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【トピック1】バーク醗酵材料(BFM)によるイネへのカドミウム取込抑制
【トピック2】フミン酸による大豆へのカドミウム取込抑制
【トピック3】リグニン吸着剤による土壌からのカドミウムの除去(ファイトミメティックレメディエーション)
3
従来技術とその問題点【トピック1・2】
現在、カドミウムを取り込みにくいイネの品種改良が行われているが、
栽培のし易さや味など
の問題があり、広く利用されるまでには至っていない。
【トピック3】
有望な手段としてファイトレメディエーションが検討されているが、
植物の育成条件など
の問題があり、広く利用されるまでには至っていない。
4
本研究ではスギの間伐廃材(バーク)に着目
バークは,重金属を吸着するサイトを有するリグニンが存在
バーク
バークおから
(腐朽菌)米ぬか+ +
1 : 1 1:
発酵(2~3日)
土壌溶出試験法によって得られた溶出液の重金属濃度(mg/L)
土壌 土壌+バーク
Cu 37 5.7Cd 160 7.3Pb 10 0.20
【トピック1】バーク発酵材料(BFM)によるイネへのカドミウム取込抑制
バークの添加によって土壌からの重金属の溶出が押さえられる
5
実験操作
BFM (重量比 0,0.5,1,2%)
田植え(バケツ)
育成(122日間)
収穫(玄米)
栽培土の酸化還元電位を測定
玄米への重金属取り込み量に及ぼすBFMの散布割合の影響
粉砕
灌水
中干しを実施
6
凍結乾燥
試料
土壌 5 kg
化成肥料(0.5 g)
6
土壌の測定
乾燥
直径2 mmのふるいを通過
土壌 6.0 g分取
2 h振とう
ろ過
1 M 塩酸 (200 mL)
玄米試料の測定
粉末試料
0.06 g分取
マイクロウェーブ加圧分解
濃硝酸 2.5 mL
0.1 M 硝酸で50 mLに定容
ICP-MS : 誘導結合プラズマ質量分析装置
重金属含有量の測定操作
ICP-MSで測定
ICP-MSで測定
7
0
0.1
0.2
0% 0.5% 1% 2%
Pb含
有量(mg/kg)
散布割合(土壌重量比)
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0% 0.5% 1% 2%
Cd含
有量(mg/kg)
散布割合(土壌重量比)
0
2
4
6
0% 0.5% 1% 2%
Cu含
有量(mg/kg)
散布割合(土壌重量比)
Cd
【玄米中の重金属含有量】
Cu
Pb
玄米の重金属含有量に及ぼすBFM散布割合の影響
0
5
10
15
20
0% 0.5% 1% 2%
Zn含
有量(mg/kg)
散布割合(土壌重量比)
Zn
栽培条件:中干し
8
実験操作
土壌5 kg(実験1と同じ土壌)
田植え(バケツ)
灌水
育成(99日間)
収穫(玄米)
12栽培土の酸化還元電位を測定
BFM(重量比 1%)を2,4,6,7,8,9,10週目にそれぞれ一回散布
中干しを実施
粉砕
凍結乾燥
試料
化成肥料(0.5 g)
玄米への重金属取り込み量に及ぼすBFMの散布時期の影響
9
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
Cd含
有量(mg/kg)
散布時期(週)
玄米のカドミウム含有量に及ぼすBFM散布時期の影響
BFM(1%散布)による育成不良なし
BFM無散布(0.42 mg/kg)
【玄米中のカドミウム含有量】
出穂
田植え
13
10
【栽培中における土壌の酸化還元電位】
出穂後数日までの間にBFMを散布することで,効果的な取り込み抑制が期待できる.
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
酸化
還元
電位
(mV)
散布時期(週)
出穂
田植え
0
100
200
300
400
500
栽培条件:中干し
2週目 6週目 7週目 8週目BFMの散布時期
栽培土壌の酸化還元電位の経時変化
11
【トピック1のまとめ】
BFMの散布割合の増加に伴い,玄米へ
のカドミウムの取り込み量が減少した.
BFMによるカドミウムの取り込み抑制は,
バークへの吸着
硫化物の生成
これら2つの相乗効果が関与すると考えられる.
出穂直前にBFMを散布することで,
生育不良なくカドミウムの取り込み抑制を確認できた.
Cd2+
Cd2+
リグニン
BFM 散布時
S2-
Cd2+
Cd2+
CdS田植え直後にBFMを土壌に1 %以上散布すると,
著しい還元状態により生育不良が生じた.
15
フミン酸 5 g
Cd を添加した溶液
1 L
2時間撹拌
ろ液1
試料溶液の調製
各ろ液のCd濃度をICP‐MSで測定した
限外ろ過を利用したフミン酸のカドミウム捕捉能の測定
[Cd2+] = 10-5 M in MES (pH = 6)
ろ過 (0.45 μm)
限外ろ過
分子量分画
Mw: 200,000
Mw: 50,000
Mw: 20,000
Mw: 10,000
ろ液2 (< 200,000) = F2
ろ液3 (< 50,000) = F3
ろ液4 (< 20,000) = F4
ろ液5 (< 10,000) = F5
【トピック2】 フミン酸による大豆へのカドミウム取込抑制
各分子量分画操作で得られたろ液中のCd濃度
0
2
4
6
8
10
12
1 2 3 4
[Cd2
+ ] / 1
0‐7mol dm
‐3
Sample No.
