298
第1章 -1「第1章 総則」においての記載内容 現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案 第1章 総 1.1 目的及び適用範囲 ··············································· 3 1.2 用語の定義 ····················································· 3 1.3 貯槽の設計の考え方 ············································· 9 1.3.1 一 般 ··················································· 9 1.3.2 貯槽の要求性能 ············································· 9 1.3.3 貯槽を構成する各部位の目標性能 ····························· 10 1.4 単位系 ························································· 15 第1章 総 1.1 目的及び適用範囲 ················································ 3 1.2 用語の定義 ······················································ 3 1.3 貯槽の設計の考え方 ·············································· 9 1.3.1 一 般 ···················································· 9 1.3.2 貯槽の要求性能 ·············································· 9 1.3.3 貯槽を構成する各部位の目標性能 ······························ 10 1.4 単位系 ·························································· 15 パブコメ用ドラフト - 1 -

新旧対照表(LNG地上式貯槽指針)2019/04/22  · 第1章 総則 第1章 -3- 現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案 以下に示す部分により構成されるものをいう。

  • Upload
    others

  • View
    3

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

第1章 -1-

「第1章 総則」においての記載内容

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

第1章 総 則

1.1 目的及び適用範囲 ··············································· 3

1.2 用語の定義 ····················································· 3

1.3 貯槽の設計の考え方 ············································· 9

1.3.1 一 般 ··················································· 9

1.3.2 貯槽の要求性能 ············································· 9

1.3.3 貯槽を構成する各部位の目標性能 ····························· 10

1.4 単位系 ························································· 15

第1章 総 則

1.1 目的及び適用範囲 ················································ 3

1.2 用語の定義 ······················································ 3

1.3 貯槽の設計の考え方 ·············································· 9

1.3.1 一 般 ···················································· 9

1.3.2 貯槽の要求性能 ·············································· 9

1.3.3 貯槽を構成する各部位の目標性能 ······························ 10

1.4 単位系 ·························································· 15

パブコメ用ドラフト

- 1 -

第1章 総則

第1章 -2-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

1.1 目的及び適用範囲

(1) 目的

本指針は、LNG地上式貯槽の計画、設計、建設及び維持管理に係わる事項を定める

ことにより、LNG地上式貯槽の保安の確保を図ることを目的とする。

(2) 適用範囲

(a) 本指針は、1.2に定義するLNG地上式貯槽の計画、設計、建設及び維持管理につ

いて適用する。

(b) 本指針は、原則としてガス事業の用に供する新設のLNG地上式貯槽について適用

する。

ただし、第11章「維持管理」については、既設のLNG地上式貯槽にも準用する。

1.2 用語の定義

本指針で使用する主な用語は次による。

(1) LNG*(1)

メタンを主成分とする液化天然ガスをいう。

(2) LNG地上式貯槽

低圧、低温のLNG貯槽のうち、地上に設置する金属二重殻LNG地上式貯槽 *(2)及

びプレストレストコンクリート(以下、PCという。)LNG地上式貯槽*(3)をいう*(4)。

(3) 金属二重殻LNG地上式貯槽

金属製二重殻平底球面屋根付円筒竪形貯槽であって、内槽、外槽、保冷、基礎、防液

堤及び付属設備により構成されるものをいう。以下、「金属二重殻LNG貯槽」という。

(a) 内槽

以下に示す部分により構成されるものをいう。

(ⅰ)内槽側板

(ⅱ)内槽屋根(内槽屋根板、内槽屋根骨、ナックルプレート)

(ⅲ)内槽底板

(ⅳ)内槽アニュラプレート

(ⅴ)内槽付属品(内槽アンカー、内槽ノズル、内槽マンホール、その他)

(b) 外槽

以下に示す部分により構成されるものをいう。

(ⅰ)外槽側板

(ⅱ)外槽屋根(外槽屋根板、外槽屋根骨)

(ⅲ)外槽底板

(ⅳ)外槽付属品(外槽アンカー、外槽ノズル、外槽マンホール、その他)

(c) 保冷

1.1 目的及び適用範囲

(1) 目的

本指針は、LNG地上式貯槽の計画、設計、建設及び維持管理に係わる事項を定める

ことにより、LNG地上式貯槽の保安の確保を図ることを目的とする。

(2) 適用範囲

(a) 本指針は、1.2に定義するLNG地上式貯槽の計画、設計、建設及び維持管理につ

いて適用する。

(b) 本指針は、原則としてガス事業の用に供する新設のLNG地上式貯槽について適

用する。

ただし、第11章「維持管理」については、既設のLNG地上式貯槽にも準用する。

1.2 用語の定義

本指針で使用する主な用語は次による。

(1) LNG*1

メタンを主成分とする液化天然ガスをいう。

(2) LNG地上式貯槽

低圧、低温のLNG貯槽のうち、地上に設置する金属二重殻LNG地上式貯槽*2及び

プレストレストコンクリート(以下、PCという。)LNG地上式貯槽*3をいう*4。

(3) 金属二重殻LNG地上式貯槽

金属製二重殻平底球面屋根付円筒竪形貯槽であって、内槽、外槽、保冷、基礎、防液

堤及び付属設備により構成されるものをいう。以下、「金属二重殻LNG貯槽」という。

(a) 内槽

以下に示す部分により構成されるものをいう。

(ⅰ) 内槽側板

(ⅱ) 内槽屋根(内槽屋根板、内槽屋根骨、ナックルプレート)

(ⅲ) 内槽底板

(ⅳ) 内槽アニュラプレート

(ⅴ) 内槽付属品(内槽アンカー、内槽ノズル、内槽マンホール、その他)

(b) 外槽

以下に示す部分により構成されるものをいう。

(ⅰ) 外槽側板

(ⅱ) 外槽屋根(外槽屋根板、外槽屋根骨)

(ⅲ) 外槽底板

(ⅳ) 外槽付属品(外槽アンカー、外槽ノズル、外槽マンホール、その他)

(c) 保冷

パブコメ用ドラフト

- 2 -

第1章 総則

第1章 -3-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

以下に示す部分により構成されるものをいう。

(ⅰ)側部保冷

(ⅱ)屋根部保冷

(ⅲ)底部保冷

(d) 基礎

地盤、杭、基礎版等により構成されるものをいう。

(e) 防液堤*(5)

外槽の周囲に設けられる、鉄筋コンクリート製、PC製、盛土式等による防液堤を

いう。

(f) 付属設備*(6)*(7)

配管架構*(8)、ブリージングタンク、保安設備等をいう。

(4) PCLNG地上式貯槽

PC防液堤・外槽一体型平底球面屋根付円筒竪形貯槽であって、内槽、外槽、保冷、

基礎、PC防液堤及び付属設備により構成されるものをいう。以下、「PCLNG貯槽」

という。

(a) 内槽

1.2(3)(a)による。

(b) 外槽

以下に示す部分により構成されるものをいう。

(ⅰ)外槽側部ライナ*(9)

(ⅱ)外槽屋根

金属製外槽屋根(外槽屋根板、外槽屋根骨)またはライナ付コンクリート製外槽

屋根(外槽屋根部ライナ*(9)、鉄筋コンクリート球面屋根)

(ⅲ)外槽底部ライナ*(9)

(ⅳ)外槽付属品(外槽ノズル、外槽マンホール、その他)

(c) 保冷

1.2(3)(c)による。

(d) 基礎*(5)

1.2(3)(d)による。

(e) PC防液堤*(5)

内槽及び外槽と同一基礎版上に設置されるPC製の防液堤をいう。

(f) 付属設備*(6)

ポンプバレル架構、配管架構*(8)、ブリージングタンク、保安設備等をいう。

(5) レベル1地震動

貯槽の供用期間中に発生する確率の高い地震動をいう。

(6) レベル2地震動

貯槽の供用期間中に発生する確率の低い高レベルの地震動をいう。

以下に示す部分により構成されるものをいう。

(ⅰ) 側部保冷

(ⅱ) 屋根部保冷

(ⅲ) 底部保冷

(d) 基礎

地盤、杭、基礎版等により構成されるものをいう。

(e) 防液堤*5

外槽の周囲に設けられる、鉄筋コンクリート製、PC製、盛土式等による防液堤を

いう。

(f) 付属設備*6*7

配管架構*8、ブリージングタンク、保安設備等をいう。

(4) PCLNG地上式貯槽

PC防液堤・外槽一体型平底球面屋根付円筒竪形貯槽であって、内槽、外槽、保冷、

基礎、PC防液堤及び付属設備により構成されるものをいう。以下、「PCLNG貯槽」

という。

(a) 内槽

1.2(3) 「金属二重殻LNG地上式貯槽」(a) 「内槽」による。

(b) 外槽

以下に示す部分により構成されるものをいう。

(ⅰ) 外槽側部ライナ*9

(ⅱ) 外槽屋根

金属製外槽屋根(外槽屋根板、外槽屋根骨)またはライナ付コンクリート製外槽

屋根(外槽屋根部ライナ*9、鉄筋コンクリート球面屋根)

(ⅲ) 外槽底部ライナ*9

(ⅳ) 外槽付属品(外槽ノズル、外槽マンホール、その他)

(c) 保冷

1.2(3)「金属二重殻LNG地上式貯槽」(c)「保冷」による。

(d) 基礎*5

1.2(3)「金属二重殻LNG地上式貯槽」(d)「基礎」による。

(e) PC防液堤*5

内槽及び外槽と同一基礎版上に設置されるPC製の防液堤をいう。

(f) 付属設備*6

ポンプバレル架構、配管架構*8、ブリージングタンク、保安設備等をいう。

(5) レベル1地震動

貯槽の供用期間中に発生する確率の高い地震動をいう。

(6) レベル2地震動

貯槽の供用期間中に発生する確率の低い高レベルの地震動をいう。

パブコメ用ドラフト

- 3 -

第1章 総則

第1章 -4-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(7) 設計地震動

貯槽に対する地震の影響を評価するための設計用の地震動をいう。

(8) 加速度型設計地震動

貯槽の震度又は加速度に対する耐震性を評価するための設計地震動をいう。

(9) 変位型設計地震動

貯槽のスロッシング(液面揺動)に対する耐震性を評価するための設計地震動をいう。

(10) 要求性能

LNG地上式貯槽の用途、設置される周辺環境及び運転条件から、貯槽全体に対して

使用者が求める性能をいう。

(11) 目標性能

LNG地上式貯槽の要求性能を満足するために、貯槽を構成する内槽、外槽、保冷、

基礎、防液堤が保持しなければならない性能をいう。

(a) 常時性能

常時*(10)における目標性能をいう。

(b) レベル1耐震性能

レベル1地震動に係る設計地震動に対する目標性能をいう。

(c) レベル2耐震性能

レベル2地震動に係る設計地震動に対する目標性能をいう。

(12) その他

(a) 圧力

特に明示されていないときは、ゲージ圧力をいう。

(b) 最高使用圧力

特に明示されていないときは、内槽の気相部に作用するガスの圧力のうち、使用状

態においてなりうる最高の圧力をいう。

【解 説】

*(1) LNGの物性値及びLNG産地別のLNG組成例については、JGA指-102-04「L

NG受入基地設備指針」を参照のこと。

*(2) 本指針では、内槽及び外槽が金属製の平底球面屋根付円筒竪形構造(内槽の屋根

板と側板の接続部はナックルプレート形式)の金属二重殻LNG貯槽を対象とす

る。また、基礎は杭基礎形式又は直接基礎形式を適用する。本指針において対象と

する金属二重殻LNG貯槽の全体概念図を解図1-1に示す。なお、本指針では、内

槽及び外槽の範囲は、それぞれに最も近い第一弁までとする。

(7) 設計地震動

貯槽に対する地震の影響を評価するための設計用の地震動をいう。

(8) 加速度型設計地震動

貯槽の震度又は加速度に対する耐震性を評価するための設計地震動をいう。

(9) 変位型設計地震動

貯槽のスロッシング(液面揺動)に対する耐震性を評価するための設計地震動をいう。

(10) 要求性能

LNG地上式貯槽の用途、設置される周辺環境及び運転条件から、貯槽全体に対して

使用者が求める性能をいう。

(11) 目標性能

LNG地上式貯槽の要求性能を満足するために、貯槽を構成する内槽、外槽、保冷、

基礎、防液堤が保持しなければならない性能をいう。

(a) 常時性能

常時*10における目標性能をいう。

(b) レベル1耐震性能

レベル1地震動に係る設計地震動に対する目標性能をいう。

(c) レベル2耐震性能

レベル2地震動に係る設計地震動に対する目標性能をいう。

(12) その他

(a) 圧力

特に明示されていないときは、ゲージ圧力をいう。

(b) 最高使用圧力

特に明示されていないときは、内槽の気相部に作用するガスの圧力のうち、使用状

態においてなりうる最高の圧力をいう。

【解 説】

*1 LNGの物性値及びLNG産地別のLNG組成例については、JGA指-102-14「L

NG受入基地設備指針」を参照のこと。

*2 本指針では、内槽及び外槽が金属製の平底球面屋根付円筒竪形構造(内槽の屋根

板と側板の接続部はナックルプレート形式)の金属二重殻LNG貯槽を対象とす

る。また、基礎は杭基礎形式又は直接基礎形式を適用する。本指針において対象と

する金属二重殻LNG貯槽の全体概念図を解図1-1に示す。なお、本指針では、

内槽及び外槽の範囲は、それぞれに最も近い第一弁までとする。

パブコメ用ドラフト

- 4 -

第1章 総則

第1章 -5-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解図1-1 金属二重殻LNG貯槽の全体概念図

*(3) 本指針では、内槽が金属製の平底球面屋根付円筒竪形構造(屋根板と側板の接続

部はナックルプレート形式)、外槽側部及び底部がライナ構造、外槽屋根が金属製

又はライナ付コンクリート製の球面屋根構造、そして防液堤がPC構造のPCLN

G貯槽を対象とする。また、基礎は杭基礎形式または直接基礎形式を適用し、高床

式基礎は適用範囲外とする。本指針において対象とするPCLNG貯槽の全体概念

図を解図1-2に示す。なお、本指針では、内槽及び外槽の範囲は、それぞれに最も

近い第一弁までとする。

解図1-1 金属二重殻LNG貯槽の全体概念図

*3 本指針では、内槽が金属製の平底球面屋根付円筒竪形構造(屋根板と側板の接続

部はナックルプレート形式)、外槽側部及び底部がライナ構造、外槽屋根が金属製

又はライナ付コンクリート製の球面屋根構造、そして防液堤がPC構造のPCLN

G貯槽を対象とする。また、基礎は杭基礎形式または直接基礎形式を適用し、高床

式基礎は適用範囲外とする。本指針において対象とするPCLNG貯槽の全体概念

図を解図1-2に示す。なお、本指針では、内槽及び外槽の範囲は、それぞれに最

も近い第一弁までとする。

高床式基礎 底部加温基礎

高床式基礎 底部加温基礎

杭 パブコメ用ドラフト

- 5 -

第1章 総則

第1章 -6-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解図1-2 PCLNG貯槽の全体概念図

*(4) 解図1-3に例示するLNGピットイン式貯槽については、本指針を適用して、設

計及び製作等を行うこととする。

解図1-2 PCLNG貯槽の全体概念図

*4 解図1-3に例示するLNGピットイン式貯槽については、本指針を適用して、

設計及び製作等を行うこととする。

金属製外槽屋根 ライナ付コンクリート製外槽屋根

金属製外槽屋根 ライナ付コンクリート製外槽屋根

杭 パブコメ用ドラフト

- 6 -

第1章 総則

第1章 -7-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解図1-3 LNGピットイン式貯槽の例図

*(5) 漏液時において作用する冷熱に抵抗し、緩和するために、必要に応じて冷熱抵抗

緩和部を設置する。

*(6) LNG地上式貯槽の付属設備としては、配管、弁類、LNGポンプ、ポンプバレ

ル架構、配管架構、ブリージングタンク、保安設備等があるが、本指針ではLNG

地上式貯槽に特有の設備であるポンプバレル架構、配管架構、ブリージングタンク、

保安設備等を対象とする。

*(7) 金属二重殻LNG貯槽において、払出配管が屋根を貫通する構造を採用する場合

は、ポンプバレル架構は付属設備に含まれる。

*(8) 本指針では外槽又はPC防液堤に直接設置されるものを対象とする。

*(9) 外槽側部ライナ、外槽底部ライナ及び外槽屋根部ライナを総称して、外槽ライナ

という。

*(10) 常時とは、通常運転時、強風時、保守・点検時等をいう。

1.3 貯槽の設計の考え方

1.3.1 一 般

本指針で規定するLNG地上式貯槽の設計の基本的な考え方は次によること*(1)。

(1) 貯槽が必要とする要求性能を設定し、その要求性能を満足するために貯槽を構成する

各部位が保持しなければならない目標性能を設定する*(2)*(3)。

解図1-3 LNGピットイン式貯槽の例図

*5 漏液時において作用する冷熱に抵抗し、緩和するために、必要に応じて冷熱抵抗

緩和部を設置する。

*6 LNG地上式貯槽の付属設備としては、配管、弁類、LNGポンプ、ポンプバレ

ル架構、配管架構、ブリージングタンク、保安設備等があるが、本指針ではLNG

地上式貯槽に特有の設備であるポンプバレル架構、配管架構、ブリージングタンク、

保安設備等を対象とする。

*7 金属二重殻LNG貯槽において、払出配管が屋根を貫通する構造を採用する場合

は、ポンプバレル架構は付属設備に含まれる。

*8 本指針では外槽又はPC防液堤に直接設置されるものを対象とする。

*9 外槽側部ライナ、外槽底部ライナ及び外槽屋根部ライナを総称して、外槽ライナ

という。

*10 常時とは、通常運転時、強風時、保守・点検時等をいう。

1.3 貯槽の設計の考え方

1.3.1 一 般

本指針で規定するLNG地上式貯槽の設計の基本的な考え方は次によること*1。

(1) 貯槽が必要とする要求性能を設定し、その要求性能を満足するために貯槽を構成す

る各部位が保持しなければならない目標性能を設定する*2*3。

パブコメ用ドラフト

- 7 -

第1章 総則

第1章 -8-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(2) 要求性能及び目標性能は、常時と地震時を対象として設定し、地震時の設定において

はレベル1地震動とレベル2地震動の2段階とする*(4)。

(3) 貯槽の設計においては、貯槽を構成する各部位が、所定の目標性能を満足するように

仕様を定める。

【解 説】

*(1) 各部位に対する様々な荷重等に対して、適切かつ合理的な設計が可能となるよう

に、設計方法を限定せず、将来の技術進歩にも柔軟に対応できる設計の枠組みを規

定する。この設計を実施するために、貯槽に必要とされる要求性能及び貯槽を構成

する主要な部位である内槽、外槽、保冷、基礎、防液堤に必要とされる目標性能を

設定する。

*(2) 貯槽の要求性能は、使用者の意図に基づき設定し、貯槽を構成する各部位の目標

性能は、適切かつ合理的な設計手法を導入できるように設定する。

*(3) ここで設定した目標性能は、設計のみならず建設時の施工、検査及び完成後の維

持管理においても満足すること。

*(4) 1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震を踏まえて見直された中央防災会議

「防災基本計画(平成7年7月)」及びガス地震対策検討会「ガス地震対策検討会報

告書(1996年1月)」を踏まえ、2段階の設定を行うものとする。

〔備 考〕

中央防災会議「防災基本計画(平成7年7月)」では、今後の構造物・施設等の耐震設計にあ

たっては、供用期間中に1~2度発生する確率を持つ一般的な地震動に際しては機能に重大

な支障を生じず、かつ発生確率は低いが直下型地震又は海溝型巨大地震に起因する更に高レ

ベルの地震動に際しても人命に重大な影響を与えないこととされている。

ガス地震対策検討会「ガス地震対策検討会報告書(1996年1月)」では、防災基本計画に準

拠し、ガス設備の耐震設計に関して2段階のレベルの地震動を想定することとし、構造物・

施設等の人命に与える影響、救援活動や二次災害防止に与える影響、経済活動に与える影響

等を考慮し、ガスの種類、影響度に応じた耐震性能を確保することとされている。

1.3.2 貯槽の要求性能*(1)

LNG地上式貯槽の要求性能は次によること。

(1) 常時における要求性能

常時における要求性能は、「基地*(2)内部・外部の人身と設備の安全を損なわない」及

び「ガス製造機能に支障をきたさない*(3)」と設定する。

(2) レベル1地震動に対する要求性能*(4)

レベル1地震動に対する要求性能は、「基地外部の人身と設備の安全を損なわない」

及び「ガス製造機能に支障をきたさない」と設定する。

(3) レベル2地震動に対する要求性能*(4)

レベル2地震動に対する要求性能は、「基地外部の人身と設備の安全を損なわない」

(2) 要求性能及び目標性能は、常時と地震時を対象として設定し、地震時の設定におい

てはレベル1地震動とレベル2地震動の2段階とする*4。

(3) 貯槽の設計においては、貯槽を構成する各部位が、所定の目標性能を満足するよう

に仕様を定める。

【解 説】

*1 各部位に対する様々な荷重等に対して、適切かつ合理的な設計が可能となるよう

に、設計方法を限定せず、将来の技術進歩にも柔軟に対応できる設計の枠組みを規

定する。この設計を実施するために、貯槽に必要とされる要求性能及び貯槽を構成

する主要な部位である内槽、外槽、保冷、基礎、防液堤に必要とされる目標性能を

設定する。

*2 貯槽の要求性能は、使用者の意図に基づき設定し、貯槽を構成する各部位の目標

性能は、適切かつ合理的な設計手法を導入できるように設定する。

*3 ここで設定した目標性能は、設計のみならず建設時の施工、検査及び完成後の維

持管理においても満足すること。

*4 1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震を踏まえて見直された中央防災会議

「防災基本計画(平成7年7月)」及びガス地震対策検討会「ガス地震対策検討会

報告書(1996年1月)」を踏まえ、2段階の設定を行うものとする。

〔備 考〕

中央防災会議「防災基本計画(平成7年7月)」では、今後の構造物・施設等の耐震設計

にあたっては、供用期間中に1~2度発生する確率を持つ一般的な地震動に際しては機能に

重大な支障を生じず、かつ発生確率は低いが直下型地震又は海溝型巨大地震に起因する更に

高レベルの地震動に際しても人命に重大な影響を与えないこととされている。

ガス地震対策検討会「ガス地震対策検討会報告書(1996年1月)」では、防災基本計画に準

拠し、ガス設備の耐震設計に関して2段階のレベルの地震動を想定することとし、構造物・

施設等の人命に与える影響、救援活動や二次災害防止に与える影響、経済活動に与える影響

等を考慮し、ガスの種類、影響度に応じた耐震性能を確保することとされている。

1.3.2 貯槽の要求性能*1

LNG地上式貯槽の要求性能は次によること。

(1) 常時における要求性能

常時における要求性能は、「基地*2内部・外部の人身と設備の安全を損なわない」及

び「ガス製造機能に支障をきたさない*3」と設定する。

(2) レベル1地震動に対する要求性能*4

レベル1地震動に対する要求性能は、「基地外部の人身と設備の安全を損なわない」

及び「ガス製造機能に支障をきたさない」と設定する。

(3) レベル2地震動に対する要求性能*4

レベル2地震動に対する要求性能は、「基地外部の人身と設備の安全を損なわない」

パブコメ用ドラフト

- 8 -

第1章 総則

第1章 -9-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

と設定する。

【解 説】

*(1) LNG地上式貯槽の要求性能は、「安全性」及び「使用性」について設定する。

なお、供用期間中の耐久性及び復旧性については、本指針では「安全性」、「使用性」

に含める。

*(2) 基地とは、貯槽を有する製造所または発電所をいう。

*(3) ガス製造機能に支障をきたさないとは、貯槽において正常に液及びガスの貯蔵、

受入れ及び払出しができることをいう。

*(4) 地震の作用は、レベルの高い地震動ほど供用期間中に発生する可能性は低いとい

う特性がある。従って、地震動のレベルに応じて要求性能を設定することで、所定

の安全性、使用性を確保した合理的な設計が可能となる。

1.3.3 貯槽を構成する各部位の目標性能

LNG地上式貯槽を構成する各部位の目標性能は次によること*(1)*(2)。

(1) 金属二重殻LNG貯槽の各部位の目標性能

(a) 常時性能*(3)

(ⅰ)内槽の目標性能は、「所定の強度*(4)を有する」及び「液密性及び気密性が保持さ

れる」と設定する。

(ⅱ)外槽の目標性能は、「所定の強度*(4)を有する」及び「気密性が保持される」と設

定する。

(ⅲ)側部保冷及び屋根部保冷の目標性能は、「所定の断熱性能*(5)が保持される」と設

定する。

(ⅳ)底部保冷の目標性能は、「所定の断熱性能*(5)が保持される」及び「所定の強度*(4)

を有する」と設定する。

(ⅴ)基礎の目標性能は、「所定の強度*(4)を有する」と設定する。

(ⅵ)防液堤の目標性能は、「所定の強度*(4)を有する」及び「漏液後の液密性*(6)を損な

わない」と設定する。

(b) レベル1耐震性能*(3)

(ⅰ)内槽の目標性能は、「有害な変形が残留しない*(7)」及び「液密性及び気密性が保

持される」と設定する。

(ⅱ)外槽の目標性能は、「有害な変形が残留しない*(7)」及び「気密性が保持される」

と設定する。

(ⅲ)側部保冷及び屋根部保冷の目標性能は、「所定の断熱性能*(5)が保持される」と設

定する。

(ⅳ)底部保冷の目標性能は、「所定の断熱性能*(5)が保持される」及び「有害な変形が

と設定する。

【解 説】

*1 LNG地上式貯槽の要求性能は、「安全性」及び「使用性」について設定する。

なお、供用期間中の耐久性及び復旧性については、本指針では「安全性」、「使用性」

に含める。

*2 基地とは、貯槽を有する製造所または発電所をいう。

*3 ガス製造機能に支障をきたさないとは、貯槽において正常に液及びガスの貯蔵、

受入れ及び払出しができることをいう。

*4 地震の作用は、レベルの高い地震動ほど供用期間中に発生する可能性は低いとい

う特性がある。従って、地震動のレベルに応じて要求性能を設定することで、所定

の安全性、使用性を確保した合理的な設計が可能となる。

1.3.3 貯槽を構成する各部位の目標性能

LNG地上式貯槽を構成する各部位の目標性能は次によること*1*2。

(1) 金属二重殻LNG貯槽の各部位の目標性能

(a) 常時性能*3

(ⅰ) 内槽の目標性能は、「所定の強度*4を有する」及び「液密性及び気密性が保持

される」と設定する。

(ⅱ) 外槽の目標性能は、「所定の強度*4を有する」及び「気密性が保持される」と

設定する。

(ⅲ) 側部保冷及び屋根部保冷の目標性能は、「所定の断熱性能*5が保持される」と

設定する。

(ⅳ) 底部保冷の目標性能は、「所定の断熱性能*5が保持される」及び「所定の強度*

4を有する」と設定する。

(ⅴ) 基礎の目標性能は、「所定の強度*4を有する」と設定する。

(ⅵ) 防液堤の目標性能は、「所定の強度*4を有する」及び「漏液後の液密性*6を損

なわない」と設定する。

(b) レベル1耐震性能*3

(ⅰ) 内槽の目標性能は、「有害な変形が残留しない*7」及び「液密性及び気密性が

保持される」と設定する。

(ⅱ) 外槽の目標性能は、「有害な変形が残留しない*7」及び「気密性が保持される」

と設定する。

(ⅲ) 側部保冷及び屋根部保冷の目標性能は、「所定の断熱性能*5が保持される」と

設定する。

(ⅳ) 底部保冷の目標性能は、「所定の断熱性能*5が保持される」及び「有害な変形

パブコメ用ドラフト

- 9 -

第1章 総則

第1章 -10-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

残留しない*(7)」と設定する。

(ⅴ)基礎の目標性能は、「有害な変形が残留しない*(7)」と設定する。

(ⅵ)防液堤の目標性能は、「有害な変形が残留しない *(7)」及び「漏液後の液密性*(6)

を損なわない」と設定する。

(c) レベル2耐震性能*(3)

(ⅰ)内槽の目標性能は、「変形が残留しても、液密性及び気密性が保持される」と設

定する。

(ⅱ)外槽の目標性能は、「変形が残留しても、気密性が保持される」と設定する。

(ⅲ)側部保冷及び屋根部保冷の目標性能は、「断熱性能が低下しても、気化ガスの安

定した処理が可能である」と設定する。

(ⅳ)底部保冷の目標性能は、「断熱性能が低下しても、気化ガスの安定した処理が可

能である」及び「変形が残留しても、内槽の目標性能を損なわない」と設定する。

(ⅴ)基礎の目標性能は、「変形が残留しても、内槽、外槽、保冷の目標性能を損なわ

ない」と設定する。

(ⅵ)防液堤の目標性能は、「変形が残留しても、漏液後の液密性*(6)を損なわない」と

設定する。

(2) PCLNG貯槽の各部位の目標性能

(a) 常時性能*(3)

(ⅰ)内槽の目標性能は、「所定の強度*(4)を有する」及び「液密性及び気密性が保持さ

れる」と設定する。

(ⅱ)外槽の目標性能は、「所定の強度*(4)を有する」及び「気密性が保持される」と設

定する*(8)。

(ⅲ)側部保冷及び屋根部保冷の目標性能は、「所定の断熱性能*(5)が保持される」と設

定する。

(ⅳ)底部保冷の目標性能は、「所定の断熱性能*(5)が保持される」及び「所定の強度*(4)

を有する」と設定する。

(ⅴ)基礎の目標性能は、「所定の強度*(4)を有する」と設定する。

(ⅵ)PC防液堤の目標性能は、「所定の強度*(4)を有する」及び「漏液後の液密性*(6)

を損なわない」と設定する。

(b) レベル1耐震性能*(3)

(ⅰ)内槽の目標性能は、「有害な変形が残留しない*(7)」及び「液密性及び気密性が保

持される」と設定する。

(ⅱ)外槽の目標性能は、「有害な変形が残留しない*(7)」及び「気密性が保持される」

と設定する*(8)。

(ⅲ)側部保冷及び屋根部保冷の目標性能は、「所定の断熱性能*(5)が保持される」と設

定する。

(ⅳ)底部保冷の目標性能は、「所定の断熱性能*(5)が保持される」及び「有害な変形が

が残留しない*7」と設定する。

(ⅴ) 基礎の目標性能は、「有害な変形が残留しない*7」と設定する。

(ⅵ) 防液堤の目標性能は、「有害な変形が残留しない*7」及び「漏液後の液密性*6

を損なわない」と設定する。

(c) レベル2耐震性能*3

(ⅰ) 内槽の目標性能は、「変形が残留しても、液密性及び気密性が保持される」と

設定する。

(ⅱ) 外槽の目標性能は、「変形が残留しても、気密性が保持される」と設定する。

(ⅲ) 側部保冷及び屋根部保冷の目標性能は、「断熱性能が低下しても、気化ガスの

安定した処理が可能である」と設定する。

(ⅳ) 底部保冷の目標性能は、「断熱性能が低下しても、気化ガスの安定した処理が

可能である」及び「変形が残留しても、内槽の目標性能を損なわない」と設定する。

(ⅴ) 基礎の目標性能は、「変形が残留しても、内槽、外槽、保冷の目標性能を損な

わない」と設定する。

(ⅵ) 防液堤の目標性能は、「変形が残留しても、漏液後の液密性*6を損なわない」

と設定する。

(2) PCLNG貯槽の各部位の目標性能

(a) 常時性能*3

(ⅰ) 内槽の目標性能は、「所定の強度*4を有する」及び「液密性及び気密性が保持

される」と設定する。

(ⅱ) 外槽の目標性能は、「所定の強度*4を有する」及び「気密性が保持される」と

設定する*8。

(ⅲ) 側部保冷及び屋根部保冷の目標性能は、「所定の断熱性能*5が保持される」と

設定する。

(ⅳ) 底部保冷の目標性能は、「所定の断熱性能*5が保持される」及び「所定の強度*

4を有する」と設定する。

(ⅴ) 基礎の目標性能は、「所定の強度*4を有する」と設定する。

(ⅵ) PC防液堤の目標性能は、「所定の強度*4を有する」及び「漏液後の液密性*6

を損なわない」と設定する。

(b) レベル1耐震性能*3

(ⅰ) 内槽の目標性能は、「有害な変形が残留しない*7」及び「液密性及び気密性が

保持される」と設定する。

(ⅱ) 外槽の目標性能は、「有害な変形が残留しない*7」及び「気密性が保持される」

と設定する*8。

(ⅲ) 側部保冷及び屋根部保冷の目標性能は、「所定の断熱性能*5が保持される」と

設定する。

(ⅳ) 底部保冷の目標性能は、「所定の断熱性能*5が保持される」及び「有害な変形

パブコメ用ドラフト

- 10 -

第1章 総則

第1章 -11-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

残留しない*(7)」と設定する。

(ⅴ)基礎の目標性能は、「有害な変形が残留しない*(7)」と設定する。

(ⅵ)PC防液堤の目標性能は、「有害な変形が残留しない*(7)」及び「漏液後の液密性

*(6)を損なわない」と設定する。

(c) レベル2耐震性能*(3)

(ⅰ)内槽の目標性能は、「変形が残留しても、液密性及び気密性が保持される」と設

定する。

(ⅱ)外槽の目標性能は、「変形が残留しても、気密性が保持される」と設定する。

(ⅲ)側部保冷及び屋根部保冷の目標性能は、「断熱性能が低下しても、気化ガスの安

定した処理が可能である」と設定する。

(ⅳ)底部保冷の目標性能は、「断熱性能が低下しても、気化ガスの安定した処理が可

能である」及び「変形が残留しても、内槽の目標性能を損なわない」と設定する。

(ⅴ)基礎の目標性能は、「変形が残留しても、内槽、外槽、保冷、PC防液堤の目標

性能を損なわない」と設定する。

(ⅵ)PC防液堤の目標性能は、「変形が残留しても、漏液後の液密性*(6)及び外槽の目

標性能を損なわない」と設定する。

【解 説】

*(1) 金属二重殻LNG貯槽を構成する各部位の目標性能は、「耐荷性能」、「液密性能」、

「気密性能」、「断熱性能」に分類される。金属二重殻LNG貯槽の目標性能を解図

1-4にまとめる。

*(2) PCLNG貯槽を構成する各部位の目標性能は、「耐荷性能」、「液密性能」、「気

密性能」、「断熱性能」に分類される。PCLNG貯槽の目標性能を解図1-5にまと

める。

が残留しない*7」と設定する。

(ⅴ) 基礎の目標性能は、「有害な変形が残留しない*7」と設定する。

(ⅵ) PC防液堤の目標性能は、「有害な変形が残留しない*7」及び「漏液後の液密

性*6を損なわない」と設定する。

(c) レベル2耐震性能*3

(ⅰ) 内槽の目標性能は、「変形が残留しても、液密性及び気密性が保持される」と

設定する。

(ⅱ) 外槽の目標性能は、「変形が残留しても、気密性が保持される」と設定する。

(ⅲ) 側部保冷及び屋根部保冷の目標性能は、「断熱性能が低下しても、気化ガスの

安定した処理が可能である」と設定する。

(ⅳ) 底部保冷の目標性能は、「断熱性能が低下しても、気化ガスの安定した処理が

可能である」及び「変形が残留しても、内槽の目標性能を損なわない」と設定する。

(ⅴ) 基礎の目標性能は、「変形が残留しても、内槽、外槽、保冷、PC防液堤の目

標性能を損なわない」と設定する。

(ⅵ) PC防液堤の目標性能は、「変形が残留しても、漏液後の液密性*6及び外槽の

目標性能を損なわない」と設定する。

【解 説】

*1 金属二重殻LNG貯槽を構成する各部位の目標性能は、「耐荷性能」、「液密性能」、

「気密性能」、「断熱性能」に分類される。金属二重殻LNG貯槽の目標性能を解図

1-4にまとめる。

*2 PCLNG貯槽を構成する各部位の目標性能は、「耐荷性能」、「液密性能」、「気

密性能」、「断熱性能」に分類される。PCLNG貯槽の目標性能を解図1-5にま

とめる。

パブコメ用ドラフト

- 11 -

第1章 総則

第1章 -12-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解図1-4 金属二重殻LNG貯槽を構成する各部位の目標性能

解図1-4 金属二重殻LNG貯槽を構成する各部位の目標性能

部保

冷の

目標

性能

部保

冷及

び屋 根

部保

冷の

目標

性能

部保

冷及

び屋 根

パブコメ用ドラフト

- 12 -

第1章 総則

第1章 -13-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解図1-5 PCLNG貯槽を構成する各部位の目標性能

解図1-5 PCLNG貯槽を構成する各部位の目標性能

側部

保冷

及び

屋根

部保

冷の

目標

性能

側部

保冷

及び

屋根

部保

冷の

目標

性能

パブコメ用ドラフト

- 13 -

第1章 総則

第1章 -14-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

*(3) 常時性能は、供用期間中にごく軽微なものを除いて補修しないで使用することが

できるように設定する。

レベル1耐震性能は、地震時においてごく軽微なものを除いて補修しないで使用

することができるように設定する。

レベル2耐震性能は、地震時においても液化ガス及びガスが漏洩しないように設

定する。

*(4) 所定の強度とは、常時の荷重に加え、経年変化(疲労、腐食、ひび割れ、クリー

プ変形等)を考慮した強度をいう。自重、ガス圧、液圧等の常時の荷重に対する設

計の考え方は、例えば圧力容器の設計において塑性崩壊(延性破壊)を生じさせな

いように設計応力を制限することが基本となっている。多くの場合、塑性崩壊に対

する安全率は、塑性崩壊そのものよりも、むしろ供用中の負荷履歴や環境に起因す

る他の破壊(疲労等)や過度の変形(クリープ変形等)を生じないように経験的に

設定される性格が強い。しかし、他の破壊や過度の変形に関与する応力、強度は、

塑性崩壊に関与する応力、強度と異なるため、塑性崩壊に対する設計応力の制限に

加えて、他の破壊や過度の変形に対する設計上の配慮が必要となる。

*(5) 所定の断熱性能とは、使用者が使用性を考慮して設定した設計時の断熱性能をい

う。

*(6) 防液堤には常時性能、レベル1耐震性能、レベル2耐震性能に加え、漏液後の目

標性能として「所定の強度を有する(耐荷性能)」及び「液密性が保持される(液

密性能)」を設定する。

*(7) 有害な変形が残留しないとは、地震力によって貯槽を構成する部材が塑性変形を

生じないことをいう。ただし、形状不連続部の二次応力及びピーク応力を評価する

場合はこの限りではない。

*(8) PCLNG貯槽の外槽側部ライナ及び外槽屋根部ライナは、座屈を許容する構造

であるため、「変形が残留しても、気密性が保持される」と設定する。

1.4 単位系

本指針で使用する単位系は、原則としてSI単位系による。

ただし、他の文献から引用されている図などにおいては、非SI単位としている場合が

ある。その場合には、下記の換算表などを参考に、有効数字を考慮して適切に換算するこ

ととする。

表1-1 SI単位換算表

量 非SI単位 SI単位 換算係数

圧力 kgf/cm2

mmH2O

MPa

Pa

1 kgf/cm2 = 0.0980665 MPa

1 mmH2O = 9.80665 Pa

熱量 kcal MJ 1 kcal = 4.18605×10-3 MJ

力 kgf N 1 kgf = 9.80665 N

応力 kgf/mm2

kgf/cm2

N/mm2

N/cm2

1 kgf/mm2 = 9.80665 N/mm2

1 kgf/cm2 = 9.80665 N/cm2

*3 常時性能は、供用期間中にごく軽微なものを除いて補修しないで使用することが

できるように設定する。

レベル1耐震性能は、地震時においてごく軽微なものを除いて補修しないで使用

することができるように設定する。

レベル2耐震性能は、地震時においても液化ガス及びガスが漏洩しないように設

定する。

*4 所定の強度とは、常時の荷重に加え、経年変化(疲労、腐食、ひび割れ、クリー

プ変形等)を考慮した強度をいう。自重、ガス圧、液圧等の常時の荷重に対する設

計の考え方は、例えば圧力容器の設計において塑性崩壊(延性破壊)を生じさせな

いように設計応力を制限することが基本となっている。多くの場合、塑性崩壊に対

する安全率は、塑性崩壊そのものよりも、むしろ供用中の負荷履歴や環境に起因す

る他の破壊(疲労等)や過度の変形(クリープ変形等)を生じないように経験的に

設定される性格が強い。しかし、他の破壊や過度の変形に関与する応力、強度は、

塑性崩壊に関与する応力、強度と異なるため、塑性崩壊に対する設計応力の制限に

加えて、他の破壊や過度の変形に対する設計上の配慮が必要となる。

*5 所定の断熱性能とは、使用者が使用性を考慮して設定した設計時の断熱性能をい

う。

*6 防液堤には常時性能、レベル1耐震性能、レベル2耐震性能に加え、漏液後の目

標性能として「所定の強度を有する(耐荷性能)」及び「液密性が保持される(液

密性能)」を設定する。

*7 有害な変形が残留しないとは、地震力によって貯槽を構成する部材が塑性変形を

生じないことをいう。ただし、形状不連続部の二次応力及びピーク応力を評価する

場合はこの限りではない。

*8 PCLNG貯槽の外槽側部ライナ及び外槽屋根部ライナは、座屈を許容する構造

であるため、「変形が残留しても、気密性が保持される」と設定する。

1.4 単位系

本指針で使用する単位系は、原則としてSI単位系による。

ただし、他の文献から引用されている図などにおいては、非SI単位としている場合が

ある。その場合には、下記の換算表などを参考に、有効数字を考慮して適切に換算するこ

ととする。

表1-1 SI単位換算表

量 非SI単位 SI単位 換算係数

圧力 kgf/cm2

mmH2O

MPa

Pa

1 kgf/cm2 = 0.0980665 MPa

1 mmH2O = 9.80665 Pa

熱量 kcal MJ 1 kcal = 4.18605×10-3 MJ

力 kgf N 1 kgf = 9.80665 N

応力 kgf/mm2

kgf/cm2

N/mm2

N/cm2

1 kgf/mm2 = 9.80665 N/mm2

1 kgf/cm2 = 9.80665 N/cm2

パブコメ用ドラフト

- 14 -

第2章 -1-

「第2章 管理体制」においての記載内容

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

第2章 管理体制

2.1 一 般 ······················································ 19

2.2 計画・発注時の管理体制 ········································ 19

2.3 建設時の管理体制 ·············································· 20

2.4 使用開始後の管理体制 ··········································· 22

第2章 管理体制

2.1 一 般 ······················································· 19

2.2 計画・発注時の管理体制 ········································· 19

2.3 建設時の管理体制 ··············································· 20

2.4 使用開始後の管理体制 ············································ 22

パブコメ用ドラフト

- 15 -

第2章 管理体制

第2章 -2-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

2.1 一 般

使用者及び製作者は、次に示す区分に従ってLNG地上式貯槽の品質保証を行うこと*(1)。

(1) 使用者は、貯槽を所有しかつ使用する立場で、計画及び発注、並びにスタートアップ、

運転及び維持管理に関して、責任ある管理を行うこと。

(2) 製作者*(2)は、貯槽を建設する立場で、設計から施工、検査及びスタートアップに至

るまで、貯槽の品質を保証する責任ある管理を行うこと。

(3) 使用者と製作者は建設管理委員会を組織し、前項に述べる品質保証が十分行われてい

ることを確認すること。

【解 説】

*(1) ここでいう品質保証とは、貯槽の設置の計画段階から発注、設計、施工、検査、

スタートアップ、運転及び維持管理に至るまで、貯槽が定められた基準に従って管

理され、要求される品質を有していることを系統的に確認することをいう。

*(2) 一般に使用者と貯槽製作者が直接契約する発注形態であれば、製作者とは貯槽製

作者を示すが、LNG基地建設をゼネラルコントラクターに請け負わせ、その下に

貯槽製作者が入るような間接発注の場合にはゼネラルコントラクターを含めるも

のとする。

2.2 計画・発注時の管理体制

使用者は、貯槽を設置する計画段階より体制を確立し、貯槽の仕様の検討、製作者の

選定等を行うこと*(1)。

【解 説】

*(1) 計画・発注時には、次にあげるような項目について検討すること。

(a) 発注仕様

仕様内容が、適用法規及び規格等に適合していることを確認する。

(b) 工期

貯槽の建設工期は、所定の品質を確保するために必要な、適正なものであるこ

とを確認する。

(c) 製作者の選定

製作者の選定にあたっては、設計、施工、検査等に関する製作者の能力が、必

要な品質保証を行うに足るか否かを評価し、適切な製作者を選定する。

2.3 建設時の管理体制

(1) 製作者の管理体制

製作者は、受注決定後直ちに品質保証体制*(1)を確立し、設計から施工、検査及びス

2.1 一 般

使用者及び製作者は、次に示す区分に従ってLNG地上式貯槽の品質保証を行うこと*1。

(1) 使用者は、貯槽を所有しかつ使用する立場で、計画及び発注、並びにスタートアッ

プ、運転及び維持管理に関して、責任ある管理を行うこと。

(2) 製作者*2は、貯槽を建設する立場で、設計から施工、検査及びスタートアップに至

るまで、貯槽の品質を保証する責任ある管理を行うこと。

(3) 使用者と製作者は建設管理委員会を組織し、前項に述べる品質保証が十分行われて

いることを確認すること。

【解 説】

*1 ここでいう品質保証とは、貯槽の設置の計画段階から発注、設計、施工、検査、

スタートアップ、運転及び維持管理に至るまで、貯槽が定められた基準に従って管

理され、要求される品質を有していることを系統的に確認することをいう。

*2 一般に使用者と貯槽製作者が直接契約する発注形態であれば、製作者とは貯槽製

作者を示すが、LNG基地建設をゼネラルコントラクターに請け負わせ、その下に

貯槽製作者が入るような間接発注の場合にはゼネラルコントラクターを含めるも

のとする。

2.2 計画・発注時の管理体制

使用者は、貯槽を設置する計画段階より体制を確立し、貯槽の仕様の検討、製作者の

選定等を行うこと*1。

【解 説】

*1 計画・発注時には、次にあげるような項目について検討すること。

(1) 発注仕様

仕様内容が、適用法規及び規格等に適合していることを確認する。

(2) 工期

貯槽の建設工期は、所定の品質を確保するために必要な、適正なものであるこ

とを確認する。

(3) 製作者の選定

製作者の選定にあたっては、設計、施工、検査等に関する製作者の能力が、必

要な品質保証を行うに足るか否かを評価し、適切な製作者を選定する。

2.3 建設時の管理体制

(1) 製作者の管理体制

製作者は、受注決定後直ちに品質保証体制*1を確立し、設計から施工、検査及びスタ

パブコメ用ドラフト

- 16 -

第2章 管理体制

第2章 -3-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

タートアップに至るまで、十分な品質保証を行うこと*(2)。

(2) 建設管理委員会

使用者と製作者は、可能な限り速やかに建設管理委員会を組織すること。

(a) 建設管理委員会の構成

本委員会は、建設に関する各業務を包含する使用者及び製作者から選任された委員

により組織すること*(3)。

(b) 建設管理委員会の任務

(ⅰ)本委員会は、貯槽の設計から施工、検査及びスタートアップに至る間、定期的か

つ必要に応じて随時開催し、使用者及び製作者間並びに各部門間の総合的な連絡、

調整を行うとともに、製作者が十分な品質保証を行っていることを監査*(4)し認証す

ること。

(ⅱ)本委員会は、検査時等に生じた問題点について審議し、それらの解決を図ること。

(ⅲ)本委員会は、貯槽が完成した時点でその設計計算書、完成図面、建設記録及び検

査成績書等をまとめた完成図書並びに第11章で規定する維持管理基準の審査を行

うこと*(5)。

【解 説】

*(1) 製作者は十分な品質保証を行うため、品質保証計画を立て、その計画を実施する

のに必要な品質保証組織を作ること。

(a) 品質保証計画

製作者は、貯槽の建設における設計からスタートアップに至る各段階で実施す

る品質保証活動を行うために必要な計画を作成すること。この計画は、品質保証

計画書として文書化すること。

(b) 品質保証組織

製作者は、品質保証活動を行うために必要な組織を作ること。

*(2) 製作者が行う品質保証項目としては次のような項目が必要と考えられる。

(a) 図面、計算書、仕様書及び要領書の管理

製作者は、使用者の設計仕様書に基づいて、適用法規及び規格等に適合した図

面及び設計計算書、並びに使用材料、施工方法、試験及び検査等に関する仕様書

及び要領書を作成し、使用者の確認を得ること。なお、設計変更の場合も使用者

の確認を得ること。

また、これらの図書の改廃についての手順を取り決めておくこと。

(b) 調達

製作者の作成する調達仕様書には、技術的な要求事項の他に調達先が提出すべ

き文書、調達先の工場及び設備に対する検査又は監査のための立入り等について

規定すること。

ートアップに至るまで、十分な品質保証を行うこと*2。

(2) 建設管理委員会

使用者と製作者は、可能な限り速やかに建設管理委員会を組織すること。

(a) 建設管理委員会の構成

本委員会は、建設に関する各業務を包含する使用者及び製作者から選任された委員

により組織すること*3。

(b) 建設管理委員会の任務

(ⅰ) 本委員会は、貯槽の設計から施工、検査及びスタートアップに至る間、定期的

かつ必要に応じて随時開催し、使用者及び製作者間並びに各部門間の総合的な連

絡、調整を行うとともに、製作者が十分な品質保証を行っていることを監査*4し認

証すること。

(ⅱ) 本委員会は、検査時等に生じた問題点について審議し、それらの解決を図るこ

と。

(ⅲ) 本委員会は、貯槽が完成した時点でその設計計算書、完成図面、建設記録及び

検査成績書等をまとめた完成図書並びに第11章で規定する維持管理基準の審査を

行うこと*5。

【解 説】

*1 製作者は十分な品質保証を行うため、品質保証計画を立て、その計画を実施する

のに必要な品質保証組織を作ること。

(a) 品質保証計画

製作者は、貯槽の建設における設計からスタートアップに至る各段階で実施す

る品質保証活動を行うために必要な計画を作成すること。この計画は、品質保証

計画書として文書化すること。

(b) 品質保証組織

製作者は、品質保証活動を行うために必要な組織を作ること。

*2 製作者が行う品質保証項目としては次のような項目が必要と考えられる。

(a) 図面、計算書、仕様書及び要領書の管理

製作者は、使用者の設計仕様書に基づいて、適用法規及び規格等に適合した図

面及び設計計算書、並びに使用材料、施工方法、試験及び検査等に関する仕様書

及び要領書を作成し、使用者の確認を得ること。なお、設計変更の場合も使用者

の確認を得ること。

また、これらの図書の改廃についての手順を取り決めておくこと。

(b) 調達

製作者の作成する調達仕様書には、技術的な要求事項の他に調達先が提出すべ

き文書、調達先の工場及び設備に対する検査又は監査のための立入り等について

規定すること。

パブコメ用ドラフト

- 17 -

第2章 管理体制

第2章 -4-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

調達先については調達仕様書に従って製作する能力を有しているか否かを評

価して選定すること。

(c) 製作及び組立

所定の材料を用いるとともに切断、溶接、熱処理、組立等の各作業を図面、仕

様書、要領書等に規定されている手順及び方法に従って行うこと。また、施工に

あたっては十分な技能を有する者によって行い、十分な知識と経験を有する者に

よって管理すること。なお、作業条件が品質に与える影響が特に大きいものにつ

いては、そのデータを記録し保存すること。

(d) 試験及び検査

試験及び検査については、仕様書及び要領書に規定されている方法及び判定基

準に従って行うこと。また、試験及び検査の実施にあたっては、十分な技能を有

する者によって行い、十分な知識と経験を有する者によって管理すること。

この場合、検査を行う組織の許可なしには作業を次工程に進めることができな

い検査(ホールドポイント)を必要に応じて設定すること。試験及び検査の結果

は記録し保存すること。

(e) スタートアップ

製作された貯槽が円滑に運転されるために必要なスタートアップ作業につい

て留意すべき項目を明確にすること。

(f) 不具合

不具合品の識別方法、その処理及び管理方法を規定すること。

(g) 品質保証記録

品質に関する客観的証拠となり得る品質保証記録を作成すること。また、品質

保証記録の保存、処分等について規定すること。

*(3) 建設管理委員会の構成の一例を解図2-1に示す。委員会は、工事の進捗や規模に

応じて適切に構成すること。

なお、建設工事に関する労働安全については、製作者の責任で管理し、建設管理

委員会との調整を行う。

調達先については調達仕様書に従って製作する能力を有しているか否かを評

価して選定すること。

(c) 製作及び組立

所定の材料を用いるとともに切断、溶接、熱処理、組立等の各作業を図面、仕

様書、要領書等に規定されている手順及び方法に従って行うこと。また、施工に

あたっては十分な技能を有する者によって行い、十分な知識と経験を有する者に

よって管理すること。なお、作業条件が品質に与える影響が特に大きいものにつ

いては、そのデータを記録し保存すること。

(d) 試験及び検査

試験及び検査については、仕様書及び要領書に規定されている方法及び判定基

準に従って行うこと。また、試験及び検査の実施にあたっては、十分な技能を有

する者によって行い、十分な知識と経験を有する者によって管理すること。

この場合、検査を行う組織の許可なしには作業を次工程に進めることができな

い検査(ホールドポイント)を必要に応じて設定すること。試験及び検査の結果

は記録し保存すること。

(e) スタートアップ

製作された貯槽が円滑に運転されるために必要なスタートアップ作業につい

て留意すべき項目を明確にすること。

(f) 不具合

不具合品の識別方法、その処理及び管理方法を規定すること。

(g) 品質保証記録

品質に関する客観的証拠となり得る品質保証記録を作成すること。また、品質

保証記録の保存、処分等について規定すること。

*3 建設管理委員会の構成の一例を解図2-1に示す。委員会は、工事の進捗や規模

に応じて適切に構成すること。

なお、建設工事に関する労働安全については、製作者の責任で管理し、建設管理

委員会との調整を行う。

パブコメ用ドラフト

- 18 -

第2章 管理体制

第2章 -5-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解図2-1 建設管理委員会の構成の一例

*(4) 監査

監査とは、発行されている文書類の妥当性を審査するとともに、品質保証に関す

る活動が品質保証計画書に従って実施されていることを調査し評価することをい

う。

(a) 建設管理委員長は監査対象に応じて、適切な監査員を任命すること。

(b) 監査員は、設計から施工、検査及びスタートアップに至るまで、品質保証に関

係する全ての項目について検査を行うこと。

(c) 建設管理委員会はこれらの監査の結果を認証すること。

*(5) 維持管理に必要なデータ等が十分に整理されていることについても確認するこ

と。

2.4 使用開始後の管理体制

使用者は、貯槽の使用開始に先立ち、第11章で規定する維持管理基準に従い貯槽の維持

及び運転を行うことのできる体制を確立し、貯槽の使用開始と同時にその体制により維持

管理を実施すること。

解図2-1 建設管理委員会の構成の一例

*4 監査

監査とは、発行されている文書類の妥当性を審査するとともに、品質保証に関す

る活動が品質保証計画書に従って実施されていることを調査し評価することをい

う。

(a) 建設管理委員長は監査対象に応じて、適切な監査員を任命すること。

(b) 監査員は、設計から施工、検査及びスタートアップに至るまで、品質保証に

関係する全ての項目について検査を行うこと。

(c) 建設管理委員会はこれらの監査の結果を認証すること。

*5 維持管理に必要なデータ等が十分に整理されていることについても確認するこ

と。

2.4 使用開始後の管理体制

使用者は、貯槽の使用開始に先立ち、第11章で規定する維持管理基準に従い貯槽の維持

及び運転を行うことのできる体制を確立し、貯槽の使用開始と同時にその体制により維持

管理を実施すること。

設計委員(使用者)

設計委員(製作者)

施工委員(使用者)

施工委員(製作者)

検査委員(使用者)

検査委員(製作者)

安全委員(使用者)

安全委員(製作者)

建設管理

委 員 長

(使用者)

(建設管理委員会)

土 木

機 械

計装・電気

土 木

機 械

計装・電気

土 木

機 械

計装・電気

設計委員(使用者)

設計委員(製作者)

施工委員(使用者)

施工委員(製作者)

検査委員(使用者)

検査委員(製作者)

安全委員(使用者)

安全委員(製作者)

建設管理

委 員 長

(使用者)

(建設管理委員会)

土 木

機 械

計装・電気

土 木

機 械

計装・電気

土 木

機 械

計装・電気

パブコメ用ドラフト

- 19 -

第3章 -1-

「第3章 内槽及び外槽の材料」においての記載内容

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

第3章 内槽及び外槽の材料

3.1 一 般 ······················································· 25

3.2 材 料 ······················································· 25

3.2.1 一 般 ··················································· 25

3.2.2 使用材料 ··················································· 26

3.2.3 材料の縦弾性係数及び線膨張係数 ····························· 38

3.3 許容応力 ······················································· 39

3.3.1 内槽の許容応力 ············································· 39

3.3.2 外槽、内槽屋根骨、架構等の許容応力 ·························· 43

3.4 疲労強度 ······················································· 48

3.4.1 許容繰返し回数 ············································· 48

3.4.2 設計疲労曲線 ··············································· 48

第3章 内槽及び外槽の材料

3.1 一 般 ························································ 25

3.2 材 料 ························································ 25

3.2.1 一 般 ···················································· 25

3.2.2 使用材料 ···················································· 26

3.2.3 材料の縦弾性係数及び線膨張係数 ······························ 38

3.3 許容応力 ························································ 39

3.3.1 内槽の許容応力 ·············································· 39

3.3.2 外槽、内槽屋根骨、架構等の許容応力 ·························· 43

3.4 疲労強度 ························································ 48

3.4.1 許容繰返し回数 ·············································· 48

3.4.2 設計疲労曲線 ················································ 48

パブコメ用ドラフト

- 20 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -2-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

3.1 一 般

本章では内槽、外槽*(1)及び付属設備に使用する材料及びその許容応力*(2)等について規

定する。なお、保冷、基礎及び防液堤に使用する材料については、それぞれ第7章、第8

章及び第9章に規定する。

【解 説】

*(1) コンクリート製外槽屋根の材料及び設計値については、第8章に規定する。

*(2) 従来のガス事業法においては、圧力容器の設計上の安全係数は4.0であった。

ASME Boiler & Pressure Vessel Code Sec.Ⅷ Div.1にて安全係数が3.5に見直さ

れたこと(1999年)、高圧ガス保安法(2003年)及び労働安全衛生法(2004年)に

導入されたこと、安全係数3.5基準のベースであるJIS B 8267の素案作り開始と発

行予定を受け、2008年3月に安全係数3.5基準がガス事業法に導入された。

これによって、事業者は安全係数4.0基準又は3.5基準を選択することができるこ

ととなった。ただし、安全係数3.5基準の採用にあたっては、従来の技術基準のう

ち、主に適用条件、材料選定、構造設計、溶接施工法及び溶接部検査について使用

の限定又は規定の強化がなされているため、十分な事前検討をすることが必要であ

る。

なお、従来の安全係数4.0基準のベースであるJIS B 8265「圧力容器の構造-一

般事項-」に加え、安全係数3.5基準のベースであるJIS B 8267「圧力容器の設計」

が2008年に発行された。

3.2 材 料

3.2.1 一 般

内槽、外槽及びその付属設備に使用する材料は3.2.2によること*(1)。なお、3.2.2に規

定する材料以外の材料については、用途に応じて同項に規定する材料と同等以上の性質

*(2)を有することを確認した場合はこれを使用することができる。

【解 説】

*(1) 本指針では、使用実績の多い材料を規定する。

*(2) 規格材料と規格名称又は年号等が変更になった場合の変更後の化学成分、機械的

性質が同等以上のもの及び規格材料と化学成分、機械的性質が同等以上であって、

その板厚の範囲、製造方法又は形状が異なるもの(例えば鍛造品と鋼板の違い)を

いう。

3.1 一 般

本章では内槽、外槽*1及び付属設備に使用する材料及びその許容応力*2等について規定

する。なお、保冷、基礎及び防液堤に使用する材料については、それぞれ第7章「保冷」、

第8章「基礎」及び第9章「防液堤」に規定する。

【解 説】

*1 コンクリート製外槽屋根の材料及び設計値については、第8章に規定する。

*2 従来のガス事業法においては、圧力容器の設計上の安全係数は4.0であった。

ASME Boiler & Pressure Vessel Code Sec.Ⅷ Div.1にて安全係数が3.5に見直さ

れたこと(1999年)、高圧ガス保安法(2003年)及び労働安全衛生法(2004年)に

導入されたこと、安全係数3.5基準のベースであるJIS B 8267(2008)「圧力容器の

設計」の素案作り開始と発行予定を受け、2008年3月に安全係数3.5基準がガス事

業法に導入された。

これによって、事業者は安全係数4.0基準又は3.5基準を選択することができるこ

ととなった。ただし、安全係数3.5基準の採用にあたっては、従来の技術基準のう

ち、主に適用条件、材料選定、構造設計、溶接施工法及び溶接部検査について使用

の限定又は規定の強化がなされているため、十分な事前検討をすることが必要であ

る。

なお、従来の安全係数4.0基準のベースであるJIS B 8265「圧力容器の構造-一

般事項」に加え、安全係数3.5基準のベースであるJIS B 8267「圧力容器の設計」

が2008年に発行された。

3.2 材 料

3.2.1 一 般

内槽、外槽及びその付属設備に使用する材料は3.2.2「使用材料」によること*1。なお、

3.2.2に規定する材料以外の材料については、用途に応じて同項に規定する材料と同等以

上の性質*2を有することを確認した場合はこれを使用することができる。

【解 説】

*1 本指針では、使用実績の多い材料を規定する。

*2 規格材料と規格名称又は年号等が変更になった場合の変更後の化学成分、機械的

性質が同等以上のもの及び規格材料と化学成分、機械的性質が同等以上であって、

その板厚の範囲、製造方法又は形状が異なるもの(例えば鍛造品と鋼板の違い)を

いう。

パブコメ用ドラフト

- 21 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -3-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

3.2.2 使用材料

(1) 内槽及びその付属設備に使用する材料*(1)*(2)

内槽及びその付属設備に使用する材料は、最高使用温度及び最低使用温度において材

料に及ぼす化学的及び物理的影響に対し、安全な機械的性質を有するものでなければな

らない。

(a) 鉄鋼材料*(3)*(4)

(ⅰ)板

種類 記号 注

JIS G 3127(2005)

低温圧力容器用ニッケル鋼鋼板

SL9N520*(5) 1)

SL9N590 1)

JIS G 4304(2005)

熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯

JIS G 4305(2005)

冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯

SUS304

SUS304L

SUS316

SUS316L

(ⅱ)管

種類 記号 注

JIS G 3459(2004)

配管用ステンレス鋼管

SUS304TP

SUS304LTP

SUS316TP

SUS316LTP

JIS G 3460(2006)

低温配管用鋼管 STPL690 1)

JIS G 3468(2004)

配管用溶接大径ステンレス鋼管

SUS304TPY

SUS304LTPY

SUS316TPY

SUS316LTPY

(ⅲ)棒

種類 記号 注

JIS G 4303(2005)

ステンレス鋼棒

SUS304

SUS304L

SUS316

SUS316L

(ⅳ)鋳鍛造品*(6)

種類 記号 注

JIS G 3214(1991)

圧力容器用ステンレス鋼鍛鋼品

SUSF304

SUSF304L

SUSF316

SUSF316L

JIS G 5121(2003)

ステンレス鋼鋳鋼品

SCS13

SCS13A

SCS14

SCS14A

SCS16

SCS16A

SCS19

3.2.2 使用材料

(1) 内槽及びその付属設備に使用する材料*1*2

内槽及びその付属設備に使用する材料は、最高使用温度及び最低使用温度において材

料に及ぼす化学的及び物理的影響に対し、安全な機械的性質を有するものでなければな

らない。

(a) 鉄鋼材料*3*4

(ⅰ) 板

種類 記号 注

JIS G 3127(2013)

低温圧力容器用ニッケル鋼鋼板

SL7N590 1),2)

SL9N520*5 1)

SL9N590 1)

JIS G 4304(2012)

熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯

JIS G 4305(2012)

冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯

SUS304

SUS304L

SUS316

SUS316L

(ⅱ) 管

種類 記号 注

JIS G 3459(2016)

配管用ステンレス鋼管

SUS304TP

SUS304LTP

SUS316TP

SUS316LTP

JIS G 3460(2013)

低温配管用鋼管 STPL690 1)

JIS G 3468(2016)

配管用溶接大径ステンレス鋼管

SUS304TPY

SUS304LTPY

SUS316TPY

SUS316LTPY

(ⅲ) 棒

種類 記号 注

JIS G 4303(2012)

ステンレス鋼棒

SUS304

SUS304L

SUS316

SUS316L

(ⅳ) 鋳鍛造品*6

種類 記号 注

JIS G 3214(1991)

圧力容器用ステンレス鋼鍛鋼品

SUSF304

SUSF304L

SUSF316

SUSF316L

JIS G 5121(2003)

ステンレス鋼鋳鋼品

SCS13

SCS13A

SCS14

SCS14A

SCS16

SCS16A

SCS19

パブコメ用ドラフト

- 22 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -4-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

SCS19A

(b) 非鉄金属*(3)

(ⅰ)板及び条

種類 種別 質別 記号 注

JIS H 4000(2006)

アルミニウム及びアルミニウム合

金の板及び条

5052

O A5052P-O

H12、H22、H32 A5052P-H12、H22、

H32

H14、H24、H34 A5052P-H14、H24、

H34

H112 A5052P-H112

5083

O A5083P-O

H32 A5083P-H32

H112 A5083P-H112

(ⅱ)管

種類 種別 質別 記号 注

JIS H 4080(2006)

アルミニウム及びアルミニウム合

金継目無管

5052

H112、O A5052TE-H112、O

O A5052TD-O

H34 A5052TD-H34

5083 H112、O A5083TE-H112、O

O A5083TD-O

(ⅲ)棒、線及び形材

種類 種別 質別 記号 注

JIS H 4040(2006)

アルミニウム及びアルミニウム合

金の棒及び線

5052 H112、O A5052BE-H112、O

5083 H112、O A5083BE-H112、O

JIS H 4100(2006)

アルミニウム及びアルミニウム合

金の押出形材

5052 H112、O A5052S-H112、O

5083 H112、O A5083S-H112、O

(ⅳ)鋳鍛造品

種類 種別 質別 記号 注

JIS H 4140(1988)

アルミニウム及びアルミニウム合

金鍛造品

5083

H112、O A5083FD-H112、O

H112、O A5083FH-H112、O

JIS H 5202(1999)

アルミニウム合金鋳物

4種C T6 AC4C-T6

(T6W) AC4C-T6W

7種A F AC7A-F

(注) 1) オーステナイト系溶接材料を用いる場合の溶接部の許容引張応力は、母材の

許容引張応力の95%とする。この場合の異材溶接継手の溶接金属の強度は表3-1

の値*(7)を満足すること。ただし、溶接材料の強度が母材と同等以上の場合はこ

の限りでない。

SCS19A

(b) 非鉄金属*3

(ⅰ) 板及び条

種類 種別 質別 記号 注

JIS H 4000(2014)

アルミニウム及びアルミニウム合

金の板及び条

5052

O A5052P-O

H12、H22、H32 A5052P-H12、H22、

H32

H14、H24、H34 A5052P-H14、H24、

H34

H112 A5052P-H112

5083

O A5083P-O

H32 A5083P-H32

H112 A5083P-H112

(ⅱ) 管

種類 種別 質別 記号 注

JIS H 4080(2015)

アルミニウム及びアルミニウム合

金継目無管

5052

H112、O A5052TE-H112、O

O A5052TD-O

H34 A5052TD-H34

5083 H112、O A5083TE-H112、O

O A5083TD-O

(ⅲ) 棒、線及び形材

種類 種別 質別 記号 注

JIS H 4040(2015)

アルミニウム及びアルミニウム合

金の棒及び線

5052 H112、O A5052BE-H112、O

5083 H112、O A5083BE-H112、O

JIS H 4100(2015)

アルミニウム及びアルミニウム合

金の押出形材

5052 H112、O A5052S-H112、O

5083 H112、O A5083S-H112、O

(ⅳ) 鋳鍛造品

種類 種別 質別 記号 注

JIS H 4140(1988)

アルミニウム及びアルミニウム合

金鍛造品

5083

H112、O A5083FD-H112、O

H112、O A5083FH-H112、O

JIS H 5202(2010)

アルミニウム合金鋳物

4種C T6 AC4C-T6

(T6W) AC4C-T6W

7種A F AC7A-F

(注) 1) オーステナイト系溶接材料を用いる場合の溶接部の許容引張応力は、母材の

許容引張応力の95%とする。この場合の異質継手の溶接金属の強度は表3-1

の値*7を満足すること。ただし、溶接材料の強度が母材と同等以上の場合はこ

の限りでない。

パブコメ用ドラフト

- 23 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -5-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

表3-1 異材溶接金属の強度

0.2%耐力(N/mm2) 引張強さ(N/mm2)

362 655

【関連条項】

省令第14条(材料)

解釈例第12条(材料)

解釈例第13条(製造設備等の材料)

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)

解釈例別添第3条(材料の衝撃試験等)

【解 説】

*(1) 対象材料としてはJISに規定される材料で、かつ使用圧力におけるLNGの温

度まで使用可能な材料に限定した。

*(2) 安全係数4.0基準と安全係数3.5基準とでは、材料に要求される衝撃試験の規定が

異なる。ガス事業法における9%ニッケル鋼(SL9N590)の例を解表3-1に示す。

表3-1 異質継手の溶接金属の強度

0.2%耐力(N/mm2) 引張強さ(N/mm2)

362 655

2) 7%ニッケル鋼の熱処理方法は、中間熱処理+焼戻しとする。また、化学成分

は表3-2の値を満足すること*8。

表3-2 7%ニッケル鋼の化学成分 単位%

C Si Mn P S Ni

0.12以下 0.15以下 0.90以下 0.015以下 0.015以下 7.0~7.5

【関連条項】

省令第14条(材料)

解釈例第12条(材料)

解釈例第13条(製造設備等の材料)

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)

解釈例別添第3条(材料の衝撃試験等)

【解 説】

*1 対象材料としてはJISに規定される材料で、かつ使用圧力におけるLNGの温

度まで使用可能な材料に限定した。

*2 安全係数4.0基準と安全係数3.5基準とでは、材料に要求される衝撃試験の規定が

異なる。ガス事業法における7%ニッケル鋼(SL7N590)、9%ニッケル鋼(SL9N590)

の例を解表3-1に示す。

パブコメ用ドラフト

- 24 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -6-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解表3-1 9%ニッケル鋼(SL9N590)の衝撃試験の規定

安全係数4.0の規定 安全係数3.5の追加規定

適用規格 材料規格(JIS G 3127(2005))による 材料規格に規定する機械試験を行うとともに、JIS B

8267(2008)附属書Rによる

試験温度 -196℃ 最低設計金属温度以下の温度

試験片

頻度 同一スラブ又は同一鋼塊から圧延したままの

鋼板ごと及び同一熱処理条件ごと

熱処理された板ごと

方向 圧延方向(協定により圧延方向に直角に指定

可能)

圧延方向に直角な方向

測定項目 吸収エネルギー 横膨出

判定基準

厚さ

(mm)

6以上

8.5未満

8.5以上

11未満 11以上

平均値 21J 29J 41J

個々値 18J 25J 34J

3個の試験片の横膨出のすべてがJIS B 8267(2008)

図R.5に示す最小横膨出以上であること

JIS B 8267(2008)図R.5

*(3) 材料を使用する際には、JIS材料規格により材料の適用厚さを確認すること。

*(4) JISに規定される材料以外であって、内槽及びその付属設備に使用できる材料

として36%ニッケル鋼がある1)2)3)。

<参考文献>

1) 本郷進,白井政雄,山本修二,久保尚重,安松建郎,熊谷友寿: ”インバーLN

G配管の開発”,日本高圧力技術協会平成12年度春季講演会, (2000.5)

2) 本郷進,久保尚重,山川武人,古賀信次,小川和博,平田弘征他: ”インバー合金の

溶接に関する研究 (第1報~第3報)溶接学会全国大会講演概要 第66集”, (2000.4)

(第4報~第6報)溶接学会全国大会講演概要 第67集”, (2000.9)

3) 西本和俊,本郷進,久保尚重,古賀信次,長谷浩志,小川和博,平田弘征: ”

Prevention of hot cracking in multi-pass weld metal of Fe-36%Ni Invar Alloy”,

IIW Doc.Ⅸ-1964-00,(2000.7)

*(5) 9%ニッケル鋼の形材には、SL9N520が用いられる。9%ニッケル鋼の板材(SL9

N590)から形材(いわゆる溶接組立形鋼又はビルトアップ鋼)を製作する場合は、

溶接及び寸法等について十分な品質保証を行うこと。

解表3-1 7%ニッケル鋼(SL7N590)、9%ニッケル鋼(SL9N590)の衝撃試験の規定

安全係数4.0の規定 安全係数3.5の追加規定

適用規格 材料規格(JIS G 3127(2013))による 材料規格に規定する機械試験を行うとともに、JIS B

8267(2015)附属書Rによる

試験温度 -196℃ 最低設計金属温度以下の温度

試験片

頻度 同一スラブ又は同一鋼塊から圧延したままの

鋼板ごと及び同一熱処理条件ごと

熱処理された板ごと

方向 圧延方向(協定により圧延方向に直角に指定

可能)

圧延方向に直角な方向

測定項目 吸収エネルギー 横膨出

判定基準

厚さ

(mm)

6以上

8.5未満

8.5以上

11未満 11以上

平均値 21J 29J 41J

個々値 18J 25J 34J

3個の試験片の横膨出のすべてがJIS B 8267(2015)

図R.5に示す最小横膨出以上であること

JIS B 8267(2015)図R.5

*3 材料を使用する際には、JIS材料規格により材料の適用厚さを確認すること。

*4 JISに規定される材料以外であって、内槽及びその付属設備に使用できる材料

として36%ニッケル鋼がある1)2)3)。

<参考文献>

1) 本郷進、白井政雄、山本修二、久保尚重、安松建郎、熊谷友寿: 「インバーLN

G配管の開発」、日本高圧力技術協会平成12年度春季講演会、 (2000.5)

2) 本郷進、久保尚重、山川武人、古賀信次、小川和博、平田弘征他: 「インバー合金

の溶接に関する研究(第1報~第3報)溶接学会全国大会講演概要 第66集」、 (2000.4)

(第4報~第6報)溶接学会全国大会講演概要 第67集」、 (2000.9)

3) 西本和俊、本郷進、久保尚重、古賀信次、長谷浩志、小川和博、平田弘征:

「Prevention of hot cracking in multi-pass weld metal of Fe-36%Ni Invar

Alloy」、IIW Doc.Ⅸ-1964-00、(2000.7)

*5 9%ニッケル鋼の形材には、SL9N520が用いられる。7%ニッケル鋼、9%ニッ

ケル鋼の板材(SL7N590,SL9N590)から形材(いわゆる溶接組立形鋼又はビルトアッ

プ鋼)を製作する場合は、溶接及び寸法等について十分な品質保証を行うこと。

単位 mm

最小

横膨

0 20 40 60 80 100

母材又は溶接部の最大呼び厚さ

1.4

1.2

1

0.8

0.6

0.4

0.2

0

単位 mm

最小

横膨

0 20 40 60 80 100

母材又は溶接継手の最大呼び厚さ

1.4

1.2

1

0.8

0.6

0.4

0.2

0

パブコメ用ドラフト

- 25 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -7-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

*(6) 9%ニッケル鋼の鍛造品についてはJISに規定されていないので、一般に内槽

材料としてよく用いられるASTM A522について、その化学成分及び機械的性質を解

表3-2、解表3-3に示す。

ASTM A522-95b(Reapproved2007) Forged or Rolled 8 and 9% Nickel Alloy Steel

Flanges, Fittings, Valves, and Parts for

Low-Temperature Service

解表3-2 化学成分(%)

C Mn

P

S

Si Ni

Heat

Analysis

Product

Analysis

Heat

Analysis

Product

Analysis

Heat

Analysis

Product

Analysis

A522-95b

TypeⅠ 0.13以下 0.90以下

0.025

以下

0.030

以下

0.025

以下

0.15~

0.30

0.13~

0.32

8.50~

9.50

8.40~

9.60

解表3-3 機械的性質

最小引張強さ

(N/mm2)

最小降伏点又は0.2%耐力

(N/mm2)

最小伸び

(%)

最小断面収縮率

(%)

A522-95b

TypeⅠ 690 515 22 45

*(7) 異材溶接金属の強度はAPI 620(2010)「Design and Construction of large, We

lded, Low-Pressure Storage Tanks」(以下、API 620(2010)と略す。)に準じるも

のである。

3.2.2

(2) 外槽及びその付属設備に使用する材料

外槽及びその付属設備に使用する材料は、原則として次によること。

(a) 鉄鋼材料*(1)

(ⅰ)板*(2)、棒及び形材

種類 記号

規定最小

引張強さ

(N/mm2)

規定最小降伏点又は

0.2%耐力(N/mm2)

許容引張応力

(N/mm2)

t≦16 16<t≦40 40<t t≦16 16<t≦40 40<t

JIS G 3101 (2010) 一般構造用 圧延鋼材

SS400 400 245 235 215 163 156 143

JIS G 3106 (2008) 溶接構造用 圧延鋼材

SM400B 400 245 235 215

(40<t≦100) 163 156

143

(40<t≦100)

*6 7%ニッケル鋼、9%ニッケル鋼の鍛造品についてはJISに規定されていない

ので、一般に内槽材料としてよく用いられるASTM A52211)について、その化学成分

及び機械的性質を解表3-2、解表3-3に示す。

1) ASTM A522-95b(2014) 「Forged or Rolled 8 and 9% Nickel Alloy Steel Flanges,

Fittings, Valves, and Parts for Low-Temperature

Service」

解表3-2 化学成分(%)

C Mn

Si Ni

Heat

Analysis

Product

Analysis

Heat

Analysis

Product

Analysis

Heat

Analysis

Product

Analysis

A522-95b

TypeⅠ 0.13以下 0.90以下

0.025

以下

0.030

以下

0.025

以下

0.15~

0.30

0.13~

0.32

8.50~

9.50

8.40~

9.60

解表3-3 機械的性質

最小引張強さ

(N/mm2)

最小降伏点又は0.2%耐力

(N/mm2)

最小伸び

(%)

最小断面収縮率

(%)

A522-95b

TypeⅠ 690 515 22 45

*7 異質継手の溶接金属の強度はAPI 620(2013)「Design and Construction of lar

ge, Welded, Low-Pressure Storage Tanks」(以下、API 620(2013)と略す。)に準

じるものである。なお、異質継手とは、溶接金属と母材が機械的性質又は化学成分

において著しく異なる溶接継手のことをいう。

*8 熱処理方法及び化学成分は、日本ガス機器検査協会「平成22年度ガス工作物安全

解析等調査報告書」による。

3.2.2

(2) 外槽及びその付属設備に使用する材料

外槽及びその付属設備に使用する材料は、原則として次によること。

(a) 鉄鋼材料*1

(ⅰ) 板*2、棒及び形材

種類 記号

規定最小

引張強さ

(N/mm2)

規定最小降伏点又は

0.2%耐力(N/mm2)

許容引張応力

(N/mm2)

t≦16 16<t≦40 40<t t≦16 16<t≦40 40<t

JIS G 3101 (2015) 一般構造用 圧延鋼材

SS400 400 245 235 215 163 156 143

JIS G 3106 (2015) 溶接構造用 圧延鋼材

SM400B 400 245 235 215

(40<t≦100) 163 156

143

(40<t≦100)

パブコメ用ドラフト

- 26 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -8-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(t;厚さ(mm))

(ⅱ)管

種類 記号

規定最小

引張強さ

(N/mm2)

規定最小降伏点又は

0.2%耐力(N/mm2)

許容引張応力

(N/mm2)

JIS G 3452 (2010) 配管用 炭素鋼鋼管

SGP 290 - 135

JIS G 3454 (2007) 圧力配管用 炭素鋼鋼管

STPG 370 370 215 143

STPG 410 410 245 163

JIS G 3444 (2010) 一般構造用 炭素鋼鋼管

STK 400 400 235 156

STK 490 490 325 216

JIS G 3466 (2010) 一般構造用 角形鋼管

STKR 400 400 235 156

STKR 490 490 325 216

(ⅲ)鋳鍛造品

種類 記号

規定最小

引張強さ

(N/mm2)

規定最小降伏点又は

0.2%耐力(N/mm2)

許容引張応力

(N/mm2)

JIS G 4051 (2009) 機械構造用 炭素鋼鋼材

S25C 440 265 176

JIS G 3202 (1988) 圧力容器用 炭素鋼鍛鋼 品

SFVC2A 490 245 163

JIS G 5501 (1995) ねずみ鋳鉄 品

FC200 200 - 20

JIS G 5705 (2000) 可鍛鋳鉄品

FCMB34-10 340 205 42

〔備 考〕

[1] 表に示す許容引張応力は次のうち最小のものとする*3。ただし、鋳造品は除く。

(a) 規定最小引張強さの0.7

1.5

(b) 規定最小降伏点又は0.2%耐力の1

1.5

[2] 鋳造品に対する許容引張応力は次による*4。

(a) ねずみ鋳鉄品は規定最小引張強さの1

10

(b) 可鍛鋳鉄品は規定最小引張強さの1

[3] S25Cの規定最小引張強さを用いる場合は、JIS G 0404(2010)「鋼材の一般受渡し条件」によ

って試験を行い、最小引張強さが規定値を満足することを確認すること。

(t;厚さ(mm))

(ⅱ) 管

種類 記号

規定最小

引張強さ

(N/mm2)

規定最小降伏点又は

0.2%耐力(N/mm2)

許容引張応力

(N/mm2)

JIS G 3452 (2014) 配管用 炭素鋼鋼管

SGP 290 - 135

JIS G 3454 (2017) 圧力配管用 炭素鋼鋼管

STPG 370 370 215 143

STPG 410 410 245 163

JIS G 3444 (2015) 一般構造用 炭素鋼鋼管

STK 400 400 235 156

STK 490 490 315 210

JIS G 3466 (2015) 一般構造用 角形鋼管

STKR 400 400 245 163

STKR 490 490 325 216

(ⅲ) 鋳鍛造品

種類 記号

規定最小

引張強さ

(N/mm2)

規定最小降伏点又は

0.2%耐力(N/mm2)

許容引張応力

(N/mm2)

JIS G 4051 (2016) 機械構造用 炭素鋼鋼材

S25C 440 265 176

JIS G 3202 (2008) 圧力容器用 炭素鋼鍛鋼 品

SFVC2A 490 245 163

JIS G 5501 (1995) ねずみ鋳鉄 品

FC200 200 - 20

JIS G 5705 (2000) 可鍛鋳鉄品

FCMB34-10 340 205 42

〔備 考〕

[1] 表に示す許容引張応力は次のうち最小のものとする*3。ただし、鋳造品は除く。

(a) 規定最小引張強さの0.7

1.5

(b) 規定最小降伏点又は0.2%耐力の1

1.5

[2] 鋳造品に対する許容引張応力は次による*4。

(a) ねずみ鋳鉄品は規定最小引張強さの1

10

(b) 可鍛鋳鉄品は規定最小引張強さの1

[3] S25Cの規定最小引張強さを用いる場合は、JIS G 0404(2014)「鋼材の一般受渡し条件」によ

って試験を行い、最小引張強さが規定値を満足することを確認すること。

パブコメ用ドラフト

- 27 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -9-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(b) その他の材料

外槽ライナに非金属材料を使用する場合は、外槽ライナの目標性能を満足すること

を確認して、材料を選択すること*(5)*(6)。

【解 説】

*(1) 3.2.2(2)に規定する材料は、日本建築学会「鋼構造設計規準」(2005)等に示され

ている材料のうち、外槽及びその付属設備に通常使用される主な材料を示す。

*(2) 外槽ライナは、通常板厚2.4~4.5mmの薄い圧延鋼板が用いられている。

一般に薄い圧延鋼板は、厚い鋼板に比較すると、細粒の組織を持つという金属組

織的要因と、板厚方向の変形が容易であるという力学的要因のため、低温における

じん性に優れる。従って、外槽ライナとして使用する場合は、-30℃まで用いるこ

とができる。

SS41(SS400)、SM41B(SM400B)の薄い鋼板の低温特性に関する試験結果を以下に示

す1)。母材とその溶接継手について低温引張強度試験、シャルピー衝撃試験を行い

低温特性に関し、以下の結果が得られた。

(a) 引張特性

材質及び板厚の違いによる低温引張特性に差はないが、-100℃程度以下では

溶接継手の低温引張強度は、母材のそれに比べ低下する。スタッド溶接等の溶接

付加物の熱影響は、母材の低温引張特性に影響は及ぼさない。

(b) 衝撃特性

薄い板の低温衝撃特性は、厚い板のそれに比べ優れている。溶接継手の低温衝

撃特性は、母材のそれに比べ劣る。

(c) 供試材及び試験結果

(ⅰ)供試材

解表3-4 供試材(母材)の化学成分

供試材 板厚(mm) 化学成分(%)

C Si Mn P S

SS41 4.5 0.15 0.02 0.62 0.017 0.004

SM41B 4.5 0.10 0.21 0.67 0.009 0.002

SM41B 12.0 0.13 0.20 0.77 0.014 0.006

(b) その他の材料

外槽ライナに非金属材料を使用する場合は、外槽ライナの目標性能を満足すること

を確認して、材料を選択すること*5*6。

【解 説】

*1 3.2.2(2)「外槽及びその付属設備に使用する材料」に規定する材料は、日本建築

学会「鋼構造設計規準」(2005)等に示されている材料のうち、外槽及びその付属設

備に通常使用される主な材料を示す。

なお、規定最小引張強さ、規定最小降伏点又は0.2%耐力の値については、最新

のJIS規格によること。

*2 外槽ライナは、通常板厚2.4~4.5mmの薄い圧延鋼板が用いられている。

一般に薄い圧延鋼板は、厚い鋼板に比較すると、細粒の組織を持つという金属組

織的要因と、板厚方向の変形が容易であるという力学的要因のため、低温における

じん性に優れる。従って、外槽ライナとして使用する場合は、-30℃まで用いるこ

とができる。

SS41(SS400)、SM41B(SM400B)の薄い鋼板の低温特性に関する試験結果を以下に示

す1)。母材とその溶接継手について低温引張強度試験、シャルピー衝撃試験を行い

低温特性に関し、以下の結果が得られた。

(1) 引張特性

材質及び板厚の違いによる低温引張特性に差はないが、-100℃程度以下では

溶接継手の低温引張強度は、母材のそれに比べ低下する。スタッド溶接等の溶接

付加物の熱影響は、母材の低温引張特性に影響は及ぼさない。

(2) 衝撃特性

薄い板の低温衝撃特性は、厚い板のそれに比べ優れている。溶接継手の低温衝

撃特性は、母材のそれに比べ劣る。

(3) 供試材及び試験結果

(a) 供試材

解表3-4 供試材(母材)の化学成分

供試材 板厚(mm) 化学成分(%)

C Si Mn P S

SS41 4.5 0.15 0.02 0.62 0.017 0.004

SM41B 4.5 0.10 0.21 0.67 0.009 0.002

SM41B 12.0 0.13 0.20 0.77 0.014 0.006

パブコメ用ドラフト

- 28 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -10-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解表3-5 供試材(母材)の機械的性質

供試材 板厚(mm)

機械的性質

降伏点又は

0.2%耐力

(kgf/mm2)

引張強さ

(kgf/mm2)

最小伸び

(%)

SS41 4.5 30 47 38

SM41B 4.5 47 50 28

SM41B 12.0 31 46 29

〔備 考〕

[1] 溶接材料及び溶接継手

溶接材料:D4316 低水素系被覆材(寸法:3.2mm、4.5mm)

溶接継手:裏当金付き突合せ継手、重ね継手

[2] SM41B、板厚12.0mmは、薄い板と厚い板の低温特性の比較を行うための試験材料として、選

定した。

(ⅱ)低温引張特性

解表3-5 供試材(母材)の機械的性質

供試材 板厚(mm)

機械的性質

降伏点又は

0.2%耐力

(kgf/mm2)

引張強さ

(kgf/mm2)

最小伸び

(%)

SS41 4.5 30 47 38

SM41B 4.5 47 50 28

SM41B 12.0 31 46 29

〔備 考〕

[1] 溶接材料及び溶接継手

溶接材料:D4316 低水素系被覆材(寸法:3.2mm、4.5mm)

溶接継手:裏当金付き突合せ継手、重ね継手

[2] SM41B、板厚12.0mmは、薄い板と厚い板の低温特性の比較を行うための試験材料として、選

定した。

(b) 低温引張特性

解図 3-1 母材の低温引張特性

解図 3.13 A5083-O の疲労曲線

解図 3-2 突合せ継手の低温引張特性 解図3-1 母材の低温引張特性

解図 3.13 A5083-O の疲労曲線

解図3-2 突合せ継手の低温引張特性

パブコメ用ドラフト

- 29 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -11-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

〔備 考〕

[1] 引張試験片はJIS Z 3103 1号試験片に準じる。

〔備 考〕

[1] 引張試験片はJIS Z 3103(1987)「アーク溶接継手の片振り引張疲れ試験方法」の1号試験片

に準じる。

解図 3-4 スタッド付母材の低温引張特性

(試験片中央部に φ10mm のスタッ

ド溶接を行い、その熱影響を調査)

解図 3-3 重ね継手の低温引張特性 解図3-4 スタッド付母材の低温引張特性

(試験片中央部に φ10mm のスタッド

溶接を行い、その熱影響を調査)

解図3-3 重ね継手の低温引張特性

パブコメ用ドラフト

- 30 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -12-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(ⅲ)衝撃特性

(c) 衝撃特性

解図 3-5 突合せ継手のシャルピー

衝撃特性(SS41 4.5mm)

解図 3-7 突合せ継手のシャルピー衝

撃特性(SM41B 12.0mm)

解図 3-6 突合せ継手のシャルピー

衝撃特性(SM41B 4.5mm)

〔備 考〕

[1] 衝撃試験片は JIS Z 2202 4号試験片及

びサブサイズ試験片を使用。

[2] T(vE) は JIS B 8243(1981)における吸収

エネルギー要求値 vE を満足する温度。

解図3-5 突合せ継手のシャルピー

衝撃特性(SS41 4.5mm)

解図3-7 突合せ継手のシャルピー

衝撃特性(SM41B 12.0mm)

解図3-6 突合せ継手のシャルピー

衝撃特性(SM41B 4.5mm)

〔備 考〕

[1] 衝撃試験片は JIS Z 2202(1998)「金属材

料衝撃試験片」の4号試験片及びサブサイ

ズ試験片を使用。

[2] T(vE) は JIS B 8243(1981)「圧力容器の

構造」における吸収エネルギー要求値 vE を

満足する温度。

パブコメ用ドラフト

- 31 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -13-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

<参考文献>

1) 天然ガス導入促進センター: ”昭和63年度 プレストレストコンクリートLNG

貯槽技術開発調査報告書”,(平成元年3月)

*(3) 日本建築学会「鋼構造設計規準」(2005)による。

*(4) JIS B 8265(2000)「圧力容器の構造-一般事項-」による。

*(5) 外槽ライナの目標性能を満足する材料として、金属材料以外にもゴム、プラスチ

ック系の塗膜又はシート等の非金属材料の適用が考えられる。

非金属材料を使用する場合は、特に以下に示す性能を確認すること。

(a) 窒素ガスの保持及び湿分透過防止性能[1]

(b) コンクリート変形に対する伸び追従性及び密着性

(c) 疲労強度、耐アルカリ性、耐候性等の耐久性

〔備 考〕

[1] 保冷材の断熱性能を低下させないために、湿分透過防止性能が要求される。

この湿分の透過に関する試験方法として、JIS Z 0208(1976)「防湿包装材料の透湿度試験

方法」等が挙げられる。

*(6) 外槽側部ライナ及び外槽底部ライナに非金属材料を使用した実績として、海外

のPCLNG貯槽では、ポリウレタンコンパウンドやタールエポキシ等の材料があ

る。

外槽ライナの要求性能を考慮して、プラスチック系ではウレタン系、ゴム系では

クロロプレンゴム系の塗膜を用いた試験結果を以下に示す1)。

(a) 窒素ガスの保持性能

(ⅰ)気密性試験

(イ) 塗膜材を透気性の高いコンクリートに塗布し、解図3-8の試験装置を用い

常温(23℃)において透気量を測定した。

(ロ) 試験圧力50mmAqで7日間、0.5kgf/cm2で24時間、2.0kgf/cm2で24時間測

定を行ったが、透気量はウレタン系、クロロプレンゴム系ともに0であり、

気密性は良好であった。

(ⅱ)低温クラック試験

(イ) 高分子材料では、一般的に低温になる程気密性は向上するが、低温時の問

題としてコンクリートと塗膜材の熱収縮によるクラックの発生が考えられ

るので、塗膜材をコンクリート(300×300×60mm)に塗布した試験体を-

30℃、-60℃の低温状態にし、常温に戻した後、クラックの有無を確認した。

(ロ) ウレタン系、クロロプレンゴム系ともにクラックは発生しないことを確認

した。

<参考文献>

1) 天然ガス導入促進センター: 「昭和63年度 プレストレストコンクリートLNG

貯槽技術開発調査報告書」、(平成元年3月)

*3 日本建築学会「鋼構造設計規準」(2005)による。

*4 JIS B 8265(2000)「圧力容器の構造-一般事項」による。

*5 外槽ライナの目標性能を満足する材料として、金属材料以外にもゴム、プラスチ

ック系の塗膜又はシート等の非金属材料の適用が考えられる。

非金属材料を使用する場合は、特に以下に示す性能を確認すること。

(1) 窒素ガスの保持及び湿分透過防止性能[1]

(2) コンクリート変形に対する伸び追従性及び密着性

(3) 疲労強度、耐アルカリ性、耐候性等の耐久性

〔備 考〕

[1] 保冷材の断熱性能を低下させないために、湿分透過防止性能が要求される。

この湿分の透過に関する試験方法として、JIS Z 0208(1976)「防湿包装材料の透湿度試験

方法」等が挙げられる。

*6 外槽側部ライナ及び外槽底部ライナに非金属材料を使用した実績として、海外

のPCLNG貯槽では、ポリウレタンコンパウンドやタールエポキシ等の材料があ

る。

外槽ライナの要求性能を考慮して、プラスチック系ではウレタン系、ゴム系では

クロロプレンゴム系の塗膜を用いた試験結果を以下に示す1)。

(1) 窒素ガスの保持性能

(a) 気密性試験

(ⅰ)塗膜材を透気性の高いコンクリートに塗布し、解図3-8の試験装置を用

い常温(23℃)において透気量を測定した。

(ⅱ)試験圧力50mmAqで7日間、0.5kgf/cm2で24時間、2.0kgf/cm2で24時間測

定を行ったが、透気量はウレタン系、クロロプレンゴム系ともに0であり、

気密性は良好であった。

(b) 低温クラック試験

(ⅰ)高分子材料では、一般的に低温になる程気密性は向上するが、低温時の問

題としてコンクリートと塗膜材の熱収縮によるクラックの発生が考えられ

るので、塗膜材をコンクリート(300×300×60mm)に塗布した試験体を-

30℃、-60℃の低温状態にし、常温に戻した後、クラックの有無を確認した。

(ⅱ)ウレタン系、クロロプレンゴム系ともにクラックは発生しないことを確認

した。

パブコメ用ドラフト

- 32 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -14-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解図3-8 気密性試験

(b) コンクリート変形に対する伸び追従性

(ⅰ)引張試験

(イ) JIS K 6301ダンベル3号形試験体にて引張強度を測定した。

(ロ) 引張強度は、ウレタン系の場合常温で58kgf/cm2、-30℃で96kgf/cm2で

あるが、-60℃では17kgf/cm2であった。

また、クロロプレンゴム系では常温で106kgf/cm2、-30℃で47kgf/cm2、

-60℃で26kgf/cm2であり、温度の低下とともに強度も低下した。

(ⅱ)ゼロスパンテンション試験

(イ) コンクリートひび割れに対する伸び追従性を調査するため、解図3-9に示

す試験体を用い、局部伸び(ゼロスパン伸び)を測定した。

(ロ) 局部伸びは、常温から-30℃まではウレタン系で平均5.8mm(最小4.6mm)、

クロロプレンゴム系で平均1.0mm(最小0.5mm)であるが、-60℃における伸

びはほぼ0であり、伸び追従性はない。

解図3-9 ゼロスパンテンション試験

解図3-8 気密性試験

(2) コンクリート変形に対する伸び追従性

(a) 引張試験

(ⅰ)JIS K 6301(1995)「ダンベル3号形試験体」にて引張強度を測定した。

(ⅱ)引張強度は、ウレタン系の場合常温で58kgf/cm2、-30℃で96kgf/cm2で

あるが、-60℃では17kgf/cm2であった。

また、クロロプレンゴム系では常温で106kgf/cm2、-30℃で47kgf/cm2、

-60℃で26kgf/cm2であり、温度の低下とともに強度も低下した。

(b) ゼロスパンテンション試験

(ⅰ)コンクリートひび割れに対する伸び追従性を調査するため、解図3-9に

示す試験体を用い、局部伸び(ゼロスパン伸び)を測定した。

(ⅱ)局部伸びは、常温から-30℃まではウレタン系で平均5.8mm(最小4.6mm)、

クロロプレンゴム系で平均1.0mm(最小0.5mm)であるが、-60℃における伸

びはほぼ0であり、伸び追従性はない。

解図3-9 ゼロスパンテンション試験

パブコメ用ドラフト

- 33 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -15-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(c) コンクリートとの密着性

(ⅰ)せん断付着強度試験

(イ) 塗膜材をコンクリートに塗布し、解図3-10に示す試験体を用い、せん断付

着強度を測定した。

(ロ) 塗膜とコンクリートとのせん断付着強度は、常温においてウレタン系

12kgf/cm2程度、クロロプレンゴム系では14kgf/cm2程度であり、-30℃、

-60℃の低温では常温の3倍以上の強度を有していた。

破断状況は、常温においては塗膜自身のせん断破壊であり、-30℃、-60℃

の低温においてはコンクリート側で剥離した。

解図3-10 せん断付着強度試験

<参考文献>

1) 天然ガス導入促進センター: ”昭和63年度 プレストレストコンクリートLNG

貯槽技術開発調査報告書”,(平成元年3月)

(3) コンクリートとの密着性

(a) せん断付着強度試験

(ⅰ)塗膜材をコンクリートに塗布し、解図3-10に示す試験体を用い、せん断

付着強度を測定した。

(ⅱ)塗膜とコンクリートとのせん断付着強度は、常温においてウレタン系

12kgf/cm2程度、クロロプレンゴム系では14kgf/cm2程度であり、-30℃、

-60℃の低温では常温の3倍以上の強度を有していた。

破断状況は、常温においては塗膜自身のせん断破壊であり、-30℃、-60℃

の低温においてはコンクリート側で剥離した。

解図3-10 せん断付着強度試験

<参考文献>

1) 天然ガス導入促進センター: 「昭和63年度 プレストレストコンクリートLNG

貯槽技術開発調査報告書」、(平成元年3月)

パブコメ用ドラフト

- 34 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -16-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

3.2.3 材料の縦弾性係数及び線膨張係数

主要材料の縦弾性係数及び線膨張係数は次によること。

(1) 内槽材料

内槽材料の縦弾性係数及び線膨張係数は表3-2によること*(1)。

表3-2 内槽材料の縦弾性係数及び線膨張係数

種類 縦弾性係数(N/mm2) 線膨張係数

(×10-6/℃) 常温 -162℃

9%ニッケル鋼 191,000*(2) 204,000*(2) 9.2*(2)

アルミニウム合金 71,000*(3) 78,000*(3) 18.5*(3)

オーステナイト系ステンレス鋼 195,000*(3) 207,000*(3) 15.0*(3)

〔備 考〕

[1] 線膨張係数は20℃から-162℃までの平均値を示す。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例別添第9条(縦弾性係数及び線膨張係数)

【解 説】

*(1) 36%ニッケル鋼の縦弾性係数及び線膨張係数の例を次に示す。

解表3-6 縦弾性係数及び線膨張係数の例

種類 縦弾性係数

(N/mm2)

線膨張係数

(×10-6/℃)

36%ニッケル鋼 138,000~155,000 1.3~1.7

〔備 考〕

[1] 線膨張係数は20℃から-162℃までの例を示す。

3.2.3 材料の縦弾性係数及び線膨張係数

主要材料の縦弾性係数及び線膨張係数は次によること。

(1) 内槽材料

内槽材料の縦弾性係数及び線膨張係数は表3-3によること*1。

表3-3 内槽材料の縦弾性係数及び線膨張係数

種類 縦弾性係数(N/mm2) 線膨張係数

(×10-6/℃) -162℃ 常温

7%ニッケル鋼 204,000*2 191,000*2 9.2*2

9%ニッケル鋼 204,000*3 191,000*3 9.2*3

アルミニウム合金 78,000*4 71,000*4 18.7*4

オーステナイト系ステンレス鋼 207,000*4 195,000*4 13.8*4

〔備 考〕

[1] 線膨張係数は-162℃から20℃までの平均値を示す。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例別添第9条(縦弾性係数及び線膨張係数)

