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NEE研究会第17回講演討論会 1 2 2013年12月13日(金) ダイキン工業(株)環境技術研究所 ○塩地 純夫 個別分散空調方式のコミッショニング時代への対応

個別分散空調方式のコミッショニング時代への対応NEE研究会第17回講演討論会 1 2 2013年12月13日(金) ダイキン工業(株)環境技術研究所

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NEE研究会第17回講演討論会 1

2 2013年12月13日(金) ダイキン工業(株)環境技術研究所

○塩地 純夫

個別分散空調方式のコミッショニング時代への対応

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はじめに

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空調システムに関するコミショニング(Cx)は中央式システムを主体として推進されてきた。中央式システムは、中央監視装置で運転管理でき、運転情報をBEMSに蓄積したり、外部からセンサを取り付けることで処理熱量が計測できることから、Cxに向いたシステムだと認識されている。

一方、ビル用マルチに代表される個別分散空調システムは、ユーザが自由に設定温度を変更可能であり運用管理が適切にできない、室外機ごとの処理熱量の計量ができないと言った課題があることから、Cxに適さない機器と認識されていた。

Cx時代の到来によって個別分散空調システムが市場から排除されないように、Cxに必要となる技術を開発して、開発した技術の検証とPRを行い、個別分散空調システムがCxに適応可能な機器であることを認知して頂く必要がある。

■研究の背景と目的

NEE研究会第17回講演討論会

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H24年度 空気調和・調衛生工学会大会(札幌) 3

定義「建築全般で、企画・設計・施工・運用に至るライフサイクルにおいて、発注者の要求性能を実現するための品質管理プロセス」

Cxのメリット

要求性能の向上

発注者の要求性能(Owner's

Project Requirements:OPR)

をCAが実現する

プロセスマネジメントの向上

各プロセスでの後戻り行為の低減、

責務の明確化による無料奉仕

サービス行為の低減

不動産価値の向上

「良い建物を、より良く、

いつまでも」を実現する

(LEEDやCASBEE)

省エネ性の向上

運用段階でのLCEMを実

施することで、継続的に

省エネを実現する

品質管理の向上

施工段階でのコストと要

求性能が乖離しない工

事管理の実現

Cxのメリットは多く、必要性が高い。

■Cxの定義とCxの実施によるメリット

コミッショニングとは?

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コミッショニングの動向 (1)

■北米での動向(1)

NEE研究会第17回講演討論会

California Energy Commission Public Interest Energy Research (PIER) July 21, 2009より

・Lawrence Berkeley National LaboratoryがCommissioning Providerから実物件における コミッショニング(Cx)実施の情報を10年に渡って収集し、統計的分析を実施している

・現状確認できる実施状況 プロジェクト数・・・新築:77件、 既設:332件 建物数・・・643件 実施が確認できている州・・・26 総床面積・・・約92万m2 総投資額・・・約43万ドル

幅広い用途の建物で、

数多くのCxが既に実施されている。

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コミッショニングの動向 (2)

■北米での動向(2):コミッショニングの費用対便益試算①

NEE研究会第17回講演討論会

集計された事例について、コミッショニングの費用対便益の試算が実施された。

<試算時のポイント> ・省エネ効果を検証する場合エネルギー計算を用いるが、既設を対象とする場合、当該システムのエネルギー消費を推定するベースラインモデル(将来状況が変わった場合変動条件を入力してその状態における現システムの推定エネルギー消費量を算出できるものである)を作り評価を行う。

・作業の開始以後、Commissioning ProviderのCx作業のために要した時間を計上し、Cxフィーを計算し、費用に計上する。本調査ではCxフィーの全体に占める比は平均で約45%であった。

コミッショニングの費用と効果

一時的な影響

継続する影響

費用

便益

コミッショニングの費用と効果

一時的な影響

継続する影響

費用

便益

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コミッショニングの動向 (3)

■北米での動向(3):コミッショニングの費用対便益試算②

NEE研究会第17回講演討論会

En

erg

y-s

avin

g効

果と

コス

ト回

収期

間 既設 新築

回収期間=1月

回収期間=6ヶ月

回収期間=1年

回収期間=5年

回収期間=1年

回収期間=5年

回収期間=10年

試算結果の集計を平均値でまとめると以下の通り

既設 新築

Cxによる省エネ効果 16% 13%

コスト回収平均期間 1.1年 4.2年

便益-費用 比率 4.5 1.1

物件によってバラツキは在るが

特に既設の建物において

Cxの費用対便益は非常に高く、

ビジネスとして十分に成り立っている

CxのCost

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コミッショニングの動向 (4)

■日本での動向(1)

NEE研究会第17回講演討論会

【東京都環境条例】 東京都では、「環境確保条例」に基づき総量削減義務と排出量取引制度が導入され、それに基づ

いた排出量算定ガイドラインを作成している。ガイドラインでは、大規模事業所に対するエネルギー消費量・CO2排出量の管理項目の評価に当たっては、コミッショニング実施の有無が重視さ

