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南九州病院は人口7万7千人の姶良市の中で一番大きな病院です。そのためか、いち早くワクチン供給の基地となる基本型医療機関に指定さ れ、超低温冷蔵庫が送られてきました。その後、ワクチン接種会場としても非常に適した施設であると姶良市から依頼され、個別接種は平日午後 2時間、当院のスタッフによって実施。集団接種については、土・日曜日、姶良市が全面的に運用し、当院は場所の提供をすることで、多大な地域 貢献を行っています。写真は、一般接種に先立ち医療従事者先行接種の第1号となる院長の接種風景です。因みに、殆ど痛みも体調不良も無か ったとのことです。 VOL.32 L i i o oj ■ コロナワクチン接種開始 ■ 医療安全研修を終えて ■ 機能評価の受審結果 ■ 星つむぎの村プラネタリウム ■ 腹部超音波検査とは ■ 消化器内科の開設について ■ アレルギー外来の開設について ■ 人事異動 ■ 地域医療連携室だより ■ 編集後記 CONTENTS CONTENTS

92/sfe 南九だより

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Page 1: 92/sfe 南九だより

南九州病院は人口7万7千人の姶良市の中で一番大きな病院です。そのためか、いち早くワクチン供給の基地となる基本型医療機関に指定さ

れ、超低温冷蔵庫が送られてきました。その後、ワクチン接種会場としても非常に適した施設であると姶良市から依頼され、個別接種は平日午後

2時間、当院のスタッフによって実施。集団接種については、土・日曜日、姶良市が全面的に運用し、当院は場所の提供をすることで、多大な地域

貢献を行っています。写真は、一般接種に先立ち医療従事者先行接種の第1号となる院長の接種風景です。因みに、殆ど痛みも体調不良も無か

ったとのことです。

南九だより 2021.夏号  VOL.32

発行:独立行政法人 国立病院機構 南九州病院 VOL.32URL:https://minamikyusyu.hosp.go.jp/

■ コロナワクチン接種開始■ 医療安全研修を終えて■ 機能評価の受審結果■ 星つむぎの村プラネタリウム■ 腹部超音波検査とは■ 消化器内科の開設について■ アレルギー外来の開設について■ 人事異動■ 地域医療連携室だより■ 編集後記

CONTENTSCONTENTS 国立病院機構 南九州病院国立病院機構 南九州病院地域がん診療病院 日本医療機能評価機構認定病院

院 是

国立病院機構理念

『 病む人に学ぶ 』 患者さんと共に、安全で良質な、理想の医療の実現を目指します。

国民一人ひとりの健康と、我が国の医療の向上のために、たゆまぬ意識改革を行い、健全な経営の元に患者の目線に立って懇切丁寧に医療を提供し、質の高い臨床研究、教育研修の推進に努めます。

新型コロナウイルス

ワクチン接種新型コロナウイルス

ワクチン接種

開始 !開始 !

Page 2: 92/sfe 南九だより

National Hospital Organization Minamikyushu Hospital

新型コロナウイルスワクチン接種への協力について新型コロナウイルスワクチン接種への協力について

薬剤部長 植村隆

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2019 年後半に出現した新型コロナウイルス SARS-CoV-2 に起

