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6.なごやのごみ問題

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6.なごやのごみ問題

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第 6章 なごやのごみ問題

99.7

89.4

76.5 73.5 73.3 74.5

71.1 70.3 70.5 68.3 66.1 63.3 62.2 62.1 62.3 62.5 62.0

14.0 20.6

28.6 33.2 34.3 35.5 36.9 37.9 38.0 39.1 37.2

35.6 34.9 32.5 31.1 31.4 30.5

26.1 19.8

13.3 12.0 10.9 11.2 10.9 10.2 10.2 10.2 9.2 6.6 5.6 5.4 5.2 4.9 4.9

113.8 110.0

105.0 106.7 107.6 110.0 107.9 108.3 108.5 107.4 103.4

98.9 97.1 94.6 93.4 93.9 92.5

0

20

40

60

80

100

120

140

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

万トン

年度

総排出量(ごみ処理量+資源分別

量)

資源分別量

ごみ処理量

埋立量

1.大きく減った、なごやのごみ

20世紀の後半は、たくさんのモノが大量につくられ、豊かな暮らしが実現しま

した。大量につくられたモノは、短いサイクルで、どんどん新しく変えられまし

た。しかし、ごみをどう扱ってよいかわからなくなってきたとき、ごみは本当は

価値のある商品(宝物)であることに、みんなが気づきました。

名古屋市では、藤前干潟の埋め立て問題に端を発し、行政と、市民が一緒にな

って取り組み、大きな成果を上げてきました。

1)藤前干潟とごみ非常事態宣言

20 世紀の後半、名古屋市のごみ処理量は増え続け、1998 年度には、年間 100

万トンに迫り、埋立処分場として用いていた愛岐処分場が満杯に近づいていまし

た。名古屋市は、藤前干潟に新たな埋立処分場を建設する計画を進めていました

が、その藤前干潟が渡り鳥の重要な飛来地であったため、埋め立て中止を求める

声が強まっていました。

こうしたなか、名古屋市は 1999年 1月に藤前干潟の埋め立て計画を中止し、同

年 2月に「ごみ非常事態宣言」を発しました。これを契機に、名古屋市は市民・

事業者との協働のもとで、ごみ減量に向けた取り組みを進めました。

2)ごみ処理量と埋立量を大幅に削減

名古屋市のごみ減量施策は、ごみの発生から処分・リサイクルまでの流れを大

きく変えました。ごみ非常事態宣言が発表された1998年度から2014年度の間に、

ごみ処理量は 38%減少、埋立量は 81%減少しました。

また、ごみと資源を合わせた総排出量は製造メーカーによる容器包装の軽量化

やインターネット、タブレット端末等の普及による新聞の発行部数・雑誌の販売

部数の減少等により 2008年度以降大きく減少しています。

<図表6-1>名古屋のごみ・資源・埋立量の推移(市内分)

⇒【行政と、市民が一緒にな

って取り組み】

詳しい内容は、「なごやの

熱い日々」というリーフレ

ットにまとめられている。

名古屋市環境局ごみ減量

部減量推進室

56

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第 6章 なごやのごみ問題

2000年を境にして、多くのリサイクル関連の法律が施行されました。名古屋の分

別・リサイクルの仕組みも、これらに基づいています。

容器包装リサイクル法(1997年施行)

消費者…分別/市町村…収集・選別/製造・利用事業者…再商品化

家電リサイクル法(2001年施行)

消費者…回収・リサイクル費用負担/小売店…引取り/製造業者…再商品化

食品リサイクル法(2001年施行) 食品関連事業者…食品廃棄物の再生利用

建設リサイクル法(2001年施行)

工事の受注者…建築物の分別解体、建設廃材等の再資源化

自動車リサイクル法(2003年施行) 製造業者…シュレッダーダスト等の引取・再資源化/関連業者…使用済車の引取り

小型家電リサイクル法(2013年施行)

