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3つのメソッド Guidebook 1.とんがりチーム®カードワーク 2.とんがりチーム®マインドパターン 3.とんがりチーム®キャンバス

3つのメソッド Guidebook · 1.「アイデアフラッシュ」 取り上げたテーマについて、これまでの常識や思い込みを極力手放 し、自由奔放にアイデアを発散します。

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Page 1: 3つのメソッド Guidebook · 1.「アイデアフラッシュ」 取り上げたテーマについて、これまでの常識や思い込みを極力手放 し、自由奔放にアイデアを発散します。

3つのメソッド

Guidebook

1.とんがりチーム®カードワーク

2.とんがりチーム®マインドパターン

3.とんがりチーム®キャンバス

Page 2: 3つのメソッド Guidebook · 1.「アイデアフラッシュ」 取り上げたテーマについて、これまでの常識や思い込みを極力手放 し、自由奔放にアイデアを発散します。

【1.とんがりチーム®カードワーク】~これまでの常識を疑い、誰も気づかなかった問題を見つける~

➢一人ひとりの認知の違いを創造的に活かし合いながら、これまで気づかなかった大事な問題をチームとして見つける方法をご紹介します。

➢これまでの常識では、取り組むべき課題を計画に落し込み、最短距離で達成すべくPDCAを回すことが重要とされてきました。しかし、いま一番の問題は、設定した課題そのものが本当に正しいのかということであり、既存の知識や経験にとらわれない問題発見の方法論が不可欠です。

➢このワークは、メンバーそれぞれの未整理なモヤモヤとした情報も含めカードに言語化し、お互いに共通の理解や認識を築きながら、ばらばらに分かれていた知識や情報を統合します。以下のようなプロセスで進めます。

<ワークの進め方>1.「アイデアフラッシュ」

取り上げたテーマについて、これまでの常識や思い込みを極力手放し、自由奔放にアイデアを発散します。

2.「エッジシャープニング」

それぞれのアイデアをカード化し、お互いに関係がありそうなメッセージ同士だと感じられるものを組み合わせ、さらに言語化します。

3.「コンセプトマッピング」

組み合わせたカードが、全体としてどのような構図になっているのかをマップ化します。

4.「ストーリーテリング」

マップが言わんとするメッセージをつかみ取り、ストーリー化して表現します。

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1.アイデアフラッシュ

3.コンセプトマッピング

2.エッジシャープニング

4.ストーリーテリング

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1.アイデアフラッシュ

進め方 留意点

チームにとって、切実でかつ関心のわくテーマを設定する。

✓本ワークをチームで進めていく上で、ファシリテーター(進行役)を一人決める。

(※以降、ファシリテーターが特に留意すべきポイントを記述)

✓テーマ設定は、メンバーがモチベーションを持って自発的に考えられるようなものを。

✓問いの形で設定するとその後アイデアが出やすい。

取り上げたテーマについて考える上で、直感的に気になることやどうもひっかかることも大切にしながら、テーマについて何が本質なのかを、一人ひとりが自己の内面に問いかける。

