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今回は第7回目の「ブロック線図・課題」を扱います.本授業の教科書の 41~47頁に該当するので,適宜教科書を参照して理解を深めてください.

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今回は第7回目の「ブロック線図・課題」を扱います.本授業の教科書の41~47頁に該当するので,適宜教科書を参照して理解を深めてください.

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まず,システムは幾つかの要素から構成されます.幾つかの要素を組み合わせて新しいシステムを構成することもできます.例えば,上記スライドのように,前回学習した1次システムと2次システムを連結して新しいシステムを作ることができます.2次システムの入力𝑋 𝑠 と出力𝑍 𝑠 の関係は式(1)で表すことができ,その出力𝑍 𝑠 が1次システムの入力になり,𝑌 𝑠 が出力されます.入力𝑋 𝑠 と出力𝑍 𝑠 の図と,入力𝑍 𝑠 と𝑌 𝑠 の図をつなげて描くと,次のスライドのようになります.

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上記スライドに示したように,要素の特性を表す伝達関数と信号の流れを表現した図をブロック線図と言います.まず,このブロック線図の描き方のルールについて説明します.このブロック線図のルールは,万国共通です.しっかり覚えてください.

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まず,上記スライドに示したとおり,伝達関数をブロックで囲んだものを伝達要素といいます.信号の経路は矢印で示します.

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つぎに,加え合わせ点は,上記スライドのように,白丸(○)で表します.例えば,信号𝑎と信号𝑏を足し合わせて𝑎 𝑏という信号を作りたい時,上記

スライドの上の図のように,加え合わせ点に向かう信号の矢印のところに(両方とも)プラス(+)と描きます.もし,信号𝑎から信号𝑏を引いた𝑎ー𝑏という信号を作りたい時は,信号𝑏の矢印のところにマイナス(-)を付けます.上記スライドのように,加え合わせ点を使って作った𝑎 𝑏という信号の

矢印の先に伝達要素G(s)を描けば,信号𝑎 𝑏がG(s)に入力されることを意味します.上記スライドの下の図の信号𝑎 𝑏の場合も同様で,信号𝑎 𝑏がG(s)に

入力されることを意味します.

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次に,引き出し点ですが,これは信号を分岐させて別のところで使う時に用います.例えば,上記スライドのように,センサで計測したロボットの関節の角度𝜃(信号)を引き出し点で分岐させることができます.そして,加え

合わせ点を使って,ロボットの角度の情報(信号)と目標の角度との差(すなわち,目標角度に対して足りない分)の信号を作れば,ロボット(𝐺 𝑠 )に足りない分動けという入力を与えることができます.

以上がブロック線図のルールになります.これらのルールを用い,複数のブロックを結合して様々なブロック線図を作成することが可能です.以下では,基本的な結合について述べます.

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それでは,ブロック線図の結合において,基本的な結合である直列結合について説明します.直列結合は,上記スライドに示したとおり,2つの伝達要素が直列に結合され,1つ目の伝達要素𝐺1 𝑠 の出力𝑍 𝑠 が2つ目の伝達要素𝐺2 𝑠 に入力される結合になります.前回説明しましたが,伝達関数×入力=出力ですので,上記スライドにおいて,𝑍 𝑠 𝐺1 𝑠 𝑋 𝑠と𝑌 𝑠 𝐺2 𝑠 𝑍 𝑠 が成り立ちます.この2つの式から𝑍 𝑠 を消去して,𝑌 𝑠 𝐺2 𝑠 𝐺1 𝑠 𝑋 𝑠 が得られます.そうすると,入力𝑋 𝑠 と出力𝑌 𝑠 の間の伝達関数は𝐺1 𝑠 𝐺2 𝑠 であることが分かります.

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すなわち,上記スライドの上側のブロック線図を下側のブロック線図に描きなおすことができます.直列結合の場合,2つの伝達要素を掛け合わせ,一つの伝達要素にすることができます.

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上記スライドのように,n個の要素が直列に結合した場合も同様で,直列

結合の場合はすべての伝達関数を掛け合わせた1つのブロックにまとめることができます.入力𝑋 𝑠 と出力𝑌 𝑠 との間の伝達関数は𝐺1 𝑠 𝐺2 𝑠 ⋯𝐺𝑛 𝑠 になります.

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それでは,上記スライドの例をやってみましょう.3つのブロックが直列に結合されているので,3つのブロックの伝達関数を掛け合わせれば入力𝑋 𝑠 と出力𝑌 𝑠 との間の伝達関数が得られます.したがって,伝達関数は

𝐺 𝑠1

𝑠 𝑠 1 𝑠2 1となります.ブロック線図を1つのブロックでまとめると

上記スライドの下の図のようになります.

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それでは,次に並列結合について説明をします.上記スライドのように入力𝑋 𝑠 を引き出し点を使って2つに分岐させ,伝達要素𝐺1 𝑠 と𝐺2 𝑠 に入力し,𝐺 𝑠 と𝐺 𝑠 から出力された信号𝑌1 𝑠 と𝑌2 𝑠 を加え合わせ点により足し合した信号を出力𝑌 𝑠 とします.このような結合を並列結合といいます.信号の流れをたどって,まず,𝑌 𝑠 は,𝐺1 𝑠 𝑋 𝑠 (すなわち,出力=伝

達関数×入力)となります(式(1)参照).𝑌2 𝑠 も同様に,𝐺2 𝑠 𝑋 𝑠 になります(式(2)参照).𝑌 𝑠 は𝑌 𝑠 と𝑌 𝑠 を足し合わせたものですので,𝑌 𝑠 𝑌1 𝑠 𝑌2 𝑠 すなわち式(3))が成り立ちます.式(3)に式(1)と式(2)を代入して,式(4)が得られます.したがって,入力

𝑋 𝑠 と出力𝑌 𝑠 との間の伝達関数は,𝐺1 𝑠 𝐺2 𝑠 となり,並列結合の

場合は足し算となることが分かります.並列結合を1つのブロックで表すと,上記スライドの下の図になります.

