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平成29年度講義予定
1. (10/ 4) 伝熱の応用と伝熱機器2. (10/11) 輻射伝熱3. (10/18) 相変化を伴う伝熱4. (10/25) 沸騰伝熱5. (11/ 8) 流動沸騰6. (11/15) 凝縮を伴う伝熱7. (11/22) 熱交換器の基礎8. (11/27(月))[水曜日課] 物質伝達9. (12/ 6) 蒸気タービン・ガスタービン複合発電10.(12/13) 冷凍・空調・コジェネレーション11.(12/20) 定期試験
輻射伝熱の基礎
輻射の物理メカニズム
電磁波によるエネルギー伝播のうち、温度差に基づいて生じる熱移動。
真空中でも熱移動できる
電磁波のスペクトル
振動数
波長
光速
:)(),(:
])/[10998.2(: 8
mcmsmc
c
)(10)(1)(10)(1
)(10)(10)(1
6
9
108
mmmnm
mcm
Å
輻射の放射機構 光の性質
熱ふく射は不連続な量子の形で伝播し、それぞれ、大きさEのエネルギをもつ。
hE )(10625.6 34 sJh プランク(Planck)の定数:
hhc
hcchmc
chm
hmcE
2
2
2
運動量
)( c
ステファン・ボルツマン法則の導出
振動子が持つ平均エネルギー(花村、伝熱、2009年10月号、pp.32-37)
振動子の吸収とエネルギー準位
空洞内の振動子間でのエネルギー収支と放射
4つの最小エネルギーが3つの振動子に配分される組み合わせ
無数の振動子と無数の最小エネルギーについて考えると、一つの振動子がエネルギー ε を持つ確率は、 kTe
!1!
!1
NPNPW
温度 T における平均エネルギーの導出
!1!!1ln)ln(
NPNPkWkS
NP
PN
NPNPkS ln
NNPPNPPNk lnlnln
N
NPN
NP
NPN
NPkN lnln1ln1
NP
PENE
T
T
ln1ln1kNS
TNS
ES
VVt
1
ln1ln11 k
NS
T V
1ln1
k
T
1/exp kT
有限個のP個のエネルギー粒子をN個の振動子間に分配する組み合わせは、
であるから、エントロピー:S は、
PもNも十分に大きいと考え、Stirlingの公式を用いると
ここで
であるから
ETを内部エネルギーとすると以下の熱力学の関係式が成り立つことから
エントロピーの式を上式に代入すると
エネルギーが ε である確率からの導出
T
kTe
1kT
kT
e1367.0
エネルギーが である確率 kTe
kTe
1
温度Tにおける平均エネルギー; は, とすると, nh
ボルツマン分布則より
温度 T における平均エネルギー:
n
kTh
n
kThn
n
kT
n
kTn
e
enh
e
e
n
n
)(
1
kTh
e
h
ここで、1
11
3232
32
0
0
xxxx
xxx
n
nxn
nx
eeeeeee
e
ne
(証明) )32()1( 32 xxxx eeee xx eee 20 32
xxx eee 32 32 xxx eee 321
xxx
xxx
x eeeeee
e 3232
132
11
温度 T における平均エネルギー:
1
1
kTh
e において、 1kT
hとすると,
kTh
kTh
kTh
kThe kT
h
11
32
であるから,
kT
kThh
e
h
kTh
111
すなわち, 温度Tにおける平均エネルギーは, kTとなる.
