19
1 循環型社会形成に向けた リサイクルの課題 「都市鉱山」から「人工鉱床」へ 東北大学大学院環境科学研究科 DOWAエコシステム 環境ソリューション室) 白鳥寿一 2 金属リサイクルの現状 貴金属を多く含む、あるいは収集に費用がかかってい ないなど、資源としてみて、経済的価値があるものは実施さ れている。 価値のないもの、あるいは費用をかけると有価物になら ないものは、基本的に廃棄物、あるいは海外流出されてし まうことが多い。 廃棄物の削減の推進とグリーンという意識の中での指 導や自主的取り組みが出始めている。 金属資源の循環という観点は、特に明確には出ていな い。 ●製品中の少量の金属は希少であっても回収の対象にな りにくいため、フローの中で消えてしまう事が多い 資源とは、社会が「価値がある」と認めるもので、 一定の品質一定量確保されるもの

循環型社会形成に向けた リサイクルの課題 - Hokkaido1 循環型社会形成に向けた リサイクルの課題 「都市鉱山」から「人工鉱床」へ 東北大学大学院環境科学研究科

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1

循環型社会形成に向けたリサイクルの課題

「都市鉱山」から「人工鉱床」へ

東北大学大学院環境科学研究科(DOWAエコシステム 環境ソリューション室)

白鳥寿一

2

金属リサイクルの現状● 貴金属を多く含む、あるいは収集に費用がかかっていないなど、資源としてみて、経済的価値があるものは実施されている。

● 価値のないもの、あるいは費用をかけると有価物にならないものは、基本的に廃棄物、あるいは海外流出されてしまうことが多い。

● 廃棄物の削減の推進とグリーンという意識の中での指導や自主的取り組みが出始めている。

● 金属資源の循環という観点は、特に明確には出ていない。

●製品中の少量の金属は希少であっても回収の対象になりにくいため、フローの中で消えてしまう事が多い

資源とは、社会が「価値がある」と認めるもので、一定の品質が一定量確保されるもの

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価値が高いものか、大量の一定のものがある場合は容易にリサイクルされる。逆に、モーターのような分解が面倒なもの、低品位なものは捨てられる対象

内容

リサイクルされている原料例

金付き金属スクラップ CPU半導体酸化銀電池

銀ペースト 実装廃基板 プレス抜き屑

4

家電リサイクル法Consumer

Buy

Dispose

Collection by Producer’s ERP

(Take Back by Shop)

Shop

Before Home Appliance Recycling Law

Landfill Disposal and illegal Disposal

Recycling Plant

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5

Number of Recovered WEEE (4 items)

Num

ber

of R

ecov

ered

WE

EE

FY 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007

Air Conditioner 1,334,000  1,635,000  1,585,000  1,814,000  1,990,000  1,828,000  1,891,000 

TV‐set 3,083,000  3,517,000  3,551,000  3,787,000  3,857,000  4,127,000  4,613,000 

Refrigerator 2,191,000  2,563,000  2,665,000  2,802,000  2,820,000  2,716,000  2,725,000 

Washing Machine 1,929,000  2,425,000  2,662,000  2,813,000  2,953,000  2,943,000  2,884,000 

Total 8,537,000  10,140,000  10,463,000  11,216,000  11,620,000  11,614,000  12,113,000 

2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007

(×1000)

Air ConditionerTV-setsRefrigeratorWashing Machine

6

家電リサイクル品のリサイクルフロー(2007)

実は家電リサイクル法で収集できているものは約半分

その他は「見えないルート」と呼ばれる国立環境研究所

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FY 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 Total Avg.

Number(x1000) 3,128 4,231 3,355 4,387 3,181 3,587 3,475 3706 29,050 3,631

Wt.(t) 328 361 251 319 288 259 234 250 2,290 286

Recycle of Cellular Phone

http://www.mobile-recycle.net

Mobile Recycling Network

But recovery rate is only 12%

Free recovery system conducted by cellular phone manufacturers. Collection Boxes are installed at 10,400 shops

FY 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 Total Avg.