れ、また検証技術者の登録に当たってコミッショニング業務経験が重視されている。

【建築設備のCx資格制度の推進】 北米建築市場では、過去デザイン・インストール・ビル管理がバラバラに実施されていた。オー

ナーは3つの分野で業者と個別に契約を結び、業者は担当分野を勝手に実施していた。建物全体の責任を一括して取れる人が望まれていたことからCxエージェントが生まれた。Cx Authority(性能検証責任者)やCx Technicain(技能者)などの有資格者が実施するビジネスとして成立している。

日本では、「建築設備コミッショニング協会」がCxPEやCxTEの資格制度を整備して、Cxの普及を推進している。

【改正省エネ法】 非住宅建築物は平成25年4月1日から、一次エネルギー消費量算出ツールを用いた届出が必要と

なる。

次の改定では、空調システムの実運用時の計測が義務化されることが視野に入っている。

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コミッショニングの動向 (5)

■日本での動向(2):空調衛生工学会での発表事例(H25) ⇒コミッショニングセッションで31件の発表があった。

NEE研究会第17回講演討論会

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コミッショニングの動向 (6)

■日本での動向(3):空調衛生工学会Cx委員会の取組み

NEE研究会第17回講演討論会

ツールの調査と開発 ツール(Cx)の普及

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コミッショニングの動向 (7)

■日本での動向(4):空調衛生工学会Cx委員会での必要ツールの定義

NEE研究会第17回講演討論会

(1)企画段階のCx 作業支援用ツール 用途毎の標準的な建物/空調システムの入力データのデフォルト値が予め用意されているツール。

ユーザーは延べ床面積や建物用途、標準外皮仕様等を指定すれば、多くの入力データが揃わない場合にも、建物外皮の熱特性やエネルギー消費量のシミュレーションが可能である。これは主に企画段階において、建物の消費エネルギーやLCC、LCA 等を評価する際に用いられるツールである。

(3)設計段階のCx 作業支援用ツール シミュレーションモデル構築用の入力データのデフォルト値を用意した上、対象空調システムのシ

ミュレーションモデルの詳細を入力することができるツール。ユーザーはこれを用いて機器容量の選定、各種の制御パラメータの最適化を行うことができる

(2)基本計画段階のCx 作業支援用ツール 作成された対象建物/空調システムモデルを用いて、建物外皮・開口部の変更やいくつかの空調・

熱源システムの代替案を簡単に作成することができるツール。これらの代替案のシミュレーション結果をケース毎にグラフ化することで、ユーザーはこれらのグラフを比較し、対象建物/空調・熱源システムのエネルギー性能を容易に分析できる。

(4)受け渡し・運用段階のCx 作業支援用ツール 機器単体または部分システムのシミュレーションモデルの構築、および既存建築物の実測データの

入力による機器単体または部分システムのシミュレーションが可能であり、更に、各種の機器の性能曲線を容易に変更設定できるツール。ユーザーは、これを用いて部分システムまたは機器単体の性能計算を行い、機器単体または部分システムの性能劣化を確認することができ、故障検知・診断のためのリアルタイムシミュレーションも行える。

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コミッショニングの動向 (8)

■日本での動向(5):中央式システムの管理方法

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セントラルシステムは、「熱源システム」「水搬送系システム」「換気システム」「空調システム」の4つのサブシステムで構成される。各サブシステムに関するエネルギーマネジメント方式が重要となる。具体的には、計測ポイント、評価対象とする項目(管理項目)、計測計画、評価方法が明確化されていることが重要である。

評価分類 評価項目 内容と説明

冷凍機COP冷凍機のエネルギー効率を示す評価指標。メーカのカタログ性能を判断基準として利用することが可能。

ボイラ効率ボイラのエネルギー効率を示す評価指標。メーカのカタログ性能を判断基準として利用することが可能。

冷却塔COP冷却塔を冷熱源と見立てた場合の評価指標。フリークーリングの性能だけでなく、低外気温時のファン制御の効果などを評価できる。

一次ポンプWTF 冷凍機一次ポンプの熱搬送エネルギー効率。

冷却水ポンプWTF

冷却水ポンプの熱搬送エネルギー効率。WTFに関しては、冷凍機と冷却塔の設置位置の高低差や外気湿球温度、冷却塔のファン制御や三方弁制御の結果などにより影響を受けるため、単純なベンチマーク比較によって適否の判定は行いにくいものの、WTF自体の経時的な変化、水温の出入り口温度差、ファンなどの制御設定値と水温との関係などを相互比較することで、過流量などによるポンプ動力増加を判断できる。

冷凍機能力冷凍機の供給可能能力。設計どおり能力が出ているかの確認や、冷凍機COP算出の際に必要となる。

ボイラ能力ボイラの供給可能能力。設計どおり能力が出ているかの確認や、ボイラCOP算出の際に必要となる。

空気過剰率不完全燃焼防止と燃焼空気の過剰供給による効率低下の双方を把握するため、ボイラへの空気の供給量を把握、評価する。

冷却塔冷却能力冷却塔での冷却水水冷却能力。ショートサーキットなどにより、冷却塔能力が低下していないかを確認する情報をして利用可能。

補給水量比 冷凍機能力あたりの補給水量を示す。ブロー量、飛散水量の適否を判定する。

エネルギー性能

エネルギー消費に関わる運転状況

の把握

(例)熱源システムでの評価項目

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個別分散空調に関するCx技術と必要なツール (1)

■個別分散空調の各ステージでの課題

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企画 設計 施工 運用 運用

性能確認~運転最適化 性能確認~運転最適化 設備改修提案 設計

改修(企画・設計・施工)

設計方法は確立されているか?

