4
※3 地下 1 階・地上 2 階の建物の場合、1 階床が検査対象となる ※4 鉄筋ミルシート・圧接引張り試験結果・コンクリート圧縮強度試験結果や検査時に目視できない部分の施工記録写真を準備しておく。現場では配筋検査だけでなく、隣地や道 路と建物の最小離隔距離などの検査も行う ※1 法 7 条の 3 第 1 項 2 号にもとづく。中間検査の有無・時期の判断は特定行政庁に委ねられている ※2 中間検査の実態は各行政庁によって異なる。たとえば神奈川県横浜市では配筋検査時および軸組接合完了時に行うが、東京都では 2階建て戸建住宅程度の規模の場合は 原則行っていない。なお、中間検査時にはさび止め塗装前の本締め状況など、隠ぺい部の写真や各種報告書を準備しておく S R C 1 2 SRC3 SRC1 1 1 1 2 2 2 2 2 RR納まり上、ホールダウン金 物などを先行して取り付け る必要がある場合は建方 時にボルトを取り付ける 部材は出荷前の製品 検査後に納品される 46頁参照] 上階の躯体工事中に下 階の内装工事が同時に 行われることもある 中間検査は上部躯 体工事完了時。全て の軸組が緊結され た状態で行う[※1S 造・RC 造 は 躯 体 工 事と なることが多いが、木造か つ、木造階段の場合は内 部の造作工事扱いになる 土台から上棟 まではだいた い2、 3日くらい! 着工時期に鉄骨製作の打 ち合わせをしておくと建方 以降の工程がスムーズに! 38頁参照] 現場溶接は天候 や気温に左右され るので工程に注意 耐火被覆はS造ならではの 工事。養生などの準備を含 めた工程を確保 72頁参照] 内装工事になると 3構造の工程はほ とんど同じに 根切りまでにすべて の躯体図を確認して おきたい[38頁参照] 中間検査は最下階から2つめ の床配筋時に行う[※ 1・3・4これは根切り後、ランマー で転圧中の様子。小規 模な建物の場合、地盤 補強は 2、3日で完了 7カ月 6カ月 5カ月 4カ月 3カ月 2カ月 6カ月 5カ月 4カ月 3カ月 2カ月 4カ月 3カ月 2カ月 1カ月 1カ月 1カ月 完了検査 完了検査 完了検査 着工 着工 着工 中間検査 中間検査 中間検査 RC造は配筋検査、ス リーブ検査、打設の繰 り返しだが、この工程 の監理が重要 中間検査は軸組 接合完了時に行う ※ 1・2パラペットが高い場 合などは、打設回数 は 2 回に分ける 022 June 2015 木造・S造・RC 造 比べて分かる現場 納まりマニュアル 023 June 2015

工程から分かる、 S RC - xknowledge.co.jp · スラブ配筋デッキプレート敷きさび止め塗装現場溶接・超音波探傷試験高力ボルト締め仮ボルト締め建方─柱・梁ベースモルタル施工

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Page 1: 工程から分かる、 S RC - xknowledge.co.jp · スラブ配筋デッキプレート敷きさび止め塗装現場溶接・超音波探傷試験高力ボルト締め仮ボルト締め建方─柱・梁ベースモルタル施工

※ 3 地下 1階・地上 2階の建物の場合、1階床が検査対象となる※4 鉄筋ミルシート・圧接引張り試験結果・コンクリート圧縮強度試験結果や検査時に目視できない部分の施工記録写真を準備しておく。現場では配筋検査だけでなく、隣地や道路と建物の最小離隔距離などの検査も行う

※ 1 法 7条の 3第 1項 2号にもとづく。中間検査の有無・時期の判断は特定行政庁に委ねられている※ 2 中間検査の実態は各行政庁によって異なる。たとえば神奈川県横浜市では配筋検査時および軸組接合完了時に行うが、東京都では 2階建て戸建住宅程度の規模の場合は原則行っていない。なお、中間検査時にはさび止め塗装前の本締め状況など、隠ぺい部の写真や各種報告書を準備しておく

