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新規抽出剤を用いた液液抽出法による レアメタルの回収法 - Zr廃液からのScの回収 -金沢工業大学 バイオ・化学部応用化学科 教授 藤永 薫 Kanazawa Institute of Technology 平成28年度 JST 新技術説明会 平成2898JST本部別館

28 JST...「新規抽出剤を用いた液液抽出法による レアメタルの回収法 - Zr廃液からのScの回収-」 金沢工業大学バイオ・化学部応用化学科教授

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Page 1: 28 JST...「新規抽出剤を用いた液液抽出法による レアメタルの回収法 - Zr廃液からのScの回収-」 金沢工業大学バイオ・化学部応用化学科教授

「新規抽出剤を用いた液液抽出法によるレアメタルの回収法

- Zr廃液からのScの回収 -」

金沢工業大学 バイオ・化学部応用化学科 教授 藤永 薫

Kanazawa Institute of Technology

平成28年度 JST 新技術説明会

平成28年9月8日 JST本部別館

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固体酸化物型燃料電池(SOFC)の電解質材料についてSOFCは、セラミックスから構成される燃料電池で、次世代エネルギシステムとして期待されている。・発電効率が高く、高温排熱も有効利用

・水素、メタンや一酸化炭素も燃料に利用

電解質材料にスカンジア安定化ジルコニアを使用したSOFCの開発

・イオン伝導率が高い

・高強度、高靱性

・低温で作動

(600~750℃)

正極(カソード)

負極(アノード)

電 解 質

*スカンジウムの精製方法

・Scのクラーク数は22 ppm(PbやBの2倍) → 主要鉱石がない

他の主鉱石の精製から副産物として、Scを回収・精製する技術が必要

<出展:1)東邦ガス出願特許 特開2012-119327より抜粋、2)東邦ガスHP(SOFC)より抜粋>

図2 スカンジア安定化ジルコニアの電解質2)

図1 スカンジア安定化ジルコニア電解質の導電率2)

溶媒抽出法によるレアメタル回収の実例-金沢工大の取組み溶媒抽出法によるレアメタル回収の実例-金沢工大の取組み

2

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スカンジウムSc MSP-8

主成分として含む鉱石が存在しないため, 大量の産出ができない.用途として,自転車や航空機のフレーム等(Alとの合金)がある.また, 燃料電池の電極の添加剤として代替不可能な用途の成長が期待される.

需要に伴い価格が高騰

ジアルキルモノチオリン酸系抽出試薬で, S,Oの二座配位子を持ち,Scの分離と回収が可能.連続使用における酸化・劣化に

より, 安定した分離能が得られなくなる可能性がある.

3

チオりん酸O,O-ビス(2-エチルヘキシル)(=MSP-8)

PO

OS

OH

O,O-bis(2-ethylhexyl)hydrogen thiophosphate

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本実験で使用する抽出試薬MSP-8

MSP-8はモノチオリン酸の誘導体で、-O,S配位で錯体形成をする。-O,S配位であるのでHSAB則に伴って、硬い酸に対して中程度の親和性を有しており、酸性側でのキレート試薬との分離が容易である。

MSP-8®: O,O-bis(2-ethylhexyl)hydrogen thiophosphate

モノチオリン酸系の工業用抽出試薬として世界的に有名である

Cyanex302®:bis(2,4,4‐trimethylpentyl)monothiophosphinic acid

4

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1. 本発明の経緯

2. バッチ法によるZr廃液中からのScの分離回収

3. カラム法による分離回収

4. 抽出試薬MSP-8の安定性の検討

本日の発表内容

5

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図1 各種抽出試薬によるSc3+とZrO2+の抽出曲線

N

OH

CH3

CH3CH3

6

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図2 Sc3+の抽出率とDT-8の空気酸化時間の関係 7

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平衡pH測定

実験操作

10 ml Zr廃液(2倍、5倍、10倍)

水相

10 ml ヘキサン(またはトルエン) 0.1M MSP-8

有機相

pH調整 (3.7, 4.1, 4.5)

振とう(60min,100rpm)遠心分離(60min,2000rpm)

