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第3回 (仮称)札幌市水素利活方針検討委員会 日 時:平成29年12月21日(木)午前10時開会 場 所:札幌市役所本庁舎18階 第1常任委員会会議室

第3回 (仮称)札幌市水素利活方針検討委員会€¦ · 9ページは、素案では第4章にあったFCVと水素ステーションの記載を前のほうに持

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第3回

(仮称)札幌市水素利活方針検討委員会

会 議 録

日 時:平成29年12月21日(木)午前10時開会

場 所:札幌市役所本庁舎18階 第1常任委員会会議室

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1.開 会

○事務局(久道政策推進課長) 開始時間となりましたので、「第3回(仮称)札幌市水

素利活用方針検討委員会」を始めさせていただきます。

これまでに引き続き、本日の司会を務めさせていただきます、まちづくり政策局政策推

進課長の久道です。どうぞよろしくお願いいたします。

まず、メディアの方についてですが、会議の撮影は冒頭だけでお願いいたします。

続きまして、本日の出席者についてですが、岩谷産業の藤本委員様、北海道経済産業局

の西村委員様から欠席とのご連絡をいただいております。

次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

まず、次第がありまして、資料1の委員名簿、資料2の座席表、資料3はこれまでもご

審議いただいておりました「札幌市水素利活用方針案」です。

また、今回は、皆様のお手元にマイクを置かせていただいております。記録をとる関係

で、マイクを使ってご発言をいただければ大変ありがたく思います。

それでは、本日は、こちらの資料をもとに、主に前回からの変更点を中心にご説明させ

ていただきます。以降に関しましては、撮影をご遠慮いただきますよう、よろしくお願い

いたします。

早速、議事に入りたいと思います。

以降の司会進行につきましては、近久委員長にお願いしたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

2.議 事

○近久委員長 皆さん、おはようございます。

遠くからお集まりくださいまして、ありがとうございます。

本日で札幌市の水素利活用方針の最終案をまとめますので、どうぞよろしくお願いいた

します。

また、議事は、次第に書いているように、まず、この方針案についてまとめた後、おそ

らく時間が余るのではないかと思いますので、水素エネルギー全般に関する意見交換をで

きればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、資料を一つずつ確認していきます。

今回は、修正点を中心にご説明いただき、ご審議をいただくというやり方にしたいと思

います。

まず、事務局から章ごとにご説明いただきたいと思います。

よろしくお願いします。

○事務局(朝比奈推進担当係長) 改めまして、まちづくり政策局政策推進課推進担当係

長の朝比奈です。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、修正点を中心にご説明したいと思います。