工程から分かる、

木造・S造・RC造の違い

遣り方

地盤補強

根切り

遣り方

地盤補強

根切り

遣り方

地盤補強

根切り

施工者・設計・施主検査

ダメ直し

施工者・設計・施主検査

ダメ直し

施工者・設計・施主検査

ダメ直し

基礎配筋・外周型枠

耐圧盤打設

アンカーボルト設置

立上り型枠・打設

アンカーボルト設置

基礎・地中梁配筋

基礎型枠・打設

埋め戻し(ピットなしの場合)

基礎・地中梁配筋

基礎型枠・打設

埋め戻し(ピットなしの場合)

1階スラブ配筋・打設

屋根仕上げ

外壁下地張り・面材耐力壁取付け

バルコニー防水・仕上げ

サッシ取付け

外壁取付け

設備配線・配管

外部仕上げ(樋・軒天井など)

陸屋根防水

外壁取付け

バルコニー設置・防水

サッシ取付け

設備配線・配管

外部仕上げ(樋など)

陸屋根防水

バルコニー防水

サッシ取付け

外部仕上げ(外壁など)

外壁断熱・外接床断熱

雑壁・間柱

設備配線・配管

床・天井下地

天井断熱

建具枠・内部壁

階段造作

内装仕上げ

造作家具・設備機器

耐火被覆

外壁・外接床断熱・熱橋部の断熱補強

雑壁・間柱

設備配線・配管

床・天井下地

建具枠・内部壁

内装仕上げ

造作家具・設備機器

外壁・外接床断熱・熱橋部の補強

雑壁・間柱

設備配線・配管

床・天井下地

建具枠・内部壁

内装仕上げ

造作家具・設備機器

内部建具

左図は2階建ての小規模な戸建住宅を想定した木造・S造・RC造の主な工

程。建物規模や仕様により異なる部分はあるが、それぞれの工程を知るこ

とで、3構造の大まかな違いをつかんでほしい。実際の工程は、施工計画書を

もとに、何をいつまでにやるべきかを施工者としっかり打ち合わせておく。

S造

RC造

木造

地鎮祭

地鎮祭

地鎮祭

地業

地業

地業

基礎工事

基礎工事

基礎工事

外壁・屋根工事

外壁・屋根工事

外壁・屋根工事

内部工事

内部工事

内部工事

外構工事

外構工事

外構工事

最終確認

最終確認

最終確認

竣工

竣工

竣工

建方

建方

土台・大引敷き

柱梁・仕口金物

床(根太床・根太レス床)

小屋組・野地板・屋根防水

柱頭・柱脚金物

筋かい・筋かい金物

ベースモルタル施工

建方─柱・梁

仮ボルト締め

高力ボルト締め

現場溶接・超音波探傷試験

さび止め塗装

デッキプレート敷き

スラブ配筋(1階土間・立上り含む)

1階躯体工事

1階柱配筋・型枠

1階壁配筋・設備配管型

2階梁配筋・設備配管

2階床配筋・設備配管

階段配筋

コンクリート打設

2階躯体工事

2階柱配筋・型枠

2階壁配筋・設備配管・型枠

R階梁配筋・設備配管

R階床・パラペット配筋・設備配管

コンクリート打設

スラブコンクリート打設

階段取付け

納まり上、ホールダウン金物などを先行して取り付ける必要がある場合は建方時にボルトを取り付ける

部材は出荷前の製品検査後に納品される

[46頁参照]

上階の躯体工事中に下階の内装工事が同時に行われることもある

中間検査は上部躯体工事完了時。全ての軸組が緊結された状態で行う[※ 1]

S 造・RC 造は躯体工事となることが多いが、木造かつ、木造階段の場合は内部の造作工事扱いになる

土台から上棟まではだいたい2、3日くらい!

