8
震災による被害状況 ‐15‐ 震災による鉄道関連設備の被害状況 今回の震災により、当社の新幹線、在来線の地上設備等の鉄道施設は大きな被害を 受けました。震災による鉄道施設の被害と復旧状況は以下のとおりです 。 約550箇所 約90箇所 約1,200箇所 2箇所 トンネル内の軌道損傷 約10箇所 約30箇所 橋桁の支点部損傷 7箇所 2箇所 橋桁のずれ 2駅 1駅 5駅 天井材等の破損・落下 2箇所 約10箇所 防音壁の落下・傾斜・剥離 約10箇所 1箇所 約10箇所 変電設備の故障 約20箇所 約20箇所 軌道の変位・損傷 約20箇所 約100箇所 高架橋柱等の損傷 約200箇所 約30箇所 約470箇所 架線の断線 約270箇所 約60箇所 約540箇所 電化柱の折損・傾斜・ひび割れ 被害箇所数 4/7時点で復旧未了の 被害箇所数 被害箇所数 4/7以降余震 3/11本震 主な被害 新青森 盛岡 東京 大宮 八戸 那須塩原 新幹線総合 車両センター 小山 宇都宮 郡山 福島 一ノ関 北上 いわて沼宮内 仙台 ■主な被害状況 ※高架橋、橋りょう、駅舎、トンネルの崩落はありません。 <東北新幹線の地上設備の主な被害状況> 新青森 盛岡 東京 大宮 八戸 那須塩原 新幹線総合 車両センター 小山 宇都宮 郡山 福島 一ノ関 北上 いわて沼宮内 仙台 土木 電気 50箇所 10箇所 1箇所 【凡 例】 【橋脚の損傷 電化柱の折損】 (一ノ関~水沢江刺) 【3/11本震による被害】 【4/7余震による被害】 【高架橋柱の損傷】 (仙台~古川) 【軌道の変位】(仙台駅構内) 【電化柱の折損】 (仙台~新幹線総合車両センター) 4.東日本大震災 2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード(M)9.0、震源の深 さ約24kmの「東北地方太平洋沖地震」が発生しました。この地震により、駅や列車内 にてお亡くなりになったお客さまはいらっしゃいませんでした。 【天井材の落下】(仙台駅ホーム)

4.東日本大震災2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード(M)9.0、震源の深 さ約24kmの「東北地方太平洋沖地震」が発生しました。この地震により、駅や列車内

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Page 1: 4.東日本大震災2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード(M)9.0、震源の深 さ約24kmの「東北地方太平洋沖地震」が発生しました。この地震により、駅や列車内

震災による被害状況

‐15‐

震災による鉄道関連設備の被害状況今回の震災により、当社の新幹線、在来線の地上設備等の鉄道施設は大きな被害を受けました。震災による鉄道施設の被害と復旧状況は以下のとおりです 。

約550箇所約90箇所約1,200箇所合 計

--2箇所トンネル内の軌道損傷

約10箇所-約30箇所橋桁の支点部損傷

7箇所-2箇所橋桁のずれ

2駅1駅5駅天井材等の破損・落下

2箇所-約10箇所防音壁の落下・傾斜・剥離

約10箇所1箇所約10箇所変電設備の故障

約20箇所-約20箇所軌道の変位・損傷

約20箇所-約100箇所高架橋柱等の損傷

約200箇所約30箇所約470箇所架線の断線

約270箇所約60箇所約540箇所電化柱の折損・傾斜・ひび割れ

被害箇所数4/7時点で復旧未了の被害箇所数被害箇所数

4/7以降余震3/11本震

主な被害

新青森

盛岡

東京

大宮

八戸

那須塩原

新幹線総合車両センター

小山

宇都宮

郡山

福島

一ノ関

北上

いわて沼宮内

仙台

■主な被害状況

※高架橋、橋りょう、駅舎、トンネルの崩落はありません。

<東北新幹線の地上設備の主な被害状況>

新青森

盛岡

東京大宮

八戸

那須塩原

新幹線総合車両センター

小山

宇都宮

郡山

福島

一ノ関

北上

いわて沼宮内

仙台

土木 電気

50箇所

10箇所

 1箇所

【凡 例】

【橋脚の損傷 電化柱の折損】(一ノ関~水沢江刺)

【3/11本震による被害】 【4/7余震による被害】

【高架橋柱の損傷】(仙台~古川)

【軌道の変位】(仙台駅構内)

【電化柱の折損】(仙台~新幹線総合車両センター)