【解 説】

*1 36%ニッケル鋼の縦弾性係数及び線膨張係数の例1)2)を解表3-6に示す。

なお、36%ニッケル鋼はLNG貯槽への採用実績がなく、ミルメーカー間の値

のばらつきが大きいことを踏まえ、実設計を行う際はミルメーカーと十分協議の

上、設計温度に応じ適切に設計値を定めること。

解表3-6 縦弾性係数及び線膨張係数の例

種類

縦弾性係数

(N/mm2)

線膨張係数

(×10-6/℃)

-162℃ 常温

36%ニッケル鋼 138,000~144,000 140,000~155,000 1.3~1.7

〔備 考〕

[1] 線膨張係数は-162℃から常温までの例を示す。

<参考文献>

1) 神谷篤志他:「36%Ni 鋼のLNG地下式貯槽メンブレンへの適用に関する研究」、

圧力技術 Vol.39,No.6,2001

2) 本郷進他:「インバー合金を用いたLNG配管の開発(第1報)-インバー合金製

LNG配管の設計-」、圧力技術 Vol.41,No.3,2003

*2 日本ガス機器検査協会「平成22年度ガス工作物安全解析等調査報告書」による。

パブコメ用ドラフト

- 35 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -17-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

*(2) 日本造船研究協会「LNG運搬船の安全基準に関する調査研究報告書No.50R」

(1976)による。

*(3) アルミニウム合金はA5083、オーステナイト系ステンレス鋼はSUS304の値を示す。

3.2.3

(2) 外槽材料

外槽材料の縦弾性係数及び線膨張係数は表3-3*(1)によること。

表3-3 外槽材料の縦弾性係数及び線膨張係数

種類 縦弾性係数

(N/mm2)

線膨張係数

(×10-6/℃)

炭素鋼 203,000 10.9

【解 説】

*(1) JIS B 8265(2010)「圧力容器の構造-一般事項-」による。

3.3 許容応力

3.3.1 内槽の許容応力

(1) 許容引張応力

3.2.2に規定する材料の許容引張応力ftは、適用法規で定める規定値によること。

(2) 耐震設計用許容応力*(1)

レベル1耐震性能評価に用いる耐震設計用許容応力Sは次の値のうち、いずれか小さ

いものとする。

(a) 使用温度における引張強さ*(2)の50%

(b) 使用温度における降伏点又は0.2%耐力*(2)の85%(A5083-O及びオーステナイト系

ステンレス鋼については90%)

(3) 応力強さの種類と耐震設計用許容応力強さ*(1)

地震時の荷重により発生する応力に対しては、その種類と組合せにより次に示す許容

応力強さを用いること*(3)。

(a) 一次一般膜応力強さ(Pm)に対してはS

(b) 一次(一般または局部)膜応力と一次曲げ応力の和の応力強さ(PL+Pb)に対して

は1.5S

(c) 一次応力と二次応力の和の応力強さ(PL+Pb+Q)の変動範囲に対しては、規定最

小降伏点又は0.2%耐力[1]の2倍(ただし、3.4に示す疲労強度の確認を行った場合は、

この限りでない。)

*3 日本造船研究協会「LNG運搬船の安全基準に関する調査研究報告書No.50R」

(1976)による。

*4 JIS B 8265(2017)「圧力容器の構造-一般事項」による。

3.2.3

(2) 外槽材料

外槽材料の縦弾性係数及び線膨張係数は表3-4*1によること。

表3-4 外槽材料の縦弾性係数及び線膨張係数

種類 縦弾性係数

(N/mm2)

線膨張係数

(×10-6/℃)

炭素鋼 203,000 11.5

【解 説】

*1 JIS B 8265(2017)「圧力容器の構造-一般事項」による。

3.3 許容応力

3.3.1 内槽の許容応力

(1) 許容引張応力

3.2.2「使用材料」に規定する材料の許容引張応力ftは、適用法規で定める規定値によ

ること。

(2) 耐震設計用許容応力*1

レベル1耐震性能評価に用いる耐震設計用許容応力Sは次の値のうち、いずれか小さ

いものとする。

(a) 使用温度における引張強さ*2の50%

(b) 使用温度における降伏点又は0.2%耐力*2の85%(A5083-O及びオーステナイト系

ステンレス鋼については90%)

(3) 応力強さの種類と耐震設計用許容応力強さ*1

地震時の荷重により発生する応力に対しては、その種類と組合せにより次に示す許容

応力強さを用いること*3。

(a) 一次一般膜応力強さ(Pm)に対してはS

(b) 一次(一般または局部)膜応力と一次曲げ応力の和の応力強さ(PL+Pb)に対し

ては1.5S

(c) 一次応力と二次応力の和の応力強さ(PL+Pb+Q)の変動範囲に対しては、規定最

小降伏点又は0.2%耐力[1]の2倍(ただし、3.4「疲労強度」に示す疲労強度の確認を

行った場合は、この限りでない。)

パブコメ用ドラフト

- 36 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -18-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

〔備 考〕

[1] 9%ニッケル鋼及びA5083-0については、規定値の代わりに使用温度における値を用いるこ

とができる。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第19条(許容応力)第1項第一号

解釈例別添第5条(許容引張応力)

【解 説】

*(1) 本指針においては、応力の種類及びその組合せ等を考慮し、地震時の荷重に対す

る許容応力をASME Boiler & Pressure Vessel Code Sec.Ⅷ Div.2(1998)の考え方

に従って規定する。

*(2) 低温強度としては 次に示す値を採用することができる。なお、これによらない

場合は十分な試験等により、あらかじめ確認した値とすること。

(a) 9%ニッケル鋼

異材溶接継手を用いた9%ニッケル鋼の低温強度は解表3-7による。

解表3-7 9%ニッケル鋼異材溶接金属の低温強度

使用温度(℃)

-162 -100 -50 0 20

0.2%耐力(N/mm2) 455 399 381 366 362

引張強さ(N/mm2) 751 694 673 659 655

〔備 考〕

[1] この表は、日本造船研究協会の文献1)に示されている9%ニッケル鋼の異材溶接金属

の引張強さ及び0.2%耐力の温度依存性を示す式より、常温の強度として表3-1の値を用

いて各温度における強度を求めた値を示す。

この値を異材溶接継手の全溶着金属2)、溶接金属2)及び継手3)の各温度における強度試

験の結果と比較すると解図3-11のようになる。これより解表3-7の値は試験値よりも安

全側にあり、9%ニッケル鋼の異材溶接継手の低温強度の評価に十分用いられるものと

考えられる。また、ASME4)においても異材溶接継手の低温時における引張強度を規

定しているが、この値に対しても解表3-7の値は安全側となっている。

〔備 考〕

[1] 7%ニッケル鋼、9%ニッケル鋼及びA5083-0については、規定値の代わりに使用温度にお

ける値を用いることができる。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第19条(許容応力)第1項第一号

解釈例別添第5条(許容引張応力)

【解 説】

*1 本指針においては、応力の種類及びその組合せ等を考慮し、地震時の荷重に対す

る許容応力をASME Boiler & Pressure Vessel Code Sec.Ⅷ Div.2(1998)の考え方

に従って規定する。

*2 低温強度としては 次に示す値を採用することができる。なお、これによらない

場合は十分な試験等により、あらかじめ確認した値とすること。

(1) 7%ニッケル鋼、9%ニッケル鋼

異質継手を用いた7%ニッケル鋼、9%ニッケル鋼の低温強度は解表3-7に

よる。

解表3-7 7%ニッケル鋼、9%ニッケル鋼異質継手の溶接金属の低温強度

使用温度(℃)

-162 -100 -50 0 20

0.2%耐力(N/mm2) 455 399 381 366 362

引張強さ(N/mm2) 751 694 673 659 655

〔備 考〕

[1] この表は、日本造船研究協会の文献1)に示されている9%ニッケル鋼の異質継手の溶

接金属の引張強さ及び0.2%耐力の温度依存性を示す式より、常温の強度として表3-

1の値を用いて各温度における強度を求めた値を示す。

この値を異質継手の全溶着金属2)、溶接金属2)及び継手3)の各温度における強度試験の

結果と比較すると解図3-11のようになる。これより解表3-7の値は試験値よりも安

全側にあり、9%ニッケル鋼の異質継手の低温強度の評価に十分用いられるものと考え

られる。また、ASME4)においても異質継手の低温時における引張強度を規定してい

るが、この値に対しても解表3-7の値は安全側となっている。

7%ニッケル鋼の異質継手の金属の低温強度は、平成22年度「ガス工作物安全解析等

調査報告書」で、9%ニッケル鋼と同等の性能を有することが確認されている。

パブコメ用ドラフト

- 37 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -19-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解図3-11 9%ニッケル鋼異材溶接継手の低温強度

(b) A5083-O

A5083-Oの低温強度は解表3-8による。

解図3-11 9%ニッケル鋼異質継手の低温強度

(2) A5083-O

A5083-Oの低温強度は解表3-8による。

パブコメ用ドラフト

- 38 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -20-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解表3-8 A5083-Oの低温強度

板厚(mm)

-162 -100 -50 0 20

0.8を超え

40以下

0.2%耐力 136 128 127 127 127

引張強さ 338 284 277 275 275

40を超え

80以下

0.2%耐力 127 119 118 118 118

引張強さ 338 284 277 275 275

〔備 考〕

[1] この表に示す低温時の引張強さはASME4)の規定による。低温時の0.2%耐力についてもAS

MEの資料5)によった。なお、表の常温における値はJISの規格値を示す。

解表3-8の値は我が国における強度試験データ6)7)と比較しても安全側にあり、A5083-0の低温強

度の評価として十分使用できるものと考えられる。

<参考文献>

1) 日本造船研究協会: ”LNG運搬船の安全基準に関する調査研究報告書No.50R”,

(1976)

2) 石川島播磨重工業(株): ”9%ニッケル鋼溶接部低温引張強度特性確認試験(報告

書)”,(1980)

3) 日本溶接協会55委員会: ”N-TUF CR196(5.5%Ni鋼)のLNG陸上タンクへの適用

に関する試験結果”,(1975)

4) ASME Boiler & Pressure Vessel Code Sec.Ⅷ Div.1 Part ULT: ”Requirements for

Pressure Vessels Constructed of Materials Having Higher Allowable Stresses at

Low Temperature”,(1980)

5) ASME: ”Analysis of Data in Support of Proposed Response to Inquiry

Concerning Design Stresses for 5083-O at Cryogenic Temperatures”

6) 日本造船研究協会 : ”LNG運搬船の安全基準に関する調査研究報告書

No.29R”,(1974)

7) 神戸製鋼(株 ): ”神鋼のLNGタンク用アルミニウム合金 5083-Oの材料特

性”,(1978)

*(3) 一次応力は外荷重と釣合関係にある応力で、これが塑性崩壊限界値に達すれば変

形が過大となって破損に至る応力であり、これらはさらに次のように分類されてい

る。

解表3-8 A5083-Oの低温強度

板厚(mm)

-162 -100 -50 0 20

1.3を超え38.1

以下

0.2%耐力 136 128 127 127 127

引張強さ 340 285 276 276 276

38.1を超え

76.2以下

0.2%耐力 127 119 118 118 118

引張強さ 332 279 270 269 269

〔備 考〕

[1] この表に示す低温時の引張強さはASME4)の規定による。低温時の0.2%耐力についてもAS

MEの資料5)によった。なお、表の常温における値はJISの規格値を示す。

解表3-8の値は我が国における強度試験データ6)7)と比較しても安全側にあり、A5083-0の低

温強度の評価として十分使用できるものと考えられる。

<参考文献>

1) 日本造船研究協会: 「LNG運搬船の安全基準に関する調査研究報告書No.50R」、

(1976)

2) 石川島播磨重工業(株): 「9%ニッケル鋼溶接部低温引張強度特性確認試験(報

告書)」、(1980)

3) 日本溶接協会55委員会: 「N-TUF CR196(5.5%Ni鋼)のLNG陸上タンクへの適

用に関する試験結果」、(1975)

4) ASME Boiler & Pressure Vessel Code Sec.Ⅷ Div.1 Part ULT: 「Requirements for

Pressure Vessels Constructed of Materials Having Higher Allowable Stresses at

Low Temperature」、(2017)

5) ASME: 「Analysis of Data in Support of Proposed Response to Inquiry

Concerning Design Stresses for 5083-O at Cryogenic Temperatures」

6) 日本造船研究協会: 「LNG運搬船の安全基準に関する調査研究報告書No.29R」、

(1974)

7) 神戸製鋼(株): 「神鋼のLNGタンク用アルミニウム合金5083-Oの材料特性」、

(1978)

*3 一次応力は外荷重と釣合関係にある応力で、これが塑性崩壊限界値に達すれば変

形が過大となって破損に至る応力であり、これらはさらに次のように分類されてい

る。

(N/mm2)

温度(℃)

強度 (N/mm2)

温度(℃)

強度

パブコメ用ドラフト

- 39 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -21-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解表3-9 一次応力

応力の分類 一次応力(外荷重と釣合うために発生する応力)

一般膜応力 局部膜応力 曲げ応力

説明

一次応力の板厚平均値で

ある膜応力。広範囲に分

布するもので、構造不連

続部の応力と応力集中は

除外。

一次応力のうち、任意断面

における板厚平均値。構造

不連続部の応力は入るが応

力集中は除外。

一次応力のうち、断面の図

心からの距離に比例する

成分。構造不連続部の応力

と応力集中は除外。

記号 Pm PL Pb

局部膜応力とされる部分は、板厚変更部、補強部等の構造不連続部周辺で、1.1

Sを超える応力強さの領域が子午線方向(側板では軸方向、屋根または底板では半

径方向)に 以内であって、その領域から子午線方向に2.5 の範囲内に1.1S

を超える一次一般膜応力が存在しない場合をいう。

R:屋根の場合は平均曲率半径、側板の場合は平均半径、アニュラプレート

の場合は側板の平均半径。

t :当該領域の板厚。板厚変更部では小さい方の値とする。

S:耐震設計用許容応力。

二次応力は構造各部の相互の自己拘束に基づいて発生する応力であって、弾性的

に計算された応力強さが降伏点を超えても応力や変形はある程度内にとどまる自

己平衡的な応力である。

ピーク応力は局部的に集中する応力であるが、他の構造部分が弾性範囲にとどま

っていれば構造全体の変形にはあまり関係がない応力である。ただし、疲労に対し

ては検討を要する。

解表3-10 二次応力

応力の分類 二次応力

ピーク応力 膜応力と曲げ応力

説明

構造の連続性を保つために必要な自己

平衡応力で、構造不連続部に生ずる。機

械的荷重又は熱膨張の差によって発生

し得る。局部的応力集中は除く。

(1) 切欠きの応力集中によって一次応

力又は二次応力に加わる応力の増加

分。

(2) 疲労は起こすが容器形状のゆがみ

を生じないある種の熱応力。

記号 Q F

3.3.2 外槽*(1)、内槽屋根骨、架構等の許容応力*(2)

(1) 許容引張応力

許容引張応力ftは3.2.2(2)によること。

ただし、内槽屋根骨及びポンプバレルについては、3.3.1(1)によること。ポンプバレ

ル架構の接合材については、規定最小降伏点又は0.2%耐力の1

1.5とする。

また、地震時等の荷重に対しては1.5ftまで許容できるものとする。

解表3-9 一次応力

応力の分類 一次応力(外荷重と釣合うために発生する応力)

一般膜応力 局部膜応力 曲げ応力

説明

一次応力の板厚平均値で

ある膜応力。広範囲に分

布するもので、構造不連

続部の応力と応力集中は

除外。

一次応力のうち、任意断面

における板厚平均値。構造

不連続部の応力は入るが応

力集中は除外。

一次応力のうち、断面の図

心からの距離に比例する

成分。構造不連続部の応力

と応力集中は除外。

記号 Pm PL Pb

局部膜応力とされる部分は、板厚変更部、補強部等の構造不連続部周辺で、1.1

Sを超える応力強さの領域が子午線方向(側板では軸方向、屋根または底板では半

径方向)に 以内であって、その領域から子午線方向に2.5 の範囲内に1.1S

を超える一次一般膜応力が存在しない場合をいう。

R:屋根の場合は平均曲率半径、側板の場合は平均半径、アニュラプレート

の場合は側板の平均半径。

t :当該領域の板厚。板厚変更部では小さい方の値とする。

S:耐震設計用許容応力。

二次応力は構造各部の相互の自己拘束に基づいて発生する応力であって、弾性的

に計算された応力強さが降伏点を超えても応力や変形はある程度内にとどまる自

己平衡的な応力である。

ピーク応力は局部的に集中する応力であるが、他の構造部分が弾性範囲にとどま

っていれば構造全体の変形にはあまり関係がない応力である。ただし、疲労に対し

ては検討を要する。

解表3-10 二次応力

応力の分類 二次応力

ピーク応力 膜応力と曲げ応力

説明

構造の連続性を保つために必要な自己

平衡応力で、構造不連続部に生ずる。機

械的荷重又は熱膨張の差によって発生

し得る。局部的応力集中は除く。

(1) 切欠きの応力集中によって一次応

力又は二次応力に加わる応力の増加

分。

(2) 疲労は起こすが容器形状のゆがみ

を生じないある種の熱応力。

記号 Q F

3.3.2 外槽*1、内槽屋根骨、架構等の許容応力*2

(1) 許容引張応力

許容引張応力ftは3.2.2「使用材料」(2)「外槽及びその付属設備に使用する材料」に

よること。

ただし、内槽屋根骨及びポンプバレルについては、3.3.1「内槽の許容応力」(1)「許

容引張応力」によること。ポンプバレル架構の接合材については、規定最小降伏点又は

Rt Rt Rt Rt

パブコメ用ドラフト

- 40 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -22-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(2) 許容せん断応力

許容せん断応力は次式により求めること。

3

t

s

ff =

ここに、fs:許容せん断応力(N/mm2)

ft:許容引張応力(N/mm2)

また、地震時等の荷重に対しては1.5fsまで許容できるものとする。

(3) 許容圧縮応力

(a) 鉄鋼材料の許容圧縮応力は次によること。

λ≦Λのとき

ν

f

t

c

1.50.41

2

Λ

- 

λ>Λのとき

2

1.50.277

Λλ

ff t

c=

tf.

1.560

2

=Λ

ここに、fc :許容圧縮応力(N/mm2)

λ :圧縮材の細長比

i

lλ k=

lk:座屈長さ(mm)

i :座屈軸についての断面2次半径(mm)

E:縦弾性係数(N/mm2)

2

3

2

2

3

Λλ

ν +=

Λ:限界細長比

また、地震時等の荷重に対しては1.5fcまで許容できるものとする。

(b) アルミニウム合金の許容圧縮応力は次によること。

λ≦20のとき

fc=ft

0.2%耐力の1

1.5とする。

また、地震時等の荷重に対しては1.5ftまで許容できるものとする。

(2) 許容せん断応力

許容せん断応力は次式により求めること。

3

t

s

ff =

ここに、fs:許容せん断応力(N/mm2)

ft:許容引張応力(N/mm2)

また、地震時等の荷重に対しては1.5fsまで許容できるものとする。

(3) 許容圧縮応力

(a) 鉄鋼材料の許容圧縮応力は次によること。

λ≦Λのとき

ν

f

t

c

1.50.41

2

Λ

- 

λ>Λのとき

2

1.50.277

Λλ

ff t

c=

tf.

1.560

2

=Λ

ここに、fc :許容圧縮応力(N/mm2)

λ :圧縮材の細長比

i

lλ k=

lk:座屈長さ(mm)

i :座屈軸についての断面2次半径(mm)

E:縦弾性係数(N/mm2)

2

3

2

2

3

Λλ

ν +=

Λ:限界細長比

また、地震時等の荷重に対しては1.5fcまで許容できるものとする。

(b) アルミニウム合金の許容圧縮応力は次によること。

λ≦20のとき

fc=ft

パブコメ用ドラフト

- 41 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -23-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

20<λ≦Λのとき

ν

α

f

t

c

1.51

2

- 

λ>Λのとき

tc fλ

αf 1.5

2.25

12

=

Λ

ただし、α及びΛは材質に応じて表3-4による。

ここに、fc :許容圧縮応力(N/mm2)

λ :圧縮材の細長比

Λ=i

lk

lk:座屈長さ(mm)

i :座屈軸についての断面2次半径(mm)

ν=1.5

Λλ

0.69.0 + かつ ν≧1.5

Λ:限界細長比

また、地震時等の荷重に対しては1.5fcまで許容できるものとする。

表3-4 α及びΛの値

A5083-O A5083-H32 A6061-T6 A6063-T6

α 0.7 0.7 0.5 0.5

Λ 140 100 80 90

(4) 許容曲げ応力

(a) 鉄鋼材料の許容曲げ応力は次によること*(3)。

強軸回りに曲げを受ける場合の圧縮側許容曲げ応力は、次式による。

λb≦pλbのとき

ν

ff t

b

5.1=

pλb<λb≦eλbのとき

ν

fλλ

λλ

f

tbpe

bp

b

1.50.41b

b

--

eλb<λbのとき

20<λ≦Λのとき

ν

α

f

t

c

1.51

2

- 

λ>Λのとき

tc fλ

αf 1.5

2.25

12

=

Λ

ただし、α及びΛは材質に応じて表3-5による。

ここに、fc :許容圧縮応力(N/mm2)

λ :圧縮材の細長比

Λ=i

lk

lk:座屈長さ(mm)

i :座屈軸についての断面2次半径(mm)

ν=1.5

Λλ

0.69.0 + かつ ν≧1.5

Λ:限界細長比

また、地震時等の荷重に対しては1.5fcまで許容できるものとする。

表3-5 α及びΛの値

A5083-O A5083-H32 A6061-T6 A6063-T6

α 0.7 0.7 0.5 0.5

Λ 140 100 80 90

(4) 許容曲げ応力

(a) 鉄鋼材料の許容曲げ応力は次によること*3。

強軸回りに曲げを受ける場合の圧縮側許容曲げ応力は、次式による。

λb≦pλbのとき

ν

ff t

b

5.1=

pλb<λb≦eλbのとき

ν

fλλ

λλ

f

tbpe

bp

b

1.50.41b

b

--

eλb<λbのとき

パブコメ用ドラフト

- 42 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -24-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

17.2

5.112

t

b

b

f

λf =

ここに、

fb :許容曲げ応力(N/mm2)

ft :許容引張応力(N/mm2)で、(1)による。

λb=e

y

M

M:曲げ材の細長比

eλb=6.0

1:弾性限界細長比

pλb:塑性限界細長比

(ⅰ)補剛区間で曲げモーメントが直線的に変化する場合、

pλb=0.6+0.3

C=1.75+1.05 +0.3 :許容曲げ応力の補正係数

ただし、Cは2.3以下とする。

なお、M1及びM2はそれぞれ座屈区間端部における大きいほう及び

小さいほうの強軸回りの曲げモーメントであり、 は複曲率

の場合正、単曲率の場合負とする。

(ⅱ)補剛区間で曲げモーメントが最大となる場合、

pλb=0.3

C=1.0

ν=

2

3

2

2

3

be

b

λ

λ+ :曲げ材の座屈安全率

My=1.5ft Z:降伏モーメント

Me= 2

2

4

4

b

Y

b

ωY

l

GJEIπ

l

EIEIπC

 +

 :弾性横座屈モーメント

Z :断面係数

E :縦弾性係数(N/mm2)

IY :弱軸回りの断面2次モーメント

Iω :曲げねじり定数

G :せん断弾性係数

J :サンブナンのねじり定数

lb :圧縮フランジの支点間距離(mm)

また、地震時等の荷重に対しては1.5fbまで許容できるものとする。

(b) アルミニウム合金の許容曲げ応力は次によること。

荷重面内に対称軸を有し、かつ強軸回りに曲げを受ける場合の圧縮側許容曲げ応力

17.2

5.112

t

b

b

f

λf =

ここに、

fb :許容曲げ応力(N/mm2)

ft :許容引張応力(N/mm2)で、(1)による。

λb=e

y

M

M:曲げ材の細長比

eλb=6.0

1:弾性限界細長比

pλb:塑性限界細長比

(ⅰ) 補剛区間で曲げモーメントが直線的に変化する場合、

pλb=0.6+0.3

C=1.75+1.05 +0.3 :許容曲げ応力の補正係数

ただし、Cは2.3以下とする。

なお、M1及びM2はそれぞれ座屈区間端部における大きいほう及び

小さいほうの強軸回りの曲げモーメントであり、 は複曲率

の場合正、単曲率の場合負とする。

(ⅱ) 補剛区間で曲げモーメントが最大となる場合、

pλb=0.3

C=1.0

ν=

2

3

2

2

3

be

b

λ

λ+ :曲げ材の座屈安全率

My=1.5ft Z:降伏モーメント

Me= 2

2

4

4

b

Y

b

ωY

l

GJEIπ

l

EIEIπC

 +

 :弾性横座屈モーメント

Z :断面係数(mm3)

E :縦弾性係数(N/mm2)

IY :弱軸回りの断面2次モーメント(mm4)

Iω :曲げねじり定数(mm6)

G :せん断弾性係数(N/mm2)

J :サンブナンのねじり定数(mm4)

lb :圧縮フランジの支点間距離(mm)

また、地震時等の荷重に対しては1.5fbまで許容できるものとする。

(b) アルミニウム合金の許容曲げ応力は次によること。

荷重面内に対称軸を有し、かつ強軸回りに曲げを受ける場合の圧縮側許容曲げ応力

1

2

M

M

1

2

M

M2

1

2

M

M

1

2

M

M

1

2

M

M

1

2

M

M2

1

2

M

M

1

2

M

M

パブコメ用ドラフト

- 43 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -25-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

は、次式のうち大きい値とすること。ただし、圧縮側応力及び引張側応力はftを超え

ないこと。

fb=

fb=

ここに、fb :許容曲げ応力(N/mm2)

g :重力加速度(m/s2)

lb :圧縮フランジの支点間距離(mm)

i :圧縮フランジとはりのせいの とからなるT形断面の、ウェブ軸回

りの断面2次半径(mm)

h :はりのせい(mm)

C=1.75-1.05 +0.3 ただし2.3以下

なお、M1及びM2はそれぞれ座屈区間端部における大きいほう及び小さいほ

うの強軸回りの曲げモーメントであり、 は単曲率の場合正、複曲率

の場合負とする。区間中間のモーメントがM1より大きい場合にはC=1と

する。

Af:圧縮フランジの断面積(mm2)

α及びΛ:表3-4による。

また、地震時等の荷重に対しては1.5fbまで許容できるものとする。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第19条(許容応力)

解釈例別添第5条(許容引張応力)

解釈例別添第6条(許容曲げ応力)

解釈例別添第7条(許容せん断応力)

解釈例別添第8条(許容圧縮応力)

【解 説】

*(1) PCLNG貯槽については、金属製外槽屋根に適用するものとする。

*(2) 鉄鋼材料については、日本建築学会「鋼構造設計規準」(2005)による。

また、アルミニウム合金については、日本建築学会「アルミニウム合金建築構造

設計施工規準案」(1973)による。

は、次式のうち大きい値とすること。ただし、圧縮側応力及び引張側応力はftを超え

ないこと。

fb=

fb=

ここに、fb :許容曲げ応力(N/mm2)

g :重力加速度(m/s2)

lb :圧縮フランジの支点間距離(mm)

i :圧縮フランジとはりのせいの とからなるT形断面の、ウェブ軸回

りの断面2次半径(mm)

h :はりのせい(mm)

C = 1.75 − 1.05 (𝑀2

𝑀1) + 0.3 (

𝑀2

𝑀1)2

ただし2.3以下

なお、M1及びM2はそれぞれ座屈区間端部における大きいほう及び小さいほ

うの強軸回りの曲げモーメントであり、(𝑀2

𝑀1)は単曲率の場合正、複曲率の

場合負とする。区間中間のモーメントがM1より大きい場合にはC=1とす

る。

Af:圧縮フランジの断面積(mm2)

α及びΛ:表3-5による。

また、地震時等の荷重に対しては1.5fbまで許容できるものとする。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第19条(許容応力)

解釈例別添第5条(許容引張応力)

解釈例別添第6条(許容曲げ応力)

解釈例別添第7条(許容せん断応力)

解釈例別添第8条(許容圧縮応力)

【解 説】

*1 PCLNG貯槽については、金属製外槽屋根に適用するものとする。

*2 鉄鋼材料については、日本建築学会「鋼構造設計規準」(2005)による。

また、アルミニウム合金については、日本建築学会「アルミニウム合金建築構造

設計施工規準案」(1973)による。

f

b

A

hl

g3000

6

1

1

2

M

M2

1

2

M

M

t

b

fC

i

l

α 12

2

Λ

1

2

M

M

f

b

A

hl

g3000

6

1

t

b

fC

i

l

α 12

2

Λ

パブコメ用ドラフト

- 44 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -26-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

*(3) 「鋼構造設計規準」においては、曲げ材の場合も圧縮材の場合と同じく座屈(横座屈)

の影響が考慮されている。同規準「SI単位版」(以下、旧規準という。)においては、

簡単のために、基本となる横座屈耐力が、短いはりに対しては曲げねじり抵抗が、長い

はりに対してはサンブナンのねじり抵抗が支配的となることにより、簡略化された式を

採用していた。

また、旧規準における簡略式は、H形断面のみを対象としていたこと、材料長さによ

り安全率が不明確であることにより、同規準「許容応力度設計法」(以下、新規準とい

う。)では、本来の横座屈耐力式を基本とする評価式に変更されている。

ただ、新規準においては、建築基準法に取り入れられていることと、社会に浸透

していることから、従来の簡易式も利用できるとしている。

簡単のため以下の2式(旧規準の簡略式)の大きい方(ただし、圧縮側応力及び

引張側応力はftを超えないこと)で許容曲げ応力を与えてもかまわないが、H形断

面を対象としていることに注意すること。

ここに、

Af:圧縮フランジの断面積(mm2)

i :圧縮フランジとはりのせいの とからなるT形断面の、ウェブ軸まわりの

断面2次半径(mm)

h :はりのせい(mm)

Λ :3.3.2(3)(a)に示す式による。

3.4 疲労強度

3.4.1 許容繰返し回数

(1) 荷重の許容繰返し回数は、繰返し荷重により生じるひずみ振幅と3.4.2に示す設計疲

労曲線から求めること。

(2) 種々の荷重サイクルを受ける場合は次式による累積係数の条件を満足すること *(1)。

D=1

1

N

n+

2

2

N

n+………≦1.0

ここに、

D:累積係数

n1 、n2 ……:種々の荷重の繰返し回数

N1、N2……:種々の荷重により生じるひずみ振幅から設計疲労曲線を用いて求

めた許容繰返し回数

3.4 疲労強度

3.4.1 許容繰返し回数

(1) 荷重の許容繰返し回数は、繰返し荷重により生じるひずみ振幅と3.4.2「設計疲労曲

線」に示す設計疲労曲線から求めること。

(2) 種々の荷重サイクルを受ける場合は次式による累積係数の条件を満足すること *1。

D=1

1

N

n+

2

2

N

n+………≦1.0

ここに、

D:累積係数

n1 、n2 ……:種々の荷重の繰返し回数

N1、N2……:種々の荷重により生じるひずみ振幅から設計疲労曲線を用いて求

めた許容繰返し回数

6

1

t

b

b fC

i

l

f 0.41 2

2

Λ

-=

f

b

b

A

hl

Ef

0.434

 =

パブコメ用ドラフト

- 45 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -27-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

【解 説】

*(1) ASME Boiler & Pressure Vessel Code Sec.Ⅷ Div.2(1998)に採用されている考

え方による。

3.4.2 設計疲労曲線

(1) 9%ニッケル鋼

9%ニッケル鋼の設計疲労曲線は図3-1によること*(1)。

(2) A5083-O

A5083-Oの設計疲労曲線は図3-2によること*(1)。

図3-1 9%ニッケル鋼の設計疲労曲線

【解 説】

*1 ASME Boiler & Pressure Vessel Code Sec.Ⅷ Div.2(1998)に採用されている考

え方による。

3.4.2 設計疲労曲線

(1) 7%ニッケル鋼、9%ニッケル鋼

7%ニッケル鋼、9%ニッケル鋼の設計疲労曲線は図3-1によること*1*2。

(2) A5083-O

A5083-Oの設計疲労曲線は図3-2によること*1。

図3-1 7%ニッケル鋼、9%ニッケル鋼の設計疲労曲線

パブコメ用ドラフト

- 46 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -28-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

図3-2 A5083-Oの設計疲労曲線

図3-2 A5083-Oの設計疲労曲線

パブコメ用ドラフト

- 47 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -29-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

【解 説】

*(1) 日本瓦斯協会「昭和54年度ガス導管、有水ガスホルダー及びLNG地上式貯槽に

関する調査報告書」による。

9%ニッケル鋼の母材及び異材溶接継手に関する曲げ及び軸力疲労強度データ1)

2)3)のうち最小値を示す異材溶接継手の軸力疲労強度をもとにし、ASMEの考え

方に従って異材溶接継手の設計疲労曲線を作成した(解図3-12)。なお、共金溶接

継手については別途設計疲労曲線を作成する必要がある。

また、A5083-Oについては、文献4)5)6)より低サイクル側で疲労強度が小さくなっ

ているA5083/A5183溶接継手部の軸力疲労データを設計疲労曲線の基準曲線とし

て採用し、9%ニッケル鋼の場合と同様にASMEの考え方に従い設計疲労曲線を

作成した(解図3-13)。

<参考文献>

1) 日本造船研究協会: ”LNG運搬船の安全基準に関する調査研究報告書 No.50R”,

(1976)

2) 日本造船研究協会: ”LNG運搬船の安全基準に関する調査研究報告書 No.51R”,

(1976)

3) 日本造船研究協会: ”LNG運搬船の安全基準に関する調査研究報告書 No.39R”,

(1975)

4) 安藤良夫,飯田国広,福田嘉男: ”アルミニウム合金の疲れ強さに及ぼす歪比ま

たは応力比の影響について(第1報)”,船舶用軽金属委員会第13回報告書(1971)

5) 安藤良夫,飯田国広,浦部吉雄: ”アルミニウム合金の疲れ強さに及ぼす歪比ま

たは応力比の影響について(第2報)”,船舶用軽金属委員会第14回報告書(1974)

6) 飯田国広,蓑田和之,高允宝: ”アルミニウム合金5083-O溶接継手の低サイクル

疲労強度に関する一研究”,日本造船学会論文集 No.144(1978)

【解 説】

*1 日本瓦斯協会「昭和54年度ガス導管、有水ガスホルダー及びLNG地上式貯槽に

関する調査報告書」による。

9%ニッケル鋼の母材及び異質継手に関する曲げ及び軸力疲労強度データ 1)2)3)

のうち最小値を示す異質継手の軸力疲労強度をもとにし、ASMEの考え方に従っ

て異質継手の設計疲労曲線を作成した(解図3-12)。なお、共金溶接継手につい

ては別途設計疲労曲線を作成する必要がある。

また、A5083-Oについては、文献4)5)6)より低サイクル側で疲労強度が小さくなっ

ているA5083/A5183溶接継手部の軸力疲労データを設計疲労曲線の基準曲線とし

て採用し、9%ニッケル鋼の場合と同様にASMEの考え方に従い設計疲労曲線を

作成した(解図3-13)。

<参考文献>

1) 日本造船研究協会: 「LNG運搬船の安全基準に関する調査研究報告書 No.50R」、

(1976)

2) 日本造船研究協会: 「LNG運搬船の安全基準に関する調査研究報告書 No.51R」、

(1976)

3) 日本造船研究協会: 「LNG運搬船の安全基準に関する調査研究報告書 No.39R」、

(1975)

4) 安藤良夫、飯田国広、福田嘉男: 「アルミニウム合金の疲れ強さに及ぼす歪比ま

たは応力比の影響について(第1報)」、船舶用軽金属委員会第13回報告書(1971)

5) 安藤良夫、飯田国広、浦部吉雄: 「アルミニウム合金の疲れ強さに及ぼす歪比ま

たは応力比の影響について(第2報)」、船舶用軽金属委員会第14回報告書(1974)

6) 飯田国広、蓑田和之、高允宝: 「アルミニウム合金5083-O溶接継手の低サイクル

疲労強度に関する一研究」、日本造船学会論文集 No.144(1978)

*2 7%ニッケル鋼の疲労強度1)は、9%ニッケル鋼と同等であることが確認されて

いるため、9%ニッケル鋼と同じ設計疲労曲線を採用している。

<参考文献>

1) 新日鐵住金㈱の提供データ

パブコメ用ドラフト

- 48 -

第3章 内槽及び外槽の材料

第3章 -30-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解図3-12 異材溶接継手を用いた9%ニッケル鋼の疲労曲線

解図3-13 A5083-Oの疲労曲線

解図3-12 異質継手を用いた9%ニッケル鋼の疲労曲線

解図3-13 A5083-Oの疲労曲線

パブコメ用ドラフト

- 49 -

第4章 -1-

「第4章 内槽及び外槽の構造及び設計」においての記載内容

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

第4章 内槽及び外槽の構造及び設計

4.1 一 般 ······················································· 55

4.2 荷重の種類 ····················································· 56

4.3 荷重の算定 ····················································· 57

4.3.1 通常荷重 ···················································· 57

4.3.2 地震荷重 ···················································· 58

4.3.3 風荷重 ······················································ 62

4.3.4 活荷重 ······················································ 62

4.3.5 積雪荷重 ···················································· 63

4.3.6 その他の荷重 ················································ 63

4.4 荷重の組合せ ··················································· 64

4.4.1 内 槽 ···················································· 64

4.4.2 外 槽 ···················································· 65

4.5 内槽の構造及び設計 ············································· 66

4.5.1 常時性能及びレベル1耐震性能評価 ···························· 66

4.5.1.1 算定応力 ·················································· 66

4.5.1.2 算定方法 ·················································· 68

4.5.1.3 内槽側板 ·················································· 71

4.5.1.4 内槽屋根 ·················································· 74

4.5.1.5 内槽の底板及びアニュラプレート ···························· 83

4.5.1.6 内槽アンカー ·············································· 94

4.5.1.7 その他内槽付属品 ·········································· 95

4.5.2 レベル2耐震性能評価 ········································ 100

4.5.2.1 一 般 ·················································· 100

4.5.2.2 損傷モード ················································ 101

4.5.2.3 レベル2耐震性能評価方法 ·································· 102

4.5.2.4 内槽側板 ·················································· 102

4.5.2.5 内槽アンカー ·············································· 103

4.5.2.6 内槽ノズル ················································ 103

4.6 外槽の構造及び設計 ············································· 105

4.6.1 常時性能及びレベル1耐震性能評価 ···························· 105

4.6.1.1 外槽側板及び外槽側部ライナ ································ 105

4.6.1.2 外槽屋根 ·················································· 111

第4章 内槽及び外槽の構造及び設計

4.1 一 般 ······················································· 55

4.2 荷重の種類 ····················································· 56

4.3 荷重の算定 ····················································· 57

4.3.1 通常荷重 ··················································· 57

4.3.2 地震荷重 ··················································· 58

4.3.3 風荷重 ····················································· 62

4.3.4 活荷重 ····················································· 62

4.3.5 積雪荷重 ··················································· 63

4.3.6 その他の荷重 ··············································· 63

4.4 荷重の組合せ ··················································· 64

4.4.1 内 槽 ··················································· 64

4.4.2 外 槽 ··················································· 65

4.5 内槽の構造及び設計 ············································· 66

4.5.1 常時性能及びレベル1耐震性能評価 ··························· 66

4.5.1.1 算定応力 ················································· 66

4.5.1.2 算定方法 ················································· 68

4.5.1.3 内槽側板 ················································· 71

4.5.1.4 内槽屋根 ················································· 74

4.5.1.5 内槽の底板及びアニュラプレート ··························· 83

4.5.1.6 内槽アンカー ············································· 94

4.5.1.7 その他内槽付属品 ········································· 95

4.5.2 レベル2耐震性能評価 ······································· 100

4.5.2.1 一 般 ················································· 100

4.5.2.2 損傷モード ··············································· 101

4.5.2.3 レベル2耐震性能評価方法 ································· 102

4.5.2.4 内槽側板 ················································· 102

4.5.2.5 内槽アンカー ············································· 103

4.5.2.6 内槽ノズル ··············································· 103

4.6 外槽の構造及び設計 ············································· 105

4.6.1 常時性能及びレベル1耐震性能評価 ··························· 105

4.6.1.1 外槽側板及び外槽側部ライナ ······························· 105

4.6.1.2 外槽屋根 ················································· 111

パブコメ用ドラフト

- 50 -

第4章 -2-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

4.6.1.3 外槽底板 ·················································· 114

4.6.1.4 外槽アンカー ·············································· 114

4.6.1.5 その他外槽付属品 ·········································· 115

4.6.2 レベル2耐震性能評価 ········································ 115

4.6.2.1 一 般 ·················································· 115

4.6.2.2 損傷モード ················································ 116

4.6.2.3 レベル2耐震性能評価方法 ·································· 116

4.6.2.4 外槽側板 ·················································· 116

4.7 付属設備 ······················································· 118

4.7.1 ポンプバレル架構 ············································ 118

4.7.2 配管架構 ···················································· 120

4.7.3 ブリージングタンク ·········································· 120

4.7.4 保安設備 ···················································· 121

4.6.1.3 外槽底板 ················································· 114

4.6.1.4 外槽アンカー ············································· 114

4.6.1.5 その他外槽付属品 ········································· 115

4.6.2 レベル2耐震性能評価 ······································· 115

4.6.2.1 一 般 ················································· 115

4.6.2.2 損傷モード ··············································· 116

4.6.2.3 レベル2耐震性能評価方法 ································· 116

4.6.2.4 外槽側板 ················································· 116

4.7 付属設備 ······················································· 118

4.7.1 ポンプバレル架構 ··········································· 118

4.7.2 配管架構 ··················································· 120

4.7.3 ブリージングタンク ········································· 120

4.7.4 保安設備 ··················································· 121

パブコメ用ドラフト

- 51 -

第4章 -3-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

4.1 一 般

(1) 本章では、内槽、外槽及び付属設備の構造及び設計について規定する。

なお、保冷、基礎及び防液堤については、それぞれ第7章、第8章及び第9章に規定

する。

(2) 内槽は、液密性及び気密性を有する構造とし、強固な基礎版上に設置すること。また、

内槽は、アンカーによって基礎版と接合すること。

(3) 外槽は、保冷材を保持し、気密性を有する構造とする。金属二重殻LNG貯槽の外槽

は、内槽と同一の強固な基礎版上に設置し、アンカーによって基礎版と接合すること。

PCLNG貯槽の外槽屋根及び外槽側部ライナは、PC防液堤に支持され、PC防液堤

は内槽と同一の強固な基礎版上に設置すること。

(4) 考えられる荷重の組合せに対し、十分な強度を有するよう設計すること。また、地震

時に対しては、滑動に留意して設計すること*(1)。

(5) 設計において、実際厚さ*(2)は、最小厚さ*(3)以上とすること。

(6) ノズル取付部は、地震時等の外力によって過大な応力が発生しないよう適切な措置を

講ずること*(4)。

(7) 内槽ノズルが外槽を貫通する部分には、適切な伸縮吸収措置を講ずること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 滑動の検討手法としては例えば以下のものがある。また、滑動の検討において、

鉛直地震動による荷重軽減効果を静的に考慮する場合には、滑動面における鉛直地

震動を用いることができる。

(a) 内槽に作用する水平慣性力と滑動面の摩擦力から滑動の有無を判定する方法1)

(b) 有効液重量を剛体振動モードに寄与する有効液重量とバルジング振動モード

に寄与する有効液重量に分け、それらと内槽自重を2質点モデルに置き換え、時

刻歴応答解析により滑動の有無を判定する方法2)3)

(c) 内槽と内容液の有限要素モデルを用いて非線形時刻歴応答解析を行う方法4)

<参考文献>

1) (社)日本電気協会: ”火力発電所の耐震設計規程”,(1999)

2) 佐藤祐二,田附英幸,石田和雄: ”平底円筒形タンクの地震時簡易横すべり解析”,

pp.177-183, 石川島播磨技報 Vol.41 No.4, (2001)

3) 谷口朋代,村山知章,面谷幸男,小森寛治,吉原建雄: ”水平及び鉛直地震動を受

ける平底円筒貯槽の滑動判定式”,pp.95-105, 土木学会論文集 №661, (2000.10)

4.1 一 般

(1) 本章では、内槽、外槽及び付属設備の構造及び設計について規定する。

なお、保冷、基礎及び防液堤については、それぞれ第7章「保冷」、第8章「基礎」及

び第9章「防液堤」に規定する。

(2) 内槽は、液密性及び気密性を有する構造とし、強固な基礎版上に設置すること。また、

内槽は、アンカーによって基礎版と接合すること。

(3) 外槽は、保冷材を保持し、気密性を有する構造とする。金属二重殻LNG貯槽の外槽

は、内槽と同一の強固な基礎版上に設置し、アンカーによって基礎版と接合すること。

PCLNG貯槽の外槽屋根及び外槽側部ライナは、PC防液堤に支持され、PC防液堤

は内槽と同一の強固な基礎版上に設置すること。

(4) 考えられる荷重の組合せに対し、十分な強度を有するよう設計すること。また、地震

時に対しては、滑動に留意して設計すること*1。

(5) 設計において、実際厚さ*2は、最小厚さ*3以上とすること。

(6) ノズル取付部は、地震時等の外力によって過大な応力が発生しないよう適切な措置を

講ずること*4。

(7) 内槽ノズルが外槽を貫通する部分には、適切な伸縮吸収措置を講ずること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 滑動の検討手法としては例えば以下のものがある。また、滑動の検討において、

鉛直地震動による荷重軽減効果を静的に考慮する場合には、滑動面における鉛直地

震動を用いることができる。

(a) 内槽に作用する水平慣性力と滑動面の摩擦力から滑動の有無を判定する方法1)

(b) 有効液重量を剛体振動モードに寄与する有効液重量とバルジング振動モード

に寄与する有効液重量に分け、それらと内槽自重を2質点モデルに置き換え、時

刻歴応答解析により滑動の有無を判定する方法2)3)

(c) 内槽と内容液の有限要素モデルを用いて非線形時刻歴応答解析を行う方法4)

<参考文献>

1) (社)日本電気協会: 「火力発電所の耐震設計規程」、(1999)

2) 佐藤祐二、田附英幸、石田和雄: 「平底円筒形タンクの地震時簡易横すべり解析」、

pp.177-183、石川島播磨技報 Vol.41 No.4, (2001)

3) 谷口朋代、村山知章、面谷幸男、小森寛治、吉原建雄: 「水平及び鉛直地震動を

受ける平底円筒貯槽の滑動判定式」、pp.95-105、土木学会論文集 №661、 (2000.10)

パブコメ用ドラフト

- 52 -

第4章 -4-

4) (財)発電設備技術検査協会: ”平成11年度 電力施設地震対策調査に関する調査

報告書[発電設備耐震信頼性実証試験] (LNG地上式タンクの耐震実証試験に関

するもの)”,(平成12年3月)

*(2) 実際厚さとは、実測した厚さをいう。ただし、商取引上用いられる公称呼び厚さ

から、日本工業規格に定められた厚さの負側の許容差及び加工代を控除した厚さを

もって代替することができる。

*(3) 最小厚さとは、本指針の算式によって算定される厚さで、腐れ代を含む厚さをい

う。

*(4) 地震時に、ノズル取付部に過大な荷重が作用しないようにするために、ノズル取

付部から伸縮吸収装置に至るまでの配管系を貯槽と同一基礎版上に設置するか、又

は貯槽から支持することにより、配管系と貯槽の相対変位を減じるとともに、ノズ

ル近傍の配管系の振動による変位を拘束するための適切な配管サポートを設ける

ことが望ましい1)。

<参考文献>

1) 日本瓦斯協会: ”ガス工作物設置基準調査について -昭和54年度 ガス導管、有

水式ガスホルダー及びLNG地上式貯槽に関する調査報告書-”

4.2 荷重の種類

内槽、外槽の設計には、次の荷重を考慮すること*(1)。

(1) 通常荷重

(a) 自重

(b) 内槽ガス圧力

(c) 内外槽間ガス圧力

(d) 静液圧

(e) 保冷材圧力

(f) 熱(温度)荷重

(g) 積雪荷重(多雪区域)

(2) 地震荷重

(a) 加速度型設計水平地震動による内槽等の慣性力

(b) 加速度型設計水平地震動による動液圧

(c) 加速度型設計鉛直地震動による内槽等の自重の増減分

(d) 加速度型設計鉛直地震動による動液圧

(e) 変位型設計地震動による動液圧

(f) スロッシング(液面揺動)による波頭衝撃圧及び腰掛圧

(g) 加速度型設計水平地震動による外槽等の慣性力

(h) 加速度型設計鉛直地震動による外槽等の自重の増減分

4) (財)発電設備技術検査協会: 「平成11年度 電力施設地震対策調査に関する調査

報告書[発電設備耐震信頼性実証試験] (LNG地上式タンクの耐震実証試験に関

するもの)」、(平成12年3月)

*2 実際厚さとは、実測した厚さをいう。ただし、商取引上用いられる公称呼び厚さ

から、日本工業規格に定められた厚さの負側の許容差及び加工代を控除した厚さを

もって代替することができる。

*3 最小厚さとは、本指針の算式によって算定される厚さで、腐れ代を含む厚さをい

う。

*4 地震時に、ノズル取付部に過大な荷重が作用しないようにするために、ノズル取

付部から伸縮吸収装置に至るまでの配管系を貯槽と同一基礎版上に設置するか、又

は貯槽から支持することにより、配管系と貯槽の相対変位を減じるとともに、ノズ

ル近傍の配管系の振動による変位を拘束するための適切な配管サポートを設ける

ことが望ましい1)。

<参考文献>

1) 日本瓦斯協会: 「ガス工作物設置基準調査について -昭和54年度 ガス導管、

有水式ガスホルダー及びLNG地上式貯槽に関する調査報告書-」

4.2 荷重の種類

内槽、外槽の設計には、次の荷重を考慮すること*1。

(1) 通常荷重

(a) 自重

(b) 内槽ガス圧力

(c) 内外槽間ガス圧力

(d) 静液圧

(e) 保冷材圧力

(f) 熱(温度)荷重

(g) 積雪荷重(多雪区域)

(2) 地震荷重

(a) 加速度型設計水平地震動による内槽等の慣性力

(b) 加速度型設計水平地震動による動液圧

(c) 加速度型設計鉛直地震動による内槽等の自重の増減分

(d) 加速度型設計鉛直地震動による動液圧

(e) 変位型設計地震動による動液圧

(f) スロッシング(液面揺動)による波頭衝撃圧及び腰掛圧

(g) 加速度型設計水平地震動による外槽等の慣性力

(h) 加速度型設計鉛直地震動による外槽等の自重の増減分

パブコメ用ドラフト

- 53 -

第4章 -5-

(3) 風荷重

(4) 活荷重

(5) 積雪荷重

(6) その他の荷重

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 内槽及び外槽の設計には、建設時から運転時を通して受けると考えられる全ての

荷重を考慮すること。

4.3 荷重の算定

4.3.1 通常荷重

(1) 自重

内槽、外槽、保冷材、配管及び機器付属品*(1)の自重とする*(2)。

(2) 内槽ガス圧力

内槽内のガス圧力とする。

(3) 内外槽間ガス圧力

内外槽間のガス圧力とする。

(4) 静液圧

静液圧は次式によること。

P= ρgh

ここに、 P :静液圧(MPa)

ρ :LNGの密度*(3)(kg/cm3)

g :重力加速度(cm/s2)

h :液深(cm)

(5) 保冷材圧力

内外槽間の保冷材により、内槽又は外槽の側板に作用する圧力及び摩擦力とする。

(6) 熱(温度)荷重

配管の温度収縮等*(4)により、内槽に作用する荷重とする。

(7) 積雪荷重(多雪区域)*(5)

積雪荷重は、積雪の単位荷重に屋根の水平投影面積及び貯槽が設置される地域におけ

る垂直積雪量を乗じて適切に求めること。この場合、積雪の単位荷重は積雪量1cmごと

(3) 風荷重

(4) 活荷重

(5) 積雪荷重

(6) その他の荷重

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 内槽及び外槽の設計には、建設時から運転時を通して受けると考えられる全ての

荷重を考慮すること。

4.3 荷重の算定

4.3.1 通常荷重

(1) 自重

内槽、外槽、保冷材、配管及び機器付属品*1の自重とする*2。

(2) 内槽ガス圧力

内槽内のガス圧力とする。

(3) 内外槽間ガス圧力

内外槽間のガス圧力とする。

(4) 静液圧

静液圧は次式によること。

P= ρgh

ここに、 P :静液圧(MPa)

ρ :LNGの密度*3(kg/cm3)

g :重力加速度(cm/s2)

h :液深(cm)

(5) 保冷材圧力

内外槽間の保冷材により、内槽又は外槽の側板に作用する圧力及び摩擦力とする。

(6) 熱(温度)荷重

配管の温度収縮等*4により、内槽に作用する荷重とする。

(7) 積雪荷重(多雪区域)*5

積雪荷重は、積雪の単位荷重に屋根の水平投影面積及び貯槽が設置される地域におけ

る垂直積雪量を乗じて適切に求めること。この場合、積雪の単位荷重は積雪量1cmごと

000,10

1

000,10

1

パブコメ用ドラフト

- 54 -

第4章 -6-

に20N/m2以上とし、多雪区域に指定される地域については、地域の特定行政庁の定める

ところによる。

なお、有効な除雪・融雪装置がある場合は、積雪荷重を低減することができる。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 機器付属品とは、内槽又は外槽に取付けられた弁類、液面計、歩廊等をいう。

*(2) 側板等の板の荷重の算定に用いる板厚は、公称呼び厚さを用いることができる。

*(3) LNGの組成に基づく単位体積質量とする。

*(4) 配管の温度収縮、アンカーストラップの温度収縮等をいう。

*(5) 多雪区域のみ積雪荷重を通常荷重として扱う。積雪荷重は建築基準法施行令(平

成23年3月30日政令46号)第86条による。なお、この場合、建築基準法施行令(平

成23年3月30日政令46号)第82条第二号の表に従い係数をかけることができる。

4.3.2 地震荷重

(1) 地震荷重の算定*(1)

(a) 加速度型設計水平地震動による内槽等の慣性力

内槽、保冷材及び機器付属品の質量に起因する水平慣性力の算定に用いる水平震度

又は水平加速度並びに応答解析法は、レベル1地震動についてはJGA指-101-12「製造

設備等耐震設計指針」(以下、JGA指-101-12と略す。)の4.2.2.1(1)、4.2.3.1、4.2.4

及び4.2.5、レベル2地震動については同指針の7.1(1)【解説】*3によること。

(b) 加速度型設計水平地震動による動液圧

JGA指-101-12の4.2.7【解説】*1によること。

(c) 加速度型設計鉛直地震動による内槽等の自重の増減分

内槽、保冷材及び機器付属品の自重の増減分の算定に用いる鉛直震度又は鉛直加速

度並びに応答解析法は、レベル1地震動についてはJGA指-101-12の4.2.2.1(1)、

4.2.3.1、4.2.4及び4.2.5、レベル2地震動については同指針の7.1(1)【解説】*3に

よること。

(d) 加速度型設計鉛直地震動による動液圧

JGA指-101-12の4.2.7【解説】*1によること。

に20N/m2以上とし、多雪区域に指定される地域については、地域の特定行政庁の定める

ところによる。

なお、有効な除雪・融雪装置がある場合は、積雪荷重を低減することができる。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 機器付属品とは、内槽又は外槽に取付けられた弁類、液面計、歩廊等をいう。

*2 側板等の板の荷重の算定に用いる板厚は、公称呼び厚さを用いることができる。

*3 LNGの組成に基づく単位体積質量とする。

*4 配管の温度収縮、アンカーストラップの温度収縮等をいう。

*5 多雪区域のみ積雪荷重を通常荷重として扱う。積雪荷重は建築基準法施行令(平

成29年6月14日政令156号)第86条による。なお、この場合、建築基準法施行令(平

成29年6月14日政令156号)第82条第二号の表に従い係数をかけることができる。

4.3.2 地震荷重

(1) 地震荷重の算定*1

(a) 加速度型設計水平地震動による内槽等の慣性力

内槽、保冷材及び機器付属品の質量に起因する水平慣性力の算定に用いる水平震度

又は水平加速度並びに応答解析法は、レベル1地震動についてはJGA指-101-14「製造

設備等耐震設計指針」(以下、JGA指-101-14と略す。)第4章「塔槽類等のレベル1耐

震性能評価法」4.2.2.1「塔槽類等の設計静的水平震度及び地震力」(1)、4.2.3.1「塔

槽類等の設計修正震度」、4.2.4「モード解析法」及び4.2.5「時刻歴応答解析法」、レ

ベル2地震動については同指針の第7章「レベル2耐震性能評価法」7.1「基本方針」

(1)【解説】*3によること。

(b) 加速度型設計水平地震動による動液圧

JGA指-101-14の4.2.7「平底円筒形貯槽の動液圧等」【解説】*1によること。

(c) 加速度型設計鉛直地震動による内槽等の自重の増減分

内槽、保冷材及び機器付属品の自重の増減分の算定に用いる鉛直震度又は鉛直加速

度並びに応答解析法は、レベル1地震動についてはJGA指-101-14の4.2.2.1(1)、

4.2.3.1、4.2.4及び4.2.5、レベル2地震動については同指針の7.1(1)【解説】*3に

よること。

(d) 加速度型設計鉛直地震動による動液圧

JGA指-101-14の4.2.7【解説】*1によること。

パブコメ用ドラフト

- 55 -

第4章 -7-

(e) 変位型設計地震動による動液圧

JGA指-101-12の4.2.7【解説】*2によること。

(f) スロッシング(液面揺動)による波頭衝撃圧及び腰掛圧

JGA指-101-12の4.2.7【解説】*3によること。

(g) 加速度型設計水平地震動による外槽等の慣性力

金属二重殻LNG貯槽については、外槽、保冷材及び機器付属品の質量に起因する

水平慣性力の算定に用いる水平震度又は水平加速度並びに応答解析法は、レベル1地

震動についてはJGA指-101-12の4.2.2.1(1)、4.2.3.1、4.2.4及び4.2.5、レベル2地震

動については同指針の7.1(1)【解説】*3によること。

PCLNG貯槽については、外槽屋根、屋根部保冷材及び機器付属品の質量に起因

する水平慣性力の算定に用いる水平震度又は水平加速度並びに応答解析法は、

9.5.2.2(7)(c)で求められたPC防液堤の水平震度又は水平加速度並びに応答解析法

によること。

(h) 加速度型設計鉛直地震動による外槽等の自重の増減分

金属二重殻LNG貯槽については、外槽、保冷材及び機器付属品の自重の増減分の

算定に用いる鉛直震度又は鉛直加速度並びに応答解析法は、レベル1地震動について

はJGA指-101-12の4.2.2.1(1)、4.2.3.1、4.2.4及び4.2.5、レベル2地震動については

同指針の7.1(1)【解説】*3によること。

PCLNG貯槽については、外槽屋根、屋根部保冷材及び機器付属品の自重の増減

分の算定に用いる鉛直震度又は鉛直加速度並びに応答解析法は、9.5.2.2(7)(c)で求

められたPC防液堤の鉛直震度又は鉛直加速度並びに応答解析法によること。

(2) 地震荷重算定のための地震応答解析法一般*(2)

(a) 加速度型設計地震動に対する応答解析は、修正震度法、モード解析法、時刻歴応答

解析法のうちいずれかの方法によること*(3)。

ただし、ブリージングタンクに対しては、静的震度法によることができる。

(b) 変位型設計地震動に対する応答解析は、時刻歴応答解析法又は応答スペクトル法の

いずれかの方法によること*(4)。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 解表4-1に地震荷重の算定に関するJGA指-101-12の引用箇所を示す。

(e) 変位型設計地震動による動液圧

JGA指-101-14の4.2.7【解説】*2によること。

(f) スロッシング(液面揺動)による波頭衝撃圧及び腰掛圧

JGA指-101-14の4.2.7【解説】*3によること。

(g) 加速度型設計水平地震動による外槽等の慣性力

金属二重殻LNG貯槽については、外槽、保冷材及び機器付属品の質量に起因する

水平慣性力の算定に用いる水平震度及び水平加速度並びに応答解析法は、レベル1地

震動についてはJGA指-101-14の4.2.2.1(1)、4.2.3.1、4.2.4及び4.2.5、レベル2地震

動については同指針の7.1(1)【解説】*3によること。

PCLNG貯槽については、外槽屋根、屋根部保冷材及び機器付属品の質量に起因

する水平慣性力の算定に用いる水平震度及び水平加速度並びに応答解析法は、第9

章「防液堤」9.5.2.2「荷重の算定」(7)「地震荷重」(c)「地震応答解析法」で求め

られたPC防液堤の水平震度及び水平加速度並びに応答解析法によること。

(h) 加速度型設計鉛直地震動による外槽等の自重の増減分

金属二重殻LNG貯槽については、外槽、保冷材及び機器付属品の自重の増減分の

算定に用いる鉛直震度及び鉛直加速度並びに応答解析法は、レベル1地震動について

はJGA指-101-14の4.2.2.1(1)、4.2.3.1、4.2.4及び4.2.5、レベル2地震動については

同指針の7.1(1)【解説】*3によること。

PCLNG貯槽については、外槽屋根、屋根部保冷材及び機器付属品の自重の増減

分の算定に用いる鉛直震度及び鉛直加速度並びに応答解析法は、9.5.2.2(7)(c)で求

められたPC防液堤の鉛直震度及び鉛直加速度並びに応答解析法によること。

(2) 地震荷重算定のための地震応答解析法一般*2

(a) 加速度型設計地震動に対する応答解析は、修正震度法、モード解析法、時刻歴応答

解析法のうちいずれかの方法によること*3。

ただし、ブリージングタンクに対しては、静的震度法によることができる。

(b) 変位型設計地震動に対する応答解析は、時刻歴応答解析法又は応答スペクトル法の

いずれかの方法によること*4。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 解表4-1に地震荷重の算定に関するJGA指-101-14の引用箇所を示す。

パブコメ用ドラフト

- 56 -

第4章 -8-

解表4-1 地震荷重とJGA指-101-12の引用箇所

番号 地震荷重 JGA指-101-12の引用箇所

(a)

(c)

・加速度型設計水平地震動による内槽

等の慣性力

・加速度型設計鉛直地震動による内槽

等の自重の増減分

レベル1 4.2.2.1(1)、4.2.3.1、4.2.4、

4.2.5

レベル2 7.1(1)【解説】*3

(b)

(d)

・加速度型設計水平地震動による動液

・加速度型設計鉛直地震動による動液

4.2.7【解説】*1

(e) ・変位型設計地震動による動液圧 4.2.7【解説】*2

(f) ・スロッシング(液面揺動)による波頭

衝撃圧及び腰掛圧

4.2.7【解説】*3

(g)

(h)

・加速度型設計水平地震動による外槽

等の慣性力

・加速度型設計鉛直地震動による外槽

等の自重の増減分

金属二重殻

LNG貯槽

レベル1 4.2.2.1(1)、

4.2.3.1、 4.2.4、

4.2.5

レベル2 7.1(1)【解説】*3

PCLNG

貯槽

(本指針の9.5.2.2(7)(c))

*(2) 地震動には加速度型設計地震動と変位型設計地震動があるが、これらの2種類の

地震動に対する貯槽の動的挙動には明らかに差異があるので、両者を分離して貯槽

の耐震性を検討することができる。

*(3) 加速度型設計地震動に対する応答解析法は、対象物のモデル化及び計算手法によ

り一般的に解図4-1、解図4-2のような組合せが考えられるが、それぞれの組合せの

なかから、対象となる構造物及び入力地震波を定性的に十分把握した上で、目的と

する物理量が適切に表せるものを用いることが重要である。

なお、金属二重殻LNG貯槽の内槽-外槽-基礎系のモデル化においては内槽と

外槽の連成振動を、PCLNG貯槽の内槽-PC防液堤-基礎系のモデル化におい

ては内槽とPC防液堤の連成振動を考慮する必要はない1)2)。

解図4-1 金属二重殻LNG貯槽の応答解析法の組合せ

解表4-1 地震荷重とJGA指-101-14の引用箇所

番号 地震荷重 JGA指-101-14の引用箇所

(a)

(c)

・加速度型設計水平地震動による内槽

等の慣性力

・加速度型設計鉛直地震動による内槽

等の自重の増減分

レベル1 4.2.2.1(1)、4.2.3.1、4.2.4、

4.2.5

レベル2 7.1(1)【解説】*3

(b)

(d)

・加速度型設計水平地震動による動液

・加速度型設計鉛直地震動による動液

4.2.7【解説】*1

(e) ・変位型設計地震動による動液圧 4.2.7【解説】*2

(f) ・スロッシング(液面揺動)による波頭

衝撃圧及び腰掛圧

4.2.7【解説】*3

(g)

(h)

・加速度型設計水平地震動による外槽

等の慣性力

・加速度型設計鉛直地震動による外槽

等の自重の増減分

金属二重殻

LNG貯槽

レベル1 4.2.2.1(1)、

4.2.3.1、 4.2.4、

4.2.5

レベル2 7.1(1)【解説】*3

PCLNG

貯槽

(本指針の9.5.2.2(7)(c))

*2 地震動には加速度型設計地震動と変位型設計地震動があるが、これらの2種類の

地震動に対する貯槽の動的挙動には明らかに差異があるので、両者を分離して貯槽

の耐震性を検討することができる。

*3 加速度型設計地震動に対する応答解析法は、対象物のモデル化及び計算手法によ

り一般的に解図4-1、解図4-2のような組合せが考えられるが、それぞれの組

合せのなかから、対象となる構造物及び入力地震波を定性的に十分把握した上で、

目的とする物理量が適切に表せるものを用いることが重要である。

なお、金属二重殻LNG貯槽の内槽-外槽-基礎系のモデル化においては内槽と

外槽の連成振動を、PCLNG貯槽の内槽-PC防液堤-基礎系のモデル化におい

ては内槽とPC防液堤の連成振動を考慮する必要はない1)2)。

解図4-1 金属二重殻LNG貯槽の応答解析法の組合せ

内槽-外槽-基礎

解析対象物

内槽単独

計算モデル

外槽単独

質点系モデル

有限要素モデル

計算法

修正震度法

モード解析法

時刻歴応答解析法 内槽-外槽-基礎

解析対象物

内槽単独

計算モデル

外槽単独

質点系モデル

有限要素モデル

計算法

修正震度法

モード解析法

時刻歴応答解析法

パブコメ用ドラフト

- 57 -

第4章 -9-

解図4-2 PCLNG貯槽の応答解析法の組合せ

また、加速度型設計地震動に対する応答解析は、JGA指-101-12の4.2.3.1による

修正震度法、同指針の4.2.4によるモード解析法、同指針の4.2.5による時刻歴応答

解析法のうちいずれかの方法によること。

<参考文献>

1) 日本瓦斯協会: ”ガス工作物設置基準調査について ―昭和54年度 ガス導管、有

水式ガスホルダー及びLNG地上式貯槽に関する調査報告書―”,(昭和55年3月)

2) 天然ガス導入促進センター: ”平成元年度 プレストレストコンクリートLNG

貯槽技術開発調査報告書”,(平成2年3月)

*(4) 変位型設計地震動に対する応答解析法としては、JGA指-101-12の4.2.5による時

刻歴応答解析法、同指針の4.2.6による応答スペクトル法のいずれかの方法による。

4.3.2

(3) 設計地震動

(a) 加速度型設計地震動の計算方法

加速度型設計地震動の計算方法は、JGA指-101-12の3.2.1に規定するところによる。

ただし、重要度に基づく係数α1は、原則として1.0とする。

なお、都市ガスの製造・送出上の重要度、災害ポテンシャル、環境要因及び保安防

災設備等を考慮して、定量的に評価できる場合は、1.0以下とすることができる*(1)。

(b) 変位型設計地震動の計算方法

水平方向の変位型設計地震動の計算方法は、JGA指-101-12の3.2.2に規定するとこ

ろによる。

なお、鉛直方向の変位型設計地震動は、考慮しなくてよい。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

解図4-2 PCLNG貯槽の応答解析法の組合せ

また、加速度型設計地震動に対する応答解析は、JGA指-101-14の4.2.3.1による

修正震度法、同指針の4.2.4によるモード解析法、同指針の4.2.5による時刻歴応答

解析法のうちいずれかの方法によること。

<参考文献>

1) 日本瓦斯協会:「ガス工作物設置基準調査について ―昭和54年度 ガス導管、有

水式ガスホルダー及びLNG地上式貯槽に関する調査報告書―」、(昭和55年3月)

2) 天然ガス導入促進センター:「平成元年度 プレストレストコンクリートLNG貯

槽技術開発調査報告書」、(平成2年3月)

*4 変位型設計地震動に対する応答解析法としては、JGA指-101-14の4.2.5による時刻

歴応答解析法、同指針の4.2.6による応答スペクトル法のいずれかの方法による。

4.3.2

(3) 設計地震動

(a) 加速度型設計地震動の計算方法

加速度型設計地震動の計算方法は、JGA指-101-14の第3章「地震動」3.2.1「加速度

型設計地震動の計算方法」に規定するところによる。

ただし、重要度に基づく係数α1は、原則として1.0とする。

なお、都市ガスの製造・送出上の重要度、災害ポテンシャル、環境要因及び保安防

災設備等を考慮して、定量的に評価できる場合は、1.0以下とすることができる*1。

(b) 変位型設計地震動の計算方法

水平方向の変位型設計地震動の計算方法は、JGA指-101-14の3.2.2「変位型設計地

震動の計算方法」に規定するところによる。

なお、鉛直方向の変位型設計地震動は、考慮しなくてよい。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

解析対象物

内槽単独

計算モデル

PC防液堤-基礎系

質点系モデル

有限要素モデル

計算法

修正震度法

モード解析法

時刻歴応答解析法 内槽-PC防液堤-基礎

解析対象物

内槽単独

計算モデル

PC防液堤-基礎系

質点系モデル

有限要素モデル

計算法

修正震度法

モード解析法

時刻歴応答解析法 内槽-PC防液堤-基礎

パブコメ用ドラフト

- 58 -

第4章 -10-

【解 説】

*(1) 重要度に基づく係数については、都市ガス事業にあっては、製造、送出上からの

重要度及び災害危険度からの重要度に基づいて評価する必要がある1)。したがっ

て、両者について定量的に評価できない場合は1.0とし、定量的に評価できる場合

は1.0以下とすることができる。

なお、災害危険度からの重要度の決め方については、「高圧ガス製造等耐震設計

基準」(昭和56年通商産業省告示第515号)及びJEAC 3605「火力発電所の耐震設計

規程」(2009)等を参考とすることができる。

<参考文献>

1) 日本ガス協会: ”製造設備等耐震設計指針”,JGA指-101-12,(2012)

4.3.3 風荷重

風荷重は、適切な方法により求めた風圧力*(1)に見付面積*(2)を乗じて計算すること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 風圧力は、速度圧と風力係数を乗じたもので、これを求める適切な方法には、建

築基準法施行令(平成12年4月26日政令211号)第87条がある。

*(2) 見付面積は金属二重殻LNG貯槽においては外槽側板及び外槽屋根の見付面積、

PCLNG貯槽においてはPC防液堤及び外槽屋根の見付面積とする。

4.3.4 活荷重*(1)

水平面に投影した面積1m2当り1,200Nとすること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 油タンクを対象としたAPI 650(2009)「Welded Steel Tanks for Oil Storage」

においては、活荷重(Live Load)を1.2kPaと定めており、本指針においても、活荷

重として、屋根の保守のための検査員と器具の荷重等を考慮し、その値を採用した。

この荷重は発生確率の小さい荷重と考えられる。

【解 説】

*1 重要度に基づく係数については、都市ガス事業にあっては、製造、送出上からの

重要度及び災害危険度からの重要度に基づいて評価する必要がある1)。したがっ

て、両者について定量的に評価できない場合は1.0とし、定量的に評価できる場合

は1.0以下とすることができる。

なお、災害危険度からの重要度の決め方については、「高圧ガス製造等耐震設計

基準」(昭和56年通商産業省告示第515号)及びJEAC 3605「火力発電所の耐震設計

規程」(2014)等を参考とすることができる。

<参考文献>

1) 日本ガス協会: 「製造設備等耐震設計指針」、JGA指-101-14、(2014)

4.3.3 風荷重

風荷重は、適切な方法により求めた風圧力*1に見付面積*2を乗じて計算すること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 風圧力は、速度圧と風力係数を乗じたもので、これを求める適切な方法には、建

築基準法施行令(平成12年4月26日政令211号)第87条がある。

*2 見付面積は金属二重殻LNG貯槽においては外槽側板及び外槽屋根の見付面積、

PCLNG貯槽においてはPC防液堤及び外槽屋根の見付面積とする。

4.3.4 活荷重*1

水平面に投影した面積1m2当り1,200Nとすること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 油タンクを対象としたAPI 650(2012)「Welded Steel Tanks for Oil Storage」

においては、活荷重(Live Load)を1.2kPaと定めており、本指針においても、活荷

重として、屋根の保守のための検査員と器具の荷重等を考慮し、その値を採用した。

この荷重は発生確率の小さい荷重と考えられる。

パブコメ用ドラフト

- 59 -

第4章 -11-

4.3.5 積雪荷重*(1)

積雪荷重は、4.3.1(7)によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 積雪荷重は建築基準法施行令(平成23年3月30日政令46号)第86条によること。

多雪区域のみ地震時、強風時及び保守・点検時にも積雪荷重を考慮すること。なお、

多雪区域の積雪荷重は、建築基準法施行令(平成23年3月30日政令46号)第82条第

二号の表に従い、係数をかけることができる。保守・点検時の積雪荷重にかける係

数についても、地震時及び強風時と同じとする。

4.3.6 その他の荷重

その他必要な荷重があれば考慮すること*(1)。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 施工時、試験時及びクールダウン時等に発生すると考えられる荷重をいう。

PCLNG貯槽にあっては、プレストレスの導入、コンクリートの乾燥収縮、ク

リープ等により、側部ライナ、屋根部ライナ及び外槽屋根がコンクリートから受け

る荷重等を考慮すること。また、PC防液堤と外槽屋根の温度差による荷重等につ

いても考慮すること。

4.4 荷重の組合せ

4.4.1 内 槽

(1) 内槽に作用する荷重の組合せは、表4-1によること。ただし、その他考えられる荷重

を考慮する場合には、その荷重の種類に応じて適切な組合せを考慮すること。

(2) 荷重の組合せは、各荷重が同時に、かつ不利な方向に作用するものとする。

4.3.5 積雪荷重*1

積雪荷重は、4.3.1「通常荷重」(7)「積雪荷重(多雪区域)」によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 積雪荷重は建築基準法施行令(平成29年6月14日政令156号)第86条によること。

多雪区域のみ地震時、強風時及び保守・点検時にも積雪荷重を考慮すること。なお、

多雪区域の積雪荷重は、建築基準法施行令(平成29年6月14日政令156号)第82条

第二号の表に従い、係数をかけることができる。保守・点検時の積雪荷重にかける

係数についても、地震時及び強風時と同じとする。

4.3.6 その他の荷重

その他必要な荷重があれば考慮すること*1。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 施工時、試験時及びクールダウン時等に発生すると考えられる荷重をいう。

PCLNG貯槽にあっては、プレストレスの導入、コンクリートの乾燥収縮、ク

リープ等により、側部ライナ、屋根部ライナ及び外槽屋根がコンクリートから受け

る荷重等を考慮すること。また、PC防液堤と外槽屋根の温度差による荷重等につ

いても考慮すること。

4.4 荷重の組合せ

4.4.1 内 槽

(1) 内槽に作用する荷重の組合せは、表4-1によること。ただし、その他考えられる荷

重を考慮する場合には、その荷重の種類に応じて適切な組合せを考慮すること。

(2) 荷重の組合せは、各荷重が同時に、かつ不利な方向に作用するものとする。

パブコメ用ドラフト

- 60 -

第4章 -12-

表4-1 内槽の荷重の組合せ

荷重条件

荷重の種類

常時性能評価 レベル1耐震性能評価

レベル2耐震性能評価

通常運転時 地震時*(1)

加速度型設計地震動 変位型設計地震動*(2)

通常荷重

自重 ○ ○ ○

内槽ガス圧力 ○ ○ ○

内外槽間ガス圧力 ○ ○ ○

静液圧 ○ ○ ○

保冷材圧力 ○ ○ ○

熱(温度)荷重 ○ ○ ○

地震荷重

加速度型設計水平地震動によ

る内槽等の慣性力 ○

加速度型設計水平地震動によ

る動液圧 ○

加速度型設計鉛直地震動によ

る内槽等の自重の増減分 ○

加速度型設計鉛直地震動によ

る動液圧 ○

変位型設計地震動による動液

圧 ○

スロッシングによる波頭衝撃

圧及び腰掛圧 ○

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 地震時の荷重の組合せにおいて、加速度型一設計地震動と変位型設計地震動は、

一般に同時に作用しないものと考えられ、また、4.3.2(2)解説*(1)に示すように、

貯槽の動的挙動も異なるので、加速度型設計地震動に対する荷重の組合せと変位型

設計地震動に対する荷重の組合せを分離した。

*(2) 変位型設計地震動に対する荷重の組合せにおいて、スロッシングによる波頭衝撃

圧と腰掛圧の取扱いが重要である。

一般に、スロッシングの腰掛圧の負荷周期は、屋根の全体振動の固有周期 1)と比

較して十分長い。また、波頭衝撃圧の作用時間は、屋根の固有周期に比較して短い。

表4-1 内槽の荷重の組合せ

荷重条件

荷重の種類

常時性能評価 レベル1耐震性能評価

レベル2耐震性能評価

通常運転時 地震時*1

加速度型設計地震動 変位型設計地震動*2

通常荷重

自重 ○ ○ ○

内槽ガス圧力 ○ ○ ○

内外槽間ガス圧力 ○ ○ ○

静液圧 ○ ○ ○

保冷材圧力 ○ ○ ○

熱(温度)荷重 ○ ○ ○

地震荷重

加速度型設計水平地震動によ

る内槽等の慣性力 ○

加速度型設計水平地震動によ

る動液圧 ○

加速度型設計鉛直地震動によ

る内槽等の自重の増減分 ○

加速度型設計鉛直地震動によ

る動液圧 ○

変位型設計地震動による動液

圧 ○

スロッシングによる波頭衝撃

圧及び腰掛圧 ○

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 地震時の荷重の組合せにおいて、加速度型設計地震動と変位型設計地震動は、一

般に同時に作用しないものと考えられ、また、4.3.2「地震荷重」(2)「地震荷重算

定のための地震応答解析法一般」解説*1に示すように、貯槽の動的挙動も異なる

ので、加速度型設計地震動に対する荷重の組合せと変位型設計地震動に対する荷重

の組合せを分離した。

*2 変位型設計地震動に対する荷重の組合せにおいて、スロッシングによる波頭衝撃

圧と腰掛圧の取扱いが重要である。

一般に、スロッシングの腰掛圧の負荷周期は、屋根の全体振動の固有周期1)と比

較して十分長い。また、波頭衝撃圧の作用時間は、屋根の固有周期に比較して短い。

パブコメ用ドラフト

- 61 -

第4章 -13-

従って、スロッシングによる腰掛圧及び波頭衝撃圧を、静的な荷重として取り扱っ

てよいと考えられる。

一方、スロッシングにより屋根に作用する腰掛圧と波頭衝撃圧は時間的に変化

し、スロッシング液面が上昇するとともに、腰掛圧は増大するが、波頭衝撃圧はあ

る時刻で最大値になり、液面が最高位になった時点で腰掛圧は最大になるが、波頭

衝撃圧は再び0となる。

このことにより、屋根に発生する応力が最大になる時刻の腰掛圧と波頭衝撃圧を

静的荷重として適切に組合せることが必要である。

<参考文献>

1) 越智義夫,浅井修,久保田稔: ”60000kl LNG地下タンクにおけるドームルー

フの起振機実験と解析”,石川島播磨技報 Vol.17 No.2,(1977)

4.4.2 外 槽

(1) 外槽に作用する荷重の組合せは、表4-2によること。ただし、その他考えられる荷重

を考慮する場合には、その荷重の種類に応じて適切な組合せを考慮すること。

(2) 荷重の組合せは、各荷重が同時に、かつ不利な方向に作用するものとする。

表4-2 外槽の荷重の組合せ

荷重条件

荷重の種類

常時性能評価 レベル1耐震性能評価

レベル2耐震性能評価

通常運転時 強風時 保守・点検時 積雪時 地震時

通常荷重

自重 ○ ○ ○ ○ ○

内外槽間ガス圧力 ○ ○ ○ ○ ○

保冷材圧力 ○ ○ ○ ○ ○

積雪荷重(多雪区域) ○

地震荷重

加速度型設計水平地震動

による外槽等の慣性力 ○

加速度型設計鉛直地震動

による外槽等の自重の増

減分

風荷重 ○

活荷重 ○

積雪荷重 ○ ○ ○ ○

4.5 内槽の構造及び設計

4.5.1 常時性能及びレベル1耐震性能評価

4.5.1.1 算定応力*(1)

内槽の常時性能及びレベル1耐震性能評価は、4.4.1に示す荷重の組合せに対して、4.

5.1.3、4.5.1.4、4.5.1.5、4.5.1.6及び4.5.1.7により行うこと*(2)。

従って、スロッシングによる腰掛圧及び波頭衝撃圧を、静的な荷重として取り扱っ

てよいと考えられる。

一方、スロッシングにより屋根に作用する腰掛圧と波頭衝撃圧は時間的に変化

し、スロッシング液面が上昇するとともに、腰掛圧は増大するが、波頭衝撃圧はあ

る時刻で最大値になり、液面が最高位になった時点で腰掛圧は最大になるが、波頭

衝撃圧は再び0となる。

このことにより、屋根に発生する応力が最大になる時刻の腰掛圧と波頭衝撃圧を

静的荷重として適切に組合せることが必要である。

<参考文献>

1) 越智義夫、浅井修、久保田稔: 「60000kl LNG地下タンクにおけるドームルー

フの起振機実験と解析」、石川島播磨技報 Vol.17 No.2、(1977)

4.4.2 外 槽

(1) 外槽に作用する荷重の組合せは、表4-2によること。ただし、その他考えられる荷

重を考慮する場合には、その荷重の種類に応じて適切な組合せを考慮すること。

(2) 荷重の組合せは、各荷重が同時に、かつ不利な方向に作用するものとする。

表4-2 外槽の荷重の組合せ

荷重条件

荷重の種類

常時性能評価 レベル1耐震性能評価

レベル2耐震性能評価

通常運転時 強風時 保守・点検時 積雪時 地震時

通常荷重

自重 ○ ○ ○ ○ ○

内外槽間ガス圧力 ○ ○ ○ ○ ○

保冷材圧力 ○ ○ ○ ○ ○

積雪荷重(多雪区域) ○

地震荷重

加速度型設計水平地震動

による外槽等の慣性力 ○

加速度型設計鉛直地震動

による外槽等の自重の増

減分

風荷重 ○

活荷重 ○

積雪荷重 ○ ○ ○ ○

4.5 内槽の構造及び設計

4.5.1 常時性能及びレベル1耐震性能評価

4.5.1.1 算定応力*1

内槽の常時性能及びレベル1耐震性能評価は、4.4.1「内槽」に示す荷重の組合せに対

して、4.5.1.3「内槽側板」、4.5.1.4「内槽屋根」、4.5.1.5「内槽の底板及びアニュラプ

パブコメ用ドラフト

- 62 -

第4章 -14-

レベル1耐震性能評価については、地震時の荷重の組合せに対して、表4-3に示す算定

応力を内槽各部について求めること*(3)。ただし、表4-3の算定応力は、最大せん断応力説

に基づく応力強さとする*(4)。

表4-3 内槽の算定応力

応力評価の場所*(5) 算定応力

一般部 Pm、Pb

構造不連続部近傍

板厚変更部

補強部、ノズル付根部

屋根板とナックルプレートの継手部、ナックルプレートと側

板の継手部、側板とアニュラプレートの継手部、その他

PL、Pb、Q

〔備 考〕

[1] 一般部

板厚変更部、補強部等の構造不連続部より十分離れた部分。

[2] 構造不連続部近傍

板厚変更部、補強部等の構造不連続部近傍。

[3] 主応力に圧縮応力が存在する場合には、座屈について検討すること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 算定応力は、当該部材が弾性変形すると仮定して求める。ただし、貯槽の機能及

び安全性を維持できることが証明できる場合には、弾塑性解析によって別途、設計

することができる。この場合、本指針で定める許容応力の適用範囲外とする。

*(2) 内槽の構造設計の考え方は、常時性能評価についてはASME Boiler & Pressure

Vessel Code Sec.Ⅷ Div.1(1998)等に採用されている公式による設計(design by

rule)を、レベル1耐震性能評価についてはASME Boiler & Pressure Vessel Code

Sec.Ⅷ Div.2(1998)等に採用されている解析による設計(design by analysis)を

基本とする。

*(3) 耐圧試験時又は水張試験時において、6.2.7(2)で規定する水位の高さを超えて

水を張り、試験を行う場合は、表4-3に示す算定応力を内槽各部について求め、3.

3.1(3)に示す許容応力強さ以下であることを確認すること。この場合、Sは次の値

のうちいずれか小さいものとする。ただし、9%ニッケル鋼において、異材溶接継

手を用いる場合には、規定最小引張強さ及び0.2%耐力の値として表3-1に示す値を

レート」、4.5.1.6「内槽アンカー」及び4.5.1.7「その他内槽付属品」により行うこと*2。

レベル1耐震性能評価については、地震時の荷重の組合せに対して、表4-3に示す算

定応力を内槽各部について求めること*3。ただし、表4-3の算定応力は、最大せん断応

力説に基づく応力強さとする*4。

表4-3 内槽の算定応力

応力評価の場所*5 算定応力

一般部 Pm、Pb

構造不連続部近傍

板厚変更部

補強部、ノズル付根部

屋根板とナックルプレートの継手部、ナックルプレートと側

板の継手部、側板とアニュラプレートの継手部、その他

PL、Pb、Q

〔備 考〕

[1] 一般部

板厚変更部、補強部等の構造不連続部より十分離れた部分。

[2] 構造不連続部近傍

板厚変更部、補強部等の構造不連続部近傍。

[3] 主応力に圧縮応力が存在する場合には、座屈について検討すること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 算定応力は、当該部材が弾性変形すると仮定して求める。ただし、貯槽の機能及

び安全性を維持できることが証明できる場合には、弾塑性解析によって別途、設計

することができる。この場合、本指針で定める許容応力の適用範囲外とする。

*2 内槽の構造設計の考え方は、常時性能評価についてはASME Boiler & Pressure V

essel Code Sec.Ⅷ Div.1(1998)等に採用されている公式による設計(design by r

ule)を、レベル1耐震性能評価についてはASME Boiler & Pressure Vessel Code

Sec.Ⅷ Div.2(1998)等に採用されている解析による設計(design by analysis)を

基本とする。

*3 耐圧試験時又は水張試験時において、6.2.7「水張試験」(2)で規定する水位の高

さを超えて水を張り、試験を行う場合は、表4-3に示す算定応力を内槽各部につ

いて求め、3.3.1「内槽の許容応力」(3)「応力強さの種類と耐震設計用許容応力強

さ」に示す許容応力強さ以下であることを確認すること。この場合、Sは次の値の

うちいずれか小さいものとする。ただし、7%ニッケル鋼、9%ニッケル鋼におい

パブコメ用ドラフト

- 63 -

第4章 -15-

用いること。

(a) 規定最小引張強さの50%

(b) 規定最小降伏点又は0.2%耐力の85%(A5083-0及びオーステナイト系ステンレ

ス鋼については90%)

*(4) ASME Boiler & Pressure Vessel Code Sec.Ⅷ Div.2(1998)では強度理論の基礎

として、従来の最大主応力説の代りに最大せん断応力説、すなわちTrescaの条件式

を採用している。その理由は、せん断応力説の方が最大主応力説よりも延性材料の

降伏条件によく合うこと、また、実際の破損条件に合うという点では、せん断ひず

みエネルギー説すなわちvon Misesの条件式の方がより正確であるともいわれてい

るが、せん断応力説の方が一般的にやや安全側であり、かつ条件式が簡単で適用に

便宜が多いことなどである。

本指針においても、ASME Boiler & Pressure Vessel Code Sec.Ⅷ Div.2(1998)

の考え方を採用した。

*(5) 応力評価の場所と算定応力の例を解図4-3及び解図4-4に示す1)。

解図4-3 加速度型地震時における応力評価の場所と算定応力の例

解図4-4 変位型地震時における応力評価の場所と算定応力の例

て、異材溶接継手を用いる場合には、規定最小引張強さ及び0.2%耐力の値として

表3-1に示す値を用いること。

(a) 規定最小引張強さの50%

(b) 規定最小降伏点又は0.2%耐力の85%(A5083-0及びオーステナイト系ステンレ

ス鋼については90%)

*4 ASME Boiler & Pressure Vessel Code Sec.Ⅷ Div.2(1998)では強度理論の基礎

として、従来の最大主応力説の代りに最大せん断応力説、すなわちTrescaの条件式

を採用している。その理由は、せん断応力説の方が最大主応力説よりも延性材料の

降伏条件によく合うこと、また、実際の破損条件に合うという点では、せん断ひず

みエネルギー説すなわちvon Misesの条件式の方がより正確であるともいわれてい

るが、せん断応力説の方が一般的にやや安全側であり、かつ条件式が簡単で適用に

便宜が多いことなどである。

本指針においても、ASME Boiler & Pressure Vessel Code Sec.Ⅷ Div.2(1998)

の考え方を採用した。

*5 応力評価の場所と算定応力の例を解図4-3及び解図4-4に示す1)。

解図4-3 加速度型地震時における応力評価の場所と算定応力の例

解図4-4 変位型地震時における応力評価の場所と算定応力の例

Pm :1次1般膜応力強さ

PL :1次局部膜応力強さ

Pb :1次曲げ応力強さ

Q :2次応力強さ

Pm :1次1般膜応力強さ

PL :1次局部膜応力強さ

Pb :1次曲げ応力強さ

Q :2次応力強さ

Pm :1次1般膜応力強さ

PL :1次局部膜応力強さ

Pb :1次曲げ応力強さ

Q :2次応力強さ

Pm :1次1般膜応力強さ

PL :1次局部膜応力強さ

Pb :1次曲げ応力強さ

Q :2次応力強さ

パブコメ用ドラフト

- 64 -

第4章 -16-

<参考文献>

1) 高圧ガス保安協会: ”高圧ガス設備等耐震設計指針”,KHK E 012-1983

4.5.1.2 算定方法

(1) レベル1耐震性能評価における内槽の応力の算定は、軸対称回転殻要素を用いた有限

要素法等の適切な構造解析手法により行うこと*(1)。

(2) 構造解析においては、構造に応じた適切な境界条件及びモデルを設定すること *(2)。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 一般に、軸対称殻構造の貯槽の構造解析法としては、殻理論を用いた解析法 1)2)3)

4)、軸対称回転殻要素を用いた有限要素法による解析法5)及び一般的な殻要素を用

いた有限要素法による解析法6)7)がある。

殻理論を用いた解析法は、軸対称荷重を扱う場合には、適切な方法である。地震

荷重のように、側板高さ方向、円周方向のいずれにも不等分布する荷重を扱う場合

には、後の二者が適切である。

底板下の不等沈下等を考慮する必要がある場合には、一般的な殻要素を用いた有

限要素法による解析法を用いることが望ましいが、LNG地上式貯槽のように底板

下の不等沈下等を考慮する必要がない場合には、軸対称回転殻要素を用いた有限要

素法による解析法を用いることができる8)。

*(2) 有限要素法を用いて構造解析する場合は、内槽を適切な大きさの要素に分割する

こと。

また、内槽底部の境界条件は、底部の変形を考慮して、適切な境界条件を設定す

る必要がある。各種モデルを解表4-2に示す。

モデルA又はBについては、地震時(下手側)の解析において、アニュラプレー

トの応力がモデルC又はDに比べ高くなるが、簡便なモデルである8)。

<参考文献>

1) J.B.Denham: ”How to Desigh a 600000 Bbl Tank”, API Report Vol.47

No.5,(1968.5)

2) 小林信之: ”円筒型タンクの隅肉部の応力解析”,pp.78-80, 日本機械学会関西支

部第234回講演会講演論文集,(1975.11)

3) 井上威恭: ”石油タンク”,機械設計 Vol.20 No.1,(1968.1)

4) 河野和間: ”大型鋼製円筒タンク構造設計上の問題点とその応力解析”,配管技術,

<参考文献>

1) 高圧ガス保安協会: 「高圧ガス設備等耐震設計指針」、KHK E 012-1983

4.5.1.2 算定方法

(1) レベル1耐震性能評価における内槽の応力の算定は、軸対称回転殻要素を用いた有限

要素法等の適切な構造解析手法により行うこと*1。

(2) 構造解析においては、構造に応じた適切な境界条件及びモデルを設定すること *2。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 一般に、軸対称殻構造の貯槽の構造解析法としては、殻理論を用いた解析法1)2)3)

4)、軸対称回転殻要素を用いた有限要素法による解析法5)及び一般的な殻要素を用

いた有限要素法による解析法6)7)がある。

殻理論を用いた解析法は、軸対称荷重を扱う場合には、適切な方法である。地震

荷重のように、側板高さ方向、円周方向のいずれにも不等分布する荷重を扱う場合

には、後の二者が適切である。

底板下の不等沈下等を考慮する必要がある場合には、一般的な殻要素を用いた有

限要素法による解析法を用いることが望ましいが、LNG地上式貯槽のように底板

下の不等沈下等を考慮する必要がない場合には、軸対称回転殻要素を用いた有限要

素法による解析法を用いることができる8)。

*2 有限要素法を用いて構造解析する場合は、内槽を適切な大きさの要素に分割する

こと。

また、内槽底部の境界条件は、底部の変形を考慮して、適切な境界条件を設定す

る必要がある。各種モデルを解表4-2に示す。

モデルA又はBについては、地震時(下手側)の解析において、アニュラプレー

トの応力がモデルC又はDに比べ高くなるが、簡便なモデルである8)。

<参考文献>

1) J.B.Denham:「 How to Desigh a 600000 Bbl Tank」、API Report Vol.47 No.5、

(1968.5)

2) 小林信之: 「円筒型タンクの隅肉部の応力解析」、pp.78-80, 日本機械学会関西支

部第234回講演会講演論文集、(1975.11)

3) 井上威恭: 「石油タンク」、機械設計 Vol.20 No.1,(1968.1)

4) 河野和間: 「大型鋼製円筒タンク構造設計上の問題点とその応力解析」、配管技

パブコメ用ドラフト

- 65 -

第4章 -17-

(1974.9)

5) 千葉敏郎,塩屋繁松,川股重也: ”有限要素法による回転殻の解析”,pp.128-133,

JSSCマトリックス構造解析講演論文集,(1969.5)

6) 佐々木康夫,馬場宣裕,小川禎二,陵志浩,大和田英二: ”基礎地盤に部分的なタ

ンク不支持領域を有する場合の円筒形石油貯蔵タンクの有限要素法による構造解

析”,日本海事協会誌 No.163,(1978.4)

7) Y.Sasaki, N.Baba, S.Tashiro, Y.Akita: ”Finite Element Analysis of an Oil

Storage Tank under Rocking Motion by the Seismic Loads”,第4回国際圧力容器

工学会議(4th ICPVT),(1980.5)

8) 日本瓦斯協会: ”ガス工作物設置基準調査について-昭和54年度ガス導管、有水式

ガスホルダー及びLNG地上式貯槽に関する調査報告書-”

術, (1974.9)

5) 千葉敏郎、塩屋繁松、川股重也: 「有限要素法による回転殻の解析」、pp.128-133,

JSSCマトリックス構造解析講演論文集、(1969.5)

6) 佐々木康夫、馬場宣裕、小川禎二、陵志浩、大和田英二: 「基礎地盤に部分的な

タンク不支持領域を有する場合の円筒形石油貯蔵タンクの有限要素法による構造解

析」、日本海事協会誌 No.163、(1978.4)

7) Y.Sasaki、 N.Baba、S.Tashiro、Y.Akita: 「Finite Element Analysis of an Oil

Storage Tank under Rocking Motion by the Seismic Loads」、第4回国際圧力容器

工学会議(4th ICPVT)、(1980.5)

8) 日本瓦斯協会: 「ガス工作物設置基準調査について-昭和54年度ガス導管、有水

式ガスホルダー及びLNG地上式貯槽に関する調査報告書-」

パブコメ用ドラフト

- 66 -

第4章 -18-

解表4-2 内槽底部の境界条件モデル

解表4-2 内槽底部の境界条件モデル

パブコメ用ドラフト

- 67 -

第4章 -19-

4.5.1.3 内槽側板

(1) 一般

内槽側板は、内圧及び外圧(保冷材圧力等)に対して安全な構造であること。

(2) 内槽側板の設計

(a) 内槽側板の厚さ

内槽側板の最小厚さは次式*(1)によること。

Cηf

PDt

t

i +-1.2P2

=

ここに、t :内槽側板の最小厚さ(mm)

P:側板の各段最下部に作用する圧力(MPa)で静液圧及び最高使用圧力と

する

Di:内槽内径(mm)

ft :材料の許容引張応力(N/mm2)

η :5.2.4(1)(d)による溶接継手の効率

C :腐れ代*(2)(mm)

ただし、側板の公称呼び厚さは表4-4又は表4-5に示す値以上とすること*(3)。

表4-4 内槽側板の公称呼び厚さの最小値(アルミニウム合金は除く)

内槽内径(m) 板厚(mm)

16以下

16を超え35以下

35を超え60以下

60を超え75以下

75を超えるもの

4.5

6

8

10

12

表4-5 内槽側板の公称呼び厚さの最小値(アルミニウム合金)

内槽内径(m) 板厚(mm)

35以下

35を超え60以下

60を超えるもの

8

10

12

(b) 通常運転時の荷重に対する内槽側板の座屈強度

(ⅰ)荷重

通常運転時の荷重に対する内槽側板の座屈強度 *(4)を検討する場合の軸方向荷重

としては次のものを考慮すること。

(イ) 屋根、側板及びこれらに取付けられる配管・機器付属品の自重

(ロ) 屋根部保冷材自重

4.5.1.3 内槽側板

(1) 一般

内槽側板は、内圧及び外圧(保冷材圧力等)に対して安全な構造であること。

(2) 内槽側板の設計

(a) 内槽側板の厚さ

内槽側板の最小厚さは次式*1によること。

Cηf

PDt

t

i +-1.2P2

=

ここに、t :内槽側板の最小厚さ(mm)

P :側板の各段最下部に作用する圧力(MPa)で静液圧及び最高使用圧力

とする

Di:内槽内径(mm)

ft :材料の許容引張応力(N/mm2)

η :5.2.4「溶接」(1)「溶接設計」(d)「溶接継手効率」による溶接

継手の効率

C :腐れ代*2(mm)

ただし、側板の公称呼び厚さは表4-4又は表4-5に示す値以上とすること*3。

表4-4 内槽側板の公称呼び厚さの最小値(アルミニウム合金は除く)

内槽内径(m) 板厚(mm)

16以下

16を超え35以下

35を超え60以下

60を超え75以下

75を超えるもの

4.5

10

12

表4-5 内槽側板の公称呼び厚さの最小値(アルミニウム合金)

内槽内径(m) 板厚(mm)

35以下

35を超え60以下

60を超えるもの

10

12

(b) 通常運転時の荷重に対する内槽側板の座屈強度

(ⅰ)荷重

通常運転時の荷重に対する内槽側板の座屈強度*4を検討する場合の軸方向荷重

としては次のものを考慮すること。

(イ) 屋根、側板及びこれらに取付けられる配管・機器付属品の自重

(ロ) 屋根部保冷材自重

パブコメ用ドラフト

- 68 -

第4章 -20-

(ハ) 内外槽間ガス圧力

(ニ) 内槽側板に加わる保冷材の鉛直方向摩擦力*(5)

(ⅱ)座屈強度

通常運転時の荷重により内槽側板に発生する圧縮応力σは通常運転時の荷重に対

する許容座屈応力σc1*(6)以下であること。

σ=A

N

σc1=R

CtE

γa-

1

25.0

ここに、σ :通常運転時の荷重により内槽側板に発生する圧縮応力(N/mm2)

σc1:内槽側板の通常運転時の荷重に対する許容座屈応力(N/mm2)

N :検討する高さよりも上の部分から加わる軸方向荷重(N)

A :検討する高さにおける側板断面積(mm2)

E :材料の縦弾性係数(N/mm2)

γ1 :安全率で2.25とする

R :内槽内半径(mm)

ta :内槽側板の実際厚さ(mm)

C :腐れ代*(2)(mm)

