1 対 N だったものが、もう一対一で

繋がるという話しです。ただ玉石混交で、書いてますけど、どれが真実でどれが嘘かというのが分か

りにくい、もちろん。だけど技術は進歩しています。富士通の研究技術では。つぶやいた内容によっ

て、個人は個人情報の関係があるのでお付けしませんが、何十代の男性か女性かで、職業くらいま

では大体分かります。ブログはプロフィールは公開しないが、大体言ってる事でわかっちゃう。なので

それもマーケティングに非常に役立つ情報だと言えるかと思います。

そうすると何が起こるかと言うと、今まではアンケートとか来た人に会員登録してくださいとかで、買っ

た情報はすぐにわかる、POS でやってます。でも、そういう何十代で二十代の男性の何が欲しい、で

も買わなかったみたいなものはデータとしてあるんです。視線検知という技術もある。商品をずっと見

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てたけれど、買わなかった。そういうのも取れちゃう。なんで買わなかったか、という分析も行動パター

ンも分析している。

なので外国人の方が日本でビジネスするときも、この辺りは非常に役にたつ。

もちろん日本語とか中国語とか、言葉の壁はあります。その辺りももう、翻訳などは簡単にできるよう

になって、外国人も、もちろん我々研究者の中にいますので、その辺りもすごく可能になってきてい

る、いろんな事が可能になっている、この辺りは覚えていただけたらなと思います。

それから一般的な活用例では、よくテレビとかでダイエットの本を宣伝すると、在庫不足が起きるな

んていうのも、よく使われる事なので、事前にブログ情報を分析すると次になにが起こるかというのが、

分かりますね。

この中にも同じような話しがあって、ソーシャルデータとか、物販データを合わせて、ワンパターンな

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んですが、要は今あるデータとそれから起こっているデータをリアルタイムに吸い上げて、色んなここ

は統計の手法が必要になりますけど、モデルを作ります。統計モデルを作って実態に、あのダイエッ

トの本を仕入れといてみたいな、そうすると欠品もなくなるし、売上があがると。というのがこの仕組み

です。

マーケティングの話しです。

結局は何かと言うと、POS データ、ウェブにアクセスもそうです。それに対してどう動いたかがカメラで

撮れます。

それからオープンデータ、先ほど申し上げたように、政府とか出しているようなデータとか気温とか、こ

ういうのをかき合わせると何ができるかというところが、知恵の見せ所なのでは。それがビッグデータの

世界です。人がやった事を追いかけるというのは、もちろんあります。皆さんイマジネーションが豊富

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なので、何と何を掛け合わせたら、何ができるかという面白い世界でもあります。

なのでイノベーションとかそういう所から新しいものが生まれるんだなというのがこの世界になります。

これが、富士通のスペーシオウル(SPATIOWL)という位置情報サービスですが、これは何かというと。

これはちょっと見ていただきたいですが、ビッグデータって結局、とどのつまりは、色んな所でボリュー

ムのあるバラエティーのある、情報が発生すると言いましたけど、よく考えると、地図。どこで、というの

が非常に重要になっていく、どこでデータが発生してますか、まず地図情報ですね。

その上に色んなデータを重ねる、エアですか1分前のデータ、2分前のデータ、これもデータそれぞ

れ、皆さん想像して下さい。時間と場所によって変化が生まれる、そうすると1分前、10分前だと交

通量違いますね。何か起こっている。ここでわかるわけです。

それに色んなクーポン出そうというのも、この発想ですね。地図と時間でデータを取れば、何かが起

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こるというのが、割とキモになるのかなというのがあります。

そんな中で何をやったかというと、これは川崎市が市民に対して、アンケートを取って、今保育所の

問題とかあるが、お出かけスポット、今どこで何をやっているというのをアプリに通知してサービスをし

ている。

それから見守りサービスも同じです。どこでお子さんなり、老人なりが動いているのかという情報を簡

単にゲットすることができる。

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次に地域ストーリーでは何が起こっているのかというのを一つ紹介します。

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川崎などもそうですが、色んな所で自治体と企業が組んで色んなことを始めてます。面白いのは、

訪日インバウンドというのが最近、出てきているのでこの辺りは押さえどころかなという気はします。

で、柏市様はスペーシオウルに色んな街の情報を市民サービスとして乗せて、モバイルアプリ系で

通知しているという事例になります。

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それから観光クラウドというのもあります。これは観光客に対して、どこに行きたいか、どこのルートが

一番いいかなというのを提案して、来てもらうというようなこともできています。

それから滋賀県ではこれもモバイルアプリなんですが、スタンプラリーなどを使って、これも配信して

もらえば、どこで誰が動いてるなどの時間と場所をすぐゲットできるので、これをお店の人とか、クーポ

ンいつ出すの、というので使えます。

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それで結局は地域ストーリーをどう作るか、PDCA と書きましたが、観光ビジネス、デジタルヘルス、

地場産業、なんでもいいんです。

何がやりたいか。ここでワークショップで色々書いてますが、ワークショップをやって、本当にちょっと

やってみると。そうすると効果があるかが分かるので、もしそんなやり方がだめだったら、またやり直せ

ばいいんです。こういうのをどんどんやる事によって、新たなイノベーションがどんどん生まれるという

のが、身をもって私は300件と書いてますけど、そういうストーリーを全部見てきましたので、まずは始

めない事には何も起こらない、というのがリアルな話です。

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それで価値創造というのは何をやるかというと、結局はデータを集めて、分析して何かをプロセス、難

