25
Ⅰ 花き生産の現状と課題 1.全 国 (1)生 産 花きの生産は、切り花の輸入増加、培農家の減少等を背景に、平成 10 年頃をピークに作付面積、産出額とも減少傾向にあり、平成 15 年の切り花 等の作付面積は 18,650ha であったが、平成 26 年には 15,090ha となってお り、10 年で2割減となっている。平成 26 年の花き産出額は 3,437 億円(農 業産出額の 4.1%)となっており、10 年前の平成 15 年の 4,256 億円(農業 産出額の 4.8%)に比べて 819 億円減少している。 類別では、花木類、切り花類の減少が著しい。 (2)消費・流通 花きの流通は、品目・品種が非常に多く、卸売市場を経由し、小売店が 実需者・消費者に販売する方法が大分を占めており、平成 22 年の卸売市 場経由率は 83.4%となっている。 花きの卸売市場における、せりによる取引の割合は約3割で、野菜・果 実に比べて未だ高いものの、ピーク時の約8割から一貫して低下している。 花きの小売価に占める小売経費等は約5割を占めるが、これは花束へ の加工、商品ロスが多いことなどによるものである。 また、市場外取引において、ネットと物流センターのみで花きの取引を 行う等、新しい動きがある。 切り花及び園芸品・同用品の世帯当たりの購入金額は減少傾向にあり、 世帯主の年齢別でみると、若年層ほど購入金額が低くなっている。 花きの輸入については、切り花類を中心に、価の安さや安定供給が可 能なこと等から輸入額は平成 19 年まで増加傾向で推移していたが、花き需 要の低迷により、近年はやや減少している。 一方で、国内流通量に占める輸入切り花の割合(切り花輸入シェア)は、 平成2年には6%だったのが、平成 24 年に 25%と増加の一途をたどり、国 内生産者の脅威となっている。 また、輸出については、平成 26 年の花きの輸出額は約 90 億円で、大 分は木・盆である。海外マーケットに認知度の低い切り花の輸出はわ ずかである。 (3)主な施策展開 国は、食料・農業・農村基本計画で、次の施策を講ずべきとしている。

Ⅰ 花き生産の現状と課題 - Ehime Prefecture...1 Ⅰ 花き生産の現状と課題 1.全 国 (1)生 産 花きの生産は、切り花の輸入増加、栔培農家の減少等を背景に、平成10

