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建築家の職能の拡張による遊休空間の再生と周辺エリアへの展開 ~建築家の働きかけによって変化する建物と場の構想~ 中尾 涼太郎 Chapter 1 研究概要 Chapter 2 言説 Chapter 3 事例 1-1 背景 1-1-1 空き家数と空き家率 1-1-2 遊休空間の再生と周辺への展開 平成 30 年の空き家数及び空き家率 ( 総住宅数に占める空き家 の割合 ) は、平成 25 年と比べ増加し、過去最高値となった ( 資料 1) 近年、単に個別の遊休空間を再生して利活用するだけでなく、 遊休空間再生の周辺へ及ぼす効果を勘案し、エリアを定めて戦略 的に空間再生を連鎖的・継続的に行うことにより、既成市街地に おける様々な課題の解決を目指す取り組みにまで発展している先 進事例が見られる。こうした遊休空間の再生を面的に展開するこ とにより、得られる効果も建物単体から、周辺に広がり、さらに 複数の再生に連鎖し、遊休空間の再生を超えた様々な民間の活動 などへ広がっていくことにより、エリアの価値向上が見られるよ うになるとされる ( 資料 2) 1-2 目的 日本の空き家や空き店舗が増加するなか、民間によるこれら遊 休空間の利活用が広がり、さらにエリアの価値の向上につながる 例が散見されるようになった。これらでは、建築家が建物のハー ド面に留まらず、竣工後の利用や運営など、ソフト面にも関わる ことが少なくない。 本研究は、遊休空間の再生を担う建築家の建築設計以外の「職 能」に着目し、職能の拡張による遊休空間の再生とその周辺への 展開の意義を考察し、遊休空間再生を担う建築家によるプロジェ クトのあり方を提案することを目的とし、遊休空間の再生におい て建築家の職能が転換する兆しを建築家の職能について論じてい る言説より、建築家や連携する専門家が建物とその周辺にどのよ うに関わっているかを事例より明らかにし、ケーススタディとし て、現実の建物と周辺エリアに加え、人と場の変化を構想する。 空き家数及び空き家率の推移 - 全国 ( 資料 1) 遊休空間再生と面展開 ( 資料 2) 検討内容一覧表 参考文献 資料 1: 総務省統計局「平成 30 年の住宅・土地統計調査」 資料 2: 国土交通省「遊休不動産再生を活用したエリア価値向上手法に関するガイドライン」2015 年 3 月 資料 3: 松村秀一編著「建築生産」市ヶ谷出版社 2010 年 10 月 資料 4: 馬場正尊「エリアリノベーション 変化の構造とローカライズ」学芸出版社 2016 年 5 月 資料 5:Handi House HP 資料 6: ルーヴィス HP 資料 7: ミナガワビレッジ HP 資料 8: 仲建築設計スタジオ HP 資料 9:hagiso HP 資料 10: ビルススタジオ fase book 資料 11:Google Map 資料 12: 太田市図書館貯蔵庫 資料 13: 全国地価マップ 1000 ( 万戸 ) ・・・空き家数 ・・・空き家率 ( 昭和 ) ( 平成 ) 38 年 43 年 48 年 53 年 58 年 63 年 5年 10 年 15 年 20 年 25 年 30 年 (%) 14 12 10 8 6 4 2 0 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 52 2.5 4.0 5.5 7.6 8.6 9.4 9.8 11.5 12.2 13.1 13.5 13.6 103 172 268 330 394 448 578 659 757 820 846 資料調査 2-1 建築家の業務範囲の拡張 建築家が竣工後の建物の維持管理や運営方針検討への参加、イ ベントの企画など、業務範囲が拡張し、建築設計以外の職能によ り「運用段階」にまで関わっている ( 資料 3) 近年、遊休空間の再生の事例における建築家の建築設計以外の職能への展開の兆しや、建築家の職能の転換について記されている書籍が散見されるようになった。これらの建築家の職能の転換について論じている言説をいくつかの書籍より抽出し、分析の対象とする。 建築家の業務の流れと広がり 建築家の業務の流れと広がり 2-2 職能の細分化とマルチプレイヤー これまでの空間づくりのプロジェクトでは、細分化された職能が、関 わる人格と一対一対応して細分化され、プロジェクトへの関わりも細分 化され、そのプロセスの一部のみを担っていた。それに対し、近年の遊 休空間再生の事例は、プロジェクトに関わる事業者や専門業者が細分化 された職能にとどまることなく複数の職能を兼ねたマルチプレイヤーに なっている ( 資料 4) 空間ができるプロセスの逆転 2-3 空間ができるプロセス これまでの空間ができるプロセスは、 「計画→つくる→使う」というトッ プダウンだったのに対し、近年の遊休空間の再生は、事業者や建築家な どの使い手が空間を利用し、その活動がエリアへ波及するボトムアップ のプロセスである。 空間の面展開によって生まれるスモールエリア 2-4 空間同士の相互作用による面展開 遊休空間単体の再生に留まらず、そのエリアにおいて同時多発的に空 間再生が起こり、同じベクトルをもった空間同士が、相互の利益を共有 する関係を築き合うタイアップし、相互に作用する。さらに、時間の経 過とともに遊休空間の再生が積み重なり、相乗効果により面的な展開を するエリアとなる。 企画段階 設計段階 設計業務 施工段階 運用段階 設計以外の職能 企画段階 設計段階 設計業務 施工段階 これまで 工事完成後、建物を建築主に引き渡すことで設計業務 は完了するが、最近では建物の運用段階にまで幅の広 がりが見られる。 松村秀一「建築生産」 ( 資料 3) 近年 建築 設計 工務店 事業者 不動産 管理 不動産 仲介 専門 工事業者 ユーザー 建築 設計 工務店 事業者 不動産 管理 不動産 仲介 専門 工事業者 ユーザー 職能の細分化 …人格 …職能 一つの職能を担うシングルプレイヤー 複数の職能を兼ねたマルチプレイヤー キーパーソンに共通していたのが、各人がプロジェクトのプロセス全体の当 事者であるということだ。彼らはある職種に留まることなくそれらの職能を 横断するキャラクターになっている。 職能の横断 馬場正尊「エリアリノベーション 変化の構造とローカライズ」 ( 資料 4) 日本の空間のつくり方は、「計画する人 つくる人 使う人」という 順番で物事が動きヒエラルキーでもあった。しかし、取り上げた街 の空間のつくられ方は、それとまったく逆のプロセスを辿っている馬場正尊「エリアリノベーション 変化の構造とローカライズ」 ( 資料 4) 計画する人 マスタープラン 新築 利用 エリアへの波及 改修 利用 つくる人 使う人 これまでの空間ができるプロセス これからの空間ができるプロセス 単体の建築再生 面的な地域再生 リノベーションは単体の建築を再生することだが、それがあるエリ アで同時多発的に起こることがある。