49
近藤:健康のための「生命科学」 生命の科学 講義資料と問題 第 1 講~第 30 講 国際鍼灸専門学校 近藤 雅雄 2019 年 9 月1日

生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

近藤:健康のための「生命科学」

生命の科学

講義資料と問題

第 1 講~第 30 講

国際鍼灸専門学校

近藤 雅雄

2019 年 9 月1日

Page 2: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

1

シラバス 生命の科学

科目英名:Life sciences

開講年度 2019 年度

科目区分 基礎分野

教育内容 科学的思考の基礎、人間と生活

学年 1 年生

配当学期、曜日時限 2 学期、木曜日;3 学期、水曜日

担当者 近藤雅雄

単位数 4 単位

授業概要

人間と生活において、科学的・理論的思考力を育て、人間性を磨き、自由で主体的な判断と行

動を培う。すなわち、ヒトの生命の誕生から成長,加齢を通して「健康のための生命科学」を展

望する。生命科学は生体を構成する多くの細胞、組織、臓器およびそのネットワーク(生命系)

の特有な現象および様々な機能を科学的に究明し,人類の保健・医療・福祉に貢献できるよう、自

然科学から人間・総合科学(人文科学、社会科学、自然科学を含む)にまたがって、ヒトが健康で

平和な生活を営む中で最も基本的で重要な生命と健康についての教養を身に付ける。そして、国

際化及び情報社会に対応できる能力を養い、次代を担う医療人として高いコミュニケーション能

力を身に付け、生命のしくみ,健康の概念、こころの問題、生命倫理を理解すると同時に、健康

的な生活を送るための方法及びそれに必要な生命科学の知識を修得することを目的とする。

達成目標

生命のしくみ、健康・病気の概念、こころの問題、生命倫理を理解し、人間としていのちの尊

さと感謝の気持ちを持ち、正しい判断力を身に付け、健康で質の高い生活を維持することができ

るようになると同時に、医療者として人間の様々な機能を科学し、科学的・論理的思考力を育て、

患者への適切な対応に必要な傾聴力、コミュニケーション能力を育てることを目標とする。

成績評価・方法・基準

試験(100%)

準備学習等(課題・予習・復習・調査等)

1 回(90 分)の授業に対して 4 時間の自学自習が必要。

履修する上で必要な条件(前提とする知識など)

高校の生物を復習すること。

授業計画

2 学期

第 1 回 オリエンテーション~生命科学序論、臨床医学研究と科学

第 2回 生命科学の概念~生命とは、健康とは、感謝とは

第 3回 生物とは、遺伝:生命の設計図、遺伝子とその働き、遺伝子ー環境因子相互干渉作用

第 4回 生殖と人間の誕生 (1) 生殖:受精と妊娠のメカニズム、性の決定、先天異常

第 5回 生命の基礎 (1) 生命の最小単位ー細胞のしくみと働き、エネルギー生産システム

第 6回 生命の基礎 (2) 血液の働きと血液型、免疫と感染症発症(エイズ)のメカニズム

第 7回 呼吸・血液循環のしくみ:呼吸・血圧調節のメカニズム

第 8回 メタボリックシンドロームと脂質異常、動脈硬化発症メカニズム

第 9回 生命維持のための健康・栄養 (1) 肥満発症のメカニズム、免疫力増強

第 10 回 生命維持のための健康・栄養 (2) 食欲、消化・吸収、栄養素の働き、代謝調節

第 11 回 生命維持のための体液の恒常性維持機能と体温調節の機序

第 12 回 生命活動の情報連絡のしくみ (1) 内分泌調節と情報連絡システム

第 13 回 生命活動の情報連絡のしくみ (2) 感覚細胞による情報連絡

Page 3: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

2

第 14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療

第 15 回 生命活動の情報連絡のしくみ (4) 神経細胞による情報連絡、認知症、脳科学最前線

第 16 回 生命活動としての運動システム (1) 皮膚、骨と筋肉の働きと筋疲労メカニズム

第 17 回 生命活動としての運動システム (2) 反射運動とスポーツ活動と貧血発症機序

第 18 回 生命科学基礎編、学修成果の考査

第 19 回 生命科学基礎編まとめ~知の創造に向けて~

3 学期

第1回 生命の成長・加齢システム:老化・加齢機序、アンチエイジング、遺伝的プログラム論

第2回 生命倫理(バイオエシックス)と医療倫理、人間の尊厳、生殖工学

第3回 難病と健康 (1) 遺伝子ー環境因子相互干渉作用

第4回 難病と健康 (2) いのちの科学から健康の科学へ

第5回 こころと健康 (1) 治癒と治療、ストレスと健康、酸化ストレスとその防御

第6回 こころと健康 (2) ストレス対処法、代替医療、愛情ホルモン

第7回 生命と地球~地球と生命の誕生、地球と人間環境

第8回 生命リズムと地球環境 (1) 地球環境に影響を与える因子

第9回 生命リズムと地球環境 (2) 人間と地球環境

第 10 回 生命科学研究の新たな挑戦と最前線(1)地球環境・生物編

第 11 回 生命科学研究の新たな挑戦と最前線(2)人間編

第 12 回 生命科学応用編、学修成果の考査

第 13 回 生命科学応用編まとめ~知の創造に向けて~

オフィスアワー

火、水、金の昼休み

授業形態

パワーポイントおよびビデオによる視聴覚授業。

授業の具体的な進め方

授業計画に基づき、毎回パワーポイントなどを利用し、画像、映像を中心に進めます。

関連科目

生物学、生理学、病態生理学、臨床医学総論、臨床医学各論、倫理学。

教科書

「健康のための生命科学 」近藤雅雄著、20044-902738-00-7

前年度の授業を踏まえた今年度の授業方針

平成 30 年度より新規開講科目。

学生へのメッセージ

医療者として、地球上の頂点に立つ人間として出生したことの意義を考え、自分自身の健康と

自分を取り巻く多くの人々や環境に感謝するこころを持つこと。人間のいのちの尊さを理解し、

次代を担う人間の教育、健康管理並びに高い診断力と治療力並びにそれらの理論を習得し、患者

の治療ができるようになってほしい。また、人間に興味を持ち、将来、人間らしく生きることが

できる社会の実現に貢献したいという熱意のある医療人の育成を図る。

Page 4: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

3

第 1,2 講 健康のための生命科学序論

生命科学と健康~生命とは、健康とは

学習のポイント

1.生命・健康とは 3.生命科学とは

2.生命活動のネットワーク

序論:生命科学とは

私たちの体はおよそ 200兆個の細胞がお互い仲良く連絡し合って、生命・個体を維持している。

生命科学はこれら細胞、組織・臓器およびそのネットワーク(生命系)の特有な現象及び様々な機

能を科学的に究明し、人類の健康・医療・福祉、さらに地球環境の保全に貢献するという、自然

科学から人間・総合科学とにまたがった広領域の分野であり、人類が健康な生活を営む中で最も

基本的で重要な分野である。

21 世紀に入って地球規模的に「健康」と「生活の質」並びに[平和]と「環境保全」への意識

が高まりつつあるが、そのような社会を実現するためには、人々が豊かさを味わい、心の安らぎ

を感じられる新たな社会システムの構築が望まれる。

本講義では「生命のしくみ」を理解すると同時に、健康の概念、こころの問題(これからの生命・

健康科学のあり方)にも追及し、生命の尊さと感謝の気持ち、ヒトとしての正しい判断力を身に

付け、健康で質の高い生活を維持し、健康寿命の延伸を図るための生命力を身につけることを目

的とする。

ー生命科学は人文科学、社会科学、自然科学を包括した総合科学ー

科学の発達からの学習

Ⅰ.過去(20 世紀)を振り返る

1.人類未曾有の戦乱と大量殺戮

2.植民地の解放と途上国の勃興

3.人口の爆発

4.技術革新と産業経済の発展

5.ビジネス至上主義の突出

6.環境破壊とエネルギ-危機の深刻化

7.医学の発展(診断、栄養、免疫学の発展)

8.遺伝子の解明

Ⅱ.現代の科学(生活(人生)の質の向上(QOL)

1.医学(保健科学、健康科学、予防科学)=ゲノム情報

1)遺伝子診断、遺伝子治療(早期診断・治療、体質、医薬品など)

2)万能細胞、再生医学(難病治療など)

3)生活習慣病(肥満、高血圧、糖尿病、心臓病、がんなど)

Page 5: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

4

4)免疫、老化(アンチエイジング、デトックス)

5)医療経済と生命倫理(伝統・代替療法の見直し、生殖工学など)

6)医原病(HIV、HCV など)、感染症(SARS、インフルエンザ、マラリア、麻疹)など

7)DDS (Drug Delivery System, 必要な薬物を必要なときに、必要量を必要な場所に送り込

む技術、個人別薬物療法、副作用の軽減)

2.社会科学

少子高齢化、自殺、教育、介護・福祉、裁判制度、地域、家族政策、食育、病院医療、個人

情報、危機管理等の各問題

3.環境科学

1)地球環境:地球温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨、海洋汚染(廃棄物)、熱帯林の減少、生物

多様性の減少、砂漠化など

2)生活環境:水資源、住居、騒音、廃棄物、水、大気汚染、アスベスト、ヒ素中毒など

3)食環境:食品添加物、健康食品、レトルト食品、輸入食品、遺伝子組換え食品

4)その他:薬品、化粧品、内分泌かく乱物質など

Ⅲ.これからの生命科学

自然科学と人文科学の融合(科学技術の善用)

基本的教養の再構築、温故知新(文化の保存、伝達、創造)、知的コミュニティの強化

文化の多様性の確保

-自由、正当、幸福、責任-

Ⅳ.健康の概念・定義

学習のポイント

1.健康の定義 4.健康の概念

2.健康の考え方 5.健康の維持と病気の予防

3.健康の今日的課題 6.健康の増進と減退

健康の保持・増進と病気について考える。

1.健康の定義

世界保健機関(World Halth Organization, WHO)が 1948 年、WHO 憲章の前文で「健

康とは肉体的にも、精神的にも、さらに社会的にも完全に良好な状態をいい、単に病気がな

いとか病弱でないということではない」と定義し、理想的健康像の追及を掲げた。すなわち、

健康とは各個人が、彼らを含む全環境社会に対して、適応できるか否かにかかっている。

Page 6: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

5

精神(こころ)の健康:人間社会の基本

21 世紀はこころの時代といわれる。心の健康には日頃から感謝の気持ちを抱くこと、生命

の尊さを理解すること、愛情を持つこと、ストレスを貯めないで前向きであること、目標(夢)

を持つこと、自然のリズムを大切にすることなどが重要である。

2.健康の考え方

1)古代の健康感

(1)有史以前:神の存在 健康の神:ヒュギェイア (Hygeia)

医神:アスクレピオス(Asclepius)

(2)古代エジプト:ミイラの作製:初歩的な予防医学

(3)古代中国:五臓六腑の考え、中医学(脈・舌診、尿診断など)の基礎(予防医学)

(4)古代インド:「アーユルベーダ」医学の基礎(サンスクリット語で「長寿への知恵」

養生法や食事療法に重点を置く:健康科学の原点

薬物療法(鉱物薬、植物薬、動物薬)、外科療法

→アラビア医学、チベット医学に影響を与える

(5)古代ギリシャ:ヒポクラテス(医学の始祖)、ガレヌスによる健康の科学的究明およ

び自然治癒の概念

2)近世の健康感

1543年 ベサリウス:人体構造

1590年 ヤンセン父子(眼鏡商):顕微鏡の発明

1667年 レーベンフック;ヒトの精子発見

1796年 ジェンナー:種痘法の発明、予防接種の創始者

1857年 パスツール:乳酸菌の発見、免疫学の基礎、コレラ、ブタ丹毒、狂犬病

1865年 メンデル:遺伝の法則発表

1882年 コッホ:結核菌(ツベルクリンの発明)、破傷風菌、コレラ菌

1889年 コッホ、ベーリング、北里柴三郎:血清療法に成功

1897年 志賀潔:赤痢菌の発見

1919年 野口英世:黄熱病原体発見

3)健康の考え方

①理想的な望ましい健康状態、②いわゆる健康の状態、③健康のゆがみ、④健康の障害

3.健康の今日的課題

健康寿命の延伸と QOLの向上

子どものからだの調査結果より上位を占めるもの(子ども白書)

皮膚がカサカサ、アレルギー、背中ぐにゃぐにゃ、すぐ「疲れた」という、床にすぐ

寝転がる、ぜんそく、転んで手が出ない、つまずいてよく転ぶ、そしゃく力が弱い

Page 7: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

6

4.健康の概念 ~健康思考(指向、志向、施行)

健康でいたい

ヒトは、健康なときには健康というものをあまり感覚(気に)しない動物であり、日常健康

でいることを感謝しないものである。しかし、ひとたび病気になると、その原因を考え、

反省し、初めて健康の有り難さがわかり、病気になりたくないと思うものである。現在、

病気の数は約 100 万種類と言われ、この殆どの病気は治療法が未だに確立されていない。

病(やまい)は気からと言われるように、ヒトの場合には精神、こころがいかに重要であ

るかを示すものである。動物の場合は病気した場合には動かないでじっとしているが、ヒ

トの場合はそうもいかないため、自然治癒力が作動する前に医薬品などで病気を止めるが、

これは局所療法に対する一時的な対症療法であり、本来の治癒ではない。現在、いろいろ

な合成医薬品を使わない代替・補完療法が注目されている所以である。健康科学とは自分自

身を科学する学問であり、健康法の開発は各個人の意識にゆだねられている。

5.健康の維持と病気の予防

病気の原因となるもの(病因)