・機器容量の選定方法

・室内機台数と型式の選定方法

・系統分け、配管設計(断熱、引き回し)

室外機配置を適正に設計できるか?

・室外機シュートサーキット発生を避けているか?

室内環境の評価はできるか?

・外気処理、混合ロスは?

管理指標・目標値は設定できるか?

設計意図の確認は容易か?

試運転・調整時の性能検証はできるか?

・試験実施期間における性能検証はできるか?

・管理指標、目標値の再設定はできるか?

引渡し性能の予測はできるか?

・管理指標、目標値の前提となる運用管理方法を定義できるか?

運転初期時、定常運転時での性能検証はできるか?

・運転管理データは取得できるか?

・管理指標による分析、診断はできるか?

・不具合抽出と改善ができるか?

室内環境の性能検証はできるか?

・管理指標の定義

・個別分散専用のCx支援ツールの開発

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個別分散空調に関するCx技術と必要なツール (2)

■個別分散空調の管理指標と評価項目

NEE研究会第17回講演討論会

項目 概要・定義 管理内容・評価内容

1 リモコン運転モード(冷/暖) リモコンの冷房、暖房切替 冷房もしくは暖房運転が必要な時期か

2 リモコン運転時間(On/Off) リモコンのOn時間 長時間運転が行われていないか

3 リモコン設定温度 リモコンの設定温度 設定温度は適正範囲内か

4 室外機吸込温度 室外機の吸込温度(≒外気温度) 空調が必要な条件か

1 室内機吸込温度 室内機の吸込温度(≒室内温度) 室内環境を温度でチェック

2 冷房処理熱量 系統単位での処理熱量 処理熱量の把握

3 暖房処理熱量 系統単位での処理熱量 処理熱量の把握

4 冷房負荷率 室外機定格能力値に対する比率 運転状態のチェック

5 暖房負荷率 室外機定格能力値に対する比率 運転状態のチェック

6 室内機運転時間(サーモOn時間) 室内機のサーモOn時間 エアコン消し忘れがないかのチェック

7 室外機運転時間(サーモOn時間) 室外機のサーモOn時間 エアコン消し忘れがないかのチェック

8 室内機電力量 室内ファン消費電力量の推定値 消費電力量の把握

9 室外機積算電力量(運転時) 運転時の消費電力量 消費電力量の把握

10 室外機積算電力量(停止時) 停止時の消費電力量 消費電力量の把握

11 エネルギ利用効率(室外機)室外機効率(室外機運転時)

熱源COPの把握

12 エネルギ利用効率(システム)システム効率(停止時、室内機、外調機含む)

システムCOPの把握

13 蒸発温度/凝縮温度冷房時の蒸発温度暖房時の凝縮温度

目標値に対する運転値の変動把握

管理

指標

評価

指標

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個別分散空調に関するCx技術と必要なツール (3)

■課題解決に必要な技術(ツール)

NEE研究会第17回講演討論会

企画 設計 施工 運用 運用

性能確認~運転最適化 性能確認~運転最適化 設備改修提案 設計

改修(企画・設計・施工)

<ビル用マルチのエネルギーマネジメント>

遠隔監視によるエネルギーマネジメント

・マクロな運転状況分析/診断

(設定温度、運転時間 etc)

・エネルギー分析/診断(電力/能力):C-C法

・エネルギー消費量削減

(蒸発温度変更、デマンド制御 etc)

ローカル監視によるエネルギーマネジメント

・BEMSでの分析/診断

④エネルギーマネジメントツール ①エネルギーシミュレーション

<エネルギー消費量予測>

セントラルシステムとの比較

ビル用マルチシステムの設計

・ゾーニングの変更

・室内機/室外機の組合せ変更

・外気処理機との組合せ検討

・配管長の影響確認 etc

ビル用マルチシステムの選定

・潜顕分離空調システムの採用

・水冷や冷暖フリーの採用

・省エネ当番やエネカットの採用 etc

②気流シミュレーション

室内機のエンジニアリング

(快適性と省エネ両立)

室外機シュートサーキット対策

(エネルギーロスの最小化)

③試運転・調整サポートツール

<現地での性能確認> 試運転・調整段階の性能 確認 引渡し性能の確認 ・室外機がSCしていないか の確認 ・室内機吹出し温度の確認 ・供給能力(処理負荷)の 確認:C-C法

⑤更新・改修試算ツール

実運用データとエネルギーシミュレーション による更新・改修による省エネ効 果試算

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15 NEE研究会第17回講演討論会

■課題解決に必要な技術(ツール)

企画 設計 施工 運用 運用

性能確認~運転最適化 性能確認~運転最適化 設備改修提案 設計

改修(企画・設計・施工)

<ビル用マルチのエネルギーマネジメント>

遠隔監視によるエネルギーマネジメント

・マクロな運転状況分析/診断

(設定温度、運転時間 etc)