着工時期に鉄骨製作の打ち合わせをしておくと建方以降の工程がスムーズに!

[38頁参照]

現場溶接は天候や気温に左右されるので工程に注意

耐火被覆はS造ならではの工事。養生などの準備を含めた工程を確保[72頁参照]

内装工事になると3構造の工程はほとんど同じに

根切りまでにすべての躯体図を確認しておきたい[38頁参照]

中間検査は最下階から2つめの床配筋時に行う[※1・3・4]

これは根切り後、ランマーで転圧中の様子。小規模な建物の場合、地盤補強は 2、3日で完了

7カ月 6カ月 5カ月 4カ月 3カ月 2カ月

6カ月 5カ月 4カ月 3カ月 2カ月

4カ月 3カ月 2カ月

1カ月

1カ月

1カ月

完了検査

完了検査

完了検査

着工

着工

着工

中間検査

中間検査

中間検査

RC造は配筋検査、スリーブ検査、打設の繰り返しだが、この工程の監理が重要

中 間 検 査 は 軸 組接合完了時に行う

[※ 1・2]

パラペットが高い場合などは、打設回数は 2回に分ける

022June 2015木造・S造・RC造 比べて分かる現場納まりマニュアル023 June 2015

共通|工程

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共通※ 5 特にRC造の場合、同じ敷地形状・規模でも作業性が異なると躯体工事費に大きな差がでる※ 6 法 88条・令 138条 1項 5号※ 7 土や石、砂などを積み上げたときに、自然に崩れることなく安定を保つ角度のこと。30°とするのが一般的

※ 1 民法 234条。また、民法 235条より隣地境界線から1m未満の距離に開口部(窓)または縁側(ベランダ)がある場合は、目隠しを設ける必要がある│※ 2 法 42条 2項。幅員4m未満の 2項道路の場合、道路を拡張し、建物をセットバックする必要がある│※ 3 令 144条の 4第1項 2号。隅切り部分には建築物や塀を建築することはできない。条例によって異なる場合があり、確認が必要│※ 4 境界杭が見当たらない場合、地積測量図や道路台帳などで確認

敷地調査では敷地の状況を的

確に把握する。現状だけでなく、

現場で今後起こりうることも予

測しておきたい。前面道路・隣

地との関係や、周辺環境、法規

制など多角的な視点からチェッ

クすることで、設計時だけでな

く後に続く工程の監理を安全か

つ円滑に進めることができる。

敷地調査十分な敷地調査で

施工の精度・効率が上がる

≧2m

敷 地

道路幅≧4m

袋路長さ

計画地

渋滞の可能性はないか 道路幅や一方通

行道路の有無

近隣に幼稚園や小学校はないか

道路

高低差

敷地形状 境界

搬入経路によっては工事費に影響が!

斜線制限以外にも注意が必要

旗竿敷地の袋路長さや幅を確認 越境物の所有者、安全性をチェック

敷地状況を把握して弱点を洗いだせ

車両搬入経路や待機場所の確保は、仮設工事費に影響する重要なポイントとなる[※5]。生コン車が予定どおり到着できるように、①ポンプ車・生コン車が入れる道路幅員か、②生コン車が待機する場所があるか、③敷地周辺に慢性的に渋滞が発生する道路や要因(イベントやスクールゾーンなど)はないかなどの確認が必要

高低差は資材運搬のコストを上げる要因にもなるため、施工会社との事前の打ち合わせが重要。隣地との間の擁壁に問題がある場合、補強などが必要となり、工事費の増大や確認申請の手間が発生する。高低差が2mを超える擁壁を新たに設ける場合、工作物の確認申請などが必要になる[※ 6]