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まず、タイトルについてです。

前回は、水素利活用方針の素案でしたが、案と変えさせていただいております。

また、全体を通して4点ほど修正点がございます。

素案では,大項目ごとにリード文のようなものがありましたが、重要な箇所なのかどう

なのかがわからないというご意見等がございました。全体的に見直しますと、本文中に書

いている記載を前置きしていたようなところもありましたので、削除させていただき、部

分部分で重要なところをハイライトするなど、見せ方等を少し変えております。

その他図表について、引用しているものの画質が悪く読みにくくなっているものなどは、

全体的に修正しております。

また、BLCPなど、一般的にはわかりにくい単語については脚注を載せております。

その他、全体的にフォント変更や文章校正等を行っております。

次に、各ページでの修正点についてご説明いたします。

それでは、1ページの「はじめに」です。

修正している点は前回にご意見があったところで、出だしの部分です。少し強い表現が

できないかというお話がございました。そこで、文頭に「水素は、温暖化対策、安定的な

エネルギー供給など、次世代へつなげる持続可能なまちづくりに貢献するクリーンエネル

ギーです」を追加させていただいております。

続きまして、2ページ、3ページの水素利活用方針の位置づけや国の方針、北海道の方

針、また、4ページの札幌市の方針についてですが、前回から変更点はございません。

続きまして、5ページの第1章「水素利活用の意義と社会的背景」についてですが、こ

ちらも変更点はございません。6ページも変更点はございません。

続きまして、7ページですが、輸送・貯蔵の横に掲載してあるイメージ図を修正してお

ります。

続きまして、8ページ、9ページですが、ここは大きな追加があります。

9ページは、素案では第4章にあったFCVと水素ステーションの記載を前のほうに持

ってきたほうがわかりやすいだろうというご意見からそのようにしております。

また、8ページについてですが、「再生可能エネルギーの余剰電力から作る水素」につ

いて、有識者あるいは水素に知見のある方々にとっては十分ご承知のことですが、エネル

ギーにあまり関わっておられない方には、なかなか分かりづらい内容ですので、水素と再

生可能エネルギーの親和性という点を重視し、記載を追加しております。

さらに、ページ下部に燃料電池の仕組みについての記載を追加させていただきました。

水素を利用する上で最も重要な技術となってくる燃料電池について、純水素型燃料電池と

ガス改質型燃料電池について整理しております。第4章の家庭分野の利用でガス改質型燃

料電池の記載が出てきますので、その前段として、水素社会に向けた初期段階としてのガ

ス改質型燃料電池の普及が期待されるということを前置きしております。

続きまして、10ページ、11ページですが、世界的なエネルギー情勢と水素利活用の

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動向については大きく修正している点はございません。

続きまして、12ページ、13ページですが、日本におけるエネルギーの課題等につい

ても修正している点はございません。ただし、13ページに国が現在策定に向けて検討し

ている水素基本戦略について記載があります。今月初旬に協議会が開催されましたので、

その資料が公表され次第、更新しようと考えていますが、協議会資料がまだ公表されてお

りませんので、今回はまだ反映できておりません。今後、資料が公表され次第、水素基本

戦略に合わせるような形で見直したいと思っております。

続きまして、14ページ、15ページの地方自治体等の水素社会に向けた動きですが、

大きく変更はありません。ただ、15ページのFCVの普及状況については、現在、2,

000台以上との情報をいただきましたので、それらを踏まえ、FCVの普及状況の台数

を見直しております。

続きまして、16ページ、17ページの第1章のまとめについてですが、水素エネルギ

ー活用の効果と課題の整理は大きく修正しておりません。

第1章については以上です。

○近久委員長 「はじめに」と第1章のご説明をいただきました。

何かお気づきの点はございますでしょうか。

○大田委員 1点、図についてのコメントです。

9ページの「水素ステーションとは…」にオンサイト型とあります。書いてある内容は

間違っていないのですが、図が燃料による水素製造だけになっています。例えば、ホンダ

様が出されているようなSHS(スマート水素ステーション)のようなものは再生可能エ

ネルギーから作りますので、そういったイメージも表現いただければと思います。

○事務局(朝比奈推進担当係長) ありがとうございます。

そのように修正をかけたいと思います。

○近久委員長 ほかはいかがでしょうか。

「CO2」の「2」についてですが、全部が同じ大きさで書かれています。これはこの

ままでいきますか。それとも、右下づけの2にしますか。直そうとすると、結構な箇所が

あるかもしれないのですが、いかがですか。

○事務局(朝比奈推進担当係長) これは問題なく修正できるかと思います。

○近久委員長 これで統一するのだというのであればそれでも構いませんが、どのように

お感じになられますか。

○事務局(朝比奈推進担当係長) 札幌市が昨年策定した「燃料電池自動車普及促進計画」

では、「2」を小さく右下に書いているようなので、合わせたほうが札幌市の計画として

はいいと改めて思いました。

○近久委員長 もし修正できるのであれば、そのほうが望ましいかと感じました。

もう一つは、8ページの下の図の燃料電池コージェネについてです。タイトルで「燃料

電池とは…」と言われると、自動車の燃料電池も含めて解説されているのかなと思います。

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そうすると、文章を読んだ時に、自動車の中の燃料電池はこうなっていると誤解が生じる

のではないかと思いました。そのため、タイトルを「燃料電池コージェネとは…」とする

といいと感じましたので、ご検討ください。

○事務局(朝比奈推進担当係長) わかりました。

○近久委員長 ほかにいかがでしょうか。

○高橋委員 10ページにいろいろとグラフが出ていますが、図が少し見づらいなと思い

ます。上の図もそうですが、中段の「世界のCO2排出量の推移」についてはもう少し工

夫して見やすくしたほうがよいかと思います。大分きれいになっていますが、見やすさの

問題です。

○近久委員長 ご検討ください。

これを直すのは大変であるというのであれば、それになりにご対応いただければいいか

と思います。

ほかにいかがですか。

(「なし」と発言する者あり)

○近久委員長 次に、第2章のご説明をお願いいたします。

○事務局(朝比奈推進担当係長) 18ページ、19ページの第2章の「札幌市における

水素利活用の意義」についてです。

まず、18ページの上段右側の「北海道は暖房エネルギー消費割合が大きい」という表

現についてです。前回、割合で表現するのか、1家庭当たりという点を明確にしたほうが

よいというご意見がありました。北海道経済産業局様の資料を活用させていただいている

のですが、1家庭当たりと明記させていただき、全体のエネルギー消費量とそれに対する

暖房の割合が高いということを記載するようにいたしました。

また、その下の札幌市におけるエネルギー消費量・CO2排出量削減についてですが、

右側の図の「札幌市内の温室効果ガス排出量及び市民1人当たりの二酸化炭素排出量」の

グラフについて、排出量の推移がわかるよう、年度等を追加しているところです。

第2章については以上になります。

○近久委員長 この2ページにわたっていかがでしょうか。

○佐藤(圭)委員 前回より見やすく伝えようとされており、わかりやすいと思って拝見

しておりました。

○近久委員長 遊佐委員はいかがですか。

○遊佐委員 すごくまとまっているので、いいと思います。ただ、グラフなどの文字が小

さいため見づらいように思います。しかし、色づけも工夫しているとは感じます。

○近久委員長 ほかにお気づきの点はございますか。

○堂屋敷委員 札幌市における水素利活用の意義についてです。

札幌圏の中心都市である札幌市がこのような取組を進めていくということは、我々(石

狩市)を含めた周辺自治体においても水素の導入を加速化させていくという意味合いがあ

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るものと考えられますので、そのような表現を盛り込んでいただければと思います。