アクティブな点が相互に共鳴 し、ネットワークし、面展開を始める馬場正尊「エリアリノベーション 変化の構造とローカライズ」 ( 資料 4) 竣工後も建物の活動に関わる建築家を対象に、建築家やその他の専門家が建物とその周辺にどのように関わっているかを明らかにするために、建築家の建物とその周辺への関わり方に着目し、事例の選定条件を「建築家が建築設計以外の職能から建物に関わること」、あるいは「建物とその周辺に関わること」とし、筆者の知り得た 事例及び2010~2019 年までの新建築からピックアップした。対象10事例について、竣工後の建物における建築家と建築以外の専門家の位置や利害関係を図示し、「建築家の建物への関わり方」「建築家の建物周辺への関わり方」「建築家の建築設計以外の職能」「運営に関わる専門家」という4 つの視点から比較分析した。 3-1 建築家の建物への関わり方 : 運営 運営に関する建築家の関わり方は 3 つのパタンに分けられる。 パタン 1 は、建築家が単独で建物の運営を担っていた。パタン 2 は、建築家が事業者と協働して建物の運営を担っていた。パタン 3 は、建築家が建物の運営方針を検討するメンバーだが運営を担 うまでに至っていない。パタン 3 の事例 4 を除いて、建築家が建 物の活用や管理など運営を担っていた。 運営における建築家の位置 3-2 建築家の建物への関わり方 : 不動産 不動産に関する建築家の関わり方は 3 つのパタンに分けられ る。パタン 1 は、建築家が建物の所有者と賃貸借や定期借家契約 を結び建物を借入れた。パタン 2 は、建物の空室を転貸した。パ タン 3 は、建物の空室へのリーシングを図った。 不動産における建築家の位置 3-4 建築家の建築設計以外の職能 建築家が設計業務後も建築設計以外の職能により建物のソフト 面に関わる事例があった。空間の間貸や転貸などの空間の貸出を 行い、利用者に空間の活用を促す事例や、空室のリーシングをし、 不動産業務を担う事例、飲食を提供するサービス業を担う事例が あった。 建築家の建築設計以外の職能 3-5 運営に関わる専門家 飲食や物販の職能を持った専門家が建物のコンテンツの運営を 担い、専門家がイベントの企画や開催を自発的に行っている喫茶 店、カフェ、食堂、施術を行うサロンの事例があった。建築家が コンテンツの運営を担う専門家を誘致し、協働しながら建物を運 営している。 運営に関わる専門家 3-3 建築家の建物周辺への関わり方 対象とした事例の中には、建築家が建物のみに留まらず、建物 周辺に関わるアプローチが見られた。建物利用者に建物周辺の利 用を促すものや、建物と隣地を活用してイベントをするもの、近 隣と日常的に交流するもの、デジタル空間を通して利用者と関わ るものがあった。 建築家の建物周辺への働きかけ 対象事例一覧表 建築家 建築家 専門家 建物 パタン 1(事例 1,5,6,7,8,9,10) (事例 4) (事例 2,3) 運営 専門家 建築家 建物 パタン 3 運営 運営方針の検討 建物 パタン 2 運営 建物を運営する 運営方針に参加・運営しない 建物を専門家と協働して運営する (事例 1,2,5,6,7,8,9,10) (事例 10) (事例 9) 建築家 大家 大家 パタン 1 賃貸借 契約 転貸借 契約 専門家 建築家 パタン 2 不動産仲介 契約 契約 入居者 大家 建築家 パタン 3 建物を借り入れる 建物の空室を転貸する 空室の不動産仲介をする SNS 事例 1:Handi Labo hanare HAGISO まちの コンテンツ 建築家 建築家 宿泊者 運営 利用 利用 情報 まちのコンテンツ 利用を促進 事例 7,8:HAGISO,hanare 建物 近隣住民 運営 書籍回収の 呼びかけ 書籍の 寄付 事例 10: もみじ図書館 建物 隣接する 公園 利用者 イベント実施 建築家 利用 利用者 運営 建築家 利用 利用者 事例 9: シェアアトリエつなぐば デジタル空間で利用者と関わる 宿泊者にまちのコンテンツ利用を促す 近隣住民と日常的に交流する 建物と公園を同時利用した イベントを実施 建築 設計 飲食の 提供 旅館の サービス 空間の 間貸•転貸 空室の リーシング 建物の 管理•運営 運営方針 の検討 建築家 専門家 コンテンツ 建物運営 誘致 コンテンツ 運営 建物 大家 専門家 建物 賃貸借契約 建物運営 店子の例 ( 一般 ) 対象事例 7•9 職能を持った専門家がコンテンツ運営を担う 店子が建物を借り、運営する ・設計者が運営 ・アーティストがギャラリーに出展 ・施術者がサロンを運営 設計者が運営 ・設計者が運営方針に参加 ・大家・シェフ・設計者が運営に関わる ・シェフが食堂を運営 設計者が運営 設計者が施工•運営 設計者が地域住民と会社を設立し協働して運営 ・設計者が運営事務局に所属 ・設計者が事務所兼住宅に居住 ・設計者が建物の一部を運営 ・設計者と企画者がレンタルスペースを運営 ・設計者が事務所を利用 ・設計者が建物を運営 ・空間の間貸•転貸 ・設計者が隣接する公園を管理 ・設計者が建物を管理•運営 ・住戸の不動産仲介 建築家 施術者 アーティスト 利用者 カフェ ギャラリー レンタル スペース 旅館受付 サロン HAGISO 大家 利用 運営 運営 展示 賃貸借 使用料 利用者 居住者 食堂 共用部 専有部 食堂付きアパート 建築家 大家 シェフ 利用 利用 運営 管理 管理 賃貸借 運営方針・空間の利用 方法の協議 建築家 草加市 居住者 企画者 料理係 利用者 利用者 カフェ シェアアトリエ 美容室 WS スペース 隣接する公園 シェアアトリエつなぐば 大家 美容師 利用 利用 利用 運営 維持管理 運営 運営 運営 定期借家 使用料 使用料 転貸借 管理委託 建築家 有料 SNS 工房 利用者 利用者 ( 遠方 ) レンタル工房 コワーキング スペース Handi Lab 大家 利用 運営・オフィスとして利用 利用 運営 賃貸借 合同会社 宮川リゾート 利用者 みやがわベーグル 大家 建築家 地元住民 利用 運営 出資・会社設立 賃貸借 運営事務局 ミナガワビレッジ 事業主 コンサル 建築家 利用者 喫茶店 フリースペース コアーキングスペース キッチン 事務所 兼住宅 居住者 テナント 利用 運営 賃貸借 居住 運営 居住•管理 建築家 利用者 飲食店 ケータリング TAYORI 大家 生産者 利用・生産者へ手紙をかく 運営 出荷 手紙 受取 賃貸借 建築家 企画者 利用者 クライアント 設計事務所 レンタルスペース KLASS 大家 利用 利用 運営•利用 運営 賃貸借 使用料 建築家 宿泊者 旅館 hanare 銭湯 居酒屋 レンタサイクル まちコンテンツ 旅館受付 朝食提供 HAGISO 大家 利用 利用 利用 運営 運営 賃貸借 利用者 入居者 建築家 住戸 もみじ図書館 共同住宅 大家 利用 管理•運営 賃貸借 不動産仲介 不動産仲介 賃貸借 居住 近隣住民 書籍回収の 呼びかけ 書籍の 寄付 資料 9 資料 9 事例 7:HAGISO 事例 8:hanare 資料 8 資料 7 資料 6 資料 5 資料 9 資料 9 事例 4: 食堂付きアパート 事例 5:TAYORI 事例 10: もみじ図書館 事例 1:Handi Labo 事例 6:KLASS 事例 2: みやがわベーグル 事例 3: ミナガワビレッジ 筆者撮影 資料 10 事例 9: シェアアトリエつなぐば

