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IPv6 PIA-SM 16 2 19

特別研究報告 - 大阪大学...特別研究報告 題目 IPv6 エニーキャストルーティングプロトコル PIA-SM の設計および実装 指導教官 村田正幸教授

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Page 1: 特別研究報告 - 大阪大学...特別研究報告 題目 IPv6 エニーキャストルーティングプロトコル PIA-SM の設計および実装 指導教官 村田正幸教授

特別研究 報告

題目

IPv6エニー キャ ストル ー ティ ン グプ ロ トコル

PIA-SM の 設計お よ び 実装

指導教官

村田正幸教授

報告者

松永 怜士

平成 16年 2月 19日

大阪大学 基 礎工学部情報科学科

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平成 15年度特別研究 報告

IPv6エニー キャ ストル ー ティ ン グプ ロ トコル PIA-SM の 設計お よ び 実装

松永 怜士

内容梗概

IPv6 の 持つ 新た な機 能の 一 つ と して エニー キャ スト通信が あ る 。 エニー キャ スト

通信を 実現す る た め に 規 定さ れ て い る エニー キャ ストア ドレ スは 、 特定の 機 能 (サー

ビ ス) に 対して 割 り 当て ら れ る ア ドレ スで あ り 、 クラ イ ア ン ト側は エニー キャ スト

ア ドレ スを 指定す る だ け で 、 対応す る 機 能を 提供す る 複数の サー バ の 中か ら 最適な

サー バ と 自動的に 通信す る こ と が で き る 。

しか し、 こ の 最適なサー バ に パ ケットを 転送す る ル ー ティ ン グプ ロ トコル は 現状

で は 存在せ ず 、 現在の エニー キャ スト通信の 利用は 非常に 限ら れ て い る 。

そ こ で 本報告で は 、 ネットワ ー ク上の 任意 の 場所に サー バ が 存在す る 場合に 必要

と なる 、 エニー キャ ストル ー ティ ン グプ ロ トコル の 設計お よ び 実装を 行う 。 特に 、 エ

ニー キャ スト通信と マ ル チキャ スト通信と の 類似性に 着目し、 既 存の マ ル チキャ ス

トル ー ティ ン グプ ロ トコル の 一 つ で あ る PIM-SM を 修正した 、 新た なエニー キャ ス

トル ー ティ ン グプ ロ トコル : PIA-SM の 実装を 行う 。

さ ら に 、 PIA-SM を 実装した ノ ー ドを 用い た 実験に よ り 、 エニー キャ ストア ドレ

スを 用い る こ と で 自動的に 複数の サー バ の 中の 1台へ と パ ケットが 転送さ れ る こ と

を 確 認した 。

キー ワ ー ド

IPv6 (Interenet Protocol version 6), エニー キャ ストア ドレ ス, エニー キャ ストル ー

ティ ン グプ ロ トコル , PIM-SM (Protocol Independent Multicast - Sparse Mode), MLD

(Multicast Listener Discovery)

1

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目次

1 は じ め に 5

2 エニー キャ ストル ー ティ ン グプ ロ トコル PIA-SM 7

2.1 PIM-SM プ ロ トコル の 概要 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7

2.1.1 隣接 PIM ル ー タの 発見 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9

2.1.2 ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー の 構築 . . . . . . . . . . . . . . . . 9

2.1.3 マ ル チキャ ストパ ケットの 転送 . . . . . . . . . . . . . . . . . 11

2.2 PIA-SM プ ロ トコル の 概要 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 13

2.2.1 隣接 PIA ル ー タの 発見 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 17

2.2.2 ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー の 構築 . . . . . . . . . . . . . . . . 17

2.2.3 エニー キャ ストパ ケットの 転送 . . . . . . . . . . . . . . . . . 19

2.3 PIA-SM プ ロ トコル の 詳細設計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 21

2.3.1 指名ル ー タの 決定 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 21

2.3.2 エニー キャ ストレ シー バ の 探索 . . . . . . . . . . . . . . . . . 24

2.3.3 ル ー ティ ン グテー ブ ル へ の 登録 . . . . . . . . . . . . . . . . . 31

2.3.4 パ ケットの 転送 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 37

3 PIA-SM プ ロ トコル の 実装と 動作確 認 40

3.1 FreeBSD上で の PIA-SM プ ロ トコル の 実装 . . . . . . . . . . . . . . . 40

3.2 FreeBSD上で の PIA-SM プ ロ トコル の 動作確 認 . . . . . . . . . . . . 43

4 お わ り に 48

謝辞 49

参考文献 50

2

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図目次

1 PIM-SM の 概要 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8

2 隣接 PIM ル ー タの 発見 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10

3 ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー の 構築 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11

4 マ ル チキャ ストパ ケットの 転送 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 12

5 PIA-SM の 概要 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 16

6 PIA ル ー タに よ る ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー の 構築 . . . . . . . . . . 18

7 エニー キャ ストパ ケットの 転送 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 20

8 PIA Hello メ ッセー ジの フ ォー マ ット . . . . . . . . . . . . . . . . . . 23

9 指名ル ー タの 選択 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 24

10 ARD メ ッセー ジの フ ォー マ ット . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 28

11 NDPキャ ッシュ の エン トリ 作成 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 29

12 同一 セグメ ン ト上の 経路選択 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 30

13 NDPキャ ッシュ の エン トリ 削除 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 31

14 ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル の エン トリ 作成 . . . . . . . . . . 33

15 ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル の エン トリ 削除 . . . . . . . . . . 35

16 他の エニー キャ ストレ シー バ へ の 経路変更 . . . . . . . . . . . . . . . 36

17 PIA Join/Prune メ ッセー ジの フ ォー マ ット . . . . . . . . . . . . . . . 37

18 ユ ニキャ ストル ー ティ ン グに 基 づ く エニー キャ ストパ ケットの 転送 . 38

19 PIA Capsule メ ッセー ジの フ ォー マ ット . . . . . . . . . . . . . . . . . 39

20 PIA-SM ル ー タ実装の モ デル 図 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 42

21 実験環 境 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 44

22 ARD メ ッセー ジに よ る セグメ ン ト上の エニー キャ ストパ ケットの 転

送結果 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 46

23 複数台の ル ー タに よ る エニー キャ ストパ ケット転送の 結果 . . . . . . 47

3

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表目次

1 エニー キャ スト通信と 他の 通信の 性質の 比較 . . . . . . . . . . . . . . 14

2 PIA ル ー タの 状態遷移 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 32

4

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1 は じ め に

近年、 ADSL (Asymmetric Digital Subscriber Line) や CATV (Community Antenna

Television)、 FTTH (Fiber To The Home)など の 高速な通信環 境が 手軽に 利用で き る

よ う に なっ た こ と で 、 イ ン ター ネットの 利用者が 爆発的に 増加して き た 。 そ れ に と

も ない 、 現在広く イ ン ター ネットで 利用さ れ て い る IPv4 (Internet Protocol version 4)

で は ア ドレ ス空間 の 枯渇が 深刻な問題と なっ て い る 。 こ れ は IPv4 に お け る ア ドレ ス

が 32 ビ ットで 表現さ れ 、 最大で も 43億個程度の ア ドレ スしか 利用で き ない た め で

あ る 。 現在イ ン ター ネットは WWW (World Wide Web) や E-mail で 多く 用い ら れ て

い る が 、 今後は 携帯端末や 家電製品に よ る 利用も 見込ま れ て お り 、 近い 将来 IP ア ド

レ スが 枯渇す る と 容易 に 想像で き る 。

こ の た め IETF (The Internet Engine Task Force) を 中心と して 次世代 IP プ ロ トコ

ル で あ る IPv6 (Internet Protocol version 6) [1] が 標準化さ れ た 。 IPv6 で は ア ドレ スが

128 ビ ットに 拡大さ れ 、 膨大な数の IP ア ドレ スを 利用可能で あ る 。 ま た IPv6 は IPv4

に お け る ア ドレ ス枯渇問題を 解消す る だ け で なく 、 さ ら に イ ン ター ネットの 普及 に

と も なっ て 生じ た 要求 に も 対応す る た め 、 セキュ リ ティ や 移 動端末、 リ ア ル タイ ム

通信の サポ ー トなど 、 新た な機 能が 導入さ れ て い る 。 現在、 IPv6 は す で に 一 部で 実

用化が 始ま っ て お り 、 IPsec や モ バ イ ル IPなど い く つ か の IPv6 の 新機 能は す で に 実

装が 行なわ れ て い る 。

こ の よ う な IPv6 に お け る 新た な機 能の 一 つ と して エニー キャ ストア ドレ スが あ

る 。 エニー キャ ストア ドレ スは 同一 の 機 能 (サー ビ ス) を 提供す る 複数の サー バ に 割

り 当て る こ と が 可能で 、 クラ イ ア ン トは エニー キャ ストア ドレ スを 指定す る だ け で

最適なサー バ と 通信す る こ と が 可能に なる 。 例え ば 、 既 知の エニー キャ ストア ドレ

スを イ ン ター ネット上の 全て の DNSサー バ に 割 り 当て る こ と で 、 あ ら か じ め OS上

で DNSサー バ の ア ドレ スを 設定す る こ と が で き る た め 、 従来の よ う に クラ イ ア ン ト

側で DNSサー バ の ア ドレ スを 手動で 設定す る 必要は なく なる 。 さ ら に 、 今ま で 利用

5

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して い た DNSサー バ が 停止した と して も 、 ル ー タが 他の DNSサー バ へ の 経路を 探