しい話になりますが、集めて、分析して何に使うかというのがビッグデータの世界なので、これはビジ

ネスの世界でそういう風に書きましたけど、コストを削減するのと、売上を上げるのか、もちろんです

ね、幸せを追求するためにビッグデータを使うというのももちろんあります。

何を目的にするんですかというのが、非常に重要な事だと。その中で進め方としては、赤い所が一

番重要なんですね。データを使って何をやりますか。売上を上げたいのか、自分がどうしたいのか、

健康になりたいのか、健康になるためにはどうすればいいのか。血圧を測るとか、どうするか。という

のを全部目的をクリアにしてそのあと、データを使って本当にやってみる。

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実はなぜ、こういう事を言っているのかというと、実は3年くらい前から富士通、ビッグデータをやって

いるが、優秀なデータサイエンティストを投入して、お客様とやって、分析を半年くらいやって、結果

を見せると、何て言われたと思います?

「そんなの分かってたよ」、と言われたんです。それは経験と勘で当たり前じゃないと言われるんです。

それは一生懸命データを分析したところで、分かってた事で、じゃあありがとうと言われて終わりなん

ですね。

本当は何をやりたいのかというのを、きちんと定義しなかったが故に、そういう事が起こるわけです。

それはお互い不幸なので、本当は何をやりたいんですか。そのためには何が必要ですね、というの

をステップ論でちゃんと一緒にやっていくことが重要。という風に考えています。

テーマの設定も共設定、目標設定ですね。こんなの分かっているよ。じゃあ分かってたらどうするん

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ですか、というのをキチンと決めておかないと、経験と勘で一緒にやっていくんだったら、やらなくてい

いんじゃないという世界にもなるし、そのあたりをキチンとビジネスとして、定義することは非常に重要

だと考えています。

で、その時に誰が活躍するかという話なんですけど、データサイエンティストって巷で言われてますが、

これは定義、ビジネスの課題に対して、データを使って、価値を生み出すというのが、定義になって

いる。

3つの役割が必要なんです。

ビジネスの知見、分析力、これは統計のスキル。あとは IT スキル。統計だけやっている学生を連れ

てきても、データサイエンティストにはなれません。なぜならビジネスの知見もなければ、どう使ってい

いかわからない。全くわからないからです。IT スキルというのは、データを集めてきてもグチャグチャな

んですね。汚いって私たち言いますが、データが汚いと分析なんかできない、まずそれを揃えたりだ

とか、統計の手法に持っていくのが非常に苦労している所です。

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集める、溜める、分析する、使う。これはワンパターンなんです。ワンパターンなんだけれども、集める、

溜めるは機械がやればいいし、システムエンジニア、世の中一杯いるので、やればいいと思いますが、

分析する所、ここです。これが本当に至難の技で、データサイエンティストの分析、ここは頭のいい人

が来て、大学院とか頭のいい統計エンジニアがやればいいんですけど、ここのデータ変換、どのデ

ータを使うか、ゴミのデータを使っても新しい価値は出ない。ここ非常に重要です。

使う所はここは業務ノウハウがないとできないので、富士通ではできません。先ほどの300件あった

事例は全部お客様と一緒にやっています。

IT のここら辺は得意です。ただここの所はお客様のやりたいことは何ですか、という所から一緒に考

えさせて頂いて、やっているのが現状です。

その中でお客様から、教育をお願いということで、コースを作っています。その中でコースもビジネス

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規格をどう考えるか、それから業務で応用する時に、それをどうやって使うのか。それからシステム部

門として IT ツールをどう使うかみたいな3部作でうちはやっています。

先ほど3つの役割があると言いましたが、一人じゃ無理ですね、どう考えても。それぞれの人たちが

チームを組んで一番にノウハウを提供するというのが大事になります。

ちょっとだけ、宣伝になりますけど、ではデータをどうやってハンドリングするのか、色んなデータを集

めないと、やりたいこともやり難い。べつにアマゾンに持っていってもマイクロソフトに持っていっても、

いいんですが、本当にやりたい時にどうやったら、やりやすいかという話だけなので、一つの所に載

せると非常にやり易い、というのが宣伝を兼ねてパブリッククラウドの技術を出してますので、ノウハウ

もありますし、IT 技術化もやるし、こういうことができるというのをお伝えしたいです。

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まとめです。

先ほどから色々やっていると言ってますが、富士通は IT 屋です。色んな業務ノウハウをお持ちの所

と組ませて新しいことをやらせて頂いてます。

スマートアグリカルチャーとか、色んな団体と組んでやらせて頂いてます。ベトナムからも要請されて、

新しく出て行って作っています。レタスの応用です。それから金融も同じです。フィンテックってファイ

ナンシャルテクノロジーの団体で有名ですが、この辺りもベンチャーも色んなものを作っている人たち

がいるので、それと金融業を繋げるという役割を場の設定としてやらせて頂いている。

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これも富士通は IT 屋なので繋げるという所になっています。

あと海外でうちでシンガポールで新しい街づくりをするにあたって、これもスペーシオウルを応用して

いるんですが、シンガポールの課題、交通渋滞がすごいらしいので、その辺りを一緒にやらせて頂

いているという状況です。

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何が言いたいかというと、ヒューマン・セントリック・インテリジェント・ソサエティーという富士通も IT 屋

