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Lesson 2_06 64 65 2CLASSROOM OF DESIGN Tokyo Design Museum 2008/12/24-2009/2/22 タイポグラフィーの明日が見える TYPO EXPO TYPO EXPO Bodoni Garamond 余白 余白 このままではTYPOEXPOがつながって見えて しまい、単語を認識しにくい。 単語の分け目をうまく認識で きるようにしたい。そこで、 頭文字以外を小文字にして、 Typo」「Expoと表記する。 タイトルであるTYPO EXPOを左右いっぱいに配 置。この段階で、いくつかの 書体を使って試そう。シャー プなイメージにしたいので、 よく使われるセリフ書体の中 から、縦横の線の太さの差が 大きく、セリフ部分が直線的 Bodoni を選択する。 1つのデザインに使う書体の数をあまり増やすと、統一感がなくなることが多 いので、同じ書体を使って、場所や期間の情報を表示する。日本語書体は、セ リフ体の欧文にあうように、明朝体で表示する。あまり大きくない明朝体で重 要な内容を表示する場合は、周囲に余白を多めにとること。 左右を逆にして左を黒に白抜 き、右を白に黒抜きにしてみ る。この場合、黒に白抜き文 字のほうが印象が強いので、 Expoのほうが目立ってし まうように感じる。逆も試し てみることで、このように確 認してみた経験が後に他のデ ザインをするときに生きてく る。 さらに、背景を黒と白に分割 し、 Typoを白抜きにする。 これによって、文字が明確に 認識できるようになり、力強 さも感じられるようになる。 背景が白だけでは寂しくなる ので、背景でアクセントをつ けることが重要だ。 1 セリフ系の書体を選ぶ 2 頭文字以外を小文字にする 5 書体はできるだけ少なくする 4 配色を試行錯誤する 3 背景を黒と白に分割する タイポグラフィーの明日が見える イタリックの斜めのライン に揃えてExpoを配置す る。左上から右下へ、自然な 視線の移動によって一つの言 葉として感じられるようにし たい。また、 poの繰り返 しがリズムを感じさせられた ら、なおよい。 欧文書体のイタリックは文字 を単純に斜めに変形しただけ でなく、独自にデザインされ た書体なので、標準書体とは 別の美しさがある。これを活 かしてデザインしてみること にする。特に小文字のほうが、 線の形に特徴があることが多 い。 場所や期間の情報を割り振 る。 TokyoTはこの なかで一番大きいTypoTともダブるので、同じ書 体か、まったく違うサンセリ フ体を使う。中途半端に似て いる書体を使うと、違いが明 確に見えてしまって、統一感 がなく感じられる。 単調な感じがするので、 Typoをグレーにしてみる。 こ れ に よ っ て、 TypoExpoのバランスがとれて くる。強めることだけでなく、 弱めることで逆に両者が生き てくるということもある。グ レーの濃さによっても異なる ので、いくつかの濃度で試し てみるとよい。 1 欧文イタリックでデザインする 2 斜めのラインに揃えて配置 4 他の要素を配置する 3 強めるだけでなく、弱めること セリフ体は、文字だけでは太いサンセリフ体のような強烈な力強 さはないので、背景の色を工夫することで文字を引き立てて、タ イトルとしての機能を果たせるようにしてみます。 セリフ体のイタリックを使うことで、デザインのなかに柔らかな 曲線と、斜め方向への流れを作り出すことができます。セリフ体 のイタリックの特徴を活かしたデザインを試してみます。 Column 明朝体の選択 明朝の書体ではひらがなのに注目してみましょう。ヒラギノのよ うに筆運びを感じさせる書体と、小塚明朝のようになめらかで筆らしさ を感じさせない書体があることに気づきます。写植の書体には、一つの 書体に対してKLKSという 2 種類がありました。これは仮名 の大小を表しています。選択できるということは、仮名の大小によって 見栄えが違うということです。毛筆の書では漢字に対して仮名を小さく 書くのが普通です。これによって、メリハリのある流れるような表現に なります。ところが、最近の書体は、漢字に対して仮名がそれほど小さ くないものが多くなっています。文章や見出しなどは、遠くから見ると 一つのブロックに見えます。デザイン全体から見ると、この文字ブロッ クが均一に見えたほうが美しく感じられます。仮名の大小といったこと も書体選びのポイントになります。 背景のコントラストで 文字を目立たせる 練習1 イタリックでセリフ書体の 曲線を活かす 練習2 ヒラギノ明朝 小塚明朝

4 1 Column 5 TYPO EXPO - MdN Interactive › Books › tatiyomi › 5979 › 02.pdfTYPO EXPO TYPO EXPO Bodoni Garamond 余白 余白 このままでは「TYPO」と 「E XPO」がつながって見えて

