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2017 6 16 公益財団法人 稲盛財団 報道関係者各位 第 33 回(2017)京都賞受賞者の決定 公益財団法人稲盛財団(理事長 稲盛和夫)は、第 33 回(2017)京都賞の受賞者を以下の 3 名に決定しました。 京都賞は、科学や文明の発展、また人類の精神的深化・高揚に著しく貢献した方々を讃える国際賞です。授賞式は 11 10 日、国立京都国際会館にて行われ、受賞者にはディプロマ、京都賞メダル(20K)および賞金 5,000 万円が 贈られます。 (年齢は 2017 6 16 日現在) 先端技術部門 授賞対象分野: エレクトロニクス 三村 髙志 博士 (日本/1944 12 14 日/72 歳) 半導体工学者 株式会社富士通研究所 名誉フェロー 情報通信研究機構 未来 ICT 研究所 統括特別研究員 高電子移動度トランジスタの発明とその開発による情報通信技術の発展への貢献 2 種類の半導体を積層化した新構造の「高電子移動度トランジスタ(HEMT)」を発明し、伝導層 内の電子移動度が高くなるため優れた高周波特性を持つことを示した。この発明により、情報通 信技術の発展に大きく貢献するとともに、極薄伝導層内の電子の物性研究の進展にも寄与した。 基礎科学部門 授賞対象分野: 生物科学(進化・行動・生態・環境) グレアム・ファーカー博士 (オーストラリア/1947 12 8 日/69 歳) 植物生理学者 オーストラリア国立大学 特別教授 光合成の機能モデルの開拓と地球環境変化の科学への貢献 光合成の炭素同化反応の機能モデルを開発することで、植生と大気の間での二酸化炭素交換の 環境応答が予測できるようにし、加えて光合成や蒸散における炭素と酸素の安定同位体が分別 される反応の数理モデルを開発して、環境科学と気候変動科学の発展に寄与してきた。 思想・芸術部門 授賞対象分野: 音楽 リチャード・タラスキン博士 (アメリカ/1945 4 2 72 歳) 音楽学者 カリフォルニア大学バークレー校 名誉教授 音楽史研究と批評を通じて基本概念や作曲家像を決定的に更新し、 音楽観の変革を促してきた知の巨人 従来の歴史記述の方法を乗り越えた斬新な音楽史研究と、該博な知識に裏打ちされた先鋭的な 批評によって、西洋の音楽文化に新たな次元を切り拓いてきた。他の追随を許さないその仕事 は、音楽において言論が創造的価値を持つことを示し、音楽の世界に大きな足跡を残した。 プレスリリース

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2017 年 6 月 16 日

公益財団法人 稲盛財団

報道関係者各位

第 33回(2017)京都賞受賞者の決定

公益財団法人稲盛財団(理事長 稲盛和夫)は、第 33 回(2017)京都賞の受賞者を以下の 3 名に決定しました。

京都賞は、科学や文明の発展、また人類の精神的深化・高揚に著しく貢献した方々を讃える国際賞です。授賞式は

11 月 10 日、国立京都国際会館にて行われ、受賞者にはディプロマ、京都賞メダル(20K)および賞金 5,000 万円が

贈られます。

(年齢は 2017 年 6 月 16 日現在)

先 端 技 術 部 門 授賞対象分野: エレクトロニクス

三村 髙志 博士 (日本/1944 年 12 月 14 日/72 歳)

半導体工学者

株式会社富士通研究所 名誉フェロー

情報通信研究機構 未来 ICT 研究所 統括特別研究員

高電子移動度トランジスタの発明とその開発による情報通信技術の発展への貢献

2種類の半導体を積層化した新構造の「高電子移動度トランジスタ(HEMT)」を発明し、伝導層

内の電子移動度が高くなるため優れた高周波特性を持つことを示した。この発明により、情報通

信技術の発展に大きく貢献するとともに、極薄伝導層内の電子の物性研究の進展にも寄与した。

基 礎 科 学 部 門 授賞対象分野: 生物科学(進化・行動・生態・環境)

グレアム・ファーカー博士 (オーストラリア/1947 年 12 月 8 日/69 歳)

植物生理学者

オーストラリア国立大学 特別教授

光合成の機能モデルの開拓と地球環境変化の科学への貢献

光合成の炭素同化反応の機能モデルを開発することで、植生と大気の間での二酸化炭素交換の

環境応答が予測できるようにし、加えて光合成や蒸散における炭素と酸素の安定同位体が分別

される反応の数理モデルを開発して、環境科学と気候変動科学の発展に寄与してきた。

思 想 ・ 芸 術 部 門 授賞対象分野: 音楽

リチャード・タラスキン博士 (アメリカ/1945 年 4 月 2 日/72 歳)

