第18回関西Gyro Meetingkansaigyro.web.fc2.com/lecture18/clinical1nakao.pdf第18回関西Gyro Meeting 冠動脈撮影こんな事考えて撮影しています医療法人昭陽会和歌山南放射線科クリニック

第18回関西Gyro Meeting

冠動脈撮影

こんな事考えて撮影しています

医療法人昭陽会和歌山南放射線科クリニック

中尾裕次

Outline

☆心臓検査に役立つ心電図の情報

☆右冠動脈と左冠動脈の静止時間

☆冠動脈静止時間と呼吸同期 Navigator

☆撮影断面のOrientation Tra or Sag ？

☆画像の供覧

第18回関西Gyro Meeting 2013.7.13


心臓検査に役立つ心電図の情報

• 心臓の刺激伝導系と心電図波形（P-QRS-T波）について

• 心臓MRI検査はR波同期で行う

→ R波が大きくなるように電極を貼る（コツは？）

• R波が規則正しく出現し，心拍数が50(60)～100/分なら適正HR100以上を頻脈， HR60(50)以下を徐脈という

• HR150以上の頻脈やHR40以下の徐脈は緊急事態

→ 検査を中断して，不整脈の治療が必要

• 心筋梗塞の心電図変化について


●P波：心房の興奮過程を示す

●QRS波：左右心室の興奮過程を示す

●ST ： QRSの終わりからTの始まりまで。心筋が一時的に興奮を受け入れられない時期

●T波：心室筋の再分極（電気的回復）過程

●U波：定義は不明

●PR時間 : 洞結節から心室までの伝導時間

●QT時間：心室の脱分極から再分極までの時間 -- 心拍数により変化するので、心拍数で補正する

Bazettの式QTc=QT/√RR (正常値 0.35～0.44)

心臓の刺激伝導系と心電図波形（P-QRS-T波）について

心臓の電気的変化（活動電位）を体表面から記録．標準１２誘導心電図．

心房

心室


R波が大きくなるように電極を貼る（コツは？）

白：第1肋間，胸骨左縁

緑：第4肋間，胸骨左縁（心電図のV2）

赤：心電図のV5

黒：左肩近傍


R波が大きくなるように電極を貼る（コツは？）

R R R R R

赤：心電図のV4


徐脈の心電図

・洞不全症候群： P波がないので徐脈

・房室ブロック： P波はあるがR波がなくて徐脈


頻脈の心電図

・頻脈性心房細動（Af）： R-R間隔がバラバラ

・発作性上室性頻拍（PSVT）：幅の狭いQRS波形が規則正しく出現


170/分の頻脈，QRS幅正常 → 発作性上室性頻拍（PSVT）


頻脈の心電図

・頻脈性心房細動（Af）： R-R間隔がバラバラ

・発作性上室性頻拍（PSVT）：幅の狭いQRS波形が規則正しく出現

・心室頻拍（VT）：幅の広いQRS波形が規則正しく出現


QRS幅の広い頻脈 → 心室頻拍（VT : Ventricular tachycardia）


心筋梗塞に合併した心室細動（VF ： Ventricular fibrillation）

第18回関西Gyro Meeting 2013.7.13第18回関西Gyro Meeting 2013.7.13

急性心筋梗塞後の心電図変化について

心筋梗塞のST変化の異常は，

１： Hyper acute T

２： ST上昇

３：異常Q波，冠性T波


Ⅰ Ⅱ Ⅲ aVR aVL aVF V1 V2 V3 V4 V5 V6 V3R V4R 責任冠動脈

前壁梗塞＋＋＋ LAD

前壁中隔梗塞＋＋＋＋ LAD

広範囲前壁梗塞＋＋＋＋＋＋＋＋ LAD

側壁梗塞＋＋＋＋ LCX (LAD)

下壁梗塞＋＋＋ RCA (LCX)

後壁梗塞 ※ ※ LCX

右室梗塞 (＋) (＋) (＋) ＋＋＋ RCA

心尖部梗塞＋＋＋＋＋＋ LAD

心電図変化の異常が見られる誘導

＋：１２誘導心電図でST上昇，異常Q波，冠性T波の見られる誘導．(異常Q波)＝40ミリ秒(1mm)以上のQ波， Q/R＞1/3， QS波も含む(冠性T波)＝下行脚と上行脚が対称形で，鋭く深いT波

※ ： R波増高

LAD : 左前下行枝LCX : 左回旋枝RCA : 右冠動脈

Outline





☆画像の供覧



CT 冠動脈の動き

HR55

HR88

右冠動脈(RCA)の動き10mm～11mm

左冠動脈(LAD)の動き5mm～6mm


冠動脈 MRA検査撮影条件設定

右冠動脈（#2）の静止時間で決定

HR 60bpm 静止時間 644ms-833ms


左前下行枝を含む 100Phasesの画像

左冠動脈（LAD）の静止時間は?