○近久委員長 札幌市が利活用を進める意義のところについて、ご検討いただけますでし

ょうか。

○事務局(朝比奈推進担当係長) わかりました。

18ページと19ページの前段まではなかなか入れづらいところもあるため、19ペー

ジの下の札幌市が「水素エネルギー利活用を進める意義」に追記したいと思っております。

○近久委員長 ほかにいかがでしょうか。

○大田委員 今のコメントに関係することについてです。

北海道の課題は記載が多くありますが、札幌市の課題、それに対して水素でどのように

カバーしていくか、その結果、どのような世界になっていくのかなどがどのあたりに表現

されているかが見えないです。

その辺をご説明していただきたいと思います。

○事務局(朝比奈推進担当係長) まずは、北海道は、広域分散型都市及び積雪寒冷地と

いった地域特性があります。広域分散については北海道特有のものであると思いますが、

積雪寒冷については札幌市も共通していると思っております。

また、2点目として、都市の強靱化、将来を見据えた安定的なエネルギー供給について、

全国でも有数の大都市である札幌市は、人口集積が大きく、道内経済の中心地でもあるた

め、BLCPの話も踏まえて、災害等によるエネルギー遮断の影響が懸念されるなどが札

幌市の特徴であると思います。

さらに、19ページの上に書いてあるとおり、再生可能エネルギーの導入を推進してい

ますが、大規模な発電所等の適地ではないということがあります。

こうした面を踏まえ、そういう中でも再生可能エネルギーの賦存量が大きくある北海道

の中の再生可能エネルギーをどうやって札幌で使っていくか、再生可能エネルギーを普及

させ、水素を活用することで低炭素なエネルギーを使っていくことができるということを

示したいと考えております。

○近久委員長 おそらく、堂屋敷委員のご指摘とつながるところがあろうかと思いますが、

北海道で水素を利用していくという意義は表現されています。しかし、札幌で利活用する

というつながりが少し弱いのではないかということです。

札幌は大消費圏であるため、そこで水素を使っていくことの意義、利活用をリードし、

それが北海道に貢献するのだというような意義をもう少し強調されるといいのではないか

というご意見と感じました。それをもっと前面に出されるといいかもしれないです。

○事務局(朝比奈推進担当係長) わかりました。

○大田委員 再度確認ですが、今ご説明いただいたことは、要するに、北海道というのは、

再生可能エネルギー賦存量がたくさんあるが、送電網や再生可能エネルギーの不安定さの

問題で利用できにくい、あるいは、設置しにくいわけです。そういう北海道のエネルギー

問題を改善するのに札幌市が貢献し、その一つのソリューションとして水素があると考え

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ているということでしょうか。

それで、非常に再生可能エネルギー賦存量の高いところでエネルギーをつくり、それを

水素という形で札幌という大消費地で使えるようなエネルギー構造が作られると、北海道

全体としてのCO2のエミッションも減少し、産業構造も変わり、よくなるのではないか

という理解でよろしいですか。

○事務局(朝比奈推進担当係長) はい。

○大田委員 わかりました。

○近久委員長 先ほど図が少し見づらいという指摘があり、何となく気になるのが19ペ

ージの右側の図です。要するに、余剰エネルギーを水素に変換し、ほかで活用するという

ことがわかるように工夫していただけるといいかなと思います。

ほかにいかがですか。

○片岡委員 先ほどの第1章は前振りであり、第2章は札幌市ではどうなのだということ

で、おそらく見る方の興味も力具合が違ってくると思いますので、先ほどもお話がありま

したが、それぞれのグラフや表についてはもう少し見やすくしていただければと思います。

どうしても見開きで表現しなければならないという意図があれば、理解はできますが、

北海道や札幌はどうなのだという大事なところだと思いますので、お願いしたいと思いま

す。

また、19ページの上の文章の後半の部分について、北海道は再生可能エネルギーの供

給能力が高い、そして、大量の供給過剰が発生するため、それに対応することが必要と書

いています。しかし、これでは、今の送電網の容量に対して電気がどんどん余る、それを

処理するための水素なのだという印象を持たれる危険性もありますので、ここの表現はも

う少し考慮が必要かと思います。

風力発電も回しっ放しとか、太陽光発電も太陽が出ていれば電気は作られますが、何の

計画もなく製造されるわけではないと思いますので、誤解されないような表現がよろしい

かと思います。

○事務局(朝比奈推進担当係長) 意図としては、電力需要の多くを再生可能エネルギー

で賄っていった場合にということでしたが、誤解を与えるかもしれないので、修正を考え

たいと思います。

○近久委員長 例えば、どんなふうに捉えられる可能性があるというようなことをご説明

いただけますか。

○片岡委員 その表現は今すぐにはなかなか思い浮かばないのですが、これを読んだとき、

電気が送電網で流れており、再生可能エネルギーもいろいろなところで作られ、北海道は

電気が大量に余っていて、その電気が勿体ないから水素に変換するのだというような理解

をされる危険があるなという心配をしたのです。

○近久委員長 電気が大量に余っているような印象を持たれると誤解を生むということで

すね。

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○片岡委員 実際は、そうはならないということです。

○近久委員長 わかりました。

ほかにいかがでしょうか。

(「なし」と発言する者あり)

○近久委員長 それでは、第3章の説明をお願いいたします。

○事務局(朝比奈推進担当係長) 第3章の「札幌市の水素利活用方針」では、モビリテ

ィ、家庭、事業分野についてお示ししているところですが、20ページ、21ページには

大きな修正点はございません。

続きまして、22ページのロードマップについてです。前回の会議の中で、国として、

水素燃料電池のロードマップフェーズ3において、CO2フリー水素供給システムの確立

が挙げられておりますが、CO2フリー水素の利活用は今からでも取り組むべきことであ

りますので、前倒しして取り組むような整理が今回の方針の中で少し示されるとなおよい

のではないかというご意見がございました。そこで、ロードマップのところで、少し簡略

的ですが、札幌市の事業分野のモデル事業に向けた取組、北海道のロードマップのSTE

P3、国のロードマップのフェーズ3を赤枠で囲い、中長期的な視点で取り組むモデル事

業は、北海道のロードマップのSTEP3、国のロードマップのフェーズ3を見据え、そ

の実現に資する先導的な取組を検討するという表現を追加させていただいたところです。

第3章については以上です。

○近久委員長 第3章についてはいかがでしょうか。

○大田委員 22ページの国のロードマップについて、最新の水素基本戦略では、エネフ

ァームの目標台数の記載がなくなり、価格の目標だけになりました。国も諦めたのではな

いかと思いますが、そこは内容の整合をとったほうが良いと思います。

○近久委員長 家庭用燃料電池の台数目標ということですね。お調べいただいて、整合性

がとれるようにしていただければと思います。

○事務局(朝比奈推進担当係長) 国の基本戦略の資料等がまだ公開されていないのです

が、フェーズ1のところから削除すれば整合性がとれるのであれば、そのようにするのが

よいと思います。

○大田委員 現段階の予定では、今年中に閣議が通り、その後、1カ月もしないでウェブ

上で公開になると思います。

○事務局(朝比奈推進担当係長) ありがとうございます。

○近久委員長 ほかにいかがですか。

○佐藤(光)委員 国の基本戦略については私もまだ詳細がわかりませんが、CO2フリ

ー水素の分が前倒しになるというのであれば、今回のモデル事業の実施予定の2030年

という年次も少し前倒しになるという可能性も考えられますか。

○事務局(朝比奈推進担当係長) この方針に基づいた施策やプロジェクトになってくる

とは思います。水素エネルギーの活用が単体で進むのか、まちづくりの中の一つとしてこ

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の要素を含めていくのかという点もあります。

ただ、ほかのプロジェクトや施策と併せて進めていくのであれば、そのときの施策の状

況や年度によっても変わってきますので、一旦はこのように示させていただきたいと思っ

ております。

なお、もし前倒しすることがあれば、当然、我々も前倒しする可能性はゼロではないと

考えております。

○大田委員 その場合、22ページの3-2は今までのロードマップをベースに作られて

いると思いますが、少しずつ変わってくるのではないかなと思います。

例えば、北海道で特に重要な余剰の再生可能エネルギーをP2G(パワー・ツー・ガス)

