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建築物の解体等に係る石綿(アスベスト) 飛散防止対策マニュアル 平成29年12月

建築物の解体等に係る石綿(アスベスト) 飛散防止対策 ......まえがき 石綿(アスベスト)は、その化学的物理的特性から建築材料のほか、様々な用途に用いら

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建築物の解体等に係る石綿(アスベスト)

飛散防止対策マニュアル

平成29年12月

Page 2: 建築物の解体等に係る石綿(アスベスト) 飛散防止対策 ......まえがき 石綿(アスベスト)は、その化学的物理的特性から建築材料のほか、様々な用途に用いら

まえがき

石綿(アスベスト)は、その化学的物理的特性から建築材料のほか、様々な用途に用いら

れてきました。中でも、吹付けアスベストは、昭和30年頃からビル等の耐火被覆用などの材

料として使われはじめ、昭和47年頃に最も大量に使われましたが、労働安全の面から、昭和

50年に石綿の吹き付けは原則禁止され、1%を超えて石綿を含有する吹付け材についても、

平成7年に原則禁止されました。さらに、平成18年9月1日には、石綿を0.1%以上含有する

製品の製造や使用が一部の例外を除き禁止され、平成24年3月1日には全面禁止になってい

ます。

しかし、現在、石綿を含有する建築材料が既に使用された建築物等が建て替えの時期を迎

えており、これらの建築物等の解体や改修の際に石綿を飛散させないための防止対策の徹底

が課題となっています。

本マニュアルは、建築物の解体、改修工事の際の石綿飛散防止対策について、大気汚染防

止法及び都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)による規制の内容

や留意事項等を中心に取りまとめたものです。規制実務に携わる区市の職員はもとより、建

築物等の解体、改修工事の発注者や施工者の方々においても、本マニュアルを活用し、工事

に伴う石綿の飛散防止対策を的確に実施していただきますようお願いいたします。

平成29年12月 東京都環境局環境改善部

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目 次

第1章 石綿に関する基礎知識 ....................................................... 1

石綿(アスベスト)とは ....................................................... 1 1.1

石綿による健康影響 ........................................................... 2 1.2

石綿の輸入量と建築材料への利用 ............................................... 3 1.3

石綿が使用されている建築物等の解体 ........................................... 3 1.4

第2章 石綿を含有する建材の種類と用途 .............................................. 7

吹付け材..................................................................... 7 2.1

2.1.1 吹付けアスベスト ................................................................ 7

2.1.2 石綿含有吹付けロックウール ...................................................... 9

2.1.3 その他の吹付け材 ................................................................ 9

保温材等.................................................................... 10 2.2

2.2.1 石綿含有保温材 ................................................................. 10

2.2.2 石綿含有耐火被覆材 ............................................................. 11

2.2.3 石綿含有断熱材 ................................................................. 11

成形板等.................................................................... 12 2.3

第3章 解体等工事における石綿の飛散防止対策(大気汚染防止法・環境確保条例等) ...... 14

大気汚染防止法及び環境確保条例の規制対象となる工事 .......................... 14 3.1

3.1.1 解体等工事 ..................................................................... 14

3.1.2 石綿含有材料を使用する建築物等の解体又は改修の工事 ............................. 15

3.1.3 特定粉じん排出等作業を伴う建設工事(特定工事) ................................. 15

3.1.4 石綿含有建築物解体等工事 ....................................................... 15

大気汚染防止法及び環境確保条例に基づく規定の対象者 .......................... 16 3.2

3.2.1 発注者 ......................................................................... 16

3.2.2 受注者 ......................................................................... 16

3.2.3 自主施工者 ..................................................................... 16

事前調査等 .................................................................. 17 3.3

3.3.1 調査対象の工事 ................................................................. 17

3.3.2 事前調査を行う者 ............................................................... 17

3.3.3 調査対象とする建材 ............................................................. 18

3.3.4 調査の具体的な手順 ............................................................. 18

3.3.5 発注者への説明等 ............................................................... 22

作業実施届等の提出 .......................................................... 23 3.4

3.4.1 大気汚染防止法及び環境確保条例に基づく届出 ..................................... 23

3.4.2 その他の法令等に基づく届出 ..................................................... 27

石綿濃度の測定 .............................................................. 31 3.5

3.5.1 環境確保条例に基づく敷地境界における測定 ....................................... 31

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3.5.2 作業場の近傍での測定 ........................................................... 33

工事開始前の措置 ............................................................ 34 3.6

3.6.1 事前調査結果の掲示 ............................................................. 34

3.6.2 特定工事に係る掲示 ............................................................. 34

3.6.3 敷地境界における石綿濃度の測定 ................................................. 34

作業中の措置 ................................................................ 35 3.7

3.7.1 工事現場全体の覆い・湿潤化 ..................................................... 35

3.7.2 吹付け材、保温材等を掻き落とし等により除去する作業 ............................. 35

3.7.3 吹付け材、保温材等を掻き落とし等により除去する場合で、作業場の隔離と同等以上の効果

を有する措置を講じて行う作業 .................................................... 43

3.7.4 保温材等を掻き落とし、切断、破砕以外の方法により除去する作業 .................... 46

3.7.5 吹付け材、保温材等の封じ込め又は囲い込みの作業 ................................. 47

3.7.6 成形板等を除去する作業 ......................................................... 48

3.7.7 排水の処理 ..................................................................... 48

作業後の措置 ................................................................ 48 3.8

3.8.1 仕上げ清掃 ..................................................................... 48

3.8.2 敷地境界における石綿濃度の測定 ................................................. 48

作業内容の記録・保存 ........................................................ 49 3.9

3.9.1 大気汚染防止法に基づく記録・保存 ............................................... 49

3.9.2 環境確保条例に基づく記録・保存 ................................................. 49

アスベスト廃棄物の処理 .................................................... 50 3.10

3.10.1 アスベスト廃棄物の処理の概要 .................................................. 50

3.10.2 特別管理産業廃棄物(廃石綿等)の定義と範囲 .................................... 53

3.10.3 石綿含有産業廃棄物の定義 ...................................................... 53

3.10.4 特別管理産業廃棄物管理責任者の設置 ............................................ 53

3.10.5 廃棄物が搬出されるまでの措置及び保管 .......................................... 54

関係法令等の条文 .......................................................... 56 3.11

3.11.1 大気汚染防止法(抜粋) ........................................................ 56

3.11.2 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(抜粋) ............................ 62

3.11.3 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(抜粋) ...................................... 66

第4章 都と区市との役割分担 ...................................................... 76

大気汚染防止法の規定による事務移管 .......................................... 76 4.1

事務処理特例条例による事務移管 .............................................. 76 4.2

関係規程.................................................................... 77 4.3

4.3.1 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例(抜粋) ........................ 77

4.3.2 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例(抜粋) ........................ 78

4.3.3 地方自治法(抜粋) ............................................................. 79

第5章 お問い合わせ、届出の窓口 .................................................. 81

総合的なお問い合わせ ........................................................ 81 5.1

東京都の届出窓口 ............................................................ 82 5.2

特別区の届出窓口 ............................................................ 83 5.3

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市の届出窓口 ................................................................ 84 5.4

労働基準監督署の一覧 ........................................................ 85 5.5

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第1章

石綿に関する基礎知識

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第1章 石綿に関する基礎知識

石綿(アスベスト)とは 1.1

石綿(いしわた、せきめん、アスベスト)は、天然に産する鉱物群のうちで、高い抗張力と

柔軟性をもつ絹糸状光沢の特異な繊維状集合(asbestiform)をなすものを指し、蛇紋石族のク

リソタイル(白石綿)、角閃石族のクロシドライト(青石綿)やアモサイト(茶石綿)などいく

つかの種類がある。耐熱性、耐薬品性、絶縁性等の工業上の諸特性に優れているため、建材、

電気製品、自動車などに利用されてきた。

大気汚染防止法及び環境確保条例並びに石綿障害予防規則でいう石綿は、石綿の使用におけ

る安全に関する条約や、米国アスベスト災害緊急対策法(AHERA)等における定義と同様に、表

1に示す6種類の鉱物であり、その物理的、化学的特性は表2のとおりである。

表1 石綿の分類

石綿名 化学組成式 CAS番号

蛇紋石族 クリソタイル(温石綿・白石綿) Mg3Si2O5(OH)4 12001-29-5

角閃石族

クロシドライト(青石綿) Na2Fe32+ Fe2

3+Si8O22(OH)2 12001-28-4

アモサイト(茶石綿) (Mg,Fe)7Si8O22(OH)2 12172-73-5

アンソフィライト(直閃石綿) Mg7Si8O22(OH)2 77536-67-5

トレモライト(透角閃石綿) Ca2Mg5Si8O22(OH)2 77536-68-6

アクチノライト(陽起石綿) Ca2(Mg,Fe)5Si8O22(OH)2 77536-66-4

表2 石綿の主な物理的・化学的特性

クリソタイル クロシドライト アモサイト アンソフィライト トレモライト アクチノライト

硬 度 2.5~4.0 4 5.5~6.0 5.5~6.0 5.5 6

比 重 2.55 3.37 3.43 2.85~3.1 2.9~3.2 3.0~3.2

融点(℃) 1521 1193 1399 1468 1316 1393

比熱

(kcal/g/℃)

0.266 0.201 0.193 0.210 0.212 0.217

抗張力

(㎏/cm2)

31000 35000 25000 24000 5,000未満 5,000未満

比抵抗

(MΩcm)

0.003~0.15 0.2~0.5 500未満 2.5~7.5 ── ──

柔軟性 優 優 良 良~不良 良~不良 良~不良

表面電荷 + - - - - -

耐酸性 劣 優 良 優 優 良

耐アルカリ性 優 優 優 優 優 優

脱構造水温度*

(℃)

550~700 400~600 600~800 600~850 950~1,040 450~1,080

耐熱性 良。450℃位から

もろくなる。

クリソタイルと

同様

クリソタイル

よりやや良 アモサイトと同様

クリソタイル

より良 不良

* 空気中において、脱水反応を起こし結晶構造が崩壊して、強度を失う温度

(Winson1)、Hodgson2)をもとに作成)

1) Winson, R.W.: "Asbestos,” 4th ed., ed. by Lefond, S.J., Industrial Minerals and Rocks (1975) pp.384-385 2) Hodgson, A.A.: “Chemistry and physics of asbestos”, in “Asbestos: properties, applications and hazards”, ed. by Michaels, L. and Chissick, S.S., vol.1,

pp.67-114,

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石綿による健康影響 1.2

石綿を吸入することによって、主に次のような健康影響(疾患)が生じるおそれがある。

中皮腫 ①

肺を取り囲む胸膜、腹部臓器を囲む腹膜、

心臓及び大血管の起始部を覆う心膜等にでき

る、予後が不良な悪性の腫瘍である。石綿の

ばく露からおおむね20~50年後に発症する

(約40年に発症のピークがある)。

石綿以外の原因としては戦時中まで使用さ

れていたトロトラスト(放射性造影剤)によ

るものなどが報告されているが報告数は少な

いことなどから、中皮腫は石綿を原因とする

ものと考えて差し支えないとされている4)。

最初の症状は、胸膜中皮腫では息切れや胸

痛が多く、腹膜中皮腫では腹部膨満感や腹痛

などで気付くことが多い。

肺がん ②

石綿が原因で生じる肺がんとそれ以外の肺がんとでは、発生部位や組織型に違いはない。石

綿が原因で生じる肺がんの場合、石綿のばく露から肺がん発症には、通例15~40年の潜伏期間

がある。

肺がんは、さまざまな原因が指摘されている中で、石綿を原因とするものとみなせるのは、

肺がんの発症リスクを2倍以上に高める量のばく露(石綿のばく露濃度(本/mL)とばく露年数

(年)を掛けた値、蓄積石綿ばく露量が25本/mL ×年以上)があった場合とするのが妥当であ

ると考えられている4)。

石綿肺 ③

石綿肺は、肺が弾力性を失い硬くなる肺線維症(じん肺)という病気の一つであり、石綿を

大量に吸引することによって発生する職業病の疾患である。

石綿の高濃度ばく露であれば、10年未満のばく露期間であっても発症する。通常、石綿ばく

露後10年以上経過してレントゲンで初期病変が現れる。防じんマスクなどの着用が不適切であ

れば、石綿肺を発症する危険性は十分にあり得る5)。

自覚症状としては、坂道や階段を上るときなどの息切れから始まることが多く、咳や痰が続

いたり、胸や背中に痛みを感じたりすることもある。

良性石綿胸水 ④

石綿の高濃度ばく露の人に比較的多くみられる非腫瘍性の胸膜炎である。胸を包む胸膜に、

胸水とよばれる浸出液がたまる。石綿のばく露から10年以内に発症することもあるが、多くは

20~40年後に突然発症する。発熱、咳、胸痛、息切れなどの症状で発症するが、自覚症状がな

い場合もある4),5)。

3) 社団法人日本石綿協会:「THE ASBESTOS せきめん読本」(1996) 4) 石綿による健康被害に係る医学的判断に関する検討会:「石綿による健康被害に係る医学的判断に関する考え方報告書」(2006) 5) 森永謙二編著:「アスベスト汚染と健康被害」、日本評論社(2005)

図1 石綿によって起こる病気とその部位3)

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びまん性胸膜肥厚 ⑤

石綿による胸膜炎が発症すると、それに引き続き、胸膜が癒着して広範囲に硬くなり、肺の

ふくらみを障害して呼吸困難をきたす。胸部レントゲン写真上、臓側胸膜(肺や気管支を覆う

胸膜)の肥厚を認めるようになるが、この状態をびまん性胸膜肥厚という。胸水が消退しても、

程度の差はあるが、びまん性の(広範囲に拡散した)胸膜肥厚を残す4)。

石綿の輸入量と建築材料への利用 1.3

我が国では、石綿の消費量のほとんどを輸入に頼ってきた。年間の輸入量は、高度成長期の

1960年代に急激に増加し、1974年の35万トンを最高に、1970年代及び1980年代は25万トンから

35万トンの高水準で推移してきたが、1990年代に入り年々減少し、2005年は110トンとなった。

1930年(昭和5年)から2005年(平成17年)の76年間の総輸入量は、約988万トンとなっている。

主な輸入元は、2004年においては、カナダ65.7%、ブラジル19.5%、ジンバブエ10.6%である。

輸入されたアスベストは、その多くが、スレート、けい酸カルシウム板、ビニル床タイルな

どの建築材料として建築物に使用されてきた。我が国における石綿の輸入量と全国における建

築物の総着工床面積の推移を比較すると、1988年(昭和63年)頃までは両者に明確な相関が認

められる(図2)。1995年度においては、石綿輸入量の93%が建材に使用された6)。

図2 石綿輸入量と全国の建築物着工床面積の推移7)

表3は、建材以外のものも含めた石綿含有製品の主な種類と用途、規制や業界の自主的な製造

中止の推移を示したものである。

石綿が使用されている建築物等の解体 1.4

現在、石綿を含有する製品は輸入や使用等が全面禁止となっているが、石綿含有建材が使用

されている建築物の解体工事は今後も続く。

国土交通省では、0.1%以上の石綿を含む建材が使用されている可能性のある民間建築物(昭

和31年~平成18年までに施工されたS造やRC造のもの)は全国で280万棟あり、その解体のピ

ークが平成40年頃に訪れると推計している8)。

一方、図3は、都内の非木造建築物について年次ごとの着工棟数9をもとに解体時期の推計を

行ったものである。都内では、石綿が使用されている建築物の解体が既にピークを迎えている

と考えられ、今後、2050年(平成62年)頃まで現在の水準が続くことが見込まれる。

6) 社団法人日本石綿協会:「既存建築物における石綿使用の事前診断監理指針」(2005) 7) 「貿易統計」(財務省)及び「建築着工統計調査報告」(国土交通省)を基に作成した。 8) 国土交通省:「建築物石綿含有建材調査マニュアル」(2014) 9 「東京都統計年鑑 地域別構造別着工建築物」http://www.toukei.metro.tokyo.jp/tnenkan/tn-index.htm

0

100000

200000

300000

400000

0

50

100

150

200

250

300

1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005

日本のアスベスト輸入量

(千トン)

全国の着工建築物の床面積

(百万㎡)

着工床面積

アスベスト輸入量

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- 4 -

表3 石綿含有製品の主な種類、用途及び規制等の状況

分類 石綿含有製品の主な種類 主な用途 規制等の状況

吹付け材

吹付け石綿 鉄骨の耐火被覆、

内壁・天井の吸音・断熱 昭和50年に原則禁止

石綿含有吹付けロックウー

石綿含有吹付けバーミキュ

ライト(ひる石吹付け)

石綿含有パーライト吹付け

など

鉄骨の耐火被覆、

内壁・天井の吸音・断熱、

天井の結露防止

石綿含有率5%を超えるものは、昭和50年

に原則禁止

石綿含有率1%を超えるものも、概ね昭和

62年頃に製造中止

法的には、石綿含有率1%を超えるものは、

平成7年に原則禁止

平成17年の石綿則施行で全面禁止

保温材等

石綿含有保温材 配管やボイラー等の保温 概ね昭和55年頃に製造中止

石綿含有耐火被覆材 鉄骨等の耐火被覆 概ね昭和62年頃に製造中止

石綿含有断熱材 屋根裏の結露防止、

煙突の断熱 概ね平成3年までに製造中止

成形板等

石綿含有ロックウール吸音

天井板 天井の吸音 概ね昭和62年頃に製造中止

ビニル床タイル

ビニル床シート 床

石綿含有のものは、昭和63年までに製造中

パルプセメント板 内壁、天井、軒天 石綿含有のものは、平成16年までに製造中

スレート・木毛セメント積層

板 屋根の下地、壁

接着するフレキシブル板が平成16年に石

綿含有製品の製造等を禁止

石綿セメント円筒 煙突、ケーブル保護管、温泉

の送湯管、排水管等

石綿含有のものは、平成16年に法的に製

造・使用等が禁止

押出成形セメント板 非耐力外壁、間仕切り壁

住宅屋根用化粧スレート 屋根材として張られた板の

上に葺く化粧板

繊維強化セメント板※ 屋根、外壁、内壁、天井、軒

天、耐火間仕切り

窯業系サイディング 外壁

非建材

摩擦材

クラッチフェーシング クラッチ

石綿含有のものは、平成16年に法的に製

造・使用等が禁止

クラッチライニング

ブレーキパッド ブレーキ

ブレーキライニング

接着剤 断熱材用接着剤 高温下で使用の工業用断熱

材どうしの隙間の接着

石綿紡織品

石綿糸、石綿テープ グランドパッキン等の原料 平成18年9月1日、既設の施設の使用につい

ての一部例外製品を除き、製造・使用等が

全面禁止

平成24年3月1日、平成18年9月1日前に製造

または現に使用され、同日以降使用されて

いる、ジョイントシート、ガスケットおよ

びその原料を除き全面禁止

石綿布 石綿手袋、衣服、前掛け、耐

火カーテン、石綿布団等

シール材 石綿含有ガスケット 配管用フランジ等静止部分

石綿含有パッキン ポンプの軸封等の運動部分

電気絶縁板 電気絶縁用石綿セメント板 配電盤等

※ JIS A 5430:2001の規格における「繊維強化セメント板」には、成形板等に分類されるものとして、スレート波板、ス

レートボード(フレキシブル板・軟質フレキシブル板・平板・軟質板)、パーライト板、けい酸カルシウム板第一種、ス

ラグせっこう板がある。

(出典:「石綿(アスベスト)対策-予防から救済まで-」10))

10) 東京労働局:「石綿(アスベスト)対策-予防から救済まで-」(2017)

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図3 都内の非木造建築物の解体棟数の推計

※1)建築物の残存率は、次のパラメータのワイブル累積分布によるものと仮定した。

50%減失年数 95%減失年数 m η

1959~1975年着工 40年 55年 4.596 43.32

1976~1995年着工 50年 65年 5.579 53.40

1996~2006年着工 55年 70年 6.069 58.42

※2)1975年(昭和50年):石綿含有率5%超の使用が原則禁止

1995年(平成7年):石綿含有率1%超の使用が原則禁止

2006年(平成18年):石綿含有率0.1%超の使用が原則禁止

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080 2090 2100

建築物の解体棟数

1996年~2006年着工の建築物

1976年~1995年着工の建築物

1959年~1975年着工の建築物

2017年

(平成29年)

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第2章

石綿を含有する建材の

種類と用途

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第2章 石綿を含有する建材の種類と用途

石綿(アスベスト)を含有する建材は、工法及び材料の見掛け密度などから、吹付け材、保

温材等、その他の建材(成形板等)の3つに分類することができる。現在、大気汚染防止法や

労働安全衛生法、建築基準法等の法令においては、建築材料の製造若しくは現場施工における

建築材料の調製に際して石綿を意図的に含有させたもの又は石綿の質量が当該建築材料の質量

の0.1%を超えるものが「石綿を含有する」とされている。

図4は、建築物における石綿を含有する建材の使用部位の例を示したものである。

吹付け材 2.1

石綿を含有する吹付け材は、主に、建築物等における鉄骨などの耐火被覆用に、また、機械

室(ボイラー室・昇降機室等)、駐車場などの天井、壁などに吸音・断熱材として使用されてき

た。このほか、浴室等の天井の結露防止用として石綿含有の吹付け材が施工された例もある。

吹付け材の使用は、昭和30年頃から始められ、昭和39年に防音用として航空基地付近の施設

に使われたのをきっかけに広く使用されるようになった。昭和47年頃が、石綿含有吹付け材の

最需要期であった。

建築物等の解体や改修を行う時に大気汚染防止法による規制対象となる「吹付け石綿」につ

いては、狭義の吹付け石綿(区別のため、以下「吹付けアスベスト」と称する。)のほか、石綿

含有吹付けロックウール(乾式・湿式)、石綿含有ひる石吹付け材、石綿含有パーライト吹付け

材等がある11)。また、建築物の内外装仕上げに用いられる建築用仕上塗材については、過去に

石綿を含有するものも使用されたが、このうち、吹付け工法により施工されたものは、特定建

築材料である吹付け石綿として取扱うこととされている12)。

環境確保条例においても、「吹き付け工法に使用される石綿含有材料」を「吹き付け石綿」と

定義しており(条例施行規則第60条第1項)、大気汚染防止法における取扱いと同様に、石綿を

含有する吹付け材は全て含まれる。

吹付けアスベスト 2.1.1

石綿とセメント系の結合材を一定割合で水を加えて混合し、吹付け施工したものである。施

工された時期は、昭和30年頃から昭和50年までである。

耐火被覆用 ①

建築基準法の耐火要求に応じて使用されたもので、3階建て以上の鉄骨造建築物などの鉄骨、

梁、柱等に吹き付けられた。このほかに、デッキプレート裏面への吹付けなどがある。

吸音・断熱用 ②

ビルの機械室、地下駐車場等の天井、壁等のほか、学校、体育館、工場等の天井、壁等に吹

き付けられていた。コンクリート造りの建築物の中で人が日常的に在室する部屋(学校の教室、

実験室、体育館など)では、残響時間が長く、会話がしにくくなるため、吸音用の吹付けアス

ベストが施工された。また、鉄骨造建築物においては、人が常時在室しない機械室などでも、

防音目的に吹付けアスベストが施工されていた。

11) 「大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令の施行等について」(平成18年1月11日環水大大060111001号) 12) 「石綿含有仕上塗材の除去等作業における石綿飛散防止対策について(平成29年5月30日環水大大1705301号)」

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<RC・S造>

<戸建て住宅>

図4 石綿含有建材の使用部位例

(出典:目で見るアスベスト建材(第2版)13)。※図中のページ番号は同書のものである。)

13) 国土交通省:「目で見るアスベスト建材(第2版)」(2008)

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石綿含有吹付けロックウール 2.1.2

吹付けアスベストとよく似た吹付け材であり、高炉スラグなどを主原料に工場で製造された

人造鉱物繊維であるロックウールを使用している。吹付けロックウールは、昭和36年頃から使

われ始め、昭和50年に吹付けアスベストが原則禁止となった以降も、しばらくの間、石綿を混

ぜて使用されていた。用途には、耐火被覆用と吸音・断熱用がある。

吹付けロックウールの施工方法には、乾式、半乾式、湿式がある。

乾式吹付け工法 ①

ロックウールとセメントを工場で合材したものを工事現場において吹付け施工箇所まで吹付

け機により圧送し、その施工箇所において、吹付け機のノズル先端で水と混ぜ合わせて吹き付

けるものである。概ね昭和55年頃に、石綿を含有するものが製造中止となった。

半乾式吹付け工法 ②

半湿式ともよばれる工法で、あらかじめセメントに水を混ぜたセメントスラリーを用意し、

吹付け施工箇所までセメントスラリーとロックウールとを別々に圧送し、スラリーホースをロ

ックウールホース内に挿入してノズルで吹き付けるものである。乾式と同様に、概ね昭和55年

頃に、石綿を含有するものが製造中止となった。

湿式吹付け工法 ③

混和剤を用いてロックウールとセメントなどを工場で合材とし、工事現場において混練機を

用いて水と混練した後、ポンプにより吹付け施工箇所まで圧送し、圧縮空気でノズルより吹き

付ける工法である。昭和45年頃から製品化され始め、概ね昭和62年頃に、石綿を含有するもの

が製造中止となった。

その他の吹付け材 2.1.3

その他の石綿含有吹付け材として、石綿含有吹付けバーミキュライト(石綿含有ひる石吹付

け材)、石綿含有吹付けパーライト、吹付け施工された石綿含有仕上塗材がある。これらの吹付

け材は、吹付けアスベストや吹付けロックウールに比べて、一般に材料が硬く、下地との結合

性も強いが、建築物の解体・改修工事において除去や補修を行う際には石綿が飛散する可能性

があり、適切な飛散防止対策を講ずる必要がある。

石綿含有吹付けバーミキュライト(石綿含有ひる石吹付け材) ①

バーミキュライトは、膨張性雲母を焼成膨張させて得られた黄金色で光沢のある多孔質の軽

い砂状のものである。ひる石ともよばれるが、焼くと膨張して蛭が血を吸ったように見えるこ

とから名付けられた。コンクリート天井等の仕上げとして、バーミキュライトを主材とする吹

付け材が用いられたが、吹付け材に石綿が添加されていた場合がある。また、バーミキュライ

トの不純物として非意図的に石綿が含有されている場合もある。

石綿含有吹付けパーライト(石綿含有パーライト吹付け) ②

パーライトは、真珠岩、黒曜岩又はこれに準ずる石質を有する岩石を粉砕し、焼成膨張させ

て得られた多孔質の軽い砂状のものである。原料の岩石は、天然ガラスとよばれるもので、高

温のマグマが急冷されて固化したときに結晶粒をほとんど含まずにできたガラス状の岩石であ

る。建築物の内外装の仕上げにパーライトを主材とする吹付け材が用いられたが、吹付けバー

ミキュライトと同様に、石綿が添加されていた場合がある。

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石綿含有建築用仕上塗材 ③

建築用仕上塗材(しあげぬりざい、JIS A 6909)は、セメント、合成樹脂などの結合剤、顔

料、骨材などを主原料とし、主として建築物の内外壁又は天井を、吹付け、ローラー塗り、こ

て塗りなどによって立体的な造形性をもつ模様に仕上げる建築材料であり、塗膜のひび割れや

施工時のダレを防止するために、石綿が添加剤として使用されていた時期がある。

当初は専用の吹付け機器で施工されていたため、吹付材と呼ばれていた時期もあるが、ロー

ラー塗りやこて塗りで施工されている場合もある。

石綿を含有する建築用仕上塗材のうち、吹付け工法で施工されたものは、大気汚染防止法イ

及び環境確保条例における吹付け石綿として扱うこと。

保温材等 2.2

石綿を含有する保温材等は、見掛け密度(材料の質量をその見掛けの体積で割った値)が概

ね0.5g/㎤以下であり、建築物の解体・改修工事において除去や補修を行う際には、石綿の飛散

の程度が大きいことから、大気汚染防止法では、石綿を含有する保温材、耐火被覆材及び断熱

材を規制対象としている。環境確保条例においても、石綿を含有する保温材(石綿を含有する

耐火被覆材及び断熱材を含む。)を届出等の規制対象としている。

石綿含有保温材 2.2.1

石綿含有保温材は、石油精製や石油化学(エチレンプラント)などの施設に使われることが

ほとんどであり、建築物では、ボイラーなど建築設備や空調設備のダクトや配管に使われてい

る場合が多い。主に工業プラントや建築設備などにおいて、常温より高い温度の熱絶縁に使用

される。

石綿含有保温材の具体例としては、石綿保温材、けいそう土保温材、塩基性炭酸マグネシウ

ム保温材、けい酸カルシウム保温材、はっ水性パーライト保温材、バーミキュライト保温材(ひ

る石保温材)がある14)。

石綿保温材 ①

石綿保温材には、アモサイトを主原料とし、これに結合剤を加えて成形した保温板及び保温

筒のほかに、石綿保温ひも及び石綿布団がある。

ⅰ)保温板: 板状に成形した保温材で、必要に応じてガラスクロス、張り合わせたアルミ

ニウム箔などの外被材を張り付け、又は表面を被覆して使われている。

ⅱ)保温筒: 円筒縦割り状に成形した保温材である。保温板及び保温筒は、各種プラント

の缶、塔、槽類の外壁又は配管の定形部に施工する目的で作られており、ほとんど

がそのままの形で、スタッドボルトや針金等によって固定されている。

ⅲ)石綿保温ひも: 石綿糸でできた外被の中に石綿を詰めたもので、各種プラントの曲管

部や施工しにくい部分の熱絶縁のため、それらに巻き付けたり、他の保温材の継目

に生じる隙間に詰め込んだりして使われている。

ⅳ)石綿布団: アモサイト石綿などの中綿をカバーとなる石綿布ではさみ、黄銅線入り石

綿糸で適当な間隔でとじて、中綿が移動したり、石綿布がはがれたりしないように

してある。各種プラントのポンプ、バルブ、フランジ等の保守点検を必要とする部

分、配管の異形部分、耐振性を要求される部分に被せ、その上から針金等を巻き付

けて使われる。

14) 「大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令の施行等について」(平成18年1月11日環水大大060111001号)