コンクリート打設時にはポンプ車(常時)と生コン車(入れ替わり)の 2車両が現場に張り付く

搬入経路や運搬車種などを把握するため、敷地周辺の状況を事前に確認する

前面道路と高低差がある場合、現場で状況を確認し、資材や機材の搬入方法を検討する

旗竿敷地は、長物の搬出入に手間がかかるため注意が必要。また、袋路の長さにより、条例で建築物の規模や用途が制限される場合がある

ブロック塀などが越境している場合、亀裂が生じていないかなどの安全確認も行う。高さ1.2mを超えると控壁が必要となり、ない場合は是正措置を検討する。また、境界ブロック塀に亀裂がある場合、工事中に倒壊するおそれもあるため、事前に協議しておく

既存の擁壁に安全上の問題があれば、やり替えや安息角[※7]を考慮した配置の検討をする

1

3 4

2

COLUMN適切な鉄骨加工工場を選ぶ

表 2│鉄骨加工工場のチェックポイント項目 チェックポイント1 . 規模・周辺環境 ・工場の幅、奥行き、間口、高さ(3階建て以上が好ましい)

・工場の前面道路幅、トラック出入口の幅・工場周辺の高速道路、高架、学校施設などの有無

2 . 設備・作業環境 ・クレーンの許容荷重・切断機、孔あけ加工機、作業台の大きさ・作業場(屋内で行っているか)・工場内の明るさ(手元が暗いと製品の品質に影響する)・床面(土埃の舞うような環境は溶接欠損を招きやすい)・道具類が整理・整頓されているか

3 . 工場の証明書・ 実績

・グレード(S ~J[全国鉄骨評価機構]、T1 ~T3[東京都])・過去の実績写真

4 . 有資格者の 確認

・溶接は WES(日本溶接協会規格)の免許取得者・超音波探傷検査は(社)全国鐵構工業協会建築鉄骨

超音波検査技術者5 . 工事物件との 関係

・工事現場からの距離・建築現場までの搬送ルート

表 1│鉄骨加工工場のグレード区分グレード 製作可能な建物規模 鋼材種別J ・鉄骨溶接構造の 3階以下の建築物

・延べ面積 500㎡以下・建物最高高さ13m以下かつ軒高10m以下

400N級鋼板厚 16㎜以下

R ・鉄骨溶接構造の 5階以下の建築物・延べ面積 3 ,000㎡以下・建物最高高さ20m以下

400Nおよび490N級鋼板厚 25㎜以下

M ・鉄骨溶接構造の建築物・延べ面積制限なし・建物最高高さ制限なし

400Nおよび490N級鋼板厚 40㎜以下

H ・鉄骨溶接構造の建築物・延べ面積制限なし・建物最高高さ制限なし

400N、490N級鋼および520N級鋼

S ・すべての鉄骨溶接構造の建築物・延べ面積制限なし・建物最高高さ制限なし

制限なし

鉄骨加工工場は全国鐵構工業協会により定められた5つのグレードに分類されている。S造の場合は、建物の規模に適したグレードの工場を選ぶ必要がある[表1]。実際に工場を見学し、管理体制や品質を確かめたうえで、工場を選ぶことが望ましい[表2]

敷地形状

□ 敷地の形状に合った建築計画を行っているか

高低差

□ 道路・隣地との高低差があるか

道路

□ 計画敷地周辺に資材搬入時の障害となる要素(電柱・電線や交通渋滞など)がないか

□ 前面道路の幅員が4m以上あるか[※ 2]

□ 幅員4 m以上の前面道路に敷地が2m以上接しているか

□ 狭い道路の角部分に隅切りがあるか[※ 3]

1

3

境界

□ 道路・隣地それぞれの境界杭の位置を確認できているか[※4]

□ 隣地境界にあるブロック塀・フェンスの所有者と協議しているか 4

2

生コン車

計画敷地

ポンプ車

離隔距離

□ 隣地境界から外壁までの距離を50㎝以上確保しているか[※ 1]

□ 必要に応じた離隔距離を確保しているか(作業用の足場は最低でも350㎜を確保する)

