12
目  次 1.はじめに 2.“持続可能な観光”概念に関する諸研究 3.持続可能な開発からの流れ (1)持続可能な開発について (2)持続可能な観光の登場 4.マス・ツーリズム批判からの流れ (1)マス・ツーリズムとその問題点 (2)オルタナティブ・ツーリズムから持続可能な観光へ 5.持続可能な観光の要件 (1)オルタナティブ・ツーリズムと持続可能な観光の 関係 (2)持続可能な観光の要件 6.おわりに 1.はじめに 現在、持続可能な社会の構築は我々が取り組 むべき最も重要な課題の一つとして位置付けら れ、いたるところで“持続可能な――”を掲げ た取り組みが行われている。しかし、“持続可 能な――”という表現が錦の御旗のように掲げ られることによって、その内容・妥当性が十分 に検証されないまま、漠然と我々の未来にとっ て良いものであり必要な取り組みであると人々 が認識してしまうことが懸念される。同様のこ とは “エコ”について度々指摘されてきた(例 えば[1])。 観光分野においても20世紀後半から“持続可 能な観光(Sustainable Tourism)”について の議論が盛んに行われるようになった。持続可 能な観光という言葉自体は観光振興に関わる人 であれば当然知っているであろう。現在、日本 では全国各地で地方自治体や地域の有志、NPO や旅行業者など様々な主体によって持続可能な 観光を掲げた観光開発(プログラム開発を含 む。)が行われている。 持続可能な観光として企画される観光では 「少人数」「着地型」「体験型」「ソフトな」「自 然とふれあう」といった特徴が強調されている 例をよく見かける。これらの特徴を持つことが “持続可能な観光”の要件といえるのだろうか。 少なくとも「自然とふれあう」ことでその自然 に大きなダメージを与えてしまうならば、その 観光は“持続可能”とはいえないだろう。島川 は「エコツーリズムやグリーン・ツーリズムの ような観光形態を振興することが即サステイナ ブル・ツーリズムだという議論が展開」されて いる傾向があることを危惧していたが[2、 p.13]、「少人数」「着地型」「体験型」等の特徴 を持つことだけで“持続可能な観光”であるか のように用いられている現状にも同様の危惧を 感じるのである。こういった現状は観光開発に 関わる人の認識の問題というより、むしろ“持 東邦学誌 第38巻第2号 2009年12月 論 文 “持続可能な観光”の要件に関する考察 ―その概念形成における二つの流れを踏まえて― 宮 本 佳 範 11

“持続可能な観光”の要件に関する考察 - Aichi Toho …...能な観光(Sustainable Tourism)”について の議論が盛んに行われるようになった。持続可