  • Upload
    others

  • View
    6

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Ⅰ 花き生産の現状と課題

1.全 国

(1)生 産

花きの生産は、切り花の輸入増加、栽培農家の減少等を背景に、平成 10

年頃をピークに作付面積、産出額とも減少傾向にあり、平成 15 年の切り花

等の作付面積は 18,650ha であったが、平成 26 年には 15,090ha となってお

り、10 年で2割減となっている。平成 26 年の花き産出額は 3,437 億円(農

業産出額の 4.1%)となっており、10 年前の平成 15 年の 4,256 億円(農業

産出額の 4.8%)に比べて 819 億円減少している。

類別では、花木類、切り花類の減少が著しい。

(2)消費・流通

花きの流通は、品目・品種が非常に多く、卸売市場を経由し、小売店が

実需者・消費者に販売する方法が大部分を占めており、平成 22 年の卸売市

場経由率は 83.4%となっている。

花きの卸売市場における、せりによる取引の割合は約3割で、野菜・果

実に比べて未だ高いものの、ピーク時の約8割から一貫して低下している。

花きの小売価格に占める小売経費等は約5割を占めるが、これは花束へ

の加工、商品ロスが多いことなどによるものである。

また、市場外取引において、ネットと物流センターのみで花きの取引を

行う等、新しい動きがある。

切り花及び園芸品・同用品の世帯当たりの購入金額は減少傾向にあり、

世帯主の年齢別でみると、若年層ほど購入金額が低くなっている。

花きの輸入については、切り花類を中心に、価格の安さや安定供給が可

能なこと等から輸入額は平成 19 年まで増加傾向で推移していたが、花き需

要の低迷により、近年はやや減少している。

一方で、国内流通量に占める輸入切り花の割合(切り花輸入シェア)は、

平成2年には6%だったのが、平成 24 年に 25%と増加の一途をたどり、国

内生産者の脅威となっている。

また、輸出については、平成 26 年の花きの輸出額は約 90 億円で、大部

分は植木・盆栽である。海外マーケットに認知度の低い切り花の輸出はわ

ずかである。

(3)主な施策展開

国は、食料・農業・農村基本計画で、次の施策を講ずべきとしている。

○ 国内外の実需者ニーズを踏まえ、好まれる色や形質をもつ品質、日持

ち性に優れた品質、低コスト生産が可能な栽培技術等の開発を推進する。

○ 種苗供給施設等の共同利用施設、周年生産が可能となる耐候性ハウス、

保冷コンテナや保冷庫等を活用したコールドチェーンなど、輸出も見据え

た生産流通体制の整備を推進する。

○ オリンピック・パラリンピック東京大会や国際的な博覧会において、

日本の花きの優れた品質をPRし、国産シェアの回復と輸出拡大を図る。

2.本 県

(1)生産・流通・販売

本県の花き類栽培面積は、平成 9 年に 400ha を超えていたが、県内花き

栽培面積の約 7 割を占めるばら、ゆり、きく等の切り花類が減少したこと

により、平成 14 年から平成 18 年までは 380ha 前後、平成 19 年からは 360ha

で推移し、近年は減少傾向で、平成 26 年は 305ha となっている。

また、花き生産に取り組む農家戸数は、近年、ほぼ横ばいで推移してい

るが、花きによる粗収入が農業粗収入の 50%以上を占める農家の割合は減

少傾向となっており、高齢化や市場価格の低迷、生産コストの上昇等を背

景に、花きを補完品目とする農家が増加している。

ばら、ゆり、きく、デルフィニウムが県内の主要品目となっているが、

ばらについては、東予地域の団地化等により順調に産地化が進んだものの、

高齢化や燃油高騰等の影響により近年は栽培面積、生産数量ともに減少傾

向にある。きくについては、生産者の高齢化を背景に栽培面積、生産数量

ともに著しく減少している。ゆりについては、生産コスト(種苗費、光熱

費)のかかるOHユリの減少が著しく、中予の一部地域で共販体制が確立

され産地化が進んだシンテッポウユリも、近年は減少傾向となっている。

オリジナル品種で有利販売に取り組んでいるデルフィニウムについては、

平成 18 年まで順調に増加したものの、近年は減少傾向にある。

一方、その他の品目として、近年、省力的で取り組みやすい枝物の生産

数量が増加しており、特にシキミの作付面積が増えている。また、国産需

要が高まっているピットスポラムやビブルナム・ティナス等、県下各地で

産地化が進んでいる。

本県の鉢物類は、シクラメン、洋ラン、観葉植物を中心に成長してきた

が、平成 18 年以降、栽培面積、生産量とも減少傾向となっているが、近年

やや増加傾向にある。

本県の花壇用苗物類は、ガーデニングブームの定着により一定の需要が

見込まれることや、ホームセンターや直売所等販売形態が多様化したこと

等から、栽培面積、生産量は増加傾向で推移したが、生産過剰等による単

価低迷や燃油高騰の影響により、年格差はあるものの、減少傾向にある。

Ⅱ 花き振興の推進方策

1.花きの生産振興方策

(1)高品質・低コスト生産の推進

① 技術力の向上と担い手の育成

各産地の生産部会において、新規栽培者を掘り起こすとともに栽培講習

会等で栽培経験の少ない生産者に対して技術支援、花き生産者間の情報共

有等を実施し、生産技術の底上げと担い手の育成を図る。

特に、デルフィニウム、ゆり、ユーカリ等については、産地間連携によ

る市場への安定供給のメリットを生かすため、県域部会における規格統一

会等を実施し、農家や産地間の技術格差を是正する。

また、遊休ハウスの利用や耕作放棄地を活用した花き栽培の導入を推進

し、新規花き栽培者の確保・育成を図る。

② 低コスト耐候性ハウスの導入

高品質・安定生産を図るため、低コスト耐候性ハウスの導入を推進する。

③ 省エネ設備・機械・施設の導入推進

高品質生産を図るため、雨よけ施設や循環扇等を導入推進するとともに、

ばらにおいては燃油高騰対策で導入したヒートポンプを活用し、夏場の温

度管理の徹底による品質向上対策を強化する。

④ 生産コスト低減の取組支援

多収穫品種や高温要求の少ない品目(品種)の導入するとともに、安定

した種苗供給体制の確立等による種苗費の削減及び高温要求の少ない品目

(品種)の導入や多重被覆による暖房費の削減、養液土耕栽培や養液栽培

における適正な肥培管理等による肥料費の削減、リサイクル資材の積極的

な活用等、生産コスト低減の取組みに対し支援する。

(2)新技術・新品種の開発・普及

① 消費者にアピール力のある新品種の開発・普及

ばらやデルフィニウム、ゆり等の切り花について、ニーズに対応した新

品種の育成を推進する。

また、中山間地域や放任園、高齢化対策として、軽量で取り組みやすい

シキミやフラワーアレンジメント等で利用増加が期待されるピットスポラ

ムやビブルナム・ティナス等新規枝物の導入を推進する。

② 継続的な生産につなげる新技術の開発・普及

試験研究機関等で実証されたデルフィニウムの大苗定植やばらの低温伸

張性台木利用等、多収効果やコスト低減の期待できる新技術の導入推進と

現地における技術確立に努め、生産性の向上を図る。特に愛媛県が育成し

たデルフィニウムの新品種「さくらひめ」については、需要期に安定供給

できる技術を研究開発し普及させる。

気象変動に対応できる安定生産技術を開発・普及するとともに、生産管

理や気象情報等、農業へのICT活用を進め、生産の効率化、高品質化、

生産から経営の「見える化」による技術継承を図る。

(3)組織化と販売体制の強化

① 多様な販路へ安定供給するための体制整備

