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2019.1 さぬき市民病院だより「癒」vol.9 さぬき市民病院だより さぬき市民病院季刊誌「癒」第 9 号 発行者/さぬき市民病院 編集/広報委員会 〒769-2393 香川県さぬき市寒川町石田東甲 387 番地 1 発行:2019 年 1 月 vol.9 TEL 0879( 43 )2521 FAX 0879( 43 )6469 2018年は、若者の活躍が目立った一年でした。 まず、2月には平昌オリンピックでの羽生結弦選手の2大会連続の金メダル獲得から始まって、将棋界 では藤井4段(当時)の史上最年少での棋戦勝利、4月には大谷翔平選手の大リーグデビュー、6月には サッカーワールドカップでの日本チームの予選リーグ突破、水泳アジア大会での池江璃花子選手の6冠獲 得、そして9月にはテニス全米オープンでの大坂なおみ選手の優勝など、今思い起こしても胸がすくよう な偉業の連続でした。 その一方で、財務省ぐるみの文書改ざん、文部科学省高官による不祥事、各省庁での障害者雇用の水増 し、東京医大での入試得点操作、レスリング界やアメフト界でのパワハラなど、模範であるべき中堅から ベテラン世代の不祥事には、もはや‘憤り’を通り越して‘呆れ’すら感じます。奇しくも、不祥事の主 人公は団塊前後の世代であり、活躍する若者こそが‘ゆとり教育’がもたらした功罪の‘功’とでも表現 すべきでしょうか。 人口減と言えば、当院が建つさぬき市の人口も減少の一途であり、平成30年4月にはついに5万人を 割ってしまいました。そのような流れの中で、当院の受診患者数を維持するには「入るを量って、出ずる を制す」、つまり‘圏域外からの受療流入’を図って、‘圏域外への受療流出’を防ぐことが必要です。し かしながら、香川大学医学部附属病院、屋島総合病院、済生会病院などの有力病院が比較的近隣にある状 況に加えて、当院医師数(特に内科医)が減少している状況では‘時間外紹介’や‘救急医療’に対する 応需率の上昇もままならず、一朝一夕には克服しにくい現状です。 そんな当院であっても、当市における‘地域包括ケア’の拠点として、急性期から慢性期の医療までを 俯瞰しつつ、周辺の医療機関や福祉機関との連携を深めることで、他の急性期病院と差別化することが可 能と考えます。と同時に、そのことが市民病院としての存続するための大義名分でもあります。 さらに、昨年の8月には大規模災害の模擬訓練にも参加して、東讃地区における‘災害拠点病院’とし ての意識と活動を高める一方、‘感染対策拠点病院’として地域でのリーダーシップをとるために職員全 体の危機意識や経験を醸成しており、今後とも研鑽を重ねたいと思います。 以上、新年を迎えて、昨年を振り返りつつ、現状の報告と今後の方向性についての所感を述べてみまし た。 末筆ながら、本年が皆様にとって穏やかで良い年になりますように祈念いたします。 草々 2019 年 新年のごあいさつ さぬき市病院事業管理者・病院長 德田 道昭

さぬき市民病院だより...2019/01/18  · 2019.1 さぬき市民病院だより「癒」vol.9 地域医療部のスタッフによる寸劇 第1回 さぬき市民病院フェスティバル開催

