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生物多様性条約COP12に向けて ~WGRI5&SBSTTA18の結果概要~
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中山 直樹 環境省生物多様性地球戦略企画室室長補佐
2014年7月30日
■ 経緯 1992・ 5 採択 1992・ 6 国連環境開発会議 (リオ・サミット)で署名 1993・ 5 日本が条約を締結 1993・12 条約発効
■ 条約の目的 ①生物の多様性の保全 ②生物多様性の構成要素の 持続可能な利用 ③遺伝資源の利用から生ずる 利益の公正で衡平な配分
■ 締約国数 194ヶ国・地域 [EUを含む 米は未締結]
■ 条約事務局 カナダ・モントリオール
◆ 締約国会議 (COP: Conference of the Par=es) ・条約の実施等に関する意思決定を 行う場。 概ね2年に1度開催
◆ 生物多様性国家戦略 ・締約国は、条約第6条に基づき生物 多様性国家戦略を策定
生物多様性条約
2
◆ 二つの議定書 ・ABSに関する名古屋議定書 10/12発効 ・遺伝子組み換え生物に関する カルタヘナ議定書
地球規模生物多様性概況第3版 (GBO3;Global Biodiversity Outlook) 2010/5/10発表 ・生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させる ことはできなかった。 ・転換点(Tipping Point)を超える前に直ちに行動を起こすべき
2010年目標の達成状況の評価結果
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森林伐採、山火事、気候変動の相互作用による植生変化、降雨の減少、農業生産の低下等
富栄養化による漁業生産の減少と観光収入の喪失
海洋の酸性化、海水温上昇によるサンゴ礁生態系の崩壊
GBOで示された “転換点“の例
←Tipping Point(転換点) 圧力
回復力を→ 高める取組
生物多様性が失われ生態系サービスも 減少した状態
現状
◆2010年目標◆ 「現在の生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させる」
生物多様性条約第6回締約国会議(2002年 オランダハーグ)
3
2050 2040 2030 2020 2010
2010年目標は達成できず
現状(2010年)
■2011年からの10年間を 「国連生物多様性の10年」 とすることを提案 国際社会、市民社会が一体となって 生物多様性の損失を抑えるための 重点期間と位置づけ (2010年5月に提案) →2010年12月20日に国連で決議
■長期目標 【Vision】 ○「自然と共生する(Living in harmony with nature)」世界 ○「2050年までに、生物多様性が評価され、保全され、回復され、そして賢明に利用さ
れ、それによって生態系サービスが保持され、健全な地球が維持され、全ての人々に不可欠な恩恵が与えられる」世界
■短期目標 (2020年)【Mission】 生物多様性の損失を止めるために 効果的かつ緊急な行動を実施する。 ◇これは2020年までに、 ・抵抗力のある生態系と、 ・その提供する基本的なサービス が継続されることを確保。 地球の生命の多様性が確保され、 人類の福利と貧困解消に貢献。
この 結果
■20の個別目標を設定 愛知目標 (5)森林を含む自然生息地の損失を半減以下へ (7)農業・養殖業・林業が持続可能に管理 (10)高山地域など気候変動等の影響を受ける脆弱な生
態系への悪影響の最小化 (11)陸域の17%、海域の10%の保護地域化 等 4
生物多様性条約 戦略計画2011-2020(愛知目標)の概要
■20の個別目標【Target】
目標1:生物多様性の価値と行動の認識目標2:生物多様性の価値を国・地方の計画に
統合、国家勘定・報告制度に組込目標3:有害な補助金の廃止・改革、正の奨励
措置の策定・適用目標4:持続可能な生産・消費計画の実施
目標5:森林を含む自然生息地の損失を半減→ゼロへ、劣化・分断を 顕著に減少
目標6:水産資源が持続的に漁獲目標7:農業・養殖業・林業が持続可能に管理目標8:汚染を有害でない水準へ目標9:侵略的外来種の制御・根絶目標10:脆弱な生態系への悪影響の最小化。
目標11:陸域の17%、海域の10%を 保護地域等へ
目標12:絶滅危惧種の絶滅・減少が防止目標13:作物・家畜の遺伝子の多様性の 維持・損失の最小化