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Page 1: 4 1 Column 5 TYPO EXPO - MdN Interactive › Books › tatiyomi › 5979 › 02.pdfTYPO EXPO TYPO EXPO Bodoni Garamond 余白 余白 このままでは「TYPO」と 「E XPO」がつながって見えて

Lesson 2_06

 セリフ書体を活かしたデザイン

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第2章 基本的な図形による平面構成のトレーニング

CLASSROOM OF DESIGN

Tokyo Design Museum

2008/12/24-2009/2/22

タイポグラフィーの明日が見える

TYPO EXPO TYPO EXPO

Bodoni

Garamond

余白

余白

このままでは「TYPO」と「EXPO」がつながって見えてしまい、単語を認識しにくい。単語の分け目をうまく認識できるようにしたい。そこで、頭文字以外を小文字にして、「Typo」「Expo」と表記する。

タ イ ト ル で あ る「TYPO EXPO」を左右いっぱいに配置。この段階で、いくつかの書体を使って試そう。シャープなイメージにしたいので、よく使われるセリフ書体の中から、縦横の線の太さの差が大きく、セリフ部分が直線的な Bodoni を選択する。

1つのデザインに使う書体の数をあまり増やすと、統一感がなくなることが多いので、同じ書体を使って、場所や期間の情報を表示する。日本語書体は、セリフ体の欧文にあうように、明朝体で表示する。あまり大きくない明朝体で重要な内容を表示する場合は、周囲に余白を多めにとること。

左右を逆にして左を黒に白抜き、右を白に黒抜きにしてみる。この場合、黒に白抜き文字のほうが印象が強いので、「Expo」のほうが目立ってしまうように感じる。逆も試してみることで、このように確認してみた経験が後に他のデザインをするときに生きてくる。

さらに、背景を黒と白に分割し、「Typo」を白抜きにする。これによって、文字が明確に認識できるようになり、力強さも感じられるようになる。背景が白だけでは寂しくなるので、背景でアクセントをつけることが重要だ。

1─セリフ系の書体を選ぶ

2─頭文字以外を小文字にする

5─書体はできるだけ少なくする

4─配色を試行錯誤する

3─背景を黒と白に分割する

タイポグラフィーの明日が見える

イタリックの斜めのラインに揃えて「Expo」を配置する。左上から右下へ、自然な視線の移動によって一つの言葉として感じられるようにしたい。また、「po」の繰り返しがリズムを感じさせられたら、なおよい。

欧文書体のイタリックは文字を単純に斜めに変形しただけでなく、独自にデザインされた書体なので、標準書体とは別の美しさがある。これを活かしてデザインしてみることにする。特に小文字のほうが、線の形に特徴があることが多い。

場所や期間の情報を割り振る。「Tokyo」の「T」はこのなかで一番大きい「Typo」の「T」ともダブるので、同じ書体か、まったく違うサンセリフ体を使う。中途半端に似ている書体を使うと、違いが明確に見えてしまって、統一感がなく感じられる。

単 調 な 感 じ が す る の で、「Typo」をグレーにしてみる。これによって、「Typo」と「Expo」のバランスがとれてくる。強めることだけでなく、弱めることで逆に両者が生きてくるということもある。グレーの濃さによっても異なるので、いくつかの濃度で試してみるとよい。

1─欧文イタリックでデザインする

2─斜めのラインに揃えて配置

4─他の要素を配置する

3─強めるだけでなく、弱めること

セリフ体は、文字だけでは太いサンセリフ体のような強烈な力強さはないので、背景の色を工夫することで文字を引き立てて、タイトルとしての機能を果たせるようにしてみます。

セリフ体のイタリックを使うことで、デザインのなかに柔らかな曲線と、斜め方向への流れを作り出すことができます。セリフ体のイタリックの特徴を活かしたデザインを試してみます。

Column

明朝体の選択明朝の書体ではひらがなの「の」に注目してみましょう。ヒラギノのように筆運びを感じさせる書体と、小塚明朝のようになめらかで筆らしさを感じさせない書体があることに気づきます。写植の書体には、一つの書体に対して「KL」と「KS」という 2 種類がありました。これは仮名の大小を表しています。選択できるということは、仮名の大小によって見栄えが違うということです。毛筆の書では漢字に対して仮名を小さく書くのが普通です。これによって、メリハリのある流れるような表現になります。ところが、最近の書体は、漢字に対して仮名がそれほど小さくないものが多くなっています。文章や見出しなどは、遠くから見ると一つのブロックに見えます。デザイン全体から見ると、この文字ブロックが均一に見えたほうが美しく感じられます。仮名の大小といったことも書体選びのポイントになります。

背景のコントラストで 文字を目立たせる練習1 イタリックでセリフ書体の

曲線を活かす練習2

ヒラギノ明朝 小塚明朝

トレーニン�_cap2-6.indd 64-65 08.3.27 8:00:14 AM