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精神科病院のないイタリアの地域精神保健サービス Kanto Gakuin University Journal of Nursing Vol.2, No.1, pp.61-67, 2015 61 <資 料> 精神科病院のないイタリアの地域精神保健サービス トリエステを視察して Community mental health services in Italy without a psychiatric hospital The visited Trieste 内山 繁樹 1) 塚田 尚子 2) Shigeki Uchiyama Naoko Tsukada キーワードトリエステ、地域精神保健サービス、法律180号法、長期入院患者、脱施設化 .はじめに これまでわが国の精神医療では入院治療が中心であっ た。しかし、長期に入院していることにより、退院後に行 くところがない、自立生活が困難などの理由から、ホスピ タリズムにより受け入れ先がないため退院できず入院を続 ける「社会的入院」に陥っている現状がある。厚生労働省 は、2004年の「精神保健医療福祉の改革ビジョン」に「入 院医療中心から地域生活中心へ」という基本方針 1) を打ち出 した。2015年までに35.3万床ある精神科病床を7.2万床(約 20%)削減する目標の実現に向け、国民の意識変革や精神 保健医療福祉体系の再編と基盤強化を今後10年間で進めて いる。具体的には、精神障害者地域移行支援事業のもと、 福祉施設等の地域資源と連携をとりながら退院促進1)を進め ることである。このように現在の日本の精神医療にとっ て、長期入院患者の地域移行支援は喫緊の課題の一つと なっている。 しかしながら、その中間点である2009年には、新たな目 標設定には至らず「入院医療中心から地域生活中心へ」と いう基本方針をさらに推し進めるにとどまった。その理由 としては、精神障害者の地域生活を支えるための医療・福 祉等の支援体制の不十分さと、依然として多くの統合失調 症による長期入院患者の存在があり、これまでの入院医療 中心施策の結果を認めざるを得ないためであった。よって 後期5か年においても精神障害者の地域生活を推進するた め、精神医療の質の向上、精神医療体系の再構築、精神保 健福祉の改革、地域を拠点とする共生社会の実現 2) を目指す こととなった。2011年からは、精神科医師や看護師、作業 療法士、精神保健福祉士などで構成する専門家チームが、 未受診者や治療中断者を入院に頼らずに地域の中で支援す る精神障害者アウトリーチ推進事業が開始されるように なった。さらにピアサポートによる退院促進支援事業も進 められるようになった。しかし日本の精神医療の世界最多 の病床数、長期入院といった現状は変わらず、国際社会か ら転換と改善の必要性を指摘され、遅れをとっている。 他方、このような入院治療中心から地域精神保健中心へ の移行は、先進諸国では1960年代前半から始まっており、 精神医療の脱施設化を遂げ、様々な形で地域ベースでの精 神保健体制が構築されている。中でもイタリアは、1970代から精神科病院を徐々に縮小し、精神科病院廃絶法 3) によ 1990年代には精神科病院をすべて廃止し、「入院医療中 心から地域生活中心へ」という脱施設化へのパラダイムシ フトを成し遂げた国として知られている。現在のイタリア のトリエステにおける地域精神保健政策の取り組みは、 WHOのパイロット地区にも指定されるなど世界的な注目を 集めている。 今回、地域社会の中で精神疾患を持つ人々が生きること を実現している北イタリア(トリエステ、ヴェローナ、ア レッツォ、ヴァルディキアーナ)を中心とした地域精神保 健サービスの一端を視察する機会を得ることができた。 本稿では、視察で得た知見に基づいて、北イタリア・ト リエステを主軸にしたイタリアの精神保健医療改革と現在 の地域精神保健医療システムの概要を紹介する。(なお、 本文中の実名や写真は許可を得て撮影・掲載している) .視察の概要 1.視察日程 20131027日~114日に、イタリア北部の4都市(ト リエステ、ヴェローナ、アレッツォ、ヴァルディキアー 受付:20149 16受領:20151 161)関東学院大学看護学部 2)戸塚西口りんどうクリニック

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精神科病院のないイタリアの地域精神保健サービス

Kanto Gakuin University Journal of Nursing Vol.2, No.1, pp.61-67, 2015 61

<資 料>

精神科病院のないイタリアの地域精神保健サービス

トリエステを視察して

Community mental health services in Italy without a psychiatric hospital The visited Trieste

内山 繁樹1) 塚田 尚子 2)

