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アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の利用に関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いません。また、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利の使用を暗示的または明示的に許諾するものでもありません。※日本語データシートはREVISIONが古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照ください。
本 社/ 105-6891 東京都港区海岸1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル電話03(5402)8200
大阪営業所/ 532-0003 大阪市淀川区宮原3-5-36 新大阪MTビル2号電話06(6350)6868(代)
アナログ・デバイセズ株式会社
AD8515
1.8V低電力CMOSレールtoレール入力/出力オペアンプ
特長単電源動作:1.8~5Vオフセット電圧:最大6mV小型SOT23パッケージスルーレート:2.7V/µs帯域幅:5MHzレールtoレール入力/出力スイング低入力バイアス電流:2pA(標準)低電源電流:1.8Vで最大450µA
アプリケーション移動通信携帯電話センサー・インターフェースレーザー・スキャナーPCMCIAカードバッテリ駆動機器次世代電話PDA(携帯情報端末)
概要AD8515は、1.8Vの低い単電源電圧で動作するレールtoレールのアンプです。
SOT23-5Lパッケージ、シングル・アンプのAD8515は、センサーの隣に置けるくらい小型で、外部からのノイズによる影響を軽減できます。
ゲイン帯域幅5MHz、標準オフセット電圧(1.8Vの電源)1mVのレールtoレール入力/出力アンプは、電源電流が小さいため、バッテリ駆動のアプリケーションに理想的です。また、2.7V/µsのスルーレートは、音声コーデックなどのASIC入力の駆動にも最適です。
AD8515は、–40~+85という広範な工業温度範囲で動作するよう設計されています。
ピン配置
5ピンSOT23(略号RT)
1
2
3
5
4 –IN +IN
V+OUT
AD8515V–
AD8515 ― 仕様
電気的特性(特に指定のない限り、VS = 1.8V、VCM = VS/2、TA = 25)
パラメータ 記号 条件 最小 標準 最大 単位
入力特性オフセット電圧 VOS VCM = VS/2 1 6 mV
–40<TA<+85 8 mV入力バイアス電流 IB VS = 1.8V 2 30 pA
–40<TA<+85 600 pA入力オフセット電流 IOS 1 10 pA
–40<TA<+85 300 pA入力電圧範囲 0 1.8 Vコモンモード除去比 CMRR 0V≦VCM≦1.8V 50 dB大信号電圧ゲイン AVO RL = 100KΩ、0.3V≦VCM≦1.5V 80 400 V/mVオフセット電圧ドリフト ∆VOS/∆T 4 µV/
出力特性出力電圧ハイレベル VOH IL = 100µA、–40<TA<+85 1.79 V
IL = 750µA、–40<TA<+85 1.77 V出力電圧ローレベル VOL IL = 100µA、–40<TA<+85 10 mV
IL = 750µA、–40<TA<+85 30 mV短絡限界 ISC 20 mA
電源アンプ当たりの電源電流 ISY VOUT=VS/2 300 450 µA
–40<TA<+85 500 µA
ダイナミック性能スルーレート SR RL = 10kΩ 2.7 V/µsゲイン帯域幅積 GBP 5 MHz
ノイズ性能電圧ノイズ密度 en f = 1kHz 22 nV/√Hz
—
en f = 10kHz 20 nV/√Hz—
電流ノイズ密度 in f = 1kHz 0.05 pA/√Hz—
― 2 ― REV. 0
電気的特性(特に指定のない限り、VS = 3.0V、VCM = VS/2、TA = 25)
パラメータ 記号 条件 最小 標準 最大 単位
入力特性オフセット電圧 VOS VCM = VS/2 1 6 mV
–40<TA<+85 8 mV入力バイアス電流 IB VS = 3.0V 2 30 pA
–40<TA<+85 600 pA入力オフセット電流 IOS 1 10 pA