安定した品質と出荷量を確保するため、組織化に取り組む意欲的な産地

を主体に、共同選花、共同出荷体制の整備を図る。

ゆり、デルフィニウム等については、品種の組み合わせ等による作型分

散や立地条件の異なる産地間の連携によるリレー出荷体制を確立するとと

もに拠点市場への迅速かつ正確な情報発信により、市場への安定供給を図

り、有利販売につなげる。

また、産直市やホームセンター、インターネット販売等これまでの市場

出荷とは異なる出荷形態が伸びてきており、こうした多様な販路に対応し

た品目・品種選定や栽培技術の確立、出荷規格の見直し、流通システムの

構築等を図るとともに生産者自らが販路拡大に取り組む活動を支援する。

なお、他県においては花きの日持ち保証販売や環境への配慮を販売戦略

に結びつけている事例もあり、ニーズやメリット・デメリットを調査研究

し、本県における取り組みについて検討する。

② 花きの品質保持及び流通に対応した技術の開発

生産農家から選花場、市場までの一連の流通体系において、基本的な品

質管理を徹底するとともに、低温貯蔵庫等の品質保持施設の整備やバケッ

トによる湿式流通を導入推進や技術開発等、日持ち性に優れる高品質な花

きの安定供給体制を構築する。

③ 市場・消費実態に関する情報の収集・提供

デルフィニウムやゆり等県オリジナル品種の開発や普及に合わせ、市

場・消費実態の動向を把握するとともに、市場及び県内外の消費地への PR

活動等、情報発信に努め、有利販売につなげる。

④ 園芸資材の再利用

花鉢等の園芸資材について生産・流通・販売業者が連携し、再利用でき

る仕組みづくりに取り組み、園芸資材の再利用を推進する

(4)消費拡大の推進

花育活動の推進や各種イベント、生産者による直接販売等花きの持つ

魅力を消費者に理解してもらう地道な取り組みにより、県内の花き需要

を喚起し、県花き産業の活性化を図る。

① 「花育」に対する支援

花まつり等のイベントにおいて、親子で参加できる体験講座を実施す

るとともに、小学校への花苗の寄贈等子供達が直接花や緑に触れる機会

を設けることにより花育活動を推進し、新たな花き需要の創出につなげ

る。

また、県下の小学生を対象としたフラワーアレンジメントや生け花等

の「花育教室」の開催など、「花育」に取り組む活動を支援する。

② 花きの展示会、品評会等の開催

花のコンクール等の各種花き品評会、季節毎に開催される展示会やイ

ベント、生産者による県産花きの即売会等を実施し、消費者に県産花き

をPRすることで、需要拡大を図る。

③ 伝統の継承

花まつり等のイベントにおいて、生け花や盆栽等の花きに関する伝統

継承を推進する。

④ 実需者との連携したイベント等の開催

フラワーフェスティバル等、花き実需者と連携したイベントを開催し、

県産花きのPRに努め消費拡大を図る。また、開催イベント等を通して、

実需者の花きの活用状況等の情報を生産現場と共有し、少量多品目の本

県花き栽培の特徴を活かした活用を推進していく。

⑤ 花束・フラワーアレンジメント等の加工技術の開発・向上

フラワーアレンジメント等、関係団体と協力し、花きの新たな活用方

法や加工技術の開発を支援する。

2.主要振興品目

本県は、北東から南西に長く、また、山間地から平坦地までの多様な地理

的条件を活かし、それぞれの地域で特色ある花きの生産が行われている。

このため、地域の実情を踏まえ、地域特性を活かした個性的な産地の育成

を進める。

主要振興品目は、花き生産の最盛期に県下有数の産地を築き、現状におい

てもなお産地として生産流通体制を整え、今後もその強化を図る切花、鉢物、

花壇用苗物、さらに中山間地域を中心に生産拡大が進んでいるシキミや枝物

類を選定し、地域の特性を活かした個性的な産地の維持・拡大を進める。

主要振興品目一覧

区分 主要振興品目 振興するブロック

切花 ばら

デルフィニウム

きく

マーガレット

トルコギキョウ

リキュウソウ

西条・越智今治・温泉・伊予

西条・越智今治・温泉・伊予・大洲喜多・西予

西条・松山・久万高原

松山

今治・大洲

西条

球根切花 シンテッポウユリ

ゆり類

温泉・伊予

西条・今治・松山・伊予・大洲喜多・西予

枝物 シキミ

その他枝物類

ユーカリ

県下全域

四国中央・越智今治・温泉・伊予・大洲喜多

松山・伊予・宇和島・鬼北・愛南)

その他 鉢物

花壇用苗物

伊予

伊予・久万高原

※1 ゆり類とは、シンテッポウユリ以外のものをいう。

※2 その他枝物類とは、シキミ、ユーカリ以外の枝物をいう。

【参考】主要振興品目の経営指標(例)

品 目

単収 単価 粗収益 所得率 労働 時間

労働 日数

所得

本/10a 円/本 円/10a % 時間/10a 日/10a 円/10a

ばら(施設) 120,000 78 9,360,000 17.9 1,992 249 1,672,718

デルフィニウム(施設) 38,000 147 5,586,000 31.0 1,088 136 1,730,119

きく(露地) 40,000 37 1,480,000 33.1 1,015 254 490,000

マーガレット 55,000 40 2,200,000 43.8 1,067 133 963,400

トルコギキョウ 53,800 78 4,196,400 59.0 1,240 155 2,477,584

シンテッポウユリ 17,000 60 1,020,000 41.1 900 113 420,000

OHユリ(2 作) 26,000 210 5,460,000 30.4 1,500 188 1,660,000

シキミ 5,000 45 225,000 71.8 29 4 161,604

ユーカリ 8,000 60 480,000 51.4 224 28 247,000

花壇用苗物 147,000 54 7,938,000 23.8 2,280 285 1,890,761

さくらひめ(促 成 栽 培) 92,360 98 9,009,560 26.3 - - 2,366,880

※単価は市場単価、生産費調査から引用

3.主要振興品目の推進方針

①ばら

(現状と課題)

養液栽培やアーチング栽培法の普及により、高品質・安定生産が図られ、

全国の市場でも高い評価が得られる産地となっている。

また、燃油高騰対策として、ヒートポンプの導入が進み、暖房コストの低

減に成功している。

しかし、不況による購買力の低下や輸入増加等による価格低迷、多様化す

る消費者ニーズへの対応などの課題も多い。

(今後の推進方針)

・消費者ニーズに対応した品種を選定し導入する。

・ヒートポンプを活用した高品質生産技術を確立する。

・生育に応じた養液管理技術を普及する。

・低温伸長性台木の活用等安定生産技術の導入を推進する。

・バケット輸送体制を整備する。

②デルフィニウム

(現状と課題)

周桑地域をはじめ、県内各地域でJA全農えひめが育成したエラータム系の

オリジナル品種が栽培され、東京市場において有利販売されている。今後は、

栽培技術の高位平準化により冬春期を中心とした安定出荷体制を確立し、産

地競争力の強化を図る。

一方、県が育成したシネンシス系の「さくらひめ」は、市場評価は高いも

のの生産量が確保できていないため、生産拡大が喫緊の課題となっている。

そのため、新規生産者の確保を強力に進めるとともに、基本技術の指導を行

い安定生産につなげる。また、採花本数が増加する栽培技術や有利販売につ

ながる栽培技術等を確立するとともに、需要に合わせた供給体制を整えるこ

とが必要である。

今後は、需要に合わせた供給体制を整える。また、既存生産者には、地域

に応じた栽培技術を普及し所得向上を図り生産拡大につなげる。

(今後の推進方針)