(c) 地震時の荷重に対する内槽側板の強度

(ⅰ)算定応力

内槽側板の算定応力を4.5.1.1及び4.5.1.2に従って求め、3.3.1(3)に示す許容応

力以下であることを確認すること。ただし、耐震設計用許容応力Sは、3.3.1(2)によ

ること。

(ⅱ)座屈強度

4.5.1.1及び4.5.1.2に従って求めた地震時の内槽側板に発生する軸方向応力が

圧縮となる場合*(7)は、その値が次に示す地震時の荷重に対する許容座屈応力σc2*(6)

以下であることを確認すること。

σc2=R

CtE

γa-

2

25.0

ここに、σc2 :内槽側板の地震時の荷重に対する許容座屈応力(N/mm2)

E :材料の縦弾性係数(N/mm2)

γ2 :安全率で1.5とする

R :内槽内半径(mm)

ta :内槽側板の実際厚さ(mm)

C :腐れ代*(2)(mm)

【関連条項】

(ハ) 内外槽間ガス圧力

(ニ) 内槽側板に加わる保冷材の鉛直方向摩擦力*5

(ⅱ)座屈強度

通常運転時の荷重により内槽側板に発生する圧縮応力σは通常運転時の荷重に対

する許容座屈応力σc1*6以下であること。

σ=A

N

σc1=R

CtE

γa-

1

25.0

ここに、σ :通常運転時の荷重により内槽側板に発生する圧縮応力(N/mm2)

σc1:内槽側板の通常運転時の荷重に対する許容座屈応力(N/mm2)

N :検討する高さよりも上の部分から加わる軸方向荷重(N)

A :検討する高さにおける側板断面積(mm2)

E :材料の縦弾性係数(N/mm2)

γ1:安全率で2.25とする

R :内槽内半径(mm)

ta :内槽側板の実際厚さ(mm)

C :腐れ代*2(mm)

(c) 地震時の荷重に対する内槽側板の強度

(ⅰ)算定応力

内槽側板の算定応力を4.5.1.1「算定応力」及び4.5.1.2「算定方法」に従って求

め、第3章「内槽及び外槽の材料」3.3.1「内槽の許容応力」(3)「応力強さの種類

と耐震設計用許容応力強さ」に示す許容応力以下であることを確認すること。ただ

し、耐震設計用許容応力Sは、3.3.1(2)「耐震設計用許容応力」によること。

(ⅱ)座屈強度

4.5.1.1及び4.5.1.2に従って求めた地震時の内槽側板に発生する軸方向応力が

圧縮となる場合*7は、その値が次に示す地震時の荷重に対する許容座屈応力σc2*6以

下であることを確認すること。

σc2=R

CtE

γa-

2

25.0

ここに、σc2 :内槽側板の地震時の荷重に対する許容座屈応力(N/mm2)

E :材料の縦弾性係数(N/mm2)

γ2:安全率で1.5とする

R :内槽内半径(mm)

ta :内槽側板の実際厚さ(mm)

C :腐れ代*2(mm)

【関連条項】

パブコメ用ドラフト

- 69 -

第4章 -21-

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 最小厚さの計算式はJIS B 8265(2010)「圧力容器の構造-一般事項」(以下、JIS B

8265(2010)と略す。)及びJIS B 8267(2008)「圧力容器の設計」(以下、JIS B 8267

(2008)と略す。)によるものである。

*(2) 内容液であるLNGには腐食性がなく、かつ内外槽間は窒素が封入されているた

め、内槽材料では腐食は発生しないと考えられるので、腐れ代は0とすることがで

きる。

*(3) 内槽側板の公称呼び厚さ(最小値)は、JIS B 8501(1995)「鋼製石油貯槽の構造

(全溶接製)」(以下、JIS B 8501(1995)と略す。)によるものである。ただし、アル

ミニウム合金については材料特性、組立工作上の制約を考慮して若干の上載せを行

った。

*(4) 半径方向外圧力については、必要に応じて円周方向の局部座屈の検討を行い、必

要な場合はスチフナを取付けること。

*(5) パーライト保冷材により側板に加わる鉛直方向摩擦力は、次のJanssenの式1)に

より求めることができる。ただし、側板に加わる保冷材圧力が緩和される措置が講

じられている場合はこの限りではない。

( )

T

fKH

iS efK

TH

WTDπD

12

1 122

--=

ここに、Ds:鉛直方向摩擦力(N)

Di:内槽内径(m)

W:単位体積当りの保冷材自重(N/m3)

T :保冷層の厚み(m)

H1:検討する高さから上の部分の保冷層高さ(m)

f :保冷材と側板との摩擦係数

K :水平圧と垂直圧の比でθ

θ

sin1

sin1

+- より求める。(θ:粉体安息角)

<参考文献>

1) 久保輝一郎,他: ”粉体(理論と応用)”,丸善出版,(1962)

*(6) 内槽側板の許容座屈応力については、内容液の液頭圧及び内槽ガス圧の影響を考

慮した1)。

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例第69条(強め輪の溶接)

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

解釈例別添第45条(強め輪の溶接)

【解 説】

*1 最小厚さの計算式はJIS B 8265(2017)「圧力容器の構造-一般事項」(以下、JIS B

8265(2017)と略す。)及びJIS B 8267(2015)「圧力容器の設計」(以下、JIS B 8267(2

015)と略す。)によるものである。

*2 内容液であるLNGには腐食性がなく、かつ内外槽間は窒素が封入されているた

め、内槽材料では腐食は発生しないと考えられるので、腐れ代は0とすることがで

きる。

*3 内槽側板の公称呼び厚さ(最小値)は、JIS B 8501(2013)「鋼製石油貯槽の構造

(全溶接製)」(以下、JIS B 8501(2013)と略す。)によるものである。ただし、アル

ミニウム合金については材料特性、組立工作上の制約を考慮して若干の上載せを行

った。

*4 半径方向外圧力については、必要に応じて円周方向の局部座屈の検討を行い、必

要な場合はスチフナを取付けること。

*5 パーライト保冷材により側板に加わる鉛直方向摩擦力は、次のJanssenの式1)によ

り求めることができる。ただし、側板に加わる保冷材圧力が緩和される措置が講じ

られている場合はこの限りではない。

( )

T

fKH

iS efK

TH

WTDπD

12

1 122

--=

ここに、Ds:鉛直方向摩擦力(N)

Di:内槽内径(m)

W:単位体積当りの保冷材自重(N/m3)

T :保冷層の厚み(m)

H1:検討する高さから上の部分の保冷層高さ(m)

f :保冷材と側板との摩擦係数

K :水平圧と垂直圧の比でθ

θ

sin1

sin1

+- より求める。(θ:粉体安息角)

<参考文献>

1) 久保輝一郎、他:「粉体(理論と応用)」、丸善出版、(1962)

*6 内槽側板の許容座屈応力については、内容液の液頭圧及び内槽ガス圧の影響を考

慮した1)。

パブコメ用ドラフト

- 70 -

第4章 -22-

なお、API650(2009)「Welded Steel Tanks for oil Storage」App. E「Seismic

Design of Storage Tanks」では、地震時の荷重に対する許容座屈応力として本指

針の値の1.25倍、すなわち次式を採用している。

( )1.5 0.313

2 =  = γR

tE

γσc

<参考文献>

1) R.S.Wozniak: ”Basis of Seismic Design Provisions for Welded Steel Oil

Storage Tanks”,(1978)

*(7) 軸方向圧縮応力を求める場合、JIS B 8501(1979)「鋼製石油貯そうの構造(全溶

接製)」に示されている次式を用いてもよい。

Z

M

A

Nσ +=

ここに、

N:検討する高さよりも上の部分の鉛直方向荷重(N)で次のものを考慮する。

(a) 屋根、検討する高さよりも上の部分の側板及びそれらに取付く

機器付属品の自重並びに屋根部保冷材自重に、鉛直地震動による

各々の自重の増加分を加えた荷重

(b) 内外槽間ガス圧力

A :検討する高さにおける側板の断面積(mm2)

M:検討する高さに作用する曲げモーメント(N・mm)で次のものを考慮

する。

(a) 屋根、検討する高さよりも上の部分の側板及びそれらに取付く

機器付属品の自重並びに屋根部保冷材自重に、各部の重心高さ及び

水平震度を乗じたモーメント

(b) 検討する高さよりも上の部分の内容液により地震時に発生する

曲げモーメントで、JGA指-101-12の4.2.7【解説】*1に示す動液

圧の算定方法により求めたもの

Z:検討する高さにおける側板の断面係数(mm3)

4.5.1.4 内槽屋根*(1)

(1) 一般

(a) 内槽屋根は、原則として屋根板自身が強度をもつ自己支持型球面屋根、又は屋根骨

によって支持された屋根骨支持型球面屋根とすること*(2)。

(b) 内槽の屋根板と側板の接続部は、ナックルプレート形式とすること*(3)。

(c) 内槽屋根は、内外槽間ガス圧力、自重及びその他の荷重による座屈に対して十分な

なお、API650(2009)「Welded Steel Tanks for oil Storage」App. E「Seismic

Design of Storage Tanks」では、地震時の荷重に対する許容座屈応力として本指

針の値の1.25倍、すなわち次式を採用している。

( )1.5 0.313

2 =  = γR

tE

γσc

<参考文献>

1) R.S.Wozniak: 「Basis of Seismic Design Provisions for Welded Steel Oil

Storage Tanks」、(1978)

*7 軸方向圧縮応力を求める場合、JIS B 8501(1979)「鋼製石油貯そうの構造(全溶

接製)」に示されている次式を用いてもよい。

Z

M

A

Nσ +=

ここに、

N:検討する高さよりも上の部分の鉛直方向荷重(N)で次のものを考慮する。

(a) 屋根、検討する高さよりも上の部分の側板及びそれらに取付く

機器付属品の自重並びに屋根部保冷材自重に、鉛直地震動による

各々の自重の増加分を加えた荷重

(b) 内外槽間ガス圧力

A :検討する高さにおける側板の断面積(mm2)

M:検討する高さに作用する曲げモーメント(N・mm)で次のものを考慮

する。

(a) 屋根、検討する高さよりも上の部分の側板及びそれらに取付く

機器付属品の自重並びに屋根部保冷材自重に、各部の重心高さ及

び水平震度を乗じたモーメント

(b) 検討する高さよりも上の部分の内容液により地震時に発生する

曲げモーメントで、JGA指-101-14「製造設備等耐震設計指針」第4

章「塔槽類等のレベル1耐震性能評価法」4.2.7「平底円筒形貯槽

の動液圧等」【解説】*1に示す動液圧の算定方法により求めたも

Z:検討する高さにおける側板の断面係数(mm3)

4.5.1.4 内槽屋根*1

(1) 一般

(a) 内槽屋根は、原則として屋根板自身が強度をもつ自己支持型球面屋根、又は屋根骨

によって支持された屋根骨支持型球面屋根とすること*2。

(b) 内槽の屋根板と側板の接続部は、ナックルプレート形式とすること*3。

(c) 内槽屋根は、内外槽間ガス圧力、自重及びその他の荷重による座屈に対して十分な

パブコメ用ドラフト

- 71 -

第4章 -23-

強度を有すること。

(d) 内槽屋根の曲率半径は、内槽内径の0.8~1.2倍*(4)とすること。

(e) ナックルプレートの曲率半径は、内槽内径の0.06倍以上*(5)とすること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 屋根とは、屋根板、屋根骨、ナックルプレート等で構成される部分をいう。

*(2) 屋根骨支持型球面屋根には、屋根板と屋根骨を接合する場合と、両者を接合しな

い場合があるが、接合しない場合には、面内剛性を高めるために骨組に斜材を設け

る等適切な措置を講ずること。

*(3) 本指針は、内槽の屋根板と側板の接続部をナックルプレート形式とするものに適

用する。したがって、コンプレッションリング形式とする場合には、別途それに対

する十分な構造検討を行うこと。

*(4) 屋根の曲率半径は、JIS B 8501(1995)等を参考とした。

なお、屋根の曲率半径とは、解図4-7に示すR2をいう。

*(5) ナックルプレートの曲率半径は、API 620(2010)「Design and Construction of

Large, Welded, Low-pressure Storage Tanks」(以下、API 620(2010)と略す。)に

よるものである。

なお、ナックルプレートの曲率半径とは、解図4-7に示すR1をいう。

4.5.1.4

(2) 自己支持型内槽屋根の設計

自己支持型内槽屋根における屋根板の設計は次によること。

(a) 内槽屋根板の厚さ

内槽屋根板の最小厚さは、次式*(1)によること。

CPηf

PRt

t

+-

=0.22

ここに、t :屋根板の最小厚さ(mm)

P:最高使用圧力(MPa)

R:屋根の曲率半径(mm)。内半径とする。

ft:材料の許容引張応力(N/mm2)

η:5.2.4(1)(d)による溶接継手の効率

C:腐れ代*(2)(mm)

強度を有すること。

(d) 内槽屋根の曲率半径は、内槽内径の0.8~1.2倍*4とすること。

(e) ナックルプレートの曲率半径は、内槽内径の0.06倍以上*5とすること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 屋根とは、屋根板、屋根骨、ナックルプレート等で構成される部分をいう。

*2 屋根骨支持型球面屋根には、屋根板と屋根骨を接合する場合と、両者を接合しな

い場合があるが、接合しない場合には、面内剛性を高めるために骨組に斜材を設け

る等適切な措置を講ずること。

*3 本指針は、内槽の屋根板と側板の接続部をナックルプレート形式とするものに適

用する。したがって、コンプレッションリング形式とする場合には、別途それに対

する十分な構造検討を行うこと。

*4 屋根の曲率半径は、JIS B 8501(2013)等を参考とした。

なお、屋根の曲率半径とは、解図4-7に示すR2をいう。

*5 ナックルプレートの曲率半径は、API 620(2013)「Design and Construction of

Large, Welded, Low-pressure Storage Tanks」(以下、API 620(2013)と略す。)に

よるものである。

なお、ナックルプレートの曲率半径とは、解図4-7に示すR1をいう。

4.5.1.4

(2) 自己支持型内槽屋根の設計

自己支持型内槽屋根における屋根板の設計は次によること。

(a) 内槽屋根板の厚さ

内槽屋根板の最小厚さは、次式*1によること。

CPηf

PRt

t

+-

=0.22

ここに、t :屋根板の最小厚さ(mm)

P:最高使用圧力(MPa)

R:屋根の曲率半径(mm)。内半径とする。

ft:材料の許容引張応力(N/mm2)

η:5.2.4(1)(d)による溶接継手の効率

C:腐れ代*2(mm)

パブコメ用ドラフト

- 72 -

第4章 -24-

ただし、内槽屋根板の公称呼び厚さは、表4-6に示す値以上とすること*(3)。

表4-6 内槽屋根板の公称呼び厚さの最小値

屋根板の使用材料 板厚(mm)

アルミニウム合金 6

アルミニウム合金以外の材料 4.5

(b) 通常運転時の荷重に対する内槽屋根板の座屈強度

(ⅰ)荷重

通常運転時の荷重に対する内槽屋根板の座屈強度を検討する場合の荷重として

は、次に示すものを考慮すること。

(イ) 内外槽間ガス圧力

(ロ) 内槽屋根板自重

(ハ) 屋根部保冷材自重

(ニ) 内槽屋根に取付けられる機器付属品自重

(ⅱ)座屈強度

通常運転時の荷重に対する内槽屋根板の座屈強度については、次式*(4)を満足する

こと。

( )R

0.060.8 21

CtEσσ a-≦+

ここに、σ1 :大きいほうの圧縮応力(N/mm2)

σ2 :小さいほうの圧縮応力(N/mm2)

E :材料の縦弾性係数(N/mm2)

R :内槽屋根の曲率半径(mm)。内半径とする。

ta :内槽屋根板の実際の厚さ(mm)

C :腐れ代*(2)(mm)

(c) 地震時の荷重に対する内槽屋根板の強度

内槽屋根板の算定応力を4.5.1.1及び4.5.1.2に従って求め、3.3.1(3)に示す許容応

力以下であることを確認すること*(5)。ただし、耐震設計用許容応力Sは、3.3.1(2)に

よること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

ただし、内槽屋根板の公称呼び厚さは、表4-6に示す値以上とすること*3。

表4-6 内槽屋根板の公称呼び厚さの最小値

屋根板の使用材料 板厚(mm)

アルミニウム合金 6

アルミニウム合金以外の材料 4.5

(b) 通常運転時の荷重に対する内槽屋根板の座屈強度

(ⅰ)荷重

通常運転時の荷重に対する内槽屋根板の座屈強度を検討する場合の荷重として

は、次に示すものを考慮すること。

(イ) 内外槽間ガス圧力

(ロ) 内槽屋根板自重

(ハ) 屋根部保冷材自重

(ニ) 内槽屋根に取付けられる機器付属品自重

(ⅱ)座屈強度

通常運転時の荷重に対する内槽屋根板の座屈強度については、次式*4を満足する

こと。

( )R

0.060.8 21

CtEσσ a-≦+

ここに、σ1 :大きいほうの圧縮応力(N/mm2)

σ2 :小さいほうの圧縮応力(N/mm2)

E :材料の縦弾性係数(N/mm2)

R :内槽屋根の曲率半径(mm)。内半径とする。

ta :内槽屋根板の実際の厚さ(mm)

C :腐れ代*2(mm)

(c) 地震時の荷重に対する内槽屋根板の強度

内槽屋根板の算定応力を4.5.1.1及び4.5.1.2に従って求め、3.3.1「内槽の許容応

力」(3)「応力強さの種類と耐震設計用許容応力強さ」に示す許容応力以下であること

を確認すること*5。ただし、耐震設計用許容応力Sは、3.3.1(2)「耐震設計用許容応

力」によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

パブコメ用ドラフト

- 73 -

第4章 -25-

【解 説】

*(1) 最小厚さの計算式はJIS B 8265(2010)及びJIS B 8267(2008)によるものである。

*(2) 内槽の腐れ代は0とすることができる。

*(3) 内槽屋根板の公称呼び厚さ(最小値)は、JIS B 8501(1995)によるものである。

ただし、アルミニウム合金については、材料特性、組立工作上の制約を考慮して若

干の上乗せを行った。

*(4) 自己支持型内槽屋根板の座屈強度計算式は、API 620(2010)によるものである。

なお、圧縮応力を求める計算式の一例を次に示す1)。

( )

φ

qP

Ct

a

m cos1

2

2 ++

-=-

( ) m

a

l σφqPCt

Rσ -+

-=- cos

ここに、

σm :子午線方向の圧縮応力(N/mm2)

σl :緯線方向の圧縮応力(N/mm2)

R :内槽屋根の曲率半径(mm)

ta :内槽屋根板の実際の厚さ(mm)

C :腐れ代(mm)

P :内外槽間ガス圧力(N/mm2)

q :内槽屋根板自重、屋根部保冷材自重及び内槽屋根に取付けられる機器

付属品自重の総和(MPa)

φ :屋根頂部よりの半頂角(rad)

解図4-5 φ及びRのとり方

<参考文献>

1) S.Timoshenko, S.Woinowsky-Krieger: ”Theory of Plates and Shells”,p.533,

McGraw-Hill Book Company,(1959)

*(5) 通常運転時の内槽ガス圧力が、地震時に内槽屋根にかかる鉛直下向き荷重より大

きい場合は、地震時の内槽屋根の座屈は考慮する必要はない。

*1 最小厚さの計算式はJIS B 8265(2017)及びJIS B 8267(2015)によるものである。

*2 内槽の腐れ代は0とすることができる。

*3 内槽屋根板の公称呼び厚さ(最小値)は、JIS B 8501(2013)によるものである。

ただし、アルミニウム合金については、材料特性、組立工作上の制約を考慮して若

干の上乗せを行った。

*4 自己支持型内槽屋根板の座屈強度計算式は、API 620(2010)によるものである。な

お、圧縮応力を求める計算式の一例を次に示す1)。

( )

φ

qP

Ct

a

m cos1

2

2 ++

-=-

( ) m

a

l σφqPCt

Rσ -+

-=- cos

ここに、

σm:子午線方向の圧縮応力(N/mm2)

σl :緯線方向の圧縮応力(N/mm2)

R :内槽屋根の曲率半径(mm)

ta :内槽屋根板の実際の厚さ(mm)

C :腐れ代(mm)

P :内外槽間ガス圧力(N/mm2)

q :内槽屋根板自重、屋根部保冷材自重及び内槽屋根に取付けられる機器

付属品自重の総和(MPa)

φ :屋根頂部よりの半頂角(rad)

解図4-5 φ及びRのとり方

<参考文献>

1) S.Timoshenko、S.Woinowsky-Krieger: 「Theory of Plates and Shells」、p.533,

McGraw-Hill Book Company、(1959)

*5 通常運転時の内槽ガス圧力が、地震時に内槽屋根にかかる鉛直下向き荷重より大

きい場合は、地震時の内槽屋根の座屈は考慮する必要はない。

パブコメ用ドラフト

- 74 -

第4章 -26-

4.5.1.4

(3) 屋根骨支持型内槽屋根の設計

屋根骨支持型内槽屋根における屋根板及び屋根骨の設計は次によること。

(a) 内槽屋根板の厚さ

内槽屋根板の最小厚さ及び公称呼び厚さの最小値は、4.5.1.4(2)(a)によること。

(b) 通常運転時の荷重に対する内槽屋根の座屈強度

(ⅰ)荷重

内槽屋根の座屈を検討する場合の荷重としては、次に示すものを考慮すること。

(イ) 内外槽間ガス圧力

(ロ) 内槽屋根板及び内槽屋根骨自重

(ハ) 屋根部保冷材自重

(ニ) 内槽屋根に取付けられる機器付属品自重

(ⅱ)屋根骨の応力評価

屋根骨の応力評価は次によること*(1)。ただし、屋根骨の有効断面として、屋根骨

に接合される部分の屋根板の厚さの16倍の範囲を屋根骨の両側にとることができ

るものとする*(2)。

(イ) 圧縮力と曲げモーメントが作用する場合

σc、cσb及びtσbを絶対値として次の式を満足すること。

 ≦+ 1b

bc

c

c

f

σ

f

σ かつ 1≦

t

cbt

f

σσ

ここに、fc:3.3.2(3)による許容圧縮応力(N/mm2)

fb :3.3.2(4)による許容曲げ応力(N/mm2)

ft :材料の許容引張応力(N/mm2)

σc :平均圧縮応力(N/mm2)

cσb:圧縮側曲げ応力(N/mm2)

tσb:引張側曲げ応力(N/mm2)

(ロ) 引張力と曲げモーメントが作用する場合

σt、cσb及びtσbを絶対値として次の式を満足すること。

1≦+

t

btt

f

σσ かつ 1≦

b

tbc

f

σσ

ここに、σt:平均引張応力(N/mm2)

tσb、cσb、ft及びfb:(イ)に同じ

(ⅲ)屋根の全体座屈

4.5.1.4(3)(b)(ⅰ)に示す屋根荷重に対し、内槽屋根の全体座屈強度を検討し、安

4.5.1.4

(3) 屋根骨支持型内槽屋根の設計

屋根骨支持型内槽屋根における屋根板及び屋根骨の設計は次によること。

(a) 内槽屋根板の厚さ

内槽屋根板の最小厚さ及び公称呼び厚さの最小値は、4.5.1.4(2)(a)「内槽屋根板

の厚さ」によること。

(b) 通常運転時の荷重に対する内槽屋根の座屈強度

(ⅰ)荷重

内槽屋根の座屈を検討する場合の荷重としては、次に示すものを考慮すること。

(イ) 内外槽間ガス圧力

(ロ) 内槽屋根板及び内槽屋根骨自重

(ハ) 屋根部保冷材自重

(ニ) 内槽屋根に取付けられる機器付属品自重

(ⅱ)屋根骨の応力評価

屋根骨の応力評価は次によること*1。ただし、屋根骨の有効断面として、屋根骨

に接合される部分の屋根板の厚さの16倍の範囲を屋根骨の両側にとることができ

るものとする*2。

(イ) 圧縮力と曲げモーメントが作用する場合

σc、cσb及びtσbを絶対値として次の式を満足すること。

 ≦+ 1b

bc

c

c

f

σ

f

σ かつ 1≦

t

cbt

f

σσ

ここに、fc:3.3.2「外槽、内槽屋根骨、架構等の許容応力」(3)

「許容圧縮応力」による許容圧縮応力(N/mm2)

fb :3.3.2「外槽、内槽屋根骨、架構等の許容応力」(4)

「許容曲げ応力」による許容曲げ応力(N/mm2)

ft :材料の許容引張応力(N/mm2)

σc :平均圧縮応力(N/mm2)

cσb:圧縮側曲げ応力(N/mm2)

tσb:引張側曲げ応力(N/mm2)

(ロ) 引張力と曲げモーメントが作用する場合

σt、cσb及びtσbを絶対値として次の式を満足すること。

1≦+

t

btt

f

σσ かつ 1≦

b

tbc

f

σσ

ここに、σt:平均引張応力(N/mm2)

tσb、cσb、ft及びfb:(イ)に同じ

(ⅲ)屋根の全体座屈

4.5.1.4(3)(b)「通常運転時の荷重に対する内槽屋根の座屈強度」(ⅰ)に示す屋根

パブコメ用ドラフト

- 75 -

第4章 -27-

全性を確認すること*(3)。

(c) 地震時の荷重に対する内槽屋根の強度

内槽屋根の算定応力を4.5.1.1及び4.5.1.2に従って求め、3.3.1(3)に示す許容応力

以下であることを確認すること*(4)。ただし、耐震設計用許容応力Sは、3.3.1(2)によ

ること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 一般的に、屋根骨に発生するせん断応力は小さいが、せん断応力を評価する必要

があると考えられる場合は、次式1)を満足すること。

( ) tbt fτσσ ≦++ 223

ここに、σt :引張応力(N/mm2)

σb :曲げ応力(N/mm2)

τ :せん断応力(N/mm2)

ft :3.3.2(1)による許容引張応力(N/mm2)

<参考文献>

1) 日本建築学会: ”鋼構造設計規準”,(1973)

*(2) 標準的な屋根骨の断面形状と屋根板の有効範囲の例を解図4-6に示す。

解図4-6 屋根板有効範囲の例

*(3) 屋根骨支持型屋根の全体座屈強度の検討方法について次に示す1)。

(a) 全体座屈強度の検討にあたっては、Klöppelの方法を基本的な評価方法とし、

合せてFEM座屈解析も行って、変形モードも含めて評価の信頼性を高めるよう

にすることが望ましい。

(b) Klöppelの方法による座屈荷重PKは次式により求められる。

荷重に対し、内槽屋根の全体座屈強度を検討し、安全性を確認すること*3。

(c) 地震時の荷重に対する内槽屋根の強度

内槽屋根の算定応力を4.5.1.1及び4.5.1.2に従って求め、3.3.1(3)に示す許容応力

以下であることを確認すること*4。ただし、耐震設計用許容応力Sは、3.3.1(2)によ

ること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 一般的に、屋根骨に発生するせん断応力は小さいが、せん断応力を評価する必要

があると考えられる場合は、次式1)を満足すること。

( ) tbt fτσσ ≦++ 223

ここに、σt :引張応力(N/mm2)

σb :曲げ応力(N/mm2)

τ :せん断応力(N/mm2)

ft :3.3.2(1)による許容引張応力(N/mm2)

<参考文献>

1) 日本建築学会: 「鋼構造設計規準」、 (1973)

*2 標準的な屋根骨の断面形状と屋根板の有効範囲の例を解図4-6に示す。

解図4-6 屋根板有効範囲の例

*3 屋根骨支持型屋根の全体座屈強度の検討方法について次に示す1)。

(a) 全体座屈強度の検討にあたっては、Klöppelの方法を基本的な評価方法とし、

合せてFEM座屈解析も行って、変形モードも含めて評価の信頼性を高めるよう

にすることが望ましい。

(b) Klöppelの方法による座屈荷重PKは次式により求められる。

パブコメ用ドラフト

- 76 -

第4章 -28-

2

0.3E 400

0.07120

200.1751

R

tt

R

φαP DiDi

K  --

-=

( ) φ

t

R

t

R

α Mi

Di

Di cos0.5

400

10.65 ++

+= Φ

ii

ii

Miκρρ

κρρ

+=

1Φ 2.5

Di

Mi t

tρ=

R

rκ= FjDi ttt

320.89=

φμξt

t Dj

2

33

cos0.89

+= ξt

ξβ

tt

j

DF +-=

30.251

0.89

1.8

1 0.6

25

6

++

-+

=m

m

n

nJ

mJ

nJξ

M

RM 212

+=

Mb

r

nβ 0.251-=

n

m

n

rFζ M 2

125

13 +=

ただし、Dit

R ≦2,000 20°≦φ≦60°

(Dit

R >2,000の場合はDit

R =2,000とする。)

ここに、

Pk :座屈荷重(N/mm2) JM :ラフター(放射状屋根骨)の有

R :屋根の曲率半径(cm) 効断面2次モーメント(cm4)

r :屋根を支持する胴板の半径(cm) FM :ラフターの有効断面積(cm2)

φ :屋根の半頂角(°) n :ラフターの数

tD :屋根板の厚さ(cm) JR :リング(リング状屋根骨)の断

tDi:屋根板の等価厚さ(cm) 面2次モーメント(cm4)

(屋根骨支持型屋根の場合) FR :リングの断面積(cm2)

tM :屋根を支持する胴板の厚さ(cm) m :リングの数

bM:屋根板の有効幅(cm) E :材料の縦弾性係数(N/mm2)

〔備 考〕

[1]屋根板がラフターに接合されている場合、ラフターの有効断面2次モーメント及び有

効断面積を求めるにあたっては次式で規定される屋根板の有効幅bMを考慮することが

できる。

n

rt

t

Fb D

D

MM 4.4 80 min

*

、、≦

ただし、JM≦3JM*

2

0.3E 400

0.07120

200.1751

R

tt

R

φαP DiDi

K  --

-=

( ) φ

t

R

t

R

α Mi

Di

Di cos0.5

400

10.65 ++

+= Φ

ii

ii

Miκρρ

κρρ

+=

1Φ 2.5

Di

Mi t

tρ=

R

rκ= FjDi ttt

320.89=

φμξt

t Dj

2

33

cos0.89

+= 𝑡𝐹 =𝑡𝐷

0.89𝛽 (1 − 0.25

𝜉

𝑡𝑗3) + 𝜁

1.8

1 0.6

25

6

++

-+

=m

m

n

nJ

mJ

nJξ

M

RM 212

+=

Mb

r

nβ 0.251-=

n

m

n

rFζ M 2

125

13 +=

ただし、Dit

R ≦2,000 20°≦φ≦60°

(Dit

R >2,000の場合はDit

R =2,000とする。)

ここに、

Pk :座屈荷重(N/mm2) JM :ラフター(放射状屋根骨)の有

R :屋根の曲率半径(cm) 効断面2次モーメント(cm4)

r :屋根を支持する胴板の半径(cm) FM :ラフターの有効断面積(cm2)

φ :屋根の半頂角(°) n :ラフターの数

tD :屋根板の厚さ(cm) JR :リング(リング状屋根骨)の断

tDi:屋根板の等価厚さ(cm) 面2次モーメント(cm4)

(屋根骨支持型屋根の場合) FR :リングの断面積(cm2)

tM :屋根を支持する胴板の厚さ(cm) m :リングの数

bM:屋根板の有効幅(cm) E :材料の縦弾性係数(N/mm2)

〔備 考〕

[1]屋根板がラフターに接合されている場合、ラフターの有効断面2次モーメント及び有

効断面積を求めるにあたっては次式で規定される屋根板の有効幅bMを考慮することが

できる。

n

rt

t

Fb D

D

MM 4.4 80 min

*

、、≦

ただし、JM≦3JM*

パブコメ用ドラフト

- 77 -

第4章 -29-

FM≦2FM*

ここに、JM*:ラフター自身の断面2次モーメント(cm4)

FM*:ラフター自身の断面積(cm2)

[2]ラフターの数nは最外周のラフターの数とする。

[3]リングの数mはセンター及びナックルプレート部は数えないものとする。

(c) 座屈強度安全率については、Klöppelの方法による場合は、4.5.1.4(3)(b)(ⅰ)

に示す荷重に対して2.25の安全率をとることが妥当と考えられる。

ただし、Klöppelの方法を適用する場合は、その考え方及び適用範囲を十分に

理解し、過大な評価を行わないよう注意すること。

<参考文献>

1) Klöppel,Jungbluth: ”Beitrag zum Durchschlagproblem dünnwandiger

Kugelschalen”,Stahlbau22 (1953) H6 s 121/30

2) Klöppel,Roos: ”Beitrag zum Durchschlagproblem dünnwandiger versteifter

und unversteifter Kugelschalen für Voll-und halbseitige Belastung”,

Stahlbau25 (1956) H3

*(4) 通常運転時の内槽ガス圧力が、地震時に内槽屋根にかかる鉛直下向き荷重より大

きい場合は、地震時の内槽屋根の座屈は考慮する必要はない。

4.5.1.4

(4) ナックルプレートの設計

(a) ナックルプレートの厚さ

ナックルプレートの最小厚さ及び公称呼び厚さの最小値は、4.5.1.4(2)(a)による

こと。

(b) 通常運転時の荷重に対するナックルプレートの圧縮強度

ナックルプレートは、内槽ガス圧力による周方向圧縮力に対して次式 *(1)を満足す

ること。

c

a

fR

R

Ct

PR≦-

- 1

2 1

22

ここに、P :最高使用圧力(MPa)

R1:ナックルプレートの曲率半径*(2)(mm)

R2:屋根の曲率半径(mm)

但し、R2は下記のR3に置き換えることができる。

R3:屋根とナックルプレートの接合点からナックルプレート方向に

( )CtR a-26.0 離れた点とその点における法線が貯槽の中心線と交わ

る点との間の距離*(2)(mm)

ta :ナックルプレートの実際厚さ(mm)

FM≦2FM*

ここに、JM*:ラフター自身の断面2次モーメント(cm4)

FM*:ラフター自身の断面積(cm2)

[2]ラフターの数nは最外周のラフターの数とする。

[3]リングの数mはセンター及びナックルプレート部は数えないものとする。

(c) 座屈強度安全率については、Klöppelの方法による場合は、4.5.1.4(3)(b)(ⅰ)

に示す荷重に対して2.25の安全率をとることが妥当と考えられる。

ただし、Klöppelの方法を適用する場合は、その考え方及び適用範囲を十分に

理解し、過大な評価を行わないよう注意すること。

<参考文献>

1) Klöppel、Jungbluth: 「Beitrag zum Durchschlagproblem dünnwandiger

Kugelschalen」、Stahlbau22 (1953) H6 s 121/30

2) Klöppel、Roos: 「Beitrag zum Durchschlagproblem dünnwandiger versteifter

und unversteifter Kugelschalen für Voll-und halbseitige Belastung」、

Stahlbau25 (1956) H3

*4 通常運転時の内槽ガス圧力が、地震時に内槽屋根にかかる鉛直下向き荷重より大

きい場合は、地震時の内槽屋根の座屈は考慮する必要はない。

4.5.1.4

(4) ナックルプレートの設計

(a) ナックルプレートの厚さ

ナックルプレートの最小厚さ及び公称呼び厚さの最小値は、4.5.1.4(2)(a)「内槽

屋根板の厚さ」によること。

(b) 通常運転時の荷重に対するナックルプレートの圧縮強度

ナックルプレートは、内槽ガス圧力による周方向圧縮力に対して次式*1を満足する

こと。

c

a

fR

R

Ct

PR≦-

- 1

2 1

22

ここに、P :最高使用圧力(MPa)

R1:ナックルプレートの曲率半径*2(mm)

R2:屋根の曲率半径(mm)

但し、R2は下記のR3に置き換えることができる。

R3:屋根とナックルプレートの接合点からナックルプレート方向に

( )CtR a-26.0 離れた点とその点における法線が貯槽の中心線と交わ

る点との間の距離*2(mm)

ta :ナックルプレートの実際厚さ(mm)

パブコメ用ドラフト

- 78 -

第4章 -30-

C :腐れ代*(3)(mm)

fc :fcは次による(N/mm2)

(ⅰ) ( )

1R

Cta- >0.0175のとき

fc=Mft

(ⅱ) 0.0175≧( )

1R

Cta- >0.00667のとき

fcは( )

BR

CtA a +-

1

又はMftのうち、いずれか小さい方の値

(ⅲ) 0.00667≧( )

1R

Cta- のとき

fcは( )

1

06.0

R

CtE a- 又はMftのうち、いずれか小さい方の値

ただし、A=9.23(ft-4×10-4E)

B=1.615×4×10-4E-0.615ft

2

342

1NNM -+-=

( ) ta fCt

PRN

-=

22

ft:材料の許容引張応力(N/mm2)

E:材料の縦弾性係数(N/mm2)

(c) 地震時の荷重に対するナックルプレートの強度

ナックルプレートの算定応力を4.5.1.1及び4.5.1.2 に従って求め、3.3.1(3)に示

す許容応力以下であることを確認すること。ただし、耐震設計用許容応力Sは、

3.3.1(2)によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) ナックルプレートの圧縮強度計算式は、API 620(2010)及びAPI 620のもととな

る文献1)他2)による。

<参考文献>

1) J.J.Dvorak and R.V.McGrath: ”Biaxial Stress Criteria for Large Low-

Pressure Tanks”,pp.14-24, WRC Bull.69,(1961)

2) 浜中順一,大矢弘志,烏野信美,高野真延: ”地上二重殻式低温貯蔵タンクの座屈

に対する考察-円筒胴補強リングの設計法とナックルプレートの許容圧縮応力-”,

pp.28-36, 石川島播磨技報vol.21 No.1,(1981.1)

C :腐れ代*3(mm)

fc :fcは次による(N/mm2)

(ⅰ) ( )

1R

Cta- >0.0175のとき

fc=Mft

(ⅱ) 0.0175≧( )

1R

Cta- >0.00667のとき

fcは( )

BR

CtA a +-

1

又はMftのうち、いずれか小さい方の値

(ⅲ) 0.00667≧( )

1R

Cta- のとき

fcは( )

1

06.0

R

CtE a- 又はMftのうち、いずれか小さい方の値

ただし、A=92.3(ft-4×10-4E)

B=1.615×4×10-4E-0.615ft

2

342

1NNM -+-=

( ) ta fCt

PRN

-=

22

ft:材料の許容引張応力(N/mm2)

E:材料の縦弾性係数(N/mm2)

(c) 地震時の荷重に対するナックルプレートの強度

ナックルプレートの算定応力を4.5.1.1及び4.5.1.2 に従って求め、3.3.1(3)に示

す許容応力以下であることを確認すること。ただし、耐震設計用許容応力Sは、

3.3.1(2)によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 ナックルプレートの圧縮強度計算式は、API 620(2010)及びAPI 620のもととなる

文献1)他2)による。

<参考文献>

1) J.J.Dvorak and R.V.McGrath: 「Biaxial Stress Criteria for Large Low-

Pressure Tanks」、pp.14-24、WRC Bull.69、(1961)

2) 浜中順一、大矢弘志、烏野信美、高野真延: 「地上二重殻式低温貯蔵タンクの座

屈に対する考察-円筒胴補強リングの設計法とナックルプレートの許容圧縮応力

-」、pp.28-36、石川島播磨技報vol.21 No.1、(1981.1)

パブコメ用ドラフト

- 79 -

第4章 -31-

*(2) ナックルプレートの曲率半径R1、屋根の曲率半径R2及び屋根とナックルプレート

の接合点からナックルプレート方向に ( )CtR a-26.0 離れた点とその点における法

線が貯槽の中心線と交わる点との間の距離R3のとり方を下の図1)に示す。

解図4-7 曲率半径等のとり方

<参考文献>

1) 高圧ガス保安法 特定設備検査規則関係例示基準: ”別添二 平底円筒形貯槽の

技術基準の解釈”

*(3) 内槽の腐れ代は0とすることができる。

4.5.1.5 内槽の底板及びアニュラプレート

(1) 一般

(a) 内槽底部は底板及びアニュラプレート*(1)からなる構造とすること*(2)。

(b) 内槽の側板とアニュラプレート継手部のアニュラプレート液側溶接止端部は、過大

な応力が生じないよう、なめらかな形状とすること*(3)。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) アニュラプレートは、成形した扇形の板を円環状に敷き並べて相互に溶接したも

のであり、一般にその外周は円形に、内周は板の数(N)と等しい数の正N角形又は

円形としている。

*(2) 側板とアニュラプレートとのT形溶接継手部付近では、繰返し曲げ荷重や角変形

等を考慮して、内部底板よりも強度と工作の精度を上げる必要がある。このため、

*2 ナックルプレートの曲率半径R1、屋根の曲率半径R2及び屋根とナックルプレート

の接合点からナックルプレート方向に ( )CtR a-26.0 離れた点とその点における法

線が貯槽の中心線と交わる点との間の距離R3のとり方を下の図1)に示す。

解図4-7 曲率半径等のとり方

<参考文献>

1) 高圧ガス保安法 特定設備検査規則関係例示基準: 別添二 「平底円筒形貯槽の

技術基準の解釈」

*3 内槽の腐れ代は0とすることができる。

4.5.1.5 内槽の底板及びアニュラプレート

(1) 一般

(a) 内槽底部は底板及びアニュラプレート*1からなる構造とすること*2。

(b) 内槽の側板とアニュラプレート継手部のアニュラプレート液側溶接止端部は、過大

な応力が生じないよう、なめらかな形状とすること*3。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 アニュラプレートは、成形した扇形の板を円環状に敷き並べて相互に溶接したも

のであり、一般にその外周は円形に、内周は板の数(N)と等しい数の正N角形又は

円形としている。

*2 側板とアニュラプレートとのT形溶接継手部付近では、繰返し曲げ荷重や角変形

等を考慮して、内部底板よりも強度と工作の精度を上げる必要がある。このため、

ta ta

パブコメ用ドラフト

- 80 -

第4章 -32-

本指針においては内槽底部にはアニュラプレートを採用することとした。

*(3) なめらかな形状を必要とする個所を解図4-8に示す。

解図4-8 側板とアニュラプレート継手部の溶接止端部形状

4.5.1.5

(2) アニュラプレートの設計

(a) アニュラプレートの厚さ

アニュラプレートは十分な強度を有する厚さとすること*(1)。ただし、アニュラプレ

ートの公称呼び厚さはアルミニウム合金にあっては8mm以上、それ以外の材料では

6.5mm以上とすること*(2)。

(ⅰ)地震時の荷重に対する強度

アニュラプレートの算定応力を4.5.1.1及び4.5.1.2に従って求め、3.3.1(3)に示

す許容応力以下であることを確認すること。

(ⅱ)疲労強度

通常運転時及び地震時の荷重の組合せに対して疲労強度を確認すること*(3)。

(イ) 繰返し荷重

繰返し荷重として、表4-7に示す荷重を考慮すること*(4)。

表4-7 繰返し荷重の種類

繰返し荷重

通常運転による繰返し荷重 ΔP1

通常荷重と地震荷重の組合せによる変動荷重 ΔP2

地震による変動荷重 ΔP3

耐圧試験等による変動荷重 ΔP4

(ロ) 許容繰返し回数は3.4.2の設計疲労曲線によること*(5)。

(ハ) 疲労強度の評価は3.4.1(2)に示す線形被害則によること*(5)。

(b) アニュラプレートの大きさ

(ⅰ)アニュラプレートの幅 は600mm以上*(6)、かつアニュラプレートの浮上り長さの

本指針においては内槽底部にはアニュラプレートを採用することとした。

*3 なめらかな形状を必要とする個所を解図4-8に示す。

解図4-8 側板とアニュラプレート継手部の溶接止端部形状

4.5.1.5

(2) アニュラプレートの設計

(a) アニュラプレートの厚さ

アニュラプレートは十分な強度を有する厚さとすること*1。ただし、アニュラプレ

ートの公称呼び厚さはアルミニウム合金にあっては8mm以上、それ以外の材料では

6.5mm以上とすること*2。

(ⅰ)地震時の荷重に対する強度

アニュラプレートの算定応力を4.5.1.1及び4.5.1.2に従って求め、3.3.1(3)に示

す許容応力以下であることを確認すること。

(ⅱ)疲労強度

通常運転時及び地震時の荷重の組合せに対して疲労強度を確認すること*3。

(イ) 繰返し荷重

繰返し荷重として、表4-7に示す荷重を考慮すること*4。

表4-7 繰返し荷重の種類

繰返し荷重

通常運転による繰返し荷重 ΔP1

通常荷重と地震荷重の組合せによる変動荷重 ΔP2

地震による変動荷重 ΔP3

耐圧試験等による変動荷重 ΔP4

(ロ) 許容繰返し回数は3.4.2「設計疲労曲線」によること*5。

(ハ) 疲労強度の評価は3.4.1「許容繰返し回数」(2)に示す線形被害則によること*

5。

(b) アニュラプレートの大きさ L

パブコメ用ドラフト

- 81 -

第4章 -33-

最大値以上であること。

(ⅱ)アニュラプレートの張出し寸法Cは50mm以上*(6)とすること。

図4-1 アニュラプレートの幅及び張出し寸法

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 板厚の設定方法の一例を次に示す。

(a) 疲労強度より設定する方法

(ⅰ)通常運転による疲労寿命を設定し、3.4.2に示す設計疲労曲線より限界応力

(2×限界ひずみ振幅×縦弾性係数)を求める。

(ⅱ)限界応力を解図4-13に示す応力集中係数Kで除して、側板との継手部におけ

る公称応力の限界値を算出する。

(ⅲ)上記公称応力の限界値を許容引張応力で除した値をΛとする。

(ⅳ)解図4-9よりΛに対応する板厚比が得られ、側板最下段の板厚が設定されれば

アニュラプレートの最小板厚を求めることができる。

(b) 側板最下段の厚さに応じてアニュラプレートの厚さを設定する方法。

解表4-3 アニュラプレートの厚さ

側板最下段の厚さt(mm) アニュラプレートの厚さ(mm)

15<t≦20

20<t≦25

25<t≦30

30<t

12

15

18

0.6t

(ⅰ)アニュラプレートの幅 は600mm以上*6、かつアニュラプレートの浮上り長さの

最大値以上であること。

(ⅱ)アニュラプレートの張出し寸法Cは50mm以上*6とすること。

図4-1 アニュラプレートの幅及び張出し寸法

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 板厚の設定方法の一例を次に示す。

(a) 疲労強度より設定する方法

(ⅰ)通常運転による疲労寿命を設定し、3.4.2に示す設計疲労曲線より限界応力

(2×限界ひずみ振幅×縦弾性係数)を求める。

(ⅱ)限界応力を解図4-13に示す応力集中係数Kで除して、側板との継手部にお

ける公称応力の限界値を算出する。

(ⅲ)上記公称応力の限界値を許容引張応力で除した値をΛとする。

(ⅳ)解図4-9よりΛに対応する板厚比が得られ、側板最下段の板厚が設定され

ればアニュラプレートの最小板厚を求めることができる。

(b) 側板最下段の厚さに応じてアニュラプレートの厚さを設定する方法。

解表4-3 アニュラプレートの厚さ

側板最下段の厚さt(mm) アニュラプレートの厚さ(mm)

15<t≦20

20<t≦25

25<t≦30

30<t

12

15

18

0.6t

L

パブコメ用ドラフト

- 82 -

第4章 -34-

〔備 考〕

[1]軸対称円筒殻理論1)を用いた、通常運転時の荷重に対する解析解から作成した。

解図4-9 アニュラプレートの厚さ

<参考文献>

1) 小林信之: ”円筒型タンクの隅底部の応力解析”,pp.78-80, 日本機械学会関西支

部第234回講演会講演論文集(1975.11)

*(2) アニュラプレートの公称呼び厚さの最小値はJIS B 8501(1979)によるものであ

る。ただし、アルミニウム合金については材料特性、組立工作上の制約を考慮して、

若干の上載せを行った。

〔備 考〕

[1]軸対称円筒殻理論1)を用いた、通常運転時の荷重に対する解析解から作成した。

解図4-9 アニュラプレートの厚さ

<参考文献>

1) 小林信之: 「円筒型タンクの隅底部の応力解析」、pp.78-80、 日本機械学会関西

支部第234回講演会講演論文集(1975.11)

*2 アニュラプレートの公称呼び厚さの最小値はJIS B 8501(1979)によるものであ

る。ただし、アルミニウム合金については材料特性、組立工作上の制約を考慮して、

若干の上載せを行った。

パブコメ用ドラフト

- 83 -

第4章 -35-

*(3) 側板とアニュラプレート継手部の疲労解析の一般的な手順を次に示す。

解図4-10 側板とアニュラプレート継手部の疲労解析手順

この手順に示す2つの解析の流れのうち、疲労強度の評価のために溶接止端部の

ピーク応力をその都度有限要素法を用いた局部解析で求めるには一般的に時間が

かかるので、応力集中係数を用いた簡便法の確立が望まれる。このため実験及び解

析により溶接止端部での応力集中係数の検討を行った。その結果、当該継手部で発

生しうると考えられるひずみ範囲においては側板とアニュラプレート継手部の溶

接止端部の応力集中係数は解図4-13中の実線により求めることができると考えら

れる1)。以下に、応力集中係数の検討内容の概要を示す。

(a) 実験による応力集中係数の評価

解図4-11に示す方法により、L形モデル試験片を変形させ、各部に生じるひず

みを測定した。その結果の一例を解図4-12に示す。これによるとアニュラプレー

ト側溶接止端部からある程度離れるとアニュラプレートに生じるひずみは直線

的に変化することがわかる。これより、止端部での公称ひずみは、止端部から離

れた位置でのひずみを直線的に結び、止端部位置での値を求めることにより得ら

れる。

また、この直線は梁理論から求まるひずみ分布と非常によく一致していた。応

*3 側板とアニュラプレート継手部の疲労解析の一般的な手順を次に示す。

解図4-10 側板とアニュラプレート継手部の疲労解析手順

この手順に示す2つの解析の流れのうち、疲労強度の評価のために溶接止端部の

ピーク応力をその都度有限要素法を用いた局部解析で求めるには一般的に時間が

かかるので、応力集中係数を用いた簡便法の確立が望まれる。このため実験及び解

析により溶接止端部での応力集中係数の検討を行った。その結果、当該継手部で発

生しうると考えられるひずみ範囲においては側板とアニュラプレート継手部の溶

接止端部の応力集中係数は解図4-13中の実線により求めることができると考え

られる1)。以下に、応力集中係数の検討内容の概要を示す。

(a) 実験による応力集中係数の評価

解図4-11に示す方法により、L形モデル試験片を変形させ、各部に生じるひ

ずみを測定した。その結果の一例を解図4-12に示す。これによるとアニュラプ

レート側溶接止端部からある程度離れるとアニュラプレートに生じるひずみは

直線的に変化することがわかる。これより、止端部での公称ひずみは、止端部か

ら離れた位置でのひずみを直線的に結び、止端部位置での値を求めることにより

得られる。

また、この直線は梁理論から求まるひずみ分布と非常によく一致していた。応

変位

各部の応力・変位

薄肉軸対称要素による内

槽全体解析(FEM)

止端部の応力集中係数

厚肉軸対称要素によるズ

ームアップ解析(FE

M)

止端部ピーク応力

止端部応力の片振幅

各荷重ごとの止端部応力の片振幅

に対する疲労寿命を求める。 設計疲労曲線

各荷重サイクルに対する疲労損傷を線型被害則により重ね合

せ、累積疲労損傷度を求め安全性の評価を行う。

変位

各部の応力・変位

薄肉軸対称要素による内

槽全体解析(FEM)

止端部の応力集中係数

厚肉軸対称要素によるズ

ームアップ解析(FE

M)

止端部ピーク応力

止端部応力の片振幅

各荷重ごとの止端部応力の片振幅

に対する疲労寿命を求める。 設計疲労曲線

各荷重サイクルに対する疲労損傷を線型被害則により重ね合

せ、累積疲労損傷度を求め安全性の評価を行う。

パブコメ用ドラフト

- 84 -

第4章 -36-

力集中係数Kは、実験値を用いて次式により求めた。

K=

計算結果を止端部曲率半径で整理し、解図4-13に示す。解図4-13中の実線は、

実験値の最大を結んだものである。

(b) 解析による応力集中係数の評価

解析による応力集中係数Kを次式より求める。

K=

75,000m39%ニッケル鋼製LNG貯槽をモデルにとり、通常運転状態での全体

解析結果を用いて4種類の止端部曲率半径を有する局部解析モデルによりFE

M解析を行った。

これより上式を用いて応力集中係数を計算した結果を解図4-13に合せてプロ

ットした。これによると、解析結果は実験結果の最大値を結ぶ線とよく一致して

いる。

(c) 高ひずみ域における応力集中係数の評価2)

解図4-13を用いて高ひずみ域における応力集中係数の評価を行うことの有効

性を、別途行ったL形曲げ試験のデータより確認した。すなわち、(a)と同様の

方法により高ひずみを発生させて得られたデータよりK値(この場合はひずみ集

中係数。)と溶接止端部のひずみの関係を求め、解図4-14に示すとともに、図中

にこれら試験片の溶接止端部の曲率より解図4-13から求まる応力集中係数を一

点鎖線で示した。これより、溶接止端部のひずみが約1%以下であれば解図4-13

中の実線により得られる応力集中係数は当該個所の疲労評価に十分使用できる

ものと考えられる。

解図4-11 試験片形状及び試験要領

力集中係数Kは、実験値を用いて次式により求めた。

K=

計算結果を止端部曲率半径で整理し、解図4-13に示す。解図4-13中の実線

は、実験値の最大を結んだものである。

(b) 解析による応力集中係数の評価

解析による応力集中係数Kを次式より求める。

K=

75,000m39%ニッケル鋼製LNG貯槽をモデルにとり、通常運転状態での全体

解析結果を用いて4種類の止端部曲率半径を有する局部解析モデルによりFE

M解析を行った。

これより上式を用いて応力集中係数を計算した結果を解図4-13に合せてプ

ロットした。これによると、解析結果は実験結果の最大値を結ぶ線とよく一致し

ている。

(c) 高ひずみ域における応力集中係数の評価2)

解図4-13を用いて高ひずみ域における応力集中係数の評価を行うことの有

効性を、別途行ったL形曲げ試験のデータより確認した。すなわち、(a)と同様

の方法により高ひずみを発生させて得られたデータよりK値(この場合はひずみ

集中係数。)と溶接止端部のひずみの関係を求め、解図4-14に示すとともに、

図中にこれら試験片の溶接止端部の曲率より解図4-13から求まる応力集中係

数を一点鎖線で示した。これより、溶接止端部のひずみが約1%以下であれば解

図4-13中の実線により得られる応力集中係数は当該個所の疲労評価に十分使

用できるものと考えられる。

解図4-11 試験片形状及び試験要領

厚肉軸対称要素による局部FEM解析から求まる止端部応力(又はひずみ)

薄肉軸対称要素による内槽全体FEM解析による継手部応力(又はひずみ)

L形モデル実験による溶接止端部のひずみ(又は応力)

L形モデル実験によるコーナーからはなれた位置のひずみを直線的に結んで得た

止端部位置の公称ひずみ(又は応力)

厚肉軸対称要素による局部FEM解析から求まる止端部応力(又はひずみ)

薄肉軸対称要素による内槽全体FEM解析による継手部応力(又はひずみ)

L形モデル実験による溶接止端部のひずみ(又は応力)

L形モデル実験によるコーナーからはなれた位置のひずみを直線的に結んで得た

止端部位置の公称ひずみ(又は応力)

パブコメ用ドラフト

- 85 -

第4章 -37-

解図4-12 応力集中係数と止端部曲率半径の関係1)

(FEM解析と実験値の比較)

解図4-12 応力集中係数と止端部曲率半径の関係1)

(FEM解析と実験値の比較)

パブコメ用ドラフト

- 86 -

第4章 -38-

解図4-13 L形曲げ試験によるひずみ分布

解図4-13 L形曲げ試験によるひずみ分布

パブコメ用ドラフト

- 87 -

第4章 -39-

解図4-14 高ひずみ域におけるひずみ集中係数

<参考文献>

1) 日本瓦斯協会: ”ガス工作物設置基準調査について-昭和54年度 ガス導管、有水

ガスホルダー及びLNG地上式貯槽に関する調査報告書-”,p.211

2) T.Udoguchi, T.Wada: ”Notch Effect on Low-Cycle Fatigue Strength of Metals”,

Proceedings of the First International Conference on Pressure Vessel

Technology Part2 ASME 1969

解図4-14 高ひずみ域におけるひずみ集中係数

<参考文献>

1) 日本瓦斯協会: 「ガス工作物設置基準調査について-昭和54年度 ガス導管、有水

ガスホルダー及びLNG地上式貯槽に関する調査報告書-」、p.211

2) T.Udoguchi、 T.Wada:「Notch Effect on Low-Cycle Fatigue Strength of Metals」、

Proceedings of the First International Conference on Pressure Vessel

Technology Part2 ASME 1969

パブコメ用ドラフト

- 88 -

第4章 -40-

*(4) 一般的な繰返し荷重の考え方について次に示す。

(a) 通常運転による繰返し荷重(ΔP1)…ガス圧力を含む静液圧の変動を対象とし、

その荷重繰返し数をLNGの荷役回数より求める。

(b) 通常荷重と地震荷重の組合せによる変動荷重(ΔP2)…通常荷重としては最大

液位を考え、地震荷重と組合せる。1回の地震発生によって通常荷重と地震荷重

の組合せによる変動荷重が1回起こるとする。地震荷重についてはレベル1設計

地震動及びレベル2設計地震動による荷重を考慮するものとし、繰返し回数につ

いては、設計地震波等を考慮し、適切に定めるものとする。

(c) 地震による変動荷重(ΔP3)…荷重の繰返し数は、1回の地震発生によって生

じる疲労寿命に影響する主要振動数とする。

(d) 耐圧試験等による変動荷重(ΔP4)

これら変動荷重の関係の概要を下図に示す。

なお、ΔP2’、ΔP3’はレベル1設計地震動に関するもの、ΔP2”、 ΔP3”はレ

ベル2設計地震動に関するものである。

解図4-15 繰返し荷重

*(5) 設計疲労曲線は溶接継手の軸力疲労試験データより作られているが、確認のため

実貯槽(75,000m3)をモデルにしたL形試験片による曲げ変位疲労試験結果との比

較を行った。

結果を解図4-16及び解図4-17に示すが、溶接継手の軸力疲労試験結果と、L形曲

げ疲労試験結果とはよく一致している。

*4 一般的な繰返し荷重の考え方について次に示す。

(a) 通常運転による繰返し荷重(ΔP1)…ガス圧力を含む静液圧の変動を対象とし、

その荷重繰返し数をLNGの荷役回数より求める。

(b) 通常荷重と地震荷重の組合せによる変動荷重(ΔP2)…通常荷重としては最大

液位を考え、地震荷重と組合せる。1回の地震発生によって通常荷重と地震荷重

の組合せによる変動荷重が1回起こるとする。地震荷重についてはレベル1設計

地震動及びレベル2設計地震動による荷重を考慮するものとし、繰返し回数につ

いては、設計地震波等を考慮し、適切に定めるものとする。

(c) 地震による変動荷重(ΔP3)…荷重の繰返し数は、1回の地震発生によって生

じる疲労寿命に影響する主要振動数とする。

(d) 耐圧試験等による変動荷重(ΔP4)

これら変動荷重の関係の概要を下図に示す。

なお、ΔP2’、ΔP3’はレベル1設計地震動に関するもの、ΔP2”、 ΔP3”はレ

ベル2設計地震動に関するものである。

解図4-15 繰返し荷重

*5 設計疲労曲線は溶接継手の軸力疲労試験データより作られているが、確認のため

実貯槽(75,000m3)をモデルにしたL形試験片による曲げ変位疲労試験結果との比

較を行った。

結果を解図4-16及び解図4-17に示すが、溶接継手の軸力疲労試験結果と、L

形曲げ疲労試験結果とはよく一致している。

試験

通常運転 レベル1

地震発生

通常運転

ΔP4

ΔP1

ΔP3’

ΔP2’

レベル2

地震発生

通常運転

ΔP3” ΔP2”

ΔP1

試験

通常運転 レベル1

地震発生

通常運転

ΔP4

ΔP1

ΔP3’

ΔP2’

レベル2

地震発生

通常運転

ΔP3” ΔP2”

ΔP1

パブコメ用ドラフト

- 89 -

第4章 -41-

〔備 考〕

[1]L形曲げ疲労試験の止端部ひずみは、止端部からはなれた位置でのひずみ値より、

As WeldではK=1.6を用いて評価した値を示す。

解図4-16 L形曲げ疲労試験結果(9%ニッケル鋼)

解図4-17 L形曲げ疲労試験結果(A5083/A5183)

*(6) アニュラプレートの幅及び張出し寸法はJIS B 8501(1979)によるものである。

〔備 考〕

[1]L形曲げ疲労試験の止端部ひずみは、止端部からはなれた位置でのひずみ値より、

As WeldではK=1.6を用いて評価した値を示す。

解図4-16 L形曲げ疲労試験結果(9%ニッケル鋼)

解図4-17 L形曲げ疲労試験結果(A5083/A5183)

*6 アニュラプレートの幅及び張出し寸法はJIS B 8501(1979)によるものである。

石川島播磨重工業(株)-住友金属(株)

実験値(常温実験)

石川島播磨重工業

(常温実験)

石川島播磨重工業(株)-住友金属(株)

実験値(常温実験)

石川島播磨重工業

(常温実験)

パブコメ用ドラフト

- 90 -

第4章 -42-

4.5.1.5

(3) 内槽底板の設計

内槽底板の公称呼び厚さは6mm以上とすること*(1)。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 内槽底板の公称呼び厚さの最小値は、JIS B 8501(1995)によるものである。

4.5.1.6 内槽アンカー

(1) 一般

(a) 内槽ガス圧力によって生じる上向力及び地震による転倒モーメント等を考慮して

内槽アンカーを設けること。

(b) 内槽アンカーは内槽の温度変化による収縮等を考慮に入れた安全な構造であるこ

と。

(c) 内槽アンカーの上端の取付部は過大な局部応力が発生しない構造とし、下端は直接

又は間接に基礎に強固に固定すること*(1)。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) アンカー取付座回りの側板については適切な解析手法により、アンカーから伝え

られる荷重に対して十分に安全であることを確認すること。また、基礎との取付部

についても十分に安全であることを確認すること。

4.5.1.6

(2) 内槽アンカーの設計

(a) 通常運転時の荷重に対する内槽アンカーの強度

(ⅰ)通常運転時の荷重

通常運転時の荷重としては、次に示すものを考慮すること。

4.5.1.5

(3) 内槽底板の設計

内槽底板の公称呼び厚さは6mm以上とすること*1。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 内槽底板の公称呼び厚さの最小値は、JIS B 8501(2013)によるものである。

4.5.1.6 内槽アンカー

(1) 一般

(a) 内槽ガス圧力によって生じる上向力及び地震による転倒モーメント等を考慮して

内槽アンカーを設けること。

(b) 内槽アンカーは内槽の温度変化による収縮等を考慮に入れた安全な構造であるこ

と。

(c) 内槽アンカーの上端の取付部は過大な局部応力が発生しない構造とし、下端は直接

又は間接に基礎に強固に固定すること*1。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 アンカー取付座回りの側板については適切な解析手法により、アンカーから伝え

られる荷重に対して十分に安全であることを確認すること。また、基礎との取付部

についても十分に安全であることを確認すること。

4.5.1.6

(2) 内槽アンカーの設計

(a) 通常運転時の荷重に対する内槽アンカーの強度

(ⅰ)通常運転時の荷重

通常運転時の荷重としては、次に示すものを考慮すること。

パブコメ用ドラフト

- 91 -

第4章 -43-

(イ) 内槽ガス圧力(最高使用圧力)

(ロ) 側板、屋根及びこれらに取付けられる機器付属品の自重

(ハ) 屋根部保冷材自重

(ニ) その他の荷重*(1)

(ⅱ)アンカーの強度

通常運転時の荷重により内槽アンカーに発生する応力σは、許容引張応力以下で

あること。

A

Fσ=

ここに、

σ :アンカーに発生する応力(N/mm2)

F :アンカーに作用する荷重(N)

A :アンカーの断面積(mm2)

(b) 地震時の荷重に対する内槽アンカーの強度

4.5.1.1及び4.5.1.2の算定方法により求められる内槽アンカーの応力が、3.3.1(3)

に示す許容応力以下であることを確認すること。ただし、耐震設計用許容応力Sは、

3.3.1(2)によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 温度変化等により生じる側板変位及びアンカーの収縮により、アンカーに加わる

荷重を必要に応じて考慮すること。

4.5.1.7 その他内槽付属品

(1) 内槽ノズル*(1)

(a) ノズル取付部*(2)は、通常運転時、地震時、強風時等に安全な構造とすること*(3)*(4)。

(b) 温度収縮等による内槽と外槽の相対変位により、内槽のノズルネックが外槽と接触

しないよう適切な措置を講ずること。

(c) 内槽のノズルは、原則として呼び径2B以上とすること。

(d) ノズルネックの厚さ

内槽のノズルネックの最小厚さは、安全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2010)、

安全係数3.5基準の場合はJIS B 8267(2008)の、附属書E E.2.2の外径基準*(5)以上と

すること。ただし、σaは材料の許容引張応力(N/mm2)、ηは5.2.4(1)(d)による溶接継

手効率とする。

(イ) 内槽ガス圧力(最高使用圧力)

(ロ) 側板、屋根及びこれらに取付けられる機器付属品の自重

(ハ) 屋根部保冷材自重

(ニ) その他の荷重*1

(ⅱ)アンカーの強度

通常運転時の荷重により内槽アンカーに発生する応力σは、許容引張応力以下で

あること。

A

Fσ=

ここに、

σ :アンカーに発生する応力(N/mm2)

F :アンカーに作用する荷重(N)

A :アンカーの断面積(mm2)

(b) 地震時の荷重に対する内槽アンカーの強度

4.5.1.1及び4.5.1.2の算定方法により求められる内槽アンカーの応力が、3.3.1(3)

に示す許容応力以下であることを確認すること。ただし、耐震設計用許容応力Sは、

3.3.1(2)によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 温度変化等により生じる側板変位及びアンカーの収縮により、アンカーに加わる

荷重を必要に応じて考慮すること。

4.5.1.7 その他内槽付属品

(1) 内槽ノズル*1

(a) ノズル取付部*2は、通常運転時、地震時、強風時等に安全な構造とすること*3*4。

(b) 温度収縮等による内槽と外槽の相対変位により、内槽のノズルが外槽と接触しない

よう適切な措置を講ずること。

(c) 内槽のノズルは、原則として呼び径2B以上とすること。

(d) ノズルの厚さ

内槽のノズルの最小厚さは、安全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2017)、安全係

数3.5基準の場合はJIS B 8267(2015)の、附属書E E.2.2の外径基準*5以上とするこ

と。ただし、σaは材料の許容引張応力(N/mm2)、ηは5.2.4「溶接」(1)「溶接設計」(d)

「溶接継手効率」による。

パブコメ用ドラフト

- 92 -

第4章 -44-

(e) フランジ

ノズルにフランジを設ける場合は、安全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2010)附

属書G~J、安全係数3.5基準の場合はJIS B 8267(2008)附属書G~J及び5.4c)によるフ

ランジとするか、又は以下による。

(ⅰ)JIS B 2220(2004)「鋼製管フランジ」(ただし、JIS B 2220の付表6に示す薄形フ

ランジは用いてはならない。)

(ⅱ)石油学会規格JPI-7S-15(1999)「石油工業用フランジ」

(ⅲ)石油学会規格JPI-7S-43(2001)「石油工業用大口径フランジ」

(ⅳ)American National Standards Institute ANSI B 16.5(1996)「Steel Pipe

Flanges and Flanged Fittings」

(ⅴ)American National Standards Institute ANSI B 16.47(1996)「Large Diameter

Steel Flanges」

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) ノズルとは、ノズルネック、管台及び強め材により構成される部分をいう。

解図4-18 ノズルの一例

(e) フランジ

ノズルにフランジを設ける場合は、安全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2017)附

属書G~J、安全係数3.5基準の場合はJIS B 8267(2015)附属書G~J及び5.4c)によるフ

ランジとするか、又は以下による。

(ⅰ)JIS B 2220(2012)「鋼製管フランジ」(ただし、JIS B 2220の表16に示す薄形フラ

ンジは用いてはならない。)

(ⅱ)安全係数4.0の基準の場合は、

JPI-7S-15(1999)「石油工業用フランジ」

安全基準 3.5 基準の場合は、

JPI-7S-15(2011)「石油工業用フランジ」

(ⅲ)安全係数4.0の基準の場合は、

JPI-7S-43(2001)「石油工業用大口径フランジ」

安全基準 3.5 基準の場合は、

JPI-7S-43(2008)「石油工業用大口径フランジ」

(ⅳ)安全係数4.0の基準の場合は、

ASME B16.5(1996)「Steel Pipe Flanges and Flanged Fittings」

安全基準 3.5 基準の場合は、

ASME B16.5(2017)「Pipe Flanges and Flanged Fittings」

(ⅴ)安全係数4.0の基準の場合は、

ASME B16.47(1996)「Large Diameter Steel Flanges」

安全基準 3.5 基準の場合は、

ASME B16.47(2017)「Large Diameter Steel Flanges」

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 ノズルとは、解図4-18に示す部分をいう。

解図4-18 ノズルの一例

パブコメ用ドラフト

- 93 -

第4章 -45-

*(2) ノズル取付部とは、ノズル及びノズル回り胴板をいう。

*(3) ノズル取付部から通常、固定とみなしうる点までの配管系について動的解析法

(修正震度法、モード解析法、時刻歴応答解析法等)を用いて地震応答解析を行い、

地震時の配管からの荷重を求めることが望ましい。なお、緊急しゃ断弁は貯槽と同

一基礎上で支持し、上記配管系に含む必要がある。

解図4-19 動的解析を行う範囲

*(4) ノズル取付部については、配管からの荷重等に対する安全性を確認する必要があ

る。

ここで、配管からの荷重によるノズル取付部の応力を求める方法には、有限要素

法及びBijlaard法1)2)がある。

有限要素法を用いる場合は、ノズル反力による影響が無視できるような十分広い

範囲までノズル回り胴板のモデル化を行う必要がある。

また、Bijlaard法を用いる場合は、ノズルの相当半径及び胴板の相当板厚のとり

方に十分注意する必要がある。

なお、ノズルネックについては、高圧ガス保安協会KHK S 0801(2004)「高圧ガス

の配管に関する基準」の評価方法に従って、強度の確認を行うことが望ましい。

<参考文献>

1) BS: ”Specification for Unfired Fusion Welded Pressure Vessels”,BS

5500,(1997)

2) Bijlaard P.P.: ”Stresses from Local Loading in Cylindrical Pressure

Vessels”,Trans ASME 77,(1955)

*(5) 内槽の腐れ代は0とすることができる。

4.5.1.7

*2 ノズル取付部とは、ノズル、強め材及びノズル回り胴板をいう。

*3 ノズル取付部から通常、固定とみなしうる点までの配管系について動的解析法(修

正震度法、モード解析法、時刻歴応答解析法等)を用いて地震応答解析を行い、地

震時の配管からの荷重を求めることが望ましい。なお、緊急しゃ断弁は貯槽と同一

基礎上で支持し、上記配管系に含む必要がある。

解図4-19 動的解析を行う範囲

*4 ノズル取付部については、配管からの荷重等に対する安全性を確認する必要があ

る。

ここで、配管からの荷重によるノズル取付部の応力を求める方法には、有限要素

法及びBijlaard法1)2)がある。

有限要素法を用いる場合は、ノズル反力による影響が無視できるような十分広い

範囲までノズル回り胴板のモデル化を行う必要がある。

また、Bijlaard法を用いる場合は、ノズルの相当半径及び胴板の相当板厚のとり

方に十分注意する必要がある。

なお、ノズルについては、高圧ガス保安協会KHK S 0801(2004)「高圧ガスの配管

に関する基準」の評価方法に従って、強度の確認を行うことが望ましい。

<参考文献>

1) BS: 「Specification for Unfired Fusion Welded Pressure Vessels」、BS 5500、

(1997)

2) Bijlaard P.P.: 「Stresses from Local Loading in Cylindrical Pressure

Vessels」、Trans ASME 77、(1955)

*5 内槽の腐れ代は0とすることができる。

4.5.1.7

パブコメ用ドラフト

- 94 -

第4章 -46-

(2) 内槽マンホール等の胴及びふた板

(a) 一般

内槽には、直径500mm以上のマンホールを1個以上取付けること。

(b) 内槽マンホール等の胴及びふた板の厚さ

内槽マンホール等の胴及びふた板に使用する板の実際厚さは2.5mm以上とするこ

と。

(c) 内圧を受けるマンホール等の胴

円筒胴の最小厚さは、安全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2010)、安全係数3.5基

準の場合はJIS B 8267(2008)の附属書E E.2.2の内径基準*(1)以上とすること。ただし、

σaは材料の許容引張応力(N/mm2)、ηは5.2.4(1)(d)による溶接継手効率とする。

また、マンホール等の胴に設けるフランジは、4.5.1.7(1)(e)によること。

(d) フランジ付さら形ふた板

さら形ふた板であって締付ボルトで取付けるフランジを持つものの構造を図4-2

に、最小厚さ等の規定を以下に示す。

(ⅰ)図4-2(a)に示すふた板

(イ) 鏡板の部分

① 鏡板の形状

内圧を受け、ステーによって支えないさら形鏡板、全半球形鏡板又は半だ円

形鏡板の形状は、安全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2010)、安全係数3.5基

準の場合はJIS B 8267(2008)の5.2.2 a)によること。

② 鏡板の厚さ

内面に圧力を受けステーによって支えないさら形鏡板、全半球形鏡板又は半

だ円形鏡板の最小厚さは、安全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2010)、安全

係数3.5基準の場合はJIS B 8267(2008)の附属書E E.3.3の内径基準*(1)、E.3.2

の内径基準*(1)又はE.3.4の内径基準*(1)以上とすること。ただし、σaは材料の許

容引張応力(N/mm2)、ηは5.2.4(1)(d)による溶接継手効率とする。

(ロ) フランジの部分

安全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2010)、安全係数3.5基準の場合はJIS B

8267(2008)の附属書Gによること。

(ⅱ)図4-2(b)、(c)又は(d)に示すふた板

(イ) 鏡板の部分

上記のふた板の最小厚さは、安全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2010)、安

全係数3.5基準の場合はJIS B 8267(2008)の附属書L L.5.2.1 b)1) *(1)以上とする

こと。ただし、σaは材料の許容引張応力(N/mm2)、ηは5.2.4(1)(d)による溶接継

手効率とする。なお、ηは継手のない場合は1とする。

(ロ) フランジの部分

(2) 内槽マンホール等の胴及びふた板

(a) 一般

内槽には、直径500mm以上のマンホールを1個以上取付けること。

(b) 内槽マンホール等の胴及びふた板の厚さ

内槽マンホール等の胴及びふた板に使用する板の実際厚さは2.5mm以上とするこ

と。

(c) 内圧を受けるマンホール等の胴

円筒胴の最小厚さは、安全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2017)、安全係数3.5基

準の場合はJIS B 8267(2015)の附属書E E.2.2の内径基準*1以上とすること。ただし、

σaは材料の許容引張応力(N/mm2)、ηは5.2.4(1)(d)「溶接継手効率」による。

また、マンホール等の胴に設けるフランジは、4.5.1.7(1)(e)「フランジ」によるこ

と。

(d) フランジ付さら形ふた板

さら形ふた板であって締付ボルトで取付けるフランジを持つものの構造を図4-2

に、最小厚さ等の規定を以下に示す。

(ⅰ)図4-2(a)に示すふた板

(イ) 鏡板の部分

① 鏡板の形状

内圧を受け、ステーによって支えないさら形鏡板、全半球形鏡板又は半だ円

形鏡板の形状は、安全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2017)、安全係数3.5基

準の場合はJIS B 8267(2015)の5.2.2 a)によること。

② 鏡板の厚さ

内面に圧力を受けステーによって支えないさら形鏡板、全半球形鏡板又は半

だ円形鏡板の最小厚さは、安全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2017)、安全

係数3.5基準の場合はJIS B 8267(2015)の附属書E E.3.3の内径基準*1、E.3.2

の内径基準*1又はE.3.4の内径基準*1以上とすること。ただし、σaは材料の許容

引張応力(N/mm2)、ηは5.2.4(1)(d)「溶接継手効率」による。

(ロ) フランジの部分

安全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2010)、安全係数3.5基準の場合はJIS B

8267(2008)の附属書Gによること。

(ⅱ)図4-2(b)、(c)又は(d)に示すふた板

(イ) 鏡板の部分

上記のふた板の最小厚さは、安全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2017)、安

全係数3.5基準の場合はJIS B 8267(2015)の附属書L L.5.2.1 b)1) *1以上とする

こと。ただし、σaは材料の許容引張応力(N/mm2)、ηは5.2.4(1)(d) 「溶接継手効

率」による。なお、ηは継手のない場合は1とする。

(ロ) フランジの部分

パブコメ用ドラフト

- 95 -

第4章 -47-

図4-2(b)、(c)又は(d)に示すふた板のフランジ部分の使用厚さは、それぞれ安

全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2010)、安全係数3.5基準の場合はJIS B

8267(2008)の附属書L L.5.2.2 b)*(1)、c)*(1)又はd)*(1)以上とすること。ただし、

σfは材料の許容引張応力(N/mm2)とする。

なお、フランジ部の実際厚さは、使用状態とガスケット締付時の両方の場合に

ついて計算を行い、厚いほうとすること。

(遊動形フランジ) (一体形フランジ)

(a) (b)

(c) (d)

図4-2 フランジ付さら形ふた板

(e) 平ふた板

図4-3の(a)及び(b)に示す、ボルト締め平ふた板の最小厚さは、安全係数4.0基準の

場合はJIS B 8265(2010)、安全係数3.5基準の場合はJIS B 8267(2008)の附属書L

L.3.2 b)*(1)以上とすること。ただし、平ふたにガスケット溝を設ける場合は、同J

ISの附属書L L.3.2 c)*(1)以上とすること。

なお、使用状態とガスケット締付時の両方の場合について行い、どちらか大きい値

を最小厚さとすること。

Pは使用状態の場合は最高使用圧力(MPa)とし、ガスケット締付時には0とするこ

と。また、σaは使用状態の場合は設計温度における材料の許容引張応力(N/mm2)とし、

ガスケット締付時には常温における材料の許容引張応力(N/mm2)とすること。

図4-2(b)、(c)又は(d)に示すふた板のフランジ部分の使用厚さは、それぞれ

安全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2017)、安全係数3.5基準の場合はJIS B

8267(2015)の附属書L L.5.2.2 b) *1、c) *1又はd) *1以上とすること。ただし、

σfは材料の許容引張応力(N/mm2)とする。

なお、フランジ部の実際厚さは、使用状態とガスケット締付時の両方の場合に

ついて計算を行い、厚い方とすること。

(遊動形フランジ) (一体形フランジ)

(a) (b)

(c) (d)

図4-2 フランジ付さら形ふた板

(e) 平ふた板

図4-3の(a)及び(b)に示す、ボルト締め平ふた板の最小厚さは、安全係数4.0基

準の場合はJIS B 8265(2017)、安全係数3.5基準の場合はJIS B 8267(2015)の附属書

L L.3.2 b) *1以上とすること。ただし、平ふたにガスケット溝を設ける場合は、同

JISの附属書L L.3.2 c) *1以上とすること。

なお、使用状態とガスケット締付時の両方の場合について行い、どちらか大きい値

を最小厚さとすること。

Pは使用状態の場合は最高使用圧力(MPa)とし、ガスケット締付時には0とするこ

と。また、σaは使用状態の場合は設計温度における材料の許容引張応力(N/mm2)とし、

ガスケット締付時には常温における材料の許容引張応力(N/mm2)とすること

パブコメ用ドラフト

- 96 -

第4章 -48-

(a) (b)

図4-3 ボルト締め平ふた板

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 内槽の腐れ代は0とすることができる。

4.5.1.7

(3) 内槽の穴及びその補強

内槽に設けられた穴は、安全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2010)、安全係数3.5基

準の場合はJIS B 8267(2008)の附属書Fに従って補強すること。ただし、安全係数4.0基

準の場合は JIS B 8265(2010)附属書 F 図 F.4、安全係数 3.5基準の場合は JIS B

8267(2008)附属書F 図F.3において、a)とc)の継手は使ってはならない。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

4.5.2 レベル2耐震性能評価

4.5.2.1 一 般

内槽のレベル2耐震性能評価は、JGA指-101-12の7.1によること。ただし、1次の振動

モードが卓越する内槽の評価にあっては、エネルギー法によることができる。エネルギー

法には4.5.2.3に示す塑性率評価法、保有耐力評価法及び代替評価法がある。なお、代替

評価法は加速度型設計地震動に係る評価にのみ適用できるものとする。

(b) (b)

図4-3 ボルト締め平ふた板

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 内槽の腐れ代は0とすることができる。

4.5.1.7

(3) 内槽の穴及びその補強

内槽に設けられた穴は、安全係数4.0基準の場合はJIS B 8265(2017)、安全係数3.5基

準の場合はJIS B 8267(2015)の附属書Fに従って補強すること。ただし、安全係数4.0基

準の場合は JIS B 8265(2017)附属書 F 図 F.4、安全係数 3.5基準の場合は JIS B

8267(2015)附属書F 図F.3において、a)とc)の継手は使ってはならない。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

4.5.2 レベル2耐震性能評価

4.5.2.1 一 般

内槽のレベル2耐震性能評価は、JGA指-101-14「製造設備等耐震設計指針」第7章「レ

ベル2耐震性能評価法」7.1「基本方針」によること。ただし、1次の振動モードが卓越

する内槽の評価にあっては、エネルギー法によることができる。エネルギー法には4.5.2.3

「レベル2耐震性能評価方法」に示す塑性率評価法、保有耐力評価法及び代替評価法があ

る。なお、代替評価法は加速度型設計地震動に係る評価にのみ適用できるものとする。

φd φd φd φd

パブコメ用ドラフト

- 97 -

第4章 -49-

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

4.5.2.2 損傷モード*(1)

内槽は、以下の損傷モードについてレベル2耐震性能評価を行う*(2)。

(1) 内槽側板

(a) 加速度型設計地震動による内槽側板の座屈

(b) 変位型設計地震動による内槽側板の座屈

(2) 内槽アンカー

(a) 加速度型設計地震動による内槽アンカーの降伏

(b) 変位型設計地震動による内槽アンカーの降伏

(3) 内槽ノズル

(a) 加速度型設計地震動による内槽ノズルの損傷

(b) 変位型設計地震動による内槽ノズルの損傷

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 「損傷モード」とは、設備の耐震上重要な部材に生じる損傷の形態をいう。

*(2) 内槽については下記の損傷モードについてレベル2耐震性能評価を行うことと

する。

(a) 側板の損傷モード

(ⅰ)加速度型設計地震動による側板の座屈

側板の上部については弾性座屈(ダイヤモンド座屈)を、側板最下段につい

ては塑性座屈(EFB)と弾性座屈を評価対象とする。

(ⅱ)変位型設計地震動による側板の座屈

変位型設計地震動により側板に作用する動液圧は、側板上部のほうが大き

く、またその大きさも一般的には加速度型設計地震動によるものよりも小さい

ことから、側板各段の弾性座屈による損傷のみを評価対象とする。

(b) 内槽アンカーの損傷モード

(ⅰ)加速度型設計地震動による内槽アンカーの降伏

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

4.5.2.2 損傷モード*1

内槽は、以下の損傷モードについてレベル2耐震性能評価を行う*2。

(1) 内槽側板

(a) 加速度型設計地震動による内槽側板の座屈

(b) 変位型設計地震動による内槽側板の座屈

(2) 内槽アンカー

(a) 加速度型設計地震動による内槽アンカーの降伏

(b) 変位型設計地震動による内槽アンカーの降伏

(3) 内槽ノズル

(a) 加速度型設計地震動による内槽ノズルの損傷

(b) 変位型設計地震動による内槽ノズルの損傷

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

【解 説】

*1 「損傷モード」とは、設備の耐震上重要な部材に生じる損傷の形態をいう。

*2 内槽については下記の損傷モードについてレベル2耐震性能評価を行うこととす

る。

(a) 側板の損傷モード

(ⅰ)加速度型設計地震動による側板の座屈

側板の上部については弾性座屈(ダイヤモンド座屈)を、側板最下段につい

ては塑性座屈(EFB)と弾性座屈を評価対象とする。

(ⅱ)変位型設計地震動による側板の座屈

変位型設計地震動により側板に作用する動液圧は、側板上部のほうが大き

く、またその大きさも一般的には加速度型設計地震動によるものよりも小さい

ことから、側板各段の弾性座屈による損傷のみを評価対象とする。

(b) 内槽アンカーの損傷モード

(ⅰ)加速度型設計地震動による内槽アンカーの降伏

パブコメ用ドラフト

- 98 -

第4章 -50-

内槽アンカーの降伏による伸びを検討対象とする。

(ⅱ)変位型設計地震動による内槽アンカーの降伏

内槽アンカーの降伏による伸びを検討対象とする。

(c) 内槽ノズルの損傷モード

局部の応力が集中する形状不連続部での地震力の繰り返しによる疲労亀裂が

損傷モードとして想定されるため、配管系から過大な反力が作用しないことを確

認することとする。

解図4-20 内槽の損傷モード

4.5.2.3 レベル2耐震性能評価方法

エネルギー法による内槽のレベル2耐震性能評価は、JGA指-101-12の7.2.1に規定する

塑性率評価法、同指針の7.2.2に規定する保有耐力評価法及び同指針の7.2.3に規定する代

替評価法によること。なお、内槽ノズルに係る損傷モードの評価にあっては、4.5.2.6の

規定によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

4.5.2.4 内槽側板

4.5.2.2に規定する内槽側板の損傷モードについて、以下の(1)により求まる降伏震度を

用いて、JGA 指-101-12の8.5.3により応答塑性率を求め、(2)に示す許容塑性率以下である

ことを確認すること。

(1) 降伏震度

(a) 加速度型設計地震動による側板の座屈に係る降伏震度

JGA指-101-12の8.5.2.1による。

(b) 変位型設計地震動による内槽側板の座屈に係る降伏震度

内槽アンカーの降伏による伸びを検討対象とする。

(ⅱ)変位型設計地震動による内槽アンカーの降伏

内槽アンカーの降伏による伸びを検討対象とする。

(c) 内槽ノズルの損傷モード

局部の応力が集中する形状不連続部での地震力の繰り返しによる疲労亀裂が

損傷モードとして想定されるため、配管系から過大な反力が作用しないことを確

認することとする。

解図4-20 内槽の損傷モード

4.5.2.3 レベル2耐震性能評価方法

エネルギー法による内槽のレベル2耐震性能評価は、JGA指-101-14「製造設備等耐震設

計指針」7章「レベル2耐震性能評価法」7.2.1「塑性率評価法」、同指針の7.2.2「保有

耐力評価法」及び同指針の7.2.3「代替評価法」によること。なお、内槽ノズルに係る損

傷モードの評価にあっては、4.5.2.6「内槽ノズル」の規定によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

4.5.2.4 内槽側板

4.5.2.2「損傷モード」に規定する内槽側板の損傷モードについて、以下の(1)により求

まる降伏震度を用いて、JGA 指-101-14「製造設備等耐震設計指針」8章「塔槽類等のレベ

ル2耐震性能評価法」8.5.3「応答塑性率」により応答塑性率を求め、(2)に示す許容塑性

率以下であることを確認すること。

(1) 降伏震度

(a) 加速度型設計地震動による側板の座屈に係る降伏震度

JGA指-101-14の8.5.2.1「加速度型設計地震動による側板の座屈に係る降伏震度」

による。

(b) 変位型設計地震動による内槽側板の座屈に係る降伏震度

地震水平力

内槽側板のダイヤモンド座屈

内槽側板の張り出し変形(EFB)

内槽アンカーの引張降伏

地震水平力

内槽側板のダイヤモンド座屈

内槽側板の張り出し変形(EFB)

内槽アンカーの引張降伏

パブコメ用ドラフト

- 99 -

第4章 -51-

JGA指-101-12の8.5.2.2による。

(2) 許容塑性率

(a) 加速度型設計地震動による側板の座屈に係る許容塑性率

JGA指-101-12の8.5.4.1による。

(b) 変位型設計地震動による内槽側板の座屈に係る許容塑性率

JGA指-101-12の8.5.4.2による。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

4.5.2.5 内槽アンカー

4.5.2.2に規定する内槽アンカーの損傷モードについて、以下の(1)により求まる降伏震

度を用いて、JGA 指-101-12の8.5.3により応答塑性率を求め、(2)に示す許容塑性率以下で

あることを確認すること。

(1) 降伏震度

(a) 加速度型設計地震動による内槽アンカーの引張降伏に係る降伏震度

JGA指-101-12の8.5.2.3による。

(b) 変位型設計地震動による内槽アンカーの引張降伏に係る降伏震度

JGA指-101-12の8.5.2.4による。

(2) 許容塑性率

(a) 加速度型設計地震動による内槽アンカーの引張降伏に係る許容塑性率

JGA指-101-12の8.5.4.3による。

(b) 変位型設計地震動による内槽アンカーの引張降伏に係る許容塑性率

JGA指-101-12の8.5.4.4による。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

JGA指-101-14の8.5.2.2「変位型設計地震動による側板の座屈に係る降伏震度」に

よる。

(2) 許容塑性率

(a) 加速度型設計地震動による側板の座屈に係る許容塑性率

JGA指-101-14の8.5.4.1「加速度型設計地震動による側板の座屈に係る許容塑性率」

による。

(b) 変位型設計地震動による内槽側板の座屈に係る許容塑性率

JGA指-101-14の8.5.4.2「変位型設計地震動による側板の座屈に係る許容塑性率」

による。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

4.5.2.5 内槽アンカー

4.5.2.2に規定する内槽アンカーの損傷モードについて、以下の(1)により求まる降伏震

度を用いて、JGA 指-101-14の8.5.3「応答塑性率」により応答塑性率を求め、(2)に示す許

容塑性率以下であることを確認すること。

(1) 降伏震度

(a) 加速度型設計地震動による内槽アンカーの引張降伏に係る降伏震度

JGA指-101-14の8.5.2.3「加速度型設計地震動によるアンカーストラップの引張応

力に係る降伏震度」による。

(b) 変位型設計地震動による内槽アンカーの引張降伏に係る降伏震度

JGA指-101-14の8.5.2.4「変位型設計地震動によるアンカーストラップの引張応力

に係る降伏震度」による。

(2) 許容塑性率

(a) 加速度型設計地震動による内槽アンカーの引張降伏に係る許容塑性率

JGA指-101-14の8.5.4.3「加速度型設計地震動によるアンカーストラップの降伏に

係る許容塑性率」による。

(b) 変位型設計地震動による内槽アンカーの引張降伏に係る許容塑性率

JGA指-101-14の8.5.4.4「変位型設計地震動によるアンカーストラップの降伏に係

る許容塑性率」による。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

パブコメ用ドラフト

- 100 -

第4章 -52-

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

4.5.2.6 内槽ノズル

内槽ノズルのレベル2耐震性能評価は、JGA 指-101-12 の 9.2.4.4 による。ただし、地

盤変状に伴うサポートの移動によるノズルの損傷が想定される場合は、同指針の 9.3.5.4

の評価も実施のこと。なお、耐震設計用許容応力 S は、3.3.1(2)によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

4.6 外槽の構造及び設計

4.6.1 常時性能及びレベル1耐震性能評価

4.6.1.1 外槽側板及び外槽側部ライナ

(1) 外槽側板

(a) 一般

外槽側板は保冷材圧力及び風荷重による外圧等に対して安全な構造であること。

(b) 外槽側板の設計

(ⅰ)外槽側板の厚さ

外槽側板の厚さは4.5.1.3(2)(a)によること。

ただし、側板の最小厚さの算定に用いる各段側板最下部に作用する圧力Pとし

て、内外槽間ガス圧力及び保冷材圧力を考慮すること。

(ⅱ)外槽側板の座屈強度

(イ) 荷重の組合せ

外槽側板の座屈強度を検討する場合の荷重の組合せは表4-8によること。

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

4.5.2.6 内槽ノズル

内槽ノズルのレベル2耐震性能評価は、JGA 指-101-14 の9章「配管系のレベル2耐震

性能評価法」9.2.4.4「塔及び貯槽のノズル部」による。ただし、地盤変状に伴うサポー

トの移動によるノズルの損傷が想定される場合は、同指針の 9.3.5.4「塔及び貯槽のノズ

ル部」の評価も実施のこと。なお、耐震設計用許容応力 S は、3.3.1(2)「耐震設計用許容

応力」によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第1項第四号

4.6 外槽の構造及び設計

4.6.1 常時性能及びレベル1耐震性能評価

4.6.1.1 外槽側板及び外槽側部ライナ

(1) 外槽側板

(a) 一般

外槽側板は保冷材圧力及び風荷重による外圧等に対して安全な構造であること。

(b) 外槽側板の設計

(ⅰ)外槽側板の厚さ

外槽側板の厚さは4.5.1.3(2)(a)「内槽側板の厚さ」によること。

ただし、側板の最小厚さの算定に用いる各段側板最下部に作用する圧力Pとし

て、内外槽間ガス圧力及び保冷材圧力を考慮すること。

(ⅱ)外槽側板の座屈強度

(イ) 荷重の組合せ

外槽側板の座屈強度を検討する場合の荷重の組合せは表4-8によること。

パブコメ用ドラフト

- 101 -

第4章 -53-

表4-8 外槽側板の座屈強度の検討に用いる荷重の組合せ

荷重条件

荷重の種類

常時性能評価 レベル1耐震性能評価

レベル2耐震性能評価

通常運転時 強風時 保守・点検

時 積雪時 地震時

通常荷重

自重 ○ ○ ○ ○ ○

保冷材摩擦力 ○ ○ ○ ○ ○

積雪荷重(多雪区域) ○*(1)

地震荷重

加速度型設計水平地震動

による外槽等の慣性力 ○

加速度型設計鉛直地震動

による外槽等の自重の増

減分

風荷重 ○

活荷重 ○

積雪荷重 ○*(2) ○*(2) ○ ○*(2)

(ロ) 座屈強度

通常運転時及び地震時等*(3)の荷重により外槽側板に発生する圧縮応力σは、そ

れぞれ次に示す許容座屈応力σc*(4)以下であること。

Z

M

A

Nσ +=

R

CtE

γσ a

c

-=

0.2

ここに、

σ :外槽側板に発生する圧縮応力(N/mm2)

N :検討する高さにおける側板の鉛直方向荷重(N)

A :検討する高さにおける側板の断面積(mm2)

M :検討する高さにおける地震時等の荷重により側板に加わる曲げモーメ

ン ト(N・mm)

Z :検討する高さにおける側板の断面係数(mm3)

σc :外槽側板の通常運転時又は地震時等の荷重に対する許容座屈応力(N/

mm2)

E :材料の縦弾性係数(N/mm2)

γ :安全率で、通常運転時は2.25、地震時等は1.5とする

R :外槽内半径(mm)

ta :外槽側板の実際厚さ(mm)

C :腐れ代*(5)(mm)

(c) スチフナリングの設計

表4-8 外槽側板の座屈強度の検討に用いる荷重の組合せ

荷重条件

荷重の種類

常時性能評価 レベル1耐震性能評価

レベル2耐震性能評価

通常運転時 強風時 保守・点検

時 積雪時 地震時

通常荷重

自重 ○ ○ ○ ○ ○

保冷材摩擦力 ○ ○ ○ ○ ○

積雪荷重(多雪区域) ○*1

地震荷重

加速度型設計水平地震動

による外槽等の慣性力 ○

加速度型設計鉛直地震動

による外槽等の自重の増

減分

風荷重 ○

活荷重 ○

積雪荷重 ○*2 ○*2 ○ ○*2

(ロ) 座屈強度

通常運転時及び地震時等*3の荷重により外槽側板に発生する圧縮応力σは、そ

れぞれ次に示す許容座屈応力σc*4以下であること。

Z

M

A

Nσ +=

R

CtE

γσ a

c

-=

0.2

ここに、

σ :外槽側板に発生する圧縮応力(N/mm2)

N :検討する高さにおける側板の鉛直方向荷重(N)

A :検討する高さにおける側板の断面積(mm2)

M :検討する高さにおける地震時等の荷重により側板に加わる曲げ

モーメント(N・mm)

Z :検討する高さにおける側板の断面係数(mm3)

σc :外槽側板の通常運転時又は地震時等の荷重に対する許容座屈応力

(N/mm2)

E :材料の縦弾性係数(N/mm2)

γ :安全率で、通常運転時は2.25、地震時等は1.5とする

R :外槽内半径(mm)

ta :外槽側板の実際厚さ(mm)

C :腐れ代*5(mm)

(c) スチフナリングの設計

パブコメ用ドラフト

- 102 -

第4章 -54-

風荷重により側板が座屈するおそれのある場合は、側板スチフナリングを設けること

*(6)。

【解 説】

*(1) 多雪区域のみ積雪荷重を通常荷重として扱う。なお、この場合、建築基準法施行

令(平成23年3月30日政令46号)第82条第二号の表に従い、係数をかけることが

できる。

*(2) 多雪区域のみ地震時、強風時及び保守・点検時に積雪荷重を考慮すること。なお、

この場合、建築基準法施行令(平成23年3月30日政令46号)第82条第二号の表に従

い、係数をかけることができる。保守・点検時の積雪荷重にかける係数についても、

地震時及び強風時と同じとする。

*(3) 地震時等とは、表4-8に示される地震時のほか、強風時及び保守・点検時の荷重

組合せをいう。

*(4) 外槽側板の許容座屈応力はJIS B 8501(1995)によるものである。

*(5) 外槽の腐れ代は、環境条件等を考慮して適切に定めること。

*(6) スチフナリングの評価方法はいくつかの文献に示されておりl)2)3)4)5)、ここでは

Stability of API Standard 650 Tank Shells1) による評価式を一例として次に

示す。

(a) スチフナリングの取付間隔

スチフナリングの取付間隔は次式の値以下とする。

2

2.645.0

D

t

P

EtDL +

D=

ここに、L :補強の有効範囲(cm)

D :外槽の内径(cm)

t :補強の有効範囲内における側板の腐れ代を除いた平均板厚(c

m)

E :材料の縦弾性係数(N/cm2)

P :4.3.3より求まる風圧力(N/cm2)

(b) スチフナリングの断面

スチフナリングの断面は、スチフナリング取付部から上下に16ts(ts:取付部の

側板板厚)をスチフナの有効断面に算入して計算した断面二次モーメントが次式

の値以上とする。

風荷重により側板が座屈するおそれのある場合は、側板スチフナリングを設けること*

6。

【解 説】

*1 多雪区域のみ積雪荷重を通常荷重として扱う。なお、この場合、建築基準法施行

令(平成29年6月14日政令156号)第82条第二号の表に従い、係数をかけることが

できる。

*2 多雪区域のみ地震時、強風時及び保守・点検時に積雪荷重を考慮すること。なお、

この場合、建築基準法施行令(平成29年6月14日政令156号)第82条第二号の表に

従い、係数をかけることができる。保守・点検時の積雪荷重にかける係数について

も、地震時及び強風時と同じとする。

*3 地震時等とは、表4-8に示される地震時のほか、強風時及び保守・点検時の荷

重組合せをいう。

*4 外槽側板の許容座屈応力の評価方法はJIS B 8501(2013)によるものである。

なお、軸圧縮荷重に対する薄肉円筒殻の座屈限界応力の理論値は0.6𝐸

𝛾

𝑡𝑎−𝐶

𝑅となるが、

実験結果はこの理論値の40%~60%に出ることが知られているため、本指針では近

似的に安全をみて0.2𝐸

𝛾

𝑡𝑎−𝐶

𝑅とした。

*5 外槽の腐れ代は、環境条件等を考慮して適切に定めること。

*6 スチフナリングの評価方法はいくつかの文献に示されておりl)2)3)4)5)、ここでは S

tability of API Standard 650 Tank Shells1) による評価式を一例として次に示

す。

(a) スチフナリングの取付間隔

スチフナリングの取付間隔は次式の値以下とする。

2

2.645.0

D

t

P

EtDL +

D=

ここに、L :補強の有効範囲(cm)

D :外槽の内径(cm)

t :補強の有効範囲内における側板の腐れ代を除いた平均板厚

(cm)

E :材料の縦弾性係数(N/cm2)

P :4.3.3より求まる風圧力(N/cm2)

(b) スチフナリングの断面

スチフナリングの断面は、スチフナリング取付部から上下に16ts(ts:取付部の

側板板厚)をスチフナの有効断面に算入して計算した断面二次モーメントが次式

の値以上とする。

パブコメ用ドラフト

- 103 -

第4章 -55-

CnE

lPDI

)1(82

3

-=

ここに、I :必要断面二次モーメント(cm4)

C :余裕係数で3.0とする

n :次式より求まる座屈波数で、小数点以下は切捨てるものとす

D

t

D

Hn

m

2

7.06=

H :側板の全高さ(cm)

tm :側板の全高さにおける平均板厚(cm)

l :スチフナの取付間隔(cm)