ですが、世の中に貢献したいという風に常々思ってまして、皆様が何かやりたいという時にビッグデ

ータとか IoT とか、今使わざるをえない状況になっているのでそういう時に是非、何かを一緒にやれ

たらなということで、参考になればと思います。

持続可能な社会もそうですし、アジアの人たちも観光にもっと一杯来てもらって日本も、沖縄も潤うと

いうようなことを是非やっていきたいと、もちろん一緒にですけど、思っています。

ということで以上で私のお話は終わりたいと思います。

ありがとうございました。

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【ビッグデータ利活用セミナー2】「ビッグデータ活用がもたらす未来 個別化の時代へ」

皆様、お疲れ様でございます。

楽天の森でございます。

今、ビッグデータ活用がもたらす未来、個別化の時代へというお題を頂きましたので、そのようなお

話ができればと思うんですけど、タイトルが個別化のあとの人類の未来という何の話をするんだと、い

う感じになってますが、私の方からは今日皆様が、絶対他では聞けない話を、資料を持っておりま

す。それでオーケーというサインが出ましたが、もしかしたらアンケートの結果はひどいことになるかも

しれないけど、頑張っていきたいと思っております。

森正弥と申します。楽天では主に技術戦略を担当する役員をやってます。楽天技術研究所という

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組織を所管しております。

こちらですが、コンピューターサイエンス PHD を持った研究者を擁しておりまして、世界で5拠点、東

京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポールの5拠点を繋いで、グローバルに研究開発を推進し

ております。

基本的なミッションとしては、今、アカデミックな世界、所謂、研究者の世界での研究の成果と実際

にそれがビジネスに活かされるということに関して、昔は例えば3年後、5年後、10年後みたいな話

がありましたけれども、今はほとんどタイムラグがないんですね。

ほぼ研究者の研究の成果が出たらビジネスになっているみたいな時代です。

それはインターネットのせいなんですけれども、楽天におきましても、そういうアカデミックな研究者を

集め、研究即ビジネス成果というような所を目指してやっている。

最近の我々の方が、ポイントとしては人工知能。やはり人工知能ここ2、3年人工知能の可能性とい

う所から拡大してきております。特に私の話の中では、研究者でいいんですけど、ディープラーニン

グのキーワードであります、ディープラーニングに関しては、研究者の中では過去60年コンピュータ

ーサイエンスの中での最大の革命だと言われているくらい、衝撃的なものであり、特に例えば先週、

今週賑わしてる囲碁の話。あれも本当に革命的な話です。

私も去年、様々な方に意見を求められた時に、チェスや将棋は勝てるでしょうけど、囲碁はまだ勝て

ないでしょうね、という話を答えてた訳ですが、あっという間に勝ちましたね。

単純に勝っただけではなく、人が今まで編み出したことのない手を、アルファ碁というプログラムは出

してきた。だから碁の解説者はその話をしてたら時間使いますね。

碁の解説者が何をやっているのか解らない。碁の解説者が訳わからない手を打ってますねと、最初

解説するわけです。馬鹿な手ですねとか。これは悪い手ですねと、最初解説するんですけど、あとあ

とその手が凄まじい意味を持ってきて、打ち負かすわけですね。

つまりプロフェッショナルの碁の解説者が解らない手を打っている訳です。

しかも全体的にそれが、プロの碁の方を打ちのめすストーリーになっている訳ですね。

これは技術的にも違う所に来ていて、今までは要するに、過去のものがやれますよねという話だった

んですけど、そうではなくて、人間がやってないことをやっている。

そういう動きがちょっとあって、それがディープラーニングというモノの原理を理解すればそれが分か

るんです。

ディープラーニングのせいで、車が自動的に走ったり、いろんな革命が起きていて、この革命が怖い

くらいのスピードで進行しているわけですが、

でも何故か、マーケティング、ビジネスへの応用があまりない。

それは簡単にいいますと、人工知能のビジネスを引っ張ているのがグーグルとかフェイスブックとか、

バイドゥとか企業で彼らはショッピングのデータは持ってないので、あまりそっち向けの方に今現在の

人工知能の最先端の技術が応用されていない、なのでそこの応用みたいなことを、

我々は力を入れてやってみたりしております。

例えば、人工知能の技術はどういう風に e コマースに活用されうるのか、というような論文を去年だし

ていたり、あるいは関連書を書いていたり、日経 BP さんから人工知能ビジネスという本が出ていたり、

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それの最後の方は全部私が、関わらして頂いていて、ビジネスに応用するにはどうしたらいいか、と

いうのを書かさして頂いてます。

そういうようなこともやったりしています。

本日は45分までということで、このような話をしていくんですが、基本的に脱線していくので、ちゃん

と時間内にいけばいいと思うんですが。

タイトルが少しでかいですね。スマートデバイス人類と書いてあるですが一体これは何なのかと。とい

うことで最初にビデオをお見せしたいと思います。

これは楽天ビジネス研究所の一人の研究者が5年ほど前に作ったアプリケーションでして、今現在、

様々な物産展とかあるいはリアルなお店さまで展開させて頂いている、アプリケーションサービスにな

ります。

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AR-HITOKE といわれているものです。例えば実際のリアルなレストラン、土産屋さんとかそういう所