Shigeki Uchiyama Naoko Tsukada

キーワード:トリエステ、地域精神保健サービス、法律180号法、長期入院患者、脱施設化

Ⅰ.はじめに

これまでわが国の精神医療では入院治療が中心であっ

た。しかし、長期に入院していることにより、退院後に行

くところがない、自立生活が困難などの理由から、ホスピ

タリズムにより受け入れ先がないため退院できず入院を続

ける「社会的入院」に陥っている現状がある。厚生労働省

は、2004年の「精神保健医療福祉の改革ビジョン」に「入

院医療中心から地域生活中心へ」という基本方針1)を打ち出

した。2015年までに35.3万床ある精神科病床を7.2万床(約

20%)削減する目標の実現に向け、国民の意識変革や精神

保健医療福祉体系の再編と基盤強化を今後10年間で進めて

いる。具体的には、精神障害者地域移行支援事業のもと、

福祉施設等の地域資源と連携をとりながら退院促進1)を進め

ることである。このように現在の日本の精神医療にとっ

て、長期入院患者の地域移行支援は喫緊の課題の一つと

なっている。

しかしながら、その中間点である2009年には、新たな目

標設定には至らず「入院医療中心から地域生活中心へ」と

いう基本方針をさらに推し進めるにとどまった。その理由

としては、精神障害者の地域生活を支えるための医療・福

祉等の支援体制の不十分さと、依然として多くの統合失調

症による長期入院患者の存在があり、これまでの入院医療

中心施策の結果を認めざるを得ないためであった。よって

後期5か年においても精神障害者の地域生活を推進するた

め、精神医療の質の向上、精神医療体系の再構築、精神保

健福祉の改革、地域を拠点とする共生社会の実現2)を目指す

こととなった。2011年からは、精神科医師や看護師、作業

療法士、精神保健福祉士などで構成する専門家チームが、

未受診者や治療中断者を入院に頼らずに地域の中で支援す

る精神障害者アウトリーチ推進事業が開始されるように

なった。さらにピアサポートによる退院促進支援事業も進

められるようになった。しかし日本の精神医療の世界最多

の病床数、長期入院といった現状は変わらず、国際社会か

ら転換と改善の必要性を指摘され、遅れをとっている。

他方、このような入院治療中心から地域精神保健中心へ

の移行は、先進諸国では1960年代前半から始まっており、

精神医療の脱施設化を遂げ、様々な形で地域ベースでの精

神保健体制が構築されている。中でもイタリアは、1970年

代から精神科病院を徐々に縮小し、精神科病院廃絶法3)によ

り1990年代には精神科病院をすべて廃止し、「入院医療中

心から地域生活中心へ」という脱施設化へのパラダイムシ

フトを成し遂げた国として知られている。現在のイタリア

のトリエステにおける地域精神保健政策の取り組みは、

WHOのパイロット地区にも指定されるなど世界的な注目を

集めている。

今回、地域社会の中で精神疾患を持つ人々が生きること

を実現している北イタリア(トリエステ、ヴェローナ、ア

レッツォ、ヴァルディキアーナ)を中心とした地域精神保

健サービスの一端を視察する機会を得ることができた。

本稿では、視察で得た知見に基づいて、北イタリア・ト

リエステを主軸にしたイタリアの精神保健医療改革と現在

の地域精神保健医療システムの概要を紹介する。(なお、

本文中の実名や写真は許可を得て撮影・掲載している)

Ⅱ.視察の概要

1.視察日程

2013年10月27日~11月4日に、イタリア北部の4都市(ト

リエステ、ヴェローナ、アレッツォ、ヴァルディキアー

受付:2014年 9月16日 受領:2015年 1月16日 1)関東学院大学看護学部

2)戸塚西口りんどうクリニック

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精神科病院のないイタリアの地域精神保健サービス

62 関東学院大学看護学雑誌 Vol.2, No.1, pp61-67, 2015

ナ)(図1)を視察した。

図1.イタリア地域精神保健視察都市

2.視察メンバー

特定非営利活動法人精神保健福祉交流促進協会による海

外の先駆的な地域精神保健活動の視察研修の企画(表1)

