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「中学校用 環境教育副読本 『地球は宝物 Thi nkgloba lly .Act Locally. 』の活用について」 兵庫県立人と自然の博物館 生涯学習課長 「高等学校用 環境教育副読本 『かけがえのない地球 -わたしたちの未来と環境-』の活用について」 兵庫県立豊岡高等学校 教諭 授業事例発表 環境教育副読本活用して

授業事例発表 「環境教育副読本 を活用 してgimu-bo/kankyou/20/jyugyou.pdf · る様々な環境問題 を考える 。 自分 たちの 身近 にある 自然環境

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Page 1: 授業事例発表 「環境教育副読本 を活用 してgimu-bo/kankyou/20/jyugyou.pdf · る様々な環境問題 を考える 。 自分 たちの 身近 にある 自然環境

□ 「中学校用 環境教育副読本『地球は宝物 -Think globally.Act Locally.-』の活用について」

兵庫県立人と自然の博物館 生涯学習課長

平 松 紳 一

□ 「高等学校用 環境教育副読本『かけがえのない地球 -わたしたちの未来と環境-』の活用について」

兵庫県立豊岡高等学校 教諭

田 中 博 之

授業事例発表「環境教育副読本を活用して」

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中学校第1学年「人と自然とのかかわり」

県立人と自然の博物館

主任指導主事兼生涯学習課長 平松 紳一

1 単元の概要

(1)単元の概要

21 世紀は「環境の世紀」といわれ、持続可能な社会の実現をめざすことが世界的なテ

ーマとなっている。しかし、いま地球上では深刻な環境問題がいたるところで起こって

いる。その解決は容易ではないが、これからの世界を生き抜く中学生にとって他人事で

はない。ここでは、身近な自然環境を調べることで自然の大切さを知り、人と自然との

かかわりを考えていくことで、環境問題について科学的に考察し判断する態度を養う。

(2)環境教育としての視点

小学校で学んだ自然の事物・現象についての理解を深め、自分たちが生活している身近

な自然環境を詳しく調べていく。それまで気がつかなかった豊かな自然環境に目を向け、

改めて自然の大切さを感じさせたい。毎日の便利な生活は、科学技術の進歩などによって

もたらされたものであるが、その一方で失われていった自然も多い。自然環境の保全と科

学技術の利用の在り方について、科学的に考察し、持続可能な社会をつくることが重要で

あることを認識させたい。

2 単元のねらい

(1)単元目標

身近な自然環境を調べることで自然の大切さを知り、人と自然とのかかわりを考えてい

くことで、環境問題について科学的に考察し判断する態度を養う。

(2)単元の評価観点

関心・意欲・態度 思考・判断 技能・表現 知識・理解

①身近な自然環境に

ついて、積極的に

調査をしようとす

る。 ②自然環境の保全に

ついて、自らの判

断で行動しようと

する。

①調査活動を自ら計

画し、調査方法な

どについてその改

善点を考えること

ができる。

②自然環境を保全す

ることの重要性を

認識することがで

きる。

①調査結果を整理

し、わかりやすく

まとめることがで

きる。

②調べたこと、わか

ったことを人に伝

えることができ

る。

①身近な自然環境に

ついて知識を深

め、人と自然との

かかわりを理解す

る。 ②環境問題について

知識を深め、持続

可能な社会につい

て理解を深める。

「総合的な学習の時間」における授業事例

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3 指導計画(全20時間)