をご想像頂いて、まあ物品がある。そのお店の物品に対して、スマートフォン越しにわれわれのアプ

リケーションにわーっと人が集まってくる。これは何か。これは実際にこの商品を買った購買者です。

購買者が多ければ多いほど、わーっと集まる人が多い。どれが人気か分かりますし、それだけではな

く、実は色があるんですね。青色は男性。赤色は女性。

色の濃さは世代を表している。つまり、男性に人気なのか、女性に人気なのかどの世代に人気なの

かが、商品の横、スマホを翳すだけで、分かる。

ようするに赤がいっぱい多く集まればそれは女性に人気ですし、青がいっぱい集まったらそれは男

性に人気である、ということが分かります。

それだけではないですね。吹き出しが見える。この吹き出しはこの商品のレビュー情報です。実際に

この商品を買ってみてどうだったのか。使ってみてどうだったのか。例えばこういう時に役立ちました

よとか、具体的な利用使用の情報をこちらから得られることができます。これはその商品の実際に買

った方からのレビュー情報を持ってきてたり、あるいは皆様とソーシャルサービスと距離が近い、例え

ばフェイスブックとかラインとか、ツイッターで距離が近い方がこの商品を買われて、呟いたら自動的

に双方向から持ってきます。

つまりこれによって、単純にどの世代に人気があるのかだけではなく、この商品を買ってみて具体的

にどうなのか。いい所はなんなのか、悪い所は何なのかを理解することができる。

今はもうちょっと進歩してまして、そのコメントの中でも、真剣度合いが高いコメントを優先的に表示

する、真剣度合いが高く、ネガティブ評価しているとか、真剣度合いが高く、ポジティブ評価している

とか、色々あるんですけれど、そういうようなこともできるようになっています。

また単純に覗いているだけなので、ズームアウトしますと、こういう風に一目瞭然ということです。

これで買うかというのは、なかなか難しい所なんですが、こういう風に一目瞭然である。

ポイントは、5年前の技術であるのと、最新技術でも何でもないわけですね。実は高度な技術はなに

も使ってなくて、5年前の当時でも大学の学部生であれば、これのアプリケーションを作ることは可能

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であります。

実は人工知能の話もそうですけど、我々は色んなことができるレベルに来ていて、それは実は学部

生、高校を卒業した学生がすぐ作れるレベルに来ているんだけど、やってないという話は一つ、話と

してあるのと、もう一つは、分かりやすいデータ活用の話なんですけど、データの活用の話をすると、

データサイエンティストが必要じゃなきゃいけないみたいな話になる、もちろん必要なんですけど、そ

うではなくて、効果的にユーザーに見せるとそれだけで、全然違いますよ。皆さんデータだけだと、ど

うしてもデータを分析する話にどうしても行きがちですが、データを欲しい人に見せるだけで、データ

にすごく価値が出てくる。

これが2つ目ですが、ちょっと本質的に言いたいのはそこではなくて、何かと言いますと、

今までこんな商品、皆さん知っていませんでしたね、という話なんですね。

行ってこれどうしようか、買おうかこういう風に悩んで、話して買うとか、お店の人とかに聞いて話すと

かなんですけど、もう行ってパッてかざすだけで、誰に人気があるのかとか、どの世代に人気なのか

どういう商品なのか、具体的にわかってしまうということですね。形の作りが分かる。

そういうのは実は、強い言葉を使いますが、人類が体験したことなかったことなんですね。

そういうような状況に、皆さん今当たり前ですが、そういう状況になった時、実は人類の行動はまった

く変わっているんです。

我々の10年以上前の様々な習慣行動をとっていますが、如実に行動が、人の行動が変わっている

んですね。

それが本質的にビジネスを、ひたすら難しくさせているという話が、今日私はしたい。

なので、スマートデバイス人類と書きました。

お配りしている資料の方には URL が書いてますが、そこに URL に行くとこの画像が出てきます。

この写真を見て何の写真だかわかる方、いらっしゃいますでしょうか?

この写真は、そもそも何処かと言うと、バチカン市の写真です。バチカン市のコンクラーベの写真で

す。

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コンクラーベとは何か、ローマ法王がなんらかの理由で退位された、亡くなった時にコンクラーベとい