4.東日本大震災

2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード(M)9.0、震源の深さ約24kmの「東北地方太平洋沖地震」が発生しました。この地震により、駅や列車内にてお亡くなりになったお客さまはいらっしゃいませんでした。

【天井材の落下】(仙台駅ホーム)

Page 2: 4.東日本大震災2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード(M)9.0、震源の深 さ約24kmの「東北地方太平洋沖地震」が発生しました。この地震により、駅や列車内

前谷地

越後川口

長岡

仙台

青森

盛岡秋田

郡山

福島

山形

松本

長野

高崎

新潟

千葉東京

大宮

八王子

水戸

宇都宮

横浜

川部

大館

東能代

八戸

好摩

花巻

北上

一ノ関

小牛田

石巻

岩沼

米沢

会津若松

いわき

小山

小淵沢

渋川

余目

坂町

大曲

横手

茂市

戸狩野沢温泉

鹿島神宮

土浦

取手

日光線

烏山線日光

水戸線

水郡線

磐越東線

磐越西線

喜多方

只見線

左沢

奥羽本線

小国

院内

野辺地

大湊

久慈

八戸線

大湊線

花輪線

山田線

岩泉線

岩泉

酒田 盛

花泉陸羽東線

仙山線

米坂線

勝田

高萩

森宮野原

鹿島サッカースタジアム

奥羽線

奥羽線

田沢湖線秋田新幹線

北上線

羽越線

黒磯

気仙沼

東北本線

石巻線

気仙沼線

女川

大船渡線

釜石線

宮古

釜石

常磐線

飯山線

新庄

津川

小出

松尾八幡平

二戸

青い森鉄道

IGRいわて銀河鉄道

赤渕

上米内

遠野

千厩

ほっとゆだ

萩生

愛子高城町

松島

友部

小鶴新田(宮城野信号所)

陸羽西線

横堀

階上

五能線

十日町

津軽線

男鹿線

成田

烏山

山寺

西若松

亘理

常陸青柳

常陸大子

船引

小野新町

鹿島

四ツ倉

安積永盛

東塩釜岩切

会津川口

只見

会津坂下

水沢

仙石線

柳津

震災による被害状況

‐16‐

■主な被害状況 計36線区

<在来線の地上設備の主な被害状況>

4/7以降余震3/11本震

約850箇所

約10箇所

4箇所

約10箇所

約10箇所

2箇所

約20駅

約30箇所

約10区間

約10箇所

約50箇所

1箇所

約90箇所

約620箇所

被害箇所数

約420箇所約4,400箇所合 計

3箇所約10箇所架線の断線

-約20箇所乗換こ線橋等停車場設備の損傷

-約20箇所落石

約10箇所約30箇所変電設備の故障

5箇所約30箇所トンネルの損傷

1駅約80駅駅舎の損傷

約20箇所約120箇所橋りょう・高架橋の損傷

約30区間約130区間信号・通信設備の故障

約30箇所約170箇所盛土・切取等土工設備の変状

約20箇所約220箇所乗降場変状

約40箇所約220箇所道床砕石流出

約130箇所約1,150箇所電化柱の折損・傾斜・ひび割れ

約130箇所約2,200箇所軌道変位

4/7時点で復旧未了の被害箇所数被害箇所数

主な被害

※ 津波を受けた7線区の被害は含んでおりません。

4.東日本大震災

A【盛土沈下】(東北本線 新田~石越間)

B【盛土流失】(東北本線 梅ヶ沢~新田間)

C【土留壁倒壊・盛土流失】(東北貨物線 長町~宮城野間)

D【盛土流失】(仙山線 作並~八ツ森間)

G【盛土沈下】(東北本線 泉崎~矢吹間)

H【切取崩壊】(東北本線 豊原~白坂間)

I【ホーム擁壁倒壊】(常磐線 常陸多賀駅)

J【盛土沈下】(常磐線 水戸~勝田間)

K【橋りょう橋脚傾斜】(水郡線 水戸~常陸青柳間)

L【橋桁のずれ】(鹿島線 延方~鹿島神宮間)

AB

CD

GH

F【橋桁支点部損傷】(東北本線 福島~東福島間)

E【土留壁傾斜・道床流失】(奥羽本線 庭坂~赤岩間)

  【凡例】           4月29日現在

                       運転再開

                       運転見合わせ中

    ※岩泉線は土砂崩壊のため運転を見合わせています

 計画的避難区域

 緊急時避難準備区域 警戒区域(20km以内)

福島第一原発

Page 3: 4.東日本大震災2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード(M)9.0、震源の深 さ約24kmの「東北地方太平洋沖地震」が発生しました。この地震により、駅や列車内