索し新た に 利用可能なDNSサー バ を 発見す る だ け で 、 クラ イ ア ン トは 最初に 利用し

て い た DNSサー バ が 停止した こ と を 意 識す る こ と なく 、 継続して DNSサー ビ スを

利用す る こ と が 可能と なる 。

こ の よ う に エニー キャ ストア ドレ スは 、 そ の 利用が 非常に 期 待さ れ て い る 技術で

あ る が 、 現状で は ほ と ん ど 利用さ れ て い ない 。 こ の 原因 と して 、 エニー キャ スト通

信に 必要と なる 多く の 機 能が い ま だ 定義 さ れ て い ない こ と が あ げ ら れ る 。 特に 、 エ

ニー キャ ストア ドレ スを 扱 う こ と の で き る ル ー ティ ン グプ ロ トコル が 明確 に 規 定さ

れ て い ない た め 、 ネットワ ー ク上の 任意 の 場所に エニー キャ ストア ドレ スを 割 り 当

て ら れ た サー バ が 存在す る 場合に エニー キャ スト通信が 利用で き ない 、 と い っ た 問

題点が あ る 。

文献 [2]で は こ の 問題を 解決す る た め 、 グル ー プ 管 理方式お よ び ル ー ティ ン グテー ブ

ル 作成手法と い っ た マ ル チキャ スト通信と エニー キャ スト通信と の 類似性を 元に 、 エ

ニー キャ ストル ー ティ ン グプ ロ トコル PIA-SM (Protocol Independent Anycast - Sparse

Mode) を 提案 して い る 。 しか しなが ら 文献 [2] で は 、 プ ロ トコル の 動作は 示して い

る も の の 、 実装実験など で そ の 動作を 確 認して い ない 。 ま た 、 実装を 行っ て 初め て

表面化す る 仕様上の 問題点も 存在す る と 考え ら れ る 。

そ こ で 本報告で は 、 文献 [2] に お け る 提案 方式 PIA-SM の 実装を 通して 仕様の 曖昧

な点に つ い て 検討し、 実証実験を 行う こ と に よ り PIA-SM の 実現可能性を 検討す る 。

本報告の 構成は 以 下の 通り で あ る 。 2章で は ま ず 、 PIA-SM の 設計の 元と なっ て い

る PIM-SM (Protocol Independent Multicast - Sparse Mode) [3] お よ び PIA-SM の 概要

を 示す 。 さ ら に 、 PIA-SM の 実装に 必要な詳細な仕様に つ い て 述べ る 。 次に 3章で

は 、 PIA-SM を 実装す る 際に 明ら か に なっ た 問題点と そ れ に 対す る 解決策に つ い て

述べ 、 実機 実験に よ る 動作確 認を 通して PIA-SM の 実現可能性を 示す 。 最後に 4章

で ま と め と 今後の 課題に つ い て 述べ る 。

6

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2 エニー キャ ストル ー ティ ン グプ ロ トコル PIA-SM

本報告で は マ ル チキャ ストル ー ティ ン グプ ロ トコル を 元に した エニー キャ ストル ー

ティ ン グプ ロ トコル の 設計と 実装に つ い て 述べ る 。 そ こ で 、 こ の 章で は ま ず 、 マ ル

チキャ ストル ー ティ ン グプ ロ トコル PIM-SM に つ い て 概要を 示し、 次に 、 そ れ を 元

に エニー キャ ストル ー ティ ン グプ ロ トコル PIA-SM の 設計に つ い て 述べ る 。

2.1 PIM-SM プ ロ トコル の 概要

マ ル チキャ スト通信で は 、 送信者ノ ー ドか ら 送出さ れ た あ る マ ル チキャ ストア ド

レ ス宛 の パ ケット (マ ル チキャ ストパ ケット) は 、 そ の マ ル チキャ ストア ドレ スを 割

り 当て ら れ て い る 全て の 受信ノ ー ド (マ ル チキャ ストリ スナー ) に 配送さ れ る 。 こ の

と き 、 送信ノ ー ドか ら マ ル チキャ ストリ スナー へ の 経路上に 存在す る ル ー タが 、 異

なる イ ン ター フ ェー ス上に 存在す る マ ル チキャ ストリ スナー に 対して 、 パ ケットを

複製して 配送す る 。 こ の よ う に 、 送信元か ら 送出さ れ た 単一 の パ ケットを 経路上の

ル ー タが 適宜 複製し、 最終的に 全て の マ ル チキャ ストリ スナー に 配送す る 手法が マ

ル チキャ ストル ー ティ ン グプ ロ トコル で あ る 。

マ ル チキャ ストル ー ティ ン グプ ロ トコル に は 、 そ の 適用範囲 と 伝搬性能に 応じ て

3種類の プ ロ トコル が 定義 さ れ て い る [3–5]。 本研究 で は そ の ひ と つ で あ る PIM-SM

に 着目す る 。 PIM-SM で は 各マ ル チキャ ストア ドレ スご と に 、 1台の 特別なル ー タ

(ラ ン デブ ー ポ イ ン ト) を 準備し、 そ の ル ー タを 根と した 共通の 配送木 (共有ツリ ー )

を 作成す る 。 マ ル チキャ ストパ ケットは こ の 共有ツリ ー に した が っ て 配送さ れ る 。 こ

の と き 、 経路上の 各ル ー タ (PIM ル ー タ) に お い て 、 複数の 出力イ ン ター フ ェイ スの

方向に マ ル チキャ ストリ スナー が 存在す る 場合、 パ ケットが 複製さ れ る 。 PIM-SM

の 処理手順は 以 下の 通り (図 1) で あ る 。

1. 隣接 PIM ル ー タの 発見

7

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図 1: PIM-SM の 概要

各 PIM ル ー タは 、 メ ッセー ジを 交換 す る こ と で 直接接続して い る PIM ル ー タ

を 発見す る 。

2. ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー の 構築

マ ル チキャ ストリ スナー は 参加す る グル ー プ を 隣接す る PIM ル ー タに 通知す

る 。 マ ル チキャ ストリ スナー の 存在を 検知した PIM ル ー タは 、 ラ ン デブ ー ポ

イ ン トへ そ の マ ル チキャ ストア ドレ スを 通知す る 。 そ の 結果、 図 1 で 示す よ

う なラ ン デブ ー ポ イ ン トを 根と し、 マ ル チキャ ストリ スナー を 葉と した 共有ツ

リ ー が 作成さ れ る 。 こ の 共有ツリ ー を ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー と 呼ぶ 。

3. ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー に よ る マ ル チキャ ストパ ケットの 転送

8

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マ ル チキャ ストア ドレ ス宛 に パ ケットが 送出さ れ る と 、 送信者に 直接接続し

た PIM ル ー タが 、 受信した マ ル チキャ ストパ ケットに ラ ン デブ ー ポ イ ン トの

ユ ニキャ ストア ドレ スを 付加し (カプ セル 化) ラ ン デブ ー ポ イ ン トに 送信す る 。

ラ ン デブ ー ポ イ ン トは こ の カプ セル 化さ れ た パ ケットを 受信す る と 、 ま ず 元の

マ ル チキャ ストパ ケットを 取り 出し、 そ の 後ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー に 沿 っ

て 、 全て の マ ル チキャ ストグル ー プ リ スナー に パ ケットを 転送す る 。

こ の 手順に つ い て 、 以 下の 節で 順に 説明す る 。

2.1.1 隣接 PIM ル ー タの 発見

直接接続して い る PIM ル ー タの 発見の 手順は 以 下の 通り で あ る (図 2)。

1. PIM Hello メ ッセー ジの 送信

PIM ル ー タは 、 直接接続して い る PIM ル ー タを 知る た め に 、 PIM Hello メ ッ

セー ジを 交換 す る 。 そ れ ぞ れ の PIM ル ー タに よ っ て セグメ ン ト上に 送信さ れ

た PIM Hello メ ッセー ジは 、 セグメ ン ト上の 全て の PIM ル ー タが 受信す る 。

2. 指名ル ー タの 選択

各セグメ ン ト上で Hello メ ッセー ジを 送信した PIM ル ー タの 中の 1 つ が 、 セ

グメ ン ト上の 指名ル ー タと して 選択さ れ る 。

隣接して い る PIM ル ー タの 発見に よ り 、 PIM ル ー タ間 の ネットワ ー クを 構築す る 。

2.1.2 ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー の 構築

ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー を 構築す る 手順は 以 下の 通り で あ る (図 3)。

1. MLD Report の 送信

マ ル チキャ ストリ スナー は マ ル チキャ ストグル ー プ に 参加す る 場合、 参加す る

9

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図 2: 隣接 PIM ル ー タの 発見

マ ル チキャ ストア ドレ スG を 含 め た MLD Report と い う メ ッセー ジを 直接接続

す る PIM ル ー タに 送信す る こ と で 、 自身に 割 り 当て ら れ て い る マ ル チキャ スト

ア ドレ スを 直接接続して い る PIM ル ー タに 通知す る 。 MLD Report は ICMPv6

MLD (Multicast Listener Discovery) [6] で 用い ら れ る メ ッセー ジの う ち の 1 つ

で あ る 。

2. PIM Join メ ッセー ジの 送信

マ ル チキャ ストリ スナー の 存在を 知っ た PIM ル ー タは 、 MLD Report に 書か れ

た マ ル チキャ ストア ドレ スG を 含 ん だ PIM Join と い う メ ッセー ジを 、 対応す

る ラ ン デブ ー ポ イ ン トの ユ ニキャ ストア ドレ スへ 送信す る 。 こ れ を 同じ マ ル チ

キャ ストア ドレ スを 割 り 当て ら れ た マ ル チキャ ストリ スナー そ れ ぞ れ が 行なう

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図 3: ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー の 構築

こ と に よ り 、 マ ル チキャ ストリ スナー か ら ラ ン デブ ー ポ イ ン トへ の 共有ツリ ー

(ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー ) が 作成さ れ る 。

2.1.3 マ ル チキャ ストパ ケットの 転送

マ ル チキャ ストパ ケットが 転送さ れ る 手順は 以 下の 通り で あ る (図 4)。

1. 送信者か ら の マ ル チキャ ストパ ケットの 送信

送信者は マ ル チキャ ストア ドレ スG 宛 に パ ケットを 送信す る 。

2. カプ セル 化と ラ ン デブ ー ポ イ ン トへ の マ ル チキャ ストパ ケットの 転送

送信者に 直接接続す る PIM ル ー タは 、 送信さ れ た マ ル チキャ ストパ ケットの

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図 4: マ ル チキャ ストパ ケットの 転送

宛 先ア ドレ スに 対応した ラ ン デブ ー ポ イ ン トの ユ ニキャ ストア ドレ スで カプ セ

ル 化し、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トへ と 送信す る 。 こ の カプ セル 化さ れ た メ ッセー ジ