に、全国から集まった病院や地域・教育の場で精神医療保

健福祉に携わる看護師、精神保健福祉士、臨床心理士、大

学院生等14名が参加した。また、通訳はイタリアに留学中

(博士課程)の地域精神保健の変革の現状にも精通してい

るボローニャ在住の日本人であった。

Ⅲ.イタリアの地域精神保健改革の変遷

1.隔離収容施策の時代

イタリアの地域精神保健改革が始まる前の精神保健法

(ジョリッティ法、1904)は、精神障害者は、社会に対す

る危険な存在であり、社会秩序を守るために隔離収容する

ことで社会の治安が守られるという治安モデルに基づく考

えに余儀なくされていた。入院は、医師と警察・裁判所の

命令において強制的に行われ、その入院歴は戸籍のなかに

記録として残り、禁治産宣告を受け、結婚もできず、選挙

権や車の免許も奪われるなど市民権や社会的な地位などを

剥奪される状況にあり、日本と同じような隔離収容主義的

な精神科病院の主流が続いた。

2.180号法(精神科病院廃絶法)の成立

1960年代に入り、国民のモラル意識が高まり、平和や権

利等の民主的開放的社会志向が高まり、精神科病院への自

由入院(マリオッティ法、1968)が導入され、地域精神保

健センターが設置3)されるようになった。同時期に、後に精

神保健医療改革の父と呼ばれるフランコ・バザーリア

(Franco Basaglia、1961)(表 2 )は、ゴリツィア県立精神

科病院長に就任し、「自由こそ治療だ!“LALIBERTAE

TERAPEUTICA”4)を合言葉に、当初約800人いた入院患者

を300人ほどに減らした。その後、1978年には世界初の精神

科病院廃絶法(180号法、通称バザーリア法5))がイタリア

議会で可決された。これによりの精神科病院の新設、すで

にある精神科病院への新規入院と再入院が禁止になった。

この法律には、革新的な特徴がいくつか挙げられる。

「精神病に関する予防・治療・リハビリテーションは、通

常、病院以外の居住地区の精神医療拠点機関とその事業に

よって実施される。」と規定され、治療は強制ではなく、患

者の自発性と任意性に重きが置かれた。また、やむを得な

い場合のために一般総合病院の精神科病床は15床を限度に

設置するが、そのベッドも地域精神保健サービス機関の管

理下に置かれることにになった。精神医療は、これまでの

治安モデルから適切な治療やケアを受け健康を回復するた

めの人間の権利として位置付けられ、居住地域を中心とし

た地域における支援サービスが拡充されていった。

3.イタリア全土の精神保健改革

1994年、大統領令によりトリエステ型の地域精神保健

サービスシステムをイタリア全土で実施していくことが発

令され、精神科病院の 3年以内の廃止が命じられた。こうし

た急激な変化は、同じように脱施設を進めた米国にも見ら

れたが、決定的に異なるのはその後の対応である。米国

は、精神科病院を閉鎖して一斉に精神障害を持つ人を退院

させたが、地域支援サービスが整備されない中で多くの人

がホームレスにならざるをえない状況があった。しかし、

イタリアでは、法成立後から地域でのアウトリーチサービ

スとコミュニティ・ケアの体制を徐々に整備し拡充を行っ

た。精神保健プラン(1994)は、人口15万人あたりに精神

保健局を設立し、地域の支援サービスの中核機関である地

域精神保健センター(Community Mental Health Centre、以後

CMH)の機能を拡充した。その機能は、外来患者のケアと危

機介入、家族支援、ケースマネージメントと健康管理、リ

ハビリテーションと職業訓練、就業支援や地域生活支援で

あった。また総合病院の精神科病床は、人口1万人に対し 1

床のみとし短期入所施設および生活を支えるグループホー

ムを同じく 1か所ずつ設置した。このような精神保健医療へ

の改革に20年以上の歳月をかけて、1999年にはついにイタ

リア全土から公立精神科病院が全てなくなったことが宣言

された。また2010年には、トリエステ県のロベルト・メッ

ツィーナ医師がWHO地域精神保健分野リサーチ・トレーニ

ング協働センター長に就任している。

4.トリエステの精神科病院の廃止と開放化

トリエステ県(以下、トリエステ)は、イタリア北東部

に位置する人口約24万人(2010年)の小都市(図 1 )であ

る。アドリア海に面し、スロベニアと隣接する国境の街で

ある。トリエステの視察では、巨大精神科病院であったサ

ヴェローナ トリエステ

■ ■

アレッツオ

■ヴァルディキアーナ

◎ ローマ

スロベニア

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精神科病院のないイタリアの地域精神保健サービス

Kanto Gakuin University Journal of Nursing Vol.2, No.1, pp.61-67, 2015 63

表 1.イタリアの地域精神保健視察の主なテーマと内容

日程 テーマと主な内容

Maggiore総合病院精神科救急病棟

1.マッジョーレ病院精神科救急病棟の見学2.トリエステ・ゴリツィア地区の精神科救急の概要説明 [看護師 アンジェロ氏] ・精神科bed数6床で365日24時間稼働 ・4地区のそれぞれの精神保健センターと共同ケア ・軽度~重度まであらゆる精神に関連する症状の人の受け入れ対応 ・病院・病棟にカギは閉めない ・数時間から数日にわたる必要なケアとその後居住地区の精神保健センターへの連携