外来生物(微生物)

栄養素の過不足

化学的要因(食品添加物、飲料水、大気などの汚染物質、化粧品など)、

物理的要因(温度、湿度、気圧、太陽光線、放射線、騒音、など)、

機械的要因(転倒、墜落、交通事故など)

6.健康の増進(health promotion) と減退(health degradation)

生活習慣病、感染症、遺伝病、癌等に罹患しない丈夫な体作り、ストレスを溜めないここ

ろの健康づくりへの関心が各個人、集団社会に求められている。それによってホメオスタシ

ス(生体恒常性維持)の機能や自然治癒力(自己診断、修復、再生)の向上・維持ならびに生

きがいのある社会の発展が図られる。しかし、個人ならびに集団社会が惰性的であったり、

依存的である場合、あるいは個人が身体を動かさなかったり、偏食、喫煙、薬に頼るような

ことになると、暗い、生きがいのない社会、暗い性格(キレ易い、悲観し易いなど感情の変

化が著しい)を持ったヒトが多くなり、社会全体が暗くなるばかりでなく、個人においては

ストレスを溜め易く、不定秋訴→籠もり易い→病気(こころの病気)によって死期をはやめ

る結果となる。健康の増進あるいは減退はある経過時点までは不応的であり、気がつかない

ことが多いが、それぞれが進行すると急速にからだおよびこころの健康向上あるいは逆に減

退が進む。

生命科学 (健康増進)

1) 栄養 (バランスの取れた食生活:団欒、育自、共育、神経・内分泌・免疫機能の維持)

Page 8: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

7

2) 運動 (身体を動かす:神経、循環、免疫・筋肉機能の増強)

3) 休養 (疲れる前に休む:脳と全身筋肉の機能保持)

4) 体質を知る (遺伝子・環境因子相互干渉作用:病気の予防、体質改善)

5) 身体語を習得する(早期診断・治療:感染症、遺伝病、がん、生活習慣病の予防など)

6) Bio-rhythm を守る(1日のリズム、睡眠リズム、神経・内分泌・免疫リズム、摂食リズム

など)

7) 自然との対話 (自然環境との融合、マイナスイオン、アロマテラピー、音楽など)

10) 環境の向上を図る (生活・社会環境の改善、ストレス解消、スローライフなど)

8) 危険因子からの予防 (自己防御:遺伝的素因、食生活、アレルギ-、タバコなど)

9) 生きがいを見出す、夢を持つ (趣味、家庭、仕事等将来設計、希望、明日に向かって)

11) 自信を持つ、前向きである (免疫、こころの機能維持、良い遺伝子をONにする)

12) 感謝の気持ちを持つ (地球の恵み・自然の営みに感謝、いのちとこころのへの感謝)

Page 9: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

8

第 3,4 講 生殖と生命の誕生

―生命の設計図:遺伝子―

学習のポイント

1.遺伝とは

2.遺伝子とは

3.ゲノムとは

4.DNAとRNAとの違い

5.転写と翻訳の違いは

6.タンパク質の合成

7.受精と出産のしくみ

8.遺伝子ー環境因子相互作用とは

1.人間は約 60兆個の細胞から構成され、その核の中に遺伝子がある。

2.遺伝子にはA、T、G、Cという塩基からなる約 30 億対の莫大な情報が入っていて、本にする

と千ページで千冊分に相当する(地球と太陽を 400往復)

3.遺伝子はたんぱく質を作る暗号が書かれている。

4.遺伝子は 1分 1秒の休みもなく働いている。遺伝子が働かないと生きていけない。

5.ヒトは 3~4万個の遺伝子を持ち、そのうち、エキソンは 1.5%である。

6.ヒトとチンパンジーのゲノムの差はわずか 1.8%であるが、全体の 8割近くが、生命活動を司る

タンパク質に対応した遺伝子に違いが見られる。

7.一人一人のゲノムの差は 0.1%の差に基づいて、様々な表現型の差が生じている。

8.地球上に存在するあらゆる生物は同じ遺伝子暗号を使って生きている。

9.遺伝子には「こういうときにはこう働け、こういうときには眠っていろ」という指令情報があり、

それを遺伝子の ON/OFFという。

10.ONにした方がいい遺伝子と、OFFにした方がいい遺伝子がある。

11.遺伝子 ONの秘訣は物事を良い方へ考えること。すなわち、プラス思考。

12.プラス発想はエントロピー減少、マイナス発想はエントロピー増大へと誘導される。

13.人間や高等動物の遺伝子は膨大な遺伝情報を持ちながら、ほとんどは OFF の状態にある。

14.悪い遺伝子を OFF にして、良い遺伝子を ONにする方法として、どんな境遇や条件を抱えた人に

でもできるのは「こころの持ち方」をプラスにすることである。

15.「こうあってほしい」と望むことは、ほぼ 100%可能性の範囲内にある。

16.人間の奇跡的な出来事も遺伝子の働きなしには起きない。誰もが、「奇跡の人」の可能性を持っ

て生まれてきている。

17.ある環境に巡り合うと、それまで眠っていた遺伝子が目覚め、活発にはたらきだす。そういうと

きに人は変わることができる。

18. 心を入れ替えるとは心の変化によって、いままで眠っていた遺伝子が活性化することである。

19.マイナス発想は好ましくない遺伝子を働かせる可能性がある。

20.行き詰まりを感じているときに、環境を変えてみるといい。

Page 10: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

9

21.新しいものにふれることは、OFFになっていた良い遺伝子を目覚めさせる絶好の機会である。

22.人的な情報交換によって、人生が変わることもある。

23.遺伝子のはたらきを阻害するのは否定的な心である。

24.成功者はつねに前向きな点で共通している。

25.人生を充実させて幸せに生きるには、心を通じて遺伝子をイキイキさせればいい。

26.何かに取り組むためには「余計なことを知らない」ことは重要である。

27.熱烈な思いは天に通じるという。そして遺伝子も ONになる。

28.基本的に遺伝子は老化しない。いくつになっても自分の才能を開花させる能力がある。

29.可能性を引き出すのはどんなに早くても早すぎるということはない。胎教も重要な要素であり、

また、どんなに年老いてからでも、遅すぎるということはない。

30.遺伝情報のうち、肝心の部分が損傷を受けると、決定的なダメージを受ける。

31.感動で涙する人は良い気持ちに慣れる。良い遺伝子が働くからである。

32.諦めずに続けることが、物事を成就する最大の秘訣である。

33.心と魂は別のものである。心は意識できる精神、魂は無意識の精神である。

34.心とからだはつながっていて、死ねばからだとともに心も滅びる。しかし、魂は無意識とつなが

って、サムシング・グレート(お天道様、神)に通じている。

遺伝子研究の歴史

1865年:メンデルの遺伝の法則

1900年:Landsteiner, ABO式血液型の発見

1908年:Garrod, 先天性代謝異常症の概念を提唱

1944年:Eivuri, 遺伝子が DNAでできていることの証明

1953年:Watoson, Crick,DNAの二重らせん構造を提唱

1961年:Nirenberg, Khorana, Ochoa,アミノ酸に対する遺伝暗号を解明

1968年:岡崎令治,岡崎フラグメントを発見

1969年:Aber, Nathans, Smith, 制限酵素を発見し、遺伝子操作を開始

1969年:Huebner, Todaro, がん遺伝子の存在を提唱

1970年:水谷哲,逆転写酵素を発見

1976年:利根川進,抗体遺伝子の多様性を解明

1977年:Maxam, GilbertDNAの塩基配列決定法(化学分析法)を開発

1977年:Sharp, DNA中のイントロンおよび mRNA前躯体のスプライシングを発見

2003年 4月:ヒトゲノムの解読

Page 11: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

10

第 5,6 講 生命の基礎、細胞・組織・器官・個体、血液

学習のポイント

1.ホメオスタシスとは 6.白血球の生理作用

2.生体のエネルギーとは 7.免疫の仕組み

3.内呼吸とは 8.血液凝固のしくみ

4.物質の移動方法は 9.血液型

5.血液の生理 10.エイズの発症とその予防

要約

1.生体を構成する細胞にとっての環境である細胞外液の状態を内部環境という。

2.生体の内部環境が安定に保たれているしくみを内部環境の恒常性(ホメオスタシス)という。

3.生体は多数の細胞、組織、臓器・器官から構成される。

4.細胞は基本的に細胞膜、細胞質、核より構成され、細胞質の中にはミトコンドリア、小胞体、リ

ソゾーム、リボゾーム、中心体、ゴルジの器官などがある。

5.核には個体の形成に関わるすべての遺伝情報を持つ DNA(デオキシリボ核酸)が存在する。

6.DNAは細胞増殖やタンパク質合成に重要な役割を果たす。

7.細胞は絶えず材料となる物質を取り入れて、新しい物質を合成し(同化作用)、また不要な物質

を分解したり、エネルギーを取り出したり(異化作用)し、物質代謝を行う。

8.細胞内で内呼吸の過程で生じたエネルギーの一部はATP(アデノシン三リン酸)の形で保存

される。

9.体液は体重の約 60%を占める。体液量、pH,浸透圧などは、多数の器官系が協調的に働くこと

によって、安定に保たれる。

10.体液中の物質の移動は拡散、浸透、能動輸送、膜動輸送、ろ過のいずれかによって行われる。

11.細胞・組織間の情報は主に、神経系、内分泌系及び免疫系によって調和が保たれている。

12.血液は液体成分の血漿と、その中に浮遊する細胞成分(赤血球、白血球、血小板)よりなる。

13.赤血球の役割は、主にヘモグロビンによるO2運搬である。

14.白血球には顆粒球、無顆粒球からなり、自然免疫および獲得免疫(生体防御)に関与する。

15.免疫とは自己と非自己を識別し、非自己を排除するシステムのことを言う。

16.血小板は止血作用を持つ。

17.血漿は大部分が水であり、その中にたんぱく質、電解質、糖などが溶存している。

18.血漿中のたんぱく質は血漿タンパクと呼ばれ、アルブミンやグロブリンが含まれ、細胞へのアミ

ノ酸供給源、膠質浸透圧の維持、血液凝固などに関与する。

19.血漿中の電解質は血液の浸透圧や酸塩基平衡に関与する。

20.止血は、傷害された血管の収縮、血小板血栓による一時止血と、血液凝固によって行われる。

21.血液凝固は、損傷された組織から遊離される組織因子、血漿中に存在する凝固因子、血小板から

Page 12: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

11

遊離される血小板因子などの働きによって起こる。

22.血管内の凝固血液が再び溶解する現象を線維素溶解という。

23.血液型として、ABO式血液型とRh式血液型がよく知られている。

1.白血球の生理作用

白血球は、顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)と無顆粒球(単球、

リンパ球)からなり、食作用や抗体産生などの生体防御機能を持つ。

1)好中球は急性炎症の初期に出現し、異物に遊走し貪食する

2)好酸球は寄生虫や抗原抗体反応産物を貪食する

3)好塩基球は肥満細胞となり、炎症に関与する

4)単球は血管から組織中に出て、マクロファージとなる

5)リンパ球はB細胞、T細胞、NK細胞などがある。BおよびT細胞は獲得免疫に関与し、N

K細胞は自然免疫に関与する。

2.免疫とは

自己と非自己を識別する仕組み。生体内に侵入した異物(抗原)を認識し破壊して排除する

働き

3.自然免疫のしくみ

1)皮膚や粘膜は、異物の侵入を防ぐ生体表面のバリアとして働く

2)好中球やマクロファージは異物に対して非特異的に攻撃する

3)NK細胞はがん細胞などを傷害する

4.獲得免疫のしくみ

1)マクロファージによって異物の情報がヘルパーT細胞に伝わると、体液性物質であればB細

胞、細胞性物質であればT細胞に情報が伝達される。

2)B細胞は抗原を認識すると分裂し、形質細胞に分化してその抗原に対する抗体を産生する。

3)抗体は特定の抗原を凝集させたり、感染力を失わせる作用を持つ

4)T細胞はキラーT細胞に異物の

情報を伝え、サイトカインを放

出してウイルス感染細胞など

を破壊する

5)炎症とは、異物を除去し、損傷

を受けた自己組織を修復する

一連の反応である。

一般に発赤、熱感、腫脹、疼痛、

機能障害の5大徴候を伴う(炎症の定義)。

自然免疫と獲得免疫の比較

抵抗性 感染の繰り返しで変化しない 感染の繰り返しで上昇する

特異性 すべての抗原に効果がある 抗原に特異的

細胞 好中球、好酸球、マクロファージ、リンパ球(T細胞,B細胞)

NK細胞

分子 リゾチーム、補体、急性期蛋白、B細胞:抗体(免疫蛋白)

