Apoptosis 細胞死 (Programmed Cell Death)

Apoptosis ギリシャ語で、（葉が落ちる、花びらが落ちるの意味）

なぜ、Apoptosis が必要か。ひとつの個体が生き残るために不用な（不都合な）細胞を殺す。

多細胞生物で、発生過程で、不要なからだの一部を切り捨てる。programmed cell death

オタマジャクシの尾

多細胞生物で、生物体が生き残るため、毒性を示す一部の細胞を処分する。免疫細胞の、negative selection

細胞の分子生物学 17章 Fig.17-35, 17-36

Apoptosis 細胞死 (Programmed Cell Death)Apoptosis ギリシャ語で、葉が落ちる、花びらが落ちるの意味

Jacobson et. al. Cell 1997 88, 347-354

A　胎児の指の間の細胞

Ｂ　胚形成直後の、空間の形成

Ｃ　オタマジャクシの尾　⇒　カエル

Ｄ　生殖器官の形成、除去Müllerian duct -> uterus & oviducts in femaile （子宮、卵管）

Wolffian duct -> vas deferens, epididymis, & seminal vesicles in males （精子が通る管）

E　余分な細胞の除去　（脳細胞）

F　危険な細胞免疫細胞（negative selection）

G　放射線などでDNAが損傷し、　　　　　p53が活性化した細胞

Wolffian duct

Müllerian duct

Wolffian duct

オスメス

細胞死の形態学的特徴Apoptosis

細胞の凝縮、核のクロマチンの凝集、核膜付近の変形、細胞質の凝集核膜の崩壊、核の断片化、細胞膜の気泡状形態の形成（Blebbing）、細胞の断片化

"Apoptotic bodies" の形成　　断片化した、細胞膜に囲まれた気泡状形態食細胞に、まるごと貪食され、消滅。　　細胞内の物質は、膜に囲まれたままなので、外部に放出されず、炎症反応は起きない。

Necrosis外部からの外傷、熱などでおきる。細胞がふくれ、細胞膜がやぶれる。細胞の内容物が放出される。　　　　　　強い炎症反応を引き起こす。

細胞の分子生物学 17章 Fig.17-37 necrosis apoptosis

Fas の発見 anti-Fas monoclonal antibody の単離

1989年　　米原先生　（当時　都立臨床研）培養細胞を丸ごと免疫し、細胞表面のタンパク質に対する monoclonal antibody を多数調製し、それらの抗体を解析していた。その１つの抗体は、培養細胞の培地に加えると、細胞死を誘導することを発見。

anti-Fas 抗体を加える

細胞死を誘導

抗体を加える

細胞

受容体抗体により受容体がニ量体化　（多量体化）

細胞死を誘導するシグナル

anti-Fas 抗体と反応する細胞膜タンパク質が細胞死の受容体

"death receptor"

細胞をそのままマウスに免疫　ー＞　細胞表面のタンパク質に対し monoclonal 抗体をつくる。

monoclonal antibodies を調製

細胞に対する反応を解析

PP P

growth factor増殖因子（PDGF, EGF etc.）

受容体が２量体化

シグナル伝達因子をリン酸化

遺伝子発現

細胞増殖

受容体が２量体化

受容体に対する抗体

受容体が３量体化

細胞死Apoptosis

Fas抗原細胞死の受容体

anti-Fas抗体

anti-Fas抗体が結合するタンパク質はなにか？

Expression cloning of Fas antigen

細胞mRNA を調製cDNA を合成（逆転写酵素）動物発現プラスミドに挿入　　発現ライブラリー

panning 法

細胞にtransfection細胞表面に発現

ディシュの底に抗体を付着させておく

細胞死を誘導する抗体が反応する細胞表面タンパク質は、細胞死を誘導するホルモンの受容体。ー＞　抗体と反応するタンパク質（受容体）の遺伝子をクローン化する。

受容体を発現した細胞はディシュの底に付着する

細胞を回収 細胞からプラスミドを抽出

抗体と反応するタンパク質受容体の遺伝子

異なるタンパク質を発現する細胞はディシュに付着せず洗い流される。

Expression cloning of Fas antigen

anti-Fas 抗体と反応する細胞表面タンパク質（Fas）は、外からの細胞死を誘導する ligand (ホルモン)と結合すると、多量体化して、apoptosis（細胞死）を誘導する受容体。？

