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第3章 生きがいづくりや社会参画の促進
53
第4章 健康づくりと介護予防の推進
第4章 健康づくりと介護予防の推進
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健やかで充実した生活を送れるよう、健康づくりと介護予防を推進するものです。
健康寿命が延びたことで元気な高齢者が増えていく中、自分の人生を楽しみ、高齢期
の生活の質を高めていくために、健康の保持や予防に取り組む環境の整備をすすめて
いきます。
第1節 健康づくりと介護保険サービス 1 介護保険制度の基本理念について 介護保険制度の基本理念は「自立支援」です。
自立支援とは、高齢者が自分の意志に基づき、自らの有する能力を最大限活かして、
自立した質の高い生活を送ることができるようにするための支援で、介護保険法の条
文に明記されています。
■介護保険法と自立支援の考え方の関係
第4章 健康づくりと介護予防の推進
55
2 健康づくりと介護予防の考え方 健康上の問題がなく日常生活を送れる「健康寿命」を伸ばし、高齢者が住み慣れた
地域で生きがいを持って、元気に安心して暮らせるまちを目指すには、市民一人ひと
りが自分自身の健康状態を把握し、日頃から健康への関心や目標をもって「健康づく
り」に取り組むことが大切です。
そのためには、子どもの頃から食生活改善や運動習慣の定着をし、各年代における
健康管理への意識付け、生活習慣病予防や重症化予防などの健康意識を高め、健康的
な生活を送ることが、高齢期の健康づくりや生きがいづくりの基礎となることを理解
してもらうことが必要です。ライフステージに応じた適切な生活習慣や食習慣・運動
習慣を身につけることができるよう「健康日本21臼杵市計画」とあわせ、支援して
いきます。
また、要介護状態等の発生をできる限り遅らせるため加齢に伴う心身の衰えを緩や
かにし、要介護状態にあってもその悪化の防止や軽減を目的として行う「介護予防」
の取組みも重要です。
それは単に、高齢者の運動機能や栄養状態といった心身機能の改善だけを目指すの
ではなく、日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を促すことで、一人ひとりの
生きがいや自己実現のための取組みを支援して、最終的には生活の質の向上を目指す
ものです。
心身機能を改善することを目的とした機能回復訓練とともに、第3章に記載された
サロン活動やボランティア活動等により地域の中で生きがい・役割をもって生活でき
るような居場所づくり・出番づくりなどの取組みを一体的に行うことで、高齢者の日
常生活に沿った「健康づくり」と「介護予防」を推進していきます。
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第2節 介護予防・日常生活支援総合事業 1 介護予防・日常生活支援総合事業の体系 「介護予防・日常生活支援総合事業」は、市が主体となり、地域の実情に応じて住
民などの多様な主体が参画し、様々な生活支援・介護予防サービスを充実することに
より、地域の支え合いの体制作りを推進し、元気な高齢者や「要支援」に相当する方
に対する支援を目指すものです。
臼杵市では、総合事業の介護予防・生活支援サービス事業を平成 27 年度から開始
しました。既存の介護保険事業所における従来の介護予防訪問・通所介護相当のサー
ビス、緩和した基準のサービス、並びに短期集中型サービスをスタートしてきました
が、その他の新しいサービスについては、段階的に行う予定としています。
■介護予防・日常生活総合支援事業の体系について
従来
従来
介護予防・
日常生活支援
総合事業 ・要支援者
・基本チェックリスト該当者
・第1号被保険者の全ての者
・その支援のための活動に関わる者
第4章 健康づくりと介護予防の推進
57
2 介護予防・生活支援サービス事業 (1) 訪問型サービス*
①訪問介護(従来の訪問介護相当) *
②訪問型サービスA(緩和した基準) *
③訪問型サービスB(住民主体による支援)*
④訪問型サービスC(短期集中予防サービス)
⑤訪問型サービスD(移動支援) *
■利用実績と見込量
第6期実績(見込み) 第7期計画 平成
37年度 平成
27年度
平成
28年度
平成
29年度
平成
30年度
平成
31年度
平成
32年度
①現行基準 146 317 322 291 258 217 194
②~⑤(A~D) 7 17 18 35 70 110 140
(2) 通所型サービス*
①通所介護(従来の通所介護相当) *
②通所型サービスA(緩和した基準) *
③通所型サービスB(住民主体による支援)*
④通所型サービスC(短期集中予防サービス)