認定事業者…再資源化

日本のリサイクル制度

57

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第 6章 なごやのごみ問題

2.第 5次一般廃棄物処理基本計画の策定

名古屋市では市民・事業者との協働による徹底した分別・リサイクルの取り組み

により、大幅なごみ減量を達成しました。

その後も、ごみ処理量は大きなリバウンドもなく緩やかに減少し、「ごみ非常事

態」を脱し、名古屋に分別文化が根付いたと言われるまでになりました。こうした

状況を背景に、分別・リサイクル中心のごみ減量施策から歩みを進め、「ごみも資

源も元から減らす」発生抑制の取り組みを中心とした「第4次一般廃棄物処理基本

計画」(以下、「4次計画」という。)を、2008年5月に策定しました。

4次計画では、「非常事態の克服」という第1ステップから、「循環型社会」を

めざす第2ステップに向けて、天然資源の使用と環境負荷の双方の低減をめざし、

「ごみも資源も、減らす、生かす」を基本方針として取り組みを進め、4次計画策

定時(2006年度)に比べ、総排出量は約16万トン減、ごみ処理量は約9万トン減とい

う成果をあげることができました。

一方、2011年度に実施した容器包装以外のプラスチック製品の分別区分変更以降、

分別文化の象徴であったプラスチック製・紙製容器包装の資源分別率が低下し、ご

み処理量は2010年度以降横ばいの状況となるなど、さらなる取り組みの推進が必要

となっています。

この間、名古屋市においては、多様化・複雑化する市政の課題に的確に対応する

ため、長期的展望に立ったまちづくりを明確化する「名古屋市総合計画2018」を策

定し、国においては「循環型社会形成推進基本計画」の見直しや「使用済小型電子

機器等の再資源化の促進に関する法律( 小型家電リサイクル法)」の制定が行われま

した。「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律( 容器包装リ

サイクル法)」については、2013年9月から見直しに向け、環境省と経済産業省の合

同会議が行われているところです。

以上のように、明らかになってきた課題や新たな動きに適切に対応し、市民・事

業者・行政の協働による3Rの取り組みの輪を広げていくとともに、環境負荷の低

減と安定的・効率的な処理体制の確保をめざし、計画的な施設整備を進めていくた

め、4次計画を改定し、「第5次一般廃棄物処理基本計画」(以下、「5次計画」と

いう。)を策定しました。

58

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第 6章 なごやのごみ問題

1)基本理念と基本方針

1999年2月の「ごみ非常事態宣言」以降の大幅なごみ減量を達成する原動力とな

った市民・事業者との協働をベースに、市民・事業者・行政が共に学び、共に行動

することで3Rの取り組みを推進します。

環境にも配慮しながら安定的かつ効率的な施設整備に努め、持続可能な循環型都

市「廃棄物などの発生抑制がすすみ、資源が無駄なく利活用され、環境への負荷が

最小限に抑えられているまち」をめざします。

<図表6-2>基本理念と基本方針

59

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第 6章 なごやのごみ問題

2)目標値

「5次計画」では、2028 年度(平成 40 年度)を目標年次として、次のような

目標を掲げています。

<図表6-3>目標値

2028年度

2028年度

2028年度

2028年度

2028年度

2014年度

2014年度

2014年度

60

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第 6章 なごやのごみ問題

3.循環型都市の実現に向けて

1)2Rの推進

循環型社会形成推進基本法では、①発生抑制(リデュース)、②再使用(リユース)、

③再生利用(リサイクル)、④熱回収、⑤適正処分の優先順位に基づいた取り組みを

進めることが重要とされています。なかでも、2R(①発生抑制(リデュース)、②再

使用(リユース)) の取り組みは、埋立量・CO2排出量・処理コストを同時に削減

する最善の方法です。

2Rの取り組みには、法整備が不可欠であることから、引き続き国に法改正を求

めていくとともに、消費者の選択という行動を通し、製造業者や小売事業者に働き

かけ、2Rの取り組みを推進します。

●発生抑制の推進

◆容器包装削減「名古屋ルール運動」