音楽学者

カリフォルニア大学バークレー校 名誉教授

音楽史研究と批評を通じて基本概念や作曲家像を決定的に更新し、音楽観の変革を促してきた知の巨人

従来の歴史記述の方法を乗り越えた斬新な音楽史研究と、該博な知識に裏打ちされた先鋭的な

批評によって、西洋の音楽文化に新たな次元を切り拓いてきた。他の追随を許さないその仕事

は、音楽において言論が創造的価値を持つことを示し、音楽の世界に大きな足跡を残した。

プレスリリース

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第 33回(2017)京都賞先端技術部門受賞者 経歴

授賞対象分野:エレクトロニクス

三村 髙志 博士 (Dr. Takashi Mimura)

半導体工学者

所属・役職 株式会社富士通研究所 名誉フェロー

情報通信研究機構 未来 ICT研究所 統括特別研究員

生年月日 1944年 12月 14日 国 籍 日本

略 歴

1944年

1970年

1970年

1975年

1982年

1998–2017年

2006–2016年

2016年–

2017年–

大阪市生まれ

大阪大学 大学院基礎工学研究科 修士課程修了

富士通株式会社 入社

株式会社富士通研究所 転籍

大阪大学 工学博士

株式会社富士通研究所 フェロー

情報通信研究機構 ACT-G ミリ波デバイスプロジェクト 客員研究員

情報通信研究機構 未来 ICT研究所 統括特別研究員

株式会社富士通研究所 名誉フェロー

主な受賞と栄誉

1982年

1990年

1992年

1998年

1998年

2004年

電子情報通信学会業績賞

IEEEモーリス・N・リーブマン記念賞

恩賜発明賞

紫綬褒章

ISCSハインリッヒ・ヴェルカー賞

応用物理学会業績賞

会員: IEEE、応用物理学会、電子情報通信学会

1

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第 33回(2017)京都賞先端技術部門受賞者 業績

授賞対象分野:エレクトロニクス

三村 髙志 博士

高電子移動度トランジスタの発明とその開発による情報通信技術の発展への貢献

三村髙志博士は、1979–80年、2種の半導体を積層化した構造を持つ新型トランジスタ、高電子

移動度トランジスタ(HEMT: High Electron Mobility Transistor)を発明した(1, 2)。三村博士は、

2層積層化構造において、より大きなバンドギャップを持つ半導体に正に荷電したドナー不純物を

入れると、他の半導体内に電子が誘起され、両者の界面に沿って高い移動度を示すことに気付き、

この電子の数の多少を制御することにより、トランジスタ動作の実証に世界で初めて成功した。

三村博士は、HEMT が、高い電子移動度の故に、優れた高速応答を示す可能性を指摘し、高周波

素子としての開発に先導的役割を果した。これにより、電波望遠鏡用受信機や衛星放送用受信機な

どへの応用を促し、情報通信技術の発展に大きく貢献した(3)。またHEMT構造では、その極薄伝

導層内で電子は層に沿ってのみ動く 2次元電子として振る舞うが、高い移動度を示す。このことか

ら、その物性解明に極めて適しており、低次元の電子の物理学の進展の契機ともなった(4)。

HEMT発明の 10年前(1970年)、Esakiと Tsuは、厚さ 10nm程の 2種の半導体超薄膜を積

層化させた「超格子」構造を提案したが(5)、これが契機となり、関連研究が進み、電子が GaAs

内に閉じこめられることが示された。AlGaAsとGaAs超薄膜からなる超格子で、正に帯電した不

純物をAlGaAs層にのみ導入した場合、GaAs層内に閉じこめられた電子は、不純物から隔てられ

るため、高移動度を示すことが 1978年に発見された(6)。三村博士は、これに触発され、正の不純

物を含んだ AlGaAs 膜を高純度 GaAs 結晶上に堆積すれば、接合部に高移動度の 2 次元電子が得

られることに気付き、これを用いたトランジスタ(HEMT)を発明した。

HEMTは、高周波特性に優れるため、衛星放送用受信機、携帯電話とその基地局、GPS用受信

機、自動車の衝突防止用のミリ波レーダーなど、情報通信社会を支える超高速素子として広く使わ

れてきた。また、HEMTを構成する 2種の半導体は、当初AlGaAsとGaAsであったが、InAlAs

と InGaAsの組合せに広がった。さらに結晶格子定数が異なる極薄伝導層を埋め込んだ素子も開発

され、高速性と低雑音性に優れたマイクロ波やミリ波素子として広く使われている(7)。他方、

AlGaNとGaNを用いたHEMTの研究開発も進み(8)、現在では、高出力の高周波素子として携帯

電話基地局で活用されるとともに、スイッチング電源回路用の電力制御素子としても使われ始めて

いる。

また、HEMT構造の半導体界面に形成される超薄伝導層の 2次元電子は、不純物や界面凹凸の

影響を受けにくく、優れた特性を示すため、2次元や低次元の電子物性の研究に大きく貢献している。

このように、三村博士による HEMT の発明は、高周波領域での情報通信技術の進展に多大な

貢献をなすとともに、低次元電子の物理学の発展にも寄与しており、誠に京都賞にふさわしい成果

である。

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参考文献