受容体であることを証明するため、その遺伝子を単離

cDNA library から、　anti-Fas 抗体と反応するクローンを単離。

DNA 配列の決定により、アミノ酸配列が判明

Fas はTumor Necrosis Factor Receptor （TNF受容体）に類似タンパク質

N. Itoh et al. 1991 Cell 66, 233-

細胞膜

Fas

Cys-rich 領域 (CDR) ３, ４ヶ所

Death Domain (DD)

* lpr mutation

Fas

Tumor necrosis factor (TNF)初期には、腫瘍を殺すホルモンとして発見細菌感染の初期に、炎症反応を誘起する。

TNF 受容体

細胞死の受容体　Fas の　ligand (Fas-Ligand) は細胞膜上のタンパク質

T. Suda et. al. (1993) Cell 75, 1169-1178

Fas と結合するクローンをexpression cloning (panning) で単離

Fas-IgG-Fc 融合タンパク質を作製Fas-Ligand を多量に発現する細胞を同定 (FACS)　　cytotoxic T cellcDNA Library の調製expression cloning (panning)Fas-Ligand も Tumor Necrosis Factor 類似タンパク質（膜結合型）

（細胞死受容体 Fas も TNF 受容体類似タンパク質）

cytotoxic T cell

Fas LigandFas

死のシグナル

細胞死apoptosis

IgG Fas-IgG-Fc

Fas Ligandと結合

Fas-Lを発現したCos 細胞

cDNAを発現

Fas-IgG-Fc を吸着させたプレートに付着細胞どうしが接触

Fas-Ligand が Fas に結合

受容体 Fas と結合するタンパク質は、細胞死を誘導するホルモン？

Fas ligand が Fas に結合し、細胞死を誘導する。

cytotoxic T cell

target cell -> -> -> 細胞死

Fas

Fas-Ligand

DNAが分解

標的細胞

細胞内タンパク質の切断

　apoptosisを誘導するとDNAが断片化する。　

アガロースゲル電気泳動

染色体DNA DNAが断片化した細胞を染色する。

TUNEL染色

Fas, Fas ligand の変異体

lpr (lymphoproliferation) 　　 Fas の変異

gld (generalized lymphoproliferative desease) Fas Ligand の変異

リンパ節や脾臓に　死を免れた T cell (CD4-, CD8-)がたまるので、肥大する。

lymphoadenopathysplenomegaly

Fas (-/-)

Fas (+/+)野性型

Fas (+/-)

リンパ節 脾臓

S. Nagata Cell 88, 355-365 (1997)

Caenorhabditis elegans 　線虫

全長　約 1.2 mm の虫透明で、約１０００ヶの細胞がみえる。John Sulston & Robert Horvits は、受精卵から成虫までの細胞分裂の様子を記録　cell-lineage成虫になるまでに、1090ヶの細胞のうち、131ヶの細胞が決まった時期に必ず死に、959ヶが生き残る。

Caenorhabditis elegans （線虫） の受精卵の細胞分裂

卵の中の細胞が見える　ー　どの細胞がどの細胞に分裂するか観察できる

C. elegans cell lineage線虫

受精卵から、1090のsomatic cell (体細胞)ができる。(hermaphrodite)そのなかで、131ヶの細胞が必ず死に、959ヶ細胞が生き残る。

hermaphrodite　　雌雄同体male オス

neurons 神経

Caenorhabditis elegans の細胞死の変異株の単離131ヶの死ぬべき細胞が（生き）残る変異株　　 ced 変異　Cell Death Abnormal

細胞死への運命づけ 細胞死 貪食正常細胞

死細胞ced-9

ced-3ced-4

ces-1

egl-1

ces-2ced-1ced-2ced-5ced-6ced-7ced-8ced-10　貪食されない

nuc-1

ced-3, ced-4 変異死ぬべき細胞が生き残る

ced-9 の活性型変異死ぬべき細胞が生き残る

ced-9 の変異すべての細胞が死ぬ

ced-9/ced-3 変異 = ced-3単独変異ced-3 の方が下流で働く

ced-3, ced-4 細胞死を誘導ced-9 ced-3, ced-4を阻害することで

細胞死を抑制

細胞死

H.R. Horvitz

細胞死を誘導する機構は線虫と動物で同一

タンパク質分解酵素

Bcl-2 B-cell lymphoma/leukemia-2濾胞性リンパ腫での染色体転移で、活性型として発現　ー＞　発がん（細胞死を抑制）

分子細胞生物学　Fig.23-49

apoptosisを阻害

apoptosisを誘導

apoptosisを誘導