発生抑制のためには「元から減らすための法整備」が不可欠ですが、名古屋市

独自でも、実施が可能な取り組みがあります。たとえば、流通段階での容器包装

削減は、消費者と販売店が協働すれば可能です。

買う立場(消費者)、仕入れる立場(販売店)からの権利と責任を行使し、協

働で販売段階の容器包装の削減をめざす取り組みが始まっています。その第一弾

がレジ袋有料化です。

この取り組みをさらに発展させ、他の容器包装の削減についても協働の輪を広

げ、全国のメーカーに製造段階での容器包装削減を働きかける「名古屋ルール運

動」を広げていくことが重要です。

・レジ袋有料化

消費者団体・事業者団体などで構成する「容器・包装3R推進実行委員会」を

推進母体としてレジ袋削減に取り組み、2009年 4月のレジ袋有料化の全市展開に

よって大幅な削減を達成しました。

レジ袋有料化の取り組みは全国最大規模で展開しており、参加店舗は 60 社 4

組合 1,135店舗、辞退率は約 9割となっています(2015年 9月現在)。事業開始か

ら 2015年 9月までのレジ袋削減量は、累計約 21億 7千万枚(約 15,000トン)に

もなります。この削減効果を石油で換算すると、200リットルのドラム缶約 14万

本分、走行距離に換算すると、燃費 13㎞/ℓの車で地球を約 9,000周分に相当しま

す。

・レジ袋有料化還元基金

レジ袋有料化の収益金について、スケールメリットによる環境改善効果の高い

還元策を継続実施することを目的として、2008年 7月に設置されました。これま

で「園庭の芝生化」や「ソーラー式 LED照明灯の設置」等、環境や地域のために

様々な事業を行っています。

⇒【レジ袋有料化】

レジ袋有料化の取り組み

http://www.city.nagoya.j

p/kankyo/page/0000009947

.html

⇒【レジ袋有料化の収益金】

レジ袋有料化還元基金事

http://www.city.nagoya.j

p/kankyo/page/0000056872

.html

61

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第 6章 なごやのごみ問題

・マイボトル・マイカップ普及運動

レジ袋有料化の成果をレジ袋以外の容器包装削減の取り組みに発展させていく

ため、ペットボトルをはじめとする使い捨て飲料容器を削減するマイボトル・マ

イカップ普及に向けたキャンペーン等の取り組みを進めています。

・簡易包装商品の購入を促進する仕組みづくり

簡易包装の商品に識別ラベル( マーク) を付し、消費者が簡易包装の商品を選

択して購入することにより、製造メーカーに容器包装の少ない商品等の開発を促

す仕組みづくりの検討を進めます。

◆生ごみ発生抑制のための「3ない運動」、「ギュッと水切り・ひとしぼり運動」

の推進

家庭から出る可燃ごみの約3割を占める生ごみを削減するため、家計にもやさ

しい「買いすぎない、作りすぎない、食べ残さない」3 ない運動と、「ギュッと

水切り・ひとしぼり運動」を推進します。

◆生ごみ堆肥化の促進

生ごみ資源化の意義や方法を伝える講座を実施し、家庭の生ごみを堆肥にして

家庭菜園やベランダのプランター等で有効利用する取り組みを促進します。

◆飲食店等と連携した食品ロス削減のための仕組みづくり

生ごみの発生抑制について自ら取り組む、又は来店者への啓発に協力する飲食

店や小売店などを登録し、広報・周知するなど、事業者と連携した食品ロス削減

に向けた仕組みづくりの検討を進めます。

●リユースの推進

◆リユース家具の展示・販売

粗大ごみの中でも修理が比較的容易な家具類を回収・修理し、展示販売するこ

とにより、物を大切に長く使うという意識の啓発に努めます。

◆リユース食器の貸し出し

洗って繰り返し使えるリユース食器の貸し出しを通じて、「脱使い捨て容器」

の意識啓発に努めます。

◆リユースステーション

リユースステーションでは、未使用か使用感の少ない古着、陶磁器製食器、な

べ・やかん類、本などを再利用目的で回収しています。新聞等の回収拠点である

リサイクルステーションの一部に併設されており、名古屋市内 43カ所で定期的に

開催されています(2016年 2月現在)。

⇒【マイボトル・マイカップ

普及】

マイボトル・マイカップ

普 及 キ ャ ン ペ ー ン

http://www.city.nagoya.j

p/kankyo/page/0000027269

.html

⇒【リユースステーション】

特定非営利活動法人 中

部リサイクル運動市民の会

HP内、リユース&リサイク

ルステーションご利用ガイ