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目  次

1.はじめに

2.“持続可能な観光”概念に関する諸研究

3.持続可能な開発からの流れ

(1)持続可能な開発について

(2)持続可能な観光の登場

4.マス・ツーリズム批判からの流れ

(1)マス・ツーリズムとその問題点

(2)オルタナティブ・ツーリズムから持続可能な観光へ

5.持続可能な観光の要件

(1)オルタナティブ・ツーリズムと持続可能な観光の

関係

(2)持続可能な観光の要件

6.おわりに

1.はじめに現在、持続可能な社会の構築は我々が取り組

むべき最も重要な課題の一つとして位置付けら

れ、いたるところで“持続可能な――”を掲げ

た取り組みが行われている。しかし、“持続可

能な――”という表現が錦の御旗のように掲げ

られることによって、その内容・妥当性が十分

に検証されないまま、漠然と我々の未来にとっ

て良いものであり必要な取り組みであると人々

が認識してしまうことが懸念される。同様のこ

とは “エコ”について度々指摘されてきた(例

えば[1])。

観光分野においても20世紀後半から“持続可

能な観光(Sustainable Tourism)”について

の議論が盛んに行われるようになった。持続可

能な観光という言葉自体は観光振興に関わる人

であれば当然知っているであろう。現在、日本

では全国各地で地方自治体や地域の有志、NPO

や旅行業者など様々な主体によって持続可能な

観光を掲げた観光開発(プログラム開発を含

む。)が行われている。

持続可能な観光として企画される観光では

「少人数」「着地型」「体験型」「ソフトな」「自

然とふれあう」といった特徴が強調されている

例をよく見かける。これらの特徴を持つことが

“持続可能な観光”の要件といえるのだろうか。

少なくとも「自然とふれあう」ことでその自然

に大きなダメージを与えてしまうならば、その

観光は“持続可能”とはいえないだろう。島川

は「エコツーリズムやグリーン・ツーリズムの

ような観光形態を振興することが即サステイナ

ブル・ツーリズムだという議論が展開」されて

いる傾向があることを危惧していたが[2、

p.13]、「少人数」「着地型」「体験型」等の特徴

を持つことだけで“持続可能な観光”であるか

のように用いられている現状にも同様の危惧を

感じるのである。こういった現状は観光開発に

関わる人の認識の問題というより、むしろ“持

東邦学誌

第38巻第2号

2009年12月

論 文

“持続可能な観光”の要件に関する考察―その概念形成における二つの流れを踏まえて―

宮 本 佳 範

11

続可能な観光”概念の持つ曖昧さこそが問題で

あると考える。持続可能な観光を推進するため

には、この問題を直視したうえで、持続可能な

観光に求められる要件を本来の理念に沿って理

解することが重要であろう。そこで、本稿では

あらためて“持続可能な観光”概念の成立過程

に立ち返り、その要件について検討していきた

い。

2.“持続可能な観光”概念に関する諸研究“持続可能な観光”概念については、これまで

も観光に関わる様々な機関、研究者などが論じ

てきた。国連の専門機関である世界観光機関

(以下「UNWTO」という。)は1988年には

「持続可能な観光開発とは、現在の旅行者と受

入れ地域の需要に適合しつつ、次世代のための

機会を守り、強化するものである。あらゆる資

源を活用するにあたっては、文化の尊厳、大切

な生態系環境、生態系の多様性、生命を支える

仕組みを維持しながら、経済的、社会的、美的

な必要性を満たさなければならない。」と規定

している[3、p.81]。このUNWTOの規定に

ついてRobertoとSalom は、①環境の資源は保

全されなければならないこと、②地域社会は経

済的にも生活の質の面でも(観光の)恩恵を受

けなければならないこと、③観光者は質の高い

経験を享受すべきであること、の3点が前提と

なっていることを指摘している[4、p.812]。

その後、UNWTOは持続可能な観光開発に必要

な要件として以下の3点を挙げている[5、p.7]。

①生態系を維持し、自然遺産と生物多様性の

保全に寄与するような、環境資源の最適な

利用を図ること。

②ホストコミュニティの社会文化的真正性を

尊重し、文化遺産と伝統的な価値観を守る

とともに、文化の相互理解に貢献するもの

であること。

③すべてのステークホルダーに社会・経済的

な利益をもたらし、その利益が安定した雇

用と収入を得る機会、そしてホストコミュ

ニティの社会的サービスなどが公正に分配

され、貧困の軽減に貢献するような、実行

可能で長期的な経済運営を確保すること。

また、Clarkeは、持続可能な観光は当初“悪”

であるマス・ツーリズムに対抗するものとして

位置付けられていたが、その後“マス・ツーリ

ズムは大規模観光、持続可能な観光は小規模観

光”という解釈がなされる段階を経て、次第に

図1のように解釈されるようになってきたとい

う[6]。

Clarkeが示した内容からもわかるとおり、持

続可能な観光の議論の対象となる観光資源に関

しては、多くの場合、自然だけでなく文化が観

光対象となる場合も含むものと解されている。

この観光地の文化の持続性に関する視点は

UNWTOの初期の解釈からみられるものであ

る。しかしRobinsonは、現実としては持続可

能な観光が議論される場合は主に環境や経済に

焦点があてられており、文化の持続性に焦点を

あてた研究が不十分であると述べている[7]。

確かに持続可能な観光について経済面の持続性

を強調した例は多くみられる。例えば、島川は

持続可能な観光を「観光客、観光関連企業、地域

住民の『三方一両得』をはかりながら、観光地

の環境を破壊することなく長期的な展望をもっ

て、観光地の経済活動を持続させていくことが

できる観光形態」と定義し[8、p.41]、産業とし

て持続可能なものとすることの重要性を強調し

ている。持続可能な観光であってもビジネスと

して成立しなければ当該観光自体消滅してしま

うのであり、持続可能な観光の議論において主

に経済面に焦点があてられることは十分理解で

きる。

Robinsonの指摘で興味深い部分は、環境の

12

持続と文化の持続を分けて議論されていること

(ここでいう環境の持続とは、主に観光対象と

なる自然へのダメージを軽減することが念頭に

ある。)、そして、そのうえで持続可能な観光に

関する議論では文化の持続よりも環境(自然)