として活用していくような事業は、基本戦略では2032年以降、商用化するという記載

があります。全面的には2040年から2030年にずれたというイメージはありません

が、ところどころで再生可能エネルギーの活用が前倒しになっていくかと思います。

○事務局(朝比奈推進担当係長) わかりました。検討したいと思います。

○近久委員長 ほかにいかがですか。

(「なし」と発言する者あり)

○近久委員長 次に、第4章をお願いいたします。

○事務局(朝比奈推進担当係長) 第4章の「水素利活用に向けた推進施策」では、モビ

リティ分野、家庭分野、事業分野について説明しているところです。モビリティ分野につ

いては前回から変更はございません。「札幌市燃料電池自動車普及促進計画」に基づいて

記載させていただいております。

次に、24ページの「家庭分野における水素利活用」についてです。前回の会議におい

て、家庭用燃料電池において、純水素型燃料電池の普及を進めるのか、ガス改質型燃料電

池の普及を進めるのかがなかなかわかりにくかったというご意見がございました。

そこで、8ページの第1章に燃料電池を前置きで記載させていただき、ここでは、水素

社会の実現に向けた初期需用の拡大を目的に、家庭分野でガス改質型のエネファームの普

及推進を今後も継続するという文章を加えております。

また、業務用燃料電池等についても、写真等を追加し内容を拡充しております。

25ページ以降になりますが、事業分野の水素利活用については大きく修正している点

はございません。モデル事業に伴うサプライチェーンについても大きく修正しているとこ

ろはございません。

次に、31ページの事例を載せているところです。前回は、白糠町様の事例を載せさせ

ていただいておりましたが、山間部でして、札幌市における水素利活用推進の事例として

合うのかというご意見をいただきました。ただ、本方針に北海道の事例を一つは載せたい

と思っているため、苫前町様のサプライチェーン構築事業に変更しました。

ただ、先月末、苫前町様の実証事業において、水素タンクの爆発の話が新聞記事等にな

っておりました。我々は記事のみしか拝見していませんが、水素の爆発ではなく、タンク

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に圧力をかけたときの爆発ということで、この事例を載せることに大きな影響はないと想

定しておりますが、もしこの事業の事故に関してのご知見や情報をお持ちの方がおりまし

たら情報提供をいただけるとありがたいところです。

第4章については以上です。

○近久委員長 いかがでしょうか。

23ページの真ん中の目標が目に入ってくるので、非常に重要なところかと思います。

○佐藤(光)委員 市民目線での意見です。

冬季オリンピック・パラリンピックの招致は、今後、札幌市ではかなりクローズアップ

されていくと感じています。最後の「その他の方針」では、書くか書かないかはさておき、

東京オリンピック・パラリンピックでも、FCVやFCバスの導入、選手村での水素使用

も既に謳われていますので、もし札幌で開催するということであれば、それを超えるよう

な北海道らしいクリーンな水素をもっとアピールしていただければキャッチーであると思

います。

○近久委員長 いかがですか。

○事務局(朝比奈推進担当係長) 前回も似たようなお話を少しいただいたところです。

まだ開催提案段階であり、余り深くまで現時点ではなかなか書きづらいところもあります。

記載できる範囲で記載させていただいているところですが、今後、オリンピック・パラリ

ンピックの資料等でさらに深堀りしていくことになれば、そちらにもう少し入れることを

考えたいと思っています。

○近久委員長 現時点では踏み込めるかどうかはわからないということですので、ご理解

をいただければと思います。

私は苫前町のプロジェクトの委員長をやっていますが、特に情報は入ってきておりませ

ん。そのため、何が原因かなどは私も余りよくわかっておりません。ただ、水素と酸素が

混じって爆発したということではなさそうですし、あの事故でプロジェクトを中止すると

いうことにはならないと思いますので、掲載しても問題ないのではないかと思います。

ほかはどうでしょうか。

○佐藤(圭)委員 苫前町の記載方法についてです。

現状として、公の場でお聞きしているところとして、「入浴施設の熱源として活用され

ています」という表現が出てきていますが、この方針は年度内に公表されるものでしたら、

輸送されます、あるいは、活用されますという表現のほうがいいのではないかと思います。

恐らく、事故の原因究明までには少し時間がかかり、この状態まで進むのにはもう少し

お時間がかかるとお聞きしましたので、ご修正いただいたほうが安全かなと思います。

○事務局(朝比奈推進担当係長) ありがとうございます。

○近久委員長 ほかにいかがでしょうか。

○大田委員 2020年代後半から2030年にモデル事業の開始とあります。このモデ

ル事業については、ここに書かれているようなことを実施し、かつ、そのタイミングで道

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内の水素サプライチェーンをそのモデル事業の中で構築していく、そして、そのモデル事

業は国家プロジェクトのような形で提案したいという理解でよろしいですか。

○事務局(朝比奈推進担当係長) はい。

○大田委員 わかりました。

○近久委員長 ほかにいかがでしょうか。

(「なし」と発言する者あり)

○近久委員長 それでは、全体を通して何か気づいたところがございましたらご指摘いた

だきたいのですが、いかがでしょうか。

札幌市は、積極的に水素を進めていく取組をしますというようなことが滲み出ているか

と思いますが、こういう水素利活用方針の内容でよろしいですか。

(「異議なし」と発言する者あり)