う会議が開かれる。それを夜通しで偉い方々が会議をして、建物の中で閉じ込められて、会議をし

て次のローマ法王をきめるという。ローマ法王が決まったかという、進捗がこの建物の上の方から煙

で出ている、その煙をみんな集まってきている。煙はもうローマ法王がもう決まっているという煙が出

てくるのか、まだまだ議論中、まだ決まってません、すいませんという煙が出るのか、があるわけです

けど、それを見に来たりとかして、実はこれは 2005 年の写真でして、2013 年にもコンクラーベはあり

ました。つまりこれの8年後。2013 年はどういう写真になっていると思いますか。という話なんですけど、

ちょっとイメージして頂いて、2013 年はこうです。

みんなスマートデバイスを持っていて、写真を撮ろうとしているわけですね。

これは世界的な現象で、不可逆な現象でつまり人は二度とこんな集団にはならない。もう集団がで

きたら絶対こうなるんですね。

ほんとは写真撮るとか、ツイートするとか、それはいいんです。そういう話ではなくて、この人たちって

いうのは、この人たちその他や、本質的に違う。2005 年と 2013 年は本質的に違う。なぜなら例えば

下の人たちは、もしかしたらフェイスブックで世界中の友達と常に繋がっているかもしれない。もしか

したらコンクラーベの結果を中継しているかもしれない。あるいはそこは自分のブログを書いているか

もしれない。もしかしたらそもそもコンクラーベってなんだっけと、ウィキペディアで調べているかもしれ

ない。ここにいる人たちというのは、上にいる人たちは、その場に集まっている群衆だったわけですね。

人々として、逆に言うと、ある種の共感性を持ってそこに存在していたのだが、もうここにいる人たち

は違うんですよ。一人一人が世界とくっついている。

一人一人が常に世界の情報を常に持ち歩いて、あるいは世界に常に情報を発信して、存在してい

るんですね。

そういう人だらけに今もう、世の中って、どういう風に違うのかという話なんです。

実はさきほどのアプリケーションもまさにそうで、つまりぱっと形だけで、インターネットの情報をそのま

ま、自分のものにして、意思決定ができちゃうわけですね。

これは不可逆の話で、昔はよかったねと言ってもしょうがなくて、なぜなら出たら戻らない。

常に人々は一人 一人が常に世界 とくっついていて、すべてこの情報を持ち歩いている。そういう

人々が中心になった場合、世の中はどうなってしまうのか。

簡単にいうと、若者は飲み会にこなくなります、という話なんです。

上だと飲み会が行われる理由が分かりますね。人が集まらないと集団になれないから。でもここだと、

別に集団になる必要がない。常に世界とくっついているから。それを前提に考えたときに、絶対飲み

会に若者はこなくなるという未来なんですけど、ちょっと後ほど本質的な話もしてと。

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ということで今人々がスマートデバイスを持っているということは、非常に大きな話で、単純にショッピ

ングをするとかフェイスブックをやるとか、それだけではなく様々なサービス、例えばヘルスケアだった

り、様々なエンターテインメントだったり、あるいは金融サービス、自分自身のお金の管理だったり、

そういう様なことを含めて、スマートデバイスができて、常に世界とくっついていられるという時代にな

ってきているわけですね。

IoT というのキーワードを考えてみると、さらにこの話は進歩していく未来が見えて来る。

単純にスマートデバイスがついているだけではなくて、世界中にセンサーとかデバイスが溢れて、例

えば車とかももうネットワーク繋がるし、家もビルも繋がるし、ということになったときに、人々はさらにど

うなっていくのかと。

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我々も IoT という時代を考えた時に、何をするべきかということなんですけれど、色んな話はもちろん

ありますね、農業最適化の話もあるし、交通の最適化の話もあるし、生産の最適化という話もあるが、

楽天は基本的には e コマースを中心なので、我々が e コマースというものを考えた時に、注目してい

るのは、ディスプレイ。

ディスプレイが世の中に入ってきてる。ディスプレイというのは、巨大化したスマートデバイスです。セ

ンサーも備えるので、ネットワークの記載があって、より高度の情報を収集して、我々に高度なサー

ビス提供をしてくれるだろう、こう思うわけですが、このディスプレイが普及していくという話は、皆さん

普通に想像できる話なんですが、このディスプレイが普及していく話における問題点が、実はあまり

指摘されていない。

我々2つの本質的な問題点を持っていて、それは非常に簡単で人が占有してしまう問題、ディスプ

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レイでサービスをやっても少人数しか占有できない。あなたのオススメはこれです、みたいな自動販

売機があってもそれを 10 人に出していても、何がなんなんだということになる。こういう占有してしまう

問題点がある。

あともう一つは、これが実は本質的な問題で、ディスプレイがデジタルサイネージが普及することによ

って出てくる問題なんですが、オブザーバープロブレム。

例えば、センサーが付いてる自動販売機があって、ビッグデータを踏まえて、自分が立った時に画

像認識でも、何でもいいんですけど、お疲れですのであなたにオススメはこれです。というのが出た

時に、隣にいる人がこの人、疲れているんだなということが分かってしまう問題。これはプライバシー

の問題としては結構大きくて、あなたはこういうものを買っているから、こういう商品が出るんです、と

いうようなコンテキストが他の人に分かってしまうという話ですね。

またそれだけではなくて、もしもディスプレイを通して、何か検索 Web サイトを見たり、買い物をしたり

する時に、その入力が見えてしまうというのが、非常に大きな問題になりますね。

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そういうことの時代に向けて、我々が提案しているのは、ウォールショップという新しい概念で、これは

パブリックのデジタルサイネージとスマートフォンを連携させることによって、問題の本質的に解決で

きるという話です。

一瞬だけビデオがあって、喋っていきます。

去年、弊社の社屋を引っ越しまして、その社屋引っ越しの社内ニュースなんですが、これがその時

のウォールショップ。

社屋お披露目でちょっと見せたんですが、別にこれは会社に設置しているんですが、デジタルサイ

ネージであれば何でもセットアップできる。

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デジタルサイネージがあって、例えばこのアプリケーションでは、今スイーツではなにが売れているの

か、というランキングが商品が出てくる。それを見ることができる。

で、スマホがリモコンになっているわけですね。スマホがリモコンになっていて、そのカーソルを動かす

とできる。この商品は何かみたいな解説を読んだりする事ができるし、実はそれだけではなくて、手元

の方に具体的な情報等が、あるいはあなた向けのレコメンドとか、あなただけのディスカウントクーポ

ンが、この場で見れる事ができる。

実はあともう一つありまして、このカーソルなんですけど、多くはダミーなんですね。多くは人工知能と

いうのもあれなんですが、ダミーのカーソルで人っぽく動いている、まさに人が操作しているっぽく動

いてくれる。だから実は誰がどのカーソルかというのは他の人には分からないのであって、まして皆さ

んが何に関心を持っているのか、というのを隠す事ができる。且つ詳細なレコメンドとか詳細なディス

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カウントクーポンとか、あるいは詳細な情報は手元に見える事ができる。そういう機能です。