■利用実績と見込量
第6期実績(見込み) 第7期計画 平成
37年度 平成
27年度
平成
28年度
平成
29年度
平成
30年度
平成
31年度
平成
32年度
①現行基準 242 601 611 592 571 535 394
②~⑤(A~D) 9 13 13 25 50 85 240
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(3) その他の生活支援サービス*
現状の介護保険制度では対応しきれていない高齢者支援ニーズに応えるために、
「その他の生活支援サービス」を充実させていきます。具体的には、厚生労働省より
以下の①~③のサービス例が示されており、これをふまえて、地域の実情に応じたサ
ービス内容を検討していきます。
■その他の生活支援サービスの例
①栄養改善を目的とした配食 *
②住民ボランティアが行う見守り*
上記の典型例を踏まえ、地域の実情に応じたサービス内容を検討します。
(4)介護予防ケアマネジメント*
ケアマネジメントとは、利用者が可能な限り自宅で自立した生活を送れるように、
ケアマネジャーが、利用者の心身の状況や置かれている環境に応じたケアプランを作
成し、そのプランに基づいて適切なサービスが提供されるよう、事業者や関係機関と
の連絡・調整を行うものです。
介護予防・生活支援サービス事業の指定を受けた事業所のサービスなどを利用する
場合には、以下のケアマネジメントを行います。
③訪問型サービス、通所型サービスに準じる自立支援に資する生活支援
(訪問型サービス・通所型サービスの一体提供等)
ケアマネジメントA・・・原則的な介護予防ケアマネジメントです。
ケアマネジメントB・・・簡略化した介護予防ケアマネジメントです。
ケアマネジメントAから、サービス担当者会議を省略したものです。
ケアマネジメントC・・・初回のみの介護予防ケアマネジメントです。
初回のみのケアマネジメントを行います。
第4章 健康づくりと介護予防の推進
59
3 一般介護予防事業 ①介護予防把握事業
収集した情報等の活用により、閉じこもり等の何らかの支援を要する者を把握し、
介護予防活動へつなげます。
②介護予防普及啓発事業
介護予防活動の普及・啓発として、講演会、健康相談、イベント、介護予防教室、
認知症サポーター養成講座などを行います。また、社会資源や介護予防の基本的知識
に関するパンフレットの作成や配布を行います。
■介護予防普及啓発事業実績
平成 27年度 平成 28年度 平成 29年度(見込み)
開催回数 参加延人数 開催回数 参加延人数 開催回数 参加延人数
健康教育 88 1,851 111 2,142 90 1,800
健康相談 8 165 8 100 6 149
イベント 3 286 2 400 2 293
介護予防教室等 20 405 20 370 24 374
その他
18 354 20 708 20 400
③地域介護予防活動支援事業
住民主体の介護予防活動の育成・支援を行います。第3章で紹介した「臼杵市お達
者長生きボランティア制度」の運営や、介護予防サポーター養成等の事業がこれにあ
たります。
④一般介護予防事業評価事業
臼杵市の一般介護予防事業が、計画通りに適切に実施され、その目標が達成されて
いるかどうかについて、評価を実施するとともに、その結果に応じて事業の見直しを
行います。
(認知症サポーター養成講座)
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⑤地域リハビリテーション活動支援事業
地域における介護予防の取組みを強化するために、通所、訪問、地域ケア会議、サ
ービス担当者会議、住民運営の通いの場等への、リハビリテーション専門職等の関与
を促進します。
■地域リハビリテーション活動支援事業のイメージ
(厚生労働省資料)
第4章 健康づくりと介護予防の推進
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第3節 包括的支援事業 1 地域包括支援センターの運営 地域包括支援センターは、地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必
要な援助を行うことにより、その保健・医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援す
ることを目的とする機関です。平成 18年4月に設置され、平成 20年4月から臼杵市
医師会に委託して運営されています。
地域における総合的なケアマネジメントを行う中核機関としての役割を担ってお
り、従来から「介護予防ケアマネジメント業務」「総合相談・支援業務」「権利擁護業
務」「包括的・継続的ケアマネジメント支援業務」などの役割を担っています。
