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平成 28 年熊本地震における 下水道管路施設被災の特徴と対策 平成 29 年 5 月 31 日 国土交通省国土技術政策総合研究所 下水道研究室

平成28年熊本地震における 下水道管路施設被災の特徴と対策1. 平成 震(以 本震) 連の地 1.1 M 7 の布田 度に関 揺れが 震が発 また 7 が観

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平成 28 年熊本地震における

下水道管路施設被災の特徴と対策

平成 29 年 5 月 31 日

国土交通省国土技術政策総合研究所

下水道研究室

Page 2: 平成28年熊本地震における 下水道管路施設被災の特徴と対策1. 平成 震(以 本震) 連の地 1.1 M 7 の布田 度に関 揺れが 震が発 また 7 が観

目 次

目 次 ............................................................................................................................................. 2

1. 平成 28 年熊本地震の地震特性 ........................................................................................... 1

1.1 震源と震度分布 .............................................................................................................. 1

1.2 地震動の特性 ................................................................................................................. 2

2 下水道管路施設の被災概況 ................................................................................................ 3

2.1 被災状況整理・分析方針 ............................................................................................... 3

2.1.1 収集資料 ................................................................................................................. 3

2.1.2 整理・分析方針 ....................................................................................................... 3

2.2 整理・分析結果............................................................................................................... 4

2.2.1 団体別被災状況 ..................................................................................................... 4

2.2.2 管種別被災状況 ..................................................................................................... 5

2.2.3 布設年度別被災状況 ............................................................................................. 6

2.2.4 管径別被災状況 ..................................................................................................... 7

2.2.5 土被り/施工方法別被災状況 ................................................................................ 8

2.2.6 被災パターン ........................................................................................................ 12

2.2.7 地盤特性と被災の関係 ........................................................................................ 14

3 原因分析と対策 ................................................................................................................... 23

3.1 埋戻し土の液状化対策 ................................................................................................ 23

3.2 推進工法区間の被災 ................................................................................................... 26

4 まとめ .................................................................................................................................... 33

<修正履歴>

2017.6.9 塩ビ管の被災率修正(P6、図-4 及び関連する本文の修正)

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1.

平成

震(以

本震)

連の地

1.1

M 7

の布田

度に関

揺れが

震が発

また

7 が観

なお、

断層帯

地震

であり

降に内

平成 28 年

成 28 年 4 月

以下:前震)

)が発生し、

地震を「平成

震源と震

.3 の本震の

田川区間の活

関しては、益

が観測された

発生したため

た、本震の約

観測されてい

、前震は主に

帯の位置は図

震発生後の

り、非常に活

内陸や沿岸で

年熊本地

月 14 日 21

が発生、続

、それぞれの

成 28 年(2

震度分布

の震度分布及

活動による

益城町宮園及

た。なお、本

め、当地域

約 28 時間

いた。この

に日奈久断層

図の通りで

M 3.5 以上の

活発的な余

で発生した

図-1

地震の地震

時 26 分、

続いて 4 月 1

の地震におい

2016 年)熊

及び震央位置

もの 2)とさ

及び西原村

本震の発生

でも震度 6

前には、M 6

ため、益城

層帯の高野―

ある。

の地震の発

震活動が継

地震の中で

本震(M_7.

1

震特性

熊本県熊本

16 日 1 時

いて最大震

熊本地震」と

置 1)を図-

されており、

村小森で震度

から約 30

6 弱が観測さ

6.5 の前震

城町宮園では

―白旗区間

生回数は23

継続していた

で最多である

3 )の震央

本地方でマグ

25 分に同地

度 7 を観測

と命名した。

1 に示す。

当断層帯の

度 7 が、その

秒後に、大

された。

震が発生して

は震度 7 を

の活動によ

34 回 2)(5

た。これは平

る。

央位置と震度

グニチュー

地方で M 7.3

測した。気象

本震は、主

の位置は図の

の周辺域で震

大分県中部で

ており、益城

2 度観測し

るもの 2)と

月11 日13

平成 7 年兵

度分布1)

ド(M)6.5

3 の地震(以

象庁はこれら

主に布田川断

の通りである

震度 6 弱以

で M 5.7 の別

城町宮園では

したことに

とされており

3 時30 分時

兵庫県南部地

の地

以下:

らの一

断層帯

る。震

以上の

別の地

は震度

なる。

り、当

時点)

地震以

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1.2

今回

として

の特徴

地震発

地震

(マグニ

震源の

最大加

出典:

「下

熊本

津(本

では一

れてお

よっ

社団法

トルと

動レベ

地震動

回の熊本地震

ては阪神・淡

徴と類似して

表-1 過

発生日 前震

本震

震規模

ニチュード)

6

7

の深さ 11

12

加速度 81

1,7

「平成 28 年

下水道地震・津

本地震及び近

本震:震度

一般に構造物

おり、過去の

って地震動の

法人 日本下

と比べ大き

ベルを上回

の特性

震は、震源深

淡路大震災

ている。

過去の大規模

熊本地震

震: H28.4.1

震: H28.4.1

6.5(前震)

7.3(本震)

1km(前震)

2km(本震)

17gal(前震)

791gal(本震

(2016 年)熊

津波対策技術検

近年の代表

6 強)にお

物への影響

の代表的な被

の規模は、

下水道協会)

く、また、震

るものであ

図-2

深さが浅く

(平成 7 年

模地震(震

直下

阪神淡

(兵庫県

4

6 H7

) 16

震) 81

本地震の概況

検討員会報告書

的な地震の

おいて 1,79

が大きいと

被害地震の

「下水道施設

が対象とし

震度 7 を

ったと言え

加速度応

2

、震度 7 と

年兵庫県南部

震度_7 を記録

下型地震

淡路大震災

県南部地震)

7.1.17

7.3

6km

18gal

況」3)、国立国会

書」4)、下水道

加速度応答

1 gal を記録

される固有

レベルに近

設の耐震対

しているレベ

2 回観測し

える。

答スペクト

と大きな揺れ

部地震)や平

録した地震)

新潟県中越

H16.10.

6.8

13km

1,722g

会図書館、平成

地震・津波対

答スペクトル

録したほか

有周期 1 ~

近い値となっ

対策指針と解

ベル 2 地震

した点でも、

ル(減衰定

れを観測して

平成 16 年新

と熊本地震

越地震 (東

.23

gal

成 28 年 5 月 26

策技術検討員会

ルを図-2 に

、益城町(

2 秒程度の

っている。

解説-2014 年

震動の標準加

耐震設計で

定数 0.05

ており、地

新潟県中越

震の比較

海溝型地震

東日本大震東北地方太平洋沖

H23.3.11

9.0

24km

2,933gal

6 日

会、平成 24 年

に示す。大津

( KiK-net 益

のものが観測

年版-」5)

加速度応答ス

で用いられる

5 )

地震動

越地震

災 沖地震)

年 3月

津町大

益城)

測さ

(公益

スペク

る地震

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3

2 下水道管路施設の被災概況

2.1 被災状況整理・分析方針

2.1.1 収集資料

国土交通省公表資料(3 月 14 日現在)6)、および災害査定資料、被災路線のテレビ

カメラ調査報告書、被災路線の管路属性が分かる資料(下水道台帳、図面等)、その他

分析に必要な地形区分図等を収集し、下水道管路施設の被災状況の整理・分析を行った。

災害査定資料等に基づく被災路線のスパン数と延長は、表-2 に示す通りである。

表-2 被災路線のスパン数と延長

団 体 名 スパン数 被災延長

備 考 管きょ被災のみ 人孔被災含む (km)