(1) Mimura T, et al. (1980) A new field-effect transistor with selectively doped

GaAs/n-AlxGa1-xAs heterojunctions. J. J. Appl. Phys. 19: L225–L227.

(2) Mimura T (1987) Japan Patent 1409643.

(3) Suzuki S, et al. (1986) Detection of the interstellar C6H radical. Publ. Astron. Soc. Japan

38: 911–917.

(4) Tsui DC, et al. (1982) Two-dimensional magnetotransport in the extreme quantum limit.

Phys. Rev. Lett. 48: 1559–1562.

(5) Esaki L & Tsu R (1970) Superlattice and negative differential conductivity in

semiconductors. IBM J. Res. Dev. 14: 61–65.

(6) Dingle R, et al. (1978) Electron mobilities in modulation-doped semiconductor

heterojunction superlattices. Appl. Phys. Lett. 33: 665–667.

(7) Yamashita Y, et al. (2002) Pseudomorphic In0.52Al0.48As/In0.7Ga0.3As HEMTs with an

ultrahigh fT of 562 GHz. IEEE Electron Device Lett. 23: 573–575.

(8) Khan A, et al. (1993) High electron mobility transistor based on a GaN-AlxGa1-xN

heterojunction. Appl. Phys. Lett. 63: 1214–1215.

3

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補足資料

衛星放送受信機に使用された HEMT(株式会社富士通研究所提供)

HEMT の活用例

(a)携帯電話基地局

(b)自動車の衝突防止用ミリ波レーダー

(c)ボイジャー2 号からの電波受信機で使用

(Credit: NASA/JPL-Caltech)

(d)HEMT が初めて商用利用された野辺山天文台の増幅器

(株式会社富士通研究所提供画像を一部加工)

(a)

(d) (b)

(c)

先端技術部門

授賞対象分野:エレクトロニクス

三村 髙志 博士

情報通信社会を支えるデバイス 私たちの生活は、携帯電話やカーナビなど、さまざまな電子機

器によって支えられている。こうした機器では高速で安定した

通信を行う必要があるが、表には見えない所で無数のデバイス

がこれを可能にしている。三村博士は、そうしたデバイスの中

で、HEMT(高電子移動度トランジスタ)と呼ばれるデバイスを

発明し、現代社会の根幹に影響を与える大きな貢献をした。

HEMT の影響 HEMT は 1985 年の野辺山電波望遠鏡で初めて製品として

世に出た。その結果、暗黒星雲にある未知の星間物質の発見

に繋がり、見事にその期待に応えたのである。その後、ボイ

ジャー2 号の電波受信機をはじめ、多くの観測系で使われる

に至り、天文学を基礎から支える貢献をしている。

固体物理学においても、低次元電子の物性研究に大きな貢献

を果たしている。分数量子ホール効果でノーベル賞を受賞し

た研究者の 1 人、Störmer 博士の Nobel Lecture 原稿に

HEMTの名前が見られるのはその証左と言っても差し支えな

いだろう。

一方で産業界への影響も大きい。衛星放送用受信機に使われ

ることでパラボラアンテナのサイズが半分以下になり、衛星

放送の爆発的普及に貢献したことは特筆に値するだろう。

さらには、携帯電話基地局にも使われるなど、現代の情報化

社会への影響力は計り知れない。

HEMT とは HEMT は複数の元素を材料に用いる化合物半導体である。

では、HEMT の特徴は何かと言えば、低雑音性、高電子移動

度、高周波特性が挙げられよう。電子が移動する層では動き

を妨げる不純物が少なく、電子は高速で移動できるのである。

このように電子を供給する層と電子が移動する走行層に分け

るとともに、電界効果で電子の動きをコントロールすること

ができる素子を開発したのである。

今後の発展 こうした成功と HEMT のデバイス特性が持つ魅力によって、

世界中の研究者・開発者がこの分野に参入している。自動車

の衝突防止用のミリ波レーダーのように、その高周波特性を

利用したアプリケーションが次々と登場する一方、現在は

パワーデバイスとしての利用にまで期待がなされている。

HEMT は、情報通信社会の多様なニーズに応じて今後も発展

を遂げるだろう。

三村博士が特許出願原稿に描いた HEMT のエネルギーバンド図

(株式会社富士通研究所提供)