因する感染症であり、初期症状は、インフルエンザや感冒に似ており、発症初期に判別することは困難である。

2021 年 6 月末までに日本国内で約 80 万人が罹患し、1万 4千人が死亡するなど猛威を振るい、医療体制のひっ

迫が問題となっている。本年 6月 21 日に通算 3回目の緊急事態宣言が沖縄県を除き解除されるも、国内で連

日 1,000 人超の感染者が発生している。

COVID-19 の感染拡大対策の切り札として期待されたワクチンは、本年 2月に特例承認され、国及び地方自治

体によるワクチン接種事業の一環として実施されている。医療従事者への優先接種の開始にあたって、当院は

市内53か所の連携型接種施設へワクチン及びシリンジ、針などの必要物品を供給する姶良市唯一の基本型接

種施設に指定された。ファイザー社製のコミナティ筋注は、mRNAワクチンという新規の作用機序の薬剤であり、

超低温冷凍庫(図 1)での保管や配送時の厳密な温度管理が必要なことから、薬剤部が主体となって保管管理

を行っている。ワクチンの連携施設への配送にあたり、国が定めた分配管理台帳の作成及び連携型接種施設へ

の情報提供シート(図 2)の提供が必要となった。50 施設を超える連携型接種施設の情報提供シートを円滑に

作成するため、分配管理台帳から情報提供シートを自動作成する VBA を薬剤部で開発して業務の効率化を図っ

た。

当院が取り扱ったワクチンであるコミナティ筋注は、海外の臨床試験において疼痛 (85%)、頭痛 (59%)、倦怠

感 (66%) 等の副作用が高頻度で発生しており、また、接種後の感染対策も継続して必要なため、薬剤部で副作

用説明スライドを作成して、接種後の観察時間で上映している。3月上旬より始まった医療従事者向け優先接

種以降に当院で発生した重篤な有害事象の情報収集とファイザー社への報告も薬剤部が担当している。

5月末には、6月から新たに姶良市の基本接種型施設となる大井病院及び加治木温泉病院、青雲会病院の 3施

設の担当者を招いて、ワクチンの管理及び配送に関する研修を行った。その後、姶良市及び基本型接種施設 4

施設では、ワクチン配送に係る事務作業を効率化するために、当院で作成した分配管理台帳を使用することに

なった。6月末現在、当院から約 5,600 バイアル ( 延べ 36,000 人分 ) のワクチンを各施設へ供給している。姶

良市の集団接種においては、ワクチンの管理及び調製に関するマニュアルを提供し、また、接種当日の接種人

数変更に伴うワクチン調製数の微調整を実施するため、ワクチン調製業務に当院薬剤師が参加している。今後

も貴重なワクチンが適切に姶良市民へ行き渡るよう、薬剤部一丸となってワクチンの管理及び調製において姶

良市に協力していきたいと思います。

(左)ワクチン用超低温冷凍庫

(右)保冷剤保管用冷凍庫

情報提供シート( 図 1 ) ( 図 2 )

Page 3: 92/sfe 南九だより

National Hospital Organization Minamikyushu Hospital

病院機能評価一般病院2緩和ケア Ver2を取得病院機能評価一般病院2緩和ケア Ver2を取得 管理課長

野口 弘一郎

 令和3年1月20~21日にかけて病院機能評価にかかる更新のための評価を受審し、令和3年4月2日付で一般病院2(3rdG:Ver.2.0)副機能 緩和ケア病院の認定を受けました。今回の更新においては、令和3年1月に受審することとし、スケジュールを作成し令和2年1月にキックオフを行い、前回の評価より「b」評価を減らし、「a」評価を増やすことを目標としました。 まず、医師、看護師、コメディカル、事務による17のプロジェクトチームを設置し、「自己評価調査票」を使用して各プロジェクトチームで自己評価を実施し、問題点の洗い出しを行いました。それを基に4月から毎月、チーム毎に活動及びプロジェクト会議での進捗状況確認、ケアプロセスのプレゼンテーション1例ずつ行っていき、本受審を迎えました。受審結果として、目標としていた前回評価より「b」評価を減らし、「a」評価を増やすことを達成出来ました。この結果については、当院が今まで取り組んできた医療の質、取組が認められた結果だと思います。今後も今までの取組等を継続し、さらに質の高い医療の提供ができる病院を目指していきたいと思います。最後になりましたが、職員の皆さん、本当にお疲れ様でした。

TOPICS1TOPICS1TOPICS1

令和 3年 5月に第一回医療安全研修を実施しました。研修は新型コロナウイルス感染拡大防止のため感染対策を講じながら、会議室の収容人数の半分の席数に制限し予約制としました。同じ内容を 7回実施し非常勤職員を含め 501 名のうち 418 名 83.4%の職員が参加でき、研修では久保田伊知郎院長が「心理的安全性と医療事故を防ぐ4つの方法」というテーマで病院が目指す医療安全について話されました。会議や研修はその部署の代表者が出席し、各担当部署には伝達講義として伝えることが多いですが、この研修では院長の方針を聴くことのできる大切な機会に参加となり、職員にとっては帰属意識を高めることにつながるものと考えます。直接患者に関わる機会の少ない職種の職員の方々も含め、病院を支える全ての職種の方々が嬉しそうに研修会場に来る様子が印象的でした。日本では 1999 年に発生した大きな医療事故をきっかけに、1999 年が医療安全元年とも言われていますが、当院でも1998 年に患者さんの喫煙による火災、落雷による非常用電源の停止が起こりました。非常用電源が使用できないという事態は人工呼吸器を使用する患者さんの多い当院では非常事態との言える大きな出来事でした。その経験を契機に元院長の福永秀敏先生がいち早く医療安全に対して取り組まれ、その後も廣津泰寛元院長、川畑政治前院長、現在の久保田院長が自ら医療安全を病院職員に伝えています。コロナ禍であっても職員一人一人の顔を見て、反応をみながら、伝えたいという思いは院長が大切にしているWithLoveの精神にあります。地域への愛、患者さんやその家族への愛、そして医療従事者である自分自身への愛、自分の人生に対する愛、何を目指し生きるのかというメッセージは、患者さんに安全で安心して医療を受けてもらえるように、我々にプロフェッショナルであってほしいという願いであり、それを職員一人一人に伝えることは院長の私達への愛であり、プロフェッショナルな姿から多くの教えを受けることができた研修でした。  