熊本県流域下水道 12 28 1.1 八代北部流域

熊本市 1,209 1,887 52.7

宇土市 31 73 1.1

宇城市 15 19 1.2

阿蘇市 63 117 2.3

御船町 45 60 1.3

嘉島町 119 172 4.4

益城町 662 1,023 22.4

合 計 2,156 3,379 86.4

※本報告の整理・分析対象は、被災延長 86.4 ㎞のうち、詳細な被災情報が得られた 79.88 ㎞とした。

2.1.2 整理・分析方針

被災状況の整理・分析は、過去地震の被災傾向を踏まえ、災害査定資料等で得られ

た情報を基に、下記の項目毎に実施した。なお、本報告の整理・分析対象は、被災延長

86.4 ㎞のうち、詳細な被災情報が得られた 79.88 ㎞とした。

(1) 団体別被災状況

(2) 管種別被災状況

(3) 布設年度別被災状況

(4) 管径別被災状況

(5) 土被り別被災状況

(6) 施工方法(開削/推進)別被災状況

(7) 被災パターン分類

(8) 地盤特性と被災の関係

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4

2.2 整理・分析結果

2.2.1 団体別被災状況

下水道管路施設被災は、八代北部流域下水道、熊本市、宇土市、宇城市、阿蘇市、御

船町、益城町、嘉島町の 1 流域下水道 7 市町で発生した。

下水道管路施設の被災は、表-3 に示す通り、熊本県内の 1 流域下水道 7 市町約 86

㎞となっている。被災都市全体の管路被災率(被災延長/管路延長)は 2.7 %であり、

過去に発生した地震と比較すると同程度である。

震源地に近い益城町では最も高い約 13 %となっており、同規模の震度でも、自治体

間で大きな差が生じている。熊本市の被災率は約 2.1 %と低いが、全体の被災延長の 6

割にあたる約 50 ㎞が被災している。

表-3 下水道管路施設の被災延長と被災率

都市名 被災延長

(㎞)

管理延長

(㎞) 被災率※ 最大震度

最大応答

加速度

熊本県八代北部流域 1.1 14.9 7.4% 6 弱 246gal

熊本市 52.7 2,543.8 2.1% 6 強 843gal

宇土市 1.1 144.5 0.7% 6 強 882gal

宇城市 1.2 186.9 0.6% 6 強 564gal

阿蘇市 2.3 68.4 3.2% 6 弱 403gal

御船町 1.3 72.4 1.8% 6 弱 499gal※

嘉島町 4.4 51.4 8.8% 6 強 622gal※

益城町 22.4 169.5 13.2% 7 1,362gal

熊本地震(計) 86.4 3,251.8 2.7 7 1,362gal

東日本大震災 675 65,001 1.0% 7 2,933gal

新潟県中越地震 152 3,293 4.6% 7 2,515gal

能登半島地震 15 652 2.3% 6 強 544gal

※最大震度は気象庁発表。最大加速度は防災科学研究所K-NETより取得。ただし御船町と嘉島町

の最大加速度は地方公共団体震度計の波形データ(気象庁HP)より取得。

※被災率(%)=被災延長÷被災都市の下水道管路管理延長×100

震度 6 弱以上の地域で管路被害が生じている

震源地に近い益城町の被災率が高い

全体の被災率は、過去地震と同程度

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2.2.2

管種

塩ビ管

約4割

は、埋

東日

塩ビ管

管の採

2 管種別

種別被災延長

管(VU)であ

割をコンクリ

埋め戻し材

日本大震災の

管(リブ付塩

採用が極めて

被災

率(%

)

被災管路の

リブ付塩

別被災状況

長割合を図

あるが、これ

リート管が

として透水性

の被災状況

塩ビ管含む)

て少ないた

図-4 管

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

VU

被災

率(%

)

のほとんどが

ビ管も一部で

-3 に示す

れは被災都市

占めている

性の高い砕

と比較する

)の被災率

め、被災延

図-3 管

管種別被災率

U(PRP含む

がコンクリ

で被災

5

す。被災管路

市全延長の約

ことによる

砕石が使用可

と(図-4 )

率は同一とな

延長も僅かで

管種別被災延

率(熊本地震

) HP

管 種

ート管( 4

路のほとんど

約 6割を塩ビ

ものである

可能であるが

)、コンクリ

なっている。

である。

延長割合

震と東日本

P

熊本地

東日本

45 %)と塩

どがコンクリ

ビ管(リブ付

。また、リブ

が被災してい

ート管の被

なお、熊本

大震災)

陶管

地震

本大震災

塩ビ管( 50

リート管(H

付塩ビ管含む

ブ付塩ビ管(P

いる。

被災率が約

本県において

%)

P)と

む)、

PRP)

3 倍、

ては陶

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2.2.3

布設

の改訂

て地盤8)を受

代的区

平成

年緊急

た。こ

以降)

る。

3 布設

設年度別被災

訂履歴とし

盤改良の必要

受け平成 18 年

区切りを、平

成 9 年耐震

急提言前に布

これに対して

)された管路

【→3.原因

平成 15 年

耐震指針

設年度別被災

災延長を図

ては、平成

要性が記載

年度改訂時

平成 9年、

震指針前に布

布設(平成

て、耐震設計

路の被災率

因分析にて

図-5

年以前の布設

改訂後とな

災状況

-5 に示す

9 年には阪

され 7)、平成

時 9)に追加さ

平成 16 年と

布設(平成 9

成 10 年~平

計のうえ布

率は 1.3 %で

詳述】

布設年度別

設管路の被災

なる平成 16

6

す。これまで

阪神淡路大震

成 16 年新潟

れた。この

として以下に

9 年以前)さ

平成 15 年)

設されてい

であり、旧指

別被災延長

災延長が大

年以降の管

の「下水道施

震災の液状

潟県中越地震

のため、管路

に整理する。

された管路の

された管路

いる平成 16

指針に比べ

(被災都市

きい

管路にも被害

施設の耐震対

化被害を踏

震時の埋戻し

路の耐震化に

の被災率は

路の被災率は

年以降に布

ると低いも

合計)

