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1 第10章 コンクリート板構造の設計 第10章の構成 10 1 板構造の概要と種類 10.1 板構造の概要と種類 10.1.1 スラブの基本構造と設計 10.1.2 フラットスラブ 10.1.3 フーチング 10.1.4 シェルおよび壁 道路橋床版 10.1.5 道路橋床版 第10章の構成 10.2 道路橋床版の要求性能 10 2 1 日本道路協会 道路橋示方書 10.2.1 日本道路協会道路橋示方書同解説 10.2.2 土木学会:コンクリート標準示方 書・維持管理編 10.2.3 土木学会・道路橋床版の合理化 検討小委員会:道路橋床版の性 能照査型設計指針(案)2008 10.2.4 土木学会:鋼・合成構造標準示 方書 第10章の構成 10 3 道路橋RC床版の静的耐力 10.3 道路橋RC床版の静的耐力 10.3.1 曲げ耐力 10.3.2 押抜きせん断耐力 10.4 道路橋RC床版の疲労強度 疲労損傷機構 10.4.1 疲労損傷機構 10.4.2 疲労強度

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第10章 コンクリート板構造の設計

第10章の構成

10 1 板構造の概要と種類10.1 板構造の概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計10.1.2 フラットスラブ10.1.3 フーチング10.1.4 シェルおよび壁

道路橋床版10.1.5 道路橋床版

第10章の構成

10.2 道路橋床版の要求性能10 2 1 日本道路協会 道路橋示方書10.2.1 日本道路協会:道路橋示方書・

同解説10.2.2 土木学会:コンクリート標準示方

書・維持管理編10.2.3 土木学会・道路橋床版の合理化

検討小委員会:道路橋床版の性能照査型設計指針(案)2008

10.2.4 土木学会:鋼・合成構造標準示方書

第10章の構成

10 3 道路橋RC床版の静的耐力10.3 道路橋RC床版の静的耐力10.3.1 曲げ耐力10.3.2 押抜きせん断耐力

10.4 道路橋RC床版の疲労強度疲労損傷機構10.4.1 疲労損傷機構

10.4.2 疲労強度

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第10章の構成

10 5 道路橋床版の設計10.5 道路橋床版の設計10.5.1 道路橋RC床版の設計10.5.2 道路橋PC床版の設計10.5.3 道路橋合成床版の設計

10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計(pp.135)

○スラブ(板,版)の定義ブは 厚さが長さある は幅 比べ 薄 構スラブは,厚さが長さあるいは幅に比べて薄い構

造部材であり,荷重がその面にほぼ直角に作用し,主として面外曲げと面外せん断の作用に抵抗する部材である.スラブに作用した面外荷重は,直接基礎あるいは梁や柱に伝達される.礎あ 梁 柱 伝

スラブの概念

10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

(1)スラブの設計(pp.135)ブ 作 する曲げ ん断力 ねスラブに作用する曲げモーメント,せん断力,ね

じりモーメントおよび支点反力は,スラブの支持条件,スラブの形状,載荷状態などを考慮して,薄板理論により求めることを原則としている.薄板理論による厳密な解析は煩雑であるため,近似的な計厳密な解析 煩雑 あ ,近似 な計算方法として,現在までに提案されている図表や数表を用いた方法を利用することができる.

10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

1)スラブのスパン(pp.135)ブ 計算 る パ は 般 支承スラブの計算に用いるスパンは,一般に,支承

面の中心間距離としている.

支承面の奥行きが長い場合は支承面の中心間距離と,スラブの純スパンにスパン中央におけるスラブの厚さを加えた値の小さい方とする.

剛な壁に固定されたスラブまたははりと単体的に造られたスラブの場合には,純スパンとしてよい.

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10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

1)スラブのスパン(pp.135)

10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

2)集中荷重の分布(pp.135)ブ表 作 する集中荷重は そ 接触スラブ表面に作用する集中荷重は,その接触面

の外周からスラブ厚さの1/2 の距離だけ離れ,荷

重とスラブとの接触面に相似な形状を有する範囲に分布するのもとする.上置層がコンクリートまたはアスファルトコンクリートの場合には,上記の距ァ クリ 場合 , 記 距離に上置層の厚さを加えるものとする.ただし,上置層の材料が軟らかいものである場合には,上置層の厚さとしてその3/4 を用いる.