数密度エネルギー密度
レーリー・ジーンズの式が以下で与えられることより
平均エネルギー を有する振動子の数密度エネルギー密度 )(U は,
kTdndckTdvU )(8)( 23
この式に
kTe
h
kThv
1
を代入することによって
de
hc
dUkth
23
1
8)(
de
ch
kTh
1
183
3
)(vU
)(mmv0
23
8)( c
vn
輻射エネルギー密度(射出能)
単位体積・単位波長当たりの輻射エネルギー密度 を
12
)(52
e kThchc
E ボルツマン定数: )(1038049.1 23 KmoleculeJk
dcd
2
と定義すると
dEdE )()( より、以下の が導かれる
)(E
プランクの法則
)(4
)( UcE
ならびに
c であるから
プランクの法則の計算結果 ステファン・ボルツマンの法則の導出
輻射の全エネルギーは,
0
)( dvUE
0 5
2
1
12
de
c
kThc
ここで,z
kThc
とおくと, dzhckTdz
hckT 2,1
より
0
2
5
2
112 dz
hckT
ehcE z
152
12
)1(2
)1(12
4
32
44
0
3
32
44
0
33
0 3
hcTkcdz
ez
hcTkc
dze
zhckTkTc
dze
kTc
z
z
z
ステファン・ボルツマンの法則の導出
151
4
0
3
dze
zz
ここで,積分公式より
(定数)
を用いている。
432
45
152 T
hckE
いま,)/(1067.5
152 428
32
45
KmWhck
(ステファン・ボルツマン定数)とおくと
4TE (ステファン・ボルツマンの法則)
ステファン・ボルツマンの法則の導出のまとめ
T
kTe
1kT
kT
e1367.0
エネルギーがである確率 kTe
kTe
1
4TE (ステファン・ボルツマンの法則)
ステファン・ボルツマンの法則を用いた伝熱評価
ステファン—ボルツマンの法則(Stephan-Boltzman’s law)
)/(1088.4)/(1067.5
428
428
KhmkcalKmW
ステファン-ボルツマン係数:
単位体積・単位波長当たりの輻射エネルギー密度
全ての波長にわたって積分
輻射される全エネルギー
TEb 4
ステファン—ボルツマンの法則を用いた輻射伝熱の評価
高温物体から低温物体への輻射
4241 TTAq
全射出率と単色射出率の関係
全射出率:
EE
b
0 dE Eb
単色射出率: TEE dbb4
0
より
TE d
EE b
b4
0
灰色体にたいしては、
)(6.5215)(6.2897max
RmKmT
ウイーンの変位則
輻射の性質
vitytransmissi
tyabsorptivityreflectivi
透過率
吸収率
反射率
:::
1
キルヒホッフ(Kirchhoff)の法則
AqEA i
bE
Eとなる。上の2式を辺々割り算することによって、以下の式が得られる
bEE
1AqAE ib
黒体閉曲面内にある試料が熱平衡状態にあるとすると、試料からの熱放射と周囲からの熱の流入は等しい。すなわち
一方、もしも試料を黒体とすると、吸収率は1であるから、熱放射と周囲からの熱の流入は
いま、物体の射出率(emissivity)は以下により定義されるから:
これを、キルヒホッフ(Kirchhoff)の法則と呼ぶ
より が成立する。
A : 試料表面積α: 試料の吸収率
ここで
4241G TTAEq :形態係数(View Factor)GE:輻射率
41G21 ATEq
1T 2T
二平板間の熱輻射
)/(1088.4
)/(10669.5428
428
Khmkcal
KmW
ステファン-ボルツマン係数:
42G12 ATEq
形態係数と輻射率を等しいとすると、面1から面2への輻射エネルギーは、
形態係数
正味のエネルギー収支
面1を発して面2に達するエネルギー: FAEb 1211面2を発して面1に達するエネルギー: FAEb 2122より、正味のエネルギー収支は、
