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こころの健康を通して、だれもが安心して暮らせる社会をつくります No. 729 日精 看ニュース ナーシング・スター 3 2020 精神科看護者役割がさらにがっています 東京研修会場や京都研修センターでは、精神 科認定看護師教育課程、看護実習指導者講習会 といった資格取得に関する研修会や看護管理の 企画を中心に開催。各支部では、会員や管理者の ニーズに応じた研修会を実施しました。ケアの 基礎や理論から実践に役立つ技術、最新の情報な ど豊富なラインナップを提供しました。さらに「身 体拘束に頼らない患者の安全を守るケア」「地域 包括ケアシステムに関する精神科看護の役割と 機能を高める」を研修会の重点項目として掲げ、 全国的に取り組みました。 受講者数は、協会と支部の研修会受講者を合わ せて、延べ3万名でした。 44回日本精神科看護学術集会(長崎県)では 主題を「精神科看護の継承と発展」とし、精神科 看護のいままでとこれからについて意見が交わ されました。第26回日本精神科看護専門学術集会 (青森県)では患者の意思決定支援をテーマにし た学術講演からスタートし、看護研究発表やパネ ルディスカッションなどさまざまなプログラム に多くの参加者が関心を寄せていました。 それぞれの学術集会で、「よりよい精神科看護 の取り組みを共有したい」「新たな精神科看護を 吸収して臨床に活かしたい」などの声がたくさん 聞かれました。 日精看は精神科看護者の職能団体として、会員のみなさんがより質の高い精神科看護を提供できるよう、 2019年度もスキルアップ・ キャリアアップを支えるためのさまざまな研修会を実施しました。研修会や学術集会にはたくさんの方にご参加いただきました。 とくに学術集会の看護研究発表では、確実に精神科看護の質が向上していることを実感することができました。 精神科認定看護師は全国で808名が登録されていま すが、一般病院では資格そのものが周知されていませ ん。そこで、 20198月、第23回日本看護管理学会学術 集会で精神科認定看護師の実践報告を行いました。今 後も一般病院の看護管理者の方にも普及をはかり、さ まざまな場で活躍する精神科認定看護師を養成します。 2019年度の特定行為研修制度および精神科認定看護 師制度に関する検討プロジェクトでは、「精神及び神経 症状に係る薬剤投与関連」など3つの特定行為研修につ いて、厚生労働省への申請に向けて検討を行いました。 for Speciality 日精 看が取り組んだこと 榊 明彦 日本精神科看護協会 業務執行理事 研修会事業担当 . 精 神 科 看 護 者のスキルアップ・ キャリアアップを支えています! 看護者の存在意義を 高める 日精看の事業 精神科看護者の力で 精神科看護を発展させ 社会に貢献する 社会のニーズに 応える 研修会 学術集会・ 専門学術集会 精神科認定看護師、 さらなる活躍へ 特定行為研修の 実施に向けた検討 1 日精看は活動理念「こころの健康を通して、だれもが安 心して暮らせる社会をつくります。」の実現に向けて、会 員のみなさんとともにさまざまな事業に取り組んでい ます。 2019年度は新役員体制になり、いままでの事業 を継承・発展させています。 今回の特集では、教育・研究、社会貢献活動、政策提言に 関する事業について、 2019年度に行ってきた取り組み をお伝えします。そして、これらの取り組みをふまえな がら、 2020年度に向けた方針も、みなさんと共有したい と思います。 6月に沖縄県で開催する定時総会や学術集会でも、日精 看の活動をみなさんと共有して、これから求められる精 神科看護について語りあいたいと考えています。みなさ んの実践や現場の声をぜひ聞かせていただけませんか。 各支部でも多彩な研修会を実施 (写真は福島県支部提供) 日精看はほかにもさまざま な事業を行っていますが、 今回紹介する3つの事業を イメージ化しました。 学術集会のポスターセッションから イラスト/BIKKE 全国各地で 800日開催! 2,000名が 参加! 全国で808名! 一般医療や在宅で活用 できる人材育成へ 令和へ引き継いで [特集] 教育・研究 看護の質の向上と 専門職の育成 社会貢献活動 障害の理解と こころの健康を 支える 政策提言 精神科看護の 存在意義を高め、 働く環境を整える 2019 年度 202031日発行(毎月11日発行)No.729 昭和44721第三種郵便物認可

日精看が取り組んだこと - JPNAこころの健康を通して、だれもが安心して暮らせる社会をつくります No. 729日精看ニュース ナーシング・スター

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こころの健康を通して、だれもが安心して暮らせる社会をつくります

No. 729日精看ニュース

ナーシング・スター 32020

精神科看護者の役割がさらに広がっています!

 東京研修会場や京都研修センターでは、精神科認定看護師教育課程、看護実習指導者講習会といった資格取得に関する研修会や看護管理の企画を中心に開催。各支部では、会員や管理者のニーズに応じた研修会を実施しました。ケアの基礎や理論から実践に役立つ技術、最新の情報など豊富なラインナップを提供しました。さらに「身体拘束に頼らない患者の安全を守るケア」「地域包括ケアシステムに関する精神科看護の役割と機能を高める」を研修会の重点項目として掲げ、全国的に取り組みました。 受講者数は、協会と支部の研修会受講者を合わせて、延べ3万名でした。

 第44回日本精神科看護学術集会(長崎県)では主題を「精神科看護の継承と発展」とし、精神科看護のいままでとこれからについて意見が交わされました。第26回日本精神科看護専門学術集会(青森県)では患者の意思決定支援をテーマにした学術講演からスタートし、看護研究発表やパネルディスカッションなどさまざまなプログラムに多くの参加者が関心を寄せていました。 それぞれの学術集会で、「よりよい精神科看護の取り組みを共有したい」「新たな精神科看護を吸収して臨床に活かしたい」などの声がたくさん聞かれました。

日精看は精神科看護者の職能団体として、会員のみなさんがより質の高い精神科看護を提供できるよう、2019年度もスキルアップ・キャリアアップを支えるためのさまざまな研修会を実施しました。研修会や学術集会にはたくさんの方にご参加いただきました。とくに学術集会の看護研究発表では、確実に精神科看護の質が向上していることを実感することができました。

 精神科認定看護師は全国で808名が登録されていますが、一般病院では資格そのものが周知されていません。そこで、2019年8月、第23回日本看護管理学会学術集会で精神科認定看護師の実践報告を行いました。今後も一般病院の看護管理者の方にも普及をはかり、さまざまな場で活躍する精神科認定看護師を養成します。

 2019年度の特定行為研修制度および精神科認定看護師制度に関する検討プロジェクトでは、「精神及び神経症状に係る薬剤投与関連」など3つの特定行為研修について、厚生労働省への申請に向けて検討を行いました。

for Speciality

日精看が取り組んだこと

榊 明彦日本精神科看護協会 業務執行理事研修会事業担当

. 精神科看護者のスキルアップ・キャリアアップを支えています!