10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

2)集中荷重の分布(pp.135)

10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

3)一方向スラブと二方向スラブ(pp.135)短スパンに対する長スパンの比が短スパンに対する長スパンの比が

コンクリート標準示方書では2.5 以上道路橋示方書では2.0 以上

のとき一方向スラブといい,短スパンに平行な方向に鉄筋(主鉄筋)を多く配置して主にこの方向で鉄筋( 鉄筋)を多 置 方荷重を受け持たせるように設計する.

短スパンに対する長スパンの比が上記の値よりも小さいスラブを二方向スラブといい,二方向に主鉄筋を配置する.

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10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

3)一方向スラブと二方向スラブ(pp.135)Y軸

X軸

Y軸

一方向スラブ:X軸に作用するモーメントが卓越する二方向スラブ:X軸、Y軸に作用するモーメントの大きさがほぼ同じ

10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

(2)一方向スラブスパンに直角な相対する 辺によ て単純支持スパンに直角な相対する2 辺によって単純支持

されている一方向スラブに集中荷重が作用する場合の曲げモーメントは,スラブ全スパンにわたり,有効幅を有する単純ばりとして近似的に求めてよい.

10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

(2)一方向スラブ(pp.136)

10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

(2)一方向スラブ(pp.136)方向 ブ は主 短辺 平行な方向 主鉄一方向スラブでは主に短辺に平行な方向に主鉄

筋を配置して曲げモーメントに抵抗するが,スラブとしての構造を維持するためには長辺方向の連続性を維持することも必要である.(スラブには二方向にモーメントが発生するため)

→ 一方向スラブでは,スパン直角方向に対して十分な配力鉄筋を配置しなければならない.

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10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

(3)二方向スラブ(pp.137)短 パ と長 パ と 比が 方向短スパンと長スパンとの比が0.4以下の二方向ス

ラブが等分布荷重を受ける場合は,荷重を短スパン方向だけで受けるものと仮定し,スラブ全幅を有効として一方向スラブに近似して断面力を求めてよい.

しかし,長スパン方向にも曲げモーメントが生じるので配力鉄筋が必要である.(長スパン方向の配力鉄筋については,コンクリート標準示方書を参照)

10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

(3)二方向スラブ(pp.137)方向 ブが そ 周辺 壁またははりと単二方向スラブが,その周辺で壁またははりと単

体的に造られていない場合,またはスラブが支承を超えて連続していない場合には,スラブの隅角部の上下両側に用心鉄筋を配置しなければならない.用心鉄筋は,スラブの上側では対角線に平鉄 角線行に配置し,下側では対角線に直角に配置するものとする.これらの鉄筋は,スラブの両辺に平行な二方向に配置してもよい.

10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

(3)二方向スラブ(pp.137)

10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

(4)斜めスラブ(pp.137)斜め ブは 斜角 程度および ブ幅を考斜めスラブは,斜角の程度およびスラブ幅を考

慮して設計しなければならない.斜角θが45°未

満の斜めスラブは,有限要素法,格子桁理論等を用いた検討を行わなければならない.

斜めスラブ

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10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

(4)斜めスラブ(pp.137)斜角θ が °以上の二辺単純支持の斜めスラブ斜角θ が45°以上の二辺単純支持の斜めスラブ

の曲げモーメントは,次の簡易計算法を用いて求めてもよい.① b/li≦0.75 の場合:li をスパンとする一方向スラブとして計算する.② b/li>0.75 の場合:ln をスパンとする一方向スラブとして計算する.

10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

(4)斜めスラブ(pp.137)1) 斜めスラブの正鉄筋1) 斜めスラブの正鉄筋① b/li≦0.75 の場合は,斜めスパンの方向に配置する.② b/li>0.75 の場合は,スラブの中央部では直のスパン方向に配

置し,スラブ両側では,斜角の程度およびスラブの幅に応じて斜めのスパン方向に配置するか,耳桁を設けて直のスパン方向に配置する.

2) 斜めスラブの配力鉄筋① b/li≦0.75 の場合は,正鉄筋に直角または支持辺に平行に,正

鉄筋量の1/4 以上を配置する.② b/li>0.75 の場合は,支持辺に平行に,正鉄筋量の1/3 以上を

配置する.