これによってオブザーバープロブレムは解決しますし、もちろんスマホとディスプレイの連携によって、

一人が占有するという問題も自動で解決する事ができる。

我々はこういう形になっていくだろうという提案を、去年、コンシューマー向けのエレクトロニック見本

市としては日本最大の市ということで、イノベーションアワードでお伝えした。

ここまでの話で重要な話としては、人はスマホを持っているということを前提に考えなければならない

という話なんですけど。

CASBS という学会がスタンフォードにあります。60年くらいの歴史がある非常に伝統のある学会でし

て、略称が Conference of Advanced Study in Behavioral Science でつまり行動科学の学会です。

実は学祭的な学会でして、社会学とか、人文学とか、各領域の識者の方がたが集まって、社会が

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複雑化している、問題が複雑化しているそういう中で、従来の集団理解というのは難しくなっていると

か、今後のリーダーというのはどうあるべきかみたいな事を 60 年間ずっと議論している、扱っている

学会です。

私は 2012 年に参加した時の、会合に参加した時に、空気が 2012 年は違ったんですね。悲観的な

空気がシェアして、彼らが口々に言っていたのは、もう学問は終りだ、みたいな話をしていて、もう

我々のやってきた事は何の意味もない。これからは集団を理解するのは何もできないみたいな話に

なって。

彼らが念頭においていたのは、2011 年の年末から 2012 年の頭にあった、ウォールストリートの占拠、

オキュパイウォールストリートというデモ活動、そのことを指している。

ウォールストリートの占拠ってご存知のかたいらっしゃいますか。

いわゆるグローバル資本主義というのがあって、世の中の富の 99%が世界の人口の 1%の人が持

っているみたいな話、グローバル資本主義というのはそういう話。

それに対して、異を唱える人達が我々はようするに富を散財されている 99%だと。we are 99% と叫

んで、ニューヨークのまさに 1%のグローバル資本主義の象徴であるウォールストリート金融地区を占

拠したというような話。

彼らがすごい問題視していたのは、いままでのアプローチでこのデモ行為を全く理解することができ

なかったという話。

例えば今まで集団行動を理解しようと思ったら、その組織の組織構造はどうなっているのか。どういう

歴史背景があるのかとか、その役割分担がどうなっているのか。意思決定プロセスがどうなっている

のか。お金の流れがどうなっているのか。政治的な影響力はなんなのか。宗教的な影響力はあるの

かとか。そういうアプローチを取っていれば大体分かった。でもそういうアプローチでは全く彼らは分

からなかったんですね。

何故かというと、まず、世代が偏ってなかった。10 代、20 代、30 代、40 代というのが、ちょうど世界の

人口分布通りの分布をしている。人種が偏ってなかった。世界の人種の偏りと同じ分布をしていた

んですね。集団として。宗教も偏ってなかった。宗教も世界の宗教分布と同じものだった。さらにポイ

ントはこういう話なんだから、非正規雇用が多いんじゃないかと思ったら、正規雇用、非正規雇用の

分布もまさに世界の統計分布と同じだった。

言えるのは何かというと、世界そのものが現れたんですね、ここに。且つ彼らは秩序立って行動した

んですね。

この現象は今まで全くなくて、何でこういうものが発生するのか分からないという話で、CASBS が指摘

したのは、これはスマートデバイスだろうと。スマートデバイスによって世界の人達が自分たちが物理

的な今まで所属していたのが、解き放たれていて、常に一人一人が世界市民なんだと。だから世界

市民が集合しちゃっているという話。

これは本当に今、我々が新しく直面した話で、こんなことに関する研究ってなにもないんですね。

これがこういう政治的な活動だけではなくて、じつは消費活動も全部これの影響を受けている。

これはすごい取り掛からなければいけないテーマ。我々もこれをやるにはすごい苦労している。

実は 2000 年くらいから、我々もその現象の予兆を感じていて、楽天というこのビジネスをやっていた

時に、ちょっと思っていることがありました。繋がる話が。

じゃばらという果物ご存知の方いますか。

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和歌山県の飛び地に北山村というのがありまして、そこにじゃばらという柑橘系の果物がある。この