P、D、E:(a)に同じ

<参考文献>

1) Raymund V. McGrath: ”Stability of API Standard 650 Tank Shells”,pp.1-

12,(1963)

2) 山本善之: ”補強円筒殻の外圧による全体的圧壊の研究”,pp.95-105, 造船協会論

文集第 113 号,(1963.5)

3) S.R.Bodner: ”General Instability of a Ring-Stiffened Circular Cylindrical

Shell Under Hydrostatic Pressure ”, pp.269-277, J.Appl.Mech.Vo1.24

No.2,(1957)

4) JIS: ”鋼製石油貯槽の構造(全溶接製)”,JIS B 8501,(1995)

5) BS: ”Vertical Cylindrical Welded Storage Tanks for Low-Temperature

Service : Double-Wall Tanks for Temperatures down to -196℃”,p.27, BS

5387,(1976)

4.6.1.1

(2) 外槽側部ライナ

(a) 一般

外槽側部ライナは、アンカーによりコンクリート躯体に支持させること*(1)。

(b) 外槽側部ライナの設計

外槽側部ライナのアンカーのサイズ及び取付間隔は、コンクリート躯体のひずみ及

びライナの板厚に応じ、適切に設定すること*(2)。

【解 説】

*(1) 外槽ライナに非金属材料を使用する場合は、コンクリート躯体に密着させるよう

に適切な措置を講ずること。

CnE

lPDI

)1(82

3

-=

ここに、I :必要断面二次モーメント(cm4)

C:余裕係数で3.0とする

n :次式より求まる座屈波数で、小数点以下は切捨てるものとす

n = √7.06

(𝐻𝐷)

2

(𝑡𝑚𝐷 )

4

H:側板の全高さ(cm)

tm:側板の全高さにおける平均板厚(cm)

l :スチフナの取付間隔(cm)

P、D、E:(a)に同じ

<参考文献>

1) Raymund V. McGrath: 「Stability of API Standard 650 Tank Shells」、pp.1-

12、(1963)

2) 山本善之: 「補強円筒殻の外圧による全体的圧壊の研究」、pp.95-105、 造船協会

論文集第 113 号、(1963.5)

3) S.R.Bodner: 「General Instability of a Ring-Stiffened Circular Cylindrical

Shell Under Hydrostatic Pressure」、pp.269-277、J.Appl.Mech.Vo1.24 No.2、(1957)

4) 日本規格協会: 「鋼製石油貯槽の構造(全溶接製)」、JIS B 8501、(2013)

5) BS: 「Vertical Cylindrical Welded Storage Tanks for Low-Temperature

Service : Double-Wall Tanks for Temperatures down to -196℃」、p.27、 BS

5387、(1976)

4.6.1.1

(2) 外槽側部ライナ

(a) 一般

外槽側部ライナは、アンカーによりコンクリート躯体に支持させること*1。

(b) 外槽側部ライナの設計

外槽側部ライナのアンカーのサイズ及び取付間隔は、コンクリート躯体のひずみ及

びライナの板厚に応じ、適切に設定すること*2。

【解 説】

*1 外槽ライナに非金属材料を使用する場合は、コンクリート躯体に密着させるよう

に適切な措置を講ずること。

パブコメ用ドラフト

- 104 -

第4章 -56-

*(2) 外槽側部ライナは、PC防液堤の内面に設置され、保冷層に封入されている窒素

ガスの保持及び外部からの水分や湿分の侵入による保冷材の断熱性能の低下を防

止する役割を果たす。

PC防液堤内面にアンカーで支持された側部ライナは、コンクリート躯体に導入

されるプレストレス、コンクリートの乾燥収縮及びクリープ等に起因した圧縮ひず

みにより座屈を生じる可能性があり、合理的なライナ構造を実現するためには、「座

屈を許容する設計」が必要となる。

一般的に、アンカー構造には解図4-21に示すように、剛性の小さい柔アンカー構

造と剛性の大きい剛アンカー構造があり、設計にはそれぞれ多連アンカーモデルと

2スパンモデルが用いられている。以下それぞれのモデルを用いた設計方法を示

す。

(a)柔アンカー構造 (b)剛アンカー構造

解図4-21 アンカー形式の構造例

(a) 多連アンカーモデルを用いた設計法

(ⅰ)多連アンカーモデルの考え方

外槽ライナは、コンクリート躯体の圧縮ひずみにより座屈を生じる可能性が

ある。ライナが座屈した場合、アンカー部には不釣合力が発生するため、この

不釣合力によるアンカー局部変位が過大にならないようにすることが設計上

最も重要である。ライナが座屈した場合、アンカーの局部変位を検討するため

の解析は、複数区間のライナの剛性及びアンカーの剛性を考慮した多連アンカ

ーモデルを用い、コンクリートの圧縮ひずみを強制変位として与えることによ

り行うことができる。

コンクリートから受ける圧縮ひずみにより発生するライナの圧縮応力は、ラ

イナが座屈することにより解放されるが、実際にはすべてのライナが同時に座

*2 外槽側部ライナは、PC防液堤の内面に設置され、保冷層に封入されている窒素

ガスの保持及び外部からの水分や湿分の侵入による保冷材の断熱性能の低下を防

止する役割を果たす。

PC防液堤内面にアンカーで支持された側部ライナは、コンクリート躯体に導入

されるプレストレス、コンクリートの乾燥収縮及びクリープ等に起因した圧縮ひず

みにより座屈を生じる可能性があり、合理的なライナ構造を実現するためには、「座

屈を許容する設計」が必要となる。

一般的に、アンカー構造には解図4-21に示すように、剛性の小さい柔アンカー

構造と剛性の大きい剛アンカー構造があり、設計にはそれぞれ多連アンカーモデル

と2スパンモデルが用いられている。以下それぞれのモデルを用いた設計方法を示

す。

(a)柔アンカー構造 (b)剛アンカー構造

解図4-21 アンカー形式の構造例

(a) 多連アンカーモデルを用いた設計法

(ⅰ)多連アンカーモデルの考え方

外槽ライナは、コンクリート躯体の圧縮ひずみにより座屈を生じる可能性が

ある。ライナが座屈した場合、アンカー部には不釣合力が発生するため、この

不釣合力によるアンカー局部変位が過大にならないようにすることが設計上

最も重要である。ライナが座屈した場合、アンカーの局部変位を検討するため

の解析は、複数区間のライナの剛性及びアンカーの剛性を考慮した多連アンカ

ーモデルを用い、コンクリートの圧縮ひずみを強制変位として与えることによ

り行うことができる。

コンクリートから受ける圧縮ひずみにより発生するライナの圧縮応力は、ラ

イナが座屈することにより解放されるが、実際にはすべてのライナが同時に座

ライナ

コンクリート躯体

剛アンカー 取付間隔

取付間隔

ライナ

コンクリート躯体

頭付スタッド 取付間隔

ライナ

コンクリート躯体

剛アンカー 取付間隔

取付間隔

ライナ

コンクリート躯体

頭付スタッド 取付間隔

パブコメ用ドラフト

- 105 -

第4章 -57-

屈するわけではない。剛性の小さい柔アンカーを用いる場合は、先に座屈し剛

性が低下したライナにひずみが集中し、この部分のアンカーが大きく変位し破

損する可能性がある。多連アンカーモデル設計法は、ある1箇所のライナが最

初から曲がり剛性が低下している構造にモデル化し、各アンカーでの釣合い式

を解くことにより座屈ライナ両端のアンカー局部変位を求める方法である1)2)

(ⅱ)設計方法

解図4-22に示すように、座屈ライナを中央に配置し、n個の健全ライナが両

側に連なるn個のアンカーからなるシステムを考える。解図4-23に解析モデル

を示す。

解図4-22 ライナ・アンカー構造物

解図4-23 解析モデル

各アンカーについて、次式で示されるn個の非線形連立一次方程式が成立す

る。これを解き、アンカーの変位unを求める。

アンカーAnについて

Pn+1=Pn+f(un)

ここに、Pn+1:(n+1)番目のライナからの軸力

Pn:n番目のライナからの軸力

f(un):変位unに対するアンカーの荷重で、n番目のライナ

が座屈ライナの場合はf(un)=g(un)

g(un):変位unに対する座屈ライナの荷重

un:アンカーAnのコンクリートとの相対変位

座屈ライナの荷重―変位関係g(un)及びアンカーの荷重―変位関係 f(un)は、

実験あるいは計算により求めるか文献等による値を用いる。

屈するわけではない。剛性の小さい柔アンカーを用いる場合は、先に座屈し剛

性が低下したライナにひずみが集中し、この部分のアンカーが大きく変位し破

損する可能性がある。多連アンカーモデル設計法は、ある1箇所のライナが最

初から曲がり剛性が低下している構造にモデル化し、各アンカーでの釣合い式

を解くことにより座屈ライナ両端のアンカー局部変位を求める方法である1)2)。

(ⅱ)設計方法

解図4-22に示すように、座屈ライナを中央に配置し、n個の健全ライナが

両側に連なるn個のアンカーからなるシステムを考える。解図4-23に解析モ

デルを示す。

解図4-22 ライナ・アンカー構造物

解図4-23 解析モデル

各アンカーについて、次式で示されるn個の非線形連立一次方程式が成立す

る。これを解き、アンカーの変位unを求める。

アンカーAnについて

Pn+1=Pn+f(un)

ここに、Pn+1:(n+1)番目のライナからの軸力

Pn:n番目のライナからの軸力

f(un):変位unに対するアンカーの荷重で、n番目のライナ

が座屈ライナの場合はf(un)=g(un)

g(un):変位unに対する座屈ライナの荷重

un:アンカーAnのコンクリートとの相対変位

座屈ライナの荷重―変位関係g(un)及びアンカーの荷重―変位関係 f(un)は、

実験あるいは計算により求めるか文献等による値を用いる。

ライナプレート

A1 Ai-2 Ai-1 An

コンクリート

座屈ライナ 健全なライナ

Ai Ai+1

アンカー

A1 Ai+1

u1 ui-2 ui-1 ui ui+1 un

P1 Pi-2 Pi-1 Pi Pi+1 Pi+2 Pn+1

f1(u1) fi-2(ui-2) fi-1(ui-1) fi(ui) fi+1(ui+1) fn(un)

Ai-2 Ai-1 Ai An

ライナプレート

A1 Ai-2 Ai-1 An

コンクリート

座屈ライナ 健全なライナ

Ai Ai+1

アンカー

A1 Ai+1

u1 ui-2 ui-1 ui ui+1 un

P1 Pi-2 Pi-1 Pi Pi+1 Pi+2 Pn+1

f1(u1) fi-2(ui-2) fi-1(ui-1) fi(ui) fi+1(ui+1) fn(un)

Ai-2 Ai-1 Ai An

パブコメ用ドラフト

- 106 -

第4章 -58-

得られたアンカーの変位量が別途アンカーせん断実験等により求められる

変位量ua以下であることを次式により確認する。

un<α

ua

ここに、α:安全率

この多連アンカーモデルによる解析をもとにした検討結果から、コンクリー

ト躯体の圧縮ひずみが600μ程度までであって、ライナ板厚が6mm程度であれ

ば、設計計算等によらず、アンカーの直径をライナの板厚の2.5倍以上とし、ア

ンカー取付間隔は施工性を考慮して、1,000mm程度以下とすることができる。

なお、柔アンカー構造の場合は、座屈に伴う引抜力等に抵抗するように、頭

付きスタッド(JIS B 1198(1995)「頭付きスタッド」)又はL形のような形状

とし、埋込み深さはアンカー直径の5倍以上でかつ50mm以上とすることが望ま

しい3)。また、ライナとアンカーの接合部の溶接については、その強度及び施

工における管理方法をあらかじめ試験等により確認すること。

(b) 2スパンモデルを用いた設計法

(ⅰ)2スパンモデルの考え方

アンカーの局部変位が極めて小さいと考えられる剛アンカー構造の場合は、

柔アンカーのように複数区間のライナ剛性及びアンカー剛性を考慮した多連

アンカーモデルを用いず、アンカーに隣接する座屈ライナと健全ライナ(座屈

していないライナ)のみを考慮する2スパンモデルを用いて不釣合力によるア

ンカーの強度確認を行うことができる。この場合、不釣合力は健全ライナに座

屈が生じる直前に最大となると考える。

(ⅱ)設計方法

健全ライナ座屈直前の不釣合力を求める。

・健全ライナ:初期不整はなくオイラー座屈ひずみに安全率を考慮したひず

みに達するまで座屈しないとする。

・座屈ライナ:初期不整を有しコンクリートからの圧縮ひずみは面外変形で

吸収する。

解図4-24 2スパンモデル

得られたアンカーの変位量が別途アンカーせん断実験等により求められる

変位量ua以下であることを次式により確認する。

un<α

ua

ここに、α:安全率

この多連アンカーモデルによる解析をもとにした検討結果から、コンクリー

ト躯体の圧縮ひずみが600μ程度までであって、ライナ板厚が6mm程度であれ

ば、設計計算等によらず、アンカーの直径をライナの板厚の2.5倍以上とし、ア

ンカー取付間隔は施工性を考慮して、1,000mm程度以下とすることができる。

なお、柔アンカー構造の場合は、座屈に伴う引抜力等に抵抗するように、頭

付きスタッド(JIS B 1198(2011)「頭付きスタッド」)又はL形のような形状

とし、埋込み深さはアンカー直径の5倍以上でかつ50mm以上とすることが望ま

しい3)。また、ライナとアンカーの接合部の溶接については、その強度及び施

工における管理方法をあらかじめ試験等により確認すること。

(b) 2スパンモデルを用いた設計法

(ⅰ)2スパンモデルの考え方

アンカーの局部変位が極めて小さいと考えられる剛アンカー構造の場合は、

柔アンカーのように複数区間のライナ剛性及びアンカー剛性を考慮した多連

アンカーモデルを用いず、アンカーに隣接する座屈ライナと健全ライナ(座屈

していないライナ)のみを考慮する2スパンモデルを用いて不釣合力によるア

ンカーの強度確認を行うことができる。この場合、不釣合力は健全ライナに座

屈が生じる直前に最大となると考える。

(ⅱ)設計方法

健全ライナ座屈直前の不釣合力を求める。

・健全ライナ:初期不整はなくオイラー座屈ひずみに安全率を考慮したひず

みに達するまで座屈しないとする。

・座屈ライナ:初期不整を有しコンクリートからの圧縮ひずみは面外変形で

吸収する。

解図4-24 2スパンモデル

健全ライナ 座屈ライナ

P2 P1

アンカーに作用する不釣合力 F=P1-P2

健全ライナ 座屈ライナ

P2 P1

アンカーに作用する不釣合力 F=P1-P2

パブコメ用ドラフト

- 107 -

第4章 -59-

アンカーに働く不釣合力はライナ単位幅あたり

F=P1-P2

ここに、P1:健全ライナの軸力

P2:座屈ライナの軸力

この不釣合力に対してアンカー(アンカー取付部含む)のせん断強度Faとの

確認を次式により行う。

F<α

Fa

ここに、α:安全率

<参考文献>

1) 大矢弘史,酒井啓一,石田和雄,田中達郎,竹村信一,淵元洋一,久保尚重: ”P

C製円筒容器内面の鋼製ライナ・アンカー設計法”,pp.326-331,日本機械学会論文

集 Vol.59 №559A編,(1993.3)

2) 田中達郎,石田和雄,大矢弘史,中島浩,久保尚重,高田昌典: ”PC製円筒容器

内面の鋼製ライナの圧縮試験”,日本機械学会第 71 期通常総会講演会,(1994.3)

3) (財)天然ガス導入促進センター: ”平成元年度 プレストレストコンクリートL

NG貯槽技術開発調査報告書”,(平成2年3月)

4.6.1.2 外槽屋根

(1) 金属製外槽屋根

(a) 一般

(ⅰ)金属製外槽屋根は、原則として屋根骨によって支持された屋根骨支持型球面屋根

とすること。

(ⅱ)金属製外槽屋根は、自重及びその他の荷重による座屈に対して十分な強度を有す

ること。

(ⅲ)金属製外槽屋根の曲率半径は、外槽内径の0.8~1.2倍又は内槽屋根の曲率半径に

屋根部の保冷厚さを加えた値とすること。

(b) 金属製外槽屋根の設計*(1)

(ⅰ)金属製外槽屋根板の厚さ

金属製外槽屋根板の最小厚さ及び公称呼び厚さ(最小値)は、4.5.1.4(2)(a)によ

ること。

(ⅱ)金属製外槽屋根の座屈

(イ) 荷重

金属製外槽屋根の座屈強度を検討する場合の荷重の組合せは表4-9によるこ

と。

アンカーに働く不釣合力はライナ単位幅あたり

F=P1-P2

ここに、P1:健全ライナの軸力

P2:座屈ライナの軸力

この不釣合力に対してアンカー(アンカー取付部含む)のせん断強度Faとの

確認を次式により行う。

F<α

Fa

ここに、α:安全率

<参考文献>

1) 大矢弘史、酒井啓一、石田和雄、田中達郎、竹村信一、淵元洋一、久保尚重: 「P

C製円筒容器内面の鋼製ライナ・アンカー設計法」、pp.326-331、日本機械学会論文

集 Vol.59 №559A編、(1993.3)

2) 田中達郎、石田和雄、大矢弘史、中島浩、久保尚重、高田昌典: 「PC製円筒容

器内面の鋼製ライナの圧縮試験」、日本機械学会第 71 期通常総会講演会、(1994.3)

3) (財)天然ガス導入促進センター: 「平成元年度 プレストレストコンクリートL

NG貯槽技術開発調査報告書」、(平成2年3月)

4.6.1.2 外槽屋根

(1) 金属製外槽屋根

(a) 一般

(ⅰ)金属製外槽屋根は、原則として屋根骨によって支持された屋根骨支持型球面屋根

とすること。

(ⅱ)金属製外槽屋根は、自重及びその他の荷重による座屈に対して十分な強度を有す

ること。

(ⅲ)金属製外槽屋根の曲率半径は、外槽内径の0.8~1.2倍又は内槽屋根の曲率半径に

屋根部の保冷厚さを加えた値とすること。

(b) 金属製外槽屋根の設計*1

(ⅰ)金属製外槽屋根板の厚さ

金属製外槽屋根板の最小厚さ及び公称呼び厚さ(最小値)は、4.5.1.4(2)(a)「内

槽屋根板の厚さ」によること。

(ⅱ)金属製外槽屋根の座屈

(イ) 荷重

金属製外槽屋根の座屈強度を検討する場合の荷重の組合せは表4-9による

こと。

パブコメ用ドラフト

- 108 -

第4章 -60-

表4-9 金属製外槽屋根の座屈を検討する場合の荷重の組合せ

荷重条件

荷重の種類

常時性能評価 レベル1耐震性能評価

レベル2耐震性能評価

通常運転時 保守・点検

時 積雪時 地震時

通常荷重

自重 ○ ○ ○ ○

積雪荷重(多雪区域) ○*(2)

地震荷重

加速度型設計水平地震動

による屋根等の慣性力 ○

加速度型設計鉛直地震動

による屋根等の自重の増

加分

活荷重 ○

積雪荷重 ○*(3) ○ ○*(3)

(ロ) 金属製外槽屋根骨の応力評価*(4)

金属製外槽屋根骨の応力評価は4.5.1.4(3)(b)(ⅱ)によること。

【解 説】

*(1) プレストレス導入による荷重、温度荷重等により、PC防液堤上部に変形が想定

される場合は、これを考慮すること。

*(2) 多雪区域のみ積雪荷重を通常荷重として扱う。なお、この場合、建築基準法施行

令(平成23年3月30日政令46号)第82条第二号の表に従い、係数をかけることがで

きる。

*(3) 多雪区域のみ地震時及び保守・点検時に積雪荷重を考慮すること。多雪区域の積

雪荷重は、建築基準法施行令(平成23年3月30日政令46号)第82条第二号の表に従

い、係数をかけることができる。保守・点検時の積雪荷重にかける係数についても、

地震時と同じとする。

*(4) 外槽屋根についても、内槽と同様、屋根の全体座屈強度を検討し、安全性を確認

することが望ましい。

4.6.1.2

(2) ライナ付コンクリート製外槽屋根

表4-9 金属製外槽屋根の座屈を検討する場合の荷重の組合せ

荷重条件

荷重の種類

常時性能評価 レベル1耐震性能評価

レベル2耐震性能評価

通常運転時 保守・点検

時 積雪時 地震時

通常荷重

自重 ○ ○ ○ ○

積雪荷重(多雪区域) ○*2

地震荷重

加速度型設計水平地震動

による屋根等の慣性力 ○

加速度型設計鉛直地震動

による屋根等の自重の増

加分

活荷重 ○

積雪荷重 ○*3 ○ ○*3

(ロ) 金属製外槽屋根骨の応力評価*4

金属製外槽屋根骨の応力評価は4.5.1.4(3)(b)(ⅱ)「屋根骨の応力評価」による

こと。

【解 説】

*1 プレストレス導入による荷重、温度荷重等により、PC防液堤上部に変形が想定

される場合は、これを考慮すること。

*2 多雪区域のみ積雪荷重を通常荷重として扱う。なお、この場合、建築基準法施行

令(平成29年6月14日政令156号)第82条第二号の表に従い、係数をかけることが

できる。

*3 多雪区域のみ地震時及び保守・点検時に積雪荷重を考慮すること。多雪区域の積

雪荷重は、建築基準法施行令(平成29年6月14日政令156号)第82条第二号の表に

従い、係数をかけることができる。保守・点検時の積雪荷重にかける係数について

も、地震時と同じとする。

*4 外槽屋根についても、内槽と同様、屋根の全体座屈強度を検討し、安全性を確認

することが望ましい。

4.6.1.2

(2) ライナ付コンクリート製外槽屋根

パブコメ用ドラフト

- 109 -

第4章 -61-

(a) 一般

(ⅰ)ライナ付コンクリート製外槽屋根は、原則として球面屋根構造*(1)とすること*(2)。

(ⅱ)ライナ付コンクリート製外槽屋根のコンクリート部分は、自重及びその他の荷重

による座屈に対して十分な強度を有すること*(3)。

(b) ライナ付コンクリート製外槽屋根の設計

(ⅰ)設計の基本*(4)

(イ) ライナ付コンクリート製外槽屋根のコンクリート部分の設計は、目標性能に応

じた評価項目及びその限界値を設定し、荷重に対して計算される応答値が限界値

を超えないことを確認すること。

(ロ) 評価は、ひび割れ、断面破壊について行うこと。なお、ひび割れの評価は表4-

2の通常運転時について行い、断面破壊の評価は表4-2のすべての荷重条件*(5)につ

いて行うこと。

(ハ) 外槽屋根部ライナの設計は、4.6.1.1(2)により行うこと。

(ⅱ)荷重の組合せ

ライナ付コンクリート製外槽屋根の荷重の組合せは、表4-2によること*(6)。

(ⅲ)安全係数

ライナ付コンクリート製外槽屋根の検討に用いる安全係数は、表8-4によること。

(ⅳ)構造解析

工学的に認められた手法により行うこと。

(ⅴ)評価方法

ひび割れの評価は8.5.7(4)(a)により、断面破壊の評価は8.5.7(4)(b)により行うこ

と。

(ⅵ)最小鉄筋量

コンクリート部分の最小鉄筋量は、緯線及び経線の両方向ともコンクリート断面

積の0.25%以上とすること。

【解 説】

*(1) ライナ付コンクリート製外槽屋根の曲率半径は、PC防液堤内径の0.8倍~1.2倍

を標準とする。

*(2) ライナ付コンクリート製外槽屋根とPC防液堤の接合方法には、剛結、ヒンジ、

スライドがあるが、結合部での荷重に対する強度及び気密性の確保を考慮して、剛

結合を原則とする。

*(3) ライナ付コンクリート製外槽屋根についても、金属製外槽屋根と同様に、屋根の

全体座屈強度を検討し、安全性を確認することが望ましい。座屈に対する安全性を

確認する方法としては、国際シェル・立体構造学会「IASS指針(案)」(1979)に

よる方法、幾何学的及び材料非線形解析などの方法がある。

(a) 一般

(ⅰ)ライナ付コンクリート製外槽屋根は、原則として球面屋根構造*1とすること*2。

(ⅱ)ライナ付コンクリート製外槽屋根のコンクリート部分は、自重及びその他の荷重

による座屈に対して十分な強度を有すること*3。

(b) ライナ付コンクリート製外槽屋根の設計

(ⅰ)設計の基本*4

(イ) ライナ付コンクリート製外槽屋根のコンクリート部分の設計は、目標性能に応

じた評価項目及びその限界値を設定し、荷重に対して計算される応答値が限界値

を超えないことを確認すること。

(ロ) 評価は、ひび割れ、断面破壊について行うこと。なお、ひび割れの評価は表4

-2の通常運転時について行い、断面破壊の評価は表4-2のすべての荷重条件

*5について行うこと。

(ハ) 外槽屋根部ライナの設計は、4.6.1.1(2)「外槽側部ライナ」により行うこと。

(ⅱ)荷重の組合せ

ライナ付コンクリート製外槽屋根の荷重の組合せは、表4-2によること*6。

(ⅲ)安全係数

ライナ付コンクリート製外槽屋根の検討に用いる安全係数は、表8-4によるこ

と。

(ⅳ)構造解析

工学的に認められた手法により行うこと。

(ⅴ)評価方法

ひび割れの評価は第8章「基礎」8.5.7「基礎版の構造及び設計」(4)「評価方法」

(a)「ひび割れの評価」により、断面破壊の評価は8.5.7(4)(b)「断面破壊の評価」に

より行うこと。

(ⅵ)最小鉄筋量

コンクリート部分の最小鉄筋量は、緯線及び経線の両方向ともコンクリート断面

積の0.25%以上とすること。

【解 説】

*1 ライナ付コンクリート製外槽屋根の曲率半径は、PC防液堤内径の0.8倍~1.2倍

を標準とする。

*2 ライナ付コンクリート製外槽屋根とPC防液堤の接合方法には、剛結、ヒンジ、

スライドがあるが、結合部での荷重に対する強度及び気密性の確保を考慮して、剛

結合を原則とする。

*3 ライナ付コンクリート製外槽屋根についても、金属製外槽屋根と同様に、屋根の

全体座屈強度を検討し、安全性を確認することが望ましい。座屈に対する安全性を

確認する方法としては、国際シェル・立体構造学会「IASS指針(案)」(1979)に

よる方法、幾何学的及び材料非線形解析などの方法がある。

パブコメ用ドラフト

- 110 -

第4章 -62-

*(4) レベル2地震時の評価は、外槽屋根部ライナのレベル2耐震性能の目標性能を満

足するように適切に設定すること。

*(5) 鉛直地震力については屋根部に振動が励起される場合があるため、動的解析等に

より挙動を検討すること。

*(6) 荷重係数は、表8-3によること。なお、活荷重の荷重係数は1.0とする。

4.6.1.3 外槽底板

(1) 一般

外槽底板は雨水等による腐食を防止する措置を講ずること。

(2) 外槽底板の設計

外槽底板に使用する板の公称呼び厚さは4.5mm以上*(1)とすること。

【解 説】

*(1) 外槽底板の公称呼び厚さ(最小値)はAPI 620(2010) App.Qに準じるものである。

4.6.1.4 外槽アンカー

(1) 一般

(a) 内外槽間ガス圧力及び地震による転倒モーメント等を考慮して、外槽アンカーを設

けること。

(b) 外槽アンカーは発生する上向き力に対して十分強固に基礎に固定すること。

(2) 外槽アンカーの設計

(a) 荷重の組合せ

外槽アンカーの設計における荷重の組合せは表4-10によること。

表4-10 外槽アンカーの設計に用いる荷重の組合せ

荷重条件

荷重の種類

常時性能評価 レベル1耐震性能評価

レベル2耐震性能評価

通常運転時 強風時 地震時

外槽の自重 ○ ○ ○

内外槽間ガス圧力 ○ ○ ○

加速度型設計水平地震動によ

る外槽の慣性力 ○

加速度型設計鉛直地震動によ

る外槽の自重の減少分 ○

風荷重 ○

(b) 外槽アンカーの強度

(ⅰ)通常運転時の荷重により外槽アンカーに発生する応力σ1は3.3.2(1)に示す許容

引張応力以下であること。

σ1=A

F

*4 レベル2地震時の評価は、外槽屋根部ライナのレベル2耐震性能の目標性能を満

足するように適切に設定すること。

*5 鉛直地震力については屋根部に振動が励起される場合があるため、動的解析等に

より挙動を検討すること。

*6 荷重係数は、表8-3によること。なお、活荷重の荷重係数は1.0とする。

4.6.1.3 外槽底板

(1) 一般

外槽底板は雨水等による腐食を防止する措置を講ずること。

(2) 外槽底板の設計

外槽底板に使用する板の公称呼び厚さは4.5mm以上*1とすること。

【解 説】

*1 外槽底板の公称呼び厚さ(最小値)はAPI 620(2013) App.Qに準じるものである。

4.6.1.4 外槽アンカー

(1) 一般

(a) 内外槽間ガス圧力及び地震による転倒モーメント等を考慮して、外槽アンカーを設

けること。

(b) 外槽アンカーは発生する上向き力に対して十分強固に基礎に固定すること。

(2) 外槽アンカーの設計

(a) 荷重の組合せ

外槽アンカーの設計における荷重の組合せは表4-10によること。

表4-10 外槽アンカーの設計に用いる荷重の組合せ

荷重条件

荷重の種類

常時性能評価 レベル1耐震性能評価

レベル2耐震性能評価

通常運転時 強風時 地震時

外槽の自重 ○ ○ ○

内外槽間ガス圧力 ○ ○ ○

加速度型設計水平地震動によ

る外槽の慣性力 ○

加速度型設計鉛直地震動によ

る外槽の自重の減少分 ○

風荷重 ○

(b) 外槽アンカーの強度

(ⅰ)通常運転時の荷重により外槽アンカーに発生する応力σ1は3.3.2(1)に示す許容

引張応力以下であること。

σ1=A

F

パブコメ用ドラフト

- 111 -

第4章 -63-

ここに、σ1:通常運転時の荷重によりアンカーに発生する応力(N/mm2)

F :アンカーに作用する荷重(N)

A :アンカーの断面積(mm2)

(ⅱ)地震時等の荷重により外槽アンカーに発生する応力σ2は、3.3.2(1)に示す耐震設

計用許容引張応力以下であること。

σ2=A

Q

Q=DN

MF

4+

ここに、σ2 :地震時等の荷重によりアンカーに発生する応力(N/mm2)

Q :アンカーに作用する荷重(N)

M :風荷重又は地震荷重により生じる転倒モーメント(N・mm)

D :外槽の内径(mm)

N :アンカーの本数

A及びF:(ⅰ)による

4.6.1.5 その他外槽付属品

(1) 外槽ノズル

(a) 外槽のノズルネックは、配管からの荷重等に対して十分な強度を有するよう適切な

補強を行うこと。

(b) 外槽ノズルの設計は、次に示す荷重を考慮して行うこと。

(ⅰ)ノズル内圧

(ⅱ)地震時又は強風時の配管等からの荷重

(2) 外槽マンホール等の胴及びふた板

(a) 外槽には、直径500mm以上のマンホールを1個以上取付けること。

(b) ふた板のフランジ部の構造及び最小厚さは4.5.1.7(2)によること。

4.6.2 レベル2耐震性能評価

4.6.2.1 一 般

外槽のレベル2耐震性能評価は 4.5.2.1 によること。ただし、コンクリート製外槽屋根

については 8.5 によること。

4.6.2.2 損傷モード*(1)

金属二重殻LNG貯槽における第一設計地震動による損傷モードは外槽側板の座屈と

する。

【解 説】

*(1) 金属二重殻LNG貯槽の外槽については、外槽側板の弾性座屈(ダイヤモンド座

ここに、σ1:通常運転時の荷重によりアンカーに発生する応力(N/mm2)

F :アンカーに作用する荷重(N)

A :アンカーの断面積(mm2)

(ⅱ)地震時等の荷重により外槽アンカーに発生する応力σ2は、3.3.2(1)に示す耐震設

計用許容引張応力以下であること。

σ2=A

Q

Q=DN

MF

4+

ここに、σ2:地震時等の荷重によりアンカーに発生する応力(N/mm2)

Q :アンカーに作用する荷重(N)

M:風荷重又は地震荷重により生じる転倒モーメント(N・mm)

D :外槽の内径(mm)

N :アンカーの本数

A及びF:(ⅰ)による

4.6.1.5 その他外槽付属品

(1) 外槽ノズル

(a) 外槽のノズルは、配管からの荷重等に対して十分な強度を有するよう適切な補強を

行うこと。

(b) 外槽ノズルの設計は、次に示す荷重を考慮して行うこと。

(ⅰ)ノズル内圧

(ⅱ)地震時又は強風時の配管等からの荷重

(2) 外槽マンホール等の胴及びふた板

(a) 外槽には、直径500mm以上のマンホールを1個以上取付けること。

(b) ふた板のフランジ部の構造及び最小厚さは4.5.1.7(2)「内槽マンホール等の胴及び

ふた板」によること。

4.6.2 レベル2耐震性能評価

4.6.2.1 一 般

外槽のレベル2耐震性能評価は 4.5.2.1「一般」によること。ただし、コンクリート製

外槽屋根については 8.5「構造及び設計」によること。

4.6.2.2 損傷モード*1

金属二重殻LNG貯槽における第一設計地震動による損傷モードは外槽側板の座屈と

する。

【解 説】

*1 金属二重殻LNG貯槽の外槽については、外槽側板の弾性座屈(ダイヤモンド座

パブコメ用ドラフト

- 112 -

第4章 -64-

屈)を評価対象とする。PCLNG貯槽については、ライナ構造であり、通常荷重

に比べ、地震時の変動荷重が小さいため、レベル2耐震性能評価の対象としない。

4.6.2.3 レベル2耐震性能評価方法

4.5.2.3 によること。

4.6.2.4 外槽側板

4.6.2.2 に規定する損傷モードについて、以下の(1)により求まる降伏震度を用いて、

JGA 指-101-12 の 8.5.3 により応答塑性率を求め、(2)に示す許容塑性率以下であることを

確認すること。

(1) 降伏震度

加速度型設計地震動による側板の圧縮応力に係る降伏震度は次の算式により計算す

る。

cE

ctc

MHyc σ

σσSKK 00

1

-+=

ここに、Kyc1:加速度型設計地震動による側板の座屈に係る降伏震度

KMH:設計修正水平震度

Sc :座屈応力で、次の算式から得られる値*(1)

D

EtSc 125.3=

ここに、E:材料の設計温度における縦弾性係数(N/mm2)

t :応力を算定する位置での側板板厚(mm)

D:側板内径(mm)

σt0:内圧による平均軸引張応力で、次の算式から得られる値(N/mm2)

t

DPσ t 4

0

0=

ここに、P0:通常の運転状態における最低の圧力(MPa)

σc0:応力を算定する位置での自重による平均軸圧縮応力で、次の算式から

得られる値(N/mm2)

( )

Dtπ

WWσ sr

c

+=0

ここに、Wr:屋根部の全荷重(積雪地においては積雪荷重を含む。ただし、

適切な除雪又は融雪設備がある場合には低減値を用いるこ

とができる。)(N)

Ws:応力を算定する位置に作用する側板部の荷重(N)

屈)を評価対象とする。PCLNG貯槽については、ライナ構造であり、通常荷重

に比べ、地震時の変動荷重が小さいため、レベル2耐震性能評価の対象としない。

4.6.2.3 レベル2耐震性能評価方法

4.5.2.3「レベル2耐震性能評価方法」によること。

4.6.2.4 外槽側板

4.6.2.2「損傷モード」に規定する損傷モードについて、以下の(1)により求まる降伏震

度を用いて、JGA 指-101-14「製造設備等耐震設計指針」第8章「塔槽類等のレベル2耐震

性能評価法」8.5.3「応答塑性率」により応答塑性率を求め、(2)に示す許容塑性率以下で

あることを確認すること。

(1) 降伏震度

加速度型設計地震動による側板の圧縮応力に係る降伏震度は次の算式により計算す

る。

cE

ctc

MHyc σ

σσSKK 00

1

-+=

ここに、Kyc1:加速度型設計地震動による側板の座屈に係る降伏震度

KMH:設計修正水平震度

Sc :座屈応力で、次の算式から得られる値*1

D

EtSc 125.3=

ここに、E:材料の設計温度における縦弾性係数(N/mm2)

t :応力を算定する位置での側板板厚(mm)

D:側板内径(mm)

σt0:内圧による平均軸引張応力で、次の算式から得られる値(N/mm2)

t

DPσ t 4

0

0=

ここに、P0:通常の運転状態における最低の圧力(MPa)

σc0:応力を算定する位置での自重による平均軸圧縮応力で、次の算式から

得られる値(N/mm2)

( )

Dtπ

WWσ sr

c

+=0

ここに、Wr:屋根部の全荷重(積雪地においては積雪荷重を含む。ただし、

適切な除雪又は融雪設備がある場合には低減値を用いるこ

とができる。)(N)

Ws:応力を算定する位置に作用する側板部の荷重(N)

パブコメ用ドラフト

- 113 -

第4章 -65-

σcE:設計修正水平震度KMH及び設計修正鉛直震度KMVが作用したときの、

応力を算定する位置での軸圧縮応力で、次の算式から得られる値(N

/mm2)

( )( )

Dtπ

WWK

tDπ

HWHWH

h

Kσ sr

MV

ssrr

MHcE

++

+-

=2

1

2

14

ここに、h :応力を算定する位置の外槽底面からの高さ(mm)

H :外槽側板高さ(mm)

Hr :外槽底面から屋根部重心までの高さ(mm)

Hs :外槽底面から側板部重心までの高さ(mm)

W1s:側板部の全荷重(N)

(2) 許容塑性率

加速度型設計地震動による側板の座屈に係る許容塑性率

cS

σ0 ≦0.2の場合、

μpa=0.35

0.2<cS

σ0 の場合、

μpa=0.13

ここに、μpa:許容塑性率

σ0:平均軸圧縮応力で、次の算式で得られる値(N/mm2)

( )( )

Rtπ

RπPKWWσ MVsr

2

12

0

0

-++=

Sc、Wr、Ws、P0、t:(1)に規定する値

R:側板半径(mm)

【解 説】

*(1) 外槽のレベル1耐震性能評価における4.6.1.1(1)(b)(ⅱ)の側板の許容座屈応力

において、安全率γを1.25に低減した値とした。

4.7 付属設備

4.7.1 ポンプバレル架構*(1)

(1) 一般

(a) ポンプバレル架構は表4-11に示す荷重の組み合わせに対し十分な強度を有するよ

う設計すること。

(b) ポンプバレル及びLNG出口配管の振動が過大にならないよう、ポンプバレル及び

配管を適切に支持すること。

(c) ポンプバレル架構の内槽屋根及び内槽側板の支持部は、適切な補強を行い、十分な

σcE:設計修正水平震度KMH及び設計修正鉛直震度KMVが作用した

ときの、応力を算定する位置での軸圧縮応力で、次の算式から得ら

れる値(N/mm2)

( )( )

Dtπ

WWK

tDπ

HWHWH

h

Kσ sr

MV

ssrr

MHcE

++

+-

=2

1

2

14

ここに、h :応力を算定する位置の外槽底面からの高さ(mm)

H :外槽側板高さ(mm)

Hr :外槽底面から屋根部重心までの高さ(mm)

Hs :外槽底面から側板部重心までの高さ(mm)

W1s:側板部の全荷重(N)

(2) 許容塑性率

加速度型設計地震動による側板の座屈に係る許容塑性率

cS

σ0 ≦0.2の場合、

μpa=0.35

0.2<cS

σ0 の場合、

μpa=0.13

ここに、μpa:許容塑性率

σ0:平均軸圧縮応力で、次の算式で得られる値(N/mm2)

( )( )

Rtπ

RπPKWWσ MVsr

2

12

0

0

-++=

Sc、Wr、Ws、P0、t:(1)に規定する値

R:側板半径(mm)

【解 説】

*1 外槽のレベル1耐震性能評価における4.6.1.1(1)(b)(ⅱ)「外槽側板の座屈強度」

の側板の許容座屈応力において、安全率γを1.25に低減した値とした。

4.7 付属設備

4.7.1 ポンプバレル架構*1

(1) 一般

(a) ポンプバレル架構は表4-11に示す荷重の組み合わせに対し十分な強度を有する

よう設計すること。

(b) ポンプバレル及びLNG出口配管の振動が過大にならないよう、ポンプバレル及び

配管を適切に支持すること。

(c) ポンプバレル架構の内槽屋根及び内槽側板の支持部は、適切な補強を行い、十分な

パブコメ用ドラフト

- 114 -

第4章 -66-

剛性及び強度を有するように設計すること。

(2) 荷重の種類及びその算定

ポンプバレル架構の設計には、次の荷重を考慮すること。

(a) 自重

ポンプバレル、接合材、付属品(ポンプ及び弁)並びにポンプバレル内液を考慮す

ること。

(b) 地震荷重

ポンプバレル架構に作用する地震荷重は、下記による地震力を考慮すること*(2)。

(ⅰ)加速度型設計地震動による水平地震力

(ⅱ)加速度型設計地震動による鉛直地震力

(ⅲ)変位型設計地震動による水平地震力*(3)

(c) ポンプバレル内圧

ポンプバレルの最高使用圧力とする。

(3) 荷重の組合せ*(4)*(5)

ポンプバレル架構に作用する荷重の組合せは、表4-11によること。

表4-11 荷重の組合せ

荷重組合せケース ポンプバレル内圧 自重 地震荷重

1 ○ ○

2 ○ ○ ○[1]

〔備 考〕

[1]ポンプバレル内液を考慮すること。

(4) ポンプバレル架構の構造解析

(a) ポンプバレルの最小厚さは、4.5.1.7(1)(d)によること。

(b) ポンプバレル及び接合材を骨組みとしてモデル化し、表4-11に示す荷重の組合せに

おいて4.5.1.4(3)(b)(ⅱ)により応力評価を行うこと*(6)。

【解 説】

*(1) ポンプバレル架構とは、複数本のポンプバレルとこれらの振れ止めをする接合材

を組合せた複合構造をいい、その構造の一例を解図4-25に示す。図に示された形式

のほか、ポンプバレルの振れ止めをする接合材としては、屋根骨に取り付けられた

骨組とする形式がある。なお、ポンプバレルとは、内部に液中型ポンプを装備し、

液払出配管となる配管をいう。

剛性及び強度を有するように設計すること。

(2) 荷重の種類及びその算定

ポンプバレル架構の設計には、次の荷重を考慮すること。

(a) 自重

ポンプバレル、接合材、付属品(ポンプ及び弁)並びにポンプバレル内液を考慮す

ること。

(b) 地震荷重

ポンプバレル架構に作用する地震荷重は、下記による地震力を考慮すること*2。

(ⅰ)加速度型設計地震動による水平地震力

(ⅱ)加速度型設計地震動による鉛直地震力

(ⅲ)変位型設計地震動による水平地震力*3

(c) ポンプバレル内圧

ポンプバレルの最高使用圧力とする。

(3) 荷重の組合せ*4*5

ポンプバレル架構に作用する荷重の組合せは、表4-11によること。

表4-11 荷重の組合せ

荷重組合せケース ポンプバレル内圧 自重 地震荷重

1 ○ ○

2 ○ ○ ○[1]

〔備 考〕

[1]ポンプバレル内液を考慮すること。

(4) ポンプバレル架構の構造解析

(a) ポンプバレルの最小厚さは、4.5.1.7(1)(d)「ノズルの厚さ」によること。

(b) ポンプバレル及び接合材を骨組みとしてモデル化し、表4-11に示す荷重の組合せ

において4.5.1.4(3)(b)(ⅱ)「屋根骨の応力評価」により応力評価を行うこと*6。

【解 説】

*1 ポンプバレル架構とは、複数本のポンプバレルとこれらの振れ止めをする接合材

を組合せた複合構造をいい、その構造の一例を解図4-25に示す。図に示された形

式のほか、ポンプバレルの振れ止めをする接合材としては、屋根骨に取り付けられ

た骨組とする形式がある。なお、ポンプバレルとは、内部に液中型ポンプを装備し、

液払出配管となる配管をいう。

パブコメ用ドラフト

- 115 -

第4章 -67-

解図4-25 ポンプバレル架構の構造例

*(2) ポンプバレル架構に対する加速度型設計地震動による水平地震力は、ポンプバレ

ル架構の構造及び支持構造系の応答特性を考慮した適切な方法により算定するこ

と。適切な方法には、ポンプバレル架構と内槽の相互作用の影響を考慮するために、

ポンプバレル架構と内槽を一体化したモデルを用いた有限要素解析法等がある

1)2)3)4)5)。また、加速度型設計地震動による鉛直地震力は、自重にポンプバレル架構

の水平震度の1

2の値とした鉛直震度を乗じた値とすること。

なお、水平地震力の方向については、荷重条件として最も厳しくなる方向をとる

こと。また、鉛直地震力は、水平地震力と同時、かつ荷重条件として厳しい方向に

とること。

ポンプバレル架構の内槽屋根及び内槽側板の支持部については、適切な方法を用

いてポンプバレル架構の応答解析を行い、4.5.2.6に基づきレベル2耐震性能評価

を行うこと。

<参考文献>

1) 柴田碧,秋山宏,本郷進,久保尚重,高田昌典,小林信之,田中元章,高梨直幸: ”

解図4-25 ポンプバレル架構の構造例

*2 ポンプバレル架構に対する加速度型設計地震動による水平地震力は、ポンプバレ

ル架構の構造及び支持構造系の応答特性を考慮した適切な方法により算定するこ

と。適切な方法には、ポンプバレル架構と内槽の相互作用の影響を考慮するために、

ポンプバレル架構と内槽を一体化したモデルを用いた有限要素解析法等がある

1)2)3)4)5)。また、加速度型設計地震動による鉛直地震力は、自重にポンプバレル架構

の水平震度の1

2の値とした鉛直震度を乗じた値とすること。

なお、水平地震力の方向については、荷重条件として最も厳しくなる方向をとる

こと。また、鉛直地震力は、水平地震力と同時、かつ荷重条件として厳しい方向に

とること。

ポンプバレル架構の内槽屋根及び内槽側板の支持部については、適切な方法を用

いてポンプバレル架構の応答解析を行い、4.5.2.6「内槽ノズル」に基づきレベル

2耐震性能評価を行うこと。

<参考文献>

1) 柴田碧、秋山宏、本郷進、久保尚重、高田昌典、小林信之、田中元章、高梨直幸:

パブコメ用ドラフト

- 116 -

第4章 -68-

大形PCLNG貯槽ポンプバレル架構の振動特性”,pp.144-146, 日本機械学会第 72

期全国大会講演論文集,(1994.8)

2) 小林信之,田中元章,高梨直幸,石田和雄,田附英幸,本郷進,久保尚重,高田

昌典: ”大形PCLNG貯槽ポンプバレル架構の振動特性の研究(振動実験)”,

pp.239-242, 石川島播磨技報 Vol.35 №4,(1995.7)

3) 柴田碧,小林信之,久保尚重,高田昌典,石田和雄,田中元章,田附英幸: ”LN

G貯槽ポンプバレル架構の振動特性(剛性の異なる2組の付加構造物と円筒殻の連

成振動)”,日本機械学会 Dynamics and Design Conference '96,(1996.8)

4) 田村興造,平川長,面谷幸男,岸本節二: ”地上式LNGタンクのポンプバレルの

耐震設計方法”,pp.669-676, 土木学会構造工学論文集 Vol.42A,(1996.3)

5) 吉原健雄,面谷幸男,岸本節二,渡辺理孝,津田真二: ”地上式LNGタンク用ポ

ンプバレルの耐震設計法の開発”,pp.65-70, 川崎重工技報 129 号,(1996.4)

*(3) ポンプバレル架構に対する変位型設計地震動による水平地震力は、スロッシング

に伴う流体力とする。なお、スロッシングについては、JGA指-101-12の4.2.1(4)に

よること。

*(4) 必要に応じ屋根板及び側板に作用するガス圧及び液圧についても考慮すること。

*(5) 温度荷重による過大な応力が作用しない構造とすること。だたし、温度荷重によ

る発生応力が大きいと予想される場合は、温度荷重についても考慮すること。

*(6)2次応力に対する評価を行う場合には、ASME Boiler & Pressure Vessel Code

Sec.Ⅷ Div.2(2001)による評価を行ってもよい。例えば、ポンプバレルと接合材と

の結合部に生じる変位制御型の曲げ応力は、局部的な構造上の不連続及び熱応力に

よるものであるため、主に2次応力と考えられる。

4.7.2 配管架構

(1) 昇降階段、配管サポート等の架構は、通常運転時、地震時及び強風時に安全な構造と

すること。

(2) 架構を直接貯槽に取付ける場合は、貯槽に有害な影響を与えない構造とすること。

4.7.3 ブリージングタンク

(1) 気温及び気圧の変動による内外槽間ガス圧力の変動を吸収するためブリージングタ

ンクを設置し、外槽とブリージングタンクとを配管により接続すること。

(2) ブリージングタンクの容量は、気温及び気圧の変動幅を十分考慮して、適正なものと

すること。

(3) ブリージングタンクは、通常運転時、地震時*(1)及び強風時に安全な構造とすること。

(4) ブリージングタンクの底板は、雨水等による腐食を防止する措置を講ずること。

「大形PCLNG貯槽ポンプバレル架構の振動特性」、pp.144-146, 日本機械学会第

72 期全国大会講演論文集,(1994.8)

2) 小林信之、田中元章、高梨直幸、石田和雄、田附英幸、本郷進、久保尚重、高田

昌典: 「大形PCLNG貯槽ポンプバレル架構の振動特性の研究(振動実験)」、

pp.239-242、石川島播磨技報 Vol.35 №4,(1995.7)

3) 柴田碧、小林信之、久保尚重、高田昌典、石田和雄、田中元章、田附英幸: 「L

NG貯槽ポンプバレル架構の振動特性(剛性の異なる2組の付加構造物と円筒殻の

連成振動)」、日本機械学会 Dynamics and Design Conference '96、(1996.8)

4) 田村興造、平川長、面谷幸男、岸本節二: 「地上式LNGタンクのポンプバレル

の耐震設計方法」、pp.669-676、 土木学会構造工学論文集 Vol.42A、(1996.3)

5) 吉原健雄、面谷幸男、岸本節二、渡辺理孝、津田真二: 「地上式LNGタンク用

ポンプバレルの耐震設計法の開発」、pp.65-70、川崎重工技報 129 号、(1996.4)

*3 ポンプバレル架構に対する変位型設計地震動による水平地震力は、スロッシング

に伴う流体力とする。なお、スロッシングについては、JGA指-101-14の4.2.1「基

本方針」(4)によること。

*4 必要に応じ屋根板及び側板に作用するガス圧及び液圧についても考慮すること。

*5 温度荷重による過大な応力が作用しない構造とすること。だたし、温度荷重によ

る発生応力が大きいと予想される場合は、温度荷重についても考慮すること。

*6 2次応力に対する評価を行う場合には、ASME Boiler & Pressure Vessel Code

Sec.Ⅷ Div.2(2001)による評価を行ってもよい。例えば、ポンプバレルと接合材と

の結合部に生じる変位制御型の曲げ応力は、局部的な構造上の不連続及び熱応力に

よるものであるため、主に2次応力と考えられる。

4.7.2 配管架構

(1) 昇降階段、配管サポート等の架構は、通常運転時、地震時及び強風時に安全な構造と

すること。

(2) 架構を直接貯槽に取付ける場合は、貯槽に有害な影響を与えない構造とすること。

4.7.3 ブリージングタンク

(1) 気温及び気圧の変動による内外槽間ガス圧力の変動を吸収するためブリージングタ

ンクを設置し、外槽とブリージングタンクとを配管により接続すること。

(2) ブリージングタンクの容量は、気温及び気圧の変動幅を十分考慮して、適正なものと

すること。

(3) ブリージングタンクは、通常運転時、地震時*1及び強風時に安全な構造とすること。

(4) ブリージングタンクの底板は、雨水等による腐食を防止する措置を講ずること。

パブコメ用ドラフト

- 117 -

第4章 -69-

【解 説】

*(1) ブリージングタンクが損傷しても直ちに外槽及び保冷の目標性能を損なうこと

がないと考えられるため、レベル2耐震性能評価は省略する。

4.7.4 保安設備

(1) 保安設備の種類、形式、能力等については、第10章によること。

(2) 保安設備は、貯槽と同等以上の耐震強度を有するものとし、地震時等において防災機

能を十分に果たすものであること。

【解 説】

*1 ブリージングタンクが損傷しても直ちに外槽及び保冷の目標性能を損なうことが

ないと考えられるため、レベル2耐震性能評価は省略する。

4.7.4 保安設備

(1) 保安設備の種類、形式、能力等については、第10章「保安」によること。

(2) 保安設備は、貯槽と同等以上の耐震強度を有するものとし、地震時等において防災機

能を十分に果たすものであること。

パブコメ用ドラフト

- 118 -

5-1-1

第5章 -1-

「第5章 内槽及び外槽の製作及び組立」においての記載内容

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

第5章 内槽及び外槽の製作及び組立

5.1 一 般 ······················································· 125

5.2 内 槽 ······················································· 125

5.2.1 材料の確認 ·················································· 125

5.2.2 切断及び成形加工 ············································ 125

5.2.3 組 立 ···················································· 126

5.2.4 溶 接 ···················································· 126

5.2.5 塗 装 ···················································· 140

5.3 外 槽 ······················································· 141

5.3.1 材料の確認 ·················································· 141

5.3.2 切断及び成形加工 ············································ 141

5.3.3 組 立 ···················································· 141

5.3.4 溶 接 ···················································· 142

5.3.5 塗 装 ···················································· 142

5.4 付属設備 ······················································· 142

5.4.1 ポンプバレル架構 ············································ 142

5.4.2 配管架構 ···················································· 143

5.4.3 ブリージングタンク ·········································· 143

第5章 内槽及び外槽の製作及び組立

5.1 一 般 ······················································· 125

5.2 内 槽 ······················································· 125

5.2.1 材料の確認 ················································· 125

5.2.2 切断及び成形加工 ··········································· 125

5.2.3 組 立 ··················································· 126

5.2.4 溶 接 ··················································· 126

5.2.5 塗 装 ··················································· 140

5.3 外 槽 ······················································· 141

5.3.1 材料の確認 ················································· 141

5.3.2 切断及び成形加工 ··········································· 141

5.3.3 組 立 ··················································· 141

5.3.4 溶 接 ··················································· 142

5.3.5 塗 装 ··················································· 142

5.4 付属設備 ······················································· 142

5.4.1 ポンプバレル架構 ··········································· 142

5.4.2 配管架構 ··················································· 143

5.4.3 ブリージングタンク ········································· 143

パブコメ用ドラフト

- 119 -

5-1-2

第5章 -2-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

5.1 一 般

本章では、内槽、外槽及び付属設備の製作及び組立について規定する*(1)。

【解 説】

*(1) ライナ付コンクリート製外槽屋根のコンクリート部の製作及び組立については

9.6によること。

5.2 内 槽

5.2.1 材料の確認

材料は加工に先立ちミルシートと照合し確認すること。また、異材混入を防止するために材

料の識別ができるようにマーキングをしておくこと。

5.2.2 切断及び成形加工

(1) 切断及び開先加工

(a) 材料の切断及び開先加工はガス切断、アーク切断、切削、研削等のうち、適切な方法に

より行うこと。

(b) 切断面及び開先面はスケールを十分除去し、必要に応じてグラインダ等により平滑に

仕上げること。

(2) 成形加工

(a) 材料の成形加工は、原則として冷間のプレス又はベンディングローラにより所定の形

状に成形すること。ベンディングローラによる場合は、板の両端はプレス又は他の適切な

方法により所定の形状に端曲げを行うこと。

(b) 9%ニッケル鋼において冷間加工を行った場合、必要に応じて熱処理を行うこと*(1)。

【解 説】

*(1) 9%ニッケル鋼を冷間加工した場合、次式によって算出したひずみ率が3%を超

えるときには以下に述べる条件のもとに熱処理を行うこと1)。

0

165

R

R

R

f

f

-=

ここに、

ε :ひずみ率(%)

t :板厚(mm)

R0:加工前の曲率半径(mm) (平板の場合は無限大)

Rf :最終曲げ半径(mm)

(a) 局部的な熱処理は行わないこと。

5.1 一 般

本章では、内槽、外槽及び付属設備の製作及び組立について規定する*1。

【解 説】

*1 ライナ付コンクリート製外槽屋根のコンクリート部の製作及び組立については第

9章「防液堤」9.6「施工」によること。

5.2 内 槽

5.2.1 材料の確認

材料は加工に先立ちミルシートと照合し確認すること。また、異材混入を防止するために材

料の識別ができるようにマーキングをしておくこと。

5.2.2 切断及び成形加工

(1) 切断及び開先加工

(a) 材料の切断及び開先加工はガス切断、アーク切断、プラズマ切断、切削、研削等のうち、

適切な方法により行うこと。

(b) 切断面及び開先面はスケールを十分除去し、必要に応じてグラインダ等により平滑に

仕上げること。

(2) 成形加工

(a) 材料の成形加工は、原則として冷間のプレス又はベンディングローラにより所定の形

状に成形すること。ベンディングローラによる場合は、板の両端はプレス又は他の適切な

方法により所定の形状に端曲げを行うこと。

(b)7%ニッケル鋼、9%ニッケル鋼において冷間加工を行った場合、必要に応じて熱処理

を行うこと*1*2。

【解 説】

*1 7%ニッケル鋼、9%ニッケル鋼を冷間加工した場合、次式によって算出したひ

ずみが3%を超えるときには以下に述べる条件のもとに熱処理を行うこと 1)。

0

165

R

R

R

f

f

-=

ここに、

ε :ひずみ(%)

t :板厚(mm)

R0:加工前の曲率半径(mm) (平板の場合は無限大)

Rf :最終曲げ半径(mm)

(a) 局部的な熱処理は行わないこと。

パブコメ用ドラフト

- 120 -

5-1-3

第5章 -3-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(b) 熱処理温度は550~585℃とし、保持時間は1h/25mmとすること。

(c) 315℃までの冷却速度は170℃/h以上とすること。

<参考文献>

1) API: ”Low-pressure Storage Tanks for Liquefied Hydrocarbon Gases”,

App.Q, API620,(2010)

5.2.3 組 立

(1) 組立にあたっては、適切なルート間隔を保持するとともに、継手面の食違い等に留意し、

溶接に対して支障をきたさないようにすること。

(2) 組立にあたっては、溶接後の変形が過大にならないように、あらかじめ必要な処置をする

こと。

(3) 側板の組立にあたっては、水平度、真円度、垂直度等に留意して施工すること。

(4) 側板とアニュラプレートとの組立にあたっては、ジグ等を用いて正しく位置決めを行い、

仮付けその他の方法で固定すること。また、溶接によってアニュラプレートに過度の変形や

ひずみが生じないように、必要な処置をすること。

(5) ノズル等の付属品の組立にあたっては、フランジのガスケット当り面の損傷、ガスケット

の片寄り、フランジの片締め等*(1)を生じないように施工すること。

(6) 材料の保管は変形、損傷等を生じないように適切な場所及び方法により行うこと。

(7) 組立中の作業の安全性について十分考慮し、必要な処置をすること。

【解 説】

*(1) フランジの締付けにあたっては、トルクレンチ等の適切な工具を使用すること。

5.2.4 溶 接

(1) 溶接設計

(a) 継手形式

(ⅰ)側板と側板との溶接継手(側板とナックルプレート及びナックルプレートとナックル

プレートとの溶接継手を含む。)

(イ) 側板と側板との溶接継手は、突合せ両側溶接又はこれと同等以上と見なされる突

合せ片側溶接*(1)とすること。

(ロ) 縦継手と水平継手の交点相互間の間隔は、相接する板のうち厚い方の板の厚さの

(b) 熱処理温度は550~585℃とし、保持時間は1h/25mmとすること。

(c) 315℃までの冷却速度は170℃/h以上とすること。

<参考文献>

1) API: 「Low-pressure Storage Tanks for Liquefied Hydrocarbon Gases」、

App.Q、 API620、(2013)

*2 7%ニッケル鋼の熱処理は、9%ニッケル鋼と同じ条件でよいことが確認されて

いるため、9%ニッケル鋼と同じ熱処理条件を採用している1)。

<参考文献>

1) 新日鐵住金㈱の提供データ

5.2.3 組 立

(1) 組立にあたっては、適切なルート間隔を保持するとともに、継手面の食違い等に留意

し、溶接に対して支障をきたさないようにすること。

(2) 組立にあたっては、溶接後の変形が過大にならないように、あらかじめ必要な処置を

すること。

(3) 側板の組立にあたっては、水平度、真円度、垂直度等に留意して施工すること。

(4) 側板とアニュラプレートとの組立にあたっては、ジグ等を用いて正しく位置決めを行

い、仮付けその他の方法で固定すること。また、溶接によってアニュラプレートに過度

の変形やひずみが生じないように、必要な処置をすること。

(5) ノズル等の付属品の組立にあたっては、フランジのガスケット当り面の損傷、ガスケ

ットの片寄り、フランジの片締め等*1を生じないように施工すること。

(6) 材料の保管は変形、損傷等を生じないように適切な場所及び方法により行うこと。

(7) 組立中の作業の安全性について十分考慮し、必要な処置をすること。

【解 説】

*1 フランジの締付けにあたっては、トルクレンチ等の適切な工具を使用すること。

5.2.4 溶 接

(1) 溶接設計

(a) 継手形式

(ⅰ)側板と側板との溶接継手(側板とナックルプレート及びナックルプレートとナッ

クルプレートとの溶接継手を含む。)

(イ) 側板と側板との溶接継手は、突合せ両側溶接又はこれと同等以上と見なされる

突合せ片側溶接*1とすること。

(ロ) 縦継手と水平継手の交点相互間の間隔は、相接する板のうち厚い方の板の厚さ

パブコメ用ドラフト

- 121 -

5-1-4

第5章 -4-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

5倍以上離すこと*(2)*(3)。

(ⅱ)側板とアニュラプレートとの溶接継手

(イ) 側板とアニュラプレートとの溶接継手は、完全溶込み溶接とすること。ただし、側

板の厚さが27mmを超えるものであって、次の各号に適合する場合は、部分溶込み溶接

とすることができる。

① 側板の両面における開先深さの和は、側板の公称呼び厚さの 60%以上とす

ること *(4)。

② 非溶着部に対し、漏えい試験用の穴及び溝を設けること*(5)。

(ロ) 内側の溶接ビード止端部は滑らかな形状にすること*(6)。

(ハ) 側板最下段の縦継手とアニュラプレート相互の継手との間隔は、300mm以上とする

こと*(7)。(図5-1参照。)

図5-1 側板縦継手とアニュラプレート相互の継手との間隔

(ⅲ)アニュラプレートと底板との溶接継手

(イ) アニュラプレートと底板との溶接継手は、突合せ溶接*(8)又は片側すみ肉重ね溶接*(9)

とすること。

この場合において、片側すみ肉重ね溶接とするときは、板の重ね部の長さは60mm以

上とし、2層以上の全厚すみ肉溶接とすること*(10)。

(ロ) アニュラプレート相互の継手と底板相互の継手との間隔は、300mm以上とすること

*(10)。(図5-2参照。)

図5-2 アニュラプレート相互の継手と底板相互の継手との間隔

(ⅳ)底板と底板との溶接継手

(イ) 底板と底板との溶接継手は、突合せ溶接*(8)又は片側すみ肉重ね溶接*(9)とすること。

の5倍以上離すこと*2*3。

(ⅱ)側板とアニュラプレートとの溶接継手

(イ) 側板とアニュラプレートとの溶接継手は、完全溶込み溶接とすること。ただし、

側板の厚さが27mmを超えるものであって、次の各号に適合する場合は、部分溶込

み溶接とすることができる。

① 側板の両面における開先深さの和は、側板の公称呼び厚さの 60%以上と

すること *4。

② 非溶着部に対し、漏えい試験用の穴及び溝を設けること*5。

(ロ) 内側の溶接ビード止端部は滑らかな形状にすること*6。

(ハ) 側板最下段の縦継手とアニュラプレート相互の継手との間隔は、300mm以上と

すること*7。(図5-1参照。)

図5-1 側板縦継手とアニュラプレート相互の継手との間隔

(ⅲ)アニュラプレートと底板との溶接継手

(イ) アニュラプレートと底板との溶接継手は、突合せ溶接*8又は片側すみ肉重ね溶接*

9とすること。

この場合において、片側すみ肉重ね溶接とするときは、板の重ね部の長さは

60mm以上とし、2層以上の全厚すみ肉溶接とすること*10。

(ロ) アニュラプレート相互の継手と底板相互の継手との間隔は、300mm以上とするこ

と*10。(図5-2参照。)

図5-2 アニュラプレート相互の継手と底板相互の継手との間隔

(ⅳ)底板と底板との溶接継手

(イ) 底板と底板との溶接継手は、突合せ溶接*8又は片側すみ肉重ね溶接*9とするこ

パブコメ用ドラフト

- 122 -

5-1-5

第5章 -5-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

この場合において、片側すみ肉重ね溶接とするときは、板の重ね部の長さは板厚(厚

さが異なる場合は薄い方)の5倍以上とし、2層以上の全厚すみ肉溶接とすること

*(10)。

(ロ) 底板と底板との継手の交点相互間の間隔は、300mm以上とすること*(10)。(図5-3参

照。)

図5-3 底板相互の継手の交点相互間の間隔

(ハ) 底板と底板との重ね継手における3枚重ね部分の組立は図5-4のいずれかによるこ

と*(11)*(12)。

図5-4 3枚重ね部分の組立

と。

この場合において、片側すみ肉重ね溶接とするときは、板の重ね部の長さは板

厚(厚さが異なる場合は薄い方)の5倍以上とし、2層以上の全厚すみ肉溶接と

すること*10。

(ロ) 底板と底板との継手の交点相互間の間隔は、300mm以上とすること*10。(図5-

3参照。)

図5-3 底板相互の継手の交点相互間の間隔

(ハ) 底板と底板との重ね継手における3枚重ね部分の組立は図5-4のいずれか

によること*11*12。

図5-4 3枚重ね部分の組立

〔備 考〕

[1]覆板Cのすみ肉溶接をする前に、板A

と板Bのすみ肉溶接は板Cに覆われる

箇所まで適宜延長する。

[2]このすみ部には丸みをつける。

〔備 考〕

[1]覆板Cのすみ肉溶接をする前に、板A

と板Bのすみ肉溶接は板Cに覆われる

箇所まで適宜延長する。

[2]このすみ部には丸みをつける。

パブコメ用ドラフト

- 123 -

5-1-6

第5章 -6-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(ⅴ)アニュラプレートとアニュラプレートとの溶接継手

アニュラプレートとアニュラプレートとの溶接継手は、突合せ両側溶接又はこれと同

等以上とみなされる突合せ片側溶接*(1)とすること。

(ⅵ)屋根板と屋根板との溶接継手

屋板骨支持型屋根の場合の屋根板と屋根板との溶接継手は、突合せ溶接 *(8)又は片側

すみ肉重ね溶接とすること。この場合において、片側すみ肉重ね溶接とするときは、板

の重ね部の長さは板厚(厚さが異なる場合は薄い方)の5倍以上、最小25mmとすること。

なお、屋根板における3枚重ね部分の組立は、(ⅳ)(ハ)によること*(11)*(12)。

自己支持型屋根の場合の屋根板と屋根板との溶接継手は突合せ溶接*(8)とすること。

(ⅶ)屋根板とナックルプレートとの溶接継手

屋根板とナックルプレートとの溶接継手は、両側すみ肉重ね溶接*(13)又はこれと同等

以上とみなされる溶接とすること。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)

解釈例第57条(溶接部の継手の形式)第4項

解釈例別添第30条(溶接部の継手の形式)第3項

【解 説】

*(1) 同等以上とみなされる突合せ片側溶接継手とは、次のものをいう1)2)。

(a) 裏当てを用いる方法その他により十分な溶込みが得られた裏側の滑らかな突

合せ片側溶接継手。

(b) 裏当てを用いて溶接した後、これを除去し、面一に仕上げた突合せ片側溶接継

手。

<参考文献>

1) JIS: ”圧力容器の構造-一般事項”,JIS B 8265,(2010)

2) JIS: ”圧力容器の設計”,JIS B 8267,(2008)

*(2) 縦継手と水平継手の交点間の間隔は、JIS B 8501(1995)「鋼製石油貯槽の構造

(全溶接製)」(以下、JIS B 8501(1995)と略す。)によるものである。

*(3) アルミニウム合金の場合はこの限りでない1)。

<参考文献>

1) JIS: ”アルミニウム製貯槽の構造”,JIS B 8502,(1986)

*(4) 部分溶込み溶接の開先形状例を解図5-1に示す。

(ⅴ)アニュラプレートとアニュラプレートとの溶接継手

アニュラプレートとアニュラプレートとの溶接継手は、突合せ両側溶接又はこれ

と同等以上とみなされる突合せ片側溶接*1とすること。

(ⅵ)屋根板と屋根板との溶接継手

屋板骨支持型屋根の場合の屋根板と屋根板との溶接継手は、突合せ溶接*8又は片

側すみ肉重ね溶接とすること。この場合において、片側すみ肉重ね溶接とするとき

は、板の重ね部の長さは板厚(厚さが異なる場合は薄い方)の5倍以上、最小25mm

とすること。なお、屋根板における3枚重ね部分の組立は、(ⅳ)(ハ)によること*11*12。

自己支持型屋根の場合の屋根板と屋根板との溶接継手は突合せ溶接*8とするこ

と。

(ⅶ)屋根板とナックルプレートとの溶接継手

屋根板とナックルプレートとの溶接継手は、両側すみ肉重ね溶接*13又はこれと同

等以上とみなされる溶接とすること。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)

解釈例第57条(溶接部の継手の形式)第4項

解釈例別添第30条(溶接部の継手の形式)第3項

【解 説】

*1 同等以上とみなされる突合せ片側溶接継手とは、次のものをいう1)2)。

(a) 裏当てを用いる方法その他により十分な溶込みが得られた裏側の滑らかな突

合せ片側溶接継手。

(b) 裏当てを用いて溶接した後、これを除去し、面一に仕上げた突合せ片側溶接継

手。

<参考文献>

1) 日本規格協会: 「圧力容器の構造-一般事項」、 JIS B 8265、(2017)

2) 日本規格協会: 「圧力容器の設計」、JIS B 8267、(2015)

*2 縦継手と水平継手の交点間の間隔は、JIS B 8501(2013)「鋼製石油貯槽の構造(全

溶接製)」(以下、JIS B 8501(2013)と略す。)によるものである。

*3 アルミニウム合金の場合はこの限りでない1)。

<参考文献>

1) 日本規格協会: 「アルミニウム製貯槽の構造」、JIS B 8502、(1986)

*4 部分溶込み溶接の開先形状例を解図5-1に示す。

パブコメ用ドラフト

- 124 -

5-1-7

第5章 -7-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

t1≧0.3ts

t2≧t1

α1≧50°

α2≧50°

ℓ1≧t1tanα1

ℓ2≧1.3t2tanα2

解図5-1 部分溶込み溶接の開先形状例

*(5) API 620(2010)「Design and Construction of Large, Welded, Low-pressure

Storage Tanks」によるものである。

*(6) 内側の溶接ビードは、応力集中を緩和するため滑らかな形状にする必要がある。

*(7) 側板縦継手とアニュラプレート相互の継手との間隔は、JIS B 8501(1995)及び

JIS B 8502(1986)「アルミニウム製貯槽の構造」(以下、JIS B 8502(1986)と略す。)

によるものである。

*(8) 突合せ溶接とは、次のものをいう。

(a) 突合せ両側溶接又はこれと同等以上とみなされる突合せ片側溶接。

(b) 裏当て金を使用した突合せ片側溶接で当て金を残すもの。この場合、裏当て金

の継目から溶接継手に割れを生じないように処置をすること。

*(9) 片側すみ肉重ね溶接は、施工性より薄板の場合に限られる。(底板の厚さが、9%

ニッケル鋼にあっては6mm以下、アルミニウム合金にあっては9mm以下の場合が一

般的である。)

*(10)アニュラプレートと底板との溶接継手及び底板相互の溶接継手において、片側す

み肉重ね溶接の場合の重ね部の長さ及び層数の設定、並びに継手の交点相互間の間

隔はJIS B 8501(1995)及びJIS B 8502(1986)によるものである。

*(11)3枚重ね部分の組立方法は、JIS B 8501(1995)及びJIS B 8502(1986)によるもの

である。

*(12)3枚重ね部分の組立にあたっては、次に示す事項に留意して施工すること。

(a) 最上層となる板をせぎり加工する場合は、材料の性質を損なわない方法により

成形すること。

(b) 板が重なる部分は、重ね部に過大なすきまが生じないようにして適切な処置を

してから溶接すること。

(c) 板は局部的な著しいふくらみ、へこみ等がなく、溶接部において有害な角変形

のないこと。

*(13)内側のすみ肉溶接については、屋根骨の部分は溶接できないので、この部分につ

いては外側からの片側すみ肉重ね溶接とすることができる。ただし、この場合にお

t1 ≧ 0.3tS

t2 ≧ t1

α1 ≧ 50°

α2 ≧ 50°

l1 ≧ t1 tanα1

l2 ≧ 1.3t2 tanα2

解図5-1 部分溶込み溶接の開先形状例

*5 API 620(2013)「Design and Construction of Large, Welded, Low-pressure

Storage Tanks」によるものである。

*6 内側の溶接ビードは、応力集中を緩和するため滑らかな形状にする必要がある。

*7 側板縦継手とアニュラプレート相互の継手との間隔は、JIS B 8501(2013)及びJIS

B 8502(1986)「アルミニウム製貯槽の構造」(以下、JIS B 8502(1986)と略す。)に

よるものである。

*8 突合せ溶接とは、次のものをいう。

(a) 突合せ両側溶接又はこれと同等以上とみなされる突合せ片側溶接。

(b) 裏当て金を使用した突合せ片側溶接で当て金を残すもの。この場合、裏当て金

の継目から溶接継手に割れを生じないように処置をすること。

*9 片側すみ肉重ね溶接は、施工性より薄板の場合に限られる。(底板の厚さが、7%

ニッケル鋼、9%ニッケル鋼にあっては6mm以下、アルミニウム合金にあっては9

mm以下の場合が一般的である。)

*10 アニュラプレートと底板との溶接継手及び底板相互の溶接継手において、片側す

み肉重ね溶接の場合の重ね部の長さ及び層数の設定、並びに継手の交点相互間の間

隔はJIS B 8501(2013)及びJIS B 8502(1986)によるものである。

*11 3枚重ね部分の組立方法は、JIS B 8501(2013)及びJIS B 8502(1986)によるもの

である。

*12 3枚重ね部分の組立にあたっては、次に示す事項に留意して施工すること。

(a) 最上層となる板をせぎり加工する場合は、材料の性質を損なわない方法により

成形すること。

(b) 板が重なる部分は、重ね部に過大なすきまが生じないようにして適切な処置を

してから溶接すること。

(c) 板は局部的な著しいふくらみ、へこみ等がなく、溶接部において有害な角変形

のないこと。

*13 内側のすみ肉溶接については、屋根骨の部分は溶接できないので、この部分につ

いては外側からの片側すみ肉重ね溶接とすることができる。ただし、この場合にお

α2 α1

ts

t2 t1 ℓ2 ℓ1

側板

試験溝

アニュラプレート α2 α1

ts

t2 t1 ℓ2 ℓ1

側板

試験溝

アニュラプレート

パブコメ用ドラフト

- 125 -

5-1-8

第5章 -8-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

いては、屋根骨と屋根板を溶接し、両側すみ肉重ね溶接と同等以上の強度を有する

ようにする必要がある。

5.2.4(1)

(b) 突合せ溶接継手端面の食違い

突合せ溶接継手の端面は、溶接施工上及び応力集中防止の観点から、食違いの値に制限

を設けること*(1)。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)

解釈例第66条(突合せ溶接部の継手端面の食違い)

解釈例別添第41条(突合せ溶接部の継手端面の食違い)

【解 説】

*(1) 9%ニッケル鋼については食違いの許容値が安全係数4.0基準と安全係数3.5基

準では異なる。安全係数4.0基準であるJIS B 8265(2010)「圧力容器の構造-一般

事項」(以下、JIS B 8265(2010)と略す。)の規定を解表5-1に、安全係数3.5基準で

あるJIS B 8267(2008)「圧力容器の設計」(以下、JIS B 8267(2008)と略す。)の規

定を解表5-2に示す。周継手については板厚が40mmを超え50mm以下の範囲で、安全

係数3.5基準の許容値の方が安全係数4.0基準の許容値よりも大きくなっている。

解表5-1 安全係数4.0基準における9%ニッケル鋼の突合せ溶接継手端面の食違いの許容値

薄いほうの母材の呼び厚さ t(mm) 長手継手 周継手

t ≦ 50 (最大3.5mm) (最大5.0mm)

50 < t (最大9.0mm) (最大19mm)

いては、屋根骨と屋根板を溶接し、両側すみ肉重ね溶接と同等以上の強度を有する

ようにする必要がある。

5.2.4(1)

(b) 突合せ溶接継手端面の食違い

突合せ溶接継手の端面は、溶接施工上及び応力集中防止の観点から、食違いの値に制限

を設けること*1。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)

解釈例第66条(突合せ溶接部の継手端面の食違い)

解釈例別添第41条(突合せ溶接部の継手端面の食違い)

【解 説】

*1 7%ニッケル鋼、9%ニッケル鋼については食違いの許容値が安全係数4.0基準と

安全係数3.5基準とでは異なる。安全係数4.0基準であるJIS B 8265(2017)「圧力容

器の構造-一般事項」(以下、JIS B 8265(2017)と略す。)の規定を解表5-1に、

安全係数3.5基準であるJIS B 8267(2015)「圧力容器の設計」(以下、 JIS B

8267(2015)と略す。)の規定を解表5-2に示す。周継手については板厚が40mmを

超え50mm以下の範囲で、安全係数3.5基準の許容値の方が安全係数4.0基準の許容値

よりも大きくなっている。

解表5-1 安全係数4.0基準における7%ニッケル鋼、9%ニッケル鋼の

突合せ溶接継手端面の食違いの許容値

薄いほうの母材の呼び厚さ t(mm) 長手継手 周継手

t ≦ 50 𝑡

4(最大3.5mm)

𝑡

4(最大5.0mm)

50 < t 𝑡

16(最大9.0mm)

𝑡

8(最大19mm)

4

t

4

t

8

t16

t

パブコメ用ドラフト

- 126 -

5-1-9

第5章 -9-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解表5-2 安全係数3.5基準における9%ニッケル鋼の突合せ溶接継手端面の食違いの許容値

薄いほうの母材の呼び厚さ t(mm) 長手継手 周継手

t ≦13 (最大2.5mm)

13< t ≦24

2.5mm 24< t ≦38 (最大5.0mm)

38< t (最大6.0mm)

5.2.4(1)

(c) 厚さが異なる部材の突合せ溶接継手

厚さが異なる部材の突合せ溶接継手は、次による*(1)。

(ⅰ)端面の食違いが、薄いほうの母材の呼び厚さの 又は3.5mmのいずれか小さい

値を超える場合には、図5-5によってテーパ部を設ける。テーパを必要とする長さ

は、片側面における厚さの差の3倍以上とする。

(ⅱ)溶接継手の一部又はすべてをテーパの一部とすることができる。

(ⅲ)テーパ部を厚いほうの母材を削って形成する場合、テーパ部の最小厚さは、計算

厚さ以上とする。

解表5-2 安全係数3.5基準における7%ニッケル鋼、9%ニッケル鋼の

突合せ溶接継手端面の食違いの許容値

薄いほうの母材の呼び厚さ t(mm) 長手継手 周継手

t ≦ 13 𝑡

5(最大2.5mm) 𝑡

13 < t ≦ 24

2.5mm 24 < t ≦ 38 𝑡

5(最大5.0mm)

38 < t 𝑡

8(最大6.0mm)

5.2.4(1)

(c) 厚さが異なる部材の突合せ溶接継手

厚さが異なる部材の突合せ溶接継手は、次による*1。

(ⅰ)端面の食違いが、薄いほうの母材の呼び厚さの 1

4 又は3.5mmのいずれか小さい

値を超える場合には、図5-5によってテーパ部を設ける。テーパを必要とする長

さは、片側面における厚さの差の3倍以上とする。

(ⅱ)溶接継手の一部又はすべてをテーパの一部とすることができる。

(ⅲ)テーパ部を厚いほうの母材を削って形成する場合、テーパ部の最小厚さは、計算

厚さ以上とする。

5

t

5

t

5

t

8

t

4

1

パブコメ用ドラフト

- 127 -

5-1-10

第5章 -10-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

〔備 考〕

[1]テーパは、外面又は内面のいずれでもよい。

[2]テーパ部を必要とする長さℓのうちに溶接継手を含めてもよい。

[3]図中の記号の意味は、次による。

ℓ :テーパ部を必要とする長さ(mm) Y:片側面における厚さの差(mm)

ts :部材の呼び厚さ(mm) th :部材の呼び厚さ(mm)

[4]タンジェントラインの位置は、テーパ部の上方としてもよい。

図5-5 厚さが異なる部材の突合せ溶接継手

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)

解釈例第57条(溶接部の継手の形式)第4項

解釈例第67条(厚さが異なる部材の突合せ溶接部)

〔備 考〕

[1]テーパは、外面又は内面のいずれでもよい。

[2]テーパ部を必要とする長さℓのうちに溶接継手を含めてもよい。

[3]図中の記号の意味は、次による。

ℓ :テーパ部を必要とする長さ(mm) Y:片側面における厚さの差(mm)

ts :部材の呼び厚さ(mm) th :部材の呼び厚さ(mm)

[4]タンジェントラインの位置は、テーパ部の上方としてもよい。

図5-5 厚さが異なる部材の突合せ溶接継手

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)

解釈例第57条(溶接部の継手の形式)第4項

解釈例第67条(厚さが異なる部材の突合せ溶接部)

タンジェントライン[4]

タンジェントライン[4]

パブコメ用ドラフト

- 128 -

5-1-11

第5章 -11-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解釈例別添第30条(溶接部の継手の形式)第3項

解釈例別添第42条(厚さが異なる部材の突合せ溶接継手)

【解 説】

*(1) 厚さの異なる板の突合せ溶接継手はJIS B 8265(2010)及びJIS B 8267(2008)に

準じるものである。

5.2.4(1)

(d) 溶接継手効率*(1)

溶接継手効率は、継手の種類及び放射線透過試験の区分によって決めること。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)

解釈例第57条(溶接部の継手の形式)第4項

解釈例別添第30条(溶接部の継手の形式)第3項

解釈例別添第31条(溶接継手効率)

【解 説】

*(1) 安全係数4.0基準であるJIS B 8265(2010)の溶接継手効率を解表5-3に、安全係数

3.5基準であるJIS B 8267(2008)の溶接継手効率を解表5-4に示す。安全係数3.5基

準の場合はスポット放射線透過試験を行った場合の溶接継手効率が規定されてい

る。

解表5-3 安全係数4.0基準における溶接継手効率

継手の形式 放射線透過試験の割合

100% 20% なし

B-1継手 完全溶込みの突合せ両側溶接継手、又はこれと同等以上と

みなされる突合せ片側溶接手 1.00 0.95 0.70

B-2継手

裏当てを用いる突合せ片側溶接継手で、裏当てを残す継手。

この場合、裏当ては連続したもので、切れ目は突合せ溶接

したものとする。

0.90 0.85 0.65

B-3継手 B-1継手、B-2継手以外の裏当てを用いない突合せ片側溶接

継手 - - 0.60

L-1継手 両側全厚すみ肉重ね溶接継手 - - 0.55

L-2継手 プラグ溶接を行う片側全厚すみ肉重ね溶接継手 - - 0.50

L-3継手 プラグ溶接を行わない片側全厚すみ肉重ね溶接継手 - - 0.45

解釈例別添第30条(溶接部の継手の形式)第3項

解釈例別添第42条(厚さが異なる部材の突合せ溶接継手)

【解 説】

*1 厚さの異なる板の突合せ溶接継手はJIS B 8265(2017)及びJIS B 8267(2015)に準

じるものである。

5.2.4(1)

(d) 溶接継手効率*1

溶接継手効率は、継手の種類及び放射線透過試験の区分によって決めること。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)

解釈例第57条(溶接部の継手の形式)第4項

解釈例別添第30条(溶接部の継手の形式)第3項

解釈例別添第31条(溶接継手効率)

【解 説】

*1 安全係数4.0基準であるJIS B 8265(2017)の溶接継手効率を解表5-3に、安全係

数3.5基準であるJIS B 8267(2015)の溶接継手効率を解表5-4に示す。安全係数

3.5基準の場合はスポット放射線透過試験を行った場合の溶接継手効率が規定され

ている。

解表5-3 安全係数4.0基準における溶接継手効率

継手の形式 放射線透過試験の割合

100% 20% なし

B-1継手 完全溶込みの突合せ両側溶接継手、又はこれと同等以上と

みなされる突合せ片側溶接手 1.00 0.95 0.70

B-2継手

裏当てを用いる突合せ片側溶接継手で、裏当てを残す継手。

この場合、裏当ては連続したもので、切れ目は突合せ溶接

したものとする。

0.90 0.85 0.65

B-3継手 B-1継手、B-2継手以外の裏当てを用いない突合せ片側溶接

継手 - - 0.60

L-1継手 両側全厚すみ肉重ね溶接継手 - - 0.55

L-2継手 プラグ溶接を行う片側全厚すみ肉重ね溶接継手 - - 0.50

L-3継手 プラグ溶接を行わない片側全厚すみ肉重ね溶接継手 - - 0.45

パブコメ用ドラフト

- 129 -

5-1-12

第5章 -12-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解表5-4 安全係数3.5基準における溶接継手効率

継手の形式 放射線透過試験の割合

100% 20% スポット なし

B-1継手 完全溶込みの突合せ両側溶接継手、又はこれと同等以上と

みなされる突合せ片側溶接手 1.00 0.95 0.85 0.70

B-2継手

裏当てを用いる突合せ片側溶接継手で、裏当てを残す継手。

この場合、裏当ては連続したもので、切れ目は突合せ溶接

したものとする。

0.90 0.85 0.80 0.65

B-3継手 B-1継手、B-2継手以外の裏当てを用いない突合せ片側溶接

継手 - - - 0.60

L-1継手 両側全厚すみ肉重ね溶接継手 - - - 0.55

L-2継手 プラグ溶接を行う片側全厚すみ肉重ね溶接継手 - - - 0.50

L-3継手 プラグ溶接を行わない片側全厚すみ肉重ね溶接継手 - - - 0.45

5.2.4(1)

(e) 管台、強め材等の溶接*(1)

(ⅰ)管台、強め材その他これに類するものを取付ける場合の溶接は、図5-6~5-9又はこれ

と同等以上の強度を有するものとすること。

(ⅱ)補強当て板の強度の計算に用いる突合せ又はすみ肉溶接の許容応力は、母材の許容引

張応力に表5-1の係数を乗じたものとすること。

表5-1 許容引張応力に乗じる係数

突合せ溶接 すみ肉溶接

引張り せん断 せん断

0.74 0.60 0.49

解表5-4 安全係数3.5基準における溶接継手効率

継手の形式 放射線透過試験の割合

100% 20% スポット なし

B-1継手 完全溶込みの突合せ両側溶接継手、又はこれと同等以上と

みなされる突合せ片側溶接手 1.00 0.95 0.85 0.70

B-2継手

裏当てを用いる突合せ片側溶接継手で、裏当てを残す継手。

この場合、裏当ては連続したもので、切れ目は突合せ溶接

したものとする。

0.90 0.85 0.80 0.65

B-3継手 B-1継手、B-2継手以外の裏当てを用いない突合せ片側溶接

継手 - - - 0.60

L-1継手 両側全厚すみ肉重ね溶接継手 - - - 0.55

L-2継手 プラグ溶接を行う片側全厚すみ肉重ね溶接継手 - - - 0.50

L-3継手 プラグ溶接を行わない片側全厚すみ肉重ね溶接継手 - - - 0.45

5.2.4(1)

(e) ノズル、強め材等の溶接*1

(ⅰ)ノズル、強め材その他これに類するものを取付ける場合の溶接は、図5-6~5-9

又はこれと同等以上の強度を有するものとすること。

(ⅱ)補強当て板*2やリブの溶接は、図5-10又はこれと同等以上の強度を有するものとす

ること。

(ⅲ)補強当て板の強度の計算に用いる突合せ又はすみ肉溶接の許容応力は、母材の許容引

張応力に表5-1の係数を乗じたものとすること。

表5-1 許容引張応力に乗じる係数

突合せ溶接 すみ肉溶接

引張り せん断 せん断

0.74 0.60 0.49

パブコメ用ドラフト

- 130 -

5-1-13

第5章 -13-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

〔備 考〕

[1]単位 mm

[2]図中の記号の意味は、次による。

t :部材の呼び厚さ(mm)

tn:ノズルネックの呼び厚さ(mm)

tm:すみ肉、片面V形又はJ形開先で溶接される部材の薄いほうの厚さ、又は19mmのいずれ

か小さい値

r1:0.25t又は19mmのいずれか小さい値以上

r2:19mm以上

図5-6 突合せ溶接によるノズルなどの取付け

〔備 考〕

[1]図中の記号の意味は、次による。

t :部材の呼び厚さ(mm)

tn:ノズルの呼び厚さ(mm)

r1:0.25t又は19mmのいずれか小さい値以上(mm)

r2:19mm以上

図5-6 突合せ溶接によるノズルなどの取付け

(d) (e)

(c)

(a) (b-1) (b-2)

(d) (e)

(c)

(a) (b-1) (b-2)

パブコメ用ドラフト

- 131 -

5-1-14

第5章 -14-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(a) (b) (c)

(d-1) (d-2) (e-1)

(e-2) (f) (g)

〔備 考〕

[1]図中の記号の意味は、次による。

t :部材の呼び厚さ(mm)

tn :ノズルなどの呼び厚さ(mm)

tc:すみ肉溶接ののど厚(mm)で、6mm又は0.7tnのいずれか小さい値以上

r1: t≦r1≦ t

r2:19mm以上

r4:6mm以上

[2]注a):裏当てを残してもよい。

図5-7 完全溶け込み溶接によるノズルなどの取付け

(a) (b) (c)

(d-1) (d-2) (e-1)

(e-2) (f) (g)

〔備 考〕

[1]図中の記号の意味は、次による。

t :部材の呼び厚さ(mm)

tc:すみ肉溶接ののど厚で、6mm又は0.7tmのいずれか小さい値以上(mm)

tm:溶接する部材の薄いほうの厚さ又は19mmのいずれか小さい値(mm)

tn :ノズルなどの呼び厚さ(mm)

r1:7%ニッケル鋼及び9%ニッケル鋼の場合は、1

8𝑡から

2𝑡(mm)

r2:7%ニッケル鋼及び9%ニッケル鋼の場合は、19mm以上

r3:7%ニッケル鋼及び9%ニッケル鋼の場合は、1

8𝑡𝑛から

2𝑡𝑛 (mm)

r4:7%ニッケル鋼及び9%ニッケル鋼の場合は、6mm以上

図5-7 完全溶け込み溶接によるノズルなどの取付け

8

1

2

1

a)

a)

a) パブコメ用ドラフト

- 132 -

5-1-15

第5章 -15-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

〔備 考〕

[1]図中の記号の意味は、次による。

t :部材の呼び厚さ(mm)

tn:ノズルなどの呼び厚さ(mm)

te:強め材の呼び厚さ(mm)

t1、tc、tw:すみ肉溶接ののど厚(mm)

[2]t1:0.5tm

tc:6mm又は0.7tmの小さい値以上

tm:すみ肉、レ形開先又は片面J形開先で溶接される部材の薄いほうの厚さ、又は19mmのい

ずれか小さい値

[3]注a):裏当てを使用した場合は、溶接後除去しなくてもよい。

図5-8 完全溶け込み溶接とすみ肉溶接を併用した強め材付ノズルなどの取付け

〔備 考〕

[1]図中の記号の意味は、次による。

t :部材の呼び厚さ(mm)

t1:すみ肉溶接ののど厚で、0.5tm以上(mm)

tc:すみ肉溶接ののど厚で、6mm又は0.7tmのいずれか小さい値以上(mm)

te:強め材の呼び厚さ(mm)

tm:溶接される部材の薄い方の厚さ又は19mmのいずれか小さい値(mm)

tn:ノズルなどの呼び厚さ(mm)

tw:すみ肉溶接ののど厚又は図に示す寸法で、0.7tm以上(mm)

図5-8 完全溶け込み溶接とすみ肉溶接を併用した強め材付ノズルなどの取付け

(a) (b)

(c) (d)

(e) (f) (g)

(a) (b)

(c) (d)

(e) (f) (g)

(a) (a) (b) (b)

(c) (d)

(e) (f) (g)

パブコメ用ドラフト

- 133 -

5-1-16

第5章 -16-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

〔備 考〕

[1]図中の記号の意味は、次による。

t :部材の呼び厚さ(mm)

tc:すみ肉溶接ののど厚(mm)

[2]tc:6mm又は0.7tmの小さい値以上

tm:すみ肉、レ形開先又は片面J形開先で溶接される部材の薄い方の厚さ、又は19mmの小さい

図5-9 内ねじ付管継手の取付け

〔備 考〕

[1]図中の記号の意味は、次による。

t :部材の呼び厚さ(mm)

tc:すみ肉溶接ののど厚(mm)

[2]tc:6mm又は0.7tmのいずれか小さい値以上(mm)

tm:溶接される部材の薄い方の厚さ又は19mmのいずれか小さい値(mm)

図5-9 内ねじ付管継手の取付け

パブコメ用ドラフト

- 134 -

5-1-17

第5章 -17-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(a-1) (a-2) (a-3)

(a) 補強当て板やリブの溶接継手

(b-1) (b-2)

(b-3) (b-4)

(b) (a-1) 及び(a-2)の断面A-A

(c) (a-3)の断面B-B

〔備 考〕

[1]図中の記号の意味は、次による。

a :すみ肉溶接の脚長(mm)

b :開先溶接の開先深さ(mm)

t :部材の呼び厚さ(mm)

図5-10 すみ肉溶接による補強当て板やリブの取付け

パブコメ用ドラフト

- 135 -

5-1-18

第5章 -18-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)

解釈例第57条(溶接部の継手の形式)第4項

解釈例別添第30条(溶接部の継手の形式)第3項

【解 説】

*(1) 管台、強め材等の溶接はJIS B 8265(2010)、JIS B 8267(2008)及び高圧ガス保安

法「特定設備検査規則関係例示基準 別添二 平底円筒形貯槽の技術基準の解釈」

に準じるものである。

5.2.4

(2) 溶接施工

(a) 溶接は溶接施工法確認試験で確認した施工方法によって行うこと。

(b) 溶接施工にあたっては、十分な知識と経験を有する溶接技術者*(1)によって管理するこ

と。

(c) 手溶接に従事する溶接士は十分な技能を有し、資格のある溶接士であること。

(d) 自動溶接作業に従事する者は、それぞれの溶接作業及び溶接装置の操作に十分な知識

と経験をもつ者であること。

(e) 溶接箇所はさび、油脂分等を除去し、また、乾燥した状態とすること。多層溶接の場合

はパスごとにスラグその他をよく清掃してから次のパスを置くこと。

(f) 仮付け溶接は本溶接と同等の方法で行うこと。また、ジグ等の取付け溶接は母材に欠陥

その他の有害な影響を与えないような取付け位置及び溶接方法で行うこと。なお、本体に

溶接したジグ等を取除く場合には、母材を傷つけないように除去し、平滑に仕上げること。

(g) 溶接継手はその材質、板厚、気温等により必要に応じて予熱を行うこと。ただし、予熱

は溶接施工法確認試験で確認された範囲で行うこと。

(h) 突合せ両側溶接を行う場合は、一方の側から溶接を行い、次に他方の側から溶接を行う

前に開先底部の欠陥を完全に除去すること。ただし、自動溶接等により溶込みが深い溶接

方法を用いるときで溶接施工法確認試験で確認された場合は、裏はつりを省略することが

できる。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)

解釈例第57条(溶接部の継手の形式)第4項、第5項

解釈例別添第30条(溶接部の継手の形式)第3項、第4項

【解 説】

*1 ノズル、強め材等の溶接はJIS B 8265(2017)、JIS B 8267(2015)及び高圧ガス保

安法「特定設備検査規則関係例示基準 別添二 平底円筒形貯槽の技術基準の解

釈」に準じるものである。

*2 補強当て板とは、ポンプバレル架構や内部昇降階段の内槽取付け部をいう。なお、

内槽アンカーの上端取付け部は第4章「内槽及び外槽の構造及び設計」4.5.1.6「内

槽アンカー」により適切な継手形式とすること。

5.2.4

(2) 溶接施工

(a) 溶接は溶接施工法確認試験で確認した施工方法によって行うこと*1。

(b) 溶接施工にあたっては、十分な知識と経験を有する溶接技術者*2によって管理する

こと。

(c) 手溶接に従事する溶接士は十分な技能を有し、資格のある溶接士であること*3。

(d) 自動溶接作業に従事する者は、それぞれの溶接作業及び溶接装置の操作に十分な知

識と経験をもつ者であること*3。

(e) 溶接箇所はさび、油脂分等を除去し、また、乾燥した状態とすること。多層溶接の

場合はパスごとにスラグその他をよく清掃してから次のパスを置くこと。

(f) 仮付け溶接*4は本溶接と同等の方法で行うこと。また、ジグ等の取付け溶接は母材

に欠陥その他の有害な影響を与えないような取付け位置及び溶接方法で行うこと。な

お、本体に溶接したジグ等を取除く場合には、母材を傷つけないように除去し、平滑

に仕上げること。

(g) 溶接継手はその材質、板厚、気温等により必要に応じて予熱を行うこと。ただし、

予熱は溶接施工法確認試験で確認された範囲で行うこと。

(h) 突合せ両側溶接を行う場合は、一方の側から溶接を行い、次に他方の側から溶接を

行う前に開先底部の欠陥を完全に除去すること。ただし、自動溶接等により溶込みが

深い溶接方法を用いるときで溶接施工法確認試験で確認された場合は、裏はつりを省

略することができる。

パブコメ用ドラフト

- 136 -

5-1-19

第5章 -19-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(i) 溶接にあたっては、適切な溶接条件により施工すること*(2)。

(j) 被覆アーク溶接棒、フラックス等は、吸湿又は変質しないように保管に注意し、使用す

る前には適切な温度で十分に乾燥しておくこと。なお、保管中に溶接棒にさびを生じたり、

フラックスが吸湿したり変質しているものは、使用しないこと。

(k) 溶接変形をできるだけ小さくするようにジグ及び溶接順序を考慮すること。

(l) 溶接にあたっては、風、雨、雪、湿度等天候条件に留意し、必要な場合は適当な防護処

置をすること。

(m) 溶接継手は、溶込みが十分であり、溶接による割れ等で有害なきずがないこと。なお、

ジグ跡についても同様とする。

(n) B-1及びB-2継手の非破壊試験を実施する箇所においては、溶接開先が完全に溶接金属で

埋められて、突合せ溶接の溶接金属の表面が隣接する母材の表面より低くならないよう

に、溶接継手に余盛を付けることができる。余盛の高さ及び仕上げは、次によること*(3)。

(ⅰ)余盛高さは、表5-2に示す値以下とすること。

(ⅱ)溶接継手の止端は、母材の表面と段が付かないように滑らかに仕上げること。

表5-2 余盛の高さ

アルミニウム及びアルミニウム合金以外 アルミニウム及びアルミニウム合金

母材の呼び厚さ 余盛の高さ 母材の呼び厚さ 余盛の高さ

12mm以下 1.5 mm 6mm以下 2.0 mm

12mmを超え25mm以下 2.5 mm 6mmを超え15mm以下 3.5 mm

25mmを超え50mm以下 3.0 mm 15mmを超え25mm以下 5.0 mm

50mmを超え100mm以下 4.0 mm 25mmを超えるもの 7.0 mm

100mmを超えるもの 5.0 mm ― ―

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)

解釈例第52条(溶接一般)第1項、第3項、第4項

解釈例第54条(溶接施工法)

解釈例第55条(溶接士技能)

解釈例第70条(余盛の高さ及び仕上げ)

解釈例別添第27条(溶接一般)

解釈例別添第28条(溶接施工法)

解釈例別添第29条(溶接方法の制限)

解釈例別添第47条(余盛の高さ及び仕上げ)

