12
18 5.知的財産の活用 本章では、当研究所の多様な知財について、活用の実績を示します。 5.1 報告書 当研究所の研究報告書「電力中央研究所報告」の件数については 4.1 節で述べました。 「電力中央研究所報告」の多くは一般に公開し、国会図書館、電力会社、大学などに頒布して います。また、2008 年 6 月までは、コンテンツワークス(株)が提供する BookPark サービスを 利用し、インターネット上に「電力中央研究所オンデマンドライブラリ」を開設し、電力中央研 究所報告のオンデマンド印刷物と PDF ファイルを、頒布のための実費相当の低廉な価格で提供し ていました。さらに、2008 年 7 月からは、これに替えて、ホームページからの無料ダウンロード を開始しており(http://criepi.denken.or.jp/jp/kenkikaku/cgi-bin/report_reference.cgi)、 2009 年 3 月末現在で 2,761 タイトルの報告書の全文 PDF ファイルを公開しています(付録(1)参 照)。2008 年度は総計 36,111 冊の報告書をダウンロードしていただきました。図 5.1-1 にオンデ マンドライブラリを含むダウンロード数の推移を示します。 印刷物としての頒布、オンデマンドライブラリ、無料ダウンロード(2008 年度のみ)を合算し た研究報告等の頒布総数は、2007 年度の 46,941 冊に対し、2008 年度は 84,749 冊となり、大幅に 増加しています。 36,111 164 455 520 656 111 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 40000 0 100 200 300 400 500 600 700 2004 2005 2006 2007 2008 年度 無料ダウンロード 20087月~20093月) オンデマンドライブラリ(有料) 20044月~20086月) 図 5.1-1 報告書ダウンロード件数

5.知的財産の活用照)。2008年度は総計36,111冊の報告書をダウンロードしていただきました。図5.1-1にオンデ マンドライブラリを含むダウンロード数の推移を示します。

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18

5.知的財産の活用

本章では、当研究所の多様な知財について、活用の実績を示します。

5.1 報告書

当研究所の研究報告書「電力中央研究所報告」の件数については 4.1 節で述べました。

「電力中央研究所報告」の多くは一般に公開し、国会図書館、電力会社、大学などに頒布して

います。また、2008 年 6 月までは、コンテンツワークス(株)が提供する BookPark サービスを

利用し、インターネット上に「電力中央研究所オンデマンドライブラリ」を開設し、電力中央研

究所報告のオンデマンド印刷物と PDF ファイルを、頒布のための実費相当の低廉な価格で提供し

ていました。さらに、2008 年 7 月からは、これに替えて、ホームページからの無料ダウンロード

を開始しており(http://criepi.denken.or.jp/jp/kenkikaku/cgi-bin/report_reference.cgi)、

2009 年 3 月末現在で 2,761 タイトルの報告書の全文 PDF ファイルを公開しています(付録(1)参

照)。2008 年度は総計 36,111 冊の報告書をダウンロードしていただきました。図 5.1-1 にオンデ

マンドライブラリを含むダウンロード数の推移を示します。

印刷物としての頒布、オンデマンドライブラリ、無料ダウンロード(2008 年度のみ)を合算し

た研究報告等の頒布総数は、2007 年度の 46,941 冊に対し、2008 年度は 84,749 冊となり、大幅に

増加しています。

36,111

164

455

520

656

111

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

35000

40000

0

100

200

300

400

500

600

700

2004 2005 2006 2007 2008

件数

年度

無料ダウンロード

(2008年7月~2009年3月)

オンデマンドライブラリ(有料)

(2004年4月~2008年6月)