建築家の職能の拡張による遊休空間の再生と周辺エ …...クトのあり方を提案することを目的とし、遊休空間の再生におい て建築家の職能が転換する兆しを建築家の職能について論じてい

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建築家の職能の拡張による遊休空間の再生と周辺エリアへの展開~建築家の働きかけによって変化する建物と場の構想~

 中尾 涼太郎

Chapter 1 研究概要 Chapter 2 言説

Chapter 3 事例

1-1 背景1-1-1 空き家数と空き家率

1-1-2 遊休空間の再生と周辺への展開

 平成 30年の空き家数及び空き家率 ( 総住宅数に占める空き家の割合 ) は、平成 25 年と比べ増加し、過去最高値となった (資料 1)。

 近年、単に個別の遊休空間を再生して利活用するだけでなく、遊休空間再生の周辺へ及ぼす効果を勘案し、エリアを定めて戦略的に空間再生を連鎖的・継続的に行うことにより、既成市街地における様々な課題の解決を目指す取り組みにまで発展している先進事例が見られる。こうした遊休空間の再生を面的に展開することにより、得られる効果も建物単体から、周辺に広がり、さらに複数の再生に連鎖し、遊休空間の再生を超えた様々な民間の活動などへ広がっていくことにより、エリアの価値向上が見られるようになるとされる (資料 2)。

