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今までもいくつか観測衛星が 上がっているが、他の波長領域に 比べて観測が遅れている。 宇宙拡散γ線 大気γ線 宇宙線研究室 γ線グループ 宇宙線研究室では可視光で観測できないような、宇宙における高エネルギー現象を対象に、 観測を行っています。またX・γ線両グループをサブグループとし、さらにγ線グループは、 CANGAROOグループとμ-PICグループに分かれて、観測データの解析や検出器の開発を 行っています。まだまだわかっていない所が多い分野です。あなたも未知なる領域に 挑戦しませんか。 教授 谷森 達 助教 窪 秀利 身内 賢太朗 μ-PIC ~MeV-γ線など μ‐PIC を使って part1 (MeV-γ線カメラ) MeV領域のγ線の観測 2008年度ローレンツ祭 宇宙線研究室γ線グループ μ‐PIC を使って part2 MeV γ線カメラ以外) ◎ 暗黒物質探索実験 NEWAGE WIMP-wind 現在地下実験中 地球にはダークマターの風が吹き付けており、原子核を反 跳する。μ-TPCでその反跳方向をとらえることでダークマ ターの風を直接検出する。 X線結晶構造解析・小角散乱 ◎ 医療への応用 X線を物質に照射し、その回折像をμ-PICの高い 位置分解能を利用して検出することにより、タンパク 質などの物質の構造を解析する。 電場 μ‐PIC とは Micro Pixel Chamber (μ-PIC) (谷森、越智、2000年) μ-PIC は、比例 計数管を基板上で ピクセル状に並べた 構造になっている。 これによって位置 情報を得ることが出 来る。 μ-TPCとシンチ レーターを用いるこ とでコンプトン散乱 に伴う反跳電子、 散乱γ線のエネル ギーと方向をそれ ぞれで検出。 MeV領域で世界初イベントごと の入射γ線コンプトン散乱を完全 な形で再構成することに成功 !! ASDシンチレーター micro-TPC 電場のかかった検出器に γ線などが入射して生じ た電子雲は μ-PIC に 近いほど早く信号(電子) が到達。 この検出時間差を利用し て電子雲の3次元情報が わかる !! (TPC : Time Projection Chamber) μ‐PICを用いた micro-TPC μ-TPCを用いた MeV-γ線カメラ 宇宙から来るMeV領域のγ線 超新星残骸や銀河面にある 放射性同位体の核γ線 粒子加速に伴うTeV-γ線と 同様の発生機構で生じたγ線 ブラックホールによる中性 π中間子の崩壊による放出 など 150 events Preliminary 気球実験成功 (06.9/1) 大気γ線と宇宙拡散γ線を観測 気球実験 SMILE Sub-MeV γ-ray Imaging Loaded-on-balloon Experiment 今後はさらに気球実験を重ねて検出器の性能 向上を進めていく。最終的には人工衛星に搭載 し、全天探査を目標とする。 次期放球は2011年予定!! 今回の得られた宇宙拡散γ線と大気γ線のフラックス(赤)と 過去の実験の比較 Preliminary エネルギー TeVγ線 CANGAROO 宇宙線とTeVγ線 粒子加速の現場でTeVγ線が 生まれる! Collaboration of Australia and Nippon for a GAmma Ray Observatory in the Outback 宇宙線加速の謎 宇宙線の正体は、超高エネルギーの陽子や電子などの 荷電粒子! その起源と加速機構は未だにはっきりしていません。 γ線のとらえ方 knee領域 1m 2 1ankle領域 1km 2 1人類の限界 TeVγ線で宇宙線加速現場が 見える! なぜγ線なのか? 荷電粒子は、星間磁場によって 曲げられてしまうため、その到来方向 がわかりません。 γ線であれば磁場に影響されず、 直進するので到来方向がわかります。 また、透過力が強いため、遠くまで 見渡すことができます。 次世代望遠鏡に向けて開発中の AMC (Analog Memory Cell)非常に小型で高速信号読み出しが可能 てなわけで、TeVγ線探しだ! 超新星残骸RX J0852.0- 4622TeVγ線放射分布 150msパルサー PSR B1509-58 TeVγ線放射分布 4台の口径10mの大型望遠鏡で観測 427本の光電子増倍管により、空気シャワーをイメージ化します。 114枚の複合鏡が微弱なチェレンコフ光を集めます。 複数台のステレオ観測により、到来方向を精度良く決定できます。 CANGAROOⅢ望遠鏡 CANGAROOの成果 当研究室では、CANGAROO-Ⅲを用いた観測・解析により、超新星残骸やパルサー、活動銀河核など の高エネルギー天体での粒子加速機構・γ線放射過程の解明を目指しています。また、次世代望遠鏡 に向けたデータ収集システムの開発も進めています。 超新星残骸RX J1713.7-3946からTeVγ線を発見、世界で初めて 陽子加速現場を示唆する結果を発表! 天の川銀河の中心からTeVγ線を世界で初めて検出! 超新星残骸RX J0852.0-4622からTeVγ線を世界初検出! さらにステレオ観測によりTeVγ線の空間分布が得られた! TeVγ線は、大気に遮られ、地上まで届きません。しかし、大気と相互作用することによって、 連鎖的に電子陽電子対が生成する「空気シャワー」が起こります。(右図) これらの荷電粒子が出すチェレンコフ光を地上の望遠鏡で受け止めることで、 間接的にγ線を検出します。 高エネルギー電子による逆コンプトン散乱 高エネルギー陽子と星間物質との衝突 によって生成されるπ 0 粒子の崩壊 宇宙線加速の現場を捉えた! 医療用コンプトンγ線カメラと、放射線核種を用 いた薬をネズミに投与してイメージングしたもの