第6期計画からは、在宅医療と介護連携の推進、地域ケア会議の充実、認知症施策
の推進、生活支援サービスの体制整備の役割を担うこととされており、今後はさらに、
その機能を強化していきます。
■地域包括支援センターの業務と役割
2 地域ケア会議の充実 平成 25年度より定期的に開催している地域ケア会議ですが、介護保険事業所を対
象とした研修会と併せて、既に「要介護認定率の低下」「新規要支援認定者の改善率
の向上」、そして、第2章で挙げたような「地域課題の抽出・政策反映」といった成
果が得られています。そのため第7期においても地域ケア会議を継続して行い、参加
したケアマネジャー及び事業者へのフォローアップ体制や、専門職による訪問へつな
げる等、更なる内容の充実を図り、政策形成へとつなげていきます。
多職種協働による個別事例のケアマネジメントの充実と地域課題の解決
による地域包括ケアシステムの構築
早期診断・早期対応等により、認知症になっても住み慣れた地域で暮らし続けられる支援体制づくり
など、認知症施策を推進
地域医師会等との連携により、在宅医療・介護の一体的な提供体制を構
築
臼杵市の役割運営方針の策定・新総合事業の実施・地域ケア会議の実施など
在宅医療・介護連携
認知症初期集中支援チーム認知症地域支援推進員
包括的支援業務介護予防ケアマネジメント
地域ケア会議地域包括支援センター
高齢者のニーズとボランティア等の地域資源とのマッチングにより、多様な主体による生活支援を充実
生活支援コーディネーター
権利擁護業務総合相談・支援業務
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■地域ケア会議の5つの機能について
■臼杵市地域ケア会議の概要と政策形成までの流れ
■実績と計画
第6期実績 第7期計画
平成27年度 平成28年度 平成29年度
(見込み) 平成30年度 平成31年度 平成32年度
開催回数 週1
( 45回 )
隔週1
( 23回 )
隔週1
( 23回 )
隔週1
( 23回 )
隔週1
( 23回 )
隔週1
( 23回 )
地域づくり・資源開発機能 地域資源(人・モノなど)活用による地域づくり
政策形成機能 高齢者福祉計画・介護保険事業計画へ反映させる
地域課題発見機能 地域の現状・地域差・解決すべき課題を確認する
ネットワーク構築機能 地域包括ケアシステムにおけるネットワーク構築
個別課題解決機能 事例検討による問題解決と、職員のスキルアップ
個別のケアマネジメント
サービス
担当者会議
ケアマネ中心
で利用者及び
関係者の合意
形成
主 体:臼杵市、地域包括支援センターが開催
内 容:個別ケースの検討により
①地域ネットワークの構築
②高齢者の自立支援に資するケアマネジメント支援
③地域課題の把握 等を行う
構成員:【コーディネーター】
⇒市職員(保険者)、包括職員
【アドバイザー】
⇒理学療法士、作業療法士、管理栄養士、
歯科衛生士、薬剤師、保健所保健師
【参加者】
⇒ケアマネジャー、介護事業所 等
在宅医療・
介護連携拠点
医師会等
関係団体
医療関係
介護関係
福祉関係
専門職等
保健所
臼杵市
地域課題の把握
地域づくり・資源開発
政策立案、政策合意介護保険事業計画等への位置づけ、予算化
医療,と介護、福祉
の連携の充実等
事例提供
支 援
支 援
臼杵市地域ケア推進会議
臼杵市地域ケア会議(地域ケア個別会議)
安心して暮らせる
基盤整備
一人一人の
QOL(生活の質)向上
《必要時》理学療法士・管理栄養
士・歯科衛生士による
利用者への訪問支援
臼杵市Z会議
第4章 健康づくりと介護予防の推進
63
3 生活支援サービスの体制整備 高齢者の増加に伴い、高齢者の生活支援ニーズは増大・多様化傾向にあります。介
護保険制度利用で補えるニーズもありますが、日常のちょっとした手助けのニーズも
あります。中には、ニーズはあるが把握できていない、いわゆる「声にならないニー
ズ」もあるかもしれません。
そこで臼杵市では、現状の介護保険制度では対応できない高齢者支援ニーズに応え
ることができるよう、生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を中心とし
て、①資源開発、②ネットワーク構築、③ニーズと取組みのマッチングを行います。
そして、協議体を設置することで、多様な関係主体の連携等を促進して、高齢者の生
活支援サービスの充実を図ります。
■生活支援コーディネーターと協議体の役割
64
第4節 任意事業 1 介護給付費適正化事業 介護給付の適正化とは、介護給付を必要とする受給者を適切に認定し、受給者の自
立支援に役立てるために必要となる過不足のないサービスを事業者が適切に提供す
るよう促すことであり、適切なサービスの確保とその結果としての費用の効率化を通