✓既存の知識や考えの延長線上にないアイデアを出したい(ゆきづまりの突破)。

✓そのため、意外なものや例外的なもの、大胆なもの等を奨励する。あいまいなものであってもかまわない。

✓何か別のものにたとえるメタファー表現も、新しい次元で考えるのに有効。

そのとき心に浮かんでくるキーワードやイメージ(絵や図)をたくさんメモとしてカードに書きだす。

✓文章にする必要はなく、頭に浮かんだイメージやキーワードをありのままに書き出す。

✓ここで使うカードは、個人のアイデア出し用として使うものなので、自分自身にわかれば十分。

書き出したカードすべてを自分の前に並べ、改めて全体を眺めたときに、どんなことが言えるのかを、チームメンバーに対して語る。

✓この段階でも決して整理して話す必要はない。

✓自分がアイデアを思いついたとき、どんな状況であったか、何か浮かび上がってくるイメージがあったのか等について、思いつくままに話す。

他のメンバーはそれに対して、なぜそのように考えたのかの背景や、言わんとすることをより理解するための質問を投げかける。

✓他者に問われてはじめて自分の認識に気づくこともあるため、話を聴いていて思い浮かんだ問いを素直に本人に投げかけてみる。

✓決して論理で問い詰めない。質問者も本人と一緒に探っていくようなスタンスで。

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2.エッジシャープニング

進め方 留意点

アイディアフラッシュのプロセスで、ある程度明らかになってきたことを、1つのアイデアにつき1枚のカードとして、誰が読んでも意味が伝わるように1文30~40字程度で記述する。カードの総数は10枚前後にすると、そのあとワークしやすい(必須ではない)。

✓ファシリテーターはこれまでのやりとりが反映された理解しやすい文章になっているか確認し、必要に応じて修正のサポートを行う。

✓個人的な解釈や価値判断で決めつけているようなカードは要注意。

✓なかなか完成しないカードがあり、それを深掘りする必要があると判断した場合、改めてチームでやりとりをしてもよい。

全員ですべてのカードを一覧できるように並べ、それぞれのカードが言わんとするメッセージに耳を傾ける。どうも関係がありそうだと感じられるカードを2枚1組にまとめる。言葉が似ているというような表面的なことではなく、文脈的な類似点に着目する。

✓アイデア同士の偶然の遭遇を大事に。

✓結びつけるのは直感で。なぜそうするのか理由を述べずに、基本的には無言で動かす。

✓どんどん一人でやってしまおうとするメンバーには待ったをかける。

✓言葉が似ている、違うという表面的なことではなく、メッセージの底流あるものをアナロジー(類推)で読み取る。✓決して分類作業にはしないこと。

あるメンバーが行った組み合わせがしっくりこない場合は、ことわりなく組み合わせを自由に変えてもよい。チームとしてある程度落ち着くまで繰り返す。ペアが見つからないものはそのまま単独で置いておく。

✓とにかくカードを動かし、全員がある程度納得できるまで続ける。

✓ペアが見つからないカードは、飛び抜けたアイデアである可能性もあるので、無理にペアを探さなくてもよい。

✓一旦組み合わせたカードをそれで完了として端に置いてしまわず、全体の中に位置づけたまま他の可能性がないかを探る。

対になったカードが一緒になって何を言わんとしているのかについて、新たに1枚のカードに記述する。単独カード含めて5~7組程度に収まるまで続ける。

✓カードづくりは、チームの中で適宜役割を分担して行う。

✓2枚の共通項を「最大公約数」的に特定するというより、2つのアイデアを包み込むより大きなアイデアを「最小公倍数」的に発見していくイメージ。

A B

B´A´C´

C

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3.コンセプトマッピング

進め方 留意点

組み合わさったカードのメッセージについて、全体を眺めながら、カード同士の関係の強弱を探り、関係の強いものは近くに、弱いものは遠くに配置する。

✓すぐに既存のフレームワーク等に当てはめようとせず、全体を意識しながらカード2枚ずつの関係を見る。

✓2枚ずつの関係の積み重ねで全体の構造がどうなるか考える。

常に全体観を意識しながら収まりのよい構図をチームで見つけ出す。

✓ここでもはじめはどんどんカードを動かしてみること。

✓配置が安定せずに、沈黙することもあるが、それはチームで深く考えている時間であり、大事に扱う。

メンバーがある程度納得できる構図になったら、カード間の関係を関係線で表現する。

全体のマップが完成したら、改めてチームでそのアウトプット(創造)をじっくり味わう。

✓ばらばらなものから構造をつくるということは多くのメンバーにとって経験がないことだろうが、このワークを通じてチームとして、新たなコンセプトのタネを生み出した経験を讃え合う。