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2019.1 さぬき市民病院だより「癒」vol.9

さぬき市民病院だより 癒 さぬき市民病院季刊誌「癒」第 9号

発行者/さぬき市民病院

編集/広報委員会

〒769-2393 香川県さぬき市寒川町石田東甲 387 番地 1

発行:2019 年 1 月 vol.9 TEL 0879( 43 )2521 FAX 0879( 43 )6469

0879-43-2521

2018年は、若者の活躍が目立った一年でした。

まず、2月には平昌オリンピックでの羽生結弦選手の2大会連続の金メダル獲得から始まって、将棋界

では藤井4段(当時)の史上最年少での棋戦勝利、4月には大谷翔平選手の大リーグデビュー、6月には

サッカーワールドカップでの日本チームの予選リーグ突破、水泳アジア大会での池江璃花子選手の6冠獲

得、そして9月にはテニス全米オープンでの大坂なおみ選手の優勝など、今思い起こしても胸がすくよう

な偉業の連続でした。

その一方で、財務省ぐるみの文書改ざん、文部科学省高官による不祥事、各省庁での障害者雇用の水増

し、東京医大での入試得点操作、レスリング界やアメフト界でのパワハラなど、模範であるべき中堅から

ベテラン世代の不祥事には、もはや‘憤り’を通り越して‘呆れ’すら感じます。奇しくも、不祥事の主

人公は団塊前後の世代であり、活躍する若者こそが‘ゆとり教育’がもたらした功罪の‘功’とでも表現

すべきでしょうか。

人口減と言えば、当院が建つさぬき市の人口も減少の一途であり、平成30年4月にはついに5万人を

割ってしまいました。そのような流れの中で、当院の受診患者数を維持するには「入るを量って、出ずる

を制す」、つまり‘圏域外からの受療流入’を図って、‘圏域外への受療流出’を防ぐことが必要です。し

かしながら、香川大学医学部附属病院、屋島総合病院、済生会病院などの有力病院が比較的近隣にある状

況に加えて、当院医師数(特に内科医)が減少している状況では‘時間外紹介’や‘救急医療’に対する

応需率の上昇もままならず、一朝一夕には克服しにくい現状です。

そんな当院であっても、当市における‘地域包括ケア’の拠点として、急性期から慢性期の医療までを

俯瞰しつつ、周辺の医療機関や福祉機関との連携を深めることで、他の急性期病院と差別化することが可

能と考えます。と同時に、そのことが市民病院としての存続するための大義名分でもあります。

さらに、昨年の8月には大規模災害の模擬訓練にも参加して、東讃地区における‘災害拠点病院’とし

ての意識と活動を高める一方、‘感染対策拠点病院’として地域でのリーダーシップをとるために職員全

体の危機意識や経験を醸成しており、今後とも研鑽を重ねたいと思います。

以上、新年を迎えて、昨年を振り返りつつ、現状の報告と今後の方向性についての所感を述べてみまし

た。

末筆ながら、本年が皆様にとって穏やかで良い年になりますように祈念いたします。

草々

2019 年 新年のごあいさつ

さぬき市病院事業管理者・病院長 德田 道昭

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2019.1 さぬき市民病院だより「癒」vol.9

■地域医療部のスタッフによる寸劇

■第 1 回 さぬき市民病院フェスティバル開催 [10 月28日]