・栽培面積の拡大のため、新規栽培者を確保・育成する。

・需要期に応じた栽培技術を確立する。

・大苗定植を推進し、採花本数増やす。

・オリジナル品種を開発し、普及する。

・リレー出荷等による拠点市場への長期安定出荷体系を構築する。

・安価な種苗供給体制を確立する。

・秋期高温障害対策を実施する。

・ブランド力を強化する。

・優良事例(モデル農家)を広報する。

③シンテッポウユリ

(現状と課題)

松山・伊予の地域では、共販体制が確立され、県外市場においても高い評

価を得る等有利販売が行われ、産地化が進んでいる。

しかし、近年、病害虫の発生により、需要期の盆時期に安定供給できない

ことが課題となっている。

(今後の推進方針)

・栽培技術の高位平準化を図る。

・共同選花・販売体制の整備・強化を図る。

・需要期の安定出荷を図る。

・新品種の育成・導入を図る。

・定植機等の導入による作業の省力化を図る。

・防除作業の軽減を図る。

④シキミ

(現状と課題)

直販所等において仏花としての需要が高く、今後も安定した需要が見込ま

れる。

省力的で取り組みやすいため、女性・高齢者を対象に、県下各地で栽培が

推進されている。

(今後の推進方針)

・栽培面積の拡大を図る

・集出荷体制を整備する。

・遊休農地を活用した栽培を推進する。

・集落営農における省力収益品目として普及する。

⑤その他枝物類(シキミ、ユーカリ以外)

(現状と課題)

生け花需要の減少で栽培面積が全体的には少なくなっているが、フラワー

アレンジメント等新たな需要もあり、ビブルナム・ティナスやピットスポラ

ム等の実物、花物や洋枝物などに対する要望も強い。

(今後の推進方針)

・フラワーアレンジメント等多用途に使用される枝物を選定し普及する。

・実物や紅葉物など、地域の立地条件を活かした生産を推進する。

・施設促成の花物品目等を推進する。

・遊休農地・耕作放棄地を活用した栽培を推進する。

・集落営農における省力収益品目として普及する。

10

⑥きく

(現状と課題)

仏花を中心に需要は底堅いものの、産地である西条市や東温市では生産者

の高齢化が進展し、露地・施設栽培とも、栽培面積は減少傾向である。

(今後の推進方針)

・新規生産者の確保による産地の維持拡大と雨除け施設化の推進

・栽培品種の絞り込みと共選・共販体制の整備推進

・高品質・安定生産技術の普及

⑦マーガレット

(現状と課題)

フラワーアレンジメントや花束、生け花需要など、幅広い用途がある安定

品目である。

県下では松山市の島嶼部で産地化されているのみで、その他の産地はない。

(今後の推進方針)

・共選・共販体制の整備によるブランド化を推進する。

⑧トルコギキョウ

(現状と課題)

多用途に利用でき、消費者にも人気の高い主要品目であるが、県下では生

産者は県下に点在しており、まとまった産地はない。また、出荷時期も5~

9月に集中するなど、作期の拡大が図れていない。

(今後の推進方針)

・各地域の立地条件を活用した周年出荷体系を確立する。

・種子冷蔵処理等の新技術等を活用した高品質秋出し栽培を推進する。

・消費者ニーズに対応した品種を選定し、導入する。

⑨リキュウソウ

(現状と課題)

フラワーアレンジメント等で利用されるつる性の葉物で、今後需要の拡大

が見込まれている。

県下では、一部で露地栽培が行われているが、施設栽培による産地化を目

指す地域もでてきている。

(今後の推進方針)

・生産者の確保及び栽培面積の拡大を図る。

・高品質・安定生産技術を確立し普及する。

・施設栽培の推進による安定出荷と出荷時期の拡大を図る。

・生産者組織の育成・強化と共同出荷体制の確立を図る。

11

⑩ゆり類(シンテッポウユリ以外)

(現状と課題)

消費者に人気の高いオリエンタル系ユリは、松山市、今治市を中心に産地

化されている。また、スカシユリについては、西条市、今治市で産地化され

ている。

いずれのゆりも経営費に占める種苗費のウエイトが高く、適切な品種選定

と出荷時期及び高品質生産が求められている。

(今後の推進方針)

・種苗費や燃料費低減等による低コスト生産の推進及び経営安定を図る。

・共選・共販体制の整備による産地の育成強化を図る。

・消費者ニーズに対応した新品種を導入し、普及する。

・冬春作型における燃油高騰対策を実施する。

⑪ユーカリ

(現状と課題)

主に、中予地域で生産され、産地化している。

また、南予地域では柑橘産地を中心に栽培されている。

(今後の推進方針)

・優良系統を選抜する。

・安定した種苗増殖システムを確立する。

・荒廃園等の遊休農地を活用した生産を推進する。

⑫鉢物

(現状と課題)

シクラメン、洋ラン、観葉植物、プリムラなど多様な品目が栽培されてお

り、個人が県内外へ出荷しているが、近年は消費者ニーズに対応した多品目

化、小鉢化が進んでいる。

また、市場出荷に加え、産直市やホームセンター、インターネット販売等

販売形態が多様化している。

(今後の推進方針)

・生産者組織の育成・強化と共販体制の確立を図る。

・消費者ニーズに対応した品目を導入する。

・生産コストの低減を図る。

・小鉢化に対応した生育調整技術の向上を図る。

・生産者育種などによるオリジナル化を推進する。

・多様化する販売形態への対応を強化する。

12

⑬花壇用苗物

(現状と課題)