を PIM Register と 呼ぶ 。

3. カプ セル 化解除と マ ル チキャ ストリ スナー へ の パ ケットの 転送

PIM Register メ ッセー ジを 受信した ラ ン デブ ー ポ イ ン トは 、 カプ セル 化を 解除

して マ ル チキャ ストパ ケットを 取り 出し、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー に 沿 っ て

マ ル チキャ ストパ ケットを 転送す る 。 経路の 途中の ル ー タに お い て 、 異 なる イ

ン ター フ ェー スに マ ル チキャ ストリ スナー が 存在す る 場合は 、 パ ケットを 複製

して 配送す る 。

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こ の よ う に 、 PIM-SM に よ る マ ル チキャ ストル ー ティ ン グで は 、 ラ ン デブ ー ポ イ ン

トツリ ー に 沿 っ て マ ル チキャ ストパ ケットが 送信者か ら 全て の マ ル チキャ ストリ ス

ナー に 転送さ れ る 。 しか し、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー に よ る パ ケットの 転送に は

以 下の よ う な問題点が 残さ れ て い る 。

• ラ ン デブ ー ポ イ ン トに お い て トラ ヒ ックが 集中す る

• 送信者と マ ル チキャ ストリ スナー の 間 が 最短経路で は ない

こ の 問題点を 解消す る た め 、 同じ 送信元か ら の パ ケットの 配送が ラ ン デブ ー ポ イ ン

トに お い て 設定さ れ た 転送量を 超え て 行なわ れ る 場合、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー

か ら 、 送信者に 隣接す る ル ー タを 根と す る 送信元ツリ ー へ と パ ケットの 転送経路を

移 行す る こ と が で き る 。

以 上が マ ル チキャ ストル ー ティ ン グプ ロ トコル PIM-SM の 概要で あ る 。

2.2 PIA-SM プ ロ トコル の 概要

エニー キャ スト通信で は 、 マ ル チキャ スト通信と 異 なり 、 あ る エニー キャ ストア

ドレ ス宛 に 送信さ れ た パ ケット (エニー キャ ストパ ケット) は 、 同一 の エニー キャ ス

トア ドレ スを 割 り 当て ら れ て た 複数の ノ ー ド (エニー キャ ストレ シー バ ) の 中の 最適

な 1台の みに 配送さ れ る 。

マ ル チキャ スト通信、 エニー キャ スト通信お よ び ユ ニキャ スト通信を 比較 す る (表

1参照)。 こ の 比較 か ら エニー キャ ストル ー ティ ン グを 実現す る に は 、 以 下の よ う な

方針で 設計す れ ば よ い と 考え ら れ る 。

1. グル ー プ 管 理を マ ル チキャ ストル ー ティ ン グと 同様に 行なう

2. パ ケットの 転送を ユ ニキャ ストル ー ティ ン グと 同様に 行なう

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表 1: エニー キャ スト通信と 他の 通信の 性質の 比較

通信対象 通信形態 ア ドレ ス空間

ユ ニキャ スト 1 1対 1 マ ル チキャ ストの ア ドレ ス以 外

マ ル チキャ スト 多数 1対多数 専用の ア ドレ ス

エニー キャ スト 多数 1対 1 ユ ニキャ ストと 共用

マ ル チキャ ストと エニー キャ ストは 、 と も に 受信す る ホ ストが 複数存在す る の で 、

エニー キャ ストル ー ティ ン グを 考え る 場合に は 、 マ ル チキャ ストル ー ティ ン グで 行

なわ れ る グル ー プ 管 理方法が 利用可能で あ る 。 しか し、 マ ル チキャ ストで は 同じ ア

ドレ スを 割 り 当て ら れ た 全て の ホ ストが 受信す る の に 対し、 エニー キャ ストで は 同

じ ア ドレ スを 割 り 当て ら れ た 全て の ホ ストの 中の 最適な 1台の みが 受信す る 。 よ っ

て パ ケットの 配送方式が マ ル チキャ ストと エニー キャ ストで 大き く 異 なる 。

そ こ で 表 1 の 比較 よ り 、 ユ ニキャ スト通信は 1台の ホ ストが パ ケットを 受信す る

こ と に 着目す る と 、 エニー キャ ストア ドレ スは ユ ニキャ ストア ドレ スと 共用で あ る

の で 、 エニー キャ ストア ドレ ス宛 の パ ケットの 転送に は 、 ユ ニキャ ストル ー ティ ン

グを 用い れ ば よ い と 考え ら れ る 。

つ ま り 、 ユ ニキャ ストお よ び マ ル チキャ ストの 性質を 考え る と 、 グル ー プ の 概念

は マ ル チキャ ストと エニー キャ ストが 類似して お り 、 パ ケットの 転送に お い て は ユ

ニキャ ストと エニー キャ ストが 類似して い る と い え る 。 そ こ で 文献 [2] で 提案 さ れ

て い る よ う に 、 グル ー プ 管 理に は PIM-SM で 用い ら れ る ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー

を 採用し、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー の 情報に 基 づ い て 、 ユ ニキャ ストル ー ティ ン

グテー ブ ル に エン トリ を 作成す る と い う 設計で PIA-SM を 実装す る こ と に す る 。

こ の 時、 エニー キャ スト通信に お い て 最適な 1台を 選択す る 必要が あ る 。 ラ ン デ

ブ ー ポ イ ン トツリ ー に よ る グル ー プ 管 理を 行なう 場合、 最適な 1台を 選択す る に は 、

根 (ラ ン デブ ー ポ イ ン ト) か ら 順に 末端ま で 比較 しなけ れ ば 、 全て の エニー キャ スト

レ シー バ を 比較 す る こ と は で き ない と 考え ら れ る 。 そ こ で エニー キャ ストパ ケット

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は ラ ン デブ ー ポ イ ン トか ら ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー に 沿 っ て 、 各経路を 比較 しな

が ら パ ケットを 転送す る 。 そ う す る こ と で 、 最適な 1台の エニー キャ ストレ シー バ

に パ ケットは 到達す る と 考え ら れ る 。

よ っ て 、 PIA-SM で は PIM-SM に 以 下の よ う な変更を 適用し、 エニー キャ ストル ー

ティ ン グを 実現す る 。

• ラ ン デブ ー ポ イ ン トは PIM Join と 同様の 手法で 集め た エニー キャ ストレ シー

バ の 中か ら 1 台を 選択し、 自身の ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル に 登録

す る 。

• 各 PIA ル ー タが 、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー を 構成す る 経路の 中か ら 1 つ の

経路を 選択して 、 ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル に は 、 こ の 経路を エニー

キャ ストア ドレ スの エン トリ と して 作成す る 。 こ う す る こ と で 、 ラ ン デブ ー ポ

イ ン トか ら エニー キャ ストレ シー バ ま で の 間 で は 、 宛 先ア ドレ スが エニー キャ

ストア ドレ スの パ ケットも ユ ニキャ ストパ ケットと 同様に ユ ニキャ ストル ー

ティ ン グで 転送さ れ る 。

• 送信さ れ た エニー キャ ストア ドレ ス宛 の パ ケットは 、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トま で

カプ セル 化して 転送さ れ 、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トか ら は ユ ニキャ ストル ー ティ ン

グを 用い て 転送さ れ る 。

よ っ て 、 PIA-SM に よ る エニー キャ ストル ー ティ ン グは 以 下の 手順で 実現さ れ る

(図 5)。

1. 直接接続して い る PIA ル ー タの 発見

各 PIA ル ー タは 隣接す る PIA ル ー タを 発見す る 。

2. ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー の 構築

エニー キャ ストレ シー バ は 参加す る グル ー プ を 隣接す る PIA ル ー タに 通知す

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図 5: PIA-SM の 概要

る 。 エニー キャ ストレ シー バ の 存在を 知っ た PIA ル ー タは ラ ン デブ ー ポ イ ン

トへ 参加す る グル ー プ を 通知す る 。

3. ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル へ の 登録

ラ ン デブ ー ポ イ ン トの 構築した ラ ン デブ ー ポ イ ン トに よ る 配送経路は 複数の

エニー キャ ストレ シー バ へ の 経路で あ る 。 そ の 中か ら 最適な 1 つ の 経路を 選択

して ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル に エニー キャ ストア ドレ スの エン トリ

を 作成す る 。

4. エニー キャ ストパ ケットの 転送

送信者が エニー キャ ストア ドレ ス宛 に 送信した パ ケットは 、 PIA ル ー タが カプ

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セル 化して ラ ン デブ ー ポ イ ン トの ユ ニキャ ストア ドレ スUA へ 転送す る 。 ラ ン

デブ ー ポ イ ン トは カプ セル 化を 解除して エニー キャ ストパ ケットを 取り 出し、

ユ ニキャ ストル ー ティ ン グに 基 づ い て エニー キャ ストパ ケットを 転送す る 。

こ の 手順に つ い て 、 以 下の 節で 説明す る 。

2.2.1 隣接 PIA ル ー タの 発見

直接接続して い る PIA ル ー タの 発見の 手順は 以 下の 通り で あ る 。 PIA-SM に お い

て 隣接す る PIA ル ー タを 発見す る 方法は PIM-SM と 同様に 、 Hello メ ッセー ジ (PIA

Hello) を 用い て 行なう 。 ま た 、 同様の 手法で 指名ル ー タを 選択す る 。 隣接 PIA ル ー

タの 発見に よ り 、 PIA ル ー タ間 の ネットワ ー クを 構築す る 。

2.2.2 ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー の 構築

ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー を 構築す る 手順は 以 下の 通り で あ る (図 6)。