水相 有機相

振とう (60min,100rpm)遠心分離 (60min,2000rpm)

金属イオン濃度 ICP-OES

Zr廃液の廃液組成

Back extraction一回目 : 0.5 M HCl除染二回目:4.0 M HCl回収

逆抽出

金属 濃度(ppm)Fe 10444Al 5452Yb 2550Zr 1256Y 648Ti 456Sc 108

8

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図3 MSP-8で抽出実験を行った時の抽出曲線

回収率 %抽出率 %‥(1) ‥(2)

有機相:0.1M MSP-8 ヘキサン溶液水相:[Sc3+]=[ZrO2+]=1.0mM [クエン酸三カリウム]=0.10M

0

20

40

60

80

100

120

0

20

40

60

80

100

120

0 1 2 3 4 5 6

回収率

, %

抽出率

, %

平衡 pH

Sc 抽出率

Zr 抽出率

Sc 回収率

Zr 回収率

100%)(init

aqinitx

[M][M][M]

E 100)(aqinit

HCl

[M][M][M]%S

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図4 Cyanex302で抽出実験を行った時の抽出曲線

MSP-8: O,O-bis(2-ethylhexyl)hydrogenthiophosphate

Cyanex302:bis(2,4,4‐trimethylpentyl)mono-thiophosphinic acid

0

10

20

30

40

50

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70

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90

100

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

1 2 3 4 5 6 7

回収率

,%

抽出率

,%

平衡pH

Sc抽出率

Zr抽出率

Sc回収率

Zr回収率

10

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図5 水素イオン濃度のSc3+抽出に及ぼす影響

11

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図6 Zr廃液抽出実験結果(10倍希釈)

0

20

40

60

80

100

0

20

40

60

80

100

Al3+ Fe3+ Sc3+ Ti4+ Y3+ Yb3+ ZrO2+

逆抽出率

(%)

抽出率

(%)

金属イオン

抽出率 一回目逆抽出0.5M HCl 二回目逆抽出4M HCl

Sc3∔以外の抽出されている金属イオンは一回目の逆抽出で抽出されているのでSc3+を回収するための二回目の逆抽出の溶液には含まれていない 12

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図7 Zr廃液抽出実験結果(5倍希釈)

0

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100

0

20

40

60

80

100

Al3+ Fe3+ Sc3+ Ti4+ Y3+ Yb3+ ZrO2+

逆抽出

(%)

抽出率

(%)

金属イオン

抽出率 一回目逆抽出0.5M HCl 二回目逆抽出4M HCl

10倍希釈溶液と同じように抽出されたSc3+以外の金属イオンは一回目の逆抽出で抽出されたのでSc3+との分離は成功している。

13

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図8 Zr廃液抽出実験結果(2倍希釈)

0

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0

20

40

60

80

100

Al3+ Fe3+ Sc3+ Ti4+ Y3+ Yb3+ ZrO2+

逆抽出率

(%)

抽出率

(%)

金属イオン

抽出率 一回目逆抽出0.5M HCl 二回目逆抽出4M HCl

10倍希釈、5倍希釈溶液とは違いFe3+、Ti4+が抽出されており、一回目の逆抽出では抽出しきれなかった金属イオンが二回目の逆抽出溶液に含まれてしまった。

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組成 0.5M HCl 逆抽出(ppm)

Al 2315 (28%) 31 78 (43%)Fe 4658 (56%) 114 76 (42%)Sc 22 (0.3%) 3 15 (8%)Ti 145 (2%) 4 14 (7%)Y 200 (2%) 247 0 (0%)Yb 820 (10%) 934 0 (0%)Zr 97 (1%) 0 0 (0%)

4.0M HCl 逆抽出(ppm)4.0M HCl 組成割合(%)

模擬廃液組成(ppm) 組成割合(%)

Al 845 (26%) 8 1.9 (11%)Fe 1621 (51%) 35 8.2 (45%)Sc 7 (0.2%) 1 6.5 (36%)Ti 54 (2%) 1 1.3 (7%)Y 106 (3%) 114 0 (0%)Yb 369 (12%) 386 0 (0%)Zr 190 (6%) 0 0 (0%)