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けいそう土保温材 ②

けいそう土保温材は、けいそう土乾燥粉末を主材として、これに石綿繊維を均一に配合した

水練り保温材であり、石綿含有率は1.5%以上とされていた。水練り保温材は、成形保温材の目

地部分あるいは複雑な施工面の保温、又は外装を兼ねた保温材に使用され、前もって主材と無

機バインダーを乾式混合し調製した粉状製品に、現場で水を加えて混練し、充填やこて塗りで

施工される。

塩基性炭酸マグネシウム保温材 ③

塩基性炭酸マグネシウムと石綿繊維を均等に配合したものである。水練り保温材、保温板及

び保温筒がある。石綿含有率は、8%以上とされていた。

けい酸カルシウム保温材 ④

けいそう土等のけい酸質粉末と石灰を主材として、石綿等の補強繊維を加え、オートクレー

ブ処理(高温・高圧の水蒸気での処理)により製造した保温板及び保温筒である。

はっ水性パーライト保温材 ⑤

材料はパーライト、バインダー、石綿等の補強繊維、はっ水剤などから成り、これらを均一

に混合した後、成形、乾燥して製造した保温材であり、保温板及び保温筒がある。

バーミキュライト保温材 ⑥

バーミキュライト(ひる石)、石綿及び耐熱バインダーを配合し、水練り又はプレス成形によ

って板状又は筒状にしたものである。

石綿含有耐火被覆材 2.2.2

石綿を含有する耐火被覆材の具体例としては、石綿含有耐火被覆板、石綿含有けい酸カルシ

ウム板第二種及び石綿含有耐火被覆塗り材がある15)。石綿含有耐火被覆材は、吹付け材のかわ

りに、鉄骨、梁、柱、昇降機周辺等に張り付けて使用されている。

石綿含有耐火被覆板 ①

石綿含有耐火被覆板は、石綿とセメントなどを吹付けアスベストと同様の高い石綿含有率で

配合し、工場において型枠で成形したものである。

石綿含有けい酸カルシウム板第二種 ②

けいそう土等のけい酸質原料と石灰質原料に水を加えてスラリーとし、オートクレーブ処理

を行い、生成したけい酸カルシウムに石綿等の補強繊維を混入してプレス成形して製造したも

のである。石綿含有率は30%以下である。

石綿含有耐火被覆塗り材 ③

耐火被覆を目的に、こて塗りで鉄骨等に塗られたものである。

石綿含有断熱材 2.2.3

石綿を含有する断熱材の具体例としては、屋根用折版裏断熱材及び煙突用断熱材がある15)。

屋根用折版(折板)裏断熱材 ①

結露防止や耐火、断熱の目的で屋根の裏打ちとして張り付けられたフェルト状の断熱材であ

り、石綿含有率が90%と高いものがある。

15) 「大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令の施行等について」(平成18年1月11日環水大大060111001号)

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煙突用断熱材 ②

煙突内側に張られた断熱目的の材料であり、繊維積層体の断熱層(カポ部)とその内側表面

のライニング層(ライナー部)から成る。商品によっては石綿含有率が70~90%と高いものが

ある。

成形板等 2.3

石綿を含有する建材のうち、2.1で述べた吹付け材及び2.2で述べた保温材等以外の建

材を、以下では「石綿含有成形板等」と呼ぶ。石綿含有成形板等は、耐火、耐久性、耐候性等

を目的に、内装材、外装材、屋根材などとして使用されていて、一部を除き、見掛け密度が概

ね0.5g/cm3以上の硬い材料がほとんどである。

板状に成形された建材以外の例としては、石綿含有建築用仕上塗材(2.1.3の③を参照)のう

ち、吹付け以外の工法(ローラー塗り、こて塗りなど)で施工されたものがある。また、主に

鋼板製煙突の筒身を高温の酸性ガスより保護するための内部ライニング材として用いられる不

定形耐火材(キャスタブル)では、耐酸用としては石綿を1~1.5%、断熱用としては4~5%

含有したものが使用されていた。

石綿含有成形板等は、大気汚染防止法では規制の対象外であるが、環境確保条例に基づき、

都知事が定める作業上の遵守事項(平成26年東京都告示第830号、以下「「作業上の遵守事項」」

という。)に従って施工しなければならない(環境確保条例第123条第2項)。詳細については、

東京都環境局が別に作成した「石綿(アスベスト)含有成形板対策マニュアル」16)を参照され

たい。

16) 東京都環境局:「アスベスト成形板対策マニュアル(平成29年12月版)」

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第 3章

解体等工事における

石綿の飛散防止対策

(大気汚染防止法・環境確保条例等)

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第3章 解体等工事における石綿の飛散防止対策(大気汚染防止法・環境確保条例等)

本章では、石綿(アスベスト)含有建材を使用している建築物等の解体、改修時に講じなけ

ればならない石綿飛散防止対策について、大気汚染防止法及び環境確保条例による規制の解説

を中心に、具体的な留意事項を示す。

表4 解体等工事において必要な措置と参照条文

措置 対象となる解体等工事 根拠法令 本マニュアル

での記載

事前調査等 全ての解体等工事

●法第18条の17第1項、第3項

(規則第16条の5~第16条の8)

●条例第123条第2項

(告示第1 7、第2 1)

3.3(p.17)

作業計画等の届出 大気汚染防止法による

届出が必要な工事

●法第18条の15

(規則第10条の4、第13条)

●条例第124条第1項(規則第60条)

3.4(p.23)

石綿大気濃度測定

(工事前、作業中、工事後)

環境確保条例による

届出が必要な工事

●条例第123条第2項

(規則第59条、別表第13) 3.5(p.31)

掲示板の設置

事前調査の結果等 全ての解体等工事 ●法第18条の17第4項

(規則第16条の9、第16条の10) 3.6.1(p.34)

特定工事の内容等 大気汚染防止法による

届出が必要な工事

●法第18条の14

(規則第16条の4第1項) 3.6.2(p.34)

作業中の措置

(作業基準、遵守事項)

石綿含有吹付け材、保

温材等の除去等を伴う

工事

●法第18条の14

(規則第16条の14第3項、別表第7)

●条例第123条第2項

(告示第1 1~6) 3.7(p.35)

石綿含有成形板等の除

去等を伴う工事

●条例第123条第2項

(告示第2 2~4)

作業内容の記録と保存 大気汚染防止法による

届出が必要な工事

●法第18条の14

(規則第16条の14第2項、別表第7)

●条例第123条第2項

(告示第1 8)

3.9(p.49)

産業廃棄物の処理

石綿含有建材(成形板

等を含む)の除去等を

伴う工事

●廃棄物の処理及び清掃に関する法律

及び関係規程 3.10(p.50)

※「法」は大気汚染防止法、「条例」は環境確保条例、「告示」は平成26年東京都告示第830号を指す。

大気汚染防止法及び環境確保条例の規制対象となる工事 3.1

大気汚染防止法及び環境確保条例に基づく石綿の飛散防止対策の対象となる建設工事は次の

とおりである。

解体等工事 ≪大気汚染防止法第18条の17、大気汚染防止法施行規則第16条の5≫ 3.1.1

建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)を解体し、改造し、又は補修する作業を

伴う建築工事を行うときは、石綿を含有する建築材料が使用されているか否かにかかわらず、

全ての解体等工事について、大気汚染防止法に基づく事前調査等の規定が適用される。

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ただし、0.1%を超えて石綿を含有する製品の使用が禁止された平成18年9月1日以後に建設

工事に着手した建築物等の解体等工事と、平成18年9月1日以後に改造、補修工事に着手した

部分のみの解体等工事は、「特定工事(3.1.3)」に該当しないことが明らかなため、大気汚染防

止法に規定する「解体等工事」からは除かれている。

【建築物とその他の工作物】

工作物とは、建築物をはじめ、土地に接着して人為的作為を加えることによって成立したも

のが広く該当する。

このうち、大気汚染防止法及び環境確保条例でいう建築物は、建築基準法第2条第1号で規

定する「建築物」のことをいう。建築物は、原則として、屋根とそれを支える柱又は壁を有す

るものを指すが、次のものも建築物の定義に含まれる。

● 建築物に附属する門や塀

● 観覧のための工作物で野球場や競馬場のスタンドなどは、屋根を有しないものでも建

築物として扱われる。

● 地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類

する施設(事務所等の部分が建築物として取り扱われる。)

● これらに類する構造のもの(屋根とはいえない孔開きの床を有するような自走式車庫

(自動車を運転して駐車位置まで移動する車庫)などの簡易構造物等)

● 建築物に設ける給水、排水、換気、暖房、冷房、排煙若しくは汚水処理の設備又は煙

突、昇降機等の建築設備

建築物以外の工作物としては、煙突、広告塔、高架水槽、よう壁、貯蔵施設、観覧車等の遊

戯施設などの施設で建築物に附属しないものや、道路、橋りょう、堤防等の土木工作物などが

ある。

石綿含有材料を使用する建築物等の解体又は改修の工事 ≪環境確保条例第123条第2項≫ 3.1.2

石綿を含有する建築材料が使用されている建築物等の解体や改修の工事を行うときは、石綿

含有成形板等のみが使用されている場合も含めて、環境確保条例に基づき、知事が定める作業

上の遵守事項に従って施工し、また、石綿の飛散状況の監視を行わなければならない。

特定粉じん排出等作業を伴う建設工事(特定工事) ≪大気汚染防止法第18条の15≫ 3.1.3

大気汚染防止法では、石綿を含有する建築材料のうち、吹付け石綿(石綿含有ひる石吹付け

材や、吹付け施工された石綿含有仕上塗材等も含む。2.1を参照。)又は石綿含有保温材等(断

熱材、保温材及び耐火被膜材。2.2を参照。)が使用されている建築物等を解体、改造、又は

補修する作業を「特定粉じん排出等作業」、特定粉じん排出等作業を伴う建設工事を「特定工事」

と規定している。

特定工事を行う際は、大気汚染防止法に基づいて届出を行い、作業基準を遵守しなければな

らない。

石綿含有建築物解体等工事 ≪環境確保条例第124条第1項≫ 3.1.4

環境確保条例では、3.1.3の特定工事のうち、次のⅰ)又はⅱ)のいずれかに該当する工事を「石

綿含有建築物解体等工事」と規定し、これに該当する工事を行う際は石綿飛散防止方法等計画

を届け出ることを義務付けている。

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ⅰ) 使用されている石綿含有吹付け材の面積が15㎡以上の場合

ⅱ) 工事を行う建築物等の延べ面積(建築物以外の工作物の場合には築造面積)が500㎡以

上の場合。なお、建築物の一部を解体、改修する場合であっても、当該建築物全ての階

の床面積の合計で算定すること。

【延べ面積と築造面積】

上記の規模要件にある「延べ面積」は、建築基準法施行令第2条第1項第4号に規定する延

べ面積、すなわち建築物の各階の床面積の合計により算定する。床面積は、建築基準法施行令

第2条第1項第4号及び建設省通知17)により算定する。

また、「築造面積」は、建築基準法施行令第2条第1項第5号に規定する築造面積すなわち、

当該施設の水平投影面積により算定する。

大気汚染防止法及び環境確保条例に基づく規定の対象者 3.2

大気汚染防止法及び環境確保条例に基づく解体等工事に伴う石綿の飛散防止対策に係る規定

の対象者と、その講じなければならない措置の概要は以下のとおりである。各措置の詳細につ

いては、3.3以降を確認されたい。

発注者 3.2.1

建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事(解体等工事)の最初の注文

者、いわゆる「施主」のことをいう。発注者は、受注者が行う事前調査に要する費用を適正に

負担するなど、当該調査に協力しなければならない。

解体等工事を行う建築物に特定建築材料(吹付け石綿及び石綿含有保温材等)が使用されて

いる場合、その工事(特定工事)の発注者は、大気汚染防止法に基づき「特定粉じん排出等作

業実施届出書」を提出しなければならない。一定の規模要件(3.1.4を参照)を上回る場合には、

環境確保条例に基づく「石綿飛散防止方法等計画届出書」も併せて提出する必要がある。

また、特定工事の発注者は、施工者に対し、施工方法、工期、工事費等について、作業基準

の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないように配慮しなければならない。

受注者 3.2.2

解体等工事を発注者から直接受注した者、いわゆる元請受注者業者のことをいう。受注者は、

解体等工事が特定工事に該当するか否か(特定建築材料が使用されていないか)について事前

調査を行い、当該工事の発注者に対して書面で結果を説明しなければならない。また、解体等

工事を施工するときには、石綿含有材料が使用されていない場合も含めて、事前調査結果等を

公衆の見やすい位置に掲示しなければならない。

石綿を含む建築材料が使用されている建築物等の解体等工事を行うときは、石綿含有成形板

等のみが使用されている場合も含めて、環境確保条例に基づき知事が定める作業上の遵守事項

に従って施工し、また、石綿の飛散状況の監視を行わなければならない。

自主施工者 3.2.3

請負契約によらずに、解体等工事を自ら施工する者のことをいう。自主施工者は、受注者と

同様に、解体等工事が特定工事に該当するか事前調査を行い、解体等工事を施工するときには、

事前調査結果等を公衆の見やすい位置に掲示しなければならない。

17 「床面積の算定方法について」(昭和61年4月30日建設省住指発第115号)

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石綿を含む建築材料が使用されている建築物等の解体等工事を行う場合には、発注者と同様

に届出を行わなければならない。また、受注者と同様に大気汚染防止法に基づく作業基準及び

環境確保条例に基づく作業上の遵守事項に従って施工し、また、石綿の飛散状況の監視を行わ

なければならない。

事前調査等 3.3

事前調査とは、建築物等の解体、改修工事に着手する前に石綿含有建材が使用されているか

どうかを調査することをいう。解体や改修を行う全ての建築材料が事前調査の対象であり、石

綿を含有しないことを証明できない場合には、分析調査により石綿含有の有無を確認するか、

又は石綿を含有するとみなして対策を行わなければならない(石綿含有吹付け材の場合、みな

しは不可)。

大気汚染防止法、環境確保条例及び石綿障害予防規則において、事前調査の実施義務は、解

体等工事の施工者(元請受注者又は自主施工者)が負っている。当該建築物等について発注者

が石綿含有調査を行っている場合であっても、施工者は、その調査内容について、結果(石綿

の有無)だけではなく調査方法や調査範囲等も含めて自らの責任で改めて確認し、調査漏れや

不明な点があれば必要な調査を行うこと。

また、発注者は、事前調査に要する費用を適正に負担するなど受注者が行う事前調査に協力

し、法令の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないよう配慮しなければならない。(大気汚染

防止法第18条の17、石綿障害予防規則第9条)

調査対象の工事 3.3.1

石綿が使用されている施設は、建築物だけでなく、橋りょうや化学プラントなど広範囲に及

んでいる。したがって、建築物だけではなく全ての工作物(土地に接着して人工的作為を加え

ることによって成立した施設等)について、解体や改修の工事を行う際には事前調査を実施し、

石綿の使用の有無を確認しなければならない(大気汚染防止法第18条の17第1項から第3項、

「作業上の遵守事項」第2 1)。

なお、大気汚染防止法では、平成18年9月1日以降に着工された建築物等は事前調査の対象

外としている(大気汚染防止法施行規則第16条の5)が、環境確保条例や石綿障害予防規則に

は例外規定はなく、全ての建築物等について事前調査を行う必要がある。設計図書等で着工年

次を確認し、石綿含有建材の使用が禁止された年次以降に着工されたことを確認することも事

前調査の方法の一つである。

事前調査を行う者 3.3.2

石綿を含有する建材は、鉄骨の耐火被覆材や配管等の保温材のほか、スレート板や床タイル、

内外装の仕上塗材など幅広い建材に使用されている(第2章を参照)。また、建築物等の改修や改

造、修繕などにより、当初施工された部位以外の箇所で使用されている場合もある。

事前調査が不十分であると工事を行う際に石綿を飛散させるおそれがあるため、石綿に関して

一定の知見を有し、的確な判断ができる者が調査を行い、使用されている石綿含有建材等の使用

箇所や種類等を網羅的に把握する必要がある。具体的には、次の3つの資格者が挙げられている18)。

建築物石綿含有建材調査者 ①

建築物石綿含有建材調査者講習登録規程(平成25年7月30日付 国土交通省告示第748号)に

18) 「「建築物等の解体等の作業での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針」の制定について」(平成24年5月9日付 基発0509第

10号、一部改正平成26年4月23日付 基発0423第7号)

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基づき国土交通省に登録された機関が行う講習を修了した者。修了者の名簿は、講習実施機関

(本マニュアル発行時点では、(一財)日本環境衛生センター)のホームページ等で確認できる。

一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録された者 ②

登録された者は、同協会のホームページで確認できる。

石綿作業主任者技能講習修了者のうち石綿等の除去等の作業の経験を有する者 ③

石綿作業主任者は、事前調査に特化した講習を受講したものではないことから、事前調査に

関する講習を受講するなど一定の知識を有することが望まれる。また、建築物や建材には様々

な種類があることから、解体等を行おうとする建築物に応じた経験を有する者が実施するべき

である。

調査対象とする建材 3.3.3

第2章で記載したとおり、石綿を含有する建材は、吹付け材、保温材等、成形板等の3つに

分類される。

大気汚染防止法に基づく事前調査では、行おうとする解体等工事が特定粉じん排出等作業に

該当するか否かを調べることとされているため、石綿を含有する吹付け材や保温材等の有無や

使用箇所等を調査する必要がある。(大気汚染防止法第18条の17)

一方、環境確保条例では、成形板等についても、石綿を含有しているか否かを調査すること

を義務付けている(環境確保条例第123条第2項、「作業上の遵守事項」第2)。

調査の具体的な手順 3.3.4

図5は、事前調査の基本的な流れを示したものである。

設計図書等による書面調査 ①

事前調査では、まず、既存の情報から石綿含有建材の有無に関する情報を得るとともに、現

地調査の計画を立てるため、発注者から設計図書や過去の調査記録等を入手し、書面調査を行

う。

書面調査においては、設計図書等を参照しながら、建築物の種別や用途、使用されている建

築材料の種類、施工年次、施工部位等を確認し、石綿を含有するか否かを判定する。参照する

書類の例としては、確認申請書、建築意匠設計図、竣工図、仕上げ表、仕様書、施工記録、維

持保全記録、竣工後の改修工事記録などがある。また、新築施工年、増改築や改修の有無など

を確認するため、必要に応じて関係者へのヒアリングを行う。

対象の建材が石綿を含有するかの判定に当たっては、設計図書等に記載されている材料の種

類名(「石綿○○」など)のほか、建材のメーカーや商品名が確認できた場合には、建築や改修

の施工年次と当該商品が石綿を含有していた時期とを照合して判断することができる。石綿含

有建材の商品名とその製造時期などの情報源には以下のようなものがある。なお、吹付け材の

施工では設計図書に記載のない資材を現場で混合、調製して使用した場合もあることに留意し、

施工記録や仕上表なども含め慎重に調査を行うこと。

● 石綿(アスベスト)含有建材データベース(国土交通省、経済産業省)

http://www.asbestos-database.jp/

● この家庭用品はアスベストが使用されているの?使用されている時には、処理はどうす

れば良いの?(環境省ホームページ)

http://www.env.go.jp/air/asbestos/index8.html

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図5 事前調査の流れ19)

● 関係業界団体のホームページに掲載された情報

ロックウール工業会、せんい強化セメント板協会、押出成形セメント板協会、

日本窯業外装材協会、インテリアフロア工業会、日本建築仕上材工業会など

● 各建材メーカーのホームページに掲載された情報

目視等による現地調査 ②

建築物等に使用されている建材に石綿が含有されているか否かは、設計図書等に明記されて

いない場合が多い。また、設計図書と異なる仕様で施工されたり、新築後に改修されたりした

ことで、設計図書等と現物とが異なっている場合もある。したがって、書面調査のみで判断せ

ず、必ず現地調査を行い、目視等により現物を確認することが必要である。

現地調査では、解体、改修を行おうとする範囲について、各室、各部位ごとに全ての建築材

料を目視し、現場で使用されている建材の種類や形状が、設計図書等の書面調査における情報

と相違がないかを確認すること。また、工事の進捗後でなければ調査が困難な箇所がある場合

には、そのことを事前調査結果に明記し、施工段階で確実に調査が行われるようにすること。

19) 厚生労働省:「「建築物等の解体等の作業及び労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務での労働者の石綿ばく露

防止に関する技術上の指針」に基づく石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル[2.11版]」(2017)

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吹付け材や保温材等は、石綿を含有するか否かを目視で判断することはできない。建築物の

着工時期や保温材等の商品名などにより石綿を含有しないことを証明できない場合には、分析

調査により石綿の有無を確認すること。

一方、成形板等については、建材の裏面等に記載されているメーカー名や商品名、ロット番

号、“a”マークなどを調べることによって石綿を含有するか否かを判断できる場合がある。こ

れらの方法で石綿を含有しないことを証明できない場合には、吹付け材や保温材等と同様に分

析調査により確認すること。

なお、保温材等及び成形板等については、石綿を含有するか否かが不明な場合に石綿含有建

材であると「みなし」て、石綿障害予防規則等に規定する措置を講ずる場合には、分析調査は

必要ないと規定されており(第3条第2項ただし書き)、大気汚染防止法20)や環境確保条例にお

いても同様の取扱いである。

【“a”マーク】

石綿含有建材を製造する業界においては建材メーカーでは、平成元年7

月以降に生産された石綿含有成形板についてからの製造分では質量で

5%を超えるもの、平成7年1月26日からの製造分では1%を超えるもの

に対して、自主的に20mm×20mmの大きさのアルファベットの“a”の文字

を押印などにより表示している。従って、このマークがあれば、石綿が含

有されていることになる。

ただし、平成元年7月から平成7年1月25日までの製造分又は出荷分では5%以下の、また、

平成7年1月26日から平成16年9月30日までの製造分では1%以下の石綿含有建材は規制され

ていなかったため、石綿を0.1%以上含む場合でも“a”マークは記載されていない。したがっ

て、“a”マークがないことをもって、石綿含有建材ではないとは判断できないことに注意が

必要である。

建材の分析調査 ③

書面調査及び現地調査で石綿を含有するか否かが明らかにならなかった建材については、試

料を採取して分析調査を行う必要がある(保温材等又は成形板等について、石綿含有建材であ

ると「みなす」場合を除く。)。

分析方法については、日本工業規格(JIS)A 1481-1、A 1481-2若しくはA 1481-3又はこれら

と同等以上の精度を有する分析方法を用いることとされている。「同等以上の精度を有する分析

方法」とは、次のⅰ)~ⅲ)の方法である21),22)。なお、ⅱ)及びⅲ)の分散染色法は、JIS A 1481-2

の8.2「位相差・分散顕微鏡による分散染色法」による定性分析方法に相当するものであるため、

これにより定量分析を行うことはできず、石綿の種類に応じた分散色が確認されなかった場合

に限り、石綿が0.1%を超えて含有していないものとして取扱うことができる。

ⅰ) 平成26年3月31日付けで廃止されたJIS A 1481「建材製品中のアスベスト含有率測定

方法」による分析方法(したがって、廃止前のJIS A 1481により、既に石綿等の使用の

有無の分析を行ったものについては、新設後のJIS法により改めて分析調査を行う必要は

ない。)

ⅱ) 廃止前の平成8年3月29日付け基発第188号「建築物の耐火等吹付け材の石綿含有率の

20) 「大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行等について」平成26年5月29日環水大大発第1405294号) 21) 「建材中の石綿含有率の分析方法について」(平成26年3月31日基発0331第31号、一部改正平成28年4月13日基発0413第3号) 22) 「建材中の石綿含有率の分析方法等に係る留意事項について」(平成26年3月31日基安化発0331第3号)

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判定方法について」の別紙の第3の3の「位相差顕微鏡を使用した分散染色法による分