■玄関ロビーにて

10 月 28日(日)、さぬき市民病院内において

「第 1回さぬき市民病院フェスティバル」を開催しま

した。「つないでいきたい!地域と医療の輪」をメイン

テ-マとし、地域住民の方々に当院を知っていただく

とともに、地域に親しまれる病院づくりの一環となる

ことを目的に、病院内に16ブ-スのイベントコーナ

ーを設け、 地域医療

部のスタッフによる

寸劇などの健康啓発

セミナーや、内視鏡

鏡やエコーの操作体

やエコーの操作体験、看護部による健康相談や各種測定、看護師業務の紹

介コーナー、画像情報科によるパネル展・バリウムの香りを嗅ぐ体験コー

ナー、ME科からは人工呼吸器や除細動器などの体験、薬剤科によるお薬相談コーナー、医療安全管理センタ

ーによる個人防護服の着用体験や手洗い方法についてのレクチャー、DMAT の活動紹介、中央材料室・手術

室による器材の展示や紹介、リハビリテーション技術科、栄養管理科による筋力測定や栄養補助食品等の紹介、

地域医療部によ

地域医療部による入退院支援の掲示、助産師による

産前・産後の悩み相談などを出展しました。

また、ブースを利用した院内スタンプラリーも開

催し、空くじなしの抽選会も実施しました。初めて

の試みでしたが、来場者は 250 人を超える大盛況

となりました。ご参加いただいた方からは、「実際

に手術器具を使うなど、とても貴重な体験ができま

した。」「地域医療部の相談窓口では、在宅介護でつ

らい気持ちを聞いてもらい心が楽になりました。」

「地域活性化と高齢化社会の為に大変と思います

が、今後もぜひ開催していただきたいです。」など、

たくさんのご意見をいただきました。

最新の医療や健康推進に向けた医学的な情報を

発信することで、より多くの方に健康に対する意識

を高めていただけるよう、また地域に親しまれる病

院づくりを目指し、病院フェスは年に 1回、毎年実

施していきたいと考えています。

■個人防護服の着用体験

■セミナー会場の様子

■血管年齢測定

■筋力測定&栄養指導

■画像情報科のパネル展

■傷部の縫合体験

■内視鏡の体験

■ナースのお仕事紹介

■医療安全週間かるた

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2019.1 さぬき市民病院だより「癒」vol.9

■第 57 回 全国自治体病院学会参加 [10 月 18 日・19 日] 10月 18日(木)から 19 日(金)にかけて、「地域医療の明日を

拓く~自治体病院の機能分化と連携強化~」というテーマのもと、福

島県のけんしん郡山文化センターで「第 57回 全国自治体病院学会」

が開催されました。当院からは、リハビリテーション技術科 理学療法

士 長居孝明さんが「当院急性期脳梗塞患者における転帰先および

ADL回復に影響する因子の検討」、看護部 4階東病棟 看護師 久保

真由美さんが「小児・成人混合病棟で勤務する看護師の小児急変に対

する実践力」という演題で発表されました。

◎学会に参加した長居孝明さんから一言 脳梗塞患者さんの予後予測は難しく、発症早期からどの程度

で退院できるか、どれくらいの期間、リハビリが必要かについ

て様々な面から検討しなければなりません。今回、研究発表す

る機会をいただき、当院の傾向や新たに検討する因子について

知ることができました。今後、より具体的にリハビリ職から提

示することができるようさらに調査を進めてまいります。

■看護部研修会開催

-認知症へのアプローチ方法- [11 月 15 日]

平成 28 年度、診療報酬改訂により認知症ケア加算が

新設され、香川県においても高齢化率は平成 12 年

21.0%から平成 26年 29.2%、平成 30年には 33.8%

(3 人に 1 人)と推計されており全国を上回るスピード

で進んでいます。当院では、認知症ケアチーム会を中心

に入院中の身体抑制や患者の情報交換、研修企画を行い

活動しております。今年度は、11月 15日(木)に、看

護師・助産師・介護福祉士・看護補助員など看護従事者

を対象とし、「認知症ケアの基本~認知症患者に携わる看

護師に必要な知識~」をテーマに精神科・心療内科主任

部長 吉宗真治医師による講演を開催しました。現場にお

いても認知症患者と接することが多く、関わり方など苦

慮することもあるようです。今回の研修で、入院生活で

の患者・家族への関わり方や認知症の特徴、せん妄との

鑑別など看護のポイントを詳しく講義していただきまし

た。入院から退院までその人らしく住み慣れた環境で生

活できるよう看護ケアを提

供しチーム活動も継続し取

り組んでいこうと思います。

入院中にお困りのことが

あればお気軽に看護師にお

問合せください。

■レスパイト入院の受入開始について

レスパイトとは、一時休止、休息などの意味

です。

介護者の日々の疲れ、冠婚葬祭、旅行などの

事情により、一時的に在宅介護が困難となる場

合に期間を設けた入院の受入れを行い、介護者

の負担軽減を目指す仕組みのことです。

当院では、在宅での常時の医療管理および介

護が必要な方を対象としたレスパイト入院の受

入れを開始しています。

対象者等の詳細な説明は、別添資料をご覧く

ださい。なお、ご

不明な点につき

ましては、以下

へお問合せくだ

さい。

地域医療部内「地域医療連携室」まで、

お気軽にご連絡・ご相談ください。

受付時間 :9時~17時

電話番号:0879-43-2604

(直通)