医療安全研修を終えて医療安全研修を終えて医療安全研修を終えて 医療安全管理係長

米森 初枝

Page 4: 92/sfe 南九だより

腹部超音波検査とは腹部超音波検査とは超音波検査は体に負担のない検査です。

迅速かつ簡便に行えるため、現在さまざまな領域で広く用いられています。

腹部超音波検査とは、腹部全体にゼリーを塗って超音波を利用し臓器を画像化・解析する検査です。

腹部全体にプローブをあて、体内の臓器(主に肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓など)を観察します。

検査時間は通常 20 分ほどですが、内容により更

に細かい観察が必要とされたときは、時間を要す

る場合もあります。

腹部超音波検査で異常が見つかった場合は、

専門医による精密検査を受け、定期検査や

早期発見・早期治療につなげましょう。超音波診断装置

もう少し腹部エコー小さくしようかな

星つむぎの村プラネタリウム星つむぎの村プラネタリウム 療育指導室

洗川 沙希

研究検査科

富園 正朋

6/7( 月 ) ~ 6/11( 金 ) にかけて、星つむぎの村プラネタリウム「すべての人に星空を~片桐プロジェク

ター巡回プログラム」が実施されました。

一般社団法人星つむぎの村は「星を介して人と人をつなぎともに幸せをつくろう」をテーマに移動プラ

ネタリウムや星や宇宙に関するワークショップやイベントなど行っている団体です。中でも、病院や

施設で長い時間過ごしていて、なかなか本物の星を見る機会がない方々に星空をお届けする「病院が

プラネタリウム」が活動の大きな柱になっています。また、2021 年 4月より全国保育士協議会の協力

を得て、「すべての人に星空を~片桐プロジェクター巡回プログラム」を実施されています。今回は、

療育ホール、各病棟、病室にてプラネタリウムを実施いたしました。

プラネタリウムが上映されると、利用者さんは興味津々に天井を見上げ

、天井一面の星に「わぁ~!」といった歓声も。その他にも「この映像

はすごい!」「自分の悩みがすごく小さいことに思える」などのお声を

頂きました。

20 分程度の上映でしたが、利用者さんの様々な表情や様子を拝見

することができました。

普段なかなか星空をみることのできない利用者さんにとって、

とても貴重な機会となり心地よい空間になっているようでした。

National Hospital Organization Minamikyushu Hospital

TOPICS3TOPICS3TOPICS3

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消化器内科外来のご案内消化器内科外来のご案内 外来師長前田 康恵