1-2 目的 日本の空き家や空き店舗が増加するなか、民間によるこれら遊休空間の利活用が広がり、さらにエリアの価値の向上につながる例が散見されるようになった。これらでは、建築家が建物のハード面に留まらず、竣工後の利用や運営など、ソフト面にも関わることが少なくない。 本研究は、遊休空間の再生を担う建築家の建築設計以外の「職能」に着目し、職能の拡張による遊休空間の再生とその周辺への展開の意義を考察し、遊休空間再生を担う建築家によるプロジェクトのあり方を提案することを目的とし、遊休空間の再生において建築家の職能が転換する兆しを建築家の職能について論じている言説より、建築家や連携する専門家が建物とその周辺にどのように関わっているかを事例より明らかにし、ケーススタディとして、現実の建物と周辺エリアに加え、人と場の変化を構想する。

空き家数及び空き家率の推移 -全国 (資料 1)

 遊休空間再生と面展開 (資料 2)

検討内容一覧表

参考文献資料 1: 総務省統計局「平成 30 年の住宅・土地統計調査」資料 2: 国土交通省「遊休不動産再生を活用したエリア価値向上手法に関するガイドライン」2015 年 3月資料 3: 松村秀一編著「建築生産」市ヶ谷出版社 2010 年 10 月資料 4: 馬場正尊「エリアリノベーション 変化の構造とローカライズ」学芸出版社 2016 年 5 月資料 5:Handi House HP資料 6: ルーヴィス HP 資料 7: ミナガワビレッジ HP資料 8: 仲建築設計スタジオHP資料 9:hagiso HP資料 10: ビルススタジオ fase book資料 11:Google Map資料 12: 太田市図書館貯蔵庫資料 13: 全国地価マップ

1000( 万戸 )

・・・空き家数

・・・空き家率

(昭和 ) ( 平成 )38 年 43年 48年 53年 58年 63年 5年 10年 15年 20年 25年 30年

(%)

14

12

10

8

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900

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600

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空き家数

空き家率

52

2.5

4.0

5.5

7.6

8.69.4

9.8

11.512.2

13.1 13.5 13.6

103172

268330

394448

578

659

757

820 846

資料調査

2-1 建築家の業務範囲の拡張

 建築家が竣工後の建物の維持管理や運営方針検討への参加、イベントの企画など、業務範囲が拡張し、建築設計以外の職能により「運用段階」にまで関わっている (資料 3)。

 近年、遊休空間の再生の事例における建築家の建築設計以外の職能への展開の兆しや、建築家の職能の転換について記されている書籍が散見されるようになった。これらの建築家の職能の転換について論じている言説をいくつかの書籍より抽出し、分析の対象とする。

建築家の業務の流れと広がり 建築家の業務の流れと広がり

2-2 職能の細分化とマルチプレイヤー

 これまでの空間づくりのプロジェクトでは、細分化された職能が、関わる人格と一対一対応して細分化され、プロジェクトへの関わりも細分化され、そのプロセスの一部のみを担っていた。それに対し、近年の遊休空間再生の事例は、プロジェクトに関わる事業者や専門業者が細分化された職能にとどまることなく複数の職能を兼ねたマルチプレイヤーになっている (資料 4)。

空間ができるプロセスの逆転

2-3 空間ができるプロセス

 これまでの空間ができるプロセスは、「計画→つくる→使う」というトップダウンだったのに対し、近年の遊休空間の再生は、事業者や建築家などの使い手が空間を利用し、その活動がエリアへ波及するボトムアップのプロセスである。

 空間の面展開によって生まれるスモールエリア

2-4 空間同士の相互作用による面展開

 遊休空間単体の再生に留まらず、そのエリアにおいて同時多発的に空間再生が起こり、同じベクトルをもった空間同士が、相互の利益を共有する関係を築き合うタイアップし、相互に作用する。さらに、時間の経過とともに遊休空間の再生が積み重なり、相乗効果により面的な展開をするエリアとなる。

企画段階 設計段階

設計業務

施工段階 運用段階

設計以外の職能

企画段階 設計段階

設計業務

施工段階

これまで

工事完成後、建物を建築主に引き渡すことで設計業務は完了するが、最近では建物の運用段階にまで幅の広がりが見られる。

松村秀一「建築生産」(資料3)

近年建築設計工務店 事業者

不動産管理

不動産仲介

専門工事業者 ユーザー

建築設計工務店 事業者

不動産管理

不動産仲介

専門工事業者 ユーザー

職能の細分化…人格…職能

一つの職能を担うシングルプレイヤー 複数の職能を兼ねたマルチプレイヤー

キーパーソンに共通していたのが、各人がプロジェクトのプロセス全体の当事者であるということだ。彼らはある職種に留まることなくそれらの職能を横断するキャラクターになっている。

職能の横断

馬場正尊「エリアリノベーション 変化の構造とローカライズ」(資料4)

日本の空間のつくり方は、「計画する人 つくる人 使う人」という順番で物事が動きヒエラルキーでもあった。しかし、取り上げた街の空間のつくられ方は、それとまったく逆のプロセスを辿っている。

馬場正尊「エリアリノベーション 変化の構造とローカライズ」(資料4)

計画する人

マスタープラン 新築 利用

エリアへの波及 改修 利用

つくる人 使う人

これまでの空間ができるプロセス

これからの空間ができるプロセス

単体の建築再生 面的な地域再生

リノベーションは単体の建築を再生することだが、それがあるエリアで同時多発的に起こることがある。アクティブな点が相互に共鳴し、ネットワークし、面展開を始める。

馬場正尊「エリアリノベーション 変化の構造とローカライズ」(資料4)