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第 33 回(2017)京都賞基礎科学部門受賞者 経歴

授賞対象分野:生物科学(進化・行動・生態・環境)

グレアム・ファーカー博士 (Dr. Graham Farquhar)

植物生理学者

所属・役職 オーストラリア国立大学 生物学研究科 特別教授

生年月日 1947 年 12月 8 日 国 籍 オーストラリア

略 歴

1947 年

1973 年

1973–1975 年

1975–1976 年

1976–1980 年

1980 年

1980–1983 年

1983–1988 年

1988–2003 年

2003 年–

オーストラリア タスマニア州ホバート生まれ

オーストラリア国立大学(ANU) 博士(生物学)

ミシガン州立大学・米国エネルギー省(MSU-DOE)植物研究所

リサーチ・アソシエイト

MSU-DOE植物研究所 リサーチ・スペシャリスト

ANU リサーチ・フェロー

ANU シニア・リサーチ・フェロー

ANU フェロー

ANU シニア・フェロー

ANU 教授

ANU 特別教授

主な受賞と栄誉

2011 年

2013 年

2015 年

フンボルト賞

オーストラリア勲章(オフィサー)

首相科学賞、オーストラリア政府

会員: オーストラリア科学アカデミー、米国科学アカデミー、ロンドン王立協会

5

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第 33回(2017)京都賞基礎科学部門受賞者 業績

授賞対象分野:生物科学(進化・行動・生態・環境)

グレアム・ファーカー博士

光合成の機能モデルの開拓と地球環境変化の科学への貢献

植物による光合成は、地球上のすべての生態系を支える基盤であり、その機能的理解は農業生産

と生態系の環境応答を解析する上で重要である。陸上植物は、乾燥を防ぎながらも二酸化炭素を大

気から取り入れるために、気孔の開閉を制御する。その結果、光合成による二酸化炭素同化速度と

水の蒸散は切り離して考えることができない。

グレアム・ファーカー博士らは、炭素同化酵素であるルビスコの反応が光合成の律速要因として

重要であることに注目して、光合成の機能モデルを開発した(1–3)。1980年に発表されたこのモデ

ルは、細胞や個葉から森林生態系まで広く応用され(4)、植生と大気間の二酸化炭素交換の環境応

答を数値解析することを初めて可能にした。このモデルは、農地、草原、森林などの多様な植生が

人間活動による大気中の二酸化炭素増加にどのように応答するか、また、その応答は水の供給や温

度にどのように影響されるか、などを解明するための光合成反応のモデル解析に広く使われている。

特に、現行の陸域生存圏炭素循環モデルのほとんどに組み込まれており、気候変動科学においては

なくてはならない存在である。

さらに、陸上植物の光合成や蒸散において、炭素と酸素の安定同位体が分別される反応も数理モ

デル化した(5–7)。これらの光合成の機能モデルは、その後の植物科学、農学、環境科学、古生物

学(年輪解析)、生態系生態学(同位体を用いた食物連鎖の解析)などに広く利用されている。ま

た、ファーカー博士自身も植物科学と環境科学において現在に至るまで活発に研究の前線で活躍を

続けている。農学分野への貢献としては、博士は自ら開発した光合成の機能モデルを用いて水分欠

乏に強い小麦やピーナッツの選抜に成功し(8)、それらの研究は水利用効率の鍵遺伝子の同定にも

つながった(9)。

また、ファーカー博士は、京都議定書会議にオーストラリア代表および科学アドバイザーとして

参加し、IPCCのメンバーとして気候変動の科学と対応政策の発展にも大きな貢献を果たしてきた。

このように、過去 40年近くにわたって、ファーカー博士は環境科学と気候変動科学の発展に寄

与してきた。今後、気候変動の科学がますます重要度を増す中、博士の光合成の機能モデルは世界

規模でのさらなる貢献を続けるであろう。

参考文献

(1) Farquhar GD, et al. (1980) A biochemical model of photosynthetic CO2 assimilation in

leaves of C3 species. Planta 149: 78–90.