左冠動脈（LAD）の静止時間

Volume curveを作成

37

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40

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0

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8

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8

15

8

17

8

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7

21

7

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7

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7

27

6

29

6

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6

33

6

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5

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5

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4

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4

47

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4

51

3

53

3

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3

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3

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2

61

2

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2

65

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1

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71

1

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0

80

9

82

9

84

9

86

9

88

8

90

8

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8

94

8

96

7

ms

ml


644ms

189ms

右冠動脈と左冠動脈の静止時間

833ms

右冠動脈の静止時間 644ms-833ms

左冠動脈 Volume result


右冠動脈と左冠動脈静止時間の比較

Heart rate 右冠動脈(#2) 左冠動脈(#6) 相関

拡

張

期

(bpm) (ms) (ms)

1 62 602-750 682-760 △2 72 599-649 644-702 ×3 68 624-724 652-731 ○4 71 496-628 497-589 ○5 62 633-752 581-755 △6 46 880-1100 753-1026 △7 52 742-869 901-1016 ×8 56 677-755 724-862 ×9 71 757-1300 799-1302 ○10 41 819-902 863-925 △11 58 600-635 297-331 ×12 75 644-833 602-829 ○13

収縮期

85 185-280 225-280 ○14 83 201-261 165-201 ×15 71 250-299 278-402 ×16 78 305-361 272-325 △

Outline





☆画像の供覧


冠動脈 MRA検査 Navigator Echo 成功例



冠動脈 MRA検査 Navigator Echo 失敗例

右冠動脈の心拍数による静止時間


0

50

100

150

200

250

300

350

400

45 55 65 75 85 95 105

拡張期

静止時間（msec）

心拍数ｂｐｍ

0

50

100

150

200

250

300

350

400

45 55 65 75 85 95 105

収縮期

静止時間（msec）

心拍数ｂｐｍ


Navigator Echoの呼気時間に注目

比較的長い呼気時間短い呼気時間

冠動脈の静止時間だけに注目して条件設定していいのか?


冠動脈静止時間とTFE factorについて考える

624ms 833ms

209ms

TFE-factor 50 Acquisition time 209ms



624ms 833ms

169ms

TFE-factor 40

表示時間 1:38

624ms 833ms

129ms

TFE-factor 30

表示時間 2:11

624ms 833ms

84ms

TFE-factor 20

表示時間 3:16

624ms 833ms

42ms

TFE-factor 10

表示時間 6:31



右冠動脈(RCA)

TFE-factor50

Acquisition time 209ms

TFE-factor40


TFE-factor30


TFE-factor20


TFE-factor10




TFE-factor50


TFE-factor40


TFE-factor30


TFE-factor20


TFE-factor10


左前下行枝(LAD)

Outline





☆症例の供覧



TraverseとSagittalの位置合わせ


Traverseの画像

RCA LAD LCX


Sagittalの画像

RCA LAD LCX


TraverseとSagittalの位置合わせ

RCAのTraverse

RCAのSagittal


大動脈撮影に有用

Traverse Sagittal

Outline





☆画像の供覧



40.0

60.0

80.0

100.0

120.0

140.0

160.04

0

50

60

70

80

90

10

0

11

0

12

0

0.27s

Heart rate(bpm)

時間分解能(ms)

iCT128の心拍数による時間分解能

130ms


MRのAcquisition time

CT

MR


1.5T versus 3.0T


1.5T versus 3.0T


1.5T versus 3.0T


1.5T versus 3.0T

RCA

LAD

RCA

LAD


1.5T versus 3.0T3.0T1.5T

RCA

3.0T1.5T

LAD


まとめ

• 安定した心電同期を得るために， R波を出来るだけ大きく検出するように電極を貼る工夫が必要である．

• 検査中に明らかな頻脈や徐脈になれば，検査を中止してドクターコールの判断も必要である．

• 左右の冠動脈は必ずしも同じ動きをしていないが，より動きの大きい右冠動脈(#2)の制止時間を基準に条件設定するのが望ましいが，比較的病変の多い左冠動脈の動きも考慮して撮影条件設定も必要である?．

• 冠動脈の制止時間が長ければ撮影時間短縮に繋がるが，呼気時の長さ(時間)も考慮して条件設定することで，Acquisition timeが短くなりモーションアーチファクトを低減できる．

• 撮影のOrientationは横断像を基本としているが，大血管やCABG撮影などの広範囲撮影では矢状断像で時間短縮ができ，結果として画質向上が期待できる．また呼吸が安定しない場合も矢状断像での撮影で画質向上が期待できる?．

• 適切な冠動脈制止時間と規則正しい呼吸(横隔膜の動きを腹帯などで抑制)で，CTと同等以上の画質向上が期待できる．

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