目標14:自然の恵みの提供・回復・保全目標15:劣化した生態系の15%以上の回復
を通じ気候変動緩和・適応に貢献目標16:ABSに関する名古屋議定書の
施行・運用
目標17:国家戦略の策定・実施目標18:伝統的知識の尊重・主流化目標19:関連知識・科学技術の改善目標20:資金資源を顕著に増加
愛知目標 - 生物多様性の保全と回復を目指す20の目標 -
戦略目標A.生物多様性を主流化し、生物多様性の損失の根本原因に対処。
戦略目標B.直接的な圧力の減少、持続可能な利用の促進
戦略目標C.生態系、種及び遺伝子の多様性を守り生物多様性の状況を改善
戦略目標D.生物多様性及び生態系サービスからの恩恵の強化
戦略目標E.参加型計画立案、知識管理と 能力開発を通じて実施を強化
ABS 名古屋
議定書の早期締結
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016 2017 2018 2019 2020
COP10 日本が議長国 愛知目標
COP11(インド)
ミレニアム開発目標
リオ+20会議
達成状況の評価
中間評価
生物多様性日本基金
第5回国別報告書の提出 (2014/3/31)
我が国の生物多様性 国家戦略の改定
ABS名古屋議定書
COP10後のスケジュール
国連生物多様性の10年
COP12(韓国)
COP13(メキシコ?エジプト?)
議定書発効
SBSTTA17
WGRI5/SBSTTA18
締 約 国 会 議(COP):最高意思決定の場
名古屋議定書政府間委員会(ICNP)
伝統的知識作業部会(WG8j)
保護地域作業部会(WGPA)
条約実施作業部会(WGRI)
COPビューロー役割:COP会期間の意見調整、
条約事務局への助言メンバー国:議長国、地域代表5地域×2カ国、次回議長国
<常設補助機関>
科学技術助言補助機関(SBSTTA)
<課題別作業部会>
○条約実施について科学的技術的な観点から締約国会議に勧告(条約25条)。○締約国会議間に通常二回開催
○名古屋議定書の締約国会議開催に向け必要な準備について検討。
○生物多様性に関連する伝統的知識の尊重や保存、その適用の促進等を検討。
○戦略計画の実施状況の検討。
条約事務局役割:COP決定に基づく条約
一般事務の執行事務局長:ブラウリオ・デ・ソウザ・ジアス(ブラジル出身)
名古屋議定書 締約国会議(COP-MOP)
生物多様性条約の意思決定構造
第5回条約実施作業部会(WGRI5)
第18回科学技術助言補助機関(SBSTTA18)
○地球規模生物多様性概況第4版
○海洋・沿岸の生物多様性
○侵略的外来種
○合成生物学
○気候変動と生物多様性 等
WGRI5 / SBSTTA18
○生物多様性国家戦略レビュー
○条約・戦略計画支援状況評価
○資源動員戦略
○貧困削減、持続可能な開発
○条約プロセスの効率性 等
6/16(月)~20(金) 6/23(月)~28(土)
WGRI5: NBSAP改訂&能力養成
<NBSAP> 生物多様性日本基金を通じた我が国の生物多様性国家戦略改定等への支援に対し、多くの国から謝意や賛辞を表明。 <能力養成等の条約実施支援> 各愛知目標達成に向けた能力養成ワークショップ等開催については多くを日本が支援
<中心事業> 生物多様性国家戦略策定・改定ワークショップ 各国において愛知目標に沿った形で国家戦略の改定を支援す
るため、世界の各地域ごとにワークショップを開催。 これまでにのべ世界21準地域で開催、約170カ国の参加を得て実施されている。
<生物多様性日本基金>
■ COP10議長国として、愛知目標の達成のため、途上国の能力養成を行う
ことを目的として日本(環境省)が生物多様性条約事務局に設立。
■ H22年度及びH23年度に計50億円を拠出。
WGRI5: 資源動員
<COP11決定事項> 以下の暫定的な目標を達成することを決意する。 l 途上国向けの生物多様性に関連する国際資金フローを(世界全体で、
2006-‐2010の年間資金の平均から)2015年までに倍増させ、その水準を2020年まで維持。
l 締約国は、2015年までに自国の優先課題や開発計画に生物多様性を位置づけ、国内の適切な資金供給を確保。
l 締約国は、2015年までに国内における生物多様性に関する支出、資金ニーズ、ギャップ及び優先順位を報告。
l 締約国は、2015年までに生物多様性に関する資金計画を作成し、生物多様性の様々な価値を評価。
また、COP12において最終的な目標を採択するために、COP12で資源動員の進捗状況を評価する。
WGRI5: 資源動員
2006年 2020年
ODA? 革新的資金メカニズム? 民間資金?