1. ARD Report の 送信

エニー キャ ストレ シー バ は エニー キャ ストグル ー プ に 参加す る 場合、 参加す る

エニー キャ ストア ドレ ス G を 含 め た ARD Report と い う メ ッセー ジを 直接接

続して い る PIA ル ー タに 送信す る こ と で 、 自身に 割 り 当て ら れ て い る エニー

キャ ストア ドレ スを 直接接続して い る PIA ル ー タに 通知す る 。 ARD (Anycast

Receiver Discovery) は ICMPv6 MLD を エニー キャ ストア ドレ スが 扱 え る よ う

に 拡張した も の で 、 文献 [7] で 提案 さ れ て い る 。 ARD Report は こ の ARD メ ッ

セー ジの う ち の 1 つ で あ り 、 エニー キャ ストレ シー バ が 属す る エニー キャ スト

グル ー プ を PIA ル ー タに 通知す る メ ッセー ジで あ る 。

2. NDPキャ ッシュ の エン トリ 作成

ARD Report を 受信した PIA ル ー タは 、 同一 セグメ ン ト上の エニー キャ スト

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図 6: PIA ル ー タに よ る ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー の 構築

レ シー バ の エン トリ を NDP (Neighbor Discovery Protocol)キャ ッシュ に 作成す

る 。 NDPキャ ッシュ と は IP ア ドレ スと リ ン ク層ア ドレ スを 対応づ け る も の で

あ る 。 こ の 処理は PIM-SM の 時に は なか っ た 処理で あ る 。 こ の 処理を 行なう

の は 、 エニー キャ ストア ドレ スが ユ ニキャ ストア ドレ スと 共用で あ り 、 エニー

キャ ストア ドレ ス宛 の パ ケットは 、 宛 先ア ドレ スを リ ン ク層ア ドレ スに 解決で

き なけ れ ば 、 セグメ ン ト上で エニー キャ ストレ シー バ に パ ケットの 転送が 行な

え ない た め で あ る 。

3. PIA Join の 送信

エニー キャ ストレ シー バ の 存在を 知っ た PIA ル ー タは 、 ARD Report に 書か れ

た エニー キャ ストア ドレ スG を 含 ん だ PIA Join と い う メ ッセー ジを 、 対応す

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る ラ ン デブ ー ポ イ ン トの ユ ニキャ ストア ドレ スへ 送信す る 。 こ れ を 同じ エニー

キャ ストア ドレ スを 割 り 当て ら れ た エニー キャ ストレ シー バ そ れ ぞ れ が 行なう

こ と に よ り 、 エニー キャ ストレ シー バ か ら ラ ン デブ ー ポ イ ン トへ の ラ ン デブ ー

ポ イ ン トツリ ー が 作成さ れ る 。

4. ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル の エン トリ の 作成

各 PIA ル ー タは 、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー を 構築す る 経路の う ち の 1 つ を

選択して 、 ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル に そ の 経路を エニー キャ ストア

ドレ スの エン トリ と して 作成す る 。

こ の 手順 4 に お い て 、 本報告の PIA-SM で は 、 最初に 受信した PIA Join ま た は

ARD Report の 送信元へ の 経路を 選択す る 。 こ れ は 最適なエニー キャ ストレ シー バ を

選択した と は 言え ない が 、 最適なエニー キャ ストレ シー バ 選択の ア ル ゴリ ズム の 導

入に つ い て は 今後の 課題と して い る 。

2.2.3 エニー キャ ストパ ケットの 転送

エニー キャ ストパ ケットが 転送さ れ る 手順は 以 下の 通り で あ る (図 7)。

1. 送信者か ら の エニー キャ ストパ ケットの 送信

送信者は エニー キャ ストア ドレ スG 宛 に パ ケットを 送信す る 。

2. カプ セル 化と ラ ン デブ ー ポ イ ン トへ の エニー キャ ストパ ケットの 転送

送信者に 直接接続す る PIA ル ー タは 、 送信さ れ た エニー キャ ストパ ケットの

宛 先ア ドレ スに 対応した ラ ン デブ ー ポ イ ン トの ユ ニキャ ストア ドレ スで カプ セ

ル 化し、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トへ と 送信す る 。 こ の カプ セル 化さ れ た メ ッセー ジ

を PIA Capsule と 呼ぶ 。

3. カプ セル 化解除と エニー キャ ストレ シー バ へ の パ ケットの 転送

PIA Capsule メ ッセー ジを 受信した ラ ン デブ ー ポ イ ン トは 、 ま ず 、 カプ セル 化

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図 7: エニー キャ ストパ ケットの 転送

を 解除して エニー キャ ストパ ケットを 取り 出す 。 次に 、 そ の パ ケットの 宛 先に

なる エニー キャ ストア ドレ スの エン トリ を ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル

か ら 検索し、 転送す る 経路を 決定して 転送す る 。 そ の 後は 、 ユ ニキャ ストパ

ケットと 同様に ラ ン デブ ー ポ イ ン トか ら エニー キャ ストレ シー バ ま で 転送さ

れ る 。

PIM-SM で は 、 同じ 送信元か ら の パ ケットの 転送量が 、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トで 設定

さ れ た 転送量を 超え る と 、 送信元ツリ ー へ の 転送経路の 移 行が 行なわ れ る が 、 PIA-SM

で は 送信元ツリ ー へ の 転送経路の 移 行は 考え ない 。 こ れ に は 以 下の 理由が あ る 。

1. エニー キャ スト通信に お い て は 送信元ア ドレ スと して エニー キャ ストア ドレ ス

を 用い て は なら ない と IPv6 の 仕様で 定め ら れ て い る 。 こ の た め 最初に 送信し

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た パ ケットの 宛 先ア ドレ スと 返信の パ ケットの 送信元ア ドレ スは 一 致しなく な

る の で 、 TCP の 3 ウ ェイ ハ ン ドシェー クの よ う に 、 最初の パ ケットの 宛 先ア

ドレ スと 返信の パ ケットの 送信元ア ドレ スが 同じ で あ る こ と を 想定して い る 場

合、 エニー キャ ストア ドレ スを 用い る こ と が で き ない 。

2. よ っ て 、 エニー キャ ストレ シー バ と 連続した 通信を 行なう 場合は 、 何ら か の ア

ドレ ス解決プ ロ トコル に よ っ て エニー キャ ストア ドレ スを ユ ニキャ ストア ドレ

スに 対応づ け 、 解決した ユ ニキャ ストア ドレ スに 対して 行なう の が 現実的で あ

る 。 そ の た め 、 送信元ツリ ー を 用い て エニー キャ ストパ ケットの 経路を 最適化

して も 、 ユ ニキャ ストに よ る 通信で は 経路が 違う 可能性が あ る 。

以 上の 理由か ら 、 PIM-SM で 行なう よ う な送信元ツリ ー へ の 転送経路の 移 行は PIA-

SM で は 行なわ ず 、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トと PIA Capsule に よ る エニー キャ ストパ ケッ

トの 転送の みを 考え る こ と に す る 。

以 上が エニー キャ ストル ー ティ ン グプ ロ トコル PIA-SM の 概要で あ る 。

2.3 PIA-SM プ ロ トコル の 詳細設計

こ の 節で は 、 前節で 述べ た PIA-SM の 動作を 実現す る た め 、 PIA-SM プ ロ トコル

の 詳細を 設計す る 。

2.3.1 指名ル ー タの 決定

1 つ の セグメ ン ト上に お い て 複数の ル ー タが ARD メ ッセー ジを 送信す る と 、 セ

グメ ン ト上を 流れ る ARD メ ッセー ジの 量が 増え 、 帯域 を 無駄に 消費して しま う た

め 、 1 つ の セグメ ン トご と に 1台の ARD メ ッセー ジの 送受信を 管 理す る ル ー タ (指

名ル ー タ) を 選択す る 。 各セグメ ン ト上に は 、 そ の セグメ ン トの 指名ル ー タが 定期 的

に ARD メ ッセー ジを 送信す る 。 同一 セグメ ン ト上に あ る 他の PIA ル ー タは 、 そ の

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セグメ ン ト上で ARD メ ッセー ジの 送信を 行わ ない 。 そ こ で エニー キャ ストレ シー

バ を 探索す る 前に 、 セグメ ン ト上で 1台の 指名ル ー タを 決定す る 必要が あ る 。 こ れ

は PIA Hello メ ッセー ジに よ っ て 行わ れ る 。 PIA Hello メ ッセー ジを 定期 的に セグメ

ン ト上に 送信す る こ と で 、 各 PIA ル ー タは 直接接続す る PIA ル ー タの 存在を 知り 、

同時に 各セグメ ン ト上の 指名ル ー タを 決定す る 。

PIA Hello メ ッセー ジの フ ォー マ ットは 図 8 で 示さ れ る 。 以 下、 各フ ィ ー ル ドの 値

に つ い て 述べ る 。

• PIA Ver

PIA-SM プ ロ トコル の バ ー ジョ ン 番号。 0 を セットす る 。

• タイ プ

Hello メ ッセー ジで は 0 を セットす る 。

• 予約済み

送信者は 0 で 初期 化し、 受信者は こ の フ ィ ー ル ドを 無視す る 。

• チェックサム

IP プ ロ トコル 標準の も の と 同じ ア ル ゴリ ズム の チェックサム 。

• オプ ショ ン タイ プ 、 オプ ショ ン 長、 オプ ショ ン 値

そ れ ぞ れ オプ ショ ン の 種類、 オプ ショ ン 値フ ィ ー ル ドの 長さ 、 オプ ショ ン 値を

表す 。 オプ ショ ン の 種類は 以 下の も の が あ る 。

– 1 = ホ ー ル ド時間

こ の メ ッセー ジを 受信した PIM ル ー タは 、 オプ ショ ン 値で 指定さ れ た 秒

数だ け 、 メ ッセー ジ送信元の PIA ル ー タへ の 経路を 保持す る 。

– 19 =指名ル ー タ優先度

オプ ショ ン 値に 送信元の 指名ル ー タの 優先度を 示す 値が セットさ れ る 。

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図 8: PIA Hello メ ッセー ジの フ ォー マ ット