学習活動 ○主な内容 ◇教師の指導・支援 ◆主な評価

8 ○副読本(p.2~p.19)から兵庫の豊

かな自然を知り、そこで起こってい

る様々な環境問題を考える。

○自分たちの身近にある自然環境に

目を向け環境調査項目を考える。

○「私のまちの『環境マップ』をつく

ろう」に調査項目を入力する。

○環境調査を行う。

○自分たちで調べた調査結果を入力

する。

◇事前に校内及び学校周辺の生物について調査

しておく。

◇危険箇所や天候等を把握し、安全に留意して

活動できるようにする。

◇環境調査については、生物調査だけにとらわ

れず、幅広く環境をとらえることができるよ

う配慮する。

◆生物や身近な自然環境に興味・関心をもち、

調べようとする。関心・意欲・態度

◆調査項目、調査活動など見通しをもって計画

する。思考・判断

10 ○人と自然の博物館の先生(研究員な

ど)から専門的な内容について講義

を聞く。

○館内の展示を見て、人と自然とのか

かわりについて学習を深める。

◇事前に博物館の館員・研究員と講義内容、博

物館での活動について打合せをする。

◇博物館到着までに、「見どころ」を生徒に伝え、

目的をもって見学できるように配慮する。

◆様々な自然、世界の環境問題に興味・関心を

もち、調べようとする。関心・意欲・態度

◆広く環境問題について知識を深める。

知識・理解

11

16 ○博物館での学習をまとめる。

○副読本(p.20~p.35)から、日常生

活を見直し、世界の環境問題に目を

向ける。

○「環境マップ」のデータを統合して

考察する。

○「人と自然とのかかわり」について

課題をみつけて詳しく調べる。

◇博物館での学習と副読本からの情報だけでな

く、広く学習を展開させる。

◇自分たちの将来の問題として課題認識を深め

させる。

◇コンピュータの操作について適切に支援す

る。

◆様々な自然、世界の環境問題に興味・関心を

もち、調べようとする。関心・意欲・態度

◆環境問題について知識を深め、持続可能な社

会について理解を深める。知識・理解

◆自然環境を保全することの重要性を認識する

ことができる。思考・判断

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20 ○学習してきた内容を発表するため

の準備をする。

○副読本(p.36~p.41)から、まとめ

のヒントをつかむ。

○「人と自然とのかかわり」について

まとめたことを発表する。

◇身近な自然環境について、様々な視点から見

つめさせる。

◇できるだけグループ活動のなかでお互いの意

見を交換させる。

◇生徒どうしお互いに評価させる。

◆調べたこと、わかったことを人に伝えること

ができる。技能・表現

◆自然環境の保全について、自らの判断で行動

しようとする。関心・意欲・態度

人と自然の博物館を見学しよう

環境保全を考えよう

まとめ・発表

身近な自然環境調査に取り組もう

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4 学習活動の実際

■「私のまちの『環境マップ』をつくろう」の環境項目入力(第一次 3・4時間目)

(1)本時の目標

同じ調査項目の生徒間でデータの統合を行うこ

とで、より多くのデータをもとにした考察が可能に

なる。あらかじめ目的意識をもって環境調査ができ

るよう、科学的に探求する能力の基礎と態度を育て

る。

(2)本時の展開

主な学習活動・予想される生徒の反応 ◇教師の指導・支援

1 自分たちの身近にある環境について話

し合う。自然環境だけでなく、人間生活

についても話し合う。

・どのような花が咲いているか。

・どのような虫がいるか。

・桜の木はどこに多いだろうか。

・池にはどのような魚がいるだろうか。

・開発された住宅地の特徴は何か。 ・ごみ収集日に何が捨てられているか。

2 自分たちがテーマを決めて、それに関

する環境項目を考える。

3 調査の計画を立てながら、環境項目を

入力する。

◇校内、校区の自然環境について生物の分

布だけでなく、地理的環境、人間生活と

のかかわりなどについても気づかせる。

◇自然界には「生産者」「消費者」「分解者」

という「環(わ)」があることを説明して、

生物たちのつながりを考えさせる。

◇テーマが偏らず様々なテーマに分かれる

よう指導する。

◇環境項目設定は、できるだけ様々な視点

での情報が得られるよう指導する。

◇安全に配慮して計画を進めるよう指導す

る。 (3)本時の活動で得られること

小学校理科で学んだ知識をさらに広げ、単に様々な生物が暮らしているだけでなく、人

間生活とのかかわりをという視点で環境を考えさせたい。

※「私のまちの『環境マップ』をつくろう」は、人と自然の博物館ホームページからダウンロ

ードできます。 http://hitohaku.jp/education/envmap/envmap_index.html ■見学後の事後指導(第三次 1・2時間目)