インターフェロン T細胞:サイトカイン

自然免疫 獲得免疫

Page 13: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

12

5.後天性免疫不全症候群

AIDSは免疫の司令官であるヘルパーT細胞に感染し、免疫を破壊する症候群である。

エイズ(AIDS)

1981 年、米国のロスアンゼルスにおいて、三つの

病院から五人の若い男性同性愛者の間でカリニ原虫

による Pneumocystis carinii 肺炎(PCP)にかかっ

ていることがアトランタにある保健省公衆衛生局の

防疫センタ-(CDC)に報告された。これが AIDS の

発見された最初である。これらの人々にはなんらか

の原因で免疫不全が起こり、その結果、日和見感染

で死亡する事が解った。そこで、CDCはこの病気に対

し 1982年後天性免疫不全症候群と命名した。

AIDSの原因は 1983-4 年、米国やフランスの研究者

等により、AIDS の原因ウイルスが分離され、発見者

により LAV.HTLV.ARV と呼ばれてきた。最近は

HIV(Human Immunodeficiency Virus)という統一名が

採用されている。

感染経路

HIVが感染に十分な量が含まれるのは:血液、精液、腟分泌液、母乳の4つである。

予防

HIVは ①空気感染しない ②体内から出ると感染力を失う ③感染経路が限られている

危険な行為(無防備な性交渉)を避ける➡ Safer sex

Page 14: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

13

第 7,8 講 呼吸、循環、高血圧、動脈硬化症発症メカニズム

学習のポイント

1.呼吸とは

2.ガスの運搬

3.呼吸運動の調節

4.血液循環の経路

5.心筋の性質

6.循環の調節

7.心臓の神経支配

8.血管の性質

9.リンパの循環

10.血圧とは

10.血圧の調節

11.動脈硬化発症の機序

要約

1.呼吸には外呼吸(肺呼吸)と内呼吸(組織呼吸)がある。呼吸の本質は細胞における換気(O2

と CO2との交換=これを内呼吸といい⇒エネルギー物質 ATPの生産)である。

2.呼吸運動とは肺胞を拡張したり収縮したりする運動であり、胸郭の働き(胸式呼吸)と横隔膜の

働き(腹式呼吸)がある。

3.肺から血液に取り入れられた O2は赤血球内のヘモグロビンによって、また組織で生じた CO2は赤

血球中で HCO3-イオンとなって血漿中に化学的に溶解し、運搬される。

4.呼吸運動の調節は延髄の呼吸中枢によって行われる。

5.呼吸のホメオスタシスとは血液中のガス量(酸素ガスや炭酸ガス量)をモニターしている体内の

化学受容器を介して呼吸運動が自動的(無意識的)に調節されている。

6.心臓血管系(循環系)は体循環(大循環)と肺循環(小循環)よりなる。

7.体循環により組織へ O2や栄養素が供給され、組織からの CO2や代謝老廃物が除去される。

8.肺循環により血液中に O2が供給され、血液中の CO2が排出される。

9.心臓は血液を送り出す拍動性のポンプである。

10.心筋は刺激伝導系を構成する特殊心筋と、収縮に適した固有心筋に大別される。

11.心臓の拍動のリズムは、洞房結節の歩調とり細胞(ペースメーカー細胞)で発生し、刺激伝導系

(特殊心筋)を通って心室に伝えられる。

12.心臓の電気的活動を体表から記録したものが心電図である。

13.血管には動脈管(抵抗血管)、毛細血管(交換血管)、静脈管(容量血管)に分かれる。

14.心臓の収縮期における血圧を最高血圧(収縮期血圧)、拡張期における血圧を最低血圧(拡張期

血圧)という。血圧=血液量(心拍出量)×循環抵抗

15.循環は局所性、神経性、ホルモン性に調節されている。

16.循環中枢(延髄)は自律神経を介して心臓や血管運動を調節する。

17.血圧が変化すると圧受容器反射が速やかに働き、血圧を安定に維持する。

18.リンパ系は体液(組織液=間質液)の恒常性を維持する上で、不可欠である。

19.動脈硬化は LDLコレステロールの酸化によって起こる。

20.抗酸化物質として植物、果物、海産物に多く含まれる

Page 15: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

14

1.呼吸とは

酸素ガスと炭酸ガスとの交換(換気)を言い、肺呼吸によって酸素ガスを取り入れ、組織呼

吸によって酸素ガスを組織に供給し、代謝老廃物である炭酸ガスを組織から血管内に取り入

れ、肺から呼息によって排出する。新生児の呼吸数は 1 分間に 40~45 回であるが、成人に

なるにしたがって呼吸数は減少する。また、呼吸の方法が腹式呼吸から胸式呼吸に変化する。

呼吸の中枢は脳幹の延髄に吸息ニューロン群と呼息ニューロン群が存在し、自律神経支配を

受ける。

2.循環とは

心臓を中心とした血液の循環を指す。全身の体細胞に酸素および栄養物を供給し、細胞の新

陳代謝の結果生じた老廃物を排泄するためのシステム。胎児循環では、心房中隔が欠損して

いるため(卵円孔、1 心房 2 心室)、胎盤で母体から酸素や栄養素を得た血液は臍帯静脈か

ら肝臓内の静脈管を経由して下大静脈に流入し、右心房に入る。一部は卵円孔を経て左心房、

左心室へと流れ、大動脈から末梢へ流れる。また一部は、肺動脈へ流れ、動脈管(ボタロー

管)を通じ大動脈から末梢へ流れる。脳幹の延髄に循環中枢があり、自律神経の支配を受け

る。

3.脈拍・血圧

成長にしたがって脈拍数は減少し、血圧は上昇する。健常者では脈拍数と心拍動数は等しい。

Page 16: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

15

第 9,10,11 講 生命維持のための栄養・健康

第 9 講 消化と吸収、栄養と代謝

学習のポイント

1.消化とは

2.消化酵素

3.消化管ホルモン性調節

4.自律神経性調節

5.吸収機序

6.排便の機序

7.物質代謝とは

8.内呼吸とは

9.生体内のエネルギー生産

10.栄養素の代謝、生理

10.ビタミン、ミネラルの生理

11.栄養障害~鉄欠乏性貧血の発症機序

12.肥満の定義

13.肥満の分類

14.肥満症の診断基準

15.肥満のメカニズム

16.肥満の予防

要約

Ⅰ.消化と吸収

1.消化は、消化管の運動と消化液分泌の組み合わせにより行われる。

2.消化管運動と消化液の分泌は平滑筋や壁内神経叢による局所調節、自律神経系、消化管ホル

モンにより調節される。

3.食物は口腔内で咀嚼され、唾液と混和された後、嚥下運動により食道を経て胃に送られる。

4.胃に入った食塊は蠕動運動により胃液と混和される。そこで主として蛋白質が消化され、流

動性の穈粥となり、小腸に送られる。

5.小腸で穈粥は小腸運動により膵液や胆汁、腸液と混和され、消化酵素の働きで最終的に吸収

可能な形にまで消化され、大部分の栄養素が吸収させる。小腸では、水分やミネラルも吸収

される。

6.大腸へ送られた流動性の内容物は、常在する腸内細菌によってさらに分解される。大腸では

主に水とミネラルの吸収を受ける。

7.糞便によって直腸壁が伸展されると、その情報が大脳に伝えられて便意を催すと共に、排便

反射が起こる。

8.消化管ホルモンは、消化管粘膜にある内分泌細胞で生産・分泌される。

9.肝臓は吸収された栄養素を、身体に必要な物質に再合成したり、有害物質などを分解して、

物質代謝に重要な役割を果たす。

Ⅱ.栄養と代謝

1.細胞内で行われる同化(物質の合成)や異化(物質の分解)の作用で様々の物質を作り、エ

ネルギーを取り出す事を代謝という。

2.代謝に必要な材料は栄養素として食品から摂取される。栄養素としては糖質、脂質、蛋白質、

Page 17: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

16

ビタミン、ミネラルがある。

3.異化作用によって放出されたエネルギーは、生命維持に必要な基礎代謝や身体活動などに用

いられる。

4.細胞が酸素を使ってグルコース(ブドウ糖)を分解し、エネルギーを取り出す過程を内呼吸

という。

5.内呼吸では 1モルのグルコースから 686kcalのエネルギーが遊離される。

6.このときに 6モルの酸素が使われ、6モルの水と二酸化炭素が排出される。(光合成は逆反応)

7.内呼吸で放出されたエネルギーの一部はアデノシン三燐酸(ATP)として保存され、残りは体熱

生産に変わる。

8.糖質は主に生命活動のエネ

ルギー源として働く。余分

な糖質は、グリコーゲンと

して一時的に貯蔵される。

9.脂質はエネルギー源として

利用され、他の栄養素に比

べて高いエネルギーを放出

する(9kcal/g)。とくに、

貯蔵エネルギーとしての役

割を持つ。また、細胞の構成成分でもある。

10.蛋白質は細胞の主要な構成成分であり、また、エネルギー源としても利用される。

11.ビタミン、ミネラルはエネルギー源とはならないが、様々な生体機能の調節に重要である。

ミネラルは生体構成成分としても働く。いずれも体内では生産されない。

基礎代謝量に影響する因子

影響因子 基礎代謝の状態

体格 体表面積に比例する

体質 筋肉質のほうが脂肪質よりも高い

年齢 加齢とともに減少

性別 男性のほうが女性よりも高い

ホルモン 甲状腺ホルモン、副腎皮質・髄質ホルモンにより上昇

自律神経 交感神経活動時高い

環境温度 冬のほうが夏よりも高い

体温 体温1℃上昇ごとに基礎代謝量が約13%上昇する

労作状態 筋肉労働時は高い

栄養状態 高蛋白食事高く、低栄養時(飢餓)低い

月経時 月経2~3日前最高、月経時最低

栄養素の消化生産物質

(分解産物)糖質 でんぷん 唾液、膵液 アミラーゼ マルトース

マルトース小腸液 マルターゼ グルコース、グルコーススクロース小腸液 スクラーゼ グルコース、フルクトースラクトース 小腸液 ラクターゼ グルコース、ガラクトース

たんぱく質 胃液 ペプシン膵液 トリプシン アミノ酸

キモトリプシンカルボキシペプチダーゼ

小腸液 アミノペプチダーゼジペプチダーゼ

脂質 膵液、小腸液 リパーゼ 脂肪酸、グリセリン

核酸 膵液 ヌクレアーゼ小腸液 ヌクレオチダーゼ 塩基と糖

ヌクレオシダーゼ

消化液 消化酵素栄養素(基質)

Page 18: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

17

第 9,10,11 講 生命維持のための栄養・健康

第 10 講 日本の食文化と食育 ~戦後から今日までの食生活の変遷

戦後、綿々と引き継がれてきた日本文化、とくに「衣食住」の中で「食」が劇的に洋風化へ

と変化し、その結果、食料自給率の低下、次世代をになう子供たちの学習・記憶・体力の低下、

免疫能の低下、対人技術の発達障害や生活習慣病や摂食障害などを誘発し、さらにこれが遺

伝的体質として次世代へも引継がれかねない。「食」は国の基盤、文化や教育の根幹である。

そこで、日本型食生活を解析し、食育の重要性について検討した。

1.食文化の変遷と食育の必要性

現在の日本の食生活はこれまでの日本型から欧米など世界中の料理、ファーストフードや

いわゆる健康食品というものを自由に取捨選択し、食べたいときに好きなものが食べられる

豊かな自由型(洋風型)へと変わった。その反面、「こ食」(孤食、個食、固食、粉食など)