模擬廃液組成(ppm) 組成割合(%) 0.5M HCl 逆抽出(ppm)4.0M HCl 逆抽出(ppm)4.0M HCl 組成割合(%)

組成

Al 364 (25%) 4 0.5 (6%)Fe 759 (51%) 20 4 (50%)Sc 4 (0.3%) 0 3 (39%)Ti 26 (2%) 0 0.2 (3%)Y 52 (4%) 54 0 (0%)Yb 185 (12%) 186 0.1 (1%)Zr 93 (6%) 0 0.2 (2%)

組成 模擬廃液組成(ppm) 組成割合(%) 0.5M HCl 逆抽出(ppm)4.0M HCl 逆抽出(ppm)4.0M HCl 組成割合(%)

表1-1 10倍希釈溶液の正抽出後、逆抽出後の溶液組成

表1-2 5倍希釈溶液の正抽出後、逆抽出後の溶液組成

表1-3 2倍希釈溶液の正抽出後、逆抽出後の溶液組成

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想定される用途

• 本研究の副産物として、Y3+,Yb3+の分離回収が効率良く出来ることが明らかになった。

• 精錬工場などでできる廃液中からの希土類元素の分離回収などに、適用可能である。

16

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MSP-8 表面修飾スキーム

ガラスビーズ

MSP-8Extractant :

SiCl3

17

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SGC18*カラム繰り返し試験

Sc3+,ZrO2+ : 10mg/L , 120 mL負荷量 1.2 mg

クエン酸三カリウム : 0.1 M

水相(pH 3.0)

洗浄液: 0.01 M 塩酸

固相

カラム10 mLチップ内径:8 mm

流速:約2.5 mL/分

SGC18* 5 mL

水相(金属溶液)

0.01 M 塩酸(洗浄液)

3 M塩酸(溶離液)

繰り返し

洗浄液

ICP-OES (Sc3+,ZrO2+)

試料溶液 Sc,Zr

洗浄液 0.01 MHCl

溶離液 3 MHCl

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SGC18* カラム繰り返し試験 10回目結果

負荷量(mg)

捕集量(mg)

捕集率(%)

溶離量(mg)

溶出率(%)

回収率(%)

Sc3+ 1.24 1.18 95.0 1.14 96.3 91.5 ZrO2+ 1.17 0.12 10.6 0.07 59.0 6.3

0

10

20

30

40

50

60

70

0 50 100 150 200 250 300

Conc

entr

atio

n (p

pm)

Volume of eluent (mL)

P

Sc

Zr

Samplesolution

0.01MHCl

3M HCl

SGC18*カラム繰り返し試験における Sc、Zr 分離捕集挙動(10回目)

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SGC18* カラム10回繰り返し試験結果(平均値)

負荷量(mg)

捕集量 (mg) 捕集率 (%)溶離量(m)g

溶離率 (%) 回収率 (%)

Sc3+ 1.24 1.17±

0.02

94.3±2.7

1.15±

0.02

98.4±1.6

92.7±2.2

ZrO2+ 1.15 0.10±

0.06

8.7±5.2

0.06±

0.01

58±20

5.2±1.1

P 溶出量(mg)溶出MSP-8量

(mg)溶出率(%)

合計 2.73 29.85 3.20

平均 0.27 2.98 0.32

SGC18*カラム繰り返し試験 Sc、Zr分離捕集挙動

SGC18*カラム繰り返し試験 MSP-8溶出挙動

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4.抽出試薬MSP-8の安定性の検討

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連続的Sc抽出によるMSP-8酸化挙動評価

・実験条件①水相:1 mM Sc3++1 mM ZrO2++0.1 M クエン酸三アンモニウム有機相:0.1 M MSP-8キシレン溶液

②水相: 1 mM Sc3++1 mM ZrO2++0.1 M クエン酸三アンモニウム+0.01 M Na2SO3←酸化防止のため添加

有機相:0.1 M MSP-8キシレン溶液

③水相::1 mM Sc3++1 mM ZrO2++0.1 M クエン酸三アンモニウム有機相: 0.1%S含0.1 M MSP-8キシレン溶液

酸化防止のため添加

100mL分液ロートを用いて各条件2本, 計6本. 水相は4 M HCl及びNH3水でpH4.2に調整.