散色の確認」による定性分析の方法

ⅲ) 廃止前の平成17年6月22日付け基安化発第0622001号「建材中の石綿含有率の分析方法

について」(以下「0622001号通達」という。)の別紙「建材中の石綿含有率の分析方法」

の2の(3)の①のイの「位相差顕微鏡を使用した分散染色分析法による定性分析」

分析調査に当たっては、上記のJIS等のほか、厚生労働省が策定している「アスベスト分析マ

ニュアル」の最新版の内容に留意すること。

また、石綿の分析は、十分な経験及び必要な能力を有する者が行う必要があり、具体的には、

次の者が挙げられている23。

● 公益社団法人日本作業環境測定協会が実施する「石綿分析技術の評価事業(石綿分析に

係るクロスチェック事業)」により認定されるAランク又はBランクの認定分析技術者。

※Aランクの分析技術者が在籍する分析機関を選定することが望ましい。

● 一般社団法人日本環境測定分析協会が実施する「アスベスト偏光顕微鏡実技研修修了者」

又は「アスベスト偏光顕微鏡インストラクター」。

※同協会が別に実施している分析技能試験の合格者が在籍する分析機関や合格試験所

を選定することが望ましい。

なお、アスベストの含有状況を調査するために行う少量の建材採取は、建築物等を解体し、

改造し、又は補修する作業でないため特定粉じん排出等作業には該当せず、大気汚染防止法及

び環境確保条例に基づく届出は必要ない。

ただし、建材にアスベスト含有されていた場合、採取の際に石綿が飛散するおそれがあるた

め、分析機関と分析依頼者のどちらが採取を行う場合であっても、石綿に関し一定の知見を有

し、的確な判断ができる者(3.3.2を参照)が、石綿の飛散、ばく露防止対策を実施した上で採

取すること。試料の採取に当たっては、JIS規格や厚生労働省の「アスベスト分析マニュアル」

の規定に加え、次の点などに留意すること。

● 国家検定合格の防じんマスクを着用する。

● 採取箇所を湿らせてから採取する。

● 石綿含有の可能性がある建材に損傷を与え、粉じんが飛散しやすい状態となるため、採

取後は、補修を行うなどの措置を講じる。

● HEPAフィルター付きの真空掃除機で、発生する粉じんを吸引しながら採取すること

が望ましい。

過去に実施された分析調査の結果に関する留意事項 ④

現在、大気汚染防止法や環境確保条例、労働安全衛生法などの法令では、6種類の石綿(ク

リソタイル、クロシドライト、アモサイト、アンソフィライト、トレモライト及びアクチノラ

イト)のいずれかを質量で0.1%以上含有するものを、「石綿を含有する」として規制対象とし

ている。

これまで、規制対象となる石綿は各法令の改正とともに変更されてきたことから、過去に行

った分析調査の結果を用いる際には、次の点に注意する必要がある。

● 平成18年9月1日より、規制対象が、石綿の質量が当該建築材料の質量の1%を超える

23) 「「建築物等の解体等の作業での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針」の制定について」(平成24年5月9日付 基発0509第

10号、一部改正平成26年4月23日付 基発0423第7号)

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ものから石綿の質量が当該建築材料の質量の0.1%を超えるものへと変更された。

このため、平成18年8月31日以前に行った分析結果では、0.1%超の石綿を含有している

場合でも、1%以下という意味で「石綿なし」と記載されている場合があるため、注意す

ること。分析調査の報告書等を精査し、含有率が0.1%以下であることが確認できない場合

には、改めて分析調査を行う必要がある。

● 角閃石族のアンソフィライト、トレモライト及びアクチノライトについては、石綿原料

として国内での使用はないとされてきたが、平成19年度末以降、建築物の吹付け材からト

レモライト等が検出された事例がある。これを受けて、平成20年2月6日には、アンソフ

ィライト、トレモライト及びアクチノライトを含む6種類の石綿の分析を徹底するよう、

厚生労働省から通知された24)。

平成20年2月5日以前に行われた材質分析では、クリソタイル、アモサイト、クロシド

ライトの3種類のみを分析した場合があるため注意すること。石綿を含有しないという分

析結果があっても6種類を対象としていない場合には、改めて材質分析を行う必要がある。

発注者への説明等 3.3.5

大気汚染防止法では、解体等工事を請け負った受注者は、発注者に対して、当該解体等工事

が特定工事に該当するか否かの調査結果について、必要な事項を記載した書面を交付して説明

しなければならないと規定している(大気汚染防止法第18条の17)。

交付する書面について法令に基づく様式は定められていないが、一般社団法人JATI協会

がホームページに掲載している「アスベスト有無に関する事前調査結果報告書モデル様式」25)

などが参考となる。

また、発注者は、当該解体等工事が特定工事に該当する場合には大気汚染防止法及び環境確

保条例に基づき、届出を行わなければならない。事前調査結果について、受注者から書面で説

明を受け、受注者が石綿に関し一定の知見を有し、的確な判断ができる者に事前調査を実施さ

せたか、調査箇所が工事の範囲を網羅しているか等を確認すること。

説明の時期 ≪大気汚染防止法施行規則第16条の6≫ ①

ⅰ)特定工事に該当する場合(解体、改修しようとする建築物等に石綿を含有する吹付け材

又は保温材が使用されている場合)は、次の(ア)、(イ)のいずれか早い日まで

(ア) 特定粉じん排出等作業(石綿を含有する吹付け材又は保温材等を除去や封じ込め、

囲い込みに関する一連の作業)を開始する日の14日前

(イ) 当該工事(石綿含有建材の除去以外の工程も含む。)を開始する日

ⅱ)特定工事に該当しない場合は、工事の開始の日まで

説明する事項 ②

全ての解体等工事(石綿含有建材が使用されていない場合も含む。)において、次のⅰ)から

ⅲ)を説明しなければならない。また、石綿を含有する吹付け材や保温材等が使用されている

場合には、ⅳ)からⅺ)も合わせて説明する必要がある(大気汚染防止法施行規則第16条の7、

第16条の8)。

ⅰ)調査を終了した年月日

ⅱ)調査方法(どのような資格を持った者がどのように調査したのかを具体的に記載する。)

24) 「石綿障害予防規則第3条第2項の規定による石綿等の使用の有無の分析調査の徹底等について」(平成20年2月6日基安化発第0206003

号) 25) 一般社団法人JATI協会:「石綿有無の調査」(http://www.jati.or.jp/chousa/)(最終閲覧日:2017年12月1日)

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ⅲ)調査結果(特定工事に該当するか否かを記載する。)

ⅳ)特定粉じん排出等作業の種類

ⅴ)特定粉じん排出等作業の実施の期間

ⅵ)特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分における特定建築材料の種類並びに

その使用箇所及び使用面積

ⅶ)特定粉じん排出等作業の方法

ⅷ)特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の概要、配置図及び付近の状況

ⅸ)特定粉じん排出等作業の工程を明示した特定工事の工程の概要

ⅹ)特定工事を施工する者の現場責任者の氏名及び連絡場所

ⅺ)下請負人が特定粉じん排出等作業を実施する場合の当該下請負人の現場責任者の氏名及

び住所

環境確保条例に基づく届出が必要な場合(使用されている石綿含有吹付け材の面積が15㎡以

上、又は当該建築物等の延べ面積が500㎡以上のいずれかに該当する場合)には、次の事項も合

わせて説明しなければならない(「作業上の遵守事項」第1 7)。

●石綿の飛散防止方法

(作業場の隔離方法、集じん排気装置の能力、維持管理、隔離用シートの撤去など)

●排水の処理方法

(石綿を含有する水が発生しない場合にはその旨を説明する。)

●作業中等における大気中の石綿濃度の測定方法

●粉じんの飛散防止方法

(石綿以外の一般粉じんも含め、工事現場全体から発生する粉じんの飛散を防止するため

に講じる、防じんシートや散水等の具体的な対策を説明する。)

事前調査結果の掲示 ≪大気汚染防止法第18条の17第4項≫ ③

解体等工事の受注者等は、解体等工事を行う際は、石綿含有建材が使用されているか否かに

かかわらず、実施した事前調査の結果を掲示板により公衆に見やすいよう掲示しなければなら

ない(詳細は3.6.1を参照)。

作業実施届等の提出 3.4

建築物等の解体、改修の工事を行う際には、大気汚染防止法や環境確保条例をはじめ、各法

令等に基づき届出の提出が必要となる。

大気汚染防止法及び環境確保条例に基づく届出≪大気汚染防止法第18条の15第1項及び第23.4.1

項、環境確保条例第124条第1項≫

特定工事を実施する際には、特定工事の発注者又は特定工事を自ら施工する者(以下「発注

者等」という。)が、大気汚染防止法及び環境確保条例に基づき届け出なければならない。

届出対象となる石綿含有建材(特定建築材料) ①

大気汚染防止法及び環境確保条例においては、解体や改修の工事を行う建築物等に、石綿含

有吹付け材(石綿含有ひる石吹付け材や、吹付け施工された石綿含有仕上塗材等も含む。)又は

石綿含有保温材等が使用されている場合に届出が必要である(環境確保条例については一定の

規模要件以上の場合)。

大気汚染防止法では、「建材の製造又は現場施工における建材の調製に際して石綿を意図的に

含有させたもの」及び「石綿の質量が当該建材の質量の0.1%を超えるもの」を石綿含有として

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取扱うこととされている26)。環境確保条例においても同様に取扱う。

届出対象の工事 ②

大気汚染防止法では、特定建築材料が使用されている建築物その他の工作物を解体し、改造

し又は補修する作業(特定粉じん排出等作業)を伴う建設工事(特定工事)について、建築物

等の規模や石綿の使用量、除去量にかかわらず、作業実施届を提出する義務を規定している。

したがって、石綿含有吹付け材又は石綿含有保温材等が使用されている建築物等の一部又は

全部に手を加える行為全般が届出の対象となる。

●解体作業… 既存建築物等の全部又は一部を取り壊す行為をいう。特定建築材料が使用さ

れている場合には、解体に先立って除去する必要がある。

●改修作業… 既存建築物等の構造以外の全部又は一部を除却する、規模の著しく異ならな

い範囲で修繕する、模様替えを行うなど、建築物等の一部に手を加える行為で

解体以外のもの全般をいう。特定建築材料が使用されている場合には、除去、

封じ込め又は囲い込みのいずれかを選択することができる。

●除 去… 既存の特定建築材料を下地から取り除く工法をいう。改修工事の場合には石

綿を含有しない建材等への代替などを行う。

●封じ込め… 既存の特定建築材料を除去せずに石綿飛散防止剤を吹き付け又は含浸させ、

被覆又は固定化することで石綿粉じんの飛散防止を図る工法をいう。

●囲い込み… 既存の特定建築材料を除去せずに板状の材料等で完全に覆い、人が活動する

ことが想定される空間に露出しないように密閉することで石綿粉じんの飛散防

止を図る工法をいう。

【石綿含有保温材の除去が特定粉じん排出等作業に該当しない例】

大気汚染防止法では、建築物その他の工作物を解体・改造・補修する作業の場所から排出、

飛散する石綿の粉じんが大気汚染の原因となるおそれのある作業を特定粉じん排出等作業と規

定している。環境確保条例においても同様の取扱いをしている。

したがって、例えば、配管の曲線部のみが石綿を含有する保温材で覆われている場合に、保

温材で覆われていない直線部分を切断して配管ごと保温材を取り外す作業において、当該作業

の場所から石綿の粉じんが排出されず、かつ、飛散しない場合には、当該作業は特定粉じん排

出等作業に該当せず、大気汚染防止法及び環境確保条例に基づく届出は必要ない。ただし、上

記の事例において、保温材の劣化などにより当該作業に伴い石綿が飛散するおそれがある場合

や、当該作業時の振動等により近傍の特定建築材料から石綿が飛散するおそれがある場合には、

当該作業が特定粉じん排出等作業になり得ることに留意する必要がある27)。

なお、配管ごと保温材を取り外す作業は、広い意味で保温材を「除去」する作業にあたるこ

とから、特定粉じん排出等作業に該当しない作業であっても、石綿障害予防規則第5条第1項

に基づく届出その他必要な措置を講じなければならないことにも充分に留意する必要がある28)。

また、大気汚染防止法の届出対象である特定工事のうち、次のⅰ)又はⅱ)のいずれかに該当

する工事については、環境確保条例に基づき「飛散防止方法等計画」の届出も必要となる(環

26) 「石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律の施行等について(通知)」(平成18年9月5日付

け環水大大発第060905003号) 27) 「大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令の施行等について」(平成18年1月11日環水大大060111001号) 28) 「石綿障害予防規則第5条に基づく作業の届出について」(平成17年4月27日基安化発第0427001号)

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境確保条例施行規則第60条)。

ⅰ) 使用されている石綿含有吹付け材の面積が15㎡以上の場合

ⅱ) 当該建築物等の延べ面積(建築物以外の工作物の場合には築造面積。3.1.4を参照。)

が500㎡以上の場合。なお、建築物の一部を解体、改修する場合であっても、当該建築物全

ての階の床面積の合計で算定すること。

届出の期日 ③

届出は、特定建築材料が使用されている建築物等を解体、改造、補修する作業(特定粉じん

排出等作業)を開始する日の14日前までに行わなければならない。

ここで、特定粉じん排出等作業を開始する日とは、特定建築材料の除去等に係る一連の作業

の開始日であり、例えば、作業区画の隔離や集じん・排気装置の設置等の飛散防止対策のため

の作業を開始する日である。

届出窓口 ④

大気汚染防止法及び環境確保条例に基づく届出の提出先は、表5のとおりである。各窓口の電

話番号等詳細については、第5章に記載した。

表5 大気汚染防止法及び環境確保条例の届出窓口

工事の場所 届出先(窓口)

特別区(23区) 各特別区の環境主管課(83ページを参照)

八王子市 八王子市環境部環境保全課

八王子市以外の市

【延べ面積が2,000㎡未満の建築物の工事の場合】

各市の環境主管課(84ページを参照)

【その他の工事の場合】

東京都 多摩環境事務所 環境改善課

西多摩郡の町村 東京都 多摩環境事務所 環境改善課

島しょの町村 東京都 環境局 環境改善部 大気保全課

届出様式 ⑤

大気汚染防止法に基づく届出は「様式第3の4(特定粉じん排出等作業実施届出書)」により、

正本に写し1通を添えて提出すること。原則として作業場ごとに届出を作成し、提出する必要

があるが、同一の建築物において複数の作業が行われる場合、又は同一の事業場において複数

の作業が行われる場合(例えば、同一敷地内の複数の建屋を短期間で一斉に解体する場合など)

には、1件の届出書で届け出ることができる。なお、様式の別紙「特定粉じん排出等作業の方

法」については、必要な事項を一覧表として取りまとめたものを添付してもよい。

また、使用されている石綿含有吹付け材の面積が15㎡以上、又は当該建築物等の延べ面積が

500㎡以上のいずれかに該当する場合は、環境確保条例に基づく届出も必要となる。原則として

工事ごとに、「第35号様式(石綿飛散防止方法等計画届出書)」により、正本に写し1通を添え

て提出すること。

届出の添付書類 ⑥

大気汚染防止法及び環境確保条例の届出に当たっては、届出様式(⑤)に加え、工事の詳細

な内容がわかる施工計画書(原則として日本工業規格A4版とし、表紙に特定工事の名称を記

載すること。)を、届出の正本及び写しにそれぞれ一式ずつ添えて提出すること。

東京都に届出を行う場合に添付を求めている事項を次に示す。なお、届出先が区市である場

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合には、各区市の窓口に詳細を確認されたい。

ⅰ)特定工事の名称

表紙に、「特定粉じん排出等作業実施届出書」に記載した特定工事の名称を記載する。

ⅱ)付近の見取図

当該工事場所の周囲50m以内の建築物等の配置状況が分かるもの

ⅲ)次の内容を記載した配置図

● 敷地内の全ての建築物その他の主要な構造物の配置状況

● 工事現場全体から発生する一般の粉じんの飛散防止のための防じんシート等の設

置位置

● 事前調査結果の掲示及び特定粉じん排出等作業の実施に関する掲示の表示位置

● 敷地境界等における大気中の石綿濃度の測定位置

● 廃石綿等その他の廃棄物の保管の場所

ⅳ)建築物等の概要

建築物等の構造、建築年、敷地面積等を記載したもの

ⅴ)除去作業管理組織図

発注者、受注者(元請)、除去作業に関わる事業者、測定業者、産廃処理業者等の一覧

ⅵ)特定建築材料一覧表

特定建築材料の種類、石綿含有率、使用箇所、使用面積等の一覧。事前調査結果報告

書や石綿含有分析結果の写し等、石綿含有の有無の判断根拠となる資料も添付する。

ⅶ)工程表

資材搬入―掲示板設置―隔離養生―除去作業―測定―養生解除―清掃―廃棄物搬出ま

での各作業工程の期間がわかるもの。

ⅷ)除去等作業の方法

● 除去等作業の手順フロー図

● 石綿の排出抑制・飛散防止の方法、除去や封じ込め・囲い込みの工法等

・使用する薬剤(粉じん飛散抑制剤(湿潤剤)や粉じん飛散防止処理剤(固化材)、

剥離剤等)や資機材について、適用条件や能力、使用方法等が確認できる資料

(取扱説明書等)を添付すること。

・建築用仕上塗材の除去等で「同等以上の措置」を講じる場合は、当該工法が通

常の方法(作業場の負圧隔離等)と同等以上の効果を有する根拠(試験施工の

結果等)を添付すること。

● 集じん排気装置の稼働状況の確認方法

● 作業場・前室の負圧確認方法

ⅸ)作業区画の説明図

● 作業工事部分の見取図(作業区画の寸法、除去等箇所)

● 隔離・養生箇所とその方法(セキュリティゾーン、集じん・排気装置、排気口の

位置等を色分けするなどわかりやすく表示すること)

ⅹ)設置する掲示の内容

事前調査結果の掲示及び特定粉じん排出等作業の実施に関する掲示板の写し

ⅺ)石綿濃度の測定に関する資料

選択した分析方法及びその根拠(使用されている石綿の種類に関する資料)、測定を

実施する分析機関など

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ⅻ)廃棄物の処理計画

廃石綿等や石綿含有産業廃棄物の発生量、処理方法、収集運搬業者、処分先を記載

したもの

【粉じん飛散抑制剤と粉じん飛散防止処理剤29】

粉じん飛散抑制剤(湿潤剤)は、石綿含有吹付け材等の内部に浸透し、石綿繊維を結合さ

せ、除去時に粉じん飛散を抑制させるもの。水に比べて表面張力を減らし、吹付け材等に吸

収されやすいものとなっている。除去工事の際の湿潤化のために使用するほか、除去作業中

や負圧隔離の解除前に作業場内の浮遊粉じんの沈降促進のために空中散布する。また、除去

した廃棄物を袋に入れる際に、安定化処理するために使用する。

粉じん飛散防止処理剤(固化剤)は、表面に皮膜を形成し残存する粉じんの飛散を防止す

るためのもの。石綿含有吹付け材を除去した後の表面に吹き付けて除去面からの粉じん飛散

を防止するほか、隔離養生シートを撤去する際に付着している粉じんを固定するために噴霧

する。また、隔離作業場内で使用した工具等の搬出に当たっては、付着している石綿を濡れ

ウエス等でふき取ったのち、粉じん飛散防止処理剤を噴霧し残存する粉じんの飛散を防止す

る。なお、封じ込め作業においては、建築基準法第37条に基づいて国土交通大臣の認定を受

けた粉じん飛散防止剤を使用しなければならない。

届出内容に変更が生じた場合 ⑦

届け出た作業計画の内容に変更が生じた場合には、速やかに所管窓口に相談すること。また、

着工後に当初予定していなかった特定建築材料が発見された場合には、直ちに作業を中止し、

所管窓口に連絡するとともに、石綿の飛散やばく露を防止するために必要な応急措置を講ずる

こと。

その他の法令等に基づく届出 3.4.2

石綿含有建材が使用されている建築物等の解体、改修を行うに当たっては、大気汚染防止法

及び環境確保条例に基づく届出以外にも、法令や自治体の条例等による届出等が必要となる。

特に石綿対策に関連したものを次に例示するが、これ以外にも様々な法令等による規制があ

るので、法令等の適用関係には十分留意し、不明な場合には自治体や国の機関等によく確認す

ること。

● 労働安全衛生法に基づく「建設工事計画届」又は石綿障害予防規則に基づく「建

築物解体等作業届」の提出(各労働基準監督署)

● 建設リサイクル法に基づく「届出書」の提出(各特定行政庁)

● 東京都における特別管理産業廃棄物管理責任者設置に係る要綱に基づく「特別管

理産業廃棄物管理責任者設置報告書」や「廃石綿等処理計画書」の提出(東京都環

境局)

29) 厚生労働省:「「建築物等の解体等の作業及び労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務での労働者の石綿ばく露

防止に関する技術上の指針」に基づく石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル[2.11版]」(2017)

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様式第3の4

特定粉じん排出等作業実施届出書

年 月 日

東京都知事 殿

届出者 印

(氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名)

電話番号

特定粉じん排出等作業を実施するので、大気汚染防止法第 18条の 15第1項(第2項)の規定により、

次のとおり届け出ます。

特定工事の場所

(特定工事の名称)

特定工事を施工する者の氏名

又は名称及び住所並びに法人

にあっては、その代表者の氏名

特定粉じん排出等作業の種類

大気汚染防止法施行規則別表第7

1の項 建築物等の解体作業(次項又は3の項を除く)

2の項 建築物等の解体作業のうち、石綿を含有する断熱材、保温

材又は耐火被覆材を除去する作業(掻き落とし、切断、又は破

砕以外の方法で特定建築材料を除去するもの)(次項を除く。)

3の項 特定建築材料の事前除去が著しく困難な解体作業

4の項 改造・補修作業 (件)

特定粉じん排出等作業の実施

の期間

自 年 月 日

至 年 月 日

※整理番号

※受理年月日

特定建築材料の種類

1 吹付け石綿

2 石綿を含有する断熱材

3 石綿を含有する保温材

4 石綿を含有する耐火被覆材

※審査結果

特定建築材料の使用箇所 見取図のとおり。

特定建築材料の使用面積 ㎡

特定粉じん排出等作業の方法 別紙のとおり。

項 特定粉じん排出等作業の

対象となる建築物等の概

建築物(耐火・準耐火・その他)

延べ面積 ㎡( 階建)

※備考

その他工作物

特定工事を施工する者の

現場責任者の氏名及び連

絡場所

電話番号

下請負人が特定粉じん排

出等作業を実施する場合

の当該下請負人の現場責

任者の氏名及び連絡場所

電話番号

備考 1 特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分の見取図を添付すること。見取図は、主要寸法及び特定建築

材料の使用箇所を記入すること。

2 参考事項の欄に掲げる事項は必須の記載事項ではないが、同欄に所定の事項を記載した場合は、同欄をもつて、

大気汚染防止法施行規則第 10条の 4第 2項第 1号に規定する事項のうち特定粉じん排出等作業の対象となる建築

物等の概要及び同項第 3号及び第 4号までに規定する事項を記載した書類とみなす。

3 ※印の欄には、記載しないこと。

4 届出書、見取図及び別紙の用紙の大きさは、図面、表等やむを得ないものを除き、日本工業規格 A4とすること。

5 氏名(法人にあつてはその代表者の氏名)を記載し、押印することに代えて、本人(法人にあつてはその代表者)

が署名することができる。

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別紙

特定粉じん排出等作業の方法

特定建築材料の処理方法 除 去・囲い込み・封じ込め・その他

集じん・排気装置

種類・型式・設置数

排気能力(㎥/min)

(1時間当たり換気回数 回)

使用するフィルターの種類及

びその集じん効率(%)

使用する資材及びその種類

その他の特定粉じんの排出又は飛散

の抑制方法

備考 1 本様式は、特定粉じん排出等作業ごとに作成すること。

2 使用する資材及びその種類の欄には、湿潤剤・固化剤等の薬液、隔離用のシート・接着テープ等の特定粉じん排

出等作業に使用する資材及びその種類を記載すること。

3 その他の特定粉じんの排出又は飛散の抑制方法の欄には、大気汚染防止法施行規則別表第7に規定する「同等以

上の効果を有する措置」の内容、散水の方法、囲い込み又は封じ込めの方法等を記載すること。

4 作業場の隔離又は養生の状況、前室及び掲示板の設置状況を示す見取図を添付すること。見取図は、主要寸法、

隔離された作業場の容量(㎥)並びに集じん・排気装置の設置場所及び排気口の位置を記入すること。

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第 35号様式(第 60条関係)

石綿飛散防止方法等計画届出書

年 月 日

東京都知事 殿

住所

氏名 ㊞

(法人にあっては名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

都民の健康と安全を確保する環境に関する条例第 124条第1項の規定により、次のとおり届け出ま

す。

特定工事の名称

石綿の飛散防止方法

作業場の隔離方法

作業場の集じん・排気装置の

能力等

集じん効率 %

作業場の負圧確保に必要な排気風量の計算根拠

作業場の容量 ㎡×高さ m= ㎥

必要な排気風量 ㎥÷15分= ㎥/分

排気能力 ㎥/分× 台= ㎥/分

集じ

ん・

排気

装置

等の

維持

管理

作業場の隔離状態の維

集じん・排気装置の性

能確保のための維持管

隔離用シートの撤去

排 水 の 処 理

石 綿 濃 度 の 測 定

粉じん飛散防止方法

備考 1 特定工事の名称欄には、大気汚染防止法施行規則に規定する様式第 3の 4に記載する特定工事の名称を転記する

こと。

2 この様式各欄に記入しきれない場合は、別紙に記入し添付すること。

3 標準作業工程図(吹き付け石綿及び石綿保温材の除去等の作業の流れが分かるもの)及び工程表を添付すること。

(日本工業規格 A列 4番)

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石綿濃度の測定 3.5

環境確保条例に基づく敷地境界における測定 3.5.1

≪環境確保条例第123条第2項、環境確保条例施行規則第59条≫

環境確保条例では、解体等工事における石綿飛散防止対策が十分であるかを確認するため、

一定の要件に該当する工事について、工事開始前、作業の施工中及び工事終了後に、敷地境界

における大気中の石綿濃度を測定することを義務付けている。

対象となるのは、「飛散防止方法等計画」の届出が必要な工事(使用されている石綿含有吹付

け材の面積が15㎡以上、又は当該建築物等の延べ面積が500㎡以上のいずれかに該当する場合

(詳細は3.4.1を参照。)である。

【条例の届出が必要な工事で、敷地境界における測定を行わなくてもよい場合】

環境確保条例に基づく届出が必要な工事(石綿含有建築物解体等工事)のうち「作業の箇

所が局所であって、知事が認める石綿の飛散防止方法によるもの」については、石綿の飛散

状況の監視方法として、敷地境界における大気中の石綿濃度測定ではなく、目視による監視

でよいとしている(環境確保条例施行規則第59条及び別表第13)。具体的には、「局所に使用

されている特定建築材料を、グローブバッグを用いて除去する方法」(3.7.3①を参照)につ

いて目視での監視を認めている。

なお、除去作業の箇所が極めて多い場合や、長大なグローブバッグを使用して複数の作業

員で同時に除去する場合など、状況によっては、敷地境界における石綿濃度測定が必要とな

る場合がある。

測定の時期、回数 ①

環境確保条例に基づく石綿濃度の測定は、工事開始前、作業の施工中及び工事終了後に行わ

なければならない。

ⅰ)工事開始前

現場周辺のバックグラウンド濃度を把握するためのもので、建築物等の解体・改修工

事が全く行われていない状態で、1回以上の測定を実施する。

ⅱ)作業の施工中

作業場の隔離、集じん・排気装置の設置などによる飛散防止の程度を把握し、当該工

事に伴う現場周辺への石綿の飛散状況を監視するために、1回以上の測定を実施する。

ただし、作業の施工期間が6日を超える場合には施工期間の6日ごとに1回以上、一つ

の建築物や事業場において複数の区画(作業場)にわたって施工する場合には区画ごと

に1回以上となるように実施しなければならない。

ここで、施工期間とは、特定建築材料の除去、囲い込み又は封じ込めの作業の開始日

から終了日までであり、通常の方法で作業場を負圧隔離する場合には、初めて特定建築

材料の除去等の作業を行う日から、除去等が完了し養生シート撤去など隔離の解除に着

手する日までの期間である。

また、区画については、通常の方法で作業場を負圧隔離する場合にはその範囲が一つ

の区画である。吹付け施工された石綿含有仕上塗材を「同等以上の効果を有する措置」

を講じて除去する作業(3.7.3②)や、成形された保温材等を原形のまま取り外す作業

(3.7.4)など負圧隔離を行わない作業の場合には、養生の範囲や工法・器具・作業員等

の施工管理の観点から一連の作業とみなせる作業を行う範囲を一つの区画として扱う。

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なお、複数の区画で並行して施工する場合、重複している期間に行った測定は、それ