・エネルギー分析/診断(電力/能力):C-C法

・エネルギー消費量削減

(蒸発温度変更、デマンド制御 etc)

ローカル監視によるエネルギーマネジメント

・BEMSでの分析/診断

④エネルギーマネジメントツール ①エネルギーシミュレーション

<エネルギー消費量予測>

セントラルシステムとの比較

ビル用マルチシステムの設計

・ゾーニングの変更

・室内機/室外機の組合せ変更

・外気処理機との組合せ検討

・配管長の影響確認 etc

ビル用マルチシステムの選定

・潜顕分離空調システムの採用

・水冷や冷暖フリーの採用

・省エネ当番やエネカットの採用 etc

②気流シミュレーション

室内機のエンジニアリング

(快適性と省エネ両立)

室外機シュートサーキット対策

(エネルギーロスの最小化)

③試運転・調整サポートツール

<現地での性能確認> 試運転・調整段階の性能 確認 引渡し性能の確認 ・室外機がSCしていないか の確認 ・室内機吹出し温度の確認 ・供給能力(処理負荷)の 確認:C-C法

⑤更新・改修試算ツール

実運用データとエネルギーシミュレーション による更新・改修による省エネ効 果試算

エネルギーシミュレーションに関する取組み

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エネルギーシミュレーションに関する取組み (1)

■各国の標準ツールでは中央式システムから開発されてきた。

NEE研究会第17回講演討論会

>DOE2,EnergyPlus

>EnergyPro, eQuest

など >DeST、DOE2

EnergyPlusなど >BEST、LCEM

など

EU

>Esp-r,VE (UK)

>Calener(Spain)

など

オーストラリア

>BEAVER

各国の標準ツールへ個別分散空調システムの計算機能を追加する必要があった。

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エネルギーシミュレーションに関する取組み (2)

■北米ツールの現状

NEE研究会第17回講演討論会

<VRF計算機能の組込み>

EnergyPro(CA州Title24の認定ソフト): 08年8月にVRF機能追加完了してリリース⇒CECの認定待ち(検証方法の課題)。 eQUEST(北米で最もユーザー数の多い無償ソフト):

08年1月から開発開始。⇒2013/09にVRF計算機能をリリース完了。 EnergyPlus(DOEの標準ソフト): 08年5月にVRV計算の提案書が認証された。2011年のver7から正式にリリース。

ビル用マルチが省エネ機器であることが認知され始めた

エネルギーシミュレーションによって省エネ性を確認したい。

州政府/連邦政府の建物の省エネコードに適用する必要がある

– 例えばTitle-24 (California)performance approach

州政府/連邦政府の優遇税制や税金割戻しプログラムに適用する

電力会社会社の優遇施策や割戻しプログラム

LEEDの認証取得 – Optimized Energy Performance

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エネルギーシミュレーションに関する取組み (3)

■日本での取組み

NEE研究会第17回講演討論会

BEST、LCEM開発委員会に参画させて頂き、個別分散計算機能の開発に協力できた。

LCEMに関しては、以下の新規オブジェクト開発に協力できた。

(目的)個別分散システムに関しても、いろいろな空調方式の検討を可能とする。

室 内

排気 外気 OA EA

RA SA

混合

室内機 室 内

室内機

調湿外気処理機

潜熱・顕熱分離空調モデル

水噴霧装置付き室外機モデル

水熱源ヒートポンプマルチモデル

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エネルギーシミュレーションに関する取組み (4)

■エネルギーシミュレーションの活用事例(中央式との比較)

NEE研究会第17回講演討論会

建物名称:張江機電港4期東块工程規模:10万㎡

用途:ホテル 2棟 オフィス 1棟(1.7万㎡)

対象建屋(9階建て)

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エネルギーシミュレーションに関する取組み (5)

■エネルギーシミュレーションの活用事例(中央式との比較)

NEE研究会第17回講演討論会

厚さ[mm] 厚さ[m]熱伝導率[W/(m K)]

密度

[kg/m3]

比熱[J/(kg K)]

空調便覧における代用物質

土占め固め 600 0.6 1.16 1500 2300 土壌(ローム質)細石コンクリート 100 0.1 1.51 2200 880 普通コンクリートセメント・モルタル 20 0.02 0.93 2000 800 モルタル細石コンクリート 50 0.05 1.51 2200 880 普通コンクリート鉄筋コンクリート 500 0.5 1.74 2200 880 普通コンクリートセメント・モルタル 20 0.02 0.93 2000 800 モルタル小型コンクリート空心ブロック 200 0.2 0.711 1600 1000 軽量コンクリートセメント・モルタル 10 0.01 0.93 2000 800 モルタル膨張ポリ板 35 0.035 0.042 50 1300 ポリエチレン発泡板無機断熱モルタル 20 0.02 0.065 2000 800 モルタル鉄筋コンクリート 120 0.12 1.74 2200 880 普通コンクリートセメント・モルタル 20 0.02 0.93 2000 800 モルタル鉄筋コンクリート 120 0.12 1.74 2200 880 普通コンクリートセメント 30 0.03 0.36 1000 920 アスファルト類セメント・モルタル 20 0.02 0.93 2000 800 モルタル押し出し樹脂ベン板 40 0.04 0.03 28 1300 スチレン発砲板(押出し)セメント・モルタル 20 0.02 0.93 2000 800 モルタル細石コンクリート(鉄筋付) 40 0.04 1.74 2200 880 普通コンクリートセメント・モルタル 20 0.02 0.93 2000 800 モルタルセメント・モルタル 20 0.02 0.93 2000 800 モルタル鉄筋コンクリート 120 0.12 1.74 2200 880 普通コンクリートセメント・モルタル 20 0.02 0.93 2000 800 モルタル※上が外側とする(床のみ逆)※窓ガラス:透明6mm+空気層12mm+透明6mm&ブラインド中性色