主に中予地域で生産されており、ガーデニングの定着により需要は安定し

ているものの価格低迷等により、さらに生産コストの低減を図る必要がある。

また、市場出荷に加え、産直市やホームセンター、インターネット販売等

販売形態が多様化している。

(今後の推進方針)

・生産者組織の育成・強化と共販体制の確立を図る。

・消費者ニーズに対応した品目を導入する。

・リサイクル資材の利用等による生産コストの低減を図る。

・生産者育種などによるオリジナル化を推進する。

・多様化する販売形態への対応を強化する。

13

4.生産目標

①品目別

品 目 名

現状(平成 26 年度) 目標(平成 32 年度) 伸び率(%)

面積

(a)

生産量

(千本、千鉢)

面積

(a)

生産量

(千本、千鉢) 面積 生産量

ば ら 1,133 11,710 1,174 11,925 104 102

デルフィニウム 224 442 248 440 111 100

シンテッポウユリ 340 610 260 520 76 85

シ キ ミ 13,070 2,177 13,110 2,351 100 108

そ の 他 枝 物 類 2,501 2,687 3,071 5,759 122 214

き く 370 1,030 358 999 97 97

マ ー ガ レ ッ ト 51 289 40 180 78 62

トルコギキョウ 54 87 54 87 100 100

リ キ ュ ウ ソ ウ 9 73 12 80 133 110

ゆ り 類 338 592 288 525 85 93

ユ ー カ リ 1,079 757 1,399 1,102 130 148

鉢 物 290 580 300 600 103 103

花 壇 用 苗 物 155 520 150 450 97 87

合 計 19,614 21,554 20,464 25,018 104 116

※産地の面積であり、県下全体の面積とは合致しない。

②県育成オリジナル品種の生産拡大 (a)

項 目

品 目

現 状

(平成 26 年度)

目 標

(平成 32 年度)

デルフィニウム

「さくらひめ」 8 200

14

Ⅲ ブロック別の花き振興方針

1.四国中央ブロック(四国中央市)

古くから、アネモネ、ラナンキュラスなどの球根類や中山間地域では高品質

のシキミが生産され、ともに県下有数の産地となっているが、生産者の高齢化

が著しく、生産規模の縮小が懸念されている。

新規品目として導入した洋枝物のピットスポラムについては、平成 21 年より

出荷を開始している。

ピットスポラムやビブルナム・ティナスなど、輸入品が主体であった花木類

の栽培が徐々に広がりを見せている。栽培技術の向上や生産者の確保により増

産を図るとともに、市場との連携強化により販売体制を構築している。

(1)振興目標

①生産目標

項 目

品 目

現 状(平成26年度) 目 標(平成32年度)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

シキミ 5,000 580 5,000 670

その他枝物類 50 119 91 182

(ピットスポラム) (50) (119) (85) (170)

(2)品目別振興方策

①シキミ

栽培講習などによる高品質生産技術の確立を推進しつつ、高齢化に対応

した作業受託組織の育成や新規市場の開拓を図る。

系統選抜を行い、品質の高いシキミを生産するとともに優良系統の苗を

育成する。

病害虫防除等の徹底により、栽培品目として生産する体制を整え、品質

の向上を目指し、地元直売所へ安定供給を推進する。

②その他枝物類(ピットスポラム・花木類)

栽培面積の拡大と栽培技術の向上による、高品質安定生産を推進する。

新規品種の導入によるバリエーションの拡充と若手栽培農家の勧誘による、

生産基盤の安定化を推進する。

関東方面の花き市場へ、販路を開拓するとともに、産地情報を積極的に

提供し市場との連携を推進する。出荷する花き市場では、品質と出荷量と

も他産地より優位性を強化し、産地間競争に打ち勝つ。

15

2.西条ブロック(新居浜市、西条市)