10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

(4)斜めスラブ

10.1 スラブの概要と種類10.1.1 スラブの基本構造と設計

(4)斜めスラブ(pp.137)斜め単純 ブ 鈍角部 は ねじり メ ト斜め単純スラブの鈍角部には,ねじりモーメント

によって鈍角部の二等分線に対して直角方向に引張応力が生じることがある.→用心鉄筋を配置

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10.1 スラブの概要と種類10.1.2 フラットスラブ(pp.138)

フラットスラブ:スラブが柱で直接に,またはドロップパネルを介して支えられ かつプパネルを介して支えられ,かつ,剛結されているスラブ.

10.1 スラブの概要と種類10.1.2 フラットスラブ(pp.138)

柱間の梁を省く →大空間の確保が可能だが集中荷重に弱い荷重に弱い.

⇒カラムキャピタルとドロップパネルで対応.(負の曲げモーメント、押し抜きせん断力を低減)

設計

柱頭部にお 集中反力 曲げ メ トを受け柱頭部において集中反力,曲げモーメントを受けるスラブとして板理論で解くのが基本.

全体をラーメンとみなす置換ラーメンとして断面力を求めてよい.

10.1 スラブの概要と種類10.1.3 フーチング(pp.138)

フーチング:柱からの上部工荷重を担う構造物で,フラットスラブを逆にしたような形となっフラットスラブを逆にしたような形となっている.(基礎の一種)

10.1 スラブの概要と種類10.1.4 シェルおよび壁(pp.139)

シェルは,面内のみならず,面外の断面力をも支持するとともに,その形状はシェル理論が適用されるものでなけとともに,その形状はシェル理論が適用されるものでなければならない.一般に,シェルを構成する要素間の力のつり合い条件と変形の適合条件を満足するように,断面力および変位を求める.実際の計算では,有限要素法などの離散化手法を用いるか,あるいはシェル構造の挙動を近似できる範囲内で単純化してよい.

壁は,その厚さの4 倍以上の水平方向の長さをもつ鉛直の平板部材であって,鉛直方向の荷重を受ける壁,面に垂直な荷重を受ける壁,面内の曲げを受ける壁,せん断壁(耐震壁)などがある.

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10.1 スラブの概要と種類10.1.5 道路橋床版(pp.139)

道路橋床版は道路橋示方書に従って設計する.

道路橋床版の特徴:

① 主に載荷面積(道路橋示方書ではダブルタイヤの接地面積を考えて500mm×200mm)が小さいが,荷重強度の大きい輪荷重が作用する.

② 輪荷重は任意の位置を走行するため,設計時に載荷位置を特定しにくい.

③ 道路橋は も公共性が高く,安全性を大きくとり,かつ,安全率を統一する必要がある.

④ 主桁等との結合方法ならびに主桁間隔がほぼ統一されている.

10.1 スラブの概要と種類10.1.5 道路橋床版(pp.139)

道路橋示方書による床版設計上の特別な規定

① 小床版厚式が与えられている.② 独自の設計曲げモーメント式が与えられている.③ 道路橋示方書の設計式を用いれば,せん断の照査

は省略してよい.④ 使用する鉄筋の種類,許容応力度を特別に規定し

ている.

10.1 スラブの概要と種類10.1.5 道路橋床版

道路橋床版の分類(pp.140)

10.1 スラブの概要と種類10.1.5 道路橋床版

(1)場所打ち床版(pp.139)

架設現場の桁上に型枠を設置し,鉄筋の配置とコンク架設現場の桁上に型枠を設置し,鉄筋の配置とコンクリートの打設を行い,適切な養生・処理を経た後に完成する床版.

主に鉄筋コンクリート床版,プレストレストコンクリート床版が採用される.

施工期間がハーフプレキャスト,フルプレキャスト床版より長くなる傾向があるり長くなる傾向がある.

施工管理が性能に大きく影響する.

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10.1 スラブの概要と種類10.1.5 道路橋床版

(2)ハーフプレキャスト(ハーフプレハブ)床版(pp.140)

場所打ち床版とフルプレキャスト床版の中間に位置する場所打ち床版とフルプレキャスト床版の中間に位置する床版である.