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並列結合において,加え合わせ点のところの符号に注意してください.もし,伝達要素𝐺 𝑠 から出力される信号𝑌2 𝑠 の矢印のところにマイナスがついていれば,𝑌 𝑠 の前にマイナスが付くので,伝達関数は𝐺1 𝑠𝐺2 𝑠 となります.

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それでは,並列結合でも例をやっておきましょう.伝達要素1

𝑠 から出力さ

れる信号にマイナスが付けられ,伝達要素1

𝑠 1から出力される信号にプラ

スが付けられているので,伝達関数は𝐺 𝑠1

𝑠

1

𝑠 1となります.ブロッ

ク線図を1つのブロックでまとめると,上記スライドの下の図のようになります.

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さらに,フィードバック結合について説明をしておきましょう.上記スライドに示すように,入力を𝑋 𝑠 ,出力を𝑌 𝑠 とし,出力𝑌 𝑠 の信号を引き出し点により分岐させ,𝐻 𝑠 に入力し,𝐻 𝑠 から出力された信号を入力𝑋 𝑠 から加え合わせ点を用いて引いた信号を𝐺 𝑠 に入力するように結合された

上記スライドのような結合をフィードバック結合といいます.この結合の入力𝑋 𝑠 と出力𝑌 𝑠 との間の伝達関数を求めてみましょう.

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求めるコツとして,最終的に出力を出している伝達要素(上記スライドでは𝐺 𝑠 )に着目し,その伝達要素への入力×伝達関数𝐺 𝑠 =出力の式を立て,全体(すなわち,𝑋 𝑠 と𝑌 𝑠 との間)の伝達関数を求めます.まず,𝐺 𝑠 への入力を信号の流れをたどって求めます.出力𝑌 𝑠 は引き

出し点から𝐻 𝑠 へ入力され,𝐻 𝑠 から𝐻 𝑠 𝑌 𝑠 (すなわち,伝達関数×入力)が出力されます.加え合わせ点により,𝑋 𝑠 𝐻 𝑠 𝑌 𝑠 という信号が作られ,𝐺 𝑠 へ入力されます.したがって,上記スライドの式(1)が成り立ちます.式(1)には両辺𝑌 𝑠 の項が存在するので,𝑌 𝑠 の項をすべて左辺に移項し,𝑌 𝑠 について解くと,式(2)が得られます.したがって,𝑋 𝑠 と𝑌 𝑠との間の伝達関数は上記スライドの青線で囲んだ伝達関数になります.フィードバック結合はループが閉じた形をしているので,この結合の伝達関数を閉ループ伝達関数といいます.

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閉ループ伝達関数の分母にある𝐺 𝑠 𝐻 𝑠 は,上記スライドの図に赤線

の矢印で示した閉ループ内にある伝達関数を一巡り掛け合わせた伝達関数であり,一巡伝達関数と呼ばれます.分子の𝐺 𝑠 は,入力𝑋 𝑠 から出力𝑌 𝑠 に至る最短経路の伝達関数(上記スライドの緑色)になります.閉

ループ伝達関数は,一巡伝達関数を求め,それに1を足したものを分母に置き,分子に最短経路の伝達関数を置けば求めることができます.

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それでは,例をやってみましょう.まず,一巡伝達関数は1

𝑠 1

1

𝑠で,最短経

路の伝達関数は1

𝑠 1ですので,閉ループ伝達関数は

1𝑠 1

11𝑠 1

1𝑠

となり,分母分

子に 𝑠 1 𝑠を掛けて𝑠

𝑠2 𝑠 1が得られます.

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信号の流れをたどっても求めることができます.出力𝑌 𝑠 は引き出し点

を使って1

𝑠に入力され, から

1

𝑠𝑌 𝑠  が出力されます.そして,加え合わせ

点により𝑋 𝑠1

𝑠𝑌 𝑠  が

1

𝑠 1に入力され,

1

𝑠 1から𝑌 𝑠 が出力されます.し

たがって,上記スライドの式(1)が成り立ち,𝑌 𝑠 について解くと,前スライドと同じ結果が得られます.

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さらに,上記のスライドに示す例をやってみましょう.一巡伝達関数は1

𝑠 12𝑠 1

1

𝑠で,最短経路の伝達関数は

1

𝑠 12𝑠 1  ですので,閉ループ

伝達関数は2𝑠 1𝑠 1

12𝑠 1𝑠 1 𝑠

になり,分母分子に 𝑠 1 𝑠を掛けることにより,

2𝑠 1 𝑠

𝑠2 3𝑠 1になります.

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制御工学1(第7回)課題 それでは,課題を行ってもらいます. 本授業用のノートに,第7回目授業,学番・氏名を書き,下記課題を解き,写真にとり,

授業支援システムから6月27日(土)の15:00までに提出すること.手書きのもの

しか受け取らない.なお,正当な理由により,授業支援システムから提出できない場合は,

メールにその正当な理由を記した上で,[email protected] まで上記提出期限までにメールで

送ること.

(課題7) 以下の(1)~(5)に示すブロック線図の入力 ( )X s と出力 ( )Y s の間の伝達関数

( )( ( ) / ( ))G s Y s X s= を求めよ.

次回も6月29日(月)2限目までにキャンパスライフエンジンから授業資料および課

題を配信します.