震災による被害状況

‐17‐

<津波を受けた7線区の地上設備の主な被害状況>

約1,730箇所約1,680箇所25駅23駅99駅※※※約325km合計

約850箇所約840箇所4駅3駅14駅約50kmいわき~亘理※※常磐線

約390箇所約380箇所8駅0駅16駅約34km東塩釜~石巻※仙石線

約70箇所約70箇所3駅1駅11駅約32km前谷地~女川石巻線

約250箇所約240箇所3駅9駅21駅約73km前谷地※~気仙沼※気仙沼線

約70箇所約60箇所1駅6駅12駅約44km気仙沼~盛大船渡線

約80箇所約70箇所4駅4駅13駅約55km宮古~釜石山田線

約20箇所約20箇所2駅0駅12駅約37km階上~久慈八戸線

被害箇所数被害箇所数その他被害駅数流出駅数点検駅数

合計線路駅舎

延長区間線名

※駅構内を含んでおりません※※福島第一原発の半径20km以内および緊急時避難準備区域(久ノ浜~鹿島間:駅舎12駅(富岡駅を除く)、線路約70km)は点検を見合わせています。

※※※99駅のほかに、福島第一原発の半径20km以内および緊急時避難準備区域の以下の12駅は点検を見合わせています。末続、広野、木戸、竜田、夜ノ森、大野、双葉、浪江、桃内、小高、磐城太田、原ノ町

仙台

青森

盛岡秋田

郡山

福島

山形

川部

大館

東能代

八戸

好摩

花巻

北上

一ノ関

小牛田

石巻

岩沼

米沢

会津若松

いわき

余目

大曲

茂市

烏山線

磐越東線

磐越西線

喜多方

左沢

奥羽本線

小国

野辺地

大湊

久慈

八戸線

大湊線

花輪線

山田線

岩泉線

岩泉

酒田 盛

陸羽東線

仙山線

米坂線

奥羽線

奥羽線

田沢湖線

秋田新幹線

北上線

黒磯

気仙沼

東北本線

石巻線

気仙沼線

女川

大船渡線

釜石線

宮古

釜石

常磐線

新庄

二戸

青い森鉄道

IGRいわて銀河鉄道

萩生

松島

小鶴新田(宮城野信号所)

陸羽西線

横堀

階上

五能線

津軽線

男鹿線

烏山

西若松

亘理

常陸大子

鹿島

四ツ倉

安積永盛

東塩釜岩切

仙石線

前谷地

A B

 計画的避難区域

 緊急時避難準備区域

 警戒区域(20km以内)

福島第一原発

A【橋けた流失】

(八戸線 宿戸~陸中八木)

B【線路流失】

(八戸線 宿戸~陸中八木)

D【橋けた流失】

(山田線 陸中山田~織笠)

C【線路流失】

(山田線 磯鶏~津軽石)

F【線路流失】

(大船渡線 陸前矢作~竹駒)

E【線路流失】

(大船渡線 細浦構内)

H【橋けた流失】

(気仙沼線 陸前小泉~本吉)

J【道床流失】

(仙石線 野蒜構内)

I【線路流失】

(石巻線 女川構内)

K【橋けた流失】

(常磐線 新地~坂元)

L【線路流失】

(常磐線 新地構内)

しゅくのへ りくちゅうやぎ しゅくのへ りくちゅうやぎ

りくちゅうやまだ おりかさそけい つがるいし

りくぜんやはぎ たけこまほそうら

りくぜんこいずみ もとよし おながわ

のびる しんちしんち さかもと

G【線路流失】

(気仙沼線 大谷海岸構内)おおやかいがん

■主な被害状況 (5月1日現在 今後点検の進捗等により箇所数は増加します)

4.東日本大震災

Page 4: 4.東日本大震災2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード(M)9.0、震源の深 さ約24kmの「東北地方太平洋沖地震」が発生しました。この地震により、駅や列車内

列車にご乗車中のお客さまの状況

‐18‐

気仙沼線 最知・松岩間 2942D

4.東日本大震災

山田線 津軽石駅 1647D

仙石線 野蒜駅 1426S

石巻線 女川駅 1640D

津波に対するお客さまの避難誘導地震が発生した際、駅間または駅に停車中の27本の列車においてお客さまの避難誘導を行いました。その後、5本の列車が津波により脱線し流されましたが、乗務員・駅社員・指令員が連携し、またご乗車のお客さま・地域の皆様のご協力をいただき、お客さまを避難誘導したため、列車に乗車していて死傷されたお客さまはいらっしゃいませんでした。