害あり

対策指針と解

踏まえた対策

し 3 工法の

に関する大き

2.1 %、平成

は 2.7 %で

布設(平成

ものの被災し

解説」

策とし

の提言

きな年

成 16

であっ

16 年

してい

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2.2.4

管径

φ 20

いこと

いこと

また

してい

4 管径別

径別被災延長

00 mm で全体

と、開削工法

と等に起因

た、旧熊本市

いる。

被災延長の

φ 800 mm

別被災状況

長を図-6

体の約 6 割

法の布設割合

したものと推

市と益城町

の約 6 割が

m ~ φ 1,6

に示す。被災

を占める。

合が多いこ

推察される

については

図-6

がφ 200 ㎜

650 mm の中

7

災管路のほと

これは、布

と、土被り

は、φ 800 m

管径別被災

以下

中大口径管も

とんどが小

布設総延長に

が比較的浅

mm ~ φ 1,

災延長

も被災

口径管であ

に占める小口

浅く液状化の

650 mm の中

り、φ 150 m

口径管の割合

の影響を受け

中大口径管も

mm ~

合が高

けやす

も被災

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2.2.5

土被

ており

土被

整理す

は、一

土の液

5 土被

被り別被災延

り、主に開削

被りや当時の

すると、図-

一般に総延長

液状化など地

被災延長の

推進工法の

り/施工方法

延長を図-

削工法で施

の施工方法

-8 に示す通

長に対する

地盤変状の影

の約 8 割が土

の被災延長が

法別被災状況

7 に示す。

工した箇所

図-7

、地震以後

通りとなる

開削区間の

影響を受け

図-8 施工

土被り 4 m

が過去地震と

8

土被り 4 m

所が被災して

土被り別被

の復旧方法

。開削工法

延長の割合

けやすいため

工方法別管種

以浅

と比較する

m 以浅の埋設

ている。

被災延長

法等を参考に

法の被災延長

合が高いこと

めと考えられ

種別被災延長

と多く、被

設管が全体の

に、施工方法

長が推進工法

とと、土被り

れる。

害全体の 1

の約 8 割を

法を開削と推

法に比べ大き

りが浅く、埋

/ 4 に及ぶ

を占め

推進で

きいの

埋戻し

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また

-9 )

と開削

嘉島町

出典:

図-

管(図

大きい

いる。

た、被災延長

)と比べて非

削工法が同程

町で推進工法

「下水道管路施

-10 、図-

図-10 )に

い。また、塩

図-

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

被災

延長(km)

長全体の約

非常に高い値

程度被災し

法の被災割合

施設耐震化の優

図-

-11 に推進

については、

塩ビ管(図-

-10 推進工

昭和5

0

年以前

昭和5

1

昭和5

2

昭和5

3

昭和5

4

昭和5

5

昭和5

6

25 %が推

値を示して

ており、地

合が大きい

優先度指標に

9 東日本大

工法区間の

平成 16 年

-11 )につ

工法区間布設

昭和5

7

昭和5

8

昭和5

9

昭和6

0

昭和6

1

昭和6

2

昭和6

3

9

推進工法区間

いる。特に

地域的には八

い。

関する情報収集

大震災施工方

管種・布設

年耐震指針改

いては、平

設年度別被災

平成元年

平成2

平成3

平成4

平成5

平成6

平成7

間であり、東

にコンクリー

八代北部流域

集整理業務報

方法別被災

設年度別被災

改訂前に施

平成 16 年以

災延長(コン

平成8

平成9

平成1

0

平成1

1

平成1

2

平成1

3

平成1

4

平成9

年耐震指針改訂

東日本大震災

ート管につい

域下水道、宇

告書」(平成 2

延長

災延長を示す

工された管

以降の新しい

ンクリート管

平成1

5

平成1

6

平成1

7

平成1

8

平成1

9

平成2

0

平成2

1

平成1

6

年緊急提言

災の被災状況

いては、推進

宇土市、宇城

27年 2月、国

す。コンクリ

管路の被災延

い管路も被災

管)

平成2

2

平成2

3

平成2

4

平成2

5

平成2

6

平成2

7

況(図

進工法

城市、

総研)

リート

延長が

災して

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次に

ト管

あるが

全体の

一方

被災

延長(k

)

に、推進工法

(図-12 )

が、過去の大

の約 20 %を

方、塩ビ管

図-1

0.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

0.30

0.35

昭和5

0

年以前

被災

延長(km)

図-11

法区間の管種

については

大地震では被

を占めてい

(図-13 )

12 推進工法

昭和5

1

昭和5

2

昭和5

3

昭和5

4

昭和5

5

昭和5

6

昭和5

7

推進工法区

種・管径別

は、φ 250

被害が比較

る。【→3

は布設延長

法区間管種

昭和5

7

昭和5

8

昭和5

9

昭和6

0

昭和6

1

昭和6

2

昭和6

3年

平成元年

10

区間年度別被

被災延長を

mm から φ

較的少なかっ

.原因分析

長の多い φ

種・管径別被

平成元年

平成2年

平成3

平成4

平成5

平成6

平成7

被災延長(塩

を図-12 、図

800 mm の

た中大口径

析にて詳述】

200 mm が

被災延長(コ

平成8

平成9

平成1

0

平成1

1

平成1

2

平成1

3

平成1

4

平成9

年耐震指針改訂

塩ビ管)

図-13 に示

の小口径管が

径管において

多く被災し

コンクリート

平成1

4

平成1

5

平成1

6

平成1

7

平成1

8

平成1

9

平成2

0

平成2

1

平成1

6

年緊急提言

示す。コンク

が被災する傾

て、推進工法

している。

ト管)

平成2

1

平成2

2

平成2

3

平成2

4

平成2

5

平成2

6

平成2

7

クリー

傾向に

法被害

Page 13: 平成28年熊本地震における 下水道管路施設被災の特徴と対策1. 平成 震(以 本震) 連の地 1.1 M 7 の布田 度に関 揺れが 震が発 また 7 が観

図図-13 推進進工法区間

11

管種・管径径別被災延長長(塩ビ管)

Page 14: 平成28年熊本地震における 下水道管路施設被災の特徴と対策1. 平成 震(以 本震) 連の地 1.1 M 7 の布田 度に関 揺れが 震が発 また 7 が観

2.2.6

管路

況とし

おいて

クが多

また

益城町

と被害

布設

耐震

後で被

ラック

6 被災パ

路施設の被災

しては、継手

ては、コンク

多く、その割

た、塩ビ管

町では過去に

害の関係」で

設年度別被災

震指針改訂

被災パターン

ク、塩ビ管で

コンクリー

塩ビ管は、

パターン

災パターン割

手部のずれ

クリート管

割合はコン

については

に事例の少

で述べる。

図-

災パターン別

に合わせて

ン別スパン数

ではたるみ

ート管の破

、液状化に

割合を図-

、たるみ、

の被災要因

クリート管

たるみ・蛇

ない破損が

14 被災パ

図-15 被

別被災延長

、平成 9 年

数割合を整

・蛇行が最

損・クラッ

起因するた

12

14 、図-1

管本体の破

としては継

管の被災延長

蛇行の割合が

多く発生し

ターン(コ

被災パターン

長を図-16 に

年以前、平成

整理した結果

最も多い被災

クの発生割

たるみ・蛇行

15 に示す。

破損が多くみ

継手の破損、

長の約 60 %

が塩ビ管の被

している。破

ンクリート

ン(塩ビ管)

に示す。

成 10 年~

果、各年代と

災パターンで

割合が全体の

行が多く(約

過去地震で

みられている

管軸方向や

%に及んでい

被災延長の約

破損原因は「

ト管)

平成 15 年

もにコンク

であった。

の 60 %に及

約 60 %)、

での本管の被

るが、熊本地

や継手部のク

いる。

約 60 %に及

「2.2.7 地盤

年、平成 16

クリート管で

及ぶ

破損例もあ

被災状

地震に

クラッ

及び、

盤特性

年以

ではク

ある

Page 15: 平成28年熊本地震における 下水道管路施設被災の特徴と対策1. 平成 震(以 本震) 連の地 1.1 M 7 の布田 度に関 揺れが 震が発 また 7 が観