袋路長さ

幅2m以上あるか高さや亀裂の有無を確認

安息角を考慮して建物をセットバックするなどを検討

隣地計画敷地

前面道路

024June 2015木造・S造・RC造 比べて分かる現場納まりマニュアル025 June 2015

共通|敷地調査

鉄骨造|コラム

共通|敷地調査

チェックリスト

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共通

量水器止水栓

公設枡

制水弁フタ

消火栓フタ

ガスピット

道路用集水枡

ガス会社杭

下水本管マンホール

ガス遮蔽弁

※ 4 地域によって必要書類が異なるため、かならず事前に確認する│※ 5 プロパンガスの場合、設置本数と設置場所、固定方法の検討、容器交換が容易な場所かなどの考慮が必要となる。2本の場合(1列配置、50㎏容器)幅1.1×奥行1.25×高さ2mのスペース確保が目安│※ 6 電柱の上にある変圧器(トランス)で電圧を下げて敷地内に引き込み、電力量計(メーター)を通って住戸内に導く方法

※ 1 建物への引込み経路にあたりをつける。また、敷地が私道(位置指定道路)に接する場合は、電気を引き込む際に各所有者の承認が必要※ 2下水道本管がない場合は浄化層方式で排水計画を行う※ 3合流方式は雨水と汚水をまとめて放流する方式、分流方式は雨水と汚水を分けて放流する方式のこと

インフラ調査は、役所や電気・ガ

ス・水道各社から埋設状況など

が分かる資料を入手する。ただ

し、資料の情報を鵜呑みにして

はならない。現地に足を運び状

況を確認することが重要。地域

によっては条例などにより申請・

協議が必要な場合もあるから

だ。 インフラ調査

小さな見落としが致命傷に!

3

目詰まり防止装置フタ

目詰まり防止装置

敷砂 充填材

透水シート

透水枡

隣地

隣地

道路

計画地

道路に接する面が短いとインフラの供給ルートが限られる

給水

排水

ガス

電力幹線

配管状況を確認

都市ガス配管の埋設深度は外構計画に応じる

電柱移設や送電線の延長工事が必要か

役所、電気・ガス・水道各社と打ち合わせ、現地で状況を把握役所・各インフラ会社からの資料の入手と、現地での確認を併せて行う。下水道台帳などの資料はインターネットで入手可能な場合がある一方、水道本管埋設管図などは土地の所有者の委任状などが必要な場合もある[※4]。地域により指導内容が異なるため、打ち合わせは必須である

計画建物の需要電力を事前に確認しておく。戸建住宅の場合、架空引込み線による低圧引込み[※6]が主流である。旗竿敷地の場合、道路から建物までの距離が長いケースが多いうえ、接道長さが短いため、配管・配線の経路計画には注意が必要である。建物計画上、電柱の移設が必要な場合は電力会社などと移設位置・時期を協議する

戸建住宅で既存配管の口径が13㎜の場合、大口径化(20㎜もしくは 25㎜)を検討する必要がある。給水管が鉛管の場合は自治体費用で交換可能な場合がある。引込みがない場合は、新たに敷地内に引込む必要がある

前面道路に雨水排水管または雨水側溝がある地域でも、降雨時の雨水排水本管の負担軽減や河川の氾濫を防ぐため、浸透枡の設置を義務付ける地域もある

下水道台帳をもとに現地の下水道埋設状況を確認する。排水本管の管底の高さと敷地内最終枡の底の高さをチェックする

都市ガスは、道路に埋設された低圧導管(本支管)から分岐して各家庭内に引き込まれる。敷地埋設深さは外構計画と併せて検討する[※5]

引込み柱を立て、地中ケーブルで電力を建物内に導くことで、道路から建物まで距離がある場合でも建物廻りをすっきり納めることができる

1

3

汚水・雨水の処理は検討したか2

4

役所、電気・ガス・水道各会社との打ち合わせチェックシート確認項目 管轄A 給水 水道局または建設局水道課□ 本管と引込み管の有無と位置、径を水道本管埋設管

図で確認する(既存管の再利用か、新規引込みが必要かを決定する)