–40<TA<+85 300 pA入力電圧範囲 0 3 Vコモンモード除去比 CMRR 0V≦VCM≦3.0V 54 dB大信号電圧ゲイン AVO RL = 100kΩ、0.3V≦VCM≦2.7V 200 1,000 V/mVオフセット電圧ドリフト ∆VOS/∆T 4 µV/
出力特性出力電圧ハイレベル VOH IL = 100µA、–40<TA<+85 2.99 V
IL = 750µA、–40<TA<+85 2.98 V出力電圧ローレベル VOL IL = 100µA、–40<TA<+85 10 mV
IL = 750µA、–40<TA<+85 20 mV
電源電源除去比 PSRR VS = 1.8~5.0V 65 85 dBアンプ当たりの電源電流 ISY VOUT = VS/2 300 450 µA
–40<TA<+85 500 µA
ダイナミック性能スルーレート SR RL = 10kΩ 2.7 V/µsゲイン帯域幅積 GBP 5 MHz
ノイズ性能電圧ノイズ密度 en f = 1kHz 22 nV/√Hz
—
en f = 10kHz 20 nV/√Hz—
電流ノイズ密度 in f = 1kHz 0.05 pA/√Hz—
AD8515
REV. 0 ― 3 ―
AD8515
電気的特性(特に指定のない限り、VS = 5.0V、VCM = VS/2、TA = 25)
パラメータ 記号 条件 最小 標準 最大 単位
入力特性オフセット電圧 VOS VCM = VS/2 1 6 mV
–40<TA<+85 8 mV入力バイアス電流 IB VS = 5.0V 5 30 pA
–40<TA<+85 600 pA入力オフセット電流 IOS 1 10 pA
–40<TA<+85 300 pA入力電圧範囲 0 5.0 Vコモンモード除去比 CMRR 0V≦VCM≦5.0V 60 75 dB大信号電圧ゲイン AVO RL = 100kΩ、0.3V≦VCM≦4.7V 300 2,000 V/mVオフセット電圧ドリフト ∆VOS/∆T 4 µV/
出力特性出力電圧ハイレベル VOH IL = 100µA、–40<TA<+85 4.99 V
IL = 750µA、–40<TA<+85 4.98 V出力電圧ローレベル VOL IL = 100µA、–40<TA<+85 10 mV
IL = 750µA、–40<TA<+85 20 mV
電源電源除去比 PSRR VS = 1.8~5.0V 65 85 dBアンプ当たりの電源電流 ISY VOUT = VS/2 350 550 µA
–40<TA<+85 600 µA
ダイナミック性能スルーレート SR RL = 10kΩ 2.7 V/µsゲイン帯域幅積 GBP 5 MHz
ノイズ性能電圧ノイズ密度 en f = 1kHz 22 nV/√Hz
—
en f = 10kHz 20 nV/√Hz—
電流ノイズ密度 in f = 1kHz 0.05 pA/√Hz—
― 4 ― REV. 0
絶対最大定格*電源電圧 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6V入力電圧 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . GND~VS
差動入力電圧 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .±6Vまたは±VS
GNDへの出力短絡時間 . . . . . . . . . . . . . . . . . . .軽減曲線に従う保管温度範囲
R、RT、RMパッケージ . . . . . . . . . . . . . . . . . –65~+150動作温度範囲
AD8515 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . –40~+85接合温度範囲
R、RT、RMパッケージ . . . . . . . . . . . . . . . . . –65~+150ピン温度範囲(ハンダ付け60秒) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 300
*特に指定のない限り、絶対最大定格は25の値です。
パッケージ・タイプ θJA* θJC 単位
5ピンSOT23(RT) 230 146 /W
* θJAは、最悪の条件の仕様規定、すなわち表面実装パッケージの回路ボードにハンダ付けした場合の値です。
オーダー・ガイド
モデル 温度範囲 パッケージ パッケージ・オプション ブランド情報
AD8515ART –40~+85 5ピンSOT23 RT-5 BDA
AD8515
REV. 0 ― 5 ―
WARNING!