 竣工後も建物の活動に関わる建築家を対象に、建築家やその他の専門家が建物とその周辺にどのように関わっているかを明らかにするために、建築家の建物とその周辺への関わり方に着目し、事例の選定条件を「建築家が建築設計以外の職能から建物に関わること」、あるいは「建物とその周辺に関わること」とし、筆者の知り得た事例及び 2010~2019 年までの新建築からピックアップした。対象 10 事例について、竣工後の建物における建築家と建築以外の専門家の位置や利害関係を図示し、「建築家の建物への関わり方」「建築家の建物周辺への関わり方」「建築家の建築設計以外の職能」「運営に関わる専門家」という 4つの視点から比較分析した。

3-1 建築家の建物への関わり方 : 運営

 運営に関する建築家の関わり方は 3つのパタンに分けられる。パタン 1は、建築家が単独で建物の運営を担っていた。パタン 2は、建築家が事業者と協働して建物の運営を担っていた。パタン3は、建築家が建物の運営方針を検討するメンバーだが運営を担うまでに至っていない。パタン 3の事例 4を除いて、建築家が建物の活用や管理など運営を担っていた。

 運営における建築家の位置

3-2 建築家の建物への関わり方 : 不動産

 不動産に関する建築家の関わり方は 3つのパタンに分けられる。パタン 1は、建築家が建物の所有者と賃貸借や定期借家契約を結び建物を借入れた。パタン 2は、建物の空室を転貸した。パタン 3は、建物の空室へのリーシングを図った。

不動産における建築家の位置

3-4 建築家の建築設計以外の職能

 建築家が設計業務後も建築設計以外の職能により建物のソフト面に関わる事例があった。空間の間貸や転貸などの空間の貸出を行い、利用者に空間の活用を促す事例や、空室のリーシングをし、不動産業務を担う事例、飲食を提供するサービス業を担う事例があった。

建築家の建築設計以外の職能

3-5 運営に関わる専門家

 飲食や物販の職能を持った専門家が建物のコンテンツの運営を担い、専門家がイベントの企画や開催を自発的に行っている喫茶店、カフェ、食堂、施術を行うサロンの事例があった。建築家がコンテンツの運営を担う専門家を誘致し、協働しながら建物を運営している。

運営に関わる専門家

3-3 建築家の建物周辺への関わり方

 対象とした事例の中には、建築家が建物のみに留まらず、建物周辺に関わるアプローチが見られた。建物利用者に建物周辺の利用を促すものや、建物と隣地を活用してイベントをするもの、近隣と日常的に交流するもの、デジタル空間を通して利用者と関わるものがあった。

建築家の建物周辺への働きかけ

対象事例一覧表

建築家建築家

専門家建物

パタン 1(事例 1,5,6,7,8,9,10)

(事例 4)

(事例 2,3)

運営

専門家

建築家

建物

パタン 3

運営

運営方針の検討

建物

パタン 2

運営

建物を運営する

運営方針に参加・運営しない

建物を専門家と協働して運営する

(事例 1,2,5,6,7,8,9,10)

(事例 10)

(事例 9)

建築家大家

大家パタン 1

賃貸借契約 転貸借

契約 専門家建築家

パタン 2

不動産仲介契約

契約

入居者

大家建築家

パタン 3建物を借り入れる 建物の空室を転貸する

空室の不動産仲介をする SNS

事例 1:Handi Labo

hanareHAGISO まちのコンテンツ

建築家 建築家

宿泊者

運営

利用利用

情報まちのコンテンツ利用を促進

事例 7,8:HAGISO,hanare

建物 近隣住民

運営 書籍回収の呼びかけ

書籍の寄付

事例 10: もみじ図書館

建物 隣接する公園

利用者

イベント実施

建築家

利用

利用者

運営

建築家

利用

利用者

事例 9: シェアアトリエつなぐば

デジタル空間で利用者と関わる

宿泊者にまちのコンテンツ利用を促す

近隣住民と日常的に交流する

建物と公園を同時利用したイベントを実施

建築設計飲食の

提供旅館のサービス

空間の間貸•転貸

空室のリーシング

建物の管理•運営

運営方針の検討

建築家

専門家コンテンツ

建物運営誘致

コンテンツ運営

建物

大家

専門家建物

賃貸借契約

建物運営

店子の例 (一般 )

対象事例 7•9

職能を持った専門家がコンテンツ運営を担う

店子が建物を借り、運営する

・設計者が運営・アーティストがギャラリーに出展・施術者がサロンを運営

設計者が運営

・設計者が運営方針に参加・大家・シェフ・設計者が運営に関わる・シェフが食堂を運営

設計者が運営

設計者が施工•運営

設計者が地域住民と会社を設立し協働して運営

・設計者が運営事務局に所属・設計者が事務所兼住宅に居住・設計者が建物の一部を運営

・設計者と企画者がレンタルスペースを運営・設計者が事務所を利用

・設計者が建物を運営・空間の間貸•転貸・設計者が隣接する公園を管理

・設計者が建物を管理•運営・住戸の不動産仲介

建築家

施術者アーティスト

利用者

カフェ ギャラリー レンタルスペース 旅館受付 サロン

HAGISO

大家

利用

運営 運営展示

賃貸借

使用料

利用者 居住者

食堂 共用部 専有部食堂付きアパート

建築家

大家シェフ

利用利用

運営 管理管理

賃貸借

運営方針・空間の利用方法の協議

建築家草加市

居住者

企画者料理係

利用者 利用者

カフェ シェアアトリエ 美容室 WSスペース

隣接する公園

シェアアトリエつなぐば

大家

美容師

利用

利用

利用

運営

維持管理

運営運営

運営

定期借家

使用料 使用料転貸借

管理委託

建築家有料 SNS工房

利用者利用者(遠方 )