図 5.1-1 報告書ダウンロード件数

19

この無料ダウンロードサービスは、図 5.1-2 に示すように、電力会社やその関連企業をはじめ

として、他業種の企業・団体・大学・研究機関など、幅広い分野の皆様に御利用頂いています。

電力会社

8%電力会社関連企

業・団体10%

その他の国内企

業・団体33%国内の大学・非

営利研究機関19%

国内のインター

ネット・サービス・

プロバイダ経由

24%

海外

6%

図 5.1-2 報告書ダウンロード先件数内訳

5.2 論文

当研究所の論文件数及びその分野については、4.2 節で述べました。ここでは、論文の被引用

数について図 5.2-1 で示します。

Thomson Scientific 社の学術文献データベース Web of Science に採録された主要学術誌にお

ける、1981 年~2008 年の当研究所論文数は 3,317 件であり、これら論文の総被引用数は、21,079

回(平均被引用数 6.4 回)でした。Web of Science における当研究所の論文件数は、長期的に見

ると 1990 年以降増加の傾向にあり、2005 年度以降は毎年 200 件を超えています(図 5.2-1(a)。

Web of Science は海外の学術誌が主となるため、多くの国内学術誌を含む図 4.2-1 の実績とは数

値は異なります)。

一方、論文の被引用数は、学術界へのアウトカムを定量的に表す一つの指標と考えられます。

各年度発表論文の累積被引用数は、1990 年頃よりいったん増加したあと、2001 年以降は緩やかに

低下しています(図 5.2-1(b))。近年の低下傾向は論文発表後の経過年数の少なさが主因と考え

られます。被引用のピークが 2001 年まで遡ることは、発表後 7年を経ても引用される論文が多い

ことを示しています。当研究所が、長期的に価値の持続する研究成果を生み出していることを反

映したものと言えます。

20

0

50

100

150

200

250

300

1981

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

論文件数

(a) Web of Science 採録学術誌における当研究所論文の件数

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

1981

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

被引用数

(b) Web of Science 採録学術誌における当該年発表当研究所論文の累積被引用数

図 5.2-1 Web of Science 採録学術誌における当研究所論文件数ならびに被引用数

(Thomson Scientific「Institutional Citation Report for CRIEPI 1981-2008」より作成)