ぞれの区画について測定を実施したものとして扱ってよい。

ⅲ)工事の終了後

除去等の作業及び後片付け、仕上げ清掃が適切に完了したことを確認するため、石綿

含有建材の除去、封じ込め、囲い込みの作業が終了し、廃石綿等の工事現場からの搬出

が完了して、最終の仕上げ清掃までを行った後に、1回以上の測定を実施する。原則と

して、当該現場における解体・改修工事に係る全ての作業(解体工事の場合には、躯体

の解体、搬出まで)が終了した後に実施すること。

測定位置 ②

環境確保条例に基づく石綿濃度の測定箇所は、工事場所の敷地境界線上で、集じん・排気装

置の排出口に最も近い場所を含めた周辺4方向の場所とする。

防じんシート、防じんパネル等の覆いや鉄板の囲いが敷地境界線上にあるときは、隣地の土

地所有者等に了解を得た上で、敷地境界線の外側の直近の位置とする。また、敷地が広く、解

体等工事を行う場所の直近で多数の人の通行がある場合等については、設定した立入禁止区域

の境界を敷地境界とみなして測定箇所を設定すること。

測定方法 ③

環境確保条例に基づく石綿濃度の測定方法は、工事開始前、作業の施工中、工事終了後にお

いて同一であり、次に掲げる方法のうち、石綿の種類(クリソタイル、クロシドライト、アモ

サイト、アンソフィライト、トレモライト、又はアクチノライト)に応じて適切であると認め

られるものにより行う。測定は、作業環境測定機関又はこれと同等の技術を有する分析会社に

委託して実施する。

ⅰ)大気汚染防止法施行規則第16条の2及び第16条の3第1号の規定に基づき、環境大臣が

定める石綿に係る濃度の測定方法の例による方法

具体的には、「石綿に係る特定粉じんの濃度の測定法」(平成元年12月27日環境庁告示

第93号)である。この方法は、使用されている石綿がクリソタイルのみであると判明し

ている場合に限り用いることができる。

ⅱ)十分な精度を有するものとして知事が別に定める方法

「アスベストモニタリングマニュアル(第4.1版)」の「3.1 施工区画周辺等にお

ける測定方法」により石綿を測定する方法とする。この方法は、使用されている石綿の

種類にかかわらず用いることができる。

図6に示す測定手順により、(ア)位相差顕微鏡法(PCM法)で総繊維数を計数し、総

繊維数が1f/Lを超過したものについては電子顕微鏡法(A-SEM法又はA-TE

M法)により確認を行うか、(イ)最初から電子顕微鏡法により位相差顕微鏡法で計測で

きるものと同等サイズの繊維を計数する。

なお、同マニュアルの「3.2 発生源近傍及び集じん・排気装置排出口等における

漏えい監視・管理のための測定方法」及び「【参考資料】解体現場等におけるその他迅速

な測定方法の紹介」で示されている方法は、環境確保条例に基づく敷地境界における測

定の方法としては用いることはできない。

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図6 解体現場における通常の測定フロー30)

測定結果の評価 ④

大気汚染防止法や環境確保条例では、解体等工事に関する石綿大気濃度の規制基準は設けら

れていないが、近年の一般大気環境中における総繊維数濃度(石綿以外の繊維も含む。)が概ね

1本/L以下であることから、漏えい監視の観点からは「石綿(アスベスト)繊維数濃度1本

/L」を評価の目安とすることが適当である31)。測定の結果、石綿濃度が1本/Lを超えてい

た場合には、作業場からの漏えいが疑われるため、直ちに作業を中止し、隔離養生や集じん・

排気装置の点検を行うなど必要な措置を講じること。

測定結果の記録 ⑤

環境確保条例に基づく石綿大気濃度測定の結果については、これを記録し、3年間保存する

ことが義務付けられている。3.9.2①も参照されたい。

作業場の近傍での測定 3.5.2

敷地境界での監視に加えて、作業場の隔離状態、集じん・排気装置の性能の把握や、作業場

内部における石綿飛散抑制の実効性の把握のため、除去作業中の前室の入口や集じん・排気装

置の排出口の付近など、作業場直近の外周においても、適宜、石綿濃度の測定を行うことが望

ましい。「アスベストモニタリングマニュアル(第4.1版)」では、前室の出入口や集じん・排気

装置の排気口など発生源近傍における迅速な測定方法についても記載されているので参考にさ

れたい。

この測定においても、1本/Lを超える石綿が検出された場合には、直ちに作業を中止し、

必要な措置を講じること。

30) 環境省水・大気環境局大気環境課「アスベストモニタリングマニュアル(第4.1版)」(2017) 31) 環境省水・大気環境局大気環境課「建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル2014.6」(2014)

解体現場等で捕集した試料

位相差顕微鏡法

電子顕微鏡法

※A-SEM、A-TEMの どちらでも可

アスベストの

同定・計数

総繊維数と

して表記

※総繊維数1本/Lを超過

※総繊維数1本/L以下

電子顕微鏡法

※A-SEM、A-TEMの どちらでも可

アスベストの

同定・計数

総繊維数を減らすため

に、低温灰化も可

(ア) (イ)

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工事開始前の措置 3.6

解体等工事に着手する前には、石綿含有建材の有無にかかわらず全ての工事において、事前

調査結果の掲示が必要である。また、特定建築材料(石綿を含有する吹付け材や保温材等)が

使用されている場合には、特定工事の実施に関する掲示を行い、一定の規模要件を上回る場合

には敷地境界における大気中の石綿濃度の測定が必要となる。

なお、一部の特別区や市では、独自の条例又は要綱に基づき、掲示板の設置や住民説明会の

開催等を義務付けているところもあるので、留意が必要である。

事前調査結果の掲示≪大気汚染防止法第18条の17第4項、同法施行規則第16条の9及び第16条の10≫ 3.6.1

解体等工事の受注者等(元請業者又は自主施工者)は、工事に着手する前に、当該建築物に

石綿含有建材が使用されているかどうかを調査しなければならない(3.3を参照)。

実施した事前調査の結果は、石綿含有建材が使用されているか否かにかかわらず、全ての解

体等工事の現場において、掲示板を設置し、次の事項を公衆に見やすいよう掲示しなければな

らない。

なお、掲示の様式は定められていないが、一般社団法人日本建設業連合会がホームページに

掲載しているモデル様式などが参考となる。また、3.6.2で述べる特定工事に該当する場合の掲

示や、石綿障害予防規則など他法令に基づく掲示(公衆に見やすい位置に設置されているもの)

と重複する記載事項については、まとめて表示しても構わない。

●調査結果

特定工事に該当するかしないかを明示する。

●調査者の氏名(法人の場合は名称と代表者の氏名)と住所

現地調査や材質分析を行った者ではなく、大気汚染防止法に基づく事前調査の実施義務

者である解体等工事の受注者等(元請業者又は自主施工者)を表示する。

●調査を終了した年月日

●調査方法

調査範囲、実施した調査方法の概要(書面調査、現地調査、建材の分析の別)、書面調査

や現地調査を行った者の氏名、建材の分析を行った分析機関の名称などを記載する。

●特定工事に該当する場合は、特定建築材料の種類と使用箇所

なお、石綿含有成形板等は大気汚染防止法による事前調査及び調査結果の掲示の対象外

であるが、環境確保条例に基づく作業上の遵守事項により石綿含有成形板等についても事

前調査が義務付けられている。周辺住民等とのリスクコミュニケーションの観点から、石

綿含有成形板等の使用の有無や使用箇所についても併記することが望ましい。

特定工事に係る掲示 ≪大気汚染防止法第18条の14、同法施行規則第16条の4第1項≫ 3.6.2

実施しようとする解体等工事が特定工事に該当する場合は、次に示す事項を表示した掲示板

の設置が必要である。

●「特定粉じん排出等作業実施届出書」の届出年月日及び届出先

●届出者の氏名(法人の場合は名称と代表者の氏名)及び住所

●特定工事を施工する者の氏名(法人の場合は名称と代表者の氏名)及び住所

●特定粉じん排出等作業を実施する期間

●特定粉じん排出等作業の方法

●特定工事を施工する者の現場責任者の氏名及び連絡場所

敷地境界における石綿濃度の測定 ≪環境確保条例第123条第2項、同条例施行規則第59条≫ 3.6.3

環境確保条例に基づく届出が必要な工事(石綿含有建築物解体等工事)については、施工者

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は、工事開始前、作業の施工中及び工事終了後における敷地境界における大気中の石綿濃度を

測定し、その結果を記録し、3年間保存しなければならない。詳細は3.5を参照のこと。

作業中の措置 3.7

石綿を含有する建材を使用した建築物等の解体、改修の作業中には、施工者は、大気汚染防

止法に基づく作業基準及び環境確保条例に基づく作業上の遵守事項を遵守しなければならない。

また、一定の規模要件を上回る場合には敷地境界における大気中の石綿濃度の測定が必要とな

る。

作業基準等に基づき講じた措置の内容については、大気汚染防止法及び環境確保条例により

記録と保存が義務付けられている(詳細は3.9を参照のこと)。

工事現場全体の覆い・湿潤化 ≪「作業上の遵守事項」第1 1及び2並びに第2 4≫ 3.7.1

解体、改修の工事の場所では、石綿だけでなく、土ぼこりなど一般の粉じんも発生する。粉

じんの飛散を防止するため、防じんシート、防じんパネルを隙間のないように張り、工事現場

全体を囲うことが必要である。

また、石綿やその他の粉じんの飛散を抑制するため散水設備を設けて十分な散水を行う。標

準的な散水設備としては、現場の足場などに立ち上がり管を設け、1階おき程度にホース用水

栓を設ける。また、水圧が低い場合は、揚水ポンプを設けるものとする。

吹付け材、保温材等を掻き落とし等により除去する作業 3.7.2

石綿含有建材を使用する建築物の解体や改修の作業を行う際には、原則として、他の部分の

解体等の作業を行う前に当該建材を除去する必要がある(封じ込め、囲い込みの作業について

は3.7.5を参照)。

石綿を飛散させやすい吹付け材や保温材等の除去作業では、工事現場全体の覆いや散水など

の一般の粉じん対策だけで石綿の飛散を防止することは不可能であり、作業場を負圧隔離し、

集じん・ろ過装置で汚染空気を清浄化する等の対策が必要となる。図7は、石綿を含有する吹付

け材及び保温材等を除去する作業について、一般的な手順を示したものである。具体的な措置

の詳細については、本マニュアルのほか、次の資料等(改訂されている場合には最新のもの)

を参考にすること。

●環境省水・大気環境局大気環境課:「建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル

2014.6版」

●厚生労働省:「石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル [2.11版]」

●中央労働災害防止協会編:「石綿作業主任者テキスト 第8版」

●建設業労働災害防止協会:「-新石綿技術指針対応版(平成26年施行)-石綿粉じんへのば

く露防止マニュアル」

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図7 除去作業の手順32)

32) 環境省水・大気環境局大気環境課「建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル2014.6」(2014)

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作業場の隔離及び前室の組立・設置 ≪大気汚染防止法施行規則別表第7 一の項下欄イ≫ ①

吹付け材又は保温材等を掻き落とし、切断又は破砕の方法により除去する作業を実施するに

当たっては、その作業場を他の場所から隔離し、作業場の出入口には前室を設けなければなら

ない。

作業場の隔離は、建築物等における吹付け材又は保温材等の使用状況に応じて適切に空間を

区切り、各部分について、プラスチックシートを使用して密閉することで実施する。隔離に使

用するプラスチックシートは、床については、厚み0.15mm以上のものを二重に敷き、つなぎ目

は30cm以上重ね合わせて粘着テープで張り合わせる。端も、壁にそって30cm折り返し、桟で止

める。高所作業車を使用する場合などは、必要に応じて合板などでさらに養生する。壁面及び

天井に設置するプラスチックシートは、厚み0.08mm以上(通常は0.1mm)のものを使用し、粘着

テープで床面に止める。壁面については、シートは一重でよいが、つなぎ目は、30~45cm重ね

合わせて桟で止める。

大気汚染防止法でいう「前室」は、狭義の前室のほか更衣室及び洗浄室を含む3室で構成さ

れた、いわゆるセキュリティゾーンのことであり、負圧隔離した除去作業場所の出入り口に設

置し、石綿粉じんが隔離外部に漏えいすることを防ぐためのものである。前室の出入り口と隔

壁(計4か所)は、ファスナーをとり付け開閉可能とする、もしくは内側(除去作業場所側)

に上部のみ固定して垂らすシート(いわゆる「のれん」)を設置するなど、石綿粉じんで汚染さ

れた空気が内側から隔離外部に漏えいすることを防ぐ構造とする。

図8 前室(セキュリティゾーン)の構造

集じん・排気装置の設置 ≪大気汚染防止法施行規則別表第7 一の項下欄ロ≫ ②

①により設置した隔離空間には、集じん・

排気装置を設置しなければならない。集じ

ん・排気装置は、除去作業に伴って発生する

石綿の粉じんを捕集し、清浄化した空気を排

気することで隔離した作業場内を外気圧より

低く保っておくことにより、隔離に使用した

プラスチックシートが部分的に破損した場合

などにも石綿の漏洩を防止するとともに、セ

キュリティゾーンを経由して外部の新鮮空気

を作業場内に送るために設置する。

集じん・排気装置は、一般的に、集じん装

置とファン(排風機)で構成され、集じん装

図9 集じん・排気装置

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置には、大きな粒子によって目詰まりを起こすのを防ぐため、前置フィルター(プライマリフ

ィルター、主に5μm以上の粒子を捕集)及び中間フィルター(セカンダリフィルター、主に5

μmより小さい粒子を中程度捕集)を装着し、最終フィルターとしてHEPAフィルターを装着

している。

HEPAフィルターは、JIS Z 8122「コンタミネーションコントロール用語」に規定する要

件(定格流量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損

失が245Pa(25mmH2O)以下の性能をもつエアフィルター)を満たすものでなければならない。

除去作業中は、作業場及び前室は集じん・排気装置によって常時負圧に保たなければならな

い。常時負圧に保つことのできる排気風量は、15分毎に1回以上、作業場の容量の空気が置換

できる風量であり、これ以上の能力をもつ集じん・排気装置を設置することが必要である。次

の計算で作業場内を負圧にするのに必要な排気風量を求め、必要な排気能力を有する集じん・

排気装置を設置すること。

ⅰ)作業場内を負圧にするのに必要な排気風量を求める。

作業場の容量(㎥)÷15分=必要な排気風量(㎥/分)

ⅱ)設置する集じん・排気装置の排気能力を求める。

集じん・排気装置1台当たりの排気能力(㎥/分)×台数=排気能力(㎥/分)

ⅲ)集じん・排気装置の排気能力が必要な排気風量を満足しているかを確認する。

必要な排気風量(㎥/分)≦排気能力(㎥/分)

また、集じん・排気装置の設置に当たっては、次の点にも留意すること。

● 一般的に、空気の取り入れは前室を経由して行っているので、取り入れた空気がショー

トパスせず、作業場内全体に均一に通過し、排気されるような位置(前室から最長距離の

対角線上の位置など)に集じん・排気装置を設置する。

● 集じん及び排気が適正に稼働しているかを確認するため、フィルターの前後の圧力差を

示す圧力計を取付け、集じん・排気装置の圧力損失の変化について常時点検、確認を行う。

● 前置フィルター、中間フィルター及び最終フィルター(HEPAフィルター)がそれぞ

れ適切に装着されているかを確認する。集じん・排気装置には、1台ごとに点検整備及び

フィルター交換記録を整備して管理し、記録は装置に備え付けておくことが望ましい。

● 除去作業中に圧力損失が上昇した場合や除去作業終了後には、フィルターの交換が必要

となる。フィルターの交換を行う際に石綿を飛散させないよう、集じん・排気装置は、原

則として隔離空間内に設置する。

○ フィルターの交換は、使用頻度及び作業場内濃度の程度により異なるが、使用する

フィルターの仕様又は初期圧力損失の2倍を目安として適切に実施する。また、フィ

ルターの交換時期等を集じん・排気装置に明記しておくことが望ましい。

○ HEPAフィルターの交換は隔離の解除を伴うことから、原則として除去終了後、

作業場内の除じんが完了してから行うこと。やむを得ず除去作業中にHEPAフィル

ターを交換せざるを得ないときは、排気ダクトを密封した上、他の集じん・排気装置

を稼働させ、作業場内の負圧を確保した状態で行うこととし、また、交換後には再度、

集じん・排気装置の正常稼働を確認しなければならない。。

● 集じん・排気装置は、年1回以上の定期点検を実施し、次の事項等を確認すること。

○集じん・排気装置の構造部分の摩耗、腐食、破損の有無及びその程度を確認する。

○集じん能力などが確保されているかどうかについて、測定により確認する。

○電流計の指針及び配線(ショート等がないか)を確認する。

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○ファンの静圧、動圧を確認する。

○ベルトの摩耗などを確認するとともに、軸受に注油する。

(ア)窓が数箇所ある作業所の場合

扉の位置に前室を設置し、この位置から最長距

離の対角線上の窓に集じん・排気装置を設置す

る。その他の窓は密閉する。

(イ)出入口の傍にしか窓がない作業所の場合

扉の位置に前室を設置する。前室から最長距離

の位置に集じん・排気装置を設置し、排気ダク

トを作業場内部に接続して排気する。

(ウ)複数の窓がある大きな作業場の場合

前室から最長距離の位置に、必要な台数の集じん・排気装置を、気流の滞留箇所が生じない

よう分散して設置する。負圧が大きいときは、前室のほかに補助空気取入口を設ける。補助

空気取入口は、自然換気とし、石綿が外部に漏れないよう措置(作業場側に、上部のみを固

定した開口部より大きなシートを垂らす(いわゆる「のれん」の設置)など)を講じたもの

とする。

(注)矢印は空気の流れを示す。また、除去作業は①→②の方向に進める。

図10 集じん・排気装置及び前室の標準的な設置例33)

33) USEPA:“Guidance for Controlling Asbestos-Containing Material in Building”(1985)を和訳、一部加筆

前室

洗身室

更衣室

窓 (密閉)

窓(密閉)

窓 (密閉)

前室

洗身室

更衣室

窓(密閉) 窓(密閉)

窓 (密閉)

前室 洗身室 更衣室

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集じん・排気装置の正常稼動確認(作業前) ≪大気汚染防止法施行規則別表第7 一の項下欄ハ≫ ③

①により設置した隔離空間において、隔離後初めての除去作業を行う日には、除去作業の開

始前に、集じん・排気装置の排気口で、次の手順により粉じん濃度測定を行ない、集じん・排

気装置が正常に稼働することを確認する。

ⅰ) 集じん・排気装置の稼動前に、吸引ポンプ内蔵のデジタル粉じん計又はパーティクル

カウンターを用いて排気ダクト内で粉じん濃度の測定を開始する。

ⅱ) 集じん・排気装置を稼動させ、直後に排気口の粉じん濃度を確認する。

ⅲ) 10分程度経過後、稼働直後の濃度と比べて粉じん濃度が減衰し、安定していることを

確認する。

ⅳ) 集じん・排気装置の吸引口及び装置周辺部分にスモークテスターの煙を吹き付け、そ

の時の濃度の変化がないかを確認する。

ⅴ) ⅲ)、ⅳ)の確認において、粉じん濃度が減衰し、安定した状態を示せば、集じん・排

気装置は正常な状態であり、使用可能な状態であると判断される。

粉じん濃度が減衰しない、又は安定せずに上昇するなど異常が認められた場合は、装

置の吸引口及び周辺部分の漏えい箇所を確認し、養生テープ等で補修した後、再度確認

を行う。漏えい個所が発見できない場合や状況が改善されない場合は、この集じん・排

気装置は使用してはならない。

また、集じん・排気装置を稼働させた際に、スモークテスター等を用いて、前室から取り入

れた空気がショートパスせず、作業場内全体に均一に気流が通過していることを確認すること。

なお、作業前の確認に引き続き、作業を開始した直後にも集じん・排気装置の正常稼動を確

認しなければならないので、⑥も合わせて参照されたい。

図11 粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)による粉じん濃度減衰状況34)

34) 環境省水・大気環境局大気環境課「建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル2014.6」(2014)

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作業場及び前室の負圧保持の確認 ≪大気汚染防止法施行規則別表第7 一の項下欄ニ≫ ④

除去作業を行う作業場から石綿が飛散することを防止するためには、プラスチックシートに

よる隔離の状態や集じん・排気装置の性能を定期的に保守点検し、適正に維持管理することが

必要である。大気汚染防止法に基づく作業基準では、除去作業を行なう日には毎日、作業開始

前に作業場内の負圧の状態を確認しなければならないとしている。

ⅰ) 目視により、プラスチックシートによる隔離養生が外れていたり、破損したりしてい

ないかどうかを確認する。

ⅱ) 作業場内の負圧を、隔離養生シートの作業場内側へのはらみ具合や、マイクロマノメ

ーター(精密微差圧計)を用いて確認する。マイクロマノメーターを用いる場合、差圧

は-2から-5Paが目安となる。

ⅲ) 前室について、スモークテスターや吹流し等を用いて、出入り口から隔離空間内部に

向かって外気が流入していることを確認する。

ⅳ) 異常が認められたときは、集じん・排気装置や隔離養生シートなどの不具合を点検し、

補修等を行わなければならない。また、作業中に異常が見られたときは直ちに作業を中

止し、是正が確認されるまで再開しないこと。

吹付け材・保温材等の湿潤化 ≪大気汚染防止法施行規則別表第7 一の項下欄ホ≫ ⑤

石綿含有吹付け材・保温材等を除去するに当たっては、粉じん飛散抑制剤(湿潤剤)などを

噴霧・含浸させて、湿潤化した状態で行わなければならない。

吹付け材・保温材等の除去 ⑥

⑤で実施した粉じん飛散抑制剤による湿潤化の効果を確認後、ケレン棒などで掻き落とすな

どにより、吹付け材や保温材等を除去する。状況に応じて、再度、粉じん飛散抑制剤などを噴

霧した後、ワイヤブラシなどを使用して使用箇所に付着している石綿を取り除く。

なお、隔離した作業場において隔離後初めての除去作業を行う日には、作業開始直後に、集

じん・排気装置の正常稼働を確認しなければならない(⑦を参照)。

除去作業が複数日にわたる場合、夜間や休工日等で無人となる時に集じん・排気装置を稼働

させていると負圧による養生シートの脱落等のおそれがある。1日の除去作業を終了した後に

集じん・排気装置を停止させる場合には、作業場内の除去した建材の袋詰めや清掃等を行い(⑩

を参照)、必要に応じて除去面等に粉じん飛散防止処理剤(固化剤)を噴霧する(⑪を参照)、

作業場内に粉じん飛散抑制剤を散布する(⑫を参照)などし、作業場内の石綿濃度が一般大気

と同程度に低減した後、集じん・排気装置を停止させること。また、集じん・排気装置を停止

させている間は出入口をファスナー等で密閉し、作業場内への吹込みを防止するため排気口を

プラスチックシートなどで閉鎖すること。なお、作業場に可搬式発電機を持ち込んでいる場合

には、燃料の管理についても注意すること。

集じん・排気装置の正常稼動確認(作業開始直後) ⑦

≪大気汚染防止法施行規則別表第7 一の項下欄ヘ≫

隔離空間において隔離後初めての除去作業を行う日には、除去作業の開始前の確認(③を参

照)に加えて、作業開始直後にも、次の手順により集じん・排気装置の排気口で粉じん濃度測

定を行ない、集じん・排気装置が正常に稼働していることを確認する。

ⅰ) ③で測定した作業開始前(集じん排気装置の稼働後10分程度経過して安定した状態)

の粉じん濃度を基準とする。

ⅱ) 除去作業開始直後に、デジタル粉じん計(吸引ポンプ内蔵のもの)、パーティクルカウ

ンター又は繊維状粒子自動計測器(リアルタイムファイバーモニター)を用いて、10分

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間継続して排気ダクト内で粉じん濃度を測定し、作業開始前の濃度に比べ粉じん濃度の

上昇が見られないか(リアルタイムファイバーモニターを用いる場合には、繊維が検出

されないか)を確認する。

ⅲ) 作業開始前の濃度に比べて粉じん濃度の上昇が見られる場合には、集じん・排気装置

又は排気系統に漏えいの可能性があると判断されるため、除去作業を直ちに停止し、漏

えい箇所の確認を行なうこと。

ⅳ) 漏えい箇所を特定し、漏えい対策を実施した後、デジタル粉じん計等を用いて再度濃

度を測定し、漏えいが認められないことが確認できなければ、除去作業を再開してはな

らない。

また、大気汚染防止法に基づく義務である作業開始直後の測定に加えて、作業中に集じん・

排気装置が適切に作動していることを常時確認するため、作業場外における集じん・排気装置

の排出口付近又は排気ダクト内において、デジタル粉じん計、パーティクルカウンター等によ

り、粉じん濃度を連続で測定することが望ましい。

敷地境界における石綿濃度の測定 ≪環境確保条例第123条第2項、同条例施行規則第59条≫ ⑧

大気汚染防止法に基づく届出が必要な特定工事のうち、環境確保条例に基づく届出が必要な

一定規模以上の工事(石綿含有建築物解体等工事)については、一部の例外を除き、工事開始

前、作業の施工中及び工事終了後における敷地境界における大気中の石綿濃度を測定し、その

結果を記録し、3年間保存しなければならない。詳細は3.5.1を参照のこと。

なお、作業中は、前室の入口や集じん・排気装置の排出口の付近など、作業場直近の外周に

おいても、適宜、石綿濃度の測定を行い、漏えいを監視することが望ましい(3.5.2を参照)。

除去した建材の袋詰めと作業場外への搬出 ⑨

≪「建築物の解体又は改修工事において発生する石綿を含有する廃棄物の適正処理に関する指導指針」4(1)≫

除去した石綿含有吹付け材及び保温材等は、特別管理産業廃棄物(廃石綿等)に該当する。

石綿の飛散防止を図るため、散水などにより湿潤化させる等の応急的な措置を講じた後、固型

化、薬剤による安定化その他これらに準ずる措置を講じた後、耐水性の材料で二重にこん包す

ること。

ⅰ) 作業場内において、除去した石綿含有建材を1枚の専用のプラスチック袋に詰める。

ⅱ) セメント等による固型化、又は粉じん飛散防止剤(固化材)等による安定化処理を行

った後、袋内の空気を抜いて密閉する。

ⅲ) 前室において、袋の表面(外側)に付着した石綿をHEPAフィルター付きの真空掃

除機等で取り除く。

ⅳ) 前室又は洗身室において、別のプラスチック袋(二重目)に入れ、密閉する。

ⅴ) 運搬するまでの間、隔離作業場外に設けた一時保管場所に保管する。保管、運搬及び

処理の詳細については、3.10を参照のこと。

作業場内の清掃等 ≪「作業上の遵守事項」第1 5≫ ⑩

吹付け材・保温材等の除去作業に使用した工具、足場などの資材、廃石綿等のセメント固化

に用いる混練機(ローラーミキサー等)など繰り返し使用するものは、HEPAフィルター付

きの真空掃除機を用いるか、表面をふき取るなどして、十分に清掃を行い、付着した石綿を取

り除いた後に、作業場から搬出する。その後、HEPAフィルター付きの真空掃除機などを使

用して、作業場内に石綿のくず等が残らないように、十分に清掃を行う。

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除去面及び隔離用シートへの粉じん飛散防止処理剤の散布 ⑪