22

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実験方法水相:30(有機相と同量)mL 有機相:30 mL

振とう(250min-1,25℃,3h)放置分離(10-20min)水相採取,除去

水相:30 mL (塩酸:3.0 mol/dm3)振とう(250min-1,25℃,3h)放置分離(10-20min)水相採取,除去

水相:30 mL (純水,0.01MNa2SO3(条件②))放置分離

水相,除去×5回毎,有機相採取

平衡pH測定10倍希釈ICP-OES測定

正抽出

逆抽出

洗浄

有機相:25mL次回抽出に使用

有機相:5 mL脱水(Na2SO4)誘導体化GC測定

計30回試行

23

抽出率(%) = M − MM × 100 回収率 (%) = M + M

M × 100〔M〕init,n:初期金属濃度〔M〕aq:正抽出後の金属濃度〔M〕₀:逆抽出後の金属濃度

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0

10

20

30

40

50

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0

20

40

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80

100

1 6 11 16 21 26

経過日数

[day

]

抽出率

,回収率

[%]

抽出回数[回]

0

10

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経過日数

[day

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抽出率

,回収率

[%]

抽出回数[回]

0

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0

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1 6 11 16 21 26

経過日数

[day

]

抽出率

,回収率

[%]

抽出回数[回]Sc抽出率 Zr抽出率 Sc回収率 Zr回収率 経過日数

標準条件1

標準条件2

亜硫酸ナトリウム含有1

亜硫酸ナトリウム含有2

0

10

20

30

40

50

60

0

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40

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80

100

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経過日数

[day

]

抽出率

,回収率

[%]

抽出回数[回]

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25

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1 6 11 16 21 26

経過日数

[day

]

抽出率

,回収率

[%]

抽出回数[回]

0

10

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30

40

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0

20

40

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1 6 11 16 21 26

経過日数

[day

]

抽出率

,回収率

[%]

抽出回数[回]

0

10

20

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0

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40

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経過日数

[day

]

抽出率

,回収率

[%]

抽出回数[回]Sc抽出率 Zr抽出率 Sc回収率 Zr回収率 経過日数

標準条件1

標準条件2

亜硫酸ナトリウム含有1

亜硫酸ナトリウム含有2

0

10

20

30

40

50

60

0

20

40

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経過日数

[day

]

抽出率

,回収率

[%]

抽出回数[回]

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硫黄含有1

硫黄含有2

青:最低値 赤:最高値

0

10

20

30

40

50

60

0

20

40

60

80

100

1 6 11 16 21 26

経過日数

[day

]

抽出率

,回収率

[%]

抽出回数[回]Sc抽出率 Zr抽出率 Sc回収率 Zr回収率 経過日数

0

10

20

30

40

50

60

0

20

40

60

80

100

1 6 11 16 21 26

経過日数

[day

]

抽出率

,回収率

[%]

抽出回数[回]

試料条件Sc抽出率

[x±σ]Zr抽出率

[x±σ]Sc回収率

[x±σ]Zr回収率

[x±σ]標準1 95.7 ± 1.23 2.85 ± 2.22 96.1 ± 4.65 99.5 ± 1.00標準2 96.5 ± 1.06 3.13 ± 2.76 96.2 ± 4.45 98.6 ± 2.24

Na2SO3含有1 96.1 ± 1.44 2.63 ± 2.57 95.5 ± 7.46 98.8 ± 1.75Na2SO4含有2 96.4 ± 1.29 2.80 ± 3.39 94.4 ± 8.95 98.4 ± 2.57

S含有1 96.6 ± 1.04 4.82 ± 1.97 96.9 ± 2.72 98.2 ± 1.96S含有2 96.5 ± 1.14 4.34 ± 2.14 97.6 ± 2.23 98.2 ± 1.98

30回抽出平均、標準偏差

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MSP-8/キシレン 標準条件 Na2SO3含有条件 S含有条件