【解 説】

(i) 溶接にあたっては、適切な溶接条件により施工すること*5。

(j) 被覆アーク溶接棒、フラックス等は、吸湿又は変質しないように保管に注意し、使

用する前には適切な温度で十分に乾燥しておくこと。なお、保管中に溶接棒にさびを

生じたり、フラックスが吸湿したり変質しているものは、使用しないこと。

(k) 溶接変形をできるだけ小さくするようにジグ及び溶接順序を考慮すること。

(l) 溶接にあたっては、風、雨、雪、湿度等天候条件に留意し、必要な場合は適当な防

護処置をすること。

(m) 溶接継手は、溶込みが十分であり、溶接による割れ等の有害なきずがないこと。な

お、ジグ跡についても同様とする。

(n) B-1及びB-2継手の非破壊試験を実施する箇所においては、溶接開先が完全に溶接金

属で埋められて、突合せ溶接の溶接金属の表面が隣接する母材の表面より低くならな

いように、溶接継手に余盛を付けることができる。余盛の高さ及び仕上げは、次によ

ること*6。

(ⅰ)余盛高さは、表5-2に示す値以下とすること。

(ⅱ)溶接継手の止端は、母材の表面と段が付かないように滑らかに仕上げること。

表5-2 余盛の高さ

アルミニウム及びアルミニウム合金以外 アルミニウム及びアルミニウム合金

母材の呼び厚さ 余盛の高さ 母材の呼び厚さ 余盛の高さ

12mm以下 1.5 mm 6mm以下 2.0 mm

12mmを超え25mm以下 2.5 mm 6mmを超え15mm以下 3.5 mm

25mmを超え50mm以下 3.0 mm 15mmを超え25mm以下 5.0 mm

50mmを超え100mm以下 4.0 mm 25mmを超えるもの 7.0 mm

100mmを超えるもの 5.0 mm ― ―

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)

解釈例第52条(溶接一般)第1項、第3項、第4項

解釈例第54条(溶接施工法)

解釈例第55条(溶接士技能)

解釈例第70条(余盛の高さ及び仕上げ)第一号

解釈例別添第27条(溶接一般)

解釈例別添第28条(溶接施工法)

解釈例別添第29条(溶接方法の制限)

解釈例別添第47条(余盛の高さ及び仕上げ)第二号

【解 説】

*1 溶接施工法確認試験は、適用法規によること。

パブコメ用ドラフト

- 137 -

5-1-20

第5章 -20-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

*(1) 溶接技術者に関する資格の一例を次に示す。

(a) 日本溶接協会規格 WES 8103(2008)「溶接管理技術者認証基準」

(b) 軽金属溶接構造協会規格 LWS A 7601(2000)「アルミニウム合金構造物の溶接

施工管理技術者資格認定規定」

*(2) 溶接にあたっては材質、溶接方法等に応じて適正な溶接電流、アーク電圧、溶接

入熱量、予熱温度、層間温度等の溶接条件に留意して施工すること。

*(3) 非破壊試験を実施する突合せ溶接継手の余盛の高さの規定は、JIS B 8265(2010)

によるものである。

5.2.4

(3) 溶接後熱処理

溶接継手は以下に示すものを除いて溶接後熱処理を行うこと*(1)。

(a) オーステナイト系ステンレス鋼で作られたもの。

(b) 非鉄金属材料で作られたもの。

(c) 9%ニッケル鋼で作られたもの。

(d) 溶接後熱処理ができないものであって予熱その他溶接部の残留応力の低下に有効と認

められる方法で溶接したもの。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)

解釈例第71条(溶接後熱処理)第3項

解釈例別添第48条(溶接後熱処理)第3項

【解 説】

*(1) 溶接後熱処理の方法は、JIS B 8265(2010)及びJIS B 8267(2008)によるものとす

る。

5.2.5 塗 装

貯槽の施工中の環境等を考慮して、必要に応じて塗装を行うこと。

*2 溶接技術者に関する資格の一例を次に示す。

(a) 日本溶接協会規格 WES 8103(2016)「溶接管理技術者認証基準」

(b) 軽金属溶接構造協会規格 LWS A 7601(2000)「アルミニウム合金構造物の溶接

施工管理技術者資格認定規定」

*3 溶接士技能の確認は、適用法規によること。

*4 仮付け溶接のような短いビードは欠陥を含み易く、また溶接熱影響部の冷却速度

が大きいので硬化割れの原因となる。したがって、仮付け溶接は一般に長い方が望

ましい。特に高張力鋼の場合は注意する必要がある。

*5 溶接にあたっては材質、溶接方法等に応じて適正な溶接電流、アーク電圧、溶接

入熱量、予熱温度、層間温度等の溶接条件に留意して施工すること。

*6 非破壊試験を実施する突合せ溶接継手の余盛の高さの規定は、JIS B 8265(2010)

によるものである。

5.2.4

(3) 溶接後熱処理

溶接継手は以下に示すものを除いて溶接後熱処理を行うこと*1。

(a) オーステナイト系ステンレス鋼で作られたもの。

(b) 非鉄金属材料で作られたもの。

(c) 7%ニッケル鋼、9%ニッケル鋼(厚さが50mmを超えるもの及び胴若しくは鏡板にノズ

ル等を取り付ける溶接部であって、最も厚い材料の厚さが50mmを超えるものを除く。)で

作られたもの。

(d) 溶接後熱処理ができないものであって予熱その他溶接部の残留応力の低下に有効と認

められる方法で溶接したもの。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)

解釈例第71条(溶接後熱処理)第3項

解釈例別添第48条(溶接後熱処理)第3項

【解 説】

*1 溶接後熱処理の方法は、JIS B 8265(2017)及びJIS B 8267(2015)によるものとす

る。

5.2.5 塗 装

貯槽の施工中の環境等を考慮して、必要に応じて塗装を行うこと。

パブコメ用ドラフト

- 138 -

5-1-21

第5章 -21-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

5.3 外 槽

5.3.1 材料の確認

加工に先立ち材料の確認を行うこと。

5.3.2 切断及び成形加工

(1) 材料の切断及び開先加工は、適切な方法により行うこと*(1)。

(2) 切断面はスケールを十分除去し、必要に応じてグラインダ等により平滑に仕上げること。

(3) 材料の成形加工は、適切な方法により所定の形状に成形すること。

【解 説】

*(1) 外槽ライナを切断する場合は、切断ひずみを極力おさえるような処置を講ずるこ

と。

5.3.3 組 立*(1) *(2) *(3)

(1) 組立にあたっては、溶接後の変形が過大とならないように、あらかじめ必要な処置を

すること。

(2) 側板の組立にあたっては、水平度、真円度、垂直度等に留意して施工すること*(4)。

(3) 材料の保管は、変形、損傷等を生じないように、適切な場所及び方法により行うこと。

(4) 組立中の作業の安全性についても十分考慮し、必要な処置をすること。

【解 説】

*(1) 外槽ライナとコンクリートとの間には、適切な止水処置により水の侵入を防止す

ること。

*(2) ライナ付コンクリート製外槽屋根の配管貫通部は、雨水等の浸入が生じないよう

にすること。ライナ付コンクリート製外槽屋根の配管貫通部の構造例を解図5-2に

示す。

5.3 外 槽

5.3.1 材料の確認

加工に先立ち材料の確認を行うこと。

5.3.2 切断及び成形加工

(1) 材料の切断及び開先加工は、適切な方法により行うこと*1。

(2) 切断面はスケールを十分除去し、必要に応じてグラインダ等により平滑に仕上げること。

(3) 材料の成形加工は、適切な方法により所定の形状に成形すること。

【解 説】

*1 外槽ライナを切断する場合は、切断ひずみを極力おさえるような処置を講ずるこ

と。

5.3.3 組 立*1*2*3

(1) 組立にあたっては、溶接後の変形が過大とならないように、あらかじめ必要な処置を

すること。

(2) 側板の組立にあたっては、水平度、真円度、垂直度等に留意して施工すること *4。

(3) 材料の保管は、変形、損傷等を生じないように、適切な場所及び方法により行うこと。

(4) 組立中の作業の安全性についても十分考慮し、必要な処置をすること。

【解 説】

*1 外槽ライナとコンクリートとの間には、適切な止水処置により水の浸入を防止す

ること。

*2 ライナ付コンクリート製外槽屋根の配管貫通部は、雨水等の浸入が生じないよう

にすること。ライナ付コンクリート製外槽屋根の配管貫通部の構造例を解図5-2

に示す。

パブコメ用ドラフト

- 139 -

5-1-22

第5章 -22-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解図5-2 ライナ付コンクリート製外槽屋根の配管貫通部の構造例

*(3) 非金属材料の外槽ライナの施工にあたっては、下地状態及び作業環境等に留意

し、適切な施工方法により行うこと。また、外槽ライナには種々な材料が考えられ

るため、使用する材料ごとに施工方法の確認試験を行うこと。

*(4) 外槽側部ライナの水平度、真円度、垂直度等はコンクリートの施工精度にも影響

される。従って、コンクリートの施工精度にも留意すること。

5.3.4 溶 接

(1) 溶接に従事する溶接士は十分な技能を有し、資格のある溶接士*(1)であること。

(2) 溶接箇所のさび及び油脂分等を除去し、また、乾燥した状態で溶接を行うこと。多層溶接

の場合は、パスごとにスラグその他の異物をよく清掃してから次のパスを置くこと。

(3) 溶接においては、有害な欠陥が生じないように留意して施工すること。

(4) 被覆アーク溶接棒、フラックス等は吸湿又は変質しないよう保管に注意し、必要に応じて

使用する前に適切な温度で乾燥しておくこと。なお、保管中に溶接棒にさびを生じたり、フ

ラックスが吸湿したり変質しているものは、使用しないこと。

(5) 溶接変形をできるだけ小さくするようにジグ及び溶接順序を考慮すること。本体に溶接

したジグ等を取除く場合には、母材を傷つけないように除去すること。

(6) 溶接に際しては風、雨、雪、湿度等の天候条件に留意し、必要な場合には適当な防護処置

をすること。

【解 説】

*(1) 資格のある溶接士とは、JIS Z 3801(1997)「手溶接技術検定における試験方法及

び判定基準」に規定された資格を有する者、又はこれと同等以上の技能を有する者

をいう。

5.3.5 塗 装

塗装は貯槽の設置場所の環境等を考慮し、適切な塗装材料及び塗装方法により行うこと。

5.4 付属設備

5.4.1 ポンプバレル架構

(1) ポンプバレル架構の据付けにあたっては、水平度、垂直度等に留意して施工するこ

と。

(2) ポンプバレル架構の溶接にあたって、有害な欠陥が生じないように留意して施工する

こと。

解図5-2 ライナ付コンクリート製外槽屋根の配管貫通部の構造例

*3 非金属材料の外槽ライナの施工にあたっては、下地状態及び作業環境等に留意し、

適切な施工方法により行うこと。また、外槽ライナには種々な材料が考えられるた

め、使用する材料ごとに施工方法の確認試験を行うこと。

*4 外槽側部ライナの水平度、真円度、垂直度等はコンクリートの施工精度にも影響

される。従って、コンクリートの施工精度にも留意すること。

5.3.4 溶 接

(1) 溶接に従事する溶接士は十分な技能を有し、資格のある溶接士*1であること。

(2) 溶接箇所のさび及び油脂分等を除去し、また、乾燥した状態で溶接を行うこと。多層溶接

の場合は、パスごとにスラグその他の異物をよく清掃してから次のパスを置くこと。

(3) 溶接においては、有害な欠陥が生じないように留意して施工すること。

(4) 被覆アーク溶接棒、フラックス等は吸湿又は変質しないよう保管に注意し、必要に応じて

使用する前に適切な温度で乾燥しておくこと。なお、保管中に溶接棒にさびを生じたり、フ

ラックスが吸湿したり変質しているものは、使用しないこと。

(5) 溶接変形をできるだけ小さくするようにジグ及び溶接順序を考慮すること。本体に溶接

したジグ等を取除く場合には、母材を傷つけないように除去すること。

(6) 溶接に際しては風、雨、雪、湿度等の天候条件に留意し、必要な場合には適当な防護処置

をすること。

【解 説】

*1 資格のある溶接士とは、JIS Z 3801(1997)「手溶接技術検定における試験方法及

び判定基準」に規定された資格を有する者、又はこれと同等以上の技能を有する者

をいう。

5.3.5 塗 装

塗装は貯槽の設置場所の環境等を考慮し、適切な塗装材料及び塗装方法により行うこと。

5.4 付属設備

5.4.1 ポンプバレル架構

(1) ポンプバレル架構の据付けにあたっては、水平度、垂直度等に留意して施工するこ

と。

(2) ポンプバレル架構の溶接にあたって、有害な欠陥が生じないように留意して施工する

こと。

パブコメ用ドラフト

- 140 -

5-1-23

第5章 -23-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(3) ポンプバレルの組立にあたっては、ポンプバレル内部を点検、清掃し、異物、水分、

油脂分等を取除くこと。

(4) ポンプバレルの組立中は、フランジのガスケット当り面を損傷しないように注意する

こと。

(5) ポンプバレルの組立完了後には、ポンプバレル内部のフラッシングを十分に行うこ

と。

5.4.2 配管架構

(1) 配管架構の据付けにあたっては、水平度、垂直度等に留意して施工すること。

(2) 配管架構の溶接にあたっては、有害な欠陥が生じないように留意して施工すること。

5.4.3 ブリージングタンク

ブリージングタンクの製作及び組立は5.3によること。

(3) ポンプバレルの組立にあたっては、ポンプバレル内部を点検、清掃し、異物、水分、

油脂分等を取除くこと。

(4) ポンプバレルの組立中は、フランジのガスケット当り面を損傷しないように注意する

こと。

(5) ポンプバレルの組立完了後には、ポンプバレル内部のフラッシングを十分に行うこ

と。

5.4.2 配管架構

(1) 配管架構の据付けにあたっては、水平度、垂直度等に留意して施工すること。

(2) 配管架構の溶接にあたっては、有害な欠陥が生じないように留意して施工すること。

5.4.3 ブリージングタンク

ブリージングタンクの製作及び組立は5.3「外槽」によること。

パブコメ用ドラフト

- 141 -

6-1-1

第6章 -1-

「第6章 内槽及び外槽の試験及び検査」においての記載内容

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

第6章 内槽及び外槽の試験及び検査

6.1 一 般 ······················································· 147

6.2 内 槽 ······················································· 147

6.2.1 素材検査 ··················································· 147

6.2.2 加工検査 ··················································· 147

6.2.3 溶接施工法確認試験及び溶接士技能確認試験 ···················· 148

6.2.4 溶接検査 ··················································· 149

6.2.5 寸法検査 ··················································· 152

6.2.6 耐圧試験 ··················································· 153

6.2.7 水張試験 ··················································· 154

6.2.8 気密試験 ··················································· 155

6.3 外 槽 ······················································· 156

6.3.1 素材検査 ··················································· 156

6.3.2 加工検査 ··················································· 156

6.3.3 溶接検査 ··················································· 156

6.3.4 寸法検査 ··················································· 156

6.3.5 気密試験 ··················································· 157

6.3.6 塗装検査 ··················································· 158

6.4 付属設備 ······················································· 158

6.4.1 ポンプバレル架構 ··········································· 158

6.4.2 配管架構 ··················································· 158

6.4.3 ブリージングタンク ········································· 158

第6章 内槽及び外槽の試験及び検査

6.1 一 般 ······················································· 147

6.2 内 槽 ······················································· 147

6.2.1 素材検査 ··················································· 147

6.2.2 加工検査 ··················································· 147

6.2.3 溶接施工法確認試験及び溶接士技能確認試験 ··················· 148

6.2.4 溶接検査 ··················································· 149

6.2.5 寸法検査 ··················································· 152

6.2.6 耐圧試験 ··················································· 153

6.2.7 水張試験 ··················································· 154

6.2.8 気密試験 ··················································· 155

6.3 外 槽 ······················································· 156

6.3.1 素材検査 ··················································· 156

6.3.2 加工検査 ··················································· 156

6.3.3 溶接検査 ··················································· 156

6.3.4 寸法検査 ··················································· 156

6.3.5 気密試験 ··················································· 157

6.3.6 塗装検査 ··················································· 158

6.4 付属設備 ······················································· 158

6.4.1 ポンプバレル架構 ··········································· 158

6.4.2 配管架構 ··················································· 158

6.4.3 ブリージングタンク ········································· 158

パブコメ用ドラフト

- 142 -

6-1-2

第6章 -2-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

6.1 一 般

本章では、内槽、外槽及び付属設備の製作時及び組立時に行う試験及び検査について規定す

る*(1)。

【解 説】

*(1) ライナ付コンクリート製外槽屋根のコンクリート部の試験及び検査については

9.7によること。

6.2 内 槽

6.2.1 素材検査*(1)

(1) 材料は、化学成分、機械的性質、寸法等について規格を満足していることをミルシートに

より確認すること。

(2) 材料は外観検査を行い、表面及び端面に有害なきず、ラミネーション等がないことを確認

すること。

(3) 材料は必要に応じて超音波探傷試験を行うこと*(2)。

【解 説】

*(1) 9%ニッケル鋼は帯磁しやすく、磁気が残留しているものがある。この残留磁気

の大きさによっては、溶接したときにアークの磁気吹きを生じ、健全な溶接を阻害

することがあるので、9%ニッケル鋼の取扱いにおいては帯磁させないよう配慮す

ることが必要である。帯磁した場合は必要に応じて脱磁処理を行うこと。

*(2) 側板のうち、耐圧試験時の水位より設計液位までの部分に使用する材料について

行うこと。

超音波探傷試験の方法と判定については以下の基準によること。

(a) JIS G 0801(2008)「圧力容器用鋼板の超音波探傷検査方法」

(b) 日本アルミニウム協会AT2-1979「アルミニウム及びアルミニウム合金板の超音

波探傷検査方法」

6.2.2 加工検査

(1) 外観検査

内槽の各部材は、成形加工完了後、外観検査を行い有害なきずがないことを確認すること。

(2) 寸法検査

内槽の各部材は、成形加工完了後、寸法検査を行い寸法精度について確認すること。

6.1 一 般

本章では、内槽、外槽及び付属設備の製作時及び組立時に行う試験及び検査について規

定する*1。

【解 説】

*1 ライナ付コンクリート製外槽屋根のコンクリート部の試験及び検査については第

9章「防液堤」9.7「試験及び検査」によること。

6.2 内 槽

6.2.1 素材検査*1

(1) 材料は、化学成分、機械的性質、寸法等について規格を満足していることをミルシー

トにより確認すること。

(2) 材料は外観検査を行い、表面及び端面に有害なきず、ラミネーション等がないことを

確認すること。

(3) 材料は必要に応じて超音波探傷試験を行うこと*2。

【解 説】

*1 7%ニッケル鋼、9%ニッケル鋼は帯磁しやすく、磁気が残留しているものがあ

る。この残留磁気の大きさによっては、溶接したときにアークの磁気吹きを生じ、

健全な溶接を阻害することがあるので、7%ニッケル鋼、9%ニッケル鋼の取扱い

においては帯磁させないよう配慮することが必要である。帯磁した場合は必要に応

じて脱磁処理を行うこと。

*2 側板のうち、耐圧試験時の水位より設計液位までの部分に使用する材料について

行うこと。

超音波探傷試験の方法と判定については以下の基準によること。

(a) JIS G 0801(2008)「圧力容器用鋼板の超音波探傷検査方法」

(b) 日本アルミニウム協会AT2-1979「アルミニウム及びアルミニウム合金板の超音

波探傷検査方法」

6.2.2 加工検査

(1) 外観検査

内槽の各部材は、成形加工完了後、外観検査を行い有害なきずがないことを確認する

こと。

(2) 寸法検査

内槽の各部材は、成形加工完了後、寸法検査を行い寸法精度について確認すること。

パブコメ用ドラフト

- 143 -

6-1-3

第6章 -3-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

6.2.3 溶接施工法確認試験及び溶接士技能確認試験

(1) 溶接施工法確認試験*(1) *(2)

適切な機械試験等により、適切な溶接施工方法であることをあらかじめ確認すること。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)第2項

解釈例第52条(溶接一般)第3項

解釈例第54条(溶接施工法)

解釈例別添第27条(溶接一般)第2項

解釈例別添第28条(溶接施工法)

【解 説】

*(1) 溶接施工法確認試験は、適用法規によること。

*(2) 安全係数4.0基準と安全係数3.5基準とでは、溶接施工法確認試験に要求される衝

撃試験の規定が異なる。ガス事業法における9%ニッケル鋼(SL9N590)の例を解表

6-1に示す。

解表6-1 9%ニッケル鋼(SL9N590)における溶接施工法確認試験の衝撃試験の規定

安全係数4.0 安全係数3.51)

試験温度 最低使用温度 最低使用温度

試験片

溶接金属:3個(溶接金属が非鉄金属及びオーステナイト系ステンレス鋼以外のものであって当該溶接部の最低使用温度が-30℃以下の場合) 熱影響部:3個

溶接金属:3個(厚さが38mmを超える場合は、2箇所から試験片を採取) 熱影響部:3個 ただし、焼入焼ならしの熱処理を行う場合は不要

測定項目 吸収エネルギー 横膨出

判定基準

JIS B 8265(2008)表8.1に規定する値以上とする。サブサイズの試験片の場合の吸収エネルギーは、表

8.1に示す値に、表8.2に示す係数を乗じた値とす

る。

JIS B 8265(2008) 表8.1 吸収エネルギー

母材の引張強

の最小値 σu N/mm2

吸収エネルギー J

3個の平均

1個の最小

σu≦450 18 14

450<σu≦520 20 16

520<σu≦660 27 20

660<σu 27 27

JIS B 8265(2008) 表8.2 サブサイズ試験片の幅寸法及び係

母材の厚さ t mm

試験片の幅寸法 mm

係数

8.5≦ t<12 10×7.5 0.75

6≦ t<

8.5

10×5 0.50

3 個 の 試 験 片 の 横 膨 出 の す べ て が JIS B 8267(2008)図R.5に示す最小横膨出以上であるこ

JIS B 8267(2008) 図R.5 炭素鋼、低合金鋼及び

9%ニッケル鋼の最小横膨出

6.2.3 溶接施工法確認試験及び溶接士技能確認試験

(1) 溶接施工法確認試験*1*2

適切な機械試験等により、適切な溶接施工方法であることをあらかじめ確認するこ

と。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)第2項

解釈例第52条(溶接一般)第3項

解釈例第54条(溶接施工法)

解釈例別添第27条(溶接一般)第3項

解釈例別添第28条(溶接施工法)

【解 説】

*1 溶接施工法確認試験は、適用法規によること。

*2 安全係数4.0基準と安全係数3.5基準とでは、溶接施工法確認試験に要求される衝

撃試験の規定が異なる。ガス事業法における7%ニッケル鋼(SL7N590)、9%ニッ

ケル鋼(SL9N590)の例を解表6-1に示す。

解表6-1 7%ニッケル鋼(SL7N590)、9%ニッケル鋼(SL9N590)の

溶接施工法確認試験の衝撃試験の規定

安全係数4.0 安全係数3.51)

試験温度 最低使用温度 最低使用温度

試験片

溶接金属:3個(溶接金属が非鉄金属及びオーステナイト系ステンレス鋼以外のものであって当該溶接部の最低使用温度が-30℃以下の場合) 熱影響部:3個

溶接金属:3個(厚さが38mmを超える場合は、2箇所から試験片を採取) 熱影響部:3個 ただし、焼入焼戻しの熱処理を行う場合は不要

測定項目 吸収エネルギー 横膨出

判定基準

JIS B 8265(2017)表7に規定する値以上とする。サ

ブサイズの試験片の場合の吸収エネルギーは、表7

に示す値に、表8に示す係数を乗じた値とする。

JIS B 8265(2017) 表7 吸収エネルギー

母材の引張強

の最小値 σu N/mm2

吸収エネルギー J

3個の平均

1個の最小

σu≦450 18 14

450<σu≦520 20 16

520<σu≦660 27 20

660<σu 27 27

JIS B 8265(2017) 表8 サブサイズ試験片の幅寸法及び係

母材の厚さ t mm

試験片の幅寸法 mm

係数

8.5≦ t<12 10×7.5 0.75

6≦ t<

8.5

10×5 0.50

3 個 の 試 験 片 の 横 膨 出 の す べ て が JIS B

8267(2015)図R.5に示す最小横膨出以上であるこ

JIS B 8267(2015) 図R.5 炭素鋼、低合金鋼及び

9%ニッケル鋼の最小横膨出

パブコメ用ドラフト

- 144 -

6-1-4

第6章 -4-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

t<6 10×2.5 0.25

<参考文献>

1) 日本ガス協会: ”平成21年度ガス工作物設置基準調査(材料物性調査)調査報告

書”,(平成22年3月)

6.2.3

(2) 溶接士技能確認試験*(1)

手溶接及び自動溶接機による溶接士にあっては、あらかじめ十分な技能を有することを確

認された者とすること。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)第2項

解釈例第52条(溶接一般)第3項

解釈例第55条(溶接士技能)

解釈例別添第27条(溶接一般)第2項

【解 説】

*(1) 溶接士技能確認試験は、適用法規によること。

6.2.4 溶接検査

(1) 一般

検査にあたっては、十分な知識と経験を有する者によって管理するとともに、検査に従事

する検査員は十分な技能を有する者であること*(1)。

【解 説】

t<6 10×2.5 0.25

<参考文献>

1) 日本ガス協会: 「平成21年度ガス工作物設置基準調査(材料物性調査)調査報告

書」、(平成22年3月)

6.2.3

(2) 溶接士技能確認試験*1

手溶接及び自動溶接機による溶接士にあっては、あらかじめ十分な技能を有すること

を確認された者とすること。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)第2項

解釈例第52条(溶接一般)第3項

解釈例第55条(溶接士技能)

解釈例別添第27条(溶接一般)第3項

【解 説】

*1 溶接士技能確認試験は、適用法規によること。

6.2.4 溶接検査

(1) 一般

検査にあたっては、十分な知識と経験を有する者によって管理するとともに、検査に

従事する検査員は十分な技能を有する者であること*1。

【解 説】

単位 mm

最小

横膨

0 20 40 60 80 100

母材又は溶接部の最大呼び厚さ

1.4

1.2

1

0.8

0.6

0.4

0.2

0

単位 mm

最小

横膨

0 20 40 60 80 100

母材又は溶接継手の最大呼び厚さ

1.4

1.2

1

0.8

0.6

0.4

0.2

0

パブコメ用ドラフト

- 145 -

6-1-5

第6章 -5-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

*(1) 検査技術者に関する資格の一例を次に示す。

(a) JIS Z 2305(2001)「非破壊試験―技術者の資格及び認証」

(b) 日本非破壊検査協会 NDIS 0601(2000)「非破壊検査技術者技量認定規定」

(c) JIS Z 3861(1979)「溶接部の放射線透過試験の技術検定における試験方法及び

判定基準」

6.2.4

(2) 開先検査

溶接にあたっては、開先検査を行い継手面の食違い等*(1)について確認すること。食違い

は5.2.4(1)(b)によること。

【解 説】

*(1) 突合せ継手のルート間隔及びすみ肉継手の重ね部の長さについても確認するこ

と。

6.2.4

(3) 溶接継手の機械試験*(1) *(2)

溶接継手は、次に示す継手ごとに製作した1個の試験板について、適切な機械試験を行い

合格すること。ただし、各々の継手において溶接が同一条件*(3)で行われない場合は、条件が

異なるごとに製作した試験板について、機械試験を行い合格すること。

(a) 側板又はナックルプレートの縦継手。

(b) 側板の周継手又は側板とナックルプレートとの継手。ただし、(a)の溶接と同一条件で

行われる場合には省略することができる。

(c) 底板相互、アニュラプレート相互又は底板とアニュラプレートとの突合せ継手。

(d) 屋根板相互又は屋根板とナックルプレートとの突合せ継手。

(e) マンホール、ノズルネック又はスリーブ等の管(日本工業規格に適合する管であって、

当該規格に規定する機械試験を施工したものを除く。)の長手方向の突合せ継手。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)第3項

解釈例第52条(溶接一般)第4項

解釈例第65条(機械試験)

解釈例別添第40条(機械試験)

【解 説】

*1 検査技術者に関する資格の一例を次に示す。

(a) JIS Z 2305(2013)「非破壊試験―技術者の資格及び認証」

(b) 日本非破壊検査協会 NDIS 0601(2000)「非破壊検査技術者技量認定規定」

(c) JIS Z 3861(1979)「溶接部の放射線透過試験の技術検定における試験方法及び

判定基準」

6.2.4

(2) 開先検査

溶接にあたっては、開先検査を行い継手面の食違い等*1について確認すること。食違

いは第5章「内槽及び外槽の製作及び組立」5.2.4「溶接」(1)「溶接設計」(b)によるこ

と。

【解 説】

*1 突合せ継手のルート間隔及びすみ肉継手の重ね部の長さについても確認するこ

と。

6.2.4

(3) 溶接継手の機械試験*1*2

溶接継手は、次に示す継手ごとに製作した1個の試験板について、適切な機械試験を

行い合格すること。ただし、各々の継手において溶接が同一条件*3で行われない場合は、

条件が異なるごとに製作した試験板について、機械試験を行い合格すること。

(a) 側板又はナックルプレートの縦継手。

(b) 側板の周継手又は側板とナックルプレートとの継手。ただし、(a)の溶接と同一条

件で行われる場合には省略することができる。

(c) 底板相互、アニュラプレート相互又は底板とアニュラプレートとの突合せ継手。

(d) 屋根板相互又は屋根板とナックルプレートとの突合せ継手。

(e) マンホール、ノズルネック又はスリーブ等の管(日本工業規格に適合する管であっ

て、当該規格に規定する機械試験を施工したものを除く。)の長手方向の突合せ継手。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)第3項

解釈例第52条(溶接一般)第4項

解釈例第65条(機械試験)

解釈例別添第40条(機械試験)

【解 説】

パブコメ用ドラフト

- 146 -

6-1-6

第6章 -6-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

*(1) 溶接継手の機械試験は、適用法規によること。

*(2) 安全係数4.0基準と安全係数3.5基準とでは、機械試験に要求される衝撃試験の試

験片の数が異なる。ガス事業法における9%ニッケル鋼(SL9N590)の例を解表6-2に

示す。

解表6-2 9%ニッケル鋼(SL9N590)における機械試験の試験片の数

安全係数4.0 安全係数3.5

溶接金属:3個

熱影響部:3個

溶接金属:3個[1]

熱影響部:3個[2](厚さが38mmを超える場合は、2箇所から試験片を採

取)

〔備 考〕

[1] 焼入焼ならしの熱処理を行う場合、又は次の1)~4)のすべてを満足する場合は、試

験は不要とする。

1) 高ニッケル合金の溶接材料を使用する場合

2) 溶接施工方法確認試験の一部として、衝撃試験を行う場合

3) 溶接法が、被覆アーク溶接、ミグ溶接、マグ溶接又はティグ溶接の場合

4) 最低使用温度が-196℃以上の場合

[2] 焼入焼ならしの熱処理を行う場合は不要。

*(3) 同一条件とは、溶接施工法確認試験における確認事項の区分の組合せが同一のも

のをいう。また、母材の厚さが異なる場合、同一の条件とみなされる母材の板厚範

囲は、厚い方の厚さを基準として、すべての厚さについて、厚さの差が厚い方の厚

さの2分の1以下とする。

6.2.4

(4) 外観検査

溶接継手は外観検査を行い、ビード形状が適正であること、また、有害な表面きずのない

ことを確認すること。必要に応じて浸透探傷試験により有害な表面きずのないことを確認す

ること。

6.2.4

(5) 放射線透過試験

(a) 全線放射線透過試験

内槽の突合せ溶接継手であって、次に示すものはその全線について放射線透過試験を行

うこと*(1)。ただし、側板の突合せ溶接継手にあっては、その全線について放射線透過試験

を行うこと。

*1 溶接継手の機械試験は、適用法規によること。

*2 安全係数4.0基準と安全係数3.5基準とでは、機械試験に要求される衝撃試験の試

験片の数が異なる。ガス事業法における7%ニッケル鋼(SL7N590)、9%ニッケル

鋼(SL9N590)の例を解表6-2に示す。

解表6-2 7%ニッケル鋼(SL7N590)、9%ニッケル鋼(SL9N590)の

機械試験の試験片の数

安全係数4.0 安全係数3.5

溶接金属:3個

熱影響部:3個

溶接金属:3個[1] (厚さが38mmを超える場合は、2箇所から試験片を採

取)

熱影響部:3個[2]

〔備 考〕

[1] 焼入焼戻しの熱処理を行う場合、又は次の1)~4)のすべてを満足する場合は、試験

は不要とする。

1) 高ニッケル合金の溶接材料を使用する場合

2) 溶接施工方法確認試験の一部として、衝撃試験を行う場合

3) 溶接法が、被覆アーク溶接、ミグ溶接、マグ溶接又はティグ溶接の場合

4) 最低使用温度が-196℃以上の場合

[2] 焼入焼戻しの熱処理を行う場合は不要。

*3 同一条件とは、溶接施工法確認試験における確認事項の区分の組合せが同一のも

のをいう。また、母材の厚さが異なる場合、同一の条件とみなされる母材の板厚範

囲は、厚い方の厚さを基準として、すべての厚さについて、厚さの差が厚い方の厚

さの1

2以下とする。

6.2.4

(4) 外観検査

溶接継手は外観検査を行い、ビード形状が適正であること、また、有害な表面きずの

ないことを確認すること。必要に応じて浸透探傷試験により有害な表面きずのないこと

を確認すること。

6.2.4

(5) 放射線透過試験

(a) 全線放射線透過試験

内槽の突合せ溶接継手であって、次に示すものはその全線について放射線透過試験

を行うこと*1。ただし、側板の突合せ溶接継手にあっては、その全線について放射線

透過試験を行うこと。

パブコメ用ドラフト

- 147 -

6-1-7

第6章 -7-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(ⅰ)厚さが8㎜を超える9%ニッケル鋼を母材とするもの

(ⅱ)厚さが13㎜を超えるアルミニウム又はアルミニウム合金を母材とするもの

(ⅲ)厚さが38㎜を超えるオーステナイト系ステンレス鋼を母材とするもの

(b) 部分放射線透過試験

内槽の突合せ溶接継手であって、(a)に規定する以外の突合せ溶接継手は、部分放射線

透過試験を行うこと*(2)。ただし、放射線透過試験を行わないものとして設計される溶接

継手はこの限りではない。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)第3項

解釈例第61条(LNG及びLPG平底円筒貯槽の非破壊試験)

解釈例別添第36条(LNG及びLPG平底円筒貯槽の非破壊試験)

【解 説】

*(1) 本文の規定により放射線透過試験を必要とされる場合において、底板とアニュラ

プレートの溶接継手や屋根骨にあたるところの屋根板相互の溶接継手等のように

放射線透過試験が困難な場合にあっては、浸透探傷試験を行うことにより放射線透

過試験を省略することができる。

*(2) 部分放射線透過試験は、次による。

(a) 同一溶接方法及び同一溶接条件による溶接継手ごとに、その全線の20%以上の

長さについて放射線透過試験を行う。

(b) 溶接継手が交差する部分がある場合は、その交差する部分を20%以上の長さの

部分に必ず含めること。

この場合、同一溶接方法による溶接継手とは、同一溶接条件による同一資格の

溶接士の行う溶接継手であり、同一溶接条件とは、溶接施工方法の確認試験によ

って定める同一溶接条件をいう。

6.2.4

(6) 浸透探傷試験

内槽の溶接継手であって、次に示すものは染色浸透深傷試験又はけい光浸透探傷試験を行

い、合格すること。

(a) 裏はつり部

(b) すみ肉溶接継手

(c) 側板のうち、耐圧試験時の水位より設計液位までの突合せ溶接継手

(d) 材質、板厚、構造、使用条件によって特に必要と認められる溶接継手

(ⅰ)厚さが8㎜を超える7%ニッケル鋼又は9%ニッケル鋼を母材とするもの

(ⅱ)厚さが13㎜を超えるアルミニウム又はアルミニウム合金を母材とするもの

(ⅲ)厚さが38㎜を超えるオーステナイト系ステンレス鋼を母材とするもの

(b) 部分放射線透過試験

内槽の突合せ溶接継手であって、(a)に規定する以外の突合せ溶接継手は、部分放

射線透過試験を行うこと*2。ただし、放射線透過試験を行わないものとして設計され

る溶接継手はこの限りではない。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)第3項

解釈例第61条(LNG及びLPG平底円筒形貯槽の非破壊試験)

解釈例別添第36条(LNG及びLPG平底円筒形貯槽の非破壊試験)

【解 説】

*1 本文の規定により放射線透過試験を必要とされる場合において、底板とアニュラ

プレートの溶接継手や屋根骨にあたるところの屋根板相互の溶接継手等のように

放射線透過試験が困難な場合にあっては、浸透探傷試験を行うことにより放射線透

過試験を省略することができる。

*2 部分放射線透過試験は、次による。

(a) 同一溶接方法及び同一溶接条件による溶接継手ごとに、その全線の20%以上の

長さについて放射線透過試験を行う。

(b) 溶接継手が交差する部分がある場合は、その交差する部分を20%以上の長さの

部分に必ず含めること。

この場合、同一溶接方法による溶接継手とは、同一溶接条件による同一資格の

溶接士の行う溶接継手であり、同一溶接条件とは、溶接施工方法の確認試験によ

って定める同一溶接条件をいう。

6.2.4

(6) 浸透探傷試験

内槽の溶接継手であって、次に示すものは染色浸透深傷試験又はけい光浸透探傷試験

を行い、合格すること。

(a) 裏はつり部

(b) すみ肉溶接継手

(c) 側板のうち、耐圧試験時の水位より設計液位までの突合せ溶接継手

(d) 材質、板厚、構造、使用条件によって特に必要と認められる溶接継手

パブコメ用ドラフト

- 148 -

6-1-8

第6章 -8-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)第3項

解釈例第61条(LNG及びLPG平底円筒貯槽の非破壊試験)

解釈例別添第36条(LNG及びLPG平底円筒貯槽の非破壊試験)

6.2.4

(7) 非破壊試験の再試験

放射線透過試験等の非破壊試験で不合格となった場合は、適切な補修を行い、合格するこ

と。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)第3項

解釈例第62条(非破壊試験の再試験)

解釈例別添第37条(非破壊試験の再試験)

6.2.5 寸法検査

溶接完了後、次に示す事項の寸法精度を確認すること*(1)。

(1) 側板最下段の真円度*(2) *(3)

(2) 側板の垂直度*(2) *(3)

(3) ナックルプレートの真円度*(3)*(4)

(4) 側板の角変形量*(5)

【解 説】

*(1) 組立時においても、寸法検査を適宜行い、この段階でまず修正をしておくこと。

*(2) 側板の真円度、垂直度については次に示す規定値を満足すること。

(a) 真円度1)

側板最下端から30㎝の高さにおいて測定した半径は、次の値を超えないこと。

内槽内径が12m未満 ±13㎜

内槽内径が12m以上46m未満 ±19㎜

内槽内径が46m以上77m未満 ±25㎜

内槽内径が77m以上のもの ±32㎜

(b) 垂直度

側板の最下端と最上端の間で測定した垂直度は、200

1 を超えないこと1)。

また、側板最下段の垂直度については、解図6-1によること。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)第3項

解釈例第61条(LNG及びLPG平底円筒貯槽の非破壊試験)

解釈例別添第36条(LNG及びLPG平底円筒貯槽の非破壊試験)

6.2.4

(7) 非破壊試験の再試験

放射線透過試験等の非破壊試験で不合格となった場合は、適切な補修を行い、合格す

ること。

【関連条項】

省令第16条(溶接部分)第3項

解釈例第62条(非破壊試験の再試験)

解釈例別添第37条(非破壊試験の再試験)

6.2.5 寸法検査

溶接完了後、次に示す事項の寸法精度を確認すること*1。

(1) 側板最下段の真円度*2*3

(2) 側板の垂直度*2*3

(3) ナックルプレートの真円度*3*4

(4) 側板の角変形量*5

【解 説】

*1 組立時においても、寸法検査を適宜行い、この段階でまず修正をしておくこと。

*2 側板の真円度、垂直度については次に示す規定値を満足すること。

(a) 真円度1)

側板最下端から30㎝の高さにおいて測定した半径は、次の値を超えないこと。

内槽内径が12m未満 ±13㎜

内槽内径が12m以上46m未満 ±19㎜

内槽内径が46m以上77m未満 ±25㎜

内槽内径が77m以上のもの ±32㎜

(b) 垂直度

側板の最下端と最上端の間で測定した垂直度は、200

1 を超えないこと1)。

また、側板最下段の垂直度については、解図6-1によること。

パブコメ用ドラフト

- 149 -

6-1-9

第6章 -9-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解図6-1 側板最下段の垂直度

*(3) 真円度及び垂直度については、ほぼ対称な4箇所以上について測定すること。

*(4) ナックルプレートの真円度については、直径の最大と最小の差が直径の1%以下

とすること1)。

*(5) 側板の角変形量については、1m当り15㎜(アルミニウム合金にあっては25㎜)

以下とすること1)。

<参考文献>

1) API: ”Design and Construction of Large, Welded, Low-Pressure Storage

Tanks”,API620,(2010)

6.2.6 耐圧試験

(1) 内槽の工事が完了した後、耐圧試験を行うこと。

(2) 耐圧試験は、側板最下部におけるLNGの設計液頭圧に相当する水位以上に水を張り*(1)、

かつ気相部に空気等の危険性のない気体を用いて耐圧試験圧力まで昇圧し、圧力を保持した

後、内槽及び基礎に異常のないことを確認すること*(2)。

【関連条項】

省令第15条(構造等)第2項

解釈例第50条(耐圧試験)第1項第四号

解釈例別添第25条(耐圧試験)第二号

【解 説】

*(1) LNG地上式貯槽の耐圧試験としては、以下に示す(a)、(b)の理由により、液荷

重については設計荷重以上、気相部の圧力については安全係数4.0基準の場合、最

高使用圧力の1.25倍以上、安全係数3.5基準の場合、最高使用圧力の1.1倍以上をか

けて行うものとする。

(a) LNG地上式貯槽は、単純な構造の平底円筒形貯槽であり、くい又は堅固な地

解図6-1 側板最下段の垂直度

*3 真円度及び垂直度については、ほぼ対称な4箇所以上について測定すること。

*4 ナックルプレートの真円度については、直径の最大と最小の差が直径の1%以下

とすること1)。

*5 側板の角変形量については、1m当り15㎜(アルミニウム合金にあっては25㎜)

以下とすること1)。

<参考文献>

1) API: 「Design and Construction of Large, Welded, Low-Pressure Storage

Tanks」、API620,(2013)

6.2.6 耐圧試験

(1) 内槽の工事が完了した後、耐圧試験を行うこと。

(2) 耐圧試験は、側板最下部におけるLNGの設計液頭圧に相当する水位以上に水を張り

*1、かつ気相部に空気等の危険性のない気体を用いて耐圧試験圧力まで昇圧し、圧力を

保持した後、内槽及び基礎に異常のないことを確認すること*2。

【関連条項】

省令第15条(構造等)第2項

解釈例第50条(耐圧試験)第1項第四号

解釈例別添第25条(耐圧試験)第二号

【解 説】

*1 LNG地上式貯槽の耐圧試験としては、以下に示す(a)、(b)の理由により、液荷

重については設計荷重以上、気相部の圧力については安全係数4.0基準の場合、最

高使用圧力の1.25倍以上、安全係数3.5基準の場合、最高使用圧力の1.1倍以上をか

けて行うものとする。

(a) LNG地上式貯槽は、単純な構造の平底円筒形貯槽であり、くい又は堅固な地

パブコメ用ドラフト

- 150 -

6-1-10

第6章 -10-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

盤で支持された基礎版上に設置されているので不等沈下等の有害な変形を生じ

る恐れはない。

(b) 貯槽の使用中において、気相部の圧力変動はあるが、内容液の荷重が設計荷重

を超えることはない。

なお、側板一般部については、構造的には単純な薄肉円筒であり、十分な施工

管理及び非破壊試験等が行われており、使用温度における材料特性も良好である

ので、高い信頼性を有するものと認められる。

*(2) 異常のないことを確認するために、耐圧試験後の目視による検査のほか、内槽底

部付近については、水抜き後に次の内部検査を実施すること。ただし、耐圧試験に

引続き水張試験を実施する場合は、内部検査は水張試験後に行うことができる。

(a) 底部の局部的な陥没の有無の確認

(b) 側板とアニュラプレートとの継手の浸透深傷試験

(c) アニュラプレートと底板との継手の浸透探傷試験

(d) 側板とノズルとの継手の浸透探傷試験

6.2.7 水張試験

(1) 貯槽は、耐圧試験に引続き、水張試験を行うこと*(1)。ただし、十分な保安水準の確保

が達成できる技術的根拠があれば、耐圧試験の前に水張試験を実施してもよい。

(2) 水張試験は、安全係数4.0基準の場合は原則として側板最下部における設計液頭圧に

相当する水位の1.5倍以上の高さまで*(2)(設計液位までを限度とする。)、安全係数3.5基

準の場合は原則として側板最下部における設計液頭圧に相当する水位の1.3倍以上の高

さまで*(3)(設計液位までを限度とする。)水を張り、内槽下部及び基礎に異常のないこ

とを確認すること*(4)。

【解 説】

*(1) 地震時の荷重も考慮すれば、応力条件の厳しい側板とアニュラプレートとの継手

付近等に注目して、当該箇所の信頼性をより高い精度で確認するため、内槽及び基

礎が許容する範囲内で、できるだけ高い水位で水張試験を行うことが望ましいこと

から、耐圧試験とともに水張試験を行うものとする。

*(2) 安全係数4.0基準における水張試験時の水位を、側板最下部における設計液頭圧

相当水位の1.5倍以上とした理由は次による。

(a) 本指針に基づいて設計された内槽に対する水張可能水位は、安全係数4.0基準

の場合、内槽材料の試験時の許容応力と許容引張応力との比のみから判断すれ

ば、9%ニッケル鋼製貯槽(異材溶接継手を用いる場合)では側板最下部におけ

る設計液頭圧相当水位の約1.9倍、アルミニウム合金製貯槽では約1.5倍となる。

(b) 本指針に基づいて設計された基礎に対する水張可能水位は、支持地盤の一般的

盤で支持された基礎版上に設置されているので不等沈下等の有害な変形を生じ

る恐れはない。

(b) 貯槽の使用中において、気相部の圧力変動はあるが、内容液の荷重が設計荷重

を超えることはない。

なお、側板一般部については、構造的には単純な薄肉円筒であり、十分な施工

管理及び非破壊試験等が行われており、使用温度における材料特性も良好である

ので、高い信頼性を有するものと認められる。

*2 異常のないことを確認するために、耐圧試験後の目視による検査のほか、内槽底

部付近については、水抜き後に次の内部検査を実施すること。ただし、耐圧試験に

引続き水張試験を実施する場合は、内部検査は水張試験後に行うことができる。

(a) 底部の局部的な陥没の有無の確認

(b) 側板とアニュラプレートとの継手の浸透深傷試験

(c) アニュラプレートと底板との継手の浸透探傷試験

(d) 側板とノズルとの継手の浸透探傷試験

6.2.7 水張試験

(1) 貯槽は、耐圧試験に引続き、水張試験を行うこと*1。ただし、十分な保安水準の確保

が達成できる技術的根拠があれば、耐圧試験の前に水張試験を実施してもよい。

(2) 水張試験は、安全係数4.0基準の場合は原則として側板最下部における設計液頭圧に

相当する水位の1.5倍以上の高さまで*2(設計液位までを限度とする。)、安全係数3.5基

準の場合は原則として側板最下部における設計液頭圧に相当する水位の1.3倍以上の高

さまで*3(設計液位までを限度とする。)水を張り、内槽下部及び基礎に異常のないこ

とを確認すること*4。

【解 説】

*1 地震時の荷重も考慮すれば、応力条件の厳しい側板とアニュラプレートとの継手

付近等に注目して、当該箇所の信頼性をより高い精度で確認するため、内槽及び基

礎が許容する範囲内で、できるだけ高い水位で水張試験を行うことが望ましいこと

から、耐圧試験とともに水張試験を行うものとする。

*2 安全係数4.0基準における水張試験時の水位を、側板最下部における設計液頭圧相

当水位の1.5倍以上とした理由は次による。

(a) 本指針に基づいて設計された内槽に対する水張可能水位は、安全係数4.0基準

の場合、内槽材料の試験時の許容応力と許容引張応力との比のみから判断すれ

ば、9%ニッケル鋼製貯槽(異材溶接継手を用いる場合)では側板最下部におけ

る設計液頭圧相当水位の約1.9倍、アルミニウム合金製貯槽では約1.5倍となる。

(b) 本指針に基づいて設計された基礎に対する水張可能水位は、支持地盤の一般的

パブコメ用ドラフト

- 151 -

6-1-11

第6章 -11-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

特性をふまえ、水張荷重による支持力及び沈下に対する影響等から判断すると、

側板最下部における設計液頭圧相当水位の1.5倍程度が標準となる。

*(3) 安全係数3.5基準における水張試験時の水位は、安全係数4.0基準との比から判断

して、側板最下部における設計液頭圧相当水位の1.3倍以上(1.5×04

53

.

. ≒1.3)とす

る。

*(4) 内槽下部の異常の有無の確認については、6.2.6によるものとする。ただし、内

部検査は水張試験の後に実施するものとする。基礎については、当該地盤の特性を

事前に十分調査し、水張荷重に耐えることを確認するとともに、実施にあたっては

変形、沈下等を十分監視すること。

6.2.8 気密試験

水張試験後、以下に示す方法により気密試験を行うこと。

(1) 発泡漏れ試験

内槽に空気、窒素等危険性のない気体を用いて試験圧力を加え、溶接継手外面に発泡

液を塗布し、漏えいのないことを確認すること。

(2) 真空漏えい試験

底板及びアニュラプレートの溶接継手*(1)について真空漏えい試験を行うこと。

(3) 漏えい試験*(2)

(a) 側板とアニュラプレートとの溶接が完全溶込み溶接でない場合は、漏えい試験を行

うこと。

(b) 漏えい試験は、側板とアニュラプレートとの溶接継手の非溶接部に試験溝を通して

0.3MPa以上の気圧を加え、内側及び外側の溶接継手に発泡液を塗布して漏えいのない

ことを確認すること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)第3項

解釈例第51条(気密試験)

解釈例別添第26条(気密試験)

【解 説】

*(1) 当該箇所は発泡漏れ試験時に外面(裏面)に発泡液を塗布して確認することが困

難であるので、真空漏えい試験で代行するものである。

*(2) 漏えい試験は、高圧ガス保安法「特定設備検査規則関係例示基準 別添二 平底

円筒形貯槽の技術基準の解釈」によるものである。

特性をふまえ、水張荷重による支持力及び沈下に対する影響等から判断すると、

側板最下部における設計液頭圧相当水位の1.5倍程度が標準となる。

*3 安全係数3.5基準における水張試験時の水位は、安全係数4.0基準との比から判断

して、側板最下部における設計液頭圧相当水位の1.3倍以上(1.5×04

53

.

. ≒1.3)とす

る。

*4 内槽下部の異常の有無の確認については、6.2.6「耐圧試験」によるものとする。

ただし、内部検査は水張試験の後に実施するものとする。基礎については、当該地

盤の特性を事前に十分調査し、水張荷重に耐えることを確認するとともに、実施に

あたっては変形、沈下等を十分監視すること。

6.2.8 気密試験

(1) 発泡漏れ試験

水張試験後、内槽に空気、窒素等危険性のない気体を用いて試験圧力を加え、溶接継

手外面に発泡液を塗布し、漏えいのないことを確認すること。

(2) 真空漏えい試験

底板及びアニュラプレートの溶接継手*1について真空漏えい試験を行うこと。

(3) 漏えい試験*2

(a) 側板とアニュラプレートとの溶接が完全溶込み溶接でない場合は、水張試験前に漏

えい試験を行うこと。

(b) 漏えい試験は、側板とアニュラプレートとの溶接継手の非溶接部に試験溝を通して

0.3MPa以上の気圧を加え、内側及び外側の溶接継手に発泡液を塗布して漏えいのない

ことを確認すること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)第3項

解釈例第51条(気密試験)

解釈例別添第26条(気密試験)

【解 説】

*1 当該箇所は発泡漏れ試験時に外面(裏面)に発泡液を塗布して確認することが困

難であるので、真空漏えい試験で代行するものである。

*2 漏えい試験は、高圧ガス保安法「特定設備検査規則関係例示基準 別添二 平底

円筒形貯槽の技術基準の解釈」によるものである。

パブコメ用ドラフト

- 152 -

6-1-12

第6章 -12-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

6.3 外 槽

6.3.1 素材検査

(1) 材料は、表示又はミルシート等により確認すること。

(2) 材料は外観検査を行い、表面及び端面に有害なきず等がないことを確認すること。

6.3.2 加工検査

(1) 外観検査

外槽の各部材は、成形加工完了後、外観検査を行い有害なきずがないことを確認すること。

(2) 寸法検査

外槽の各部材は、成形加工完了後、寸法検査を行い寸法精度について確認すること。

6.3.3 溶接検査

溶接完了後、溶接継手について外観検査を行い、有害な欠陥がないことを確認すること。

6.3.4 寸法検査

金属二重殻LNG貯槽の外槽側板の溶接完了後、次に示す事項の寸法精度を確認するこ

と *(1)。

(1) 側板最下段の真円度

(2) 側板の垂直度

【解 説】

*(1) 側板の真円度及び垂直度については、ほぼ対象な4箇所以上について測定し、次

に示す規定値を満足すること。

(a) 真円度1)

側板最下端から30㎝の高さにおいて測定した半径は、次の値を超えないこと。

外槽内径が12m未満 ±13㎜

外槽内径が12m以上46m未満 ±19㎜

外槽内径が46m以上77m未満 ±25㎜

外槽内径が77m以上のもの ±32㎜

(b) 垂直度1)

側板の最下端と最上端の間で測定した垂直度は、200

1 を超えないこと。

<参考文献>

1) API: ”Design and Construction of Large, Welded,Low-Pressure Storage

Tanks”,API620,(2010)

6.3 外 槽

6.3.1 素材検査

(1) 材料は、表示又はミルシート等により確認すること。

(2) 材料は外観検査を行い、表面及び端面に有害なきず等がないことを確認すること。

6.3.2 加工検査

(1) 外観検査

外槽の各部材は、成形加工完了後、外観検査を行い有害なきずがないことを確認する

こと。

(2) 寸法検査

外槽の各部材は、成形加工完了後、寸法検査を行い寸法精度について確認すること。

6.3.3 溶接検査

溶接完了後、溶接継手について外観検査を行い、有害な欠陥がないことを確認すること。

6.3.4 寸法検査

金属二重殻LNG貯槽の外槽側板の溶接完了後、次に示す事項の寸法精度を確認す

ること *1。

(1) 側板最下段の真円度

(2) 側板の垂直度

【解 説】

*1 側板の真円度及び垂直度については、ほぼ対称な4箇所以上について測定し、次

に示す規定値を満足すること。

(a) 真円度1)

側板最下端から30㎝の高さにおいて測定した半径は、次の値を超えないこと。

外槽内径が12m未満 ±13㎜

外槽内径が12m以上46m未満 ±19㎜

外槽内径が46m以上77m未満 ±25㎜

外槽内径が77m以上のもの ±32㎜

(b) 垂直度1)

側板の最下端と最上端の間で測定した垂直度は、200

1 を超えないこと。

<参考文献>

1) API: 「Design and Construction of Large, Welded,Low-Pressure Storage

Tanks」、API620,(2013)

パブコメ用ドラフト

- 153 -

6-1-13

第6章 -13-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

6.3.5 気密試験*(1)

(1) 発泡漏れ試験*(2)

内槽と外槽の空間に空気、窒素等危険性のない気体を用いて最高使用圧力以上の圧力を加

え、溶接継手外面に発泡液等を塗布し、漏えいのないことを確認すること。

(2) 真空漏えい試験

(a) 金属二重殻LNG貯槽の外槽底板及びPCLNG貯槽の外槽ライナ*(3)について真空漏

えい試験を行うこと。

(b) 真空漏えい試験は、溶接継手に発泡液等を塗布し、試験圧力-53.3kPa以下*(4)で漏えい

のないことを確認すること。

【解 説】

*(1) 外槽は、発泡漏れ試験、真空漏えい試験等の適切な方法により、漏えいのないこ

とを確認すること。

*(2) 発泡漏れ試験は、JIS Z 2329(2002)「発泡漏れ試験方法」によるものである。

*(3) 非金属材料を使用した外槽ライナは、材料特性に応じて真空漏えい試験等の適切

な方法により、漏えいのないことを確認すること。その方法は外槽ライナの施工方

法の確認試験時に、その適用性について確認すること。また、施工前にコンクリー

ト表面の清浄さ及び凹凸状態を確認するとともに、施工後に外観検査を行い、ピン

ホール等のないことを確認すること。

*(4) 真空漏えい試験の試験圧力は、JIS B 8501(1995)「鋼製石油貯槽の構造(全溶接

製)」、JIS B 8502(1986)「アルミニウム製貯槽の構造」によるものである。

6.3.6 塗装検査

塗装が適切に行われていることを外観検査等*(1)により確認すること。

【解 説】

*(1) 次の項目について検査すること。

(a) 素地調整の外観検査

(b) 塗装完成後の外観検査

(c) 膜厚測定

6.4 付属設備

6.4.1 ポンプバレル架構

(1) ポンプバレル

6.3.5 気密試験*1

(1) 発泡漏れ試験*2

内槽と外槽の空間に空気、窒素等危険性のない気体を用いて最高使用圧力以上の圧力

を加え、溶接継手外面に発泡液等を塗布し、漏えいのないことを確認すること。

(2) 真空漏えい試験

(a) 金属二重殻LNG貯槽の外槽底板及びPCLNG貯槽の外槽ライナ *3について真

空漏えい試験を行うこと。

(b) 真空漏えい試験は、溶接継手に発泡液等を塗布し、試験圧力-53.3kPa以下*4で漏

えいのないことを確認すること。

【解 説】

*1 外槽は、発泡漏れ試験、真空漏えい試験等の適切な方法により、漏えいのないこ

とを確認すること。

*2 発泡漏れ試験は、JIS Z 2329(2002)「発泡漏れ試験方法」によるものである。

*3 非金属材料を使用した外槽ライナは、材料特性に応じて真空漏えい試験等の適切

な方法により、漏えいのないことを確認すること。その方法は外槽ライナの施工方

法の確認試験時に、その適用性について確認すること。また、施工前にコンクリー

ト表面の清浄さ及び凹凸状態を確認するとともに、施工後に外観検査を行い、ピン

ホール等のないことを確認すること。

*4 真空漏えい試験の試験圧力は、JIS B 8501(2013)「鋼製石油貯槽の構造(全溶接

製)」、JIS B 8502(1986)「アルミニウム製貯槽の構造」によるものである。

6.3.6 塗装検査

塗装が適切に行われていることを外観検査等*1により確認すること。

【解 説】

*1 次の項目について検査すること。

(a) 素地調整の外観検査

(b) 塗装完成後の外観検査

(c) 膜厚測定

6.4 付属設備

6.4.1 ポンプバレル架構

(1) ポンプバレル

パブコメ用ドラフト

- 154 -

6-1-14

第6章 -14-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(a) 材料は、化学成分、機械的性質、寸法等について規格を満足していることをミルシート

により確認すること。

(b) 溶接継手の検査として、次に示すものを行うこと。

(ⅰ)開先検査

(ⅱ)外観検査

(ⅲ)放射線透過試験

(ⅳ)浸透探傷試験

(c) 耐圧試験及び気密試験を行うこと。

(2) 接合材

素材検査、加工検査、溶接検査は6.3によること。

(3) ポンプバレル架構

ポンプバレル架構の建方完了後、水平度、垂直度等について確認すること。

6.4.2 配管架構

(1) 素材検査、加工検査、溶接検査及び塗装検査は6.3によること。

(2) 架構の建方完了後、水平度、垂直度等について確認すること。

6.4.3 ブリージングタンク

ブリージングタンクの試験及び検査は6.3によること。

(a) 材料は、化学成分、機械的性質、寸法等について規格を満足していることをミルシ

ートにより確認すること。

(b) 溶接継手の検査として、次に示すものを行うこと。

(ⅰ)開先検査

(ⅱ)外観検査

(ⅲ)放射線透過試験

(ⅳ)浸透探傷試験

(c) 耐圧試験及び気密試験を行うこと。

(2) 接合材

素材検査、加工検査、溶接検査は6.3「外槽」によること。

(3) ポンプバレル架構

ポンプバレル架構の建方完了後、水平度、垂直度等について確認すること。

6.4.2 配管架構

(1) 素材検査、加工検査、溶接検査及び塗装検査は6.3「外槽」によること。

(2) 架構の建方完了後、水平度、垂直度等について確認すること。

6.4.3 ブリージングタンク

ブリージングタンクの試験及び検査は6.3「外槽」によること。

パブコメ用ドラフト

- 155 -

第7章 -1-

「第7章 保冷」においての記載内容

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

第7章 保 冷

7.1 一 般 ······················································· 161

7.2 材 料 ························································ 161

7.2.1 支圧部に使用する材料 ········································ 161

7.2.2 非支圧部に使用する材料 ······································ 164

7.3 許容応力 ························································ 166

7.4 構造及び設計 ···················································· 167

7.4.1 構 造 ···················································· 167

7.4.2 設 計 ···················································· 168

7.5 製作及び組立 ···················································· 171

7.5.1 製 作 ···················································· 171

7.5.2 組 立 ···················································· 171

7.6 試験及び検査 ···················································· 171

7.6.1 製品検査 ···················································· 171

7.6.2 組立検査 ···················································· 173

第7章 保 冷

7.1 一 般 ······················································· 161

7.2 材 料 ······················································· 161

7.2.1 支圧部に使用する材料 ······································· 161

7.2.2 非支圧部に使用する材料 ····································· 164

7.3 許容応力 ······················································· 166

7.4 構造及び設計 ··················································· 167

7.4.1 構 造 ··················································· 167

7.4.2 設 計 ··················································· 168

7.5 製作及び組立 ··················································· 171

7.5.1 製 作 ··················································· 171

7.5.2 組 立 ··················································· 171

7.6 試験及び検査 ··················································· 171

7.6.1 製品検査 ··················································· 171

7.6.2 組立検査 ··················································· 173

パブコメ用ドラフト

- 156 -

第7章 保冷

第7章 -2-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

7.1 一 般

保冷は、設計上要求される十分な断熱性能を有するほか、支圧部*(1)については作用する荷

重に対して十分な強度を有するよう設計、製作等を行うこと。

【解 説】

*(1) 支圧部とは、保冷のうち、内槽からの荷重を基礎版に伝達する機能を有する部分

をいう。

7.2 材 料

7.2.1 支圧部に使用する材料

支圧部には、以下に定める材料を使用すること。

ただし、以下に定める材料以外のものであっても、その強度特性、熱的特性等が設計上要求

される材料特性を十分満足していることが確認される場合には支圧部に使用することができ

る。

(1) パーライトコンクリート*(1)

(a) セメント

セメントは原則としてJIS R 5210(2009)「ポルトランドセメント」(以下、JIS R

5210(2009)と略す。)の普通ポルトランドセメント又は早強ポルトランドセメントによる

こと。

(b) パーライト

パーライトは、JIS A 5007(1977)「パーライト」(以下、JIS A 5007(1977)と略す。)に

よること。

(c) 水

練混ぜ水は、上水道水、JSCE-B101(1999)「コンクリート用練混ぜ水の品質規格」又は

JIS A 5308(2009)「レディーミクストコンクリート」(附属書C)によること。

(d) 混和剤*(2)

混和剤はJIS A 6204(2006)「コンクリート用化学混和剤」(以下、JIS A 6204(2006)と略

す。)によること。

(e) 鉄筋

鉄筋を用いる場合、原則としてJIS G 3112(2010)「鉄筋コンクリート用棒鋼」(以下、JIS

G 3112(2010)と略す。)又はJIS G 3551(2005)「溶接金網及び鉄筋格子」(以下、JIS G

3551(2005)と略す。)によること。

(2) 軽骨パーライトコンクリート*(3)

(a) セメント

セメントは7.2.1(1)(a)によること。

7.1 一 般

保冷は、設計上要求される十分な断熱性能を有するほか、支圧部*1については作用する

荷重に対して十分な強度を有するよう設計、製作等を行うこと。

【解 説】

*1 支圧部とは、保冷のうち、内槽からの荷重を基礎版に伝達する機能を有する部分

をいう。

7.2 材 料

7.2.1 支圧部に使用する材料

支圧部には、以下に定める材料を使用すること。

ただし、以下に定める材料以外のものであっても、その強度特性、熱的特性等が設計上

要求される材料特性を十分満足していることが確認される場合には支圧部に使用するこ

とができる。

(1) パーライトコンクリート*1

(a) セメント

セメントは原則としてJIS R 5210(2009)「ポルトランドセメント」(以下、JIS R

5210(2009)と略す。)の普通ポルトランドセメント又は早強ポルトランドセメントに

よること。

(b) パーライト

パーライトは、JIS A 5007(1977)「パーライト」(以下、JIS A 5007(1977)と略す。)

によること。

(c) 水

練混ぜ水は、上水道水、JSCE-B101(1999)「コンクリート用練混ぜ水の品質規格」又

はJIS A 5308(2014)「レディーミクストコンクリート」(附属書C)によること。

(d) 混和剤*2

混和剤はJIS A 6204(2011)「コンクリート用化学混和剤」(以下、JIS A 6204(2011)

と略す。)によること。

(e) 鉄筋

鉄筋を用いる場合、原則としてJIS G 3112(2010)「鉄筋コンクリート用棒鋼」(以

下、JIS G 3112(2010)と略す。)又はJIS G 3551(2005)「溶接金網及び鉄筋格子」(以

下、JIS G 3551(2005)と略す。)によること。

(2) 軽骨パーライトコンクリート*3

(a) セメント

セメントは7.2.1(1)(a)によること。

パブコメ用ドラフト

- 157 -

第7章 保冷

第7章 -3-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(b) パーライト

パーライトは7.2.1(1)(b)によること。

(c) 軽量骨材

軽量骨材はJIS A 5002(2003)「構造用軽量コンクリート骨材」(以下、JIS A 5002(2003)

と略す。)によること。

(d) 水

練混ぜ水は7.2.1(1)(c)によること。

(e) 混和剤

混和剤は7.2.1(1)(d)によること。

(f) 鉄筋

鉄筋を用いる場合は7.2.1(1)(e)によること。

(3) 構造用軽量コンクリート*(4)

(a) セメント

セメントは7.2.1(1)(a)によること。

(b) 軽量骨材

軽量骨材は7.2.1(2)(c)によること。

(c) 水

練混ぜ水は7.2.1(1)(c)によること。

(d) 混和剤

混和剤は7.2.1(1)(d)によること。

(e) 鉄筋

鉄筋を用いる場合は7.2.1(1)(e)によること。

(4) 軽量気泡コンクリート

軽量気泡コンクリートはJIS A 5416(2007)「軽量気泡コンクリートパネル」(以下、JIS A

5416(2007)と略す。)によること。

(5) あわガラス*(5)

あわガラスはASTM C 552(2007)「Standard Specification for Cellular Glass Thermal

Insulation」(以下、ASTM C 552(2007)と略す。)のType I Flat block manufacturedによる

こと。ただし、製品寸法についてはこの限りではない。

(6) 硬質プラスチックフォーム*(6)*(7)

硬質ウレタンフォームは、JIS A 9511(2009)「発泡プラスチック保温材」(以下、JIS A

9511(2009)と略す。)によること。ただし、製品寸法についてはこの限りではない。

硬質ウレタンフォーム以外の硬質プラスチックフォーム材料を用いる場合、その強度特性

及び熱的特性が設計上要求される材料特性を十分満足していることを確認すること。

【関連条項】

(b) パーライト

パーライトは7.2.1(1)(b)によること。

(c) 軽量骨材

軽量骨材はJIS A 5002(2003)「構造用軽量コンクリート骨材」(以下、JIS A

5002(2003)と略す。)によること。

(d) 水

練混ぜ水は7.2.1(1)(c)によること。

(e) 混和剤

混和剤は7.2.1(1)(d)によること。

(f) 鉄筋

鉄筋を用いる場合は7.2.1(1)(e)によること。

(3) 構造用軽量コンクリート*4

(a) セメント

セメントは7.2.1(1)(a)によること。

(b) 軽量骨材

軽量骨材は7.2.1(2)(c)によること。

(c) 水

練混ぜ水は7.2.1(1)(c)によること。

(d) 混和剤

混和剤は7.2.1(1)(d)によること。

(e) 鉄筋

鉄筋を用いる場合は7.2.1(1)(e)によること。

(4) 軽量気泡コンクリート

軽量気泡コンクリートはJIS A 5416(2007)「軽量気泡コンクリートパネル」(以下、JIS

A 5416(2007)と略す。)によること。

(5) あわガラス*5*6

あわガラスはASTM C 552(2017)「Standard Specification for Cellular Glass

Thermal Insulation」(以下、 ASTM C 552(2017)と略す。)の Type I Flat block

manufacturedによること。ただし、製品寸法についてはこの限りではない。

(6) 硬質プラスチックフォーム*7*8

硬質ウレタンフォームは、JIS A 9511(2017)「発泡プラスチック保温材」(以下、JIS

A 9511(2017)と略す。)によること。ただし、製品寸法についてはこの限りではない。

硬質ウレタンフォーム以外の硬質プラスチックフォーム材料を用いる場合、その強度

特性及び熱的特性が設計上要求される材料特性を十分満足していることを確認するこ

と。

【関連条項】

パブコメ用ドラフト

- 158 -

第7章 保冷

第7章 -4-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

省令第14条(材料)第三号イ

解釈例第13条(製造設備等の材料)第1項第九号

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)第1項第八号

【解 説】

*(1) パーライトコンクリートは、セメント、パーライト、水及び混和剤を混練、養生、

乾燥させたものであり、その配合、製造方法等により種々の物性値が得られるため、

あらかじめ配合設計を行い、強度、熱伝導率等の基準値を定めておくこと。

*(2) 混和剤は、主として、その界面活性作用によって、コンクリートの諸性質を改善

するために用いる材料をいう。

*(3) 軽骨パーライトコンクリートはセメント、パーライト、軽量骨材、水及び混和剤

を混練、養生、乾燥させたものであり、その配合、製造方法等により、種々の物性

値が得られるため、あらかじめ配合設計を行い、強度、熱伝導率等の基準値を定め

ておくこと。

*(4) 構造用軽量コンクリートはセメント、軽量骨材、水及び混和剤を混練、養生、乾

燥させたものであり、その配合、製造方法等により種々の物性値が得られるため、

あらかじめ配合設計を行い、強度、熱伝導率等の基準値を定めておくこと。

*(5) あわガラスを支圧部に使用する場合はキャッピング材を併用する必要がある。ま

た、キャッピング材の種類によって強度が異なるので適切なものを選定すること。

キャッピング材としてはホットアスファルト、アスファルトフェルト(JIS A

6005(2005))、アスファルトルーフィング(JIS A 6005(2005))等が用いられる。ま

た、あわガラスの圧縮強度は併用するキャッピング材の種類によっては、低温にお

いて低下するものもあるので、キャッピング材の選定時に考慮すること。

一般に使用されるあわガラスの熱伝導率の例として、ASTMに適合したあわガ

ラスについて解図7-1に示す。

省令第14条(材料)第三号イ

解釈例第13条(製造設備等の材料)第1項第九号

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)第1項第八号

【解 説】

*1 パーライトコンクリートは、セメント、パーライト、水及び混和剤を混練、養生、

乾燥させたものであり、その配合、製造方法等により種々の物性値が得られるため、

あらかじめ配合設計を行い、強度、熱伝導率等の基準値を定めておくこと。

*2 混和剤は、主として、その界面活性作用によって、コンクリートの諸性質を改善

するために用いる材料をいう。

*3 軽骨パーライトコンクリートはセメント、パーライト、軽量骨材、水及び混和剤

を混練、養生、乾燥させたものであり、その配合、製造方法等により、種々の物性

値が得られるため、あらかじめ配合設計を行い、強度、熱伝導率等の基準値を定め

ておくこと。

*4 構造用軽量コンクリートはセメント、軽量骨材、水及び混和剤を混練、養生、乾

燥させたものであり、その配合、製造方法等により種々の物性値が得られるため、

あらかじめ配合設計を行い、強度、熱伝導率等の基準値を定めておくこと。

*5 ASTM C 552(2017)では、あわガラスの強度に応じてグレードが分類され、従来品

相当のGrade6に加え、Grade8~24までの高強度のあわガラスが新たに規定された。

*6 あわガラスを支圧部に使用する場合はキャッピング材を併用する必要がある。ま

た、キャッピング材の種類によって強度が異なるので適切なものを選定すること。

キャッピング材としてはホットアスファルト、アスファルトフェルト(JIS A

6005(2005)「アスファルトルーフィングフェルト」)、アスファルトルーフィング

(JIS A 6005(2005))、セラミックファイバー等が用いられる。また、あわガラスの

圧縮強度は併用するキャッピング材の種類によっては、低温において低下するもの

もあるので、キャッピング材の選定時に考慮すること。

一般に使用されるあわガラスの熱伝導率の例として、ASTMに適合したあわガ

ラスについて解図7-1に示す。但し、掲載データは、製品の実測値の平均値であ

り、製造者の保証値ではないため、設計時には注意を要する。

パブコメ用ドラフト

- 159 -

第7章 保冷

第7章 -5-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

〔備 考〕

[1]米国 Pittsburgh Corning Co., Ltd.データによる。

*(6) 硬質プラスチックフォームとは硬質ウレタンフォーム及び硬質ポリ塩化ビニー

ルフォーム等の主に保冷材として用いられる発泡プラスチック製品をいう。

*(7) 硬質プラスチックフォームの強度特性には必要に応じて長期間のクリープ特性

を考慮すること。

7.2.2 非支圧部に使用する材料

非支圧部*(1)には次に示す材料を使用すること。

ただし、次に示す材料以外のものであっても、その熱的特性等が設計上要求される材料

特性を十分満足していることが確認される場合には非支圧部に使用することができる。

(1) 粒状パーライト*(2)

粒状パーライトはJIS A 5007(1977)によること。

(2) グラスウール*(3)

グラスウールは、JIS A 9505(1979)「グラスウール保温材」(以下、JIS A 9505(1979)

と略す。)によること。

〔備 考〕

[1]米国 Pittsburgh Corning Co., Ltd.データによる。

*7 硬質プラスチックフォームとは硬質ウレタンフォーム及び硬質ポリ塩化ビニー

ルフォーム等の主に保冷材として用いられる発泡プラスチック製品をいう。

*8 硬質プラスチックフォームの強度特性には必要に応じて長期間のクリープ特性

を考慮すること。

7.2.2 非支圧部に使用する材料

非支圧部*1には次に示す材料を使用すること。

ただし、次に示す材料以外のものであっても、その熱的特性等が設計上要求される材料

特性を十分満足していることが確認される場合には非支圧部に使用することができる。

(1) 粒状パーライト*2

粒状パーライトはJIS A 5007(1977)によること。

(2) グラスウール*3

グラスウールは、JIS A 9504(2017)「人造鉱物繊維保温材」によること。なお、16K、

20Kの保温板を用いる場合は、24Kの規定を準用すること。ただし、密度及び熱伝導率に

ついては、JIS A 9505(1974)「グラスウール保温材」*4によること。

0.02

0.025

0.03

0.035

0.04

0.045

0.05

-200 -150 -100 -50 0 50

平均温度(℃)

熱伝導率(W/mK)

比重

0.130

比重

0.140

解図 7-1 あわガラスの熱伝導率[1]

解図7-1 あわガラスの熱伝導率[1]

パブコメ用ドラフト

- 160 -

第7章 保冷

第7章 -6-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

【関連条項】

省令第14条(材料)第三号イ

解釈例第13条(製造設備等の材料)第1項第九号

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)第1項第八号

【解 説】

*(1) 非支圧部とは主として断熱性能が要求される部分をいう。

*(2) 圧密比重は一般に0.048~0.080程度が用いられる。

圧密比重はメスシリンダー(2,000㏄)にあらかじめ重量を測定したパーライトを

静かに入れ、これをゴム板上に75㎜の高さから1,000回落下させた後の見掛け比重

をいう[1]。

〔備 考〕

[1]米国 Perlite Institute Inc.規定による。

また、粒状パーライトの圧密比重と熱伝導率との関係の一例を解図7-2に示す。

〔備 考〕

[1]米国 Perlite Institute Inc.データによる。

*(3) グラスウールとしては、グラスウール保温板2号(JIS A 9505(1979))が通常用い

られており、その熱伝導率を単位体積重量に応じて解表7-1に示す。本指針では、

【関連条項】

省令第14条(材料)第三号イ

解釈例第13条(製造設備等の材料)第1項第九号

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)第1項第八号

【解 説】

*1 非支圧部とは主として断熱性能が要求される部分をいう。

*2 圧密比重は一般に0.048~0.080程度が用いられる。

圧密比重はメスシリンダー(2,000㏄)にあらかじめ重量を測定したパーライトを

静かに入れ、これをゴム板上に75㎜の高さから1,000回落下させた後の見掛け比重

をいう[1]。

〔備 考〕

[1]米国 Perlite Institute Inc.規定による。

また、粒状パーライトの圧密比重と熱伝導率との関係の一例を解図7-2に示

す。但し、掲載データは、製品の実測値の平均値であり、製造者の保証値ではな

いため、設計時には注意を要する。

〔備 考〕

[1]米国 Perlite Institute Inc.データによる。

解図 7-2 粒状パーライトの熱伝導率〔1〕

比重

解図7-2 粒状パーライトの熱伝導率〔1〕

比重

パブコメ用ドラフト

- 161 -

第7章 保冷

第7章 -7-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

JIS A 9505(1974)「グラスウール保温材」の解説に示された平均温度0℃における

熱伝導率を参考にして、標準的な熱伝導率を定めた。

解表7-1 グラスウールの熱伝導率

種類 グラスウール保温板2号

単位体積重量

(kgf/m3)

11以上

14未満

14以上

18未満

18以上

22未満

22以上

28未満

28以上

36以下

熱伝導率

(kcal/mh℃) 0.035 0.033 0.031 0.029 0.028

(平均温度0℃)

また、グラスウールの温度と熱伝導率との関係の一例を解図7-3に示す。

〔備 考〕

[1]日本硝子繊維(株)データによる。

*3 グラスウールの温度と熱伝導率との関係の一例を解図7-3に示す。ただし、掲

載データは、製品の実測値の平均値であり、製造者の保証値ではないため、設計時

には注意を要する。

解図7-3 グラスウールの熱伝導率[1]

〔備 考〕

[1]旭ファイバーグラス(株)データによる。

*4 JIS A 9504(2017)「人造鉱物繊維保温材」には、低密度(16K,20K)のグラスウ

ールは規定されていない。そのため、密度及び熱伝導率については、 JIS A

9505(1974)「グラスウール保温材」によることとしている。JIS A 9505(1974)「グ

ラスウール保温材」で規定している密度及び熱伝導率を解表7-1に示す。

解図 7-3 グラスウールの温度と熱伝導率との関係[1]

パブコメ用ドラフト

- 162 -

第7章 保冷

第7章 -8-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

7.3 許容応力

支圧部に使用する保冷材の許容圧縮応力は、材料の種類に応じて、圧縮強さの基準値*(1)を

表7-1に示す安全率で除して得られた値以下とすること。

圧縮強さの基準値は、材料ごとに表7-2に示す試験方法及び判定基準値に従ってあらかじめ

確認された値*(2)に基づいて定めること。

表7-1 安全率

安全率

常時性能評価 3.0*(3)

レベル1耐震性能評価 2.0

レベル2耐震性能評価 1.2

【関連条項】

省令第15条(構造等)第三号イ

解釈例第19条(許容応力)第1項第六号

解釈例別添第8条(許容圧縮応力)第3項

【解 説】

*(1) ここでいう圧縮強さの基準値とは常温における値をいう。ただし、使用温度にお

いて特別に試験を行い、その強度を確認した場合には、使用温度における圧縮強さ

を基準値とすることができる1)。使用温度は、保冷材の温度分布を考慮し適切に設

定すること。

<参考文献>

1) 山口悟,高田昌典,山下眞輝,伊達重之:”地上式LNGタンク底部保冷材の低温

時の性能確認試験”,土木学会全国大会第57回年次学術講演会講演論文集,(2002.9)

*(2) 「あらかじめ確認された値」とは、圧縮強さに対する製造者の保証値をいうのが

一般的である。この場合、実際に使用される材料の圧縮強さが基準値を満足してい

ることを、それが製造された段階で7.6に示された試験方法により確認すること。

*(3) 耐圧試験時又は水張試験時は、安全率2.0を用いること。

解表7-1

種類 密度

(kg/m3)

熱伝導率

(70℃)

(W/m・K)

16K 14~18 0.050以下

20K 18~22 0.045以下

7.3 許容応力

支圧部に使用する保冷材の許容圧縮応力は、材料の種類に応じて、圧縮強さの基準値*1

を表7-1に示す安全率で除して得られた値以下とすること。

圧縮強さの基準値は、材料ごとに表7-2に示す試験方法及び判定基準値に従ってあら

かじめ確認された値*2に基づいて定めること。

表7-1 安全率

安全率

常時性能評価 3.0*3

レベル1耐震性能評価 2.0

レベル2耐震性能評価 1.2

【関連条項】

省令第15条(構造等)第三号イ

解釈例第19条(許容応力)第1項第六号

解釈例別添第8条(許容圧縮応力)第3項

【解 説】

*1 ここでいう圧縮強さの基準値とは常温における値をいう。ただし、使用温度にお

いて特別に試験を行い、その強度を確認した場合には、使用温度における圧縮強さ

を基準値とすることができる1)。使用温度は、保冷材の温度分布を考慮し適切に設

定すること。

<参考文献>

1) 山口悟、高田昌典、山下眞輝、伊達重之:「地上式LNGタンク底部保冷材の低温

時の性能確認試験」、土木学会全国大会第57回年次学術講演会講演論文集、(2002.9)

*2 「あらかじめ確認された値」とは、圧縮強さに対する製造者の保証値をいうのが

一般的である。この場合、実際に使用される材料の圧縮強さが基準値を満足してい

ることを、それが製造された段階で7.6に示された試験方法により確認すること。

*3 耐圧試験時又は水張試験時は、安全率2.0を用いること。

パブコメ用ドラフト

- 163 -

第7章 保冷

第7章 -9-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

7.4 構造及び設計

7.4.1 構 造

(1) 保冷は、使用する材料の特性、作用する荷重及び内槽の熱変位、変形等を考慮し、

適切な構造とすること。

(2) 側部保冷は、内槽側板の温度変化、内槽の圧力変動、地震等により、保冷性能の低

下及び内槽側板に作用する側圧が過大にならないような構造とすること*(1)。

(3) 底部保冷は、内槽からの荷重を安全に基礎版に伝達する構造とすること*(2)。

(4) 保冷材の目地は、熱的短絡路(Cold-Path)が生じないように、目地材を充てんする等

の処置をすること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)第三号イ

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 保冷性能の低下及び内槽に対する過大な荷重を防ぐため、一般にダイヤフラム方

式又はブランケット式が多く採用されている。

ダイヤフラム方式の場合は、内槽の外側にダイヤフラムを設け、側部保冷材とし

て一般的に用いられる粒状パーライトによる側圧を内槽に作用させない構造とな

っている。

また、ブランケット方式の場合には、内槽外面(及び必要に応じて外槽内面)に

グラスウールを取付け、グラスウールの弾性によって粒状パーライトによる側圧を

低減する構造となっている。

*(2) 支圧部である底部保冷は、強固なコンクリート基礎版に、内槽からの通常荷重、

地震荷重等を安全に伝達しなければならない。特に、内槽側板下部の保冷は、地震

時の動液圧による側板転倒モーメント等による鉛直荷重に十分耐えるようにする

こと。

7.4.2 設 計

(1) 底部保冷の強度設計*(1)

(a) 荷重

底部保冷に作用する通常運転時及び地震時の荷重の種類、算定及び組合せは第4章によ

ること。

7.4 構造及び設計

7.4.1 構 造

(1) 保冷は、使用する材料の特性、作用する荷重及び内槽の熱変位、変形等を考慮し、

適切な構造とすること。

(2) 側部保冷は、内槽側板の温度変化、内槽の圧力変動、地震等により、保冷性能の低

下及び内槽側板に作用する側圧が過大にならないような構造とすること*1。

(3) 底部保冷は、内槽からの荷重を安全に基礎版に伝達する構造とすること*2。

(4) 保冷材の目地は、熱的短絡路(Cold-Path)が生じないように、目地材を充てんする等

の処置をすること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)第三号イ

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 保冷性能の低下及び内槽に対する過大な荷重を防ぐため、一般にダイヤフラム方

式又はブランケット式が多く採用されている。

ダイヤフラム方式の場合は、内槽の外側にダイヤフラムを設け、側部保冷材とし

て一般的に用いられる粒状パーライトによる側圧を内槽に作用させない構造とな

っている。

また、ブランケット方式の場合には、内槽外面(及び必要に応じて外槽内面)に

グラスウールを取付け、グラスウールの弾性によって粒状パーライトによる側圧を

低減する構造となっている。

*2 支圧部である底部保冷は、強固なコンクリート基礎版に、内槽からの通常荷重、

地震荷重等を安全に伝達しなければならない。特に、内槽側板下部の保冷は、地震

時の動液圧による側板転倒モーメント等による鉛直荷重に十分耐えるようにする

こと。

7.4.2 設 計

(1) 底部保冷の強度設計*1

(a) 荷重

底部保冷に作用する通常運転時及び地震時の荷重の種類、算定及び組合せは第4章によ

ること。

パブコメ用ドラフト

- 164 -

第7章 保冷

第7章 -10-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(b) 強度

圧縮応力は7.3に示す許容応力以下であること。

ただし、適切な試験*(2)を行い、その安全性を確認する場合はこの限りでない。

(2) 熱的設計

(a) 熱伝導率

(ⅰ)熱伝導率の基準値は、保冷材の種類に応じて、あらかじめ確認された値*(3)に基づい

て定めること。

(ⅱ)保冷材を組合せる場合には、各保冷材の熱伝導率をもとに理論計算により算出される

等価熱伝導率*(4)とすること。

ただし、構造が複雑で、理論計算により等価熱伝導率を算出することが困難な場合に

は、適切な試験により、等価熱伝導率を求めることができる。

(b) ボイルオフガス発生量

自然入熱により、内槽内で発生する最大ボイルオフガス発生量は、適切な手法により求

めること*(5)。

【解 説】

*(1) 保冷のうち、支圧部となるのは底部保冷であるので、本指針では強度設計の対象

として底部保冷を取扱う。

耐圧試験時又は水張試験時において、6.2.7(2)で規定する水位の高さを超えて水

を張り、試験を行う場合は、強度検討を行うこと。

*(2) 支圧部のうち、内槽側板下部のように、地震時の動液圧による転倒モーメント等

による鉛直荷重が部分的に作用する保冷材については、適切な実物模型を用いて、

地震時の鉛直荷重以上の荷重を作用させて、圧縮試験を行う方法がある。

*(3) 「あらかじめ確認された値」とは、製造者の保証値をいうのが一般的である。

*(4) 等価熱伝導率を算出するための一例として、2種の異なる保冷材A及びBが熱流

の方向に対して直列に並んだ場合及び並列に並んだ場合の算定式を以下に示す。

解図7-4 熱流に対する保冷材の配置の一例

(b) 強度

圧縮応力は7.3「許容応力」に示す許容応力以下であること。

ただし、適切な試験*2を行い、その安全性を確認する場合はこの限りでない。

(2) 熱的設計

(a) 熱伝導率

(ⅰ) 熱伝導率の基準値は、保冷材の種類に応じて、あらかじめ確認された値*3に基づい

て定めること。

(ⅱ) 保冷材を組合せる場合には、各保冷材の熱伝導率をもとに理論計算により算出され

る等価熱伝導率*4とすること。

ただし、構造が複雑で、理論計算により等価熱伝導率を算出することが困難な場合に

は、適切な試験により、等価熱伝導率を求めることができる。

(b) ボイルオフガス発生量

自然入熱により、内槽内で発生する最大ボイルオフガス発生量は、適切な手法により求

めること*5。

【解 説】

*1 保冷のうち、支圧部となるのは底部保冷であるので、本指針では強度設計の対象

として底部保冷を取扱う。

耐圧試験時又は水張試験時において、第6章「内槽及び外槽の試験及び検査」

6.2.7水張試験(2)で規定する水位の高さを超えて水を張り、試験を行う場合は、強

度検討を行うこと。

*2 支圧部のうち、内槽側板下部のように、地震時の動液圧による転倒モーメント等

による鉛直荷重が部分的に作用する保冷材については、適切な実物模型を用いて、

地震時の鉛直荷重以上の荷重を作用させて、圧縮試験を行う方法がある。

*3 「あらかじめ確認された値」とは、製造者の保証値をいうのが一般的である。

*4 等価熱伝導率を算出するための一例として、2種の異なる保冷材A及びBが熱流

の方向に対して直列に並んだ場合及び並列に並んだ場合の算定式を以下に示す。

解図7-4 熱流に対する保冷材の配置の一例

(a) 直列の場合 (b) 並列の場合 (a) 直列の場合 (b) 並列の場合

パブコメ用ドラフト

- 165 -

第7章 保冷

第7章 -11-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

等価熱伝導率の算定式

(a) 熱流に直列に配置された場合

B

B

A

A

BA

λ

d

λ

d

ddλ

+=

(b) 熱流に並列に配置された場合

λ=λAAA+λBAB

ここに、λ:等価熱伝導率

λA、λB :保冷材A及びBの熱伝導率

dA、dB :保冷材A及びBの厚さ

AA、AB:保冷材A及びBの面積比(したがって、AA+AB=1)

*(5) 最大ボイルオフガス発生量を求める手法を次に示す。

(a) 屋根部は外槽屋根の全面が夏期最高表面温度に、側部は外槽側板(PCLNG

貯槽においてはPC防液堤)の表面積の半分が夏期最高表面温度に、半分が最高

気温(月平均気温1)の年最高値)になっているものとする。

(b) 計算は次の式による。

(ⅰ)入熱量

Q=UAΔT

ここに、Q:入熱量(kW)

U:総括熱伝達係数(kW/m2℃)

1

Σ

=

i

i

i λ

tU

λi:各断熱材の熱伝導率(kW/m℃)

ti:各断熱材の厚さ(m)

A:伝熱表面積(m2)

ΔT:内部と外部の温度差(℃)

(ⅱ)総合入熱量

QT = Qr + Qa + Qb

ここに、QT :総合入熱量(kW)

Qr :屋根部からの入熱量(kW)

Qa :側部からの入熱量(kW)

Qb :底部からの入熱量(kW)

(ⅲ)ボイルオフガス発生量

K

Qq T600,3=

ここに、q :ボイルオフガス発生量(kg/h)

等価熱伝導率の算定式

(1) 熱流に直列に配置された場合

B

B

A

A

BA

λ

d

λ

d

ddλ

+=

(2) 熱流に並列に配置された場合

λ=λAAA+λBAB

ここに、λ:等価熱伝導率

λA、λB :保冷材A及びBの熱伝導率

dA、dB :保冷材A及びBの厚さ

AA、AB:保冷材A及びBの面積比(したがって、AA+AB=1)

*5 最大ボイルオフガス発生量を求める手法を次に示す。

(1) 屋根部は外槽屋根の全面が夏期最高表面温度に、側部は外槽側板(PCLNG

貯槽においてはPC防液堤)の表面積の半分が夏期最高表面温度に、半分が最高

気温(月平均気温1)の年最高値)になっているものとする。

(2) 計算は次の式による。

(a)入熱量

Q=UAΔT

ここに、Q:入熱量(kW)

U:総括熱伝達係数(kW/m2℃)

1

Σ

=

i

i

i λ

tU

λi:各断熱材の熱伝導率(kW/m℃)

ti:各断熱材の厚さ(m)

A:伝熱表面積(m2)

ΔT:内部と外部の温度差(℃)

(b)総合入熱量

QT = Qr + Qa + Qb

ここに、QT :総合入熱量(kW)

Qr :屋根部からの入熱量(kW)

Qa :側部からの入熱量(kW)

Qb :底部からの入熱量(kW)

(c)ボイルオフガス発生量

K

Qq T600,3=

ここに、q :ボイルオフガス発生量(kg/h)

パブコメ用ドラフト

- 166 -

第7章 保冷

第7章 -12-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

QT :総合入熱量(kW)

K :LNGの蒸発潜熱(kJ/kg)

(ⅳ)最大ボイルオフガス発生率

ρV

qR

400,2=

ここに、R :最大ボイルオフガス発生率(wt%/日)

q :ボイルオフガス発生量(kg/h)

V:LNGの貯蔵容量(m3)

ρ :LNGの密度(kg/m3)

<参考文献>

1) 国立天文台: ”理科年表”,丸善㈱

7.5 製作及び組立

7.5.1 製 作

(1) 一般

(a) 製作に先立ち、素材が適切なものであることを確認すること。

(b) 保冷材の種類に応じて、十分な品質を得るよう適切な条件のもとに製作すること。

(c) 製作後、材料表面等に有害な凹凸、ひび割れ、損傷、はく離等の加工欠陥がないこ

とを確認すること。

(2) 表示

保冷材は必要な項目を適切な方法で表示すること。

(3) 梱包

保冷材は防湿、防水及び輸送中等における損傷防止のため、必要に応じて適切な梱包

を行うこと。

7.5.2 組 立

(1) 保冷材は、その材料特性並びに構造上及び設計上要求される事項に十分注意して、

組立を行うこと*(1)。

(2) 底部保冷材の組立に先立ち、据付け面が平担であることを確認すること。

(3) 組立に先立ち、使用する保冷材が7.6.1に示す製品検査に合格していることを確認

すること。

(4) 組立中は適切な防湿、防水対策を施すこと。

【解 説】

*(1) 側部保冷材として粒状パーライトを用いる場合は、粒状パーライト充填時に適切

QT :総合入熱量(kW)

K :LNGの蒸発潜熱(kJ/kg)

(d)最大ボイルオフガス発生率

ρV

qR

400,2=

ここに、R :最大ボイルオフガス発生率(wt%/日)

q :ボイルオフガス発生量(kg/h)

V:LNGの貯蔵容量(m3)

ρ :LNGの密度(kg/m3)

<参考文献>

1) 国立天文台: 「理科年表」、丸善㈱

7.5 製作及び組立

7.5.1 製 作

(1) 一般

(a) 製作に先立ち、素材が適切なものであることを確認すること。

(b) 保冷材の種類に応じて、十分な品質を得るよう適切な条件のもとに製作すること。

(c) 製作後、材料表面等に有害な凹凸、ひび割れ、損傷、はく離等の加工欠陥がないこ

とを確認すること。

(2) 表示

保冷材は必要な項目を適切な方法で表示すること。

(3) 梱包

保冷材は防湿、防水及び輸送中等における損傷防止のため、必要に応じて適切な梱包

を行うこと。

7.5.2 組 立

(1) 保冷材は、その材料特性並びに構造上及び設計上要求される事項に十分注意して、

組立を行うこと*1。

(2) 底部保冷材の組立に先立ち、据付け面が平担であることを確認すること。

(3) 組立に先立ち、使用する保冷材が7.6.1「製品検査」に示す製品検査に合格してい

ることを確認すること。

(4) 組立中は適切な防湿、防水対策を施すこと。

【解 説】

*1 側部保冷材として粒状パーライトを用いる場合は、粒状パーライト充填時に適切

パブコメ用ドラフト

- 167 -

第7章 保冷

第7章 -13-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

な方法で予圧密等を行うことにより、通常運転時及び地震時に過大な沈降を起さな

いようにすること。

7.6 試験及び検査

7.6.1 製品検査

(1) 外観検査

製品には、使用上有害な凹凸、ひび割れ、反り等の変形、損傷、空洞等がないことを

確認すること。

(2) 寸法検査

製品の寸法は、組立上要求される精度を満足していることを確認すること。

(3) 品質検査

(a) 保冷材の圧縮”強さ*(1)等の確認

保冷材の種類に応じて表7-2に示す試験方法に従って検査を行い、判定基準値がそ

れぞれの基準値以上であることを確認すること。

なお、試験は原則として大気温度で行うこと。

表7-2 試験方法及び判定基準値

材料

特性 材料の種類 試験方法 判定基準値

パーライトコンクリート

軽骨パーライトコンクリート

構造用軽量コンクリート

JIS A 1108(2006)「コンクリートの圧縮強度試験

方法」

試験結果の

最低値 軽量気泡コンクリート JIS A 5416(2007)「軽量気泡コンクリートパネル」

あわガラス ASTM C 240(2008)「Standard Test Methods of

Testing Cellular Glass Insulation Block」[1]

硬質プラスチックフォーム JIS A 9511(2009) 「発泡プラスチック保温材」

パーライトコンクリート

軽骨パーライトコンクリート

構造用軽量コンクリート

軽量気泡コンクリート

JIS A 5416(2007)「軽量気泡コンクリートパネル」

試験結果の

平均値 あわガラス ASTM C 240(2008)「Standard Test Methods of

Testing Cellular Glass Insulation Block」

パーライト JIS A 5007(1977)「パーライト」

グラスウール JIS A 9504(2004)「人造鉱物繊維保温材」

硬質プラスチックフォーム JIS A 9511(2009)「発泡プラスチック保温材」

〔備 考〕

[1]あわガラスの圧縮強さの試験において使用するキャッピング材は、実際に使用する

ものと同一の種類のものとすること。

(b) 保冷材の熱伝導率の確認

保冷材の熱伝導率の確認をする場合には、表7-3に示す試験方法に従って測定し、

その値が設計値以下であることを確認すること*(2)。

な方法で予圧密等を行うことにより、通常運転時及び地震時に過大な沈降を起さな

いようにすること。

7.6 試験及び検査

7.6.1 製品検査

(1) 外観検査

製品には、使用上有害な凹凸、ひび割れ、反り等の変形、損傷、空洞等がないことを

確認すること。

(2) 寸法検査

製品の寸法は、組立上要求される精度を満足していることを確認すること。

(3) 品質検査

(a) 保冷材の圧縮”強さ*1等の確認

保冷材の種類に応じて表7-2に示す試験方法に従って検査を行い、判定基準値が

それぞれの基準値以上であることを確認すること。

なお、試験は原則として大気温度で行うこと。

表7-2 試験方法及び判定基準値

材料

特性 材料の種類 試験方法 判定基準値

パーライトコンクリート

軽骨パーライトコンクリート

構造用軽量コンクリート

JIS A 1108(2006)「コンクリートの圧縮強度試験

方法」

試験結果の

最低値 軽量気泡コンクリート JIS A 5416(2016)「軽量気泡コンクリートパネル」

あわガラス ASTM C 240(2016)「Standard Test Methods of

Testing Cellular Glass Insulation Block」[1]

硬質プラスチックフォーム JIS A 9511(2017) 「発泡プラスチック保温材」

パーライトコンクリート

軽骨パーライトコンクリート

構造用軽量コンクリート

軽量気泡コンクリート

JIS A 5416(2016)「軽量気泡コンクリートパネル」

試験結果の

平均値 あわガラス ASTM C 240(2016)「Standard Test Methods of

Testing Cellular Glass Insulation Block」

パーライト JIS A 5007(1977)「パーライト」

グラスウール JIS A 9504(2017)「人造鉱物繊維保温材」

硬質プラスチックフォーム JIS A 9511(2017)「発泡プラスチック保温材」

〔備 考〕

[1]あわガラスの圧縮強さの試験において使用するキャッピング材は、実際に使用する

ものと同一の種類のものとすること。

(b) 保冷材の熱伝導率の確認

保冷材の熱伝導率の確認をする場合には、表7-3に示す試験方法に従って測定

し、その値が設計値以下であることを確認すること*2。

パブコメ用ドラフト

- 168 -

第7章 保冷

第7章 -14-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

表7-3 熱伝導率の確認方法

材料区分 試験方法[1]

あわガラス

JIS A 1412-1(1999)「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法:保護熱板法(GHP

法)」、

JIS A 1412-2(1999)「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法:熱流計法(HFM

法)」、

ASTM C 177(2010)「Standard Test Method for Steady-state Heat Flux Measurements

and Thermal Transmission Properties by Means of the Guarded-Hot-Plate

Apparatus」

又は

ASTM C 518(2010)「Standard Test Method for Steady-state Thermal Transmission

Properties by Means of the Heat Flow Meter Apparatus」

あわガラス

以外の材料

JIS A 1412-1(1999)「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法:保護熱板法(GHP

法)」

又は

JIS A 1412-2(1999)「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法:熱流計法(HFM法)」

〔備 考〕

[1]試験方法については、表中に示された方法と同等以上の精度を有する試験方法で代

用することができる。

(4) 検査数量

製品検査のうち、寸法検査及び品質検査については適切な抜取り方法によることがで

きる。

【解 説】

*(1) 「圧縮強さ」とは試験機が示す最大荷重を読み、これを供試体の原断面積で除し

た値をいう。ただし、10%以上のひずみに耐えうる材料の場合には、10%のひずみ

の範囲で試験機が示す最大荷重を読み、これを供試体の原断面積で除した値をいう

[1]。

〔備 考〕

[1]ASTM C 165(2007)「Standard Test Method for Measuring Compressive Properties of

Thermal Insulation」に準じる。

*(2) 保冷材の熱伝導率は、その製品に対する代表的な試験データの値によって確認す

ることもできる。

7.6.2 組立検査

組立時には、次に示す検査を行うこと。

(1) 組立時には、各組立段階ごとに有害な欠陥がないことを目視により確認すること。

(2) 組立後、主要な寸法を計測し、設計上要求される精度を有することを確認すること。

表7-3 熱伝導率の確認方法

材料区分 試験方法[1]