(2) von Caemmerer S & Farquhar GD (1981) Some relationships between the biochemistry of

photosynthesis and the gas exchange of leaves. Planta 153: 376–387.

6

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(3) Farquhar GD & Sharkey TD (1982) Stomatal conductance and photosynthesis. Annu. Rev.

Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 33: 317–345.

(4) dePury DGG & Farquhar GD (1997) Simple scaling of photosynthesis from leaves to

canopies without the errors of big-leaf models. Plant Cell Env. 20: 537–557.

(5) Farquhar GD, et al. (1982) On the relationship between carbon isotope discrimination and

the intercellular carbondioxide concentration in leaves. Aust. J. Plant Physiol. 9: 121–137.

(6) Farquhar GD, et al. (1989) Carbon isotope discrimination and photosynthesis. Annu. Rev.

Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 40: 503–537.

(7) Farquhar GD, et al. (1993) Vegetation effects on the isotope composition of oxygen in

atmospheric CO2. Nature 363: 439–443.

(8) Farquhar GD & Richards RA (1984) Isotopic composition of plant carbon correlates with

water-use efficiency of wheat genotypes. Aust. J. Plant Physiol. 11: 539–552.

(9) Masle J, Gilmore SR & Farquhar GD (2005) The ERECTA gene regulates plant

transpiration efficiency in Arabidopsis. Nature 436: 866–870.

7

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補足資料

気孔の模式図

ファーカーの光合成モデル経路 Farquhar GD, et al. (1980), Planta を改変

基礎科学部門

授賞対象分野:生物科学(進化・行動・生態・環境)

グレアム・ファーカー博士

植物の挙動を経済論的視点で紐解く 植物を取り巻くさまざまな環境要因

(光、水分、CO2 濃度など)の中でも、

水分は最も重要だ。CO2を取り込むた

めに気孔を開くと水は蒸散してしま

うので、植物は気孔の開閉を厳密に制御している。ファーカー

博士は、学生時代に指導教官とともに、気孔の振る舞いを

経済学的観点から考察した。水の蒸散をコスト、光合成を

ベネフィットとすると、植物はベネフィット/コスト比が最大

となるように気孔開度を調節しているというものである。

この発想から開発した理論モデルは、植物の日中の光合成量

の変化を見事なまでに説明した。

「ファーカーの光合成モデル」を開発

ファーカー博士らは、多くの生化学反応によって成り立つ

光合成が、炭素固定酵素「ルビスコ」の反応とその基質(材料)