屋根

内壁

土間床

外壁

天井(床)

躯体構造の物性情報

建物構造の3Dイメージ

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エネルギーシミュレーションに関する取組み (6)

■エネルギーシミュレーションの活用事例(中央式との比較)

NEE研究会第17回講演討論会

空調運転時間帯、設定室温、内部発熱量、内部発熱スケジュール等の条件は、ASHRAE Standard

90.1、ASHRAE Standard 62.1、DOE Benchmark Reportを基に設定した。冷房期間4は~11月、暖房期間は12~3月としている。室内設定温度として、冷房時26℃DB、 暖房時22℃DB (湿度はなりゆき)を設定した。

時間

平日 土曜 休日 平日 土曜 休日 平日 土曜 休日1(12~1am) 0 0 0 0.05 0.05 0.05 0 0 0

2(1~2am) 0 0 0 0.05 0.05 0.05 0 0 03(2~3am) 0 0 0 0.05 0.05 0.05 0 0 0

4(3~4am) 0 0 0 0.05 0.05 0.05 0 0 0

5(4~5am) 0 0 0 0.05 0.05 0.05 0 0 0

6(5~6am) 0 0 0 0.1 0.05 0.05 0 0 0

7(6~7am) 0.1 0.1 0.05 0.1 0.1 0.05 1 1 0

8(7~8am) 0.2 0.1 0.05 0.3 0.1 0.05 1 1 0

9(8~9am) 0.95 0.3 0.05 0.9 0.3 0.05 1 1 010(9~10am) 0.95 0.3 0.05 0.9 0.3 0.05 1 1 011(10~11am) 0.95 0.3 0.05 0.9 0.3 0.05 1 1 012(11~12am) 0.95 0.3 0.05 0.9 0.3 0.05 1 1 013(12~1pm) 0.5 0.1 0.05 0.8 0.15 0.05 1 1 014(1~2pm) 0.95 0.1 0.05 0.9 0.15 0.05 1 1 015(2~3pm) 0.95 0.1 0.05 0.9 0.15 0.05 1 1 016(3~4pm) 0.95 0.1 0.05 0.9 0.15 0.05 1 1 017(4~5pm) 0.95 0.1 0.05 0.9 0.15 0.05 1 1 018(5~6pm) 0.3 0.05 0.05 0.5 0.05 0.05 1 1 019(6~7pm) 0.1 0.05 0 0.3 0.05 0.05 1 0 020(7~8pm) 0.1 0 0 0.3 0.05 0.05 1 0 021(8~9pm) 0.1 0 0 0.2 0.05 0.05 1 0 022(9~10pm) 0.1 0 0 0.2 0.05 0.05 1 0 023(10~11pm) 0.05 0 0 0.1 0.05 0.05 0 0 024(11~12pm) 0.05 0 0 0.05 0.05 0.05 0 0 0

照明点灯&機器使用 空調運転在室人員

単位 値 ソース

W/ft2 1

W/m2 10.76人/1000ft 5

人/m2

0.0538L/(s 人) 2.5

m3/(s m2) 0.0001345

L/(s m2) 0.3

m3/(s m2) 0.0003

導入外気量 (1)+(2) m3/(s m2) 0.0004345

m3/(s m

2) 0.0002

W/m2 8.07

項目照明発熱

機器発熱量

ASHRAE Standard 90.1

人員密度

(1):人員数依存導入外気量

隙間風量 DOE Benchmark Report

導入外気量

ASHRAE Standard 62.1

(2):面積依存

内部発熱及び空調運転時間のスケジュール内部発熱、導入外気、隙間風量の設計値

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22

エネルギーシミュレーションに関する取組み (7)

■エネルギーシミュレーションの活用事例(中央式との比較)

NEE研究会第17回講演討論会

熱源 ファン ポンプ 合計冷房期 4689 7387 989 0 8376 0.56暖房期 744 1844 227 0 2072 0.36

年間合計 5434 9231 1216 0 10447 0.52冷房期 4819 6745 4233 2600 13577 0.35暖房期 331 400 1254 35 1689 0.20

年間合計 5149 7145 5487 2635 15266 0.34

セントラル

一次エネルギー消費量[GJ]熱源負荷[GJ] 一次COP[-]

VRV

※ 熱源: VRV→室外機  セントラル→チラーorボイラ  ファン: VRV→室内機+外気導入  セントラル→空調機+冷却塔  ポンプ: VRV→なし  セントラル→一次+二次ポンプ