の持続に焦点があてられることが多いという状

況を示している点である。もっとも、観光化が

観光地の文化を破壊してしまう問題について

は、文化人類学や社会学の分野で、特に観光化

と文化の真正性の問題として多くの議論がなさ

れてきた。Robinsonがそれをどのように考え

ているかはわからないが、少なくとも“持続可

能な観光”が議論される場合にはこのような状

況であると認識していることはわかる。確かに

Robinsonが指摘するとおり、持続可能な観光

について論じられる場合に、暗に自然を対象と

した観光が念頭に置かれている場合も多く存在

する。なぜこのような扱いの違いが生じたのだ

13

図1 “持続可能な観光”概念の収束段階

(出典:J. Clarke 1997[6、p.230])

ろうか。また、実際に持続可能な観光による観

光開発を考える際に、「少人数」「着地型」「体

験型」などの特徴が強調されるようになったの

はなぜだろうか。これらの疑問に答えることは、

本稿の目的である持続可能な観光に求められる

要件を考察するうえで重要なポイントとなる。

そのためにも“持続可能な観光”概念の成立過

程に立ち返って考える必要があるだろう。

現在使用されている“持続可能な観光”概念

の形成過程には、主に二つの大きな流れが関係

している。一つ目は言うまでもなく“持続可能

な開発”からの流れである。そして二つ目はマ

ス・ツーリズムに代わる観光形態(オルタナテ

ィブ・ツーリズム)が模索されはじめていたと

いう観光分野独自の問題意識からの流れであ

る。そこで、次にこの二つの流れについて細か

く検討していくことにする。

3.持続可能な開発からの流れ(1)持続可能な開発について

“持続可能な――”という表現は “持続可能

な開発(Sustainable Development 持続可能

な発展と訳される場合もある。)”に由来する。

持続可能な開発は1980年に国際自然保護連合

(IUCN)から発表された『世界保全戦略』の中

で提唱されたものである[9]。この持続可能

な開発という考え方が生まれてきた背景には、

石油資源の枯渇や森林の破壊、公害問題、増加

し続けるゴミ問題をはじめとする様々な環境問

題の深刻化に伴う人類の未来への危機感があ

る。こういった危機的な現実は、1962年に発

表されたレイチェル・カーソンの『沈黙の春』

や1972年に発表されたローマクラブによる

『成長の限界』などによって既に広く認知され

ていた。

その後、1987年に国連の環境と開発に関す

る世界委員会(通称ブントラント委員会)によ

り公表された報告書『Our Common Future』

では“持続可能な開発”が中心的概念とされて

いる。その中で持続可能な開発は「将来の世代

が自らのニーズを充足する能力を損なうことな

く今日の世代のニーズを満たすことである」と

定義された[10、p.29]。そして、1992年の地

球サミットにおいて持続可能な開発は今後各国

が目指すべき方向性として国際的に合意され、

世界的に広まっていったのである。それに伴い、

例えば環境問題に対して教育面から独自のアプ

ローチをしていた環境教育分野において環境教

育を「持続可能な発展に向けた教育として捉え

て差し支えない」(テサロニキ宣言。[11])と

明示したように、環境問題に関わる活動を行っ

てきた人々(NPOなどを含む。)が自らの活動

の目的を持続可能な開発との関係から捉え直す

動きもみられた。こうして持続可能な開発とい

う考え方が広まるにつれて、持続可能な開発に

向けた個々の取り組みの方向性を端的に示すも

のとして“持続可能な――”という表現がいた

るところで用いられるようになっていったので

ある。

(2)持続可能な観光の登場

“持続可能な観光”もその一つといえる。持続

可能な観光という表現は1980年代末には一部

で使用されていたが、1992年の国連環境開発

会議(地球サミット)において持続可能な開発

に向けた行動計画として採択されたアジェンダ

21のなかで、持続可能な開発を達成するために

積極的に貢献できる経済分野の一つとして観光

が位置付けられたことで注目されるようになっ

た。そして、1995年に世界旅行産業会議

(World Travel & Tourism Council)等が発

表(翌年刊行)した「観光産業のためのアジェ

ンダ21」の中で、持続可能な観光は「未来世代

の観光機会を維持・向上させつつ、現在の観光

14

者のニーズを満たすこと」と定義された[12]。

この定義からもわかるとおり、「観光産業の

ためのアジェンダ21」の内容は全体として持続

可能な開発の理念を反映した内容となってい

る。これに関連して小沢は、「観光の持続可能

性に関してはその概念自体が持続可能な発展の

下位概念であるとの認識から、持続可能な観光

ないし観光の持続可能性の議論は、持続可能な

観光それ自体を独立に取り上げることは必ずし

も適切な問題設定とはいえない」[13、pp.42-

43]とさえ述べている。このように、持続可能

な観光を持続可能な開発の下位概念として位置

付けることは“持続可能な――”という表現と

その内容が一致するため、理解しやすいものと

なる。つまり、持続可能な観光は持続可能な開

発という概念を生み出す契機となった環境問題

の解決に貢献する観光形態として捉えることが

できる。

一方UNWTOは、持続可能な観光に関して、

保護する観光対象を自然資源だけでなく歴史遺

跡や文化遺跡にまで広げると共に、現在の保護

だけにこだわるのではなく、将来の我々の子孫

も貴重な観光資源を楽しめることができるよう

に、適切な管理や制御のもとに利用しようとい

う考えを全面に打ち出している[14]。この考

え方では持続可能な開発という考え方を生み出

す契機となった環境問題には拘束されていな

い。ただし、持続可能な開発概念自体その適応

範囲が拡大しつつあること、そして文化も資源

(観光資源)であることを考えれば持続可能な

開発の範疇で捉えることもできよう。しかし、

UNWTOが持続可能な観光開発に必要な要件と

して掲げた「ホストコミュニティの社会文化的

真正性を尊重し、文化遺産と伝統的な価値観を

守るとともに、文化の相互理解に貢献するもの

であること。」といった内容は、かなり強引な

解釈をしない限り持続可能な開発の範疇では捉

えきれない。

これらのことから、現在使われている“持続

可能な観光”概念が単に“持続可能な開発”概

念から派生したものではないことは明らかであ

る。結論からいえば、持続可能な開発との関係

とは別に、観光分野には拡大したマス・ツーリ

ズムに対する問題意識(マス・ツーリズム批判)