が習慣化・定着し、さまざまな問題を生じさせている。これは、とくに次代をになう子供た

ちの学習・記憶・体力の低下、免疫能の低下、対人技術の発達障害などと言ったさまざまな問

題を含み、将来、これまでに日本文化を通して獲得されてきた日本人体質に変化が生じ、生

活習慣病や摂食障害などを誘発し、さらにこれが遺伝的体質として次世代へも引継がれかね

ない。

現代人は、好きなものを好きなときに、あるいは今あるものを寄せて食べ、食あるいは栄

養に対する科学的な知識は殆ど持ち合わせていないのが現状である。そこで、これら諸問題

の改善の方向性を探ると、最も根本的で緊急を要する課題が乳幼児期からの「食」のあり方

である。食を通してからだと心の成長・健康が図られ、貧しい食事であっても団欒のある楽し

い食生活や四季の旬のおいしい物を食べた時の自然と笑みがこぼれる幸福感・心のゆとりが

得られ、そこからさまざまな知恵が伝承される。すなわち、「食育」は「職育」であり、各々

の life stage において知力、体力、抵抗力、作業能率、正しい判断力をはぐくむための生涯に

亘っての重要な営みであり、「いまこそ食育」が必要である。

一方、政府は国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむ事ができ

るよう、食育を総合的かつ計画的に推進することを目的として、平成 17 年 7 月 15 日に食育

基本法を施行し、国民運動として、家庭における食育、学校における食育、地域における食

生活の改善のための取組および食育推進運動を展開しようとしている。

2.日本型食生活の解析

日本人の免疫能はこの数十年間で低下してきている。免疫の中心である胸腺は酸化ストレ

スや加齢によって萎縮し、免疫能が低下する。これが、近年の生活習慣病、がんや自己免疫

性疾患、感染症などといった様々な疾病を発症する原因の一つとして広く指摘されている。

その原因の主たるものが前述した戦後の食生活の劇的な変化が挙げられる。すなわち、私た

ちの住む地球には時間的リズムがあるように、生体にも同じ時間的な体内リズムがある。一

日のリズム(概日リズム)には摂食(食生活)のリズム、睡眠のリズム、自律神経のリズム、

Page 19: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

18

免疫のリズム、内分泌のリズムなどがあ

り、日本人が長い歴史を通して獲得して

きたさまざまな体内リズムの中心とな

っているのが「食」であり、生体の機能

維持にとって最も重要な働きとなって

いる。しかし、食生活の変化が生体のリ

ズムを変化させ、肥満を始めとした各種

生活習慣病が起こることが分かってき

た。したがって、これらの疾病は「食源

病」といっても過言ではない。そこで、

われわれは、平成 13 年国民栄養調査結

果から日本人食生活の実態を解析した

結果、免疫能に重要な蛋白摂取量は男・

女共に、成人後大きな変化が認められな

かったが、蛋白質をどの様な食品から摂

取しているかを年齢別にみると、40 歳以降から肉類と魚類の摂取量が逆転するという特徴的

な日本型食事の摂取パターンを見出した(図 1)。また、このパターンの変化が起こることで、

高齢者の蛋白質摂取が保持できていることがアメリカ人の食生活パターンと比べることによ

って明らかになった。すなわち、これは日本人がアメリカ人よりも高い平均寿命を有してい

ることの一つの原因と思われる。しかし、免疫機能および抗酸化機能に影響を及ぼす微量元

素量は加齢に伴って減少する傾向を見出し、これら元素の減少が不定愁訴などの各種自覚症

状と関係していることを見出した。したがって、高齢者にては豆類、野菜、果物、魚介類な

どを積極的に摂取し、総合的に免疫能を向上させるような食生活によって、ますます高齢者

の QOL を向上させる事が可能であると思われる。一方、今の乳幼児や子供が将来高齢者とな

った場合に、前述した現代の高齢者と同じような食事の摂取パターンを取るかについては多

くの不安が生じている。すなわち、味覚や嗜好が形成される乳幼児期での食育が重要である

所以である。とくに、安全な食物を選別できる能力と食物の大切さを知る能力を育てること

が重要であることを指摘したい。

3.免疫能を高める食材の選別

酸化ストレスからの防御を目的として、食品中に含まれるミネラルやビタミン以外のフラ

ボノイド等抗酸化成分を細胞に投与し、活性酸素の消去能について検討したところ、細胞内

外での抗酸化能力が異なっていることを見出した。このことは、抗酸化成分の効果的な摂取

法として、細胞内外にて作用を発揮する抗酸化成分を摂取することが、細胞を酸化ストレス

から防御するにはより有効であることを示す。事実、細胞内外にて抗酸化能を発揮するフラ

ボノイドを含む野菜を高齢者に摂取させると、抗酸化能力及び免疫能は摂取前と比較して有

意に上昇することを見出した。

以上の結果から、日本人の高齢者は蛋白質においては十分に摂取できていることから、こ

0

20

40

60

80

100

120

140

160

1~6 7~14 15~19 20~29 30~39 40~49 50~59 60~69 70以上

年齢 (歳)

摂取量(g)

図 1.蛋白質摂取源としての魚、肉類摂取量の年齢階層別比較

蛋白質を摂取減としての魚介類および肉類の摂取量を

年齢階層別に示した。

■,男性の魚介類摂取量;□,女性の魚介類摂取量;

▲,男性の肉類摂取量;△,女性の肉類摂取量

Page 20: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

19

れらの食生活に加えて、セレン等の抗酸化酵素関連微量元素や細胞内外にて抗酸化能力を発

現できうる抗酸化成分を多く含む食品群(主に豆類、野菜、果物、魚介類)を十分に摂取す

ることによって抗酸化能力を高め、免疫能を保持し、QOLを高める。このことは若年者にお

いてもまったく同じことが言え、免疫能の健全化のためには「健全な食生活」が重要である

ことを示唆している。

おわりに

この 60 年間で日本社会のあり様が著しく変貌し、今後もさらに急速に変化していくものと

思われる。このような時世において、健康な生命を維持する上で最も重要なものが「食のあ

り方」である、正しい「食生活」を維持・継続することによって生体のリズムが構築され、知

識や技術の向上が図られる。さらに、健全なからだや精神(感謝)という個人レベルの健康

だけでなく、健全な社会が構築され、延いては国家が元気となる。また、「食」に対する知識

を得ることによってからだと心を大切にし、生きる術として大切な善悪の判断、感謝し奉仕

するといった素直な心を持つ。さらに、前向きに生活の工夫を行う知恵などを持ち、将来を

夢見る心を持つようになる。そしてこれらの習得が「自由」な心で「正当性」、「責任」を持

って、「平和 (社会)」に貢献できる体力と心を持つようになる。これが、次の世代に引継がれ

る。「食」は国の基盤、文化や教育の根幹である。これらの根本である食育が家庭、地域、学

校、行政、企業、等々の連携による社会全体での活力ある国民総運動が期待される

第 9,10,11 講 生命維持のための栄養・健康

第 11 講 肥満のメカニズム

1.肥満とは、単に体重が多いということではなく、脂肪量(中性脂肪)が過剰に蓄積した状態

を言う。この場合、脂肪が増量している組織および場所(分布)によって分類方法が異なる。

2.脂肪細胞の違いによる肥満の分類

成人の脂肪細胞数は通常 250-300 億個(白色脂肪 99% 、褐色脂肪 1%)存在し、ヒトではこ

の脂肪細胞の増殖集中時期が生涯に3回ある。それは、①妊娠末期3か月間の胎児期、②生

後1年以内の乳児期及び③思春期であり、これらの時期に発症した肥満は脂肪細胞の大きさ

は正常、その数が増加した増殖性肥満になりやすい。

3.脂肪の蓄積場所(体内分布)の違いによる肥満の分類

皮下に脂肪が蓄積する皮下脂肪型(洋梨型、下半身型)肥満と内臓(主に腹腔内の腸間膜、

大網)に脂肪が蓄積する内臓脂肪型(りんご型、上半身型)肥満に分類される。

4.病因による肥満の分類

単純性肥満と症候性肥満に分類される。肥満の 95%は単純性肥満であり、その発症原因は①

過食と運動不足、②摂食パタ-ンの異常、③経済的・社会的環境、④熱産生機能障害および

Page 21: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

20

⑤遺伝など様々な原因が関与して発症する。症候性(二次性)肥満は①中枢性(視床下部性

肥満)、②内分泌性(内分泌性肥満)、③遺伝性および④薬剤性など、原因疾患が他にあり、

その病気の症状の一つとして肥満が現れる場合を言い、原因疾患を治療することで直るが、

単純性肥満の場合は遺伝的な体質に様々な環境要因(最も大きいのが過食と運動不足)が重

なって発症するため、この環境要因を一つずつ除いていくことが減量のポイントとなる。

5.肥満症の診断基準

肥満の診断基準として BMI(やせ<正常範囲=18.5~24.9<肥満)と同時に、この BMI は皮

下脂肪面積とは強い正の相関を示すが、内臓脂肪面積とはあまり相関が見られないことから、

肥満症の診断には BMI 25以上という基準だけではなく、内臓脂肪量を反映できる臍周囲の計

測(100cm2以上)が付け加えられた

6.肥満のメカニズム

①レプチン、②レプチン受容体、③β3 アドレナリン受容体、④脱共役蛋白(UCPファミリ-)

が関与し、これらの遺伝子の異常およびさまざまな環境要因におけるこれら遺伝子の発現や

機能の低下などによって肥満が発症する(肥満発症に関連した遺伝子群は約 70種類くらい存

在するという)。

Page 22: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

21

第 12 講 体液の恒常性維持機能と体温調節 ~排泄機序と体液調節のメカニズム、発熱のメカニズム

学習のポイント

1.体温の部位差と変動

2.体温調節の仕組み

3.産熱と放熱

4.暑さ寒さへの適応

5.腎臓の生理作用

6.尿の生産機序

7.体液量の調節

要約

Ⅰ.体温調節

1.からだの深部の温度(核心温度)は外気温が変化しても、狭い範囲内に保たれる。

2.核心温度は、体内の熱産生(産熱)と熱放散(放熱)のバランスによって維持される。

3.産熱は、からだが必要とするエネルギーを体内で作ったり利用したりする過程で生じる。

4.放熱は、放射、伝導と対流、蒸発などの物理的機序によって行われる。

5.蒸発には不感蒸発によるものと、発汗によるものとがある。

6.温度受容器は皮膚と視床下部にある。皮膚は外気温の変化、視床下部では血液の温度を受容する。

7.視床下部にある体温調節中枢は産熱と放熱を調節し、体温の変化を防ぐ全身的反応を起こす。

Ⅱ.排泄機序

1.腎臓は体液の恒常性維持機能と内分泌機能を有する。

2.水や電解質の排泄調節により、体液の量、浸透圧、pHは安定に保たれる。

3.体液中の不要物は排除され、有用物質は保持される。

4.腎臓の機能上の単位をネフロンという。ネフロンは腎小体と尿細管よりなる。腎小体は糸球体と

ボーマン嚢よりなる。

5.血液は腎糸球体で濾過されボーマン嚢に入る。ろ液を原尿といい、1日約 180Lになる。

6.糸球体ろ過の際に、血液中の血球や血漿タンパク質のような大きな分子はろ過されず、水やミネ

ラル、グルコースなどの小さな分子がろ過される。

7.原尿中のグルコース、アミノ酸、Na+などは尿細管で血液中に再吸収される。

8.原尿の水分の約 99%は尿細管において再吸収される。

9.アンモニアやクレアチンなどは尿細管で分泌される。

10.腎臓で生産された尿は、尿管を通って膀胱へ送られる。

11.膀胱は尿をある量に達するまで貯める事ができる。この仕組みを蓄尿という。

12.排尿時には、尿管の排尿中枢を介する排尿反射が起こり、尿が排泄される。

13.尿中には尿酸や尿素などの窒素代謝物が多く含まれる。

Page 23: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

22

第 13~16 講 生活活動の情報連絡システム

(1)内分泌ホルモンによる情報連絡システム

学習のポイント

1.内分泌とは

2.ホルモンのはたらき

3.ホルモンの作用機序

4.ホルモンの分泌調節

5.成長・代謝・生殖ホルモン

6.生殖のしくみ

要約

1.ホルモンとは、一般に内分泌器官の内分泌腺細胞から血液中に分泌される物質の総称。

2.内分泌腺は松果体、下垂体、胸腺、甲状腺、副甲状腺、膵臓、腎臓、副腎、卵巣、精巣等にある。

3.ホルモンは視床下部の神経細胞や消化管などの内分泌細胞からも分泌される。

4.ホルモンは標的細胞にある受容体と結合して生理作用を発現する。

5.ホルモン分泌は、階層的支配、フィードバック調節、自律神経などにより一定の範囲に保たれる。

6.下垂体前葉は6種類、下垂体後葉は2種類のホルモンを分泌する。

7.甲状腺ホルモン(サイロキシン)は物質代謝の亢進などの作用を持つ。

8.血液中のカルシウム濃度はホルモンによって恒常性が維持され、カルシトニンは骨や腎臓に作用

して血液中の Ca2+濃度の上昇(骨形成ホルモン)、副甲状腺ホルモンは低下(骨吸収ホルモン)