じて、介護保険制度への信頼性を高め、持続可能な介護保険制度の構築に役立てるも
のです。
①要介護認定の適正化
認定調査について、その正確性を期すため、市又は事業者等へ委託した全ての調査
を市が確認し、審査会へ送付します。
また、認定調査の公平性の確保及び平準化を図るため、直営調査員による事例検討
会や研修を年2回以上実施します。
認定調査員研修を臼津広域連合、県と共催で行い、業務分析データ等からみえる臼
杵市の傾向等を踏まえた認定調査のポイントをおさえます。また、介護認定審査会委
員現任研修を臼津広域連合、県と共催で行い、審査の判断基準の統一や適正な判定等
審査の平準化を図ります。介護認定審査会運営適正化検討会では、審査会を傍聴後に
臼津広域連合、県、津久見市と県内の審査会の状況、合議体毎の状況を確認し、適正
化に向けての検討を行います。
■目標
実施区分 指 標
目 標
平成
30年度
平成
31年度
平成
32年度
認定調査結果に係る点検の実施
点検実施数/委託調査件数 100% 100% 100%
点検実施数/直営調査件数 100% 100% 100%
直営調査員による検討会・研修 実施回数 2 2 2
認定調査員・審査会委員各研修・
介護認定審査会運営適正化検討会 実施回数 各1 各1 各1
第4章 健康づくりと介護予防の推進
65
②ケアプラン点検
介護支援専門員が作成したケアプランについて、利用者の抱える現状・問題点等の
把握(アセスメント)を十分に行い、自立支援につながる適切な計画が作成されてい
るかどうか、市が点検を行うものです。月に2回開催している地域ケア会議や同居家
族がいる場合の生活援助等の相談時に点検を行い、個々の受給者が真に必要とするサ
ービスを確保するとともに、その状態に適合していないサービス提供を改善します。
また、介護支援専門員の資質向上のため、地域包括支援センターによる研修を実施
します。
■目標
実施区分 指 標
目 標
平成
30年度
平成
31年度
平成
32年度
ケアプラン点検
点検実施事業所数 1 1 1
有効期間の半数を超えるショート
ステイ利用に係るプランの点検 100% 100% 100%
介護支援専門員のスキル向
上のための研修 実施回数 4 4 4
③住宅改修等の点検
住宅改修の点検は、利用者の状態に応じた住宅改修が実施されているか、市が利用
者宅を訪問し、利用者の状態や施行状態を確認するものです。工事の必要性や住宅の
状況等が提出書類や写真では確認できず、自立に向けての適否の判断が困難な場合に、
施行前に訪問し確認します。
福祉用具購入・貸与調査は、利用者の状態に応じた福祉用具の購入又は貸与が適切
に行われているか、利用者、事業者、介護支援専門員等へ市が訪問や聞き取りにより
確認するものです。同一複数の用具購入があった場合や軽度者への例外的な貸与が申
請された場合等、自立に向けての必要性を確認するために資料の提供を求め、聞き取
りを実施します。
④縦覧点検・医療情報との突合
縦覧点検は、複数月の介護給付費明細書について、算定回数やサービス間、事業所
間等における給付の整合性を点検するものです。請求内容の誤り等を早期に発見して
適切な処理を行います。
医療情報との突合は、医療給付情報と介護給付情報の突合により、医療保険と介護
保険の二重請求の有無等を点検するものです。医療と介護の重複請求の排除等を図り
ます。
国保連合会に業務委託し点検を実施します。
66
2 地域密着型サービス事業所の適正化 地域密着型サービスの指定権者として、サービスの質の確保並びに保険給付の適正
化を図るため、事業者指定の有効期間(原則として6年間)内に1回以上の実地指導
を行います。このほか、利用者等からの苦情や通報をもとに随時実地指導を行うこと
もあります。
また、事業を実施する上での留意事項等について周知徹底を図る目的で、事業所集
団指導を年1回以上行います。
■目標
実施区分 指 標
目 標
平成
30年度
平成
31年度
平成
32年度
地域密着型サービス
事業所の適正化
実地指導 5 4 2
集団指導 1 1 1
3 家族介護支援事業 介護度の高い高齢者を在宅介護しているご家族を支援する事業で、第5章第2節で
紹介した「家族介護用品の支給」「家族介護慰労事業」を行っています。
4 介護予防拠点施設整備事業 高齢者が住み慣れた地域で身近に介護予防活動ができるように、小学校区を基本と
して介護予防拠点施設を整備しています。
■臼杵市の介護予防拠点施設 13箇所
・中央地域ふれあい交流館(ほっと館) ・風成地域ふれあい交流館
・下ノ江地区コミュニティセンター ・上北地区コミュニティセンター
・下北連絡事務所 ・臼杵市老人憩の家
・佐志生連絡事務所 ・温井老人憩の家
・海辺連絡事務所 ・川登地区基幹集落センター
・西神野ふれ愛センター ・都松地区ふれあいセンター
・戸上ふれあい広場