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4.ストーリーテリング

進め方 留意点

完成したマップにもとづき、個々のカードのメッセージを改めて眺め、個々のカードがどのように全体につながっているのかを把握する。

✓個と全体がきちんと位置付けられると、設定したテーマのレバレッジポイントや優先順位が見えてくる。

✓メンバー間に、大きなところで認識の違いがないかを確認する。

マップの全体像について、メンバーのうちひとりがその場で即興でストーリーとして組み立て、プレゼンテーションする。

✓マップをもとに、一本のストーリーになるように肉付けしたものを発表者がチームに向けて語る。

✓複数名がプレゼンして、それぞれの違いを比較してみてもよい。

✓このプレゼンはあくまでもプロトタイプである。いざ話してもると、自分のものになっていなかったり、論理構成が不十分なところ等が見つかるはず。

1~4のプロセスをふりかえり、得られた気づきや学びを共有する。またこの仮説をどのように今後展開していくのかについて対話する。

✓ワーク全体のふりかえりによって、メンバー個々のアイデアや考え方が統合されて、個を超えたより大きなコンセプトになったことが実感できるはず。

✓頭の中でイメージできたこと、自分で話したことは実現したくなるのが人間の心理である。

終了後に、マップにもとづいたストーリーを文書にまとめて共有する。

✓完成した文書は、これから仕事やプロジェクトを進めていく上での判断基準になったり、マーケティングメッセージのもとになったりする。✓今後の具体的な活用方法を検討する。

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Page 8: 3つのメソッド Guidebook · 1.「アイデアフラッシュ」 取り上げたテーマについて、これまでの常識や思い込みを極力手放 し、自由奔放にアイデアを発散します。

➢一人ひとりの考え方の違いを創造的に活かし合いながら、誰のアイデアにも属しない思いもよらなかった解をチームで導き出す方法をご紹介します。

➢ウィーン出身の建築家C・アレグザンダー氏が、いきいきしたコミュニティや家づくりのあり方を普遍化する方法論として編み出した「パターンランゲージ」という形式を用いて、ある「状況」(context)において、どのような「問題」(problem)が生じやすく、それをどう「解決」(solution)すればよいかを記述しています。

➢このとおりにやればうまくいくという類のハウツーではなく、以下のようなワークに使うことで、創造的なチームマインドを体得することができるようになっています。

<ワークの進め方>1.5つのプロセス×6=30の秘訣として記述したパターンをざっと見て、ピンと来るの、共感するもの、重要だと思えるもの等を選んでください。

2.次に、なぜそのパタンを選んだのか、および、それに関連する経験(成功体験、失敗体験)や、これからやってみたいと思うアクションについてチームで共有します。

3.2での共有から、チームとして気づいたことや学んだことについてさらに議論を深めます。

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【2.とんがりチーム®マインドパターン】~個々のとんがり(創造性の種)をぶつけ合い、最適解を探る~

とんがりチーム®マインドパターン 5つのプロセスと30の秘訣

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Pattern(秘訣)

Context(状況)

Problem(問題)

Solution(解決)

Action(行動)