があり、その内容を反映して(融合して)持続

可能な観光概念が形成されてきたのである。こ

のため、持続可能な観光は持続可能な開発とい

う考え方を生み出す元となった環境問題に拘束

されない幅広い解釈がなされるようになったと

考えられる。そこで、次に持続可能な観光概念

の形成に向けたこのもう一つの流れであるマ

ス・ツーリズム批判からの流れについて検討し

ていく。

4.マス・ツーリズム批判からの流れ(1)マス・ツーリズムとその問題点

観光分野においては、持続可能な観光という

用語が広まる以前から、拡大してきたマス・ツ

ーリズムの問題点が指摘され、それを克服する

新しい観光のあり方が模索されていた。マス・

ツーリズムとは、一部の上流階級、富裕層に限

られていた観光を幅広く一般の人々が行うよう

になった現象を指し、大衆観光ともいわれる。

具体的には、主にパッケージツアーなどの形態

により、団体(大人数)で観光地をめぐる旅行

をイメージすればよいだろう。マス・ツーリズ

ム拡大の背景には観光旅行の低価格化がある。

1970年にジャンボジェット機が登場したこと

により座席数が一挙に300~500まで拡大した

ことが大幅な団体割引運賃の導入をもたらし、

海外旅行費用が一般の人々の手に届くものとな

った[15、p.260]。そして、パッケージツアー

という形態での海外旅行が普及していった。そ

の後、海外旅行にやや遅れて国内旅行の分野で

15

もパッケージツアーが誕生し[16、p.29]、海

外・国内旅行共にパッケージツアーが観光の主

流となっていったのである。その他、旅行先の

道路や宿泊施設の整備の進展なども相乗的にマ

ス・ツーリズムの拡大に寄与した。それだけで

なく、パッケージツアーが極めて効率のよい観

光形態であることが観光者のニーズを捉えたこ

とも拡大の重要な要因である。専門の旅行業者

が観光ルート、日程、移動手段を厳選し、また、

貸し切りバスで観光地と観光地の間を効率よく

移動することによって短期間で多くの観光地を

めぐることが可能となった。長期休暇をとるこ

とが難しい人、旅の過程ではなく目的となる観

光対象のみを多く見たい人にとってはとても便

利なものである。旅行に伴う各種手配などの煩

雑な手続を代行してもらえること、個人旅行に

くらべ安全性が高いことなどもパッケージツア

ーのメリットといえる。また、観光地側に、大

人数の団体旅行者を受け入れることでいっそう

経済的な恩恵を受けることができるという“期

待”があることもパッケージツアーの拡大につ

ながっている。特に、天然資源やこれといった

産業のない国や地域において観光は重要な外貨

獲得産業として位置付けられてきた。そして、

大人数のパッケージツアーを受け入れるため

に、旅行者が満足するグレード、サービスを備

えた一流ホテルなどが建設されたのである。豪

華なホテルや観光施設が立ち並ぶハワイやバリ

は一般的にその成功例といわれている(しかし、

実体としては地域の人々がその経済的恩恵を受

けているとはいい難い側面もある。詳しくは後

述する。)。

このように拡大してきたマス・ツーリズムで

あるが、一方で1970年代には既にその弊害が

指摘され始めていた。マス・ツーリズムの弊害

については様々な指摘がなされているが、その

主なものは以下のとおりである。

第一に環境の破壊である。「マス・ツーリズ

ムの特色は、観光地に集中的に旅行者を送客す

ることであり、旅行者を受け入れるための観光

開発、多数の旅行者が訪れることによる自然へ

のダメージや生活環境の悪化などが問題視され

た」[17、p.41]のである。

第二に、観光対象となる文化が過度に商品化

され、その真正性(authenticity)が失われる

という指摘がある。文化の商品化と真正性の問

題はCohen[18]が詳しく論じて以降、社会学、

人類学の分野で多くの議論がなされてきた。簡

単にいえば、観光収入を確保するために、例え

ば本来なら特別な日に演じられる伝統舞踊を観