ガンビーニ精神保健センター

1.精神保健センターの見学,プログラム見学,当事者との交流2.精神保健センタ-の機能・活動・プログラム・文化的プロモーションの概要説明 [精神科リハビリテーション専門士 クラウディア・バディストン氏] ・トリエステ(人口25万人)に6万人に1つの精神保健センターの設置 ・365日24時間稼働 ・地域でのコミュニティの場 ・扉は常に開放 ・体調の悪い時だけでなく薬・活動・生活全般にわたるあらゆるサービスの提供 ・訪問サービス,住居サービス ・精神保健センターでの相談内容・ケア ・家族プログラム、職業的訓練プログラム ・当事者へのインタビュー:10年前重度うつ病発症~現在までの経験と受けたサポート

精神保健局リハビリテーションセンター

1.トリエステ精神保健の歴史と現状の説明 [センター長 ノベルド・アレッサンドラさん] ・リハビリテーションサービスの機能と役割 ・住居支援・仕事就労支援・社会環境の回復 ・主な3つの企画・運営①余暇活動施設の企画運営 ②女性対象の施設 ③クラブの企画運営 ・スポーツ団体や芸術団体など外的組織とも連携 ・住居サポート ・グループホームの運営 ・就労支援にて当事者が働く社会協同組合(コーペラティーバ)の支援

コーペラティーバ(社会協同組合)

1.コーペラティーバの活動見学と説明 ・古布などから日用品(バッグや小物など)を制作・販売 ・当事者との交流

サンジョバンニ旧精神病院

1.180号法について2.トリエステDSM組織構成-理論と実践 ・危機的状況への対応 ・社会医療サービスとの総合問題 ・リハビリサービスについて3.サンジョバンニ旧精神病院の見学

南ヴェローナ精神保健センター

1.精神保健センターの役割・機能の概要説明 [ ヴェローナ大学ブルチ教授,心理士,精神科リハビリテーション専門士3名から] ・1980年設立、精神科ケアの機能が病院から地域に移行 ・地域保健の中で重要な活動の場 ・職員は全員でのミーティング後,全員がケアの必要とされる人のところを訪問 ・センター内で内服なども含め医療と相談,生活に必要なリハビリや作業 ・活動は市内や地域の中でも行われそれが治療やリハビリとなる

ヴェローナ大学

1.イタリア精神保健の歴史と北イタリア地域精神保健システムの説明 [ヴェローナ大学ブルチ教授] ・イタリア精神保健の歴史と法律180号(バザーリア法)の効果 ・精神保健プランとサービスネットワークの達成状況 ・精神保健サービス ・セルフヘルプグループ活動 ・研究実績等

第4日目セルフ・ヘルプ・サンジャコモ

(当事者住居)

1.セルフ・ヘルプ・サンジャコモ(自助活動組織)の説明と当事者との交流 [設立者バンジーニ医師,ソーシャルワーカー,コーペラティーバ代表] 「グループホームは現在27件あり、20人の職員が27件をすべて回っている。サンジャコモに来る人も合わせると2000人ほどが対象である。家族の会や夫婦関係、仕事関係などさまざまなプログラムや活動を実施・サポートを行い、他の

サービスとの懸け橋となり、連携を図る。」

2.施設内にあるグループホームの見学と入居者との交流

第5日目アレッツォグループホーム訪問

(当事者住居)

1.コミュニティ・メンタルヘルスで理想郷と称された精神保健センターの機能・活動の説明 [精神保健局精神科医チェーザレ医師,元アレッツォ精神保健局長ダルコ医師] 「グループホームの目的は、長期入院をさけるためよりよい生活をめざすこと。より重症の方の生活を維持すること。利用は6カ月~2年(平均9カ月)であり、中間的役割の施設。この地域では、市民の理解と協力への働き掛けを重視し、精神

病へのスティグマが解消されてきて地域でのサービスをさまざまな形で進めることができるようになった。」

2.メンバー5人によるグループミーティングの実際の見学

旧精神病院地区アレッツォ総合病院

1.旧精神病院地区とアレッツォ総合病院の見学と概要説明 [元アレッツォ精神保健局長ダルコ医師] 総合病院の中に精神科病棟8床であり、年間300人程度の入院利用あり。入院期間の短さが大きい。入院後すぐにミーティングが実施され、自分の問題を理解した上でプログラムを選択する。ミーティングは看護師が実施し、退院後も継続される。さらに1972年以来、拘束は一切行われていない。できるだけ入院期間を短縮し人間性を保ち、退院後の地域での生活を充実させることを重要視する。そのため精神保健センター等との連携が重要となる。