年間エネルギーシミュレーションによる熱源負荷、一次エネルギー消費量及び一次COPの計算結果

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

14000

16000

18000

冷房期 暖房期 年間合計 冷房期 暖房期 年間合計

VRV セントラル

一次

エネ

ルギ

ー消

費量

[GJ]

熱源 ファン ポンプ

年間エネルギーシミュレーションによる一次エネルギー消費量計算結果

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23 NEE研究会第17回講演討論会

■課題解決に必要な技術(ツール)

企画 設計 施工 運用 運用

性能確認~運転最適化 性能確認~運転最適化 設備改修提案 設計

改修(企画・設計・施工)

<ビル用マルチのエネルギーマネジメント>

遠隔監視によるエネルギーマネジメント

・マクロな運転状況分析/診断

(設定温度、運転時間 etc)

・エネルギー分析/診断(電力/能力):C-C法

・エネルギー消費量削減

(蒸発温度変更、デマンド制御 etc)

ローカル監視によるエネルギーマネジメント

・BEMSでの分析/診断

④エネルギーマネジメントツール ①エネルギーシミュレーション

<エネルギー消費量予測>

セントラルシステムとの比較

ビル用マルチシステムの設計

・ゾーニングの変更

・室内機/室外機の組合せ変更

・外気処理機との組合せ検討

・配管長の影響確認 etc

ビル用マルチシステムの選定

・潜顕分離空調システムの採用

・水冷や冷暖フリーの採用

・省エネ当番やエネカットの採用 etc

②気流シミュレーション

室内機のエンジニアリング

(快適性と省エネ両立)

室外機シュートサーキット対策

(エネルギーロスの最小化)

③試運転・調整サポートツール

<現地での性能確認> 試運転・調整段階の性能 確認 引渡し性能の確認 ・室外機がSCしていないか の確認 ・室内機吹出し温度の確認 ・供給能力(処理負荷)の 確認:C-C法

⑤更新・改修試算ツール

実運用データとエネルギーシミュレーション による更新・改修による省エネ効 果試算

気流シミュレーションに関する取組み

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24

気流シミュレーションに関する取組み (1)

■エンジニアリングに活用可能なツールの整備(汎用ソフトのカスタマイズ)

NEE研究会第17回講演討論会

<改善例> 従業員の体感温度を改善するレイアウトに変更することで、電力消費量を最大7%低減。

室内温熱環境シミュレーションツール

従来配置 新配置

室外機ショートサーキット予測シミュレーションツール

<改善例> 室外機室を適正に分散することで、電力消費量を最大9%低減相当に改善。

初期案 改善案

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25

気流シミュレーションに関する取組み (2)

■エンジニアリングに活用可能なツールの整備⇒特殊な機能の追加

NEE研究会第17回講演討論会

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26

気流シミュレーションに関する取組み (3)

■エンジニアリングに活用可能なツールの整備の今後

⇒ツールをばらまくコストが課題 ⇒フリーCFDソフトの活用

NEE研究会第17回講演討論会

【オープンソースのソフトウェアの選定】

1.CAEデータ作成 (CADモデラー):FreeCAD

2.メッシュ作成 (メッシャー):SnappyHexMesh

3.CFD解析 (CFDソルバ):OpenFORM

4.結果可視化 (可視化ソフトウェア):Paraview

NIIGATA UNIVERSITY

OpenFOAM

blockMesh OpenFOAM

ParaView

snappyHexMesh Ensight

FieldView

Gmsh

Netgen

CAD

VisIt

Gambit

Salome

I/O

Mesh

OpenFOAM

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27 NEE研究会第17回講演討論会

■課題解決に必要な技術(ツール)

企画 設計 施工 運用 運用

性能確認~運転最適化 性能確認~運転最適化 設備改修提案 設計

改修(企画・設計・施工)

<ビル用マルチのエネルギーマネジメント>

遠隔監視によるエネルギーマネジメント

・マクロな運転状況分析/診断

(設定温度、運転時間 etc)

・エネルギー分析/診断(電力/能力):C-C法

・エネルギー消費量削減

(蒸発温度変更、デマンド制御 etc)

ローカル監視によるエネルギーマネジメント

・BEMSでの分析/診断

④エネルギーマネジメントツール ①エネルギーシミュレーション

<エネルギー消費量予測>

セントラルシステムとの比較

ビル用マルチシステムの設計

・ゾーニングの変更

・室内機/室外機の組合せ変更

・外気処理機との組合せ検討

・配管長の影響確認 etc

ビル用マルチシステムの選定

・潜顕分離空調システムの採用

・水冷や冷暖フリーの採用

・省エネ当番やエネカットの採用 etc

②気流シミュレーション

室内機のエンジニアリング

(快適性と省エネ両立)

室外機シュートサーキット対策

(エネルギーロスの最小化)

③試運転・調整サポートツール

<現地での性能確認> 試運転・調整段階の性能 確認 引渡し性能の確認 ・室外機がSCしていないか の確認 ・室内機吹出し温度の確認 ・供給能力(処理負荷)の 確認:C-C法

⑤更新・改修試算ツール

実運用データとエネルギーシミュレーション による更新・改修による省エネ効 果試算

エネルギーマネジメントに関する取組み

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28

エネルギーマネジメントに関する取組み (1)

■エネルギーマネジメントとは?