QFAEFAE bb 2121221211
いま、もし2面とも同一温度の場合を考えると、熱移動はありえないから、
EEQ bb 2121 0 およびよって、 FAFA 212121
従って、正味のエネルギー収支は、
EEFAEEFAQ bbbb 212122112121
輻射能と輻射強度の関係
輻射強度: Ib
「ある特定の方向への単位射影面積、単位立体角当たり射出される輻射エネルギー」
A1
Ad 1
法線
1
11cosAd
r dA1を発して角度φ1に向うエネルギー: 11 cosdAIb
面Anの微小部分dAnに到達する輻射エネルギー:
211 cos rdAdAI nb
面Anの微小部分dAnに到達する輻射エネルギー:
211 cos rdAdAI nb
ここで、球座標系を考えると
drdrdAn sin
形態係数の計算例(1)球座標系における射出能と輻射強度の関係
2
0
2
011cossin dddAIdAE bb
形態係数の計算例(1) 続き球座標系における射出能と輻射強度の関係
11
2/
0
2/
01
2
0
2/
01
2
0
2/
011
221
22cos
22sin
cossin
dAIdAI
ddAI
dddAI
dddAIdAE
bb
b
b
bb
bb IE 従って
dr sin
sinrndA
rd
d
rd
dr sin
sinrndA
rd
d
rd
rddrdA sin1 いま
であるから
b
bEI または
22cos dAdAn
2 212112 2211121 coscoscoscos
rdAdAE
rdAdAEdq bb
212
12212 coscos rdAdAEdq b
A A rdAdAEEq bbnet
2 12
21212121
coscos
面1を発して面2に達するエネルギー:
面2を発して面1に達するエネルギー:
よって、正味のエネルギー収支は、
FAFA 212121
A1,A2の形状が分かれば積分可能
形態係数の計算例(2)2面間のエネルギー収支
形態係数の計算例(3)同心軸上の熱輻射
21221
cos2122
xR
RxRr
および
212
11
2
2cos
2
221 r
xdxdAFdA
xdxdA
AAdA
22
2
1
2
2
22
2
1
2
022
2
1
22
2
2/122
2
11
4
)2/(
)(2
)(221
DRDdA
RR
DRRdA
xRRdA
dxxR
xxR
RdAFdA
D
AAdA
22
2
421 DRDF AdA
1dA
Dx
RxRr 22
1
2
dA2
輻射熱伝達率
TThq wA 対流対流 TThq rr A 21 ふく射
TThh wrc Aq 1
111
111
2211
2122
21
212211
42
41
1
AATTTTh
TThAATT
A
r
rq
無限同心円筒2面間の輻射熱伝達率:
ガス輻射 他
ガス輻射
気体は輻射を透過する場合が多いdxIadI
xI
I dxaIdIx
00
xax eII
0
単色透過率:
ビアの法則(Beer’s law)
xae
ガスに反射性がなければ、1
であるから、吸収率は、xae
1
炎における放射伝熱の基礎式
31
31
3
31
3
3
62.0
239.0
43
34
f
f
f
f
V
VL
VL
LV
]/1[8.0~6.0 ma
]/[1067.5]/[
428
24
KmWmWTEb
ステファン‐ボルツマンの法則:
]/[ 24 mWTE 炎からの放射エネルギー: ][4 WTAE fff
炎における放射係数: )exp(1 aLf
3/162.0 fVL ≒ ここで
の場合、放射係数は であり、
炎は同一温度の黒体とほぼ同量の放射エネルギーを放出しているとみなせる
][5 mL 1f
(参考)太陽輻射
• 太陽輻射の強度は大気状態、季節、日光の地球表面への入射角度などの影響を強く受ける。
• 地球と太陽の距離が平均値にあるときの日光の全入射量=1395(W/m2) : 太陽定数
• 太陽輻射と等価の輻射エネルギーを放出する黒体面の温度は、ウイーンの変位則
