16
生命の意味 生命とは何か? ヒトの最も近くにありながら、 最も大きな謎。

生命の意味 - SEIKEI...生命の意味 生命とは何か? ヒトの最も近くにありながら、 最も大きな謎。 生命の定義 外界からの区別 エネルギー獲得

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

生命の意味

生命とは何か? ヒトの最も近くにありながら、 最も大きな謎。

生命の定義

    ○外界からの区別     ○エネルギー獲得     ○自己複製     ○適応  

(が、一般的に使われることが多い。)  その他、   自己組織化、増殖、進化、思考・・・

外界からの区別

細胞膜のこと・・・らしい。  しかし、  生命活動は化学反応なので、物質が拡散すると反応速度が遅くなり、生命を維持できなくなる。  その他有害物質の侵入も防ぐだろう。  しかしウィルスを生物だと考えるなら、細胞膜は必要ではないことになる。  

エネルギー獲得

エサをとる。それは・・・  食べるため。  消化するため。  栄養を吸収するため。         エネルギーを得るため。+物質         エントロピーを下げるため。

エントロピーってなに?  なんでエントロピーなの?  

自己複製

細胞分裂  単為発生  有性生殖  

形態形成  自己組織化  生物は自分と同じ形を複製する。その設計図は遺伝子であるが、形態形成においては、自己組織化能力も不可欠でもある。  

適応

慣れ    行動  進化    思考  

 生物は地球上のあらゆる環境に適応している。   生物は必ず生き残るため努力する。その結果適応・進化が起こる。   進化がハード的な適応なら、思考はソフト的適応である。  

生物であるには何が必要か  生物は自然淘汰の中で生き残ったものだけが生物として存続する。結果として、生き残ろうとする性質や、適応能力は自動的に付与される。よって、適応性をもともと持っている必要はない。   外界からの区別が必要なのは化学反応の特性に関わる部分が大きい。逆に言えば、物質濃度に依存しない現象を組み合わせて生物現象を再現すれば、外界との区別は不要か、必然として付いてくる可能性がある。   エネルギー獲得ができなければ細胞は休眠するか死んでしまう。さらにエントロピーの低下と解釈すると、複製にも必須であることが分かる。   複製ができなければ進化はない。また単一の生命が無限に長く生存することはない。なので複製は必要。    

エントロピーとは何故に?  エネルギーではなくエントロピーの話をするにしても、始めにエントロピーの意味を知らなければ、何のことやら分からない。熱力学では、エントロピーΔSは物理系の熱量変化ΔQを温度Tで割った量である。  

 経験的には、物理現象は、必ずエントロピーが増大する方向に進行する。つまり、エントロピーが物理現象が進行する方向を決める。  

 考えてみれば、エネルギーには保存則があり、世の中のエネルギーの量は変わらない。地球には太陽からエネルギーが降り注ぐから、エネルギーは増える?かと思えば、同じ量だけ放出しているので、エネルギーの総量は一定で、平衡状態なのだ。   だとすれば、エネルギー以外の何かが物理現象の進行を支配していないと、地球上では何も起きなくなってしまう。  

ΔS= ΔQT

さらに謎が深まった?

 エントロピーは現象を一方向に進めることは分かったが、結局、その正体は分からなかった。   一方、統計力学の理論によると、エントロピーは取り得る状態の数をW、ボルツマン定数をkとして、  

で表される。   つまり、取り得る状態Wが多いとエントロピーは増える。例えば、積み木をきちんとそろえて箱に入れる方法の数は1つしかないが、箱から出してバラバラに置く方法は無数にある。そしてバラバラにすることはたやすく、箱に戻すのは難しい。   どうも、エントロピーは散らかり具合(乱雑さ)を示しているらしい。  

S= k lnW

エントロピーの低いモノ高いモノ

 気体分子のエネルギーを変えず、位置だけを1カ所にそろえると、高圧の気体ができる。  

 気体分子のエネルギーを変えず、運動量を一方向にそろえると、風が発生する  

風力発電  圧縮空気自動車  

高エントロピー  

低エントロピー   同じエネルギーでもエントロピーの低い状態はエネルギーを利用して仕事ができる。高エントロピー状態から仕事を取り出すことはできない。  

温度とエントロピー

ΔS= ΔQT エントロピーの定義式、       から温度が高いほどエントロピーが低いことが分かる。地球の温度が約300Kに対して、太陽は表面温度が6300Kでエントロピーが低い。宇宙は4Kでエントロピーが高い。  地球は太陽から低いエントロピーをもらうことで乱雑さを減らしている。  このエントロピーの流れが、地球の大気や生き物を動かしている。   

1/6300    1/300    1/4   

生命の活動

物質循環

低エントロピーの流れ

摂食・消化

排泄

分解

吸収

 生命は低エントロピーの流れの中で回る水車の様なモノか?  

土壌  低エントロピーのエネルギーは乱雑さを取り除き、自己組織化を進める。その結果として複製が可能になる。  

生命の本質

 生命の定義に最低限必要な、エネルギーの獲得と複製が、実は両方とも、低エントロピーの流れによって実現していた。 これは、生命が本質的に低エントロピーの流れを原因として成立しているモノであることを示唆する。

新たな生命の定義  「生命とは、低エントロピーの流れの中に発生する、自己組織的存在のことである。」

 実は、シュレーディンガーがすでにこのような生命の定義を行っている。この定義を認めるなら、生命の存在の可能性は拡張される。

ここで一休み

生命の定義が低エントロピーで駆動される現象なら、宇宙にはどんな生命があり得るのか?  

エントロピーと情報

 情報科学においては、エントロピーは情報量の期待値である。ある「こと」=事象が起きる確率をpとすると、エントロピーSは

となる。確率の低い事象ほど情報量log(p)が大きいが、確率は小さくなるので、底で極地を取る凸関数になる。

 物理状態から得られる情報量が大きいほどエントロピーが大きいことになる。様々な現象の発生確率は、全体のエントロピーを最大にするように変化していく。

S p( )= plog 1p

⎝⎜

⎠⎟

コンピュータ上の情報

 コンピュータは情報を処理する機械だ。作られた直後は全てのメモリー上の情報は0で最もエントロピーが低い。そこにいろいろなデータが書き込まれるとエントロピーは増加する。コンピュータ内にはそんなエントロピーの動きがある。

 エントロピーの動きがあれば、そこに生命が発生する可能性がある。プログラム上で人工生命を作ろうとする研究はすでにいくつかあるが、その組み合わせの中から、意図的に、または偶然に、生命の定義に当てはまるモノが作られるかもしれない。