あわガラス

JIS A 1412-1(2016)「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法:保護熱板法(GHP

法)」、

JIS A 1412-2(2016)「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法:熱流計法(HFM

法)」、

ASTM C 177(2013)「Standard Test Method for Steady-state Heat Flux Measurements

and Thermal Transmission Properties by Means of the Guarded-Hot-Plate

Apparatus」

又は

ASTM C 518(2017)「Standard Test Method for Steady-state Thermal Transmission

Properties by Means of the Heat Flow Meter Apparatus」

あわガラス

以外の材料

JIS A 1412-1(2016)「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法:保護熱板法(GHP

法)」

又は

JIS A 1412-2(2016)「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法:熱流計法(HFM法)」

〔備 考〕

[1]試験方法については、表中に示された方法と同等以上の精度を有する試験方法で代

用することができる。

(4) 検査数量

製品検査のうち、寸法検査及び品質検査については適切な抜取り方法によることがで

きる。

【解 説】

*1 「圧縮強さ」とは試験機が示す最大荷重を読み、これを供試体の原断面積で除し

た値をいう。ただし、10%以上のひずみに耐えうる材料の場合には、10%のひずみ

の範囲で試験機が示す最大荷重を読み、これを供試体の原断面積で除した値をいう

[1]。

〔備 考〕

[1]ASTM C 165(2012)「Standard Test Method for Measuring Compressive Properties of

Thermal Insulation」に準じる。

*2 保冷材の熱伝導率は、その製品に対する代表的な試験データの値によって確認す

ることもできる。

7.6.2 組立検査

組立時には、次に示す検査を行うこと。

(1) 組立時には、各組立段階ごとに有害な欠陥がないことを目視により確認すること。

(2) 組立後、主要な寸法を計測し、設計上要求される精度を有することを確認すること。

パブコメ用ドラフト

- 169 -

第8章 -1-

「第8章 基礎」においての記載内容

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

第8章 基 礎

8.1 一 般 ······················································· 177

8.2 地盤調査 ······················································· 178

8.2.1 一 般 ··················································· 178

8.2.2 調査計画 ··················································· 179

8.2.3 調査項目 ··················································· 179

8.2.4 資料調査及び現地踏査 ········································ 179

8.2.5 ボーリング調査、サウンディング及びサンプリング ·············· 180

8.2.6 室内試験 ··················································· 181

8.2.7 原位置試験 ················································· 182

8.3 材 料 ······················································· 182

8.3.1 コンクリート及びPCグラウト ································ 182

8.3.2 鉄筋及びプレストレストコンクリート用鋼材 ···················· 184

8.3.3 杭 ························································· 190

8.3.4 その他の材料 ··············································· 190

8.4 設計値 ························································· 191

8.4.1 コンクリート ··············································· 191

8.4.2 鉄筋及びPC鋼材 ··········································· 193

8.4.3 杭 ························································· 194

8.4.4 冷熱抵抗緩和材 ············································· 195

8.5 構造及び設計 ··················································· 195

8.5.1 一 般 ··················································· 195

8.5.2 荷 重 ··················································· 197

8.5.2.1 荷重の種類 ·············································· 197

8.5.2.2 荷重の算定 ·············································· 197

8.5.2.3 荷重の組合せ ············································ 201

8.5.3 安全係数 ··················································· 202

8.5.4 地盤の液状化 ··············································· 203

8.5.5 杭基礎の構造及び設計 ········································ 203

8.5.6 直接基礎の構造及び設計 ······································ 208

8.5.7 基礎版の構造及び設計 ········································ 213

8.5.8 底部加温装置の構造及び設計 ·································· 225

8.5.9 冷熱抵抗緩和部の構造及び設計 ································ 225

8.6 施 工 ······················································· 231

第8章 基 礎

8.1 一 般 ······················································· 177

8.2 地盤調査 ······················································· 178

8.2.1 一 般 ··················································· 178

8.2.2 調査計画 ··················································· 179

8.2.3 調査項目 ··················································· 179

8.2.4 資料調査及び現地踏査 ······································· 179

8.2.5 ボーリング調査、サウンディング及びサンプリング ············· 180

8.2.6 室内試験 ··················································· 181

8.2.7 原位置試験 ················································· 182

8.3 材 料 ······················································· 182

8.3.1 コンクリート及びPCグラウト ······························· 182

8.3.2 鉄筋及びプレストレストコンクリート用鋼材 ··················· 184

8.3.3 杭 ························································· 190

8.3.4 その他の材料 ··············································· 190

8.4 設計値 ························································· 191

8.4.1 コンクリート ··············································· 191

8.4.2 鉄筋及びPC鋼材 ··········································· 193

8.4.3 杭 ························································· 194

8.4.4 冷熱抵抗緩和材 ············································· 195

8.5 構造及び設計 ··················································· 195

8.5.1 一 般 ··················································· 195

8.5.2 荷 重 ··················································· 197

8.5.2.1 荷重の種類 ············································· 197

8.5.2.2 荷重の算定 ············································· 197

8.5.2.3 荷重の組合せ ··········································· 201

8.5.3 安全係数 ··················································· 202

8.5.4 地盤の液状化 ··············································· 203

8.5.5 杭基礎の構造及び設計 ······································· 203

8.5.6 直接基礎の構造及び設計 ····································· 208

8.5.7 基礎版の構造及び設計 ······································· 213

8.5.8 底部加温装置の構造及び設計 ································· 225

8.5.9 冷熱抵抗緩和部の構造及び設計 ······························· 225

8.6 施 工 ······················································· 231

パブコメ用ドラフト

- 170 -

第8章 基礎

第8章 -2-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

8.6.1 杭基礎の施工 ··············································· 231

8.6.2 直接基礎の施工 ············································· 231

8.6.3 基礎版の施工 ··············································· 231

8.6.4 冷熱抵抗緩和部の施工 ········································ 236

8.7 試験及び検査 ··················································· 236

8.7.1 杭の試験及び検査 ··········································· 236

8.7.2 基礎版の試験及び検査 ········································ 236

8.7.3 冷熱抵抗緩和部の試験及び検査 ································ 238

8.6.1 杭基礎の施工 ··············································· 231

8.6.2 直接基礎の施工 ············································· 231

8.6.3 基礎版の施工 ··············································· 231

8.6.4 冷熱抵抗緩和部の施工 ······································· 236

8.7 試験及び検査 ··················································· 236

8.7.1 杭の試験及び検査 ··········································· 236

8.7.2 基礎版の試験及び検査 ······································· 236

8.7.3 冷熱抵抗緩和部の試験及び検査 ······························· 238

パブコメ用ドラフト

- 171 -

第8章 基礎

第8章 -3-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

8.1 一 般

(1) 本章は、LNG地上式貯槽の基礎*(1)であって、基礎版を杭又は堅固な地盤で支持する基

礎構造*(2)に適用する。

(2) 基礎は、地盤状況*(3)、貯槽の構造、施工条件等に応じて安全な構造とすること。

(3) 耐用年数を定め、その期間において耐久性を維持できる設計及び施工とすること。

(4) この指針に規定されていない事項については、必要に応じて関連諸規定*(4)によること。

【解 説】

*(1) LNG地上式貯槽の基礎構造の例を解図8-1に示す。

解図8-1 基礎構造の例

ここで、用語の意味は次による。

(a) 高床式基礎:基礎版と地表面との間に空間部を設けた基礎。

8.1 一 般

(1) 本章は、LNG地上式貯槽の基礎*1であって、基礎版を杭又は堅固な地盤で支持す

る基礎構造*2に適用する。

(2) 基礎は、地盤状況*3、貯槽の構造、施工条件等に応じて安全な構造とすること。

(3) 耐用年数を定め、その期間において耐久性を維持できる設計及び施工とすること。

(4) この指針に規定されていない事項については、必要に応じて関連諸規定 *4によるこ

と。

【解 説】

*1 LNG地上式貯槽の基礎構造の例を解図8-1に示す。

解図8-1 基礎構造の例

ここで、用語の意味は次による。

(a) 高床式基礎:基礎版と地表面との間に空間部を設けた基礎。

杭 杭

杭 杭

杭基礎 杭基礎

杭基礎 杭基礎

杭 杭

杭 杭

杭基礎 杭基礎

杭基礎 杭基礎

パブコメ用ドラフト

- 172 -

第8章 基礎

第8章 -4-

(b) 基礎版:貯槽の荷重を直接支持するために設けられた構造部分

(c) 地中基礎版:高床式基礎で、基礎の耐力増強のために基礎版に付加して地表面

下に設けられた構造部分

基礎版を直接地盤に接触させると、LNGの冷熱の伝達により地盤が凍結するお

それがある。したがって、地盤の凍結を防ぐためには、基礎版下面と地表面との間

に空間部を設け十分な通風を確保するか、又は加温装置を設置する必要がある。

*(2) 基礎の形式には地盤状況等により、杭基礎、直接基礎、ケーソン基礎等があるが、

本指針は杭基礎及び直接基礎について適用するものとし、それ以外のものについて

は適用範囲外とする。

*(3) 地盤の状況は8.2に示す方法により調査し、必要に応じて適切な地盤改良を行う

こと。

*(4) LNG地上式貯槽の基礎に関連する諸規定には次のものがある。設計にあたって

は必要に応じてこれらによること。

製造設備等耐震設計指針 日本ガス協会

高圧ガス設備等耐震設計指針 高圧ガス保安協会

コンクリート標準示方書 土木学会

鉄道構造物等設計標準・同解説 鉄道総合技術研究所

日本工業規格 日本規格協会

道路橋示方書・同解説 日本道路協会

港湾の施設の技術上の基準・同解説 日本港湾協会

プレストレストコンクリート工法設計施工指針 土木学会

プレストレストコンクリート設計施工規準・同解説 日本建築学会

鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説 日本建築学会

鋼構造限界状態設計規準・同解説 日本建築学会

建築基礎構造設計指針 日本建築学会

建築工事標準仕様書・同解説 日本建築学会

地盤調査の方法と解説 地盤工学会

地盤材料試験の方法と解説 地盤工学会

8.2 地盤調査

8.2.1 一 般*(1)

地上式貯槽の建設にあたっては、合理的な計画、設計、施工及び維持管理を行うために地盤

調査を行い、地盤に関する資料を得ること。

【解 説】

*(1) 地盤調査の目的は、支持層の確認、将来の沈下予測、地震時の安定性の検討、貯

槽の構造設計等を行うために必要な地盤に関する資料を得ることにある。

(b) 基礎版:貯槽の荷重を直接支持するために設けられた構造部分

(c) 地中基礎版:高床式基礎で、基礎の耐力増強のために基礎版に付加して地表面

下に設けられた構造部分

基礎版を直接地盤に接触させると、LNGの冷熱の伝達により地盤が凍結するお

それがある。したがって、地盤の凍結を防ぐためには、基礎版下面と地表面との間

に空間部を設け十分な通風を確保するか、又は加温装置を設置する必要がある。

*2 基礎の形式には地盤状況等により、杭基礎、直接基礎、ケーソン基礎等があるが、

本指針は杭基礎及び直接基礎について適用するものとし、それ以外のものについて

は適用範囲外とする。

*3 地盤の状況は8.2「地盤調査」に示す方法により調査し、必要に応じて適切な地盤

改良を行うこと。

*4 LNG地上式貯槽の基礎に関連する諸規定には次のものがある。設計にあたって

は必要に応じてこれらによること。

製造設備等耐震設計指針 日本ガス協会

高圧ガス設備等耐震設計指針 高圧ガス保安協会

コンクリート標準示方書 土木学会

日本工業規格 日本規格協会

道路橋示方書・同解説 日本道路協会

港湾の施設の技術上の基準・同解説 日本港湾協会

プレストレストコンクリート工法設計施工指針 土木学会

プレストレストコンクリート設計施工規準・同解説 日本建築学会

鋼構造限界状態設計規準・同解説 日本建築学会

地盤調査の方法と解説 地盤工学会

地盤材料試験の方法と解説 地盤工学会

8.2 地盤調査

8.2.1 一 般*1

地上式貯槽の建設にあたっては、合理的な計画、設計、施工及び維持管理を行うために

地盤調査を行い、地盤に関する資料を得ること。

【解 説】

*1 地盤調査の目的は、支持層の確認、将来の沈下予測、地震時の安定性の検討、貯

槽の構造設計等を行うために必要な地盤に関する資料を得ることにある。

パブコメ用ドラフト

- 173 -

第8章 基礎

第8章 -5-

8.2.2 調査計画*(1)

地盤調査は、予備調査と本調査に分けて行い、各調査段階で目的に応じて、項目、方法、範

囲及び密度を計画すること。

【解 説】

*(1) 予備調査の目的は、本調査のための基礎的資料を入手することにあり、その内容

は資料調査、ボーリング調査等である。本調査の目的は、設計、施工及び維持管理

に必要な資料を得ることにあり、その内容はボーリング調査、サウンディング、サ

ンプリング、室内試験及び原位置試験である。

8.2.3 調査項目*(1)

地盤調査を行うにあたっては、調査目的に応じて適切な項目及び方法を選定すること。

【解 説】

*(1) 調査項目及び方法の選定にあたっては、その適用範囲と得られる結果の精度等に

ついてよく検討することが重要である。また、調査目的に応じた調査項目の例を解

表8-1に示す。

解表8-1 調査目的と調査項目の関係

調査目的

調査項目

地形

地層構成

支持層の確認

地盤の強度特性

地盤の沈下特性

地盤の変形特性

地盤の動的特性

地下水の状態

地下水の水質

腐食性

資料調査及び現地踏査 ○ ○ ○

ボーリング調査 ○ ○ ○ ○

サウンディング ○ ○ ○

サンプリング ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

室内

試験

物理試験及び化学試験 ○ ○ ○ ○

力学試験 ○ ○ ○ ○ ○

原位置試験 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

8.2.4 資料調査及び現地踏査

地上式貯槽の建設予定地周辺の地形及び地質の概況をあらかじめ資料によって調査し、ま

た、現地踏査によって地形及び地質の観察等の調査を行うこと。

8.2.5 ボーリング調査、サウンディング及びサンプリング

各土層の層厚、分布、地下水位等の地盤の状況を把握し、土質に関する精密な資料を

入手するためにボーリング調査、サウンディング及びサンプリングを行うこと。

8.2.2 調査計画*1

地盤調査は、予備調査と本調査に分けて行い、各調査段階で目的に応じて、項目、方法、

範囲及び密度を計画すること。

【解 説】

*1 予備調査の目的は、本調査のための基礎的資料を入手することにあり、その内容

は資料調査、ボーリング調査等である。本調査の目的は、設計、施工及び維持管理

に必要な資料を得ることにあり、その内容はボーリング調査、サウンディング、サ

ンプリング、室内試験及び原位置試験である。

8.2.3 調査項目*1

地盤調査を行うにあたっては、調査目的に応じて適切な項目及び方法を選定すること。

【解 説】

*1 調査項目及び方法の選定にあたっては、その適用範囲と得られる結果の精度等に

ついてよく検討することが重要である。また、調査目的に応じた調査項目の例を解

表8-1に示す。

解表8-1 調査目的と調査項目の関係

調査目的

調査項目

地形

地層構成

支持層の確認

地盤の強度特性

地盤の沈下特性

地盤の変形特性

地盤の動的特性

地下水の状態

地下水の水質

腐食性

資料調査及び現地踏査 ○ ○ ○

ボーリング調査 ○ ○ ○ ○

サウンディング ○ ○ ○

サンプリング ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

室内

試験

物理試験及び化学試験 ○ ○ ○ ○

力学試験 ○ ○ ○ ○ ○

原位置試験 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

8.2.4 資料調査及び現地踏査

地上式貯槽の建設予定地周辺の地形及び地質の概況をあらかじめ資料によって調査し、

また、現地踏査によって地形及び地質の観察等の調査を行うこと。

8.2.5 ボーリング調査、サウンディング及びサンプリング

各土層の層厚、分布、地下水位等の地盤の状況を把握し、土質に関する精密な資料を

入手するためにボーリング調査、サウンディング及びサンプリングを行うこと。

パブコメ用ドラフト

- 174 -

第8章 基礎

第8章 -6-

(1) ボーリング調査*(1)

地盤調査の目的、地盤の状況等に応じて適切なボーリングの方法、範囲及び密度を定

めること。

(2) サウンディング*(2)

サウンディングは必要に応じて実施するものとし、地盤の状況を考慮して、適切な試

験方法を採用すること。

(3) サンプリング*(3)

サンプリングは必要に応じて実施するものとし、その目的、地盤の状況等を考慮して、

適切なサンプラーの種類、サンプリングの深さ及び個数を決定すること。

【解 説】

*(1) ボーリング調査は、基礎の設計及び施工に直接利用される資料を得るための重要

な調査手段であり、次の目的で行われる。

(a) ボーリング調査により各土層の層厚、深さ、分布等の地層構成を明らかにする。

(b) ボーリング孔を利用し、適切な深さでサンプリングを行う。

(c) ボーリング孔を利用し、標準貫入試験等のサウンディングを行う。

ボーリングの調査範囲及び密度は、地盤の状況が十分把握でき、かつ基礎の設

計及び施工に必要な資料が得られるように決定すること。

*(2) サウンディングには大別して静的サウンディングと動的サウンディングがあり、

地盤条件により適用できる試験方法が異なる。

JIS A 1219(2001)「標準貫入試験方法」はサウンディングの代表的なものであり、

適用できる地盤の範囲が広く、N値から推定される事項も多い。基礎の建設のため

の地盤調査においては、標準貫入試験を行うのがよい。

*(3) サンプリングによって得られる試料は、乱さない試料と乱した試料に大別され

る。乱した試料の採取は容易であるが、乱さない試料を採取する場合には、採取さ

れる試料の硬軟、深度、適用土質試験等を考慮して、適切なサンプラーの種類を選

定する必要がある。

砂質地盤の強度特性を求めたり、液状化現象の予測のための調査試験等の目的

で、砂の乱さない試料を採取することが望ましい。砂質土の乱さない試料の採取方

法は種々提案され、サンプリング技術も開発されつつあるので、サンプリング技術

の進歩を考慮して適切な方法を採用することが望ましい。

8.2.6 室内試験

サンプリングによって得られた試料を用いて、物理試験及び化学試験*(1)並びに力学試験*(2)

を行うこと。

【解 説】

(1) ボーリング調査*1

地盤調査の目的、地盤の状況等に応じて適切なボーリングの方法、範囲及び密度を定

めること。

(2) サウンディング*2

サウンディングは必要に応じて実施するものとし、地盤の状況を考慮して、適切な試

験方法を採用すること。

(3) サンプリング*3

サンプリングは必要に応じて実施するものとし、その目的、地盤の状況等を考慮して、

適切なサンプラーの種類、サンプリングの深さ及び個数を決定すること。

【解 説】

*1 ボーリング調査は、基礎の設計及び施工に直接利用される資料を得るための重要

な調査手段であり、次の目的で行われる。

(a) ボーリング調査により各土層の層厚、深さ、分布等の地層構成を明らかにする。

(b) ボーリング孔を利用し、適切な深さでサンプリングを行う。

(c) ボーリング孔を利用し、標準貫入試験等のサウンディングを行う。

ボーリングの調査範囲及び密度は、地盤の状況が十分把握でき、かつ基礎の設

計及び施工に必要な資料が得られるように決定すること。

*2 サウンディングには大別して静的サウンディングと動的サウンディングがあり、

地盤条件により適用できる試験方法が異なる。

JIS A 1219(2013)「標準貫入試験方法」はサウンディングの代表的なものであ

り、適用できる地盤の範囲が広く、N値から推定される事項も多い。基礎の建設の

ための地盤調査においては、標準貫入試験を行うのがよい。

*3 サンプリングによって得られる試料は、乱さない試料と乱した試料に大別される。

乱した試料の採取は容易であるが、乱さない試料を採取する場合には、採取される

試料の硬軟、深度、適用土質試験等を考慮して、適切なサンプラーの種類を選定す

る必要がある。

砂質地盤の強度特性の設定、もしくは液状化現象の予測のための調査試験等の目

的で、砂の乱さない試料を採取することが望ましい。砂質土の乱さない試料の採取

方法は種々提案され、サンプリング技術も開発されつつあるので、サンプリング技

術の進歩を考慮して適切な方法を採用することが望ましい。

8.2.6 室内試験

サンプリングによって得られた試料を用いて、物理試験及び化学試験*1並びに力学試

験*2を行うこと。

【解 説】

パブコメ用ドラフト

- 175 -

第8章 基礎

第8章 -7-

*(1) 物理試験及び化学試験には以下のようなものがある。

(a) 土粒子の密度試験 :JIS A 1202(2009)「土粒子の密度試験方法」

(b) 土の含水比試験 :JIS A 1203(2009)「土の含水比試験方法」

(c) 粒度試験 :JIS A 1204(2009)「土の粒度試験方法」

:JIS A 1223(2009)「土の細粒分含有率試験方法」

(d) 土の湿潤密度試験 :JIS A 1225(2009)「土の湿潤密度試験方法」

(e) 液性限界試験 :JIS A 1205(2009)「土の液性限界・塑性限界試験方

法」

(f) 塑性限界試験 :JIS A 1205(2009)「土の液性限界・塑性限界試験方

法」

(g) 水溶性成分含有量試験:JGS 0241(2000)「土の水溶性成分試験方法」

(h) その他必要に応じて行うもの

(ⅰ)pH値:JGS 0211(2009)「土懸濁液のpH試験方法」

(ⅱ)有機物含有量:JGS 0231(2000)「土の有機炭素含有量試験方法」

(ⅲ)有害物質:環境庁告示第46号平成3年8月(土壌の汚染に係る環境基準につ

いて)による。

掘削範囲の地盤の有害物質の調査を行う。

*(2) 力学試験には以下のようなものがある。

(a) 締固め試験 :JIS A 1210(2009)「突固めによる土の締固め試験方

法」

(b) 透水試験 :JIS A 1218(2009)「土の透水試験方法」

(c) 圧密試験 :JIS A 1217(2009)「土の段階載荷による圧密試験方

法」

(d) せん断試験

(ⅰ) 一面せん断試験 :JGS 0560(2009)「土の圧密定体積一面せん断試験方法」

:JGS 0561(2000)「土の圧密定圧一面せん断試験方法」

(ⅱ) 一軸圧縮試験 :JIS A 1216(2009)「土の一軸圧縮試験方法」

(ⅲ) 三軸圧縮試験 :JGS 0520(2009)「土の三軸試験の供試体作製方法」

:JGS 0521(2009)「土の非圧密非排水(UU)三軸圧縮試験方法」

:JGS 0522(2009)「土の圧密非排水(CU)三軸圧縮試験方法」

:JGS 0523(2009)「土の圧密非排水(CU_)三軸圧縮試験方法」

:JGS 0524(2009)「土の圧密排水(CD)三軸圧縮試験方法」

(e) 液状化強度特性試験:JGS 0541(2009)「土の繰返し非排水三軸圧縮試験方法」

(f) 動的変形特性試験 :JGS 0542(2009)「地盤材料の変形特性を求めるための繰

返し三軸圧縮試験方法」

:JGS 0543(2009)「土の変形特性を求めるための中空円筒

供試体による繰返しねじりせん断試験方法」

*1 物理試験及び化学試験には以下のようなものがある。

(a) 土粒子の密度試験 :JIS A 1202(2009)「土粒子の密度試験方法」

(b) 土の含水比試験 :JIS A 1203(2009)「土の含水比試験方法」

(c) 粒度試験 :JIS A 1204(2009)「土の粒度試験方法」

:JIS A 1223(2009)「土の細粒分含有率試験方法」

(d) 土の湿潤密度試験 :JIS A 1225(2009)「土の湿潤密度試験方法」

(e) 液性限界試験 :JIS A 1205(2009)「土の液性限界・塑性限界試験方

法」

(f) 塑性限界試験 :JIS A 1205(2009)「土の液性限界・塑性限界試験方

法」

(g) 水溶性成分含有量試験:JGS 0241(2009)「土の水溶性成分試験方法」

(h) その他必要に応じて行うもの

(ⅰ)pH値:JGS 0211(2009)「土懸濁液のpH試験方法」

(ⅱ)有機物含有量:JGS 0231(2009)「土の有機炭素含有量試験方法」

(ⅲ)有害物質:環境庁告示第46号平成3年8月(土壌の汚染に係る環境基準に

ついて)による。なお、同告示は平成28年3月29日 環境省告示

第30号により一部改正されている。

掘削範囲の地盤の有害物質の調査を行う。

*2 力学試験には以下のようなものがある。

(a) 締固め試験 :JIS A 1210(2009)「突固めによる土の締固め試験方

法」

(b) 透水試験 :JIS A 1218(2009)「土の透水試験方法」

(c) 圧密試験 :JIS A 1217(2009)「土の段階載荷による圧密試験方

法」

(d) せん断試験

(ⅰ) 一面せん断試験 :JGS 0560(2009)「土の圧密定体積一面せん断試験方法」

:JGS 0561(2009)「土の圧密定圧一面せん断試験方法」

(ⅱ) 一軸圧縮試験 :JIS A 1216(2009)「土の一軸圧縮試験方法」

(ⅲ) 三軸圧縮試験 :JGS 0520(2009)「土の三軸試験の供試体作製方法」

:JGS 0521(2009)「土の非圧密非排水(UU)三軸圧縮試験方法」

:JGS 0522(2009)「土の圧密非排水(CU)三軸圧縮試験方法」

:JGS 0523(2009)「土の圧密非排水(CU_)三軸圧縮試験方法」

:JGS 0524(2009)「土の圧密排水(CD)三軸圧縮試験方法」

(e) 液状化強度特性試験:JGS 0541(2009)「土の繰返し非排水三軸圧縮試験方法」

(f) 動的変形特性試験 :JGS 0542(2009)「地盤材料の変形特性を求めるための繰

返し三軸圧縮試験方法」

:JGS 0543(2009)「土の変形特性を求めるための中空円筒

供試体による繰返しねじりせん断試験方法」

パブコメ用ドラフト

- 176 -

第8章 基礎

第8章 -8-

8.2.7 原位置試験

室内試験やサウンディングの他に、杭の支持力、地盤の強度特性、変形特性、沈下特性、動

的特性等を知るために必要に応じて原位置試験*(1)を行うこと。

試験項目及び方法については、基礎の構造、地盤の状況等を考慮して定めること。

【解 説】

*(1) 原位置試験には以下のようなものがある。

(a) 杭の鉛直載荷試験:地盤工学会「杭の鉛直載荷試験試験方法・同解説」(2010)

(b) 杭の水平載荷試験:地盤工学会「杭の水平載荷試験試験方法・同解説」(2010)

(c) 孔内水平載荷試験:JGS 1421(2003)「孔内水平載荷試験方法」

(d) 平板載荷試験 :JGS 1521(2003)「地盤の平板載荷試験方法」

(e) 速度検層 :JGS 1122(2003)「地盤の弾性波速度検層方法」

(f) 常時微動測定 :地盤工学会「地盤調査の方法と解説」(2004)

8.3 材 料

8.3.1 コンクリート及びPCグラウト

(1) コンクリート

(a) セメント*(1)

セメントは、原則としてJIS R 5210(2009)「ポルトランドセメント」、JIS R

5211(2009)「高炉セメント」又はJIS R 5213(2009)「フライアッシュセメント」によ

るものを用いること。

(b) 水

練混ぜ水は、上水道水、JSCE-B101(2010)「コンクリート用練混ぜ水の品質規格(案)」

又はJIS A 5308(2003)「レディーミクストコンクリート」(附属書3)によるものとす

ること。

(c) 細骨材*(2)

細骨材は、原則として天然の砂を用い、清浄、堅硬、耐久的かつ化学的あるいは物

理的に安定し、有機不純物、塩化物等を有害量含まないこと。

(d) 粗骨材*(3)

粗骨材は、原則として天然の砂利又は砕石を用い、清浄、堅硬、耐久的かつ化学的

あるいは物理的に安定し、薄い石片、細長い石片、有機不純物、塩化物等を有害量含

まないこと。

8.2.7 原位置試験

室内試験やサウンディングの他に、杭の支持力、地盤の強度特性、変形特性、沈下特性、

動的特性等を知るために必要に応じて原位置試験*1を行うこと。

試験項目及び方法については、基礎の構造、地盤の状況等を考慮して定めること。

【解 説】

*1 原位置試験には以下のようなものがある。

(a) 杭の鉛直載荷試験:地盤工学会「杭の鉛直載荷試験試験方法・同解説」(2010)

(b) 杭の水平載荷試験:地盤工学会「杭の水平載荷試験試験方法・同解説」(2010)

(c) 孔内水平載荷試験:

JGS 1531(2012)「地盤の指標値を求めるためのプレッシ

ャーメータ試験」

JGS 3531(2012)「地盤の物性を評価するためのプレッシ

ャーメータ試験」

JGS 3532(2012)「ボアホールジャッキ試験」

(d) 平板載荷試験 :JGS 1521(2012)「地盤の平板載荷試験方法」

(e) 速度検層 :JGS 1122(2012)「地盤の弾性波速度検層方法」

(f) 常時微動測定 :地盤工学会「地盤調査の方法と解説」(2013)

8.3 材 料

8.3.1 コンクリート及びPCグラウト

(1) コンクリート

(a) セメント*1

セメントは、原則としてJIS R 5210(2009)「ポルトランドセメント」、JIS R

5211(2009)「高炉セメント」又はJIS R 5213(2009)「フライアッシュセメント」によ

るものを用いること。

(b) 水

練混ぜ水は、上水道水、JSCE-B101(2013)「コンクリート用練混ぜ水の品質規格(案)」

又はJIS A 5308(2014)「レディーミクストコンクリート」によるものとすること。

(c) 細骨材*2

細骨材は、原則として天然の砂を用い、清浄、堅硬、劣化に対する抵抗性をもち化

学的あるいは物理的に安定し、有機不純物、塩化物等を有害量含まないこと。*3

(d) 粗骨材*4

粗骨材は、原則として天然の砂利又は砕石を用い、清浄、堅硬、劣化に対する抵抗

性をもち化学的あるいは物理的に安定し、薄い石片、細長い石片、有機不純物、塩化

物等を有害量含まないこと。*3

パブコメ用ドラフト

- 177 -

第8章 基礎

第8章 -9-

砕石は、原則としてJIS A 5005(2009)「コンクリート用砕石及び砕砂」によるこ

と。

(e) 混和材料*(4)

混和材料(混和剤及び混和材)は、品質の確かめられたものであること。

【関連条項】

省令第14条(材料)第三号

解釈例第13条(製造設備等の材料)第1項第九号

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)第1項第八号

【解 説】

*(1) セメントの水和に起因するひびわれは構造物の耐久性、液密性等を害するもので

あるため、セメントの選定にあたっては、低発熱型セメントを使用する等、コンク

リートの温度上昇が小さくなるようにすること。

8.3.1(1)(a)に規定するセメント以外を使用する場合は、同等以上の性能を有す

ることを確かめること。

*(2) 人工軽量骨材を用いる場合は、人工軽量骨材はJIS A 5002(2003)「構造用軽量コ

ンクリート骨材」のMA317及びMA417によるものとし、これらを用いたコンクリート

の低温における特性を試験等により確かめること。

絶乾密度、吸水率、粒度、有害物の含有量の限度、耐久性、海砂、砕砂及びスラ

グ細骨材については、土木学会「コンクリート標準示方書」(2007)によること。

*(3) 高炉スラグ砕石及び人工軽量骨材を用いる場合は、高炉スラグ砕石はJIS A

5011-1(2003)「コンクリート用スラグ骨材-第1部:高炉スラグ骨材」、人工軽量

骨材はJIS A 5002(2003)「構造用軽量コンクリート骨材」のMA317及びMA417による

ものとし、これらを用いたコンクリートの低温における特性を試験等により確かめ

ること。

粒度、有害物の含有量の限度及び耐久性については土木学会「コンクリート標準

示方書」(2007)によること。

*(4) 混和剤として用いるAE剤、減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤及び流動化

剤は、原則としてJIS A 6204(2006)「コンクリート用化学混和剤」によること。

混和材として用いるフライアッシュは、原則としてJIS A 6201(2008)「コンクリ

ート用フライアッシュ」によること。その他の混和材料については、土木学会「コ

ンクリート標準示方書」(2007)によるか試験等によりその品質を確かめ、使用方法

を検討すること。

8.3.1

(2) PCグラウト

(a) セメント

砕石は、原則としてJIS A 5005(2009)「コンクリート用砕石及び砕砂」によること。

(e) 混和材料*5

混和材料(混和剤及び混和材)は、品質の確かめられたものであること。

【関連条項】

省令第14条(材料)第三号

解釈例第13条(製造設備等の材料)第1項第九号

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)第1項第八号

【解 説】

*1 セメントの水和に起因するひびわれは構造物の耐久性、液密性等を害するもので

あるため、セメントの選定にあたっては、低発熱型セメントを使用する等、コンク

リートの温度上昇が小さくなるようにすること。

8.3.1(1)(a)に規定するセメント以外を使用する場合は、同等以上の性能を有す

ることを確かめること。

*2 絶乾密度、吸水率、粒度、有害物の含有量の限度、劣化に対する抵抗性、海砂、

砕砂及びスラグ細骨材については、土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)に

よること。

*3 回収骨材および再生骨材は、低温時の強度低下やフレッシュコンクリートの性状

に及ぼす影響が明確ではないため、これらの使用を除く。

*4 粒度、有害物の含有量の限度及び劣化に対する抵抗性については土木学会「コン

クリート標準示方書」(2017)によること。

高炉スラグ砕石を用いる場合は、JIS A 5011-1(2018)「コンクリート用スラグ骨

材-第1部:高炉スラグ骨材」によるものとし、これを用いたコンクリートの低温

における特性を試験等により確かめること。

*5 混和剤として用いるAE剤、減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤及び流動化

剤は、原則としてJIS A 6204(2011)「コンクリート用化学混和剤」によること。

混和材として用いるフライアッシュは、原則としてJIS A 6201(2015)「コンクリ

ート用フライアッシュ」によること。その他の混和材料については、土木学会「コ

ンクリート標準示方書」(2017)によるか試験等によりその品質を確かめ、使用方法

を検討すること。

8.3.1

(2) PCグラウト

(a) セメント

パブコメ用ドラフト

- 178 -

第8章 基礎

第8章 -10-

PCグラウトに用いるセメントは、原則としてJIS R 5210(2009)「ポルトランドセ

メント」に適合するものを用いること。

(b) 水

PCグラウトに用いる水は、PCグラウト及び緊張材に悪影響を及ぼす物質を有害

量含まないこと。

(c) 混和材料

PCグラウトに用いる混和材料は、所要の品質を有するように、使用の可否および

使用方法を定めること。

(d) 混和剤

PCグラウトに用いる混和剤は、原則としてブリーディングの発生を抑えたノンブ

リーディングタイプのものを用いること。

【関連条項】

省令第14条(材料)第三号

解釈例第13条(製造設備等の材料)第1項第九号

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)第1項第八号

8.3.2 鉄筋及びプレストレストコンクリート用鋼材

(1) 鉄筋

鉄筋は、原則としてJIS G 3112(2010)「鉄筋コンクリート用棒鋼」によるものを用いるこ

と*(1)*(2)。

(2) PC鋼材

PC鋼材は、原則としてJIS G 3536(2008)「PC鋼線及びPC鋼より線」及びJIS G

3109(2008)「PC鋼棒」によるものを用いること*(3)*(4)*(5)。

【関連条項】

省令第14条(材料)第三号

解釈例第13条(製造設備等の材料)第1項第九号

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)第1項第八号

【解 説】

*(1) 一般に鋼材は、低温になるに従い降伏点及び引張強さは増加し、伸び及び絞りは

漸減する性質がある1)。

鉄筋は、設計使用温度において十分なじん性を有するものを用いること。

鉄筋の低温特性の評価方法、試験方法は、EN14620(2006)「Design and manufacture

of site built, vertical, cylindrical, flat-bottomed steel tanks for the

storage of refrigerated, liquefied gases with operating temperatures

PCグラウトに用いるセメントは、原則としてJIS R 5210(2009)「ポルトランドセ

メント」に適合するものを用いること。

(b) 水

PCグラウトに用いる水は、PCグラウト及び緊張材に悪影響を及ぼす物質を有害

量含まないこと。

(c) 混和材料

PCグラウトに用いる混和材料は、所要の品質を有するように、使用の可否および

使用方法を定めること。

(d) 混和剤

PCグラウトに用いる混和剤は、原則としてブリーディングの発生を抑えたノンブ

リーディングタイプのものを用いること。

【関連条項】

省令第14条(材料)第三号

解釈例第13条(製造設備等の材料)第1項第九号

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)第1項第八号

8.3.2 鉄筋及びプレストレストコンクリート用鋼材

(1) 鉄筋

鉄筋は、原則としてJIS G 3112(2010)「鉄筋コンクリート用棒鋼」によるものを用い

ること*1*2。

(2) PC鋼材

PC鋼材は、原則としてJIS G 3536(2014)「PC鋼線及びPC鋼より線」及びJIS G

3109(2008)「PC鋼棒」によるものを用いること*3*4*5。

【関連条項】

省令第14条(材料)第三号

解釈例第13条(製造設備等の材料)第1項第九号

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)第1項第八号

【解 説】

*1 一般に鋼材は、低温になるに従い降伏点及び引張強さは増加し、伸び及び絞りは

漸減する性質がある1)。

鉄筋は、設置箇所での設計温度以下において十分なじん性を有すると確認された

ものを用いること。

鉄筋の低温特性の評価方法、試験方法は、EN14620(2006)「Design and manufacture

of site built, vertical, cylindrical, flat-bottomed steel tanks for the

パブコメ用ドラフト

- 179 -

第8章 基礎

第8章 -11-

between 0℃ and -165℃」が参考になる。

<参考文献>

1) 日本ガス協会:”LNG地下式貯槽指針”, JGA指-107-12”,6.2.1,(2012)

*(2) 8.3.2(1)に規定する鉄筋以外は、用途に応じて8.3.2(1)に規定する鉄筋と同等以

上の性質を有することを確認した場合はこれを使用することができる。

*(3) 8.3.2(2)に規定するPC鋼材以外を使用する場合は、用途に応じて8.3.2(2)に規

定するPC鋼材と同等以上の性質を有することを確認した場合はこれを使用する

ことができる。

*(4) PC鋼材は温度の低下とともに、降伏点及び引張強さは増大し、縦弾性係数もわ

ずかに増加するが、伸び及び絞りは減少する1)2)。

PC鋼線及び7本より線の伸び、絞りは、-164℃においても十分である1)2)。な

お、19本より線は、低温試験データがないため、使用にあたっては設計温度以下で

伸び、絞りが著しく低下しないことを確認すること。また、PC鋼棒は、-100℃で

は伸び、絞りが減少するので、-100℃以下でPC鋼棒を用いる場合には注意する

こと1)。

なお、PC鋼材は低リラクセーション材を用いるのが望ましい。

<参考文献>

1) 日本瓦斯協会:”液化天然ガス用貯槽の保安調査について -昭和52年度LNG地

下式貯槽に関する保安調査報告書-”,(1977)

2) FIP:”Cryogenic behaviour of materials for prestressed concrete”, STATE

OF ART REPORT, pp.15-28,(1982)

*(5) PC鋼材は、突合せ溶接による継ぎ目がないものを使用すること。

8.3.2

(3) 定着具及び接続具

定着具及び接続具は、使用されるPC鋼材の規格引張荷重*(1)に達する前に破壊したり、

有害な変形を生じることがないような構造及び強さを有し、かつ設計温度において、十分な

じん性を有すること*(2)。

また、定着具及び接続具は、定着又は接続されたPC鋼材を含めたテンドンシステム(以

下、PCテンドンシステムという。)としても、設計温度において、ぜい性破壊や、有害な

変形を生じることがなく、かつPC鋼材が十分な伸びを示すことができるような構造、強さ

を有すること*(3)*(4)。

storage of refrigerated, liquefied gases with operating temperatures

between 0℃ and -165℃」が参考になる。

<参考文献>

1) 日本ガス協会:”LNG地下式貯槽指針”、JGA指-107-19、 第6章「躯体」6.2.1

「鉄筋コンクリート及びプレストレストコンクリート用材料」、(2019)

*2 8.3.2「鉄筋及びプレストレストコンクリート用鋼材」(1)「鉄筋」に規定する鉄

筋以外は、用途に応じて8.3.2(1)に規定する鉄筋と同等以上の性質を有することを

確認した場合はこれを使用することができる。

*3 8.3.2「鉄筋及びプレストレストコンクリート用鋼材」(2)「PC鋼材」に規定す

るPC鋼材以外を使用する場合は、用途に応じて8.3.2(2)に規定するPC鋼材と同

等以上の性質を有することを確認した場合はこれを使用することができる。

*4 PC鋼材は温度の低下とともに、降伏点及び引張強さは増大し、縦弾性係数もわ

ずかに増加するが、伸び及び絞りは減少する1)2)。

PC鋼線及び7本より線の伸び、絞りは、-164℃においても十分である1)2)。な

お、19本より線は、低温試験データがないため、使用にあたっては設計温度以下で

伸び、絞りが著しく低下しないことを確認すること。また、PC鋼棒は、-100℃

では伸び、絞りが減少するので、-100℃以下でPC鋼棒を用いる場合には注意す

ること1)。

なお、PC鋼材は低リラクセーション材を用いることを原則とする。

<参考文献>

1) 日本瓦斯協会:「液化天然ガス用貯槽の保安調査について -昭和52年度LNG地

下式貯槽に関する保安調査報告書-」、(昭和53年3月)

2) FIP:「Cryogenic behaviour of materials for prestressed concrete」、 STATE

OF ART REPORT、pp.15-28、(1982)

*5 PC鋼材は、突合せ溶接による継ぎ目がないものを使用すること。

8.3.2

(3) 定着具及び接続具

定着具及び接続具は、使用されるPC鋼材の規格引張荷重*1に達する前に破壊した

り、有害な変形を生じたりすることがないような構造及び強さを有し、かつ設計温度に

おいて、十分なじん性を有すること*2*3。

(4) PCテンドンシステム

PC鋼材及び接続具並びに定着具を含めたテンドンシステム(以下、PCテンドンシ

ステムという。)として、設計温度において、ぜい性破壊や、有害な変形を生じること

がなく、かつPC鋼材が十分な伸びを示すことができるような構造、強さを有すること

*4*5。

パブコメ用ドラフト

- 180 -

第8章 基礎

第8章 -12-

【関連条項】

省令第14条(材料)第三号

解釈例第13条(製造設備等の材料)第1項第九号

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)第1項第八号

【解 説】

*(1) 規格引張荷重とは、使用されるPC鋼材のJISに規定される引張強さにその断

面積及び本数、又は引張荷重にその本数を乗じた値をいう。

*(2) 定着具及び接続具は、十分な強度特性、じん性を有することを、設計温度以下で

の低温試験により確かめられたものを用いること。

じん性を確認する方法のひとつとして、シャルピー衝撃試験がある。

定着具材料のシャルピー衝撃試験結果を解表8-2及び解図8-2に示す。試験を実施

した定着具は-82~-102℃まで十分なじん性を有することが確認された。

*(3) 低温PCテンドンシステムの評価方法、試験方法は、EOTAのETAG013(2002)

「POST-TENSIONING KITS FOR PRESTRESSING OF STRUCTURES」やFIPの報告書1)

が参考になる。

*(4) FIPの試験方法1)に従って行った低温引張試験の概要を解図8-3に、そのPC

テンドンシステムの低温引張試験結果の一例を解表8-3及び解図8-4に示す。いずれ

の定着具もPCテンドンシステムとして、ぜい性破壊や、有害な変形を生じること

がなく、-164℃までFIPの評価方法を満足することが確認された。

解表8-2 PC定着具用材料のシャルピー衝撃試験結果2)

定着工法 試験対象定着部位の仕様 試験結果

定着タイプ 試験部位 材質 遷移温度

フレシネー工法 Vシステム

(12V15N) 定着ブロック

特殊用途合金鋼ボ

ルト用鋼棒 -94℃

ディビダーク

ストランド工法

リブキャストアンカー

(DW・MAL6-12) アンカーディスク

ニッケルクロムモ

リブデン鋼 -82℃

VSL工法 ENiタイプ

(ENi6B-12) アンカーヘッド

低温圧力容器用ニッ

ケル鋼鋼板相当品 -102℃

〔備 考〕

[1]試験片採取方向は、フレシネー工法及びディビダークストランド工法では円周方向、VSL

工法では圧延直角方向。

[2]試験片は、JIS Z 2202(1980)「金属材料衝撃試験片」の4号試験片。

[3]遷移温度は、エネルギー遷移温度。

【関連条項】

省令第14条(材料)第三号

解釈例第13条(製造設備等の材料)第1項第九号

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)第1項第八号

【解 説】

*1 規格引張荷重とは、使用されるPC鋼材のJISに規定される引張強さにその断

面積及び本数、又は引張荷重にその本数を乗じた値をいう。

*2 定着具及び接続具は、設置箇所における設計温度以下で、十分な強度特性、じん

性を有することが確認されたものを用いること。

*3 じん性を確認する方法のひとつとして、シャルピー衝撃試験がある。

定着具材料のシャルピー衝撃試験結果を解表8-2及び解図8-2に示す。試験

を実施した定着具は-82~-102℃まで十分なじん性を有することが確認された。

*4 PCテンドンシステムは、設置箇所における設計温度以下で、十分な強度特性、

じん性を有すること確認されたものを用いること。

*5 PCテンドンシステムの評価方法、試験方法は、EOTAのEAD 160004-00-

0301(2016)「Post-tensioning systems for prestressing of structures」やFI

Pの報告書1)が参考になる。

FIPの試験方法1)に従って行った低温引張試験の概要を解図8-3に、そのP

Cテンドンシステムの低温引張試験結果の一例を解表8-3及び解図8-4に示

す。いずれの定着具もPCテンドンシステムとして、ぜい性破壊や、有害な変形を

生じることがなく、-164℃までFIPの評価方法を満足することが確認された。

解表8-2 PC定着具用材料のシャルピー衝撃試験結果2)

定着工法 試験対象定着部位の仕様 試験結果

定着タイプ 試験部位 材質 遷移温度

フレシネー工法 Vシステム

(12V15N) 定着ブロック

特殊用途合金鋼ボル

ト用鋼棒 -94℃

ディビダーク

ストランド工法

リブキャストアンカー

(DW・MAL6-12) アンカーディスク

ニッケルクロムモリ

ブデン鋼 -82℃

VSL工法 ENiタイプ

(ENi6B-12) アンカーヘッド

低温圧力容器用ニッ

ケル鋼鋼板相当品 -102℃

〔備 考〕

[1]試験片採取方向は、フレシネー工法及びディビダークストランド工法では円周方向、VSL

工法では圧延直角方向。

[2]試験片は、JIS Z 2202(1980)「金属材料衝撃試験片」の4号試験片。

[3]遷移温度は、エネルギー遷移温度。

パブコメ用ドラフト

- 181 -

第8章 基礎

第8章 -13-

解図8-2 吸収エネルギー、ぜい性破面率と温度の関係2)

解図8-3 低温引張試験の概要2)

解表8-3 PCテンドンシステムの低温引張試験結果2)

定着工法 システムの仕様 試験

温度

(℃)

試験結果(%)(3

体)

定着タイプ PC鋼材 定着効率[1] 破断伸び

シングルタイプ

フレシネー工法 FKKシングルストランド

(1T15N) PC鋼より線

7本より15.2mmB種

テンドン構成1本

常温

-100

-164

103~105

110~111

108~110

3.4~4.0

3.2~4.3

2.8~4.6

SM工法 グリップタイプ

(SM・L-15)

常温

-100

-164

106

111

108~110

3.5~3.7

4.3~5.3

3.1~4.7

解図8-2 吸収エネルギー、ぜい性破面率と温度の関係2)

解図8-3 低温引張試験の概要2)

解表8-3 PCテンドンシステムの低温引張試験結果2)

定着工法 システムの仕様 試験

温度

(℃)

試験結果(%)(3

体)

定着タイプ PC鋼材 定着効率[1] 破断伸び

シングルタイプ

フレシネー工法 FKKシングルストランド

(1T15N) PC鋼より線

7本より15.2mmB種

テンドン構成1本

常温

-100

-164

103~105

110~111

108~110

3.4~4.0

3.2~4.3

2.8~4.6

SM工法 グリップタイプ

(SM・L-15)

常温

-100

-164

106

111

108~110

3.5~3.7

4.3~5.3

3.1~4.7

(c)VSL (c)VSL

パブコメ用ドラフト

- 182 -

第8章 基礎

第8章 -14-

フレシネー工法 Vシステム

(12V15N)

PC鋼より線

7本より15.2mmB種

テンドン構成12本

常温

-100

-164

97~100

101~105

101~103

2.6~3.7

2.7~3.7

3.3~3.6

ディビダークス

トランド工法

リブキャストアンカー

(DW・MAL6-12)

常温

-100

-164

99~102

103~104

102~104

3.6~4.5

2.8~3.5

2.9~4.0

VSL工法 ENiタイプ

(ENi6B-12)

常温

-100

-164

101~103

105

100~101

3.8~4.6

3.6~4.2

3.0~3.3

〔備 考〕

[1]定着効率は次式により求められる値である。

(a) 常温:(PCテンドンシステムの引張荷重)/(PCテンドンの規格引張荷重)×100

(b) -100℃、-164℃:(PCテンドンシステムの引張荷重)/(PCテンドンの同温度の降伏荷重)×100

フレシネー工法 Vシステム

(12V15N)

PC鋼より線

7本より15.2mmB種

テンドン構成12本

常温

-100

-164

97~100

101~105

101~103

2.6~3.7

2.7~3.7

3.3~3.6

ディビダークス

トランド工法

リブキャストアンカー

(DW・MAL6-12)

常温

-100

-164

99~102

103~104

102~104

3.6~4.5

2.8~3.5

2.9~4.0

VSL工法 ENiタイプ

(ENi6B-12)

常温

-100

-164

101~103

105

100~101

3.8~4.6

3.6~4.2

3.0~3.3

〔備 考〕

[1]定着効率は次式により求められる値である。

(a) 常温:(PCテンドンシステムの引張荷重)/(PCテンドンの規格引張荷重)×100

(b) -100℃、-164℃:(PCテンドンシステムの引張荷重)/(PCテンドンの同温度の降伏荷重)×100

〔備 考〕

図は各温度3体のうち1体の試験結果を表

す。

(c) フレシネー工法(12V15N) (d) ディビダークストランド工法(DW・MAL6-12)

(a) フレシネー工法(1T15N) (b) SM工法(SM・L-15)

〔備 考〕

図は各温度3体のうち1体の試験結果を表

す。

(c) フレシネー工法(12V15N) (d) ディビダークストランド工法(DW・MAL6-12)

(a) フレシネー工法(1T15N) (b) SM工法(SM・L-15)

パブコメ用ドラフト

- 183 -

第8章 基礎

第8章 -15-

(e) VSL工法(ENi6B-12)

解図8-4 荷重-伸び曲線2)

<参考文献>

1) FIP:”Assessment of mechanical properties of structural materials for

cryogenic applications”, pp.51-59,(1988)

2) 天然ガス導入促進センター:”平成元年度 プレストレストコンクリートLNG貯槽技術

開発調査報告書”, pp.68-104,(平成2年3月)

8.3.3 杭*(1)

(1) 鋼管杭は、原則としてJIS A 5525(2009)「鋼管ぐい」によるものを用いること。

(2) 鋼管杭以外の杭材料は、原則として関連諸規定*(2)によるものを用いること。

【関連条項】

省令第14条(材料)第三号

解釈例第13条(製造設備等の材料)第1項第九号

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)第1項第八号

【解 説】

*(1) 8.3.3(1)(2)に規定する以外の杭材料は、用途に応じて8.3.3(1)(2)に規定する杭

材料と同等以上の性質を有することを確認した場合は、これを使用することができ

る。

*(2) 鋼管杭以外の杭の材料に関連する諸規定には、例えば次のものがある。

土木学会 コンクリート標準示方書(2007)

JIS A 5372(2010)「プレキャスト鉄筋コンクリート製品」

JIS A 5373(2010)「プレキャストプレストレストコンクリート製品」

JIS A 5526(2005)「H形鋼ぐい」

日本道路協会 杭基礎設計便覧(2007)

8.3.4 その他の材料

(1) 冷熱抵抗緩和材

基礎版に冷熱抵抗緩和材を用いる場合には、設計上要求される強度特性、熱的特性等を十

分満足する材料であること*(1)。

(2) その他の材料

その他の材料はその使用目的に適合するものを用いること。

【関連条項】

省令第14条(材料)第三号

(e) VSL工法(ENi6B-12)

解図8-4 荷重-伸び曲線2)

<参考文献>

1) FIP:「Assessment of mechanical properties of structural materials for

cryogenic applications」、 pp.51-59、(1988)

2) 天然ガス導入促進センター:「平成元年度 プレストレストコンクリートLNG貯槽技

術開発調査報告書」、pp.68-104、(平成2年3月)

8.3.3 杭*1

(1) 鋼管杭は、原則としてJIS A 5525(2014)「鋼管ぐい」によるものを用いること。

(2) 鋼管杭以外の杭材料は、原則として関連諸規定*2によるものを用いること。

【関連条項】

省令第14条(材料)第三号

解釈例第13条(製造設備等の材料)第1項第九号

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)第1項第八号

【解 説】

*1 8.3.3「杭」(1)(2)に規定する以外の杭材料は、用途に応じて8.3.3(1)(2)に規定

する杭材料と同等以上の性質を有することを確認した場合は、これを使用すること

ができる。

*2 鋼管杭以外の杭の材料に関連する諸規定には、例えば次のものがある。

土木学会 「コンクリート標準示方書」(2017)

JIS A 5372(2016)「プレキャスト鉄筋コンクリート製品」

JIS A 5373(2016)「プレキャストプレストレストコンクリート製品」

日本道路協会 「杭基礎設計便覧」(2014)

8.3.4 その他の材料

(1) 冷熱抵抗緩和材

基礎版に冷熱抵抗緩和材を用いる場合には、設計上要求される強度特性、熱的特性等

を十分満足する材料であること*1。

(2) その他の材料

その他の材料はその使用目的に適合するものを用いること。

【関連条項】

省令第14条(材料)第三号

パブコメ用ドラフト

- 184 -

第8章 基礎

第8章 -16-

解釈例第13条(製造設備等の材料)第1項第九号

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)第1項第八号

【解 説】

*(1) 冷熱抵抗緩和材の使用実績としては、側部にポリウレタンフォーム、底部にパー

ライトコンクリートがある。

ポリウレタンフォームは、オゾン層破壊係数を持つHCFC-141bに代わり、オゾン

層破壊係数を持たない炭酸ガス発泡によるものが主に用いられている。

8.4 設計値

8.4.1 コンクリート

(1) 強度

設計基準強度 ckf ' *(1)*(2)は、設計において基準とする強度で、原則として材齢28日における

コンクリートの圧縮強度の特性値*(3)とする。コンクリートは、表8-1に示す設計基準強度以

上のものを用いること。

表8-1 コンクリートの設計基準強度

強度の特性値の算定式を(a)~(d)に示す*(4)。

(a) 引張強度

引張強度の特性値 は次式によること。

32

'23.0 cktk ff = (N/mm2)

ただし、 ckf ' ≦80N/mm2

(b) 付着強度

JIS G 3112(2010)「鉄筋コンクリート用棒鋼」の規定を満足する異形鉄筋について、コ

ンクリートとの付着強度の特性値 bokf は次式によること。

32

'28.0 ckbok ff = (N/mm2)

ただし、 bokf ≦4.2 N/mm2、 ckf ' ≦80N/mm2

(c) 支圧強度

支圧強度の特性値 kf a' は次式によること。

ckak 'fη'f = (N/mm2)

解釈例第13条(製造設備等の材料)第1項第九号

解釈例別添第2条(製造設備等の材料)第1項第八号

【解 説】

*1 冷熱抵抗緩和材の使用実績としては、側部にポリウレタンフォーム、底部にパー

ライトコンクリートがある。

ポリウレタンフォームは、オゾン層破壊係数を持つ HCFC-141bに代わり、オゾ

ン層破壊係数を持たない炭酸ガス発泡によるものが主に用いられている。

8.4 設計値

8.4.1 コンクリート

(1) 強度

設計基準強度 ckf ' *1*2は、設計において基準とする強度で、原則として材齢28日にお

けるコンクリートの圧縮強度の特性値*3とする。コンクリートは、表8-1に示す設計

基準強度以上のものを用いること。

表8-1 コンクリートの設計基準強度

強度の特性値は、原則として土木学会「コンクリ―ト標準示方書」(2017)[設計編:

本編]5.3.1「強度」によることとし、算定式を(a)~(d)に示す*4。

(a) 引張強度

引張強度の特性値 は次式によること。

32

'23.0 cktk ff = (N/mm2)

ただし、 ckf ' ≦80N/mm2

(b) 付着強度

JIS G 3112(2010)「鉄筋コンクリート用棒鋼」の規定を満足する異形鉄筋について、

コンクリートとの付着強度の特性値 bokf は次式によること。

32

'28.0 ckbok ff = (N/mm2)

ただし、 bokf ≦4.2 N/mm2、 ckf ' ≦80N/mm2

(c) 支圧強度

支圧強度の特性値 kf a' は次式によること。

ckak 'fη'f = (N/mm2)

tkftkf

部材の種類 設計基準強度 ckf ' (N/

mm2)

鉄筋コンクリート部材 21

プレストレストコンクリート部材(ポストテンション方式) 30

部材の種類 設計基準強度 ckf ' (N/

mm2)

鉄筋コンクリート部材 24

プレストレストコンクリート部材(ポストテンション方式) 30

パブコメ用ドラフト

- 185 -

第8章 基礎

第8章 -17-

ただし、aA

Aη= ≦2、 ckf ' ≦80N/mm2

ここに、 A:コンクリート面の支圧分布面積

aA :支圧を受ける面積

(d) 曲げひび割れ強度

曲げひび割れ強度の特性値 bckf は、次式によること。

tkbbbck fkkf 10= (N/mm2)

ただし、

+

+=

ch

b

l

hk

4.50.85

110

41

0.55

hk b = (≧0.4)

2

tk

cFch

f

EGl =

ここに、 chl :特性長さ(m)

FG :破壊エネルギー*(5)

cE :コンクリートの縦弾性係数(kN/mm2)

bk0 :コンクリートの引張軟化特性に起因する引張強度と曲げ強度の関係

を表す係数

bk1 :乾燥、水和熱その他の原因によるひび割れ強度の低下を表す係数

h :部材の高さ(m)(>0.2)

(2) 設計強度

コンクリートの圧縮、引張、付着、支圧及び曲げひび割れに対する設計強度は、それぞれ

の特性値を表8-4に示す材料係数 cγ で除したものとする。

(3) 縦弾性係数

コンクリートの縦弾性係数 cE は、原則として土木学会「コンクリート標準示方書」(2007)

「設計編:本編」5.2.5 ヤング係数 表5.2.1によること。

(4) 応力-ひずみ曲線

ひび割れの評価*(6)及び液密性の評価においては、コンクリートの応力-ひずみ曲線を直

線とし、縦弾性係数は8.4.1(3)に従って定めること。

曲げモーメント及び曲げモーメントと軸方向力を受ける部材の断面破壊の評価*(7)におい

ては、原則として土木学会「コンクリート標準示方書」(2007)「設計編:本編」5.2.3 応力

-ひずみ曲線 図5.2.1に示すモデル化した応力-ひずみ曲線を用いること。

(5) ポアソン比

コンクリートのポアソン比 cν は、弾性範囲内では0.2とすること。

(6) 熱特性

ただし、aA

Aη= ≦2、 ckf ' ≦80N/mm2

ここに、 A:コンクリート面の支圧分布面積

aA :支圧を受ける面積

(d) 曲げひび割れ強度

曲げひび割れ強度の特性値 bckf は、次式によること。

tkbbbck fkkf 10= (N/mm2)

ただし、

+

+=

ch

b

l

hk

4.50.85

110

41

0.55

hk b = (≧0.4)

2

tk

cFch

f

EGl =

ここに、 chl :特性長さ(m)

FG :破壊エネルギー*5

cE :コンクリートの縦弾性係数(kN/mm2)

bk0 :コンクリートの引張軟化特性に起因する引張強度と曲げ強度の

関係を表す係数

bk1 :乾燥、水和熱その他の原因によるひび割れ強度の低下を表す係数

h :部材の高さ(m)(>0.2)

(2) 設計強度

コンクリートの圧縮、引張、付着、支圧及び曲げひび割れに対する設計強度は、それ

ぞれの特性値を表8-4に示す材料係数 cγ で除したものとする。

(3) 縦弾性係数

コンクリートの縦弾性係数 cE は、原則として土木学会「コンクリート標準示方書」

(2017)[設計編:本編]5.3.5「ヤング係数」【解説】解説 表5.3.1によること。

(4) 応力-ひずみ曲線

ひび割れの評価*6及び液密性の評価においては、コンクリートの応力-ひずみ曲線

を直線とし、縦弾性係数は8.4.1「コンクリート」(3)「縦弾性係数」に従って定めるこ

と。

曲げモーメント及び曲げモーメントと軸方向力を受ける部材の断面破壊の評価*7に

おいては、原則として土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)[設計編:標準]3

編「安全性に関する照査」2.4.2.1「設計断面耐力」図2.4.1に示すモデル化した応力-

ひずみ曲線を用いること。

(5) ポアソン比

コンクリートのポアソン比 cν は、弾性範囲内では0.2とすること。

(6) 熱特性

パブコメ用ドラフト

- 186 -

第8章 基礎

第8章 -18-

コンクリートの熱特性は、実験あるいは既往の類似データに基づいて定めること*(8)。

コンクリートの線膨張係数 cα は、10×10-6/℃とすること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 記号の右上に’を付けた場合は、圧縮を意味し、圧縮を正負の正とする。

*(2) コンクリートが適切に養生されている場合、その圧縮強度は材齢とともに増加

し、一般の構造物では、標準養生を行った供試体の材齢28日における圧縮強度以上

となることが期待できる。

しかし、LNG地上式貯槽等のマスコンクリート構造物では、コンクリートの打

込み後かなり長い期間を経過した後に設計荷重を受ける場合が多く、また、水和熱

発生の少ないセメントを用いることがあるため、早期の強度をもってコンクリート

強度の特性値を決めることが実用上適当でないと考えられる場合は、材齢91日にお

ける試験強度から定めてよい。

*(3) 材料強度の特性値 kf は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2007)「設計編:

本編」5.1 [解説](2)によること。

*(4) 設計基準強度 ckf ' が80N/mm2を超える場合は、適切に強度の特性値を定めること。

*(5) コンクリートの破壊エネルギーGFは、土木学会「コンクリート標準示方書」(2007)

「設計編:本編」5.2.4(1)によること。

*(6) 「ひび割れ幅等の評価」は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2007) [設計

編:本編]10章 使用性に関する照査に対応する。

*(7) 「断面破壊の評価」は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2007) [設計編:

本編]9章 安全性に関する照査に対応する。

*(8) コンクリートの熱特性は、一般に体積の大部分を占める骨材の特性によって大き

く影響され、また同一配合のコンクリートでも、その含水状態や温度によってかな

りの幅で変動する。

一般には、コンクリートの熱特性を解表8-4の値を標準としてよい。

解表8-4 コンクリートの熱特性の標準

8.4.2 鉄筋及びPC鋼材

コンクリートの熱特性は、実験あるいは既往の類似データに基づいて定めること*8。

コンクリートの線膨張係数 cα は、10×10-6/℃とすること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 記号の右上に’を付けた場合は、圧縮を意味し、圧縮を正負の正とする。

*2 コンクリートが適切に養生されている場合、その圧縮強度は材齢とともに増加し、

一般の構造物では、標準養生を行った供試体の材齢28日における圧縮強度以上とな

ることが期待できる。

しかし、LNG地上式貯槽等のマスコンクリート構造物では、コンクリートの打

込み後かなり長い期間を経過した後に設計荷重を受ける場合が多く、また、水和熱

発生の少ないセメントを用いることがあるため、早期の強度をもってコンクリート

強度の特性値を決めることが実用上適当でないと考えられる場合は、材齢91日にお

ける試験強度から定めてよい。

*3 材料強度の特性値 kf は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)[設計編:

本編]5.2 「材料の設計値」【解説】(2)によること。

*4 設計基準強度 ckf ' が80N/mm2を超える場合は、試験等によって適切に強度の特性値

を定めること。

*5 コンクリートの破壊エネルギーGFは、土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)

[設計編:本編]5.3.4「破壊エネルギー」によること。

*6 「ひび割れ幅等の評価」は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)[設計

編:本編]10章「使用性に関する照査」に対応する。

*7 「断面破壊の評価」は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)[設計編:

本編]9章「安全性に関する照査」に対応する。

*8 コンクリートの熱特性は、一般に体積の大部分を占める骨材の特性によって大き

く影響され、また同一配合のコンクリートでも、その含水状態や温度によってかな

りの幅で変動する。

一般には、コンクリートの熱特性を解表8-4の値を標準としてよい。

解表8-4 コンクリートの熱特性の標準

8.4.2 鉄筋及びPC鋼材

熱伝導率 9.2 kJ/mh℃

比熱 1.05 kJ/kg℃

熱伝導率 9.2 kJ/mh℃

比熱 1.05 kJ/kg℃

パブコメ用ドラフト

- 187 -

第8章 基礎

第8章 -19-

(1) 強度

(a) 引張降伏強度及び引張強度

8.3.2(1)及び(2)に規定する鉄筋及びPC鋼材を用いる場合は、引張降伏強度の特性値

ykf 及び引張強度の特性値 ukf は、JIS規格の下限値とすること。

(b) 圧縮降伏強度

圧縮降伏強度の特性値 ykf ' *(1)は、引張降伏強度の特性値 ykf と同じとすること。

(c) せん断降伏強度

せん断降伏強度の特性値 vykf は、次式によること。

3

yk

vyk

ff = (N/mm2)

(2) 設計強度

鉄筋及びPC鋼材の設計強度は、引張降伏強度の特性値 ykf 、引張強度の特性値 ukf を表8-

4に示す材料係数 sγ で除したものとすること。

(3) 縦弾性係数

鉄筋の縦弾性係数 sE 及びPC鋼材の縦弾性係数 pE は、200kN/mm2とすること。

(4) 応力-ひずみ曲線

断面破壊*(2)及び変形の評価における応力-ひずみ曲線は、原則として土木学会「コンク

リート標準示方書」(2007)「設計編:本編」5.3.3 応力-ひずみ曲線の図5.3.1を用いること。

(5) 線膨張係数

鉄筋及びPC鋼材の線膨張係数 sα は、コンクリートの値と同じとすること。

(6) PC鋼材のリラクセーション率

プレストレス力の減少を算出するために用いるPC鋼材の見掛けのリラクセーション率

γは、土木学会「コンクリート標準示方書」(2007)「設計編:本編」5.3.7 PC鋼材のリラ

クセーション率の表5.3.1に示す値とすること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 記号の右上に’を付けた場合は、圧縮を意味し、圧縮を正負の正とする。

*(2) 「断面破壊の評価」は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2007) [設計編:

本編]9章 安全性に関する照査に対応する。

(1) 強度

(a) 引張降伏強度及び引張強度

8.3.2「鉄筋及びプレストレストコンクリート用鋼材」(1)「鉄筋」及び(2)「PC鋼

材」に規定する鉄筋及びPC鋼材を用いる場合は、引張降伏強度の特性値 ykf 及び引

張強度の特性値 ukf は、JIS規格の下限値とすること。

(b) 圧縮降伏強度

圧縮降伏強度の特性値 ykf ' *1は、引張降伏強度の特性値 ykf と同じとすること。

(c) せん断降伏強度

せん断降伏強度の特性値 vykf は、次式によること。

3

yk

vyk

ff = (N/mm2)

(2) 設計強度

鉄筋及びPC鋼材の設計強度は、引張降伏強度の特性値 ykf 、引張強度の特性値 ukf を

表8-4に示す材料係数 sγ で除したものとすること。

(3) 縦弾性係数

鉄筋の縦弾性係数 sE 及びPC鋼材の縦弾性係数 pE は、200kN/mm2とすること。

(4) 応力-ひずみ曲線

断面破壊*2及び変形の評価における応力-ひずみ曲線は、原則として土木学会「コン

クリート標準示方書」(2017)[設計編:標準]3編「安全性に関する照査」2.4.2.1「設

計断面耐力」図2.4.2を用いること。

(5) 線膨張係数

鉄筋及びPC鋼材の線膨張係数 sα は、コンクリートの値と同じとすること。

(6) PC鋼材のリラクセーション率

プレストレス力の減少を算出するために用いるPC鋼材の見掛けのリラクセーショ

ン率 γは、土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)[設計編:標準]8編「プレス

トレストコンクリート」3章「プレストレス力」【解説】解説 表3.4に示す値とするこ

と。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 記号の右上に’を付けた場合は、圧縮を意味し、圧縮を正負の正とする。

*2 「断面破壊の評価」は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2017) [設計編:

本編]9章「安全性に関する照査」に対応する。

パブコメ用ドラフト

- 188 -

第8章 基礎

第8章 -20-

8.4.3 杭

(1) 鋼管杭

(a) 強度

鋼管杭に用いる鋼材の強度は、以下によること。

(ⅰ)8.3.3に規定する鋼管杭の引張降伏強度及び引張強度の特性値は、それぞれJIS規

格の下限値とする。

(ⅱ)圧縮降伏強度の特性値 ykf ' は、鋼管杭の引張降伏強度の特性値 ykf と同一とする。

(ⅲ)せん断降伏強度の特性値 vykf は、次式によること。

3

yk

vyk

ff =

(b) 設計強度

設計強度は、引張降伏強度の特性値 ykf 、引張強度の特性値 ukf 、せん断降伏強度の特性

値 vykf を表8.4に示す材料係数 sγ で除したものとすること。

(c) 縦弾性係数

縦弾性係数は、200kN/mm2とすること。

(d) 応力-ひずみ曲線

断面破壊及び変形の評価においては、一般に土木学会「コンクリート標準示方書」(2007)

「設計編:本編」5.3.3応力-ひずみ曲線の図5.3.1に示すモデル化した応力-ひずみ曲線

を用いてよい。

(e) ポアソン比

ポアソン比は、0.3とすること。

(f) 線膨張係数

線膨張係数は、12×10-6/℃とすること。

(2) 鋼管杭以外の杭

鋼管杭以外の杭の設計値は、必要に応じて関連諸規定の設計値によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

8.4.4 冷熱抵抗緩和材

冷熱抵抗緩和材の許容圧縮応力は、7.3によること。

なお、漏液後における許容圧縮応力は、7.3に示す圧縮強さの基準値を安全率2.0で除して得

られた値以下とすること。

【関連条項】

8.4.3 杭

(1) 鋼管杭

(a) 強度

鋼管杭に用いる鋼材の強度は、以下によること。

(ⅰ)8.3.3「杭」に規定する鋼管杭の引張降伏強度及び引張強度の特性値は、それぞれ

JIS規格の下限値とする。

(ⅱ)圧縮降伏強度の特性値 ykf ' は、鋼管杭の引張降伏強度の特性値 ykf と同一とする。

(ⅲ)せん断降伏強度の特性値 vykf は、次式によること。

3

yk

vyk

ff =

(b) 設計強度

設計強度は、引張降伏強度の特性値 ykf 、引張強度の特性値 ukf 、せん断降伏強度の

特性値 vykf を表8-4に示す材料係数 sγ で除したものとすること。

(c) 縦弾性係数

縦弾性係数は、200kN/mm2とすること。

(d) 応力-ひずみ曲線

断面破壊及び変形の評価においては、一般に土木学会「コンクリート標準示方書」

(2017)[設計編:標準]3編「安全性に関する照査」2.4.2.1「設計断面耐力」図2.4.2

に示すモデル化した応力-ひずみ曲線を用いてよい。

(e) ポアソン比

ポアソン比は、0.3とすること。

(f) 線膨張係数

線膨張係数は、12×10-6/℃とすること。

(2) 鋼管杭以外の杭

鋼管杭以外の杭の設計値は、必要に応じて関連諸規定の設計値によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

8.4.4 冷熱抵抗緩和材

冷熱抵抗緩和材の許容圧縮応力は、第7章「保冷」7.3「許容応力」によること。

なお、漏液後における許容圧縮応力は、7.3に示す圧縮強さの基準値を安全率2.0で除し

て得られた値以下とすること。

【関連条項】

パブコメ用ドラフト

- 189 -

第8章 基礎

第8章 -21-

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第 23 条(液化ガス用貯槽)第四号

8.5 構造及び設計

8.5.1 一 般

(1) 設計の基本

基礎の設計*(1)は、基礎の目標性能に応じた評価項目及びその限界値を設定し、荷重に

対して計算される応答値が限界値を超えないことを確認すること。

(2) 常時性能評価

(a) 常時における解析を適切な計算方法により行い、応答値が限界値を超えないことを

確認すること。

(b) (a)の規定において、荷重の算定にあたっては8.5.2.2の規定、設計にあたっては

8.5.5、8.5.6及び8.5.7の規定によること。

(c) 基礎版が、耐久性に関して要求される性能を、設計耐用期間にわたり保持すること

を確認すること*(2)。

(3) レベル1耐震性能評価

(a) レベル1地震動に対する応答解析は地盤の液状化に伴う土質定数の低下を考慮し

た適切な計算方法*(3)により行い、応答値が限界値を超えないことを確認すること。

(b) (a)の規定において、設計地震動の算定にあたっては8.5.2.2(5)の規定、設計にあ

たっては8.5.5、8.5.6及び8.5.7の規定によること。

(4) レベル2耐震性能評価

(a) レベル2地震動に対する応答解析を地盤の液状化に伴う土質定数の低下を考慮し

た適切な計算方法*(3)により行い、応答値が限界値を超えないことを確認すること

*(4)*(5)。

(b) (a)の規定において、設計地震動の算定にあたっては、8.5.2.2(5)の規定、設計に

あたっては8.5.5、8.5.6及び8.5.7の規定によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 基礎に係る耐震性評価は、JGA指-101-12「製造設備等耐震設計指針」(以下、JGA

指-101-12と略す。)の解図10-1に示す手順によること。ただし、代替評価法は原則

として用いないこと。

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第 23 条(液化ガス用貯槽)第四号

8.5 構造及び設計

8.5.1 一 般

(1) 設計の基本

基礎の設計*1は、基礎の目標性能に応じた評価項目及びその限界値を設定し、荷重に

対して計算される応答値が限界値を超えないことを確認すること。

(2) 常時性能評価

(a) 常時における解析を適切な計算方法により行い、応答値が限界値を超えないことを

確認すること。

(b) (a)の規定において、荷重の算定にあたっては8.5.2.2「荷重の算定」の規定、設計

にあたっては8.5.5「杭基礎の構造及び設計」、8.5.6「直接基礎の構造及び設計」及び

8.5.7「基礎版の構造及び設計」の規定によること。

(c) 設計耐用期間にわたり、基礎の耐久性に影響を与える因子の応答値が、基礎に要求

される性能の限界値を超えないことを確認すること*2。

(3) レベル1耐震性能評価

(a) レベル1地震動に対する応答解析は地盤の液状化に伴う土質定数の低下を考慮し

た適切な計算方法*3により行い、応答値が限界値を超えないことを確認すること。

(b) (a)の規定において、設計地震動の算定にあたっては8.5.2.2(5)「地震荷重」の規

定、設計にあたっては8.5.5、8.5.6及び8.5.7の規定によること。

(4) レベル2耐震性能評価

(a) レベル2地震動に対する応答解析を地盤の液状化に伴う土質定数の低下を考慮し

た適切な計算方法*3により行い、応答値が限界値を超えないことを確認すること*4

*5。

(b) (a)の規定において、設計地震動の算定にあたっては、8.5.2.2(5)の規定、設計に

あたっては8.5.5、8.5.6及び8.5.7の規定によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 基礎に係る耐震性評価は、JGA指-101-14「製造設備等耐震設計指針」(以下、JGA

指-101-14と略す。)第10章「基礎のレベル2耐震性能評価法」10.1「基本方針」解

図10-1に示す手順によること。ただし、代替評価法は原則として用いないこと。

パブコメ用ドラフト

- 190 -

第8章 基礎

第8章 -22-

*(2) 評価の方法は、8.6.3によること。

*(3) LNGピットイン式貯槽の場合は、JGA指-107-12「LNG地下式貯槽指針」(以

下、JGA指-107-12と略す。)の6.4.2(8)によること。

*(4) レベル2耐震性能評価は、応答塑性率が限界値以下であることを確認すること。

なお、地盤の液状化に対する検討は8.5.4によること。

*(5) レベル2地震動に対する応答解析は地盤変状のうち地盤の移動を考慮した適切

な計算方法を用いて行い、応答値が限界値を超えないことを確認すること。この場

合、地震慣性力は考慮しなくてもよい。

8.5.2 荷 重

8.5.2.1 荷重の種類

基礎の設計には次の荷重を考慮すること。

(1) 自重

(2) ガス圧力

(3) 内容液の質量

(4) 熱(温度)荷重*(1)

(5) 地震荷重

(6) 風荷重

(7) 積雪荷重

(8) 試験荷重

(9) プレストレス力

(10)拘束荷重(コンクリートの収縮及びクリープ)

(11)その他の荷重

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

*2 環境条件に応じて鉄筋コンクリート及びプレストレストコンクリートとして要求

される耐久性能を設定すること。耐久性に影響を与える因子としては、鋼材腐食を

引き起こす中性化及び塩化物イオンの侵入、コンクリートの劣化を引き起こす凍結

融解作用、化学的侵食及びアルカリ骨材反応があり、これらに対する評価の方法は、

土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)[設計編:標準]2編「耐久設計およ

び耐久性に関する照査」によること。

ただし、中性化に対する評価は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)[設

計編:標準]2編3.1.3.4「中性化に伴う鋼材腐食に対する照査」によること。

鋼管については、8.5.5「杭基礎の構造及び設計」(5)「構造細目」(b)「鋼管杭の

厚さ」によること。

*3 LNGピットイン式貯槽の場合は、JGA指-107-19「LNG地下式貯槽指針」第6

章「躯体」6.4.2「荷重の算定」(8)「地震による影響荷重」によること。

*4 レベル2耐震性能評価は、応答塑性率が限界値以下であることを確認すること。

なお、地盤の液状化に対する検討は8.5.4「地盤の液状化」によること。

*5 レベル2地震動に対する応答解析は地盤変状のうち地盤の移動を考慮した適切な

計算方法を用いて行い、応答値が限界値を超えないことを確認すること。この場合、

地震慣性力は考慮しなくてもよい。

8.5.2 荷 重

8.5.2.1 荷重の種類

基礎の設計には次の荷重を考慮すること。

(1) 自重

(2) ガス圧力

(3) 内容液の質量

(4) 熱(温度)荷重*1

(5) 地震荷重

(6) 風荷重

(7) 積雪荷重

(8) 試験荷重

(9) プレストレス力

(10)拘束荷重(コンクリートの収縮及びクリープ)

(11)その他の荷重

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

パブコメ用ドラフト

- 191 -

第8章 基礎

第8章 -23-

【解 説】

*(1) 通常運転時の熱(温度)荷重をいう。

8.5.2.2 荷重の算定

(1) 自重

内槽、外槽、保冷、基礎及びPCLNG貯槽においてはPC防液堤の自重を考慮するもの

とし、基礎及びPC防液堤の自重の算定に用いる単位質量は、原則として表8-2によること。

表8-2 自重の算定に用いる材料の単位質量

材料の種別 単位質量(kN/m3)

鋼材 77.0

コンクリート 22.5

鉄筋コンクリート 24.0

プレストレストコンクリート 24.5

(2) ガス圧力

内槽ガス圧力及び内外槽間ガス圧力とすること。

(3) 内容液の質量

内容液の質量は、LNGの組成に基づく密度から求めること。

(4) 熱(温度)荷重

熱(温度)荷重は、基礎版に発生する温度分布から求めること*(1)。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) PCLNG貯槽の場合、熱(温度)荷重を設定するための設計温度条件は、PC

防液堤と基礎版を一体化したモデルに基づく熱伝導解析により得られるコンクリ

ート部分の温度分布を用いること。PCLNG貯槽において、漏液後に基礎版に液

密性を持たせる場合の熱(温度)荷重は、漏液後、PC防液堤及び基礎版の構造部

分に発生する温度分布から求めること。

8.5.2.2

(5) 地震荷重

(a) 地震荷重の算定*(1)*(2)

加速度型設計地震動による基礎版等の質量に起因する水平慣性力の算定に用いる水平

【解 説】

*1 通常運転時の熱(温度)荷重をいう。

8.5.2.2 荷重の算定

(1) 自重

内槽、外槽、保冷、基礎及びPCLNG貯槽においてはPC防液堤の自重を考慮する

ものとし、基礎及びPC防液堤の自重の算定に用いる単位質量は、原則として表8-2に

よること。

表8-2 自重の算定に用いる材料の単位質量

材料の種別 単位質量(kN/m3)

鋼材 77.0

コンクリート 22.5

鉄筋コンクリート 24.0

プレストレストコンクリート 24.5

(2) ガス圧力

内槽ガス圧力及び内外槽間ガス圧力とすること。

(3) 内容液の質量

内容液の質量は、LNGの組成に基づく密度から求めること。

(4) 熱(温度)荷重

熱(温度)荷重は、基礎版に発生する温度分布から求めること*1。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 PCLNG貯槽の場合、熱(温度)荷重を設定するための設計温度条件は、PC

防液堤と基礎版を一体化したモデルに基づく熱伝導解析により得られるコンクリ

ート部分の温度分布を用いること。PCLNG貯槽において、漏液後に基礎版に液

密性を持たせる場合の熱(温度)荷重は、漏液後、PC防液堤及び基礎版の構造部

分に発生する温度分布から求めること。

8.5.2.2

(5) 地震荷重

(a) 地震荷重の算定*1*2

加速度型設計地震動による基礎版等の質量に起因する水平慣性力の算定に用いる

パブコメ用ドラフト

- 192 -

第8章 基礎

第8章 -24-

震度又は水平加速度、及び加速度型鉛直設計地震動による基礎版等の自重の増減分の算定

に用いる鉛直震度又は鉛直加速度は8.5.2.2(5)(b)によること。また、PCLNG貯槽に

おいては防液堤から伝達される荷重を考慮すること。

(b) 設計地震動

加速度型設計地震動の計算方法は4.3.2(3)(a)によること。

(c) 地震応答解析法

加速度型設計地震動に基づく応答解析法は、次のいずれかの方法により算定すること。

(ⅰ)修正震度法

金属二重殻LNG貯槽においては、基礎版及び地中基礎版の自重にJGA指-101-12の

4.2.3.1に示す修正震度*(3)*(4)を乗じて慣性力を求め、貯槽下部に発生するせん断力、モ

ーメント等を加算して地震荷重を算定すること。

PCLNG貯槽においては、基礎版等及びPC防液堤の自重に JGA指-101-12の

4.2.3.1に示す修正震度*(3)を乗じて慣性力を求め、貯槽下部及びPC防液堤端部に発生

する断面力、モーメント等を加算して地震荷重を算定すること。

(ⅱ)時刻歴応答解析法

JGA指-101-12の4.2.5及び7.1によること。地盤と基礎-貯槽構造系の動的相互作用を

考慮した解析モデル*(5)を用いて基礎版等に作用する地震荷重を算定すること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) LNGピットイン式貯槽の底版の地震荷重の算定は、JGA指-107-12の6.4.2によ

ること。

*(2) 変位型設計地震動については、基礎版等への影響は少ないので、変位型設計地震

動に係わる評価を行わないこととした。ただし、液状化の影響が大きいと予想され

る場合には個別に詳細な検討を行うこと。

*(3) JGA指-101-12の4.2.3.1に示す応答倍率は、杭頭完全固定の杭基礎の場合の応答

倍率であり、杭頭完全固定以外の条件で基礎を設置する場合には地震時における貯

水平震度又は水平加速度、及び加速度型鉛直設計地震動による基礎版等の自重の増減

分の算定に用いる鉛直震度又は鉛直加速度は8.5.2.2「荷重の算定」(5)「地震荷重」

(b)「設計地震動」によること。また、PCLNG貯槽においては防液堤から伝達され

る荷重を考慮すること。

(b) 設計地震動

加速度型設計地震動の計算方法は第4章「内槽及び外槽の構造及び設計」4.3.2「地

震荷重」(3)「設計地震動」(a)「加速度型設計地震動の計算方法」によること。

(c) 地震応答解析法

加速度型設計地震動に基づく応答解析法は、次のいずれかの方法により算定するこ

と。

(ⅰ)修正震度法

金属二重殻LNG貯槽においては、基礎版及び地中基礎版の自重にJGA指-101-14

「製造設備等耐震設計指針」(以下、JGA指-101-14と略す。)第4章「塔槽類等のレ

ベル1耐震性能評価法」4.2.3.1「塔槽類等の設計修正震度」に示す修正震度*3*4

を乗じて慣性力を求め、貯槽下部に発生するせん断力、モーメント等を加算して地

震荷重を算定すること。

PCLNG貯槽においては、基礎版等及びPC防液堤の自重にJGA指-101-14の

4.2.3.1に示す修正震度*3を乗じて慣性力を求め、貯槽下部及びPC防液堤端部に

発生する断面力、モーメント等を加算して地震荷重を算定すること。

(ⅱ)時刻歴応答解析法

JGA指-101-14の第4章「塔槽類等のレベル1耐震性能評価法」4.2.5「時刻歴応答

解析法」及び第7章「レベル2耐震性能評価法」7.1「基本方針」によること。地盤

と基礎-貯槽構造系の動的相互作用を考慮した解析モデル*5を用いて基礎版等に

作用する地震荷重を算定すること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 LNGピットイン式貯槽の底版の地震荷重の算定は、JGA指-107-19「LNG地下

式貯槽指針」第6章「躯体」6.4.2「荷重の算定」によること。

*2 変位型設計地震動については、基礎版等への影響は少ないので、変位型設計地震

動に係わる評価を行わないこととした。ただし、液状化の影響が大きいと予想され

る場合には個別に詳細な検討を行うこと。

*3 JGA指-101-14の4.2.3.1に示す応答倍率は、杭頭完全固定の杭基礎の場合の応答

倍率であり、杭頭完全固定以外の条件で基礎を設置する場合には地震時における貯

パブコメ用ドラフト

- 193 -

第8章 基礎

第8章 -25-

槽全体の応答を実験などで適切に評価すること。また、基礎版の応答倍率は水平方

向・鉛直方向共に1.0とする。

*(4) 軟弱土層(現地盤面から3m以内にある粘性土層及びシルト土層で一軸圧縮強度

が0.02N/mm2以下の土層。)又は液状化する可能性のある土層がある場合は、それ

より下部にある地中基礎版の修正震度は2

1 にすることができる。この場合にあっ

ては、地中基礎版の前面抵抗及び底面抵抗は考慮しないこと。

これは、地表面下に位置する構造物は、その前面等における水平抵抗を考慮する

と、根入れによる耐震性の向上が期待できるためである。特に、地中基礎版は直接

貯槽荷重を支持するものではないが、水平変位の低減など、耐震性の向上という観

点から好ましい補強対策であり、前面及び底面における抵抗を無視することを条件

に、地中基礎版に対する修正震度を基礎版に対する修正震度の2

1 にすることがで

きるものとした。

*(5) 地盤と基礎構造との動的相互作用を考慮した解析は、多質点又は1質点の線材モ

デル、あるいは三次元又は二次元有限要素モデルにより行ってよい。

基礎及び防液堤の耐震解析手法として解表8-5に示すような手法がある。

解表8-5 耐震解析手法の区分

レベル1地震動 レベル2地震動

手法 修正震度法 等価線形解析法 エネルギー法

(修正震度法) 等価線形解析法 非線形解析法

入力値 加速度応答

スペクトル 加速度時刻歴波形

加速度応答

スペクトル 加速度時刻歴波形

解析

モデル

地盤

特性

バネ有り(線形)

又は無し

等価線形

(弾塑性モデ

ル)

バネ有り(非線形)

又は無し

等価線形

(弾塑性モデ

ル)

非線形

(履歴依存モデ

ル)

構造

特性 線形

等価線形

(剛性低下) 非線形

解析される

応答値 断面力 塑性率、断面力

8.5.2.2

(6) 風荷重

4.3.3によること。

(7) 積雪荷重

4.3.1(7)によること。

(8) 試験荷重

試験荷重は、次によること。

(a) 内槽の耐圧試験時の静液圧及び内槽ガス圧力

(b) 内槽の水張試験時の静液圧

(c) 外槽の気密試験時の内外槽間ガス圧力

(9) プレストレス力

プレストレス力は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2007)[設計編:本編]15.3 プ

槽全体の応答を実験などで適切に評価すること。また、基礎版の応答倍率は水平方

向・鉛直方向共に1.0とする。

*4 軟弱土層(現地盤面から3m以内にある粘性土層及びシルト土層で一軸圧縮強度が

0.02N/mm2以下の土層。)又は液状化する可能性のある土層がある場合は、それよ

り下部にある地中基礎版の修正震度は2

1 にすることができる。この場合にあって

は、地中基礎版の前面抵抗及び底面抵抗は考慮しないこと。

これは、地表面下に位置する構造物は、その前面等における水平抵抗を考慮する

と、根入れによる耐震性の向上が期待できるためである。特に、地中基礎版は直接

貯槽荷重を支持するものではないが、水平変位の低減など、耐震性の向上という観

点から好ましい補強対策であり、前面及び底面における抵抗を無視することを条件

に、地中基礎版に対する修正震度を基礎版に対する修正震度の2

1 にすることがで

きるものとした。

*5 地盤と基礎構造との動的相互作用を考慮した解析は、多質点又は1質点の線材モ

デル、あるいは三次元又は二次元有限要素モデルにより行ってよい。

基礎及び防液堤の耐震解析手法として解表8-5に示すような手法がある。

解表8-5 耐震解析手法の区分

レベル1地震動 レベル2地震動

手法 修正震度法 等価線形解析法 エネルギー法

(修正震度法) 等価線形解析法 非線形解析法

入力値 加速度応答

スペクトル 加速度時刻歴波形

加速度応答

スペクトル 加速度時刻歴波形

解析

モデル

地盤

特性

バネ有り(線形)

又は無し

等価線形

(弾塑性モデ

ル)

バネ有り(非線形)

又は無し

等価線形

(弾塑性モデ

ル)

非線形

(履歴依存モデ

ル)

構造

特性 線形

等価線形

(剛性低下) 非線形

解析される

応答値 断面力 塑性率、断面力

8.5.2.2

(6) 風荷重

第4章「内槽及び外槽の構造及び設計」4.3.3「風荷重」によること。

(7) 積雪荷重

第4章「内槽及び外槽の構造及び設計」4.3.1「通常荷重」(7)「積雪荷重(多雪区域)」

によること。

(8) 試験荷重

試験荷重は、次によること。

(a) 内槽の耐圧試験時の静液圧及び内槽ガス圧力

(b) 内槽の水張試験時の静液圧

(c) 外槽の気密試験時の内外槽間ガス圧力

(9) プレストレス力

プレストレス力は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)[設計編:標準]8

パブコメ用ドラフト

- 194 -

第8章 基礎

第8章 -26-

レストレス力により求めること*(1)。

(10)拘束荷重(コンクリートの収縮及びクリープ)

コンクリートの収縮及びクリープ*(2)は、周辺の湿度、部材断面の形状寸法、コンクリート

の配合、応力が作用するときのコンクリートの材齢等の影響を考慮して定めること。

(11)その他の荷重

その他必要な荷重があれば考慮すること*(3)。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) コンクリート部材に導入されるプレストレス力の設計計算での取扱いは、ひび割

れ及び安定の保持の評価に対する検討においてはプレストレス力を荷重と考え、そ

の他の評価に対する検討においてはプレストレス力の効果を断面の耐力算定に含

めるので、荷重としては不静定力のみを考えればよい。

*(2) コンクリートのクリープは土木学会「コンクリート標準示方書」(2007)[設計編:

本編] 5.2.9 クリープ によること。

*(3) 必要に応じて土圧及び水圧を考慮すること。また、LNGピットイン式貯槽の場

合、底版に作用する水圧等の算定は、JGA指-107-12の6.4.2によること。

8.5.2.3 荷重の組合せ

基礎に作用する荷重の組合せは、表8-3によること*(1)。

基礎の設計荷重は、8.5.2.2で求められる荷重に表8-3に示す荷重係数*(2)を乗じて算定する

こと。

表8-3 基礎に作用する荷重の組合せと荷重係数

荷重条件

評価

項目

荷重の種類

常時性能評価 レベル1

耐震性能評価

レベル2

耐震性能評価 通常運転時 強風時 耐圧試験時

水張試験時

ひび割れ 安定の保持*(3)

断面破壊*(4)

安定の保持 *(3)

断面破壊*(4)

安定の保持*(3)

断面破壊*(4)

安定の保持 *(3)

断面破壊*(4) 変形*(5)

通常荷重

自重 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

ガス圧力 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

編「プレストレストコンクリート」3章「プレストレス力」により求めること*1。

(10)拘束荷重(コンクリートの収縮及びクリープ)

コンクリートの収縮及びクリープ*2は、周辺の湿度、部材断面の形状寸法、コンクリ

ートの配合、応力が作用するときのコンクリートの材齢等の影響を考慮して定めるこ

と。

(11)その他の荷重

その他必要な荷重があれば考慮すること*3*4。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 コンクリート部材に導入されるプレストレス力の設計計算での取扱いは、ひび割

れ及び安定の保持の評価に対する検討においてはプレストレス力を荷重と考え、そ

の他の評価に対する検討においてはプレストレス力の効果を断面の耐力算定に含

めるので、荷重としては不静定力のみを考えればよい。

*2 コンクリートの収縮及びクリープは土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)

[設計編:本編]5.3.8 「収縮」、5.3.9「 クリープ」及び[設計編:標準]2.2 「コ

ンクリートの収縮・クリープ」によること。

*3 必要に応じて土圧及び水圧を考慮すること。また、LNGピットイン式貯槽の場

合、底版に作用する水圧等の算定は、JGA指-107-19「LNG地下式貯槽指針」第6

章「躯体」6.4.2「荷重の算定」によること。

*4 *3の他に、例えば、基地の災害想定や貯槽の立地特性に応じて想定される荷重、

施工時の仮設物の荷重等がある。

8.5.2.3 荷重の組合せ

基礎に作用する荷重の組合せは、表8-3によること*1。

基礎の設計荷重は、8.5.2.2「荷重の算定」で求められる荷重に表8-3に示す荷重係

数*2を乗じて算定すること。

表8-3 基礎に作用する荷重の組合せと荷重係数

荷重条件

評価

項目

荷重の種類

常時性能評価 レベル1

耐震性能評価

レベル2

耐震性能評価 通常運転時 強風時 耐圧試験時

水張試験時

ひび割れ 安定の保持*3

断面破壊*4

安定の保持*3

断面破壊*4

安定の保持*3

断面破壊*4

安定の保持*3

断面破壊*4 変形*5

通常荷重

自重 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

ガス圧力 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

パブコメ用ドラフト

- 195 -

第8章 基礎

第8章 -27-

内容液の質量 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

保冷材圧力 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

熱(温度)荷重 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

積雪荷重 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

プレストレス

力[1]

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

拘束荷重

(収縮及びク

リープ)

1.0

地震荷重 ○

1.0

1.0

風荷重 ○

1.0

試験荷重 ○

1.0

〔備 考〕

[1] ひび割れの評価以外に用いるプレストレス力(不静定力のみを考慮)の荷重係数は、小さい

ほうが危険な場合は0.9とする。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 表8-3は、荷重の組合せの基本であり、必要に応じ他の荷重の組合せも考慮するこ

と。

また、必要に応じて、表8-3とは別に施工時について検討すること。

*(2) 荷重係数は、荷重の特性値からの望ましくない方向への変動、荷重の算定方法の

不確実性、設計耐用期間中の荷重の変化、荷重特性が限界状態に及ぼす影響、環境

作用の変動等を考慮して定めるものとする。また、荷重係数は、土木学会「コンク

リート標準示方書」(2007)を基本とするが、積雪荷重、風荷重、熱(温度)荷重は、

最大値を設定することを条件として1.0とした。

*(3) 安定の保持とは、基礎が地盤あるいは杭の支持力により安定を保持することをい

う。

*(4) 断面破壊とは、構造物又は部材の任意の断面において、破壊を生じることをい

う。

*(5) 変形とは、基礎が変位又は変形することをいう。

8.5.3 安全係数

基礎の検討に用いる安全係数は、表8-4に示す値とすること。*(1)

表8-4 基礎の検討に用いる安全係数

内容液の質量 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

保冷材圧力 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

熱(温度)荷重 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

積雪荷重 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

プレストレス

力[1]

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

拘束荷重

(収縮及びク

リープ)

1.0

地震荷重 ○

1.0

1.0

風荷重 ○

1.0

試験荷重 ○

1.0

〔備 考〕

[1] ひび割れの評価以外に用いるプレストレス力(不静定力のみを考慮)の荷重係数は、小さい

ほうが危険な場合は0.9とする。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 表8-3は、荷重の組合せの基本であり、必要に応じ他の荷重の組合せも考慮する

こと。

また、必要に応じて、表8-3とは別に施工時について検討すること。

*2 荷重係数は、荷重の特性値からの望ましくない方向への変動、荷重の算定方法の

不確実性、設計耐用期間中の荷重の変化、荷重特性が限界状態に及ぼす影響、環境

作用の変動等を考慮して定めるものとする。また、荷重係数は、土木学会「コンク

リート標準示方書」(2017)を基本とするが、積雪荷重、風荷重、熱(温度)荷重は、

最大値を設定することを条件として1.0とした。

*3 安定の保持とは、基礎が地盤あるいは杭の支持力により安定を保持することをい

う。

*4 断面破壊とは、構造物又は部材の任意の断面において、破壊を生じることをいう。

*5 変形とは、基礎が変位又は変形することをいう。

8.5.3 安全係数

基礎の検討に用いる安全係数は、表8-4に示す値とすること。*1

表8-4 基礎の検討に用いる安全係数

パブコメ用ドラフト

- 196 -

第8章 基礎

第8章 -28-

安全係数 常時性能評価

レベル1

耐震性能評価

レベル2

耐震性能評価

ひび割れ 断面破壊 断面破壊 変形

材料

係数

コンクリート( cγ )*(2) 1.0 1.3 1.0 1.0

鉄筋( sγ ) 1.0 1.0[1] 1.0 1.0

部材

係数

( bγ )

曲げと軸力 軸力 1.0 1.3 1.0 1.0[2]

曲げと軸力 1.0 1.1 1.0 1.0[2]

せん断

面外せん断 コンクリート - 1.3 1.3 1.3

鉄筋 - 1.1 1.1 1.1

面内せん断 コンクリート - 1.3 1.3 1.3

鉄筋 - 1.1 1.1 1.1

構造解析係数( aγ ) 1.0 1.0 1.0 1.0[3]

構造物係数( iγ )*(3)[4] 1.0 1.1 1.0 1.0

〔備 考〕

[1] 鉄筋及びPC鋼材の場合は1.0、その他の鋼材の場合は1.05とすること。

[2] 構造物を線材でモデル化する場合、部材係数は1.15とすること。

[3] 構造物を有限要素法モデルにおいて棒部材でモデル化する場合、構造解析係数はコンクリー

トで1.1~1.3、鋼材で1.0~1.2とすること。

[4] 安定の保持の評価に用いる構造物係数は断面破壊の値と同じとする。

[5] 鋼管杭については鉄筋と同じ安全係数を用いること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) ぜい性的な破壊を防ぐための安全性の割り増し等については、コンクリート標準

示方書(2007)によること。

*(2) ckf ' ≧80N/mm2のときは、γcを適切に設定すること。

*(3) LNGピットイン式貯槽の場合は構造物係数を1.0とすること。

8.5.4 地盤の液状化

(1) 一般

基礎の耐震性能評価においては、地盤の液状化による影響を考慮すること。液状化するお

それがある地盤は、土質定数の低減及び地盤の沈下を考慮すること。また、液状化に伴い流

動するおそれがある地盤は、土質定数の低減、地盤の沈下及び水平移動を考慮すること*(1)。

なお、地盤変状対策*(2)を実施する場合には、対策工事の効果を考慮してよい。

(2) 液状化の判定

安全係数 常時性能評価

レベル1

耐震性能評価

レベル2

耐震性能評価

ひび割れ 断面破壊 断面破壊 変形

材料

係数

コンクリート( cγ )*2 1.0 1.3 1.0 1.0

鉄筋( sγ ) 1.0 1.0[1] 1.0 1.0

部材

係数

( bγ )

曲げと軸力 軸力 1.0 1.3 1.0 1.0[2]

曲げと軸力 1.0 1.1 1.0 1.0[2]