2010年
(資金量)
(年) 2015年
15項目からなる指標:COP10決定X/3で合意 暫定ベースライン(2006-‐2010年):COP11決定X/4で合意
途上国向け国際資金フローを2015年までに倍増 2020年まで維持:COP11決定X/4で合意
暫定報告枠組に基づき把握: COP11決定X/4で合意
WGRI5: 資源動員
<WGRI5への報告枠組みに基づく国別報告書提出> l 2013年6月25日付で、CBD事務局から締約国に対して決定XI/4に基づき、以下の情報を提供するように通知が行われた。
1. 生物多様性に関する資金供与の2006年~2010年の平均を暫定的なベースラインとし、暫定的な報告枠組に基づく情報を提供する。
2. 資金ニーズ、ギャップ、優先順位 3. 決定XI/4のパラグラフ23に沿って、生物多様性のために動員した資金の報告およびモニタリングを行う上での成功や障害などを含む、暫定報告枠組を適用した経験について報告する。
4. 国レベルの革新的資金メカニズムの生じうるリスクや便益に関する考察や経験(当該メカニズムに適用できる原則やセーフガードを含む)
5. 資源動員戦略のゴール2,5,6,7,8の実施に関連した情報
日本を含む31ヶ国が報告書を提出済
WGRI5: 資源動員
日本のODAは世界第1位、全世界の15%を支出。 (2国間ODAのうち8%を生物多様性分野に支出。平均は5%)
資源動員に関する最終目標については、生物多様性に関する国際的な資金フローを2015年までに倍にして2020年まで維持する目標、COP13における目標の見直し、条約実施のニーズと必要な資金に関するギャップを著しく減少させるための国内の資源動員目標等が議論され、COP12への勧告の主要部分は合意に至らないまま留保付きで採択され、COP12に議論が持ち越された。
14
n 持続可能な開発の3つの側面(経済、社会、環境)に統合的に対応
n 先進国・途上国を対象とする普遍的目標
n 行動志向型、簡潔、かつ、野心的な目標
n 限られた数の目標(現在までの議論では生物多様性は項目の一つ)
n MDGsや2015年以降の開発アジェンダと整合性を持つもの
n 国際法、Agenda 21やヨハネスブルグ行動計画(JPOI)、リオ原則その他過去のコミットメントに基づく
n 国の異なる現実や能力、発展のレベル、優先事項を考慮
n ターゲット、インディケーターによる進捗状況のチェック
→目標間のリンケージ把握や指標が生物多様性の課題
14 参照:リオ+20成果文書、パラ245‐251
生物多様性と貧困・持続可能な開発に関するサイドイベント開催 日時:2/3 主催:環境省、韓国政府、IUCN
→各国や国際機関に生物多様性が持続可能な開発達成に果たす役割をインプット
WGRI5: 持続可能な開発と生物多様性 SDGs
2012 2013 2014 2015 Rio +20
SDGsプロセス開始
UN タスク・チーム
ハイレベル・パネル
UNDG:国別・テーマ別コンサルテーション
68th国連
総会 69th国連
総会 70th国連
総会
国連事務 総長報告書
MDGsに関する 特別イベント
持続可能な開発に関するファイナンス 専門家委員会
国連総会の 承認
Post 2015 DA/ SDGs
公式協議
SDGs報告書交渉 Open Working Group
コンサルテーション報告書
UNタスクチーム報告書
SDGs報告書
SDGs資金報告書
3-‐5 Mar.