#1 個を重ね合わせ総和を超える

組織では、仕事を分業して効率的に進めるのが当たり前になっている。

全体像を把握しないまま、細かな要素に分解すると、部分最適になってしまいがち。

仕事に対する自分の想いや問題意識をチームで出し合い、互いに共有することから「創発」は始まる。

#2 ワークとライフを分けない

ワークライフバランスの考え方はすっかり世の中に定着した感がある。

ワークとライフを単に形式的に区切ってしまうと、魂のこもった仕事が成り立ちにくくなる。

仕事を通してこんなこと実現したいという想いにフタをせず解放する。前例のないことにトライするときの原動力は、個々人の生きざまや信念である。

#3 わき上がる感情に目を向ける

仕事をそつなく進めるためには、職場ではできるだけ感情を封印した方がいいと考えられている。

感情を押し殺すことで、その感情の根底にある普遍的なニーズ(身体的充足、自律性、理解、相互依存、思いやり、遊び等)を忘れてしまう。

わき上がる感情(悲しみ、怒り、不安、喜び、嬉しさ等)を判断したり、評価したりせずに、ありのまま受け止め、それを表現してみる。

#4 なじみのない情報に耳を傾ける

チームで問題解決を進めるための一般的なアプローチは、自分から積極的に話すことが奨励される。

この方法は、既に存在している選択肢の中から選ぶにはよいが、新しいことを創造するには不十分。

まだ存在していない未知の可能性を探るプロセスでは、なじみのない新しい情報に接すること、つまりお互いに聴き合うことが大切。

#5 異論にこそ心をひらく

既定の枠組みに収まらないはみ出し社員は「異端児」の烙印を押され、組織の中枢から遠ざけられる。

同質の考え方の人間ばかりが集まり、革新的なアイデアやコンセプトが出にくくなる。

閉塞状況に風穴を開けられる可能性がある異端児や異論を排除せず、意図的に受け容れる。

#6 なんだか気になることから始める

議論をするときに、テーマを設定せずに始めることは、時間の無駄とされる。

あらかじめこれがテーマであると決めつけると、その検証に使えるデータだけを集めてしまいがち。

本当のテーマや問題に気づくのは、なんとなくその情報が必要な気がするという感情のようなものの働きが大きい。

1.ひと仕事する「仲間」になる-チームとして成し遂げるに値する仕事は何か。

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Pattern(秘訣)

Context(状況)

Problem(問題)

Solution(解決)

Action(行動)

#7 解決策の前に問題点を明らかにする

かつては顧客や上司に言われたことを、迅速かつ正確にやる人が優秀とされた。

目の前の課題を「どうやるか」しか考えることができないビジネスパーソンが量産された。

対症療法では済まない複雑な問題に直面したときは「どうやるか」の前に、「そもそも何が問題の本質なのか」を明らかにすることから始める。

#8 既存の知識や経験を疑ってかかる

ある業務に精通すればするほど、より速くより多くのことができるようになる経験は誰にもあるだろう。

既存の知識や経験に頼りすぎると、環境変化の激しい環境下では、それらがかえって足かせになってしまいかねない。

蓄積してきた知識や経験をいったんアン・ラーニング(脱学習)し、状況の判断や行動が自由自在な状態を目指す。一般論や常識論に頼ることをまずやめてみる。

#9 あらゆるタブーを取り払う

多くの組織には、誰も触れてはならない暗黙のタブーのようなものが存在する。

自分たちに不都合な事実から目を背けてしまうことが横行する。

直面する壁を突き抜けるには、あらゆるタブーを取り払って、ありのままの事実と向き合うことから始める。

#10 未整理な直感も大事にする

目に見えるもの、言語化や数値化がしやすいものに集中して取り組んでいくと、成果は見えやすくなる。

もっとも重要で本質的なことは必ずしも言語化できるものではない可能性がある。

言語化しにくい暗黙知を安易に捨てるのではなく、なんとか言語化する努力を惜しまない。

#11 場に起きるエネルギーを信じる

一人ひとりが自分自身の価値基準を明確に持ち、自律的に選択し、行動ができることは理想的な姿だ。

自律的な個がばらばらに行動したのでは、組織としてのまとまったエネルギーにはつながりにくい。

異なる考え方や生き方をする多様な存在

が、ひとつの場を共有するとき、あたかも生命や意志が宿るかのように動き始めることがある。

#12 遊び心を大いに取り込む

「仕事は遊びじゃない」という考え方はビジネスの世界では常識とされてきた。

仕事が、おもしろさとは無縁の労苦的な存在になり、疲弊していくビジネスパーソンが少なくない。

遊びは文化よりも古く、人間存在の本質ともされる。遊びは命令されてするものでなく、自由な行動だから人を夢中にさせる。ビジネスでそれをやらない手はない。

2. 「リアリティ」をありのままに観る-問題の根源に、ひるむことなく迫る。

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Pattern(秘訣)

Context(状況)

Problem(問題)