製作方法は,床版の一部(多くの場合は床版下面に当たる部分)を工場で製作し,架橋地点に搬入し,主桁上に敷設した後,残りの部分の製作を行うという形式をとる.

10.1 スラブの概要と種類10.1.5 道路橋床版

(2)ハーフプレキャスト(ハーフプレハブ)床版(pp.140)ハーフプレキャスト(ハーフプレハブ)床版の長所( )床版 長所① 一部ではあるが工場で製作するため,場所打ち床版より品質管

理を行いやすく,耐久性の確保も容易である.② 工場での製作を一部に限ることから,工場から現場へ輸送する

ときの重量がフルプレキャスト床版より大幅に軽くなり,輸送に関わる作業を軽減させることができる.

③ 工場製作された部分を型枠代わりに使用できるので,型枠設置・撤 務 幅 減 施 省 短縮撤去に関する労務を大幅に削減でき,施工の省力化や工期短縮の点で有利になる.

④ 床版断面内の引張側に鋼板,プレキャストPC 板,FRP 板など通常のコンクリートと比較して引張に強い素材を配置できるので,場所打ち床版と比較して床版の自重を小さくすることができる.

10.1 スラブの概要と種類10.1.5 道路橋床版

(2)ハーフプレキャスト(ハーフプレハブ)床版(pp.140)

10.1 スラブの概要と種類10.1.5 道路橋床版

(2)ハーフプレキャスト(ハーフプレハブ)床版(pp.140)

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10.1 スラブの概要と種類10.1.5 道路橋床版

(3)フルプレキャスト(プレハブ)床版(pp.140)

フルプレキャスト(プレハブ)床版とは,工場または現場フルプレキャスト(プレハブ)床版とは,工場または現場近くのヤードで製作されたプレストレストコンクリート版(PC パネル),あるいは鉄筋コンクリート版(RC パネル)を架橋

地点に搬入し,主桁上に敷設した後,板と板を接合して桁と一体化させた床版をいう.

10.1 スラブの概要と種類10.1.5 道路橋床版

(3)フルプレキャスト(プレハブ)床版(pp.141)① プレキャスト版は,拘束のほとんど無い状態で製作されるため乾① 版 ,拘 製 乾

燥収縮等による初期ひび割れの低減が図れる.また,版製作完了から敷設,桁との結合までの時間をあけることで,クリープ・乾燥収縮ひずみの処理を行うことが可能(=敷設して桁との結合以降,桁拘束状態での残存ひずみを少なくする)となり,より一層初期ひび割れの低減が図れる.

② PC 構造の採用によりひび割れ耐力の向上が図れる.RC 構造部 特性 荷 も 初 びの場合,部材の特性上,設計荷重もしくはそれ以下で初期ひび

割れが入ってしまうことが多い.PC 構造とすることで,導入プレストレス量の大小によって,引張応力合成応力)の制御ができ,ひび割れの発生しない構造とすることが可能であり,床版の疲労耐久性が向上する.

10.1 スラブの概要と種類10.1.5 道路橋床版

(3)フルプレキャスト(プレハブ)床版(pp.142)

プレキャスト化は,耐久性の向上が図れるばかりでなく,プレキャスト化は,耐久性の向上が図れるばかりでなく,施工性,省力(人)化,安全性,工期短縮の面から

も有利である.ただし,経済性は,イニシャルコストのみの評価では不利となるが,維持管理等のランニングコストを含めたライフサイクルコスト(LCC)による検討を行うと有利性が見出される.

10.2 道路橋床版の要求性能(pp.142)

平成14 年3 月に実施された道路橋示方書,2002 年制定のコンクリート標準示方書の改訂において,設計に関す定の ンクリ ト標準示方書の改訂において,設計に関す

る考え方として,これまでの仕様規定型設計法から性能査型設計法への転換が明確に打ち出された. 近では,

これらに加え土木学会・道路橋床版の合理化検討小委員会から道路橋床版の性能照査型設計指針(案)2008が提

案されており,その主な内容は鋼・合成構造標準示方書と盛り込まれ 鋼鈑桁橋 床版設計 供され るへと盛り込まれ,鋼鈑桁橋の床版設計に供されている.

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10.2 道路橋床版の要求性能(pp.142) 10.2.1 日本道路協会:道路橋示方書・同解説

① 使用目的との適合性:橋梁が計画通り交通に利用できること.供用性(安全・快適に通行できる)等を含む.