≪大気汚染防止法施行規則別表第7 一の項下欄チ、「作業上の遵守事項」第1 6≫

石綿に関して一定の知見を有し、的確な判断ができる者(事前調査を行う者と同様。3.3.2

を参照)が、石綿を含有する吹付け材、保温材等の除去が確実に行われ、取残しがないことを

確認した後、当該材料の除去面に粉じん飛散防止処理剤(固化材)を噴霧し、表面を固定化す

る。

また、隔離用のプラスチックシートについても、HEPAフィルター付きの真空掃除機等で

清掃した後、シート面に粉じん飛散防止剤を噴霧し、付着している石綿の再飛散を防ぐ。

作業場内の汚染空気の処理 ≪大気汚染防止法施行規則別表第7 一の項下欄チ≫ ⑫

⑪までの作業が終了した後、隔離を解除する前には、隔離作業場内に浮遊している石綿を十

分に処理しなければならない。

作業場内の空気中に粉じん飛散抑制剤(湿潤剤)を噴霧して静置することで粉じんの沈降を

促進させた後、集じん・排気装置を稼働させて作業場内の空気を吸引ろ過する。労働安全衛生

法に基づく「建築物等の解体等の作業及び労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等

における業務での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針」では、集じん・排気装置を

1時間半以上稼働させ、集じんすることとされている。

空気置換の後、繊維状粒子自動計測器(リアルタイムファイバーモニター)や位相差顕微鏡

等により隔離空間内部の空気中の総繊維濃度を測定し、石綿等の粉じんの処理がなされている

ことを確認する。粉じんの処理が不十分な場合には、さらに集じん・排気装置を稼働させ、十

分な粉じん処理が確認されるまで継続する。除去対象にクリソタイル以外の石綿(アモサイト

やクロシドライトなど)が含まれる場合には、沈降速度が遅いため、クリソタイルのみの場合

よりも稼働時間を長くすることが必要な場合がある。

隔離用シートの撤去 ⑬

⑫により、作業場内の石綿等の粉じんが十分に処理されたことを確認した後、隔離作業場や

前室のプラスチックシートを撤去する。シートの撤去は高い場所から低い場所の順(天井面→

壁面→床面の順)で行い、石綿の付着面(作業場側)を内側にして両端から中央に向かって折

りたたむこと。

撤去した隔離用シートは、除去した建材と同じく特別管理産業廃棄物(廃石綿等)に該当す

るため、プラスチック袋に二重に詰めて密閉する。作業者が使用した呼吸用保護具、保護衣等

の廃棄物も同様に取り扱う。

吹付け材、保温材等を掻き落とし等により除去する場合で、作業場の隔離と同等以上の効果3.7.3

を有する措置を講じて行う作業

大気汚染防止法では、特定建築材料の種類や状態、作業箇所の状況によっては、作業場全体

を隔離し負圧に保つ等の通常の作業方法(3.7.2)によらず、これと同等以上の効果を有する措

置を講じることを許容する規定がある。具体例としては、次のような作業が挙げられる。

ただし、通常の方法で負圧隔離する場合と同等以上の効果を有するためには、個々の作業場

の状況に応じた適切な措置が必要であり、これらの工法が全て無条件に認められるわけではな

い。必ず届出窓口に事前相談すること。

また、これらの措置を講じて除去等の作業をする場合でも、特定粉じん排出等作業には該当

するため、大気汚染防止法や環境確保条例に基づく届出が必要であることに留意すること。

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局所に使用されている石綿含有建材をグローブバッグを使用して除去する作業 ①

配管の一部に使用された保温材等を除去する場合に、当該作業箇所を局所的に隔離するため

の袋状の用具(いわゆるグローブバッグ)を使用して局所的な隔離養生を行い、密封状態を保

ったまま石綿含有建材を除去する作業である35)。

ⅰ) グローブバッグは、つなぎ目のない市販のものを用いること。

ⅱ) あらかじめ必要な工具(ケレン棒、カッター、金ブラシ等)を入れたグローブバッグ

を、接着テープ等で配管等の石綿含有建材が使用されていない部分に装着する。

ⅲ) 専用穴から噴霧用の管を挿入して粉じん飛散抑制剤(湿潤剤)などを噴霧、含浸させ

て、石綿含有建材を湿潤化する。

ⅳ) グローブバッグ内部で、工具を用いて石綿含有建材を除去する。

ⅴ) 専用穴から噴霧用の管を挿入して、除去面に粉じん飛散防止処理剤(固化剤)を噴霧

する。

ⅵ) HEPAフィルター付きの真空掃除機を用いて、専用穴からバッグ内の汚染空気を吸

引し、内部を真空にする。

ⅶ) 粘着テープ等により配管等の直下部で袋を閉じた後、グローブバッグを取り外す。

ⅷ) 取り外したグローブバッグは密閉したまま、さらにプラスチック袋に入れて二重梱包

とし、特別管理産業廃棄物(廃石綿等)として保管、運搬、処分する。

なお、この作業については、環境確保条例に基づく届出が必要な場合であっても、敷地境界

における石綿濃度測定ではなく、目視によって石綿の飛散状況を監視すればよい。ただし、除

去作業の箇所が極めて多い場合や、長大なグローブバッグを使用して複数の作業員で同時に除

去する場合など、状況によっては、石綿濃度の測定が必要となる場合がある(測定の詳細につ

いては3.5.1を参照)。

図12 グローブバッグによる局所的な隔離36)

35) 環境省水・大気環境局大気環境課「建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル2014.6」(2014) 36) 建設業労働災害防止協会「建築物の解体又は改修工事における石綿粉じんの暴露防止のためのマニュアル」(1988)

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吹付け施工された石綿含有仕上塗材を除去する作業 ②

建築物等の内外装仕上げに用いられる建築用仕上塗材には、石綿を含有するものがある。建

築用仕上塗材は、吹付け、ローラー塗り、こて塗りなどによって施工されるが、このうち吹付

け工法により施工されたものは、大気汚染防止法における「吹付け石綿」に該当するものとし

て取扱うこととされている37)。また、環境確保条例においても同様に「吹き付け石綿」に該当

する。なお、事前調査(「3.3 事前調査等」を参照)において、吹付け工法により施工され

たかどうかが明らかにならなかった場合には、吹付け施工されたものとみなして、大気汚染防

止法及び環境確保条例に規定する届出や作業基準の遵守等の措置を講じること。

吹付け施工された石綿含有仕上塗材の除去等について、作業場全体を隔離し負圧に保つ等の

通常の作業方法と「同等以上の効果を有する措置」の目安として、環境省は次の工法を挙げて

いる37)。各工法の詳細については、国立研究開発法人建築研究所及び日本建築仕上材工業会が

作成した技術指針38)を参考にされたい。

● 集じん装置併用手工具ケレン工法

● 集じん装置付き高圧水洗工法(15MPa以下、30~50MPa程度)

● 集じん装置付き超高圧水洗工法(100MPa以上)

● 超音波ケレン工法(HEPAフィルター付き掃除機併用)

● 剥離剤併用手工具ケレン工法

● 剥離剤併用高圧水洗工法(30~50MPa程度)

● 剥離剤併用超高圧水洗工法(100MPa以上)

● 剥離剤併用超音波ケレン工法

● 集じん装置付きディスクグラインダーケレン工法

これらの工法を「同等以上の効果を有する措置」として行うに当たっては、装置の使用方法

や剥離剤の適用の可否等に精通している者が、次の事項などにも留意して、現場の状況等に応

じた粉じん飛散防止対策を適切に実施することが必要となる。

また、工事開始前、作業の施行中及び工事終了後には、通常の負圧隔離を行う場合と同様に

石綿濃度の測定を行わなければならない。(3.5.1を参照)。

● 作業区画や立入禁止範囲を明確に定め、石綿くずや石綿を含有する飛沫の飛散等を防止

するために、作業区画の床面及び壁面に(必要に応じて天井にも)プラスチックシート等

による養生を行うこと。

特に、集じん装置付きディスクグラインダーケレン工法では、壁面の凹凸の影響や工具

の取扱いによって作業中に粉じんが飛散するおそれがあるため、作業区画の全周(天井、

床、横)を隙間なく養生すること。

● 集じん装置やHEPAフィルター付き掃除機を用いる工法については、作業場を負圧隔

離する場合に行う負圧・集じん装置の正常稼働の確認(3.7.2③及び3.7.2⑦を参照)に準

じて作業前、作業開始後に粉じんの漏洩がないことを確認するなど、排気の石綿除去に十

分留意すること。

● 高圧水洗工法など除去に水を使用する場合には、未処理の廃水が流出、地下浸透しない

よう全て回収し、適切に処理した上で放流すること(3.7.7を参照)。

37) 「石綿含有仕上塗材の除去等作業における石綿飛散防止対策について」(平成29年5月30日環水大大1705301号) 38) 国立研究開発法人建築研究所、日本建築仕上材工業会:「建築物の改修・解体時における石綿含有建築用仕上塗材からの石綿粉じん飛

散防止処理技術指針」(2016)

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● 剥離剤を使用する工法では、ジクロロメタン等の有害性の高い化学物質を使用しないよ

う、薬剤の選択にも十分留意すること。また、試験施工等により、除去対象の仕上塗材に

対して十分な剥離効果を有することが確認できた薬剤を使用すること。

● 入隅部等(窓、柱型、軒先部分など)の除去に補助的に他の工法(集じん装置を用いな

い手工具ケレン工法など)を併用する場合には、全体又は当該部分を負圧・集じん装置を

用いて負圧隔離するなど、必要な措置を講じること。

● 石綿含有仕上塗材の除去等の作業において生じる産業廃棄物については、廃棄物処理法

に基づき適切に処理すること。特に当該産業廃棄物にアスベストが付着したおそれのある

物については、同法第2条第5項に規定する「特別管理産業廃棄物」(廃石綿等)として処

理すること。なお、アスベスト付着の可能性等については、「石綿飛散漏洩防止対策徹底マ

ニュアル[2.11版]」(厚生労働省)の「付録XI.建築用仕上塗材の取扱い」の記載を参考と

し、適切に判断すること。

なお、吹付け以外の工法(ローラー塗りやこて塗り等)により施工されたことが明らかな場

合には、大気汚染防止法や環境確保条例に基づく届出は必要ないが、都知事が定める作業上の

遵守事項に従って施工しなければならない(環境確保条例第123条第2項)。詳細は、東京都環

境局が別に作成した「石綿(アスベスト)含有成形板対策マニュアル」39)を参照されたい。

保温材等を掻き落とし、切断、破砕以外の方法により除去する作業 3.7.4

建築物を解体する作業のうち、石綿を含有する保温材、耐火被覆材又は断熱材(吹付け材を

除く。)を、掻き落とし、切断、又は破砕以外の方法で除去するものについては、掻き落とし等

の方法で除去する場合(3.7.2)と比べて石綿の飛散の程度が比較的低いことから、除去を行う

部分の周辺を養生し、薬液等で湿潤化した上で除去することとされている。

例えば、次のような作業が該当する。ただし、保温材等が劣化し、石綿の飛散のおそれがあ

る場合には、掻き落とし等による除去と同等の措置を講じること。

● 成形された保温材等(円筒縦割り状に成形された保温筒等)を原形のまま取り外す作業40)

● 屋根用折版について、裏張り断熱材を付けたまま、切断等を行わずに取り外す作業

● 設備配管の曲り部分にのみ使用されている保温材を、直線部分を切断して配管ごと取り

外す作業(当該作業時の振動等によってわずかな石綿飛散のおそれがあるため、特定粉じ

ん排出等作業に該当する場合)

周辺の養生 ≪大気汚染防止法施行規則別表第7 二の項下欄イ≫ ①

掻き落とし等により除去する場合の「作業場の隔離」(3.7.2①)に代えて、除去作業を行う

部分の周辺を養生する。

床については、3.7.2①と同様に二重のプラスチックシートを使用して養生を行い、壁や天井

については状況に応じて、プラスチックシートを使用して養生するか、又は開口部をシート等

により塞ぐものとする。

保温材等の湿潤化 ≪大気汚染防止法施行規則別表第7 二の項下欄ロ≫ ②

3.7.2⑤と同様に、除去を行う前に粉じん飛散抑制剤(湿潤剤)などを噴霧・含浸させて、保

温材等を湿潤化する。

39) 東京都環境局:「アスベスト成形板対策マニュアル(平成29年12月版)」 40) 「大気汚染防止法施行令の一部を改正する政令の施行等について」(平成18年1月11日環水大大060111001号)

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敷地境界における石綿濃度の測定 ≪環境確保条例第123条第2項、同条例施行規則第59条≫ ③

環境確保条例に基づく届出が必要な工事(石綿含有建築物解体等工事)の場合には、3.7.2⑧

と同様に、敷地境界における大気中の石綿濃度を測定し、その結果を記録し、3年間保存しな

ければならない。

養生の解除 ④

保温材等の除去が完了した後、3.7.2⑨~3.7.2⑪と同様に、除去した建材の袋詰めと作業場

外への搬出、作業場内の清掃等、除去面及び養生用シートへの粉じん飛散防止処理剤(固化剤)

の散布を行った上で養生を解除する。撤去した養生用シートは、3.7.2⑬と同様に取り扱う。

吹付け材、保温材等の封じ込め又は囲い込みの作業 3.7.5

石綿を含有する吹付け材や保温材等を使用している建築物等の改修工事を行う際には、当該

建材を除去せずに、封じ込め又は囲い込みを行う方法を選択することができる。

ただし、吹付け材、保温材等の劣化が著しい場合、又は下地との接着が不良な場合には、封

じ込め及び囲い込みを選択することはできず、当該建材を除去しなければならない(大気汚染

防止法施行規則別表第7 四の項下欄ロ)。

なお、封じ込め及び囲い込みを選択した場合には、施工後も石綿含有建材が残存するため、

定期的な点検など維持保全を行う必要があり、解体時には改めて届出を行い、負圧隔離等の必

要な措置を講じて除去の作業を行わなければならないことに留意すること。

封じ込め ①

既存の特定建築材料を除去せずに石綿飛散防止剤を吹き付け又は含浸させ、被覆又は固定化

することで石綿粉じんの飛散防止を図る工法である。主に、吹付けアスベストや石綿含有吹付

けロックウール、金属折版屋根用石綿含有断熱材に対して適用される。

封じ込めの作業を行うに当たっては、建築基準法第37条第2項に基づき国土交通大臣の認定

を受けた石綿飛散防止剤を用いるなど、国土交通大臣が定める基準41)を遵守しなければならな

い。また、封じ込めは、特定建築材料に直接薬液を噴霧するなどの作業を伴うことから、原則

として、掻き落とし等により除去する場合(3.7.2)と同様に、作業場の負圧隔離や、敷地境界

における大気中の石綿濃度の測定(環境確保条に基づく届出が必要な場合)等を行う必要があ

る。

なお、環境確保条例では、吹付け材や保温材等の表面に部分的であっても荒れや剥離の形跡

がある場合には、掻き落とし等の方法で除去する場合と同等の措置を講じなければならないと

規定している(「作業上の遵守事項」第1 4)。

囲い込み ②

既存の特定建築材料を除去せずに板状の材料等で完全に覆い、人が活動することが想定され

る空間に露出しないように密閉することで石綿粉じんの飛散防止を図る工法である。

囲い込みの作業を行うに当たっては、石綿を透過させず、通常の使用状態における衝撃及び

劣化に耐えられる材料を用いるなど、国土交通大臣が定める基準41)を遵守しなければならない。

特定建築材料に接触せず、施工中の振動等による石綿の飛散のおそれもない場合には、大気

汚染防止法や環境確保条例に基づく届出等は不要(特定粉じん排出等作業に該当しない。)であ

るが、石綿含有建材の切断、穿孔、研磨などを伴う場合や、建材の表面に部分的であっても荒

41) 「建築材料から石綿を飛散させるおそれがないものとして石綿が添加された建築材料を被覆し又は添加された石綿を建築材料に固着す

る措置について国土交通大臣が定める基準を定める件」(平成18年国土交通省告示1173号)

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れや剥離の形跡があり施工中の振動等で石綿が飛散するおそれがある場合には、掻き落とし等

により除去する場合(3.7.2)と同様に、届出を行い、飛散防止の措置を講なければならない(「作

業上の遵守事項」第1 4)。

成形板等を除去する作業 3.7.6

石綿を含有する成形板等は、石綿の繊維がセメント等で固化されているため、物理的な衝撃

や損傷を加えなければ、使用状態で石綿が飛散することはほとんどない。しかし、解体・改修

工事に伴い成形板等を破断した場合には、石綿が飛散するおそれがある。

このため、成形板等の除去作業においては、当該建材の湿潤化、破断しない方法(手ばらし)

での除去、必要に応じた作業場の養生など、現場の状況や除去する成形板の種類などに合わせ

て、適切な措置を講じる必要がある。成形板等の種類や、除去作業方法等の詳細については、

別に作成した「石綿(アスベスト)含有成形板対策マニュアル」42)を参照されたい。

排水の処理 ≪「作業上の遵守事項」第1 3≫ 3.7.7

石綿を含有する吹付け材又は保温材等の除去、封じ込め又は囲い込みの作業の際に、石綿を

含有する水が排出されるのは、次のような場合が考えられる。

● 作業場で吹付け材・保温材等を湿潤化するために使用された水

● 石綿含有煙突断熱材や石綿含有建築仕上塗材等を高圧洗浄により掻き落として除去する

工法で使用された水

● 前室(セキュリティゾーン)において作業者の洗身のために使用された水

これらの廃水は、含有する石綿の再飛散を防止するため、除去した建築材料と共にコンクリ

ート固化して特定管理産業廃棄物(廃石綿等)として処理するなど外部に流出しないような措

置を講じるか、凝集沈殿処理やフィルターろ過処理等で石綿を除去した上で排水すること。排

水する場合には、関係法令に留意し、事前に下水道や河川の担当部署に相談すること。

作業後の措置 3.8

石綿を含有する建材の除去等の作業が終了した後、最後に作業場周辺の仕上げ清掃を行う。

また、一定の規模要件を上回る場合には敷地境界における大気中の石綿濃度の測定が必要とな

る。

仕上げ清掃 3.8.1

除去等の作業が終了して隔離用シート等を撤去した後、石綿の破片やくずが残らないよう、

作業場の周辺を含め飛散しているおそれのある箇所をHEPAフィルター付きの真空掃除機を

用いて清掃する。特に前室の出入口周辺などは、仕上げ清掃を入念に行う必要がある。

敷地境界における石綿濃度の測定 3.8.2

大気汚染防止法に基づく届出が必要な特定工事のうち、環境確保条例に基づく届出が必要な

一定規模以上の工事(石綿含有建築物解体等工事)については、一部の例外を除き、工事開始

前、作業の施工中及び工事終了後における敷地境界における大気中の石綿濃度を測定し、その

結果を記録し、3年間保存しなければならない。詳細については、3.5を参照のこと。

工事終了後の測定は、石綿含有建材の除去、封じ込め又は囲い込みの作業が終了するだけで

なく、原則として、廃石綿等の工事現場からの搬出が完了し、最終の仕上げ清掃を行った後(解

体工事の場合は躯体の解体も終了した後)に実施すること。

42) 東京都環境局:「アスベスト成形板対策マニュアル(平成29年12月版)」

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作業内容の記録・保存 3.9

大気汚染防止法及び環境確保条例では、施工者(元請受注者又は自主施工者)に対して、次

のとおり作業内容等の記録、保存を義務付けている。

大気汚染防止法に基づく記録・保存 ≪大気汚染防止法施行規則別表第7 一の項下欄ト≫ 3.9.1

大気汚染防止法に基づく届出が必要な工事(特定工事)の施工者は、作業基準で義務付けら

れている確認事項について、確認方法や結果等を記録し、保存しなければならない。

表6 大気汚染防止法に基づく作業内容の記録

確認事項 確認の時期 本マニュアル記述箇所 記録する内容

作業場及び前室の負圧保持 除去等の作業日 (毎日)

3.7.2の④ ● 日付(確認した年月日) ● 確認の方法 ● 確認の結果 ● 確認者の氏名 ● 確認後、補修等の措置を講じた場合は、その内容

集じん・排気装置の正常稼動 (作業前) 隔離後初めての除去

等作業を行なう日

3.7.2の③

集じん・排気装置の正常稼動 (作業開始直後)

3.7.2の⑦

なお、この記録の保存期間について、大気汚染防止法施行規則では当該特定工事の終了時ま

でとされているが、環境確保条例に基づく記録・保存(3.9.2)の対象でもあるため、3年間保

存しなければならないことに留意すること。

環境確保条例に基づく記録・保存 3.9.2

石綿飛散状況の監視結果 ≪環境確保条例施行規則別表第13≫ ①

環境確保条例に基づく届出が必要な工事(石綿含有建築物解体等工事)の施工者は、石綿飛

散状況を監視し、その結果を記録して3年間保存することを義務付けている。

ⅰ) 別表第13 1の項の規定により敷地境界における大気中の石綿濃度測定を実施した場

合は、次の事項を記録すること。工事開始前、作業の施工中及び工事終了後の測定結果

を一覧にまとめるなど、石綿濃度の変化を容易に確認できるようにすることが望ましい。

● 測定を行った日時(年月日及び時刻)

● 測定の実施者

● 測定時の気象(天候や気温、湿度、風向、風速等)、周囲の状況

● 試料の採取地点

● 測定方法

● 測定結果

ⅱ) 別表第13 2の項の規定により目視による飛散状況の監視を実施した場合(成形板等

の除去作業やグローブバッグを用いた局所の除去作業など)は、除去作業中の粉じんの飛

散状況を作業日報等に記録すること。

除去等の作業において講じた措置 ≪「作業上の遵守事項」第1 8≫ ②

石綿を含有する吹付け材及び保温材等が使用されている建築物等の解体又は改修工事の施工

者は、除去等の作業に当たって講じた措置について、次の事項を記録して3年間保存しなけれ

ばならない。記録の対象となるのは、大気汚染防止法に基づく作業基準及び環境確保条例に基

づき知事が定める作業上の遵守事項の規定により行った措置や、飛散状況の監視結果を踏まえ

て講じた措置など、除去等の作業に当たって講じた措置全般である(「3.7 作業中の措置」

を参照)。記録は、当該工事の作業日報等に必要事項を記載することによっても良い。

● 措置を講じた日付(年月日)

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● 措置の実施方法

届け出た工事施工計画書のとおりに作業を実施した場合には「工事施工計画書のとお

り」などと記載し、補足が必要な場合にはその内容を具体的に記載すること。

● 異常の有無及び異常があった場合に講じた措置の内容

飛散状況の監視や作業基準に規定された確認等における異常の有無を記録するととも

に、異常が認められた場合は、それに対して講じた措置の内容を具体的に記載すること。

● 現場責任者の氏名

原則として、当該工事の施工者(元請受注者又は自主施工者)の現場責任者名を記載

すること。

アスベスト廃棄物の処理 3.10

石綿が付着した廃棄の用具・器具などを含め、石綿を含有する廃棄物(以下「アスベスト廃

棄物」という。)については、次に示す関係法令や通知、都の要綱等に基づき、適正に管理し、

工事現場からの搬出を行う。

本マニュアルでは、解体・改修の工事現場における措置に限って解説するが、収集・運搬・

中間処理・埋立処分その他の処理、委託、産業廃棄物管理票の取扱いなどについても、各法令、

要綱等に基づき、適正に措置すること。

アスベスト廃棄物に関係する法令、通知等 ①

● 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)(以下「廃棄物処理法」と

いう。)

● 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)(以下「廃棄物処理

法施行令」という。)

● 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)(以下「廃棄物

処理法施行規則」という。)

● 「石綿含有廃棄物等処理マニュアル」(第2版)平成23年3月 環境省大臣官房廃棄物・リサ

イクル対策部

● 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律等の施行による無害化処

理認定制度について(通知)」平成18年8月9日付

アスベスト廃棄物に関係する東京都の要綱等 ②

● 東京都における特別管理産業廃棄物管理責任者設置に係る要綱(平成13年3月30日12環

廃産第712号) 最終改正 平成28年3月29日

● 建築物の解体又は改修工事において発生する石綿を含有する廃棄物の適正処理に関する

指導指針(昭和62年8月21日62清環産第105号)最終改正 平成26年5月20日26環廃産第149

号(以下「指導指針」という。)

● 「飛散性アスベスト廃棄物の処理の手引き─飛散性アスベスト廃棄物のセメント固化の

方法─」平成元年7月東京都清掃局作成、平成17年12月環境局改正

● 「飛散性アスベスト廃棄物に関する収集・運搬の手引き~都の埋立処分場への搬入にあ

たって~」平成18年1月16日17環廃産第613号

アスベスト廃棄物の処理の概要 3.10.1

アスベスト廃棄物で解体・改修の工事現場から排出されるものについては、特別管理産業廃

棄物に該当する飛散性アスベスト廃棄物(廃石綿等)と通常の産業廃棄物として取り扱われる

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非飛散性アスベスト廃棄物(石綿含有産業廃棄物)に分類される(表7)。

飛散性アスベスト廃棄物と非飛散性アスベスト廃棄物とでは、図13に示すように、収集運搬、

保管、中間処理、埋立処分などにおいて、取扱いが異なる。

表7 石綿含有建材の分類及び種類に対応する産業廃棄物上での取扱い

石綿含有建材の工法・材質等からの分類 産業廃棄物上での取扱い

分類 種類 飛散性・非飛散性の区分 廃棄物処理法等での取扱い

吹付け材

吹付けアスベスト

石綿含有吹付けロックウール

石綿含有吹付けバーミキュライト

石綿含有パーライト吹付け

石綿含有建築用仕上塗材(リシン吹付け

など吹付け工法により施工されたもの)

など

飛散性

(廃石綿等)

「事業者の特別管理産業廃

棄物に係る処理」(廃棄物処

理法第12条の2)及び都の

指導指針等の遵守が必要。

保温材等

石綿保温材

けいそう土保温材

パーライト保温材

その他石綿が飛散するおそれのある保

温材

石綿が飛散するおそれのあるアスベス

ト含有耐火被覆材

石綿が飛散するおそれのあるアスベス

ト含有断熱材

成形板等

石綿含有ロックウール吸音天井板

住宅屋根用化粧スレート

石綿スレート

石綿セメント円筒

石綿含有パルプセメント板

石綿含有ビニル床タイル

繊維強化セメント板

窯業系サイディング

石綿含有建築用仕上塗材(吹付け工法以

外の工法により施工されたもの)

など多種

非飛散性

(石綿含有産業廃棄物)

産業廃棄物に関する「事業

者の処理」(廃棄物処理法第

12条)及び都の指導指針等

の遵守が必要。

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図13 アスベスト廃棄物の処理の概要43)

43) 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部:「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第2版)」(2011)を基に作成した。

特別管理産業廃棄物 産業廃棄物

飛散性アスベスト廃棄物(廃石綿等)

○建築物等から石綿建材除去事業により除去

された吹付け石綿、石綿を含む保温材、断

熱材及び耐火被覆材等

○石綿建材除去事業から廃棄されるプラスチ

ックシート、マスク、作業衣等

○特定粉じん発生施設の設置事業所から生じ

た石綿及び石綿付着物

非飛散性アスベスト廃棄物

(石綿含有産業廃棄物)

○石綿スレート等の外装材、床タイル等

【工作物の新築、改築又は除去に伴って生

ずる産業廃棄物であって、石綿をその重量

の0.1%を超えて含有するもの】

特別管理産業廃棄物の処理基準

(廃棄物処理法施行令等)

○こん包する等飛散防止措置をとること

○他の廃棄物と区分して収集、運搬、積替え、

保管を行うこと

○廃石綿等である旨及び注意事項の表示を行

うこと

○溶融、無害化処理による処分

○埋立処分を行う場合、あらかじめ、固型化、

薬剤による安定化後、耐水性の材料で二重

こん包すること

○一定の場所で分散しないように埋立処分

し、覆土すること

産業廃棄物の処理基準

(廃棄物処理法施行令等)