試運転列車の脱線

今回の地震では、営業運転中の列車に脱線はありませんでした。しかし東北新幹線仙台駅構内にて、速度約70km/hで走行中の試運転列車が、地震発生に伴い非常ブレーキがかかったものの、停止直前に低速にて脱線し、脱線後約3.5m走行して停止しました。なお、試運転列車のためお客さまはご乗車になっておらず、負傷者はいらっしゃいませんでした。今後、新幹線の車両や軌道などの調査を行ない、更なる安全対策を検討していきます。

地震発生時、津波に備え避難誘導した列車(※ 黄色は津波により流された列車)

走行中新幹線の早期列車停止地震発生時に、東北新幹線を27本の列車が営業運転中でしたが、早期地震検知システムの海岸地震計がいち早く揺れを検知し列車への電力供給を遮断したため、自動的に非常ブレーキがかかり全ての列車が緊急停車しました。なお、営業運転中の列車に脱線はありませんでしたが、試運転中の列車が仙台駅構内にて低速で脱線しました。

常磐線 新地駅 244M

総武本線4007M

内房線117M

内房線194M

外房線274M

外房線61M

外房線70M

外房線255M

外房線270M

総武本線335M

総武本線364M

常磐線561M

常磐線42M

常磐線2762M

常磐線27M

常磐線557M

常磐線672M

常磐線669M

常磐線244M

仙石線1426S

仙石線3353S

気仙沼線2943D

気仙沼線2942D

大船渡線338D

山田線1647D

八戸線448D

五能線2830D

五能線328D

総武本線4007M

内房線117M

内房線194M

外房線274M

外房線61M

外房線70M

外房線255M

外房線270M

総武本線335M

総武本線364M

常磐線561M

常磐線42M

常磐線2762M

常磐線27M

常磐線557M

常磐線672M

常磐線669M

常磐線244M

仙石線1426S

仙石線3353S

気仙沼線2943D

気仙沼線2942D

大船渡線338D

山田線1647D

八戸線448D

五能線2830D

五能線328D

Page 5: 4.東日本大震災2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード(M)9.0、震源の深 さ約24kmの「東北地方太平洋沖地震」が発生しました。この地震により、駅や列車内

停止距離短縮対策

新幹線では、沿線に設置した地震計が地震の発生を検知すると、架線への送電を停止して列車を停止させます。これまでは、車上のATC装置が架線への送電停止を検知して非常ブレーキを動作させていましたが、新たに停電検知装置を設けることで、非常ブレーキの動作に要する時間を1秒程度短縮する改良を2009年3月までに終了しました。

・電圧の降下を検知・周波数の変動を検知

架線停電発生

デジタルATC車上装置

・電圧の降下を検知

⇒非常ブレーキ指令

非 常ブレーキ継電器

非常ブレーキ動 作

停電検知装置非 常ブレーキ継電器(停電用)

約4秒

約3秒 (△1秒)

新設

※速度70km/h以上で動作

地震対策

‐19‐

早期地震検知システム

新幹線では、地震計を沿線や海岸の97箇所に設置しております。地震の主要動(S波)より先に到着する初期微動(P波)を検知することで、より早く列車を停止させる仕組みとして、新幹線早期地震検知システムを導入しています。新潟県中越地震のあと、2006年度までに、次の4点についてシステムの改良を行いました。

Ⅰ 地震規模等の推定方式の変更Ⅱ 地震規模にあわせた範囲の送電停止機能の追加Ⅲ 沿線地震計を28箇所に増設(合計75箇所)Ⅳ 運転規制の判断指標の変更

在来線では、新幹線早期地震検知システムからの情報と、気象庁の緊急地震速報をそれぞれ活用して、必要な区間の列車を緊急停止させるシステムを導入しています。首都圏については2007年12月に使用を開始し、その他の当社エリア全線区についても、2009年4月から使用を開始しております。これにより、当社の新幹線、在来線の全線区に地震の早期警報システムが導入されました。

4.東日本大震災

① 列車緊急停止対策

これまで当社では、過去に発生した地震を教訓とし、次の3点を柱として地震対策を進めてきました。① 走行している列車を早く止める【列車緊急停止対策】② 構造物が壊れないようにする 【耐震補強対策】③ 脱線後の被害を最小限にする 【列車の線路からの逸脱防止対策】

なお現在、さらに早期に地震を検知するための検討を進めております。

Page 6: 4.東日本大震災2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード(M)9.0、震源の深 さ約24kmの「東北地方太平洋沖地震」が発生しました。この地震により、駅や列車内