景気低迷による消費の変化と安価な輸入切花との競合、燃油高騰や生産者の

高齢化など、生産環境を取り巻く情勢は益々厳しい現状である。

ばらは、団地化や共選共販体制の確立により全国でも有数の産地となってお

り、燃油高騰による生産コストの増加や需要減少による価格の低迷、輸入の増

加、国内の産地間競争に対応するため、生産技術の向上やヒートポンプ導入等、

燃油高騰対策や鮮度・日持ちに優れた流通体系の確立に取り組んでいる。

デルフィニウムは、県内最大の産地となり主要市場においても高い評価を得

ている。市場ニーズに対応した高品質・安定生産技術の確立に取り組んでいる。

きくは、昭和 50 年代をピークに生産者の高齢化や洋花の消費志向により、

作付が減少している。東の白雪など当地域の特産品種は、年末出荷を主体に市

場においても高い評価を得ている。

消費者ニーズに対応した生産・販売体制の構築により花き振興を推進する。

(1)振興目標

①生産目標

項 目

品 目

現 状(平成26年度) 目 標(平成32年度)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

ばら 910 9,597 953 9,875

デルフィニウム 48 140 38 111

シキミ 1,300 130 1,500 150

ゆり類 40 90 30 68

きく 120 426 116 410

リキュウソウ 9 73 12 80

(2)品目別振興方策

①ばら

消費者ニーズに対応した新品種の導入推進及び日持ち、鮮度保持技術の

徹底を図るとともに周年多収生産技術の向上に努める。

生産者の規模拡大による生産面積拡大やヒートポンプなど施設機械の

効果的な利用による栽培方法の改善を推進し、安定的な生産基盤を構築す

る。

共販体制の強化や生産資材の共同購入によるコスト削減を図り、生産農

家の所得向上を一層推進する。

オリジナル品種の生産や攻めの販売活動により、市場との連携を強化し、

品質と出荷量とも他産地との優位性を向上させ、産地間競争に打ち勝つ。

②デルフィニウム

生産者の減少により栽培面積の縮小が見込まれており、新規生産者を勧

誘し産地の拡大を図り生産基盤の安定化を推進するとともに、栽培技術の

平準化と安定多収技術の推進、有望新品種の積極的な導入により、魅力あ

る産地づくりを推進する。

16

市場への産地情報の提供や需要動向の入手など、市場との連携強化を図

り、市場ニーズに対応した産地体制を確立し販売価格の安定化を推進する。

③シキミ

改植や伐採による園地の保全や作業労働の軽減化に努め、病害虫防除等

の徹底や剪定技術の向上により、高品質生産技術の確立を推進する。

④その他

きくやゆりなどは土壌改良による品質向上と安定生産に努め、優良苗や

新品種の導入により、産地の維持を図る。また、産直市への出荷を目的に、

多品目少量生産に取り組む女性・高齢者を中心に、生産拡大を推進する。

花木類は県の試験研究機関や市場と連携を図りながら、有望品種の導入

や栽培を積極的に行い生産づくりを推進する。

3.越智今治ブロック(今治市、上島町)

管内は、ばら、トルコギキョウ、ゆり類、デルフィニウムを中心とした約20

品目を生産する産地であるが、生産者の高齢化、種苗費等の生産資材の値上が

り等により、収益が圧迫され面積が減少傾向にある。このような中、近年では

新たな品目として、ビブルナム・ティナス、ピットスポラムを中心とした枝物

類の産地化を進めている。

そのため、「おちいまばりの花」ブランド産地の活性化に向け、花き部会組

織等の活動強化に努めながら、安定的な需要が見込まれるばら、トルコギキョ

ウ、ゆり類は生産維持、デルフィニウムは生産拡大を図る。また、消費者や実

需者の需要に応じた高品質安定生産を推進し、鮮度保持の徹底、出荷規格の統

一、市場への情報提供等、販売体制の充実強化に努める。

さらに、省力、低コストで栽培が可能な、ビブルナム・ティナス、ピットス

ポラムを中心とした枝物類の産地化、ブランド化を関係機関や市場との連携強

化を図りながら推進する。

(1)振興目標

①生産目標

項 目

品 目

現 状(平成26年度) 目 標(平成32年度)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

ばら 21 241 21 250

デルフィニウム 19 47 20 50

シキミ 2,460 306 2,000 250

その他枝物類 214 126 500 2,750

(ビブルナム・ティナス) 184 121 410 2120

(ピットスポラム) 30 5 110 630

ゆり類 68 98 68 98

トルコギキョウ 44 83 44 83

17

(2)品目別振興方策

①ばら

市場ニーズに適応した品種の選定・導入により収益を確保し、栽培面積は

現状維持とする。

②デルフィニウム

生産技術レベルの高位平準化と出荷物の個人格差をなくし、収益改善を図

るとともに、さくらひめの導入等により栽培面積の拡大を図る。

③シキミ

直販所等で安定的な需要が見込めるものの、栽培者の高齢化等で栽培は減

少傾向にあることから、既栽培園の品質向上に努め収益性の向上に取組む。

④その他枝物類

ビブルナム・ティナス、ピットスポラムの新規作付を推進し、栽培面積の

拡大を図る。また、講習会等を通して、生産技術と流通体系の確立とともに、

販路拡大を図る。また、ビブルナム・ティナスのブランド品である「らめら

いと」の知名度向上に努め、長期出荷出荷体系を確立する。

⑤ゆり類(OH,LA)

生産技術レベルの高位平準化と出荷物の個人格差をなくし収益改善を図

りながら栽培面積を維持する。

⑥トルコギキョウ

種苗会社等と連携し、収益性の高い品種へ更新する。生産技術レベルの高

位平準化と出荷物の個人格差をなくし収益改善を図り、栽培面積の維持に努

める。

4.温泉ブロック(松山市、東温市)