② 構造物の安全性:死荷重,活荷重,地震荷重等に対し,適切な安全性を保有していること.

③ 耐久性:経年劣化(繰り返し荷重による疲労や鋼材の腐食)が発生しても所要の性能が確保できること.

④ 施工品質の確保:使用目的との適合性や構造物の安全性を確保する為に確実な施工が行えること.施工中の安全性も含む.

⑤ 維持管理の容易さ 供用中の日常点検 材料状態の調査 補修⑤ 維持管理の容易さ:供用中の日常点検,材料状態の調査,補修作業が容易に行えること.

⑥ 環境との調和:周辺環境にふさわしい景観性を有すること等.⑦ 経済性:建設費に点検管理や補修等の維持管理費などを加えた,

供用期間中の経費の合計を 小にできること.

10.2 道路橋床版の要求性能(pp.142) 10.2.1 日本道路協会:道路橋示方書・同解説

実際の設計では

①橋梁の機能が一時的にでも失われるような事態(橋梁の架替・大規模補修)は極力ないように設計することが望ましい.

②適切な維持管理が行われるという条件の下で,耐久性に関して一定の知見が得られている(現在の技術水準から将来の予測がある程度可能である)項目に関しては,目安の供用期間として100 年を設定する.

10.2 道路橋床版の要求性能(pp.142) 10.2.1 日本道路協会:道路橋示方書・同解説

使用目的との適合性:通行者が安全・快適に使用できる供用性ⅰ)供用性を害するような過大な変形を生じない.ⅱ)通行者に不快感を与えるような振動を生じない.

耐久性:

鋼材の疲労・腐食,鉄筋コンクリート床版の損傷,支承・伸縮装置の破損の防止.特に,床版は,補修や取替えを実施する場合に交通に与える影響が大きく,耐久性に配慮して設計しても損傷を確実に回避できない可能性があることから,補修方法も含めた耐久性の検討を十分に行う検討を十分に行う.また,II 鋼橋編8 章では,活荷重に対する安全性を満たすことと,

「活荷重に対して疲労耐久性を損なう有害な変形が生じない」,「自動車(大型車)の繰り返し通行に対し,疲労耐久性が損なわれない」ことが必要と規定されている.防水工の設置についても注意.

10.2 道路橋床版の要求性能10.2.2 土木学会:コンクリート標準示方書

・維持管理編(pp.143)

① 安全性:耐震性能を含む断面破壊に関する安全性 疲労破壊に① 安全性:耐震性能を含む断面破壊に関する安全性,疲労破壊に関する安全性,構造物の安定に関する安全性.

② 使用性:構造物の使用者や周辺の人が快適に構造物を使用するための性能と構造物に要求される諸機能に関する性能.

③ 第三者影響度:コンクリートの剥落や騒音などの構造物に起因した第三者への公衆災害に関する性能.

④ 美観・景観:構造物の汚れや劣化(鉄筋腐食に起因する錆汁の

流出,ひび割れ)の影響を含めた周辺環境との調和に関する性能.

⑤ 耐久性:安全性,使用性,第三者影響度,美観・景観の各性能に対する各々の耐久性.

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10.2 道路橋床版の要求性能10.2.2 土木学会:コンクリート標準示方書

・維持管理編(pp.143)

10.2 道路橋床版の要求性能10.2.3 土木学会・道路橋床版の合理化検討小委員会:道路橋床版の性能照査型設計指針(案)2008 (pp.143)

① 安全性:構造安全性,施工時安全性.

② 使用性:走行性,歩行性,第三者被害の防止,その他の配慮.

③ 維持管理性:維持管理性.

④ 耐久性:耐疲労性,耐腐食性,材料劣化抵抗性.

⑤ 社会・環境適合性:社会的適合性,経済的合理性,環境適合性.

10.2 道路橋床版の要求性能10.2.3 土木学会・道路橋床版の合理化検討小委員会:道路橋床版の性能照査型設計指針(案)2008 (pp.143)

③ 維持管理性:管理者が構造物を管理する際に,劣化損傷等によって他の要求性能を損なわないよう,橋梁の設計供用期間全体に対して点検・補修・補強・取替等の可能性を確保する性能.