Number(x1000) 13,615 13,107 11,369 11,717 8,528 7,444 6,622 6,443 78,845 9,856

Wt.(t) 819 799 746 821 677 622 558 544 5,586 698

Cellular Phone

Battery Charger

BatteryFY 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 Total Avg.

Number(x1000) 11,847 11,788 9,727 10,247 7,312 6,575 6,133 7198 70,827 8,853

Wt.(t) 304 264 193 187 159 132 125 145 1,509 189

8

Recycle of PC

Personal Computer

http://www.pc3r.jp*Sep. - Mar. **Apr. - Dec.

But the recovery rate may be only 5% from this system

FY 2003* 2004 2005 2006 2007 2008** Total

Number(x1000) 79 228 291 311 307 237 1,453

PC 3R Promotion Association

Using parcel service

・Products with PC Recycling Mark

Free Recovery

・Products without PC Recycling Mark

Paid : 1set = 3000 - 4000yen

Mark

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家電品はどこに行く●大型家電品(6品目)

★家電リサイクル法、

★中古製品として主に海外へ

★スクラップルート

●小型家電品

★一部中古関係の市場★その他スクラップ

★自治体ごみ(粗大ごみ、不燃ごみ、可燃ごみ)

処理は、自治体により異なるが、直接埋立、粉砕後(磁選して)埋立、粉砕後(磁選して)さらに焼却して埋立、資源として金属を売却する事もあるが、スカベンジングするのは鉄が主。 廃小型家電の分別区分

可燃, 1

不燃, 21

粗大, 3

資源, 1

不可, 2

廃小型家電の処理方法

焼却, 1

埋立, 15

リサイクル, 2

資源回収,1

不可, 2

出典:秋田県 平成18年度小型デジタル家電等の収集システムに関する基礎調査

10

捨てられる小型(中型)家電の状況■小型家電の多くは一般廃棄物として捨てられてしまう。

各自治体ごとにシステムが違い、鉄・アルミ等の回収や炉によっては溶融メタルなどと

してある程度回収するところもあるが、かなりの量は最終処分場に埋め立てされる。

■一般廃棄物からの回収にはいろいろと守るべきことがある。

法律上、処理責任が各自治体にある。本来、一般廃棄物から勝手に拾っていくのは

廃棄物処理法違反。仮に集めても廃棄物としては自治体間の移動が勝手にできない。

※ 携帯電話は広域認定制度で一般廃棄物の特例とした。責任は製造事業者等

また、例えば、燃えるゴミはパッカー車回収なので、そこに入れば事実上分離困難。

(推定される廃棄ポテンシャル2005生産量ベース)総量 約250万t、国民一人あたり19.4kg 廃棄される可能性のある機器中の金属量は以下と推定Cuは約110,000t、Pbは約10,000t、Snは約5,300t貴金属類も使用量が少ないが、小型家電などでは含有量が高いため、数10t以上、レアメタル類も種類により数10t~数1000t、例えば、Ga・Ge・In・Ta・Nd・Dyなどについては、使用用途は明らかだが、工程スクラップで回収される以外、一般使用品からはほとんど回収されない

白鳥・中村 : 資源と素材,vol.123, p.171-178,(2007)

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マテリアルフロー2006 JOGMEC

約10万トン

約40万トン

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電化製品の痕跡(鉄スクラップ)

中国向けには鉄スクラップは5~10%の銅分を含んでいる。

銅は、配線やモーター、電子基板として混入する。港ではこれらを手選別や手分解を徹底的に実施。

筆者撮影

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海外流出してしまうしくみ

・ 鉄鋼は銅を嫌うため(トランプエレメント)、混合物はそのままでは受け入れられにくい。受け入れてくれない=そのままでは買ってくれない=廃棄物

・ 中国では分離の人件費が安く、輸送費をかけても買ってくれる。買ってくれる=有価物=リサイクル

※ リサイクルは行われているが、資源の面から見ると国外流出。問題は製品への使用元素が多様化しており、このようなものの流れの中で、資源や有害元素の配慮があまり反映されていない