松山市を中心とする平坦地では、シクラメン等の鉢物やOHユリ、シンテッ

ポウユリの等の切り花類、三内から上林地区等道後平野沿いの中山間地では、

きく、シキミ、ユーカリ等の切り花や切り枝、興居島ではマーガレット等、管

内全域で花き等が栽培されている。

農業従事者の高齢化等後継者不足の影響により栽培農家の減少し、それに伴

い花き花木の生産量が減少している。

消費者ニーズに対応した優良新品種の導入や、品質重視・安定生産にシフト

した生産団地の育成に努める一方、主要市場と連携しながら販売促進活動を展

開し花き花木の有利販売に努める。

また、農業者の高齢化に伴い収穫・出荷の比較的容易な軽量の花き花木の推

進を図るとともに、他作目からの転換を推進し栽培面積を拡大する。一方では、

産直市等への出荷により新たな販路の拡大を図る。

新品種の推進、販路拡大による栽培面積の拡大により農業者の所得向上を図

り、花き花木生産農家の後継者を育成する。

18

(1)振興目標

①生産目標

項 目

品 目

現 状(平成26年度) 目 標(平成32年度)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

ばら 100 836 100 800

デルフィニウム 3 3 10 11

シンテッポウユリ 170 310 140 280

シキミ 2,900 700 3,000 800

その他枝物類 1,297 1,000 1,400 1,300

OHユリ 130 250 100 205

きく 230 579 230 579

マーガレット 51 289 40 180

ユーカリ 850 615 1,170 958

(2)品目別振興方策

①ばら

消費者ニーズに適応した品種の選定・導入及び低温適応性台木の導入に

よる生産コストの低減により収益を確保し、面積は現状維持とする。

②デルフィニウム

県育成品種「さくらひめ」の生産技術の定着化に取り組み産地化を図る。

③シンテッポウユリ

生産技術の向上により生産物の個人格差をなくし、栽培技術の平準化と

共同選花による高位品質出荷を図り産地化及びブランド化を図る。

④シキミ

シキミの系統選抜を行い、品質の高いシキミを生産するとともに優良系

統苗の育成。また作業労働の軽減化を目的とした園地改良や苗木の改植を

推進する。

⑤その他枝物類

アカシア、スモークツリー等の樹齢が高く、品質の低下した園地は改植

を図る他、メラレウカやビブルナム・ティナス等の新規作目を柑橘荒廃園

を利用して栽培面積の拡大を図る。

⑥OHユリ

消費者ニーズに即応した品種選定及び種苗費等生産コストを勘案した

生産振興を行う。また、生産技術の底上げにより高品質で安定したユリ栽

培を行う。

⑦きく

19

小菊は、市場動向に即し品種や色に偏りがないように生産技術の向上や

品種更新等によって5~10月まで安定出荷ができるように生産者や市場と

連携をとり供給体制を確立する。

⑧マーガレット

栽培技術の高位平準化。夏場の育苗期における高温対策を徹底し、欠株

を減らし切り花数の増加を図る。また、収穫労働等慢性的な労働力不足を

解消するため他機関と連携し確保に努める。

⑨ユーカリ

品質低下の園地は改植を行うとともに、防除等生産技術の遵守等により

生産レベルを向上させ産地全体の生産数量や品質を確保する。

5.伊予ブロック(伊予市、松前町、砥部町)

伊予市・松前町を中心とする平坦地では、シクラメン・カーネーション等の

鉢物、パンジー・ガーデンシクラメン等の花壇用苗物が栽培されている。また、

切り花ではシンテッポウユリ・デルフィニウム・ばらが栽培されている。また、

伊予市の中山間地では、デルフィニウム・トルコギキョウ等が生産され、例年

中山間地から平坦地にかけての花き花木のリレー出荷が行われている。

農業従事者の高齢化に伴い切花栽培面積が減少化傾向にある。

鉢物や花壇用苗物については、市場や消費動向を見極めながら有望品目・品種

を導入するとともに効率的な防除方法を策定する等低コスト生産に努める。

また、多様化する流通に対応するため産直市等との連携により新たな販路の拡

大を図る。

切り花類については、従来からのリレー出荷は継続し市場の産地としての認

知度を高めるとともに品質・量ともに安定した供給を行う。

枝物では中山間地でサツマスギ等の切り枝の栽培推進を、海岸地域ではシキ

ミ等の栽培推進を図る。

(1)振興目標

①生産目標

項 目

品 目

現 状(平成26年度) 目 標(平成32年度)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

ばら 102 1036 100 1000

デルフィニウム 39 59 60 65

シンテッポウユリ 170 300 120 240

シキミ 600 390 800 400

その他枝物類 60 50 200 135

(サツマスギ) (50) (18) (100) (35)

OHユリ 20 8 10 8

ユーカリ 28 9 28 10

20

鉢物 290 580 300 600

花壇用苗物 80 220 100 250

(2)品目別振興方策

①ばら

消費者ニーズに適応した品種の選定・導入及び低温適応性台木の導入に

よる生産コストの低減により収益を確保し、面積は現状維持とする。

②デルフィニウム

定植時期の高温対策として、定植時期の再検討及び栽培品種の見直し等

により栽培技術の高位平準化を図る。また、中山間地域から平野部にかけ

て10月下旬から5月までのリレー出荷を目指す。

③シンテッポウユリ

栽培技術の平準化と共同選花による高品質出荷。夏場の病害防除に力を

入れ品質重視の栽培を目指す。

④シキミ

従来から粗放栽培されていたシキミ栽培圃場を栽培技術や流通技術をテ

コ入れすることにより、共同出荷体制の生産地へと誘導する。

⑤その他枝物類

育苗技術や栽培技術の普及により中山間地において、11月以降のクリス

マス需要期でのサツマスギやヒバ等の出荷を推進するとともに、年間通じ

ての供給及び市場開拓を検討する。

⑥OHユリ

消費者ニーズに即応した品種選定及び種苗費等生産コストを勘案した生

産振興を行う。また、生産技術の底上げにより高品質で安定したユリ栽培

を行う。

⑦ユーカリ

老木園については優良系統への改植を推進し、生産基盤の維持を図る。

⑧鉢物・花壇用苗物

夏期の防暑対策等の徹底や栽培品種の検討により秋冬出荷の鉢物や花壇

苗の品質向上努める。また、福祉施設との連携強化により生産量の増大を

目指す。

21

6.久万高原ブロック(久万高原町)

夏期の降水量が多いことから、高品質切り花生産には不適な土地条件となっ

ており、出荷体制も十分ではない状況である。

また、山間部を中心に、シキミ等が作付けされているが、ほとんどが放任園

で、出荷量は少ない。

鉢物、花壇用苗物は、個別農家の他、農業公社、JA育苗センターが取り組

んでいるが、近年の価格低迷から多品目化や小鉢化が進んでいる。

切り花類については、女性・高齢者を中心に直販所向けの少量多品目生産を

推進するとともに、久万高原の気象条件を生かした品目については、地元市場

を中心とした出荷体制の確立を目指す。

また、露地栽培が可能で、省力的に管理できる新規枝物の生産拡大に取り組

むとともに、放任となっているシキミ園の再生を図り、高齢化に対応した花き

産地育成を推進する。

鉢物については、オリジナル品種の育成やインターネットを活用した直販等

により、販売価格の向上を図る。

花壇用苗物については、気象条件に応じた生産・出荷体系の確立を図る。

(1)振興目標

①生産目標

項 目

品 目

現 状(平成26年度) 目 標(平成32年度)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

シキミ 600 10 600 10

きく 20 25 10 10

花壇用苗物 75 300 50 200

(2)品目別振興方策

①シキミ

シキミについては今後の取り組み及び販売方法の検討を要する。

面河・美川中心に栽培管理の徹底と直売所等への販売・及び集荷手段等

の流通体制の検討を要する。

②きく

切花については高齢化による生産者数及び面積が減少傾向にあるが、夏

季の冷涼な気象条件を生かした盆前出荷きくの生産に努める。

③花壇用苗物

苗物(パンジー・プリムラ等)については現状維持。

22

7.大州喜多ブロック(大洲市、内子町)