を促す。

9.グルコース濃度はホルモンによって恒常性が維持され、インスリンは血中グルコースの細胞内取

り込み(同化ホルモン)促進による血糖低下、グルカゴンは増加(異化ホルモン)を促す。

10.カテコールアミン(交感神経支配)は、心拍出量増加、血圧上昇、血糖上昇作用を持つ。

11.副腎皮質ホルモンは糖代謝や電解質代謝などを促す。

12.副腎髄質ホルモンは交感神経の支配下にあり、交感神経が働いているときにアドレナリンなどの

カテコールアミンが内分泌される。

13.精巣の間質細胞(ライデッヒ細胞)から内分泌されるテストステロンは精子の形成や男性の第2

次性徴の発現を促す。

14.卵巣の卵胞から内分泌されるエストロゲンは女性の第2次性徴の発現を促す(妊娠の準備をする

ホルモン)。

15.卵巣の黄体から内分泌されるプロゲステロンは子宮内膜に作用して受精卵の着床を容易にする

(妊娠維持ホルモン)。

16.卵管に出現する卵子が精巣の精細胞で生産される精子を受ける(受精)と、直ちに核融合が起こ

り、卵割しながら子宮内膜に移動し着床・妊娠が起こる。

Page 24: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

23

第 13~16 講 生活活動の情報連絡システム

(2)感覚による情報連絡システム

学習のポイント

1.感覚とは

2.感覚器の機能

3.末梢神経系の機能

4.体性感覚

5.内臓感覚

6.特殊感覚

要約

1.生体にはある特定の種類の刺激に応ずる感覚受容器が存在する

2.感覚には体性感覚、内臓感覚、特殊感覚に大別される。

3.体性感覚には皮膚感覚(痛覚、触・圧覚、冷覚、温覚)と深部感覚に大別される。

4.内臓感覚には空腹感、乾き感、尿意、便意などの臓器感覚と内臓痛覚がある。

5.痛覚には表在性痛覚、深部痛覚、内臓痛覚がある。

6.表在性痛覚は局在がはっきりしているが、深部痛覚と内臓痛覚は一般に局在性が乏しい。

7.特殊感覚には味覚、嗅覚、聴覚、平衡感覚、視覚があり、それぞれが特定の刺激に対応する感覚

器を介して受容する。

8.味覚と嗅覚は、水に溶けた化学物質をそれぞれ味蕾あるいは嗅上皮を介して受容する。

9.聴覚は音波による鼓膜の振動を内耳の蝸牛(コルチ器官)を介して受容する。

10.平衡感覚は重力に対する頭の向きや直線・回転運動の加速度を内耳の前庭器官を介して受容する。

11.視覚は物体の色、形、明るさに関する情報を網膜を介して受容する。

12.毛様体筋は水晶体の厚みを変え遠近の調節を、虹彩は瞳孔の大きさを変えて明るさの調節をする。

13.感覚受容器で受容された情報は求心性神経を介して中枢神経系に伝えられ、反射を起こしたり、

大脳皮質に投射して感覚を生ずる。

Page 25: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

24

第 13~16 講 生活活動の情報連絡システム

(3)神経による情報連絡システム

学習のポイント

1.神経系とは

2.中枢神経系の機能

3.末梢神経系の機能

4.興奮の伝導と伝達とは

5.自律神経系のはたらき

6.記憶と睡眠

要約

1.神経系は生体内外の環境の変化に関する情報の連絡・処理・統合のはたらきをする。

2.神経系は末梢神経系と中枢神経系に分類される。中枢神経系は脳と脊髄からなり、感覚及び運動

など全ての中枢として働く。

3.末梢神経系は受容器で受け取った情報を中枢神経系に伝えたり、中枢神経系の情報を効果器に伝

える役割を果たす。

4.末梢神経系は解剖学的には脳神経と脊髄神経に、機能的には体性神経系と自律神経系とに分類さ

れる。

5.神経組織は神経細胞(ニューロン)とその支持細胞(グリア細胞)からなる。

6.ニューロンは細胞体、樹状突起、軸索より構成される。軸索の末端は神経終末を作る。

7.ニューロンの膜の一部に発生した活動電位は軸索上を伝導する。

8.神経線維には伝導速度の速い順に A,B,Cに分け、A線維群をα、β、γ、δの 4群に分類する。

9.神経終末と他のニューロンや筋などとの接合部をシナプスという。神経終末に活動電位が到達す

ると、終末から神経化学伝達物質が放出される。

10.脳は脳幹、間脳、大脳、小脳に分類される。各部位は身体の様々の機能の統合に重要な役割を果

たす。

11.脳幹の延髄には呼吸、循環、消化など、生命維持に重要な中枢がある。

12.大脳の新皮質には感覚野、運動野など、機能局在がある。新皮質の連合野は言語、学習、知能、

判断、思考、創造などの高次の神経機能を分担する。

13.末梢神経の内、主として内臓の機能の調節に関わる神経系を自律神経系という。

14.自律神経は内臓平滑筋、心筋、腺などに分布する。

15.自律神経系はホメオスタシスの維持に重要な役割を果たし、遠心路には交感神経と副交感神経が

ある。

16.交感神経と副交感神経は相反(拮抗)関係にあり、消化・吸収・排泄などは副交感が、また、闘争

的な反応は交感が関与している。

Page 26: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

25

第 17,18 講 生活活動としての運動システム

皮膚、骨、筋の働きと健康

学習のポイント

1.皮膚の生理作用 2.骨の生理 3.筋の生理

4.筋の収縮 5.運動のしくみ

要約

1.皮膚は内臓緒臓器を保護する作用、体温調節作用、感覚作用、排泄・分泌作用などを有する。

2.皮膚感覚には痛覚、触覚、圧覚、冷覚、温覚の受容器細胞が存在する。

3.筋肉は骨格筋、心筋、平滑筋に分類される。

4.骨格筋は骨格に付着する筋で、明確な横紋を持ち、体性神経支配を受ける。

5.筋を構成する筋線維(筋細胞)内には収縮タンパクからなるアクチンフィラメントとミオシンフ

ィラメントが存在し、骨格筋では規則正しく並んでいる(横紋構造)。

6.筋に発生した活動電位が横行小管を介して筋細胞内部に伝わると、細胞内のカルシウムイオン

(Ca2+)が増加して筋収縮が起こる。

7.筋に発生した活動電位によって筋収縮が起こることを興奮収縮連関という。

8.筋運動は筋の等張力性収縮と等尺性収縮の組合せで起こる。

9.筋の収縮や弛緩に必要なエネルギー源となるATPはグルコースから内呼吸や解糖によって生産

されるほか、筋細胞内のクレアチンリン酸からも補われる。

10.骨格筋線維には白筋線維(速筋)と赤筋線維(遅筋)がある。

11.内臓平滑筋は横紋を持たず、ゆっくり、かつ持続的な収縮をする。

12.運動中枢は脊髄、脳幹、小脳、大脳基底核、大脳皮質などに存在する。

13.脳幹には緊張性頸反射や迷路反射、立ち直り反射などの姿勢反射の中枢がある。

14.小脳は随意運動の協調、姿勢保持、熟練した運動の記憶と学習に関与する。

15.大脳基底核は運動の発現、円滑な運動の遂行や姿勢の制御に関与する。

16.大脳皮質の一次運動野には体部位局在がある。

Page 27: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

26

第 19 講 生命の成長・加齢システム ~老化とは

生殖・成長と老化

学習のポイント

1.生殖とは

2.受精から妊娠にしくみ

3.妊娠から分娩のしくみ

4.生命の誕生

5.性の決定、分化、成熟、加齢

6.成長と老化

要約

1.新しい個体を作る機能を生殖といい、生殖に関わる器官を生殖器官という。

2.思春期になると生殖器は急激に成熟する(第2次性徴)。

3.男性では精巣の間質細胞から分泌されるテストステロンの作用で多数の精子が形成される。精子

の排出機能も発達する。

4.女性では卵巣内の成熟細胞から分泌されるエストロゲンが急激に増加し、視床下部に作用して、

黄体形成ホルモンの一過性増加が起こり、排卵が誘発される。

5.排卵から次の排卵までを卵巣周期、月経開始から次の月経までを月経周期という。

6. 排卵後、黄体から分泌されるプロゲステロンの作用で受精卵の着床しやすい状態が作られる。

7.受精は卵管で起こる。受精卵が子宮内膜に着床して妊娠が始まる

8. 細胞の寿命は細胞の種類で異なる。腸管の上皮細胞では2~5日であるが、神経細胞では長く、

個体の寿命と同じである

9.生理機能の加齢変化は、各機能において異なる速度で進む。

10.高齢者では、安静時のホメオスタシスは比較的良く保たれているが、環境の激変や激しい運動に

対する適応能力の低下が著しい。

Page 28: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

27

第 20 講 生命倫理(バイオエシックス)と医療倫理

パワ~ポイントの標題順に下記に示す。

1.生物・生命の定義

2.生物とは~生物の持つ性質

3.生物学における科学的理論

4.科学とは~治療とは健康を基本として行う比較・臨床科学研究

5.臨床科学研究の課題は身近に多く存在する

6.科学的な研究方法のためのフローチャート

7.治療と科学

8.EBM、NBMとは~エビデンス(治療結果)に基づく医療

9.生命倫理(Bioethics)~医療倫理の 4原則

10.望ましい形質とは何か~20世紀優生学によって行われたこと。

11.国内での生命倫理に関わる歴史上の出来事

12.生命倫理学とは

13.生命倫理学の課題

14.生殖工学(1)人工授精、体外受精

15.生殖工学(2)代理母、出生前診断、着床前診断

16.生殖工学(3)クローン人間

17.クローン研究に関する諸問題

18.生殖医療

19、再生医学

20.遺伝子ビジネス

Page 29: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

28

第 21,22 講 難病(先天代謝異常症)と健康

先天異常および先天代謝異常症

学習のポイント

1.遺伝子病とは 2.先天代謝異常とは 3.染色体異常とは

4.胎芽病とは 5.胎児病とは

先天異常は出生時に見られる構造的異常で、先天奇形は,遺伝性のものもあれば散発性のもの

もあり,単一で生じることもあれば多発性に現れることもある。また,外見上明らかな奇形もあ

ればはっきりしないものもあり,肉眼でわかるものもあれば顕微鏡的な異常もある。新生児の死

亡原因のほぼ半数は,これら先天奇形が占めている。大奇形は,出生時点で新生児の 3~4%に

見いだされるが;5 歳までに小児の 7.5%で先天異常が明らかになる。

発症率は,異常の種類;遺伝的または環境的因子,あるいはその両者によるとみられる地理的

条件(地域特異性);文化的慣習(例,近親結婚は遺伝的異常のリスクを増大させる)などによ

って異なる。母親が(母親ほどではないが父親も)高齢になると染色体異常,特にダウン症候群

のリスクが増大する。

病因は遺伝的因子または催奇性因子,あるいはその両者と関連がある。異なる因子でも,器官

発生の過程の同じ時期に作用すれば,同じ奇形を誘発する場合がある。遺伝的因子は様々な単一

異常や症候群の原因となる。遺伝的因子は単純なメンデルの法則に従うか,多因子遺伝によって

作用する。ダウン症など一部の症候群は,染色体異常により生じる。催奇性因子には,環境内の

毒物や放射線,食事,薬物,感染症,代謝障害などがある。

1.先天異常とは

先天的(出生前)に異常を持って生まれるものを指す・・・先天奇形、先天代謝異常症

原因:遺伝性、母体内環境、両者による影響

2.遺伝

親のもつ形質を子に伝えることを遺伝という.これには染色体上に存在する遺伝子が重要な働

きをしている.遺伝子の本体はDNA(デオキシリボ核酸)である.

遺伝の形成に分離の法則、優劣の法則、独立の法則があることをメンデルが発見したが後2者に

は例外がみられる.例えば、同一の染色体に含まれる遺伝子は互いに独立しては行動しない.こ

れを連鎖という.また連鎖していた遺伝子が減数分裂のとき組換えを行なうことがある、これを

交叉という。

人の体細胞の染色体には常染色体と性染色体とに区別され、ヒトでは卵子の染色体は 22+X、

精子では 22+Xと 22+Yの2種となる。

性染色体に遺伝子が含まれ、男、女のいずれかにのみ遺伝する場合を伴性遺伝という。

Page 30: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

29

3.遺伝子と染色体

遺伝子:DNA→(核内、転写)→mRNA→(リボゾーム、翻訳)→たんぱく質

染色体:常染色体 22 対(44)、性染色体 雄X,Y(46, XY)、雌X,X(46, XX)

4.遺伝子病

単一の遺伝子異常によっておこる先天異常である。

1)優性遺伝による病気:ポルフィリン症、軟骨異栄養症など

2)劣性遺伝による病気:ポルフィリン症、フェニールケトン尿症、白子、全色盲症など

3)伴性遺伝による病気(X 連鎖性遺伝病):血友病、仮性肥大型進行性筋ジストロフィー、赤、

緑色盲、鉄芽球性貧血症など

色の感覚

網膜:杆状体細胞…視覚物質(ロドプシン)、白黒(明暗)

錐状体細胞…視覚物質(ヨドプシン)、カラー(赤、緑、青)

3原色の赤、緑、青の各々に対応した光受容器があり、各々赤、緑青色光を吸収する

視覚蛋白質を持つ.