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世界の銅の消費Global copper demand by coutry since 1950

JOGMEC : http://trc.jogmec.go.jp/

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※退蔵品も多い

回収率 PC:20%、携帯電話:20%

非鉄リサイクルの現状(使用済み製品については世の中の認知ほど楽観的ではない)

スクラップ・不良品品位が高く発生量・発生場所が安定→リサイクルしやすい

Cu, Au, Ag : 回収Pb、Zn : 一部回収レアメタル : スラグへ

(有害金属固定)

製造工場・市場

消費者(家庭・企業)

地金

最終製品

使用済み電子・電気機器

家電リサイクル施設

自治体(一般廃棄物) 最終処分場

非鉄製錬所

海外へ中古品業者

年間約250万トン

テレビ洗濯機冷蔵庫エアコン

回収率 50%

有害金属拡散品位・発生量・発生場所が変動→リサイクルしにくい

高 PC携帯電話

人件費:低

処分場枯渇

販売店・メーカー

+リサイクル料金

金属品位

ゲーム機VTR電子レンジオーディオ等

基板類を破砕

16

日本のリサイクルとその後■集まった資源だけがリサイクルされる。

一定品質のものが一定量集まってはじめて資源と呼ぶ。工場内スクラップなどはリサイクルしやすいが、使用済み製品は集めないと困難。

■多種が含まれていても目的金属以外はリサイクルされない。

携帯電話などいろいろな金属を含んでいても、現在の経済原則では貴金属・銅、その他程度で、全ての金属、あるいはガラス・プラスチックがリサイクルされるのは幻想ともいえる。技術的にも、鉄鋼・非鉄・ガラス・プラスチックそれぞれに基本原理があり、困難な場合のほうが多い。

■集められた金属は日本で回収されているとは限らない

経済原則によって多くの金属が中国等に流れてしまう。例えば、リサイクルが進んでいる銅をとってみても、日本は140万トンを生産、使用・リサイクルもされるが、40万トン以上のスクラップを輸出(JOGMECのマテリアルフロー)している。これらスクラップと一緒にいろいろ流出。

■「リサイクル」(という言葉)は美しい

製品中にリサイクルするものが1%しかなくてもリサイクルといわれると心地よい。リサイクルといわれると、環境配慮もしっかりやられていると思ってしまうことが多い。

レアメタルをリサイクルしようと志しても、ベースメタルと一緒に動くため、そちらのフローコントロールが必要。

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世界的に考慮が始まっているE-Waste問題

世界における電気電子機器の制度(例)出典:産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会基本政策ワーキンググループ参考資料集(抜粋版)

18

EUでは、廃電気電子機器(WEEE:waste electrical and electronic equipment)が年間600万トン(一人あたり20kg)廃棄され、毎年5%も増加している。

WEEEの9割は何も前処理されることなく埋め立てまたは焼却され、埋め立て地における鉛の40%、焼却施設における鉛の50%はWEEEに起因すると言われ問題視してきた。

そのため、WEEE指令の目的(理念)は、廃電気電子機器の予防であり、生産を規制するのではなく、埋め立て処分などを少なくするためのリユースやリサイクルを推奨することである。

REACH(情報伝達・登録)

EuP(設計)

RoHS(使用規制)

WEEE(処理)

入口 出口

WEEE指令とRoHS指令

RoHS指令(Restriction of Hazardous Substances)は有害物質を含有した製品を市場に入れないための指令である。

また、化学物質の登録・評価・アセスメントのための新システム( New System for the Registration, Evaluation and Assessment of Chemicals: REACH )、広義では省エネのための環境配慮設計の指令(Eco-Design of Energy Using Products:EuP)も関連。

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リサイクルはどこからするか●工程スクラップ・その他含有物(製品でない)

工場からの排出(産業廃棄物)

工程スクラップは買いとられることが多い(有価物)

含有汚泥その他(無価物)

●電気設備・電気製品(製品として使用)建設・自動車・家電4品目(個別リサイクル法)