Solution(解決)

Action(行動)

#13 沈黙の深い意味を知る

通常の会議では、突然シーンとした沈黙が起きると、落ち着かなかったり、気まずくなってしまう。

沈黙を破るべく、思い付いたことをただ話せばいいとは限らない。

意味ある沈黙を大事に。一人ひとりが真剣に考えているにもかかわらず、はっきりしたものが見えないので、外に向けて話す前に、自己との内面の対話が続いている状態。

#14 他者の目で物事を確かめる

われわれは無意識のうちに自分なりのものの見方や考え方を身につけている。

単一の視点だけでは直面する問題の本質が見えにくくなる。主観的なものの見方を事実と思いこんでしまいがち。

自分以外の視点を意図的に意識できるようになると、そこにいる人の数だけ異なる視点が存在することに気付けるようになる。

#15 機が熟すまでじっくり待つ

ビジネス現場では「もっと速く」という掛け声が依然として支配的である。

ファストとは「せわしなく動きまわり、支配的で、攻撃的で、あわただしく、分析的で、表面的で、こらえ性がなく、質よりも量を重んじる」

スローとは「ゆるやかで、物事に注意を払い、受容的で、静穏で、あわてることなく、辛抱強い、思慮深い」態度のことでもある。

#16 普段と異なる作法を持ち込む

目の前の状況が渾沌としてくると、日本人は得意のガンバリズムを発揮して、やみくもに動こうとしがち。

本質的な問題がわからない状態で、右往左往しても動くだけ逆効果になってしまうリスクがある。

普段経験したことのないやり方で、問題をずらして見ることで、逆にリアルな問題が見えてきたりすることもある。たとえば、演劇ワークショップ、森での瞑想など。

#17 エゴと怖れをともに手放す

現代に生きるわれわれは、自分に執着しエゴにとらわれていることが多い。

自分は有能だ、他者から認められたいといった欲求が、もしそうではなかったらというエゴの裏返しで、恐怖感や閉塞感を呼び込む。

エゴや怖れを手放すには、渾沌の中に主体的に身を置き、あるがままの自分に向き合い、もがくしかない。答えは渾沌の内側、すなわち自分の中にしかない。

#18 触媒として働きかける

少人数のチームが、志や目的を共有し、その実現のために団結すると士気は高まる。

自分たちのチームを特別なものと考え、外部と境界線を引き、閉じこもってしまうリスクもある。

内部エネルギーが高まるほど、外部との温度差が拡大するため、階層や境界を超えて動き回り、内外の壁を低くするようなつなぎの機能が必要。

3. 「渾沌」へ真摯に向き合う-やがて空白が満たされること信じて待つ。

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Pattern(秘訣)

Context(状況)

Problem(問題)

Solution(解決)

Action(行動)

#19 立ち現れる気配を見逃さない

対話を重ねた先には、苦労した分、きれいに解が姿を現すことを期待しがち。

対話における個々の意見は、水面を漂い、岸に打ち上げられる草木の葉のようなものであり、その葉っぱに惑わされると解は見えない。

「岸と岸の間を流れる水の流れ」すなわち対話の文脈を見落とさないこと。ファシリテーターの重要な役割がここにある。

#20 一見異なるものを結びつける

創造という行為から自分は縁遠い存在であると考える人は少なくない。

何もないところからポッと出てくる創造を待ち望んでも時間だけが過ぎ去っていく。

価値を創造するための第一歩として「違う分野と思われているもの」「一見似ていないと見えるもの」「時間的・空間的に隔たりがあるもの」に新たな関係性の軸を設定し、結びつけていくこと。