光施設などで定期的に演じるようになることで

文化の真正性が失われるといった指摘である。

また、前近代的な伝統的生活を営む少数民族の

生活文化が観光対象とされる場合に、観光者の

期待に応えるために過度にその未開性、観光者

からみた「本物らしさ」を演出することなども

文化の商品化といえる。

第三に、文化の変容の問題がある。広義には

文化の商品化の問題もここに含めることができ

る。しかし、ここでは「異文化の持ち込みによ

る地域の社会や固有の文化、伝統的な土地利用

による自然と調和した仕組などへの影響」[19、

p.21]のように、観光開発への外国資本の参入

や観光者の増加により資本主義をはじめ各種西

洋的文化(価値感や行動様式など)が観光地側

の文化を変容させてしまうことを意味するもの

とする。近年急速な開発、観光化が進められ、

それに伴う様々な問題が報じられている中国の

チベット自治区などが典型的な例といえよう。

その他、「女性習俗のセクシャライゼーション」

[20、p.11]やO’Gradyが指摘する観光地の若

者が観光者の行動様式を模倣してしまうという

デモンストレーション効果[21]もこれに当て

はまる。

16

第四に、観光の利益が観光者を送り出す先進

国に還流しているという指摘がある。大人数を

一度に収容可能な大型観光施設を必要とするマ

ス・ツーリズム型観光開発を行うには莫大な資

金が必要となる。もともと産業が乏しく、それ

ゆえに観光による発展に期待する発展途上国

(地域)にはその資金がなく、主に観光者の母

国である先進国の多国籍企業に頼る形で大規模

な観光開発が進められる場合がある。開発後に

立派なホテルが建ち、観光客があふれる様子を

見ると、地元の求めていた地域の発展が成功し

たように感じられるかもしれない。しかし、観

光化による利益が地元ではなく、多国籍企業を

介して観光者の母国へ還流している現状が指摘

されているのである。観光開発の典型的な成功

例とされるハワイにおける「ハワイが土地を提

供し、海外資本は施設を作り、よく働く安い移

民労働力を使い、観光者が落とす金を海外に持

ち帰る」[22、p.195]といった状況などが具体

例として挙げられる。こういった状況は「新・

植民地主義」や「新・帝国主義」だとして批判

されている[23、p.21]。

第五に、観光という行為には本来、見たこと

もないものを見て新たな発見をする、未知の文

化を体験するといった特徴があるものの、現代

は事前にメディアから知り得た観光地イメージ

を単に確認するだけの旅行になってしまい、現

地の文化理解や新たな発見、感動とは程遠いも

のとなってしまっているという指摘がある

(Boorstinが展開した疑似イベント論[24]な

どがその代表である。)。確かに、多くの観光者

は事前にテレビや雑誌・パンフレットなどから

旅行先の情報を得て、観光地イメージを作り上

げている。そのため「すでに持っている情報を

確認する旅」という側面があるだろう。そして

“イメージどおり”であれば満足し、“イメージ

と異なるもの”であればがっかりする。そうい

った観光客の希望を満たそうとすることが、先

に述べた過度な商業化の問題を引き起こすこと

にもつながってしまう。もちろん、マス・ツー

リズムに限らず、個人旅行であってもこれは同

じである。ただし、貸し切りの観光バスで観光

地を次から次へとめぐる観光と違って、個人旅

行では定番ではない地域を訪れたり、観光地ま

での移動中に一般の人々の様子を垣間見たり、

接したりするなかで新たな発見をする機会も比

較的多いだろう。したがって、ここでの指摘は

マス・ツーリズムに特に顕著であるといえる。

(2)オルタナティブ・ツーリズムから持続可

能な観光へ

以上のようなマス・ツーリズムの弊害が指摘

されるようになったことで、マス・ツーリズム

にかわる“もうひとつの”観光として“オルタ

ナティブ・ツーリズム”が模索されるようにな