事業所などの排出(産業廃棄物・事業系一般廃棄物)一般家庭からの排出(一般廃棄物)

再利用(リユース)

20

産業廃棄物と一般廃棄物

●廃棄物の定義法律では、「汚物または不用物であって、固形状または液状のもの」、言い換えれば、「金を出して買おうという者がいない様なしろもの」

産業活動に伴って排出されるもの : 産業廃棄物それ以外のもの : 一般廃棄物

同じ性状のものでも排出元によって産業廃棄物になったり一般廃棄物になったりする。処理の責任を明確にする上で決めたものであるが、処理の体系も料金も異なる。特に一般廃棄物は税金の中に内包されていて処理費が見えにくい。一般廃棄物は公共活動に対し、リサイクルは民間活動でリサイクルには種々の障害もある。たとえば、 「一般廃棄物」とされている小型家電(SDA)をリサイクルしようとすれば→ 管轄は地方自治体単位である(統一的決まりは作りにくい)。→ 越境や収集運搬許可取得が困難である。→ 具体的な処理の規定が少ない。→ 住民にはゴミ処理費が明確に表されないことが多いため、便益を示しにくい

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RtoS研究会のバックグラウンド● 金属元素の処分場や国土(不適正な扱いによる)への拡散

● 他国への金属元素の流出

● 焼却灰などの重金属含有量の増加(本問題に対する費用の増大)

● 一方では一部金属資源(特にレアメタル)の逼迫が叫ばれている

・ いわゆる経済原則の存在:お金にならないものは集めない

・ 経済原則が現在しか見ていない:将来の資源枯渇環境影響が実感できるまでの時間差将来の環境コスト

・ 自分の経済原則しか見ていない:経済原則から他国に流れていってしまう資源他国で起こる環境破壊

・ 現状存在技術しか利用できていない:回収技術開発の暇もなく新製品が登場

リサイクルという言葉が重要ではなく、金属を資源として見直し、将来を考慮したシステムを考えることが急務

22

Reserve (of Waste) to Stock人工鉱床

● 金属資源確保

● 有害物管理

● アジア圏循環

を目的とし、金属素材における「資源循環」を「蓄積」と言う考えを

入れた新たな枠組みで実施することを目指す。

資源とは、社会が「価値がある」と認めるもの、一定の品質が一定量確保されるもの

(1)資源生産性を最大にする(2)エネルギー資源を除く物質の循環を確保する(3)自然界に排出する場合は、その物質の自然循環バランスの障害になるようなことはしない(4)生態系に有害と認定される物質は拡散をさせない(拡散しない使用方法は認める場合がある)

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計画化されたリサイクル~天然資源と人工資源の違い~

○ 天然資源の開発探鉱―開発計画(F/S)―掘削―選鉱―製錬で行われる。このタームは発見から最低でも5年~10年であった。また、F/Sでは、金属の回収計画(種類)、生産計画、環境対策、技術開発、(住民対策)が行われ、これらすべてが当初より計画されて実行される。

○ 人工資源の回収収集物(天然資源で言う選鉱終了レベル)-(前処理)―製錬で行われる。このタームは基本的に即時価値のあるものを集めて流す(換金する)のみなので、基本的に天然資源開発のような事前検討は行われない。

この理由により、人工資源の回収には、以下の問題が発生① 一部の価格が高い元素のみが回収され、残りは資源的に価値があっても捨てられる(天然資源であれば回収されるものでも)② 利益のみの追求のために環境問題を起こす頻度は高い(海外流失も含め)③ 計画的・安定的に供給が計算できる資源になりにくい

計画化のためには廃棄品のインベントリーは今後重要

24

Urban Mine(都市鉱山) Artificial Deposit(人工鉱床)

有価物(低品位)

低品位物

有価物(高品位)

低品位物

製錬前処理

(破砕,選別,濃縮等)

製錬プロセス

地金(再資源化)