○飛散防止措置をとること

○他の廃棄物と区分して収集、運搬、積替え、

保管を行うこと

○溶融、無害化処理による処分

○中間処理としての破砕禁止

○一定の場所で分散しないように埋立処分

し、覆土すること

埋立処分

最終処分場(管理型)

埋立処分

最終処分場(安定型又は管理型)

中間処理

石綿含有廃棄物等※の溶融施設(都道府県・政令市許可)

又は無害化処理施設(大臣認定)

※石綿含有廃棄物等:廃石綿等及び石綿含有廃棄物

特別管理産業廃棄物

産業廃棄物

産業廃棄物

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特別管理産業廃棄物(廃石綿等)の定義と範囲 3.10.2

廃棄物処理法において「廃石綿等」とは、廃石綿及び石綿が含まれ、若しくは付着している

産業廃棄物のうち、次のものであって、飛散するおそれのあるものをいう。

ⅰ)石綿建材除去事業(建築物その他の工作物(建築物等)に用いられる材料であって石綿

を吹き付けられ、又は含むものの除去を行う事業)に係るもの

ⅱ)特定粉じん発生施設が設置されている事業場において生じたもの

ⅲ)輸入されたもの(事業活動に伴って生じたものに限る。)

このうち、ⅰ)の石綿建材除去事業に係るものについて、「廃石綿等」の具体的な範囲は、次

のとおりである。

① 建築物等に用いられる材料であって石綿を吹き付けられたものから石綿建材除去事業に

より除去された当該石綿

② 建築物等に用いられる材料であって石綿を含むもののうち石綿建材除去事業により除去

された次に掲げるもの

ア 石綿保温材

イ けいそう土保温材

ウ パーライト保温材

エ 人の接触、気流及び振動等によりアからウに掲げるものと同等以上に石綿が飛散す

るおそれのある保温材、断熱材及び耐火被覆材

③ 石綿建材除去事業において用いられ、廃棄されたプラスチックシート、防じんマスク、

作業衣その他の用具又は器具であって、石綿が付着しているおそれのあるもの

④ 石綿であって、集じん施設によって集められたもの(事業活動に伴って生じたものであ

って、輸入されたものに限る。)

⑤ 廃棄された防じんマスク、集じんフィルターその他の用具又は器具であって、石綿が付

着しているおそれのあるもの(事業活動に伴って生じたものであつて、輸入されたものに

限る。)

石綿含有産業廃棄物の定義 3.10.3

廃棄物処理法において「石綿含有産業廃棄物」とは、建築物その他の工作物の新築、改築又

は除去に伴って生じた産業廃棄物であって、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するもの(廃

石綿等を除く。)をいう。石綿含有産業廃棄物の多くは、石綿含有の成形板等を建築物等から除

去したものである。

特別管理産業廃棄物管理責任者の設置 3.10.4

事業者(排出事業者、すなわち工事の元請業者)は、廃石綿等の処理に関する業務を適切に

行わせるため、廃石綿等を生ずる事業場(工事現場)ごとに、法律で定めた資格を有する特別

管理産業廃棄物管理責任者を置かなければならない。

都では、東京都における特別管理産業廃棄物管理責任者設置に係る要綱を定め、事業者が特

別管理産業廃棄物管理責任者を設置又は変更した場合に、工事着工前に「特別管理産業廃棄物

管理責任者設置(変更)報告書」を都知事に提出することを義務付けている(同要綱第4条。

(窓口は環境局資源循環推進部産業廃棄物対策課)。

また、平成17年9月からは、廃石綿等の適正処理について更に万全を期すために、同報告書

に「廃石綿等処理計画書」の添付を求めている。

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廃棄物が搬出されるまでの措置及び保管 3.10.5

廃棄物処理法においては、事業者に対して、産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物が運搬され

るまでの間、産業廃棄物保管基準及び特別管理産業廃棄物保管基準に従い、生活環境の保全上

支障のないようにこれを保管することを義務付けている(廃棄物処理法第12条第2項及び第12

条の2第2項)。

産業廃棄物保管基準(廃棄物処理法規則第8条)及び特別管理産業廃棄物保管基準(廃棄物

処理法規則第8条の13)のうち、建築物等の解体、改修の工事現場に関わるものは、次のとお

りである。

保管の場所の要件 ①

ア 周囲に囲いが設けられていること。

イ 見やすい箇所に次に掲げる要件を備えた掲示板が設けられていること。

(ア) 縦及び横それぞれ60㎝以上であること。

(イ) 次に掲げる事項を表示したものであること。

ⅰ.産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物の保管の場所である旨

ⅱ.保管する産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物の種類

・産業廃棄物については、「がれき類」、「ガラスくず」、「廃プラスチック類」などの表示

・産業廃棄物に「石綿含有産業廃棄物」が含まれる場合には、その旨の表示

・特別管理産業廃棄物については、「廃石綿等」の表示

ⅲ.保管の場所の管理者の氏名又は名称及び連絡先

廃石綿等を保管する場合にあっては、特別管理産業廃棄物管理責任者の氏名と連

絡先の表示(指導指針4(2)②)。

ⅳ.屋外において産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物を容器を用いずに保管する場合にあ

っては、次の②に示す高さの上限

保管する廃棄物の高さの制限 ②

屋外において特別管理産業廃棄物を容器を用いずに保管する場合にあっては、積み上げられ

た特別管理産業廃棄物の高さが、保管の場所の各部分について、図13に掲げる場合に応じ、そ

れぞれに示されている高さを超えないようにする。

ここで、直接負荷部分とは、囲いにおいて設けられる、保管する特別管理産業廃棄物の荷重

が直接かかる構造である部分をいう。

(左)囲いに直接負荷部分がある場合 (右)囲いに直接負荷部分がない場合

図14 最大保管高さの判定(屋外で容器を用いずに保管する場合)

廃石綿等と他の物との間の仕切り ③

廃石綿等に他の物が混入するおそれのないように仕切りを設ける。

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石綿含有産業廃棄物と他の物との間の仕切り ④

石綿含有産業廃棄物が他の物と混合するおそれのないように仕切りを設ける。

非飛散性アスベスト廃棄物の取扱い ⑤

都の指導指針では、以上のほか、非飛散性アスベスト廃棄物(すなわち石綿含有産業廃棄物)

については、以下の措置を求めている。

ⅰ) 他の廃棄物と分別して保管する。

ⅱ) 荷重により変形又は破断しないよう整然と積み重ねる。

ⅲ) 飛散しないようシート掛け、袋詰め等の対策を講ずる。特に粉末状や小片の物につい

ては必ず袋詰めを行う。

ⅳ) 非飛散性アスベストの保管場所であることを表示する。

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関係法令等の条文 3.11

大気汚染防止法(抜粋) 3.11.1

第2条(定義等) (第11項まで略)

12 この法律において「特定粉じん排出等作業」とは、吹付け石綿その他の特定粉じんを発生し、又は飛

散させる原因となる建築材料で政令で定めるもの(以下「特定建築材料」という。)が使用されている建

築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)を解体し、改造し、又は補修する作業のうち、その作

業の場所から排出され、又は飛散する特定粉じんが大気の汚染の原因となるもので政令で定めるものを

いう。

13及び14 (略)

●大気汚染防止法施行令

第3条の3(特定建築材料) 法第2条第12項の政令で定める建築材料は、次に掲げる建築材料とする。

一 吹付け石綿

二 石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材(前号に掲げるものを除く。)

第3条の4(特定粉じん排出等作業) 法第2条第12項の政令で定める作業は、次に掲げる作業とする。

一 定建築材料が使用されている建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)を解体する作

二 特定建築材料が使用されている建築物等を改造し、又は補修する作業

第18条の14(作業基準) 特定粉じん排出等作業に係る規制基準(以下「作業基準」という。)は、特定粉

じんの種類及び特定粉じん排出等作業の種類ごとに、特定粉じん排出等作業の方法に関する基準として、

環境省令で定める

●大気汚染防止法施行規則

第16条の4(作業基準) 石綿に係る法第18条の14の作業基準は、次のとおりとする。

一 特定粉じん排出等作業を行う場合は、見やすい箇所に次に掲げる事項を表示した掲示板を設け

ること。

イ 法第18条の15第1項又は第2項の届出年月日及び届出先、届出者の氏名又は名称及び住所並

びに法人にあつては、その代表者の氏名

ロ 特定工事を施工する者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

ハ 特定粉じん排出等作業の実施の期間

ニ 特定粉じん排出等作業の方法

ホ 特定工事を施工する者の現場責任者の氏名及び連絡場所

二 前号に定めるもののほか、別表第7の中欄に掲げる作業の種類ごとに同表の下欄に掲げるとお

りとする。

別表第7(第16条の4関係)

一 令第3条の4第1号に掲げ

る作業(次項又は三の項に

掲げるものを除く。)

次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等に使用され

ている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等以上の効果を

有する措置を講ずること。

イ 特定建築材料の除去を行う場所(以下「作業場」という。)を

他の場所から隔離し、作業場の出入口に前室を設置すること。

ロ 作業場及び前室を負圧に保ち、作業場の排気に日本工業規格

Z8122に定めるHEPAフィルターを付けた集じん・排気装置を

使用すること。

ハ イの規定により隔離を行つた作業場において初めて特定建築

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材料の除去を行う日の当該除去の開始前に、使用する集じん・

排気装置が正常に稼働することを使用する場所において確認

し、異常が認められた場合は、集じん・排気装置の補修その他

の必要な措置を講ずること。

ニ 特定建築材料の除去を行う日の当該除去の開始前に、作業場

及び前室が負圧に保たれていることを確認し、異常が認められ

た場合は、集じん・排気装置の補修その他の必要な措置を講ず

ること。

ホ 除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。

ヘ イの規定により隔離を行つた作業場において初めて特定建築

材料の除去を行う日の当該除去の開始後速やかに、使用する集

じん・排気装置の排気口において、粉じんを迅速に測定できる

機器を用いることにより集じん・排気装置が正常に稼働するこ

とを確認し、異常が認められた場合は、直ちに当該除去を中止

し、集じん・排気装置の補修その他の必要な措置を講ずること。

ト ハ、ニ及びヘの確認をした年月日、確認の方法、確認の結果

並びに確認した者の氏名並びに確認の結果に基づいて補修等の

措置を講じた場合は、当該措置の内容を記録し、その記録を特

定工事が終了するまでの間保存すること。

チ 特定建築材料の除去後、作業場の隔離を解くに当たつては、

特定建築材料を除去した部分に特定粉じんの飛散を抑制するた

めの薬液等を散布するとともに作業場内の特定粉じんを処理す

ること。

二 令第3条の4第1号に掲げ

る作業のうち、令第3条の

3第2号に掲げる建築材料

を除去する作業であつて、

特定建築材料を掻き落と

し、切断、又は破砕以外の

方法で除去するもの(次項

に掲げるものを除く。)

次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等に使用され

ている特定建築材料を除去するか、又はこれと同等以上の効果を

有する措置を講ずること。

イ 特定建築材料の除去を行う部分の周辺を事前に養生するこ

と。

ロ 除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化すること。

ハ 特定建築材料の除去後、養生を解くに当たつては、特定建築

材料を除去した部分に特定粉じんの飛散を抑制するための薬液

等を散布するとともに作業場内の特定粉じんを処理すること。

三 令第3条の4第1号に掲げ

る作業のうち、人が立ち入

ることが危険な状態の建築

物を解体する作業その他の

建築物の解体に当たりあら

かじめ特定建築材料を除去

することが著しく困難な作

作業の対象となる建築物等に散水するか、又はこれと同等以上の

効果を有する措置を講ずること。

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四 令第3条の4第2号に掲げ

る作業

次に掲げる事項を遵守して作業の対象となる建築物等の部分に使

用されている特定建築材料を除去し、囲い込み、若しくは封じ込

めるか、又はこれらと同等以上の効果を有する措置を講ずること。

イ 特定建築材料を掻き落とし、切断、又は破砕により除去する

場合は一の項下欄イからチまでに掲げる事項を遵守することと

し、これら以外の方法で除去する場合は二の項下欄イからハま

でに掲げる事項を遵守すること。

ロ 特定建築材料を囲い込み、又は封じ込めるに当たつては、当

該特定建築材料の劣化状態及び下地との接着状態を確認し、劣

化が著しい場合、又は下地との接着が不良な場合は、当該特定

建築材料を除去すること。

第18条の15(特定粉じん排出等作業の実施の届出) 特定粉じん排出等作業を伴う建設工事(以下「特定

工事」という。)の発注者(建設工事(他の者から請け負ったものを除く。)の注文者をいう。以下同じ。)

又は特定工事を請負契約によらないで自ら施工する者(次項において「特定工事の発注者等」という。)

は、特定粉じん排出等作業の開始の日の14日前までに、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事

項を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、災害その他非常の事態の発生により特定粉じん

排出等作業を緊急に行う必要がある場合は、この限りでない。

一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名

二 特定工事を施工する者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

三 特定工事の場所

四 特定粉じん排出等作業の種類

五 特定粉じん排出等作業の実施の期間

六 特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分における特定建築材料の種類並びにその使用箇

所及び使用面積

七 特定粉じん排出等作業の方法

2 前項ただし書の場合において、当該特定粉じん排出等作業を伴う特定工事の発注者等は、速やかに、

同項各号に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。

3 前2項の規定による届出には、当該特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の配置図その他の環

境省令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。

*罰則=法第34条第1号、法第36条及び法第37条

●大気汚染防止法施行規則

第10条の4(特定粉じん排出等作業の実施の届出) 法第18条の15第1項及び第2項に規定による届出

は、様式第3の4による届出書によつてしなければならない。

2 法第18条の15第3項の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。

一 特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の概要、配置図及び付近の状況

二 特定粉じん排出等作業の工程を明示した特定工事の工程の概要

三 特定工事を施工する者の現場責任者の氏名及び連絡場所

四 下請負人が特定粉じん排出等作業を実施する場合の当該下請負人の現場責任者の氏名及び連絡

場所

第13条(届出書の提出部数等) 法の規定による届出は、届出書の正本にその写し1通を添えて提出し

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なければならない。

2、3(略)

4 二以上の特定粉じん排出等作業についての法の規定による届出は、当該二以上の特定粉じん排出等

作業が同一の建築物等について行われる場合又は当該二以上の特定粉じん排出等作業が同一の工場

若しくは事業場において行われる場合に限り、一の届出書によつて届出をすることができる。

第18条の16(計画変更命令) 都道府県知事は、前条第1項の規定による届出があつた場合において、その

届出に係る特定粉じん排出等作業の方法が作業基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した

日から14日以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る特定粉じん排出等作業の方法に関す

る計画の変更を命ずることができる。

*罰則=法第33条の2第1項第2号、法第36条

第18条の17(解体等工事に係る調査及び説明等) 建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う

建築工事(当該建設工事が特定工事に該当しないことが明らかなものとして環境省令で定めるものを除

く。以下「解体等工事」という。)の受注者(他の者から請け負った解体等工事の受注者を除く。次項及

び第26条第1項において同じ。)は、当該解体等工事が特定工事に該当するか否かについて調査を行うと

ともに、環境省令で定めるところにより、当該解体等工事の発注者に対し、当該調査の結果について、

環境省令で定める事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。この場合において、当該解

体等工事が特定工事に該当するときは、第18条の15第1項第4号から第7号までに掲げる事項その他環

境省令で定める事項を書面に記載して、これらの事項について説明しなければならない。

2 前項前段の場合において、解体等工事の発注者は、当該解体等工事の受注者が行う同項の規定による

調査に要する費用を適正に負担することその他当該調査に関し必要な措置を講ずることにより、当該調

査に協力しなければならない。

3 解体等工事を請負契約によらないで自ら施工する者(第26条第1項において「自主施工者」という。)

は、当該解体等工事が特定工事に該当するか否かについて調査を行わなければならない。

4 第1項及び前項の規定による調査を行った者は、当該調査に係る解体等工事を施工するときは、環境

省令で定めるところにより、当該調査の結果その他環境省令で定める事項を、当該解体等工事の場所に

おいて公衆に見やすいように掲示しなければならない。

●大気汚染防止法施行規則

第16条の5(特定工事に該当しないことが明らかな建設工事) 法第18条の17第1項の環境省令で定め

る建設工事は、次に掲げる建設工事とする。

一 平成18年9月1日以後に設置の工事に着手した建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業

を伴う建設工事であつて、当該建築物等以外の建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を

伴わないもの

二 建築物等のうち平成18年9月1日以後に改造又は補修の工事に着手した部分を改造し、又は補

修する作業を伴う建設工事であつて、当該部分以外の部分を改造し、若しくは補修し、又は当該

建築物等以外の建築物等(平成18年9月1日以後に設置の工事に着手した建築物等を除く。)を解

体し、改造し、若しくは補修する作業を伴わないもの

第16条の6(解体等工事に係る説明の時期) 法第18条の17第1項の規定による説明は、解体等工事

の開始の日までに(当該解体等工事が特定工事に該当し、かつ、特定粉じん排出等作業を当該特定

工事の開始の日から14日以内に開始する場合にあつては、当該特定粉じん排出等作業の開始の日の

14日前までに)行うものとする。ただし、災害その他非常の事態の発生により解体等工事を緊急に

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行う必要がある場合にあつては、速やかに行うものとする。

第16条の7(解体等工事に係る説明の事項) 法第18条の17第1項前段の環境省令で定める事項は、次

のとおりとする。

一 調査を終了した年月日

二 調査の方法

三 調査の結果

第16条の8(特定工事に係る説明の事項) 法第18条の17第1項後段の環境省令で定める事項は、第

10条の4第2項各号に掲げる事項とする。

第16条の9(解体等工事に係る掲示の方法) 法第18条の17第4項の規定による掲示は、掲示板を設け

ることにより行うものとする。

第16条の10(解体等工事に係る掲示の事項) 法第18条の17第4項の環境省令で定める事項は、次の

とおりとする。

一 法第18条の17第1項又は第3項の規定による調査を行つた者の氏名又は名称及び住所並びに法人

にあつては、その代表者の氏名

二 調査を終了した年月日

三 調査の方法

四 解体等工事が特定工事に該当する場合は、特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分

における特定建築材料の種類

第18条の18(作業基準の遵守義務) 特定工事を施工する者は、当該特定工事における特定粉じん排出等

作業について、作業基準を遵守しなければならない。

第18条の19(作業基準適合命令等) 都道府県知事は、特定工事を施工する者が当該特定工事における特

定粉じん排出等作業について作業基準を遵守していないと認めるときは、その者に対し、期限を定めて

当該特定粉じん排出等作業について作業基準に従うべきことを命じ、又は当該特定粉じん排出等作業の

一時停止を命ずることができる。

*罰則=法第33条の2第1項第2号、法第36条

第18条の20(発注者の配慮) 特定工事の発注者は、当該特定工事を施工する者に対し、施工方法、工期、

工事費その他当該特定工事の請負契約に関する事項について、作業基準の遵守を妨げるおそれのある条

件を付さないように配慮しなければならない。

第26条(報告及び検査) 環境大臣又は都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、政令で

定めるところにより、ばい煙発生施設を設置している者、(中略)、解体等工事に係る建築物等の状況、

特定粉じん排出等作業の状況その他必要な事項の報告を求め、又はその職員に、ばい煙発生施設を設置

している者、(中略)若しくは解体等工事に係る建築物等若しくは解体等工事の現場に立ち入り、ばい煙

発生施設、(中略)、解体等工事に係る建築物等その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定による環境大臣による報告の徴収又はその職員による立入検査は、大気の汚染により人の

健康又は生活環境に係る被害が生ずることを防止するため緊急の必要があると認められる場合に行うも

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のとする。

3 第1項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなけれ

ばならない。

4 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

*罰則=法第35条第4号、法第36条

●大気汚染防止法施行令

第12条(報告及び検査) (第6項まで略)

7 環境大臣又は都道府県知事は、法第26条第1項の規定により、解体等工事の発注者に対し、法第18

条の15第1項第4号から第7号までに掲げる事項、同条第3項の環境省令で定める事項及び法第18

条の17第1項の規定による調査について報告を求めることができる。

8 環境大臣又は都道府県知事は、法第26条第1項の規定により、解体等工事の受注者に対し法第18条

の17第1項の規定による調査について、自主施工者に対し法第18条の15第1項第4号から第7号まで

に掲げる事項、同条第3項の環境省令で定める事項及び法第18条の17第3項の規定による調査につい

て、それぞれ報告を求め、又はその職員に、解体等工事に係る建築物等若しくは解体等工事の現場に

立ち入り、解体等工事に係る建築物等、解体等工事により生じた廃棄物その他の物及び関係帳簿書類

を検査させることができる。

9 環境大臣又は都道府県知事は、法第26条第1項の規定により、特定工事を施工する者(特定工事を

請負契約によらないで自ら施工する者を除く。)に対し、特定粉じん排出等作業の対象となる建築物

等の部分における特定建築材料の種類並びにその使用箇所及び使用面積、特定粉じん排出等作業の方

法並びに法第18条の15第3項の環境省令で定める事項について報告を求め、又はその職員に、特定工

事に係る建築物等若しくは特定工事の現場に立ち入り、特定粉じん排出等作業に使用される機械器具

及び資材(特定粉じんの排出又は飛散を抑制するためのものを含む。)を検査させることができる。

第28条(資料の提出の要求等) 環境大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、

関係地方公共団体の長に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。

2 都道府県知事は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は

関係地方公共団体の長に対し、ばい煙発生施設、(中略)若しくは特定粉じん排出等作業の状況等に関す

る資料の送付その他の協力を求め、又はばい煙、揮発性有機化合物若しくは粉じんによる大気の汚染の

防止に関し意見を述べることができる。

第28条の2(環境大臣の指示) 環境大臣は、大気の汚染により人の健康に係る被害が生ずることを防止

するため緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事又は第31条第1項の政令で定める市(特別区

を含む。)の長に対し、次に掲げる事務に関し必要な指示をすることができる。

一 第9条、(中略)、第18条の16、第18条の19(中略)の規定による命令に関する事務

二~五 (略)

六 前条第2項の規定による協力を求め、又は意見を述べることに関する事務

第31条(政令で定める市の長による事務の処理) この法律の規定により都道府県知事の権限に属する事

務の一部は、政令で定めるところにより、政令で定める市(特別区を含む。以下同じ。)の長が行うこと

とすることができる。

●大気汚染防止法施行令

第13条(政令で定める市の長による事務の処理) 法に規定する都道府県知事の権限に属する事務のう

ち、ばい煙の排出の規制及び粉じんに関する規制に係る次に掲げる事務(工場に係る事務を除く。)、

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(中略)並びに法第24条第1項の規定による公表に関する事務は、小樽市、(中略)及び大牟田市の

長(以下「政令市の長」という。)が行うこととする。この場合においては、法及びこの政令中この

項前段に規定する事務に係る都道府県知事に関する規定は、政令市の長に関する規定として政令市の

長に適用があるものとする。

一 法第6条第1項、(中略)並びに第18条の15第1項及び第2項の規定による届出の受理に関する

事務

二 法第9条、(中略)、第18条の16並びに第18条の19の規定による命令に関する事務

三、四 (略)

五 法第26条第1項の規定による報告の徴収及び立入検査(法第23条第2項の規定による権限の行

使に関し必要と認められる場合における報告の徴収及び立入検査を除く。)に関する事務

六~九 (略)

2 前項に規定する事務並びに法に規定する都道府県知事の権限に属する事務のうちばい煙の排出の

規制及び粉じんに関する規制に係る前項各号に掲げる事務であつて工場に係るもの並びに揮発性有

機化合物の排出の規制に係る次に掲げる事務は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第

1項の指定都市(北九州市を除く。)の長及び同法第252条の22第1項の中核市の長(以下この項にお

いて「指定都市の長等」という。)が行うこととする。この場合においては、法及びこの政令中この

項前段に規定する事務に係る都道府県知事に関する規定は、指定都市の長等に関する規定として指定

都市の長等に適用があるものとする。

一~八 (略)

3 (略)

第33条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

一 (略)

二 第17条第3項、(中略)、第18条の16、第18条の19又は第23条第2項の規定による命令に違反した者

2 過失により、前項第1号の罪を犯した者は、3月以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する。

第34条 次の各号のいずれかに該当する者は、3月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

一 第6条第1項、(中略)又は第18条の15第1項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

二 (略)

第35条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。

一~三 (略)

四 第26条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒

み、妨げ、若しくは忌避した者

第36条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に

関し、前4条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑

を科する。

第35条 第11条、(中略)又は第18条の15第2項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、10

万円以下の過料に処する。

都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(抜粋) 3.11.2

第123条(建設工事等に係る遵守事項) (略)

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2 石綿を含む建設材料(以下「石綿含有材料」という。)を使用する建築物その他の施設の解体又は改修

の工事を施工する者は、知事が定める作業上の遵守事項(以下この節において「遵守事項」という。)に

従って工事を施工し、及び規則で定めるところにより石綿の飛散の状況について監視を行わなければな

らない。

●石綿含有材料を使用する建築物その他の施設の解体又は改修の工事における作業上の遵守事項(平成26

年5月29日東京都告示第830号)

都民の健康と安全を確保する環境に関する条例第123条第2項に規定する石綿含有材料を使用す

る建築物その他の施設の解体又は改修の工事における作業上の遵守事項

第1 吹き付け石綿(吹き付け工法に使用される石綿含有材料をいう。以下同じ。)又は石綿を含有す

る保温材(石綿を含有する耐火被覆材及び断熱材を含む。以下同じ。)を使用する建築物その他の施

設の解体又は改修の工事を施工する者の遵守事項

大気汚染防止法(昭和43年法律第97号。以下「法」という。)第18条の17及び第18条の18の規定に

よるほか、次によること。

1 防じんシートその他の資材を使用して、工事現場に覆いをすること。

2 粉じんの飛散を防止するため、散水その他の方法により、工事現場を湿潤化すること。

3 石綿を湿潤化するために行う散水その他の措置により石綿を含む水を排出するときは、ろ過処

理その他の適切な処置を講じること。

4 吹き付け石綿又は石綿を含有する保温材の封じ込め又は囲い込み作業を行う場合において、全

面にわたって、又は部分的に表面が荒れ、剥離した形跡があるときその他石綿が飛散するおそれ

のある作業を実施するときは、吹き付け石綿を使用する建築物その他の施設の解体において掻き

落としの方法により吹き付け石綿を除去する作業に係る法第18条の14の作業基準に規定する措置

と同等の措置を講ずること。

5 吹き付け石綿又は石綿を含有する保温材の除去作業に使用した工具及び資材等は、付着した石

綿を取り除いた後、当該除去作業を行う場所(以下「作業場」という。)の外へ搬出すること。

6 作業場と周辺との隔離に使用したプラスチックシート等は、真空掃除機等で清掃した後、飛散

防止剤を散布し、作業場内の空気の除じんを十分行った後に取り外すこと。

7 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(以下「条例」という。)第124条第1項の規定に

よる届出に必要な情報を法第18条の17第1項の規定による説明のときに発注者に提供すること。

8 1から7までの規定による措置、条例第123条第2項の規定による監視の結果に基づく措置、法

第18条の14の作業基準に係る措置その他吹き付け石綿又は石綿を含有する保温材の除去等に係る

措置を行ったときは、実施年月日、実施方法、異常の有無及び異常があった場合の措置内容並び

に現場責任者の氏名を記録し、これを3年間保存すること。

第2 石綿含有材料のうち吹き付け石綿又は石綿を含有する保温材以外のもの(以下「石綿含有成形板」

という。)を使用する建築物その他の施設の解体又は改修の工事を施工する者の遵守事項

1 あらかじめ当該建築物その他の施設において使用されている石綿含有成形板の使用の箇所及び

規模を設計図書等及び現場目視によって調査し、把握すること。

2 石綿含有成形板を除去するときは、薬剤等で湿潤化した後に行い、当該石綿含有成形板を破断

しない方法で除去すること。

3 工事現場及びその周辺に、石綿含有成形板の破片その他の石綿を含有するくずが残存しないよ

う後片付け及び清掃を行うこと。

4 第1 1、2及び5に規定する措置と同等の措置を講ずること。

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●都民の健康と安全を確保する環境に関する条例施行規則

第59条(石綿の飛散の状況の監視) 条例第123条第2項に規定する石綿の飛散の状況についての監視

は、別表第13の上欄に掲げる工事の区分に応じ、同表下欄に掲げる監視の方法によるものとする。

1 吹付け石綿

2 石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材(前号に掲げるものを除く。)