ったのである。したがってオルタナティブ・ツ

ーリズムはある特定の観光対象、観光形態を指

すものとして生まれた用語ではなく、あくまで

マス・ツーリズムの問題との関係で理解すべき

ものである。したがって、前述のマス・ツーリ

ズムの弊害として指摘されている主な内容を踏

まえれば、オルタナティブ・ツーリズムには、

観光による環境への負荷を軽減し、観光地の文

化を守り、観光地の人々の伝統的価値観を尊重

し、観光がボランティアや補助金などに頼らず

ビジネスとして成立し、かつその収入が適切に

地元に還元されるような仕組みが求められる。

また、第五の指摘に対しては、単に観光地を効

率よく見て回るだけではなく、観光地の人々と

交流し、文化を学ぶような体験を組み込んだ観

光などが考えられる。安島は従来型観光(マ

ス・ツーリズム)と新しい観光(オルタナティ

ブ・ツーリズム)の特徴を次のように整理して

いる[25]。

17

このような特徴を備えた観光として注目され

ているものにエコ・ツーリズムがある。エコ・

ツーリズムに関しても今まで様々な定義がなさ

れてきた(代表的なものとしてはBooによる定

義[26]や日本自然保護協会による定義[27]

などがある。)。それらに共通する部分はおおよ

そ以下の3点にまとめることができる。

①自然への負荷を軽減するとともに、自然保

護に貢献すること

②地域経済に貢献すること

③観光(ビジネス)として成立すること

その他、環境教育を提供することなどの要件

が加えられる場合もある(エコ・ツーリズムの

定義に関しては[28]、[29]が詳しい。)。こ

のような要件を満たせば確かにエコ・ツーリズ

ムはオルタナティブ・ツーリズムの理念を具現

化した観光といえるだろう。しかし、単に自然

を対象とした観光がエコ・ツーリズムと称して

いる場合も見られ、現実への適用に関しては曖

昧な点も残っている。オルタナティブ・ツーリ

ズム自体、目指すべき観光形態を具体的に示す

段階までは至っていなかった。そして、オルタ

ナティブ・ツーリズムはその概念の曖昧さが批

判されながらもマス・ツーリズムに代わる新た

な観光形態を包括する概念として広く使用され

るようになったが、やがて、新たな観光のあり

方として“持続可能な観光”の概念が観光研究

に適用されるようになったのである[30、p.81]。

5.持続可能な観光の要件(1)オルタナティブ・ツーリズムと持続可能

な観光の関係

では、このオルタナティブ・ツーリズムと持

続可能な観光の違いはどこにあるのだろうか。

安村は「オールタナティヴ・ツーリズムとサス

テイナブル・ツーリズムを生み出す契機となっ

た根本問題が同一」[31、p.9]であり「“オー

ルタナティヴ・ツーリズム”の名辞が“サステ

イナブル・デベロップメント”概念との接近を

契機に“サステイナブル・ツーリズム”の名辞

に置換された、とみるのが適切」と述べている

[31、p.12]。確かに、観光開発による自然破壊

の問題に関しては、オルタナティブ・ツーリズ

ムが目指す方向性と持続可能な開発の下位概念

としての持続可能な観光が目指す方向性が一致

しており、両者の問題意識は共通するといえる。

しかし、厳密にいえば、先に述べた通り持続可

能な開発の下位概念としての持続可能な観光の

問題意識の中心には環境問題が置かれている

が、オルタナティブ・ツーリズムの問題意識は

環境問題に限らずマス・ツーリズムの弊害全般

を含むものなのである。つまり、内容的には持

続可能な観光の問題意識はオルタナティブ・ツ

ーリズムの問題意識に含まれるといえる。しか

18

表1 従来型観光と新しい観光の比較

対  象

行  動

グループ

行動形態

重視するモノ

  従来の観光

名所旧跡・温泉

見物・保養・宴会

団体が多い

周遊型

ハード

    新しい観光

地域の個性ある生活や風景

交流・学習・体験

個人が多い

滞在型

ソフト

(出典:安島博幸 2006[25、p.11])