ESD SENSITIVE DEVICE
注意
ESD(静電放電)の影響を受けやすいデバイスです。人体や試験機器には4,000Vもの高圧の静電放電が容易に蓄積され、検知されないまま放電されます。AD8515は当社独自のESD保護回路を内蔵してはいますが、デバイスが高エネルギーの静電放電を被った場合、回復不能の損傷を生じる可能性があります。したがって、性能劣化や機能低下を防止するため、ESDに対する適切な予防措置を講じることをお勧めします。
AD8515 ― 代表的な性能特性
TPC 1. 電源電流と帯域幅
TPC 2. 電源電流と電源電圧
TPC 3. ISY(アンプ当たりの電源電流)と温度
TPC 4. 電源電圧と帯域幅
TPC 5. 電源レールへの出力電圧と負荷電流
TPC 6. ゲインと位相と周波数
270
225
–180
180
135
90
45
0
–45
–90
–135
周波数 (Hz)1k 50M10k 1M 10M100k
–80
80
60
40
20
0
–20
–40
–60
100
120
ゲイン (dB)
位相 (度)
ゲイン
位相
VS = 2.5V振幅 = 20mV
負荷電流 (mA)
160
140
00 205
∆出力電圧 (mV)
10 15
80
60
40
20
120
100
VOL
VOH
VS = 2.5V
帯域幅 (MHz)
6
04.65 4.95
電源電圧 (V)
4.7 4.75 4.85
5
4
2
4.8
1
3
4.9
500
480
300–60 100
I SY (
µA)
0 20 40 80
400
380
340
–40 –20 60
320
360
440
460
420
VS = 2.5V
温度 ()
450
400
0
電源電流 (
µA)
200
150
100
50
300
250
350
電源電圧 (V)6543210
帯域幅 (MHz)
450
400
2004.65 4.954.7
電源電流 (
µA)
4.75 4.8 4.85 4.9
350
300
250
VS = 2.5V
― 6 ― REV. 0
TPC 7. ACLと周波数
TPC 8. CMRR(コモンモード除去比)と周波数
TPC 9. PSRR(電源除去比)と周波数
TPC 10. PSRR(電源除去比)と温度
TPC 11. VOS(オフセット電圧)分布
TPC 12. 出力インピーダンスと周波数
150
1k 10M
50
10k 100k 1M0
100
ゲイン = 100
ゲイン = 10 ゲイン = 1
VS = 2.5V
周波数 (Hz)
出力インピーダンス (
Ω)
430
0–6.24 –4.27 –2.29 –0.32 1.66 3.63
86
172
258
344
VS = 2.5V
VOS (mV)
アンプの数
96.0
95.9
95.0–60 1000 20 40 80
95.5
95.4
95.2
–40 –20 60
95.1
95.3
95.7
95.8
95.6
VS = 2.5V
温度 ()
PSRR (dB)
100 10M1k 10k 100k 1M
120
100
–60
80
60
40
20
10
0
–20
–40
VS = 2.5V振幅 = 50mV
周波数 (Hz)
PSRR (dB)
120
80
–60
10k 100M100k 1M 10M
40
0
–20
–40
–80
20
60
100VS = 2.5V振幅 = 50mV
周波数 (Hz)
CMRR (dB)
10k 30M100k 1M 10M
120
100
–80
80
60
40
20
0
–20
–40
–60
VS = 2.5V
周波数 (Hz)
ACL(dB)
AD8515
REV. 0 ― 7 ―
AD8515
TPC 13. ISC(短絡限界)と温度
TPC 14. 電圧ノイズ密度
TPC 15. 入力電圧ノイズ
TPC 16. 非位相反転
TPC 17. 小信号過渡応答
TPC 18. 小信号過渡応答