31 Mar.-‐ 4 Apr
5-‐9 May
16-‐20 Jun.
14-‐18 Jul.
1 Sep. (NY) Post 2015DA
ハイレベルストックテイキングイベント
Post 2015/ SDGs事務総長統合報告書
科学とSDGs専門家グループ会合
3-‐7 Mar. 12-‐16 May
4-‐8 August
WGRI5: 持続可能な開発と生物多様性
CBD-‐COP12
持続可能な開発目標及びポスト2015年国連開発アジェンダについて締約国が戦略計画2011-‐2020及び愛知目標を適切に反映する必要性を強調し、事務局長に対して関係機関や締約国等と協力してその適切な反映を支援し、結果をCOP13で報告
<GBO4> 各愛知目標の達成状況に関する科学的分析や、各締約国からの国別報告書や生物多様性国家戦略等に基づき、戦略計画2011-‐2020及び愛知目標の達成状況及び今後の達成見込みついてとりまとめるもの。COP12で最終版発表予定。策定支援及び日本の事例をインプット <主要なメッセージ> ○ほとんどの愛知目標について施策の進展があった一方、現状では目標達成には 不十分で、目標達成のためには緊急かつ追加的な対策が必要。 ○愛知目標の達成は貧困削減や持続可能な開発に大きく貢献する。 ○愛知目標達成に向けた行動としては、生物多様性損失の根本原因に対処する主流化 施策の実施、生物多様性国家戦略の策定・実施、情報共有や資源動員等が効果的。 ○生物多様性と生態系サービスの価値について社会全体のステークホルダーや政府 機関に周知することを通じ、戦略計画実施及び愛知目標達成に向けた支援を拡大する ことが必要。民間参画や主流化にはパートナーシップが必要。 ○科学技術協力、能力養成及び技術移転の推進が必要。 ○あらゆるセクターからの資金の著しい増加が求められる。
COP12:今後優先的に実施するPoten=al Key Ac=onの選定
SBSTTA18:地球規模生物多様性概況第4版(GBO4)
(米国の例) 米国では、サンゴ礁等の沿岸生態系がすべて失われたとすると、高潮等の危険にさらされる被災地域の面積は倍増し、生態系の損失による損害額は最大約80兆円超になると推計されている。(出典:Ka=e K. A. et al. 2013)
マングローブ林(ベトナム) [出典:価値ある自然(環境
省)]
災害 災害防止額(USドル) 世界のサンゴ礁 津波、嵐 189,000ドル/ha/年
米国の沿岸湿地 ハリケーン、嵐
8,240ドル/ha/年
合計で23億ドル/年
チェコの湿原 洪水 11,788ドル/ha/年
スイスの森林 雪崩 合計で170,000ドル/年以上
表1.自然生態系を活用した災害リスク削減の費用便益評価事例(PEDRR 2011)
<自然生態系を活用した防災・減災(Eco-‐DRR)> 自然生態系は、松林等の海岸防災林が津波等の被害から沿岸地域を守る、湿地が洪水被害を軽減する、森林が土砂崩れを防ぐなどにより防災・減災機能を有する。
・人口減少や過疎化が進む中、自然災害や気候変動に脆弱な土地は利用せず自然再生を図る。 ・自然生態系の保全・再生を通じて防災・減災機能の強化を図る。
<自然生態系の有する防災・減災機能を活用するメリット>
・地域それぞれが既に持つ自然生態系を活用するため、初期費用・維持管理が比較的低く抑えられる。 ・従前から存在していた自然環境を利用するため、地域の生物多様性へ及ぼす影響が少なく、 地域の農林水産
業へ及ぼす影響も少ないと考えられる。 ・気候変動に対する適応にも資する。(Ecosystem based adaptaTon) ・平常時には、レクリエーション等の場として利用できる。
SBSTTA18:気候変動と生物多様性