看護者の存在意義を高める

日精看の事業

精神科看護者の力で精神科看護を発展させ社会に貢献する社会のニーズに

応える

研修会 学術集会・専門学術集会

精神科認定看護師、さらなる活躍へ

特定行為研修の実施に向けた検討

1

日精看は活動理念「こころの健康を通して、だれもが安心して暮らせる社会をつくります。」の実現に向けて、会員のみなさんとともにさまざまな事業に取り組んでいます。2019年度は新役員体制になり、いままでの事業を継承・発展させています。今回の特集では、教育・研究、社会貢献活動、政策提言に関する事業について、2019年度に行ってきた取り組みをお伝えします。そして、これらの取り組みをふまえながら、2020年度に向けた方針も、みなさんと共有したいと思います。6月に沖縄県で開催する定時総会や学術集会でも、日精看の活動をみなさんと共有して、これから求められる精神科看護について語りあいたいと考えています。みなさんの実践や現場の声をぜひ聞かせていただけませんか。

各支部でも多彩な研修会を実施(写真は福島県支部提供)

* 日精看はほかにもさまざまな事業を行っていますが、今回紹介する3つの事業をイメージ化しました。

学術集会のポスターセッションから

イラスト/BIKKE

全国各地で約800日開催!

計2,000名が参加!

全国で808名!

一般医療や在宅で活用できる人材育成へ

令 和 へ 引 き 継 い で[特集]

教育・研究看護の質の向上と専門職の育成

社会貢献活動障害の理解とこころの健康を支える

政策提言精神科看護の存在意義を高め、働く環境を整える

2019年度

教育・研究

2020年3月1日発行(毎月1回1日発行) No.729 昭和44年7月21日 第三種郵便物認可

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 2009年より市民の方にも「こころの健康」に関する正しい理解をもっていただきたい、精神障がい者への偏見を解消したいとの思いから、精神科領域で働く看護者を企業・学校・施設などに派遣して、依頼内容に応じた講演会やセミナーを行う「こころの健康出前講座」(以下、「出前講座」)を行っています。 厚生労働省は2013年の医療計画から、国民に広くかかわる疾患として精神疾患を加え、重点的な対策に取り組んでいます。精神科看護者はその対策の大きな担い手です。これからの時代は、一人ひとりの国民がストレスに対処する知識、技術を身につけ、日常生活の場でそれを積極的に活用できるようにすることが求められます。そのためには国民にこころの健康の推進に関する情報を提供することが大切です。また、精神障がい者が地域で安心して暮らすためにも、地域住民の理解が欠かせません。その期待に応える活動が、「出前講座」なのです。 2019年度も、全国で90名の精神科看護者が、学校の教職員や子どもたち、企業の管理職や民生委員に向けて「出前講座」を実施しました。臨床の看護者の話は具体的でわかりやすいという声をたくさんいただきました。 今後は、「出前講座」の活動内容についても、会員のみなさんに情報提供していきたいと思います。

 子どもの健やかな成長を育むために、お父さん、お母さん、そのほか子どもにかかわる多くの人たちに向けて、パパカードを作りました。カードは4種類あり、虐待予防支援や家族支援として、行政などでも広く活用されています。相手にやさしく語りかけるような文体でつづられ、夫婦や支援者がともに考え「対話がうまれるきっかけ」をつくることが特徴で、精神科看護の知恵や技術が活かされています。今年度は新聞やテレビ、ラジオ番組など、さまざまなメディアで取り上げていただきました。次年度も継続的な活動に取り組んでいきます。

 共生社会とは、障害のある人とない人がかかわりあうなかでお互いを認めあい、すべての人の尊厳が守られる社会のことです。日精看が活動理念に掲げている「だれもが安心して暮らせる社会」とは、まさに共生社会の実現と共通するところがあります。日精看はいままでも「出前講座」などさまざまな取り組みのなかで、市民の方にもこころの健康支援を行ってきました。このような経験をふまえ、地域住民と交流をはかり、顔を合わせて語りあう場をもつ大切さを実感しました。 そこで2019年度は、地域住民と「こころの健康について」の意見交換を行い地域住民のニーズをくみ取ること、そして精神科看護者の存在意義を広く社会に知ってもらうことを目的に、「タウンミーティング」を開催しました。現在までに3回開催し、地元のまちづくりを推進しているみなさん、大学生や就職したばかりの若者たち、精神障がい

 精神疾患を患っている方の人権に配慮し、適切な医療を提供するために整えられた精神保健法の施行日にちなんで、日精看は7月1日を「こころの日」と位置づけています。こころの日を通しての活動の目的は「出前講座」と共通しており、都道府県支部の役員がリーダーシップを発揮して、多彩な啓発活動を展開しています。 2019年度も、こころの健康に関する相談や助言、こころの健康に関する講演会や、精神障害のある人の作品展などを全国で実施し、市民の理解や交流を深めました。

 精神障害の有無や程度にかかわらず、だれもが安心して自分らしく暮らすことができる地域づくりを進めるために、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進が求められています。2019年度の重点項目の1つとして「病院と地域をつなぎ、地域生活を支えるための看護実践、こころの健康の保持増進に向けた自助・互助を支える看護者の活動」を掲げ、それをテーマにした研修会を開催しました(東京研修会場、京都研修センター、29支部で開催)。

正しい知識を市民に伝える「こころの健康出前講座」

子育てを支援する「パパカード」が完成!