VS = 2.5VCL = 500pFVIN = 200mV
時間 (1µs/DIV)
電圧 (100mV/DIV)
VS = 2.5VCL = 50pFVIN = 200mV
時間 (1µs/DIV)
電圧 (100mV/DIV)
VS = 2.5VVIN = 6.4V
時間 (200µS/DIV)
電圧 (2V/DIV)
VS = 2.5Vゲイン = 100kΩ
時間 (1s/DIV)
電圧 (200mV/DIV)
VS = 2.5V
0 250 500 750 1k 1.25k 1.5k 1.75k 2.0k 2.25k 2.5k周波数 (Hz)
電圧 (13
µV/DIV)
26
25
16–60 1000 20 40 80
21
20
18
–40 –20 60
17
19
23
24
22–SC
+SC
VS = 2.5V
温度 ()
I SC (mA)
― 8 ― REV. 0
TPC 19. 大信号過渡応答
TPC 20. 飽和回復
TPC 21. 飽和回復
TPC 22. CMRR(コモンモード除去比)と周波数
TPC 23. 小信号過渡応答
TPC 24. ゲインと位相と周波数
10k 30M100k 1M 10M
120
100
–80
80
60
40
20
0
–20
–40
–60
270
225
–180
180
135
90
45
0
–45
–90
–135
VS = 0.9V振幅 = 20mV
周波数 (Hz)
ゲイン (dB)
位相 (度)
VS = 0.9VCL = 50pFVIN = 200mV
時間 (1µs/DIV)
電圧 (100mV/DIV)
10k 100M100k 1M 10M
120
100
–80
80
60
40
20
0
–20
–40
–60
VS = 1.5V振幅 = 50mV
周波数 (Hz)
CMRR (dB)
VS = 1.5Vゲイン = 40VIN = 100mV
時間 (2µs/DIV)
電圧 (1V/DIV)
VS = 1.5Vゲイン = 40VIN = 100mV
時間 (2µs/DIV)
電圧 (1V/DIV)
VS = 2.5VCL = 300pFVIN = 4V
時間 (1µs/DIV)
電圧 (1V/DIV)
AD8515
REV. 0 ― 9 ―
AD8515
TPC 25. 出力インピーダンスと周波数
TPC 26. 非位相反転
TPC 27. VOL(出力電圧ローレベル)と温度
TPC 27. VOH(出力電圧ハイレベル)と温度
4.9950
4.9915–60 1000 20 40 80
4.9940
4.9935
4.9925
–40 –20 60
4.9920
4.9930
4.9945
VS = 5VIL = 750µA
温度 ()
VOH (V)
10
9
2–60 1000 20 40 80
7
6
4
–40 –20 60
3
5
8
VS = 5VIL = 750µA
VOL (mV)
温度 ()
VS = 0.9VVIN = 3.2V
時間 (200µs/DIV)
電圧 (1V/DIV)
200
1k 10M
50
10k 100k 1M0
100
ゲイン = 100
ゲイン = 10 ゲイン = 1
VS = 0.9V
150
周波数 (Hz)
出力インピーダンス (
Ω)
― 10 ― REV. 0
機能の説明小型SOT23パッケージのAD8515は、1.8Vという低い電源電圧で動作するレールtoレール入力/出力オペアンプです。0.6ミクロンのCMOSを使用し、業界最高の消費電力対速度(帯域幅)比を実現します。わずかな電源電流(4 0 0 µ A未満)で、4.5MHzの広いユニティ・ゲイン帯域幅を使用して信号処理ができます。
入力段は、並列相補型の差動PMOSとNMOSの2対で構成されています。入力信号が供給電源を0.6V超過して上回る場合も、位相反転が生じません。入力ピンへの電流は、外部に直列抵抗を用いて5mA以下に制限する必要があります。AD8515は、ESD(静電放電)に非常に強い設計で、最大4,000VのESD電圧に耐えることができます。