色盲

伴性劣性遺伝…赤色盲(第一色覚異常)、

緑色盲(第二色覚異常) 日本人

男性の約 5%、女性の約 0.2 %

常染色体劣性異常…ロドプシン、青色盲

(第三色覚異常=まれ)

5.先天代謝異常症

遺伝子病の中で重要な位置づけがなされ

ている先天性代謝異常症は、酵素欠損(酵素

活性の低下・酵素反応生成物の欠損・酵素反

応前駆物質の体内蓄積)、細胞膜転送障害、

構造蛋白あるいは転送蛋白の異常などによ

りそれぞれ特有な表現型の発現をみる。頻度

は出生児の 1%。ポルフィリン症、フェニー

ルケトン尿症、ホモシスチン尿症、ガラクト

ース血症、クレチン症(先天性甲状腺機能低

下症)、先天性副腎過形成症

6.染色体異常(配偶子病)

生殖細胞形成過程の減数分裂における不分離により大部分の染色体異常は生ずるが、一部に卵

分割時の不分離によるモザイク個体の発生や本来別々の 2 個体になるべき受精卵が 1 個体とし

視覚蛋白質 波長(nm) 遺伝子座

ロドプシン 495 3q21-qter

  青 420 7q22-qter

  緑 530 Xq22-q28

  赤 560 Xq22-q28

ヒトの視覚蛋白質の相同性と遺伝子座位

Page 31: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

30

て発生したキメラもある。頻度は出生児の 0.6~1%。

1)染色体 46, XY(常染色体 22 対、性染色体 X,Y)

2)常染色体異常症

ダウン症;21 トリソミー(47,XY,+21)

1 人/600~800 人、高齢出産に多い、低身長、精神遅滞(知的障害)、

早期老化、つりあがった目、低い鼻根、大きい舌、心・消化器など

内臓の奇形、40 歳以降にアルツハイマー病が高確率で発症する。

治療方法はない。しかし、数十年前までは平均寿命も 20 前後であ

ったが、これは循環器合併症の外科的治療が当時はできなかったた

めで、合併奇形を治療すれば一般の健康状態は良い。現在では平均

寿命は 50 年程度に延びている。4 年制大学を卒業した人もいる。

3)性染色体の異常症

(1) タ-ナ-症候群 (45, XO 型)

2 人/1 万人、低身長、無月経、二次性徴欠如、肩・胸郭巾広、高

血圧、糖尿尿を併発しやすい、精神正常

(2) クラインフェルタ-症候群 (47, XXY 型、48, XXXY 型)

1 人/500 人、女性乳房、無精子症、睾丸萎縮、高身長、軽度の

精神異常、ただし小児期の診断は困難なこと多し。

(3) superfemale (XXX 型、XXXX 型) 、トリプル X 症候群

1 人/1000 人、無症状が多い、軽度精神発達遅延(30~50%)

行動異常

(4) YY 症候群 (XYY、 XXYY、 XXXYY) および XXXXY 症候群

1 人/1000 人、クラインフェルターと同じ、高身長、異常行動、性格異常(犯罪行為)

7.先天性代謝異常症とマス・スクリーニング

対象疾患

先天代謝異常症:フェニルケトン尿症、楓糖尿病、ホモシステイン尿症、ガラクトース血症

先天内分泌異常症:先天性副腎過形成症、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)

8.先天奇形(形態異常)

原因:遺伝子や染色体の異常、胎児期の薬物や感染症、原因不明

1)胎芽病

妊娠 8週未満の胎芽期に起因;薬物や感染、物理的環境要因などに起因

サリドマイドによる四肢奇形など

2)胎児病

口唇病、成長遅延、知能障害など体の大きさや細胞構築異常を主とする奇形が多い

20 1/1667 1/52622 1/1429 1/50024 1/1250 1/47626 1/1176 1/47628 1/1053 1/43530 1/952 1/38432 1/769 1/32334 1/500 1/23835 1/385 1/19236 1/294 1/15637 1/227 1/12738 1/175 1/10239 1/137 1/8340 1/106 1/6641 1/82 1/5342 1/64 1/4243 1/50 1/3344 1/38 1/26'45 1/30' 1/21'46 1/23' 1/16'47 1/18' 1/13'48 1/14' 1/10'49 1/11' 1/8'

染色体異常の生産児を出産するリスク

 *47,XXXでは20~32歳の人を除外(データ不在)。Hook EB;“Rates ofchromosome abnormalities atdifferent maternal ages. Obstetricsand Gynecology 58:282-285,1981;およびHook EB, Cross PK,Schreinemachers DM;”Chromosomal abnormality rates atamnocentesis and in live-borninfants Journal of the AmericanMedical Association 249: 2034-2038, 1983より。

母親の年齢

ダウン症候群のリスク

染色体異常のリスク*

Page 32: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

31

3)多因子遺伝病

9.胎芽と胎児

受精後第 8 週(2 ヶ月)までを「胎芽」と呼ばれ、第 9 週以降を「胎児」と呼ぶ。

1)胎芽期:神経系や目、心臓、四肢などの形が作られる器官形成期である。したがって、器官

形成に障害を与える諸因子が作用すると、種々の奇形を生ずる可能性がある。器官形成に影

響を与える因子として、放射線、化学薬品、ウイルス感染などが考えられるが、胎芽の諸器

官の感受性は時期によって異なるため、奇形の種類は作用する因子と、作用量の各要因によ

って決まる。

胎芽病:母体の病気では風疹:妊娠 3 ヶ月以内(特に 2~10 週)に感染すると、5~6 人に

割合で、小脳症、白内障、聾、心臓の異常、紫斑病などの異常が起こる。服薬ではサリドマ

イド奇形、先天性風疹症候群、放射線による胎児の異常。

2)胎児期:各器官が発達し、組織が分化していく時期である。

胎児は魚類から両生類、爬虫類、哺乳類と生物の進化をたどるような形態を変化させていく。

この急激な変化は受精後 5~6 週の 1 週間ほどの間に進行する。

胎児病:胎盤を介して病原体・化学物質、母体に由来するホルモン、代謝産物、環境因子が

胎児に影響を与え、作用するために起こる疾患。目立った奇形はないが、大きさや細胞構築

の異常を主とする奇形をきたす可能性がある。先天梅毒、トキソプラズマ症、妊婦の一酸化

中毒による脳障害、早期破水による羊水感染(肺炎)、有機水銀中毒、難産による脳性まひ、

妊娠中の薬剤により黄疸を起こすことがある。など。

生命色素ポルフィリンと難病

-生物共通の根源物質ポルフィリンの生命科学ー

学習のポイント

1.ポルフィリンとは 2.ポルフィリン代謝 3.ポルフィリン代謝異常症

(遺伝性、獲得性) 4.難病の定義 5.遺伝子ー環境因子相互干渉作用

要約

1.ポルフィリンとは生物の生命維持において最も根源的な作用を持つヘムやクロロフィルの中間代

謝産物である。

哺乳動物においては。ヘモグロビン(酸素の運搬)、ミオグロビン(酸素の貯蔵)、チトクロー

ム類(ATP生産)、チトクローム p-450類(薬物代謝)、サイロペルオキシダーゼ(甲状腺ホル

モン合成)、カタラーゼ(活性酸素分解)、ペルオキシダーゼ(活性酸素分解)、トリプトファン

Page 33: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

32

ピロラーゼ(セロトニン、メラトニンの生産)、NO合成酵素(神経化学伝達、血管拡張など)、

その他多数の生命作用に関与。

2.ポルフィリンの代謝はすべての生物に共通の前駆物質δーアミノレブリン酸から生産され、ヘム

の生産までに7つの酵素が関与する(代謝とは変化することを指す)。

3.この7つの酵素遺伝子すべてについて、遺伝子異常が知られ、これを先天性(遺伝性;congenital,

genetic)ポルフィリン代謝異常症という。酵素障害の種類によって臨床症状が異なる。ただし、

遺伝子の異常があっても欠損はない。

4.遺伝形式において、常染色体異常には優性遺伝と劣性遺伝があり、性染色体異常症は伴性遺伝と

いう。

5.ポルフィリンの代謝異常は後天的に鉛中毒やダイオキシンなどの難分解多ハロゲン芳香族化合物

についても知られ、臨床症状は同じであるが、原因がなくなると正常の代謝に戻るので遺伝性と

区別される(ポルフィリン尿症と呼ぶ)。

6.先天性ポルフィリン症の発症には必ず、誘発因子が存在する(遺伝子ー環境因子相互干渉作用)。

7.難病とは原因不明の疾患で、かつ治療法のない病気を指す。

Page 34: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

33

第 23,24 講 こころと健康,代替療法、健康科学

1.代替療法 ー治癒のこころと治療のこころー

学習のポイント

1.代替療法とは

2.伝統医学とは

3.治癒と治療の違い

4.自然治癒力とは

5.生体恒常性(ホメオスタシス)とは

要約

1.代替療法とは現在西洋医学以外の全ての医療

2.伝統医学とは現在西洋医学以外の伝統的・歴史的な医療

3.治癒とは自然の流れであって、治療とは能動的な医療

4.ホメオスタシスとは生体のあらゆる組織、臓器、器官、システムが健常状態を維持しようとする

調節機能、ホメオスタシスが崩れた状態が病気

2.こころと健康

ーからだとこころはいつも健康になりたがっているー

学習のポイント

1.ストレスとは

2.こころの病気

3.心身症とは

4.神経症とは

5.うつ症とは

6.摂食障害とは

要約

1.ストレスとは生体のひずみ(ゆがみ)をさし、ストレッサーが必ず関与する。

2.歪がからだに起きた時に心身症、こころに起きた場合に神経症が、各々発症する。

3.うつ症は脳の心身症であり、不安障害、アルコール中毒、人格障害、摂食障害などの合併症を伴

い、自殺願望が起こる。

Page 35: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

34

第 25~28 講 生命と地球

ー美しい地球を次世代に引き継ぐー

学習のポイント

1.オゾン層の破壊

2.地球の温暖化

3.越境大気汚染(酸性雨など)

4.海洋汚染

(地球規模の化学物質汚染を含む)