地域住民のニーズを聞く「タウンミーティング」

「こころの日」イベントでこころの健康をもっと身近に!

研修会でも、精神科医療と地域をつなぐ役割を学ぶ

介護スタッフに高齢者のケアを伝える(滋賀県支部、講師・尾﨑景子さん)

うつ病をテーマに開催(山口県支部、講師・吉松友貴さん)

作品が精神障がい者の理解のきっかけに

2019年9月に品川区の地域住民と行ったタウンミーティング

者当事者のみなさんと意見交換を行いました。 タウンミーティングでは、精神科看護者が地域に貢献するための多くのヒントをいただくことができました。また、「健康的なまちづくり(地域包括ケアシステム)」は地域の生活者と協同しなければ実現できないことも実感しました。そして将来的に、精神科看護者の役割を地域に拡充していく必要性があること、そのために精神科看護者があらためて一致団結して社会貢献活動に取り組んでいかなければならないことを認識する有意義な経験になりました。 今後は、会員のみなさんと一緒にタウンミーティング活動を全国に広げていきたいと思います。

5人に1人が一生の間になんらかの精神疾患にかかるといわれる時代、精神科看護者が社会のなかで果たす役割はますます増えています。今後は、病院などの医療機関や訪問看護だけでなく、健康的な社会をつくるためには、看護の力が発揮されなければなりません。社会における私たちの活躍の場は無限に広がっています。日精看は精神科看護者の存在意義をあらためて問い直し、国民のこころの健康に寄与するとともに、精神科看護のさらなる発展をめざし、2019年度もさまざまな活動を行いました。

. 地域で「私たちができること」に取り組み、だれもが暮らしやすい社会をつくります!西岡由江日本精神科看護協会 業務執行理事障がい者支援・地域活動担当

2

開催回数85回! 4,636名の市民が参加! 全国で1万人以上の

市民が参加!

精神科看護者の存在をもっと身近に!

虐待予防支援のツールとして活用!

協会・支部で重点的に!

社会貢献活動

02 2020.3 No.729

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 国会議員たちがある特定の目的のために集まって運営しているグループを議員連盟(議連)といい、日本の看護問題の解決や看護制度の改善に取り組んでいるグループに看護問題対策議員連盟(看議連)があります。日精看はこのような政治や行政に対して、精神保健医療福祉にかかわる政策提言や要望を行っています。 近年では、地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進に向けた取り組みが推進されています。そのため2019年度は、「必要なときに必要な医療が受けられる医療体制を確立する」ために必要な看護職員の確保・養成について要望しました。また、医療チーム内の業務の協働や移管によって看護職員の勤務環境を改善するために必要となる看護補助者の確保についても要望しました。 また、精神科看護の専門性が適正に評価されるように、入院医療における診療報酬体系の評価の見直しや、外来・在宅医療にかかわる看護の評価についても、継続して政策提言を行いました。特に地域包括ケアシステムの構築を推進するためには、地域生活を営んでいる精神障がい者に、いま以上に切れ目のない医療を提供する必要があります。 今後も、訪問看護・外来看護等のさらなる充実のために、制度改正ならびに予算措置についても積極的に要望していきます。

現状の改善を要望!!

2020年度に向けて、みなさんと一緒に取り組みたいこと

看議連総会で要望書を提出(中央は草地業務執行理事、4月12日)

 令和2年度の診療報酬改定に向けて日精看が取りまとめた項目は、以下の3点でした。

 そして、上記の要望のうちのいくつかが、改定項目に反映されました。 特筆すべきは「栄養サポートチーム加算の対象となる病棟の見直し」に精神病棟が含まれたことです。栄養サポートチーム加算は平成24年度改定で新設されましたが、精神病棟では体制を整えてケアを提供していても評価されていませんでした。今後は、精神病棟においても栄養管理の必要な患者に対して早期から介入でき、合併症予防やQOL向上につながることが期待されます。

1. 地域包括ケアシステムの構築に向けて、再発リスク要因を有する患者等の再入院を防ぐための外来看護の取り組みを評価していただきたい。

2. 精神病棟における栄養サポートチーム加算について、一般医療と同等の仕組みと評価を創設していただきたい。

3. 精神科病院において、BPSDが著しい認知症患者に対するケアの質の向上を図るための、多職種チームによる介入が評価できる体制を創設していただきたい。

診療報酬改定に向けた要望と成果

説明会では改定内容を、いち早く会員のみなさんに伝えます

 日精看は2019年度も、協会の各研修会場と各支部において、活動理念の実現に向けて日精看が育成する看護者像をふまえた多彩な研修会を実施してきました。日精看が育成する看護者像と社会のニーズとして、「地域包括ケアシステムの構築」があります。これまで入院医療の臨床を通じて培った精神科看護のあらゆる経験を、今後も「地域包括ケアシステム」へ活かしていきたいと考えています。 2020年度は「①精神科看護者および日本精神科看護協会による地域貢献活動の推進」と、「②精神科看護実践を支える政策提言に向けた取り組みの推進と体制強化」を活動方針としました。 ①については、地域包括ケアシステムの構築に向けた「地域づくり」という視点を重視していきたいと思います。“精神疾患がある人もない人も安心して暮らすことができる”地域づくりは、精神科看護の対象者と看護者の役割・機能を広げるという、新たな時代に挑むための取り組みです。これまでの精神科医療機関および精神科看護者は、精神疾患や精神障害が

ある人とその家族に貢献するために、スキルアップをはかってきました。しかし、それ以外の地域の人々にとって、精神科看護者は必ずしも身近な存在にはなっていません。また、地域住民、自治体職員も、これまで精神疾患や精神障害をテーマに含んだ地域づくりにはあまり取り組んできませんでした。だからこそ、さまざまな経験を積んだ精神科看護者による地域づくりは、これからの時代に向けて欠かせない大切な視点になります。そして、地域づくりの過程では、いままで誰も考えなかったような新たな役割が生まれることも大いに期待されます。 地域づくりは一朝一夕にできるものではありません。精神科医療機関が地域の人々の声を聞きながら、「どのような地域になれば精神疾患がある人もない人も安心して暮らすことができるのか」を考え、精神科医療機関、関係機関、地域住民が取り組めることを新たに創造するなど、地域をデザインする取り組みでもあります。そのとき精神科看護者は、地域づくりのコーディネーターとしての役割を発揮でき