廃棄 or 放置

廃棄 or 放置

有価物 有価物 有価物 有価物

有価物 有価物 有価物 有価物

低品位物

有価物(高品位)

有価物(低品位)

アーバンアーバン・・マイン(都市鉱山)とマイン(都市鉱山)と

アーティフィシャルアーティフィシャル・・デポジット(人工鉱床)デポジット(人工鉱床)

「たぬき掘り」「たぬき掘り」 「鉱床化」「鉱床化」

濃縮プロセス

資源保護+拡散防止

管理

集約管理

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ベースメタルの副産物として生産されるレアメタル

HeH

LrNoMdFmEsCfBkCmAmPuNpUPaThAc※2 アクチノイド

LuYbImErHoDyTbGdEuSmPmNdPrCeLa※1 ランタノイド

※2RaFr

RnAtPoBiPbTlHgAuPtIrOsReWTaHf※1BaCs

XeITeSbSnInCdAgPdRhRuTcMoNbZrYSrRb

KrBrSeAsGeGaZnCuNiCoFeMnCrVTiScCaK

ArClSPSiAlMgNa

NeFONCBBeLi

レアメタルの一部はベースメタル(Cu 銅、Pb 鉛、Zn 亜鉛)の副産物として生産元素周期律表

赤字: レアメタル(緑字:うちレアアース)

色付:非鉄製錬(主に銅・鉛・亜鉛の製錬所)において一般的に副産物として回収される金属等(青字は固定回収)

26

銅・鉛・亜鉛製錬における原料と副産金属

亜鉛工程

鉛工程

銅工程

自溶炉

転炉

精製炉

電解

貴金属工程

溶解炉

銀電解

溶解炉

金電解

溶解炉

Pt

電解

煙灰処理

前処理(焼結など)

溶解炉

電解

溶解炉

Bi

電解

溶解炉

Sb精製

ばい焼炉

浄液

電解

溶解炉

Cd

電解

In・Ga・Ge回収(独立工程)

鉛精鉱廃バッテリー

銅精鉱・銅さい・ダスト類E-Waste

煙灰(Pb,Bi,Sb,As,Zn,Cd,Cu) CuS etc.

Zn(OH)2 CdS

Pb

硫酸工程(Se,Te回収)

他湿式工程濃縮物など

電解スライム

Cu系残渣

亜鉛精鉱電炉ダスト

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小型家電のリサイクル●電子基板は銅や貴金属含有量が多いため一般的に銅製錬所で処理(副産物は他の製錬所とやりとりをして回収する)●銅製錬所で原理的にとれないレアメタル(を含む部分)、あるいは拡散が懸念される有害元素は事前に部品状態で分離●電子基板とは別の部分に使われるレアメタルは濃縮して適切な精製を行う→ この部分は工場の整備ができていない(基本的に存在しない場合が多い)電気製品・自動車・産業機械等の資源性でトータルで考えて行っていく必要がある。

人工鉱床

28

小型家電収集へのトライアル

RtoS研究会が秋田県と共に行ってきた「こでん」回収事業(2006年から開始)が、一昨年末より国レベルの取り組みで動いている。

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粗大ごみ回収の写真

回収品

回収の様子 回収物保管ヤード内

筆者撮影

30

ポスト回収の写真回収の様子

回収物

回収物分別後

VTR記録ヘッド 携帯電話 基板筆者撮影

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秋田県大館市の試験の内容(1)廃棄される試料の収集

・機器の種類と重さ、メーカー等情報

・廃棄までの年数の情報収集

・今後処理対象となる過去の機器の金属含有量

・金属含有量の変遷と今後の知見

・対象年代の機器の分解に関する知見の蓄積

・対象年代の機器を経産省試験の試料として供給

(2)システム構築のための試験・ポスト収集とピックアップ収集、それぞれの特徴

(収集され方や機器によるポスト・ピックアップの比率)