5.自然資源の劣化

1)熱帯林の減少

2)生物多様性の減少

3)砂漠化

6.人口・食糧問題

7.その他:廃棄物

1.オゾン層の破壊

1)1980年代のはじめ頃、南極上空にオゾン層が著しく減少していることが観測された。

これに伴って紫外線の増加が地球レベルで問題となった。

2)紫外線は波長によって UVA(400~320nm)、UVB(320~280nm)、UVC(280~190nm)から成り、オゾ

ン層の減少に伴って増加するのは UVBであり、オゾン層が1%減少すると UVBは約 2%増大する。

3)ヒトへの健康障害として、①白内障、②免疫能の低下、③皮膚がん、動植物・水中生物への影響

として①成長障害、死、②収穫量の減少、③生態系の破壊、気候への影響として①局地的な洪水

発生、②台風の大型化、③干ばつ、④光化学スモッグの発生が知られている。

2.地球の温暖化

1)産業革命以来、石油や石炭などの化石燃料の大量消費や森林伐採などによる大気中の炭酸ガス量

の増量し、主に、この CO2の温室効果による地球の温暖化が近年加速されている。

2)地球温暖化は「子孫の時代」にその悪影響が懸念されるものであり、今すぐ深刻な影響が出ると

いうものではない。百年後に結果がはっきりする性質のものである。

3)地球温暖化の影響として、①海面の上昇、②海洋環境の変化、③洪水規模の拡大、④湿地やマン

グローブの損失、⑤淡水源への海水侵入、⑥生物多様性、すなわち生態系の破壊、⑦干ばつ、台

風の強大化、⑧異常気象、⑨水質の悪化、⑩食糧減少、⑪感染症の増大などが起こる。

4)地球の温暖化が十分ゆっくりと進行し、世界の国々や諸地域の資源、農林業、水産業、人々の居

住環境、経済活動などあるいは生態系への影響が少なかったとしても、農業に適する気候帯が他

国に移ったり、自国が砂漠ばかりになってしまい困窮する国も出てくる。それゆえ地球温暖化問

題は社会問題でもあるといえる。

3.越境大気汚染=酸性雨

1)東アジア地域には現在めざましい経済発展を続けている国が多く、そこから放出される大気汚

Page 36: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

35

染物質は国境を越え、酸性雨として我が国にも飛来している

2)酸性雨は、発生地周辺のみならず拡散された広範囲の地域に影響を及ぼす。河川、湖沼の酸性

化による魚類の死滅、植物の死滅、土壌中微生物の変化など

4.海洋汚染

1)1994 年に発効された国連海洋法条約の中で、海洋汚染とは「海の生物や人間の健康、漁業な

どの営みに有害なものを人間が、直接、または間接的に海に持ち込むこと」と定義されている。

2)汚染には、ゴミや産業廃棄物の投棄、船の事故などによる原油の流出といった一過性のものと、

工場や家庭からの排水、河川や大気からの農薬などの化学物質の流入といった慢性的なものとが

ある。現在、大きな問題となっているのは、私たち人間が出す生活排水に多量に含まれている、

有機物による汚染。

3)海に注ぐ有害な化学物質は、食物連鎖を通じて濃縮されながら、生物の体内に蓄積されていく。

生態系の上位の捕食者ほど、高濃度の化学物質を取り込むことになるが、地球の生態系のトップ

にいるのは私たち人間である。たとえば、水俣病は水銀に犯された魚介類を食べ続けた結果であ

る。バクテリアがいくら汚染物質を分解しても追いつかないほど、地球の海は汚染されてきてい

る。

4)われわれにできることは、海や川の有機物による汚染は、その 60%が家庭からの排水が原因

といわれている。石けんや合成洗剤の使いすぎには注意する。また、油や食事の残りなどを流し

たりしないようにする。

5.熱帯林の減少

熱帯林は 20世紀の後半から毎年 1,500万 ha余り(北海道、四国及び九州の面積の合計に相当)の割

合で減少していると言われています。熱帯林は世界で最も多様な動植物を含む生態系として知られて

いるが、森林面積の急激な減少による遺伝子資源や木材資源の劣化のみならず、CO2の吸収源の喪失

につながるのではないかと危惧されている。

6.砂漠化

砂漠とは年間降水量が 200mm以下の場所をいう。砂ばかりでなく砂礫もある。世界の砂漠は陸地面

積の約 30%あり、毎年 600万 haずつ増えている。

砂漠は森林や緑地の無計画な開墾・伐採・放牧・植物の採取や地下水の汲み上げが原因となっている。

森を切った土地には作物を作れば大きく育つ土壌がある。 この土壌には 1g 当り 1~2億個の微生物

がいて、生物の残骸を再び吸収しやすく分解している。

・森を切って開くと、森がつくり貯えた土壌が雨で 10年分も流されてなくなる。

このことが森を切ると砂漠化する大きな原因になっている。

Page 37: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

36

・栄養分のない土は粘着力がなく、雨が降ると流され川が濁るからすぐ分かる。

7.生物多様性の減少

18 世紀以来、急速に拡大した人間活動によって野生動植物は生息地を奪われ、生物多様性は減少

を続けている。さらに、近年の経済グローバル化によって、生物多様性は新たな危機を迎えている。

侵入生物や遺伝子組換え生物による生態系撹乱が新たな問題として浮かび上がってきた。

8.地球環境との調和

地球の全表面積のおよそ 70%を占める海は、熱を蓄える力が大気の 1100倍もあり、また、大きな

海流の動きがある。たとえば海流を考えると、海流はさまざまなエネルギーが組み合わさって起こる

が、貿易風や偏西風など主に風の力で起きる表層海流と、海水の温度差が主な原因とされる深層海流

がある。これらの海流の動きは漁業や海運に大きな影響をおよぼすのはいうまでもないが、それ以上

に、地球環境を守る上で大きな働きをしている。

海流は赤道付近の熱エネルギーを北や南の高緯度地帯へ運ぶ役目をしている。もし、海流の大きな

動きがなくなったら、赤道付近はいっそう暑く、高緯度地帯はいっそう寒くなり、私たちの暮らしは

大きな影響を受ける。このように海は、大気とともに地球の気候を支配し、地球環境を維持、保護す

る働きをしている。

将来、地球環境の悪化がこのまま進行すれば、私たち一人ひとりののくらしは、はかりしれないダ

メージを受けることになる。たとえば地球温暖化により南極や北極の氷がとけだし、海面が上昇して

海況が大きく変われば、気候の変動や漁業資源への影響など、さまざまな問題の発生が考えられる。

こうした事態をさけるためには、地球環境に大きな影響をおよぼす海洋環境に対して、つねに関心を

持ち、私たち一人ひとりが海洋環境を守るという意識を持ち続けることが大切である。

Page 38: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

37

国際鍼灸専門学校「生命の科学」前年度試験問題

Sep 1, 2019, KONDO M

2学期試験問題(平成30年度)

正解を一つ選択し、番号(1~5)を別紙解答用紙に記入せよ。

問題1.生命のエネルギー物質はどれか。

1.遺伝子 2.ATP 3.ブドウ糖 4.ヘム 5.脂肪

問題2.ヒトの遺伝子はおよそどのくらいか。

1.30億 2.3億 3.2千万 4.200万 5.2万

問題3.健康成人男性の染色体はどれか。

1.46、XX 2.47、XXY 3.22、XY 4.46、XY 5.45、XO

問題4.細胞膜に存在し、細胞と細胞との情報の連絡に関与するのはどれか。

1.グルコース 2.リン脂質 3.受容体 4.カルシウム 5.ATP

問題5.細胞外に多く、細胞の興奮に重要な働きをするイオンはどれか。

1.Na+ 2.K+ 3.Ca2+ 4.Fe2+ 5.Mg2+

問題6.核酸からタンパク質が生産されることを何と言うか。

1.転写 2.翻訳 3.遺伝 4.複製 5.減数分裂

問題7.核酸によって蛋白質が合成される場所はどこか。

1.リソゾーム 2.小胞体 3.リボゾーム 4.核内 5.ゴルジ体

問題8.バイタルサインはどれか。

1.呼吸 2.腎臓 3. 膵臓 4.毛髪 5.肝臓

問題9.バイオマーカーはどれか。

1.視覚 2.pH 3.記憶 4.味覚 5.運動

問題10.RNAからDNAに逆転写するのはどれか。

1.エイズウイルス 2.肝炎ウィルス 3.寄生虫 4.ブドウ球菌 5.病原性大腸菌

問題11.人の出生後、血液を生産する場所はどこか。

1.肝臓 2.腎臓 3.心臓 4.小腸 5.骨髄

問題12.人において生命の誕生はどこで行われるか。

1.卵管 2.卵巣 3.黄体 4.子宮内膜 5.子宮外膜

Page 39: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

38

問題13.AB型とA型の両親から生まれない血液型はどれか。

1.A型 2.B型 3.AB型 4.O型 5.Rh-型

問題14.血液型において、O型はどれか。

1.赤血球に凝集原を持つ 2.血漿に凝集素を有する 3.血漿に凝集素を持たない

4.赤血球及び血漿に凝集素を持つ 5.赤血球に凝集原を持たない

問題15.白血球とその機能について誤っているのはどれか。

1.好中球・・・・急性炎症の初期に出現 3. 好酸球・・・・アレルギー

2.Tリンパ球・・・・自然免疫 4.マクロファ-ジ・・・抗原情報を提示

問題16.免疫の中心的な役割を果たす器官(免疫中枢)はどこか。

1.骨髄 2.心臓 3.胸腺 4.肝臓 5.腎臓

問題17.抗体について誤っているのはどれか。

1.ガンマグロブリンに属する 2.T細胞が関与する 3.抗原特異性が高い

4.再感染で抗体産生量が増加する 5.体液性免疫に関与する

問題18.ウィルス感染細胞や腫瘍(がん)細胞を障害(殺細胞)するのはどれか。

1.B細胞 2.マクロファージ 3.ヘルパーT細胞 4.NK細胞 5.形質細胞

問題19.ウィルスの細胞内感染に対して、その異物への攻撃に対して主役を果たす免疫細胞はど

れか。

1.NK細胞 2.T細胞 3.マクロファ-ジ 4.B細胞 5.好中球

問題20.後天性免疫不全症候群の患者が障害を受ける細胞はどれか。

1.好中球 2.好酸球 3.T細胞 4.B細胞 5.マクロファージ

問題21.種痘法の発見者は誰か。

1.北里柴三郎 2.ゴッホ 3.パスツール 4.ジェンナー 5.ベーリング

問題22.呼吸運動の自律神経反射はどれか。

1.内臓―内臓反射 2.内臓―体性反射 3.体性―体性反射 4.体性―内臓反射

問題23.血液循環の発見者は誰か。

1.ハーベイ 2.トーマス・パー 3.コッホ 4.スターリング 5.コロトコフ

問題24.心臓の興奮の起始部はどれか。

1.房室結節 2.ヒス束 3.脚 4.プリキンエ細胞 5.洞房結節

問題25.酸素ガスの最も多いのはどこか。

1.動脈血液 2.静脈血液 3.脳細胞内 4.空気 5.肝臓組織内

Page 40: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

39

問題26.呼吸を行っているのはどれか。

1.リボゾーム 2.ミトコンドリア 3.リソゾーム 4.細胞質 5.核

問題27.血中のコレステロールや中性脂肪を減少させる作用のある食品はどれか。

1.牛肉 2.豚肉 3.豆類 4.魚介類 5.鶏肉

問題28.レオナルド・ダビンチ作のモナリザの微笑からの病気のサインはどれか。

1.貧血 2.肝障害 3.適応障害 4.うつ病 5.脂質異常症

問題29.BMIとは何か。

1.基礎代謝量 2.内臓脂肪量 3.体格指数 4.栄養指数 5.エネルギー代謝量

問題30.栄養中枢(摂食中枢と満腹中枢)はどこか。

1.大脳皮質 2.視床下部 3.延髄 4.大脳辺縁系 5.小脳

問題31.脂肪細胞から内分泌され、摂食中枢を抑制するのはどれか。

1.セロトニン 2.レプチン 3.ギャバ 4.アドレナリン 5.ヒスタミン

問題32.満腹中枢機能の低下によって起こるのはどれか。

1.皮下脂肪の増量 2.肝機能の低下 3.運動機能の低下 4.内臓脂肪の増量

問題33.脂肪を中性脂肪として貯蔵する細胞はどれか。

1.褐色脂肪 2.肥満細胞 3.白色脂肪 4.好塩基球 5.グリア

問題34.肝臓の機能として、誤っているのはどれか。

1.グルコースの生産 2.ステロイドホルモンの合成 3.胆汁酸の合成

4.薬物代謝 5.コレステロールの合成

問題35.肝硬変の症状として不適当なのはどれか。

1.クモ状血管腫 2.腹水 3.肝肥大 4.羽ばたき振戦 5.手掌紅斑

問題36.ピロリ菌(胃がんの原因物質)を除菌する効果の高い飲料はどれか。

1.緑茶 2.牛乳 3.水 4.コーヒー 5.紅茶

問題37.アンチエイジング作用、抗がん作用、免疫増強作用、抗アレルギー作用など抗酸化作用

の最も強い食品の組合せはどれか。

1.豚肉とキャベツ 2.レモンとピーマン 3.大豆とニンジン 4.ピーマンとリンゴ

5.ハンバーグとチキン 6.そばとネギ 7.チーズとパン 8.モロヘイヤとバナナ

問題38.活性酸素を分解する能力の高い食品(抗酸化食品)はどれか。

1.魚介類 2.野菜 3.麦 4.米 5.牛肉

Page 41: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

40

問題39.発熱物質はどれか。

1.プロスタグランジン 2.タウリン 3.βカロチン 4.αリポ酸 5.アミノ酸

問題40.以下の哺乳動物の中で、変温動物はどれか。

1.コアラ 2.ネズミ 3.ウサギ 4.ナマケモノ 5.クマ

問題41.腎臓の生理作用として誤っているのはどれか。

1.排泄作用 2.血圧調節 3.鎮静作用

4.体液の恒常性維持機能 5.赤血球数の調節

問題42.夜間分泌するホルモンはどれか。

1.アドレナリン 2.バゾプッレシン 3.成長ホルモン 4.サイロキシン 5.レニン

問題43.カテコールアミンの生産に関与しないのはどれか。

1.ビタミンB12 2.ビタミンC 3.葉酸 4.銅 5.亜鉛

問題44.内分泌と外分泌を共に営む器官はどれか。

1.副腎 2.甲状腺 3.膵臓 4.腎臓 5.松果体

問題45.細胞内情報伝達系を介するホルモンはどれか。

1.成長ホルモン 2.エストロゲン 3.アルドステロン 4.サイロキシン 5.コルチゾル

問題46.ホルモン分泌の機能亢進によって起こるのはどれか。

1.小人症 2.バセドー病 3.クレチン症 4.アジソン病 5.橋本病

問題47.味覚を感じるのはどこか。

1.舌 2.延髄 3.小脳 4.大脳皮質 5.粘膜

問題48.体の眠りに関与するのはどれか。

1.ノンレム睡眠 2.徐波睡眠 3.ナルコーシス 4.β波による睡眠 5.レム睡眠

問題49.右脳の機能はどれか。

1.夢を見る 2.言語機能 3.書字機能 4.計算機能 5.右半身の運動と感覚機能

問題50.人間力の中枢はどこか。

1.頭頂葉 2.側頭葉 3.前頭葉 4.後頭葉 5.小脳

問題51.手続記憶(体で覚える記憶)の場所(中枢)はどこか。

1.中脳 2.小脳 3.海馬 4.側頭葉 5.前頭葉

問題52.瞑想時の脳波はどれか。

1.γ波 2.β波 3.α波 4.θ波 5.δ波

Page 42: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

41

問題53.認知症の予防として有効なのはどれか。

1.日本酒 2.焼酎 3.白ワイン 4.赤ワイン 5.ビール 6.ウイスキー

問題54.副交感神経の活動によって起こる現象はどれか。

1.血圧上昇 2.呼吸運動促進 3.消化作用促進 4.瞳孔散大 5.運動機能亢進

問題55.ホメオスタシス(生体恒常性維持機能)に関与しないのはどれか

1.呼吸調節 2.循環調節 3.血糖調節 4.運動調節 5.自律神経性調節

問題56.体内リズムにおいて、最も短いリズムはどれか。

1.心拍数 2.睡眠 3.呼吸 4.昼夜リズム 5.月経

問題57.生体リズム(バイオリズム)および生体恒常性の中枢はどこか。

1.大脳皮質 2.大脳辺縁系 3.中脳 4.小脳 5.視床下部

問題58.生命の根源物質であり、赤い生体色素はどれか。

1.ビタミンB12 2.ビリベルジン 3.ポルフィリン

4.グリシン 5.ビリルビン

問題59.ヘム蛋白の機能として誤っているのはどれか。

1.酸素の運搬 2.エネルギーの生産 3.酸化防御

4.カテコールアミンの生産 5.酸素貯蔵 6.血色素の生産

問題60.女性に多い疾患はどれか。

1.認知症 2.糖尿病 3.肝硬変 4.痛風 5.前立腺がん

Page 43: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

42

2学期追再試試験問題(平成30年度)