– 20 =生成 ID

PIA ル ー ティ ン グを 開始も しく は 再開した 時に 、 ラ ン ダム な値が 設定さ

れ る 。

PIA Hello メ ッセー ジは リ ン ク上の 全ル ー タア ドレ ス宛 に 送信さ れ る 。 指名ル ー

タは 各セグメ ン ト上で 指名ル ー タ優先度の 値が 大き い ア ドレ スを 持つ ル ー タが 選択

さ れ る (図 9)。 デフ ォル トで は 、 こ の 優先度の 値と して Hello メ ッセー ジを 送信し

た ル ー タの ユ ニキャ ストア ドレ スが 用い ら れ る 。 PIA ル ー タは エニー キャ ストル ー

ティ ン グを 有効に して い る イ ン ター フ ェイ ス上で 、 自身の 指名ル ー タ優先度よ り 大

き い 優先度を 持つ ル ー タが 送信した Hello メ ッセー ジを 受信した 場合、 指名ル ー タ

に なら ない 。 Hello メ ッセー ジの 受信の 結果、 自身の 優先度が 最も 高い 場合、 そ の

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図 9: 指名ル ー タの 選択

ル ー タは 指名ル ー タと なり 、 そ の イ ン ター フ ェイ スが 接続して い る セグメ ン ト上の

ARD メ ッセー ジの 送受信を 行なう 。

2.3.2 エニー キャ ストレ シー バ の 探索

エニー キャ ストレ シー バ の 探索に は 2.2節で 述べ た と お り ICMPv6 MLD を エニー

キャ ストア ドレ スが 扱 え る よ う に 拡張した ARD を 用い る 。 ARD メ ッセー ジの プ ロ

トコル は 文献 [7] の 記 述に 従う 。

ARD メ ッセー ジの 目的は エニー キャ ストレ シー バ の 存在を PIA ル ー タに 通知す る

こ と で あ る 。 全て の ARD メ ッセー ジは 送信元ア ドレ スに リ ン クロ ー カル の ユ ニキャ

ストア ドレ スを セットし、 ホ ップ リ ミ ットを 1 と して 送信さ れ る 。 ARD メ ッセー ジ

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は Query、 Report、 Done の 3種が あ る 。 そ れ ぞ れ の メ ッセー ジの 役割 は 以 下の よ う

に なる 。

• ル ー タは ARD Query に よ っ て エニー キャ ストレ シー バ を 探索す る 。 ARD Query

に は 2種類あ り 、 全て の グル ー プ の エニー キャ ストレ シー バ を 探索す る ARD

Query を General-Query、 個別の グル ー プ の エニー キャ ストレ シー バ を 探索す

る Query を Address-Specific Query と 呼ぶ 。

• ARD Query を 受信す る と 、 エニー キャ ストレ シー バ は 参加して い る エニー キャ

ストグル ー プ の ア ドレ スを ARD Report で ル ー タに 通知す る 。

• エニー キャ ストレ シー バ が エニー キャ ストグル ー プ か ら 離脱す る 場合、 エニー

キャ ストレ シー バ は ARD Done メ ッセー ジで ル ー タに 離脱す る グル ー プ を 通

知す る 。

以 下 ARD の プ ロ トコル に つ い て 、 PIA ル ー タ側と エニー キャ ストレ シー バ 側に

分け て 説明す る 。

• PIA ル ー タ側の 動作

– ARD の General Query は 宛 先を 同一 セグメ ン ト上の 全ホ ストと し、 エニー

キャ ストア ドレ スフ ィ ー ル ドに 0 を セットして 送信す る 。 こ れ は MLD の

General Query と 同じ フ ォー マ ットで あ る 。 こ の た め 、 ル ー タに は マ ル チ

キャ ストの MLD Report メ ッセー ジと エニー キャ ストの ARD Report メ ッ

セー ジの 両方が 返っ て く る 可能性が あ る 。 返っ て き た Report メ ッセー ジ

の う ち 、 マ ル チキャ ストア ドレ スで ない も の を ARD Report メ ッセー ジと

して 受信す る 。

– Address-Specific Query は エニー キャ ストア ドレ スフ ィ ー ル ド、 宛 先ア ド

レ スの 両方を エニー キャ ストグル ー プ の ア ドレ スに して 送信す る 。 そ の

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た め 、 こ の Query は ル ー タが 、 そ の エニー キャ ストグル ー プ の 経路と し

て 選択して い る 1 つ の エニー キャ ストレ シー バ に の み受信さ れ る 。

– ARD Done メ ッセー ジは MLD Done メ ッセー ジと 同じ 構造を して い る の

で 、 メ ッセー ジの ア ドレ スが マ ル チキャ ストア ドレ スで ない も の を ARD

Done メ ッセー ジと して 受信す る 。

• エニー キャ ストレ シー バ 側の 動作

– 最初に 、 エニー キャ ストレ シー バ は 参加した い エニー キャ ストグル ー プ

の ARD Report メ ッセー ジを 作成し送信す る 。 Report メ ッセー ジは 、 エ

ニー キャ ストア ドレ スフ ィ ー ル ドに 参加す る グル ー プ の エニー キャ スト

ア ドレ スを セットし、 Report メ ッセー ジの 宛 先ア ドレ スに は セグメ ン ト

上の 全ル ー タを 指定す る 。

– General-Query に 対して は 、 エニー キャ ストレ シー バ が 所属す る 全て の エ

ニー キャ ストグル ー プ に つ い て ARD Report メ ッセー ジを 作成し、 セグ

メ ン ト上の 全ル ー タへ 送信す る 。 こ の 時、 ARD Query に よ っ て 最大応答

遅延 時間 が 通知さ れ 、 0 か ら 最大応答遅延 時間 ま で の 間 の ラ ン ダム な時

間 待っ て か ら ARD Report を ル ー タに 送信す る 。 同一 セグメ ン ト上に 同

じ エニー キャ ストア ドレ スを 割 り 当て ら れ て い る エニー キャ ストレ シー

バ が 複数存在す る 場合、 そ れ ら す べ て の エニー キャ ストレ シー バ が ARD

Query に 対して 同時に ARD Report を 送信す る と 、 一 時的に トラ ヒ ックが

集中して 発生す る 。 こ れ を 防ぐ た め ARD Report の 送信は ラ ン ダム な時

間 待っ て か ら 行なわ れ る 。

– Address-Specific Query に 対して は 、 Query の 宛 先と 同じ グル ー プ の Report

メ ッセー ジを 作成し、 セグメ ン ト上の 全ル ー タへ 送信す る 。

– ARD Done メ ッセー ジは 、 エニー キャ ストア ドレ スフ ィ ー ル ドに 離脱す

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る グル ー プ の エニー キャ ストア ドレ スを セットし、 宛 先を セグメ ン ト上

の 全ル ー タに して 送信す る 。

メ ッセー ジの フ ォー マ ットは Query、 Report、 Done の 3種と も 全て 同じ で 、 図 10

で 示さ れ る 。 以 下、 各フ ィ ー ル ドの 値に つ い て 述べ る 。

• タイ プ

タイ プ は 文献 [7] の 記 述通り 、 ICMPv6 プ ロ トコル で 規 定さ れ て い る MLD の

番号を 用い る 。

– 130 = Query

– 131 = Report

– 132 = Done

• コー ド

0 が セットさ れ る 。

• チェックサム

ICMPv6 の チェックサム で あ る 。

• 最大応答遅延

General Query の 場合に ル ー タに よ っ て 値が セットさ れ る 。 エニー キャ ストレ

シー バ は 0 か ら 最大応答遅延 で 指定さ れ た ミ リ 秒の 間 の ラ ン ダム な時間 待っ

て か ら Report メ ッセー ジを 返す 。

ア ドレ ス特定Query の 場合、 こ の フ ィ ー ル ドは 0 が セットさ れ 、 エニー キャ ス

トレ シー バ は Query を 受信後、 即座に Report メ ッセー ジを 返す 。

Report メ ッセー ジ、 Done メ ッセー ジで は こ の フ ィ ー ル ドは 0 が セットさ れ る 。

• 予約済み

送信者は 0 で 初期 化し、 受信者は こ の フ ィ ー ル ドを 無視す る 。

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図 10: ARD メ ッセー ジの フ ォー マ ット

• エニー キャ ストア ドレ ス

General Query の 場合 0 が セットさ れ る 。 そ の 他の メ ッセー ジの 場合、 対象と

なる エニー キャ ストグル ー プ の ア ドレ スが セットさ れ る 。

ARD Report メ ッセー ジを 受信した PIA ル ー タは 、 Report メ ッセー ジが 上流か ら

来た か ど う か を 調べ 、 上流か ら 来た Report メ ッセー ジだ っ た 場合は こ れ を 無視す る 。

こ こ で 、 上流と は ラ ン デブ ー ポ イ ン ト方向の こ と で あ り 、 上流で あ る か ど う か は 、

ラ ン デブ ー ポ イ ン トの ユ ニキャ ストア ドレ スと ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル

に よ り 決定さ れ る 。 上流か ら 来た ARD Report メ ッセー ジで ない 場合は 、 IP ア ドレ

スか ら リ ン ク層ア ドレ スを 参照す る た め の NDPキャ ッシュ に 、 以 下の 手順で エニー

キャ ストア ドレ スの エン トリ を 書き 込む 。

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図 11: NDPキャ ッシュ の エン トリ 作成

1. PIA ル ー タが ARD Report を 受信した 場合、 ARD Report の 送信元ア ドレ スを

対応す る リ ン ク層ア ドレ スに 、 NDP プ ロ トコル [8] を 用い て 解決す る 。 こ の 処

理は 2節で も 述べ た 通り 、 エニー キャ ストア ドレ スが ユ ニキャ ストア ドレ スと

共用で あ り 、 エニー キャ ストア ドレ ス宛 の パ ケットは 、 宛 先ア ドレ スを リ ン ク

層ア ドレ スに 解決で き なけ れ ば 、 セグメ ン ト上で エニー キャ ストレ シー バ に パ

ケットの 転送が 行なえ ない た め で あ る 。

2. PIA ル ー タは NDPキャ ッシュ か ら エニー キャ ストア ドレ スの エン トリ を 検索

し、 NDPキャッシュ に エニー キャ ストア ドレ スの エン トリ が なけ れ ば 、 エニー

キャ ストア ドレ スと 1 で 解決した リ ン ク層ア ドレ スの 組の エン トリ を 作成す る 。

た だ し、 同じ エニー キャ ストア ドレ スの エニー キャ ストレ シー バ が セグメ ン ト上に

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図 12: 同一 セグメ ン ト上の 経路選択

複数存在す る 場合は 、 既 に NDPキャ ッシュ に エニー キャ ストア ドレ スの エン トリ が

存在す る 可能性が あ る 。 こ の と き 、 す で に NDPキャ ッシュ に あ る エン トリ は 上書き

しない も の と す る 。 こ れ は 2.2.2節で 述べ た よ う に 、 本報告の PIA-SM で は 、 最初

に 受信した PIA Join ま た は ARD Report の 送信元へ の 経路を 選択す る と した た め で

あ る 。

ARD Done メ ッセー ジを 受信した PIA ル ー タは 、 ARD Report メ ッセー ジの 時と 同

じ よ う に ARD Done メ ッセー ジが 上流か ら 来た か ど う か を 調べ 、 上流か ら 来た ARD

Done メ ッセー ジだ っ た 場合は こ れ を 無視す る 。 そ の 後、 ARD Done メ ッセー ジに よ

り 通知さ れ た エニー キャ ストア ドレ スの エン トリ を NDPキャッシュ か ら 削除す る (図

13)。

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図 13: NDPキャ ッシュ の エン トリ 削除

2.3.3 ル ー ティ ン グテー ブ ル へ の 登録

ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー の 構築に は PIA Join/Prune メ ッセー ジが 用い ら れ る 。