http://www.es-net.jp/rs/

rs.html

62

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第 6章 なごやのごみ問題

●法整備による拡大生産者責任※の徹底

発生抑制を推進するためには、拡大生産者責任の徹底が不可欠であり、容器包

装リサイクル法の改正や事業者引き取り品目の拡大など、法整備による拡大生産

者責任の徹底を求めていきます。

2)分別・リサイクルの推進

家庭から排出されるごみについては、2011年4月のプラスチック製品の分別区

分変更以降、プラスチック製・紙製容器包装の資源分別率が低下しています。ま

た、古着・古布、雑がみの資源分別率も1割程度にとどまっています。

事業者から排出されるごみについては、排出量の約8割を占める紙類と生ごみ

の資源化が進んでいません。

「5次計画」では、これらを重点品目として位置づけ、以下の施策を新たに実

施・検討することにより、分別・リサイクルの取り組みを進め、さらなるごみ減

量をめざします。

◆対象者を絞った集中的な広報・啓発

学生や外国人等、市政の情報が伝わりにくい市民や、転出入が激しく分別ルー

ルが定着しにくいワンルームマンション・共同住宅の居住者等に対して、職員が

周知・説明する機会を設け、効果的な広報・啓発を展開します。

◆古着・古布の資源化の促進

事業者と連携した古着・古布の回収促進の取り組みなどにより、「古着は資源」

という分別意識を定着させ、集団資源回収等での古着・古布の回収を促進します。

拡大生産者責任

63

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第 6章 なごやのごみ問題

◆集団資源回収団体への研修機会の充実

地域における古紙、古着・古布リサイクルの核となっている集団資源回収団体

に対し、古紙(特に雑がみ)、古着・古布のリサイクルに関する情報の発信源とな

るよう、研修・説明会の充実を図ります。

◆事業系ごみ排出実態の把握による啓発・指導等

事業系ごみ排出量の約半分を占める中小事業者の排出実態の把握に努め、啓

発・指導に生かします。

◆分別・リサイクルに係る中小事業者への重点的な啓発

中小事業者において、ごみの減量・資源化で成功している事例を参考にしなが

ら、同業種の事業者への啓発に生かしていくことにより、中小事業者の分別・リ

サイクルの取り組みを促進します。

◆プラスチック製容器包装、紙製容器包装、ペットボトル

週1回、約60世帯に1箇所の割合で設けられた集積場所から収集しています(2011

年4月からプラスチック製容器包装は各戸収集。ペットボトルは拠点回収も実施。)。

容器包装リサイクル法により、消費者が分別排出した容器包装は、市が収集、選別・

圧縮梱包・保管し、(公財)日本容器包装リサイクル協会に引き渡し、再商品化され

ます。再商品化事業者は、(公財)日本容器包装リサイクル協会が入札で選定してい

ます。

◆空きびん、空き缶、紙パック

空きびん・空き缶は週1回、集積場所から収集しています。

紙パックは、区役所やスーパー等に設置してある回収ボックスから収集しています。

これらは、選別等の後、再商品化原料の利用メーカーに売り払われます。

◆古紙

集団資源回収、リサイクルステーション等で種類別に回収された紙資源は、国内外

の製紙メーカーへ運ばれます。細かい繊維にしてインクを落とす作業を経て再び、

紙原料となり製品に生まれ変わります。

資源のゆくえ

64

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第 6章 なごやのごみ問題

◆食用油のリサイクル

事業系の生ごみについては、バイオマスの有効利用という観点から、約 50%の

利活用をめざし、事業系大規模建築物等への立入調査により、飼料化、堆肥化な

どの民間生ごみ資源化施設へ誘導し、資源化を進めています。

また、市内のスーパーマーケットにおいて、家庭から出る使用済みの食用油を

回収し、バイオディーゼル燃料に精製して市のごみ収集車やバスの燃料として用

いる事業に取り組んでいます。食用油は、名古屋市内の全 76店舗で回収していま

す(2016年 2月現在)。

<図表6-4>回収・精製・利用の流れ

◆小型家電のリサイクル

「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル

法)」の施行を受け、2014年 2月から市内の総合スーパーや区役所等に回収ボッ

クスを設置し、小型家電の回収を始めました。回収した小型家電は認定事業者(適

