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ソフトバンク株式会社 株式会社熊谷組 準大手建設会社である株式会社熊谷組(以下、熊谷組)は、IT インフラのコ スト構造を見直し安定した収益力を確保することに成功しました。さらに、 労働環境改善による生産性向上を目指して IT 資産のクラウド化を進める「ク ラウドファースト」に取り組んでおり、2015年には基幹システムの仮想サー バ環境をオンプレミスからクラウドサービス「VMware vCloud ® Air™」 へ移行しました。 課題 課題 課題 効果 効果 効果 データセンターで稼動していたサーバ機器が更新時期を迎えていました。 保守サポートが終了したサーバ OS(Windows Server 2000、2003)はいった んクラウドサービス移行した後にアップデートを希望していました。 オンプレミスによるシステム運用工数が増大しており、コスト構造の見直しが必要 でした。 クラウドサービスである「VMware vCloud Air」環境へ移行することで機器のラ イフサイクルにともなう更新作業からの脱却ができました。 Windows Server 2000、2003 を サ ポ ー ト す る ク ラ ウ ド サ ー ビ ス と し て 「VMware vCloud Air」は唯一の選択肢でした。 クラウドサービスである「VMware vCloud Air」によりサーバ保守工数の削減を 含む運用工数の削減ができました。 効果と課題 株式会社熊谷組 経営企画部 IT 企画グループ 部長 鴫原 功 クラウドファーストをコンセプトに「VMware vCloud ® Air™」を導入 パブリッククラウド活用で IT インフラを刷新 導入の背景 IT インフラの刷新でコスト構造を改善する 高層ビルから公共施設、トンネル工事など幅広い分野で実績を上 げる総合建設業の熊谷組では「安定した収益力の確保」という経 営課題に貢献するため、「クラウドファースト」をキーコンセプト に IT インフラの刷新でコスト構造を改善する取り組みを継続して 行っています。2012 年にはクラウド型メールセキュリティサー ビス、2014 年にはクラウド型グループウェアの「Google Apps for Work™」を導入しました。そして 2015 年に基幹システムを 稼働させている仮想サーバ環境をオンプレミスからクラウドサービ スに移行しました。 「VMware 製品によるサーバ仮想化は 2010 年に実施していま す。翌年には社内で運用していたすべてのサーバをソフトバンクの データセンターへ移行し、社内ネットワークもソフトバンクのサー ビスで再構築しましたが、データセンターで稼動していたサーバと Windows Server 2000、Windows Server 2003の保守サポー ト終了に直面して移行先の環境を決める必要に迫られました。また オンプレミス環境では OS やネットワークといったインフラ保守 のコストも発生していました」と鴫原 功氏は語ります。こうした 課題を解決するため、クラウドサービスとして提供される仮想サー バ環境の検討を行いました。

株式会社熊谷組 クラウドファーストをコンセプトに「VMware … · 労働環境改善による生産性向上を目指してIT資産のクラウド化を進める「ク

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Page 1: 株式会社熊谷組 クラウドファーストをコンセプトに「VMware … · 労働環境改善による生産性向上を目指してIT資産のクラウド化を進める「ク

ソフトバンク株式会社

株式会社熊谷組

準大手建設会社である株式会社熊谷組(以下、熊谷組)は、IT インフラのコスト構造を見直し安定した収益力を確保することに成功しました。さらに、労働環境改善による生産性向上を目指して IT 資産のクラウド化を進める「クラウドファースト」に取り組んでおり、2015 年には基幹システムの仮想サーバ環境をオンプレミスからクラウドサービス「VMware vCloud ® Air™」へ移行しました。

課題

課題

課題

効果

効果

効果

データセンターで稼動していたサーバ機器が更新時期を迎えていました。

保守サポートが終了したサーバ OS(Windows Server 2000、2003)はいったんクラウドサービス移行した後にアップデートを希望していました。

オンプレミスによるシステム運用工数が増大しており、コスト構造の見直しが必要でした。

クラウドサービスである「VMware vCloud Air」環境へ移行することで機器のライフサイクルにともなう更新作業からの脱却ができました。

Windows Server 2000、2003 を サ ポ ー ト す る ク ラ ウ ド サ ー ビ ス と し て「VMware vCloud Air」は唯一の選択肢でした。

クラウドサービスである「VMware vCloud Air」によりサーバ保守工数の削減を含む運用工数の削減ができました。

効果と課題

株式会社熊谷組経営企画部 IT 企画グループ部長

鴫原 功 氏

クラウドファーストをコンセプトに「VMware vCloud ® Air™」を導入パブリッククラウド活用で IT インフラを刷新

導入の背景 IT インフラの刷新でコスト構造を改善する 高層ビルから公共施設、トンネル工事など幅広い分野で実績を上げる総合建設業の熊谷組では「安定した収益力の確保」という経営課題に貢献するため、「クラウドファースト」をキーコンセプトに IT インフラの刷新でコスト構造を改善する取り組みを継続して行っています。2012 年にはクラウド型メールセキュリティサービス、2014 年にはクラウド型グループウェアの「Google Apps for Work™」を導入しました。そして 2015 年に基幹システムを稼働させている仮想サーバ環境をオンプレミスからクラウドサービスに移行しました。 「VMware 製品によるサーバ仮想化は 2010 年に実施していま

す。翌年には社内で運用していたすべてのサーバをソフトバンクのデータセンターへ移行し、社内ネットワークもソフトバンクのサービスで再構築しましたが、データセンターで稼動していたサーバとWindows Server 2000、Windows Server 2003 の保守サポート終了に直面して移行先の環境を決める必要に迫られました。またオンプレミス環境では OS やネットワークといったインフラ保守のコストも発生していました」と鴫原 功氏は語ります。こうした課題を解決するため、クラウドサービスとして提供される仮想サーバ環境の検討を行いました。