令和3年 4月より常勤の消化器内科医師が 2名増員となり上部消化管、 下部消化管内視鏡検査、 消化器

がん化学療法ができるようになりました。

日本人の食生活が変化し、 脂肪分の多い食事などの欧米化により、 消化器がんは日本人のがんによる死亡

原因の多くを占めています。 がんの部位別でも肺、 胃、 大腸が多く、 自覚症状の

少ない大腸がんの検診は 40歳以上の健康な方を推奨しています。 健康寿命を延

ばすためにも検診は大切です。

胃もたれなどちょっとした症状でも検査をすることで大きな病気の発見につながるこ

ともありますので、 お気軽にご相談ください。

また市町村検診で二次検査についても対応も可能ですのでお気軽にご相談ください。

アレルギー外来の開設についてアレルギー外来の開設について

2021年 6月から成人アレルギー外来を開設し、 従来より小児科の一部としておこなっていた小児アレルギー

外来とあわせて、 「アレルギー外来」 を充実することになりました。

近年、 気管支ぜんそくや花粉症、 食物アレルギー、 アトピー性皮膚炎など、 アレルギー疾患は非常に増加し

つつあり、 これらの診断 ・治療のためには、 全身のアレルギー性炎症の状態や局所の評価とともに、 その原

因を確認することが重要です。

開設するアレルギー外来は呼吸器科 2名、小児科 1名の医師が中心となって、喘息をはじめとするアレルギー

性呼吸器疾患や小児食物アレルギーを中心に診療を行うことになります。 各種血液検査や肺機能検査、 呼

気一酸化窒素濃度 (FeNO) などで炎症や局所 (気道) の状態評価を行うとともに、 皮膚アレルゲンテス

ト (プリックテスト) などで迅速にアレルゲンを検索することもできるようになりました。

アレルギーは全身に病変が及ぶことが多いため、 消化器科や脳神経内科とも協力しながら診断 ・治療を進

めていきます。

また、 現在当院に設置されていない耳鼻科や皮膚科、 眼科などについては、 近隣で開業されている各専門

科の先生方とも緊密な連携を行えるシステムをつくっていく予定です。 それにより、近い将来、“地域アレルギー

連携グループ” を形成して、 姶良 ・霧島地区のアレルギー疾患について、 全般的、 総合的に診療が行える

ような医療体制を確立していきます。

さらに、 今回、 日本アレルギー学会のアレルギー専門医教育研修施設にも認定されましたので、 アレルギー

診療に従事する若い医師や看護師の教育 ・育成や研究にも尽力し、 鹿児島のアレルギー診療 ・教育 ・研

究の拠点としても発展できるよう努力していきたいと考えています。

統括診療部長東元 一晃

National Hospital Organization Minamikyushu Hospital

人事異動人事異動

退 職 松島 遼平  (統括診療部 呼吸器外科医師)田代 美奈子 (手術室 看護師)内倉 敬一郎 (統括診療部 非常勤外科医師)池平 あかり (看護部長室 非常勤看護助手)

(R3.6.30 退職、 R3.7.1 採用)

採 用渡邊 和華(鹿児島大学病院より臨床研修医)7~9月 3ヶ月間

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広報紙最新号が完成しました。今後は、編集委員交代で編集後記を徒然なるままに記述することになりました

のでよろしくお願いいたします。

巻頭でもご紹介しましたが、当院はいち早く姶良市の一般ワクチン接種会場として、 職員一丸となって連日対

応しています。また、市役所主導の集団ワクチン接種会場としても施設をお貸しし、地域に貢献しているところ

です。一日でも早く、皆様の日常が戻りますように・・・             ( T.M )

 集

後記編

がん相談支援センターのご案内がん相談支援センターのご案内

当院のがん相談支援センターでは患者・ご家族、地域の皆様のがんに関する相談をお受け致しております。専任のソーシャルワーカー、看護師がお話を伺い、相談対応をさせて頂きます。例えばこのようなご相談をお受けします。

その他、気になることがあれば何でも相談できます。気軽にご相談ください。

ご利用についてご利用について

がん患者家族サロンがん患者家族サロン

  ︓月~金(休診日を除く)    ︓9 時~ 17 時まで     ︓無料相談日 時間時間 相談料相談料相談日

あなたの疑問にお答えします

あなたの生活を支援します

あなたの心を支えます

・治療について知りたい・緩和ケアって何︖どんなところ︖緩和ケアに入院したいがどうすれば良いか︖・他の先生の意見が聞きたい(セカンドオピニオンについて)

・医療費はいくらかかるのか︖・家で生活したい。どうしたらよいか︖・介護保険について・何か使える制度はあるか・仕事について

・がんと言われました。不安でいっぱい。・誰かに自分の気持ちを聞いてほしい。・家族が、がんです。どのように接したらよいのか分からない。

毎月1回(第 3水曜日)にはがん患者家族サロンを開催しています。患者さんご家族のためのサロンです。患者さんやその家族同士でゆっくりお話していただき、必要なときには専門スタッフが相談に応じます。詳細についてはがん相談支援センターにお問い合わせください。

南九州病院 がん相談支援センター

電話 ☎ 0995-62-3677(直通) , 0995-62-2121(代表)

National Hospital Organization Minamikyushu Hospital

国立病院機構 南九州病院

地域医療連携室だより VOL.53RENKEI LETTER