正なリサイクルを実施する者として国に事業計画を認められた事業者)に引き渡

し、鉄、アルミニウム、金、銀、銅などの有用金属をリサイクルしています。

3)環境に配慮した施設整備

環境負荷を低減するため、焼却灰の資源化や発電効率の向上に取り組みつつ、老

朽化が進む工場について大規模改修や設備更新等により安定的な処理体制を確保し、

計画的な施設整備を行います。

また、愛岐処分場を計画的に長寿命化することや、新規処分場についての検討を

行うこと等により、長期的かつ安定的な埋立処分場の確保を図ります。

市バス

76店舗で回収

65

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第 6章 なごやのごみ問題

●焼却工場の整備

平成 27年度において、4工場が稼働していますが、処理能力の 5割を南陽工場

が担っています。(南陽工場の設備規模は、他の 3工場分に相当)

南陽工場の老朽化による休止時にはごみ処理量の削減を前提にしても 2工場分

の整備が必要となることから、平成 32年度稼働に向けて北名古屋工場(仮称)の

建設と休止している富田工場の既存建屋を有効活用した設備更新を進めていきま

す。南陽工場の休止と北名古屋工場(仮称)、富田工場の稼働により工場の規模が

ほぼ平準化されることから、これ以降は 6工場体制(5工場稼働、1工場整備)で

施設整備を進めていきます。

南陽工場については、ごみ処理量、季節変動、災害リスク等を考慮して設備規

模を 560トン/日に縮小し平成 38年度頃の稼働をめざします。

また、南陽工場が稼働する平成 38年度頃には、猪子石工場は稼働後 24年、五

条川工場は稼働後 22年を迎えることから、以下の観点を踏まえ、大規模改修、設

備更新等の整備方法を検討していきます。

① 災害リスクや収集・運搬効率の観点からの地域バランスの確保

② コスト削減(既存建屋の有効活用等)

③ 設備の老朽化の状況

●焼却灰の資源化

平成 32 年度に稼働する北名古屋工場( 仮称) において、焼却灰等の全量資源

化を図ることにより、本市の埋立量を 2 万トン程度まで削減します。平成 32 年

度以降は工場の整備にあたり既存建屋を有効活用していくため、配置上の問題か

ら自工場における溶融処理は行わず、民間施設における焼却灰の溶融処理、セメ

ント化及び焼成処理による資源化を検討します。

民間施設での資源化は、現状では広域処分場における処分コストに比べ高額と

なっている状況から、広域処分場を含めた既存処分場の状況、受け入れ可能な民

間施設の状況やその資源化コスト、本市焼却工場の焼却灰の処理状況等を総合的

に勘案しながら検討を進めます。

●エネルギー回収の推進

焼却工場の整備にあたっては、既存建屋の有効活用という制約の中、高効率発

電設備の導入を図るなど、より一層の熱エネルギーの活用を推進していきます。

また、収集した可燃ごみをメタン発酵処理する設備については、稼働実績が少な

く長期間安定稼働した実績がないこと、規模の制約があること、処理コスト等も不

利なことから、南陽工場への導入は見送ります。

今後のメタン発酵処理技術の進展状況によっては、焼却処理に比べて効率的なエ

ネルギー回収や、CO2排出量の削減も期待できる可能性があることから引き続き

焼却工場への導入を検討していきます。

66

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第 6章 なごやのごみ問題

4.名古屋の産業廃棄物

1)一般廃棄物と産業廃棄物

ごみ(廃棄物)は、一般廃棄物と産業廃棄物に大別されます。廃棄物の取り扱

い(収集や処理・埋め立て処分)は、法律によって厳しく規制されています。

産業廃棄物の処理を委託した事業者は、マニフェスト(産業廃棄物管理票)に

よって廃棄物の処理状況を把握し、適正に処分されたかどうかを確認しなくては

なりません。不法投棄などは、実行者だけでなく、委託者(排出事業者)も責任

を問われます。

2)産業廃棄物のゆくえ

2007年度に名古屋市内で発生した産業廃棄物は約 417万トンで、そのうち有償

物となった約 59万トン(全体の 14%)を除く約 358万トン(全体の 86%)が産

業廃棄物として排出されました。

このうち、再生利用されたのが約 252万トン(排出量の 70%)、焼却などによ

って減量化されたのが約 87 万トン(排出量の 24%)で、最終処分として埋め立

てられた量は約 19万トン(排出量の 5%)でした。

<図表6-5>産業廃棄物のゆくえ

出典:名古屋市産業廃棄物実態調査結果(平成19年度実績)のあらまし(名古屋市、2009)