せん断

面外せん断 コンクリート - 1.3 1.3 1.3

鉄筋 - 1.1 1.1 1.1

面内せん断 コンクリート - 1.3 1.3 1.3

鉄筋 - 1.1 1.1 1.1

構造解析係数( aγ ) 1.0 1.0 1.0 1.0[3]

構造物係数( iγ )*3[4] 1.0 1.1 1.0 1.0

〔備 考〕

[1] 鉄筋及びPC鋼材の場合は1.0、その他の鋼材の場合は1.05とすること。

[2] 構造物を線材でモデル化する場合、部材係数は1.15とすること。

[3] 構造物を有限要素法モデルにおいて棒部材でモデル化する場合、構造解析係数はコンクリー

トで1.1~1.3、鋼材で1.0~1.2とすること。

[4] 安定の保持の評価に用いる構造物係数は断面破壊の値と同じとする。

[5] 鋼管杭については鉄筋と同じ安全係数を用いること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 ぜい性的な破壊を防ぐための安全性の割り増し等については、土木学会「コンク

リート標準示方書」(2017)[設計編:標準]5編「耐震設計および耐震性に関する

照査」3.5「安全係数」によること。

*2 ckf ' ≧80N/mm2のときは、γcを適切に設定すること。

*3 LNGピットイン式貯槽の場合は構造物係数を1.0とすること。

8.5.4 地盤の液状化

(1) 一般

基礎の耐震性能評価においては、地盤の液状化による影響を考慮すること*1。液状化

するおそれがある地盤は、以下のいずれかによること。

(a) 液状化対策*2により液状化を発生させない。

(b) 液状化対策の目標性能や液状化の程度により、土質定数の低減及び地盤の沈下を

設計上考慮する。

また、液状化に伴い流動するおそれがある地盤は、土質定数の低減、地盤の沈下に加

え、水平移動を考慮すること*3。

(2) 液状化の判定

パブコメ用ドラフト

- 197 -

第8章 基礎

第8章 -29-

液状化の判定は、レベル1地震動及びレベル2地震動において、各々JGA指-101-12の6.3.2

及び10.2.2.1によること。

(3) 土質定数の低減

JGA指-101-12の6.3.3及び10.2.2.2によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 地盤の液状化に伴う流動等の検討を行う場合は、JGA指-101-12の10.2.2.3、

10.2.2.4、10.2.2.5及び10.4によること。

*(2) 地盤変状対策として地盤改良を行う場合には、周辺の条件、地盤の特性、改良の

目的及び施工条件を考慮して適切な工法を用いること。また、地盤改良範囲は地盤

の特性及び改良の目的を考慮して適切に定めること。

8.5.5 杭基礎の構造及び設計

(1) 一般

杭基礎は、基礎版からの荷重に対して安全な構造とすること。

(2) 設計の基本

(a) 杭基礎の設計は、表8-5に示す項目を評価すること。

表8-5 杭基礎の評価項目

区分 評価項目*(1)*(2)

常時性能評価

通常運転時

安定の保持

杭のひび割れ[1]

杭の断面破壊

強風時、耐圧試験時、水張試験時 安定の保持

杭の断面破壊

レベル1耐震性能評価 安定の保持

杭の断面破壊

レベル2耐震性能評価 変形

液状化の判定は、レベル1地震動及びレベル2地震動において、各々JGA指-101-14「製

造設備等耐震設計指針」(以下、JGA指-101-14と略す。)第6章「基礎のレベル1耐震性

能評価法」6.3.2「液状化の判定」及び第10章「基礎のレベル2耐震性能評価法」10.2.2.1

「液状化の判定」によること。

(3) 土質定数の低減

JGA指-101-14の6.3.3「土質定数の低減」及び10.2.2.2「土質定数の低減」によるこ

と。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 LNG地上式貯槽の設置地盤の液状化対策として、レベル1地震動に対しては「液

状化を発生させない」、レベル2地震動に対しては「液状化の発生は許容するが、

土質定数の低減に制限を設ける」という目標性能が設定される事例が多い。

*2 地盤変状対策として地盤改良を行う場合には、周辺の条件、地盤の特性、改良の

目的及び施工条件を考慮して適切な工法を用いること。また、地盤改良範囲は地盤

の特性及び改良の目的を考慮して適切に定めること。

*3 地盤の液状化に伴う流動等の検討を行う場合は、JGA指-101-14の10.2.2.3「流動

の検討」、10.2.2.4「地盤の沈下」、10.2.2.5「地盤の水平移動」及び10.4「地盤変

状による基礎の移動に係る耐震性能評価」によること。

8.5.5 杭基礎の構造及び設計

(1) 一般

杭基礎は、基礎版からの荷重に対して安全な構造とすること。

(2) 設計の基本

(a) 杭基礎の設計は、表8-5「杭基礎の評価項目」に示す項目を評価すること。

表8-5 杭基礎の評価項目

区分 評価項目*1*2

常時性能評価

通常運転時

安定の保持

杭のひび割れ[1]

杭の断面破壊

強風時、耐圧試験時、水張試験時 安定の保持

杭の断面破壊

レベル1耐震性能評価 安定の保持

杭の断面破壊

レベル2耐震性能評価 変形

パブコメ用ドラフト

- 198 -

第8章 基礎

第8章 -30-

〔備 考〕

[1]場所打ち杭及びRC杭*(3)の場合に評価する。

(b) 評価は、8.4に示す材料の設計値、8.5.2で求められる荷重及び表8-4に示す安全係数を

用いて行うこと。

(3) 構造解析

(a) 断面力の算定には、評価項目を適切に評価できる解析手法*(4)を選定すること。

(b) 解析は、構造に応じた適切な境界条件及びモデルを設定し、8.5.2に示す荷重条件につ

いて行うこと。

(c) 設計作用力、設計変位量及び設計断面力 dS は、8.5.2の設計荷重を用いて作用力、変位

量及び断面力 S を算定し、これに表8-4に示す構造解析係数 aγ を乗じた値とすること。

SγS ad =

(4) 評価方法

(a) 安定の保持の評価*(5)

(ⅰ)鉛直支持に対する評価は次式を満足すること。

vd

d

i R

Vγ ≦1.0

ここに、 dV :杭頭に作用する設計鉛直力(kN)

vdR :杭頭における設計鉛直支持力*(6)(kN)

iγ :表8-4に示す構造物係数

(ⅱ)引抜き力に対する評価は次式を満足すること。

ud

ud

i R

Vγ ≦1.0

ここに、 udV :杭頭に作用する設計引抜き力(kN)

udR :杭頭における設計引抜き抵抗力*(6)(kN)

iγ :表8-4に示す構造物係数

(b) 杭のひび割れの評価

通常の鉄筋コンクリート部材と同様に扱い、8.5.7(4)(a)により検討を行うこと。

(c) 杭体の断面破壊の評価

鋼管杭の評価は、次式により行うものとする。場所打ち杭及びRC杭の評価は、通常の

鉄筋コンクリート部材と同様に扱い、8.5.7(4)(b)により行うこと。

(ⅰ)曲げモーメント及び軸方向力を同時に受ける杭部材断面の評価は、次式により行うこ

と。

軸方向力が引張の場合

+

tutu

iba M

M

P

Pγγγ ≦1.0

〔備 考〕

[1]場所打ち杭及びRC杭*3の場合に評価する。

(b) 評価は、8.4「設計値」に示す材料の設計値、8.5.2「荷重」で求められる荷重及び

表8-4に示す安全係数を用いて行うこと。

(3) 構造解析

(a) 断面力の算定には、評価項目を適切に評価できる解析手法*4を選定すること。

(b) 解析は、構造に応じた適切な境界条件及びモデルを設定し、8.5.2に示す荷重条件

について行うこと。*5

(c) 設計作用力、設計変位量及び設計断面力 dS は、8.5.2の設計荷重を用いて作用力、

変位量及び断面力 S を算定し、これに表8-4に示す構造解析係数 aγ を乗じた値とす

ること。

SγS ad =

(4) 評価方法

(a) 安定の保持の評価*6

(ⅰ)鉛直支持に対する評価は次式を満足すること。

vd

d

i R

Vγ ≦1.0

ここに、 dV :杭頭に作用する設計鉛直力(kN)

vdR :杭頭における設計鉛直支持力*7*8(kN)

iγ :表8-4に示す構造物係数

(ⅱ)引抜き力に対する評価は次式を満足すること。

ud

ud

i R

Vγ ≦1.0

ここに、 udV :杭頭に作用する設計引抜き力(kN)

udR :杭頭における設計引抜き抵抗力*7*8(kN)

iγ :表8-4に示す構造物係数

(b) 杭のひび割れの評価

通常の鉄筋コンクリート部材と同様に扱い、8.5.7「基礎版の構造及び設計」(4)「評

価方法」(a)「ひび割れの評価」により検討を行うこと。

(c) 杭体の断面破壊の評価

杭体の評価は、軸力、曲げモーメント及びせん断力に対する照査を行うこと。

(ⅰ) 鋼管杭の評価は、次式により行うものとする。

(イ) 曲げモーメント及び軸方向力を同時に受ける杭部材断面の評価は、次式によ

り行うこと。

軸方向力が引張の場合

+

tutu

iba M

M

P

Pγγγ ≦1.0

パブコメ用ドラフト

- 199 -

第8章 基礎

第8章 -31-

及び

+−

cucu

iba M

M

P

Pγγγ ≦1.0

軸方向力が圧縮の場合

+−

tutu

iba M

M

P

Pγγγ ≦1.0

及び

+

cucu

iba M

M

P

Pγγγ ≦1.0

ここに、 P :作用軸方向力(kN)

M :作用曲げモーメント(kN・m)

tuP :断面の引張耐力*(7)(kN)

cuP :断面の圧縮耐力*(7)(kN)

tuM :断面の引張側における曲げ耐力*(7)(kN・m)

cuM :断面の圧縮側における曲げ耐力*(7)(kN・m)

aγ :表8-4に示す構造解析係数

bγ :表8-4に示す部材係数

iγ :表8-4に示す構造物係数

(ⅱ)せん断力を受ける部材の評価は、次式により行うこと。

u

iba S

Sγγγ ≦1.0

S :作用せん断力(kN)

uS :断面のせん断耐力*(7)(kN)

(ⅲ)軸方向圧縮力、曲げモーメントとせん断力が同時に作用する部材の評価は、次式によ

り行うこと。

+

+

222

1.1 ucucu

iba

S

S

M

M

P

Pγγγ≦1.0

(d) 変形の評価

変形に対する評価は、次式を満足すること。

L

di μ

μγ ≦1.0

ここに、 dμ :杭基礎の応答塑性率*(8)

Lμ :杭基礎の応答塑性率の制限値*(9)*(10)

iγ :表8-4に示す構造物係数

及び

+−

cucu

iba M

M

P

Pγγγ ≦1.0

軸方向力が圧縮の場合

+−

tutu

iba M

M

P

Pγγγ ≦1.0

及び

+

cucu

iba M

M

P

Pγγγ ≦1.0

ここに、 P :作用軸方向力(kN)

M :作用曲げモーメント(kN・m)

tuP :断面の引張耐力*9(kN)

cuP :断面の圧縮耐力*9(kN)

tuM :断面の引張側における曲げ耐力*9(kN・m)

cuM :断面の圧縮側における曲げ耐力*9(kN・m)

aγ :表8-4に示す構造解析係数

bγ :表8-4に示す部材係数

iγ :表8-4に示す構造物係数

(ロ) せん断力を受ける部材の評価は、次式により行うこと。

u

iba S

Sγγγ ≦1.0

S :作用せん断力(kN)

uS :断面のせん断耐力*9(kN)

(ハ) 軸方向圧縮力、曲げモーメントとせん断力が同時に作用する部材の評価は、

次式により行うこと。

+

+

222

1.1 ucucu

iba

S

S

M

M

P

Pγγγ≦1.0

(ⅱ) PHC杭、場所打ち杭及びRC杭の評価は、通常の鉄筋コンクリート部材と同

様に扱い、8.5.7(4)(b)「断面破壊の評価」により行うこと。*10*11

(ⅲ) SC杭のうち、鋼管の評価は、8.5.5(4)(c)(ⅰ)に、コンクリートの評価は

8.5.5(4)(c)(ⅱ)により行うこと。*10*11

(d) 変形の評価

変形に対する評価は、次式を満足すること。

L

di μ

μγ ≦1.0

ここに、 dμ :杭基礎の応答塑性率*12

Lμ :杭基礎の応答塑性率の制限値*13*14

iγ :表8-4に示す構造物係数

パブコメ用ドラフト

- 200 -

第8章 基礎

第8章 -32-

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 杭基礎にネガティブフリクションが生じる場合は、これを考慮して基礎の鉛直支

持、沈下及び杭体等の強度に対する検討を行わなければならない。

*(2) 必要に応じて変位に対する評価を行うこと。基礎は、通常運転時等の荷重による

鉛直変位及び地震時の荷重による水平変位が生じる。変位に対する検討では、基礎

の変位による貯槽と配管との間の相対変位を求め、それが貯槽の機能に支障をきた

さないことを確認すること。基礎の変位量は杭頭部に作用する荷重、杭の本数及び

形状、地盤の状況等に応じて変わるため、類似の構造物の変位記録などを参考に推

定するのが望ましい。長期にわたる鉛直変位量については、基礎の沈下量の観測を

行い、不等沈下量に対して安全性を確認することが望ましい。

*(3) RC杭とは、「鉄筋コンクリートくい」をいう。

*(4) レベル2地震動に対する杭基礎の解析手法として、2次元有限要素逐次非線形解

析法、あるいは鉄道総合技術研究所「鉄道構造物等設計標準・同解説 基礎構造物」

(2000)による応答変位法を適用してもよい1)。また、杭の検討においては、杭頭の

みならず地層の層境についても十分注意して評価すること。

<参考文献>

1) 発電設備技術検査協会: ”平成11年度 電力施設地震対策調査に関する調査報告

書[発電設備耐震信頼性実証試験]”,(平成12年3月)

*(5) 通常運転時は、鉛直支持に対する評価のみ行う。

*(6) 杭の設計鉛直支持力、設計引抜き抵抗力は鉄道総合技術研究所「鉄道構造物等設

計標準・同解説 基礎構造物」(2000)の「10章 杭基礎」の「10.2.3単杭の設計鉛直

支持力及び設計引抜き抵抗力」に基づき、次式から求めることができる。この場合

は、本指針の通常運転時をこの基準の使用限界状態に対応させ、本指針の強風時、

耐圧試験時、水張試験時及びレベル1耐震性能評価をこの基準の終局限界状態に対

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 杭基礎にネガティブフリクションが生じる場合は、これを考慮して基礎の鉛直支

持、沈下及び杭体等の強度に対する検討を行わなければならない。

*2 必要に応じて変位に対する評価を行うこと。基礎は、通常運転時、水張試験時等

の荷重による鉛直変位及び地震時の荷重による水平変位が生じる。変位に対する検

討では、基礎の変位による貯槽と配管との間の相対変位を求め、それが貯槽の機能

に支障をきたさないことを確認すること。基礎の変位量は杭頭部に作用する荷重、

杭の本数及び形状、地盤の状況等に応じて変わるため、類似の構造物の変位記録な

どを参考に推定するのが望ましい。長期にわたる鉛直変位量については、基礎の沈

下量の観測を行い、不等沈下量に対して安全性を確認することが望ましい。

*3 RC杭とは、「鉄筋コンクリートくい」をいう。

*4 レベル2地震動に対する杭基礎の解析手法として、2次元有限要素逐次非線形解

析法、あるいは応答変位法を適用してもよい1)。また、杭の検討においては、杭頭

のみならず地層の層境で発生するせん断力や変位等についても十分注意して評価

すること。

<参考文献>

1) 発電設備技術検査協会:「平成11年度 電力施設地震対策調査に関する調査報告書

[発電設備耐震信頼性実証試験]」、(平成12年3月)

*5 杭基礎の設計に用いる地盤反力係数は、地盤条件や施工方法等の影響を考慮し適

切に求めること。載荷試験や原位置試験の結果をもとに、日本道路協会「道路橋示

方書・同解説」(2017)[Ⅳ下部構造編]8.5.3「地盤反力係数」に基づき求めても

よい。なお、レベル1耐震性能評価及びレベル2耐震性能評価に用いる地盤反力係

数は、常時性能評価に用いる地盤反力係数によっては過大に設定される場合がある

ため、十分考慮して適切に設定すること。詳細な検討によらない場合は、常時性能

評価と同じ値とするのがよい。

*6 通常運転時は、鉛直支持に対する評価のみ行う。

*7 杭の設計鉛直支持力、設計引抜き抵抗力は、次式から求めることができる1)。なお、

載荷試験により求めることを原則とする。

(1) 通常運転時の単杭の杭頭における設計鉛直支持力

ここに、𝑅𝑣𝑑 :通常運転時の単杭の設計鉛直支持力(kN)

𝑅vd = 𝜆𝑠𝜆𝑓(𝑅𝑣𝑦 − 𝑊𝑠1) + 𝑊𝑠1 − 𝑊𝑠2

パブコメ用ドラフト

- 201 -

第8章 基礎

第8章 -33-

応させることができる。

単杭の杭頭における設計鉛直支持力は、次式により算定することができる。

prpfrfvd RfRfR +=

ここに、 vdR :単杭の設計鉛直支持力(kN)

fR :単杭の最大周面支持力(kN)

pR :単杭の基準先端支持力(kN)

rff :杭の周面支持力に対する地盤抵抗係数

rpf :杭の先端支持力に対する地盤抵抗係数

単杭の杭頭における設計引抜き抵抗力は、次式により算定することができる。

pfruud WRfR +=

ここに、 udR :単杭の設計引抜き抵抗力(kN)

fR :単杭の最大周面支持力(kN)

ruf :杭の引抜き抵抗力に対する地盤抵抗係数

pW :杭の有効自重(kN)

また、杭の設計鉛直支持力、設計引抜き抵抗力は鉄道総合技術研究所「鉄道構造

物等設計標準・同解説 基礎構造物」(2000)の「10章 杭基礎」の「10.3.17 載荷

試験により設計支持力等を算定する場合」に基づき、杭の鉛直載荷試験及び引抜き

試験を行って求めることができる。

𝜆𝑠 :0.55とする。

𝜆𝑓 :支持杭の場合、1.00、摩擦杭(打込み工法、場所打ち杭)の場

合、0.70とする。ただし、支持杭基礎と同等の安全性を有する打

込み杭工法、場所打ち杭工法の場合には1.00としてよい。

𝑅𝑣𝑦 :地盤から決まる杭の降伏支持力の特性値(kN)で𝑅𝑣𝑦 = 0.65𝑅𝑣𝑢と

する。

𝑅𝑣𝑢 :地盤から決まる杭の極限支持力の特性値(kN)で以下のいずれか

の方法により求める。

① 杭の鉛直載荷試験で得られた杭頭部の荷重と沈下量の関係に

おいて、沈下量の軸に平行とみなせるときの荷重とする。ただ

し、杭頭部の沈下量が杭径の10%を超えても荷重と沈下量の関

係が沈下量の軸に平行とみなせない場合には、杭頭部の沈下量

が杭径の10%に達したときの荷重とする。

② 次式により算定する。

ここに、𝑞𝑑 :杭先端の極限支持力度の特性値(kN/m2)で解

表8-6による。

𝐴 :杭先端面積(m2)

𝑈 :杭の周長(m)

𝐿𝑖 :周面摩擦力を考慮するi層の層厚(m)

𝑓𝑖 :周面摩擦力を考慮するi層の最大周面摩擦力度

の特性値(kN/m2)で解表8-7による。

𝑊𝑠1 :杭で置換えられる部分の土の有効重量(kN)

𝑊𝑠2 :杭及び杭内部の土の有効重量(kN)

解表8-6 杭先端の極限支持力度の特性値(kN/m2)

杭工法 地盤の種類 杭先端の極限支持力度

の特性値𝑞𝑑

打込み杭工法

粘性土 90N(≦ 4,500)

砂 130N(≦ 6,500)

砂れき 130N(≦ 6,500)

場所打ち杭工法

粘性土 110N(≦ 3,300)

砂 110N(≦ 3,300)

砂れき 160N(≦ 8,000)

埋め込み杭工法 砂 240N(≦12,000)

砂れき 160N(≦15,000)

〔備 考〕Nは標準貫入試験で得られるN値を表す。

解表8-7 最大周面摩擦力度の特性値(kN/m2)

𝑅vu = 𝑞𝑑𝐴 + 𝑈 ∑ 𝐿𝑖𝑓𝑖

パブコメ用ドラフト

- 202 -

第8章 基礎

第8章 -34-

杭工法 地盤の種類 最大周面摩擦力度

の特性値𝑓𝑖

打込み杭工法 粘性土 c 又は6N(≦ 70)

砂質土 5N(≦100)

場所打ち杭工法 粘性土 c 又は5N(≦100)

砂質土 5N(≦120)

埋め込み杭工法 粘性土 c 又は7N(≦100)

砂質土 5N(≦120)

〔備 考〕c は粘着力(kN/m2)、Nは標準貫入試験で得られるN値を表す。

(2) 通常運転時の単杭の杭頭における設計引抜き抵抗力

𝑅𝑢𝑑 = 𝜆𝑝𝑅uy + 𝑊𝑠3

ここに、𝑅𝑢𝑑:通常運転時の単杭の設計引抜き抵抗力(kN)

𝜆𝑝 :0.25とする。

𝑅uy :地盤から決まる杭の降伏引抜き抵抗力の特性値 (kN)で𝑅𝑢𝑦 =

0.65𝑅𝑢𝑢とする。

𝑅uu :地盤から決まる杭の極限引抜き抵抗力の特性値(kN)で以下のい

ずれかの方法により求める。

① 杭の引抜き載荷試験で得られた杭頭部の荷重と変位の関係

において、最大となる荷重を上限とし、杭頭部の変位を考慮

して設定する。

② 杭の鉛直載荷試験により求められる地盤から決まる杭の極

限支持力のうちの最大周面摩擦力の特性値とする。

③ 次式により算定する。

𝑅uu = 𝑈 ∑ 𝐿𝑖𝑓𝑖

ここに、𝑈 :杭の周長(m)

𝐿𝑖 :周面摩擦力を考慮するi層の層厚(m)

𝑓𝑖 :周面摩擦力を考慮するi層の最大周面摩擦力

度の特性値(kN/m2)で解表8-7による。

𝑊𝑠3 :杭の有効重量(kN)

(3) 強風時、耐圧試験時、水張試験時及びレベル1耐震性能評価時の単杭の杭頭にお

ける設計鉛直支持力

𝑅𝑣𝑑 = 𝜉1𝛷𝑌𝜆𝑓𝜆𝑛(𝑅𝑣𝑦 − 𝑊𝑠1) + 𝑊𝑠1 − 𝑊𝑠2

ここに、𝑅𝑣𝑑 :強風時、耐圧試験時、水張試験時及びレベル1耐震性能評価時

の単杭の設計鉛直支持力(kN)

𝜉1 :調査・解析係数で解表8-8による。

𝛷𝑌 :抵抗係数で解表8-8による。

𝜆𝑓 :支持杭の場合は1.00、摩擦杭(打込み工法、場所打ち杭)の場

パブコメ用ドラフト

- 203 -

第8章 基礎

第8章 -35-

合は0.70とする。ただし、支持杭基礎と同等の安全性を有する

打込み杭工法、場所打ち杭工法の場合には1.00としてよい。

𝜆𝑛 :杭本数に応じた抵抗特性の差を考慮する係数で、1.00を標準と

する。

𝑅𝑣𝑦 :地盤から決まる杭の降伏支持力の特性値(kN)で𝑅𝑣𝑦 = 0.65𝑅𝑣𝑢と

する。

𝑅𝑣𝑢 :地盤から決まる杭の極限支持力の特性値(kN)で、8.5.5【解説】

*7(a)による。

𝑊𝑠1 :杭で置き換えられる部分の土の有効重量(kN)

𝑊𝑠2 :杭及び杭内部の土の有効重量(kN)

解表8-8 設計鉛直支持力算定時の調査・解析係数及び抵抗係数

地盤から決まる降伏支持

力の特性値の推定方法

調査・解析係数

𝜉1

抵抗係数 𝛷𝑌

打ち込み杭工法

場所打ち杭工法 埋め込み杭工法

推定式から求める場合 0.90 0.80 0.90[1]

載荷試験から求める場合 0.95 1.00

〔備 考〕

[1] 摩擦杭基礎の場合は 0.80 とする。

(4) 強風時、耐圧試験時、水張試験時及びレベル1耐震性能評価時の単杭の杭頭にお

ける設計引抜き抵抗力

𝑅𝑢𝑑 = 𝜉1𝛷𝑌𝜆𝑛𝑅uy + 𝑊𝑠3

ここに、𝑅𝑢𝑑 :強風時、耐圧試験時、水張試験時及びレベル1耐震性能評価時

の単杭の設計引抜き抵抗力(kN)

𝜉1 :調査・解析係数で解表8-9による。

𝛷𝑌 :抵抗係数で解表8-9による。

𝜆𝑛 :杭本数に応じた抵抗特性の差を考慮する係数で、1.00を標準と

する。

𝑅uy :地盤から決まる杭の降伏引抜き抵抗力の特性値(kN)で𝑅𝑢𝑦 =

0.65𝑅𝑢𝑢とする。

𝑅𝑢𝑢 :地盤から決まる杭の極限支持力の特性値(kN)で、8.5.5【解説】

*7(b)による。

𝑊𝑠3 :杭の有効重量(kN)

解表8-9 設計引抜き抵抗力算定時の調査・解析係数及び抵抗係数

地盤から決まる降伏引抜き抵抗力

の特性値の推定方法

調査・解析係数

𝜉1

抵抗係数

𝛷𝑌

推定式から求める場合 0.90 0.55

載荷試験から求める場合 0.95 0.65

パブコメ用ドラフト

- 204 -

第8章 基礎

第8章 -36-

*(7) 耐力とは設計強度に断面積又は断面係数を乗じた断面力又はモーメントをいう。

*(8) 応答塑性率とは、応答塑性変位を降伏変位で除した値をいう。ここで、応答塑性

変位とは、レベル2地震動に係る設計地震動に対して生じる変位から降伏変位を減

じた値をいい、降伏変位とは、荷重変形曲線図において、荷重と変形の関係が概ね

線形性を保持する限界の変位をいう。

*(9) 応答塑性率の制限値とは、レベル2地震動に係る設計地震動に対して基礎のレベ

ル2耐震性能を満足するための限界の塑性率をいう。杭基礎の応答塑性率の制限値

は、杭基礎の安定より定まる制限値と部材の損傷より定まる制限値のうちの小さい

方を用いること。

*(10) 詳細な検討によらない場合、杭基礎の応答塑性率の制限値は、JGA指-101-12の

解表10-2及び10.4.1.4 解説*1に基づき、地震慣性力に係る基礎の耐震性能評価

では応答塑性率の制限値を1.5、地盤の液状化に伴う基礎の移動に係る耐震性能評

価では、応答塑性率の制限値を5.0とすることができる。

8.5.5

(5) 構造細目

(a) 杭頭部と基礎版の結合

杭と基礎版の結合部は、安全な構造とすること*(1)。

(b) 鋼管杭の厚さ

鋼管杭の各部の厚さは、強度計算上必要な厚さに腐れ代*(2)を加えたものとし、9㎜以

上とすること。

<参考文献>

1) 日本道路協会:「道路橋示方書・同解説」[Ⅳ下部構造編]、(平成29年11月)

*8 埋め込み杭工法又はこれに類する工法で、国土交通大臣の認定を受けたもの(大

臣認定工法)を採用する場合には、工法の適用性が確認され施工品質が確保される

ことを条件に、大臣認定書に定められた支持力算定式を用いることもできる。

*9 耐力とは設計強度に断面積又は断面係数を乗じた断面力又はモーメントをいう。

*10 PHC杭及びSC杭について、曲げモーメント及び軸方向力にを対する耐力を、

軸力-曲げモーメントの相関図により求めてもよい。この場合、構造物解析係数 aγ 、

部材係数 bγ 、構造物係数 iγ を考慮すること。

*11 杭体の変性性能の確認のため、曲げせん断耐力比についても評価を行うこと。

*12 応答塑性率とは、応答塑性変位を降伏変位で除した値をいう。ここで、応答塑性

変位とは、レベル2地震動に係る設計地震動に対して生じる変位から降伏変位を減

じた値をいい、降伏変位とは、荷重変形曲線図において、荷重と変形の関係が概ね

線形性を保持する限界の変位をいう。

*13 応答塑性率の制限値とは、レベル2地震動に係る設計地震動に対して基礎のレベ

ル2耐震性能を満足するための限界の塑性率をいう。杭基礎の応答塑性率の制限値

は、杭基礎の安定より定まる制限値と部材の損傷より定まる制限値のうちの小さい

方を用いること。

なお、杭基礎の安定より定まる応答塑性率の制限値を定めることが困難な場合

は、レベル2地震動における鉛直力及び引抜力が、杭の極限支持力の特性値𝑅𝑢及び

極限引抜き抵抗力の特性値𝑃u以下であることを確認すること。

*14 詳細な検討によらない場合、部材の損傷より定まる杭基礎の応答塑性率の制限値

は、JGA指-101-14「製造設備等耐震設計指針」第10章「基礎のレベル2耐震性能評

価法」解表10-2及び10.4.1.4「許容塑性率」【解説】*1に基づき、地震慣性力

に係る基礎の耐震性能評価では応答塑性率の制限値を1.5、地盤の液状化に伴う基

礎の移動に係る耐震性能評価では、応答塑性率の制限値を5.0とすることができる。

8.5.5

(5) 構造細目

(a) 杭頭部と基礎版の結合

杭と基礎版の結合部は、安全な構造とすること*1。

(b) 鋼管杭の厚さ、

鋼管杭の各部の厚さは、強度計算上必要な厚さに腐れ代*2を加えたものとし、9㎜

以上とすること。また、杭体の局部座屈に対する検討*3を行うこと。

パブコメ用ドラフト

- 205 -

第8章 基礎

第8章 -37-

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 杭の基礎版コンクリートに対する鉛直支圧強度、水平支圧強度及び押抜きせん断

強度について検討すること。

*(2) 鋼管杭の腐れ代は、杭が土又は水に接する面について考慮するものとする。

腐れ代は十分な調査を行い、環境条件に応じて設定すること。ただし、鋼管杭の

内面については考慮しなくてもよい。また、腐食が著しいと考えられる場合には、

腐れ代を大きくとるだけでなく、適当な防食処置を施すことが望ましい。

8.5.6 直接基礎の構造及び設計

(1) 一般

直接基礎は、基礎版からの荷重に対して安全な構造とすること。

(2) 設計の基本

(a) 直接基礎の設計は、表8-6に示す項目を評価すること。

表8-6 直接基礎の評価項目

区分 評価項目*(1)

常時性能評価 通常運転時 安定の保持

強風時、耐圧試験時、水張試験時 安定の保持

レベル1耐震性能評価 安定の保持

レベル2耐震性能評価*(2) 変形

(b) 評価は、8.4に示す材料の設計値、8.5.2で求められる荷重及び表8-4に示す安全係数を

用いて行うこと。

(3) 構造解析

(a) 断面力の算定には、評価項目を適切に評価できる解析手法を選定すること*(3)。

(b) 解析は、構造に応じた適切な境界条件及びモデルを設定し、8.5.2に示す荷重条件に

ついて行うこと。

(c) 設計作用力及び設計変位量 dS は、8.5.2の設計荷重を用いて作用力及び変位量Sを算定

し、これに表8-4に示す構造解析係数 aγ を乗じた値とすること。

SγS ad =

(4) 評価方法

(a) 安定の保持の評価*(4)

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 杭の基礎版コンクリートに対する鉛直支圧強度、水平支圧強度及び押抜きせん断

強度について検討すること。

*2 鋼管杭の腐れ代は、杭が土又は水に接する面について考慮するものとする。

腐れ代は十分な調査を行い、環境条件に応じて設定すること。ただし、鋼管杭の

内面については考慮しなくてもよい。また、腐食が著しいと考えられる場合には、

腐れ代を大きくとるだけでなく、適当な防食処置を施すことが望ましい。

*3 評価方法は、日本建築学会「建築基礎構造設計指針」(2001)6.7「杭体の断面設

計」が参考になる。

8.5.6 直接基礎の構造及び設計

(1) 一般

直接基礎は、基礎版からの荷重に対して安全な構造とすること。*1

(2) 設計の基本

(a) 直接基礎の設計は、表8-6に示す項目を評価すること。

表8-6 直接基礎の評価項目

区分 評価項目*2

常時性能評価 通常運転時 安定の保持

強風時、耐圧試験時、水張試験時 安定の保持

レベル1耐震性能評価 安定の保持

レベル2耐震性能評価*3 変形

(b) 評価は、8.4「設計値」に示す材料の設計値、8.5.2「荷重」で求められる荷重及び

表8-4に示す安全係数を用いて行うこと。

(3) 構造解析

(a) 断面力の算定には、評価項目を適切に評価できる解析手法を選定すること*4。

(b) 解析は、構造に応じた適切な境界条件及びモデルを設定し、8.5.2に示す荷重条件

について行うこと。

(c) 設計作用力及び設計変位量 dS は、8.5.2の設計荷重を用いて作用力及び変位量Sを

算定し、これに表8-4に示す構造解析係数 aγ を乗じた値とすること。

SγS ad =

(4) 評価方法

(a) 安定の保持の評価*5

パブコメ用ドラフト

- 206 -

第8章 基礎

第8章 -38-

(ⅰ)通常運転時の鉛直支持に対する評価は次式を満足すること。

d

di q

Pγ ≦1.0

ここに、 dP :設計鉛直地盤反力(kN/m2)

dq :設計鉛直支持力*(5)(kN/m2)

iγ :表8.4に示す構造物係数

(ⅱ)通常運転時以外の鉛直支持に対する評価は次式を満足すること。

vd

di R

Vγ ≦1.0

ここに、 dV :設計有効鉛直荷重(kN)

vdR :設計鉛直支持力*(6)(kN)

iγ :表8-4に示す構造物係数

(ⅲ)通常運転時以外の水平支持に対する評価は次式を満足すること。

hd

di R

Hγ ≦1.0

ここに、 dH :設計水平荷重(kN)

hdR :設計水平支持力*(7)(kN)

iγ :表8-4に示す構造物係数

(b) 変形の評価

変形に対する評価は、次式を満足すること。

L

di μ

μγ ≦1.0

ここに、 dμ :直接基礎の応答塑性率

Lμ :直接基礎の応答塑性率の制限値*(8)

iγ :表8-4に示す構造物係数

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

(ⅰ)通常運転時の鉛直支持に対する評価は次式を満足すること。

d

di q

Pγ ≦1.0

ここに、 dP :設計鉛直地盤反力度(kN/m2)

dq :鉛直地盤反力度の制限値*6(kN/m2)

iγ :表8-4に示す構造物係数

𝛾𝑖𝑉𝑑

𝑄𝑣𝑑≦1.0

ここに、 dV :設計有効鉛直荷重*7(kN)

𝑄𝑣𝑑:設計鉛直支持力*8(kN)

iγ :表8-4に示す構造物係数

(ⅱ)通常運転時以外の鉛直支持に対する評価は次式を満足すること。

𝛾𝑖𝑉𝑑

𝑄𝑣𝑑≦1.0

ここに、 dV :設計有効鉛直荷重*7(kN)

𝑄𝑣𝑑 :設計鉛直支持力*8(kN)

iγ :表8-4に示す構造物係数

(ⅲ)通常運転時以外の水平支持に対する評価は次式を満足すること。

𝛾𝑖𝐻𝑑

𝑄ℎ𝑑≦1.0

ここに、 dH :設計水平荷重(kN)

𝑄ℎ𝑑 :設計水平支持力*9(kN)

iγ :表8-4に示す構造物係数

(b) 変形の評価

変形に対する評価は、次式を満足すること。

L

di μ

μγ ≦1.0

ここに、 dμ :直接基礎の応答塑性率

Lμ :直接基礎の応答塑性率の制限値*10

iγ :表8-4に示す構造物係数

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 直接基礎の場合、基礎版は剛体として扱うことができる構造とすることを基本と

パブコメ用ドラフト

- 207 -

第8章 基礎

第8章 -39-

*(1) 必要に応じて変位に対する評価を行うこと。特に、圧密沈下が予想される場合に

は、圧密沈下量について検討が必要である。変位に対する評価では、基礎の変位に

よる貯槽と配管との間の相対変位を求め、それが貯槽の機能に支障をきたさないこ

とを確認すること。

*(2) レベル2耐震性能評価においては転倒に対する評価を行うこと。転倒に対する評

価は、次式を満足すること。

rex

8

5≦

ここに、 xe :合力の偏心量(m)

r :基礎版の半径(m)

*(3) 基礎版の平面寸法が大きい場合には、基礎版を剛体として扱えないので、基礎版

の剛性及び地盤の鉛直ばねを考慮して設計すること。

*(4) 通常運転時は、鉛直支持に対する評価のみ行う。

*(5) 直接基礎の設計鉛直支持力は、鉄道総合技術研究所「鉄道構造物等設計標準・同

解説 基礎構造物」(2000)の「8章 直接基礎」の「8.2.4 設計鉛直支持力」に基

づき、次式から求めることができる。この場合は、本指針の通常運転時をこの基準

の使用限界状態に対応させることができる。

fevdd Dγqq 2+=

粘性土の場合

caINfq bccrcvd =

砂質土の場合

( )121 −+= qfeqrqγeebγγrvd NDγIfNγBβIfq

ここに、 dq :設計鉛直支持力(kN/m2)

vdq :増加荷重に対する直接基礎の設計極限鉛直支持力(kN/m2)

γrf 、 rqf 、 rcf :直接基礎の鉛直支持力に対する地盤抵抗係数

fD :フーチング底面の有効根入れ深さ(m)

1eγ :フーチング底面の土の有効単位体積質量(kN/m3)

する。剛体として扱うことができない構造とする場合、基礎版の剛性及び地盤の鉛

直ばねを考慮して設計すること。

*2 必要に応じて変位に対する評価を行うこと。特に、圧密沈下が予想される場合に

は、圧密沈下量について検討が必要である。変位に対する評価では、基礎の変位に

よる不等沈下量及び貯槽と配管との間の相対変位を求め、それらが貯槽の機能に支

障をきたさないことを確認すること。

*3 レベル2耐震性能評価においては転倒に対する評価を行うこと。転倒に対する評

価は、次式を満足すること。

rex

8

5≦

ここに、 xe :合力の偏心量(m)

r :基礎版の半径(m)

*4 直接基礎の設計に用いる地盤反力係数は、地盤条件や施工方法等の影響を考慮し

適切に求めること。載荷試験や原位置試験の結果をもとに、日本道路協会「道路橋

示方書・同解説」(2017)[Ⅳ下部構造編]8.5.3「地盤反力係数」に基づき求めて

もよい。なお、レベル1耐震性能評価及びレベル2耐震性能評価に用いる地盤反力

係数は、常時性能評価に用いる地盤反力係数によっては過大に設定される場合があ

るため、十分考慮して適切に設定すること。詳細な検討によらない場合は、常時性

能評価と同じ値とするのがよい。

*5 通常運転時は、鉛直支持に対する評価のみ行う。

*6 直接基礎の鉛直地盤反力度の制限値は、解表8-10および解表8-11から求める

ことができる1)。

解表8-10 鉛直地盤反力度の制限値(支持層が粘性土地盤、砂地盤又は砂れき地

盤の場合)

地盤の種類 鉛直地盤反力度の制限値(kN/m2)

粘性土 200

砂 400

砂れき 700

解表8-11 鉛直地盤反力度の制限値(支持層が岩盤の場合)

岩盤の種類 鉛直地盤反力度の制限値(kN/m2)

硬岩 亀裂が少ない 2,500

亀裂が多い 1,000

軟岩 600

パブコメ用ドラフト

- 208 -

第8章 基礎

第8章 -40-

2eγ :Df 区間の土の平均有効単位体積質量(kN/m3)

cI 、 γI 、 qI :傾斜荷重に対する補正係数

2

901

−==

δII qc

2

1

−=φ

δI γ ただし、

φ

δ−10≦

δ :フーチング底面における合力の傾斜角(°)

=

d

d

V

1tan

dH :フーチングに作用する設計水平荷重(kN)

dV :フーチング底面における設計有効鉛直荷重(kN)

φ :フーチング底面の土の内部摩擦角(°)

bα 、 bβ :フーチング底面の形状係数

解表8-6 形状係数

フーチング底面の形状

形状係数 連続 正方形 長方形 円形

1.0

0.5

1.2

0.3

1.0+0.2( )

0.5-0.2( )

1.2

0.3

ただし、L

B' は、 LB>' ならばB'

L とする。

c :フーチング底面の土の粘着力(kN/m2)

eB : B' 、 Lのうち小さいほうとする

B' :フーチングの有効幅(m)

xeBB 2' −=

L :荷重直角方向のフーチング幅(m)

xe :フーチング底面における合力の作用点のx方向の偏心量(m)

d

d

x V

Me =

dM :フーチング底面中心に作用する設計モーメント(kN・m)

cN :フーチング底面地盤の支持力係数で、一般に5.1とする

γN 、 qN :フーチング底面の土の支持力係数

*7 直接基礎の設計有効鉛直荷重は、次式から求めることができる1)。

LB /'

LB /'

パブコメ用ドラフト

- 209 -

第8章 基礎

第8章 -41-

*(6) 直接基礎の設計鉛直支持力は、鉄道総合技術研究所「鉄道構造物等設計標準・同

解説 基礎構造物」(2000)の「8章 直接基礎」の「8.2.4 設計鉛直支持力」に

基づき次式から求めることができる。この場合は、本指針の強風時、耐圧試験時、

水張試験時及びレベル1耐震性能評価をこの基準の終局限界状態に対応させるこ

とができる。

'' 2 ADγqAR fevdvd +=

ここに、 vdR :直接基礎の設計鉛直支持力(kN)

vdq :増加荷重に対する直接基礎の設計極限鉛直支持力(kN/m2)

A' :フーチングの有効面積(m2)

支持地盤が岩盤の場合の設計鉛直支持力は、岩盤の強度、風化の状態及びひび割

れの有無等を考慮して定めるものとする。

𝑉𝑑 =𝑉

1 − (ℎ2 + 𝑚2

𝑣2 )

12

𝑣 =𝑉

𝑄𝑢 , ℎ =

𝐻

(𝐻𝑢

𝑉) 𝑄𝑢

, 𝑚 =𝑀

0.48𝐵𝑄𝑢

ここに、𝑉𝑑 :設計有効鉛直荷重で、基礎底面に作用する合力(kN)

𝐻𝑢 :基礎底面と地盤との間に働く最大せん断抵抗力の特性値(kN)で、

8.5.6【解説】*9による。ただし、基礎底面に突起をつける場合

でも、突起の影響を考慮せずに求めること。

𝑉, 𝐻, 𝑀 :基礎底面に作用する鉛直力(kN)、水平力(kN)及び転倒モーメン

ト(kN・m)

𝐵 :水平力の作用方向の基礎幅(m)

𝑄𝑢 :基礎底面地盤の極限鉛直支持力(kN)で、8.5.6【解説】*8によ

る。

*8 直接基礎の設計鉛直支持力は、次式から求めることができる1)。

𝑄𝑦𝑑 = 0.81𝑄𝑦

ここに、𝑄𝑦𝑑 :直接基礎の設計鉛直支持力で、基礎底面地盤の支持力の制限値

(kN)

𝑄𝑦 :基礎底面地盤の降伏鉛直支持力の特性値(kN)で極限鉛直支持

力𝑄𝑢の0.65倍とする。

𝑄𝑢 :基礎底面地盤の極限鉛直支持力(kN)

𝑄𝑢 = 𝐴 (𝛼𝜅𝑐𝑁𝑐𝑆𝑐𝜁𝑐 + 𝜅𝑞𝑁𝑞𝑆𝑞 +1

2𝛾1𝛽𝐵𝑁𝛾𝑆𝛾)

なお、基礎底面地盤の極限鉛直支持力の特性値を平板載荷試

験により求める場合には,載荷試験の結果により確認した地

盤の粘着力及びせん断抵抗角φを用いて次式により算出す

る。

𝐴 :基礎の底面積(m2)

𝑐 :粘着力(kN/m2)

𝑞 :上載荷重の特性値(kN/m2)で, 𝑞 = 𝛾2𝐷𝑓

𝛾1, 𝛾2 :支持地盤及び根入れ地盤の単位体積重量(kN/m3)

ただし、地下水位以下では水中単位体積重量を用いること。

𝐵 :基礎幅(m)

α, β :基礎の形状係数で解表8-12 による。

Κ :支持層への根入れ効果に関する割増係数

𝐷𝑓 :上載荷重として考慮する基礎の根入れ深さ(m)

𝑁𝑐 , 𝑁𝑞 , 𝑁𝛾 :解図8-5に示される支持力係数

𝜁𝑐 :地盤の種類の違いを考慮する係数で,支持層が砂地盤又は砂

パブコメ用ドラフト

- 210 -

第8章 基礎

第8章 -42-

*(7) 直接基礎の設計水平支持力は、鉄道総合技術研究所「鉄道構造物等設計標準・同

解説 基礎構造物」(2000)の「8章 直接基礎」の「8.2.5 設計水平支持力」に

基づき次式から求めることができる。この場合は、本指針の強風時、耐圧試験時、

水張試験時及びレベル1耐震性能評価をこの基準の終局限界状態に対応させるこ

とができる。

れき地盤の場合には 1.00、粘性士地盤の場合には 0.55 とす

る。

𝑆𝑐 , 𝑆𝑞 , 𝑆𝛾:支持力係数の寸法効果による補正係数で𝑆𝑐 = (𝑐∗)𝜆 , 𝑆𝑞 =

(𝑞∗)𝜈 , 𝑆𝛾 = (𝐵)𝜇

λ, ν, μ :寸法効果の程度を表す係数で、λ = ν = μ = −1

3とする。

𝑐∗ :𝑐

𝑐0 ただし、1 ≦ 𝑐∗ ≦ 10とする。

c0 :10(kN/m2)とする。

𝑞∗ :𝑞

𝑞0 ただし、1 ≦ 𝑞∗ ≦ 10とする。

q0 :10(kN/m2)とする。

解表8-12 形状係数

基礎底面の形状

形状係数 帯状

正方形

円形

長方形

楕円形

α 1.0 1.3 1.0 + 0.3𝐵

𝐷

β 1.0 0.6 1.0 − 0.4𝐵

𝐷

〔備 考〕B, D:基礎幅(m)

ただし, 𝐵

𝐷> 1の場合は

𝐵

𝐷= 1とする。

解図8-5 支持力係数

*9 直接基礎の設計水平支持力は、次式から求めることができる1)。

𝐻𝑑 = 0.855𝐻𝑢

ここに、𝐻𝑑 :基礎底面のせん断地盤反力の制限値(kN)

𝐻𝑢 :基礎底面と地盤との間に働くせん断抵抗力の特性値(kN)

パブコメ用ドラフト

- 211 -

第8章 基礎

第8章 -43-

hphbhd RRR +=

''tan cAfδVfR rcbdrshb +=

( )piipihrphp δHpLαfR cos=

ここに、 hdR :直接基礎の設計水平支持力(kN)

rsf 、 rcf 、 rpf :直接基礎の水平支持力に対する地盤抵抗係数

hpR :フーチング前面の設計水平支持力(kN)

hbR :フーチング底面の設計水平支持力(kN)

dV :フーチング底面における設計有効鉛直荷重(kN)

bδ :フーチング底面と支持層との摩擦角(°)

支持層が土の場合

フーチングを現場打ちする場合 φδb =

既製のフーチングを設置する場合 φδb

=

3

2

支持層が岩盤の場合

フーチングを現場打ちする場合 φδb =

(ただし、 bδ ≦45°とする)

既製のフーチングを設置する場合 φδb

=

3

2

(ただし、 bδ ≦30°とする)

φ :フーチング底面の土又は岩の内部摩擦角(°)

'A :フーチング底面の有効面積(m2)

'c :フーチング底面と土との付着力(kN/m2)

hα :フーチング前面の形状係数(フーチングの根入れ深さと前面の幅の比に

より1.0~2.0の値とする)

L :荷重直角方向のフーチングの幅(m)

なお、円形の直接基礎の場合には、フーチングの直径

piP :着目している層の中心におけるフーチング前面の受働土圧力(kN/m2)

21

22

1piipiieiipi KcKHγqP +

+=

iq :着目している層の上面における上載荷重(kN/m2)

ieii hγq =

𝐻𝑢 = 𝑐𝐵𝐴𝑒 + 𝑉 tan 𝜙𝐵

𝑐𝐵 :基礎底面と地盤との間の付着力(kN/m2)

𝜙𝐵 :基礎底面と地盤との間の摩擦角(゜)

𝐴𝑒 :有効載荷面積

𝑉 :基礎底面に作用する鉛直力(kN) ただし、浮力を差し引いた値

とする。

なお、フーチング底面が支持地盤に密着し、十分なせん断抵抗

を有するように、適切に処理した場合は、摩擦角及び付着力と

して、解表8-13 に示す値としてよい。

解表8-13 摩擦角と付着力

条件 摩擦角𝜙𝐵(摩擦係数tan 𝜙𝐵) 付着力𝑐𝐵

土とコンクリート 𝜙𝐵 = 2𝜙 3⁄ 𝑐𝐵 = 0

土とコンクリートの間に

栗石又は砕石を敷く場合

tan 𝜙𝐵 = 0.6 又は

𝜙𝐵 = ϕ の小さい方 𝑐𝐵 = 0

岩とコンクリート tan 𝜙𝐵 = 0.6 𝑐𝐵 = 0

土と土、又は岩と岩 𝜙𝐵 = ϕ 𝑐𝐵 = c

〔備 考〕ϕ:支持地盤のせん断抵抗角(゜)、c:支持地盤の粘着力(kN/m2)

<参考文献>

1) 日本道路協会:「道路橋示方書・同解説」[Ⅳ下部構造編]、(平成29年11月)

パブコメ用ドラフト

- 212 -

第8章 基礎

第8章 -44-

eiγ : ih 区間の土の平均有効単位体積質量(kN/m3)

ih :着目している層の上面までの有効根入れ深さ(m)

eiγ :着目している層の土の有効単位体積質量(kN/m3)

iH :着目している層の厚さ(m)

piK :着目している層における受働土圧係数

ic :着目している層の土の粘着力(kN/m2)

piδ :着目している層におけるフーチング前面と土の摩擦角(°)

*(8) 直接基礎の応答塑性率の制限値は、基礎の降伏支持力と変形性能及び地震後の残

存支持力等を勘案して適切に定めること。

8.5.7 基礎版の構造及び設計

(1) 一般

基礎版は、内槽、外槽、保冷及びPCLNG貯槽においてはPC防液堤からの荷重に対し

て安全な構造とすること*(1)*(2)*(3)。

PCLNG貯槽の場合は、PC防液堤と基礎版の接合形式は、原則として剛結合とするこ

と*(4)。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 基礎版に作用する荷重の例を解図8-5に示す。PCLNG貯槽の場合、基礎版の

外周部には内槽アンカー、PC防液堤等からの荷重が作用するため、基礎版の外周

部は円周方向に鉄筋を配置したリング構造とすることが望ましい。

*10 直接基礎の応答塑性率の制限値は、基礎の降伏支持力と変形性能及び地震後の残

存支持力等を勘案して適切に定めること。

8.5.7 基礎版の構造及び設計

(1) 一般

基礎版は、内槽、外槽、保冷及びPCLNG貯槽においてはPC防液堤からの荷重に

対して安全な構造とすること*1*2*3。

PCLNG貯槽の場合は、PC防液堤と基礎版の接合形式は、原則として剛結合とす

ること*4。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 基礎版に作用する荷重の例を解図8-6に示す。PCLNG貯槽の場合、基礎版

の外周部には内槽アンカー、PC防液堤等からの荷重が作用するため、基礎版の外

周部は円周方向に鉄筋を配置したリングビーム構造とすることが望ましい。

パブコメ用ドラフト

- 213 -

第8章 基礎

第8章 -45-

金属二重殻LNG貯槽 PCLNG貯槽

Q1 :内槽アンカーによる荷重

Q2 :外槽による荷重

Q2′、 1M :PC防液堤による荷重

1q 、 2q 、 3q :内容液、内槽等による荷重

解図8-5 基礎版に作用する荷重の例

*(2) LNGピットイン式貯槽の完成時における底版の盤ぶくれの検討は、JGA指-107-

12の6.5.2によること。

*(3) LNGピットイン式貯槽の場合は、ピット内に浸出してくる水に対して、貯槽の

機能を満足するように対処すること。

*(4) PC防液堤と基礎版の接合方法には、剛結、ヒンジ、スライドの3種類が考えら

れる。

本指針では、接合部の液密性、荷重に対する安全性、外槽ライナ及び保冷の機能

保持を考慮して、剛結合とすることを原則とした。

8.5.7

(2) 設計の基本

(a) 基礎版の部材断面は表8-7に示す項目を評価すること*(1)*(2)。

表8-7 基礎版の評価項目

区分 評価項目

常時性能評価 通常運転時

ひび割れ*(3)

断面破壊

強風時、耐圧試験時、水張試験時 断面破壊

レベル1耐震性能評価 断面破壊

金属二重殻LNG貯槽 PCLNG貯槽

Q1 :内槽アンカーによる荷重

Q2 :外槽による荷重

Q2′、 1M :PC防液堤による荷重

1q 、 2q 、 3q :内容液、内槽等による荷重

解図8-6 基礎版に作用する荷重の例

*2 LNGピットイン式貯槽の完成時における底版の盤ぶくれの検討は、JGA指-107-

19「LNG地下式貯槽指針」第6章「躯体」6.5.2「構造」によること。

*3 LNGピットイン式貯槽の場合は、ピット内に浸出してくる水に対して、貯槽の

機能を満足するように対処すること。

*4 PC防液堤と基礎版の接合方法には、剛結、ヒンジ、スライドの3種類が考えら

れる。

本指針では、接合部の液密性、荷重に対する安全性、外槽ライナ及び保冷の機能

保持を考慮して、剛結合とすることを原則とした。

8.5.7

(2) 設計の基本

(a) 基礎版の部材断面は表8-7に示す項目を評価すること*1*2。

表8-7 基礎版の評価項目

区分 評価項目

常時性能評価 通常運転時

ひび割れ*3

断面破壊

強風時、耐圧試験時、水張試験時 断面破壊

レベル1耐震性能評価 断面破壊

杭 杭

杭 杭

Q1 Q2 Q1

Q2′

杭 杭

杭 杭

Q1 Q2 Q1

Q2′

パブコメ用ドラフト

- 214 -

第8章 基礎

第8章 -46-

レベル2耐震性能評価 変形*(4)

(b) 評価は、8.4に示す材料の設計値、8.5.2で求められる荷重、及び表8-4に示す安全係数

を用いて行うこと。

(c) 基礎版の設計は、原則として常温での設計値を用いて行うこと。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) LNGピットイン式貯槽の底版については、基礎版と同様の評価項目について評

価すること。

*(2) PCLNG貯槽において、基礎版に液密性を持たせることで、PC防液堤下部地

盤から堤外へのLNGの浸透に対処する場合は、表9-4に示す漏液後性能評価につ

いて評価すること。なお、その設計値は9.5.7(2)、評価方法は9.5.7(4)によること。

*(3) 基礎版は、長期にわたる耐久性を保持することが求められるため、ひび割れの評

価項目を設定した。

*(4) 塑性変形、不等沈下等の変形によって、基礎版が耐荷性能を失わないことを確認

する必要があるため、変形の限界値を設定した。評価は、基礎版の応答塑性率が限

界値を超えないことによって確認する。

なお、基礎版のぜい性的な破壊を防止するために、曲げ破壊が先行するように設

計すること。

8.5.7

(3) 構造解析

(a) 断面力の算定には、評価項目を適切に評価できる解析手法*(1)を選定すること。

(b) 解析は、構造に応じた適切な境界条件及びモデル*(2)を設定し、8.5.2に示す荷重条件に

ついて行うこと。

(c) 断面力の算定に用いる断面二次モーメントは、鋼材*(3)を無視して部材のコンクリート

全断面について計算することができる。

(d) 熱(温度)荷重による断面力を計算する場合には、コンクリートのひび割れ等の影響を

考慮して、断面剛性を低減することができる*(4)。

レベル2耐震性能評価 変形*4

(b) 評価は、8.4「設計値」に示す材料の設計値、8.5.2「荷重」で求められる荷重、

及び表8-4に示す安全係数を用いて行うこと。

(c) 基礎版の設計は、原則として常温での設計値を用いて行うこと。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 LNGピットイン式貯槽の底版については、基礎版と同様の評価項目について評

価すること。

*2 PCLNG貯槽において、基礎版に液密性を持たせることで、PC防液堤下部地

盤から堤外へのLNGの浸透に対処する場合は、第9章「防液堤」9.5.7「防液堤

の構造及び設計」表9-4に示す漏液後性能評価について評価すること。なお、そ

の設計値は9.5.7 (2)「設計の基本」、評価方法は9.5.7(4)「評価方法」によること。

また、基礎版に液密性を持たせない場合は、別途適切な方法によりPC防液堤下

部地盤から堤外へのLNGの浸透に対処すること。

*3 基礎版は、長期にわたる耐久性を保持することが求められるため、ひび割れの評

価項目を設定した。

*4 塑性変形、不等沈下等の変形によって、基礎版が耐荷性能を失わないことを確認

する必要があるため、変形の限界値を設定した。評価は、基礎版の応答塑性率が限

界値を超えないことによって確認する。

なお、基礎版のぜい性的な破壊を防止するために、曲げ破壊が先行するように設

計すること。

8.5.7

(3) 構造解析

(a) 断面力の算定には、評価項目を適切に評価できる解析手法*1を選定すること。

(b) 解析は、構造に応じた適切な境界条件及びモデル*2を設定し、8.5.2「荷重」に示

す荷重条件について行うこと。

(c) 断面力の算定に用いる断面二次モーメントは、鋼材*3を無視して部材のコンクリ

ート全断面について計算することができる。

(d) 漏液後の性能評価で熱(温度)荷重による断面力を計算する場合には、コンクリー

トのひび割れ等の影響を考慮して、断面剛性を低減することができる*4。

パブコメ用ドラフト

- 215 -

第8章 基礎

第8章 -47-

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 基礎及び防液堤の解析手法として、有限要素法、シェル理論又は質点の線材モデ

ルが適用できる。

*(2) PCLNG貯槽における解析では、原則として基礎版とPC防液堤を一体化した

モデルにより行うこと。

*(3) 鋼材とは、鉄筋、PC鋼材及び外槽ライナ(金属材料)をいう。

*(4) 漏液後の性能評価で、熱(温度)荷重による断面力の算定において、ひび割れを

発生する部材では、ひび割れ発生による断面剛性の低下を考慮することができる。

この場合、実験結果又は根拠ある理論解に基づいてひび割れによる剛性の低下を考

慮することが望ましい。ただし、ひび割れの発生による断面剛性の低減は、鋼材を

無視したコンクリート全断面について求めた剛性の21 以下とする。また、ひび割れ

の分散をはかり、ひび割れによる鉄筋への応力集中を防ぐために、部材の引張側に

は、鉄筋比0.2%以上の鉄筋を配置すること。

8.5.7

(4) 評価方法

(a) ひび割れの評価*(1)

(ⅰ)曲げモーメント及び軸方向力によって発生するひび割れ幅 w *(2)は、許容ひび割れ幅

aw 以下であること*(3)。

aw =0.004 c *(4)

ここに、 aw :許容ひび割れ幅(mm)

c :かぶり(mm)

(ⅱ)応力の評価*(5)

曲げモーメント及び軸方向力によるコンクリートの圧縮応力,鉄筋の引張応力*(6)、

PC鋼材の引張応力は、それぞれ次の限界値を超えないこと。

(イ) 曲げモーメント及び軸方向力によるコンクリートの圧縮応力は0.4 ckf ' を超えない

こと。ここに、 ckf ' はコンクリートの圧縮強度の特性値である。

(ロ) 鉄筋の引張応力は ykf 以下であること。ここに ykf は鉄筋の降伏強度の特性値であ

る。

(ハ) PC鋼材の引張応力*(6)の限界値は0.7 ukf とする。ここに ukf はPC鋼材の引張強度

の特性値である。

(b) 断面破壊の評価

(ⅰ)基礎版の部材断面は、設計断面力 dS の設計断面耐力 dR に対する比に表8-4に示す構

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 基礎及び防液堤の解析手法として、有限要素法、シェル理論又は質点の線材モデ

ルが適用できる。

*2 PCLNG貯槽における解析では、原則として基礎版とPC防液堤を一体化した

モデルにより行うこと。

*3 鋼材とは、鉄筋、PC鋼材及び外槽ライナ(金属材料)をいう。

*4 漏液後の性能評価で、熱(温度)荷重による断面力の算定において、ひび割れを

発生する部材では、ひび割れ発生による断面剛性の低下を考慮することができる。

この場合、実験結果又は根拠ある理論解に基づいてひび割れによる剛性の低下を考

慮することが望ましい。ただし、ひび割れの発生による断面剛性の低減は、鋼材を

無視したコンクリート全断面について求めた剛性の21 以下とする。また、ひび割れ

の分散をはかり、ひび割れによる鉄筋への応力集中を防ぐために、部材の引張側に

は、鉄筋比0.2%以上の鉄筋を配置すること。

8.5.7

(4) 評価方法

(a) ひび割れの評価*1

(ⅰ)曲げモーメント及び軸方向力によって発生するひび割れ幅 w *2は、許容ひび割れ

幅 aw 以下であること*3。

aw =0.004 c *4

ここに、 aw :許容ひび割れ幅(mm)

c :かぶり(mm)

(ⅱ)応力の評価*5

曲げモーメント及び軸方向力によるコンクリートの圧縮応力,鉄筋の引張応力*

6、PC鋼材の引張応力は、それぞれ次の限界値を超えないこと。

(イ) 曲げモーメント及び軸方向力によるコンクリートの圧縮応力は0.4 ckf ' を超え

ないこと。ここに、 ckf ' はコンクリートの圧縮強度の特性値である。

(ロ) 鉄筋の引張応力は ykf 以下であること。ここに ykf は鉄筋の降伏強度の特性値で

ある。

(ハ) PC鋼材の引張応力*6の限界値は0.7 ukf とする。ここに ukf はPC鋼材の引張

強度の特性値である。

(b) 断面破壊の評価

(ⅰ)基礎版の部材断面は、設計断面力 dS の設計断面耐力 dR に対する比に表8-4に

パブコメ用ドラフト

- 216 -

第8章 基礎

第8章 -48-

造物係数 iγ を乗じた値が、1.0以下となるように定めること。評価項目は、曲げモーメ

ント及び軸方向力、面外せん断力及び面内せん断力とする。

d

di R

Sγ ≦1.0

(ⅱ)設計断面耐力 dR *(7)は、8.4.1に示す設計強度を用いて断面耐力 R を算定し、これを表

8-6に示す部材係数 bγ で除した値とすること。

bd γ

RR =

(ⅲ)設計断面力 dS は、8.5.2の設計荷重を用いて断面力Sを算定し、これに表8.4に示す構

造解析係数 aγ を乗じた値とすること。

SγS ad =

(ⅳ)曲げモーメント dM と軸方向力 dN ' とが作用する場合における安全性の評価は、

d

d

N

Me

'= を一定として求めた設計曲げ耐力 udM が(ⅰ)の判定式を満足することを確か

めること。ただし、軸方向力 dN ' の影響が小さい場合には、曲げ部材として断面の耐力

を算定してよい。

(ⅴ)せん断力に対する安全性の評価は、面外せん断力*(8)及び面内せん断力*(9)に対して行

うこと。

(ⅵ)鉄筋の引張応力は、 ykf 以下であること。ここに、 ykf は鉄筋の引張降伏強度の特性値

である。

(c) 変形の評価

基礎版の破壊モードは、曲げ破壊が先行するように設計を行うこと。曲げ破壊の評価は

以下により行うことができる。

(ⅰ)部材の破壊モードの判定

yd

mui V

Vγ <1.0

ここに、 muV :部材が曲げ耐力 uM に達するときの部材各断面のせん断力

ydV :各断面のせん断耐力

iγ :表8-4に示す構造物係数

なお、 muV を算出する場合の部材の曲げ耐力 uM は、鋼材の実引張降伏強度 yf *(10)を

考慮し、かつ、断面内の全軸方向鉄筋を考慮して算出するものとする。

(ⅱ)安全性評価

d

rdi μ

μγ ≦1.0

ここに、 rdμ :部材の応答塑性率

dμ :部材の塑性率の制限値*(11)

【関連条項】

省令第15条(構造等)

示す構造物係数 iγ を乗じた値が、1.0以下となるように定めること。評価項目は、曲

げモーメント及び軸方向力、面外せん断力及び面内せん断力とする。

d

di R

Sγ ≦1.0

(ⅱ)設計断面耐力 dR *7は、8.4.1「コンクリート」に示す設計強度を用いて断面耐力

R を算定し、これを表8-4に示す部材係数 bγ で除した値とすること。

bd γ

RR =

(ⅲ)設計断面力 dS は、8.5.2「荷重」の設計荷重を用いて断面力Sを算定し、これに表

8-4に示す構造解析係数 aγ を乗じた値とすること。

SγS ad =

(ⅳ)曲げモーメント dM と軸方向力 dN ' とが作用する場合における安全性の評価は、

d

d

N

Me

'= を一定として求めた設計曲げ耐力 udM が(ⅰ)の判定式を満足することを確

かめること。ただし、軸方向力 dN ' の影響が小さい場合には、曲げ部材として断面

の耐力を算定してよい。

(ⅴ)せん断力に対する安全性の評価は、面外せん断力*8及び面内せん断力*9に対し

て行うこと。

(ⅵ)鉄筋の引張応力は、 ykf 以下であること。ここに、 ykf は鉄筋の引張降伏強度の特

性値である。

(c) 変形の評価

基礎版の破壊モードは、曲げ破壊が先行するように設計を行うこと。曲げ破壊の評

価は以下により行うことができる。

(ⅰ)部材の破壊モードの判定

yd

mui V

Vγ <1.0

ここに、 muV :部材が曲げ耐力 uM に達するときの部材各断面のせん断力

ydV :各断面のせん断耐力

iγ :表8-4に示す構造物係数

なお、 muV を算出する場合の部材の曲げ耐力 uM は、鋼材の実引張降伏強度 yf *10を

考慮し、かつ、断面内の全軸方向鉄筋を考慮して算出するものとする。

(ⅱ)安全性評価

d

rdi μ

μγ ≦1.0

ここに、 rdμ :部材の応答塑性率

dμ :部材の塑性率の制限値*11

【関連条項】

省令第15条(構造等)

パブコメ用ドラフト

- 217 -

第8章 基礎

第8章 -49-

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) せん断力を受ける部材で、せん断ひび割れが構造物の耐久性の低下に影響を及ぼ

す可能性がある場合は、せん断力がコンクリートの設計せん断耐力の70%を超えな

いことを確認すること。

*(2) 曲げひび割れ幅 wの算定は、以下の式による。

( )

+−+= csd

s

ses ε

E

σφcckkkw '7.041.1 321

ここに、 w :ひび割れ幅(mm)

1k :鉄筋及びPC鋼材の表面形状がひび割れ幅に及ぼす影響を表す

係数で、異形鉄筋の場合1.0、普通丸鋼及びPC鋼材の場合に1.3と

する

2k :コンクリートの品質がひび割れ幅に及ぼす影響を表す係数で、次

式による

7.020'

152 +

+=

cfk

cf ' :コンクリートの圧縮強度(N/mm2)で、一般に、設計圧縮強度を用

いることができる

3k :引張鉄筋及びPC鋼材の段数の影響を表す係数で、次式による

( )87

253 +

+=

n

nk

n :引張鉄筋及びPC鋼材の段数

c :かぶり(mm)

sc :鉄筋及びPC鋼材の中心間隔(mm)

φ :鉄筋及びPC鋼材径(mm)

seσ :鉄筋及びPC鋼材の位置のコンクリートの応力が0の状態から

の鉄筋及びPC鋼材の応力の増加量(N/mm2)

sE :鉄筋及びPC鋼材の縦弾性係数(N/mm2)

csdε' :コンクリートの収縮及びクリープ等によるひび割れ幅の増加を

考慮するための数値

*(3) 曲げひび割れ幅の検討で対象とする鉄筋は、原則としてコンクリートの表面に最

も近い位置にあるものとする。

*(4) 適用できるかぶりは、100mm以下を標準とする。

*(5) 曲げモーメント及び曲げモーメントと軸方向力を受ける部材の設計断面耐力を、

断面力の作用方向に応じて、部材断面あるいは部材の単位幅について算定する場

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 せん断力を受ける部材で、せん断ひび割れが構造物の耐久性の低下に影響を及ぼ

す可能性がある場合は、せん断力がコンクリートの設計せん断耐力の70%を超えな

いことを確認すること。

*2 曲げひび割れ幅 wの算定は、以下の式による。

( )

+−+= csd

s

ses ε

E

σφcckkkw '7.041.1 321

ここに、 w :ひび割れ幅(mm)

1k :鉄筋及びPC鋼材の表面形状がひび割れ幅に及ぼす影響を表す

係数で、異形鉄筋の場合1.0、普通丸鋼及びPC鋼材の場合に1.3と

する

2k :コンクリートの品質がひび割れ幅に及ぼす影響を表す係数で、次

式による

7.020'

152 +

+=

cfk

cf ' :コンクリートの圧縮強度(N/mm2)で、一般に、設計圧縮強度を用

いることができる

3k :引張鉄筋及びPC鋼材の段数の影響を表す係数で、次式による

( )87

253 +

+=

n

nk

n :引張鉄筋及びPC鋼材の段数

c :かぶり(mm)

sc :鉄筋及びPC鋼材の中心間隔(mm)

φ :鉄筋及びPC鋼材径(mm)

seσ :鉄筋及びPC鋼材の位置のコンクリートの応力が0の状態から

の鉄筋及びPC鋼材の応力の増加量(N/mm2)

sE :鉄筋及びPC鋼材の縦弾性係数(N/mm2)

csdε' :コンクリートの収縮及びクリープ等によるひび割れ幅の増加を

考慮するための数値で、土木学会「コンクリート標準示方書」

(2017)[設計編:標準]4編「使用性に関する照査」2.3.4「曲

げひび割れ幅の設計応答値の算定」によること。

*3 曲げひび割れ幅の検討で対象とする鉄筋は、原則としてコンクリートの表面に最

も近い位置にあるものとする。

*4 適用できるかぶりは、100mm以下を標準とする。

*5 曲げモーメント及び曲げモーメントと軸方向力を受ける部材の設計断面耐力を、

断面力の作用方向に応じて、部材断面あるいは部材の単位幅について算定する場

パブコメ用ドラフト

- 218 -

第8章 基礎

第8章 -50-

合、以下の(a)~(d)の仮定に基づいて行うものとする。その場合、部材係数 bγ は1.1

とする。

(a) 維ひずみは、断面の中立軸からの距離に比例する。

(b) コンクリートの引張応力は無視する。

(c) コンクリートの応力-ひずみ曲線は、8.4.1(4)によるものとする。

(d) 鋼材の応力-ひずみ曲線は、8.4.2(4)によるものとする。

*(6) 施工時におけるPC鋼材の引張応力は、土木学会「コンクリート標準示方書」

(2007)[設計編:本編] 15.8 施工時おける照査(1)によること。

*(7) 曲げモーメント及び軸方向力に対する安全性の照査の内、設計断面力Rdの算定に

ついては、土木学会「コンクリート標準示方書」(2007)[設計編:本編] 9.2.1 曲

げモーメントおよび軸方向応力に対する安全性の照査 9.2.1.1(1)式(9.2.1)、

(2)、(3)によること。

*(8) 面外せん断力に対する評価を行う場合、次の方法にてせん断耐力を求めること。

設計せん断耐力 ydV は、次式によること。

pedsdcdyd VVVV ++=

ただし、せん断補強鉄筋として折曲鉄筋とスターラップを併用する場合は、せん

断補強鉄筋が受け持つべきせん断力の50%以上をスターラップで受け持たせるも

のとする。

ここに、 cdV :せん断補強鋼材を用いない棒部材の設計せん断耐力

bwVcddcd

dbV

fp n=

3 200f cdVcd 'f.= (N/mm2) ただし、 Vcdf ≦0.72(N/mm2)

cdf ' :コンクリートの圧縮に対する設計強度(N/mm2)

41000

dβd = ただし、 dβ >1.5となる場合は1.5とする

3 100 vp Pβ = ただし、 pβ >1.5となる場合は1.5とする

db

AP

w

sv =

sA :引張側鋼材の断面積(mm2)

dn M

Mβ 01+= ( dN ' ≧0の場合) ただし、 nβ >2となる場合は2とする

合、以下の(a)~(d)の仮定に基づいて行うものとする。その場合、部材係数 bγ は1.1

とする。

(a) 維ひずみは、断面の中立軸からの距離に比例する。

(b) コンクリートの引張応力は無視する。

(c) コンクリートの応力-ひずみ曲線は、8.4.1「コンクリート」(4)「応力-ひず

み曲線」によるものとする。

(d) 鋼材の応力-ひずみ曲線は、8.4.2「鉄筋及びPC鋼材」(4)「応力-ひずみ曲

線」によるものとする。

*6 施工時におけるPC鋼材の引張応力は、土木学会「コンクリート標準示方書」

(2017)[設計編:標準]8編「プレストレストコンクリート」9章「施工時おける

照査」(1)によること。

*7 曲げモーメント及び軸方向力に対する安全性の照査の内、設計断面耐力Rdの算定

については、土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)[設計編:標準]3編「安

全性に対する照査」2.4.2.1「設計断面耐力」(1)式(2.4.2)、(2)、(5)によること。

*8 面外せん断力に対する評価を行う場合、鉄筋コンクリート部材については、土木

学会「コンクリート標準示方書」(2017)[設計編:標準]3編「安全性に関する

照査」2.4.3.2「棒部材の設計せん断耐力」によること。ただし、軸方向力を受け

る場合は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)[設計編:標準]3編「安

全性に関する照査」2.4.3.2「棒部材の設計せん断耐力」【解説】の式(解2.4.1)

によることができる。

プレストレストコンクリート部材については、土木学会「コンクリート標準示方

書」(2017)[設計編:標準]8編「プレストレストコンクリート」6.4「棒部材の設

計せん断耐力」によること。ただし、基礎版の一部のみにプレストレス鋼材が配置

されるような構造においては、鉄筋コンクリート部材として扱うこと。

パブコメ用ドラフト

- 219 -

第8章 基礎

第8章 -51-

dM

M 021+= ( dN ' <0の場合) ただし、 nβ <0となる場合は0とする

dN ' :設計軸方向圧縮力

dM :設計曲げモーメント

0M :設計曲げモーメント dM に対する引張縁において、軸方向力によっ

て発生する応力を打ち消すのに必要な曲げモーメント

wb :腹部の幅(mm)

d :有効高さ(mm)

bγ :1.3とする

sdV :せん断補強鋼材により受け持たれる設計せん断力

( ) ( )bp

pppwpw

s

sswydw

sd γ

Z

S

αασA

S

ααfAV

+

++

=cossincossin

wA :区間 sS におけるせん断補強鉄筋の総断面積

pwA :区間 pS におけるせん断補強用緊張材の総断面積

wydf :せん断補強鉄筋の設計降伏強度で、400N/mm2以下とする。ただし、

コンクリート設計基準強度 ckf ' が60N/mm2以上の時は、800N/mm2以

下とすることができる。

pwσ :せん断補強鉄筋降伏時におけるせん断補強用緊張材の引張応力

pydwydwpepw ffσσ ≦+=

wpeσ :せん断補強用緊張材の有効引張応力

pydf :せん断補強用緊張材の設計降伏強度

sα :せん断補強鉄筋が部材軸となす角度

pα :せん断補強用緊張材が部材軸となす角度

sS :せん断補強鉄筋の配置間隔

pS :せん断補強用緊張材の配置間隔

Z :圧縮応力の合力の作用位置から引張鋼材図心までの距離で、一般

にd/1.15としてよい

パブコメ用ドラフト

- 220 -

第8章 基礎

第8章 -52-

bγ :1.1とする

pedV :軸方向緊張材の有効引張力のせん断力に平行な成分

b

p

edped γ

αPV

sin=

edP :軸方向緊張材の有効引張力

pα :軸方向緊張材が部材軸となす角度

bγ :1.1とする

また、円周方向の鉄筋によるせん断強度の増加を考慮する場合は、土木学会「コ

ンクリート標準示方書」(2007)[設計編:本編] 12.5.6.2 作用断面力に対する検

討に基づき設計せん断耐力を求めることができる。

*(9) 面内せん断力に対する評価の際の、設計断面力及び設計断面耐力の算定は以下に

よること。

直交二方向に配筋された面部材が面内力を受ける場合、設計断面力として次式に

より各鉄筋方向の引張力 xdT 、 ydT 及びコンクリートに作用する斜め圧縮力 dC ' を求

めることができる。

( ) ααNNαNαNTxd cossinsincos 21

2

2

2

1 −++=

( ) ααNNαNαNTyd cossincossin 21

2

2

2

1 −++=

( ) ααNNC d cossin2' 21−=

ここに、 xdT 、 ydT :x 方向鉄筋及び y 方向鉄筋に作用する部材単位幅当りの

設計引張力

α :主面内力 1N と x 方向鉄筋のなす角度、α ≦45°

dC ' :コンクリートに作用する単位幅当りの設計斜め圧縮力

1N 、 2N :主面内力、 1N ≧ 2N で、 1N は引張とする

設計断面力に対して評価を行う場合、鉄筋の設計降伏耐力 xydT と yydT 及びコンク

リートの設計圧縮破壊耐力 udC ' は、次式により求めることができる。

鉄筋の設計降伏耐力

bydxxyd

tbfpT

=

bydyyyd

tbfpT

=

ここに、 xp 及び yp :x 方向及び y 方向の鉄筋比(bt

As )

ydf :鉄筋の引張に対する設計強度

b :部材幅で、一般には単位幅とする

t :部材厚

*9 面内せん断力に対する評価の際の、設計断面力及び設計断面耐力の算定は以下に

よること。

直交二方向に配筋された面部材が面内力を受ける場合、設計断面力として次式に

より各鉄筋方向の引張力 xdT 、 ydT 及びコンクリートに作用する斜め圧縮力 dC ' を求

めることができる。

( ) ααNNαNαNTxd cossinsincos 21

2

2

2

1 −++=

( ) ααNNαNαNTyd cossincossin 21

2

2

2

1 −++=

( ) ααNNC d cossin2' 21−=

ここに、 xdT 、 ydT :x 方向鉄筋及び y 方向鉄筋に作用する部材単位幅当りの

設計引張力

α :主面内力 1N と x 方向鉄筋のなす角度、α ≦45°

dC ' :コンクリートに作用する単位幅当りの設計斜め圧縮力

1N 、 2N :主面内力、 1N ≧ 2N で、 1N は引張とする

設計断面力に対して評価を行う場合、鉄筋の設計降伏耐力 xydT と yydT 及びコンク

リートの設計圧縮破壊耐力 udC ' は、次式により求めることができる。

鉄筋の設計降伏耐力

bydxxyd

tbfpT

=

bydyyyd

tbfpT

=

ここに、 xp 及び yp :x 方向及び y 方向の鉄筋比(bt

As )

ydf :鉄筋の引張に対する設計強度

b :部材幅で、一般には単位幅とする

t :部材厚

パブコメ用ドラフト

- 221 -

第8章 基礎

第8章 -53-

bγ :1.1とする

コンクリートの設計圧縮破壊耐力

bucdud

tb'f'C

=

ここに、 ucdf ' :設計圧縮破壊強度で、次式により求めることができる

cducd ff '8.2' = (N/mm2) ただし ucdf ' ≦17(N/mm2)

bγ :1.3とする

*(10) 引張鋼材として鉄筋を用いる場合には、実引張降伏強度として材料規格値の1.2

倍程度の値を用いることができる。

*(11) 基礎版部材の応答塑性率の制限値は、詳細な検討によらない場合、JGA指-101-

12の解表10-2に基づき1.5としてよい。

8.5.7

(5) 構造細目

(a) 鉄筋の継手

鉄筋の継手は、以下に規定するところを除き、土木学会「コンクリート標準示方書」

(2007)[設計編:本編] 13.7 鉄筋の継手によること。

(ⅰ)継手部のかぶりは8.5.7(5)(d)の規定を満足すること。

(ⅱ)軸方向鉄筋には、塑性ヒンジ領域で交番応力を受けても十分な継手性能を有するもの

を用いること。

(ⅲ)重ね継手は、交番応力を受ける塑性ヒンジ領域では、原則として用いてはならない。

(ⅳ)重ね継手以外の継手を用いる場合には、以下の項目について、所定の継手性能を満足

すること*(1)。

・静的耐力

・高応力繰返し耐力

・施工等に起因する信頼度

・低温に対する性能

(ⅴ)軸方向鉄筋に重ね継手を用いる場合は次の規定に従うこと。

(イ) 配置する鉄筋量が計算上必要な鉄筋量の2倍以上、かつ同一断面での継手の割合

が2

1以下の場合は重ね継手の重ね合わせ長さは基本定着長 dl 以上とすること。

(ロ) (イ)の条件のうち一方が満足されない場合には、重ね合わせ長さは基本定着長 の

1.3倍以上とし、継手部を横方向鉄筋等で補強すること。

(ハ) (イ)の条件のうち両方が満足されない場合には、重ね合わせ長さは基本定着長 の

1.7倍以上とし、継手部を横方向鉄筋等で補強すること。

bγ :1.1とする

コンクリートの設計圧縮破壊耐力

bucdud

tb'f'C

=

ここに、 ucdf ' :設計圧縮破壊強度で、次式により求めることができる

cducd ff '8.2' = (N/mm2) ただし ucdf ' ≦17(N/mm2)

bγ :1.3とする

*10 引張鋼材として鉄筋を用いる場合には、実引張降伏強度として材料規格値の1.2

倍程度の値を用いることができる。

*11 基礎版部材の応答塑性率の制限値は、詳細な検討によらない場合、JGA指-101-14

「製造設備等耐震設計指針」第10章「基礎のレベル2耐震性能評価法」解表10-

2に基づき1.5としてよい。

8.5.7

(5) 構造細目

(a) 鉄筋の継手

鉄筋の継手は、以下に規定するところを除き、土木学会「コンクリート標準示方書」

(2017)[設計編:標準]7編「鉄筋コンクリートの前提および構造細目」2.6「鉄筋の

継手」によること。

(ⅰ)継手部のかぶりは8.5.7「基礎版の構造及び設計」(5)「構造細目」(d)「鉄筋のか

ぶり」の規定を満足すること。

(ⅱ)軸方向鉄筋には、塑性ヒンジ領域で交番応力を受けても十分な継手性能を有する

ものを用いること。

(ⅲ)重ね継手は、交番応力を受ける塑性ヒンジ領域では、原則として用いてはならな

い。

(ⅳ)重ね継手以外の継手を用いる場合には、以下の項目について、所定の継手性能を

満足すること*1。

・静的耐力

・高応力繰返し耐力

・施工等に起因する信頼度

・低温に対する性能

(ⅴ)軸方向鉄筋に重ね継手を用いる場合は次の規定に従うこと。

(イ) 配置する鉄筋量が計算上必要な鉄筋量の2倍以上、かつ同一断面での継手の割

合が2

1 以下の場合は重ね継手の重ね合わせ長さは基本定着長 dl 以上とすること。

(ロ) (イ)の条件のうち一方が満足されない場合には、重ね合わせ長さは基本定着長

の1.3倍以上とし、継手部を横方向鉄筋等で補強すること。

(ハ) (イ)の条件のうち両方が満足されない場合には、重ね合わせ長さは基本定着長

の1.7倍以上とし、継手部を横方向鉄筋等で補強すること。

dl

dl

dl

dl

パブコメ用ドラフト

- 222 -

第8章 基礎

第8章 -54-

(ニ) 重ね継手の重ね合わせ長さは、鉄筋直径の20倍以上とすること。

(ⅵ)引張鉄筋に溶接継手、スリーブ継手及びねじ継手等を用いる場合は、継手の使用され

る部分の温度でその強度が低下しないことを確かめること*(2)。

(ⅶ)スターラップに重ね継手を原則として用いないこと。大断面の部材等でやむを得ない

場合は、重ね合わせ長さを基本定着長 dl の2倍以上、若しくは基本定着長 dl を取り端部

に直角フック又は鋭角フックを設ける。重ね継手の位置は圧縮領域又はその近くにする

こと。

(b) 鉄筋の定着

(ⅰ)鉄筋の端部は、コンクリート中に十分埋込んで、鉄筋とコンクリートの付着力によっ

て定着するか、フックをつけて定着するか、又は機械的に定着すること。

ただし、鉄筋とコンクリートの付着力による定着、フックによる定着以外の定着方

法を用いる場合には、以下の項目について所定の定着性能を満足すること*(3)。

・静的耐力

・高応力繰返し耐力

・施工等に起因する信頼度

・低温に対する性能

(ⅱ)引張鉄筋は、引張応力を受けないコンクリートに定着することを原則とする。ただ

し、次の(イ)あるいは(ロ)のいずれかを満足する場合には、引張応力を受けるコンクリー

トに定着してもよい。この場合の引張鉄筋の定着部は、計算上不要となる断面から( dl

+ sl )だけ余分に延ばすこと。ここに、 dl は基本定着長、 sl は一般に部材断面の有効高さ

としてよい。

(イ) 鉄筋切断点から計算上不要となる断面までの区間では、設計せん断耐力が設計せ

ん断力の1.5倍以上あること。

(ロ) 鉄筋切断点から連続鉄筋による設計曲げ耐力が、設計曲げモーメントの2倍以上

あり、かつ切断点から計算上不要となる断面までの区間で、設計せん断耐力が設計せ

ん断力の3

4倍以上あること。

(ⅲ)面内厚さ方向に配筋される鉄筋は、最外縁の正負の軸方向鉄筋を確実に結束するよう

に定着すること。

(ⅳ)鉄筋の定着長は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2007)[設計編:本編] 13.6.3

鉄筋の定着長によること。

ただし、鉄筋の基本定着長 dl は少なくとも20φ以上とするのがよい。ここに、φ は

鉄筋直径である。鉄筋の定着長 0l は、基本定着長 dl 以上とすること。

(c) 鉄筋のあき

(ⅰ)水平に配置された軸方向のあきは、20mm以上、粗骨材の最大寸法の3

4倍以上、鉄筋

直径以上とすること。また、コンクリートの締固めに用いる内部振動機を挿入するため

に、水平あきを適切に確保すること。

(ⅱ)鉛直に配置される軸方向鉄筋のあきは、40mm以上、粗骨材の最大寸法の3

4倍以上、

(ニ) 重ね継手の重ね合わせ長さは、鉄筋直径の20倍以上とすること。

(ⅵ)引張鉄筋に溶接継手、スリーブ継手及びねじ継手等を用いる場合は、継手の使用

される部分の温度でその強度が低下しないことを確かめること*2。

(ⅶ)スターラップに重ね継手を原則として用いないこと。大断面の部材等でやむを得

ない場合は、重ね合わせ長さを基本定着長 dl の2倍以上、若しくは基本定着長 dl を

取り端部に直角フック又は鋭角フックを設ける。重ね継手の位置は圧縮領域又はそ

の近くにすること。

(b) 鉄筋の定着

(ⅰ)鉄筋の端部は、コンクリート中に十分埋込んで、鉄筋とコンクリートの付着力に

よって定着するか、フックをつけて定着するか、又は機械的に定着すること。

ただし、鉄筋とコンクリートの付着力による定着、フックによる定着以外の定着

方法を用いる場合には、以下の項目について所定の定着性能を満足すること*3。

・静的耐力

・高応力繰返し耐力

・施工等に起因する信頼度

・低温に対する性能

(ⅱ)引張鉄筋は、引張応力を受けないコンクリートに定着することを原則とする。た

だし、次の(イ)あるいは(ロ)のいずれかを満足する場合には、引張応力を受けるコン

クリートに定着してもよい。この場合の引張鉄筋の定着部は、計算上不要となる断

面から( dl + sl )だけ余分に延ばすこと。ここに、 dl は基本定着長、 sl は一般に部材

断面の有効高さとしてよい。

(イ) 鉄筋切断点から計算上不要となる断面までの区間では、設計せん断耐力が設計

せん断力の1.5倍以上あること。

(ロ) 鉄筋切断点から連続鉄筋による設計曲げ耐力が、設計曲げモーメントの2倍以

上あり、かつ切断点から計算上不要となる断面までの区間で、設計せん断耐力が

設計せん断力の3

4倍以上あること。

(ⅲ)面内厚さ方向に配筋される鉄筋は、最外縁の正負の軸方向鉄筋を確実に結束する

ように定着すること。

(ⅳ)鉄筋の定着長は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)[設計編:標準]

7編「鉄筋コンクリートの前提および構造細目」2.5.3「鉄筋の定着長」によるこ

と。

ただし、鉄筋の基本定着長 dl は少なくとも20φ以上とするのがよい。ここに、φ

は鉄筋直径である。鉄筋の定着長 0l は、基本定着長 dl 以上とすること。

(c) 鉄筋のあき

(ⅰ)水平に配置された軸方向のあきは、20mm以上、粗骨材の最大寸法の3

4 倍以上、鉄

筋直径以上とすること。また、コンクリートの締固めに用いる内部振動機を挿入す

るために、水平あきを適切に確保すること。

(ⅱ)鉛直に配置される軸方向鉄筋のあきは、40mm以上、粗骨材の最大寸法の3

4 倍以

パブコメ用ドラフト

- 223 -

第8章 基礎

第8章 -55-

鉄筋直径の1.5倍以上とすること。

(d) 鉄筋のかぶり

(ⅰ)かぶりは、付着強度を確保するとともに部材に要求される耐久性、施工誤差等を考慮

して定めること。

(ⅱ)かぶりの最小値の算定は、次式による値とする。ただし、鉄筋直径以上とすること。

0ccmin =

ここに、 minc :最小かぶり

α :コンクリートの設計基準強度 ckf ' に応じ、

21N/mm2≦ ckf ' <34N/mm2 α =1.0

34N/mm2≦ ckf ' α =0.8

0c :基本かぶりは原則として表8-8の値とすること。ただし、プレキャ

スト部材の場合、表の値を20%まで減じることができる。

表8-8 基本かぶり

環境条件 0c (mm)

一般の環境 30

腐食性環境 50

特に厳しい腐食性環境 60

(ⅲ)PCLNG貯槽の基礎版上側及びPC防液堤の内側の鉄筋に対しては、環境条件を一

般の環境と考えて、かぶりを定めることができる。

(ⅳ)防錆効果の確認された特殊鉄筋を用いる場合、及び品質の確認された保護層を設ける

場合には、環境条件を一般の環境と考えて、かぶりを定めることができる。

(ⅴ)コンクリートが地中で直接打込まれる場合のかぶりは、75mm以上とするのがよい。こ

とが望ましい。

(ⅵ)水中で施工する鉄筋コンクリートで、水中不分離性コンクリートを用いない場合のか

ぶりは100mm以上とするのがよい。

(e) 最小鉄筋量

基礎版には、鉄筋比0.2%以上の鉄筋を配置すること*(4)。

(f) 緊張材

(ⅰ)あき

ポストテンション方式の場合の緊張材のシースのあきは、 土木学会「コンクリート

標準示方書」(2007)[設計編:標準]5編 3.2 緊張材のあき(2)によること。

なお、内部振動機を挿入する部分の各シースグループの水平方向あきは60mm以上で、

かつ内部振動機を挿入するために必要な間隔を確保すること。

上、鉄筋直径の1.5倍以上とすること。

(d) 鉄筋のかぶり

(ⅰ)かぶりは、付着強度を確保するとともに部材に要求される耐久性、施工誤差等を

考慮して定めること。

(ⅱ)かぶりの最小値の算定は、次式による値とする。ただし、鉄筋直径以上とするこ

と。

0ccmin =

ここに、 minc :最小かぶり

α :コンクリートの設計基準強度 ckf ' に応じ、

21N/mm2≦ ckf ' <34N/mm2 α=1.0

34N/mm2≦ ckf ' α=0.8

0c :基本かぶりは原則として表8-8の値とすること。ただし、プ

レキャスト部材の場合、表の値を20%まで減じることができ

る。

表8-8 基本かぶり

環境条件 0c (mm)

一般の環境 30

腐食性環境 50

特に厳しい腐食性環境 60

(ⅲ)PCLNG貯槽の基礎版上側及びPC防液堤の内側の鉄筋に対しては、環境条件

を一般の環境と考えて、かぶりを定めることができる。

(ⅳ)防錆効果の確認された特殊鉄筋を用いる場合、及び品質の確認された保護層を設

ける場合には、環境条件を一般の環境と考えて、かぶりを定めることができる。

(ⅴ)コンクリートが地中で直接打込まれる場合のかぶりは、75mm以上とするのがよ

い。

(ⅵ)水中で施工する鉄筋コンクリートで、水中不分離性コンクリートを用いない場合

のかぶりは100mm以上とするのがよい。

(e) 最小鉄筋量

基礎版には、鉄筋比0.2%以上の鉄筋を配置すること*4。

(f) 緊張材

(ⅰ)あき

ポストテンション方式の場合の緊張材のシースのあきは、 土木学会「コンクリ

ート標準示方書」(2017)[設計編:標準]8編「プレストレストコンクリート」10.4

「緊張材のあき」(2)によること。

なお、内部振動機を挿入する部分の各シースグループの水平方向あきは60mm以上

で、かつ内部振動機を挿入するために必要な間隔を確保すること。

パブコメ用ドラフト

- 224 -

第8章 基礎

第8章 -56-

(ⅱ)かぶり

シース又はシースグループ及び定着具のかぶりは、8.5.7(5)(d)で与えられた値以上

とすること。

(ⅲ)配置

緊張材の配置は、 土木学会「コンクリート標準示方書」(2007)[設計編:本編] 15.9.5

緊張材の配置によること。

(ⅳ)定着具及び接続具の配置

(イ) 各設計断面に必要なプレストレスが有効に与えられ、かつ緊張材が確実に定着さ

れるように、定着具を配置すること。また、緊張材が確実に接続されるように、定着

具を配置すること。

(ロ) 定着具を同一断面に多数配置する場合は、定着具の数、定着具の大きさ及び各定着

具間に必要な最小間隔等を考慮して、定着部コンクリートの断面形状及び寸法を定め

ること。

(ⅴ)定着部付近のコンクリートの補強及び定着具の保護

定着部付近のコンクリートの補強及び定着具の保護は、 土木学会「コンクリート標

準示方書」(2007)[設計編:本編] 15.9.6 緊張材の定着、接続及び定着部付近のコンク

リートの補強によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 継手性能の評価は土木学会「コンクリート標準示方書」(2007)による。

*(2) 日本ガス協会「液化天然ガス用貯槽の保安調査について -昭和52年度LNG

地下式貯槽に関する保安調査報告書-」(昭和53年3月)に継手の低温引張試験結果

が記載されており、そこに記載された継手は、いずれの場合も低温での強度は常温

での強度より増加している。

*(3) 定着性能の評価は土木学会「コンクリート標準示方書」(2007)による。

*(4) 曲げモーメントの影響が支配的な場合には、部材の引張側に鉄筋比0.2%以上の

鉄筋を配置すること。

8.5.8 底部加温装置の構造及び設計

基礎版に付属して底部加温装置を設置する場合には、気象、底部保冷材の性能、地盤の温度

条件、基礎版の熱特性等を考慮して、適切な装置とすること。

(ⅱ)かぶり

シース又はシースグループ及び定着具のかぶりは、8.5.7「基礎版の構造及び設

計」(5)「構造細目」(d)「鉄筋のかぶり」で与えられた値以上とすること。

(ⅲ)配置

緊張材の配置は、 土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)[設計編:標準]

8編「プレストレストコンクリート」10.5「緊張材の配置」によること。

(ⅳ)定着具及び接続具の配置

(イ) 各設計断面に必要なプレストレスが有効に与えられ、かつ緊張材が確実に定着

されるように、定着具を配置すること。また、緊張材が確実に接続されるように、

定着具を配置すること。

(ロ) 定着具を同一断面に多数配置する場合は、定着具の数、定着具の大きさ及び各

定着具間に必要な最小間隔等を考慮して、定着部コンクリートの断面形状及び寸

法を定めること。

(ⅴ)定着部付近のコンクリートの補強及び定着具の保護

定着部付近のコンクリートの補強及び定着具の保護は、土木学会「コンクリート

標準示方書」(2017)[設計編:標準]8編「プレストレストコンクリート」10.6「緊

張材の定着、接続および定着部付近のコンクリートの補強」によること。

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 継手性能の評価は土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)による。

*2 日本瓦斯協会「液化天然ガス用貯槽の保安調査について -昭和52年度LNG地

下式貯槽に関する保安調査報告書-」(昭和53年3月)に継手の低温引張試験結果が

記載されており、そこに記載された継手は、いずれの場合も低温での強度は常温で

の強度より増加している。

*3 定着性能の評価は土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)による。

*4 曲げモーメントの影響が支配的な場合には、部材の引張側に鉄筋比0.2%以上の鉄

筋を配置すること。

8.5.8 底部加温装置の構造及び設計

基礎版に付属して底部加温装置を設置する場合には、気象、底部保冷材の性能、地盤の

温度条件、基礎版の熱特性等を考慮して、適切な装置とすること。

パブコメ用ドラフト

- 225 -

第8章 基礎

第8章 -57-

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

8.5.9 冷熱抵抗緩和部の構造及び設計

(1) 一般

冷熱抵抗緩和部は、漏液後において基礎版及び防液堤に作用する冷熱に抵抗し、緩和する

のに十分な機能を有すること。

(2) 構造*(1)

(a) 冷熱抵抗緩和部は、使用する材料の特性、作用する荷重、変形等を考慮し、適切な構造

とすること。

(b) 底部冷熱抵抗緩和部は、内槽からの荷重を安全に基礎版に伝達する構造とすること。

(c) 冷熱抵抗緩和部に目地を設ける場合は、熱的短絡路が生じないように、冷熱抵抗緩和材

と同等の目地材を充填する等の処置をすること。

(3) 設計

(a) 強度設計

(ⅰ)荷重

底部冷熱抵抗緩和部に作用する通常運転時及び地震時の荷重の種類、算定及び組合せ

は7.4.2(1)によること。

側部冷熱抵抗緩和部に作用する漏液後の荷重は、9.5.2によること。

(ⅱ)強度

底部冷熱抵抗緩和部の圧縮応力は、7.3に示す許容応力以下であること。

側部冷熱抵抗緩和部の圧縮応力は、8.4.4に示す漏液後における許容圧縮応力以下で

あること。

ただし、適切な試験を行い、その安全性を確認する場合はこの限りでない。

(b) 熱的設計

(ⅰ)熱伝導率

7.4.2(2)によること。

(ⅱ)耐冷熱性能

冷熱抵抗緩和部は漏液後の熱荷重に対し、有害な割れ、剥離等がないように十分な耐

冷熱性能を有すること*(2)。

【関連条項】

【関連条項】

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

8.5.9 冷熱抵抗緩和部の構造及び設計

(1) 一般

冷熱抵抗緩和部は、漏液後において基礎版及び防液堤に作用する冷熱に抵抗し、緩和

するのに十分な機能を有すること。

(2) 構造*1*2

(a) 冷熱抵抗緩和部は、使用する材料の特性、作用する荷重、変形等を考慮し、適切な

構造とすること。

(b) 底部冷熱抵抗緩和部は、内槽からの荷重を安全に基礎版に伝達する構造とするこ

と。

(c) 冷熱抵抗緩和部に目地を設ける場合は、熱的短絡路が生じないように、冷熱抵抗緩

和材と同等の目地材を充填する等の処置をすること。

(3) 設計

(a) 強度設計

(ⅰ)荷重

底部冷熱抵抗緩和部に作用する通常運転時及び地震時の荷重の種類、算定及び組

合せは第7章「保冷」7.4.2「設計」(1)「底部保冷の強度設計」によること。

側部冷熱抵抗緩和部に作用する漏液後の荷重は、第9章「防液堤」9.5.2「荷重」

によること。

(ⅱ)強度

底部冷熱抵抗緩和部の圧縮応力は、第7章7.3「許容応力」に示す許容応力以下で

あること。

側部冷熱抵抗緩和部の圧縮応力は、8.4.4「冷熱抵抗緩和材」に示す漏液後におけ

る許容圧縮応力以下であること。

ただし、適切な試験を行い、その安全性を確認する場合はこの限りでない。

(b) 熱的設計

(ⅰ)熱伝導率

7.4.2(2)によること。

(ⅱ)耐冷熱性能

冷熱抵抗緩和部は漏液後の熱荷重に対し、有害な割れ、剥離等がないように十分

な耐冷熱性能を有すること*3。

【関連条項】

パブコメ用ドラフト

- 226 -

第8章 基礎

第8章 -58-

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*(1) 冷熱抵抗緩和部として、種々の材料、構造の適用が考えられるが、ポリウレタン