13

図-16 管種別被災パターン別被災延長割合

破損23.3%

変形0.1%

たるみ

・蛇行14.4%

継手ずれ13.1%

クラック35.3%

浸入水13.8%

管種別被災パターン別被災スパン数

(平成9年以前)(コンクリート管)

破損12.8%

変形9.1%

たるみ

・蛇行57.9%

継手ずれ13.5%

クラック1.9%

浸入水4.8%

管種別被災パターン別被災スパン数

(平成9年以前)(塩ビ管)

破損14.0%

変形0.0%

たるみ

・蛇行15.8%

継手ずれ5.3%

クラック40.4%

浸入水24.6%

管種別被災パターン別被災スパン数

(平成10年~平成15年)(コンクリート管)

破損13.0%

変形7.4%

たるみ

・蛇行64.5%

継手ずれ12.8%

クラック0.8%

浸入水1.5%

管種別被災パターン別被災スパン数

(平成10年~平成15年)(塩ビ管)

破損4.3%

変形0.0%

たるみ

・蛇行13.0%

継手ずれ17.4%

クラック56.5%

浸入水8.7%

管種別被災パターン別被災スパン数

(平成16年以降)(コンクリート管)

破損8.1%

変形3.4%

たるみ

・蛇行73.6%

継手ずれ9.8%

クラック2.7%

浸入水2.4%

管種別被災パターン別被災スパン数

(平成16年以降)(塩ビ管)

Page 16: 平成28年熊本地震における 下水道管路施設被災の特徴と対策1. 平成 震(以 本震) 連の地 1.1 M 7 の布田 度に関 揺れが 震が発 また 7 が観

14

2.2.7 地盤特性と被災の関係

下水道管路の被災箇所と地形に関する各種資料を整理し、被災しやすい地盤特性を確

認する。ここでは、地盤特性として下記 4 つの視点で整理する。

・ 標高

・ 地下水状況(地下水の見える化調査)

・ 微地形分類

・ 治水地形分類

(1) 標高

標高と被災箇所の重ね合せ図を、図-17 、図-18 に示す。全体的に低地盤高地域の

管路が被災している。低地盤地域では一般的に地下水位が高い軟弱な地盤の箇所が多い

ためと考えられる。

図-17 標高と被災箇所の重ね合せ図(熊本地方)10)

後背湿地に被災管路が集中(全体の 50 %)

後背湿地で埋め戻し部の液状化が発生した可能性

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15

図-18 標高と被災箇所の重ね合せ図(阿蘇地方)10)

(2) 地下水の状況

国土調査(国土交通省国土情報課)発行の地下水見える化調査図(熊本地区-地質水

理図面)11)(図-19)によると、熊本県東側の阿蘇カルデラから西側の白川河口まで流

下する大きな水脈があり、熊本平野部に小さな水脈が数多く存在している状況が分かる。

熊本平野および阿蘇市の被災箇所は地質的にも新しく堆積された地質で、豊富な地下

水がある地域となっていることから、地下水位が高く、埋戻し土の液状化が発生する可

能性の高い位置に管路が布設されていると考えられる。

図-19 熊本市の水理地質

Page 18: 平成28年熊本地震における 下水道管路施設被災の特徴と対策1. 平成 震(以 本震) 連の地 1.1 M 7 の布田 度に関 揺れが 震が発 また 7 が観

(3)

微地

背湿地

液状化

づく埋

土の液

※ 被災

熊本

)微地形分類

地形分類別被

地での被災が

化の発生可能

埋戻し土の液

液状化によ

は被災延長

災延長 86.4 ㎞の

旧熊本市

旧富合町

旧城南町

新熊本市

宇城市

団 体 名

八代北部流域

本市

宇土市

阿蘇市

御船町

嘉島町

益城町

合  計

被災延長の

が全体の約

能性は中程度

液状化の可

り被災した

表-4

長がゼロを示す。

のうち、詳細な被

図-

干拓地

0.00

市 0.00

町 0.00

町 0.00

市 0.00

0.00

0.00

1.23

0.00

0.00

0.00

0.00

1.23

集計結果を

50 %に及

度であるが

能性は大と

可能性が高

4 団体別微

被災情報が得ら

-20 液状化

後背湿地三海岸

0.00

14.90

5.28

6.50

2.35

29.03

1.02

0.00

1.47

1.27

4.48

0.00

37.27

16

を表-4 およ

及んでいる。

、耐震指針

なる微地形

高いと考えら

微地形分類別

られた 79.88 ㎞を

化発生の可能

角州・岸低地

火山山麓地

1.09 0

0.00 0

0.00 0

0.00 0

0.00 0

0.00 0

0.00 0

0.00 0

0.00 0

0.00 0

0.00 0

0.00 21

1.09 22

微地形分類

よび図-20

後背湿地は

針に示される

形とされてい

られる。

別被災延長集

を対象に整理。

能性別被災延

山地

砂礫質台地

.00 0.00

.00 0.74

.00 0.00

.00 0.00

.00 0.17

.00 0.91

.00 0.00

.00 0.00

.21 0.00

.00 0.00

.00 0.00

.94 0.00

.15 0.91

類別被災延長(

に示す。熊

は、表-5 よ

表-6 では

いる。このこ

集計表

延長

扇状地ロ

0.00

0.00

0.00

0.00

0.00

0.00

0.00

0.00

0.56

0.00

0.00

0.00

0.56

km)

熊本地震では

より、表層地

は微地形分類

ことから、埋

ローム台地

合  

0.00 1

16.61 32

0.00 5

0.00 6

0.06 2

16.67 46

0.00 1

0.00 1

0.00 2

0.00 1

0.00 4

0.00 21

16.67 79

は、後

地盤の

類に基

埋戻し

.09

2.25

5.28

6.50

2.58

6.61

.02

.23

2.24

.27

4.48

.94

9.88

Page 19: 平成28年熊本地震における 下水道管路施設被災の特徴と対策1. 平成 震(以 本震) 連の地 1.1 M 7 の布田 度に関 揺れが 震が発 また 7 が観

17

表-5 液状化の起こりやすい地形区分

地盤表層の

液状化可能性の程度 微地形区分

自然堤防縁辺部・比高の小さい自然堤防、ポイントバー(蛇行州)、

旧河道、旧池沼、砂泥質の河原、砂丘末端緩斜面、人工海浜、砂丘

間低地・堤間低地、埋立地、湧水地点(帯)、盛土地

中 デルタ型谷底平野、緩扇状地、自然堤防、後背湿地、湿地、デルタ

(三角州)、砂州、干拓地

小 扇状地型谷底平野、扇状地、砂礫質の河原、砂礫州、砂丘、海浜

出典 : 「小規模建築物基礎設計指針」(2008.3、日本建築学会)12)

表-6 微地形分類に基づく埋戻し土の液状化の可能性

微地形分類と被災箇所の重ね合せ図 14)を、図-21 、図-22 に示す。前述の通り、後背湿

地、三角州・海岸低地、干拓地などに被災した管路が集中している。

出典 : 「下水道の地震対策マニュアル 2014 年版」(公益社団法人 日本下水道協会)13)

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18

なお、地震被害の大きかった益城町については、代表的な微地形区分は火山山麓地であ

るが、後背湿地と火山山麓地の境界沿いに位置しており、250m メッシュの微地形区分だけで

は判断が難しい。

図-21 微地形分類と被災箇所(熊本地方)