○近久委員長 それでは、議題1は終了させていただきます。

続きまして、議題2です。

ここでは皆さんと意見交換をして、その中で表現を修正したほうがいいということが出

てきた場合、再度方針の内容について意見交換をさせていただきたいと思います。

それでは、水素エネルギー全般に関する意見交換をさせていただきます。

まず、水素は本当にエネルギーの主流になるかがまだよく見えないような状況でありま

す。自動車の分野では、水素が少しリードしていたのですが、近年は電気自動車が主流と

いうような状況になっております。

それから、先ほどもありましたが、家庭用燃料電池、コージェネレーションは、純水素

型が普及するかということについてもいろいろなお考えがあろうかと思います。

もう一つ、北海道外の地域と北海道とでは状況が大きく違うのではないかと考えており

ます。例えば、他の地域で電気自動車が主流になったとしても、北海道では難しいと思わ

れます。それらを踏まえると、北海道はほかの地域よりも水素が適しているという特徴が

あるのかと考えております。

どちらか一方のエネルギーの技術が少しリードすれば、世界がその方向に向かう可能性

もあると思っております。そのため、どこかが成功事例を早目に築き上げていくという意

義もあろうかと思います。そういうことも含めて、意見交換をしたいと思います。

北海道は、電気にチャージしていくというよりも、水素がほかの地域よりも有利なのか

なと考えていますが、いかがですか。

○遊佐委員 改めて北海道の積雪や寒冷を考えると、電気自動車の馬力がどこまで適して

いるのかと考えることがあります。水素の利活用を進める場合、水素をどのように輸送し、

どのように供給していくのかということで、やはり水素圏というものが形成されると思い

ます。

また、最後の産官学での連携に「実現検討」とありますが、それを「実現可能な検討」

としてもらいたいと思います。そうすれば言葉の表現も強くなって、札幌市の意欲が見え

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るのかなと感じました。

○近久委員長 例えば、どのページになりますか。

○遊佐委員 30ページの水素サプライチェーンの実現に向けてというところの最後です

が、「産学官の連携によるモデル的サプライチェーンの実現可能な検討を進めます」と表

現してもらえればありがたいなと思います。

○近久委員長 よろしくお願いします。

○事務局(朝比奈推進担当係長) 検討させていただきます。

○近久委員長 電気自動車は、一時北海道でも実証が多く実施されていましたが、想定よ

り走行距離が随分短かったと聞いております。高橋委員はどのように考えられていますか。

○高橋委員 北海道は非常に広域です。北海道の面積は、九州の2倍、東北6県より大き

いので、水素も含め、ガスを輸送するとそれほどメリットはなくなるのだろうと思います。

パイプラインで供給するにしても、スモールな環境というか、ある程度のエリアの中での

パイプラインは実現可能と思いますが、広域での実施は人口密度の低い北海道では難しい

と思います。

弊社では、本州においても水素事業をしていますが、輸送距離が250キロメートルを

超えると、外部の専門業者に頼んでいます。北海道の場合、輸送距離250キロメートル

では運べない場所が多くあります。極端に言うと、苫小牧から釧路などに輸送するのは難

しいと思います。しかし、北海道には水素利用する遠隔地があるので、水素製造拠点と水

素利用拠点が遠距離の場合どのように対応するか検討する必要があります。

水素を普及させるのであれば、燃料電池が主となると思いますが、できるだけ安く高効

率なものが普及されなければならないと思います。さらに寒冷地対応がされている製品が

発売されると、北海道にとっては非常に有効なものになると思います。

そこで、そのときに水素をどのように供給するのかが課題となります。先ほど言いまし

た再生可能エネルギーのほか、水の電気分解などいろいろありますので、今度は作るコス

トをどれだけ下げられるかになります。コストを下げ、水素をつくり、たくさんの需要が

発生し、それがサイクルとして回れば、うまくいくと思います。それが2030年なのか

2040年なのかはわかりませんが、おそらく国も開発費をかけて、モデル事業をやりな

がら普及を促進するのだろうと思います。

そして、そこには北海道の可能性があると思っています。モビリティ分野においては、

近久委員長のご発言にあったように、北海道で電気自動車は、街中などの近距離であれば

有効ですが、広域での移動だと難しいです。FCVは走行距離600キロとされています

が、ほぼ500キロに近い距離を走る実績を目の当りにしており、それなりの走行距離が

あるので、その用途によってFCVとEVを使い分けていくことになるのだろうと思いま

す。

どちらにしても、環境対策として、ガソリン車ではなく、FCV、EVのほうに向かって、あ

る程度のシェアになっていくと思いますが、完全にガソリン車がなくなるかというと、そ

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れはまた別の問題もあると思います。

ただ、エネルギーとしての水素はこれから北海道の中でも長い年月をかけながら普及し

ていくと思います。温暖化など、いろいろな観点から見ても、社会の方向として普及促進

の方向に向かっていますので、そういう取組が当然なされてくると思います。その中で札

幌市がいろいろな取組を行い、北海道の市町村をリードしていくことが非常に重要である

と思います。

○近久委員長 水素自動車は走行距離が長いということで、これについてはいろいろと検

討する必要があります。

ほかにいかがですか。

○大田委員 まず近久委員長から、最近はEVでという話がありましたが、欧州などでは、

EVの普及を目指してはおらず、低炭素自動車の普及促進を日本のマスコミがEVと言っ

てしまっているわけです。最近、非常に力を入れている中国も、EVとFCVも同時に推

進しています。どちらにも長所と短所あるため、どちらがだめで、どちらがいいという状

況ではまだないと思います。

また、水素についても、日本では経済性が先について回り、環境が二の次になってしま

うので、なかなか進みません。しかし、今回、国では政府としての水素基本戦略を策定し

ました。今までの環境省の縦割り、経産省の縦割りではなく、オールジャパンとしての水

素戦略を作るということなので、これができれば国からの後押しも期待できます。

水素戦略に書かれたことは補助金が付きやすいということですので、ぜひ皆さんには読

み砕いていただきたいと思います。基本戦略が策定されたため、財務省も予算を付けるこ

とになると思います。次の改定が2020年ぐらいと言われていますので、二、三年はこ

の状態が続くだろうと思っています。

また、今、水素を海外から持ってきて、日本で使うことがメーンで書かれているのは継

続していますが、それに対して異議を言う人もいます。それも否定はしませんが、それだ

けではないだろうと思います。

要するに、地方で水素を製造し、その地方で地産地消していく仕組みというのを作ると

いうことです。そのためには、当然、インフラも安くなければいけない、安い電気をもら

わなければいけない、それに対して国の補助も入れなければいけないわけです。地方に補

助金を配分することによって、そこで企業の投資が生まれて、水素のインフラが安くなっ

ていくのではないかということです。基本戦略ではその表現が弱いので、それを入れるべ

きだということで、現在検討している状況ではないかと思います。

また、北海道の中の状況ですが、札幌市は、水素の都市型の使い方、それから都市部以

外の地方の使い方です。先ほど高橋委員がおっしゃったことがまさにそのとおりだと思い

ますが、水素は輸送すると費用がかかります。1立方メートル当たり安い電気を使って水

素を30円や40円で作る努力を水素製造者がしても、水素を運ぶところで同じぐらいの

費用がかかってしまい、最終的には高くなるという非常に大きな問題があります。水素は、

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やはり地産地消に取り組まないと、どうしても高いコストのエネルギーになってきます。