である炭素を5個含む糖(RuBP)の濃度との関係に集約でき

ることに気付いた。すなわち、光合成速度は、①RuBP への

炭素付加によるRuBP消費反応、②RuBP再生産反応、の遅い方

の反応によって決定される。下図の低 CO2濃度では、光合成

速度は①が、高 CO2

濃度では②が決定して

いる。この「ファーカー

の光合成モデル」によっ

て、光合成のさまざま

な環境要因への応答を

同時に数値解析できる

ようになった。

安定同位体法:葉緑体 CO2濃度の推定を開発 葉緑体内の CO2 濃度が一体どのくらいなのかは長年の謎で

あった。ファーカー博士は、空気中の CO2分子の約1%を占

める 13CO2の存在に注目した。13CO2は12CO2よりも重い

ので、気孔から葉緑体までの拡散が遅い。また、ルビスコは

13CO2 よりも 12CO2 を好んで

固定する。これらの理由で、植物

が光合成によって固定する炭素

の 13C/12C 比は、大気の比率より

も小さい。しかし、気孔が閉じる

などの結果、葉内の CO2 濃度が

低くなると、ルビスコの「食い残

し効果」によって葉緑体内の

13CO2/12CO2比は大きくなり、ルビスコもかなりの 13CO2

を固定せざるを得ないようになる。ファーカー博士は、この

現象を巧妙に利用して、葉緑体内の CO2 濃度を推定する

モデルを開発し、また、水利用効率の高い農作物の品種開発

にも貢献した。

生態学や地球環境科学へのインパクト ファーカー博士が開発した数理モデルによって、植物の環境応答

は、いくつかの要因に「整理」され、「予測」できるようになっ

た。博士のモデルは植物群落のような集団レベルの応答の予測

にも利用できるため、環境変化と生態系の応答を解き明かす

植物生理生態学の定量的な解析には不可欠である。地球規模の

気候変動や CO2 濃度変動に対する草原や森林など植生の

構造・分布・機能の変化をシミュレートする多くのモデルにも

組み込まれ、炭素循環の精度の高い解析・予測も可能にしている。

また、炭素や酸素の同位体比は、環境応答の積算値を反映して

いるので、食物連鎖の解析や、大気環境測定、樹木の年輪によ

る古環境推定など、博士の数理モデルは植物学以外の分野にお

いても基本的なモデルとして広く用いられている。このように、

植物の「行動」そのものを数式で読み解き続けたファーカー博士

の研究成果は、生態学、地球環境変動の科学の発展にも大きく

寄与している。

CO2濃度と光合成速度

Duursma RA (2015), PLOS ONE を改変

Weathering Respiration

Land sink Land Use Change

Rivers

Weathering

Vegetation,Soil & Detritus

Atmosphere

Surface Ocean

Surface sediment

Intermediate & Deep Ocean

GPP

Marine Biota

Fossil Fuels

地球規模の炭素循環 IPCC Fourth Assessment Report (2007)

黒: 自然現象 赤:人間活動が原因

CO2

葉の断面模式図

8

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第 33回(2017)京都賞思想・芸術部門受賞者 経歴

授賞対象分野:音楽

リチャード・タラスキン博士 (Dr. Richard Taruskin)

音楽学者

所属・役職 カリフォルニア大学バークレー校 名誉教授

生年月日 1945年 4月 2日 国 籍 アメリカ

略 歴

1945年

1975年

1975–1981年

1981–1986年

1986–2014年

2015年–

米国ニューヨーク市生まれ

コロンビア大学 博士(歴史的音楽学)

コロンビア大学 助教(音楽)

コロンビア大学 准教授(音楽)

カリフォルニア大学バークレー校 教授(音楽)

カリフォルニア大学バークレー校 名誉教授

主な受賞と栄誉

1980年

1987年

1993、2005年

1996年

1997、2006年

アルフレート・アインシュタイン賞

デント・メダル

ASCAPディームズ・テイラー賞

ロイヤル・フィルハーモニック協会音楽賞

オットー・キンケルディ賞

会員: ハンガリー科学アカデミー、米国芸術科学アカデミー

主な著作

Opera and Drama in Russia as Preached and Practiced in the 1860s, UMI Research Press, 1981.

Musorgsky: Eight Essays and an Epilogue, Princeton University Press, 1993.

Text and Act: Essays on Music and Performance, Oxford University Press, 1995.

Stravinsky and the Russian Traditions: A Biography of the Works through Mavra,

University of California Press, 1996.

Defining Russia Musically: Historical and Hermeneutical Essays, Princeton University Press, 1997.

The Oxford History of Western Music, Oxford University Press, 2005.

The Danger of Music and Other Anti-Utopian Essays, University of California Press, 2008.

On Russian Music, University of California Press, 2008.

Russian Music at Home and Abroad: New Essays, University of California Press, 2016.

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第 33回(2017)京都賞思想・芸術部門受賞者 業績

授賞対象分野:音楽

リチャード・タラスキン博士

音楽史研究と批評を通じて基本概念や作曲家像を決定的に更新し、音楽観の変革を

促してきた知の巨人

リチャード・タラスキン博士は、古楽の演奏、研究から出発し、近代ロシア音楽に関する画期的

かつ重要な研究を行い、さらに大部の西洋音楽史を発表して、読者を啓発し続けてきた音楽学者、

批評家である。

1945年ニューヨーク生まれのタラスキン博士は、コロンビア大学でロシア語科に学び、大学院

では P・H・ラング教授のもとで西洋音楽史を中心に音楽学を専攻し、歴史的音楽学で博士号を取

得後、同大学に奉職した。研究と同時に演奏でも研鑽を積み、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者として活

動したほか、コロンビア大学コレギウム・ムジクムでは合唱指揮も行った。これらの経験は、のち

に彼が論争を巻き起こす古楽に関する議論につながってゆく。1980年代を中心にタラスキン博士

が『ニューヨーク・タイムズ』紙をはじめとする新聞や論文などで展開した主張は、同時代の古楽

演奏が、しばしばその拠り所とする「真正性(オーセンティシティー)」にではなく、むしろ 20

世紀後半の美学を反映しているというものだった。この刺激的な立論は、その後の古楽演奏に有形

無形の影響を及ぼし、現代の演奏動向も実際にはこのタラスキン博士の主張を前提として、多様な

試みを展開するものとなっている。

さらにタラスキン博士が音楽界に大きな影響を与えたのは、そのロシア音楽研究においてである。

『ロシアのオペラとドラマ』(Opera and Drama in Russia as Preached and Practiced in the

1860s, 1981)、あるいは『ムソルグスキー』(Musorgsky: Eight Essays and an Epilogue, 1993)