5.3 特許・ノウハウ

特許の出願及び登録件数とその分野別件数については、4.3 節で述べました。ここでは、特許・

ノウハウの実施許諾件数について、図 5.3-1 で示します。

2007年度の新規の実施許諾件数は 85件と他年度に比べ突出して多くなっていますが、これは、

ある実施許諾契約において、基本特許に加え多数の応用特許を一括してライセンスしたことに起

因しています。

21

68 7284

162 159

9 1324

85

9

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

2004 2005 2006 2007 2008

件数

年度

実施許諾総件数*

新規の実施許諾件数*

*許諾した知的財産権・ノ ウ

ハウ数に基づく件数

図 5.3-1 特許・ノウハウ実施許諾件数

5.4 ソフトウェア

ソフトウェアの登録件数については 4.4 節に記しました。ここでは、使用許諾に関するデータ

を示します。

ソフトウェアについては、電気事業者・営利企業・大学等からの要請に応じて、使用許諾を実

施しています。図 5.4-1 に使用許諾件数の過去 5 年の推移を示します。なお、一件で複数本の使

用許諾を行っている場合があります。

また、2008 年度に使用許諾した主なソフトウェアのリストを許諾数の多い順に表 5.4-1 に示し

ます。例年上位を占める 3 次元気流解析コードや電力系統関連のソフトウェアのような、主とし

て電力会社が用いるものに加え、家庭向けにエコット家計簿(仮称)の提供もはじめました。

1480

1855

22362431

2694

269449 431

232 306

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

2004 2005 2006 2007 2008

件数

年度

使用許諾総件数

新規の使用許諾件数

図 5.4-1 ソフトウェア使用許諾件数

22

表 5.4-1 2008 年度 使用許諾件数の多いソフトウェア

ソフトウェア名称 件数 主な機能

3 次元気流解析コード 26 地形、標高、地表面粗度を考慮した 3 次元気流

シミュレーション

電力系統動特性安定度解析プログラム(Y

法) 24 電力系統の過度的な安定性のシミュレーション

電力系統定態安定度解析プログラム(S 法) 20 固有値解析による電力系統の定態安定度の判

潮流計算プログラム(L 法) 18 電力系統各部の電力潮流・電圧の計算

FDTD 法に基づく汎用サージ解析プログラ

ム(VSTL REV2) 15

数値電磁界解析手法の一つである FDTD 法

(Finite Difference Time Domain Method)を用い

たサージ計算

エコット家計簿(仮称) 15 直接消費分だけでなく間接消費分で使用したエ

ネルギー量や CO2 量を算出する家計簿

系統電圧シミュレーションプログラム(V 法) 11 系統電圧や電力潮流の推移のシミュレーション

計算

多併架故障計算プログラム(F法) 9 電力系統における任意(地点・種別)の故障計算

短絡容量計算プログラム(T 法) 9 電力系統のノード事故時における事故電流の

一括計算

電力系統縮約計算プログラム(Q 法) 9 大規模系統の過渡安定度解析の効率化のため

の外部系統の縮小表現

地震活動分類支援プログラム 9 地震の震源分布を3次元的に表示し、断層形状

を抽出

高調波計算プログラム(H 法) 8 電力系統における任意次数の高調波分布計算

発電システム熱効率解析汎用プログラム 8 発電システムを主としたエネルギーシステムの

熱物質収支の解析

5.5 国・学会等の規格・基準・標準

当研究所の知財の活用先として も重要なものの一つに、国や学協会の技術規格・技術基準・

標準等の策定への貢献が挙げられます。2008 年度に当研究所が策定に貢献した国や学協会の規

格・基準・標準は 57 件あり、主要なものは表 5.5-1 のとおりです。

23

表 5.5-1 2008 年度における主要な規格・基準への当研究所の貢献

規格・基準、技術指針等 関係機関・団体

電気事業法、電気事業法施行規則、電気設備に関する技術基準を

定める省令の審議・制定 原子力安全・保安院

使用済燃料貯蔵施設の設計・工事方法の技術基準に関する省令

の解釈(内規)への助言 原子力安全・保安院

使用済燃料貯蔵施設の溶接方法の認可(内規)への助言 原子力安全・保安院

航空機による放射性物質等の輸送基準を定める告示改正への助

言 国土交通省

Advisory Material for the IAEA Regulations for the Safe Transport of

Radioactive Material(TS-G-1.1)(2008)への助言 国際原子力機関

各種 IEC 国際標準規格の審議・制定 国際電気標準会議、電気学会

JEC「ポリマー形避雷器」規格の審議・制定 電気学会

各種 JEAC・JEAG 規格の審議・改訂 日本電気協会

電気設備の技術基準の解釈の改訂 日本電気協会

系統連系規程の審議・改訂 日本電気協会

各種 JIS 規格の審議・改訂 日本規格協会

原子力発電所の確率論的安全評価用のパラメータ推定に関する実

施基準の審議 日本原子力学会

原子力発電所の停止状態を対象とした確率論的安全評価手順の

審議 日本原子力学会

金属キャスクの使用済燃料バスケット用新規材料の事例規格への

助言 日本機械学会

腐食した鋼構造物の耐久性照査マニュアルの策定 土木学会

PSA ピアレビューガイドラインの審議 日本原子力技術協会

水道施設耐震工法指針・解説(2009 年版)の審議・改訂 日本水道協会

5.6 受託研究・コンサルティング

受託研究は、電気事業の直面する緊急・重要な課題に対応した「電力会社からの受託研究」と、

電気事業にとって重要な大規模実証試験の実施や政策提言、規格・基準・技術指針の策定等を行

う「国等からの受託研究」の二つを柱として推進しています。受託研究は、当研究所の知財を活

用して、成果を社会に直接還元する重要な機会となっています。近年では、電力設備・機器の安

全性診断・評価、職場安全診断、環境影響評価・分析などを中心に、一般企業からの研究の受託

やコンサルティングの要請にも対応しています(図 5.6-1)。