電力消費対帯域幅AD8515の最大の特長の1つは、消費電流はわずかなまま、指定の温度範囲全体にわたって安定した帯域幅を持つことです。TPC 1~TPC 3にこの効果を示します。本製品は、多くのアプリケーションで要求される速度/電力の要件を満たしています。低い電源電圧で動作するときも、広い帯域幅で安定しています。TPC 4は、AD8515の電源電圧と帯域幅の関係を示しています。
AD8515は、ごく普通の電池の終端放電電圧で動作可能なため、バッテリ駆動の計装機器やハンドヘルド機器に最適です。表1に、標準的なバッテリの定格電圧と最終放電電圧を示します。
表1. 標準的なバッテリ寿命の電圧範囲
バッテリ 定格電圧(V) 最終放電電圧(V)
鉛蓄電池 2 1.8リチウム電池 2.6~3.6 1.7~2.4ニッケル水素電池 1.2 1ニカド電池 1.2 1炭素亜鉛電池 1.5 1.1
容量性負荷の駆動ふつうアンプでは、大きな容量性負荷の駆動が困難です。また、出力側での容量が大きくなるほど、アンプのステップ応答におけるオーバーシュートとリンギングの量が増大し、デバイスの安定性に影響を与えることがあります。これは、容量性負荷によって生じる余分な位相遅れによって、位相マージンの低下が生じるためです。発振する前にアンプが駆動できる容量性負荷の値は、ゲイン、電源電圧、入力信号、温度などによって異なります。容量性負荷の駆動では、ユニティ・ゲインが非常に難しい構成になります。AD8515なら、外部からの補償なしで大きな容量性負荷の駆動が可能です。図1のグラフに、+1のユニティ・ゲインで構成した場合のアンプの容量性負荷駆動の性能を示します。
図1a. 容量性負荷駆動(CL = 50pF)
図1b. 容量性負荷駆動(CL = 500pF)
図2に示すように、AD8515は–1の非反転ゲインでも大きな容量性負荷を駆動できます。
図2. 容量性負荷駆動(CL = 800pF)
VS = 0.9VCL = 800pFゲイン = –1
時間 (1µs/DIV)
電圧 (100mV/DIV)
VS = 2.5VCL = 500pFゲイン = +1
時間 (1µs/DIV)
電圧 (100mV/DIV)
VS = 2.5VCL = 50pFゲイン = +1
時間 (1µs/DIV)
電圧 (100mV/DIV)
AD8515
REV. 0 ― 11 ―
AD8515
フル・パワー帯域幅アンプのスルーレートで、大入力信号に応答できる最大周波数が決まります。このフル・パワー帯域幅(FPBW)と言われる歪みをもたらす周波数については、次式で計算できます。
SRFPBW = —————
2π×VPEAK
AD8515のFPBWは、図3に示すようにほぼ200kHzです。
図3. フル・パワー帯域幅
マイクロパワー基準電圧発生器単電源回路は多くの場合、電源電圧の半分にバイアスがかけられた回路構成になっています。この場合、アンプがバッファ回路となる分圧器を使用することで、擬似グラウンド基準が生成されます。図4にこのような回路を示します。2本の1MΩ抵抗器が、わずか0.9µAの電流を1.8V電源から引き込んで基準電圧を生成しています。反転端子とオペアンプの出力間に結合されたコンデンサで補償を行うことにより、バイパス・コンデンサを基準出力に接続できるようにしています。このバイパス・コンデンサによって、基準出力のACグラウンドを確保できるようになります。
図4. マイクロパワー基準電圧発生器
100kHz単電源の二次帯域通過フィルタ図5は、低い消費電力と広い帯域幅が求められる移動型アプリケーションでよく使われる回路です。図に示す回路は、中心周波数が100kHzの単電源帯域通過フィルタ回路です。精確な中心周波数を維持するためには、オペアンプのループ・ゲインは100kHzでなければなりません。このループ・ゲインの要件のために、AD8515など、高ユニティ・ゲインのクロスオーバー周波数を備えたオペアンプを選択する必要があります。AD8515の4.5MHzの帯域幅があれば、図6の応答が示すように、100kHzの中心周波数を精確に生成することができます。オペ