ヴァルディキアーナ精神保健センター

1.精神保健センターの機能と施設見学 ・3つの保健機能を1つに集約して公的サービスの位置づけとしてケアにあたる仕組みを構築 ・施設は診察室とデイケアセンター機能を持ち治療を地域との連携の中で行うことを基本

ヴァルディキアーナ総合病院精神科病棟

1.総合病院内の精神科病棟の見学 ・他の科と同じ扱い・精神科急性期治療病棟2床 ・精神科亜急性期治療病棟2床

コーペラティーバ運営レストラン (社会協同組合運営レストラン)

1.社会共同組合運営のレストランにて食事、実践の場の体験 「レストランでの食材を全て栽培し、ブドウの栽培からワインの製造・販売、家畜の飼育も行う。さらにハーブを栽培し会社に卸したり、石鹸や香水を作っている。はちみつや野菜の栽培も行う場もあり。さまざまな実践の場でのリハビリメニューとステップが用意されている。」

第1日目

第2日目

第3日目

第6日目

第7日目

トリエステ

アレ

ッツ

ァルデ

ィキアー

都市/場所

ェロー

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精神科病院のないイタリアの地域精神保健サービス

64 関東学院大学看護学雑誌 Vol.2, No.1, pp61-67, 2015

ン・ジョバンニ精神科病院7)跡地の一角にあるトリエステ精

神保健局を訪ね、病院廃止までの取り組みや地域精神保健

サービスの経緯についての説明を受けた。

精神科病院改革の中心となるサン・ジョバンニ精神病院

(図 2)は、かつては「治療」よりも「治安対策上の収容所」

の役割が大きく、患者は扉、鍵、拘束衣によって外の世界

から遮断され、強制投薬、看護師からの暴力等もあり、患

者の苦痛の叫びは決して外部に漏れないようになってい

た。当時、患者は 1、200人、それに比べて医師は10人、看

護師350人程であった。医師は、閉鎖された病棟内には入ら

ず、拘束や薬物の指示だけで、看護師は、患者に沈黙と秩

序を守らせることが仕事であった。

病院長として就任したバザーリアは、若い医師や心理

士、ソーシャルワーカー、ボランティア、医学生、社会学

者らと「精神病とは何か」、「精神科病院とは何か」など毎

日のように議論し、「精神病者の暴力は精神病という病気が

原因ではなく、苦悩をアピールしている結果である」と訴

えた。人を鉄格子と拘束衣、鍵のかかる扉の中に押し込

め、抑圧的治療を中心とした病院のやり方を否定し、病院

に自由に出入りできるために精神科病院の解体にとり組ん

だ6、7)。しかし、開放化に向けた改革によるあらゆる変化

は、患者に対しても混乱を招くため、まず全ての専門職と

患者による全体会議や少人数での話し合いなどが頻繁に行

われ、治療者と患者との信頼関係の構築から始められた。

患者同士や患者とスタッフとの話し合いでは、患者から多

くの不満や批判が出され、それをもとに患者・医師・看護

師等が平等な関係のもとで話し合いを行うことが追求され

た。これは、治療者が病気の治療という観点から患者に抑

圧を加え、その抑圧に対して更に患者が反発するという悪

循環を完全に終わらせる取り組みであった。また、病院内

部の開放化とともに地域住民との関係づくりも行われた。

精神病者に対する根強い差別意識や偏見の解消のために地

域住民と精神病者が実際に合い、互いに話し合う機会を設

け、障害をもつ人が同じ人間としての尊厳と能力を有して

いることなどを訴えた。その結果、外部社会とのつながり

を奪っていた鉄格子、鍵のかかる扉も全て取り去られ、段

階的に精神科病院は開放化された。

こうした一連の取り組みの根底に流れるバザーリアの基

本理念は「自由こそ治療だ」であり、これがイタリアの精

神保健改革のスローガンとなっていった。入院患者を徐々

に退院させると同時に、退院した精神障害の当事者を地域

で支えるため、病院のスタッフは地域に出てアウトリーチ

活動を展開するようになり、さらに1974年にはトリエステ

に初の精神保健センターができることで地域精神保健サー

ビスの基盤8、9、10)が整っていった。

Ⅳ.トリエステ県の地域精神保健サービス

1.精神保健センターの役割

精神医療改革の目的は、当初から精神科病院の「脱施設

化」ではなく、地域支援に移行するための「脱制度化」に

より、1975年、最初の地域精神保健センターをトリエステ

に設立した。当初は24時間対応ではなく、地域へ退院した

人を支えるデイケアとしての機能が主であったが、退院患

者の増加とともに活動内容も徐々に発展し強化されていっ