2008 年度の委託元としては、電力会社が 8割以上を占めています(図 5.6-2)。国等からの主要

な受託研究としては、原子力関連の技術調査や新エネルギーのシステム開発等があげられます(表

5.6-1)。

24

34 41 41 40 38

113 105 95 71 53

433541 528 534

510

0

100

200

300

400

500

600

700

800

2004 2005 2006 2007 2008

件数

年度

電力会社からの受託研究

の件数

国・公的機関等からの受

託研究の件数

一般企業へのコンサル

ティング等の件数

図 5.6-1 受託研究・コンサルティング件数

電力会社

85%

経済産業省

1%

文部科学省

0%

他の省庁

1%

NEDO1%

独立行政法人等

3%

財団法人、社団

法人等3%

コンサルティング

6%

図 5.6-2 2008 年度 受託研究・コンサルティング件数の内訳

25

表 5.6-1 国等からの主要な受託研究

件名 委託元

平成 20 年度リサイクル燃料資源貯蔵技術調査等(中間貯蔵設備等長期健全

性等試験のうち貯蔵設備長期健全性等調査) 経済産業省

平成 20 年度地層処分技術調査等委託費(地層処分共通技術調査:ボーリン

グ技術高度化開発) 経済産業省

平成 20 年度地層処分技術調査等委託費(地層処分共通技術調査:岩盤中

地下水移行評価技術高度化開発) 経済産業省

平成 20 年度火力・原子力関係環境審査調査(微量物質環境影響評価手法) 経済産業省

平成 20 年度発電設備耐震性能調査(模型実験) 経済産業省

電解還元法を適用した酸化物燃料の乾式再処理に関する技術開発 文部科学省

金属燃料の溶融塩電解精製における陰極/陽極の処理に関する研究開発 文部科学省

気温とオゾン濃度上昇が水稲の生産性におよぼす複合影響評価と適応方策

に関する研究(その1) 環 境 省

革新的ゼロエミッション石炭ガス化発電プロジェクト/革新的ガス化技術に関

する基盤研究事業/CO2 回収型次世代 IGCC 技術開発

新エネルギー・産業

技術総合開発機構

次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発/基盤技術開発/次世代自

動車用高性能蓄電池基盤技術の研究開発

新エネルギー・産業

技術総合開発機構

系統連系円滑化蓄電システム技術開発/次世代技術開発/高安全電解質

に着眼したリチウム二次電池の研究開発

新エネルギー・産業

技術総合開発機構

「系統連系円滑化蓄電システム技術開発」共通基盤研究 新エネルギー・産業

技術総合開発機構

固体高分子形燃料電池実用化戦略的技術開発/基礎的・共通的課題に関

する技術開発/固体高分子形燃料電池セルの劣化メカニズム解析と余寿命

評価手法の開発

新エネルギー・産業

技術総合開発機構

固体酸化物形燃料電池システム要素技術開発/耐久性・信頼性向上に関す

る基礎研究/耐久性の評価手法の確立

新エネルギー・産業

技術総合開発機構

微生物機能を活用した環境調和型製造基盤技術開発/微生物群のデザイン

化による高効率型環境バイオ処理技術開発/デザイン化微生物群を用いた

高効率固定床メタン発酵の研究開発

新エネルギー・産業

技術総合開発機構

26

5.7 認定試験業務

公益法人としての中立性を基盤に、大容量電力短絡試験業務と、原子力発電所の非破壊検査の

信頼性向上を目的とした PD(Performance Demonstration)認定制度に基づく認定試験サービス

を提供しています。2008 年度の実績を表 5.7-1 に示します。

表 5.7-1 2008 年度 認定試験業務の実績

大容量短絡試験業務 受託試験件数 30 件

のべ試験日数 60.5 日 (準備・撤去期間除く)

PD 認証試験業務 資格試験回数 5 件

のべ受験者数 7 名 合格者数 5 名

5.8 セミナー・研修

当研究所が蓄積してきた知財を電気事業者の技術継承に役立てるため、電力会社の専門家・技

術者を対象とする技術セミナー活動「技術交流コース」を実施しています。2008 年度は、電力技

術、情報通信、土木、環境、火力、原子力、社会・経済、及びヒューマンファクターに関する 8

つの技術分野で計 21 コースを実施し、530 名の参加がありました(図 5.8-1、図 5.8-2、表 5.8-1)。

また、当研究所の知財をさらに活用していただくため、広く一般を対象にしたセミナー活動「技

術講座」も 2003 年度より実施しており、2008 年度は 3件を実施し、317 名の参加がありました(図

5.8-1、図 5.8-2、表 5.8-2)。

この他に、当研究所の講師が出向いて行う、出張技術研修や講演も多数実施しています。

2021 21 21 21

54

3 3 3

0

5

10

15

20

25

2004 2005 2006 2007 2008

件数

年度

技術交流コース

技術講座

図 5.8-1 技術交流コース・技術講座の件数

27

503539 550 562

530

11084

341 330 317

0

100

200

300

400

500

600

2004 2005 2006 2007 2008

人数

年度

技術交流コース

技術講座

図 5.8-2 技術交流コース・技術講座の参加者数

表 5.8-1 2008 年度 技術交流コース

コース名

電力系統解析技術基礎研修

電力系統解析技術応用研修

絶縁・電気環境技術研修

配電技術研修

絶縁劣化診断技術研修

EMTP の基礎と応用研修

送電設備の風荷重・応答評価技術研修

通信ネットワーク技術(IP ネットワークの構築とセキュリティー技術の適用)

原子力施設(土木関連)の立地・建設に係わる土木技術

水力発電所(土木関連)の建設・保守に係わる土木技術

環境技術-その 1.大気・陸域環境

環境技術-その 2.水域環境

熱効率解析技術研修

原子力技術-軽水炉の水化学・SCC 対策技術研修

原子力技術-原子力機器の構造健全性評価技術研修

社会・経済セミナー -エネルギー・環境コース-

社会・経済セミナー -社会・経済コース-

社会・経済セミナー -電力経営コース-

ヒューマンファクターインストラクター 養成基礎(1 回目)