宇宙線研究室 γ線グループ - 京都大学...今までもいくつか観測衛星が 上がっているが、他の波長領域に 比べて観測が遅れている。宇宙拡散γ線

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  • 今までもいくつか観測衛星が上がっているが、他の波長領域に

    比べて観測が遅れている。

    宇宙拡散γ線 大気γ線

    宇宙線研究室 γ線グループ宇宙線研究室では可視光で観測できないような、宇宙における高エネルギー現象を対象に、

    観測を行っています。またX・γ線両グループをサブグループとし、さらにγ線グループは、CANGAROOグループとμ-PICグループに分かれて、観測データの解析や検出器の開発を行っています。まだまだわかっていない所が多い分野です。あなたも未知なる領域に挑戦しませんか。

    教授谷森 達

    助教窪 秀利 身内 賢太朗

    μ-PIC ~MeV-γ線など

    ☆ μ‐PIC を使って part1 (MeV-γ線カメラ)

    ◎ MeV領域のγ線の観測

    2008年度ローレンツ祭 宇宙線研究室γ線グループ

    ☆ μ‐PIC を使って part2 (MeV γ線カメラ以外)◎ 暗黒物質探索実験 NEWAGE

    WIMP-wind

    現在地下実験中

    地球にはダークマターの風が吹き付けており、原子核を反跳する。μ-TPCでその反跳方向をとらえることでダークマターの風を直接検出する。

    ◎ X線結晶構造解析・小角散乱

    ◎ 医療への応用

    X線を物質に照射し、その回折像をμ-PICの高い位置分解能を利用して検出することにより、タンパク質などの物質の構造を解析する。

    電場

    ☆ μ‐PIC とは

    Micro Pixel Chamber (μ-PIC) (谷森、越智、2000年)

    μ-PIC は、比例

    計数管を基板上でピクセル状に並べた構造になっている。これによって位置情報を得ることが出来る。

    μ-TPCとシンチレーターを用いることでコンプトン散乱に伴う反跳電子、散乱γ線のエネルギーと方向をそれぞれで検出。 MeV領域で世界初、イベントごと

    の入射γ線コンプトン散乱を完全な形で再構成することに成功 !!