た。その後、患者の治療やケアは基本的に地域のなかで行

われるようになり、その拠点となるのが精神保健センター

となった。トリエステ県では、人口 6~ 7万人毎に医療保健

区を 4 区にわけ、各区に 1 センターを設置してサービスを

行っている(表 3)。

精神保健センターの役割・機能は、地域と精神医療を結

ぶ役割と家族への支援の二つである。スタッフは、医師 4

人、看護師17人、臨床心理上 2 人、作業療法士 2 人、教育

士 8人で、24時間365日開いている。また、患者の泊まるこ

とのできる部屋は個室と 2 人部屋があり、平均滞在時間は

1.5日であった。精神科リハビリテーション専門士のクラウ

ディア・バディストン氏は、「精神保健センターは、地域で

表 2.イタリア精神保健医療改革の概要

年 改革のあゆみ

1961 フランコ・バザーリアがゴリツィア県立精神病院長に就任(37歳)

1969 外泊患者の事件でバザーリア引責辞任

1971 バザーリアがトリエステ県立精神病院長に登用

1974 トリエステに初の精神保健センター(24時間,365日無休)の誕生

1977 精神病院閉鎖の宣言

1978 精神病院廃絶法(180号法:バザーリア法)成立

1980 バザーリア脳腫瘍で死去

1994 大統領令によりトリエステ型地域精神保健サービスが全土に拡大

1998 保健省から「精神病院を閉鎖していない州は予算削減」と発令

2000 イタリアの全マニコミオ(公立精神病院)の完全廃止

8)トリエステ精神保健局編,小山昭夫訳(2006):トリエステ精神保健サービスガイド-精神病院のない社会へ

-,45,現代企画室.より一部改変

図 2.旧サン・ジョバンニ精神病院

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精神科病院のないイタリアの地域精神保健サービス

Kanto Gakuin University Journal of Nursing Vol.2, No.1, pp.61-67, 2015 65

のコミュニティの場として、扉は常に開放され、体調の悪

い時だけでなく、服薬・活動・生活全般にわたるあらゆる

サービスが提供される。また、活動内容は、毎日の訪問

サービス、住居サービス、センターでの相談やケア、家族

へのプログラム、職業的訓練等がある。」と説明された。ま

た、地域で緊急度の高い状況が生じた場合は救急車が利用

され、その時の第 1選択は、SPDC(Servizio Psichiatrico per

Diagnose e Cura;精神科診断治療サービス)ではなく、精

神保健センターの救急外来で、十分な検査や診察を受ける

というように、精神障害がない人と全く同じ対応がなされ

る。強制的な治療は、年に 1回あるかないかで、暴れている

人への関わりは、抱きしめたり、落ち着くまで一緒に過ご

すといった対応がされる。さらに、精神科のケア機能が地

域に移されたことから、訪問支援が地域精神保健の中で重

要な位置づけになった。スタッフは、毎日全員がケアを必

要とされる人のところへ訪問をする。センター内では、い

つでも医療と相談を受けることができ、生活に必要なリハ

ビリテーションやデイケアに参加できる。

2.短期入院治療を可能にする医療体制

イタリアでは、公立の精神科病院が廃止されたといえど

も、入院治療はあらゆる形で行われている。その一つが総

合病院内に設置された精神科救急病棟であり、各医療保健

区には 6床~ 7床(対人口 6~ 7万人毎)の入院治療のため

のベッドが設置されている。主な3つの機能を持つ精神科救

急病棟としては、第1に夜間及び緊急の精神科治療を中心と

した短期的な治療、第2に精神疾患患者の孤立を防ぐために

都心に位置し、身体合併症の治療も可能、第 3に入院という

病院サービスと地域サービス両方を兼ね備えていることで

ある。さらに24時間365日、地域の人々に門戸が開かれてい

る。これは、病院内のサービスでありながらもその目的

は、精神疾患患者の早期危機介入と長期入院回避である。

なお、総合病院内に設置された精神科救急病棟ではある

が、病院、病棟に施錠することは一切なく、数時間から数

日にわたり必要なケアが受けられ、その後居住地区の精神

保健センターに引き継がれる仕組みである。この施設は、

夜間の救急ベッドも拘束もなく、シンプルで快適なホテル

の一室のようであり(図 3)、スタッフはユニフォームを着

用せず、一見すると医療者には見えなかった。

3.精神保健局と社会協同組合(COOP)