(1)本時の目標

博物館で学んだ内容(例:熱帯雨林の現状と日本と

のかかわり、地球温暖化と都市の環境問題、里山の現

状と課題)について環境教育副読本『地球は宝物』を

読みながら再認識させる。さらに、環境保全について、

何をテーマに調べるのか目的を明確にさせる。

・どんな生物がいるだろうか。

・生物にとってどのような環境がよいの

だろうか。

・人間生活にとって何が必要だろうか。

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(2)本時の展開

主な学習活動・予想される生徒の反応 ◇教師の指導・支援

1 博物館での学習を振り返り、さらに環

境問題について知識を深める。

2 自分たちの毎日の生活を振り返り、環

境問題にかかわることを考える。

3 自分なりに何かテーマを設定して、環

境問題について深く調べる。

◇環境教育副読本を活用し、さらに最新の

情報を補助資料として提供する。

◇単なる課題認識に終わらないよう配慮す

る。

◇テーマが偏らず様々なテーマに分かれる

よう指導する。

(3)本時の活動で得られること

いま世界に起こっている様々な環境問題には、私たちの経済活動や大量消費の生活が深

く関わっていることを理解するとともに、環境問題が国の枠を越えて様々な事柄や人々と

つながっていることに気づかせたい。

5 中学校用環境教育副読本の活用にあたっての視点

環境教育副読本の構成は、「1兵庫の自然を知ろう」で私たちの住んでいる兵庫県を広くと

らえ、その自然の豊かさを「森」「川」「海」というテーマごとに紹介している。そして「2

身近な環境を考えよう」で兵庫県の自然がどのような危機に瀕しているのか、また、人がど

のように自然とかかわっているのか、環境保全の取組みはどのように進んでいるのかなどを

紹介している。これらの項目を学習しながら、身近な自然環境調査についての動機付けを進

めることが必要である。例でも示したとおり「自然環境調査」を進めるにあたって、事前学

習として活用できるページである。さらに「3私たちの暮らしを見つめよう」では、日常生

活と環境問題をテーマに構成している。例であげたほか、家庭科の授業でも活用していただ

きたい。

次の「4地球の悲鳴を聞こう」では、いま世界で最も話題が集中している「地球温暖化」

をはじめ、「生物多様性」も触れ、様々な環境問題を様々な視点から見つめさせようとしてい

る。これらの指導においては、博物館や科学館などと積極的に連携、協力を図ることも考え

られる。また、兵庫県が「生物多様性国家戦略」と呼応して進めている「生物多様性ひょう

ご戦略」などについても触れることができる。最終章の「5これからの世界を考えよう」で

は国際的な取組みの重要性を理解させることが目標の一つである。「Think globally.Act

locally」の言葉どおり、地球規模で考え、足もとから行動できるように、さらには、環境問

題は国際協力が欠かせないことを生徒たちに理解させ、これからの国際社会の中で主役とな

る生徒たちが、持続可能な社会の実現に向けて貢献できるよう育っていくことを願っている。

いま地球はどのような危機に瀕してい

るのだろうか。

毎日の便利な生活を改めて見直してみ

よう。

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高等学校第2学年「地球温暖化」

県立豊岡高等学校 教諭 田中 博之

1 単元の概要

(1)単元の概要

地球環境問題の中で地球温暖化の現象については、特にマスコミ等でも頻繁に

取り上げられ、生徒の関心も高いテーマであることが推測されることから、重点

的に扱うこととした。地球温暖化は現代世界の直面する諸課題の一つであるが、

その問題の解決のためには地球的な規模で捉えるとともに、地域性を踏まえた視

点を持ちながら国際協力を進める必要がある。

生徒は、地球温暖化の現状、その影響、および温室効果ガスを減らす取組の3

テーマについて、個人で1つを選択して環境教育副読本 P26~29 を活用しながら

調べ、小論文にまとめる。3テーマそれぞれについて、数名の生徒が調べた内容

を発表し、意見交換・評価し合うことによって、多角的、客観的に地球温暖化の

問題を理解することを目指す。

(2)環境教育としての視点

「かけがえのない地球」という観点から地球温暖化の問題をグローバルな視点

で捉えるとともに、自らの生活と直結するミクロ的、地域的視点で判断、動でき

ることを目指す。

2 単元のねらい

(1)単元目標

第1学年「現代社会」で学んだ環境問題についての理解に基づき、自ら地球温

暖化の現状と影響について調べ、客観的な事実を検証する。そして、温暖化防止

の取組を世界的・地域的な視点で調べ、環境問題全般に対する主体的に判断、行

動できる資質を育てる。

(2)単元の評価規準

ア 温暖化防止について、有効な対策を考える。 (関心・意欲・態度)

イ 温暖化の影響と今後の被害を予測する。 (思考・判断)