施設切り花としてデルフィニウム、オリエンタル系ユリ、ヒマワリ、トルコ

ギキョウを生産している。なかでも、デルフィニウムについては、地域の主力

品目として位置付け、品質向上、生産拡大を推進している。

中山間地域においては、若松、シキミ等の生産が行われている。

切り花については、既存品目の作付拡大を推進し、市場ニーズに合った高品

質・安定生産を推進する。特にデルフィニウムについては、主力品目として作

付拡大を図るため、新品種の導入とともに施設野菜などとの複合経営を推進し、

新規生産者の確保を図る。

また、中山間地域や遊休農地・高齢者対策として、枝物の生産拡大を推進す

る。

鉢物、花壇用苗物については、生産コスト低減対策を実践するとともに、市

場需要の減退を直売所や通販で補うなど、販売の多角化で経営安定を図る。

(1)振興目標

①生産目標

項 目

品 目

現 状(平成26年度) 目 標(平成32年度)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千

球)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

デルフィニウム 25 43 30 53

その他枝物類 880 1,392 880 1,392

(花桃) (40) (41) (40) (41)

OHユリ 42 45 42 45

トルコギキョウ 10 4 10 4

ヒマワリ 31 119 31 119

(2)品目別振興方策

現状維持に努めるとともに、新規栽培者の推進を行う。

①デルフィニウム

地域の主力品目として、新規生産者の確保とともに新品種の導入及び生

産性の向上により経営の安定化を図る

②その他枝物類、花桃

直売所への出荷が主で販売も堅調であることから、品種・品目を工夫等

により、出荷期間や出荷品目について拡大を図る。

③OHユリ

生産資材の高騰により規模拡大は困難であるが、高品質栽培による経営

維持を図る。

④トルコギキョウ

生産者が高齢化しているため、適正規模で栽培管理を徹底し、標高の高

23

い山間部の気象条件を生かした高品質生産に取り組む。

⑤ヒマワリ

連作により圃場条件が悪化していることから、栽培管理等の改善による

安定生産に取り組む。

8.八西ブロック(八幡浜市、伊方町)

柑橘主体の地域であるため、花きの振興を優先する予定はない状態であるが、

優良品種があれば、野菜と合わせた導入を検討していく。

9.西予ブロック(西予市)

小規模産地ではあるが、デルフィニウムやオリエンタル系ユリが生産され、

共同出荷・販売が行われている。特にデルフィニウムは、平地だけでなく高冷

地でも栽培され、夏場の端境期を狙った生産・出荷が行われている。

また、農業生産法人によるシンビジウムなど鉢物類が生産されており、市場

出荷と併せて業者との契約栽培が行われている。

既存品目であるデルフィニウム、ゆり類の栽培を推進し、新規生産者の確保

を図るとともに、高品質・安定生産の推進と、共選共販体制の整備を行う。特

にデルフィニウムについては、高冷地と平地とのリレー出荷を推進する。

鉢物については、生産コスト低減対策を実践するとともに、多様化する出荷

形態への対応を進める。

(1)振興目標

①生産目標

項 目

品 目

現 状(平成26年度) 目 標(平成32年度)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

デルフィニウム 90 150 90 150

OH ユリ 38 101 38 101

シンビジウム 22 6 22 6

(2)品目別振興方策

現状維持に努めるとともに、新規栽培者の推進を行う。

①デルフィニウム

新品種の導入及び生産性の向上により経営の安定化を図るとともに、

高地と平地のリレー出荷を推進する。

②OHユリ

生産技術レベルの向上により収益改善を図りながら、栽培面積を維持す

る。

24

③シンビジウム

生産コスト低減対策を実践するとともに、販路開拓により多様化する出

荷体系への対応を進める。

10.宇和島ブロック(宇和島市)

遊休農地対策として導入されたユーカリは、唯一共販体制がとられているが、

現在は栽培面積、生産者数ともに減少している。

(1)振興目標

①生産目標

項 目

品 目

現 状(平成26年度) 目 標(平成32年度)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

ユーカリ 201 133 201 134

(2)品目別振興方策

①ユーカリ

既存の生産者を中心に、栽培技術の向上を図るとともに安定的な出荷体制

を整備し、産地規模を維持する。

11.鬼北ブロック(鬼北町、松野町)

シキミは生産者の高齢化が進み、個人出荷が主である。

(1)振興目標

①生産目標

項 目

品 目

現 状(平成26年度) 目 標(平成32年度)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

シキミ 100 63 100 63

(2)品目別振興方策

①シキミ

既存の生産者を中心に、栽培技術の向上を図り、直売所・市場出荷等の個

人販売を中心とした産地を維持する。

25

12.愛南ブロック(愛南町)

栽培面積、生産者数ともに少なく、また、点在している。少数の生産者が、

金魚草やスイートピー、花壇用苗物などを生産しているが、個人出荷のため産

地化は図られていない。

(1)振興目標

①生産目標

項 目

品 目

現 状(平成26年度) 目 標(平成32年度)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

栽培面積

(a)

生産量

(千本、千鉢、千球)

シキミ 110 8 110 8

(2)品目別振興方策

①シキミ

既存の生産者を中心に、栽培技術の向上を図り、直売所・市場出荷等の個

人販売を中心とした産地を維持する。