図-22 微地形分類と被災箇所(阿蘇地方)

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(4)

治水

うち主

分類お

る。こ

に示す

町では

熊本

治水地形分

水地形分類図

主に平野部を

および河川工

この地形分類

す。被災の多

は段丘面の被

※表上段:被災延

※詳細な被災情報

団 体 名

益城町

嘉島町

城南処理区

富合処理区

合計

本市

分類

図 15)16)は、治

を対象とし

工作物等が盛

類図に基づ

多くは、低地

被災が多い。

延長、下段:割合

報が得られた路線

山地 段丘面

0.00 54.59

0.0% 0.9%

0.00 803.19

0.0% 11.9%

0.00 0.00

0.0% 0.0%

585.99 7024.27

2.7% 32.1%

585.99 7882.05

1.5% 20.2%

台地・段丘面

治水対策を

て、扇状地

盛り込まれ

く、治水地形

地部の後背

表-6 治水

線を対象に整理

図-23 治

浅い谷山麓堆

地形

9 0.00 40

% 0.0% 0

9 0.00 259

% 0.0% 3

0 0.00 0

% 0.0% 0

7 87.00 796

% 0.4% 3

5 87.00 1096

% 0.2% 2

19

進めること

地、自然堤防

れた地図(昭

形分類別被

背湿地、微高

水地形分類別

理しているため、

水地形分類

堆積形

扇状地 後背

0.79 0.00 34

0.7% 0.0%

9.53 0.00 54

3.8% 0.0%

0.00 0.00 8

0.0% 0.0%

6.24 0.00 78

3.6% 0.0%

6.56 0.00 176

2.8% 0.0%

低地

治水地形分類別被

を目的に、

防、旧河道、

昭和 51 年度

被災延長の集

高地、旧河道

別被災延長

国土交通省公表

類別被災延長

背湿地微高地

(自然堤防)

480.89 1692.82

58.9% 28.6%

448.13 177.60

80.6% 2.6%

858.50 1356.63

19.2% 30.3%

871.30 2594.04

35.9% 11.8%

658.82 5821.09

45.2% 14.9%

災延長(m)と割合(

国が管理す

後背湿地な

度~昭和 53

集計結果を表

道で多く発生

表値(表-2)と一致

旧河道 干拓地

436.26 0.0

7.4% 0.0

52.48 0.0

0.8% 0.0

665.76 0.0

14.9% 0.0

2832.48 0.0

12.9% 0.0

3986.98 0.0

10.2% 0.0

人工

%)

する河川の流

などの詳細な

年度作成)

表-6 及び図

生しており、

致しないことがあ

地盛土地・埋立地

合 

0 204.98 591

0% 3.5% 10

0 22.45 676

0% 0.3% 10

0 1602.01 448

0% 35.7% 10

0 104.18 2189

0% 0.5% 10

0 1933.62 3905

0% 5.0% 10

改変地形

流域の

な地形

であ

図-23

益城

ある。。

 計

0.33

00.0%

63.38

00.0%

82.89

00.0%

95.50

00.0%

52.10

00.0%

Page 22: 平成28年熊本地震における 下水道管路施設被災の特徴と対策1. 平成 震(以 本震) 連の地 1.1 M 7 の布田 度に関 揺れが 震が発 また 7 が観

熊本

図を図

被災し

本平野にお

図-25 ~ 2

している。

ける治水地

28 に示す。

図-24 治

図-25

地形分類と被

いずれの自

治水地形分

治水地形分

20

被災管路の重

自治体でも、

類と被災管

分類と被災管

重ね合わせ図

、後背湿地

管路位置(熊

管路位置(益

図を図-24

、自然堤防

熊本平野)

益城町)

、各自治体

防、旧河道で

体の同

で多く

Page 23: 平成28年熊本地震における 下水道管路施設被災の特徴と対策1. 平成 震(以 本震) 連の地 1.1 M 7 の布田 度に関 揺れが 震が発 また 7 が観

図-26

図-27 治

図-28 治

治水地形分

治水地形分

治水地形分

21

分類と被災管

類と被災管

類と被災管

管路位置(嘉

管路位置(旧

管路位置(旧

嘉島町)

旧富合町)

旧城南町)

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次に

度発生

図-

は、後

が多く

変部周

に、益城町で

生したことか

-29 に、塩

後背湿地か

く存在してい

周辺で破損被

では塩ビ管

から、治水

塩ビ管の被災

ら段丘地へ続

いる場所と

被害が発生

図-29 治水

の破損被害

地形との関

災箇所と治水

続く傾斜地

なっている

している。

水地形分類

22

害(約 1.6 ㎞

関連性を確認

水地形の重

地に多くの家

。地形分類

と塩ビ管被

㎞)が全被災

認する。

ね合わせ図

家屋が存在し

類が複雑に入

被災管路位置

災延長 21.8

を示す。益

している上、

入り混じって

置(益城町)

8 kmの 7

益城町の被災

その中に旧

ており、地形

%程

災箇所

旧河道

形の急

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23

3 原因分析と対策

「2.下水道管路施設の被災概況」の分析結果において、熊本地震における顕著な被災は

埋戻し部の液状化・推進工法区間の被災であった。この 2 点に着目して、その発生原因に関

する分析を行う。

3.1 埋戻し土の液状化対策

(1) 被災原因

2.2.3 の布設年度別の整理結果において、平成 15 年以前に布設した管路の被災延長

が長く、平成 16 年耐震指針改訂以降の布設管路であっても被災するといった特徴を示

した。このため、熊本地震で被災した管路施設の埋め戻し方法、特に埋め戻し部の液状

化対策に着目して、被災原因を分析する。

表-7 に、布設年度別被災延長を管種別に整理した表を示す。塩ビ管の被災率は、平

成 15 年度以前と比較して、平成 16 年度以降(耐震指針改訂以降)で被災状況に若干

の改善が見られた。しかしコンクリート管の被災率は、布設年度による違いはほぼない。

また、リブ付塩ビ管は、平成 16 年耐震指針改訂以降に布設した管の被災延長がリブ付

塩ビ管全体の 6 割に達している。

表-7 管種別布設年度別被災延長割合

※( )内は被災率。塩ビ管の≒は、分母に PRP が含まれているため。

管種により、埋め戻しの方法が異なることから、ここでは、自治体職員へのヒアリン

グや設計図書・工事関係図書の確認により、被災路線の埋め戻し方法(液状化対策)や

品質管理方法を特定し、埋め戻し方法と被災の関係性を調査した結果について記載する。

布設年度 塩ビ管 リブ付塩ビ管 コンクリート管 全体

平成 9 年以前 54%(≒2%) 2% 85%(2%) 55%

平成 10~15 年 27%(≒3%) 33% 11%(3%) 17%

平成 16 年以降 19%(≒1%) 64% 4%(3%) 13%

山砂埋め戻し(締固め 90 %程度以上)を採用する塩ビ管、コンクリート管の

一部に、施工管理、品質管理が不十分な箇所があり、十分な耐震効果が発揮さ

れていない可能性

砕石で埋め戻すリブ付塩ビ管は、地下水位以浅まで砕石を充填することで高い

耐震効果が得られる

Page 26: 平成28年熊本地震における 下水道管路施設被災の特徴と対策1. 平成 震(以 本震) 連の地 1.1 M 7 の布田 度に関 揺れが 震が発 また 7 が観