ウ 地球温暖化の現状とその被害について資料・情報を客観的に調べてまとめ、

発表する。 (技能・表現)

エ 温暖化の実態と影響、取組について、正しく理解している。(知識・理解)

3 指導計画(全3時間)

(1)温暖化の現状と影響、対策について調べる・・・1時間

(2)それぞれのテーマごとに各自で資料・情報を小論文にまとめる・・・1時間

(3)テーマごとに数名の生徒が発表し、その内容について評価し合う・・・1時間

(本時)

地理・歴史科「地理B」における授業事例

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4 学習活動の実際

(1)本時の目標

地球温暖化について、自分の調べた内容を他の生徒にわかりやすく説明する。発

表を聞く生徒は、それぞれの発表に対し、内容の客観性・妥当性と発表の方法につ

いて意見を述べる。この活動をとおして、温暖化に対する本質的な理解と温暖化防

止の方策について考えさせる。

(2)本時の展開

学 習 活 動 指導上の留意点 評価の観点

【導入】

指導者がコメントしたレポー

トを生徒に返却し、発表者をグ

ループごとに決定する。

発表者が決まりにくい場合

は、前時のレポート作成の段

階でまとまっていた生徒に声

をかける。

自主的に環境問題に

関わろうとしている。

(関心・意欲・態度)

【展開】

(1)地球温暖化の現状、影響

及び対策の順に2名ずつの生

徒が発表する。

① 地球の熱収支とIPCC第

3次評価報告書、気象庁デー

タから温室効果のメカニズム

と平均気温の上昇について考

える。

② 海水面の上昇、気候の変化

生態系の変化がどのような影

響をもたらすかを考える。

③ 気候変動枠組み条約京都会

議の成果を中心とする国際的

な対応の状況と各国政府の対

応の違い、日本国内の地方自

治体や様々な組織・機関等で

の取り組みを知る。

原稿をすべて読み上げるの

ではなく、重要なポイントの

み報告するように助言する。

① データ・情報の出典と客

観性について留意させる。

② 現在報告されている被害

とともに、今後予想される

被害について報告させる。

海水面の上昇は、氷河が溶

けるだけでなく、低緯度地

方の海水膨張も原因となっ

ていることをふれさせる。

③ 先進国間での対応の違い

と、先進国と発展途上国と

の主張の違いについてもふ

れる。

必要な資料を適切に選

択し、事実をわかりや

すく整理して、伝えて

いる。(技能・表現)

温暖化についての資料

や情報を気候や大気、

地形、産業、生活など

の面から多角的に考察

している。

(思考・判断)

海面上昇、気候の変化、

動植物への影響等の現

象を人々の生活と関連

させながら正しく理解

している。

(知識・理解)

温室効果ガスを削減す

るために、さまざまな

国際的・地域的な取り

組みが行われているこ

とを理解している。

(知識・理解)

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プレゼンテーションを行う生徒

(2)各グループの発表後に質

問や意見を述べる。

質問や意見が出にくい場合

報告者になっていない生徒に

質問させる。

日常生活で各自が実際に取

り組んでいたり、または取り

組める可能性の高い、有効な

方法を考えさせる。

温暖化の問題が自分た

ちの生活と密接に関連

していることを理解し

ている。

(知識・理解)

【まとめ】

発表で明らかになった地球温

暖化の特徴を整理し、自分の生

活と地球温暖化の問題がどのよ

うに関わっているか、あらため

て確認する。

特に温暖化の影響が相互に

関連し合って生じている場合

は、混乱しないよう整理して

説明する。熱帯林の破壊や砂

漠化などの他の環境問題とも

関連することを考えさせる。

地球温暖化の問題解決

に向けて意欲的に取り

組もうとしている。

(関心・意欲・態度)