抽出実験前 30回抽出実験後

MSP-8

結果

27

xyleneDiphenyl methane

試料1mL

ジフェニルメタン(標準物質)100 μL

N,Nジメチルホルムアミドジメチルアセタール(エステル化試薬)100 μL

加熱(65℃,1h)←メチルエステル化処理

GC測定

ガスクロマトグラフ測定

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MSP-8定量結果MSP-8定量結果 MSP-8減少率

0

1

2

3

4

5

6

0 10 20 30

MS

P-8

[wt%

]

抽出回数[回]

標準条件1 標準条件2NaSO3含有条件1 Na2SO3含有条件2S含有条件1 S含有条件2

試料条件MSP-8減少率

[%]

MSP-8 50%減少

抽出回数[回]

標準1 30.4 50

標準2 30.7 51

Na2SO3含有1 43.1 34

Na2SO4含有2 53.8 29

S含有1 10.1 130

S含有2 3.23 179

28

減少率 % =1 − 30回抽出後MSP- 8[wt%]30回抽出前MSP- 8[wt%] × 100

Na2SO3含有条件1 Na2SO3含有条件2

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未知ピークの同定

MSP-8酸化による構造変化 0.1 M C16H35O4PのGC測定結果

分離能や選択性の低下.

空気酸化によるS→Oの変化

29

PO

OS

OH

PO

OO

OH

MSP-8

bis(2-ethylhexyl)hydrogen phosphateリン酸水素ビス(2-エチルへキシル)

C16H35O4P

空気酸化

C16H35O4P

xyleneDiphenyl methane

30回抽出後有機相における未知ピークRT6に帰属.

RT6のピークは,リン酸水素ビス(2-エチルへキシル)であることが判明した。

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まとめ

・30回の抽出では, 安定した抽出率と回収率が得られた.・硫黄を添加したものは,50%減少するのに計算上100回以上の抽出ができ,MSP-8の溶出や酸化を防止することが期待できた.・ガスクロマトグラフ結果より,未知のピークが2か所確認でき,そのうちRT6は,MSP-8が酸化した物質(リン酸水素ビス(2-エチルへキシル))である可能性が挙げられた.

MSP-8は連続的抽出における酸化劣化の影響が少なく,安定した抽出試薬であり,硫黄を添加することで耐久性が増し,Sc抽出における工業的有効性の高さが期待できる.

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5. 塔型連続抽出装置による分離回収

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充填塔型抽出装置の概要水相の通るライン

有機相の通るライン

キシレン処理液

水相

処理液

キシレン原液

水相原液

分離槽

分離槽

三方コック

有機相ポンプ

水相ポンプ

オーバーフロー管

10Lタンク

充填塔

フラクションコレクター

ポンプ

三方コック

←テフロン目皿

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実験条件テフロン目皿の穴は直径2mm。テフロン目皿に直径8mmの穴をあけ、その中に外径8mm×長さ9mmのラシヒリングを入れることによって水相が通りやすくなるように加工した。

テフロン目皿の穴に入れたガラス製ラシヒリングで、2種類使用した。小さいほうが外径4mm×内径2mm×長さ5mm,大きいほうが外径8mm×内径mm×長さ9mmのものを使用した。

ポンプの流す水の量はポンプのモニターで調節し、処理した溶液の量はメスシリンダーで1分間にどのくらい流れているか(ml/min)を測定した。水相の液面の調節は3方コックのつまみを調節することにより、水相の流れ出る流量を調節した。フラクションコレクターで水相、有機相間でどれくらい金属イオンの抽出が行われているかを見るために5分ごとに採水できるようにした。最初に小さいほうで実験を行った場合はテフロン目皿に有機相と水相が詰まってしまったので、安定稼働することができなかった。

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実用化に向けた課題

1. 基礎原理は確立できたが、プラントへの実用展開に課題がある。

2. 現在塔型抽出装置で実用化を検討しているが、効率が上げられない。

3. カラム方式でもスケールアップがネックになっている。

企業への期待

1. ミニプラントでの開発設計に技術指導がほしい。

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金沢工業大学

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新川 実、杉田 享子

TEL 03-5777-2243

FAX 03-5777-2226e-mail [email protected]