そして、『ストラヴィンスキーとロシアの伝統』(Stravinsky and the Russian Traditions: A

Biography of the Works through Mavra, 1996)は、民俗学をはじめとする周辺情報を徹底的に渉

猟しながら、作品自体にも深く斬りこむ画期的な手法によって作曲家像を決定的に塗り替え、音楽

学研究の方法論自体を更新した。

さらに 2005年に刊行された『オックスフォード西洋音楽史』(The Oxford History of Western

Music, 6 volumes)は、記譜(書記性)によって伝承された音楽という独自の視点によって貫かれ

ており、一人の著者によって書かれた音楽通史として最大のものであり、21 世紀の音楽学におけ

る金字塔である。タラスキン博士は従来の歴史記述のなかにあった、何らかの美学的・歴史的普遍

性からの記述方法を批判的に乗り越え、同質的な基準の下で書かれてきた西洋音楽の歴史が、その

実、互いに異質で微細な歴史の集合体として成り立っていることを、実際の膨大な記述によって示

そうとした。そこには、民族音楽学の方法論上の成果や、歴史記述に対する歴史学の批判的取り組

みからの影響も読み取れるが、歴史、文化、政治、美術、文学、宗教等々についての広範な知見は

言うに及ばず、それらの間の相互関係についての深い考察を駆使しながら、それを記譜された音楽

の分析とより合わせていく斬新な西洋音楽学史の記述は、4,000 ページを超える初版の、どの章、

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どの節をとっても、非常にスリリングかつ啓発的である。

このようにタラスキン博士は、批評を通じて聴衆や演奏界にも影響を与え、音楽学の上でも他の

追随を許さない仕事をした。それは、音楽のあり方そのものをも問い直すほどの高度に学術的で深

い洞察に基づいた批評的な実践によって、音楽に関する従来の批評と学問との境目を取り払い、ま

た伝統的な音楽史学と民族音楽学との境目を取り払うという新たな次元を音楽研究に切り拓くも

のである。

その仕事の質と量は、音楽において、作曲や演奏だけではなく、それを聴きとどけ、緻密なこと

ばを通して文脈化する作業がきわめて創造的であり、世界の音楽文化に貢献するものであるという

ことを、きわめて高い次元で示している。

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補足資料

The Oxford History of Western Music (2005)

