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2. 教室で「教師の声」を届けるために
-FMマイクの使用について-
教室は騒音が多い。- 騒がしい環境では聞きとれない-
教室には、いろいろな騒音があります。 イスや机のガタゴト、教科書をめくる音、友達のくしゃみ、ひとりごと、コンパスや三角定規で作業をする音、ヒソヒソおしゃべり、廊下から響いてくる上級生の声、校庭から聞こえてくる体育の先生の号令と子どもの歓声、上空を飛ぶ飛行機の音…。教室が無音になることは、まずありません。
正常に聞こえる耳であれば、教室内の騒音はそれほど気にならないかもしれません。
けれども、補聴器・人工内耳にとってこの騒がしさは大敵です。 試しに補聴器の音を聞いてみると分かりますが、騒がしい音環境では、補聴器・人工内耳に届いた声は周囲の雑音に埋もれ、ほとんど聞きとれません。騒がしい教室は、補聴器・人工内耳をつけた子どもにとって、聞くべき先生の声やクラスの友達の発言が、なかなか聞きとれない状況なのです。
FMマイクの使用は有効です!
授業では、教師の声を補聴器・人工内耳に確実に届けるための配慮が、ぜひとも必要です。ここでは、FMマイクを使用する方法についてご説明します。 FMマイクを正しく使用すると、教師の声はより明瞭に補聴器・人工内耳に届くため、子どもの授業への参加を促す上で役立ちます。
注意! FMマイクの使用は、「教室内のききとりにくさ」を軽減するもので、補聴器・人工内耳のもつ聞こえの限界をなくすものではありません。このシステムを効果的に使用するためには、機器の扱い方を含め「教室内の雑音を減らす」「教師の顔の向き・話し方の配慮」「板書などの視覚的手かがり」といった工夫が必要です。
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FMマイクで補聴器に音を届ける.
教室での聞こえの不自由さを軽減する方法のひとつに、「FMシステム」があります。これは教師がFMワイヤレスマイクを持ち、口元の声を集音してFM波(電波)にのせて、子どもの補聴器に送信する方法です。補聴器・人工内耳のどちらもこのシステムを利用可能ですが、ここでは補聴器の場合を例にとって説明します。
教室で活用できる「FMシステム+補聴器」
教師の持つ「FMマイク〔FMワイヤレスマイク〕」からFM波が送信され、子どもが携帯する「FM受信機」がFM波を受信します。 FM波によって、子どもの補聴器に 教師の口元の声が送られます。 FM波の届く範囲であれば、少々騒がしい教室であっても、距離が少々離れていても、教師の声ははっきりと大きく聞こえるようになります。
教室は騒がしいけれど… FMシステムを利用すると…
雑音があっても、距離が少々離れていても、先生が補聴器のすぐ近くで話しているかのように聞こえます。
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「補聴器」と「FMシステム」
FMシステムには、「①FM受信機と補聴器をコードで接続するタイプ」と「②FM受信機と補聴器が一体型となったタイプ」の2種類があります。
FMマイク FM受信機と補聴器
① FM受信機と補聴器をコードで接続するタイプ
FMマイク
② FM受信機と補聴器が一体型となったタイプ
「小型受信機を補聴器に接続するタイプ」と「受信機内蔵タイプ(アンテナ付き)」があります。
「人工内耳」も「FMシステム」を使用できます。
小型受信機
アンテナ
「FMシステム」の性能は、器種や使用する電波の搬送周波数によって違いがあります。一部の製品に、ザーザーというノイズや音途切れが生じやすいものがあります。スイッチ類の扱いなどを含め、それぞれご確認ください。
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FMマイクを上手に使うために!
FMマイクの使用にあたって、次の2点をお願いいたします。
① FMマイクをしっかり服に固定する.
② スイッチの ON/OFF の際には、一声、子どもに合図を!
マイクを正しくつける! 口元から 10~15cm の位置で. マイク部は上を向けて. スイッチのON/OFF は正しく. コードは丸めず、伸ばして. どなり声は不要です.
※ 本体は、ポケットなどのじゃまにならない所につけてください.
FMマイクのスイッチのON/OFF をする際に、子どもに一声かけると、子ども側でFM受信機のスイッチの切り替えができます。また、教師の声に意識を向けるための心の準備もできます。
スイッチを入れますよ。
○○くん、聞こえますか?
スイッチを
切りますよ。
胸につけたFMマイクのマイク部が、ネックレスやネクタイピンなどにあたると、「カチカチ」とぶつかる音が送信されます。 スイッチを ON にしたままFMマイクを無造作に机の上に置くと、「ガサガサ…ドン!」という衝撃音が送信されます。ご注意ください。
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FMマイクのスイッチのON/OFF について
補聴器・人工内耳に不必要な音が送信されないように、状況に応じてFMマイクのスイッチのON/OFF を切り替えてください。
FMマイクは、適切に使用すれば有効に働きます。しかしスイッチが OFF であれば、教師の声は子どもの耳には届きませんし、これとは反対に必要のないときにスイッチを ON にしておくと、聞きたくもない音がガンガン響いてくることもありえます。たとえば、子どもたちが班別に分かれてグループ活動をする場合には、教師の持つFMマイクはOFF にしておく必要があります。
○FMマイクの活用例 様々な場面でFMマイクの使用を工夫すると、補聴器・人工内耳をつけた子どもに音の情報が効果的に伝わり、授業の理解はより深まります。
友達の声を届ける テレビの音を届ける 朝礼で使用する FM波の送信距離にご注意下さい。
クラスの子どもたち全員を前にして授業を進める一方で、FMマイクのスイッチの ON/OFF にまで気を配ることは、実際には大変なことです。FMマイクの扱いに手慣れたベテラン教師であっても、うっかりスイッチの入れ忘れ/切り忘れをしてしまうことはよくあることです。FMマイクの扱いに慣れるまでは、「授業開始時に子どもに一声かけてから、スイッチを ONにする」「授業が終わるときに、子どもに一声かけてスイッチを OFF にする」といった簡単なルールを決めておいて、少しずつ練習していくのがよいでしょう。