村の方々が勉強熱心で、このじゃばらを売りたいと、立ち上がったばかりの楽天市場に持ってこられ

て、当時の営業の者がこれを食べた時に、これは食べれたモノじゃないですね、みたいな率直な返

答をお返しして、非常に勉強熱心な方で食べれないという話だったんで、飲み物にしてきました、と

いうことで飲み物がやってきて、これを飲んだ所、どうやら飲めれたモノじゃなかったという話なんです

けど、ただ熱意に負けて売り出した所、これが爆発的に人気になってしまい、逆に買えない商品に

なってしまった。

これは四国にある店舗さんが売っているリアルな甲冑です。人形ではなく着る甲冑ですね。一体

200 万から 300 万する甲冑なんですが、この甲冑がですね、6 ヶ月先まで予約一杯で買えないです。

リアルな甲冑を着て何をするのか分からないんですけど、とにかく買えない。

皆さんも、もし買うかと思っても絶対買えないですね。人気で。

これは静岡県にある、お芋屋さんがありまして、そこが干し芋売っている。

これは焼き芋さつま芋なんですけど、干し芋 1500 袋をインターネットで売り出すと、それが1分で完

売するんですね。

例えば iPhone の新機種とか、プレステーションの 4 とかなら分かりますけど、みんな並んでて、売り

に出された瞬間ぱって買うんですけど、干し芋 1500 袋を売り出した瞬間、インターネットで待ち構え

ている人が一杯いて、みんな買うわけです、一瞬で。あっという間に買えないです。皆さんそんなこと

したことないと思いますけど、何よりも驚いたのはその 1500 人の中に自分の奥さんがいたというのが、

すごいビックリしたんですけど。

このじゃばらもそうですし、甲冑もそうですし、干し芋もそうなんですけど、皆さん買われたことないと

思いますが、でも買おうと思っても絶対買えないです、人気で。

これは一体何なのかという話なんですけど。これはつまりロングテールという話なんですね。

ほとんどの売り上げを構成するものは、ロングテールというグラフがあって、ほとんどの売り上げを構

成するものは、ちょっとしか売れていないものなんですね。今までは売り上げで一番売れている2割

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の商品が全体の売り上げの 8 割を占めているみたいな話だったんですけど、そうではなく今は実は

もう分布がそうではなくなっていて、売れてるのか売れてないのか分からない、あるいはマニアックな

商品が、マニアックな商品こそが売り上げの 9 割を占めるという新しいネットでのデータですね。

これは実は本質的に我々の常識に対して、すごい影響を与えていて、これの話もそうなんですけど、

例えば、皆さんの後輩が新しい商品企画を持ってきた。この商品をみた。それに対して、お前さこれ

自分がお客さんだったら買う?とか、あるいは、俺がお客さんだったら買わないよね。みたいなフィー

ドバックを返していたと思うんですね。

それは今まででしたら成立したんですけど、今は全くそんなことはないわけですね。だって皆さん、こ

れ買いますかという話なんですよ。でもこれは人気商品なんですよ。それは結局何かと言うと、こっか

らこっちになっているという話なんですね。

あと 10 分という指示がでまして、私言いたいこと言えたので、まあいいかなという気もしているんです

けど、

いきなりここでアイスブレイクが入るんですが、で実際、こんな商品を売ってるし、買っている人がいる

んですよ、みたいな話で、高いのを探してみたらこの金物産、7700万。ポイントがよく分からない。

あと、はしご車。公安委員会の許可が必要ですよね。どうやってとったらいいのか、よく分からない。

ヘリコプターとかが4000万なんですね。ヘリコプターが普通にネットで売れますし、数百万のクルマ

はもう何百台が 1 日で売れます。でも僕は 20 万円以上のものをこの仕事しておきながら、ネットで買

ったことはなくて、この方々の心境がよく分からない。

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でもつまりロングテールということなんですよ。要するに今までは自分が行ける場所、行ける店、空い

てる時間帯、その店が扱っている商品、在庫。モノの中でしかモノが買えなかった。そのデータをみ

て、人々はこの人はこういう属性なんだ、こういうクラスターなんだとみたいに理解しているわけです。

本当はそうではなく、単にその人は押し込められてただけなんじゃないかと。

スマートデバイスによって、人が常に世界中とくっつけるようになった。例えば、この前鞄を買ったん

ですけど、買ってから気付いてんですがチェコの鞄なんですね。それってそんな風な買い方は今ま

でしていなかった。ていう風になった時に、人々の分布というのはこのテール外みんなやってきたん

ですね。

なぜなら一人一人が一人一人だから。

これはすごく本質的な問題を孕んでいて、例えばある商品があって、ネーサーの売り上げが 30 万で、

10 人でチーム組んで、PDCA 回して、3ヶ月たって、売り上げが 30 万から 40 万になりました。でも誰

の給料も払えないわけですよ。でもそういう商品で溢れるわけですね。

どうすべきかと。

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ここは答えは一つしかなくて、機械の力でやるしかないんですね。お客さんに IoT の時代があって、

どんどんデータが溢れてくれば、どういう風に人工知能を活用して、様々な対応などのユーザーに

備えていくかということが非常に重要で。

これもスライドでは URL、お配りしている紙では URL 書いてあるんですが、例えば、クリックされるとク

ール&セクシーというジャンルがあって、いろんな商品があって、例えばスイートフェミニーというジャ

ンルがあって、いろんな商品がある。

このジャンルを作っているのが、人の手ではないんですね。人工知能が作っています。人工知能に

ユーザーの情報を分析させて、今までだったらマーケッター、ファッションジャンルに詳しいマーケッ

ターの人が最近はこれが売りだと、あるいはこれが流行るみたいなところから、こういうようなモノを作

り出しているんですけど、それをちょっと止めたんですね。止めて、仮説をコンピューターに作らせよう

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と。データを読ませて、コンピューターにどうやら今、こういうジャンルがあると。こういうジャンルがある