別表第13 石綿の飛散の状況の監視方法(第59条関係)

工事の区分 監視の方法

一 石綿含有建築物解体等工

事に該当するもの(除去、封じ

込め又は囲い込みの作業の箇

所が局所であって、知事が認め

る石綿の飛散防止方法による

ものを除く。)

工事の開始前、石綿の除去、封じ込め又は囲い込みの作業の施工

中及び工事終了後において、付表に定めるところによりそれぞれ

1回以上(当該作業の施工の期間が6日を超える場合、当該期間

の6日ごとに1回以上、2区画以上の区画にわたって行われる場

合、区画ごとに1回以上)大気中における石綿の濃度を測定し、

その結果を記録し、これを3年間保存する方法

二 一以外のもの 解体又は改修工事の現場内において目視によって粉じんの飛散の

状況を監視し、その結果を記録し、これを3年間保存する方法

付表

測定位置 工事の場所の敷地の境界線のうち、集じん・排気装置の排出口に最も近い場所を含む建

築物その他の施設の周辺4方向の場所

測定方法 次に掲げる方法のうち、石綿の種類(クリソタイル、トレモライトその他の石綿の種類

をいう。)に応じて適切であると認められるもの

1 大気汚染防止法施行規則(昭和46年厚生省・通商産業省令第1)第16条の2及び第

16条の3第1号の規定に基づき、環境大臣が定める石綿に係る濃度の測定法の例によ

る方法

2 十分な精度を有するものとして知事が別に定める方法

第124条(石綿含有建築物解体等工事に係る届出等) 石綿含有材料(規則で定めるものに限る。以下同じ。)

を使用する建築物その他の施設で、規則で定める面積以上の石綿含有材料を使用する壁面、天井その他

の部分を有するもの又は規則で定める面積以上の延べ面積等を有するものの解体又は改修の工事(以下

「石綿含有建築物解体等工事」という。)の発注者(工事(他の者から請け負ったものを除く。)の注文

者をいう。)又は石綿含有建築物解体等工事を請負契約によらないで自ら施工する者は、当該石綿含有建

築物解体等工事の開始の日前14日までに規則で定めるところにより、当該石綿含有建築物解体等工事に

係る石綿の飛散防止方法の詳細及び飛散の状況の監視その他の計画(以下「飛散防止方法等計画」とい

う。)を知事に届け出なければならない。

2 知事は、前項の規定による届出があった場合において、飛散防止方法等計画が規則又は遵守事項に従

っていないと認めるときは、その届出をした者に対し、当該飛散防止方法等計画を規則又は遵守事項に

従ったものに変更することを勧告することができる。

*罰則=条例第161条第2号、条例第164条

●都民の健康と安全を確保する環境に関する条例施行規則

第60条(石綿飛散防止方法等計画届等) 条例第124条第1項に規定する規則で定める石綿含有材料は、

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吹き付け石綿(吹き付け工法に使用される石綿含有材料をいう。以下同じ。)及び石綿を含有する保

温材(石綿を含有する耐火被覆材及び断熱材を含む。)とする。ただし、同項に規定する壁面、天井

その他の部分に使用する場合は、吹き付け石綿に限る。

2 条例第124条第1項に規定する規則で定める石綿含有材料を使用する壁面、天井その他の部分の面

積は、15㎡とする。

3 条例第124条第1項に規定する規則で定める延べ面積等は、建築物については延べ面積で500㎡、建

築物以外の施設については築造面積(建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第2条第1項第5

号に規定する築造面積をいう。)で500㎡とする。

4 条例第124条第1項の規定による届出は、別記第35号様式による石綿飛散防止方法等計画届出書に

よらなければならない。

第125条(改善勧告及び改善命令) 知事は、(中略)、又は石綿含有建築物解体等工事を施工する者が遵守

事項に従わないで工事を施工していると認めるときは、それらの事態を排除するため、(中略)又は石綿

含有建築物解体等工事を施工する者に対し、期限を定めて、騒音、振動、粉じん若しくは汚水の防止の

方法若しくは作業の方法を改善し、又は指定建設作業の作業時間を変更することを勧告することができ

る。

2 知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないで(中略)又は石綿含有建築物解体

等工事を施工しているときは、期限を定めて、同項の事態を排除するために必要な限度において、騒音、

振動、粉じん若しくは汚水の防止の方法若しくは作業の方法を改善し、又は指定建設作業の作業時間を

変更することを命ずることができる。

*罰則=条例第158条第1号、条例第164条

第152条(立入検査等) 知事は、この条例の施行に必要な限度において、関係職員に、自動車、建設作業

機械等の所在すると認める場所、工場、指定作業場、建設工事現場その他の場所に立ち入り、その場所

において、又はその他必要な場所において、自動車、建設作業機械等、自動車検査証、帳簿書類、機械、

設備その他の物件を検査し、土壌若しくは地下水の採取をし、又は関係人に対する指示若しくは指導を

行わせることができる。

2 前項の規定により立入検査等を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなけれ

ばならない。

3 第1項の規定により立入検査等(第三章の規定に係るものを除く。)を行う職員のうち専ら当該事務に

当たるものを、東京都公害監察員と称するものとする。

4 (略)

5 第1項の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

6 (略)

第155条(報告の徴収) 知事は、この条例の施行に必要な限度において、温室効果ガス排出事業者、(中

略)又は公害を発生させ、若しくは発生させるおそれがある者に、必要な事項を報告し、又は資料を提

出させることができる。

2 (略)

第158条 次の各号の一に該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

1 第8条の5第1項、(中略)、第125条第2項又は第139条の規定による命令に違反した者

2 (略)

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第161条 次の各号の一に該当する者は、15万円以下の罰金に処する。

1 (略)

2 第90条又は第124条第1項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

3 (略)

4 第152条第1項の規定による立入り、検査若しくは採取(中略)を拒み、妨げ、又は忌避した者

第164条(両罰規定) 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、当該法人又

は人の業務に関し、前6条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、当該法人又は人に対して各

本条の罰金刑又は科料刑を科する。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(抜粋) 3.11.3

第2条(定義) この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃

酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及

びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。

2、3 (略)

4 この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。

一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック

類その他政令で定める廃棄物

二 (略)

5 この法律において「特別管理産業廃棄物」とは、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の

人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをい

う。

6 (略)

●廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令

第2条(産業廃棄物) 法第2条第4項第1号の政令で定める廃棄物は、次のとおりとする。

一 (略)

二 木くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、木材

又は木製品の製造業(家具の製造業を含む。)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業

に係るもの、貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用し

たこん包用の木材を含む。)に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)

三~六 (略)

七 ガラスくず、コンクリートくず(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものを除く。)及

び陶磁器くず

八 (略)

九 工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物

十~十三 (略)

第2条の4(特別管理産業廃棄物) 法第2条第5項(ダイオキシン類対策特別措置法第24条第2項の

規定により読み替えて適用する場合を含む。)の政令で定める産業廃棄物は、次のとおりとする。

一~四 (略)

五 特定有害産業廃棄物(次に掲げる廃棄物をいう。以下同じ。)

イ~へ (略)

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ト 廃石綿等(廃石綿及び石綿が含まれ、若しくは付着している産業廃棄物のうち、石綿建材除

去事業(建築物その他の工作物に用いられる材料であつて石綿を吹き付けられ、又は含むもの

の除去を行う事業をいう。)に係るもの(輸入されたものを除く。)、別表第3の一の項に掲げる

施設において生じたもの(輸入されたものを除く。)及び輸入されたもの(事業活動に伴つて生

じたものに限る。)であつて、飛散するおそれのあるものとして環境省令で定めるものをいう。

以下同じ。)

六~十一 (略)

3 (略)

●廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則

第1条の2(令第2条の4の環境省令で定める基準等) (略)

2~8 (略)

9 令第2条の4第5号トの規定による環境省令で定める産業廃棄物は、次のとおりとする。

一 建築物その他の工作物(次号において「建築物等」という。)に用いられる材料であつて石綿を

吹きつけられたものから石綿建材除去事業により除去された当該石綿

二 建築物等に用いられる材料であって石綿を含むもののうち石綿建材除去事業により除去された

次に掲げるもの

イ 石綿保温材

ロ けいそう土保温材

ハ パーライト保温材

ニ 人の接触、気流及び振動等によりイからハに掲げるものと同等以上に石綿が飛散するおそれ

のある保温材、断熱材及び耐火被覆材

三 石綿建材除去事業において用いられ、廃棄されたプラスチックシート、防じんマスク、作業衣

その他の用具又は器具であって、石綿が付着しているおそれのあるもの

四~七 (略)

10~17 (略)

第12条(事業者の処理) 事業者は、自らその産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。第5項から第7

項までを除き、以下この条において同じ。)の運搬又は処分を行う場合には、政令で定める産業廃棄物の

収集、運搬及び処分に関する基準(当該基準において海洋を投入処分の場所とすることができる産業廃

棄物を定めた場合における当該産業廃棄物にあつては、その投入の場所及び方法が海洋汚染等及び海上

災害の防止に関する法律に基づき定められた場合におけるその投入の場所及び方法に関する基準を除く。

以下「産業廃棄物処理基準」という。)に従わなければならない。

2 事業者は、その産業廃棄物が運搬されるまでの間、環境省令で定める技術上の基準(以下「産業廃棄

物保管基準」という。)に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなければならない。

3~13 (略)

●廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令

第6条(産業廃棄物の収集、運搬、処分等の基準) 法第12条第1項の規定による産業廃棄物(特別管

理産業廃棄物以外のものに限るものとし、法第2条第4項第2号に掲げる廃棄物であるもの及び当該

廃棄物を処分するために処理したものを除く。以下この項(第3号イ及び第4号イを除く。)におい

て同じ。)の収集、運搬及び処分(再生を含む。)の基準は、次のとおりとする。

一 産業廃棄物の収集又は運搬に当たつては、第3条第1号イからニまでの規定の例によるほか、

次によること。

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ロ 石綿が含まれている産業廃棄物であつて環境省令で定めるもの(以下「石綿含有産業廃棄物」

という。)の収集又は運搬を行う場合には、第3条第1号ホの規定の例によること。

二~五 (略)

2 (略)

●廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則

第7条の2の3(石綿含有産業廃棄物) 令第6条第1項第1号ロの規定による環境省令で定める産業

廃棄物は、工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じた産業廃棄物であつて、石綿をその重量の0.1

パーセントを超えて含有するもの(廃石綿等を除く。)とする。

第8条(産業廃棄物保管基準) 法第12条第2項の規定による産業廃棄物保管基準は、次のとおりとす

る。

一 保管は、次に掲げる要件を満たす場所で行うこと。

イ 周囲に囲い(保管する産業廃棄物の荷重が直接当該囲いにかかる構造である場合にあつては、

当該荷重に対して構造耐力上安全であるものに限る。)が設けられていること。

ロ 見やすい箇所に次に掲げる要件を備えた掲示板が設けられていること。

(1) 縦及び横それぞれ60センチメートル以上であること。

(2) 次に掲げる事項を表示したものであること。

(イ) 産業廃棄物の保管の場所である旨

(ロ) 保管する産業廃棄物の種類(当該産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産

業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その旨を含む。)

(ハ) 保管の場所の管理者の氏名又は名称及び連絡先

(ニ) 屋外において産業廃棄物を容器を用いずに保管する場合にあつては、次号ロに規定す

る高さのうち最高のもの

二 保管の場所から産業廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発散しないよ

うに次に掲げる措置を講ずること。

イ 産業廃棄物の保管に伴い汚水が生ずるおそれがある場合にあつては、当該汚水による公共の

水域及び地下水の汚染を防止するために必要な排水溝その他の設備を設けるとともに、底面を

不浸透性の材料で覆うこと。

ロ 屋外において産業廃棄物を容器を用いずに保管する場合にあつては、積み上げられた産業廃

棄物の高さが、保管の場所の各部分について次の(1)及び(2)に掲げる場合に応じ、当該(1)

及び(2)に定める高さを超えないようにすること。

(1) 保管の場所の囲いに保管する産業廃棄物の荷重が直接かかる構造である部分(以下この

条において「直接負荷部分」という。)がない場合 当該保管の場所の任意の点ごとに、地

盤面から、当該点を通る鉛直線と当該保管の場所の囲いの下端(当該下端が地盤面に接し

ていない場合にあつては、当該下端を鉛直方向に延長した面と地盤面との交線)を通り水

平面に対し上方に50パーセントの勾配を有する面との交点(当該点が二以上ある場合にあ

つては、最も地盤面に近いもの)までの高さ

(2) 保管の場所の囲いに直接負荷部分がある場合 次の(イ)及び(ロ)に掲げる部分に応じ、

当該(イ)及び(ロ)に定める高さ

(イ) 直接負荷部分の上端から下方に垂直距離50センチメートルの線(直接負荷部分に係る

囲いの高さが50センチメートルに満たない場合にあつては、その下端)(以下この条にお

いて「基準線」という。)から当該保管の場所の側に水平距離2メートル以内の部分 当

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該2メートル以内の部分の任意の点ごとに、次の(i)に規定する高さ(当該保管の場所

の囲いに直接負荷部分でない部分がある場合にあつては、(i)又は(ⅱ)に規定する高さ

のうちいずれか低いもの)

(i) 地盤面から、当該点を通る鉛直線と当該鉛直線への水平距離が最も小さい基準線を

通る水平面との交点までの高さ

(ⅱ) (1)に規定する高さ

(ロ) 基準線から当該保管の場所の側に水平距離2メートルを超える部分 当該2メートル

を超える部分内の任意の点ごとに、次の(i)に規定する高さ(当該保管の場所の囲いに

直接負荷部分でない部分がある場合にあつては、(i)又は(ⅱ)に規定する高さのうちい

ずれか低いもの)

(i) 当該点から、当該点を通る鉛直線と、基準線から当該保管の場所の側に水平距離2

メートルの線を通り水平面に対し上方に50パーセントの勾配を有する面との交点(当

該交点が二以上ある場合にあつては、最も地盤面に近いもの)までの高さ

(ⅱ) (1)に規定する高さ

ハ その他必要な措置

三 保管の場所には、ねずみが生息し、及び蚊、はえその他の害虫が発生しないようにすること。

四 石綿含有産業廃棄物にあつては、次に掲げる措置を講ずること。

イ 保管の場所には、石綿含有産業廃棄物がその他の物と混合するおそれのないように、仕切り

を設ける等必要な措置を講ずること。

ロ 覆いを設けること、梱包すること等石綿含有産業廃棄物の飛散の防止のために必要な措置を

講ずること。

●建築物の解体又は改修工事において発生する石綿を含有する廃棄物の適正処理に関する指導指針

(昭和62年8月21日62清環産第105号、最終改正 平成26年5月20日26環資産第149号)

5 石綿含有産業廃棄物(非飛散性アスベスト廃棄物)の処理

石綿含有産業廃棄物は、特別管理産業廃棄物でない産業廃棄物として収集・運搬、処分を行うこ

とができるが、以下の対策を講ずるものとする。

(1) 事業者による撤去

① 現場の養生は、撤去作業に先立って、解体等現場の周辺には粉じん等の飛散防止幕を設置

し、散水装置等を設置する。

② 原則手作業とし、石綿含有産業廃棄物を原形のまま撤去する。

(2) 保管の基準

事業者は、石綿含有産業廃棄物が運搬されるまでの間、当該廃棄物からアスベストが飛散しな

いように保管する。保管にあたっては、産業廃棄物保管基準(法第12条第2項及び施行規則第8

条)によるほか、以下による。

① 他の廃棄物と分別して保管する。

② 荷重により変形又は破断しないよう整然と積み重ねる。

③ 飛散しないようシート掛け、袋詰め等の対策を講ずる。特に粉末状や小片の物については

必ず袋詰めを行う。

④ 石綿含有産業廃棄物の保管場所であることを表示する。

第12条の2(事業者の特別管理産業廃棄物に係る処理) (略)

2 事業者は、その特別管理産業廃棄物が運搬されるまでの間、環境省令で定める技術上の基準(以下「特

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別管理産業廃棄物保管基準」という。)に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなけれ

ばならない。

3~7 (略)

8 その事業活動に伴い特別管理産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者は、当該事業場ごとに、

当該事業場に係る当該特別管理産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行わせるため、特別管理産業廃

棄物管理責任者を置かなければならない。ただし、自ら特別管理産業廃棄物管理責任者となる事業場に

ついては、この限りでない。

9 前項の特別管理産業廃棄物管理責任者は、環境省令で定める資格を有する者でなければならない。

10~14 (略)

●廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則

第8条の13(特別管理産業廃棄物保管基準) 法第12条の2第2項の規定による特別管理産業廃棄物保

管基準は、次のとおりとする。

一 保管は、次に掲げる要件を満たす場所で行うこと。

イ 周囲に囲い(保管する特別管理産業廃棄物の荷重が直接当該囲いにかかる構造である場合に

あつては、当該荷重に対して構造耐力上安全であるものに限る。)が設けられていること。

ロ 見やすい箇所に次に掲げる要件を備えた掲示板が設けられていること。

(1) 縦及び横それぞれ60センチメートル以上であること。

(2) 次に掲げる事項を表示したものであること。

(イ) 特別管理産業廃棄物の保管の場所である旨

(ロ) 保管する特別管理産業廃棄物の種類

(ハ) 保管の場所の管理者の氏名又は名称及び連絡先

(ニ) 屋外において特別管理産業廃棄物を容器を用いずに保管する場合にあつては、次号ロ

に規定する高さのうち最高のもの

二 保管の場所から特別管理産業廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発散

しないように次に掲げる措置を講ずること。

イ 特別管理産業廃棄物の保管に伴い汚水が生ずるおそれがある場合にあつては、当該汚水によ

る公共の水域及び地下水の汚染を防止するために必要な排水溝その他の設備を設けるととも

に、底面を不浸透性の材料で覆うこと。

ロ 屋外において特別管理産業廃棄物を容器を用いずに保管する場合にあつては、積み上げられ

た特別管理産業廃棄物の高さが、保管の場所の各部分について次の(1)及び(2)に掲げる場合

に応じ、当該(1)及び(2)に定める高さを超えないようにすること。

(1) 保管の場所の囲いに保管する特別管理産業廃棄物の荷重が直接かかる構造である部分

(以下この条において「直接負荷部分」という。)がない場合 当該保管の場所の任意の点

ごとに、地盤面から、当該点を通る鉛直線と当該保管の場所の囲いの下端(当該下端が地

盤面に接していない場合にあつては、当該下端を鉛直方向に延長した面と地盤面との交線)

を通り水平面に対し上方に50パーセントの勾配を有する面との交点(当該点が二以上ある

場合にあつては、最も地盤面に近いもの)までの高さ

(2) 保管の場所の囲いに直接負荷部分がある場合 次の(イ)及び(ロ)に掲げる部分に応じ、

当該(イ)及び(ロ)に定める高さ

(イ) 直接負荷部分の上端から下方に垂直距離50センチメートルの線(直接負荷部分に係る

囲いの高さが50センチメートルに満たない場合にあつては、その下端)(以下この条にお

いて「基準線」という。)から当該保管の場所の側に水平距離2メートル以内の部分 当

該2メートル以内の部分の任意の点ごとに、次の(i)に規定する高さ(当該保管の場所

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の囲いに直接負荷部分でない部分がある場合にあつては、(i)又は(ⅱ)に規定する高さ

のうちいずれか低いもの)

(i) 地盤面から、当該点を通る鉛直線と当該鉛直線への水平距離が最も小さい基準線を

通る水平面との交点までの高さ

(ⅱ) (1)に規定する高さ

(ロ) 基準線から当該保管の場所の側に水平距離2メートルを超える部分 当該2メートル

を超える部分内の任意の点ごとに、次の(i)に規定する高さ(当該保管の場所の囲い

に直接負荷部分でない部分がある場合にあつては、(ⅰ)又は(ⅱ)に規定する高さのうち

いずれか低いもの)

(i) 当該点から、当該点を通る鉛直線と、基準線から当該保管の場所の側に水平距離2

メートルの線を通り水平面に対し上方に50パーセントの勾配を有する面との交点(当

該交点が二以上ある場合にあつては、最も地盤面に近いもの)までの高さ

(ⅱ) (1)に規定する高さ

ハ その他必要な措置

三 保管の場所には、ねずみが生息し、及び蚊、はえその他の害虫が発生しないようにすること。

四 特別管理産業廃棄物に他の物が混入するおそれのないように仕切りを設けること等必要な措置

を講ずること。(後略)

五 特別管理産業廃棄物の種類に応じ、次に掲げる措置を講ずること。

イ~ホ (略)

ヘ 特別管理産業廃棄物である廃石綿等にあつては、梱包すること等当該廃石綿等の飛散の防止

のために必要な措置

ト (略)

第8条の17(特別管理産業廃棄物管理責任者の資格) 法第12条の2第7項の規定による環境省令で定

める資格は、次の各号に定める区分に従い、それぞれ当該各号に定めるものとする。

一 (略)

二 感染性産業廃棄物以外の特別管理産業廃棄物を生ずる事業場

イ 2年以上法第20条に規定する環境衛生指導員の職にあつた者

ロ 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。ハにおいて同じ。)又は旧大学令に基づく大学の

理学、薬学、工学若しくは農学の課程において衛生工学(旧大学令に基づく大学にあつては、

土木工学。ハにおいて同じ。)若しくは化学工学に関する科目を修めて卒業した後、2年以上廃

棄物の処理に関する技術上の実務に従事した経験を有する者

ハ 学校教育法に基づく大学又は旧大学令に基づく大学の理学、薬学、工学、農学若しくはこれ

らに相当する課程において衛生工学若しくは化学工学に関する科目以外の科目を修めて卒業し

た後、3年以上廃棄物の処理に関する技術上の実務に従事した経験を有する者

ニ 学校教育法に基づく短期大学若しくは高等専門学校又は旧専門学校令に基づく専門学校の理

学、薬学、工学、農学若しくはこれらに相当する課程において衛生工学(旧専門学校令に基づ

く専門学校にあつては、土木工学。ホにおいて同じ。)若しくは化学工学に関する科目を修めて

卒業した後、4年以上廃棄物の処理に関する技術上の実務に従事した経験を有する者

ホ 学校教育法に基づく短期大学若しくは高等専門学校又は旧専門学校令に基づく専門学校の理

学、薬学、工学、農学若しくはこれらに相当する課程において衛生工学若しくは化学工学に関

する科目以外の科目を修めて卒業した後、5年以上廃棄物の処理に関する技術上の実務に従事

した経験を有する者

ヘ 学校教育法に基づく高等学校若しくは中等教育学校又は旧中等学校令(昭和18年勅令第36号)

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に基づく中等学校において土木科、化学科若しくはこれらに相当する学科を修めて卒業した後、

6年以上廃棄物の処理に関する技術上の実務に従事した経験を有する者

ト 学校教育法 に基づく高等学校若しくは中等教育学校又は旧中等学校令に基づく中等学校に

おいて理学、工学、農学に関する科目若しくはこれらに相当する科目を修めて卒業した後、七

年以上廃棄物の処理に関する技術上の実務に従事した経験を有する者

チ 10年以上廃棄物の処理に関する技術上の実務に従事した経験を有する者

リ イからチまでに掲げる者と同等以上の知識を有すると認められる者

●東京都における特別管理産業廃棄物管理責任者設置に係る要綱

(平成13年3月30日12環廃指第702号、最終改定 平成28年3月29日27環資産第977号)

第1条(目的) この要綱は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」

という。)第12条の2第8項に定める、特別管理産業廃棄物管理責任者(廃棄物の処理及び清掃に関

する法律施行令(昭和46年政令第300号。以下「法施行令」という。)第2条の4第5号イ、ロ及びハ

に定めるポリ塩化ビフェニルに係る産業廃棄物を排出する事業者が設置する責任者をのぞく。以下

「責任者」という。)の設置に関し必要な事項を定める(八王子市の区域を除く都内に限る。)。

第2条(定義) (略)

2 この要綱において、廃石綿産業廃棄物管理責任者とは、法施行令第2条の4第5号トに定める廃石

綿等の産業廃棄物を排出する事業者が設置する責任者をいう。

3、4 (略)

第3条(責任者の資格) 責任者の資格は、次のとおりとする。

一、二 (略)

三 感染性産業廃棄物管理責任者以外の責任者 法施行規則第8条の17第2号に定める者

四 前号に定める者のうち「廃棄物の処理に関する技術上の実務に従事した経験(以下「実務経験」

という。)」とは、次に掲げる実務経験(イ及びロの合算を含む。)とする。

イ 法第7条第12項に規定する一般廃棄物処分業者、同第14条第12項に規定する産業廃棄物処分

業者の設置する処理施設において、当該施設の運転、維持管理等に従事した実務経験。

ロ 法第8条(第9条の3を含む)又は第15条に規定する一般廃棄物処理施設又は産業廃棄物処

理施設において、当該施設の運転、維持管理等に従事した実務経験。

五 法施行規則第8条の17第2号リに規定する、「イからチまでに掲げる者と同等以上の知識を有す

ると認められる者」とは、第8条第2号に規定する責任者講習会のうち、報告書を提出しようと

する責任者に係る講習会を修了し、当該講習会の修了証を受けた者とする。

第4条(責任者の設置に係る報告書の提出) 排出事業者は、責任者を設置した場合には、次に掲げる

責任者ごとに、必要事項を記載した報告書を、指定した期日までに必要書類を添付し、東京都知事に

提出しなければならない。ただし、試験、研究、建設工事等において特別管理産業廃棄物が排出され

る場合であって、当該試験、研究及び建設工事等が30日以内に終了する場合には、届出を要しないこ

ととする(廃石綿産業廃棄物管理責任者を除く。)。

一 (略)

二 廃石綿産業廃棄物管理責任者 工事着工前に、次に掲げる事項を記載した報告書(様式2)及

び必要書類を提出すること。

イ 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

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ロ 建設工事の名称、現場事務所の住所及び電話番号

ハ 責任者の氏名、所属及び資格

ニ 石綿除去工事の期間

ホ 責任者が、法施行規則第8条の17第2号イからトに定める者である場合には、当該事項を証

する書面

へ 責任者が、法施行規則第8条の17第2号チに定める者である場合には、実務を行った事業場

の長による実務経験を証する書面

ト 責任者が、法施行規則第8条の17第2号リに定める者である場合には、第8条第2号に規定

する講習会の修了証の写し

チ 廃石綿等の処理を行う者に関する事項等を記載した計画書(「廃石綿等処理計画書」という。)

三、四 (略)

第5条(責任者の変更に係る報告書の提出) 排出事業者は、第4条の規定により提出した報告書の記

載内容等に変更が生じた場合(排出する事業場を変更する場合を除く。)には、次に掲げる責任者ご

とに、変更事項及び変更内容を記載し必要書類を添付した報告書を、速やかに東京都知事に提出しな

ければならない。

一 (略)