□ 設計水圧を確認し、給水方式を決定する□ 負担金の有無を確認するB 排水 上下水道局または建設局水道課□ 本管・公設枡の有無と位置を下水道台帳で確認する

(既存枡の再利用か改修が必要かを決定する)□ 告示現況図を確認し、分流方式か合流方式かを確認

する□ 負担金(水道加入金・給水分担金など)の有無を確認

するC ガス ガス供給会社□ 都市ガスの場合、本管(低圧)と引込み管の位置をガ

ス埋設管図で確認する(本管の延長などが必要な場合は、工事費の算出をガス供給会社に依頼)

□ 都市ガスのない地域ではプロパンガスで計画を行うD 電力幹線 電力会社□ 送電線方式(架線・埋設線)を確認し、引込み方法を

決定する□ 電柱の移設などが必要な場合は電力会社と協議を行

うE 電話 電話会社□ 送電線方式(架線・埋設線)を確認し、引込み方法を

決定する□ 電柱の移設などが必要な場合は電力会社と協議を行

う□ 光ケーブルの引込みを検討する場合は、サービスエ

リア内かどうかを確認するF テレビ共聴 ケーブルテレビ会社□ ケーブルテレビ会社のサービスエリアを確認し、テレ

ビの共聴方式を決定するG 消防 消防署予防課(打ち合わせは規模による)□ 自動火災報知設備の設置義務を確認する□ 自動火災報知設備の受信機、総合盤の位置などを消

防署と打ち合わせる□ 規模によってはそのほかの消防設備も必要となる* 地域により指導内容が異なるため、打ち合わせは必

須である

敷地内配管の埋設深さの目安埋設場所 配管埋没深さ車両が通るおそれのある場所 0 .6m以上車両などの重量物(重車両を除く)の荷重がかかる場所

0 .3m以上

上記以外の場所 0 .15m以上地盤の凍結による影響を受けるおそれがある場所

0 .3m以上の無凍土の深さ

浸透枡の仕組み ガス

□ 都市ガス供給地域の場合、引込み経路を把握しているか(LPガスボンベが設置されているような地域では都市ガスが供給されていない可能性がある)

消防

□ 消防協議の有無を確認しているか(規模や用途によって打ち合わせの有無が異なる)

電力幹線

□ 電信柱の位置は確認したか[※ 1]

4

排水

□ 下水道本管の有無を現地で確認したか[※2]

□ 敷地内最終枡の有無や公設桝の位置・深さを調査したか

□ 雨水本管の有無を現地で確認したか

□ 合流方式か、分流方式かを下水道台帳で確認したか[※3]

2給水

□ 量水器の有無、位置、口径が上水道台帳と整合しているか

1

3敷地内最終枡

公設枡

ガス会社杭

旗竿敷地の場合、建物から道路までの距離が長いため、低圧線も長くなる

量水器の口径サイズを確認

026June 2015木造・S造・RC造 比べて分かる現場納まりマニュアル027 June 2015

共通|インフラ調査

共通|インフラ調査

チェックリスト

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スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)