札幌の場合は、再生可能エネルギーは太陽光以外についてはポテンシャルが低いため、

水素の製造源が多くありません。一方、近くにエア・ウォーターみたいな副生水素を取り

扱っている会社があります。そこで、ドイツでやられているようなグリーン水素認証制度

のようなものを取り入れ、北海道内で水素製造し、近隣の燃料電池やボイラー等で活用し

て、その証書を札幌に持ってきて、それをエア・ウォーターや岩谷が購入されることで副

生水素やグレー水素がグリーン水素に変わる、そういう使い方がいいのではないかと思っ

ております。

要するに、できるだけ水素の輸送を抑えて価格を安定化させる、低くするという方法で

す。もう一つは、誰もクリーンな水素、再生可能エネルギー水素を望んでいるわけではな

く、自分たちの企業の目標に合った水素であればいいと思っているのです。つまり、ブレ

ンドでいいということで、再生可能エネルギー水素にプラスして、今までの副生水素や都

市ガスの水素、ナフサの水素をブレンドするのです。ただ、環境価値に対する定義は必要

であると思います。国では、この二、三年くらい、例えば、五つ星だったらこれだけの1

立方メートルの水素に対して15円の補助金を与えるなどの動きになってくると思います。

その中で、補助金があったとしても、さらに安くするためにブレンドしていくとか、そ

ういう概念も議論され始めています。

これと先ほどの水素のグリーン認証までを含めたものは、北海道の水素を札幌だけでは

なく、東京などでも安価に使っていただくという点でも利用価値があり、そこで産業が起

こる可能性があります。当然のことながら、中央省庁で議論され始めている状態のため、

実現するのはこれからだとは思います。

もう一つは、北海道の地方部についても札幌市で一つの目標にしているのかどうかがわ

かりにくかったです。北海道の全体の問題に対して貢献するのであれば、先ほど高橋委員

が言われたような地産地消型のものです。要するに、北海道は、今後、急速に過疎化や限

界集落化が進み、それに対してエネルギーインフラを供給するような余力も何十年か先に

はガス会社や電力会社に無くなってくると思います。そういった状況を見据え、今からで

も実証を含めて行ってやっていくのかということです。

2020年代にそういう実証を行うのであれば、こういった過疎化に対する対策も含め

てやるべきだと思います。水素は、水素に変えて発電するだけではなく、不安定な電気を

水素に変えると電気の安定化が図られ、温水も創り出せます。その温水は、先ほどの北海

道の寒冷対策にも生きてきますし、農業にも生きるかもしれません。また、そこから水素

を作り出すこともできます。その水素というのは、FCVの燃料にもなり、漁船の燃料に

もなるかもしれないです。

このように、水素を介して不安定な再生可能エネルギーがいろいろなエネルギーやサー

ビスに転換するのが水素社会だと思います。そういうことは北海道ならではの状況である

ので、そこと結びつけて、2020年代の実証、それから、それに向けた2010年代の

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計画の中に盛り込んでいただきたいと思います。

○近久委員長 いろいろ重要なご指摘がありました。

札幌市の位置づけは何かというと、やはり、札幌市も積極的にCO2排出量を削減して

いかないといけないわけですが、そうすると、再生可能エネルギーの活用となります。し

かし、札幌市に再生可能エネルギーが豊富にあるわけではないため、地方都市と連携しな

がら使っていく必要があります。そうすると、なるべく電気で供給してもらうのはもちろ

んですが、水素利用も考えていかないといけないという論理です。そのため、札幌市は、

自分のところでは水素製造しないかもしれませんが、消費の形態をしっかり考えていくこ

とは北海道にとって非常に重要な位置づけになります。

また、大田委員にご指摘いただいたのは、水素の輸送をどういうふうに考えていくかで

す。かなり低コストで輸送できるようになるならば、北海道でできた水素を本州にも輸出

し、ビジネスもできるのではないかという話です。

例えば、稚内の風力ポテンシャルは非常に高いですが、水素を作っても、そこだけでは

消費ができないです。そのため、距離はあるが、ほかのところに運ばなければならず、ど

のような輸送形態が適しているのかは大きなポイントになります。

石狩だと、液化せずに、ガスのままで札幌市に供給しても採算がとれるのではないかと

思いますが、もう少し遠くなるとガスで運ぶのは難しいという状況になるのではと思いま

す。そのため、高橋委員がご指摘されたように、水素の輸送をどういうふうにやるのかは

大きな課題になろうかと思います。

今の状況だと、液化水素にするのと有機ハイドライドにするのとでは優劣が余りつかな

いような状況なのでしょうか。

○高橋委員 私は、液体水素を取り扱ったことはありますが、製造したことはありません。

同じような温度帯でヘリウムの再液化はやったことがあるのですけれども、やはり電気を

大量消費します。電気を大量に使って冷やしていく代用として、冷熱利用があるのです。

岩谷様では、液体水素製造においては、LNGの冷熱を使っています。LNGは-162

度ですから、液体水素製造においてLNG冷熱を-150度ぐらいまでは冷熱利用して、あと

-100度ぐらいは電気を使って下げていくのでしょう。再生可能エネルギーを使えば設

備費だけですから、電力コストは削減できますが、コスト的にはどうなのかなと。コスト

判断と需要ボリュームは、製造したことがないので明確にはわからないです。

ただ、現在の本州の産業ガス水素に関して、24時間連続的にある程度の量を使うエレ

クトロニクス等の関連では、ほぼ液体水素に切り換えられている状況がありますので、安

定的に、ある程度連続して使う需要があるのであれば、液体水素のメリットは出てくると

思います。

現在の北海道においては、水素ガス利用は、そこまでの使用量がない状況です。

有機ハイドライドに関しては、燃料電池の水素ガス基準を私もよくわかりませんが、F

CV用の燃料電池は、水素ガスの品質基準が非常に厳しいです。当社が苫小牧工場で製造

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している水素もぎりぎりで基準をクリアしている状況で、有機ハイドライドは、SPER