PIA Join/Prune メ ッセー ジは PIA ル ー タの 状態を 変化さ せ る 。 PIA ル ー タの 状態を

変化さ せ る こ と で 、 PIA Join メ ッセー ジは ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー に 新た な経路

を 追加し、 PIA Prune メ ッセー ジは ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー の 一 部の 経路を 削除

す る 。 PIA Join/Prune メ ッセー ジに よ る PIA ル ー タの 状態遷移 は 表 2 で 表さ れ る 。

表 2中の “枝” と は 、 ラ ン デブ ー ポ イ ン ト方向以 外の 直接接続して い る セグメ ン ト

の 中で 、 エニー キャ ストグル ー プ G の メ ン バ ー が 存在して い る セグメ ン トの こ と で

あ り 、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー の 枝に あ た る 。 エニー キャ ストグル ー プ G の メ ン

バ ー は 、 グル ー プ G の エニー キャ ストレ シー バ も しく は グル ー プ G参加状態の PIA

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表 2: PIA ル ー タの 状態遷移

グル ー プ G 受信: Join メ ッセー ジ 受信: Prune メ ッセー ジ

初期 状態 → 参加状態 -参加状態、 枝 1 つ - → 初期 状態

参加状態、 枝 2 つ 以 上 - 送信元に よ り 変化

ル ー タの い ず れ か で あ り 、 グル ー プ G の Join メ ッセー ジを 受信した PIA ル ー タは 、

グル ー プ G参加状態に なる

PIA Join メ ッセー ジ受信時の 処理の 概要を 図 14 で 示す 。 PIA Join メ ッセー ジを 受

信した ル ー タは ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー を 構築す る 。

以 下、 図 14 の 内容に つ い て 説明す る 。

1. エニー キャ ストレ シー バ の 存在を 知っ た ル ー タは グル ー プ G状態に なり 、 上

流の ル ー タに グル ー プ G の Join メ ッセー ジを 送信す る 。

2. 初期 状態の PIA ル ー タが グル ー プ G の Join を 受信した 場合、 そ の Join メ ッ

セー ジを 受信した イ ン ター フ ェイ スが 上流の イ ン ター フ ェイ スで あ る 場合は 何

も せ ず 、 そ う で ない 場合は 自身の PIA ル ー タの 状態を グル ー プ G参加状態に

す る 。

3. エニー キャ ストア ドレ ス宛 の パ ケットを こ の Join メ ッセー ジを 送信した PIA

ル ー タへ 転送す る よ う に ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル に 経路を 作成す る 。

4. グル ー プ G の Join メ ッセー ジを さ ら に 上流の PIA ル ー タへ 送信す る 。

た だ し、 複数の セグメ ン トか ら グル ー プ G の Join メ ッセー ジを 受信す る PIA ル ー

タは 、 す で に 同じ エニー キャ ストア ドレ スの エン トリ が ル ー ティ ン グテー ブ ル に 存

在す る 可能性が あ る 。 こ の と き 、 す で に ル ー ティ ン グテー ブ ル に あ る エン トリ は 更

新しない も の と す る 。 こ れ は 2.2.2節で 述べ た よ う に 、 本報告の PIA-SM で は 、 最初

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図 14: ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル の エン トリ 作成

に 受信した PIA Join ま た は ARD Report の 送信元へ の 経路を 選択す る と して い る た

め で あ る 。

PIA Prune メ ッセー ジ受信時の 処理の 概要を 図 15 で 示す 。

1. エニー キャ ストレ シー バ が グル ー プ か ら 離脱した こ と を 知っ た ル ー タは 初期 状

態に なり 、 上流の ル ー タに グル ー プ G の Prune メ ッセー ジを 送信す る 。

2. グル ー プ G参加状態を 持っ て い る PIA ル ー タが グル ー プ G の Prune メ ッセー

ジを 受信した 場合、 ま ず Join メ ッセー ジの と き と 同様に ラ ン デブ ー ポ イ ン ト

へ の 経路を 探索す る 。 そ の 結果、 グル ー プ G の Prune メ ッセー ジを 受信した イ

ン ター フ ェイ スが 上流で あ る 場合何も しない 。 そ う で ない 場合は 、 PIA Prune

メ ッセー ジを 受信した イ ン ター フ ェイ ス方向の 経路を ラ ン デブ ー ポ イ ン トツ

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リ ー か ら 切り 離す 。

3. さ ら に 、 グル ー プ G の Prune メ ッセー ジを 送信した PIA ル ー タが 、 エニー キャ

ストア ドレ ス G の 経路と して ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル に 登録さ れ

て い る 場合は ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル か ら エニー キャ ストグル ー プ

G の エン トリ を 削除し、 自身の PIA ル ー タの 状態を 初期 状態に して 、 グル ー

プ G の Prune メ ッセー ジを 上流の PIA ル ー タへ 送信す る 。 そ う で ない 場合は 、

グル ー プ G参加状態が 維 持さ れ る 。

グル ー プ G の Prune メ ッセー ジを 受信した ル ー タは 、 そ の Prune メ ッセー ジを 受信

した 方向の 経路を ラ ン デブ ー ポ イ ン トか ら 切り 離す 。 さ ら に 、 そ の 経路が ユ ニキャ

ストル ー ティ ン グテー ブ ル に 登録した 経路だ っ た 場合は 、 ユ ニキャ ストル ー ティ ン

グテー ブ ル か ら も こ の 経路を 削除す る 。

グル ー プ G の Prune メ ッセー ジに よ り エニー キャ ストア ドレ スの 経路が ユ ニキャ

ストル ー ティ ン グテー ブ ル か ら 削除さ れ た 後、 次の グル ー プ G の Join メ ッセー ジ

を 受信す る と 、 エニー キャ ストグル ー プ G の ア ドレ スの 経路と して 、 そ の Join メ ッ

セー ジの 送信元の PIA ル ー タを 指定し、 こ の エン トリ を ユ ニキャ ストル ー ティ ン グ

テー ブ ル に 登録す る (図 16)。

こ れ に よ り 、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー に お け る エニー キャ ストレ シー バ へ の 経

路と 、 ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル に お け る エニー キャ ストア ドレ スへ の 経

路が 同期 し、 エニー キャ ストパ ケットを ユ ニキャ ストル ー ティ ン グを 用い て 転送す

る こ と が 可能と なる 。

PIA Join/Prune メ ッセー ジの フ ォー マ ットは 図 17 で 示さ れ る 。 以 下、 各フ ィ ー ル

ドの 値に つ い て 述べ る 。

• PIA Ver、 タイ プ 、 予約済み、 チェックサム

PIA Hello メ ッセー ジの 時と 同様で あ る 。 タイ プ に は 3 が セットさ れ る 。

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図 15: ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル の エン トリ 削除

• 上流 PIA ル ー タの ユ ニキャ ストア ドレ ス

ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー の 上流ル ー タの ア ドレ スを セットす る 。

• 予約済み 2

送信者は 0 で 初期 化し、 受信者は 無視す る 。

• グル ー プ 数

Join/Prune メ ッセー ジに 含 ま れ る エニー キャ ストグル ー プ の 数。

• ホ ー ル ド時間

PIA Join/Prune メ ッセー ジを 受信した ル ー タは 、 ホ ー ル ド時間 で 指定さ れ た 秒

数の 間 、 Join/Prune の 状態を 保持しなけ れ ば なら ない 。 つ ま り 、 グル ー プ G の

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図 16: 他の エニー キャ ストレ シー バ へ の 経路変更

Join を 受信した PIA ル ー タは 、 指定さ れ た 時間 の 間 グル ー プ G の Prune メ ッ

セー ジを 受信す る こ と なく 、 グル ー プ G参加状態か ら 初期 状態に 戻っ て は な

ら ない 。

• エニー キャ ストグル ー プ ア ドレ ス

エニー キャ ストグル ー プ の ア ドレ スが セットさ れ る 。

• Join フ ラ グ、 Prune フ ラ グ

エニー キャ ストグル ー プ に 対して 、 Join メ ッセー ジの 送信なら ば Join フ ラ グ

フ ィ ー ル ドに 1 を セットし、 Prune メ ッセー ジの 送信なら ば Prune フ ラ グフ ィ ー

ル ドに 1 を セットす る 。

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図 17: PIA Join/Prune メ ッセー ジの フ ォー マ ット

2.3.4 パ ケットの 転送

送信者が エニー キャ ストパ ケットを 送信す る と 、 送信さ れ た エニー キャ ストパ ケッ

トの 宛 先ア ドレ スに 対応した ラ ン デブ ー ポ イ ン トの ユ ニキャ ストア ドレ スで カプ セ

ル 化し、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トへ と 送信す る 。 こ の カプ セル 化さ れ た メ ッセー ジを PIA