標準貫入試験

試験機(機械式)ロッド

スクリューポイント

4m 4m

4m

6m

やぐらハンマー

滑車

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

1.00

0.0

2.0

7.0

22.0

4.0

2.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

44.0

0.25

0.50

0.75

1.00

1.25

1.50

1.75

2.00

2.25

2.50

2.75

3.00

3.25

3.50

3.75

4.00

4.25

4.50

4.75

5.00

5.25

5.50

25

25

25

25

25

25

25

25

25

25

25

25

25

25

25

25

25

25

25

25

25

25

0

8

28

88

16

8

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

176

ジャリジャリ

ガリギリ

ジャリジャリ

無音

ガリギリ

無回転急速

回転急速

回転緩速

無回転緩速

回転緩速

荷重WswkN

半回転数Na

貫入深さDm

貫入量L

cm

1m当たり半回転数

Nsw

記事

音・感触 貫入状況

推定柱状図

荷重 WswkN

0.25 0.5 0.75

貫入量1m当り半回転数 Nsw

ー0.60m

換算N値N

換算qa

kN/㎡

2.0

3.9

3.9

7.9

3.1

2.5

3.0

3.0

2.3

2.3

2.3

2.3

2.3

2.3

2.3

2.3

2.3

2.3

3.0

3.0

3.0

13.8

30.0

34.8

46.8

83.8

39.6

34.8

30.0

30.0

16.9

16.9

16.9

16.9

16.9

16.9

16.9

16.9

16.9

16.9

30.0

30.0

30.0

135.6

調査名 スウェーデン式サウンディング試験

調査地点 標高水位

凡例: 粘性土 砂質土 シルト

○○○○ ○○○○ KBM+0.120m GLー0.60m

最終貫入深さ 天候 晴

10.00m

測点番号年月日試験者試験方法 機械

○○○○2015年4月1日3

標尺

深さ

層厚

土質記号(m)(m)(m)

色調 土質 N値0

00

0

5

5

2

3

15

15

15

15

10

15

46

35

2

1.40

7.40

9.20

11.20

12.20

13.20

15.10

4.90

3.10

11.60

8.50

4.32

16.50

4.18

2.92

1.401.40

16.90

2.80

3.90

5.60

20 40 60 80 100

標準貫入試験

深さ(m)

表土茶褐色

暗褐色

灰褐色

灰色

灰色

腐植土

砂質粘土

粘土質砂

粘土

※6 SWS試験では、10mよりも深い地層の試験結果は、地中の摩擦やロッドの重みなどの影響を受けているため正確なデータとは言いがたい。10m以深の地盤状況を知りたい場合は標準貫入試験などほかの試験を行う※ 7 標準貫入試験などによって得られた土質試料をせん断試験や一軸および三軸圧縮試験などにより調べること

※ 1 このほかにも、構造物の根切り底に載荷板を水平に設置し、段階的に荷重をかけ、荷重段階ごとの沈下力を測定し支持力を求める「平板載荷試験」も一般的に使われる※ 2 4号建築物よりも規模の大きい 1 ~3号建築物では、構造計算時の N 値に、標準貫入試験から得られた実測値の使用を求められるので、標準貫入試験を行うケースが多い※ 3 搬入経路が 1m程度しか確保できない場合や、道路から宅地までの経路が階段しかない場合は事前に調査会社と協議しておく│※ 4 SWS試験において、重りの自重だけでロッドが地中に貫入するような地盤│※ 5 前面道路が狭い場合や道路から宅地まで経路が階段しかない場合は、調査ができないこともある。事前に調査会社と協議しておく

中小規模建築物の地盤調査で

主に採用されるスウェーデン式

サウンディング(SWS)試験と標

準貫入試験[表・※1]。どの方法

を選ぶかは、現場の状況や建物

の規模などの諸条件により判断

するが、4号建築物などの小規

模な建物ではSWS試験が一般

的[※2]。

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表│SWS試験と標準貫入試験の比較SWS試験 標準貫入試験

費用の目安 3~4万円(5地点) 15~20万円(1地点)作業スペース 1× 1m程度 4× 4m程度、高さ6m程度調査に要する時間 2~3時間程度(5地点) 約1日~測定できる値 静的貫入抵抗(Wsw・Nswの総称) N値調査深度 15m程度 制限はない特徴 作業が容易で一度に数ポイントを調