SBSTTA18:気候変動と生物多様性
2015年 2014年
第3回世界防災会議 (3月仙台)
自然生態系の防災・減災機能について発信
生物多様性条約COP12 (10月ピョンチャン(韓))
自然生態系の防災・減災機能の発信
第6回世界国立公園会議 (11月シドニー(豪))
「保護地域を活用した減災・復興」に関する議論の責任者として、提言をとりまとめ
自然生態系の防災・減災機能の評価・検証
アジア国立公園会議 (11/13~11/17 仙台) アジア保護地域憲章の中で、保護地域が防災・減災に果たす役割を明記
2013年
(勧告)我が国からの提案により、防災・減災に関する国際目標である兵庫行動枠組みに関連し、締約国に対して気候変動への適応及び防災・減災に関する国内施策の実施時に生態系の活用を求めること等が盛り込まれた。
<海洋・沿岸の生物多様性>
・生態学的及び生物学的に重要な海域の基準に合致する海域の抽出結果について共有され、
各国での海域抽出や、関係する科学的知見の活用を各締約国に求め、更なる地域ワーク
ショップの開催を事務局に求めること等を内容とするCOP12への勧告を採択 →各地域のEBSAに関するWS開催は日本が支援 ・水中騒音の生物多様性への影響軽減に向けた措置の実施を各締約国に促すことや、海ゴミの影響や海洋酸性化への対応を求めること等も同勧告に含まれた
SBSTTA18:その他の議題
<侵略的外来種>
・ペット・展示生物・生き餌・生食料として導入される侵略的外来種に関係するリスクへの対策
に関する自主的ガイダンスの採択とその規制措置等への活用を求めることを内容とする
COP12への勧告を採択 →我が国では使用目的によらず特定外来生物を規制 ・同ガイダンスでは、関係機関の役割、リスク評価の実施、リスク軽減に向けた施策の実施、リスク評価や侵略的外来種リストの情報共有等についてとりまとめ
<合成生物学!>
■COP12 韓国/ピョンチャン開催 ■ 期 間 : 2014年
■ 想定される主要議題
■持続可能な開発と生物多様性
■愛知目標の中間評価
(GBO4を踏まえた主要な行動リスト)
■資源動員戦略
■科学技術協力、能力養成等
Korea Biodiversity Initiative
生物多様性条約COP12に向けて
20
9.29 10.3 10.6 10.17
カルタヘナ議定書 COP-‐MOP7 COP12 (名古屋議定書COP-‐MOP1は13~17開催)
ピョンチャンロードマップ2020 (主要決定のパッケージ)
戦略計画・愛知目標達成に向けた 施策の加速化・道筋の明確化
1 遺伝資源の活用の推進
法的拘束力のある国際約束の制定により、提供国が主権的権利を有する遺伝資源に対するアクセスを許容することが容易になる。また、提供国が国内法・規制の透明性、明確性、法的確実性を確保することにより、利用国としても円滑にアクセスを図ることが可能となり、遺伝資源の活用が促進される。
2 生物多様性保全への貢献
遺伝資源の利用から生じる利益の提供国との公正かつ衡平な利益配分が促進され更に生物多様性の保全やその構成要素の持続可能な利用が強化される。
3 提供国のABS国内法、規制の遵守の確保
チェックポイントの設置を通じたPIC(事前同意)MAT(相互合意条件)に関する情報収集を通じて遺伝資源の利用の監視、ひいては提供国のABS国内法・規制の遵守が促進され、適切な形での遺伝資源の利用が徹底される。
4 伝統的知識の尊重の促進
伝統的知識の利用について、その利用から生じる利益が契約に従って公正かつ衡平に知識を有する原住民・地域社会と配分され、原住民社会の知識の尊重、保存、維持にもつながる。 21
名古屋議定書の発効により期待される成果