NEE研究会第17回講演討論会

運転課題の分析

省エネ

チューニング

課題解決

サイクル

運転状況

の把握

①運転状況の見える化 ※系統単位~室内機単位での運手状態把握

1)空調能力の計測(CC法)

2)消費電力の計測

3)運転時間や設定温度など運用情報取得

②ロス分析(空調能力/電力消費量) ※建築物や機器情報を考慮した分析

1)不適切な運用の分析

2)制御によるエネルギーロスの分析

3)経年劣化によるロスの分析

4)設備設計によるロスの分析

③省エネチューニング ※効果予測にエネルギーシミュレーションを使用

1)運用改善

2)省エネ制御の採用

3)最新機器への更新

(適正容量/適正系統)

空調機の省エネのための課題解決

サイクルを回し環境負荷低減を図る

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29

エネルギーマネジメントに関する取組み (2)

■ビル用マルチに関するエネルギーマネジメントニーズの例

NEE研究会第17回講演討論会

実運転状態での性能評価が困難であり、カタログで定める性能が出 ているのかどうか不明な点が多い。また、一般的な事務室の冷房負 荷は100W/㎡程度といわれているのに 対して、ビル用マルチエアコン の室外機容量として150~200W/㎡以上が選定される場合も多く、定 格能力をほとんど出力することのない機器がしばしば存在している。 過大な能力を有する機器が選定される傾向に対して、運転実態を明 らかにし、適正なシステム設計に反映する取り組みが必要。 具体的な性能検証作業において、セントラル方式に比べ、検査や試 験対象となる機器類の台数が非常に多い。 機器が天井内やバルコニーなど、一般的な空調機械室に比べ、アク セスしにくい場所に設置されるため、本体の試験や検査に手間がかか る。

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30

エネルギーマネジメントに関する取組み (3)

■ビル用マルチの内蔵センサーを用いた能力算出(1)

NEE研究会第17回講演討論会

Tl

Ta

Tdi Tds

Tb

Tsh

SINPL

SINPH

EV1 EV2

INV STD

FAN

室外機のセンサー

室内機のセンサー

Tia

Tig

Til EVi

< Control Sensor>

SINPH :High pressure sensor

SINPL :Low pressure sensor

Ta :Outdoor air temperature

Ts :Suction pipe temperature

Tdi :INV discharge pipe temperature

Tds :STD discharge pipe temperature

Tb :Heat Exchanger deicer temperature

Tsh :Subcooling heat exchanger temperature

Tl :liquid pipe temperature

< Control Sensor>

Tia :Suction air temperature

Til :Liquid line temperature

Tig :Gas line temperature

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31

エネルギーマネジメントに関する取組み (4)

■ビル用マルチの内蔵センサーを用いた能力算出(2)

NEE研究会第17回講演討論会

WiGiQc

),,,( HzTsTcTefG

‥(式2)

‥(式1)

冷媒循環量

室内エンタルピ差

暖房能力

冷房能力

:

:

:

:

G

i

Qh

Qc

WiGiQh ‥(式3)

圧縮機周波数

凝縮温度

蒸発温度

室内ファン消費電力

:

:

:

:

Hz

Tc

Te

Wi

Td

Ts Til

G:冷媒循環量

P(Te) Tig

Tl

Δ i:室内機エンタルピ差(冷房)

圧縮機 周波数

P(Tc)

圧力

エンタルピ

Δ i:室内機エンタルピ差(暖房)

Tig Til

ビル用マルチの冷凍サイクル

CC法は、冷媒循環量と室内機出入口のエンタルピ差から能力を推定する手法 (CC法:Compressor Curve 法) 冷媒循環量は蒸発温度、凝縮温度を用いて、圧縮機特性式より算出(式1)

能力は冷媒循環量、室内機エンタルピ差、室内機ファン動力より算出(式2、3)

冷凍サイクルは制御用に搭載されている圧力、温度センサーより特定

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32

エネルギーマネジメントに関する取組み (5)

■AE試験室データとC-C法算出結果との精度検証

NEE研究会第17回講演討論会

【試験装置】

JISB8615に準拠した環境試験室(室外機・室内機に任意の負荷を設定できるAE試験室:某電力会社の環境試験室)

【計測対象ビル用マルチ】

天井埋め込みカセット 2.5HP 室内機を4台

標準形10HP室外機を1台

配管長さは10mで高低差はない

【試験条件】

定常試験

負荷試験

DB WB DB WB

100%

50%

100%

50%7℃ 6℃ 20℃ 15℃

CapacityOutdoor air Indoor air

Cooling 35℃ 24℃ 27℃ 19℃

Heating

DB WB

35℃ 24℃

27℃ 18℃

35℃ 24℃

22℃ 14℃

Cooling

50%

26℃

25%

LoadOutdoor air

Set point

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エネルギーマネジメントに関する取組み (6)

■定常試験での比較結果

NEE研究会第17回講演討論会

100% 50% 100% 50%

Start 2:00 2:00 1:30 2:00

End 7:00 7:00 2:30 7:00

Capacity AE method 96.70% 49.00% 95.00% 49.40%

(%) CC method 98.40% 50.50% 96.70% 51.30%

(Ratio) 101.80% 103.00% 101.80% 103.80%

Power Power meter 103.70% 35.60% 95.90% 39.30%

(%) Inner sensor 103.50% 35.40% 96.30% 39.10%

(Ratio) 99.80% 99.30% 100.40% 99.60%

Integral

range

Cooling Heating

Capacity

0%

25%

50%

75%

100%

125%

150%

0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00

measurement time[h]