#21 マネジメントの諸要素を統べる

マネジメントという概念は、対象とする範囲が広すぎて、何をどうとらえればいいのかわかりにくい。

その対象を各領域に要素分解して、それぞれの専門家にソリューションを求めても、未知の問題には対応できない。

「マネジメント羅針盤」(左図)を使って、組織が直面する問題を統合的に把握することから始める。

#22 矛盾や葛藤をあえて抱きしめる

チームで考え抜いた末に得た仮説は、斬新であればあるほど、現実との大きな矛盾や葛藤をはらむもの。

不安やストレスにさいなまれて、せっかくの旗を降ろしてしまうことになるかもしれない。

矛盾や葛藤はできれば避けたいのが人情だが、創造にとっては欠かすことのできないエネルギー源で、ビジョンと現実を結びつける強い味方となる。

#23 イメージ共有に言葉を尽くす

「話せばわかる」という言い方があるとおり、日本人はコミュニケーションの難しさを甘くみがちなところがある。

人間は簡単にわかり合えるものではなく、お互いの受け止め方に誤解やズレが生じるのは当たり前。

失敗を怖れず、自分の気持ち・考え・想いなどを率直に伝え、相手にもまた同じように発言することを促す「アサーション」にトライする。

#24 動きのある物語に仕立てる

どんなに論理構成がしっかりした素晴らしい方法であっても、それを聞く側にはなかなか伝わらないこともある。

受け取る側に「やる意味がありそうだ」「おもしろそう」「やってやろう」と思われないかぎり、残念ながら実際に伝わることはない。

仮説を「物語」にして伝える。人がもの語るという行為は、私という人間の考え・感じ・思想のようなものが必然的に入ってくるので、話し手と聞き手の間に関係が結ばれる。

4.新たな「文脈」を探る-意味ある手がかりは、相互作用のなかに姿を現わす。

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Pattern(秘訣)

Context(状況)

Problem(問題)

Solution(解決)

Action(行動)

#25 迷いなくやる肚を決める

日本企業のつくる中期経営計画は、やるべき項目が羅列され、いたずらに分厚いだけ。

その組織が「誰に、何を」届けようとしているのか、それを実現できる強みの源泉は何かということが見えてこない。

それをすることで、他のすべてのことがもっと容易になるか、不必要になるような、私ができる「1つのこと」を明らかにする。

#26 成功に向けて試行錯誤を繰り返す

あらゆる学びは、実際のところ、誤りや失敗から出発するものだ。

誤りや失敗を垂れ流しにしても、いつまでたっても結果は見えてこない。

「リーン・スタートアップ」※という方法が有効である(欄外参照)。

#27 やりたい一辺倒で攻めすぎない

未来を考えるには、現実からジャンプしなければという強迫観念から、つい「やりたい」ことにばかり注目しがち。

現実と遊離したフワフワした空想で終わってしまう可能性が高い。

「やりうる」「やるべき」「やりたい」の3つが重なる点に戦略的意志を込める。

#28 思い切り即興に乗ってみる

変化の激しい環境下では、どんなに議論を尽くしても、不安要因を挙げればきりがないものである。

せっかく考え抜いた仮説を、疑ったり否定したりしていると、本来の特性や能力を発揮することができなくなってしまう。

ある段階まで来たら、頭で考えることをいったんやめ、即興的に動いてみることも大事。

#29 自己の内側から改めて省みる

「反省会」という言葉には、ややネガティブなニュアンスがつきまとう。

「うまくいかなかったのは誰のせいか」「何が悪かったのか」などをお決まりの枠組みでふりかえっても前には進めない。

「省みる」行為とは、未知の世界に勇気を持って挑んでみたことの結果に、知的誠実さを保持しながら向き合うこと。

#30 気づきによって一段高みにのぼる

日本でも成果主義の考え方が当たり前になり、個人の自己選択と責任が求められる。

チームで問題解決しようとしても、個々が自己主導的に動くと、ばらばらになって結果が出せない。

チームによる対話と実践を通じ、自分自身の価値基準を絶対とせず、対立する考え方も受け入れながら両者を統合できるマインドレベルに高めることは可能だ。

5. 「いまここ」の選択に委ねる-唯一最高の選択肢は存在する。

※リーン・スタートアップ

1.まず顧客の製品やサービスに対するニーズについて仮説を立て、新規事業のアイデアを構築

2.そのアイデアをコストと時間を極力かけず試作品にして、いち早く飛びつく顧客層の反応を計測

3.その結果をもとにすぐに試作品を改良しながら学び、このサイクルを短期間で繰り返しながら顧客に受け入れられるものに仕上げる。

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➢われわれのチームが「どこから来て、どこに向かうのか」という本源的な問いに対して、戦略的に意志を定めていく具体的な方法をここで紹介します。