レンタル工房 コワーキングスペース

Handi Lab

大家

利用

運営・オフィスとして利用

利用

運営 賃貸借

合同会社宮川リゾート

利用者

みやがわベーグル

大家

建築家地元住民

利用

運営

出資・会社設立

賃貸借

運営事務局

ミナガワビレッジ

事業主 コンサル 建築家

利用者

喫茶店庭

フリースペースコアーキングスペース

キッチン

事務所兼住宅

居住者

テナント

利用

運営賃貸借

居住

運営

居住•管理

建築家

利用者

飲食店 ケータリングTAYORI

大家

生産者

利用・生産者へ手紙をかく

運営

出荷手紙受取

賃貸借

建築家 企画者

利用者クライアント

設計事務所 レンタルスペースKLASS

大家

利用利用

運営•利用 運営

賃貸借 使用料

建築家

宿泊者

旅館hanare

銭湯居酒屋レンタサイクル

まちコンテンツ

旅館受付朝食提供

HAGISO

大家

利用利用 利用

運営 運営

賃貸借

利用者

入居者

建築家

住戸 もみじ図書館共同住宅

大家

利用

管理•運営

賃貸借不動産仲介

不動産仲介賃貸借

居住

近隣住民

書籍回収の呼びかけ

書籍の寄付

資料 9

資料 9

事例 7:HAGISO

事例 8:hanare

資料 8

資料 7

資料 6

資料 5 資料 9

資料 9

事例 4: 食堂付きアパート

事例 5:TAYORI 事例 10: もみじ図書館

事例 1:Handi Labo 事例 6:KLASS

事例 2: みやがわベーグル

事例 3: ミナガワビレッジ

筆者撮影

資料 10

事例 9: シェアアトリエつなぐば

Chapter 4 太田市本町周辺の現状 計画対象地は、太田駅から徒歩 7、8分の太田市本町の裏通りに位置する既存建物とした。かつては、日光街道例幣使街道の宿場町とそれに連なる門前通りを中心に栄え、市街地を形成してきたが、今では一本裏手に入ると、通りは閑散としており、路線価による断層も見られた。敷地は一方通行道路と接道し、周辺は住宅と非住宅が混在し、店舗併用住宅の遊休化が顕著に伺えた。捉え方を変えれば小商い ( 民間事業者 ) が介入する余地がある環境とも考えた。

0(m) 100 200N

太田駅

旧街道

SITE

計画地の位置(資料 11)

大光院鳥瞰図(資料 12) 平成 31 年本町周辺の路線価(資料 13)

太田駅

大光院

15,000~20,000~25,000~30,000~35,000~40,000~45,000~50,000~55,000~60,000~旧街道門前通り

1㎡あたりの路線価

0(m)

100 200 500

N

SITE

周辺建物の用途と遊休空間

① ② ③ ④ ⑤ ⑥

⑤ ⑥

⑦ ⑧

③ ④

1F 既存平面図 S=1:100 2F 既存平面図 S=1:100

GL±0

GL+200

道路境界線

道路境界線

2750

36003600800

2700

2700

1200

2750

36003600

2700

2700

1200

N

宮下建材 事務所兼展示スペース主要構造 鉄骨造階数  2階延べ面積 1階 :62.80 ㎡     2階 :61.69 ㎡     合計 :124.29 ㎡

接道から通りをみる

南から敷地をみる

入り口から1階を覗く

2階から南をみる

既存建物

Chapter 5 提案

関わる人物

建築家設計業務と建物の運営を担う。太田市に潜むクリエイティブな人との交流を望んでいる。

大家建物の敷地内に居住する大家さん。建具屋さんでもあり、いつかコラボレーションできそうな予感 ...

クリエイター太田市を拠点に活動し、地域交流を大事にしている

近隣住民徒歩圏内に居住し、仕事や家事の合間に訪れる。周辺エリアのディープな話題や情報を提供してくれる。

銭湯ユーザー近所にある高砂湯の利用者。風呂上がの一杯を求め訪れる。

プレイヤー主に物販や飲食を提供する職能を持ち、中にはお店を構えたいプレイヤーもいる。

遊休空間オーナー周辺エリアに点在する遊休空間の所有者。所有する建物に愛着はあるが、活用できずに困っている。

上段、中段、下段はそれぞれ事業者、空間、利用者を指す。

ダイアグラムの構成

事業者上段

中段

下段

空間

利用者

・建築家が建物を借り、1F 部分のみ活用したカフェと バーを運営する。・近所の銭湯に駐車場を借りる

・出店するプレイヤーを誘致し、周辺エリアに点在する遊休空間の 軒先を活用したマーケットを不定期で行う・オフィス感覚で利用するクリエイターが出現する・スペースの貸出を希望する近隣住民が出現する