(3)本時の活動の実際

左の写真は、生徒が豊岡市の気

象データを示し、1931 年以降の豊

岡市の気温について、上昇傾向が

はっきりしていることを主張して

いるところである。

それに対し、指導者から「その

気温上昇は市街地化によるもの、

つまりヒートアイランド現象によ

るものではないか」と問いかけた。

これは、実際に地球の気温は上

昇しているかについて、先入観を

持って調べるのではなく、どこで

どのように観測して、データが作成されているのかについても考えを及ぼしてくれるこ

とを意図したものである。

温暖化への対策について、取り上げた生徒の結論が大きく異なったため、お互いの主

張に対し、反論させた。Aはいろいろな二酸化炭素の削減方法があると主張したが、B

は現在ではどの方法もコストがかかりすぎたり、国民の協力が不可欠となるため、実現

可能性に乏しい、つまり人間は面倒なことはしないから、新エネルギーが開発されない

限り温暖化は止まらないとした。

それでは実際にそれぞれが温暖化対策の行動をしているかと発問したところ、全体的

に意識が低かったが、古紙のリサイクルが森林の保護につながることを取り上げる生徒

の発言が印象的であった。

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(4)単元のまとめ

地球温暖化問題は、グローバルな取組が不可欠であ

る。しかし、温暖化の現状やその影響、対策を考える

ことを通して、日常の生活の中で私たちにできること

は何かに目を向け始める生徒もいた。授業評価シート

で授業について生徒に評価させてみると、調べる時間

や論文を書く時間が十分でなかったという生徒が多か

った。特にデータの読み取り、分析をもとに論文を作

成するのに苦慮している生徒が目立った。

また、プレゼンテーションについては、自分と違っ

た意見を聞けたことを評価している生徒が多かった。

しかし、自分自身が意見を言えなかったり、質問され

ても考えをまとめられなかったりしたことを課題と

して感じていることがわかった。本校全体の評価とし

ても言語能力(小論文作成やプレゼンテーション能

力)に課題がある。

5 高等学校用環境教育副読本の活用に

あたっての視点

Ⅳ地球環境問題 1地球温暖化 (P26~27)

(1)地球温暖化を引き起こす原因物質(温室効果ガ

ス)が、どのように温暖化をもたらすのか、地球

温暖化が起こるメカニズムについて紹介している。

(2)発展的な学習へのヒントが提示されている。

(例)・北半球と南半球のCO2濃度を比較して、その理由を考えてみましょう。

・近年みられる生態系の変化を調べてみましょう。

高等学校における環境教育を通してめざす生徒像は、「自分で判断し、実行する」

ことである。ねらいとしては、「環境問題について、より論理的かつ科学的に学ぶこ

と、国際的な視点を持ちながら地球的規模の環境問題を理解し、その解決のために何

をなすべきかを考え、身の回りのできることから実行する。」ことであるが、副読本

には、科学的に学べる精選されたデータや主体的な学びに導き、実践力を身につける

手立てが紹介されている。この副読本を活用した授業により、地域や家庭において環

境保全活動の実践者としてリーダーシップを身につけていくことを期待している。

発表の様子

パソコン、ネットを使った調べ学習

論文作成

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【参考資料】

Ⅱ 環境教育副読本の活用にあたって

1 内容等

(1) 「兵庫県環境学習環境教育基本方針」に基づき、森・川・海再生の取組等と連携した内容

とした。

(2) 「『海・川・森』環境教育プログラム」(平成 17年 3月)の活動例やワークシート等を積極

的に活用する内容とした。

(3) 遊びを通じて学ぶという観点をもち、五感を活用した体験や実践例を中心に位置づけ、体

験活動や観察・実験の資料としても活用可能なものとした。

(4) 自主学習等で利用しても、環境学習に対する興味関心をさらに高められるよう、児童生徒

が理解しやすく、役立つ内容となるよう工夫した。

2 活用方法

(1) 学校据えおきとし、場合により学年の枠を超え、有効活用する。

(2) 総合的な学習の時間、校外学習、環境体験事業や自然学校等の事前・事後指導など教科学

習以外の学習活動でも活用する。

3 指導資料の構成

(1) 指導の手引の内容は、環境教育副読本と合致させている。

(2) どの項目から取り扱っても、独立して学習できるとともに、展開例に関連の深いページの

活動内容を紹介している。

(3) 指導者の自由な発想と活用方法を尊重するため、指導案形式にはせず、簡単な「展開例・

発問例」を含めた、以下の項目を順に示している。

① ねらい

② 指導のポイント

③ 展開例・発問例

④ 参考資料

※ 「『海・川・森』環境教育プログラム」

(平成 17年 3月)等の参考文献を明

記している。

※ 各項で活用できるホームページや地域

の教育資源を紹介している。

〔環境教育副読本教師用指導の手引より〕