A水素といって、水素ガス成分は95%で、残りの5%ぐらいは不純物が入っているみた

いなので、それを精製する過程で精製設備が必要となるほか、いろいろなユーティリティ

コスト(電気・ガス・水道などのコスト)や電気・熱エネルギーが必要となります。

今は、有機ハイドライドや液体水素、気体水素ガスなどの供給方法があり、水の電気分

解等、様々な製造方法があって、需要ボリュームがある程度見えてきた段階でベストな製

造方法、供給方法や輸送方法が検討され、各々の利用者がメリットとデメリットを考慮し

ながら普及していくと思います。

液体水素については、当社も製造しないかという相談はありますが、そこには踏み込ん

ではおりません。北海道では現状、需要は見えない状況です。北海道で液体水素を作って

も、それが消費されるのは、月の販売量で5万から10万Nm3程度です。今の工場ですら

常時連続稼働していない状況の製造レベルで、水素を液体水素にするかというと難しいの

で、踏み込んでいない状況です。ただ、本当にボリューム感が出るのでしたら、岩谷様が

実際に取り組んでいるように、本州では当然できているわけです。冷熱を使ったり安い電

気を使ったりしながら組み合わせをすれば,商業ベースに乗るのだろうと思いますが、北

海道ではまだ需要がないというところです。

○近久委員長 ありがとうございます。

苫前町のこのプロジェクトが有機ハイドライドで輸送するというようなことで、いろい

ろとデータが出てきて、どちらがいいのかが見えてくるといいのですが、今はまだよくわ

からない状況です。ただ、液体水素を作るときにもエネルギーを相当使うため、そこが問

題だろうと思います。

大田委員はどのように考えられていますか。

○大田委員 先ほど近久委員長が道北地域で作っても使い道がないとおっしゃったのです

が、使い道はあると思います。当然、政策的な制度も必要になってきますが、そこの地域

で大型の燃料電池やガスタービンを入れて、その場所で発電し、消費してもいいわけです。

ただ、それだけではなく、先ほども申し上げたように、グリーン電力証書として、例えば、

札幌の地域にお渡しして、それをエア・ウォーター様や岩谷様が購入して、自分たちがつ

くった再生可能エネルギー由来ではない水素を再生可能エネルギーとして取り扱って、札

幌市でCO2を減らすとよいと思います。地方よりも都会で排出されるCO2を減らした

ほうがいいわけです。そういう取組をすると、徐々に広がり、最終的には太い輸送ルート

ができるかもしれません。北海道はそういう仕組みの可能性があるのではないかと思って

います。それが拡張できれば、北海道でつくった水素を東京に運ばずとも、ビジネスが北

海道で起こり、水素社会に近づくのではないか、一つのモデルになるのではないかと期待

しています。

○近久委員長 ありがとうございます。

できた水素をどういうふうに使うのか、再度発電して系統に戻すというエネルギー貯蔵

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の役割としても考えられており、そのとき、大型の発電所を作り、そこで系統に戻すのか、

あるいは、もっと消費地に近いところで電力に戻すのかなど、いろいろな考え方があろう

かと思います。これはまだはっきりしていないという感じです。

それから、先ほど大田委員からご指摘いただいた過疎化についてです。過疎化に対応し

た地方のエネルギー形態、それから、都市のエネルギー形態も考えていかなければいけな

い、解も変わってくるだろう思います。

○大田委員 もう一点です。

例えば、今、ドイツでやっているグリーン水素の認証では、どういう水素がグリーン水

素だと言われているかというと、必ずしもCO2フリーの水素ではなく、天然ガスでつく

った水素をベースラインとして、そこからCO2を6割減らしたものです。当然のことな

がら、CO2が入っている水素とブレンドされていても構わないわけです。

この認証をやれば取引もしやすいですし、ブレンドすることで、現在の再生可能エネル

ギー水素の価格は高いですが、それが安くもなり、かつ、北海道で大量に賦存量がある再

生可能エネルギー水素についても東京や大阪、中部に渡せるような仕組みもできるわけで

す。

ですから、これは札幌市が旗を振る話かどうかはわからないのですが、国に働きかけて

いますし、そういう方向に行くと思います。そういうチャンスを生かしてやっていけばい

いと思います。

○近久委員長 最終的に、水素は再生可能エネルギーの余剰分から作られるのが主流にな

るのを目指すべきだと思うのですが、当面は何からできた水素でも構わない、とにかく水

素を使うインフラづくりを加速しましょうというアプローチで構わないと思います。

堂屋敷委員はどのように考えられていますか。

○堂屋敷委員 弊市で水素に取り組んだきっかけは、石狩市内に再生可能エネルギー、特

に風力発電の建設計画を本当にたくさんいただいたことです。風力発電の導入を国レベル

で推進していくという方針は明確ではあるのですが、地元では系統の制約が非常に大きい

です。そこで、系統の制約を逆に考え、地元で運べるエネルギーを作るという発想で水素

を作ろうかというようなことが入り口となりました。

ただ、検討していく中では、水素はまだまだ価格の高いエネルギーということで、作っ

たとしても経済面では地元に利益がなかなか与えられないという状況であると現状では考

えております。

しかし、電気で水素を作るということになれば、電気の単価を極力安くすれば、水素の

価格も安くなってくると考えております。ですから、再生可能エネルギーの導入も、これ

からは、大規模に導入をするという視点で、なるべく電気を安く供給できるような仕組み

を同時に考えていかなければならないと考えております。

それと、もう一つの視点ですが、水素というものは新しい技術ですが、北海道には新し

い技術が生まれていくという土壌がなかなかないと考えております。ですから、これを大

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きなきっかけにしたいと考えております。

水素を作るという技術もそうですが、今度は再生可能エネルギーを供給できる北海道と

いうことで、RE100というIKEAが提唱した再生可能エネルギーを使っていきまし

ょうというような世界的なネットワークがあります。国内でもリコー様がそれに加盟して

いたのですが、最近、アスクル様が手を挙げたところです。

アスクル様は、運輸部門ということで、自社で使う分のエネルギーは2025年まで1

00%再生可能エネルギーにするという目標を表明しました。これから先、再生可能エネ

ルギーにこだわる企業がふえていくのではないかと考えております。そこで、我々(石狩

市)は、3,000ヘクタールの工業団地を持っているのですが、企業誘致の入り口、き

っかけとして、再生可能エネルギーを供給できるエリアを本気で考えていこうとしている

ところです。

いずれにしても、今回、札幌市が水素を利活用する計画をお持ちになるということは、

札幌圏において非常に大きなきっかけになると考えております。水素を作る、北海道は再

生可能エネルギーがたくさんあるから作れると言っても、なかなか需用の掘り起こしがで

きなかったのですが、札幌市が大きく舵を切ってくれたと考えております。我々(石狩市)