ヒューマンファクターインストラクター 養成基礎(2 回目)

ヒューマンファクターインストラクター 養成応用

28

表 5.8-2 2008 年度 技術講座

セミナー名

第 8 回ヒューマンファクターセミナー

電力流通機器経年化への対応とアセットマネジメント技術に関するセミナー

電磁界の生体影響に関するセミナー

5.9 国際シンポジウム

当研究所では、研究成果を広く社会に役立てるため、フォーラム、シンポジウムなどさまざま

な機会を通じて情報発信を行っています。その中でも、地球温暖化問題など、国際的な課題につ

いては国際シンポジウムを開催し、国内のみならず世界に対してメッセージを発信しています。

2008 年度は、2008 年 5 月 23 日に、東京国際交流会館にて、米国電力研究所(EPRI)、欧州ユー

ロエレクトリック、イタリア・チェジ・リチェルカ、中国能源研究所の 4 機関との共催で、国際

シンポジウム「低炭素社会の実現に向けて~電力の R&D の役割と挑戦~」を開催し、電力各社、

官公庁、大学、メーカーなどから約 460 名の参加がありました。

本シンポジウムでは、各国より電力部門の CO2 削減技術動向を紹介するとともに、その後のラ

ウンドテーブルでは、低炭素社会に向けた国際協力の在り方について 7つの提言をまとめました。

北海道洞爺湖サミットに先立ち開催された本シンポジウムのメッセージは、各メディアを通じて、

世界に発信されました。

5.10 広報・社会啓発

当研究所の活動について社会のご理解を頂くため、ホームページや新聞などのメディアを通じ

て、積極的に研究成果の広報を行っています。特に重要な成果や情報についてはプレスリリース

を行っています2。電気事業に関する様々な話題については、新聞・テレビ・ラジオなどメディア

の要請に応じて、専門家の立場からコメントを提供しています(図 5.10-1)。

また、2008 年度は下記の広報刊行物を刊行しました。

電中研ニュース:当研究所の研究成果や事業活動等のトピックスを、写真・図版を交えて

わかりやすく説明したリーフレット。2008 年度は 6件の刊行を行いました3。

研究年報:各年度の優れた研究成果をピックアップし、簡潔に紹介した資料。2008 年版研

究年報では 50 件の研究成果を紹介しました4。

広報ビデオ/DVD:電気事業に関する科学技術をわかりやすく映像で紹介したビデオ/DVD を

作成・頒布しています5。また、個々の研究を短時間で紹介するショートムービーを制作し、

ホームページで公開しています。

これらに加えて、研究成果や将来に向けての提言を社会に発信するため、エネルギーに関わる

2 http://criepi.denken.or.jp/press/pressrelease/ 3 http://criepi.denken.or.jp/research/news/ 4 http://criepi.denken.or.jp/result/pub/annual/index.html 5 http://criepi.denken.or.jp/research/video/

29

課題をテーマとして、「エネルギー未来技術フォーラム」を開催しています。2008 年度は、2008

年 10 月 2 日に、有楽町朝日ホールにて、「電気と低炭素社会~電中研におけるブレークスルーテ

クノロジー~」と題して実施しました。また、2008 年 11 月 27 日には名古屋市で、11 月 28 日は

富山市でも同テーマのフォーラムを開催しました。

また、社会啓発活動の一環として、エネルギーと環境の大切さを社会に伝えることを目的とし

た「エネルギー・環境セミナー」を、2008 年度は 2回開催しました。さらに、外部機関への講師

派遣(6件)、教育支援(68 件)の要請に応じました。

その他、4 箇所の研究施設では研究所公開を実施し、研究活動や実験施設等の紹介、及び子供

から大人まで楽しめる科学教室などの企画により、地域の皆様がエネルギー・環境問題と関連す

る科学技術を身近に感じられる場を提供しています。2008 年度は、計 8,850 名の来場がありまし

た。

194 224 176 228 207

4888

3944 34

546

754

627434

280

115

113

104269

231

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

2004 2005 2006 2007 2008

件数

年度

一般紙掲載

業界紙掲載

TV・ラジオ放送

雑誌掲載

図 5.10-1 新聞、TV・ラジオ、雑誌による記事掲載件数