ると期待しています。  また、これまで日精看は、こころの健康に関する正しい理解の促進、精神障がい者への偏見を解消するための活動を行ってきました。2020年度は、これらの活動にさらに多くの会員のみなさんと一緒に取り組める方法を提案していきたいと考えています。 ②の政策提言に向けた取り組みでは、看護管理者をはじめとする会員の声を政策提言に反映できる、組織的な仕組みを構築し、全国の支部との連携強化をはかっていきます。 そこで、2020年6月に開催する第45回日本精神科看護学術集会(沖縄県)では、初めての企画となる「精神科看護CONGRESS」を開催します。精神科看護

CONGRESSでは、精神科看護の役割の拡大をめざすとともに、精神科看護者が地域・社会に貢献できるために必要な政策提言に向けて、参加者のみなさんと協会役職員、ゲストスピーカー(厚生労働省等)とで情報を共有し、意見交換を行います。ぜひ、学術集会でお会いしましょう。

吉川隆博 日本精神科看護協会 会長

医療・看護・福祉・教育など社会に存在する多くの活動は、継続した発展が望まれるものばかりです。一人ひとりの看護者が日々の看護実践で提供しているケア自体が、国民の利益増進に資する活動です。そして、その公共の利益を増進していくためには、組織(大きな集団)の後押しが必要になってきます。また、精神科看護者の存在価値を維持・向上させるためには、個人の利害を超えて、組織で課題の解決に向けて取り組まなければなりません。その課題に取り組むための方針や計画が政策なのです。2019年度の要望内容を含めて、政策提言の取り組みをご紹介します。

麻場英聖日本精神科看護協会 業務執行理事政策企画事業担当

精神科看護者が働きやすく、質の高いケアが提供できる環境をつくります!

Message

3.

看護職員確保、専門性の評価に向けて

精神病棟でも栄養サポートチームの

加算が実現!

政策提言

03 2020.3 No.729

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あなたの地域ともつなげませんか?

 アメリカ統治下にあった沖縄県が日本に復帰して6年後、第3回学会・総会(沖縄大会)が那覇市で行われました。当時、沖縄県から他の都道府県に行くには費用がかかったこともあり、沖縄県支部は沖縄県での開催を強く希望し、決定したそうです。当日は全国から1,000人を超える精神科看護者が参加しました。当時はまだアメリカと同じく車が右側通行だったため、戸惑った参加者も多かったそうです。 学術集会主題は「こころ」。特別講演は、沖縄本土復帰時に沖縄県知事だった屋良朝苗氏でした。本土復帰を願って教育の復興に尽力しつづけた不屈の精神と「沖縄のこころ」は、多くの参加者のこころを揺さぶりました。また、当時はさまざまな企画がある現在のスタイルとは違い、全参加者が会場に一堂に会して、研究発表と意見交換が行われました。

 第28回沖縄大会は、台風4号の接近で予定通りの開催が危ぶまれたものの、全日程が無事に開催され、全国から1,200人を超える参加者がありました。沖縄県支部では「沖縄カラーを出そう」と、支部運営委員は沖縄の「かりゆしウェア」を着用。学会中にも“沖縄らしさ”を満喫できる演出がなされました。翌年の学会開催地の秋田県支部をはじめ複数の支部から問い合わせがあったほど、「かりゆしウェア」は参加者の印象に残りました。また、初の試みとして、大会前日に市民講演会を実施。女優の北島角子さんによる沖縄戦の集団自決をテーマにした講演と一人芝居が行われました。 学術集会主題は「精神科看護の質の向上とマンパワーの確保」。シンポジウムでは、当時審議されていた医療観察法に関連して、「触法精神障がい者の看護」を議論。参加者との活発な意見交換が行われました。

* 沖縄県支部の方々にお話を聞かせていただきました。どうもありがとうございました。なお、学術集会の名称は当時のものを使用しています。

6月26日~28日まで、日本精神科看護学術集会(沖縄県)が開催されます。昭和、平成それぞれの時代にも、沖縄で学術集会が開催されており、今回は3回目となります。

昭和、平成の大会のエピソード、そして今回の学術集会の内容の一部をご紹介します!

    昭和     平成

詳細は にアクセス!http://jpna-gakujutsu.jp会場や日程などは7面をご参照ください!

 17年ぶりの沖縄県での学術集会開催を沖縄県支部一同楽しみにしております。 今回は初の試みとして“ちむどん沖縄”(胸がドキドキするの意)をテーマに前夜祭を開催します。首里城公園の散策と、日本遺産に認定された「琉球料理」「泡盛」「芸能」が一度に堪能でき、南国沖縄の魅力をたっぷり味わえるワクワク・ドキドキの企画です。 支部企画の市民講演は、感動体験を通して支部会員と全国の会員が1つになる企画も準備しています。心に残る学びの場になるよう、一同 “うとぅいむち=おもてなし”のこころで皆様を歓迎いたします。 6月24日(旧暦5月4日)には「ユッカヌヒー」という沖縄の御

う が ん

願行事「ハーリー大会」があり、ハーリー鉦

かね

の音が響き渡ると梅雨が明け、本格的な夏が訪れるといわれています。26日から始まる学術集会は、学びに観光に、晴天間違いなしです!

第45回 日本精神科看護学術集会 in 沖縄        6月の沖縄へ

前夜祭

学術集会主題「地域づくりにおける精神科看護者の役割」

厚生労働省・国会議員からの行政報告、精神科看護にかかわる政策提言に向けた情報提供と意見交換などを行います。協会のプロジェクト企画もあります。詳細は今後の『ナーシング・スター』でお伝えします。ぜひご参加ください!