し、現状は2.で述べたとおり、持続可能な観

光は持続可能な開発の問題意識の範疇を超えた

形(マス・ツーリズムの弊害全般を視野にいれ

た形)で用いられている。つまり、持続可能な

観光がオルタナティブ・ツーリズムという概念

を生み出す契機となったマス・ツーリズムに対

する問題意識をその範疇に取り込み、そのうえ

で持続可能な観光という表現の方が広まってい

ったのである。その結果“持続可能な観光”に

“オルタナティブ・ツーリズム”が吸収された

というような形になったと考えられる。持続可

能な観光の方が広まった理由としては、世界が

目指す方向性として合意された持続可能な開発

という方向性への観光分野としての同意という

積極的意味だけではなく、“エコ”と同様“持

続可能な”という文言が一種のカリスマ性を帯

びている現状において“オルタナティブ・ツー

リズム”という看板より“持続可能な観光”と

いう看板のほうが社会に受け入れられやすい

(存在を示しやすい)という理由もあるだろう。

いずれにしろ持続可能な観光に求められるのは

環境問題に限らずマス・ツーリズムの弊害全般

の克服を視野にいれた観光を実現することにほ

かならない。

(2)持続可能な観光の要件

以上のような持続可能な観光概念の成立過程

から考えた場合、「少人数」「着地型」「体験型」

「ソフトな」などの特徴を掲げた観光は、持続

可能な観光の理念を具体化したものといえるだ

ろうか。安村は、「“マス・ツーリズム”概念に

は、「大量の観光現象」と「負の諸効果をもた

らす観光」という性質が内包されている」とし

たうえで「オールタナティヴ・ツーリズムが克

服しようとするのは、マス・ツーリズムの「負

の諸効果をもたらす観光」の形態であって、

「大量の観光現象」ではない。」と述べている

[31、pp.13-14]。もともと、マス・ツーリズム

という用語はその弊害が指摘される過程で生ま

れたものであることを考えれば、当初は「負の

諸効果をもたらす観光」としての意味が中心に

置かれていたといえる。その後、マス・ツーリ

ズムという用語が広まるにつれて、「負の諸効

果」よりも単純でわかりやすい“マス”の部分

が強調され、マス・ツーリズムが「大量の観光

現象」を指すものとしても使用されるようにな

った。その結果、マス・ツーリズムに代わるオ

ルタナティブ・ツーリズムを考えようとする際

に、単に「少人数」であることがその要件とし

て強調されるようになったと考えられる。

これは、オルタナティブ・ツーリズムに代わ

って使用されるようになった“持続可能な観光”