Page 2: 株式会社熊谷組 クラウドファーストをコンセプトに「VMware … · 労働環境改善による生産性向上を目指してIT資産のクラウド化を進める「ク

ソフトバンク株式会社

データセンター

VMware vCloud Air

vCloud AirDirect Connect

作業所

VPNルータ

ファイアウォール

作業

VPNルータ

本社 支店 支店 営業所

ファイアウォールウォ

VPN

物理サーバ 仮想サーバ

VM1 VM2

VM1 VVM2

熊谷組のシステム概要

インターネット網

インターネット網イイインターネット網網網網網網網網

M Cl d Ai

導入したサービス

「VMware vCloud Air」はヴイエムウェア社がグローバルで提供しているハイブリッドクラウドサービスで、プライベートクラウドとパブリッククラウド双方の管理を共通化し、クラウド間でのアプリケーションの移行や連携を自由に行える機能を提供しています。サーバリソースのほか、クラウド間でアプリケーションをスムーズに移動可能にするために必要な仮想ネットワークやセキュリティコンポーネントを備え、単一の管理ツールを提供することで、仮想マシンの自由な移行やクラウドをまたがったアプリケーションの連携を可能にします。

株式会社熊谷組

本 社 : 東京都新宿区津久戸町 2 番 1 号設 立 : 1938 年 1 月 6 日資 本 金 : 133 億円(2015 年 3 月 31 日現在)従業員数 : 2,167 名(2015 年 3 月 31 日現在)概 要 : 建設工事の調査、測量、企画、設計、施工、監理、技術指導その他総合エンジニアリング、

マネジメントおよびコンサルティングならびに請負を事業とする創業明治 31 年の老舗建設会社です。独自のトンネル工法で日本産業技術大賞の審査委員会特別賞受賞を受賞するほか、建設業界で初めて「エコ・ファースト企業」に認定されました。

U R L : http://www.kumagaigumi.co.jp/ ※パンフレット記載内容は、2015 年 9 月現在のものです。

多種のサーバ OS 対応と高い移行性に注目選択のポイント

 「VMware vCloud Air」を選定した大きな要因は Windows Server 2000、Windows Server 2003 のサポートを継続していることでした。クラウドサービスを提供するベンダは多く存在しますが、仮に古いバージョンの Windows Server をサポートしないサービスを選択すると事前に OS のバージョンアップを実施してからシステムを移行する必要があります。「将来的に Windows Server 2000、Windows Server 2003 のバージョンアップを実施する計画ですが、先にクラウドサービスに移行してリソース拡張が容易な環境のもとでバージョンアップを行いたいと考えていました」と鴫原氏。この時点で選択肢は「VMware vCloud Air」に

絞られましたが、それ以外にも「VMware vCloud Air」を選択した理由はあると鴫原氏は言います。 「オンプレミス環境で『VMware vSphere』を運用しており、同じアーキテクチャを利用することで移行時の工数削減やトラブル発生のリスクを削減できます。今回は基幹システムの移行となり、7 月の 3 連休と 8 月のお盆休みという限定された期間に移行を完了させることが必須でした。ソフトバンクとヴイエムウェア社のパートナーシップが強固なので、事前検証から課題解決まで十分な技術サポートを受けられることも移行を実現できるという安心感につながりました」(鴫原氏)。

大規模な基幹システム移行を1ヵ月半で完了導入の概要と効果

 「VMware vCloud Air」の本番環境を構築したのは 6 月後半でした。選択したライセンスプランは物理サーバを 1 社で専有し、既存のソフトウェアライセンスを持ち込める「Dedicated Cloud」でした。 同社のネットワーク環境は本社、支店、営業所とデータセンターをソフトバンクの閉域ネットワーク「SmartVPN」でセキュアに接続しています。そして今回追加される「VMware vCloud Air」のデータセンターは「SmartVPN」から直接接続できる「vCloud Air Direct Connect」を利用しています。 オンプレミスで運用していた同社の仮想サーバは 2 ラック構成でした。この 2 つのセグメントを 7 月と 8 月の連休期間に 2 回に分けて移行する計画が進められました。事前検証では Windows Server の Active Directory の仕様に依存する問題や、約 10TB

におよぶデータの移行方法などが課題になりましたが、いずれもソフトバンクとヴイエムウェア社のプロジェクトチームのサポートにより解決。サービス開通から約1ヵ月半の短期間で 47 サーバと全てのデータの移行を完了しました。 「クラウドサービス導入により確実な保守サポートを確保でき、さらに高度に冗長化されたシステム基盤の利用による可用性の向上、機器のライフサイクルにともなう更新作業からの脱却によるTCO 削減が実現しました」と鴫原氏は語ります。

今後の展開 「クラウドファースト」のこれから 主要な基幹システムのクラウドサービス移行を終えた同社では今後も継続して ICT 環境の最適化を行っていく予定です。当面はWindows Server 2000、Windows Server 2003 のバージョンアップ、一部オンプレミス上に残っているシステムの「VMware vCloud Air」への移行などが計画されています。また 2 年後に迫った業務用 PC の更新時期に備えてソフトバンクが提供する仮想デスクトップサービス「VMware Horizon Air」や「Surface 3」の

検討も進める予定だといいます。「外回りの多い営業職や内勤中心の事務職など、働き方にあわせて最適なデバイス環境を提供するつもりです。ソフトバンクは 1 つの営業窓口でクラウドサーバやネットワークといったインフラ環境をはじめ、グループウェアやクライアント向けの端末まで IT インフラをトータルで提供してくれる心強いパートナーです」と鴫原氏は述べました。

第 56 回 BCS 賞受賞作品「サイエンスヒルズこまつ」