次の各問の中で正しいものを一つ選択し、マークシートに記入せよ

問題1.生命の根源物質であり、赤い生体色素はどれか。

1.DNA 2.グリシン 3.ビリルビン 4.ヘム

問題2.ヘム蛋白の機能として誤っているのはどれか。

1.酸素の運搬 2.NOの生産 3.免疫蛋白の生産 4.活性酸素の除去

問題3.生命のエネルギー物質はどれか。

1.遺伝子 2.ATP 3.ブドウ糖 4.脂肪

問題4.ヒトの遺伝子はおよそどの位か。

1.30億 2.200万 3.20万 4.2万

問題5.細胞膜に存在し、細胞と細胞との情報の連絡に関与するのはどれか。

1.リン脂質 2.カルシウム 3.受容体 4.ATP

問題6.細胞外に多く、細胞の興奮に重要な働きをするイオンはどれか。

1.K+ 2.Ca2+ 3.Mg2+ 4.Na+

問題7.DNAからメッセンジャーRNAが生産されることを何と言うか。

1.転写 2.翻訳 3.遺伝 4.複製

問題8.リボゾームが合成される場所はどこか。

1.リソゾーム 2.小胞体 3.リボゾーム 4.核内

問題9.RNAからDNAに逆転写するのはどれか

1.エイズウイルス 2.肝炎ウィルス 3.寄生虫 4.病原性大腸菌

問題10.人において生命の誕生はどこで行われるか。

1.卵巣 2.卵管 3.黄体 4.子宮内膜

問題11.白血球とその機能について誤っているのはどれか。

1.好中球・・・・慢性炎症時に出現 3. 好酸球・・・・アレルギー

2.マクロファ-ジ・・・抗原情報を提示 4.Tリンパ球・・・・獲得免疫

問題12.免疫に関与しないのはどれか。

1.骨髄 2.脾臓 3.胸腺 4.心臓

Page 44: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

43

問題13.抗体について誤っているのはどれか。

1.ガンマグロブリンに属する 3.抗原特異性が高い

2.T細胞が関与する 4.再感染で抗体産生量が増加する

問題14.ウィルス感染細胞や腫瘍(がん)細胞を障害(殺細胞)するのはどれか。

1.B細胞 2.マクロファージ 3.ヘルパーT細胞 4.NK細胞

問題15.ウィルスの細胞外感染に対して、その異物への攻撃に対して主役を果たす免疫細胞はど

れか。

1.NK細胞 2.マクロファ-ジ 3.T細胞 4.B細胞

問題16.エイズやATLの患者が障害を受ける細胞はどれか。

1.好中球 2.T細胞 3.B細胞 4.マクロファージ

問題17.種痘法の発見者はだれか。

1.ゴッホ 2.パスツール 3.ジェンナー 4.ベーリング

問題18.体温調節の自律神経反射はどれか。

1.内臓―体性反射 2.内臓―内臓反射 3.体性―体性反射 4.体性―内臓反射

問題19.世界で初めて衛生学の講座を開設したのはだれか。

1.トーマス・パー 2.ハーベイ 3.コッホ 4.スターリング

問題20.発生する活動電位が最も大きいのはどこか。

1.房室結節 2.ヒス束 3.プリキンエ細胞 4.洞房結節

問題21.炭酸ガスの最も多いのはどこか。

1.動脈血液 2.脳細胞内 3.空気 4.静脈血液

問題22.呼吸を行っているのはどれか。

1.ミトコンドリア 2.リソゾーム 3.細胞質 4.核

問題23.血中のコレステロールや中性脂肪を減少させる作用のある食品はどれか。

1.豚肉 2.豆類 3.魚介類 4.鶏肉

問題24.レオナルド・ダビンチ作のモナリザの微笑からの病気のサインはどれか。

1.肝障害 2.適応障害 3.うつ病 4.脂質異常症

問題25.BMI測定に関与しないのはどれか。

1.体重 2.身長 3.体表面積 4.体脂肪率

Page 45: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

44

問題26.脂肪細胞から内分泌され、摂食中枢を抑制するのはどれか。

1.セロトニン 2.レプチン 3.ギャバ 4.ヒスタミン

問題27.満腹中枢機能の低下によって起こるのはどれか。

1.皮下脂肪の増量 2.肝機能の低下 3.運動機能の低下 4.内臓脂肪の増量

問題28.栄養中枢はどこか。

1.延髄 2.視床下部 3.大脳辺縁系 4.大脳皮質

問題29.脂肪を中性脂肪として貯蔵する細胞はどれか。

1.褐色脂肪 2.肥満細胞 3.白色脂肪 4.グリア

問題30.肝臓の機能として、誤っているのはどれか。

1.レニンの合成 2.グルコースの生産 3.薬物代謝 4.コレステロールの合成

問題31.肝硬変の症状として不適当なのはどれか。

1.クモ状血管腫 2.腹水 3.肝肥大 4.羽ばたき振戦

問題32.インフルエンザウイルスからの防御として、効果の高い飲料はどれか。

1.緑茶 2.牛乳 3.コーヒー 4.紅茶

問題33.アンチエイジング作用、抗がん作用、免疫増強作用、抗アレルギー作用など抗酸化作用

の最も強い食品の組合せはどれか。

1.豚肉とキャベツ 2.大豆とニンジン 3.ピーマンとリンゴ 4.そばとネギ

問題34.活性酸素を分解する能力の高い食品(抗酸化食品)はどれか。

1.魚介類 2.麦 3.牛肉 4.野菜

問題35.発熱物質はどれか。

1.タウリン 2.プロスタグランジン 3.βカロチン 4.αリポ酸

問題36.以下の哺乳動物の中で、血糖値が最も低いのはどれか。

1.コアラ 2.ウサギ 3.ナマケモノ 4.クマ

問題37.腎臓の生理作用として誤っているのはどれか。

1.体液の恒常性維持機能 2.赤血球数の調節 3.血圧調節 4.鎮静作用

問題38.夜間分泌するホルモンはどれか。

1.アドレナリン 2.性ホルモン 3.サイロキシン 4.エリスロポエチン

問題39.細胞内情報伝達系を介するホルモンはどれか。

1.カテコールアミン 2.テストステロン 3.サイロキシン 4.コルチゾル

Page 46: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

45

問題40.サイロキシンの分泌低下によって起こるのはどれか。

1.アジソン病 2.バセドー病 3.クレチン症 4.褐色細胞腫

問題41.嗅覚を感じるのはどこか。

1.嗅上皮細胞 2.梨状皮質 3.大脳皮質 4.粘膜

問題42.脳の眠りに関与するのはどれか。

1.ノンレム睡眠 2.逆説睡眠 3.ナルコーシス 4.レム睡眠

問題43.左脳の特徴的な機能はどれか。

1.夢を見る 2.言語機能 3.音楽脳 4.左半身の運動と感覚機能

問題44.生体リズム(バイオリズム)および生体恒常性の中枢はどこか。

1.大脳 2.間脳 3.小脳 4.脳幹

問題45.陳述記憶(長期の記憶)の場所はどこか。

1.大脳皮質 2.海馬 3.小脳 4.側頭葉

問題46.覚醒時の脳波はどれか。

1.β波 2.α波 3.θ波 4.δ波

問題47.認知症の予防として有効なのはどれか。

1.焼酎 2.白ワイン 3.赤ワイン 4.ビール

問題48.交感神経の活動によっておこる現象はどれか。

1.血圧低下 2.呼吸運動抑制 3.消化作用促進 4.瞳孔散大

問題49.体内リズムにおいて、最も長いリズムはどれか。

1.睡眠 2.呼吸 3.昼夜リズム 4.心拍数

問題50.バイタルサイン(呼吸、循環)の中枢はどこか。

1.大脳皮質 2.延髄 3.大脳辺縁系 4.視床下部

Page 47: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

46

3学期試験問題(平成30年度、筆記試験60点、レポート40点) レポート(40点)

次の各問に対して、各々100字以内で自分の考え・要点をまとめよ。

問1.「地球上に誕生した生命」の起源についての考えを述べよ。

問2.「エネルギー生産システム」について、説明せよ。

問3.「難病の定義」について説明せよ。

問4.「健康と病気との違い」についての考えを述べよ。

問5.「医療倫理(臨床倫理)の 4原則」について、考えをまとめよ。

4原則とは「自律尊重原則」「無危害原則」「善行原則」「正義原則」からなる。

問題 1.次の各問について、正解を一つ選択し、解答用紙に記入せよ。(2点×25問)

問1.体の眠りに関与するのはどれか。

1.ノンレム睡眠 2.徐波睡眠 3.ナルコーシス 4.レム睡眠

問2.人間力の中枢はどこか。

1.後頭葉 2.側頭葉 3.頭頂葉 4.前頭葉

問3.手続記憶(体で覚える記憶)の場所(中枢)はどこか。

1.小脳 2.海馬 3.側頭葉 4.前頭葉

問4.瞑想時の脳波はどれか。

1.β波 2.α波 3.θ波 4.δ波

問5.67歳女性、脳梗塞により上側頭回の後部が損傷された。定言的な半球の損傷はどれか。

1.短期記憶の喪失

2.非流暢性失語、ゆっくりと途切れ途切れに話す。

3.流暢性失語、早口で話すが意味をなさない。

4.相貌失認、人の顔が認識できない。

問6.白筋に比べて赤筋に多いのはどれか。

1.カルシウムを貯蔵する小胞体

2.エネルギーを生産するミトコンドリア

3.Ⅰ帯を構成する筋収縮蛋白質アクチン

4.カルシウムと結合するトロポニン蛋白質

Page 48: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

47

問7.79歳女性、朝の散歩の後、道に迷って家に帰れなくなった。また、家事に時間がかかるよ

うになった。夫はアルツハイマー病の症状であることを恐れていた。 アルツハイマー病を

確定する症状はどれか。

1.短期記憶の喪失。

2.神経原線維変化とβアミロイド蛋白質を核とした老人斑の存在。

3.ドーパミン前駆体(L-ドーパ)投与による速やかな症状の改善。

4.第21番目染色体上のアミロイド前駆蛋白質遺伝子の突然変異。

問8.等尺性収縮を主とする運動はどれか。

1.テニス 2.なわとび 3.水泳 4.腕相撲

問9.筋疲労を感覚するのはどこか。

1.前頭葉 2.頭頂葉 3.側頭葉 4.後頭葉

問10.大脳皮質運動野について正しいのはどれか。

1.頭頂葉にある 3.反対側の身体運動を支配する

2.不随意運動に関与する 4.巧緻運動をつかさどる領域は狭い

問11.引っ込め反射と関係がないものはどれか。

1.侵害刺激によって引き起こされる 3.屈曲反射の一例である

2.他の反射よりも優先される 4.他の両側に同じ反応を伴う

問12.熟練随意運動の開始前にニューロン活動の増加が最初に見られるのはどれか。

1.脊髄運動ニューロン 3.小脳

2.中心前回運動皮質 4.大脳皮質連合野

問13.早老症でないのはどれか。

1.コケイン症候群 3.ウェルナー症候群

2.プロジェリア症候群 4.ポルフィリン症

問14.ウェルナー症候群の発症原因はどれか

1.紫外線 2.肥満 3.遺伝 4.薬物

問15.免疫の中心的な役割を果たす器官(免疫中枢)はどこか。

1.視床下部 2.脾臓 3.胸腺 4.大脳

問16.高齢者になるにしたがって著しい機能低下が見られるのはどれか。

1.神経機能 2.排泄機能 3.感覚機能 4.免疫機能

問17.生命の根源物質であり、赤い生体色素はどれか。

1.DNA 2.グリシン 3.RNA 4.ヘム 5.クロロフィル

Page 49: 生命の科学 - kenko-eiyo.com · 2 第14 回 生命活動の情報連絡のしくみ (3) 神経細胞による情報連絡の、脳腫瘍の診断と治療 第15 回 生命活動の情報連絡のしくみ

48

問18.ヘム蛋白の機能として誤っているのはどれか。

1.酸素の運搬 2.免疫蛋白の生産 3.酸化防御 4.酸素貯蔵

問19.50%の確率で子供に遺伝する病気(常染色体優性遺伝)はどれか。

1.ダウン症 3.血友病

2.骨髄性プロトポルフィリン症 4.クラインフェルター症候群

問20.ストレスによる生体反応として誤っているのはどれか。

1.貧血 2.副腎皮質の肥大 3.免疫能力の低下 4.胃潰瘍

問21.セリエのストレス学説において、警告期に出現し、生体を防御するホルモンはどれか。

1.アルドステロン 3.デヒドロエピアンドロステロン

2.コルチゾル 4.アドレナリン

問22.害があるものにのめりこんだり、害のある行動を繰り返して次第に自己治療にはまってい

き、コントロールが利かなくなることを何というか。

1.依存症 2.アディクション 3.心身症 4.神経症

問23.自殺願望が見られるのはどれか。

1.適応障害 2.アディクション 3.うつ病 4.心身症

問24.代替療法において、脊柱手技療法とはどれを指すか。

1.アロパチー 3.ホメオパチー

2.オステオパチー 4.カイロプラクティック

問25.地球環境において温暖化の最大の原因はどれか。

1.森林伐採 2.砂漠化 3.炭酸ガスの増加 4.オゾン層の破壊

問題2.「生命の科学」の課題で、あなたが最も重要と考える課題は何ですか。(10点)

その課題名とその理由について記述しなさい。