④ 耐久性:設計供用期間中に受ける種々の作用に対して,床版の性能が低下することに対する抵抗性.床版では主な性能低下要因として疲労,腐食,材料の劣化に対する抵抗性が主たる検討対象となる性能.

⑤ 社会・環境適合性:構造物が健全な社会,経済,文化等の活動に貢献し,周辺の社会環境,自然環境に及ぼす悪影響を 小限にする性能.橋梁の重要度が社会環境に適合していることや要求性能を確保するために必要となるコストが適正な範囲に保たれていること,環境負荷の低減などを性能化したもの.

10.2 道路橋床版の要求性能10.2.4 土木学会:鋼・合成構造標準示方書(pp.144)

① 安全性:構造安全性(耐荷力,安定性,他),公衆安全性(落下物

等第三者への被害),地震時の安全性(耐荷力,変形性能,安定等第 者 被害),地震時 安 性(耐荷力,変形性能,安定性),施工時の安全性(耐荷力,変形性能,初期健全性).

② 使用性:利用者の使用性(走行性,歩行性),地震後の使用性

(走行性,歩行性),構造物管理者の使用性(維持管理の容易性).

③ 修復性:地震後の修復性(地震時の損傷に対する修復),維持管理性(経年変化に対する修復).

④ 社会 環境適合性 社会的適合性(社会的重 度 考慮) 経済④ 社会・環境適合性:社会的適合性(社会的重要度の考慮),経済的合理性(LCC,LCU),環境適合性(騒音・振動,環境負荷LCA,景観ほか),施工時環境適合性(騒音・振動,環境負荷LCA).

⑤ 耐久性:①から③のすべてにかかわる耐久性(耐疲労性,耐腐食性,材料劣化抵抗性)

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10.3 道路橋RC床版の静的耐力10.3.1 曲げ耐力(pp.144)

二辺単純支持の一方向RC 床版(長辺:短辺=2:1 程度)に輪荷重のような部分集中荷重が床版中央に作用する場合,

10.3 道路橋RC床版の静的耐力10.3.2 押抜きせん断耐力(pp.144)

道路橋示方書に規定されているRC 床版の設計曲げモーメント式を

用いた許容応力度設計を行う場合 せん断力に対する照査は行わ用いた許容応力度設計を行う場合,せん断力に対する照査は行わなくてよい.

一方で,自動車の繰返し通行に対して疲労耐久性が損なわれないようにしなければならないとされており,道路橋床版には,供用期間中に疲労破壊しないことが要求される.RC床版の疲労照査を行う

ためには,その疲労破壊メカニズムから,押抜きせん断耐力の検討が必要.が必要.

10.3 道路橋RC床版の静的耐力10.3.2 押抜きせん断耐力(pp.145)

(1)コンクリート標準示方書の式

はりのせん断耐力算定式と同様な形となっており,各種の実験結果をもとにして係数が定められている.

10.3 道路橋RC床版の静的耐力10.3.2 押抜きせん断耐力

(2)角田らの式(pp.145)

角田らは,多くの実験データについてパラメータ分析し,実験式を提案している.

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10.3 道路橋RC床版の静的耐力10.3.2 押抜きせん断耐力

(3)前田・松井の式(pp.145)

前田・松井は,破壊モデルを仮定し,これに基づいた実験式を提案している.

10.3 道路橋RC床版の静的耐力10.3.2 押抜きせん断耐力

(3)前田・松井の式(破壊モデル) (pp.145)

10.3 道路橋RC床版の静的耐力10.3.2 押抜きせん断耐力

(4)浜田らの式(pp.146)

浜田らは,多くの実験データについて押抜きせん断耐力に及ぼす影響因子を統計分析し,かぶり厚さの影響を考慮した式を提案している.

10.4 道路橋RC床版の疲労強度10.4.1 疲労損傷機構

道路橋床版の疲労損傷は自動車の繰返し通行によるものであり,昭和39 年の道路橋示方書を適用した道路橋床版に抜け落ち現象が多く発生した.