にもいえる。つまり「少人数」であることは、

それだけでは“持続可能な観光”の要件とはい

えない。それにパッケージツアーではなく少人

数の個人旅行であればマス・ツーリズムの弊害

を生じないかといえば、必ずしもそうではない。

「集中によってミニである個人客も地域にとっ

てはマスになる」[32、p.27]のである。もち

ろん、少人数であることで持続可能なものとな

る場合も多くあるだろう。しかし、“持続可能

な観光”は、あくまでマス・ツーリズムの負の

諸効果を軽減し、実際に持続可能性が備わった

観光を指すものであり、観光形態や観光対象に

より単純に規定されるものではないことは“持

続可能な観光”概念の形成過程から明らかであ

る。

「少人数」であることに対するこのような考え

方は「着地型」「体験型」「ソフトな」といった

特徴についても当てはまる。これらが持続可能

な観光に該当するかどうかは、外形的な特徴そ

のものではなく、そのような観光形態にするこ

とで結果としてマス・ツーリズムの持つ「負の

諸効果」を回避することに結び付いているかで

19

判断されるべきものである。ただし、「ソフト

な」に関しては観光対象に対する負荷の軽減を

意味して「ソフトな」といわれる場合と、観光

者にとってやさしい(例えば、ハードな登山に

対するソフトなハイキング)といった意味で

「ソフトな」といわれる場合(例えば[33])が

ある。後者の場合は明らかに持続可能な観光の

要件とは別問題である。

以上のように持続可能な観光とオルタナティ

ブ・ツーリズムとの関係を捉えると、持続可能

な観光という概念はオルタナティブ・ツーリズ

ムに用語的にすり替わっただけであり、何ら新

しい視点を提示するものではないと主張してい

るように思われるかもしれない。しかし、「オ

ールタナティヴ・ツーリズムとサステイナブ

ル・ツーリズムを生み出す契機となった根本問

題が同一」であったとしても、その問題解決の

目的や根拠付けまでも同一であるとはいえな

い。例えば自然破壊という問題に対して自然保

護が必要だという考え方ひとつとってみても、

「なぜ自然を保護しなければならないのか」「誰

のために自然を保護すべきなのか」といった自

然保護の目的、根拠付けに関しては様々な考え

方がある(これらは、環境倫理学の分野で詳し

く論じられている)。同様に、オルタナティ

ブ・ツーリズムが問題としていたマス・ツーリ

ズムの弊害全般を持続可能な観光がその範疇に

取り込んだとしても、問題解決の目的や根拠付

けまで同一とは限らないのである。

ではオルタナティブ・ツーリズムにはなく、

持続可能な観光の概念に特有の視点は何か。そ

れは、マス・ツーリズムの持つ問題点を「なぜ」

解決する必要があるのか、と問われた場合に

「未来世代の観光機会を維持・向上させるため」

という答えを用意しているという点にある。こ

れは持続可能な開発の「将来の世代が自らのニ

ーズを充足する能力を損なうことなく今日の世

代のニーズを満たす」という考え方を受け継い

だものである。この視点は、オルタナティブ・

ツーリズムに関する議論では明確には示されて

いなかった部分だといえる。以上のことから、

“持続可能な観光”は実体としてマス・ツーリ

ズムの「負の諸効果」を克服した観光形態であ

ること、さらに、そのような観光形態を行うべ

きとする目的が「未来世代の観光機会を維持・

向上させる」こと、つまり世代間倫理に基づく

ものであることが必要となる。したがって、例

えば地域振興を中心に掲げた観光の場合など

は、その是非はともかく、本来の持続可能な観

光の理念に合致するとはいえないのである。

6.おわりに「少人数」「着地型」「体験型」といった形式的

な特徴を持つだけでも確かに従来型のマス・ツ

ーリズムの場合より持続可能な観光に結びつく

可能性は高いかもしれない。しかし、プランニ

ングによってはマス・ツーリズムと同様に観光

対象に多くの負荷をかける場合もあることを十

分理解しておく必要がある。逆に、大人数で参

加するパッケージツアーであっても観光対象等

に対する悪影響を軽減する仕組みが整っていれ

ば持続可能な観光となり得ることを忘れてはな

らない。マス・ツーリズムが大半を占めている

観光の現状を考えれば、新しい観光形態を模索

するだけでなく、マス・ツーリズムをその長所

を維持しつつ、いかに持続可能な観光としてい

くかを考えることも重要であろう。

マス・ツーリズムの対象となる傑出した観光

資源が乏しく、結果として少人数・体験型の観

光で観光振興を図ろうとした場合に、それをプ

ラスに捉えて“持続可能な観光”を掲げてアピ

ールしたい気持ちはわかる。しかし、そのよう

に単なる看板文句として持続可能な観光が掲げ

られれば、持続可能な観光が持つ本来の意義が

20

いっそう曖昧なものとなってしまうだろう。そ

して、「少人数」「着地型」「体験型」などの特

徴を持つ観光こそが持続可能な観光であるかの

ように強調されることで、マス・ツーリズムを

いかに持続可能な観光にしていくかという視点

が見失われてしまうことも懸念される。

それを防ぐには、観光開発の担当者が持続可

能な観光の理念を十分理解する必要があること

はいうまでもないが、観光者にも自分が参加し

ようとするツアーが持続可能な観光の実現を目

指したものであるかをある程度判断する力を身

につけることが求められる。まさに「観光学が

めざす“理想的な観光”の実現には、観光にか

かわるあらゆる人々が、その“理想的な観光”

についての知識を有することが前提となる」

[30、p.86]のである。それには曖昧なまま幅

広く使用されている持続可能な観光の理念を整

理することが必要であり、そのために本稿では

持続可能な観光概念の成立過程に立ち返って検

討したのである。

持続可能な観光という表現が用いられるよう

になって既に20年以上が経過し、その間に社会

も大きく変化した。今後は、さらにそういった

変化を踏まえた“持続可能な観光”を構築して

いくことが求められる。そして“持続可能な観

光”という表現のみが“エコ”と同様に独り歩

きしかねない現状を踏まえて、その理念をいか

に歪曲されることなく普及させていくかを考え

ることも今後の重要な課題である。

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