24

1)塩ビ管、コンクリート管

塩ビ管とコンクリート管について、被災

した自治体で採用されていた埋め戻し方法

を確認したところ、耐震指針における埋め

戻しの基準が確立されていない平成 15 年

以前の布設管路や、液状化対策の必要がな

いエリアの布設管路の埋め戻しは、概ね山

砂による埋め戻し(一部で発生土による埋

め戻し)であった。

耐震対策(液状化対策)の必要性が高ま

った平成 16 年以降については、埋戻し土

の締固め(図-30 )が採用されていた。た

だし、平成 16 年度以降の工事仕様書で

「 90 %」が明記されておらず、また締固

め度は路盤下のみ試験されており、管周辺

埋め戻し部の締固め度が確保されていたかは不明である。よって、平成 16 年以降の耐

震化済みと想定される管路の被災は、埋戻し土の締固め不足が原因の可能性がある。

2)リブ付塩ビ管

リブ付塩ビ管は、塩ビ管の外周面に環状のリブ構造を施した形状になっており、基礎

材として砕石を用いることができる。このため、地下水位の多い地盤や液状化対策の必

要な地盤で用いられている。

被災都市におけるリブ付塩ビ管の施工方法等を確認したところ、被災した路線の埋め

戻し方法は、図-31 に示す 2 種類が存在していた。A 工法は下水道協会規格の標準施

工(参考)17)であり、B工法は耐震指針に準拠した施工である。工法別に被災延長を整

理すると、被災のほとんど( 98 %、約 2 ㎞)が A 工法に集中していた。砕石による

埋め戻しは、過剰間隙水圧の消散を期待するものであるから、A 工法を採用した路線で

は、水の逃げ場が狭まり、消散効果が低下したものと考えられる。

一方、B工法を採用した箇所は、路盤下まで砕石が充填され、20 ㎝の巻出し厚で適切

に施工されており、被災は皆無であった。間隙水圧が効果的に消散され、液状化が抑制

されたと考えられる。

埋戻し方法 埋戻し土の締固め

概要 良質土で締固め(締固め度 90%程度以上)ながら、埋戻す。

概念図

埋戻し材料 良質な砂、または埋戻しに適した発生土。

施工管理 締固め度で 90%以上。

液状化対策の効果

十分な締固めを行うことにより、埋戻し部の過剰間隙水圧を小さくすることができる。

図-30 埋め戻しの締固め

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(2)

塩ビ

ついて

対する

督等を

砕石

大震災

まで充

指針に

)今後の対策

ビ管やコンク

ては、より確

る理解を深

を徹底するな

石埋戻しは、

災や岩手・宮

充填するこ

に準拠した適

クリート管

確実な効果

めるととも

など、耐震

、砕石の充填

宮城内陸地震

とが明示さ

適切な施工

で採用され

を発揮させ

に、締固め

指針の記載

填方法で耐

震の際にも

れているほ

を今後も進

図-31

25

れる埋戻し土

せるために、

め度 90 %以上

載内容の周知

耐震効果に差

報告 18)19)が

ほか、当該工

進めていく必

リブ付塩ビ管

土の締固め(

発注者及び

上を確保す

知徹底を図る

差が生じてお

がある。現行

工法の原理等

必要ある。

管の埋戻し方

(締固度 90

び施工業者双

るための発

る必要がある

おり、同様の

行指針 20)には

等も解説され

方法

%程度以上

双方の対策工

発注者の指示

る。

の事例は、東

は、地下水位

れていること

上)に

工法に

示・監

東日本

位以浅

とから、

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26

3.2 推進工法区間の被災

平成 16 年新潟県中越地震では推進工法で布設された管路施設に被災がなかったと報告8)されているが、熊本地震では推進工法区間の管路が被災した。ここでは、八代北部流域下水

道、宇城市、嘉島町の幹線管路を対象に被災原因と対策を記載する。

(1) 被災原因

熊本地震では、推進工法で施工したと見られる土被りの深い管路の被災が多く見られ、

特にコンクリート管は約 4 割の被災が推進工法で発生した。推進工法の被災割合の比

較的高い、八代北部流域下水道、宇城市、嘉島町のコンクリート管の被災状況を分析し

た結果(表-8 )、全被災スパン( 34 スパン)の半数でクラック及び浸入水が生じて

いた。クラックの発生位置は、約 8 割が管口付近であり、管きょとマンホールとの構

造間の地震応答の違いより、応力が集中したものと考えられた。以下に、自治体別の被

災状況等について記載する。

布設年度 たるみ円周方向クラック 管軸方向クラック

浸入水継手ずれ

継手 亀裂

継手 破損

小計管口 管中央 管口 管中央

平成 9 年以前 2 9 3 1 0 11 7 6 1 38

平成 10~15 年 0 5 0 0 0 9 0 4 1 19

平成 16 年以降 0 3 0 0 0 0 0 0 0 3

不明 3 1 1 0 0 2 2 0 0 6

小計 5 18 4 1 0 22 9 10 2 66

対被災スパン

割合 15% 53% 12% 3% 0% 65% 26% 29% 6% -

※1 スパンに複数のクラック等が重複して存在するため、全スパン数<小計値となっている。

1)八代北部流域下水道

被災した推進区間の基本諸元を表-9 に示す。平成 10 ~ 12 年度に施工された管路

は未耐震と想定される。被災内容は、表-10 に示す通り、全区間で継手亀裂・破損、

管本体クラックと浸入水、推進区間下流側の 5 スパンは円周方向クラック・浸入水な

どの管本体の被害が発生している。ただし、推進工法区間のいずれの被災箇所も流下機

能は確保されていた。

表-8 被災した推進工法の被災内訳(スパン数)

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27

表-9 推進工法管路基本諸元(八代北部流域下水道)

推進工法基本諸元

施工年度 管径

(mm) 管種

延長

(m)

土被り

(m)

1 450 HP 132 4.0 ~ 4.0 H12

2 600 HP 37 3.9 ~ 3.9 H11

3 600 HP 26 3.9 ~ 3.8 H11

4 600 HP 53 3.9 ~ 4.2 H10

5 600 HP 110 4.7 ~ 5.4 H10

6 600 HP 109 5.0 ~ 5.4 H10

7 600 HP 120 6.9 ~ 7.3 H10

8 700 HP 135 8.7 ~ 8.7 H10

9 1,100 HP 225 9.0 ~ 9.2 H10

表-10 推進区間被災状況(八代北部流域下水道)

被災状況(箇所数) 人孔浮上量

(cm)

たるみ 円周方向クラック 管軸方向クラック

浸入水 破損継手

ずれ

継手

亀裂

継手

破損

上流

人孔

下流

人孔 管口※ 管中央 管口※ 管中央

1 0 0 0 0 0 3 0 0 3 1 0 8

2 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 5

3 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 5 -

4 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 - 0

5 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 - -

6 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 - 0

7 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 9 -

8 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 - -

9 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 -

計 0 5 0 0 0 11 0 0 6 1 - -

※管口:上流側もしくは下流側人孔から 3m以内。

災害査定資料及び土質調査資料より、推進管が布設されている土層は、凝灰質シルト

(シラス)が介在したシルト質粘土層であり、液状化による管路の浮き上がりは考えに

くい。人孔の浮上(写真-1 )や管路の被害が管口付近に集中していることから、マン

ホール周辺の埋戻し部の沈下(締固め不足)、地震時のマンホールと管きょの応答の違

い、地震時の埋戻し土と周辺地山の応答の違いが、被災の要因と推察される。

また、推進立坑の標準寸法と円周方向クラック発生位置の関係より、クラックは立坑

土留矢板の前後に概ね位置することから、クラックの発生には推進坑口部の存置矢板や

空伏基礎(コンクリート基礎)により拘束された管きょと、拘束を受けない立坑前後の

管きょが異なる動きをするという要因が影響した可能性がある。

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28

写真-1 マンホール部人孔浮上状況(災害査定資料より)