査できるため、宅地全体の地盤状況を確認できる。ただし支持層の確認はできず、土質の判別は難しい

土質の判別に加え、N 値が直接測定できるため、支持層の位置が確認できる。ただし広い作業スペースが必要で、時間もかかる。費用も高い

SWS試験は手軽かつ安価に地盤の状況を確認できるが、あくまで簡易的な試験であることを覚えておきたい。SWS試験は、5地点を調査することにより地盤全体の状況を予測する。標準貫入試験は地中より深くまで測定可能で、支持層と土質を確認できるが、作業が煩雑で比較的高価な調査。1日で終われば費用は15~20万円程度だが、支持層が確認できるまで 2日以上かかることもあり、その分コストはかさむことになる。事前に近隣のボーリングデータを確認し、支持層の深さをある程度想定しておきたい

SWS試験は各調査ポイントの差に注意する

有機質土は軟弱地盤の可能性大

SWS試験結果の例(一部略)

試験データ

試験データ

自沈層の有無と地盤のバランスに注目

標準貫入試験結果の例(一部略)

SWS 試験の結果は 1~5の項目を主に確認する1 地盤面から5m以内に自沈層がないか、特に、連

続する0.75kN自沈層がないかを確認する。地表から1m程度の自沈層であれば、砕石地業で転圧を入念に行うことで対処できる

2 水位を確認する。1mよりも浅い位置に水位がある地盤は、危険な軟弱地盤と考える。特に砂質土の場合は液状化のおそれがあるため標準貫入試験などのより詳しい調査を行う

3 推定柱伏図から得られる土質の情報は参考程度にとどめる

4 10mよりも深い地層のデータは参考程度にとどめる[※ 6]

5 すべての調査ポイントの数値と最終貫入深度の差を比べることで、支持力のバランスがよい地盤か悪い地盤かを判断する

標準貫入試験の結果は1 ~3の項目を主に確認する1 木造住宅の小口径鋼管杭であれば N 値15が 2

m程度、柱状地盤改良であれば N 値4~5が 2m程度続くことが求められる。N値 50以上の地盤が5m以上続けば、その部分は構造・工法を問わず、ほぼどのような杭でも支えられる支持層と判断できる

2 標準貫入試験によって得られた土質データは信頼性が高い。有機質土(腐植土)は含有する水分量が多く圧縮性が高い、軟弱地盤の典型。注意を要する。セメント系固化材を使う地盤補強は固化不良を起こしやすく、有機質土を含む地盤には向いていない

3 深さ約5mまでの土質が砂質土で、地下水位が高く、N 値が 10以下である地盤は、液状化の可能性が高い

地盤調査計画建物の規模によって

調査方法が変わる

N 値がいくつか土質と合わせて確認する

ここもCHECK □ 既存建築物がある敷地で、解体前に調査をした場合、解体後に再調査を行ったか□ 既存または新規の擁壁がある場合、擁壁部分でも調査を行ったか

ここもCHECK □ 新たに2m以上の擁壁を築造する場合は擁壁底版部分でも試験を行ったか

□ 地下室を計画する場合は、根切り底の土で室内土質試験[※ 7]を行ったか

□ 雨期は地下水位が上昇することがあるので、地下室を計画する場合は特に注意

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2

2

3

1 調査前

□ 調査会社に配置図を渡したか

□ 盛土・新規擁壁の計画がある場合は、調査会社へ伝えたか 

□ 機材の搬入経路を確保できるか[※3] 試験データ

□ 地盤面から5m以内に自沈層[※4]がないか

□ 液状化が生じるおそれのある地盤ではないか

□ 調査ポイントごとにデータのばらつきはないか

調査前 

□ 調査会社に配置図を渡したか

□ 機材の搬入経路を確保できるか[※ 5]

調査スペース 

□ 4×4m以上のスペースが確保できるか

□ 調査ポイントの上方に高さ6m程度のやぐらを組むスペースを確保できるか

試験データ 

□ N値は計画建物に対して十分な値か

□ 有機質土が含まれていないか

調査ポイント 

□ 計画建物の4隅と中心部の計5カ所を調査したか

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028June 2015木造・S造・RC造 比べて分かる現場納まりマニュアル029 June 2015

共通|地盤調査

スウェーデン式サウンディング試験

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標準貫入試験 

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