➢このキャンバスは、単に空欄に答えを当てはめていってもまったく意味がありません。このキャンバスをチームで描く作業を通じて、メンバーがオープンかつ自由に対話しながら合意点を見つけ出し、未来への方向性を定めることが重要です。

➢キャンバスに示される問いは、どれもシンプルなものですが、チームメンバーが同じ方向感で答えるのは意外に難しいものです。これは本物の「チーム」になるための不可欠なプロセスとも言え、以下のように進めます。

<ワークの進め方>1.自分たちの顧客をめぐる内外の環境変化を共有します。2.キャンバス作成の7つの問いについて考え、チームで定めます。

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【3.とんがりチーム®キャンバス】~チームがどうありたいのか、戦略的に意志を定める~

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顧客をめぐって、自分たち/業界や競合/社会や技術は、「過去」「現在」「未来」の時間軸の中で、それぞれどのように変化してきたか(しそうか)を、トピックスとして洗い出してください。すべてのマスを丁寧に埋める必要はありません。

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1.顧客をめぐる内外の環境の変化を共有する

自分たち 業界・競合 社会・技術

過去

現在

未来

トピックスを洗い出すすべてについて、あくまでも自分たちの「顧客」をめぐっての変化であることを意識してください。

誰を満足させたときに成果を上げたと言えるのかへの「誰」が顧客ということになります。 顧客には、活動対象としての顧客と、ともに活動していく相手としての顧客がいます。

業界や競合をどの範囲でとらえるか改めて考えてください。現在の競合だけでなく、他業界からの参入や、シェアは小さくても最近気になっている業界の変化はないでしょうか。

顧客をめぐる社会や技術の変化については、直接的にかかわりのないことでも、なるべく視野を広げて考えてみてください。

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1.のワークを踏まえて、『いまここ』の視点から、自分たちの事業や組織の根幹を定める以下7つの問いに答えてください。

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2.キャンバス作成の7つの問いに答える

<外部環境の変化>

1.最も大切にしたいお客さまは誰ですか?そのお客さまの困りごとやニーズはどのように変化していますか?(顧客には「活動対象としての顧客」と「ともに活動する相手としての顧客」がいます)

2.あなたの事業にとって、最も影響のある「業界」や「競合」の変化は何ですか?それはなぜですか?

3.あなたの事業にとって、最も影響のある「技術」や「社会」の変化は何ですか?それはなぜですか?

<内部環境の適応>

4.あなたの事業ならではの、他にはマネのできない、お客さまに圧倒的に支持されている「価値」は何ですか?

5.その価値を実現するのに欠かせない、一連かつ独自のスキルや技術(強みの源泉)は何ですか?

6.そのスキルや技術は、具体的にどんな形で(例えば、商品・サービス)お客様に届けられていますか?

<存在意義(ミッション・ステートメント)>7.つまり、あなたの組織は「何を為す存在」と言えますか?

(3つの要件:成長性を示唆しているか/戦略&戦術につながるヒントがあるか/社会に貢献するものであるか)

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⑦について、改めて以下の要件を満たしていますか?✓組織・事業の存在意義である。✓単に何をするということではなく「なぜ」という問いに答えるもの。✓顧客の視点に立って「真の使命」を明らかにしたもの。✓ メンバーの意欲をかきたて、やる気を起こさせるようなもの。✓表面的な言葉づかいより、そこから人々に伝わる意味のあるもの。

≪とんがりチーム®キャンバス≫