F1 (< 0.45 μm)
F2 (< 200 kDa)
F3 (< 50 kDa)
F4 (< 20 kDa)
F5 (< 10 kDa)
0
0.5
1
1.5
2
1 2 3 4
[Cd2
+ ] / 1
0‐7mol dm
‐3
Sample No.
Fraction フミン酸A フミン酸B フミン酸C フミン酸DF1 (< 0.45 μm) 0.900 7.038 0.476 10.9F2 (< 200 kDa) 0.650 0.724 0.227 11.1F3 (< 50 kDa) 0.675 0.625 0.153 10.9F4 (< 20 kDa) 0.575 0.575 0.203 10.8F5 (< 10 kDa) 0.551 0.401 0.128 10.9
限外ろ過操作で得られたろ液中のCd濃度(x 10-7 M)
14
0
1000
2000
3000
4000
5000
1 2 3 4 5 6
Cd in ro
ot / mg kg
‐1
Soil sample No.試料番号
大豆根部のカドミウム含有量
試料番号1:[Cd] 0 μM、フミン酸無添加;2:[Cd] 100 μM、フミン酸無添加; 3:[Cd] 100 μM、フミン酸A添加; 4:[Cd] 100 μM、フミン酸B添加; 5:[Cd] 100 μM、フミン酸C添加; 6:[Cd] 100 μM、フミン酸D添加
根の
Cd含
有量
/m
g kg
-1
15
大豆根部と地上部ののカドミウム含有量
試料番号1:[Cd] 0 μM、フミン酸無添加;2:[Cd] 50 μM、フミン酸無添加; 3:[Cd] 50 μM、フミン酸C 0.2g 添加; 4:[Cd] 50 μM、フミン酸C 0.5g 添加; 5:[Cd] 50 μM、フミン酸C 1.0g 添加
0
500
1000
1500
2000
2500
1 2 3 4 5
Cd in roo
t / mg kg
‐1
Soil sample No.
0
5
10
15
20
1 2 3 4 5
Cd in stem / m
g kg
‐1Soil sample No.
(a) (b)根
のC
d含有
量/
mg
kg-1
地上
部の
Cd含
有量
/m
g kg
-1
試料番号 試料番号
【トピック2のまとめ】フミン酸のカドミウム捕捉能・フミン酸がCdを捕捉する割合は,
フミン酸C>フミン酸A>フミン酸B >フミン酸Dの順となった.
・フミン酸CのCd捕捉能は他のフミン酸よりも高い.
大豆のカドミウム吸収量・Cdの根への吸収抑制効果は
フミン酸C>フミン酸A〜フミン酸B>フミン酸Dの順となった.
・フミン酸Cを添加することによって地上部へのCd吸収は抑制された.
リグニン吸着剤の作製方法
木粉+水
亜臨界水処理(230℃, 2.8MPa)
水可溶成分
固形分残渣
ろ過
溶剤浸漬
溶剤可溶成分
ろ過
(固形分濃度:10wt%)
固形分残渣
(リグニン吸着剤)
【トピック3】リグニン吸着剤による土壌からのカドミウムの除去(ファイトミメティックレメディエーション)
18
土壌に硝酸カドミウムを溶かした溶液を添加してカドミウム濃度が100〜130ppmになるように調製したものを試料とした
土壌試料(40g)
200mLのコニカルビーカー(吸着剤あり、なし)
100℃で12時間乾燥
蒸留水又は塩化カルシウム溶液又は塩酸を50mL散布
実験操作
AAS : 原子吸光分析法
土壌のCd濃度をAASで測定
この操作を20回繰り返す
吸着剤
散布溶液 吸着剤 カドミウム濃度
(ppm)
RSD / %,n=3
蒸留水 無し(ブランク) 130.0 0.38
有り 130.1 0.58
塩化カルシウム
(0.05M)
無し(ブランク)
有り
108.9
102.1
4.10
2.67
塩酸 無し(ブランク) 117.1 3.37
(0.1M) 有り 67.3 4.61
土壌のカドミウム除去に及ぼすリグニン吸着剤の効果
【トピック3のまとめ】
塩酸を散布した土壌ではリグニン吸着剤を装着することで40%程度のカドミウムを除去することができた.
23
本技術に関する知的財産権• 発明の名称 :土壌の浄化方法、及びそれに用いる
吸着部材
• 出願番号 :特願2013-154884
• 出願人 :群馬大学,住友ベークライト(株)• 発明者 :板橋英之
• 発明の名称 :カドミウム吸収抑制資材及びこれを
用いた作物の栽培方法
• 出願番号 :特願2014-042376
• 出願人 :群馬大学,朝日工業(株)• 発明者 :板橋英之,森 勝伸