2)宇城市

被災した松橋幹線は、宇城市松橋工区の松橋不知火浄水管理センターに流入する重要

幹線であり、大野川および浅川横断部より推進工法にて施工されている。管路の管種、

管径、延長等は表-11 に示す通りである。

推進管は、管径 500 mm の小口径管と 900 mm、1,000 mm の中大口径管(いずれもコ

ンクリート管)が使用され、土被りは 5.1 m ~ 9.4 m である。昭和 57 年度から昭和 60

年度に施工されている。

表-11 推進工法管路基本諸元(宇城市松橋幹線)

推進工法基本諸元 施工

年度 管径

(mm) 管種

延長

(m)

土被り

(m)

1 500 HP 81 5.1 ~ 6.8 S57

2 500 HP 76 6.6 ~ 7.6 S57

3 500 HP 79 7.3 ~ 7.6 S57

4 500 HP 75 7.4 ~ 7.6 S57

5 500 HP 89 7.7 ~ 7.9 S57

6 500 HP 83 8.0 S57

7 900 HP 125 6.9 ~ 7.1 S60

8 900 HP 137 7.9 ~ 8.7 S59

9 1,000 HP 130 9.0 ~ 9.4 S58

松橋幹線推進区間の被災状況は、表-12 に示す通り、被災した全区間で継手ずれ・

亀裂・破損、継手異常に伴う浸入水の被害が発生し、うち 3 スパンで円周方向クラッ

ク・浸入水などの管本体の被害が発生している。ただし、推進工法区間のいずれの被災

箇所も流下機能は確保されていた。

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表-12 松橋幹線推進区間の被災状況

被災状況(箇所数) 人孔浮上量

(cm)

たるみ 円周方向クラック 管軸方向クラック

浸入水 破損継手

ずれ

継手

亀裂

継手

破損

上流

人孔

下流

人孔管口※ 管中央 管口※ 管中央

1 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 - -

2 0 0 0 0 0 2 0 0 2 0 - -

3 0 0 0 0 0 4 0 4 0 0 - -

4 0 0 0 0 0 4 0 3 1 0 - -

5 0 0 0 0 0 12 0 12 1 7 - -

6 0 1 0 0 0 1 0 1 0 0 - -

7 0 0 0 0 0 2 0 1 1 0 0 10

8 0 1 0 0 0 2 0 0 1 0 0 -

9 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 - 0

計 0 3 0 0 0 29 0 21 7 7 - -

※ 管口:上流側もしくは下流側人孔から 3m以内。

災害査定資料及び土質調査資料より、推進管が布設されている土層は、比較的締まっ

た礫混じり砂層やシルト混じり砂層であり、工法的にも液状化による管路の浮き上がり

は考えにくい。現地では、道路に亀裂が入った箇所や、マンホールが若干浮上している

箇所(写真-2 )もあることから、地震動による大きな剪断力の作用、マンホール周辺

の埋戻し部の沈下(締固め不足)、地震時におけるマンホールと管きょの応答の違い、

地震時における埋戻し土と周辺地山の応答の違いが被災の要因と推定される。

写真-2 マンホール部人孔浮上状況(災害査定資料より)

また、推進立坑の標準寸法と円周方向クラック発生位置の関係より、クラックは立坑

土留矢板の前後に概ね位置することから、クラックの発生には推進坑口部の存置矢板や

空伏基礎(コンクリート基礎)により拘束された管きょと、拘束を受けない立坑前後の

管きょが異なる動きをするという要因が影響した可能性がある。

3)嘉島町

被災した推進管の基本諸元を表-13 に示す。平成 16 ~ 26 年度に施工したφ 150

mm ~ 500 mm のコンクリート管および塩ビ管、土被り 2.5 m ~ 8.3 m の推進管が被災

している。

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表-13 推進工法管基本諸元(嘉島町)

推進工法基本諸元 施工

年度 管径

(mm) 管種

延長

(m)

土被り

(m)

1 200 VP 55 4.0 ~ 4.3 H20

2 200 VP 61 4.0 ~ 3.6 H20

3 250 HP 45 3.2 ~ 3.4 H19

4 250 HP 46 3.4 ~ 3.4 H19

5 500 HP 95 7.1 ~ 7.2 H18

6 450 HP 65 7.0 ~ 7.1 H18

7 450 HP 89 7.0 ~ 6.9 H19

8 400 HP 79 8.3 ~ 7.0 H19

9 200 VP 52 2.5 ~ 2.8 H26

10 200 VP 59 2.4 ~ 2.5 H26

11 200 VP 42 4.0 ~ 4.1 H26

12 200 VP 21 4.1 ~ 4.2 H26

13 200 VP 48 2.3 ~ 2.8 H26

14 150 VP 35 2.9 ~ 2.8 H26

15 150 VP 51 2.7 ~ 3.2 H26

16 200 VP 70 4.2 ~ 4.4 H17

17 400 HP 49 4.0 ~ 4.4 H16

18 250 HP 35 2.3 ~ 2.4 不明

19 350 HP 55 2.9 ~ 2.8 不明

20 350 HP 55 2.8 ~ 2.6 不明

21 350 HP 52 2.9 ~ 3.2 不明

22 350 HP 44 3.3 ~ 3.3 不明

23 150 VP 6 2.2 ~ 2.2 H18

24 200 VP 22 2.6 ~ 2.6 H18

25 200 VP 42 2.2 ~ 2.3 H18

26 200 VP 33 2.3 ~ 2.4 H18

27 200 VP 25 2.5 ~ 2.5 H18

28 350 HP 86 3.6 ~ 3.7 H20

29 350 HP 76 3.7 ~ 3.9 H20

30 350 HP 97 3.5 ~ 3.5 H20

31 150 VP 11 2.6 ~ 2.6 不明

32 150 VP 8 2.5 ~ 2.6 不明

33 350 HP 78 4.3 ~ 4.7 H16

嘉島町推進区間の被災状況は、表-14 に示す通り、コンクリート管区間では管口部

での円周方向クラックが多く発生し、塩ビ管区間ではたるみ被害が顕著である。ただし、

推進工法区間のいずれの被災箇所も流下機能は確保できていた。

災害査定資料および土質調査資料より、被災した推進管が布設されている土層は、比

較的締まった礫混じり砂層や砂礫層であり、地下水位は高い位置にある。塩ビ管の区間

で特にたるみ被害が多い路線では、熊本地震にて液状化(噴砂)が確認されている滝河

原・鯰地区と合致することから、原地盤の液状化により管が浮上した可能性がある。

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31

表-14 推進区間の被災状況(嘉島町)

被災状況(箇所数) 人孔浮上量

(cm)