1995年の兵庫県南部地震を受け、新幹線と在来線の南関東や仙台エリアのせん断破壊先行型ラーメン高架橋などの補強工事を実施しました。また、2003年の三陸南地震を受けて、新幹線では全エリアのせん断破壊先行型高架橋柱を中心に2008年度の完了を目指して耐震補強工事を進めてきました。さらに2004年の新潟県中越地震により上越新幹線の高架橋や橋りょうなどに被害が発生したことから、完了時期を1年前倒しして、新幹線は2007年度に完了しました。在来線についても2008年度に完了しました。

鋼板巻きによる高架橋柱の耐震補強

駅建物の耐震補強の進捗(2010年度末時点)対象168棟のうち、施工済み146棟

鉄骨ブレースによる補強 鋼板巻きによる柱の補強

地震対策

新幹線 対象約18,500本 すべて完了在来線 対象約12,600本 すべて完了

‐20‐

② 耐震補強対策

現在は、新幹線と在来線の南関東・仙台エリア等の曲げ破壊先行型高架橋柱のうち、強い地震動で被害の生じるおそれのある高架橋柱の補強を実施しています。

今回の地震で、耐震補強対策を実施していた箇所では、一部の高架橋柱で被害が見られたものの、せん断破壊は発生せず、高架橋の落下や倒壊はありませんでした。しかしながら、耐震補強対策が実施されていない在来線の一部の橋りょう等で被害が発生しました。今後もさらに耐震補強対策等を進めていきます。

4.東日本大震災

高架橋の耐震補強

駅建物や一部のトンネルについても耐震補強対策を実施しています。

駅建物等の耐震補強

Page 7: 4.東日本大震災2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード(M)9.0、震源の深 さ約24kmの「東北地方太平洋沖地震」が発生しました。この地震により、駅や列車内

2004年10月23日に発生した新潟県中越地震では、上越新幹線「とき325号」が脱線し、これまでに原因の究明と対策を行ってまいりました。今回の地震では、営業運転中の列車に脱線はなかったものの、試運転列車が低速で脱線しました。今後も、新幹線の車両や軌道などの調査を行い、さらなる安全対策を検討していきます。

L型車両ガイド

台車に逆L型をした車両ガイド機構を設置し、車両が脱線した場合は、ガイド機構により車輪が一定以上横方向に移動することを防止します。2008年8月にすべての新幹線に設置が完了しております。

接着絶縁継目の破断防止車両が脱線した場合に、車輪もしくは台車の部材が、接着絶縁継目部(信号回路の変更点にあるレールとレールを繋ぐ金具)に当たるときの衝撃を低減させるための対策です。具体的には、接着絶縁継目部の継目板とボルトに直接車輪が当たらないような継目板の形状に改良する対策を進めており、2011年度までに新幹線全線区完了を目指して施工中です。

改良前の接着絶縁継目 改良後の接着絶縁継目

地震対策

‐21‐

レール転倒防止装置

車両が脱線して、レールを締結する金具が破損した場合にも、車輪をレールで誘導できるように、レールの転倒および大幅な横方向のずれを防止するものです。スラブ軌道用レール転倒防止装置については2009年度より設置を開始しています。

レール転倒防止装置

4.東日本大震災

③ 列車の線路からの逸脱防止対策

L型車両ガイド

L型車両ガイド

Page 8: 4.東日本大震災2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード(M)9.0、震源の深 さ約24kmの「東北地方太平洋沖地震」が発生しました。この地震により、駅や列車内

4.東日本大震災

復旧に向けた取り組み

‐22‐

復旧に向けた取り組み震災発生直後より、グループ全社員が連携し、各設備の点検作業などの対応に努めるとともに、復旧計画や地域への支援などの課題について検討を行いました。JR他社を始めとした関係の皆さまから多大なるご支援をいただき、東北新幹線については2011年4月29日に全線で運転を再開(2011年9月23日より通常ダイヤで運転)したほか、在来線も太平洋沿岸で津波による甚大な被害があった区間や、福島第一原子力発電所周辺を除き、順次運転を再開しております。なお、甚大な被害があった区間は、地域全体の復興や「まちづくり」の計画と一体となって復旧を進めていきます。

東北新幹線 新花巻~盛岡間第2古館高架橋応急工事

東北新幹線 北上~新花巻間電化柱折損復旧作業

常磐線 内郷~いわき間線路変状復旧作業

成田線 小林~安食間盛土沈下復旧作業

今回の震災による鉄道施設の被害や、津波によるお客さまの避難誘導等の対応を踏まえ、これまで当社が取り組んできた震災対策についてハード面、ソフト面双方から調査・検証を行い、今回明らかになった課題の対応策を検討してまいります。