・ポストの設置場所の考察や、その他のやり方のトライアル

・市民会議などによる住民の反応や啓蒙活動

・地域差を確認していくことを第一命題として地域拡大

こでんHPの開設 www.coden.jp

32

収集結果の例

・ 携帯電話は良く集まる・ アダプターも常にトップ・ 分解して基板を出す人も増えてきている・ 機能的に絶滅種の排出は急である・ 三種の神器は常に一定量排出されてくる

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廃棄までの年数(例)

携帯電話の廃棄は実績では5.9年、買い換え年数は2.6年といわれており倍

34

HDDの年度別の変化

Nd Pr Dy Tb0

5

10

15

205060708090100

Total amount [t]

Element

2000

2002

2004

2006

日本国内に出荷されたHDD(3.5inch)の磁石に含まれるレアアース量

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

0

10

20

30

40

50

60

70

Wei

ght [

g]

Year of manufacture

PCB

Magnet

基板・磁石の重量

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

0

2

4

6

8

10

12

Num

ber

Year of manufacture

タンタルコンデンサ個数

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広域での収集への対応広域認定制度は、製造者に品目を決めて、その廃製品の収集・処理を広域で行うことができるようにするもの

再生利用認定制度は、品目と処理方法を決めて行うべき廃棄物で、国が定める方法で実施するリサイクラー等で処理を広域的に認めるもの

ただ、この2つの制度では、前者は、製造者が申請する必要があることと、非常に種類が多い使用済みの小型・中型電気機器の収集には向かず、後者も分解された素材ごとにみれば適用でき、既に広域的な処理が可能なものも多いが、今回の対象は収集後にパーツに分別してから初めて、素材リサイクルが行われると想定されることから適用に合致しない。

再生利用指定制度とは、再生利用されることが確実な廃棄物を特定して、その処理を業として行う者を、都道府県知事(産業廃棄物処理業の場合)または市町村長(一般廃棄物処理業の場合)が指定し、業の許可の取得を不要とし、廃棄物の再生利用を容易に行えるようにする制度(ただし、産業廃棄物の場合は環境省より指定に関する運用通知が出されているが、一般廃棄物の場合は原則として市町村が指定基準を条例、要綱等で定める必要がある。この際、市町村の裁量が大きすぎるため、逆に普及が進んでいない理由であるとも言われている。)

この制度を適用させるため、大館市要綱の中に収集運搬業者が回収地点の所在市町村に対して指定申請を行い、各市町村から指定証を交付する規定を設け、各市町村に協力してもらう方法で、体制を構築した。

36

レアメタルの一部はベースメタル(Cu 銅、Pb 鉛、Zn 亜鉛)の副産物として生産

全体のプロジェクトイメージ

In Nd(Dy)

W Ta ・・・ ・・・

ノートPC

PC基板

携帯電話

HD

デジカメ

音楽機器

・・・

・・・

・・・

収集システム

製品毎に分別

解砕・物理選別

流通精製

蓄積

蓄積

流通精製

銅製錬

インフラ整備

採掘計画ー採掘 選鉱 製錬

製品種別・年代を考慮したデータベース例えば斜線部は年代での実装数に依存する

新プロセス

・有害物質の拡散防止も考慮・将来的にはDfEにもフィードバック

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まとめ

●我が国の金属リサイクルは市民からは問題ないように見えるが、現実には廃棄や海外流出にも大きく依存する。●資源確保の必要性、グローバルな環境問題への対処が叫ばれる中、現状を根本的に変えていく必要性がある。●その一つとして、「人工鉱床が」あり、リサイクル資源を天然資源と同じような考え方をしていくことで、国内のフローをコントロールし、上記の問題を解決できる可能性がある。●一方、EOL(使用済み商品)は廃棄物に属することから、法的な対応も必要。また、、小型の機器に含まれるレアメタルの回収も目指せば、一連の技術開発とインフラ整備が必要であった。●それらを設計していくために、実際の自治体での収集試験や国レベルでの技術開発を開始されている。●今後とも研究会(RtoS)を通じ、市民、企業(製造メーカー、リサイクル企業など)、行政、大学などとともにあるべき姿を検討していく予定。

ご静聴ありがとうございました

“こでんちゃん”