アムステルダムのオルゲルパークで「真正性」について講演するタラスキン博士

ポスト・ソヴィエト時代の音楽に関するカンファレンスで講演するタラスキン博士

思想・芸術部門

授賞対象分野:音楽

リチャード・タラスキン博士

独自の視点に基づく西洋音楽史の金字塔

西洋音楽の歴史をいつから始めて記述するか。タラスキン博士

は、その起点を、記譜(書記性)すなわち音楽を楽譜に記すこと

に置いた。もっぱら口頭伝承であった音楽が、部分的にであれ

記述されるようになったことによって、「音楽が聴覚的である

と同じく視覚的なものとなった」と博士は述べている。その独自

の観点より、1000 年以上前から 20 世紀までを通観する

4,000 頁超の大著 The Oxford History of Western Music

(2005)は、一人の著者によって書かれた音楽通史としては

最大のものであり、21 世紀の音楽学における金字塔である。

古楽における「真正性」をめぐる批評 古楽、すなわち古典派以前の中世音楽・ルネサンス音楽・

バロック音楽といった音楽を演奏する際に演奏者たちが拠り

所としたのが「真正性(オーセンティシティー)」であった。「真

正性」とは、現代の価値観を差し挟むことなく、現存するさま

ざまなテクストを批判的に分析することを通してのみ知りう

る、「本当の」作曲者の意図や当時の演奏習慣などを担保しよ

うとするものである。多くの古楽演奏者は、作曲家の意図とい

う観念を信奉し、それを再現しようとした。しかしテクストに

残されたもののみに依拠する演奏は、きわめて中性的・中立的

で、演奏者自身の感情などが一切排除されたものだった。古楽

器ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者としての経験を持つタラスキン博士

は、どれほど詳細にテクストを分析したとしても作曲家の意図

は決して知り得ない神秘以外の何物でもないのだから、演奏者

はそれに執着することなく、自分自身の価値観を持ち、それに従っ

て演奏する必要があると主張した。こうしたタラスキン博士の

「真正性」に関する批評はきわめて示唆に富むものであり、

1980 年代を中心に展開された「真正性」をめぐる議論に

おいて主導的な役割を果たしただけでなく、古楽作品の演奏の

あり方に決定的な影響を与えてきた。

音楽学研究の画期的な方法 タラスキン博士は、ストラヴィンスキーをはじめとするロシ

ア音楽の研究において、民俗学などのこれまで見過ごされて

きた周辺情報を徹底的に渉猟し、それを音楽学に導入した。

例えばストラヴィンスキーの《春の祭典》が、従来考えられ

てきたような西洋音楽のスタイルのみによって書かれたも

のではなく、ロシアの伝統的な民俗音楽から大きな影響を受

けていることを明らかにすることによって、この作曲家像を

更新した。該博な知識を駆使して文化・社会・政治等の広範

な連関の中で対象に深く斬り込む博士の分析手法は、音楽学

の研究方法に新たな側面を切り拓いた。

音楽における言論の創造的価値

作曲や演奏が中心となる音楽において、音楽そのもののあり

方を問い直すタラスキン博士の洗練された批評・音楽史研究

は、音楽をめぐる言論というものが決して従属的なものでは

なく、きわめて創造的なものであることを示すにおいて比類

のない貢献を果たした。

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第33回(2017)京都賞 行事日程

1.歓迎レセプション

2017年11月9日(木) 京都ホテルオークラ

受賞者を迎え、京都府・京都市および稲盛財団主催で行います。

2.授賞式

2017年11月10日(金) 国立京都国際会館

3.共同記者会見

2017年11月10日(金) 国立京都国際会館

授賞式直後に3部門の受賞者を囲んで記者会見を行います。

4.晩餐会

2017年11月10日(金) グランドプリンスホテル京都

5.記念講演会

2017年11月11日(土) 国立京都国際会館

受賞者が自らの仕事を通じ、築き上げてきた人生観や世界観等についてエピソードを交え

ながら一般の方々を対象に講演を行います。

6.ワークショップ

2017年11月12日(日) 国立京都国際会館、他

部門ごとに受賞者を囲んで、現在第一線で活躍している専門家が講演などを行います。

7.青少年育成プログラム

子ども達や学生を対象に受賞者が特別授業やフォーラムを行います。詳細は9月下旬頃に

発表いたします。

8.鹿児島講演会

2017年11月16日(木) 鹿児島市民文化ホール

2014年より開始された講演会で、鹿児島県、鹿児島市、鹿児島大学および鹿児島商工会議

所が主体となった「京都賞受賞者講演会実行委員会」主催による催しで、受賞者が一般の

方々を対象に講演を行います。

9.Kyoto Prize Symposium in U.S.A.

2018年3月20日(火)~22日(木) 米国カリフォルニア州サンディエゴ

受賞者をサンディエゴに招いて当地の京都賞シンポジウム組織と地元の大学の協力により

慈善晩餐会や講演会などが開催されています。2002年より毎年行われており、来年で17回

目を迎えます。

10. Kyoto Prize at Oxford in U.K.

2018年5月8日(火)・9日(水) 英国オックスフォード大学

オックスフォード大学ブラバトニック公共政策大学院による企画・運営で行われるシンポ

ジウムで、今年5月に第1回目が開催されました。受賞者の講演やパネル討論などが行われ、

本シンポジウムをもって当該年の受賞者による一連の京都賞行事は幕を閉じます。

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第 33 回(2017)京都賞受賞者発表

報道用写真素材

受賞者の顔写真を提供しています。ご希望の際には、所属・氏名・電話番号・画像番号・

掲載媒体名(可能であれば掲載予定日)を明記の上、稲盛財団広報部(担当:竹之内・

木村)[email protected] 宛にお申し込みください。後日、ダウンロード用 URL

およびパスワードをお知らせいたします。

<お問い合わせ> 公益財団法人 稲盛財団 広報部 竹之内・木村

E-mail:[email protected] TEL:075-353-7272 FAX:075-353-7270

先端技術部門 三村 髙志 博士

01

基礎科学部門 グレアム・ファーカー博士

02 03

思想・芸術部門 リチャード・タラスキン博士

04 05

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【本件に関するお問い合わせ】

広報部 竹之内 勇人・木村 紗矢香

〒600-8411 京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620番地 COCON烏丸7F

TEL : 075-353-7272 FAX : 075-353-7270 E-mail : [email protected]

URL : [稲盛財団] http://www.inamori-f.or.jp/ [京都賞] http://www.kyotoprize.org/