6月26日(金)

6月25日(木)

前夜祭会場近くの首里城公園内のガイド付き散策と、赤瓦屋根の古民家にて沖縄の食事や音楽で交流を深める“お得感満載”のイベントを企画しました。

人づくりの種をまく~感動舞台で生まれる人と地球と未来の話~

「第1回 精神科看護CONGRESS」

那覇市民会館で5月17日~19日に開催 かりゆしウェアで全国の参加者を迎える

日   時:6月25日(木)18:30~20:30(受付18:00)会   場:琉球茶房 あしびうなぁ(那覇市首里当蔵町2-13 首里城公園近く)募集人数:100名 参 加 費:5,000円(税込)※先着順。定員に達し次第、締め切ります。

2

踊シリーズ」を県内外10か所で展開している。初代「那覇市芸術監督」、沖縄県文化観光スポーツ部初代部長、公益財団法人 沖縄県文化振興会理事長などを歴任。現在も、内閣府沖縄振興審議会委員をはじめ、役職多数、沖縄と世界を結ぶ行動する詩人として活躍している。

●略歴1968年、沖縄県小浜島生まれ。大学生のころから個性的な詩の朗読会を開催し、詩、笛、太鼓、三線、舞を駆使して1,800校を超える学校講演を行う。2000年、沖縄県うるま市(旧勝連町)で「肝高の阿麻和利」の舞台を演出。以来、地域の伝承や偉人に光をあてた舞台「現代版組

平田氏は、沖縄の文化に軸足を置いた地域活性化のトップランナーとして、また詩人としてご活躍され、甲子園の話題の応援歌でも有名なあの“ダイナミック琉球”も作詞もされています。特に「人を育てる活動」は、氏が手がける現代版組

くみおどり

踊の舞台に顕著に表れています。今回は平田氏の舞台出演者と県内の精神科看護者の合同演舞も上演します。人を育てる感動体験を全国の会員と共有できる絶好のチャンスです。

Let’s GO!!

そして、3回目の沖縄大会は… 

平ひらた だいいち

田大一 演出家・脚本家・詩作家

沖縄県へめんそーれ~!!

Episode1 Episode2

1978年(昭和53年) 2003年(平成15年)

支部企画3

     「地域づくりにおける精神科看護者の役割」山内勇人(一般社団法人共生社会実現サポート機構とんとんとん代表理事)

東 美奈子(一般社団法人日本精神科看護協会副会長/訪問看護ステーションRelisa管理者、       精神科認定看護師)

基調講演

  詳細は本号7面をご参照ください!シンポジウム

基調講演・シンポジウム1

沖縄県支部役員から

看護管理者必見!

沖縄県支部役員のみなさん市民講演

04 2020.3 No.729

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いつものお買い物で社会貢献

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2 商品納入

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仕事をつくる!

日精看の会員

各事業所ナースステージ

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 2013年11月より始動した「日精看 しごとをつくろう プロジェクト」が、おかげさまで7年目を迎えました! 精神障がい者の自立支援を目的に始まった当プロジェクトは、通信販売でおなじみの株式会社ナースステージの協力のもと、普段の買い物を通じて、当事者の方々が希望する「しごと」をつくるというこれまでなかった新たな仕組みで展開してきました。 精神障がい者が自立をめざして働く事業所の商品を大量に発注してナースステージが買い取り、お買い物の特典としてカタログ利用者に還元するという仕組みは、「かわいい特典をもらえてうれしい!」「精神障害の方々を応援できる」と好評をいただいています。

日精看 しごとをつくろう プロジェクトにご参加ください!

※株式会社アンファミエは、社名を株式会社ナースステージに変更しました。※表紙写真はバックナンバーの一例です。

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思い当たる情報をご存知の方は、ぜひ協会の「しごつく」担当までメールにてお知らせください

[email protected])。または、学術集会や研修会などの機会に協会事務局の関係者にお声かけください。

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NEW!!

2020.3 No.729 05

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全国47都道府県の日精看支部から、「うちの支部はここがスゴイ!」という活動内容、ご当地ならではのグルメ、お土産のご案内まで、元気なレポートを紹介します。

これが自慢! 全国発

 社会医療法人あいざと会藍里病院に在職しており、精神科看護歴は19年です。2019年度より支部長を拝命しました。人と人のふれあいと助けあいによって、困難も乗り越えられる支部でありたいと思います。諸先輩方から受け継いだ熱い思いを胸に、精神科看護の発展に向けて邁進する所存です。

日精看支部紹介

 県内にある19の会員施設から、2年交代で役員を選出し、協力して支部運営を行っています。親睦を深める交流の場も大切にしており、毎年開催しているボーリング大会には、各施設からたくさんの参加があります。会員同士、あるいは他職種の方々と共に爽やかな汗を流し、楽しい時間を過ごすことで、困ったときにも助けあえる関係をつくっています。

徳島県支部が大切にしているポリシーや強み

 有名な阿波踊りや「鳴門の渦潮」はもちろんのこと、私のイチオシは“日本一の激流”といわれる渓流、大

おお

歩ぼ

危け

小こ

歩ぼ

危け

でのラフティングです。スリルに挑戦したい方はぜひ!

 年 7回ほど開催する支部研修会では、その年の日精看の活動方針に沿ったテーマを設定し、また、参加者のアンケートも参考にしながら、旬の企画を心がけています。1月に開催された、MSEに関する研修会は特に好評で、「精神科看護者は、とても専門性が高い職種だということを改めて知ることができた」「自分の仕事に誇りがもてた」といった

徳島県を訪れたときにおすすめのスポット、お土産、ご当地情報など

徳島支部主催の研修会、イベントなど支部長の自己紹介&

支部長としての心がけ

徳島県支部[ 会員数:410人 ]

今月の支部

提供/東洋羽毛工業 https://www.toyoumo.co.jp

上質な暮らしは、上質な眠りから

今月のキーワード

お問い合わせ先/お客様相談室  0120-410840

快眠をサポートするには、寝ている間の環境づくりも大切です。そのポイントの一つが、快適な寝具の工夫。掛け布団が重いと寝返りを打ちづらくなるので、素材が軽く、ムレによる不快感がないよう湿気がこもりにくい布団を選ぶのがおすすめです。年間を通じて、軽くてさわやかな寝具を使うことで、朝までグッスリ、寝起きスッキリの生活リズムが整いやすくなります。