⇒【一般廃棄物と産業廃棄物】

家庭ごみ

事業系ごみ

事業活動にともなって排

出されるごみのうち、法

律・政令で指定されたもの

(主に、生産活動にとも

なって排出されるごみ)

一般家庭から

排出されるごみ

店舗、オフィス、

病院、学校などか

ら排出されるごみ

一般廃棄物

産業廃棄物

67

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第 6章 なごやのごみ問題

3)産廃税とは

産廃税とは、産業廃棄物税の通称で、産業廃棄物を最終処分場または中間処理

施設へ搬入することに対して税を課すものです。

課税の方法は、最終処分場や中間処理施設へ搬入する産業廃棄物の重量を基に

事業者に課税します。ただし、中間処理施設へ搬入する場合は、乾燥、脱水、焼

却、破砕など産業廃棄物の減量化などを行うため、搬入量に対して直接課税する

のではなく、一定の率を割り引いたあとの重量で課税します。

この税は、国が法律で定めるものではなく、各自治体が条例によって定める特

定の目的に対して行うもので、法定外目的税といわれています。

全国で最初にこの産廃税を導入したのは三重県で、2002年 4月から課税を始め

ています。

●産廃税導入の状況

産廃税の導入は、都道府県を中心に進んでおり、27道府県(2007年 4月時点)

で導入されています。

産業廃棄物の県境移動に対応して、複数の県で共同して導入する例もみられま

す。2003年 4月の岡山・広島・鳥取 3県の共同導入に続き、2004年 1月には青森・

岩手・秋田の 3 県と滋賀県、2004 年 4 月には新潟・奈良・山口の 3 県が、2005

年 4月には福岡・佐賀・長崎・大分・熊本・宮崎・鹿児島の 7県と宮城・京都・

島根 3府県が導入しました。2006年 4月には沖縄・福島の 2県、2006年 10月に

は北海道、山形県、そして 2007年 4月には愛媛県で導入されています。

なお、中核市以上での導入例としては、北九州市の「環境未来税」(2003年 10

月導入)があります。

●愛知県の産廃税(産業廃棄物税)

愛知県は「モノづくり」が盛んなところで、32年連続で製造品出荷額などの総

額が全国 1位(2008年現在)となっています。そのため、発生する産業廃棄物量

も多く、県内の最終処分場の残存容量も急速に減少しています。

そこで、愛知県では産業廃棄物の発生量を抑え、かつそのための施策の財源を

確保するため、2006年 4月から「産業廃棄物税」を導入しました。

産業廃棄物については、さまざまな施策や事業者の努力もあり、減量化や再資

源化が進んできていますが、それでも最終処分場の残存容量はひっぱくし、依然

として不適正処理が行われています。限りある資源を守り、安心して生活できる

環境を維持するためにも、さらなる取り組みと努力が行政や事業者に求められて

います。

●産廃税における課題

産廃税が導入されると、まだ導入されていない地域へ産業廃棄物が移動される

可能性があります。また、中間処理施設での導入を見合わせているところや課税

額も異なる場合があるなど、自治体共通ではありません。中間処理施設に搬入し、

埋め立てする場合、二重課税になり中小処理業者には負担が重いなどの指摘もあ

ります。産業廃棄物の広域移動を考えると、自治体ではなく国レベルでの検討が

必要との意見もあります。

⇒【特定の目的】

産業廃棄物が増加しリサ

イクルへの対応などが図ら

れてきたが、最終処分場の

確保が難しく埋め立て容量

が減少してきたことなどを

背景に、発生の抑制やさら

なるリサイクルの推進など

と最終処分場の延命策とし

ても検討されてきた。

産廃税による税収は、民

間事業者を対象にしたごみ

減量化のための技術開発や

施設整備への助成がもっと

も多く、優秀な処理事業者

の育成、自治体のごみの減

量化、リサイクルのための

技術開発、処理施設の周辺

整備などに使われることが

多くなっている。

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