【お問合せ・相談窓口】

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2019.1 さぬき市民病院だより「癒」vol.9

■第 1 回さぬき市民病院 地域包括ケア病棟 あそびリイベント クリスマス会 [12 月 21 日]

11 月 21日(水)、防火訓練を実施しました。

訓練内容は、3階西病棟から出火した想定で、通

報、周知、避難誘導、初期消火訓練、消化器・起震

車体験を行いました。訓練とはいえ、参加した職員

は緊張感を持って対応していました。今回、起震車

で震度 6を体験した職員は、「想像をはるかに超え

ていて、これだけ揺れるとは思わなかった。」と話

していました。今後も、さまざまな状況を想定した

訓練を行い、職員が迅速かつ的確な行動をとれるよ

う、必要な技術の取

得に努めていきたい

と思います。

ご協力をいただい

た皆さま、ありがと

うございました。

12 月 21 日(金)、第 1 回さぬき市民病院 地域包括ケア病棟あそびリイベント「クリスマス会」を開催

しました。平成最後のクリスマスですが、入院中の患者さんは、つらい治療や、これからどうなるのか、い

つ退院出来るのかなど心の安まる日はありません。そこで、歌い笑える時間を提供したいという地域包括ケ

ア病棟の介護福祉士の思いから、今回の企画が実現しました。

当院 3階会議室の壁には大きなクリスマスツリーが現れ、会場は職員手作り

のさまざまな飾りつけでクリスマス一色に彩られていました。

今回、東かがわ市で活動されているお母さんコーラス隊「ひまわりコーラス」

に来ていただきました。ピンクのドレスで颯爽と登場され、美しいピアノの演

奏にのり、優雅な歌声で「きよしこの夜」「瀬戸の花嫁」「青い山脈」などの懐

かしい曲から、「大きな栗の木の下で」の手遊びまでたくさんの曲を披露され

ました。患者さんの中には、麻痺のある手を握り締めたり伸ばしたり、体を揺

らす らすなどしてリズムをとられる方もおられ、と

ても楽しそうでした。感激で涙される方までい

ました。また、寒川高等学校 専攻科の有志 15

名が参加され、会場の準備から患者さんの介助

まで手伝っていただき、その後には元気いっぱ

いのパフォーマンス「YMCA」を披露してくれ

ました。イベントの最後に、理学療法士、看護

師、介護福祉士が扮したサンタクロースから、

手作りのプレゼントがあり、患者さんからは「こ

れで、早う治れる!ありがとう」という嬉しい

言葉をいただきました。きっとたくさんの方が

心癒されたことでしょう。

12月 17日(月)、職

員個々の感染防止に対

する知見及び意識の向

上を図ることを目的に、

「細菌と抗菌薬につい

て」と題し、院内感染対

策研修会を開催しました。

今回は、薬剤科の野口さんが「抗菌薬とは??」に

ついて講演を行い、多数の職員が参加しました。

参加した皆さんからは、「感染対策として流水での手

洗いを徹底したい。」「途中で抗菌薬を変える理由が分

かった。」「投与中の副作用を十分に観察していく必要

がある。」など、さまざまな声が寄せられました。

今後も職員全体で院内感染について、より知識を高

めるよう研修を行っていきたいと思います。

■平成 30 年度 第 1 回 院内感染対策研修会 開催 [12 月 17 日]

■平成 30年度 第 1回 自衛消防組織総合訓練 実施 [11 月 21 日]