精神保健局(図 4)は、保健センターのように利用者への

直接的支援ではなく、そのバックアップを行うリハビリ

テーションに関わる機関である。その目的は、住居支援、

仕事・就労支援、社会環境の回復の 3 つの企画・運営であ

る。住居支援は、住居のサポート、グループホームの運営

を 行 い 。 就 労 支 援 は 、 当 事 者 が 働 く 社 会 協 同 組 合

(cooperativa)11)の支援を行っている。その取り組みは、国か

らの補助金を得ながら精神障害をもつ人たちが自ら仕事を

つくり出すことを目的にいろいろな活動を展開しており、

自由に運営できる点が強調されている。社会協同組合とし

図 3.総合病院に設置された精神科救急病棟のベッド

図 4.トリエステ精神保健局(DSM)

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精神科病院のないイタリアの地域精神保健サービス

66 関東学院大学看護学雑誌 Vol.2, No.1, pp61-67, 2015

て運営されているレストランやカフェ(図 5)は、昼食時に

は多くの客でにぎわっている。レストランでは、当事者が

中心となって企画運営しており、食材を全て栽培し、ブド

ウの栽培からワインの製造・販売、家畜の飼育も行う。さ

らに野菜やハーブを栽培し他の会社に卸したり、石鹸や香

水も作ったりと、様々な実践の場でのリハビリテーション

メニューとステップが用意されている精神障害ケアの実践

活動の場である。

Ⅴ.考 察

今回の視察を通してとらえた地域社会の中で精神疾患を

持ちながら生活することを実現するための基本的な支援の

あり方について、以下に述べる。

1.当たり前としての地域生活

障害があってもなくとも、自らが望む地域で、望む生活

様式で暮らすことは、基本的な権利である。トリエステモ

デルは、「精神障害者は、社会が作り出している」12)と明

記しているように、精神障害者に問題があるのではなく、

受け入れない社会に問題があるとして、人としての権利の

回復、脱制度化と地域生活を大前提として、必要な地域精

神保健サービスを構築した点に特徴がある。それは、社会

が精神障害者を特別視するのではなく、地域を拠点とする

共生社会のなかで本人の持っている生きる力を高め、自己

の尊厳化を図ることを理念としたものである。つまり、精

神障害者は、一人の人間として人権が尊重され、地域の中

で共に暮らしていける仲間という意識変革を図ることが重

要だと捉えている。

今日、精神科治療においては世界的に見ても薬物療法が

主流となっている。しかし、薬物は確かに助けにはなるか

もしれないがあくまで補助的なものに過ぎず、回復する主

人公はその人である。その人にとっての回復とは、病気や

健康状態の如何にかかわらず、本人が希望を抱き、本人の

選択が最優先される自由が保障されることである。さらに

地域社会において市民権を得て自らの能力を発揮しながら

人生に責任を持ち、本人が本人の力で生活し自己実現して

いく生き方がリカバリー13、14)の過程を進んでいくために必

要である。

2.患者と支援者は対等の関係

治療の基本は薬物療法ではなく、患者と支援者の対等な

関係が最重要である。患者の病気だけをみて「治してあげ

る」というスタンスではなく、患者を一人の困っている人

として捉え「一緒に治していきましょう」「一緒に解決して

いきましょう」という関係に変えていくことからの始まり

である。専門家主導の治療と専門家-患者関係での支援で

はなく、対等の立場でより良い状態になるために協働して

くれる人たちであるという実感をもてることが、どんな薬

にも変えがたい治療となる。精神保健センターのあるス

タッフは「患者が不穏状態になっても頓服薬は使用せず、

一緒にエスプレッソを飲みながら話を聞くのが最も有効な

治療法だ」と話していた。もちろん、医師や看護師は治療

に責任を持っているが、患者も自らの生活と病気の管理に

責任を持っている。互いの専門的な知識を重視しながら、

患者がどのような状態になると危機的な状況になるのかを

把握し、その状況になる手前で疾病管理の対処行動を発揮

することで、自身にとっても社会に対しても安全を保障す

ることになる。これまでは患者の狂気に焦点を当ててきた

スタッフが、患者の強みや健康な部分に目を向ける15)こと

で、患者を一人の人間としてとらえ、スタッフ自身も一人

の人間として患者と向き合うことを可能にすると思われ

る。

3.行動制限ではなく対話と人間としての対応

バザーリアが行った精神保健改革は、精神障害者に対す

る有形無形のあらゆる拘束を廃止したことである。強制入

院が廃止された現在においても、精神病の発症や再発によ

り急性期の状態を呈してセンターに来る人の多くは「ここ

にはいたくない」「出ていく」という行動を起こすという。

そのような場合は、スタッフが順番にそばに付き添い、一

緒に話をしたり、何がしたいのか聴いてみて沢山のやりた

いことから一緒にできることを 1つか 2つやってみたり、一

人きりにしないことが基本であるという。また。本当に危

険な状態のときには、ドアの前に立ちふさがってみる、一

人で対処できなければ「少しお話ししましょう」と数人で