Capsule と 呼ぶ 。 ラ ン デブ ー ポ イ ン トに お い て PIA Capsule を 受信す る と 、 取り 出

した エニー キャ ストパ ケットの 宛 先グル ー プ に 対応す る ラ ン デブ ー ポ イ ン トが 自分

で あ る か ど う か を 確 認す る 。 こ れ を 満た す 場合、 さ ら に 自分が グル ー プ G状態で あ

る か ど う か を 調べ る 。 こ れ は エニー キャ ストグル ー プ G の エニー キャ ストレ シー バ

が 存在す る か ど う か を 確 認す る こ と に 等しい 。 そ の ラ ン デブ ー ポ イ ン トの 状態が グ

ル ー プ G参加状態で あ れ ば 、 エニー キャ ストレ シー バ が 存在し、 ラ ン デブ ー ポ イ ン

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図 18: ユ ニキャ ストル ー ティ ン グに 基 づ く エニー キャ ストパ ケットの 転送

トツリ ー が 存在す る こ と を 意 味す る の で 、 そ の ツリ ー に 従っ て エニー キャ ストパ ケッ

トを 送出す る (図 18)。 転送さ れ た エニー キャ ストパ ケットは エニー キャ ストレ シー

バ ま で ユ ニキャ ストパ ケットと 同様に 転送さ れ る 。 こ れ は 前節で 説明した よ う に 、

PIA Join/Prune に よ っ て ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル に エニー キャ ストア ド

レ スへ の 経路が 作成さ れ て い る こ と で 実現さ れ る 。

こ の PIA Capsule の フ ォー マ ットは 図 19 で 示さ れ る 。 以 下、 各フ ィ ー ル ドの 値に

つ い て 述べ る 。

• PIA Ver、 タイ プ 、 予約済み、 チェックサム

PIA Hello と 同様で あ る 。 タイ プ に は 1 が セットさ れ る 。

• 予約済み

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図 19: PIA Capsule メ ッセー ジの フ ォー マ ット

送信者は 0 で 初期 化し、 受信者は こ の フ ィ ー ル ドを 無視す る 。

• エニー キャ ストデー タパ ケット

元の エニー キャ ストパ ケットの デー タを IP ヘ ッダも 含 め て こ の フ ィ ー ル ドに

セットす る 。

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3 PIA-SM プ ロ トコル の 実装と 動作確 認

本章で は 、 2章で 述べ た PIA-SM プ ロ トコル を 用い た PIA ル ー タを 実機 に 実装し

て 動作確 認を 行ない 、 PIA-SM プ ロ トコル に よ っ て エニー キャ ストパ ケットが エニー

キャ ストレ シー バ ま で 転送さ れ る こ と を 示す 。 以 下 3.1節で は PIA-SM プ ロ トコル

を FreeBSD上に 実装す る 方法に つ い て 具 体的に 述べ る 。 3.2節で は 、 実機 を 用い た

動作確 認の 結果を 示す 。

3.1 FreeBSD上で の PIA-SM プ ロ トコル の 実装

FreeBSD に お い て 、 ル ー ティ ン グプ ロ トコル は デー モ ン プ ロ グラ ム と して 実装さ

れ る 。 FreeBSD上で 動作す る PIA-SM ル ー タの プ ロ グラ ム の こ と を 以 降の 説明で は

PIAデー モ ン と 呼ぶ こ と に す る 。

FreeBSD で は 、 カー ネル が IP パ ケットを 受信す る と 、 パ ケットは IP 操作関 数

ip-intr() に 渡さ れ る 。 ip-intr は 受信した パ ケットの IP プ ロ トコル の 種類と 宛 先

ア ドレ スか ら 適切な関 数を 選択し、 そ の 関 数に 処理を 渡す 。

• も し受信した パ ケットの 宛 先ア ドレ スが マ ル チキャ ストア ドレ スで ない なら ば

カー ネル の ユ ニキャ スト転送関 数 ip6 forward() に 処理が 渡さ れ る 。 こ の

関 数の 中で 、 パ ケットの 宛 先ア ドレ スの エン トリ を ル ー ティ ン グテー ブ ル か ら

検索し、 エン トリ が 見つ か っ た 場合は パ ケット出力関 数 ip6 output() に 処

理が 渡さ れ る 。

• も し受信した パ ケットが PIA メ ッセー ジだ っ た 場合、 PIA メ ッセー ジ操作関 数

pia6 input() に 処理が 渡さ れ 、 こ の 関 数が rip6 input() 関 数を 用い て

PIA メ ッセー ジを PIAデー モ ン に 渡す 。

• も し受信した パ ケットが ICMPv6 パ ケットだ っ た 場合、 ICMP メ ッセー ジ操作

関 数 icmp6 input() に 処理が 渡さ れ る 。 さ ら に ICMP メ ッセー ジが ARD

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メ ッセー ジだ っ た 場合、 こ の 関 数が rip6 input() 関 数を 用い て ARD メ ッ

セー ジを PIAデー モ ン に 渡す 。

全て の PIA メ ッセー ジと ARD メ ッセー ジは PIAデー モ ン に 渡さ れ る 。 PIAデー

モ ン は こ れ ら の メ ッセー ジか ら PIA-SM の プ ロ トコル に した が っ て ラ ン デブ ー ポ イ

ン トツリ ー に 関 す る 情報を 集め る 。 こ れ を PIA-SM で は ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー

イ ン フ ォメ ー ショ ン (RPTI) と 呼ぶ 。 PIAデー モ ン は こ の RPTI を 元に ユ ニキャ スト

ル ー ティ ン グテー ブ ル を 操作して 、 エニー キャ ストア ドレ スの 経路を 作成、 更新、 削

除す る 。

エニー キャ ストル ー ティ ン グプ ロ トコル を 実装す る 際の 最も 大き な問題点は 、 ユ

ニキャ ストア ドレ スと エニー キャ ストア ドレ スを 区別す る こ と が で き ない と い う 点

で あ る 。 こ れ は [1] で 定め ら れ た IPv6 の 仕様で あ る 。 こ の た め カー ネル が 受信した

パ ケットの 宛 先ア ドレ スが エニー キャ ストア ドレ スか ど う か で 処理を 分け る と い っ

た ア ル ゴリ ズム は 使う こ と が で き ない 。 そ こ で 、 エニー キャ ストパ ケットも ユ ニキャ

ストパ ケットと 同様の 処理を カー ネル 内部で 行ない 、 ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー

ブ ル に エン トリ が あ れ ば 、 そ の 経路に した が っ て 転送さ れ る よ う に す る 。 こ れ は エ

ニー キャ ストア ドレ スの エン トリ が 、 ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル に お い て 、

プ レ フ ィ ックス長 128 の ア ドレ スと して 登録さ れ て い る た め 、 最長一 致検索に よ り

パ ケットの 宛 先が エニー キャ ストア ドレ スに 一 致す る 場合は 、 か なら ず そ の 経路が

選択さ れ る た め で あ る 。

こ の 処理の 流れ の 概要を 図 20 で 示す 。

PIA-SMデー モ ン の 動作を ま と め る と 次の よ う に なる 。

• ル ー ティ ン グテー ブ ル の 作成、 更新

1. カー ネル は ARD メ ッセー ジを icmp6 input() に 渡し、 PIA メ ッセー

ジを pia6 input() に 渡す こ と で 、 こ れ ら の メ ッセー ジを 全て PIAデー

モ ン に 渡す 。

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図 20: PIA-SM ル ー タ実装の モ デル 図

2. PIAデー モ ン は カー ネル か ら 受け 取っ た ARD メ ッセー ジや PIA メ ッセー

ジに 基 づ い て 、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー イ ン フ ォメ ー ショ ン (RPTI) に 、

ラ ン デブ ー ポ イ ン トツリ ー の 経路情報を 作成す る 。 こ の RPTI に あ る 経

路か ら 1 つ の 経路を 選択し、 ユ ニキャ ストル ー ティ ン グテー ブ ル を 更新

す る 。

• パ ケット受信時の 処理

1. カー ネル 内部で は エニー キャ ストア ドレ スと ユ ニキャ ストア ドレ スを 判

別せ ず 、 ル ー ティ ン グテー ブ ル に 宛 先ア ドレ スへ の 経路が 存在した パ ケッ

トは ip6 output() を 通じ て 他の セグメ ン トへ 、 ル ー ティ ン グテー ブ ル

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に 宛 先ア ドレ スへ の 経路が 存在しなか っ た パ ケットは rip6 input() を