というのを作らせて、ちなみに名前は後から人が付けたんですけど、コンピューターが作ったジャンル

に合わせて売り出すと。

そうした所、売り上げが大幅に今までの体制とは全然違う売り上げが上がる。

これは我々にとっても大きな挑戦で、やはり現場に浸透させるのはすごい大変だったんですね。

もちろん現場は現場のノウハウがあって、それを機械ができないはずだと思っていたわけですが、た

だ先ほど言ったように、人がもう変わっちゃっているんですよ。2005 年と 2013 年の写真を見られたよ

うに、2013 年になった人類の知識なんて誰も持っていないですよ。しかもデータ的にもはや処理不

能なんです。

僕自身は、新しい情報の非対称性問題と思うんですけど、今までは買い手と売り手がいると売り手

の方が強いんです。なぜかというと売り手が商品に詳しくて、この商品がどこが悪いとか大体売り手

の方が値付けして買い手の方がその値段なんですねといって買うと。

でも今は時代が変わっていて、買い手の方がめっちゃ詳しいんですね。売り手の方が詳しくないん

ですよ。売り手の方はいろんなモノを扱わないといけないから、情報のレベルが浅くて、買い手は欲

しいモノだけにフォーカスするから、ひたすら情報が深いんですね。しかも世界レベルで。今や世界

の情報が手に入るので。そうすると買い手の方が絶対に詳しいという逆の現象が起きてて、つまり売

り手が絶対に買い手のことが分からないという問題が起きてるんですね。

それが今みんながスマートデバイスを持っている時代というものなんですけど。

我々はこういう風に活用している。例えば、どんどんデータが溜まってきて、色んなことができるように

なっていますよというような話があって、なるべくポジティブな話で終わらせないといけないので、ちょ

っとここからが難しいですが、

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例えばこれは何かといいますと、2011 年 8 月にニューヨークタイムズの記事があって、サンタクルー

ズでは犯罪が発生する前に警官が現場に現れるようになったという話があったんです。これなんか

膨大な統計データがあるので、例えば今日は皆さんが何だかムシャクシャするなと、あのコンビニで

悪さしようとピッと停めて降りたら、警官が立ってて、はい逮捕みたいな話ですね。

様々な統計データが出れるようになって、そういうこともできるようになってきましたよという話の中で、

我々も2億点以上の商品を扱っているんですけど、膨大なデータが取れているので、その2億点以

上の商品のデータがどういう風な価格で、どういう風に売れるかというのを予測するシステムを作って

まして、これは3年くらい前から稼働させております。これはですね、たぶん皆様の予想に反するとこ

ろもあると思うのですが、マイナーな商品ほどよく当たります。すごいマニアックな商品ほど1個くらい

のずれで当たる。

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逆に当たらなかったのは何かというと、AKB とかジャニーズの商品は当たらなかったです。今は当た

るようになりました。それは最後の締めで2分後くらいで。

そういう予測システムが色々できてくるようになったので、実はこれはあんまり言うなみたいな話しにな

ってますが、景気動向を予測するシステムみたいなものを作ってまして、某観光庁が発表する景気

動向予測を3ヶ月前に 0.4%の誤差で当てることができる。ただこれはそういう予測技術、人工知能の

技術を考えればそれほど、突飛な話でもなくて、そういうところが射程に入っている話です。

そういうような話になってきたときに、人が人を理解、新しい消費者に対して、売り手が全く理解でき

ないようになった時に、何をすべきかという話なんです。先ほどの消費予測の中で当てることができ

なかったのは何かと、話があるんですけど、それは AKB だったんですが、なんで AKB の CD の売り

上げが当たらなのか。AKB の CD はやはり秋元康先生が天才で握手券付き CD というのを売ってい

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るんですね。それまでは CD というのは音楽を聴くというものだったのが、いっぱい買ったら握手でき

るという、まったく意味合いが変わっちゃったんですね。それは要するに従来の枠組みが破壊されて

しまっているので、そんなものは予測できるわけないんですよ。いくらアルファ碁が碁の棋士に強く勝

てたとしても、ルールが変わったら勝てないわけですよ。

ポイントはそこで、そこで我々が得た学びというのは、人は新しいルールを作る、新しい枠組みを作る

ということを、どんどん挑戦していくべきだと。

例えばそれは握手券付き CD の発売だとか、従来の枠組みビジネスモデル、サービスモデルという

のを破壊するというような新しい企画を出していくのが人の役割であって、大量化、分散化してしま

ったモノに対しては、機械が行う。

そのコラボレーションがありうるのではないか。

人工知能が高度化することで人の仕事が奪われるという話が色々警告が挙がっていて、実際それ

はもちろん、あり得ると思うんですね。元々考えてみれば、コンピューターって機械の名称ではなかっ

たんです。コンピューターとは職業の名前で、計算士という意味だったらしいですね。つまり数字をあ

たえられて計算する職業であったんですね。

そういうような人をコンピューターと呼んでいた。私はコンピューターでしたという人がまだご存命なん

ですよ。

仕事は今の仕事は変わっていくわけで、新しい枠組みを生み出していくのは、人の創造性がやるこ

と。なので今ある仕事は置きかわるかもしれないけれども、人の仕事はなくならないだろうというのが、

僕個人の話ですね。

逆にその人の新しいビジネス、新しい仕事を生み出していく人の力と、機械の力を統合させていくと

いうのが非常に重要なのではないかと。

でこれを持って終わりますということで、ちょっと大きな話でしたし、何の役にもたたないよってアンケ

ートに書かれるかもしれないけれど、ただ今、本質的に起きている変化を共有できればなとお話をさ

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せていただきました。

ご静聴いただきありがとうございました。