感想が寄せられました。今後は、会員の関心の高い「災害看護」についても企画していきたいと考えています。 「こころの日」のイベントとしては、ショッピングセンターの店舗内で、「精神科認定看護師」や退職後に地域貢献する「徳島県プラチナ保健師」による健康相談、ストレスチェックなどを行っています。同じ会場では、キーホルダーづくりやヒーローショーなども企画するほか、“ご当地キャラ”の「すだちくん」にもかけつけてもらい、どなたでも気軽に立ち寄りやすい雰囲気を演出しています。毎年たくさんの地域の方と交流できるこのイベントを、私も楽しみにしています。

精神保健医療福祉の最新動向TOPICS

解説*情報は2020年2月1日時点の内容です。

AED使用で後遺症減らせる可能性…自立生活1.5倍に

抗生物質の6割、効果ない風邪などに処方…自治医大調査

富士通が「がん教育」…従業員7万人対象、国内最大規模1

TOPIC

2TOPIC

3TOPIC

に至る可能性の高い危険な不整脈「心室細動」を病院外で起こして倒れた人に、周囲の人が自動体外式除細動器(AED)で心肺蘇生を

試みた場合、救急隊が到着するまでに心拍が再開しなかったとしても、その後の脳障害による後遺症を減らせる可能性がある。こんな研究結果を、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)などがまとめ、18日、発表した。自立して生活できるようになる割合がA EDを使わなかった場合の1.5倍だったという。 心臓の疾患が原因で亡くなる人は、病院外での突然死が多い。研究チームによると、国内で年間約3万人が誰かが居合わせた状況で、突然、心臓が止まっている。その約6割がA EDの対象となる心室細動が原因だという。 研究チームは、総務省消防庁のデータ(2005~15年)をもとに、居合わせた市民がすぐに心肺蘇生を試みたが、救急隊の到着まで心室細動が続いていた約2万7千例を解析。心臓マッサージや人工呼吸をされていた約2万5千例と、AEDも併用されていた約2千例で、30日後にどれだけ後遺症が少なく自立した生活が送れるようになっているかを調べた。 その結果、心臓マッサージや人工呼吸のケースでは23%だったのに対し、AEDを併用したケースは38%と約1.5倍だった。研究チームはAEDの音声ガイドにしたがって電気ショックや心臓マッサージなどを続けることで、質の高い心肺蘇生につながっていると分析している。

(2019年12月19日 朝日新聞社)

内の外来診療で出された抗菌薬(抗生物質)の6割近くが、効果がない風邪などウイルス性の感染症への不必要な処方だっ

たことが、自治医科大などの研究チームの調査でわかった。75%は専門医らが推奨していない薬だった。抗菌薬の不適切な使い方は薬剤耐性菌が生じる原因になるため、研究チームは適正な使い方を呼びかけている。 チームは全国の診療、処方明細書(レセプト)などのデータをもとに2012~ 14年度に外来診療で処方された抗菌薬と対象の病気などを調査。年平均約8,957万件処方されていた。人口1,000人あたり704件処方されており、米国の1.4倍だった。 抗菌薬が必要とされる疾患に処方されたのは全体の8%にとどまった。処方された56%は風邪や急性気管支炎など通常はウイルスが原因の病気だった。抗菌薬は細菌感染の治療薬でウイルス性の感染症には効果がない。また急性咽

いんとう

頭炎(扁へん

桃とう

炎)や急性副ふくびくう

鼻腔炎などへの処方が36%あったが、細菌が原因のケースは1~2割のため、効果がないウイルス性にも多く処方されていたとみられる。 処方された抗菌薬の86%はさまざまな種類の細菌に効く「広域抗菌薬」と呼ばれるタイプ。耐性菌が発生、増殖しやすいため、欧州ではまれにしか使われない。専門医らによる指針で推奨するタイプが選ばれている割合は25%にとどまった。

(2020年1月3日 朝日新聞)

士通は15日、国内のグループ社員約7万人を対象に、健康増進策の一環として「がん教育」を実施すると発表した。検診の重要性な

どをインターネット経由のeラーニングで学んでもらう。企業によるがん教育では国内最大規模という。 社員のがん発症が増えており、正しい知識を習得してもらい、生活習慣の改善や検診受診率の向上につなげる。早期に発見できれば働きながら治療できることも伝え、仕事と治療の両立を支援する。社員は16日から3か月以内に受講する。 教材を監修した東大医学部付属病院の中川恵一准教授はがん教育について「中学・高校の学習指導要領に明記されたが、大人に対しては職場で行うしかない」と説明する。富士通は今後教材を公開し、広く活用してもらうことも計画している。

(2020年1月15日 時事通信)

死 国 富

 日精看では、全国の精神科看護管理者の皆様から寄せられたご要望に応えるため、会員の方々に向けてさまざまな情報や機会を提供していきます。 2014年4月に創刊した『精神科看護管理ニュース』では、精神科看護管理者に役立つ情報をメールで、無料でお届けします。診療報酬改定に関する情報や看護管理に必要な精神保健医療福祉の最新動向、研修会や学術集会の開催案内など、把握しておきたい情報を手軽に得られます。ぜひQRコードからご登録ください。

「精神科看護管理ニュース」で管理者に役立つ情報をGET!

談/徳島県支部 藤原稔章支部長  (写真は支部役員の皆さんと)

睡眠健康指導士が教える

気になる「眠り」のキーワード

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News & Information 2020.3

学術集会

第45回 日本精神科看護学術集会(沖縄県)申し込みスタート

6月27日(土) 13:40~15:50

【現職】 株式会社NSP 専務取締役 

【略歴】 沖縄県那覇市出身、県立首里高校を卒業し、岡山県の川崎医療福祉大学へ進学。2002年、国家資格の作業療法士免許を取得し、高知県の医療法人精華園海辺の杜ホスピタルに入職。5年勤務した後、那覇市首里の特定医療法人葦の会オリブ山病院にて精神科作業療法課主任。2011年、精神科病院を全廃したイタリアのトリエステを視察し、脱医療を決意。(株)NSPにサービス管理責任者として入職、その後2014年より現職。

仲地宗幸 (なかち むねゆき)