通じ て PIAデー モ ン へ 転送さ れ る 。

2. PIA デー モ ン は カー ネル か ら 受け 取っ た パ ケットの 宛 先が エニー キャ ス

トア ドレ スで あ る か ど う か を 、 RPTI に 登録さ れ て い る 、 各ラ ン デブ ー ポ

イ ン トが 管 理す る グル ー プ の ア ドレ スを 検索す る こ と で 判別す る 。

3. PIAデー モ ン が RPTI に こ の パ ケットの 宛 先ア ドレ スの エン トリ を 持っ て

お り 、 対応す る ラ ン デブ ー ポ イ ン トの ア ドレ スが RPTI か ら 検索で き た 場

合、 こ の ア ドレ スは エニー キャ ストア ドレ スで あ る と 判断して パ ケット

を PIA Capsule に カプ セル 化して 、 そ の ラ ン デブ ー ポ イ ン トの ユ ニキャ ス

トア ドレ スへ 送信す る 。 そ う で ない 場合は パ ケットの 宛 先は ユ ニキャ ス

トア ドレ スと 判断して 、 パ ケットを デフ ォル トル ー タへ 転送す る 。 デフ ォ

ル トル ー タが 設定さ れ て い ない 場合は パ ケットは 破棄さ れ る 。

3.2 FreeBSD上で の PIA-SM プ ロ トコル の 動作確 認

実装した PIA-SMデー モ ン を 実際に ル ー タ内部で 動作さ せ 、 エニー キャ ストパ ケッ

トの 転送が 行なわ れ る 様子を 示す 。

パ ケットフ ォー マ ットの 説明で PIA Ver フ ィ ー ル ドの 値に 0 を セットす る と あ る

が 、 今回の 実験で は こ の フ ィ ー ル ドに 2 を セットす る 。 PIA メ ッセー ジの フ ォー マ ッ

トは PIM メ ッセー ジと 同じ パ ケットフ ォー マ ットを して い る た め 、 こ う す る こ と で

tcpdump で PIA メ ッセー ジの 情報が PIM メ ッセー ジと して 出力さ れ 、 プ ロ トコル

の 動作確 認が 簡 単に なる 。

実験を 行なっ た ネットワ ー クの 構成は 図 21 で あ る 。 エニー キャ ストレ シー バ 1、

2 に は 同一 の ア ドレ ス 1234::ffff を 割 り 当て 、 各エニー キャ ストレ シー バ ー 上で

ARDデー モ ン を 動作さ せ る 。 エニー キャ ストレ シー バ は こ の ア ドレ スを パ ケットの

送信元ア ドレ スに は 用い ない 。 こ れ は 現在の IPv6 の 仕様で エニー キャ ストア ドレ ス

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図 21: 実験環 境

は パ ケットの 送信元ア ドレ スと して 用い て は なら ない と あ る た め で あ る [1]。 そ の た

め 、 エニー キャ ストレ シー バ は エニー キャ ストア ドレ ス宛 の ICMPv6 Echo Request

を 受信した 場合、 自身が 持つ ユ ニキャ ストア ドレ スを 送信元ア ドレ スと した ICMPv6

Echo Reply を 送信者に 返す 。 よ っ て 、 送信者 が エニー キャ ストア ドレ ス宛 に Echo

Request を 送信し、 選択さ れ た エニー キャ ストレ シー バ の ユ ニキャ ストア ドレ スを 送

信元ア ドレ スと した Echo Reply が 返っ て く れ ば 、 エニー キャ ストル ー ティ ン グが 実

現で き て い る こ と が 確 か め ら れ る 。 今回の 実装で は エニー キャ ストレ シー バ の 選択

に お い て 、 グル ー プ G の ARD Report も しく は グル ー プ G の PIA Join メ ッセー ジの

う ち 、 最も 早く PIA ル ー タに 到着した メ ッセー ジの 送信元を 、 PIA ル ー タは そ の グ

ル ー プ G の 経路と して 選択す る 。

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ま ず ARD メ ッセー ジの 動作確 認を 行なう 。 こ の と き の 通信手順は 以 下の 通り で

あ る 。

1. PIA ル ー タデー モ ン は ARD Query を セグメ ン ト上に 送信す る 。

2. エニー キャ ストレ シー バ 1 が ARD Report メ ッセー ジを PIA ル ー タに 送信す る 。

3. 送信者が エニー キャ ストア ドレ ス 1234::ffff 宛 に Echo Request を 送信す る 。

4. エニー キャ ストレ シー バ 1 の ユ ニキャ ストア ドレ スか ら Echo Reply が 返っ て

く る

こ の ARD メ ッセー ジの 交換 か ら Echo Reply が 送信者に 返っ て く る ま で の 通信の 記

録を tcpdump に よ る 出力と して 図 22 に 示す 。 こ の 結果か ら ARD Report に よ っ

て NDPキャ ッシュ に エニー キャ ストア ドレ スの エン トリ が 作成さ れ た こ と が 確 認で

き た 。

次に 、 2台の ル ー タの 両方で PIAデー モ ン を 起 動し、 エニー キャ ストパ ケットが

PIA ル ー タに よ っ て エニー キャ ストレ シー バ ま で 転送さ れ る か ど う か の 実験を 図 21

の ネットワ ー クで お こ なう 。 こ の 通信手順は 以 下の 通り で あ る 。

1. PIA ル ー タが 送信す る ARD Query を 各サブ ネット上に 送信す る 。

2. エニー キャ ストレ シー バ 1、 2 は ARD Report を PIA ル ー タに 返す 。

3. 送信者が エニー キャ ストア ドレ ス 1234::ffff 宛 に Echo Request を 送信す る 。

4. PIA ル ー タARo1 が エニー キャ ストパ ケットを PIA Capsule に カプ セル 化しラ

ン デブ ー ポ イ ン トARo2 へ 転送す る 。

5. ラ ン デブ ー ポ イ ン ト ARo2 で PIA Capsule か ら エニー キャ ストパ ケットを 取り

出し、 エニー キャ ストレ シー バ 1 ま た は 2 へ 転送さ れ る 。

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図 22: ARD メ ッセー ジに よ る セグメ ン ト上の エニー キャ ストパ ケットの 転送結果

6. い ず れ か の エニー キャ ストレ シー バ の ユ ニキャ ストア ドレ スか ら Echo Reply

が 返っ て く る

こ の 実験で は 、 エニー キャ ストレ シー バ 1、 2 の 両方が ARD Report メ ッセー ジを 返

す こ と に す る 。 こ の 場合、 ARD Report メ ッセー ジを 送信す る タイ ミ ン グで 経路が 変

化す る 。 実行時は 、 先に エニー キャ ストレ シー バ 1 か ら ARD Report メ ッセー ジが 送

信さ れ た た め 、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トで あ る ARo2 に は エニー キャ ストレ シー バ 1 へ

の 経路が 登録さ れ て い る 。 今回の 実験の 設定で は 、 ARo1 は エニー キャ ストレ シー バ

1 よ り 下流の ル ー タに なる た め 、 エニー キャ ストレ シー バ 1 が 送信した ARD Report

メ ッセー ジを 受信して も 1234::ffff へ の 経路は 作成して い ない 。 こ の 時の パ ケッ

トの 送受信の 記 録を 図 23 で 示す 。 こ の 結果か ら 、 エニー キャ ストパ ケットを ラ ン デ

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図 23: 複数台の ル ー タに よ る エニー キャ ストパ ケット転送の 結果

ブ ー ポ イ ン トへ カプ セル 化して 転送し、 ラ ン デブ ー ポ イ ン トか ら エニー キャ ストパ

ケットと して エニー キャ ストレ シー バ へ パ ケットが 転送さ れ る こ と が 確 認で き た 。

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4 お わ り に

本報告で は 、 IPv6 で 新た に 導入さ れ た エニー キャ スト通信を 実現す る た め に 必要

なエニー キャ ストル ー ティ ン グプ ロ トコル PIA-SM を 設計した 。 そ して 、 PIA-SM

ル ー タを 実機 に 実装し、 エニー キャ ストパ ケットが PIA-SM ル ー タに よ っ て 作成さ

れ た 経路に した が っ て エニー キャ ストレ シー バ に 到達す る こ と を 示した 。

本報告で 作成した PIA ル ー タは 、 最初に 作成した 経路の エン トリ が 無効に なる ま

で 経路を 変更しない 仕様に なっ て い る が 、 今後、 何ら か の 最適な経路を 選択す る 基

準を 導入し、 最適な経路を 選択す る 必要が あ る 。 こ の 最適さ を 判断す る 基 準や 経路

選択ア ル ゴリ ズム の PIA-SM プ ロ トコル へ の 実装は 今後の 課題で あ る 。 ま た 、 本報

告で は エニー キャ ストア ドレ スへ の 経路の 作成、 お よ び エニー キャ ストパ ケットの

転送方法を 示した が 、 実験環 境は 非常に 小さ い ネットワ ー ク構成で あ る た め 、 今後、

広域 ネットワ ー クに お け る 転送実験に よ る 性能評価、 お よ び そ の 時に 生じ る 問題点

に つ い て 議 論す る 必要が あ る 。 こ れ ら が 、 PIA-SM に よ る エニー キャ スト通信を 実

現す る た め の 今後の 課題と なる 。

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謝辞

本報告を 終え る に あ た り ま して 、 適切な御指導、 御教授を 頂き ま した 大阪大学サ

イ バ ー メ ディ ア セン ター 先端ネットワ ー ク環 境研究 部門村田正幸教授に 心か ら お 礼

申し上げ ま す 。

ま た 、 本報告の 作成に 日頃か ら 熱心に 、 指導お よ び 助言を して 頂き ま した 大阪市

立大学の 阿 多信吾講師、 日本電気 株式会社の 北村浩氏に 深く 感 謝致しま す 。

並び に 適切な助言を 頂き ま した 大阪大学情報科学研究 科宮 原秀夫教授、 若宮 直紀

助教授、 大崎博之助教授、 長谷川剛助教授、 荒川伸一 助手、 牧一 之進助手に 心か ら

感 謝致しま す 。

最後に 日頃か ら 、 本報告の 作成に あ た っ て 様々 な相談に 答え て 頂き ま した Ibrahim

Khalil氏、 土居聡氏、 大下裕一 氏を は じ め と す る 村田研究 室お よ び 宮 原研究 室の 皆

様方に 心よ り 御礼申し上げ ま す

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参考文献

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RFC2460, Dec. 1998.

[2] S. Doi, S. Ata, H. Kitamura, and M. Murata, “Protocol design for anycast communica-

tion in IPv6 network,” in Proceedings of 2003 IEEE Pacific Rim Conference on Com-

munications, Computers and Signal Processing (PACRIM’03), pp. 470–473, Aug.

2003.

[3] D. Estrin, D. Farinacci, A. Helmy, D. Thaler, S. Deering, M. Handley, V. Jacobson,

C. gung Liu, P. et Sharma, and L. Wei, “Protocol independent multicast-sparse mode

(PIM-SM): Protocol specification,” RFC2117, June 1998.

[4] D. Waitzman, C. Partridge, and S. Deering, “Distance vector multicast routing proto-

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[5] J. Moy, “Multicast extensions to OSPF,” RFC1584, Mar. 1994.

[6] S. Deering, W. Fenner, and B. Haberman, “Multicast listener discovery (MLD) for

IPv6,” RFC2710, Oct. 1999.

[7] B. Haberman and D. Thaler, “Host-based anycast using MLD,” Internet draft

draft-haberman-ipngwg-host-anycast-01.txt, May 2002. (Expired

November 2002).

[8] T. Narten, E. Nordmark, and W. A. Simpson, “Neighbor discovery for IP version 6

(IPv6),” RFC2461, Dec. 1998.

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