    ASDh

    シンチレーター

    micro-TPC

    電場のかかった検出器にγ線などが入射して生じた電子雲は μ-PIC に近いほど早く信号(電子)が到達。

    この検出時間差を利用して電子雲の3次元情報がわかる !!

    (TPC : Time Projection Chamber)☆ μ‐PICを用いた micro-TPC

    ☆ μ-TPCを用いた MeV-γ線カメラ

    宇宙から来るMeV領域のγ線

    超新星残骸や銀河面にある放射性同位体の核γ線

    粒子加速に伴うTeV-γ線と同様の発生機構で生じたγ線ブラックホールによる中性π中間子の崩壊による放出

    など

    150 events

    Preliminary

    気球実験成功 (’06.9/1)大気γ線と宇宙拡散γ線を観測

    気球実験 SMILESub-MeV γ-ray Imaging Loaded-on-balloon Experiment

    今後はさらに気球実験を重ねて検出器の性能

    向上を進めていく。最終的には人工衛星に搭載し、全天探査を目標とする。

    次期放球は2011年予定!!

    今回の得られた宇宙拡散γ線と大気γ線のフラックス(赤)と過去の実験の比較

    Preliminary

    感度

    エネルギー

    TeVγ線 CANGAROO

    宇宙線とTeVγ線

    粒子加速の現場でTeVγ線が生まれる!

    Collaboration of Australia and Nippon for a GAmma Ray Observatory in the Outback

    宇宙線加速の謎

    宇宙線の正体は、超高エネルギーの陽子や電子などの

    荷電粒子!その起源と加速機構は未だにはっきりしていません。

    γ線のとらえ方

    knee領域1m2に年1個

    ankle領域1km2に年1個

    人類の限界

    TeVγ線で宇宙線加速現場が見える!

    なぜγ線なのか?

    荷電粒子は、星間磁場によって曲げられてしまうため、その到来方向がわかりません。

    γ線であれば磁場に影響されず、直進するので到来方向がわかります。また、透過力が強いため、遠くまで見渡すことができます。

    次世代望遠鏡に向けて開発中のAMC (Analog Memory Cell)。

    非常に小型で高速信号読み出しが可能

    てなわけで、TeVγ線探しだ!

    超新星残骸RX J0852.0-4622のTeVγ線放射分布

    150msパルサー PSR B1509-58のTeVγ線放射分布

    4台の口径10mの大型望遠鏡で観測

    427本の光電子増倍管により、空気シャワーをイメージ化します。

    114枚の複合鏡が微弱なチェレンコフ光を集めます。

    複数台のステレオ観測により、到来方向を精度良く決定できます。

    CANGAROO‐Ⅲ望遠鏡

    CANGAROOの成果

    当研究室では、CANGAROO-Ⅲを用いた観測・解析により、超新星残骸やパルサー、活動銀河核などの高エネルギー天体での粒子加速機構・γ線放射過程の解明を目指しています。また、次世代望遠鏡に向けたデータ収集システムの開発も進めています。

    超新星残骸RX J1713.7-3946からTeVγ線を発見、世界で初めて陽子加速現場を示唆する結果を発表!

    天の川銀河の中心からTeVγ線を世界で初めて検出!超新星残骸RX J0852.0-4622からTeVγ線を世界初検出!さらにステレオ観測によりTeVγ線の空間分布が得られた!

    TeVγ線は、大気に遮られ、地上まで届きません。しかし、大気と相互作用することによって、連鎖的に電子陽電子対が生成する「空気シャワー」が起こります。(右図)

    これらの荷電粒子が出すチェレンコフ光を地上の望遠鏡で受け止めることで、間接的にγ線を検出します。

    高エネルギー電子による逆コンプトン散乱

    高エネルギー陽子と星間物質との衝突によって生成されるπ0粒子の崩壊

    宇宙線加速の現場を捉えた!

    医療用コンプトンγ線カメラと、放射線核種を用いた薬をネズミに投与してイメージングしたもの

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