【現職】 一般社団法人日本精神科看護協会 副会長訪問看護ステーションRelisa管理者、精神科認定看護師

【略歴】 精神科病院、地域生活支援センター勤務を経て、2007年より社会福祉法人ふあっとにて相談支援専門員。2015年、訪問看護ステーションRelisaと相談支援事業所Reveを開設。2009年より日本精神科看護協会理事、2019年より副会長。

【現職】 一般社団法人日本精神科看護協会 教育認定副委員長社会医療法人北斗会さわ病院 看護部長 

【略歴】 1986年、社会医療法人北斗会さわ病院入職。1998年、大阪府看護教員養成講習会修了。2009年、同法人の北斗会看護専門学校へ異動。2013年、さわ病院へ再び異動。2016年より現職。

東 美奈子(あずま みなこ)

眞鍋信一(まなべ しんいち)

【発言要旨】 精神障がい者にとって地域との共生は、願ってもかなわないものである。背景には依然として続く偏見や差別があるが、医療・福祉に携わる者としてできることはまだあるのではないか。障害のある方を主体として病院や地域を変えていくことにより、彼らの生きづらさをなくしていくことがまだできるのではないか。地域に「住まう」こと、地域との「コミュニケーション」をはかることについて、福祉事務所での経験、相談支援からみた観点、研究者としてエンパワメントの視点から提起を行う。

【発言要旨】 沖縄市で焼肉食べ放題の店を構えて、もうすぐ25年になる。2012年からは福祉制度を利用して障がい者雇用に取り組み始めた。2016年には福祉制度や助成金を受けることをやめ、希望者全員を一般雇用に切り替え12人の職員中9人が障がい者という状況で新たなスタートを切った。従業員の戦力化のためにさまざまな取り組みを行ったので、当日はその工夫と、当事者組織等がどう変わっていったかについて報告し、精神障がい者が一般雇用で働くことについての課題と可能性について発表したい。

座長座長

【現職】 沖縄大学人文学部福祉文化学科准教授、沖縄大学地域研究所長、社会福祉士

【略歴】 28年間、那覇市役所で勤務、その大半を福祉事務所において障がい者や高齢者、ホームレスや低所得者対策にかかわり、個別対応から福祉計画づくり、ハードの整備までさまざまな部署を経験。厚労省の現・相談支援専門員の育成、自立支援協議会の運用、地域包括支援センターの立ち上げ、地域福祉計画による地域の支えあいづくりに携わり、権利擁護という行政の役割の重要性を感じ、地域の社会資源づくりに取り組む。2013年より現職。

島村 聡 (しまむら さとる)

非会員 事前申込24,200円(税込) 当日申込26,400円(税込)

日 程 令和2年6月26日(金)~6月28日(日)

3月2日~ 5月18日事前申込受付期間

参加費 会 員 事前申込13,200円(税込) 当日申込15,400円(税込)

会 場 沖縄コンベンションセンター

学術集会

 3月1日(日)から一般演題Aの演題登録が始まります。一般演題Aは、現場の研究としてまとめた「看護研究発表」、業務の見直しやマニュアル作成などをまとめた「業務改善報告」、課題の解決につながったケアのまとめや事例報告などの「実践報告」の3つがあり、それぞれ個人で応募できます。 また、一般演題Bでは、自主企画のセミナーなどの「ワークショップ」や参加者同士の交流を目的とした「交流セミナー」の2つがあります。個人で、有志で、施設の仲間で、さまざまな取り組みを発表できます。あなたの看護を多くの人に伝えてください。

第27回 日本精神科看護専門学術集会(茨城県)演題登録のお知らせ

日程 令和2年12月5日(土)~12月6日(日)会場 つくば国際会議場 茨城県つくば市竹園2-20-3

*応募資格は会員に限ります。

●一般演題Aの演題登録期間令和2年3月1日~ 4月30日

●一般演題Bの演題登録期間令和2年4月1日~ 4月30日

 第45回日本精神科看護学術集会(沖縄県)のページを開設しました。順次、プログラム等の情報を更新しますので、ご確認ください。演題ナビでは「一般演題A・B」等の情報を掲載しています。 また、3月1日より、本サイトから、参加申し込みの受け付けも始まりました。併せてご確認ください。http://jpna-gakujutsu.jp/

Web

学術集会専用ホームページをご覧ください!

【現職】 医療法人社団恵宣会竹原病院 訪問看護ステーションよつば管理者精神科認定看護師

【略歴】 1999年、大精協看護専門学校卒業後、広島県の総合病院勤務を経て、2001年、恵宣会竹原病院入職。2009年、精神科認定看護師を取得。2017年、地域医療福祉連携室室長を経て、2018年、同法人内に訪問看護ステーションよつばを立ち上げ、現職。

藤森祥子 (ふじもり しょうこ)【発言要旨】 広島県竹原市にある精神科病院で退院支援や訪問看護に携わり、保健所圏域内の離島支援も行っている。保健師や相談支援員が不定期に訪問するのみで、サービスや人とのつながりがもてない方や、孤立・治療中断の方も多く、かかわりをもつ方法に悩んでいる例も少なくない。そこで精神科病院が併設した訪問看護ステーションの管理者、精神科認定看護師の立場で精神障がい者地域包括ケアシステム検討会に参加したり、訪問に同行し、支援の糸口を検討している。これらの活動を通して、看護者が地域で何ができるのかをお話ししたい。

日精看ホームページの人気コーナー「看護管理者の部屋」をぜひご活用ください。『精神科看護管理ニュース』や診療報酬改定に関する資料をご覧いただけます。www.jpna.jp

看護管理者の部屋

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http://jpna.jp/

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シンポジスト

地域づくりにおける精神科看護者の役割シンポジウム

07 2020.3 No.729

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日精看からの情報の詳細はホームページでご覧いただけます。www.jpna.jp 2020年3月1日発行(毎月1回1日発行) 昭和44年7月21日 第三種郵便物認可 1部200円(購読料は会費に含む)

令和2年度の研修会申し込み受付は、3月1日10時より開始します。

診療報酬算定要件

診療報酬算定要件

政策企画事業

令和2年度診療報酬改定説明会(仙台会場)のお知らせ

会主催の研修会と支部主催の研修会は、すべて協会ホームページから検索と閲覧ができます。

また、すべての協会主催の研修会と一部の支部主催研修会は、ホームページから簡単にお申し込みができます。ぜひお試しください。https://www.jpna.or.jp/jpna-pub/faces/home/kensyukai/workshopSearch.xhtml 本システムは、ブラウザは Internet Explorerを推奨しています。Google Chrome等からはアクセスできない可能性がありますので、Internet Explorerでご利用ください。

月に令和2年度診療報酬改定説明会を行います。以下の会場は、定員にまだ余裕があります。精神

科医療・看護の改定内容とそのポイントをわかりやすくお伝えします。お早めにお申し込みください。

Web

3月1日午前10時から研修会の申し込みスタート!