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橋軸直角方向(主鉄筋方向)ひびわれ(pp.146)

・ コンクリートの乾燥収縮,温度応力が鋼桁により拘束

・ 輪荷重による曲げモーメントの作用

直交二方向ひびわれ(pp.146)

・ 曲げモーメントの再配分により配力鉄筋方向にひび割れ

・ 等方性版から異方性版へと変化

亀甲状ひびわれ(pp.146)

・ 輪荷重の繰返しにより亀甲状ひび割れの発達

・ ねじりモーメントによる床版上面からのひび割れ発生

貫通ひびわれからの遊離石灰(pp.146)

・ 上下面からのひび割れが貫通

・ 上面からの雨水の浸透により遊離石灰が析出

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角落ち,はり状化(pp.146)

・ ひび割れ面のこすり合わせ,角落ちの発生

・ 損傷の著しい進行

押抜きせん断破壊(pp.146)

RC床版の疲労劣化過程(pp.146)

(a) 一方向ひび割れの発生 (b) 二方向ひび割れの発生(a) 一方向ひび割れの発生 (b) 二方向ひび割れの発生

(c) ひび割れ網の発達と角落ちの発生

(d) 床版の陥没(c) ひび割れ網の発達と角落ちの発生

(d) 床版の陥没

10.4 道路橋RC床版の疲労強度10.4.2 疲労強度(pp.147)

道路橋床版を含めたスラブ構造が繰返し荷重を受ける場合には,疲労の照査が必要となる場合には,疲労の照査が必要となる.

コンクリート標準示方書では荷重作用点が固定されている場合の押抜きせん断疲労の照査式が規定されており,道路橋床版のように荷重作用点が移動するような場合には押抜きせん断疲労強度が著しく低下するため,実験など適切な方法によって疲労強度を推定する必要がある.

道路橋床版の押抜きせん断疲労に関しては示すような自動車の走行をシミュレートする実験方法が考案され,S-N 曲線が提案されている.

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10.4 道路橋RC床版の疲労強度10.4.2 疲労強度(pp.147)

10.4 道路橋RC床版の疲労強度10.4.2 疲労強度

(1)コンクリート標準示方書(pp.147)

コンクリート標準示方書では,部分集中荷重が繰返し作用するスラブの破壊形式として主鉄筋の引張破断と押抜きせん断破壊の2ラブの破壊形式として主鉄筋の引張破断と押抜きせん断破壊の2種類について照査する.鉄筋の照査式は次式で表される.

一方,押抜きせん断疲労の照査式は次式で表される.ただし,上述したように この式は繰返し荷重の作用点がある定まった点での述したように,この式は繰返し荷重の作用点がある定まった点での実験結果から誘導されたものであり,自動車が走り抜ける道路橋床版には適用が困難である.

10.4 道路橋RC床版の疲労強度10.4.2 疲労強度

(2)松井らによるS-N曲線(pp.147)松井らは,道路橋床版の終局状態において,はり状化した床版の

主鉄筋断面に作用するせん断力が疲労破壊に対して支配的であるとして,S-N 線図の縦軸に作用荷重とはり状化した主鉄筋断面のせん断耐荷力との比,横軸に走行回数をとった対数で表現したS-N 曲線を提案している.また,床版上面に水を張った状態での輪荷重による疲労試験では著しく疲労寿命が低下することが明らかにされている.乾燥状態および湿潤状態でのS-N 曲線は次式で表されるれる.

10.4 道路橋RC床版の疲労強度10.4.2 疲労強度

(2)松井らによるS-N曲線(pp.147)

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10.4 道路橋RC床版の疲労強度10.4.2 疲労強度

(2)松井らによるS-N曲線(pp.148)

10.4 道路橋RC床版の疲労強度10.4.2 疲労強度

(2)松井らによるS-N曲線(pp.148)

10.4 道路橋RC床版の疲労強度10.4.2 疲労強度(pp.148)

(3)土木学会・道路橋床版の合理化検討小委員会によるS-N 曲線

土木学会・道路橋床版の合理化検討小委員会では,我が国で運用されている様々な形式の輪荷重走行試験機を用いて行った疲労試験の結果に対して様々な検討を加えた結果,各試験機で試験結果に異なる傾向が確認できる原因として,各試験機での荷重分布状態の違いやその結果として生じる貫通ひび割れ間隔の変動が考えられることを指摘している.この中でも床版に生じる貫通ひび割れ間隔を実測し,その値を床版の終局時のはり幅として試験結果に修正を加えて得られたS N 曲線が図10 4 5 に示されるものである こ正を加えて得られたS-N 曲線が図10.4.5 に示されるものである.この曲線は提案式により与えられることが明らかにされている.