To

tal

Cap

acit

y[%

]

0%

50%

100%

150%

200%

Po

wer

Inp

ut[

%]

TC(CC method) TC(AE method)

PI(inner sensor) PI(power meter)

定常試験において,CC 法による

計測は,環境試験室の計測結果に対して,非常に良い精度で計測できている事が確認できた。電力消費量の算出値も高い精度であることを確認した。

CC法は,起動後すぐに定常状態になるが,AE法では定常状態になるまで1

時間程度かかる。これは環境試験室の計測用チャンバーボックスの熱容量などの影響による。

目標能力100%での冷房定格

試験の結果例

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エネルギーマネジメントに関する取組み (7)

■負荷試験での比較結果

NEE研究会第17回講演討論会

0%

20%

40%

60%

80%

100%

0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00

measurement time[h]

To

tal

Cap

acit

y[%

]

0%

50%

100%

150%

200%

Po

wer

In

pu

t[%

]

TC(CC method) TC(AE method)

PI(inner sensor) PI(power meter) 35C 27C 35C 22C

Start 0:00 0:00 0:00 0:00

End 7:00 7:00 6:00 8:00

Heat

quantity AE method 336 342.5 128.9 185.1

(MJ) CC method 343 338.1 128.1 178.6

(Ratio) 102.10% 98.70% 99.40% 96.50%

Powerconsumption Power meter 27.99 21.47 11.71 9.55

(kWh) Inner sensor 28.09 21.55 11.96 9.6

(Ratio) 100.40% 100.30% 102.20% 100.60%

Load 50% 25%

Outdoor air

Integral

range

負荷試験においても,CC 法による計

測法は,非常に良い精度で計測できている事が確認できた。また、電力消費量に関しても高い精度で計算できることを確認した。

C-C法では、圧縮機の周波数変動に対して能力の変化が見られるが、AE

試験では室内側への熱の遅れがあるため変動は小さい。

負荷率50%、外気温度27℃DBでの試験結果例

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35

エネルギーマネジメントに関する取組み (8)

■ビル用マルチの内蔵センサーを用いた能力算出

NEE研究会第17回講演討論会

CC法での性能把握 セントラル空調での性能把握

比較システムの概要

計測システムの

概要

測定用の追加

センサー・機器

無し

(遠隔監視と現地計測)

温度センサー、流量計、

データーロガー,電力量計,etc

測定可能範囲 システム性能

室内機単位の性能 熱源単体性能が基本

対象機器 ビル用マルチシステム メーカー・年代は問わない

測定精度 10%以下 10%以下

温度

センサー

温度

センサー 流量計

データ ロガー

・・・・・・ 遠隔

センター

℡回線 電力量

セントラルシステムと同等の計測が安価に可能

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エネルギーマネジメントに関する取組み (9)

■活用事例(通常の分析)

NEE研究会第17回講演討論会

1)建物全系統の月別処理熱量

建物負荷の出現状況を把握する。

2)系統ごとのエネルギー消費量と処理熱量

どの系統の稼働率が高いか?

3)ピークが出現した週の処理熱量トレンド

定格能力に対する機器容量の余裕度は?

4)系統ごとの設定温度

設定温度は適正?頻繁に変更されていない?

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エネルギーマネジメントに関する取組み (10)

■活用事例(少し詳細な分析)

NEE研究会第17回講演討論会

1)外気温度に対する消費電力

冷房と暖房の使われ方を把握する。

2)部分負荷率と運転時間

冷房/暖房の負荷率はどの程度発生しているか?

3)外気温度に対するCOP(効率)

機器の効率は?

4)部分負荷率とCOP(効率)

機器の効率は?

⑪ 比COP-負荷率(冷房)

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

0% 10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

部分負荷率(%)

室外

機比

CO

P(-

)

断続運転 連続運転

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まとめ

NEE研究会第17回講演討論会

個別分散空調システムに関するコミッショニングツールとして、エネルギーシミュレーション、気流シミュレーションなどを開発している。

エネルギーシミュレーションはセントラルシステムで先行しておりビル 用マルチの計算機能を追加するために、国ごとの標準ツールに計算 機能を組み込む活動を継続する必要がある。今後は空冷ビル用マルチ以外の機器への対応や、北米以外の地域(EUやアジア・オセアニア etc)への対応が必要。

エネルギーマネジメントでは、CC法により処理熱量が算出できることを広く認知して頂く必要がある。また、建物のどのエリアで室内環境が悪化していたり、エネルギーロスが発生しているかを詳細に把握する手法を確立する必要がある。

気流シミュレーションについては、オープンソースの活用が課題。

個別分散空調システムの設備設計法の明確化、試運転調整(機能性能試験)手法の明確化も大きな課題と考えている。

Cxビジネスを確立することが一番の課題。

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ご清聴ありがとうございました。

NEE研究会第17回講演討論会