竣工~2年フェーズ1: カフェ、バー

建築家

近隣住民 銭湯ユーザークリエイター

カフェ バー

主屋バラック庭

高砂湯(銭湯)

Ota base

敷地運営 不定期で利用

賃貸借 大家

居住

駐車場を借りる

竣工~2年フェーズ 1過渡期 : カフェ、バー、マーケット ( 不定期 )

建築家 賃貸借 大家プレイヤー

近隣住民近隣住民 銭湯ユーザークリエイター

カフェ バー

主屋バラック庭

高砂湯(銭湯)

Ota base

敷地運営出店 不定期で利用

出店誘致

企画•運営

遊休空間の軒先

お試しマーケット

居住

駐車場を借りる

スペース貸出をお願いされる

オフィス感覚で利用するクリエイター出現

・クリエイターがオフィスとして利用できるコワーキングを 2F に 計画する・レンタルスペースの仕組みを計画し、厨房やサロンを含めた間貸 が実現する・銭湯と割引券でタイアップし、相乗効果を図る

・不定期だったマーケットを定期的に行い、コワーキングを利用す るクリエイターも企画運営に関わるようになった・大家さんの了承を得て、敷地内の庭も定期的に利用する

・これまでの活動が周辺エリアに浸透してきたことや、マーケット で活用する遊休空間のオーナーとの接点が生まれたこともあり、 周辺エリアに点在する遊休空間の活用を計画する・マーケットの企画運営をクリエイターに引き継ぐ

・プレイヤーやクリエイターが遊休空間活用に関わる

2~3 年フェーズ2: カフェ、バー、コワーキング、レンタルスペース、マーケット ( 不定期 )

建築家 大家プレイヤープレイヤー

近隣住民近隣住民 銭湯ユーザークリエイター

カフェ バー

主屋バラック庭Ota base

敷地運営出店 不定期で利用

賃貸借出店誘致

企画•運営

遊休空間の軒先

お試しマーケット

居住

レンタルスペースコワーキング

厨房•サロン利用

出店誘致

高砂湯(銭湯)駐車場を借りる

割引券でタイアップ

3~4 年フェーズ2過渡期 : カフェ、バー、コワーキング、レンタルスペース、月 1マーケット

建築家 大家プレイヤー

近隣住民近隣住民 銭湯ユーザークリエイター

企画•運営に参画

プレイヤー

カフェ バー

主屋バラック庭Ota base

敷地運営出店 週末に利用

賃貸借出店誘致

企画•運営

遊休空間の軒先

月1マーケット

居住

レンタルスペースコワーキング

出店誘致

高砂湯(銭湯)駐車場を借りる

割引券でタイアップ

厨房•サロン利用

4~5 年フェーズ 3: カフェ、バー、コワーキング、レンタルキッチン、マーケット、遊休空間の活用

近隣住民近隣住民 銭湯ユーザークリエイター

遊休空間オーナー

遊休空間

企画•運営

建築家プレイヤープレイヤー

カフェ バー

主屋バラック庭

高砂湯(銭湯)

Ota base

敷地運営出店 週末に利用

賃貸借活用交渉

活用

遊休空間の軒先

月1マーケット

大家

居住

駐車場を借りる割引券でタイアップレンタル

スペースコワーキング

厨房利用

出店誘致

4~5 年フェーズ 3過渡期 : カフェ、バー、コワーキング、レンタルキッチン、マーケット、遊休空間の活用

近隣住民近隣住民 銭湯ユーザークリエイター

遊休空間オーナー

遊休空間

建築家プレイヤー

プレイヤー

カフェ バー

主屋バラック庭

高砂湯(銭湯)

Ota base

敷地運営出店 週末に利用

賃貸借活用交渉

活用

遊休空間の軒先

月1マーケット

大家

居住

駐車場を借りる割引券でタイアップレンタル

スペースコワーキング

厨房利用

出店誘致

参画

参画企画•運営

1 : 暫定型

建物を一時的に使う ( 軒先利用など )

建築家

遊休空間

大家

暫定利用

交渉

転貸借

建築家

大家から建物を賃貸し、プレイヤーに転貸する

プレイヤー

管理

賃貸借

運営

2: サブリース型

遊休空間

大家

誘致

3 : 運営型

建築家自身または、プレイヤーと協働で事業を行い建物を運営する

運営

賃貸借

運営 プレイヤー遊休空間

建築家大家

遊休空間

建築家大家

プレイヤー

4: マッチング型

大家と事業者をマッチングさせる

賃貸借 開業相談

借主紹介

運営

5 : 買収型

建物を買収し、所有者となる

所有

売買

遊休空間

建築家大家

旧日光例幣使街道

高砂湯(銭湯 )

居酒屋

コミュニティセンター

高砂湯駐車場

大家主屋OTA BASE

建具工場

バラック

美容室

美容室

学習塾

青果店衣料品店書店

定食屋

至太田駅

展示場

ヤマハ音楽教室

週末に利用

高砂湯と割引券でタイアップし、相乗効果を図る

配置図兼1F平面図 S=1:600N

建物と周辺エリアと人と場の変遷

 建築家が建物の 1F の運営 (フェーズ 1)から、周辺エリアに点在する遊休空間の活用(フェーズ 3)に至るまでの 5年間の変遷を構想した。利用者のインフォーマルな空間の使い方に伴いフォーマルな仕組みが生まれ、また、建築家自身がマーケットや遊休空間活用を能動的に行うことによって生まれる利用者や事業者のインフォーマルな関わりが発生するよう試みた。こうして建築家が働きかけ続けることによって、多様な人物を巻き込み、場が変化し、エリアに変化をもたらす要因になると考えた。