• より、 )(57955.0
6.2897 KT
)(6.2897max KmT
太陽輻射のスペクトル
火力発電所の燃焼室と輻射伝熱実際の計算例
植田辰洋「ボイラおよび蒸気原動機」(協立出版)
ボイラの概要図(油だき水管ボイラ)
燃焼室の大きさと水冷炉壁構造燃焼室出口ガス温度
• Gf: 燃料消費量 [kg(Nm3)/h]
• Hl: 燃料の低発熱量 [kcal/kg(Nm3)]
• ηc: 燃焼効率
• Lt: 理論空気量 [Nm3/kg(Nm3)]
• μ: 空気比
• Vg: 燃焼ガス量 [Nm3/kg(Nm3)]
• ca,cg:空気及び燃焼ガスの定圧比熱 [kcal/Nm3℃]
• cf: 燃料の比熱 [kcal/Nm3℃]
• ta,tf: 燃料用空気および燃料の温度 [℃]
• tg0: 燃焼温度 [℃]
• tg: 燃焼室出口ガス温度 [℃]• QR: 炎から炉壁水管への放射伝熱量
0ggfgaaftffflfc tcGVtcGLtcGHG
ggfggfRaaftffflfc tcGVHGQtcGLtcGHG 炎から炉壁水管への放射伝熱量を考慮:
燃焼室の熱量バランス(炉壁断熱を仮定):
炎と炉壁冷却面の間の伝熱量
cfcfcf FAFA
冷却面が黒体の場合 :
4444 cfffcffcfcfccfR TTATTFAqqQ 冷却面が灰色体の場合:
4444 cffcfcfcfcR TTFATTFAQ
1111
1111
cc
f
ffc
cf
c
fcf
AA
F
AA
F
1c
炎と炉壁冷却面の間の伝熱量
44 cfcfcR TTFAQ
rcffT
f
cr
T
ffcf
ccfcf
FAA
AAAA
F
FF
1/
1
/1
1111
*
*
pc zplA
放射伝熱量の計算結果例
44111
cf
TT
f
f
fR TT
AA
AQ
scT f
Tc
AA
燃焼室熱発生率と出口ガス温度
蒸発量と許容熱発生率 燃焼室の分割
問題6-1
• 面積および温度がそれぞれA=0.05m2、T1=400Kの黒体面1から、単位時間に黒体面2に吸収されるエネルギーを計算しなさい。ただし、形態係数を、 とする。
41G21 ATEq
1.0EG
)Km/W(10669.5 428 ステファン-ボルツマン係数:
:輻射率(黒体の場合=1)
問題6-2(ふく射が温度測定に与える影響)
ガラス管の中に入った水銀温度計(輻射率ε=0.9)が金属でできた管内に釣り上げられて、20℃の温度を示している。管内壁は断熱が悪く5℃である。温度計の熱伝達率hの値は8.3W/㎡・Kとみなす。このとき真の室温はいくらか。ただし、ステファン-ボルツマン係数を、以下とする。
気流
Th , T tT s
)Km/W(10669.5 428
回答の方針6-2
TTTT stt AhA 44 Tt=20℃=293K,Ts=5℃=278Kの数値を代入すると
℃6.286.301
9.0669.52933.8 27829310 448
KT
T
ゆえに
本問のような簡単な例でも、温度計の誤差は8.6℃もあることになる。
問題6-3
• 図の写真のように開いた左手に,同様に開いた右手を,触れないよう近づけると,左手はどのように感じるか.またそれはなぜか.
問題6-4
• アルミフォイルの菓子袋に手を入れる,(下図)と瞬時に温かく感じるのはなぜか.
問題6-5
• 暗闇で金属などを加熱した場合,低温では赤熱しないが,温度上昇とともに,暗赤色→明赤色→黄色と色変化するのはなぜか.
問題6-6
• 太陽の表面温度は約5,800 Kである.それを黒体と考えた場合,最大単色放射能の波長はいくらか.また,36 ℃の人の体温ではどうか.
• ヒント ウィーンの変位則• 単色放射能の最大値を与える波長は下式のようになる
・ KmT 6.2897max
問題6-7
• 太陽エネルギー(1 kW/m2)が黒体面の屋根(4 m×8 m)に降り注いでいるものとする(下図).屋根温度が80 ℃の時正味として,屋根が受け取るエネルギー量はいくらか.ここで,対流による放熱が無視できるものとする.