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Message

みなさんの声が政策をつくります 弥生、そして卯月に向けて

 毎年3月は、新年度を迎える準備で忙しい時期です。そして、令和2年度は診療報酬改定の時期にあたり、改定を見通した対応・準備にも取り組まれていると思います。今回の改定では、医療従事者の働き方改革の推進が目玉になっています。そこには、本協会が要望した内容も反映されています。今後もさらに会員施設の声を政策議論の場に届けていきます。

 3月は和風月名で弥生といい、「花や草木が一斉に成長する月」という意味があるそうです。たくさんの栄養を与えられて成長した植物のように、私自身たくさんのエネルギーを多くの方からいただき、成長させていただいています。弥生で1年の成長を振り返り、卯月(4月)から蓄えた力を精神科看護の発展に注いでいきたいと思います。

日本精神科看護協会業務執行理事草地仁史

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研修会

研修会情報ピックアップ

統合失調症の理解とケア

主な講義内容 統合失調症の病態、診断、看護を学ぶ

場 所 東京研修会場 京都研修センター仁明会精神衛生研究所(兵庫県)

日 程 5月25日(月) 令和3年1月28日(木) 7月31日(金)

受講料(税込)会員6,600円(非会員9,900円)

医療安全管理者養成研修会

主な講義内容

医療安全の基本的知識・安全管理体制の構築・情報収集と分析・事故発生時の対応※医療安全対策加算1・2の診療報酬算定要件研修

場 所 東京研修会場

日 程①5月19日(火)~ 5月22日(金)②6月17日(水)~ 6月19日(金)①②とも参加で要件を満たす(部分受講不可)

受講料(税込)会員46,200円(非会員69,300円)

東京

認知症の理解とケア

主な講義内容

原因疾患別認知症ケア・認知症と類似した症状・リハビリの実際※認知症ケア加算2の診療報酬算定要件研修

場 所 東京研修会場 京都研修センター

日 程

5月7日(木)~5月8日(金)

9月1日(火)~9月2日(水)

11月17日(火)~11月18日(水)

令和3年1月26日(火)~1月27日(水)

受講料(税込)会員14,200円(非会員20,800円)

東京 京都

兵庫東京 京都

東京 京都

東京 京都

ストレングスモデルを活用した精神科の看護過程

主な講義内容

ストレングスモデルの理解・精神科看護の特徴・ストレングスモデルを用いた看護過程の展開

場 所 東京研修会場 京都研修センター

日 程10月2日(金) 4月10日(金)令和3年2月26日(金) 9月11日(金)

受講料(税込)会員6,600円(非会員9,900円)

地域包括ケアシステムの構築に向けた看護の役割

主な講義内容

精神障害にも対応した地域包括ケアシステムに対応した考え方と看護の役割・地域包括ケアシステムの実践に必要な看・看連携と多職種の連携の意義や工夫

場 所 東京研修会場 京都研修センター

日 程 5月27日(水)~5月29日(金)

9月19日(土)~9月21日(月)

受講料(税込)会員19,800円(非会員29,700円)

頭部打撲の医学的理解とその看護

主な講義内容

転落転倒による頭部打撲時の医学的変化と知識・頭蓋内亢進症状の理解・頭部打撲時に必要なケアと必要のないケア・頭部打撲直後、亜急性期、慢性期に必要なアセスメントとケア

場 所 京都研修センター仁明会精神衛生研究所(兵庫県)

日 程 5月2日(土) 7月11日(土)受講料(税込)会員6,600円(非会員9,900円)

月は、新年度に入職する仲間たちを受け入れる準備に忙しい時期ですね。新入職者へのオ

リエンテーションでは、ぜひ「精神科看護PRムービー」をご活用ください。精神科看護の魅力が伝わる動画です。日精看ホームページ「会員専用資料館」でダウンロードできます(パスワードは「jpna」)。 また4月からは、新しく日精看に入会される方の手続きを受け付けます。皆様の職場に就職された方、精

神科の現場に異動された方に、ぜひお声をかけてください。その際に必要なパンフレットは、協会事務局会員管理担当宛(TEL:03-5796-7033)にご請求ください。

入会手続き

新入会員、大募集します!

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http://jpna.jp/

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日本精神科看護協会会長吉川隆博

次号(No.730)は2020年4月1日発行です。

ナーシング・スター No.729 2020年3月1日発行

編集人 鈴木 庸デザイン 川本珠子・上田美紀(ビーワークス)DTP・印刷 ビーワークス運営 コッヘル

〒 108-0075東京都港区港南 2-12-33 品川キャナルビル 7FTEL 03-5796-7033 FAX 03-5796-7034URL http://www.jpna.jp E-MAIL [email protected]

発行人 吉川隆博発行 一般社団法人日本精神科看護協会

©日本精神科看護協会 2020 本誌記事、写真、イラストの無断転載を禁じます。

広告のお問い合わせ [email protected]

日程 令和2年3月29日(日)時間 13:00~15:00(受付は12:30~)会場 TKPガーデンシティ仙台 ホール21C資料代(参加費) 会員  3,300円(税込) 非会員 6,600円(税込)申込方法 協会ホームページ「研修会のご案内」

からお申し込みください。

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京都 兵庫NEW

協会主催の会場もしくは開催地区の都道府県を選択し、「選択した研修会一覧を見る」をクリックすると研修会が表示されます。

ここをクリック

重点

重点

08 2020.3 No.729