…フォーマル(新しいコンテンツ、活動)…インフォーマル(新たな使われ方、関わり方)

遊休空間活用のパタン フェーズ 3で行われるであろう遊休空間の活用では、あらゆるケースが想定されると考え、建築家が媒介、または自身で事業化をする活用方法をパタン化した。

GL±0

GL+200

FL+200

FL+200

FL+200

道路境界線

道路境界線

FL±0(GL+200)

2750

36003600800

2700

2700

1200

1F 平面図 S=1:50N

入店ー注文のアクセス

キャッシャードリップスペース

A A’

ベンチスペース

収納庫

WC

B

B’

天板が 1000×1000 幅のテーブルを設え、PC作業や複数人での利用が可能

テーブルスペース

大家主屋厨房の懐を確保し、レンタルキッチン利用者とカフェの運営者が同時にオペレーションできる

厨房

CAFECOWORKINGMEETINGLOUNGESALON

2F 平面図 S=1:50

FL±0

FL+700

FL+100

2750

36003600

2700

2700

1200

コワーキング利用者が奥行きの深いソファで息抜きしたり、作業ができるスペース。

ヨガや施術などのイベントや、臨時で行われる展示や物販のチャレンジショップなどの多用途で利用可能なレンタルスペース。

コワーキングを利用するクリエイターの打ち合わせスペース。昼は机を囲んだランチスペースとしても使われる。

ミーティングルーム

コワーキングスペース

ラウンジ

サロンスペース

A A’

B

B’

B-B’ 矩計図 S=1:50

木製建具 研磨(既存)

木製建具 材成集松米:居鴨

木製建具

上吊り金具

木製建具 研磨(既存)

ガラス床:合わせ強化ガラスt8+t8米松90×45@80

上吊り棚: げ上仕ンョシーレブイバSUS

シャッター(既存)

屋根:ガルバリウム鋼板t0.35 縦ハゼ葺きアスファルトルーフィング940

)存既( 52t板トンメセ毛木×05× 001-C屋母 20×2.3 @450(既存)

小上り:足場板t15

54×54木垂

間仕切り壁:り塗薄ルタルモ脂樹

金ゴテ押さえ仕上げ

天井:PBt9 5. EP:壁外

下地処理の上ジョリパットゆず肌ラスモルタルt50(既存)

)存既( 001tルーウスラグ

大梁 350×200 EP

ケレンの上EP

天板: げ上仕ンョシーレブイバSUS

▽GL▽1FL

▽2FL

▽最高高さ

▽1F天井

高軒 ▽

CH=4400

200

225

3700

465

8990

12002700270027509350

2200

サロン コワーキングスペース

屋根:ガルバリウム鋼板t0.35 縦ハゼ葺きアスファルトルーフィング940

)存既( 52t板トンメセ毛木×05× 001-C屋母 20×2.3 @450(既存)

ガラス床:合わせ強化ガラスt8+t8米松90×45@80

内壁: 6t板合ンワラ OS

)存既 (6t り貼て捨板合ンワラ

ラーチ合板t24 CU

09×09: 引大束製鋼

)存既(トーリクンコ :床

: 床防塵クリア塗装モルタル洗い出し(既存)

木製建具

: 床房厨長尺シートパーティクルボードt25支持脚

:壁外 下地処理の上ジョリパットゆず肌ラスモルタルt50(既存)

)存既( 001tルーウスラグ

内壁: 6t板合ンワラ OS

)存既 (6t り貼て捨板合ンワラ

腰壁:樹脂モルタル薄塗り

げ上仕え押テゴ金キッチンパネルt3

: 棚り吊上 げ上仕ンョシーレブイバSUS

天井:PBt9 5. EP

小梁 300×100 EP

木製建具 研磨(既存)

▽GL▽1FL

▽2FL

▽最高高さ

▽1F天井

高軒 ▽

CH=4400

200

225

3700

465

8990

720036003600

厨房 テーブルスペース

ミーティングルーム

コワーキングスペース

A-A’ 矩計図 S=1:50

fig1: 入口から南をみる

fig2: コワーキングスペースから北をみる

南からミーティングルームをみる

fig3: サロン上部から南をみる

ベンチスペースから上を見上げる 吹抜けから 2F を覗く ラウンジから南をみる

リニアな配置既存建物は、南北に特徴的な大開口があった為、開口の南北の軸に沿って厨房・テーブル・ベンチをリニアに配置し、空間に奥行きを生み出し、各利用者の立ち振る舞いが健在する (fig1)。

コワーキングスペースクリエイターが利用する 2F のコワーキングスペースは、内壁沿いにデスクを設け、業務に集中できる配慮を施した。また、窓から通りが見えるラウンジは、息抜きがてら作業ができる奥行きの深いソファを配置し、空間による多様なワークスタイルの選択肢がある (fig2)。

建具の構成による透明性2Fのラウンジ・サロンは、可動式の上吊り建具で構成し、使い方によってテンポラルに可動し、FL+700 としたミーティングルームは、木製サッシで間仕切り、梁下にクリアランスを設け、各空間が上部で連続した透明性によって、フロアに奥行きが生まれる (fig3)。