アンプの帯域幅がフィルタの中心周波数に近くなると、アンプの内部位相シフトによって、100kHzで過度の位相シフトが生じ、これによってフィルタの応答が変化します。実際、使用するオペアンプの帯域幅が100kHzに近いと、オペアンプの位相シフトによってループに発振が生じることになります。
VCCとグラウンド間に接続された2本の抵抗器からなる抵抗分割器に非反転入力を接続すると、コモンモードのバイアス・レベルを簡単に生成できます。このバイアス点も1µFのコンデンサでグラウンドにデカップリングされます。
1fL = ——————
2π×R1×C11
fH = ——————2π×R1×C1
R2H0 = 1 + —–—
R1VCC = 1.8V – 5V
ここで、fL = 低~3dbの周波数fH = 高~3dbの周波数H0 = 中間周波数ゲイン
図5. 二次帯域通過フィルタ
図6. 帯域通過フィルタの周波数応答
2
01k 100M10k 100k 1M 10M
1
周波数 (Hz)
出力電圧 (V)
VOUT
AD8515
13
4
C610pF
V–
V+
VCC
U9R6
1MΩ
R81MΩ
R220kΩ
R52kΩ
R15kΩ
C12nF
V11
400mV
VCC
C31µF
0.9~2.5V
AD8515
13
4
C20.022µF
R4100Ω
C11µF
V–
V+
1.8~5V
U1
R21MΩ
C31µF
R11MΩ
R310kΩ
時間 (2µs/DIV)
電圧 (2V/DIV)
― 12 ― REV. 0
ウィーン・ブリッジ発振器図7の回路を使うと、最も基本的な波形の1つである正弦波を生成することができます。この回路は、ウィーン・ブリッジ発振器として知られ、低電力アンプは1つしか必要としないという利点があります。この利点は、消費電力が重大なバッテリ駆動のアプリケーションにとって、特に重要なポイントとなります。式を簡単にするため、抵抗器とコンデンサには、常に同じ値を使用します。発振が生じるためには、次の2つの条件を満たす必要があります。第1に、入力から出力への位相シフトがゼロであることが必要です。これは、次式で求められる発振周波数で生じます。
1FOSC = ——————
2πR10×C10
第2に、この周波数において、プラス入力(3ピン)の電圧に対するVOUTの比率が3でなければなりません。つまり、R11/R12の比率が2より大きくなければならないということです。
図7. 低電力ウィーン・ブリッジ発振器
AD8515は、その帯域幅の広さから、高周波発振器を構築することができます。ここに示す値を使用すれば、図8に示すように130kHzの発振周波数が得られます。R11の値が小さすぎると発振が収束する可能性があり、大きすぎると発振が発散して、やがて出力がクリップされます(VS = ±2.5V、FOSC =130kHz)。
図8. ウィーン・ブリッジ発振器の出力
時間 (2µs/DIV)電圧 (2V/DIV)
AD8515
13
4 V–
V+
VCC
U10
C101nF
R131kΩ
R112.05kΩ
C91nF
R101kΩ
R121kΩ
VEE
AD8515
REV. 0 ― 13 ―
1 VisualDSP++はアナログ・デバイセズ社の登録商標です。
AD8515
外形寸法
5ピン・プラスチック表面実装パッケージSOT-23(RT-5)
寸法はミリメートルで表示
2.90
ピン1
1.60 BSC 2.80 BSC
1.90BSC
0.95 BSC
1 3
4 5
2
0.220.08
0.600.450.30
10°0°0.50
0.30
0.15(最大)
JEDEC規格MO-178AAに準拠
実装面
1.45(最大)
1.301.150.90
― 14 ― REV. 0
― 15 ―
― 16 ―
PR
INTE
D IN
JA
PA
NC
0302
4-0-
8/02
(0)