二 廃石綿産業廃棄物管理責任者 工事着工前に、次に掲げる事項を記載した報告書(様式2)及

び必要書類を提出すること。

イ 氏名又は名称及び住所

ロ 建設工事の名称、現場事務所の住所及び電話番号

ハ 責任者の氏名、所属及び資格

ニ 責任者を変更する場合には、責任者を変更する必要が生じた事由及び当該事由が発生した年

月日

ホ 責任者を変更する場合であって、責任者が、法施行規則第8条の17第2号イからトに定める

者である場合には、当該事項を証する書面

へ 責任者を変更する場合であって、責任者が法施行規則第8条の17第2号チに定める者である

場合には、実務を行った事業場の長による実務経験を証する書面

ト 責任者を変更する場合であって、責任者が法施行規則第8条の17第2号リに定める者である

場合には、第8条第2号に規定する講習会の修了証の写し

チ 廃石綿等処理計画書の記載内容に変更がある場合には、変更内容を記載した廃石綿等処理計

画書

三 (略)

第6条(責任者の廃止に係る報告書の提出) 排出事業者は、第4条の規定により報告した責任者を廃

止した場合には、当該廃止について速やかに東京都知事に報告しなければならない。ただし、廃石綿

産業廃棄物管理責任者については、第4条第二号ニの期間の終了をもって廃止したものとみなす。

第7条(責任者の専門的知識の習得に係る努力義務) 責任者は、法第12条の2第6項に定める業務を

担当するとともに、特別管理産業廃棄物処理に係る最新の専門的知識について、積極的にその習得に

努めることとする。

第8条(特別管理産業廃棄物管理責任者講習及び実施機関) 特別管理産業廃棄物管理責任者講習及び

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実施機関は、次のとおりとする。

一 (略)

二 感染性産業廃棄物管理責任者以外の責任者 別途、運用基準に定める機関が実施する、特別管

理産業廃棄物管理責任者に関する講習会

第9条(その他) 本要綱で定めるもののほか、本要綱の実施に関して必要な事項は別に定める。

●建築物の解体又は改修工事において発生する石綿を含有する廃棄物の適正処理に関する指導指針

4 廃石綿等(飛散性アスベスト廃棄物)の処理

(1) 事業者による処理

事業者は、廃石綿等が運搬されるまでの間、石綿の飛散を防止するため、当該物を散水などに

より湿潤化させる等の応急的な措置を講じた後、直ちに、次の方法により石綿の飛散防止を図る

こと。

「大気中に飛散しないように、あらかじめ、固型化、薬剤による安定化その他これらに準ずる

措置を講じた後、耐水性の材料で二重に梱包すること。」

(2) 保管の基準(法第12条の2及び施行規則第8条の13)

事業者は、廃石綿等が運搬されるまでの間、石綿の飛散を防止するため、当該物を散水などに

より湿潤化させる等の応急的な措置を講じた後、直ちに、次のいずれかの方法により石綿の飛散

防止を図ること。

① 保管は、保管施設により行い、石綿が飛散しないようにすること。

② 保管施設には、周囲に囲いが設けられ、かつ、見やすい箇所に特別管理産業廃棄物の保管

施設であること及び保管しようとする廃棄物の種類(廃石綿等)の表示がされていること並

びに特別管理産業廃棄物管理責任者の氏名と連絡先の表示がされている掲示板(縦及び横そ

れぞれ60㎝以上)を設置すること。

③ 飛散性アスベスト廃棄物に他の物が混入するおそれのないように仕切りを設けること。

(3)~(5) (略)

(6) 特別管理産業廃棄物管理責任者の設置(法第12条の2第8項)

廃石綿等を生ずる事業(石綿建材除去事業)を行う事業者は、当該事業場(廃石綿等除去工事

現場等)ごとに、廃石綿等の処理に関する業務を適切に行わせるため、特別管理産業廃棄物管理

責任者を設置しなければならない。また、事業者は、東京都における特別管理産業廃棄物管理責

任者設置に係る要綱に基づき、特別管理産業廃棄物管理責任者を設置する場合は、当該工事等の

着手前に「特別管理産業廃棄物管理責任者設置[変更]報告書」を都知事に提出しなければならな

い。

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第4章

都と区市との役割分担

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第4章 都と区市との役割分担

建築物等の解体等工事における石綿飛散防止に関する規制の事務は、東京都と各区市が分担

して行っている。

表8 大気汚染防止法及び環境確保条例に基づく事務権限の分担(平成29年7月現在)

事務権限

所管する

地方公共団体

大気汚染防止法に基づく事務

① 作業の実施の届出の受理(第18条の15)

② 計画の変更命令(第18条の16)

③ 作業基準適合命令及び作業の一時停止

命令(第18条の19)

④ ①~③の事務に関して行う報告徴収及

び立入検査(第26条第1項)

環境確保条例に基づく事務

① 飛散防止方法等計画の届出の受理(第124条第1項)

② 飛散防止方法等計画の変更の勧告(第124条第2項)

③ 作業の方法の改善の勧告(第125条第1項)

④ 作業の方法の改善の命令(第125条第2項)

⑤ ①~④の事務に関して行う立入検査、指示及び指導

(第152条第1項)

⑥ ①~④の事務に関して行う報告及び資料の徴収

(第155条第1項)

東京都

●八王子市以外の市の地域における延べ面積2,000㎡以上の建築物に係る事務

●八王子市以外の市の地域における建築物以外の工作物に係る事務

●町村の地域における事務

特別区(23区) 各特別区の地域における事務

八王子市 八王子市の地域における事務

八王子市以外の市 各市の地域における延べ面積2,000㎡未満の建築物に係る事務

大気汚染防止法の規定による事務移管 4.1

大気汚染防止法では、同法の規定により都道府県知事の権限に属する事務の一部を、政令で

定める市の長が行うこととできる規定を設けている(第31条第1項)。平成29年7月現在、東京

都の地域においては、中核市である八王子市が政令で定められた市として、大気汚染防止法に

基づき、建築物等の解体等工事における石綿飛散防止に関する規制事務を行っている。

事務処理特例条例による事務移管 4.2

地方自治法第252条の17の2第1項の規定による「条例による事務処理の特例」制度に基づき、

大気汚染防止法及び環境確保条例に基づく建築物等の解体等工事の石綿規制に関する事務は、

「特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例」により各特別区が、「市町村におけ

る東京都の事務処理の特例に関する条例」により一部※を各市が、それぞれ処理することとさ

れている。

※ 八王子市については、大気汚染防止法の事務は法令で移管されているため、環境確保条

例に基づく事務のみを事務処理特例条例で移管。

※ 八王子市を除く市については、延べ面積2,000㎡未満の建築物に係る事務に限り、移管。

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【条例による事務処理の特例】

平成11年の地方分権一括法による地方自治法の改正によって、機関委任事務制度が廃止

されたが、同時に、地域の実情に応じて柔軟に市町村及び特別区へ事務、権限の再配分が

できるようにするために、「条例による事務処理の特例」の制度が設けられた。

本制度の趣旨は、他の法令による事務配分の制度とあわせて、地域の主体的な判断に基

づき、市町村及び特別区の規模能力等に応じ地域において事務配分を定めることを可能と

する制度を創設することにより、住民に身近な行政はできる限りより住民に身近な地方公

共団体である市町村及び特別区が担任できるようにすることである44)。

「条例による事務処理の特例」の制度により市町村及び特別区に再配分された事務につ

いては、都道府県知事は、かつての機関委任事務にあった包括的な指揮監督権や取消権及

び停止権は有しない。再配分された事務は、市町村及び特別区の事務であり、市町村及び

特別区は、当該事務について、法令に違反しない限り条例の制定が可能である44,45)。なお、

再配分の対象となる「都道府県知事の権限に属する事務」は、自治事務であるか法定受託

事務であるかを問わない44。

事務処理の特例のための条例(規則に委任して当該事務の範囲を定めるときは、当該規

則を含む。)を制定し又は改廃する場合においては、都道府県知事は、あらかじめ、その

権限に属する事務の一部を処理し又は処理することとなる市町村及び特別区の長に協議

しなければならない(地方自治法第252条の17の2第2項)。

関係規程 4.3

特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例(抜粋) 4.3.1

第1条(趣旨) この条例は、地方自治法(昭和 22年法律第 67号)第 252条の 17の2第1項に基づき、

知事の権限に属する事務の一部を特別区が処理することとすることに関し必要な事項を定めるものとす

る。

第2条(特別区が処理する事務の範囲等) 次の表の上欄に掲げる事務は、それぞれ同表の下欄に掲げる

特別区が処理することとする。

24 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(平成12年東京都条例第215号。以下この項に

おいて「条例」という。)及び条例の施行のための規則に基づく事務のうち、次に掲げるもの

イ (略)

ロ イに掲げる事務のほか、次に掲げるもの

(1) 条例第124条第1項の規定による飛散防止方法等計画の届出の受理及び同条第2項の規

定による当該飛散防止方法等計画に対する変更の勧告

(2) 条例第125条第1項の規定による改善又は変更の勧告及び同条第2項の規定による改善

又は変更の命令

(3)から(7) (略)

(8) 条例第152条第1項の規定による立入検査等であって、(1)から(7)までに掲げる事務に関

して行うもの及び条例第135条の規定による揚水量の報告に関して行うもの

(9) 条例第155条第1項の規定による報告及び資料の徴収であって、(1)から(7)までに掲げる

事務に関して行うもの

(10) (略)

各特別区

44) 松本英昭:「新版 逐条地方自治法(第5次改訂版)」学陽書房(2009) 45) 松本英昭:「地方自治法の概要 第3次改訂版」学陽書房(2009)

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ハ (略)

24の2 大気汚染防止法(昭和43年法律第97号。以下この項において「法」という。)に基づく事

務であって法第18条の15第1項に規定する特定工事に係る事務のうち、次に掲げるもの

イ 法第18条の15第1項及び第2項の規定による特定粉じん排出等作業の実施の届出の受理

ロ 法第18条の16の規定による特定粉じん排出等作業の方法に関する計画の変更命令

ハ 法第18条の19の規定による作業基準適合命令及び特定粉じん排出等作業の一時停止命令

ニ 法第26条第1項の規定による報告の徴収及び立入検査

各特別区

市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例(抜粋) 4.3.2

第1条(趣旨) この条例は、地方自治法(昭和 22年法律第 67号)第 252条の 17の2第1項に基づき、

知事の権限に属する事務の一部を市町村が処理することとすることに関し必要な事項を定めるものとす

る。

第2条(市町村が処理する事務の範囲等) 次の表の上欄に掲げる事務は、それぞれ同表の下欄に掲げる

市町村が処理することとする。

16 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(平成12年東京都条例第215号。以下この項に

おいて「条例」という。)及び条例の施行のための規則に基づく事務のうち、次に掲げるもの

イ (略)

ロ イに掲げる事務のほか、次に掲げるもの

(1) 条例第124条第1項の規定による飛散防止方法等計画の届出の受理及び同条第2項の規

定による当該飛散防止方法等計画に対する変更の勧告(延べ面積(建築基準法施行令(昭

和25年政令第338号。以下この項において「政令」という。)第2条第1項第4号に規定す

る延べ面積をいう。以下この項及び次項において同じ。)が2,000㎡未満の建築物の石綿含

有建築物解体等工事に係るものに限る。)

(2) 条例第124条第1項の規定による飛散防止方法等計画の届出の受理及び同条第2項の規

定による当該飛散防止方法等計画に対する変更の勧告(延べ面積が2,000㎡未満の建築物の

石綿含有建築物解体等工事に係るものを除く。)

(3) 条例第125条第1項の規定による改善又は変更の勧告及び同条第2項の規定による改善

又は変更の命令(延べ面積が2,000㎡未満の建築物の石綿含有建築物解体等工事に係るもの

に限る。)

(4) 条例第125条第1項の規定による改善又は変更の勧告及び同条第2項の規定による改善

又は変更の命令(延べ面積が2,000㎡未満の建築物の石綿含有建築物解体等工事に係るもの

を除く。)

(5)から(9) (略)

(10) 条例第152条第1項の規定による立入検査等であって、(1)から(9)までに掲げる事務に

関して行うもの及び条例第135条の規定による揚水量の報告に関して行うもの

(11) 条例第155条第1項の規定による報告及び資料の徴収であって、(1)から(9)までに掲げ

る事務に関して行うもの

(12) (略)

ハ (略)

各市

八王子市

各市

八王子市

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16の2 大気汚染防止法(昭和43年法律第97号。以下この項において「法」という。)に基づく粉

じんに関する規制に係る事務のうち、次に掲げるもの(延べ面積が2,000㎡未満の建築物の石綿含

有建築物解体等工事に係るものに限る。)

イ 法第18条の15第1項及び第2項の規定による特定粉じん排出等作業の実施の届出の受理

ロ 法第18条の16の規定による特定粉じん排出等作業の方法に関する計画の変更命令

ハ 法第18条の19の規定による作業基準適合命令及び特定粉じん排出等作業の一時停止命令

ニ 法第26条第1項の規定による報告の徴収及び立入検査

各市(八王子

市を除く。)

地方自治法(抜粋) 4.3.3

第 252条の 17の2(条例による事務処理の特例) 都道府県は、都道府県知事の権限に属する事務の一部

を、条例の定めるところにより、市町村が処理することとすることができる。この場合においては、当

該市町村が処理することとされた事務は、当該市町村の長が管理し及び執行するものとする。

2 前項の条例(同項の規定により都道府県の規則に基づく事務を市町村が処理することとする場合で、

同項の条例の定めるところにより、規則に委任して当該事務の範囲を定めるときは、当該規則を含む。

以下本節において同じ。)を制定し又は改廃する場合においては、都道府県知事は、あらかじめ、その権

限に属する事務の一部を処理し又は処理することとなる市町村の長に協議しなければならない。

3 市町村の長は、その議会の議決を経て、都道府県知事に対し、第1項の規定によりその権限に属する

事務の一部を当該市町村が処理することとするよう要請することができる。

4 前項の規定による要請があつたときは、都道府県知事は、速やかに、当該市町村の長と協議しなけれ

ばならない。

第 252条の 17の3(条例による事務処理の特例の効果) 前条第1項の条例の定めるところにより、都道

府県知事の権限に属する事務の一部を市町村が処理する場合においては、当該条例の定めるところによ

り市町村が処理することとされた事務について規定する法令、条例又は規則中都道府県に関する規定は、

当該事務の範囲内において、当該市町村に関する規定として当該市町村に適用があるものとする。

2 前項の規定により市町村に適用があるものとされる法令の規定により国の行政機関が市町村に対して

行うものとなる助言等、資料の提出の要求等又は是正の要求等は、都道府県知事を通じて行うことがで

きるものとする。

3 (略)

第 252条の 17の4(是正の要求等の特則) 都道府県知事は、第 252条の 17の2第1項の条例の定める

ところにより市町村が処理することとされた事務のうち自治事務の処理が法令の規定に違反していると

認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該市町村に

対し、第 245条の5第2項に規定する各大臣の指示がない場合であつても、同条第3項の規定により、

当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができ

る。

2、3 (略)

第 283条(市に関する規定の適用) この法律又は政令で特別の定めをするものを除くほか、第2編及び

第4編中市に関する規定は、特別区にこれを適用する。

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第5章

お問い合わせ、届出の窓口

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第5章 お問い合わせ、届出の窓口

総合的なお問い合わせ 5.1

本庁舎:新宿区西新宿2-8-1

代表電話番号:03-5321-1111

内 容 担当部署 電話番号

(直通)

●石綿(アスベスト)問題の概要

に関すること

●一般大気環境中の石綿濃度に関

すること

環境局環境改善部大気保全課 03-5388-3492

●大気汚染防止法、環境確保条例

に基づく飛散防止対策等に関す

ること

[23区、島しょ地域]

環境局環境改善部大気保全課 03-5388-3492

[多摩地域]

多摩環境事務所環境改善課

(立川市錦町4-6-3 東京都立川合同庁舎3階)

042-523-0238

●石綿を含む産業廃棄物の処理に

関すること

[23区、島しょ地域]

環境局資源循環推進部産業廃棄物対策課

03-5388-3586

03-5388-3589

[多摩地域]

環境局多摩環境事務所廃棄物対策課

(立川市錦町 4-6-3 東京都立川合同庁舎3階)

042-528-2694

●特別管理産業廃棄物(廃石綿等)

収集運搬業及び処分業の許可に

関すること

●産業廃棄物(がれき類、ガラスく

ず・コンクリートくず・陶磁器

くず)収集運搬業及び処分業の

許可に関すること

[23区、島しょ地域]

環境局資源循環推進部産業廃棄物対策課 03-5388-3587

[多摩地域]

環境局多摩環境事務所廃棄物対策課

(立川市錦町 4-6-3 東京都立川合同庁舎3階)

042-528-2693

●建設リサイクル法に関すること 都市整備局都市づくり政策部広域調整課 03-5388-3231

※具体的な工事等に関するお問い合わせは、5.2~5.4の届出窓口までお願いします。

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東京都の届出窓口 5.2

本庁舎:新宿区西新宿2-8-1

代表電話番号:03-5321-1111

所管事務 担当部署 電話番号

(直通)

●大気汚染防止法に基づく作業実

施届出書の届出窓口

●環境確保条例に基づく計画届出

書の届出窓口

[八王子市以外の多摩地域(市の地域は延べ面積

2,000㎡未満の建築物に係る届出を除く。)]

多摩環境事務所環境改善課

(立川市錦町4-6-3 東京都立川合同庁舎3階)

042-523-0238

[島しょ地域]

環境局環境改善部大気保全課 03-5388-3492

●特別管理産業廃棄物管理責任者

設置(変更)報告書の提出窓口

●廃石綿等処理計画書の提出窓口

環境局資源循環推進部産業廃棄物対策課 03-5388-3589

●建設リサイクル法に基づく届出

の窓口

[23区(面積 10,000㎡を超える建築物に係るもの

等※に限る。)]

都市整備局市街地建築部建築指導課

03-5388-3372

[昭島市・国立市・狛江市・東大和市・

武蔵村山市・多摩市・稲城市の地域]

多摩建築指導事務所建築指導第一課

(立川市錦町4-6-3 東京都立川合同庁舎2階)

042-548-2056

[小金井市・小平市・東村山市・清瀬市・

東久留米市の地域]

多摩建築指導事務所建築指導第二課

(小平市花小金井1-6-20 小平合同庁舎1階)

042-464-0010

[青梅市・福生市・羽村市・あきる野市・瑞穂町・

日の出町・檜原村・奥多摩町の地域]

多摩建築指導事務所建築指導第三課

(青梅市河辺町6-4-1 青梅合同庁舎3階)

0428-23-3423

[島しょ地域]

都市整備局市街地建築部建築指導課 03-5388-3372

※ 詳細は、都市整備局ホームページ「建設リサイクル法に係る都と特別区の事務の区分」をご参照ください。

http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/seisaku/recy/recy_kubun.htm

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特別区の届出窓口 5.3

大気汚染防止法に基づく作業実施届出書

環境確保条例に基づく計画届出書 建設リサイクル法に基づく届出※

担当課 電話番号 担当課 電話番号

千代田区 環境まちづくり部

環境政策課 03-5211-4254

環境まちづくり部

建築指導課 03-5211-4313

中央区 環境土木部環境推進課 03-3546-5404 都市整備部建築課 03-3546-5453

港区 環境リサイクル支援部

環境課

03-3578-2111(代)

内線2490~2492 街づくり支援部建築課 03-3578-2310

新宿区 環境清掃部環境対策課 03-5273-3764 都市計画部建築指導課 03-5273-3735

文京区 資源環境部環境政策課 03-5803-1260 都市計画部建築指導課 03-5803-1267

台東区 環境清掃部環境課 03-5246-1283 都市づくり部建築課 03-5246-1343

墨田区 環境担当環境保全課 03-5608-6210 都市計画部建築指導課 03-5608-1307

江東区 環境清掃部環境保全課 03-3647-6147 都市整備部建築課 03-3647-9743

品川区 都市環境部環境課 03-5742-6751 都市環境部建築課 03-5742-6771

目黒区 環境清掃部環境保全課 03-5722-9384 都市整備部建築課 03-5722-9642

大田区 環境清掃部環境対策課 03-5744-1369 まちづくり推進部

建築調整課 03-5744-1383

世田谷区 環境政策部環境保全課 03-5432-2274 防災街づくり担当部

建築安全課 03-5432-2477

渋谷区 都市整備部環境保全課 03-3463-2750 都市整備部建築課 03-3463-2747

中野区 環境部生活環境分野 03-3382-3135 環境部生活環境分野 03-3382-3135

杉並区 環境部環境課 03-3312-2111(代)

内線3708 都市整備部建築課

03-3312-2111(代)

内線3324

豊島区 環境清掃部環境保全課 03-3981-2405 都市整備部建築課 03-3981-2198

北区 生活環境部環境課 03-3908-8611 まちづくり部建築課 03-3908-9196

荒川区 環境清掃部環境課 03-3802-3111(代)

内線485

防災都市づくり部

建築指導課

03-3802-3111(代)

内線2842

板橋区 資源環境部環境課 03-3579-2594 都市整備部建築指導課 03-3579-2578

練馬区 環境部環境課 03-5984-4712 都市整備部建築課 03-5984-1909

足立区 環境部生活環境保全課 03-3880-5304 都市建設部建築安全課 03-3880-5952

葛飾区 環境部環境課 03-5654-8238 都市整備部建築課 03-5654-8356

江戸川区 環境部環境推進課 03-5662-1995 都市開発部建築指導課 03-5662-1104

※ 建築リサイクル法に基づく届出については、延べ面積が1万㎡超の建築物の敷地内での解体工事などを除く。

(詳細は、都市整備局ホームページ「建設リサイクル法に係る都と特別区の事務の区分」をご参照ください。

http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/seisaku/recy/recy_kubun.htm)

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市の届出窓口 5.4

大気汚染防止法に基づく作業実施届出書※1

環境確保条例に基づく計画届出書※2 建設リサイクル法に基づく届出の窓口

担当課 電話番号 担当課 電話番号

八王子市 環境部環境保全課 042-620-7217 まちなみ整備部建築指導課 042-620-7386

立川市 環境下水道部環境対策課 042-523-2111(代)

内線2248 まちづくり部建築指導課 042-528-4326

武蔵野市 環境部環境政策課 0422-60-1842 都市整備部建築指導課 0422-60-1874

三鷹市 生活環境部環境政策課 0422-45-1151(代)

内線2523 都市整備部建築指導課

0422-45-1151(代)

内線2827

青梅市 環境部環境政策課 0428-22-1111(代)

内線2333、2334 都の窓口へ

府中市 生活環境部環境政策課 042-335-4196 都市整備部建築指導課 042-335-4476

昭島市 環境部環境課 042-544-5111(代)

内線2297~2298 都の窓口へ

調布市 環境部環境政策課 042-481-7087 都市整備部建築指導課 042-481-7513

町田市 環境資源部環境保全課 042-724-2711 都市づくり部建築開発審査課 042-724-4268

小金井市 環境部環境政策課 042-387-9817 都の窓口へ

小平市 環境部環境政策課 042-346-9536

日野市 環境共生部環境保全課 042-514-8298 まちづくり部建築指導課 042-587-6211

東村山市 環境安全部環境・住宅課 042-393-5111(代)

内線2422、2423 都の窓口へ

国分寺市 建設環境部環境対策課 042-325-0111(代)

内線355 まちづくり部建築指導課

042-325-0111(代)

内線491、492

国立市 生活環境部環境政策課 042-576-2111(代)

内線135 都の窓口へ

福生市 生活環境部環境課 042-551-1718 都の窓口へ

狛江市 環境部環境政策課 03-3430-1111(代)

都の窓口へ 東大和市 環境部環境課

042-563-2111(代)

内線1272

清瀬市 都市整備部

水と緑の環境課

042-492-5111(代)

内線394 都の窓口へ

東久留米市 環境安全部環境政策課 042-470-7753

武蔵村山市 協働推進部環境課 042-565-1111(代)

内線295

都の窓口へ 多摩市 環境部環境政策課 042-338-6831

稲城市 市民部環境課 042-378-2111(代)

内線264、266

羽村市 産業環境部環境保全課 042-555-1111(代)

都の窓口へ あきる野市 環境経済部生活環境課

042-558-1111(代)

内線2514~2515

西東京市 みどり環境部環境保全課 042-438-4042 都市整備部建築指導課 042-438-4017

※1、※2 大気汚染防止法及び環境確保条例に基づく届出については、八王子市以外の市は、延べ面積2,000㎡未満の建築

物に係る届出に限る。

東京都多摩建築指導事務所

建築指導第三課0428-23-3423

東京都多摩建築指導事務所

建築指導第一課 042-548-2056

東京都多摩建築指導事務所

建築指導第二課 042-464-0010

東京都多摩建築指導事務所

建築指導第二課 042-464-0010

東京都多摩建築指導事務所

建築指導第一課 042-548-2056

東京都多摩建築指導事務所

建築指導第三課 0428-23-3423

東京都多摩建築指導事務所

建築指導第一課 042-548-2056

東京都多摩建築指導事務所

建築指導第二課 042-464-0010

東京都多摩建築指導事務所

建築指導第一課 042-548-2056

東京都多摩建築指導事務所

建築指導第三課 0428-23-3423

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労働基準監督署の一覧 5.5

(労働安全衛生法・石綿則に基づく作業の届出窓口)

署 名 所在地 電話番号 所轄地域

中 央 文京区後楽1-9-20

飯田橋合同庁舎6、7階 03-5803-7382

千代田区、中央区、文京区、大島町、八丈町、利

島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、青

ヶ島村

上 野 台東区池之端1-2-22

上野合同庁舎7階 03-3828-6711 台東区

三 田 港区芝5-35-1

安全衛生会館3階 03-3452-5474 港区

品 川 品川区上大崎3-13-26 03-3443-5743 品川区、目黒区

大 田 大田区蒲田5-40-3

月村ビル8、9階 03-3732-0175 大田区

渋 谷 渋谷区神南1-3-5

渋谷神南合同庁舎 03-3780-6535 渋谷区、世田谷区

新 宿 新宿区百人町4-4-1

新宿労働総合庁舎4、5階 03-3361-3974 新宿区、中野区、杉並区

池 袋 豊島区池袋4-30-20

豊島地方合同庁舎1階 03-3971-1258 豊島区、板橋区、練馬区

王 子 北区赤羽2-8-5 03-3902-6003 北区

足 立 足立区千住旭町4-21

足立地方合同庁舎4階 03-3882-1187 足立区、荒川区

向 島 墨田区東向島4-33-13 03-3614-4143 墨田区、葛飾区

亀 戸 江東区亀戸2-19-1

カメリアプラザ8階 03-3637-8131 江東区

江戸川 江戸川区船堀2-4-11 03-3675-2125 江戸川区

八王子 八王子市明神町3-8-10 042-642-5296 八王子市、日野市、稲城市、多摩市

立 川 立川市緑町4-2

立川地方合同庁舎3階 042-523-4473

立川市、昭島市、府中市、小金井市、小平市、東

村山市、国分寺市、国立市、武蔵村山市、東大和

青 梅 青梅市東青梅2-6-2 0428-22-0285 青梅市、福生市、あきる野市、羽村市、西多摩郡

三 鷹 武蔵野市御殿山1-1-3

クリスタルパークビル3階 0422-67-1502

武蔵野市、三鷹市、調布市、西東京市、狛江市、

清瀬市、東久留米市

町田支署 町田市森野2-28-14

町田地方合同庁舎2階 042-724-6881 町田市

※ 小笠原村については、小笠原総合事務所(父島字東町152、04998-2-2245)