たるみ 円周方向クラック 管軸方向クラック

浸入水 変形 破損継手

ずれ

継手

亀裂

継手

破損

上流

人孔

下流

人孔管口※ 管中央 管口※ 管中央

1 6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 4

2 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 19

3 0 2 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0

4 0 0 0 1 0 0 0 0 2 0 0 0 10

5 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 13 10

6 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 4 13

7 3 1 2 0 0 0 0 0 0 0 0 9 4

8 3 0 5 0 0 0 0 0 0 0 0 14 9

9 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 2 5

10 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 4 2

11 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 3 6

12 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6 7

13 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 10

14 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 7

15 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0

16 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 9 8

17 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 6

18 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 6

19 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 6 0

20 5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 10 12

21 7 2 0 0 0 1 0 0 0 0 0 4 8

22 35 0 1 0 0 1 0 0 1 0 0 4 10

23 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 10 6

24 17 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 8 4

25 35 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 10

26 14 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 10 7

27 9 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 7 8

28 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 9 2

29 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 3

30 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 8 9

31 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 6

32 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0

33 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 8

計 139 12 9 1 0 6 0 5 8 2 2 - -

※管口:上流側もしくは下流側人孔から 3m以内。

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32

出典:防災科学研究所:平成 28 年度熊本地震液状化調査報告 20)

図-32 熊本平野部の液状化(墳砂)地点分布図

(2) 今後の対策

八代北部流域下水道、宇城市、嘉島町の推進工法区間における被災原因を踏まえて、

今後の推進管に求められる対策を記載する。

① 推進管の継手ずれ等の被害

地震時の原地盤が変形したことが原因で、継手部において突込みによるひび割れや

ずれが生じている。今後の耐震化にあたっては、耐震指針に示される通り、地震によ

る圧縮時の衝突に対し、クッション等による対応や、浸入水被害を避けるための差し

込み長の長尺化により水密性を保持する対応が必要である。

② 円周方向クラック

管きょの円周方向クラックの発生原因については、鏡切部に存置された矢板や空伏

基礎(コンクリート基礎)が影響したことに加え、原地盤に布設する推進管と開削工

事となるマンホール部とで、地震時の挙動が異なり、構造変化部で地震動の応答の違

いがあったものと考えられる。

今後は、推進区間においても、マンホール接続部のひび割れ・破損・抜出しや管きょ円周

方向のひび割れを防止するため、可とう継手の設置が必要である。ただし、推進立坑(ケー

シング立坑)の内側から設置できる可とう継手は実績に乏しく、このような箇所での採用が望

まれるとともに、今後の技術開発が望まれる。

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33

4 まとめ

熊本地震における下水道管路施設被災の特徴と対策、課題をまとめると、下記の通り

である。

被災率は、過去の地震と同程度であった。

平成 16 年耐震指針改訂前に布設された「未耐震」と考えられる管路の被災率が

高い。このため、新設する下水道管路については現行指針に準拠した耐震化を進

めるとともに、準拠していない管路施設の耐震化を併せて進める必要がある。

平成 16 年耐震指針改訂後に施工された「耐震化済み」と考えられる管路のうち、

路盤下まで砕石で埋め戻しを実施した路線では被災はほぼない。耐震指針に示さ

れる砕石埋め戻しの高い耐震効果が確認されたことから、今後の復旧工事等に適

用することが望ましい。

一方、管周りのみ砕石で埋め戻した事例が被災したことから、液状化が想定され

る地区へは適用しないよう注意する必要がある。

平成 16 年耐震指針改訂後に施工された「耐震化済み」と考えられる管路で、液

状化対策として山砂埋め戻し(締め固め度 90 %程度以上)を採用した路線では、

仕様書等で 90 %を指示、試験したことが確認できなかった。現行指針に記載の

通り、性能規定の明示及び施工管理の周知徹底等が重要である。

推進工法区間で全体の 1/4 に及ぶ被災があった。多くは、管口付近のクラック

等で、地震時のマンホールと管きょの応答の違い、地震時における埋戻し土と周

辺地山の応答の違いが原因と推定。可とう継ぎ手の採用、マンホール部(立坑の

埋め戻し部)の液状化対策についても十分な対策が必要である。

治水地形分類と被災位置は一致性が高いことから、微地形分類に加えて、治水地

形分類も活用して被災想定を行うことが有効と考えられる。

益城町で、硬質塩化ビニル管の破損が発生した。地形の境界面で大きな変位が作

用した可能性があり、破損のメカニズム解明が望まれる。

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【参考文献】

1)気象庁ホームページ:http://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/index.php

2)地震調査研究推進本部ホームページ:http://www.jishin.go.jp/

3)平成 28 年(2016 年)熊本地震の概況、国立国会図書館、平成 28 年 5月 26 日

4)下水道地震・津波対策技術検討員会報告書、下水道地震・津波対策技術検討員会、平成 24

年 3 月 3)

5)下水道施設の耐震対策指針と解説―2014 年版―、日本下水道協会、平成 26 年 5 月

6)国土交通省ホームページ:http://www.mlit.go.jp/common/001176117.pdf

7)下水道施設の耐震対策指針と解説―1997 年版―、日本下水道協会、平成 9年

8)下水道地震対策技術検討委員会報告書、下水道地震対策技術検討委員会、平成 17 年 8 月

9)下水道施設の耐震対策指針と解説―2009 年版―、日本下水道協会、平成 18 年 8 月

10)国土地理院:地理院地図識別標高図を加工編集

11)地下水見える化調査図(熊本地区-地質水理図面)、国土交通省国土情報課

12)小規模建築物基礎設計指針、日本建築学会)P.89、平成 20 年 3 月

13)下水道の地震対策マニュアル 2014 年版、公益社団法人日本下水道協会、平成 26 年 8 月

14)防災科学技術研究所:地震ハザードステーション http://www.j-shis.bosai.go.jp/

15)土地分類基本調査図、国土交通省国土情報課ホームページ:

http://nrb-www.mlit.go.jp/kokjo/inspect/landclassification/land/l_national_map_5-1.html

16)治水地形分類図、国土地理院ホームページ:http://www.gsi.go.jp/bousaichiri/fc_index.html

17)下水道協会規格(JSWAS K-13 2003)、公益社団法人日本下水道協会、平成 15 年 8 月

18)下水道地震・津波対策技術検討委員会報告書、下水道地震・津波対策技術検討委員会、平成

24 年 3 月

19)下水道地震対策技術検討委員会報告書、下水道地震対策技術検討委員会、平成 20 年 10 月

20)防災科学研究所:平成 28 年度熊本地震液状化調査報告(http://www.bosai.go.jp/)

【謝辞】

本資料の作成に当たり、熊本県、熊本市、宇土市、宇城市、阿蘇市、御船町、益城町、嘉島町

の自治体職員の方々には、復興・復旧業務でご多忙な中、資料の提供やヒアリング等に多大なる

ご協力をいただきました。ここに深く感謝申し上げますとともに、一日も早い復興・復旧を祈念

します。

【問い合わせ先】

本資料に関するお問い合わせ等は、下記までご連絡ください。

国土交通省国土技術政策総合研究所下水道研究部下水道研究室(担当:深谷)

〒305-0804 茨城県つくば市旭1番地

電話:029-864-3343 E-mail:[email protected]