輪を作ってみるなど、施錠をかけずとも平和的に外には出

られない形を作ることができるという。つまり、力関係に

よる抑制ではなく対話や人間としての対応が地域の中で治

療する上での基盤となっている。

おわりに

石橋ら16)は、日本の社会復帰への援助を阻害する長期入院

精神障害者に関わっている看護師の捉えと態度について、

図 5.社会協同組合(cooperativa)が運営するレストラン

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精神科病院のないイタリアの地域精神保健サービス

Kanto Gakuin University Journal of Nursing Vol.2, No.1, pp.61-67, 2015 67

否定的な捉え、症状・問題中心の捉え、固定した患者の捉

え方・あきらめ、危機感、自信・ゆとりのなさ、意欲低

下・無関心、治療方針への不信感・無力感の存在を示して

いる。また、病棟で退院促進を意識して援助できている長

期入院患者の割合を、2割未満と答えた看護師が72%という

結果17)も示されている。日本が未だに成し遂げられないでい

る「入院医療中心から地域生活中心へ」という精神保健医

療改革をイタリアでは約30年という長い歳月をかけて結実

した。日本において地域を拠点とする共生社会を実現して

いくためには、単に当事者の生活の場の転換を図るという

ことではなく、まず我々自身が、今関わっている対象を見

つめ直し、その根底にある自らの人間観やケアの考えを深

く吟味していくことから始めることが必要である。今回の

視察を通して、改革の立役者であったバザーリアは決して

過去の人ではなく、今もその哲学と志が多くの後継者たち

に受け継がれ、今日のイタリア精神保健医療に根付いてお

り、イタリアにおける精神保健医療改革の本質的な意味を

再確認することができた。

本研究は、平成25年~27年度文部科学省科学研究費助成

事業(学術研究助成基金助成金 基盤研究(C)(一般)、研

究代表者内山繁樹、課題番号25463562)の支援により実施

いたしました。見学施設をはじめ、関係者の方々におかれ

ましてはこの場を借りて、深謝いたします。

引用文献

1) 厚生労働省精神保健福祉対策本部(2014年8月10日現

在).精神保健医療福祉の改革ビジョン,

http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/09/dl/tp0902-1a.pdf.

2) 厚生労働省精神保健福祉対策本部(2014年8月16日現

在).「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」今後の

精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会報告書,

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/09/dl/s0924-2a.pdf.

3) 大熊一夫(2010).精神病院を捨てたイタリア捨てない

日本,岩波書店,34-46.

4) 前掲3),34.

5) 前掲3)180号法全文,233-240.

6) 真崎学,初見学,松田雄二(2013).イタリア北部トリ

エステにおける地域精神保健サービスに関する研究,

日本建築学会,181-182.

7) ジル・シュミット著,半田文穂訳(2005).自由こそ治

療だ-イタリア精神病院解体のレポート,社会評論社.

8) トリエステ精神保健局編,小山昭夫訳(2006).トリエ

ステ精神保健サービスガイド-精神病院のない社会へ

向かって-,現代企画室,45.

9) 坂本沙織(2009).社会協同組合から見たトリエステの

地域精神保健活動のあり方,メンタルヘルスとウェル

フェア,特定営利活動法人精神保健福祉交流促進協,

5,49-62.

10) 田中秀樹(2009).イタリアの精神医療改革の歴史と現

在の動向,日本精神障害者リハビリテーション学会

誌,13(1),23-29.

11) 佐竹直子(2009).諸外国での就労支援1-イタリア・ト

リエステにおける就労支援,社会協同組合の役割,

Schizophrenia Frontier, 10(4),24-27.

12) 小谷眞男(2005).もうひとつの福祉レジーム-イタリ

アの研究動向から-,福祉社会学研究,2,91-105.

13) 田中英樹(2010).リカバリー概念の歴史,精神科臨床

サービス,10(4),428-433.

14) 浦河べてるの家(2010).弱さを絆に,精神科臨床サービ

ス,10(4),460-462.

15) チャールズ・A・ラップ,リチャード・J・ゴスチャ,田中

英樹(2014).ストレングスモデル[第3版]―リカバリー

志向の精神保健福祉サービス,金剛出版,59-78.

16) 石橋照子,川田良子,曽田教子他.長期入院精神障害者

の社会復帰への援助を阻害する看護者の捉えと態度,

日本看護学会誌2002:11(1),11-20.

17) 田原耕治,藤原健一,服部朝代他.長期入院患者の退院

を阻害する要因~精神科に勤務する看護師の意識調

査,日本精神科看護学会誌2007: 50(2),362-364.