は、札幌圏の一自治体ですが、札幌市という大きな船にしっかり乗って、水素を作るとい

う大方針を持って進めていきたいと考えております。

○近久委員長 ありがとうございます。

先がなかなか見通せないところもあるのですが、いち早く水素で成功する大きな事例を

作れば、世界の動きもそういうふうになるかもしれません。そうすると、北海道や札幌市

が将来的に非常に有利になるというような要素もあります。しかし、無理に頑張り過ぎて、

資本を投入したけれども、結果的には世界の動向はそうではなくなってしまったとなると、

失敗事例だったともなります。だから、その辺のバランスをうまくとりながら、大きな失

敗にならない範囲内でチャレンジをすることがいいと思います。つまり、水素がどんな形

で利用されるのか、あるいは、水素以外の形がどういうふうに膨らんでいくのかを見極め

ながら社会づくりをしていくことになるのかと思います。

それから、コストというのは水物ですから、ほかが高くなると、例えば、炭素税を導入

したら世の中の方向は変わるわけです。そんなことも勘案しながら、ビジネスと環境とが

融合されるような方向を何とか模索するということかなと思います。

皆さんからこういう考え方が大事だということがありましたら、ご披露いただけるとあ

りがたいのですが、いかがでしょうか。

日本は、技術はあるけれども、環境政策というのでしょうか、低炭素化の姿勢がちょっ

と積極的ではない感じもします。炭素税を導入したらいいのではないかと思います。そう

すると、バランスが変わり、比較的簡単に振れるのではないかと思ったりもします。そこ

をどういうふうに政府が誘導していくかは大きな要素かと思います。

北海道経済連合会では、どういうふうに考えているというのはございますか。

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○佐藤(光)委員 今の炭素税の話はまだ議論がなされている段階ではないです。

また、別な話になってしまうかもしれないのですが、当会の内部では、先ほど高橋委員

や大田委員がお話しされていたように、広域なサプライチェーンも大事だというような一

方で、地元で使うエネルギーは地元で生産するという話も出ています。地消地産というよ

うな言い方を会内の委員の方はされていましたが、小規模の集落の中で使うエネルギーを

クリーンなCO2フリー由来の水素でもって自立して循環させていくようなイメージがで

きれば北海道としてはよいという話もありました。

その話も踏まえて、例えば、鹿追でのバイオマス由来の実証では、庁内の車にFCVを

導入し、農業分野でもFCトラクターなどをより導入していくとよいのではないかという

議論もされているところです。しかし、コストを考えると、先ほど大田委員がおっしゃら

れたようなグリーン認証みたいなものを制度的に国が先導してやってくれれば、輸送しな

くても解決できるわけですので、そういったことを実現していただければいいなと感じま

した。

○近久委員長 ありがとうございます。

うちの研究室でやっている解析では、再生可能エネルギーの割合をずっと増やしていっ

ても社会全体のコストの増加はそんなに大きくないのです。では、なぜそういう方向に進

まないのかというと、儲かる人と損する人のバランスが変わってしまうということなので

す。足し合わせて社会のコストと考えると余り変わらないけれども、再生可能エネルギー

を増やしていくと、ある業者領域の人は儲かって、ある領域の人は儲けが減っていくので

す。そのバランスの変わりが変化をとめている一つの大きな障害なのではないかというこ

とです。社会全体で考えると、再生可能エネルギーを増やしていっても、そんな明らかに

コストが増えるわけではなくて、そこは一つの視点だと思うのです。

だから、どういうルールを作って、どの方向に動かしていくかです。そのときに、儲か

る人と儲からない人が出てきてしまうわけですが、その辺をどうトレードオフして、みん

ながハッピーになる方向に持っていけるのかは大きな要素です。この点、かなり国政に依

存する部分は多いのですが、地方自治体のレベルでも貢献できるところがあれば、あるル

ールを少し工夫するだけで何かが変わる可能性もあると考えております。

目的とする意見交換ができたかと思いますので、以上をもちまして会議を終了させてい

ただきたいと思います。

私の議事進行はこれで終了させていただきまして、事務局からお願いいたします。

3.その他連絡事項等

○事務局(久道政策推進課長) 近久委員長、進行どうもありがとうございました。

また、皆様もご意見を大変ありがとうございました。

本方針につきましては、これまでいただいた意見に基づき、改めて取りまとめをして参

ります。公表は、年度末、または、年度明けになる予定でおります。

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本日は、足元の悪い中、長時間にわたり、誠にありがとうございました。

最後に、村瀬政策企画部プロジェクト担当部長より、一言、ご挨拶を申し上げさせてい

ただきます。

○事務局(村瀬プロジェクト担当部長) これまで、3回に渡る委員会にお忙しい中ご出

席いただきまして、それから、皆様方からたくさんのご意見等々をいただき、まことに感

謝しております。改めてお礼を申し上げます。

札幌市におきましては、水素の取組は始まったばかりでありますけれども、低炭素社会、

持続可能な社会にとって水素は一つの重要な要素でありまして、この3回の議論の中でそ

れを改めて認識したところでございます。今後は、この方針を踏まえ、いろいろな施策展

開をしていきたいと思います。

札幌市としましては、我々まちづくり政策局という公共施設や民間開発を担当している

部局と環境局というエネルギーの計画を持っている部局が一緒に連携して取り組んでまい

りたいと思います。皆様にはいろいろな場面でご相談等々をさせていただくことがあろう

かと思いますが、今後とも引き続きご協力をいただければと思います。

4.閉 会

○事務局(村瀬プロジェクト担当部長) それでは、以上をもちまして、本日の会議は終

了とさせていただきます。

本当にどうもありがとうございました。

以 上