10.4 道路橋RC床版の疲労強度10.4.2 疲労強度(pp.148)

(3)土木学会・道路橋床版の合理化検討小委員会によるS-N 曲線

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10.5 道路橋床版の設計10.5.1 道路橋RC床版の設計(pp.148)

(設計上の規定)① コンクリートの設計基準強度は,24N/mm2 以上とする.② 鉄筋の許容応力度は 140N/mm2 に対し 20N/mm2 程度の余裕② 鉄筋の許容応力度は,140N/mm に対し,20N/mm 程度の余裕

を持たせる.③ 車道部分の床版厚(d)は,一般に,d=k1・k2・d0>160mm とする.( d0:床版の 小全厚,k1:大型車の交通量による係数,k2:床版を

支持する桁の不等沈下によって生じる付加曲げモーメントの係数で,一般に,k2=1.0 )

10.5 道路橋床版の設計10.5.1 道路橋RC床版の設計(pp.149)

④ 床版の設計曲げモーメントは,B 活荷重に対して,表10.5.3 に示す式で算定する.A 活荷重で設計する橋においては,表10.5.3 にす式で算定する 活荷重で設計する橋にお ては,表 に示す式で算定した値を20%低減した値としてよい.ここに,基幹的な道路網を形成する橋の設計にあたっては,B 活荷重を適用し,その他の市町村道の設計にあたっては,A 活荷重を適用してよい.等分布荷重に対しては,表10.5.4 により算出する.

10.5 道路橋床版の設計10.5.1 道路橋RC床版の設計(pp.149)

10.5 道路橋床版の設計10.5.1 道路橋PC床版の設計(pp.150)近年では,少数主桁形式の鋼橋が建設されるようになり,床版支

間が従来のRC 床版より大きくなるため,橋軸直角方向にプレストレスを導入したPC 床版が一般的に用いられるようになってきたスを導入したPC 床版が一般的に用いられるようになってきた.

道路橋示方書の適用範囲を大きく越える橋梁が建設されるようになり,設計曲げモーメント式や床版厚について検討がなされている.死荷重に対する設計曲げモーメントは鋼桁位置で単純支持または固定支持したはりモデルにより算出し,活荷重については道路橋示方書により算出しているか,あるいはFEM 解析を用いて設計曲げモーメント式を誘導しているモ メント式を誘導している.

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10.5 道路橋床版の設計10.5.1 道路橋PC床版の設計(pp.150)

10.5 道路橋床版の設計10.5.1 道路橋PC床版の設計(pp.150)

一方向PC 床版では,プレストレスを導入していない方向はRC 構造

となるため,ひび割れが発生する.そのため,設計曲げモーメントを直 性 考慮 があ誘導する場合には直交異方性を考慮する必要がある.

また,近年の研究により死荷重モーメントは鋼桁位置での支持状態が単純支持と固定支持の中間程度の値となることが分かり,垂直補剛材や横桁による回転拘束,鋼桁の不同沈下の影響を考慮した構造全体の挙動を反映した合理的な設計曲げモーメントの算出が必要である.

10.5 道路橋床版の設計10.5.1 道路橋合成床版の設計(pp.150)

(1)設計曲げモーメント

10.5 道路橋床版の設計10.5.1 道路橋合成床版の設計

(2)ずれ止めの設計(pp.151)1)設計せん断力

2)疲労に対する安全性

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10.5 道路橋床版の設計10.5.1 道路橋合成床版の設計

(2)ずれ止めの設計(pp.152)

10.5 道路橋床版の設計10.5.1 道路橋合成床版の設計

(3)その他(pp.152)

① 鋼部 結 ず 部 鋼板 鋼① 鋼部材とコンクリートを結合するずれ止めの溶接部や鋼板・形鋼

等の取り付け部あるいは開口部における鋼部材の疲労に対して配慮すること.

② 継手部が一般部と同等の耐荷力および耐久性を有していること.

③ 内部に水が浸入した場合にも滞水が生じないように配慮すること③ 内部に水が浸入した場合にも滞水が生じないように配慮すること.