フォームスプレー構造、ポリウレタンフォームパネル構造、パーライトコンクリー

ト構造に関して行った試験の結果1)の一例を以下に示す。

各構造ともに、冷熱抵抗機能及び冷熱緩和機能を有することが確認された。

(a) 構造仕様

(ⅰ)ポリウレタンフォームスプレー構造

・鋼板表面処理:ブラスト処理(SIS Sa21/2)

・プライマー:PVB系プライマー

・ポリウレタンフォーム:密度約70kgf/m3

・表面コーティング:ガラス繊維強化ウレタン樹脂(1層)

解図8-7 ポリウレタンフォームスプレー構造

(ⅱ)ポリウレタンフォームパネル構造

・鋼板表面処理:ブラスト処理(SIS Sa21/2)

・プライマー:PVB系プライマー

・ポリウレタンフォーム:密度約45kgf/m3

・表面コーティング:ガラス繊維強化ウレタン樹脂(2層)

省令第15条(構造等)

解釈例第38条(液化ガス用貯槽)第三号

解釈例別添第23条(液化ガス用貯槽)第四号

【解 説】

*1 冷熱抵抗緩和部として、種々の材料、構造の適用が考えられるが、ポリウレタン

フォームスプレー構造、ポリウレタンフォームパネル構造、パーライトコンクリー

ト構造に関して行った試験の結果1)の一例を以下に示す。

各構造ともに、冷熱抵抗機能及び冷熱緩和機能を有することが確認された。

(a) 構造仕様

(ⅰ)ポリウレタンフォームスプレー構造

・鋼板表面処理:ブラスト処理(SIS Sa21/2)

・プライマー:PVB系プライマー

・ポリウレタンフォーム:密度約70kgf/m3

・表面コーティング:ガラス繊維強化ウレタン樹脂(1層)

解図8-7 ポリウレタンフォームスプレー構造

(ⅱ)ポリウレタンフォームパネル構造

・鋼板表面処理:ブラスト処理(SIS Sa21/2)

・プライマー:PVB系プライマー

・ポリウレタンフォーム:密度約45kgf/m3

・表面コーティング:ガラス繊維強化ウレタン樹脂(2層)

パブコメ用ドラフト

- 227 -

第8章 基礎

第8章 -59-

解図8-8 ポリウレタンフォームパネル構造

(ⅲ)パーライトコンクリート構造

・鋼板表面処理 :ブラスト処理(SIS Sa21/2)

・プライマー :湿潤硬化型エポキシプライマー

・パーライトコンクリート

配合比(体積):セメント/パーライト=61

生比重 :0.83

スランプ :15cm

溶接金網 :φ3.2mm、75メッシュ(2層)

・表面コーティング:ガラス繊維強化ウレタン樹脂(2層)

解図8-9 パーライトコンクリート構造

(b) 試験方法

各試験体を解図8-13に示す試験装置にセットした後、液体窒素にて試験体に冷

熱を与えた。

解図8-8 ポリウレタンフォームパネル構造

(ⅲ)パーライトコンクリート構造

・鋼板表面処理 :ブラスト処理(SIS Sa21/2)

・プライマー :湿潤硬化型エポキシプライマー

・パーライトコンクリート

配合比(体積):セメント/パーライト=61

生比重 :0.83

スランプ :15cm

溶接金網 :φ3.2mm、75メッシュ(2層)

・表面コーティング:ガラス繊維強化ウレタン樹脂(2層)

解図8-9 パーライトコンクリート構造

(b) 試験方法

各試験体を解図8-10「試験装置図」に示す試験装置にセットした後、液体窒

素にて試験体に冷熱を与えた。

パブコメ用ドラフト

- 228 -

第8章 基礎

第8章 -60-

解図8-10 試験装置図(試験体寸法:1800×1200mm)

(c) 試験結果

(ⅰ)温度測定結果

コンクリート上面の温度は、3箇所の温度を計測したが、各試験体ともに温

度差は3℃以内であり、均一に冷却されていた。

また、コンクリート上面の温度変化は、緩やかであり計算値とも一致し、断

熱材料を組合せた構造として、冷熱抵抗機能及び冷熱緩和機能を有すること

が確認された。(各構造の供試体表面、コンクリート上面、中間点、下面、外

気温の経時的変化を非定常熱計算結果とあわせ、解図8-11から解図8-13に示

す。なお、非定常熱計算は、外気温一定として計算した。)

(ⅱ)解体検査結果

各構造ともに表面コーティング、ポリウレタンフォーム、パーライトコンク

リートともに割れ、剥離等の有害な欠陥は認められず、断熱材とライナとの

付着状況も良好であった。

解図8-10 試験装置図(試験体寸法:1800×1200mm)

解図8-10「試験装置図」

(c) 試験結果

(ⅰ)温度測定結果

コンクリート上面の温度は、3箇所の温度を計測したが、各試験体ともに

温度差は3℃以内であり、均一に冷却されていた。

また、コンクリート上面の温度変化は、緩やかであり計算値とも一致し、断

熱材料を組合せた構造として、冷熱抵抗機能及び冷熱緩和機能を有すること

が確認された。(各構造の供試体表面、コンクリート上面、中間点、下面、外

気温の経時的変化を非定常熱計算結果とあわせ、解図8-11から解図8-13

に示す。なお、非定常熱計算は、外気温一定として計算した。)

(ⅱ)解体検査結果

各構造ともに表面コーティング、ポリウレタンフォーム、パーライトコン

クリートともに割れ、剥離等の有害な欠陥は認められず、断熱材とライナと

の付着状況も良好であった。

パブコメ用ドラフト

- 229 -

第8章 基礎

第8章 -61-

解図8-11 温度測定結果(ポリウレタンフォームスプレー構造)

解図8-12 温度測定結果(ポリウレタンフォームパネル構造)

解図8-11 温度測定結果(ポリウレタンフォームスプレー構造)

解図8-12 温度測定結果(ポリウレタンフォームパネル構造)

パブコメ用ドラフト

- 230 -

第8章 基礎

第8章 -62-

解図8-13 温度測定結果(パーライトコンクリート構造)

<参考文献>

1) 天然ガス導入促進センター:”昭和63年度 プレストレストコンクリートLNG貯

槽技術開発調査報告書”,pp.136-152,(平成元年3月)

*(2) 冷熱抵抗緩和部は、表面にコーティング材を設ける等の適切な処置を講ずるこ

とにより、割れ、剥離が発生しないよう考慮すること。コーティング材の使用実

績として、国内のPCLNG貯槽では、メッシュライニング等がある。

8.6 施 工

8.6.1 杭基礎の施工

(1) 適用する工法

杭基礎の施工は、地盤条件や環境条件を考慮し、適切な工法によること。

(2) 試験杭

解図8-13 温度測定結果(パーライトコンクリート構造)

<参考文献>

1) 天然ガス導入促進センター:「昭和63年度 プレストレストコンクリートLNG貯

槽技術開発調査報告書」、pp.136-152、(平成元年3月)

*2 ポリウレタンフォームスプレー構造については、参考文献1)2)に示される試験条

件、方法において、液密性を有することが確認されている。

<参考文献>

1) 新村知也、大西俊輔、田摩仁、木村方哉、八木浩二:”PCLNGタンク側部冷熱

抵抗緩和材の液密性の評価(その1)”、土木学会第71回年次学術講演会、Ⅵ-772、

(2016)

2) 阿久津富弘、川島宏幸、大西俊輔、西﨑丈能、八木浩二:”PCLNGタンク側部

冷熱抵抗緩和材の液密性の評価(その2)”、土木学会第71回年次学術講演会、Ⅵ-

773、(2016)

*3 冷熱抵抗緩和部は、表面にコーティング材を設ける等の適切な処置を講ずること

により、割れ、剥離が発生しないよう考慮すること。コーティング材の使用実績

として、国内のPCLNG貯槽では、メッシュライニング等がある。

8.6 施 工

8.6.1 杭基礎の施工

(1) 適用する工法

杭基礎の施工は、地盤条件や環境条件を考慮し、適切な工法によること。

(2) 試験杭

パブコメ用ドラフト

- 231 -

第8章 基礎

第8章 -63-

杭の施工に際しては、原則としてあらかじめ試験杭の施工を行うこと。

ただし、施工地点における杭の施工性が十分把握されている場合は試験杭の施工を省略す

ることができる。

(3) 施工*(1)

杭の施工に際しては、試験杭等により決められた工法に従い、所定の深さまで施工するこ

と。

【解 説】

*(1) 既製杭の場合は、運搬、建込み及び打込み時における杭体の強度に対する検討

を行うこと。

8.6.2 直接基礎の施工

直接基礎の施工に際しては、平板載荷試験等により地盤の支持力を確認すること。

8.6.3 基礎版の施工*(1)*(2)

(1) コンクリート*(3)*(4)*(5)

(a) 配合

コンクリートの配合*(6)は、所要の強度、耐久性*(7)、液密性、ひび割れ抵抗性、鋼材を

保護する性能及び作業に適するワーカビリティーを持つ範囲内で、単位水量をできるだけ

少なくするように定めること。

(b) レディーミクストコンクリート

レディーミクストコンクリートを用いる場合は、原則としてJIS A 5308(2003)「レディ

ーミクストコンクリート」によるものを用いること*(8)。

(c) 打設

コンクリートの打込み*(9)、締固め*(10)及び打継目処理*(11)は、所要の均等質なコンクリ

ートが得られるよう行うこと。

(d) 養生

コンクリートは、有害な影響を受けないように、打設後の一定期間硬化に必要な温度、

湿度に保ち、養生すること*(12)。

(e) 継目

打継目は構造物の強度、耐久性、液密性及び外観を害さないように、位置と方向を定め、

適切な処理と施工を行うこと。

(2) 鉄筋

鉄筋は、設計で定められた正しい寸法及び形状を保つように、材質を害さない適切な方法

で加工し、所定の位置に正確に、堅固に組立てること。

(3) 緊張材

(a) 加工及び組立

杭の施工に際しては、原則としてあらかじめ試験杭の施工を行うこと。

ただし、施工地点における杭の施工性が十分把握されている場合は試験杭の施工を省

略することができる。

(3) 施工*1

杭の施工に際しては、試験杭等により決められた工法に従い、所定の深さまで施工す

ること。

【解 説】

*1 既製杭の場合は、運搬、建込み及び打込み時における杭体の強度に対する検討を

行うこと。

8.6.2 直接基礎の施工

直接基礎の施工に際しては、平板載荷試験等により地盤の支持力を確認すること。

8.6.3 基礎版の施工*1*2

(1) コンクリート*3*4*5

(a) 配合

コンクリートの配合*6は、所要の強度、耐久性*7、液密性、ひび割れ抵抗性、鋼材

を保護する性能及び作業に適するワーカビリティーを持つ範囲内で、単位水量をでき

るだけ少なくするように定めること。

(b) レディーミクストコンクリート

レディーミクストコンクリートを用いる場合は、原則としてJIS A 5308(2014)「レ

ディーミクストコンクリート」によるものを用いること*8。

(c) 打設

コンクリートの打込み*9、締固め*10及び打継目処理*11は、所要の均等質なコンクリ

ートが得られるよう行うこと。

(d) 養生

コンクリートは、有害な影響を受けないように、打設後の一定期間硬化に必要な温

度、湿度に保ち、養生すること*12。

(e) 継目

打継目は構造物の強度、耐久性、液密性及び外観を害さないように、位置と方向を

定め、適切な処理と施工を行うこと。

(2) 鉄筋

鉄筋は、設計で定められた正しい寸法及び形状を保つように、材質を害さない適切な

方法で加工し、所定の位置に正確に、堅固に組立てること。

(3) 緊張材

(a) 加工及び組立

パブコメ用ドラフト

- 232 -

第8章 基礎

第8章 -64-

PC鋼材は、設計に示された形状及び寸法に合致するように、材質を損なわない方法で

加工し、組立てること。

PC鋼材、定着具、接続具及びシースは、発錆したり、油やゴミが付着しない方法で保

管すること*(13)。

(b) シース及び緊張材の配置

(ⅰ)シースは、これを所定の位置及び方向に傷を付けないように配置すること。さらに、

コンクリートの打込みの時に、配置形状が変わらないようにスペーサー、鋼材等で堅固

に支持すること。また、シースの接続は、コンクリートの打込みのとき、ペーストが入

り込まないように十分堅固に行うこと*(14)。

(ⅱ)定着具及び接続具は、設計図に示された形状及び寸法に合致するように組み立て、設

計で示された位置及び方向に正しく配置すること。また、定着具の支圧面は、緊張材と

垂直に取り付けること。

(4) 型枠及び支保工

型枠及び支保工は、所定の強度及び剛性を有するとともに、基礎版等の形状及び寸法が正

確に確保され、所要の性能を有するコンクリートが得られるように、これを設計、施工する

こと。

緊張材は、もつれないようにシース中に配置すること。

(5) 定着具及び接続具の組立及び配置

定着具及び接続具は,設計図に示された形状及び寸法に一致するように組み立て、設計で

示された位置及び方向に正しく配置すること。また、定着具の支圧面は、緊張材と垂直にな

るように取り付けること。

(6) 緊張*(15)

(a) 緊張材は、それを構成するPC鋼材の各々に所定の引張力が与えられるように引張る

こと。緊張材を順次緊張する場合は、各段階においてコンクリートに有害な応力が生じな

いようにすること。

(b) 緊張材の緊張に必要なコンクリートの圧縮強度は、緊張により生じるコンクリートの

最大圧縮強度の1.7倍以上であること。

(c) 種々の要因によるばらつきを考慮して、緊張材に与えられる引張力が所定の値を下回

らないように、緊張材1本ごとに緊張作業の管理を行うこと。

(7) PCグラウト

PCグラウトの施工は、緊張材と部材とを一体化し、併せて発せいを防止するために、緊

張終了後できるだけ速やかに行うことを原則とすること。

(a) 水セメント比

グラウトの水セメント比は、45%以下とすること。

(b) 配合

グラウトの配合は、次の条件を満足するものを標準とする*(16)。

(ⅰ)ブリーディング率は、0%とすること*(17)

(ⅱ)コンシステンシーは、シースの長さ及び形状、施工時期及び気温、鋼材の種類及び断

PC鋼材は、設計に示された形状及び寸法に合致するように、材質を損なわない方

法で加工し、組立てること。

PC鋼材、定着具、接続具及びシースは、発錆したり、油やゴミが付着したりしな

い方法で保管すること*13。

(b) シース及び緊張材の配置

(ⅰ)シースは、これを所定の位置及び方向に傷を付けないように配置すること。さら

に、コンクリートの打込みの時に、配置形状が変わらないようにスペーサー、鋼材

等で堅固に支持すること。また、シースの接続は、コンクリートの打込みのとき、

ペーストが入り込まないように十分堅固に行うこと*14。

(ⅱ)定着具及び接続具は、設計図に示された形状及び寸法に合致するように組み立

て、設計で示された位置及び方向に正しく配置すること。また、定着具の支圧面は、

緊張材と垂直に取り付けること。

(4) 型枠及び支保工

型枠及び支保工は、所定の強度及び剛性を有するとともに、基礎版等の形状及び寸法

が正確に確保され、所要の性能を有するコンクリートが得られるように、これを設計、

施工すること。

緊張材は、もつれないようにシース中に配置すること。

(5) 定着具及び接続具の組立及び配置

定着具及び接続具は、設計図に示された形状及び寸法に一致するように組み立て、設

計で示された位置及び方向に正しく配置すること。また、定着具の支圧面は、緊張材と

垂直になるように取り付けること。

(6) 緊張*15

(a) 緊張材は、それを構成するPC鋼材の各々に所定の引張力が与えられるように引張

ること。緊張材を順次緊張する場合は、各段階においてコンクリートに有害な応力が

生じないようにすること。

(b) 緊張材の緊張に必要なコンクリートの圧縮強度は、緊張により生じるコンクリート

の最大圧縮強度の1.7倍以上であること。

(c) 種々の要因によるばらつきを考慮して、緊張材に与えられる引張力が所定の値を下

回らないように、緊張材1本ごとに緊張作業の管理を行うこと。

(7) PCグラウト

PCグラウトの施工は、緊張材と部材とを一体化し、併せて発せいを防止するために、

緊張終了後できるだけ速やかに行うことを原則とすること。

(a) 水セメント比

グラウトの水セメント比は、45%以下とすること。

(b) 配合

グラウトの配合は、次の条件を満足するものを標準とする*16。

(ⅰ)ブリーディング率は、0%とすること*17。

(ⅱ)コンシステンシーは、シースの長さ及び形状、施工時期及び気温、鋼材の種類及

パブコメ用ドラフト

- 233 -

第8章 基礎

第8章 -65-

面積を考慮し、施工に適した値を選ぶこと。

(ⅲ)膨張率は、10%以下とすること。ただし、注入完了後に所定の膨張率が得られるよう

に施工時期及び気温等を考慮し、十分な遅延対策を行うこと。

(ⅳ)材齢28日の圧縮強度は20N/mm2以上とする。

(ⅴ)PCグラウト中の全塩化物イオン量は、0.3kg/m3以下とする。

(c) 練混ぜ及び撹拌

練混ぜは所定の品質が得られるような方法で行い、練混ぜ後は注入が終了するまで緩や

かに撹拌すること。

(d) 注入

(ⅰ)シースは、グラウト注入前に水を通して洗浄し、十分に漏らしておくとともに、余剰

水が残らないようにすること。

(ⅱ)注入は、流出口から一様な品質のグラウトが十分流出するまで、中断しないで行うこ

と。

(ⅲ)グラウト注入にあたっては、ブリーディングに対する対策を講じること。

【解 説】

*(1) 基礎版が、所要の性能を設計耐用期間にわたり保持することを確認しなければな

らない。コンクリートの中性化、塩化物イオンの侵入、凍結融解作用、アルカリ骨

材反応等による基礎版の劣化に関する評価及び施工段階におけるひび割れ評価は、

土木学会「コンクリート標準示方書」(2007)によること。

*(2) LNGピットイン式貯槽の場合、掘削時の掘削底面におけるヒービング、ボイリ

ング及び盤ぶくれの検討は、JGA指-107-12の6.7.2によること。

*(3) 最近では、施工性の改善や耐久性の向上の観点から、自己充填性を有する高流動

コンクリートの使用例が増えつつある1)。このコンクリートは、フレッシュ時の材

料分離抵抗性を損なうことなく流動性を高め、振動、締固め作業を行うことなく型

枠の隅々まで充填することが可能なコンクリートであり、構造物の信頼性を向上さ

せることができるだけでなく、工事現場の省力化、省人化、合理化を図ることがで

きる。

自己充填性を有する高流動コンクリートの特有の性能は、フレッシュコンクリー

トの自己充填性であり、構造物の形状、寸法、配筋状態等を考慮して、適切にこれ

を設定しなければならない。また、施工にあたっては、特有の留意点がある。これ

らの高流動コンクリートに関する事項については、土木学会「高流動コンクリート

施工指針」(1998)によること。

び断面積を考慮し、施工に適した値を選ぶこと。

(ⅲ)体積変化率は、膨張性タイプで0~10%、非膨張性タイプで0~0.5%とするこ

と。ただし、注入完了後に所定の膨張率が得られるように施工時期及び気温等を考

慮し、十分な遅延対策を行うこと。

(ⅳ)圧縮強度は30N/mm2以上*18とする。

(ⅴ)PCグラウト中の塩化物イオンの総量は、セメント質量の0.08%以下*19とするこ

と。

(c) 練混ぜ及び撹拌

練混ぜは所定の品質が得られるような方法で行い、練混ぜ後は注入が終了するまで

緩やかに撹拌すること。

(d) 注入

(ⅰ)シースは、グラウト注入前に水を通して洗浄し、十分に漏らしておくとともに、

余剰水が残らないようにすること。

(ⅱ)注入は、流出口から一様な品質のグラウトが十分流出するまで、中断しないで行

うこと。

(ⅲ)グラウト注入にあたっては、ブリーディングに対する対策を講じること。

【解 説】

*1 基礎版が、所要の性能を設計耐用期間にわたり保持することを確認しなければな

らない。コンクリートの中性化、塩化物イオンの侵入、凍結融解作用、アルカリ骨

材反応等による基礎版の劣化に関する評価及び施工段階におけるひび割れ評価は、

土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)によること。ただし、中性化に対する

評価は土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)[設計編:標準]3.1.3.4「中

性化に伴う鋼材腐食に対する照査」によること。

*2 LNGピットイン式貯槽の場合、掘削時の掘削底面におけるヒービング、ボイリ

ング及び盤ぶくれの検討は、JGA指-107-19「LNG地下式貯槽指針」第6章「躯体」

6.7.2「掘削」によること。

*3 最近では、施工性の改善や耐久性の向上の観点から、自己充填性を有する高流動

コンクリートの使用例が増えつつある1)。このコンクリートは、フレッシュ時の材

料分離抵抗性を損なうことなく流動性を高め、振動、締固め作業を行うことなく型

枠の隅々まで充填することが可能なコンクリートであり、構造物の信頼性を向上さ

せることができるだけでなく、工事現場の省力化、省人化、合理化を図ることがで

きる。

自己充填性を有する高流動コンクリートの特有の性能は、フレッシュコンクリー

トの自己充填性であり、構造物の形状、寸法、配筋状態等を考慮して、適切にこれ

を設定しなければならない。また、施工にあたっては、特有の留意点がある。これ

らの高流動コンクリートに関する事項については、土木学会「高流動コンクリート

配合設計・施工指針」(2012)によること。

パブコメ用ドラフト

- 234 -

第8章 基礎

第8章 -66-

<参考文献>

1) 西崎丈能,奥立稔,近松竜一,川島宏幸:”高強度・自己充填コンクリートによる

PCLNG貯槽の建設”,コンクリート工学,Vol.37,No.10,pp.40-44,(1999.10)

*(4) 流動化コンクリートを用いる場合は、土木学会「流動化コンクリート施工指針」

(1993)によること。

*(5) PCLNG貯槽において基礎版に液密性が求められる場合は、9.6.3解説*(1)に

よること。

*(6) コンクリートの配合強度は設計基準強度及び現場におけるコンクリートの品質

のばらつきを考慮して定めること。

(a) 配合強度

コンクリートの配合強度は、設計基準強度及び現場におけるコンクリートの品

質のばらつきを考えて定めること。コンクリートの配合強度 は、一般の場合、

コンクリートの圧縮強度の試験値が、設計基準強度 を下回る確率が5%以下

になるように定める。

(b) 水セメント比

水セメント比は55%以下を標準とし、コンクリートに要求される強度、耐久性、

ひび割れ抵抗性及び鋼材を保護する性能を考え、これから定まる水セメント比の

うちで最小の値を選ぶこと。

(c) 単位水量

単位水量は作業ができる範囲内で、できるだけ少なくなるように試験によって

これを定めること。

(d) 単位セメント量

単位セメント量は、原則として単位水量と水セメント比から定めること。単位

セメント量に下限あるいは上限が定められている場合には、これらの規定を満足

させること。

(e) スランプ

コンクリートのスランプは、運搬、打込み、締固め等の作業に適する範囲内で

できるだけ小さくなるように定めること。高流動コンクリート等のスランプフロ

ーによる管理を行う場合は、所定のコンクリートの品質が得られるようにスラ

ンプを定めること。

(f) 粗骨材の最大寸法

粗骨材の最大寸法は、部材最小寸法の5

1 、鉄筋の最小あきの4

3 及びかぶりの

4

3 を超えないこと。

(g) 細骨材率

細骨材率は、所要のワーカビリティーが得られる範囲で単位水量が最小になる

<参考文献>

1) 西崎丈能,奥立稔,近松竜一,川島宏幸:”高強度・自己充填コンクリートによる

PCLNG貯槽の建設”,コンクリート工学,Vol.37,No.10,pp.40-44,(1999.10)

*4 流動化コンクリートを用いる場合は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)

及び「高性能AE減水剤を用いたコンクリートの施工指針(案)付・流動化コンクリ

ート施工指針[改訂版]」(1993)によること。

*5 PCLNG貯槽において基礎版に液密性が求められる場合は、第9章「防液堤」

9.6.3「防液堤の施工」【解説】*1によること。

*6 コンクリートの配合強度は設計基準強度及び現場におけるコンクリートの品質の

ばらつきを考慮して定めること。

(a) 配合強度

コンクリートの配合強度は、設計基準強度及び現場におけるコンクリートの品

質のばらつきを考えて定めること。コンクリートの配合強度 は、一般の場合、

コンクリートの圧縮強度の試験値が、設計基準強度 を下回る確率が5%以下

になるように定める。

(b) 水セメント比

水セメント比は55%以下を標準とし、コンクリートに要求される強度、耐久性、

ひび割れ抵抗性及び鋼材を保護する性能を考え、これから定まる水セメント比の

うちで最小の値を選ぶこと。

(c) 単位水量

単位水量は作業ができる範囲内で、できるだけ少なくなるように試験によって

これを定めること。

(d) 単位セメント量

単位セメント量は、原則として単位水量と水セメント比から定めること。単位

セメント量に下限あるいは上限が定められている場合には、これらの規定を満足

させること。

(e) スランプ

コンクリートのスランプは、運搬、打込み、締固め等の作業に適する範囲内で

できるだけ小さくなるように定めること。高流動コンクリート等のスランプフロ

ーによる管理を行う場合は、所定のコンクリートの品質が得られるようにスラ

ンプを定めること。

(f) 粗骨材の最大寸法

粗骨材の最大寸法は、部材最小寸法の5

1 、鉄筋の最小あきの4

3 及びかぶりの

4

3 を超えないこと。

(g) 細骨材率

細骨材率は、所要のワーカビリティーが得られる範囲で単位水量が最小になる

crf

ckf

crf

ckf

パブコメ用ドラフト

- 235 -

第8章 基礎

第8章 -67-

ように試験によって定めること。

(h) AEコンクリートの空気量

AEコンクリートの空気量は、原則として粗骨材の最大寸法、その他に応じて

コンクリート容積の4~7%とすること。

(i) 混和材料の単位量

混和材料の単位量は、所定の効果が得られるように定めること。

(j) その他

コンクリートの配合の決定に際しては、セメントの水和に起因するひび割れに

ついて、貯槽の運転状態における環境条件を考慮した上で、発生するひび割れが

耐久性に与える影響を評価し、検討すること。この場合、土木学会「コンクリー

ト標準示方書」(2007)により行うことができる。

*(7) 環境条件に応じて躯体コンクリートとして要求される耐久性能を設定すること。

コンクリートの耐久性能に影響を与える因子としては,鋼材腐食を引き起こす中性

化及び塩化物イオンの侵入、コンクリートの耐久性に悪影響を及ぼす凍結融解作

用、化学的侵食及びアルカリ骨材反応がある。

*(8) JIS A 5308(2003)「レディーミクストコンクリート」によらないコンクリートを

使用する場合は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2007)や土木学会のコン

クリートに関する指針等によること。

*(9) コンクリートの打込み時に材料の分離、型枠の移動及び鉄筋の配置の乱れが生じ

ないよう注意すること。

*(10) コンクリートの締固めを行う場合は、原則として内部振動機を用い、使用する

振動機は、工事に適したものであること。また、コンクリートは、打込み後速やか

に十分締固め、コンクリートが鉄筋の周囲及び型枠のすみずみに充填できるように

すること。

*(11) 打継目処理は新旧コンクリートが十分密着するよう入念に行うこと。

*(12) 湿潤養生を行う場合、表面を荒らさないで作業ができる程度硬化したら、コン

クリートの露出面は養生用マット、布等を濡らしたもので、これを覆うか又は散水、

湛水を行い、湿潤状態に保つこと。

*(13) 円周方向緊張材に錆があると、大きな緊張ロスにつながるので特に注意するこ

と。

*(14) シースは、長さ方向に2m以下の間隔で固定するのが望ましい。

*(15) 緊張作業にあたっては、コンクリートに有害な応力が生じないようにするこ

と。

*(16) 試験方法は、JSCE-F531(1999)「PCグラウトの流動性試験方法」、 JSCE-

F532(1999)「PCグラウトのブリーディング率及び膨張率試験方法(ポリエチレン

袋方法)」、JSCE-F533(1999)「PCグラウトのブリーディング率及び膨張率試験方

法(容器方法)」及びJSCE-G531(1999)「PCグラウトの圧縮強度試験方法」による

ことができる。

ように試験によって定めること。

(h) AEコンクリートの空気量

AEコンクリートの空気量は、原則として粗骨材の最大寸法、その他に応じて

コンクリート容積の4~7%とすること。

(i) 混和材料の単位量

混和材料の単位量は、所定の効果が得られるように定めること。

(j) その他

コンクリートの配合の決定に際しては、セメントの水和に起因するひび割れに

ついて、貯槽の運転状態における環境条件を考慮した上で、発生するひび割れが

耐久性に与える影響を評価し、検討すること。この場合、土木学会「コンクリー

ト標準示方書」(2017)により行うことができる。

*7 環境条件に応じて躯体コンクリートとして要求される耐久性能を設定すること。

コンクリートの耐久性能に影響を与える因子としては,鋼材腐食を引き起こす中性

化及び塩化物イオンの侵入、コンクリートの耐久性に悪影響を及ぼす凍結融解作

用、化学的侵食及びアルカリ骨材反応がある。

*8 JIS A 5308(2014)「レディーミクストコンクリート」によらないコンクリートを使

用する場合は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)や土木学会のコンク

リートに関する指針等によること。

*9 コンクリートの打込み時に材料の分離、型枠の移動及び鉄筋の配置の乱れが生じ

ないよう注意すること。

*10 コンクリートの締固めを行う場合は、原則として内部振動機を用い、使用する振

動機は、工事に適したものであること。また、コンクリートは、打込み後速やかに

十分締固め、コンクリートが鉄筋の周囲及び型枠のすみずみに充填できるようにす

ること。

*11 打継目処理は新旧コンクリートが十分密着するよう入念に行うこと。

*12 湿潤養生を行う場合、表面を荒らさないで作業ができる程度硬化したら、コンク

リートの露出面は養生用マット、布等を濡らしたもので、これを覆うか又は散水、

湛水を行い、湿潤状態に保つこと。

*13 円周方向緊張材に錆があると、大きな緊張ロスにつながるので特に注意すること。

*14 シースは、長さ方向に2m以下の間隔で固定するのが望ましい。

*15 緊張作業にあたっては、コンクリートに有害な応力が生じないようにすること。

*16 試験方法は、JSCE-F531(2018)「PCグラウトの流動性試験方法(案)」、 JSCE-

F534(2018)「PCグラウトの材料分離抵抗性試験方法(案)」、JSCE-F535(2018)「P

Cグラウトのブリーディング率および体積変化率試験方法(鉛直管方法)(案)」、

JSCE-F536(2018)「PCグラウトの単位容積質量試験方法(案)」及び JSCE-

G531(2012)「PCグラウトの圧縮強度試験方法(案)」によることができる。

パブコメ用ドラフト

- 236 -

第8章 基礎

第8章 -68-

*(17) グラウトの充填を確実なものとするため、ブリーディング率は0%とした。

8.6.4 冷熱抵抗緩和部の施工

7.5によること。

8.7 試験及び検査

8.7.1 杭の試験及び検査

(1) 鋼管杭

鋼管杭は、ミルシートによってその品質を確認すること。

(2) 鋼管杭以外の杭

鋼管杭以外の杭は、製品成績書によってその品質を確認すること。

8.7.2 基礎版の試験及び検査

(1) コンクリート

コンクリートについて、次の試験を行い、品質を確認すること*(1)*(2)。試験の結果、不合

格と判定されたコンクリートは使用しないこと*(3)。

(a) スランプ試験

JIS A 1101(2005)「コンクリートのスランプ試験方法」によること。なお、スランプフ

ローにより管理する場合はJIS A 1150(2007)「コンクリートのスランプフロー試験方法」

によること。

(b) 空気量試験

JIS A 1116(2005)「フレッシュコンクリートの単位容積重量試験方法及び空気量の質量

による試験方法(質量方法)」、JIS A 1118(1997)「フレッシュコンクリートの空気量の容

積による試験方法(容積方法)」、又はJIS A 1128(2005)「フレッシュコンクリートの空気

量の圧力による試験方法-空気室圧力方法」のいずれかの方法によること。

(c) コンクリートの圧縮強度試験

JIS A 1108(2006)「コンクリートの圧縮強度試験方法」によること。

(d) フレッシュコンクリートの塩化物含有量試験*(4)

信頼できる機関で評価を受けた試験方法による。

(2) 鉄筋

(a) 受入検査

鉄筋は、ミルシートによってその品質を確認すること。

*17 グラウトの充填を確実なものとするため、ブリーディング率は0%とした。な

お、練り混ぜ後からの経過時間にかかわらず、0%とすることが望ましい。

*18 材齢7日の試験値を基本とする。

*19 PCグラウト中の塩化物イオンの総量は、0.3kg/m3以下とすることが望ましい。

8.6.4 冷熱抵抗緩和部の施工

第7章「保冷」7.5「製作及び組立」によること。

8.7 試験及び検査

8.7.1 杭の試験及び検査

(1) 鋼管杭

鋼管杭は、ミルシートによってその品質を確認すること。

(2) 鋼管杭以外の杭

鋼管杭以外の杭は、製品成績書によってその品質を確認すること。

8.7.2 基礎版の試験及び検査

(1) コンクリート

コンクリートについて、次の試験を行い、品質を確認すること*1*2。試験の結果、

不合格と判定されたコンクリートは使用しないこと*3。

(a) スランプ試験

JIS A 1101(2014)「コンクリートのスランプ試験方法」によること。なお、スラン

プフローにより管理する場合はJIS A 1150(2014)「コンクリートのスランプフロー試

験方法」によること。

(b) 空気量試験

JIS A 1116(2014)「フレッシュコンクリートの単位容積重量試験方法及び空気量の

質量による試験方法(質量方法)」、JIS A 1118(2017)「フレッシュコンクリートの空

気量の容積による試験方法(容積方法)」、又はJIS A 1128(2014)「フレッシュコンク

リートの空気量の圧力による試験方法-空気室圧力方法」のいずれかの方法によるこ

と。

(c) コンクリートの圧縮強度試験

JIS A 1108(2018)「コンクリートの圧縮強度試験方法」によること。

(d) フレッシュコンクリートの塩化物含有量試験*4

信頼できる機関で評価を受けた試験方法による。

(2) 鉄筋

(a) 受入検査

鉄筋は、ミルシートによってその品質を確認すること。

パブコメ用ドラフト

- 237 -

第8章 基礎

第8章 -69-

(b) 加工検査

鉄筋は組立てる前に、その加工状態を検査すること。

(c) 組立検査

コンクリート打設前に、組立てられた鉄筋が配筋図に一致していることを確認するこ

と。

(d) 継手検査

継手に機械継手等を用いる場合には、その継手の強度を確認すること。

(3) 型わく及び支保工

型わく及び支保工は、仕上り精度の確保及び安全の確保のために、コンクリートの打設前

及び打設中に、その状態を検査すること。

(4) PC鋼材並びに定着具及び接続具

(a) 受入検査

PC鋼材はミルシート等によって、また、定着具及び接続具は試験表又は検査表によっ

て、8.3.2に示す規定を満足していることを確認すること。

(b) 組立検査

コンクリート打設前に、組立てられたシース並びに定着具及び接続具が設計図と一致し

ていることを確認すること。

(c) 定着具及び接続具の試験

定着具及び接続具は、PC鋼材を含めたシステムとして、8.3.2に示す規定を満足する

ことを試験により確認すること。この場合、試験は常温及び設計温度以下で行うこと*(5)。

【解 説】

*(1) 自己充填性を有する高流動コンクリートを用いる場合、打込み前のコンクリート

が自己充填性を有していることを検査することは、構造物の信頼性を確保する上で

重要である。自己充填性の検査については、土木学会「高流動コンクリート施工指針」

(1998)によること。

高流動コンクリートを用いる場合は、土木学会「高流動コンクリート施工指針」

(1998)によること。

*(2) 流動化コンクリートを用いる場合は、原則としてベースコンクリートと流動化コ

ンクリートの両方について試験を行うこと。

*(3) コンクリートの圧縮強度試験の結果が不合格と判定された場合は、構造物中のコ

ンクリートについて検査を行う必要がある。この検査の方法には、実施工環境と同

様の条件を再現した試験、構造物中のコンクリートの採取による試験、非破壊試験

(b) 加工検査

鉄筋は組立てる前に、その加工状態を検査すること。

(c) 組立検査

コンクリート打設前に、組立てられた鉄筋が配筋図に一致していることを確認する

こと。

(d) 継手検査

継手に機械継手等を用いる場合には、その継手の強度を確認すること。

(3) 型わく及び支保工

型わく及び支保工は、仕上り精度の確保及び安全の確保のために、コンクリートの打

設前及び打設中に、その状態を検査すること。

(4) PC鋼材、定着具及び接続具

(a) 受入検査

PC鋼材はミルシート等によって、また、定着具及び接続具は試験表又は検査表に

よって、8.3.2「鉄筋及びプレストレストコンクリート用鋼材」に示す規定を満足して

いることを確認すること。

(b) 組立検査

コンクリート打設前に、組立てられたシース並びに定着具及び接続具が設計図と一

致していることを確認すること。

(c) 定着具及び接続具の試験

定着具及び接続具は、PC鋼材を含めたシステムとして、8.3.2に示す規定を満足

することを試験により確認すること。この場合、試験は常温及び設計温度以下で行う

こと*5。

(5) PCグラウト

PCグラウトの検査は、土木学会「コンクリート標準示方書」(2017)[施工編:特殊

コンクリート]10.6.5「検査」によること。

【解 説】

*1 自己充填性を有する高流動コンクリートを用いる場合、打込み前のコンクリート

が自己充填性を有していることを検査することは、構造物の信頼性を確保する上で

重要である。自己充填性の検査については、土木学会「高流動コンクリート配合設計・

施工指針」(2012)によること。

高流動コンクリートを用いる場合は、土木学会「高流動コンクリート配合設計・

施工指針」(2012)によること。

*2 流動化コンクリートを用いる場合は、原則としてベースコンクリートと流動化コ

ンクリートの両方について試験を行うこと。

*3 コンクリートの圧縮強度試験の結果が不合格と判定された場合は、構造物中のコ

ンクリートについて検査を行う必要がある。この検査の方法には、実施工環境と同

様の条件を再現した試験、構造物中のコンクリートの採取による試験、非破壊試験

パブコメ用ドラフト

- 238 -

第8章 基礎

第8章 -70-

等があり、必要に応じてこれらの試験を併用して、構造物の性能についての総合的

な判断を行うこと。これらの試験の結果、構造物の性能が要求される性能を満たさ

ないと判断される場合には、不良コンクリートの取除きとその部分の再施工、構造

物の補強等の処置を講じること。

*(4) フレッシュコンクリートの塩化物含有量試験は、信頼できる機関で評価を受けた

試験方法及び測定器で行うこと。塩化物イオン量の判定基準は、原則として0.3kg

/m3以下とすること。

*(5) 常温及び設計温度以下での試験結果があり、その適合性が確認されているものに

ついては、試験を省略できる。

8.7.3 冷熱抵抗緩和部の試験及び検査

7.6によること。

等があり、必要に応じてこれらの試験を併用して、構造物の性能についての総合的

な判断を行うこと。これらの試験の結果、構造物の性能が要求される性能を満たさ

ないと判断される場合には、不良コンクリートの取除きとその部分の再施工、構造

物の補強等の処置を講じること。

*4 フレッシュコンクリートの塩化物含有量試験は、信頼できる機関で評価を受けた

試験方法及び測定器で行うこと。塩化物イオン量の判定基準は、原則として0.3kg

/m3以下とすること。

*5 常温及び設計温度以下での試験結果があり、その適合性が確認されているものに

ついては、試験を省略できる。

8.7.3 冷熱抵抗緩和部の試験及び検査

第7章「保冷」7.6「試験及び検査」によること。

パブコメ用ドラフト

- 239 -

第9章 -1-

「第9章 防液堤」においての記載内容

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

第9章 防液堤

9.1 一 般 ························································ 241

9.2 地盤調査 ························································ 241

9.3 材 料 ························································ 242

9.3.1 コンクリート及びPCグラウト ································ 242

9.3.2 鉄筋及びプレストレストコンクリート用鋼材 ···················· 242

9.3.3 杭 ·························································· 242

9.3.4 その他の材料 ················································ 242

9.4 設計値 ·························································· 242

9.4.1 コンクリート ················································ 242

9.4.2 鉄筋及びPC鋼材 ············································ 243

9.4.3 杭 ·························································· 243

9.4.4 冷熱抵抗緩和材 ·············································· 243

9.5 構造及び設計 ···················································· 243

9.5.1 一 般 ···················································· 243

9.5.2 荷 重 ···················································· 243

9.5.2.1 荷重の種類 ·············································· 243

9.5.2.2 荷重の算定 ·············································· 244

9.5.2.3 荷重の組合せ ············································ 247

9.5.3 安全係数 ···················································· 249

9.5.4 地盤の液状化 ················································ 250

9.5.5 杭基礎の構造及び設計 ········································ 250

9.5.6 直接基礎の構造及び設計 ······································ 250

9.5.7 防液提の構造及び設計 ········································ 251

9.5.8 冷熱抵抗緩和部の構造及び設計 ································ 254

9.6 施 工 ························································ 255

9.6.1 杭基礎の施工 ················································ 255

9.6.2 直接基礎の施工 ·············································· 255

9.6.3 防液堤の施工 ················································ 255

9.6.4 冷熱抵抗緩和部の施工 ········································ 256

9.7 試験及び検査 ···················································· 256

9.7.1 杭の試験及び検査 ············································ 256

9.7.2 防液堤の試験及び検査 ········································ 256

9.7.3 冷熱抵抗緩和部の試験及び検査 ································ 256

第9章 防液堤

9.1 一 般 ······················································· 241

9.2 地盤調査 ······················································· 241

9.3 材 料 ······················································· 242

9.3.1 コンクリート及びPCグラウト ······························· 242

9.3.2 鉄筋及びプレストレストコンクリート用鋼材 ··················· 242

9.3.3 杭 ························································· 242

9.3.4 その他の材料 ··············································· 242

9.4 設計値 ························································· 242

9.4.1 コンクリート ··············································· 242

9.4.2 鉄筋及びPC鋼材 ··········································· 243

9.4.3 杭 ························································· 243

9.4.4 冷熱抵抗緩和材 ············································· 243

9.5 構造及び設計 ··················································· 243

9.5.1 一 般 ··················································· 243

9.5.2 荷 重 ··················································· 243

9.5.2.1 荷重の種類 ············································· 243

9.5.2.2 荷重の算定 ············································· 244

9.5.2.3 荷重の組合せ ··········································· 247

9.5.3 安全係数 ··················································· 249

9.5.4 地盤の液状化 ··············································· 250

9.5.5 杭基礎の構造及び設計 ······································· 250

9.5.6 直接基礎の構造及び設計 ····································· 250

9.5.7 防液堤の構造及び設計 ······································· 251

9.5.8 冷熱抵抗緩和部の構造及び設計 ······························· 254

9.6 施 工 ······················································· 255

9.6.1 杭基礎の施工 ··············································· 255

9.6.2 直接基礎の施工 ············································· 255

9.6.3 防液堤の施工 ··············································· 255

9.6.4 冷熱抵抗緩和部の施工 ······································· 256

9.7 試験及び検査 ··················································· 256

9.7.1 杭の試験及び検査 ··········································· 256

9.7.2 防液堤の試験及び検査 ······································· 256

9.7.3 冷熱抵抗緩和部の試験及び検査 ······························· 256

パブコメ用ドラフト

- 240 -

第9章 防液堤

第9章 -2-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

9.7.4 仕上り寸法検査 ·············································· 256

9.7.4 仕上り寸法検査 ············································· 256

パブコメ用ドラフト

- 241 -

第9章 防液堤

第9章 -3-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

9.1 一 般

(1) 本章は、LNG地上式貯槽用の防液堤*(1)で鉄筋コンクリート製、プレストレストコ

ンクリート製等によるものに適用する。

(2) 防液堤は、液密性を有する構造*(2)とし、液圧、熱(温度)荷重、地震荷重等に対して

十分な強度を有すること。

(3) 耐用年数を定め、その期間において耐久性を維持できる設計及び施工とすること。

(4) この指針に規定されていない事項については、必要に応じて関連諸規定*(3)によるこ

と。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*(1) LNG地上式貯槽用防液堤の構造形式例を解図 9-1 に示す。

解図 9-1 防液堤の構造形式例

*(2) 防液堤下部地盤からのLNGの浸透に対しても安全であること。

*(3) 関連諸規定は、8.1(4)解説*(4)によること。

9.2 地盤調査

8.2 によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.1 一 般

(1) 本章は、LNG地上式貯槽用の防液堤*1で鉄筋コンクリート製、プレストレストコン

クリート製等によるものに適用する。

(2) 防液堤は、液密性を有する構造*2とし、液圧、熱(温度)荷重、地震荷重等に対して

十分な強度を有すること。

(3) 耐用年数を定め、その期間において耐久性を維持できる設計及び施工とすること。

(4) この指針に規定されていない事項については、必要に応じて関連諸規定 *3によるこ

と。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*1 LNG地上式貯槽用防液堤の構造形式例を解図9-1に示す。

解図9-1 防液堤の構造形式例

*2 防液堤下部地盤からのLNGの浸透に対しても安全であること。

*3 関連諸規定は、第8章 8.1「一般」(4)【解説】*4によること。

9.2 地盤調査

第8章「基礎」8.2「地盤調査」によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

金属二重殻LNG貯槽 PCLNG貯槽

金属二重殻LNG貯槽 PCLNG貯槽

杭 パブコメ用ドラフト

- 242 -

第9章 防液堤

第9章 -4-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

9.3 材 料

9.3.1 コンクリート及びPCグラウト

8.3.1 によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.3.2 鉄筋及びプレストレストコンクリート用鋼材

8.3.2 によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.3.3 杭

8.3.3 によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.3.4 その他の材料

8.3.4 によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.4 設計値

9.4.1 コンクリート

8.4.1 によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

9.3 材 料

9.3.1 コンクリート及びPCグラウト

第8章「基礎」8.3.1「コンクリート及びPCグラウト」によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.3.2 鉄筋及びプレストレストコンクリート用鋼材

第8章「基礎」8.3.2「鉄筋及びプレストレストコンクリート用鋼材」によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.3.3 杭

第8章「基礎」8.3.3「杭」によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.3.4 その他の材料

第8章「基礎」8.3.4「その他の材料」によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.4 設計値

9.4.1 コンクリート

第8章「基礎」8.4.1「コンクリート」によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

パブコメ用ドラフト

- 243 -

第9章 防液堤

第9章 -5-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.4.2 鉄筋及びPC鋼材

8.4.2 によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.4.3 杭

8.4.3 によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.4.4 冷熱抵抗暖和材

8.4.4 によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.5 構造及び設計

9.5.1 一 般

8.5.1 によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.5.2 荷 重

9.5.2.1 荷重の種類

防液堤の設計には次の荷重を考慮すること。

(1) 金属二重殻LNG貯槽

(a) 自重

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.4.2 鉄筋及びPC鋼材

第8章「基礎」8.4.2「鉄筋及びPC鋼材」によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.4.3 杭

第8章「基礎」8.4.3「杭」によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.4.4 冷熱抵抗緩和材

第8章「基礎」8.4.4「冷熱抵抗緩和材」によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.5 構造及び設計

9.5.1 一 般

第8章「基礎」8.5.1「一般」によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.5.2 荷 重

9.5.2.1 荷重の種類

防液堤の設計には次の荷重を考慮すること。

(1) 金属二重殻LNG貯槽

(a) 自重

パブコメ用ドラフト

- 244 -

第9章 防液堤

第9章 -6-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(b) 液圧(漏液後)

(c) 熱(温度)荷重(漏液後)

(d) 地震荷重

(e) 風荷重

(f) プレストレス力*(1)

(g) 拘束荷重(コンクリートの収縮及びクリープ)

(h) その他の荷重

(2) PCLNG貯槽

(a) 自重

(b) 液圧(漏液後)

(c) ガス圧力

(d) 保冷材圧力

(e) 熱(温度)荷重

(f) 熱(温度)荷重(漏液後)

(g) 地震荷重

(h) 風荷重

(i) 外槽屋根荷重

(j) 試験荷重

(k) プレストレス力

(l) 拘束荷重(コンクリートの収縮及びクリープ)

(m) その他の荷重

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*(1) PC防液堤の場合に考慮すべき荷重である。

9.5.2.2 荷重の算定

(1) 自重

防液堤*(1)の自重の算定に用いる単位質量は原則として表 8-2 によること。但し、PC

LNG貯槽においては外槽側ライナの自重を考慮すること。

(2) 液圧(漏液後)

液圧は、原則として次式によること*(2)。

(b) 液圧(漏液後)

(c) 熱(温度)荷重(漏液後)

(d) 地震荷重

(e) 風荷重

(f) プレストレス力*1

(g) 拘束荷重(コンクリートの収縮及びクリープ)

(h) その他の荷重

(2) PCLNG貯槽

(a) 自重

(b) 液圧(漏液後)

(c) ガス圧力

(d) 保冷材圧力

(e) 熱(温度)荷重

(f) 熱(温度)荷重(漏液後)

(g) 地震荷重

(h) 風荷重

(i) 外槽屋根荷重

(j) 試験荷重

(k) プレストレス力

(l) 拘束荷重(コンクリートの収縮及びクリープ)

(m) その他の荷重

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*1 PC防液堤の場合に考慮すべき荷重である。

9.5.2.2 荷重の算定

(1) 自重

防液堤*1の自重の算定に用いる単位質量は原則として第8章「基礎」8.5.2.2「荷重の

算定」表8-2によること。ただし、PCLNG貯槽においては外槽側ライナの自重を

考慮すること。

(2) 液圧(漏液後)

液圧は、原則として次式によること*2。

パブコメ用ドラフト

- 245 -

第9章 防液堤

第9章 -7-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

00010,

ρghP=

ここに、 P :液圧(MPa)

ρ :LNGの密度(kg/cm3)

g :重力加速度(cm/s2)

h :防液堤の設計液深(cm)

(3) ガス圧力

8.5.2.2(2)によること。

(4) 保冷材圧力

PCLNG貯槽の場合、保冷材圧力(PC防液堤に作用する圧力及び摩擦力)を考慮

すること。

(5) 熱(温度)荷重

PCLNG貯槽の場合、熱(温度)荷重はPC防液堤に発生する温度分布から求める

こと*(3)。

(6) 熱(温度)荷重(漏液後)

漏液後に防液堤に発生する温度分布から求めること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*(1) 必要に応じて冷熱抵抗緩和部の自重を考慮すること。

*(2) 液圧の算定は、漏液後に設計液深まで貯留した液圧を規定したが、漏液の初期に

は非定常な液圧が作用する。この非定常な液圧は漏液時の状況、内槽と防液堤の距

離等により異なると考えられる。

それらの状況に応じて、この荷重を想定し、防液堤の安全性を検討することが望

ましい。この荷重の定量的想定が困難な場合は、金属二重殻LNG貯槽においては

20kN/m2の等分布荷重を高さ3m まで載荷し1)、防液堤の安全性を検討すること。

<参考文献>

1) 消防法通達(消防危第 162 号)”防油堤の構造に関する運用基準について”,別記1

防油堤の構造指針,1977.11.14、改正 消防危第 86 号 1999.9.24

*(3) 熱(温度)荷重を算定するため設計温度条件は、PC防液堤と基礎版を一体化し

たモデルに基づく熱伝導解析により得られるコンクリート部分の温度分布を用い

ること。

00010,

ρghP=

ここに、 P :液圧(MPa)

ρ :LNGの密度(kg/cm3)

g :重力加速度(cm/s2)

h :防液堤の設計液深(cm)

(3) ガス圧力

8.5.2.2(2)「ガス圧力」によること。

(4) 保冷材圧力

PCLNG貯槽の場合、保冷材圧力(PC防液堤に作用する圧力及び摩擦力)を考慮

すること。

(5) 熱(温度)荷重

PCLNG貯槽の場合、熱(温度)荷重はPC防液堤に発生する温度分布から求める

こと*3。

(6) 熱(温度)荷重(漏液後)

漏液後に防液堤に発生する温度分布から求めること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*1 必要に応じて冷熱抵抗緩和部の自重を考慮すること。

*2 液圧の算定は、漏液後に設計液深まで貯留した液圧を規定したが、漏液の初期に

は非定常な液圧が作用する。この非定常な液圧は漏液時の状況、内槽と防液堤の距

離等により異なると考えられる。

それらの状況に応じて、この荷重を想定し、防液堤の安全性を検討することが望

ましい。この荷重の定量的想定が困難な場合は、金属二重殻LNG貯槽においては

20kN/m2の等分布荷重を高さ3m まで載荷し1)、防液堤の安全性を検討すること。

<参考文献>

1) 消防法通達(消防危第 162 号)「防油堤の構造に関する運用基準について」、別記

1防油堤の構造指針、1977.11.14、改正 消防危第 86 号 1999.9.24

*3 熱(温度)荷重を算定するため設計温度条件は、PC防液堤と基礎版を一体化し

たモデルに基づく熱伝導解析により得られるコンクリート部分の温度分布を用い

ること。

パブコメ用ドラフト

- 246 -

第9章 防液堤

第9章 -8-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

9.5.2.2

(7) 地震荷重

(a) 地震荷重の算定*(1)

加速度型設計水平地震動による防液堤等の質量に起因する水平慣性力の算定に用

いる水平震度又は水平加速度、及び加速度型設計鉛直地震動による防液堤等の自重の

増減分の算定に用いる鉛直震度又は鉛直加速度は 8.5.2.2(5)(a)によること。

(b) 設計地震動

8.5.2.2(5)(b)によること。

(c) 地震応答解析法

加速度型設計地震動に基づく応答解析法は、次のいずれかの方法により算定するこ

と。

(ⅰ)修正震度法

金属二重殻LNG貯槽においては、防液堤の自重に 8.5.2.2(5)(c)*(2)*(3)に示す修

正震度を乗じて慣性力を求め、PCLNG貯槽においては、それにPC防液堤下端

部及び外槽屋根端部に発生するせん断力、モーメント等を加算して地震荷重を算定

すること。

(ⅱ)時刻歴応答解析法

8.5.2.2(5)(c)(ⅱ)により防液堤に作用する地震荷重を算定すること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*(1) LNGピットイン式貯槽の側壁の地震荷重は、JGA 指-107-12 の 6.4.2(8)による

こと。

*(2) 防液堤の重要度係数 α1は、原則として 1.0とする。

*(3) JGA 指-101-12 の 4.2.3.1 に示す応答倍率は、杭頭完全固定の杭基礎の場合の応

答倍率である。杭頭完全固定以外の条件で基礎を設置する場合には地震時における

貯槽全体の応答を実験などで適切に評価すること。また、防液堤基礎部の応答倍率

は水平方向、鉛直方向共に 1.0 とする。

9.5.2.2

9.5.2.2

(7) 地震荷重

(a) 地震荷重の算定*1

加速度型設計水平地震動による防液堤等の質量に起因する水平慣性力の算定に用

いる水平震度又は水平加速度、及び加速度型設計鉛直地震動による防液堤等の自重の

増減分の算定に用いる鉛直震度又は鉛直加速度は第8章「基礎」8.5.2.2「荷重の算

定」(5)「地震荷重」(a)「地震荷重の算定」によること。

(b) 設計地震動

8.5.2.2(5)(b)「設計地震動」によること。

(c) 地震応答解析法

加速度型設計地震動に基づく応答解析法は、次のいずれかの方法により算定するこ

と。

(ⅰ)修正震度法

金属二重殻LNG貯槽においては、防液堤の自重に 8.5.2.2(5)(c)「地震応答解

析法」(ⅰ)「修正震度法」*2*3に示す修正震度を乗じて慣性力を求め、PCLNG

貯槽においては、それにPC防液堤下端部及び外槽屋根端部に発生するせん断力、

モーメント等を加算して地震荷重を算定すること。

(ⅱ)時刻歴応答解析法

8.5.2.2(5)(c)(ⅱ)「時刻歴応答解析法」により防液堤に作用する地震荷重を算定

すること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*1 LNGピットイン式貯槽の側壁の地震荷重は、JGA 指-107-19「LNG地下式貯槽

指針」第6章「躯体」6.4.2「荷重の算定」(8)「地震による影響荷重」によること。

*2 防液堤の重要度係数 α1は、原則として 1.0とする。

*3 JGA 指-101-14「製造設備等耐震設計指針」第4章「塔槽類等のレベル1耐震性能

評価法」4.2.3.1「塔槽類等の設計修正震度」に示す応答倍率は、杭頭完全固定の

杭基礎の場合の応答倍率である。杭頭完全固定以外の条件で基礎を設置する場合に

は地震時における貯槽全体の応答を実験などで適切に評価すること。また、防液堤

基礎部の応答倍率は水平方向、鉛直方向共に 1.0とする。

9.5.2.2

パブコメ用ドラフト

- 247 -

第9章 防液堤

第9章 -9-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(8) 風荷重

4.3.3 によること。

(9) 外槽屋根荷重

PCLNG貯槽の場合、外槽屋根によりPC防液堤に発生する断面力を考慮するこ

と。

(10)試験荷重

PCLNG貯槽の場合、8.5.2.2(8)によること。

(11)プレストレスト力

8.5.2.2(9)によること。

(12)拘束荷重(コンクリートの収縮及びクリープ)

8.5.2.2(10)によること。

(13)その他の荷重

その他必要な荷重があれば考慮すること*(1)*(2)*(3)。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*(1) 必要に応じて土圧を考慮すること。

常時の土圧は、原則として次式によること。

( )qghρKP +=

ここに、 P :土圧(kPa)

K :土圧係数

ρ :土の密度(kg/m3)

g :重力加速度(m/s2)

h :土層の厚さ(m)

q :上載荷重(kN/m2)

*(2) LNGピットイン式貯槽の側壁には、土圧の他に地震時に作用する荷重(周辺地

盤と側壁との動的相互作用による荷重、慣性力、地震時土圧)や偏土圧、水圧等が

作用することが考えられるが、これらの荷重については JGA 指-107-12 の 6.4.2 に

よること。

*(3) PCLNG貯槽においては、基礎版に作用する荷重によってPC防液堤に発生す

る断面力を考慮すること。

(8) 風荷重

第4章「内槽及び外槽の構造及び設計」4.3.3「風荷重」によること。

(9) 外槽屋根荷重

PCLNG貯槽の場合、外槽屋根によりPC防液堤に発生する断面力を考慮するこ

と。

(10)試験荷重

PCLNG貯槽の場合、第8章「基礎」8.5.2.2「荷重の算定」(8)「試験荷重」によ

ること。

(11)プレストレスト力

8.5.2.2(9)「プレストレスト力」によること。

(12)拘束荷重(コンクリートの収縮及びクリープ)

8.5.2.2(10)「拘束荷重(コンクリートの収縮及びクリープ)」によること。

(13)その他の荷重

その他必要な荷重があれば考慮すること*1*2*3*4。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*1 必要に応じて土圧を考慮すること。

常時の土圧は、原則として次式によること。

( )qghρKP +=

ここに、 P :土圧(kPa)

K :土圧係数

ρ :土の密度(kg/m3)

g :重力加速度(m/s2)

h :土層の厚さ(m)

q :上載荷重(kN/m2)

*2 LNGピットイン式貯槽の側壁には、土圧の他に地震時に作用する荷重(周辺地

盤と側壁との動的相互作用による荷重、慣性力、地震時土圧)や偏土圧、水圧等が

作用することが考えられるが、これらの荷重については JGA 指-107-19「LNG地

下式貯槽指針」第6章「躯体」6.4.2「荷重の算定」によること。

*3 PCLNG貯槽においては、基礎版に作用する荷重によってPC防液堤に発生す

る断面力を考慮すること。

*4 (1)~(3)の他に、例えば、基地の災害想定や貯槽の立地特性に応じて想定される

荷重、施工時の仮設物の荷重等がある。

パブコメ用ドラフト

- 248 -

第9章 防液堤

第9章 -10-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

9.5.2.3 荷重の組合せ

防液堤に作用する荷重の組合せは、表 9-1、表 9-2 によること*(1)*(2)。

防液堤の設計荷重は、表 9-1、表 9-2 に従い、9.5.2 で求められる荷重に表 9-1、表 9-

2 に示す荷重係数を乗じて求めること。

表 9-1 防液堤に作用する荷重の組合せと荷重係数(金属二重殻LNG貯槽)

荷重条件

荷重の種類

常時性能評価 レベル1耐

震性能評価

レベル2耐

震性能評価 漏液後性能評価

通常運転時 強風時

ひび割れ 断面破壊 断面破壊 断面破壊 断面破壊 液密性 断面破壊

自重 ○

1.0 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

プレストレス

力[1]

1.0 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

拘束荷重

(収縮及びク

リープ)[1]

1.0

1.0

地震荷重 ○

1.0

1.0

風荷重 ○

1.0

液圧

(漏液後)

1.0 ○

1.0

熱(温度)荷重

(漏液後)

1.0 ○

1.05*(3)

〔備 考〕

[1]PC防液堤にのみ作用する荷重である。また、断面破壊の評価に用いるプレストレス力

(不静定力のみを考慮)の荷重係数は、小さいほうが危険な場合は 0.9 とする。

表 9-2 防液堤に作用する荷重の組合せと荷重係数(PCLNG貯槽)

荷重条件

荷重の種類

常時性能評価 レベル1耐

震性能評価

レベル2耐

震性能評価 漏液後性能評価

通常運転時 強風時 耐圧試験

水張試験

ひび

割れ

断面

破壊

断面

破壊

断面

破壊

断面

破壊

断面

破壊

液密性

断面

破壊

自重 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

ガス圧力 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

保冷材圧力 ○

1.0 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

熱(温度)荷

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

プレストレ

ス力[1]

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

拘束荷重

(収縮及びク

リープ)

1.0

1.0

外槽屋根荷

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

9.5.2.3 荷重の組合せ

防液堤に作用する荷重の組合せは、表9―1、表9-2によること*(1)*(2)。

防液堤の設計荷重は、表9―1、表9-2に従い、9.5.2「荷重」で求められる荷重に

表9-1、表9-2に示す荷重係数を乗じて求めること。

表9―1 防液堤に作用する荷重の組合せと荷重係数(金属二重殻LNG貯槽)

荷重条件

荷重の種類

常時性能評価 レベル1耐

震性能評価

レベル2耐

震性能評価 漏液後性能評価

通常運転時 強風時

ひび割れ 断面破壊 断面破壊 断面破壊 断面破壊 液密性 断面破壊

自重 ○

1.0 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

プレストレス

力[1]

1.0 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

拘束荷重

(収縮及びク

リープ)[1]

1.0

1.0

地震荷重 ○

1.0

1.0

風荷重 ○

1.0

液圧

(漏液後)

1.0 ○

1.0

熱(温度)荷重

(漏液後)

1.0 ○

1.05*(3)

〔備 考〕

[1]PC防液堤にのみ作用する荷重である。また、断面破壊の評価に用いるプレストレス力

(不静定力のみを考慮)の荷重係数は、小さいほうが危険な場合は 0.9 とする。

表9-2 防液堤に作用する荷重の組合せと荷重係数(PCLNG貯槽)

荷重条件

荷重の種類

常時性能評価 レベル1耐

震性能評価

レベル2耐

震性能評価 漏液後性能評価

通常運転時 強風時 耐圧試験

水張試験

ひび

割れ

断面

破壊

断面

破壊

断面

破壊

断面

破壊

断面

破壊

液密性

断面

破壊

自重 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

ガス圧力 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

保冷材圧力 ○

1.0 ○

1.0

1.0

1.0

1.0

熱(温度)荷

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

プレストレ

ス力[1]

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

拘束荷重

(収縮及びク

リープ)

1.0

1.0

外槽屋根荷

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

1.0

評価 項目

評価 項目

評価 項目

評価 項目

パブコメ用ドラフト

- 249 -

第9章 防液堤

第9章 -11-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

地震荷重 ○

1.0

1.0

風荷重 ○

1.0

液圧

(漏液後)

1.0

1.0

熱(温度)荷重

(漏液後)

1.0

1.05*(3)

試験荷重 ○

1.0

〔備 考〕

[1]断面破壊の評価に用いるプレストレス力(不静定力のみを考慮)の荷重係数は、小さいほ

うが危険な場合は 0.9 とする。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第 1 項第四号ロ

【解 説】

*(1) 表 9-1、表 9-2 は、荷重の組合せの基本であり、必要に応じ他の荷重の組合せも

考慮すること。また、必要に応じて、表 9-1、表 9-2 とは別に施工時について検討

すること。

*(2) 土圧を考慮する場合の荷重係数は、常時性能評価のひび割れの評価、レベル1耐

震性能評価、レベル2耐震性能評価、及び漏液後性能評価において 1.0 とする。ま

た、常時性能評価の断面破壊の評価においては 1.2 又は 0.8 のうち、危険な方を用

いること。土圧に関しては鉄道総合技術研究所「鉄道構造物等設計標準・同解説 基

礎構造物・抗土圧構造物」(2000)を基本として設定した。

*(3) 漏液後性能評価の熱(温度)荷重の算定には、平均外気温を使用する場合を考慮

して 1.05 とした。ただし、外気温の季節変動を考慮して設計する場合には、1.0 と

することができる。

9.5.3 安全係数

防液堤の検討に用いる安全係数は、表9-3に示す値とすること*(1)。

表 9-3 防液堤の検討に用いる安全係数

地震荷重 ○

1.0

1.0

風荷重 ○

1.0

液圧

(漏液後)

1.0

1.0

熱(温度)荷重

(漏液後)

1.0

1.05*(3)

試験荷重 ○

1.0

〔備 考〕

[1]断面破壊の評価に用いるプレストレス力(不静定力のみを考慮)の荷重係数は、小さいほ

うが危険な場合は 0.9 とする。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第 1 項第四号ロ

【解 説】

*1 表9-1、表9-2は、荷重の組合せの基本であり、必要に応じ他の荷重の組合

せも考慮すること。また、必要に応じて、表9-1、表9-2とは別に施工時につ

いて検討すること。

*2 土圧を考慮する場合の荷重係数は、常時性能評価のひび割れの評価、レベル1耐

震性能評価、レベル2耐震性能評価、及び漏液後性能評価において 1.0 とする。ま

た、常時性能評価の断面破壊の評価においては 1.2 又は 0.8 のうち、危険な方を用

いること。

*3 漏液後性能評価の熱(温度)荷重の算定には、平均外気温を使用する場合を考慮

して 1.05 とした。ただし、外気温の季節変動を考慮して設計する場合には、1.0 と

することができる。

9.5.3 安全係数

防液堤の検討に用いる安全係数は、表9-3に示す値とすること*(1)。

表9-3 防液堤の検討に用いる安全係数

パブコメ用ドラフト

- 250 -

第9章 防液堤

第9章 -12-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

常時性能評価 レベル1耐

震性能評価

レベル2耐

震性能評価 漏液後性能評価

安全係数 ひび

割れ

断面

破壊

断面

破壊

断面

破壊 液密性

断面

破壊

コンクリート( c )*(2) 1.0 1.3 1.0 1.0 1.0 1.3 材料

係数 鉄筋( s ) 1.0 1.0[ 1] 1.0 1.0 1.0 1.0

軸力 1.0 1.3 1.0 1.0[ 2] 1.0 1.3 曲げと

軸力 曲げと

軸力 1.0 1.1 1.0 1.0[ 2] 1.0 1.1

コンクリート - 1.3 1.3 1.3 1.0 1.3 面外

せん断 鉄筋 - 1.1 1.1 1.1 1.0 1.1

コンクリート - 1.3 1.3 1.3 1.0 1.3

部材

係数

( b ) せ

断 面内

せん断 鉄筋 - 1.1 1.1 1.1 1.0 1.1

構造解析係数( a ) 1.0 1.0 1.0 1.0[ 3] 1.0 1.0

構造物係数( i )*(3) 1.0 1.1 1.0 1.0 1.0 1.1

〔備 考〕

[1]鉄筋及びPC鋼材の場合は 1.0、その他の鋼材の場合は 1.05 とすること。

[2]構造物を線材でモデル化する場合、部材係数は 1.15 とすること。

[3]構造物を有限要素法モデルにおいて棒部材でモデル化する場合、構造解析係数はコ

ンクリートで 1.1~1.3、鋼材で 1.0~1.2 とすること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*(1) ぜい性的な破壊を防ぐための安全性の割り増し等については、土木学会「コンク

リート標準示方書」(2007)によること。

*(2) ckf ' ≧80N/mm2のときは、 cγ を適切に設定すること。

*(3) LNGピットイン式貯槽の場合は、構造物係数を 1.0 とすること。

9.5.4 地盤の液状化

8.5.4 によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.5.5 杭基礎の構造及び設計

8.5.5 によること。ただし、評価は、9.4 に示す材料の設計値、9.5.2 で求められる荷重

常時性能評価 レベル1耐

震性能評価

レベル2耐

震性能評価 漏液後性能評価

安全係数 ひび

割れ

断面

破壊

断面

破壊

断面

破壊 液密性

断面

破壊

コンクリート( c )*(2) 1.0 1.3 1.0 1.0 1.0 1.3 材料

係数 鉄筋( s ) 1.0 1.0[ 1] 1.0 1.0 1.0 1.0

軸力 1.0 1.3 1.0 1.0[ 2] 1.0 1.3 曲げと

軸力 曲げと

軸力 1.0 1.1 1.0 1.0[ 2] 1.0 1.1

コンクリート - 1.3 1.3 1.3 1.0 1.3 面外

せん断 鉄筋 - 1.1 1.1 1.1 1.0 1.1

コンクリート - 1.3 1.3 1.3 1.0 1.3

部材

係数

( b ) せ

断 面内

せん断 鉄筋 - 1.1 1.1 1.1 1.0 1.1

構造解析係数( a ) 1.0 1.0 1.0 1.0[ 3] 1.0 1.0

構造物係数( i )*(3) 1.0 1.1 1.0 1.0 1.0 1.1

〔備 考〕

[1]鉄筋及びPC鋼材の場合は 1.0、その他の鋼材の場合は 1.05 とすること。

[2]構造物を線材でモデル化する場合、部材係数は 1.15 とすること。

[3]構造物を有限要素法モデルにおいて棒部材でモデル化する場合、構造解析係数はコ

ンクリートで 1.1~1.3、鋼材で 1.0~1.2 とすること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*1 ぜい性的な破壊を防ぐための安全性の割り増し等については、土木学会「コンク

リート標準示方書」(2017)[設計編:標準]5編「耐震設計および耐震性に関する

照査」3.5「安全係数」によること

*2 ckf ' ≧80N/mm2のときは、 cγ を適切に設定すること。

*3 LNGピットイン式貯槽の場合は、構造物係数を 1.0 とすること。

9.5.4 地盤の液状化

第8章「基礎」8.5.4「地盤の液状化」によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.5.5 杭基礎の構造及び設計

第8章「基礎」8.5.5「杭基礎の構造及び設計」によること。ただし、評価は、9.4「設

パブコメ用ドラフト

- 251 -

第9章 防液堤

第9章 -13-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

及び表 9.3 に示す安全係数を用いて行うこと。また、土圧等が作用する場合は、通常運転

時において引抜き力に対する検討を行うこと。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.5.6 直接基礎の構造及び設計

8.5.6 によること。ただし、評価は、9.4 に示す材料の設計値、9.5.2 で求められる荷重

及び表 9-3 に示す安全係数を用いて行うこと。また、土圧等が作用する場合は、通常運転

時において水平支持に対する検討を行うこと。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.5.7 防液堤の構造及び設計

(1) 一般

防液堤は、作用する荷重に対して安全な構造とすること。

(2) 設計の基本

(a) 防液堤の部材断面は、表 9-4 に示す項目を評価すること。

表 9-4 防液堤の評価項目

区分 評価項目

常時性能評価

通常運転時

ひび割れ

ひび割れ発生 *(1)

断面破壊

強風時、耐圧試験時、

水張試験時 断面破壊

レベル1耐震性能評価 断面破壊

レベル2耐震性能評価 断面破壊 *(2)*(3)

漏液後性能評価 *(4) 液密性

断面破壊

(b) 評価は、9.4 に示す材料の設計値、9.5.2 で求められる荷重、及び 9.5.3 に示す安

全係数を用いて行うこと。

計値」に示す材料の設計値、9.5.2「荷重」で求められる荷重及び表 9.3「防液堤の検討に

用いる安全係数」に示す安全係数を用いて行うこと。また、土圧等が作用する場合は、通

常運転時において引抜き力に対する検討を行うこと。漏液後性能評価では、安定の保持お

よび杭の断面破壊について評価すること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.5.6 直接基礎の構造及び設計

第8章「基礎」8.5.6「直接基礎の構造及び設計」によること。ただし、評価は、9.4「設

計値」に示す材料の設計値、9.5.2「荷重」で求められる荷重及び表9-3に示す安全係

数を用いて行うこと。また、土圧等が作用する場合は、通常運転時において水平支持に対

する検討を行うこと。漏液後性能評価では、安定の保持について評価すること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.5.7 防液堤の構造及び設計

(1) 一般

防液堤は、作用する荷重に対して安全な構造とすること*1。

(2) 設計の基本

(a) 防液堤の部材断面は、表9-4に示す項目を評価すること。

表9-4 防液堤の評価項目

区分 評価項目

常時性能評価

通常運転時

ひび割れ

ひび割れ発生 *2

断面破壊

強風時、耐圧試験時、

水張試験時 断面破壊

レベル1耐震性能評価 断面破壊

レベル2耐震性能評価 断面破壊 *3 *4

漏液後性能評価 *5 液密性

断面破壊

(b) 評価は、9.4「設計値」に示す材料の設計値、9.5.2「荷重」で求められる荷重、及

び 9.5.3「安全係数」に示す安全係数を用いて行うこと。

パブコメ用ドラフト

- 252 -

第9章 防液堤

第9章 -14-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(c) 防液堤の設計は、原則として 9.4 に示される設計値を用いて行うこと*(5)。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*(1) PC防液堤の通常運転時は、長期にわたる耐久性を保持するため、ひび割れ発生

の評価を設定した。

*(2) レベル2耐震性能評価においては、現状の技術レベルでは液密性と損傷モードの

関係が定量的に評価できないため、本指針では安全側の評価としてレベル1耐震性

能評価と同じ評価とした。ただし、液密性と損傷モードの関係が定量的に評価でき

る適切な方法が確立された場合は、この限りではない。

*(3) LNGピットイン式貯槽の側壁のレベル2耐震性能評価は JGA 指-107-12 の

6.5.5 によること。

*(4) 防液堤の漏液後性能評価においては、漏洩時にLNGを保持しなければならない

ため、部材断面に圧縮領域を確保するという液密性の評価を設定した。

また、PCLNG貯槽の場合は、PC防液堤の安全性を検討するために、PC防

液堤に液圧(漏液後)の2倍を載荷する照査荷重についても検討を行うこと。照査

荷重は、断面破壊について評価を行うこと。この時の荷重の組合せは、照査荷重、

自重、ガス圧力、漏液後に基礎版に作用する内容液の質量、プレストレス力、熱(温

度)荷重(通常運転時)、外槽屋根荷重及び基礎版から伝達される荷重を組合せて

行う。照査荷重の載荷方法を解図 9-2 に示す。なお、この時の安全係数のうち、照

査荷重の荷重係数は 1.0、その他の荷重係数は表 9-2 の通常運転時の断面破壊の値、

構造物係数は 1.0、その他の安全係数は表 9-3 の常時性能評価の断面破壊の値とす

る。

(c) 防液堤の設計は、原則として 9.4 に示される設計値を用いて行うこと*6。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*1 PC防液堤頂部は、屋根荷重やプレストレス導入による緊張力に対し、安全な構

造とすること。また、施工方法や施工精度に応じた初期不整を考慮し、荷重の作用

状態に応じた座屈安全性を検討すること。

*2 PC防液堤の通常運転時は、長期にわたる耐久性を保持するため、ひび割れ発生

の評価を設定した。

*3 レベル2耐震性能評価においては、現状の技術レベルでは液密性と損傷モードの

関係が定量的に評価できないため、本指針では安全側の評価としてレベル1耐震性

能評価と同じ評価とした。ただし、液密性と損傷モードの関係が定量的に評価でき

る適切な方法が確立された場合は、この限りではない。

*4 LNGピットイン式貯槽の側壁のレベル2耐震性能評価は JGA 指-107-19「LNG

地下式貯槽指針」第6章「躯体」6.5.5「性能評価手法」によること。

*5 防液堤の漏液後性能評価においては、漏洩時にLNGを保持しなければならない

ため、部材断面に圧縮領域を確保するという液密性の評価を設定した。

また、PCLNG貯槽の場合は、PC防液堤及び基礎の安全性を検討するために、

PC防液堤に液圧(漏液後)の2倍を載荷する照査荷重についても検討を行うこと。

照査荷重は、断面破壊について評価を行うこと。評価対象はPC防液堤、基礎版及

び杭とする。この時の荷重の組合せは、照査荷重、自重、ガス圧力、漏液後に基礎

版に作用する内容液の質量、プレストレス力、熱(温度)荷重(通常運転時)、外槽

屋根荷重及び基礎版から伝達される荷重を組合せて行う。照査荷重の載荷方法を解

図9-2に示す。なお、この時の安全係数のうち、照査荷重の荷重係数は 1.0、そ

の他の荷重係数は表9-2の通常運転時の断面破壊の値、構造物係数は 1.0、その

他の安全係数は表9-3の常時性能評価の断面破壊の値とする。

パブコメ用ドラフト

- 253 -

第9章 防液堤

第9章 -15-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

00010,

ρghP=

ここに、 P :液圧(MPa)

ρ:LNGの密度(kg/cm3)

g :重力加速度(cm/s2)

h:防液堤の設計液深(cm)

解図 9-2 照査荷重の載荷方法

*(5) 設計温度を考慮して、9.4 に示される設計値以外を用いる場合は、試験等により

適切に温度・含水量等の影響を評価すること。

9.5.7

(3) 構造解析

8.5.7(3)によること。

(4) 評価方法

(a) ひび割れの評価

8.5.7(4)(a)によること。

(b) ひび割れ発生の評価

(ⅰ)曲げモーメント及び軸方向力によるコンクリートの縁引張応力が、8.4.1 で求め

られるコンクリートの曲げひび割れ強度の特性値を超えないこと。

(ⅱ)曲げモーメント及び軸方向力によるコンクリートの圧縮応力が、0.4 ckf ' 以下であ

ること。ここに、 ckf ' はコンクリート圧縮強度の特性値である。

(ⅲ)PC鋼材の引張応力*(1)は、0.7 ukf 以下であること。ここに ukf はPC鋼材の引張

強度の特性値である。

(ⅳ)引張応力度が生じるコンクリート部分には次式で求められる鉄筋の断面積以上

の異形鉄筋を配置すること。

00010,

ρghP=

ここに、 P :液圧(MPa)

ρ:LNGの密度(kg/cm3)

g :重力加速度(cm/s2)

h:防液堤の設計液深(cm)

解図9-2 照査荷重の載荷方法

*6 設計温度を考慮して、9.4「設計値」に示される設計値以外を用いる場合は、試験

等により適切に温度・含水量等の影響を評価すること。

9.5.7

(3) 構造解析

第8章「基礎」8.5.7「基礎版の構造及び設計」(3)「構造解析」によること。

(4) 評価方法

(a) ひび割れの評価

8.5.7(4)「評価方法」(a)「ひび割れの評価」によること。

(b) ひび割れ発生の評価

(ⅰ)曲げモーメント及び軸方向力によるコンクリートの縁引張応力が、第8章「基礎」

8.4.1「コンクリート」で求められるコンクリートの曲げひび割れ強度の特性値を

超えないこと。

(ⅱ)曲げモーメント及び軸方向力によるコンクリートの圧縮応力が、0.4 ckf ' 以下であ

ること。ここに、 ckf ' はコンクリート圧縮強度の特性値である。

(ⅲ)PC鋼材の引張応力*1は、0.7 ukf 以下であること。ここに ukf はPC鋼材の引張強

度の特性値である。

(ⅳ)引張応力度が生じるコンクリート部分には次式で求められる鉄筋の断面積以上

の異形鉄筋を配置すること。

照査荷重

2P

h

照査荷重

2P

h

パブコメ用ドラフト

- 254 -

第9章 防液堤

第9章 -16-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

1s

cs σ

TA =

ここに、sA :鉄筋の断面積(mm2)

cT :コンクリートに生じている全引張力(N)

1sσ :鉄筋の引張応力の制限値で 200N/mm2とする

(ⅴ)せん断力によるコンクリートの斜め引張応力は、0.75tkf 以下であること。ここ

に、tkf はコンクリートの引張強度の特性値である。

(c) 断面破壊の評価

常時性能評価、レベル1耐震性能評価及びレベル2耐震性能評価においては、

8.5.7(4)(b)によること。また、漏液後性能評価においては、8.5.7(4)(b)(ⅰ)~(ⅵ)

によること。

(d) 液密性の評価*(2)

(ⅰ)曲げモーメント及び軸方向力によるコンクリートの残留圧縮領域 *(3)を、部材断

面に確保すること*(4)。

(ⅱ)曲げモーメント及び軸方向力によるコンクリートの圧縮応力度が、0.4ckf ' 以下で

あること。ここに ckf ' はコンクリート圧縮強度の特性値である。

(ⅲ)PC鋼材の引張応力*(1)は、0.7ukf 以下であること。ここに、

ukf はPC鋼材の引

張強度の特性値である。

(ⅳ)鉄筋の引張応力は、 ykf 以下であること。ここに、 ykf は鉄筋の引張降伏強度の特

性値である。

(5) 構造細目

8.5.7(5)によること*(5)*(6)。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*(1) 施工時におけるPC鋼材の引張応力は、

緊張作業中においては 0.8 ukf または 0.9 ykf のいずれか小さい値以下

緊張作業直後においては 0.7 ukf または 0.85 ykf のいずれか小さい値以下とするこ

と。

*(2) せん断力が卓越する部材においては、せん断力がコンクリートの設計せん断耐力

1s

cs σ

TA =

ここに、sA :鉄筋の断面積(mm2)

cT :コンクリートに生じている全引張力(N)

1sσ :鉄筋の引張応力の制限値で 200N/mm2とする

(ⅴ)せん断力によるコンクリートの斜め引張応力は、0.75tkf 以下であること。ここ

に、tkf はコンクリートの引張強度の特性値である。

(c) 断面破壊の評価

常時性能評価、レベル1耐震性能評価、レベル2耐震性能評価及び漏液後性能評価

においては、8.5.7(4)(b)「断面破壊の評価」*2よること。

(d) 液密性の評価*3

(ⅰ)曲げモーメント及び軸方向力によるコンクリートの残留圧縮領域*4を、部材断面

に確保すること*5。

(ⅱ)曲げモーメント及び軸方向力によるコンクリートの圧縮応力度が、0.4ckf ' 以下で

あること。ここに ckf ' はコンクリート圧縮強度の特性値である。

(ⅲ)PC鋼材の引張応力*1は、0.7ukf 以下であること。ここに、

ukf はPC鋼材の引

張強度の特性値である。

(ⅳ)鉄筋の引張応力は、 ykf 以下であること。ここに、 ykf は鉄筋の引張降伏強度の特

性値である。

(5) 構造細目

8.5.7(5)「構造細目」によること*6*7*8。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*1 施工時におけるPC鋼材の引張応力は、

緊張作業中においては 0.8 ukf または 0.9 ykf のいずれか小さい値以下

緊張作業直後においては 0.7 ukf または 0.85 ykf のいずれか小さい値以下

とすること。

*2 鉄筋コンクリート部材としてせん断耐力を算定することを原則とする。

プレストレストコンクリート部材のせん断耐力算定式を適用する場合は、円周方向

および鉛直方向について、荷重の組合せごとに軸方向圧縮力の大きさや範囲を確認

し、プレストレストコンクリート部材と見なせるか適切に評価すること。

*3 せん断力が卓越する部材においては、せん断力がコンクリートの設計せん断耐力

パブコメ用ドラフト

- 255 -

第9章 防液堤

第9章 -17-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

の 70%を超えないことを確認すること。

*(3) 残留圧縮領域は、応力度計算によって求められるコンクリート部材の圧縮縁から

中立軸までの距離とする。

*(4) 残留圧縮領域は、10cm 以上を確保することを基本とする。ただし、引張鉄筋応

力を 100N/mm2 以内にする場合には、残留圧縮領域を部材厚の10

1以上にすること

ができる 1)。

<参考文献>

1) 天然ガス導入促進センター:”平成元年度 プレストレストコンクリートLNG貯

槽技術開発調査報告書”,pp.53-54,(平成2年3月)

*(5) 防液堤の目地部には、変位を十分吸収でき、止液性のある可撓性材又は止液板を

設置すること。金属二重殻LNG貯槽に矩形の防液堤を設置する場合、その隅角部

は応力状態が複雑になるので適切な設計をする必要がある。また、防液堤内に出入

りする配管は、原則として防液堤を乗り越えるように設けること。止むを得ず防液

堤を貫通して配管を設ける場合には、配管の貫通部は耐震性を考慮するとともに、

貫通部からの漏えい防止及び防食の措置を講ずること。

*(6) PC防液堤の面内方向の耐荷性能を確保するために、鉄筋比が 0.4%を下回る場

合には原則として部材係数を大きくとること。

9.5.8 冷熱抵抗緩和部の構造及び設計

8.5.9 によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.6 施 工

9.6.1 杭基礎の施工

8.6.1 によること。

9.6.2 直接基礎の施工

8.6.2 によること。

の 70%を超えないことを確認すること。

*4 残留圧縮領域は、応力度計算によって求められるコンクリート部材の圧縮縁から

中立軸までの距離とする。

*5 残留圧縮領域は、10cm 以上を確保することを基本とする。ただし、引張鉄筋応力

を 100N/mm2 以内にする場合には、残留圧縮領域を部材厚の10

1以上にすることが

できる 1)。

<参考文献>

1) 天然ガス導入促進センター:「平成元年度 プレストレストコンクリートLNG貯

槽技術開発調査報告書」、pp.53-54、(平成2年3月)

*6 防液堤の目地部には、変位を十分吸収でき、止液性のある可撓性材又は止液板を

設置すること。金属二重殻LNG貯槽に矩形の防液堤を設置する場合、その隅角部

は応力状態が複雑になるので適切な設計をする必要がある。また、防液堤内に出入

りする配管は、原則として防液堤を乗り越えるように設けること。止むを得ず防液

堤を貫通して配管を設ける場合には、配管の貫通部は耐震性を考慮するとともに、

貫通部からの漏えい防止及び防食の措置を講ずること。

*7 PC防液堤の面内方向の耐荷性能を確保するために、鉄筋比が 0.4%を下回る場

合には原則として部材係数を大きくとること。

*8 PC防液堤の断面厚やプレストレスの導入量等を部位により変化させる場合は、

剛性の変化の影響を評価すること。

9.5.8 冷熱抵抗緩和部の構造及び設計

第8章「基礎」8.5.9「冷熱抵抗緩和部の構造及び設計」によること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

9.6 施 工

9.6.1 杭基礎の施工

第8章「基礎」8.6.1「杭基礎の施工」によること。

9.6.2 直接基礎の施工

第8章「基礎」8.6.2「直接基礎の施工」によること。

パブコメ用ドラフト

- 256 -

第9章 防液堤

第9章 -18-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

9.6.3 防液堤の施工

(1) コンクリート

8.6.3(1)によること*(1)*(2)。

(2) 鉄筋

8.6.3(2)によること。

(3) 緊張材

8.6.3(3)によること。

(4) 型枠及び支保工

8.6.3(4)によること*(3)。

(5) 緊張

8.6.3(6)によること*(4)。

(6) PCグラウト

8.6.3(7)によること*(5)。

【解 説】

*(1) 防液堤は機能上、所定の強度を有し、耐久性に優れ、かつ、液密性の高い構造で

あることが求められる。コンクリートの配合の面では、これらの要求を満たすため

に、単位水量や水セメント比を小さくおさえることが重要である。養生の面では、

打込み後、適正な温度、湿度で養生するとともに、特にセメントの水和に起因する

ひび割れの発生を制御することが重要である。

このセメントの水和に起因するひび割れの発生を制御する方法としては、コンク

リートの材料、配合の対策に加えて、打込まれたコンクリートを冷却する方法(パ

イプクーリング)、水や骨材あるいはコンクリートそのものをあらかじめ冷却する

方法(プレクーリング)がある。

施工段階におけるひび割れの発生に対する安全性の検討は、土木学会「コンクリ

ート標準示方書」(2007)又は日本コンクリート工学協会「マスコンクリートのひび

割れ制御指針」(2008)によるものとする。なお、ひび割れ発生確率は原則として

5%以下とすること。

*(2) PCLNG貯槽の場合は、PC防液堤に取付けられる外槽ライナのアンカー周辺

に十分にコンクリートが充填できるように特に注意すること。

9.6.3 防液堤の施工*1*2

(1) コンクリート

第8章「基礎」8.6.3「基礎版の施工」(1)「コンクリート」によること*3*4*5。

(2) 鉄筋

8.6.3(2)「鉄筋」によること。

(3) 緊張材

8.6.3(3)「緊張材」によること。

(4) 型枠及び支保工

8.6.3(4)「型枠及び支保工」によること*6。

(5) 緊張

8.6.3(6)「緊張」によること*7。

(6) PCグラウト

8.6.3(7)「PCグラウト」によること*8。

【解 説】

*1 防液堤が、所要の性能を設計耐用期間にわたり保持することを確認しなければな

らない。その確認方法は、第8章「基礎」8.6.3「基礎版の施工」【解説】*(1)に

よること。

*2 防液堤にプレキャストコンクリートを採用する場合は、プレキャスト材の製作方

法や施工方法をあらかじめ検討すること。特に、防液堤に求められる液密性や施工

精度等が十分に確保されていることを、実験及び解析等により確認すること。

*3 防液堤は機能上、所定の強度を有し、耐久性に優れ、かつ、液密性の高い構造で

あることが求められる。コンクリートの配合の面では、これらの要求を満たすため

に、単位水量や水セメント比を小さくおさえることが重要である。養生の面では、

打込み後、適正な温度、湿度で養生するとともに、特にセメントの水和に起因する

ひび割れの発生を制御することが重要である。

このセメントの水和に起因するひび割れの発生を制御する方法としては、コンク

リートの材料、配合の対策に加えて、打込まれたコンクリートを冷却する方法(パ

イプクーリング)、水や骨材あるいはコンクリートそのものをあらかじめ冷却する

方法(プレクーリング)がある。

施工段階におけるひび割れの発生に対する安全性の検討は、土木学会「コンクリ

ート標準示方書」(2017)又は日本コンクリート工学協会「マスコンクリートのひび

割れ制御指針」(2016)によるものとする。なお、ひび割れ発生確率は原則として

5%以下とすること。

*4 PCLNG貯槽の場合は、PC防液堤に取付けられる外槽ライナのアンカー周辺

に十分にコンクリートが充填できるように特に注意すること。

*5 PC防液堤の工事用開口部の閉塞では、逆打ちコンクリートの施工となるため、

パブコメ用ドラフト

- 257 -

第9章 防液堤

第9章 -19-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

*(3) PCLNG貯槽の場合は、PC防液堤に外槽側部ライナが取付けられているの

で、その取付け方法と取付け精度を考慮した支保工とする必要がある。

*(4) 鉛直方向の緊張作業は、できるだけ平面的に対称にかつ特定の方向に偏らないよ

うに行うこと。水平方向の緊張作業は、1段毎に同時に緊張したのち次の段に移る

のが望ましい。

*(5) 鉛直グラウトでは、グラウトを行ったあとシースの頂部にブリーディングによる

空隙が生じることがある。これを最小限におさえるために、高性能減水剤や増粘剤

等の混和剤の使用を含めた材料の選定、配合や注入方法も考慮した十分な検討を行

うことが必要である。施工面ではブリーディング水を排除してこの部分に所定のグ

ラウト材を注入する方法 1)がある。

<参考文献>

1)FIP:”Grouting of vertical ducts”,(1978)

9.6.4 冷熱抵抗緩和部の施工

7.5 によること。

9.7 試験及び検査

9.7.1 杭の試験及び検査

8.7.1 によること。

9.7.2 防液堤の試験及び検査

8.7.2 によること。

9.7.3 冷熱抵抗緩和部の試験及び検査

7.6 によること。

9.7.4 仕上り寸法検査

上端部の充填性の確保が重要である。コンクリートを確実に充填できるよう、配合

や施工方法を考慮した十分な検討を行うこと。また、施工時に、コンクリートの充

填状況を直接確認できるよう配慮すること。

*6 PCLNG貯槽の場合は、PC防液堤に外槽側部ライナが取付けられているので、

その取付け方法と取付け精度を考慮した支保工とする必要がある。

*7 鉛直方向の緊張作業は、できるだけ平面的に対称にかつ特定の方向に偏らないよ

うに行うこと。水平方向の緊張作業は、1段毎に同時に緊張したのち次の段に移る

のが望ましい。

*8 鉛直グラウトでは、グラウトを行ったあとシースの頂部にブリーディングによる

空隙が生じることがある。これを最小限におさえるために、高性能減水剤や増粘剤

等の混和剤の使用を含めた材料の選定、配合や注入方法も考慮した十分な検討を行

うことが必要である。施工面ではブリーディング水を排除してこの部分に所定のグ

ラウト材を注入する方法 1)がある。

<参考文献>

1)FIP:「Grouting of vertical ducts」、(1978)

9.6.4 冷熱抵抗緩和部の施工

第7章「保冷」7.5「製作及び組立」によること*1。

【解 説】

*1 冷熱抵抗緩和部は、狭所、高所、暗所での施工となるため、安全に十分に配慮す

ること。また、冷熱抵抗緩和材の材料であるポリウレタンフォーム等は、難燃性で

あっても火源、熱源の状況により燃焼する場合がある。冷熱抵抗緩和部の施工中及

び施工後における火災発生に十分に注意すること。

9.7 試験及び検査

9.7.1 杭の試験及び検査

第8章「基礎」8.7.1「杭の試験及び検査」によること。

9.7.2 防液堤杭の試験及び検査

第8章「基礎」8.7.2「基礎版の試験及び検査」によること。

9.7.3 冷熱抵抗緩和部の試験及び検査

第7章「保冷」7.6「試験及び検査」によること。

9.7.4 仕上り寸法検査

パブコメ用ドラフト

- 258 -

第9章 防液堤

第9章 -20-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

防液堤の堤内容量に関する高さ等について検査すること。

防液堤の堤内容量に関する内径及び高さ、並びに厚さ等について検査すること。

パブコメ用ドラフト

- 259 -

第 10 章 -1-

「第 10 章 保安」においての記載内容

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

第 10 章 保 安

10.1 一 般 ······················································ 259

10.2 レイアウト ···················································· 259

10.2.1 離隔距離 ······················································ 259

10.2.2 保安区画 ······················································ 260

10.2.3 保安用通路及び保安用道路 ······································ 260

10.2.4 火気設備との距離 ·············································· 260

10.2.5 設備間距離 ···················································· 261

10.2.6 防液堤内外の設置設備の制限 ···································· 263

10.3 予防設備 ·························································· 264

10.3.1 表 示 ······················································ 264

10.3.2 誤操作防止措置 ················································ 264

10.3.2.1 バルブ等の基準 ············································ 264

10.3.2.2 照明の基準 ················································ 265

10.3.3 ガスの置換装置 ················································ 266

10.3.4 安全弁 ························································ 266

10.3.5 負圧防止措置 ·················································· 267

10.3.6 保安電力等 ···················································· 268

10.3.6.1 保安電力等の設置基準 ······································ 268

10.3.6.2 保安電力の性能基準 ········································ 268

10.3.6.3 保安用計装圧縮空気の性能基準 ······························ 269

10.3.7 電気設備の防爆 ················································ 269

10.3.8 静電気除去措置 ················································ 270

10.3.9 伸縮吸収措置 ·················································· 271

10.3.10 雷保護システム ··············································· 271

10.3.11 ロールオーバー防止措置 ······································· 271

10.4 監視、連絡設備 ···················································· 272

10.4.1 計測装置 ······················································ 272

10.4.1.1 計測装置の設置基準 ········································ 272

10.4.1.2 計測装置の構造基準 ········································ 272

10.4.2 警報装置 ······················································ 273

10.4.3 ガス漏えい検知警報設備等 ······································ 273

10.4.3.1 ガス漏えい検知警報設備等の設置基準 ························ 273

10.4.3.2 ガス漏えい検知警報設備の機能、構造基準 ···················· 275

第 10 章 保 安

10.1 一 般 ······················································ 259

10.2 レイアウト ···················································· 259

10.2.1 離隔距離 ······················································ 259

10.2.2 保安区画 ······················································ 260

10.2.3 保安用通路及び保安用道路 ······································ 260

10.2.4 火気設備との距離 ·············································· 260

10.2.5 設備間距離 ···················································· 261

10.2.6 防液堤内外の設置設備の制限 ···································· 263

10.3 予防設備 ························································· 264

10.3.1 表 示 ······················································ 264

10.3.2 誤操作防止措置 ················································ 264

10.3.2.1 バルブ等の基準 ············································ 264

10.3.2.2 照明の基準 ················································ 265

10.3.3 ガスの置換装置 ················································ 266

10.3.4 安全弁 ························································ 266

10.3.5 負圧防止措置 ·················································· 267

10.3.6 保安電力等 ···················································· 268

10.3.6.1 保安電力等の設置基準 ······································ 268

10.3.6.2 保安電力の性能基準 ········································ 268

10.3.6.3 保安用計装圧縮空気の性能基準 ······························ 269

10.3.7 電気設備の防爆 ················································ 269

10.3.8 静電気除去措置 ················································ 270

10.3.9 伸縮吸収措置 ·················································· 271

10.3.10 雷保護システム ··············································· 271

10.3.11 ロールオーバー防止措置 ······································· 271

10.4 監視、連絡設備 ···················································· 272

10.4.1 計測装置 ······················································ 272

10.4.1.1 計測装置の設置基準 ········································ 272

10.4.1.2 計測装置の構造基準 ········································ 272

10.4.2 警報装置 ······················································ 273

10.4.3 ガス漏えい検知警報設備等 ······································ 273

10.4.3.1 ガス漏えい検知警報設備等の設置基準 ························ 273

10.4.3.2 ガス漏えい検知警報設備の機能、構造基準 ···················· 275

パブコメ用ドラフト

- 260 -

第 10章 保安

第 10 章 -2-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

10.4.4 監視設備 ······················································ 276

10.4.5 保安通信設備 ·················································· 276

10.4.6 内外槽間のガス検知設備 ······································ 276

10.5 拡大防止設備 ······················································ 276

10.5.1 遮断装置 ······················································ 276

10.5.1.1 遮断装置の設置基準 ········································ 276

10.5.1.2 緊急遮断装置の構造等 ······································ 277

10.5.2 防液堤等 ······················································ 277

10.5.2.1 防液堤の設置基準 ·········································· 277

10.5.2.2 防液堤の容量 ·············································· 278

10.5.2.3 防液堤の位置 ·············································· 279

10.5.2.4 防液堤等の構造 ············································ 279

10.5.3 防消火設備 ···················································· 280

10.5.3.1 防火設備の基準 ············································ 280

10.5.3.2 防火用水等供給設備の基準 ·································· 280

10.5.3.3 消火設備の基準 ············································ 281

10.5.4 耐熱措置 ······················································ 281

10.4.4 監視設備 ······················································ 276

10.4.5 保安通信設備 ·················································· 276

10.4.6 内外槽間のガス検知設備 ······································ 276

10.5 拡大防止設備 ······················································ 276

10.5.1 遮断装置 ······················································ 276

10.5.1.1 遮断装置の設置基準 ········································ 276

10.5.1.2 緊急遮断装置の構造等 ······································ 277

10.5.2 防液堤等 ······················································ 277

10.5.2.1 防液堤の設置基準 ·········································· 277

10.5.2.2 防液堤の容量 ·············································· 278

10.5.2.3 防液堤の位置 ·············································· 279

10.5.2.4 防液堤等の構造 ············································ 279

10.5.3 防消火設備 ···················································· 280

10.5.3.1 防火設備の基準 ············································ 280

10.5.3.2 防火用水等供給設備の基準 ·································· 280

10.5.3.3 消火設備の基準 ············································ 281

10.5.4 耐熱措置 ······················································ 281

パブコメ用ドラフト

- 261 -

第 10章 保安

第 10 章 -3-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

10.1 一 般

LNG地上式貯槽の設置にあたっては、事業場境界線、保安物件及び他の設備との間に

保安上必要な距離を確保するとともに、事故の未然防止のための予防設備、事故を早期に

発見するための監視、連絡設備及び事故の拡大を最小限におさえるための拡大防止設備を

設けること。

10.2 レイアウト

10.2.1 離隔距離

特定事業所*(1)及び特定事業所以外の事業所において、貯槽の外面*(2)から、境界線*(3)及

び保安物件*(4)に対して適切な離隔距離*(5)を有すること。

【関連条項】

省令第6条(離隔距離)第1項、第2項、第3項

告示第2条(事業場の境界線に対する離隔距離)第3項

告示第3条(保安物件)

告示第4条(保安物件との離隔距離)

告示第5条(特定事業所における離隔距離)

告示別表第2(第5条関係)

【解 説】

*(1) 「特定事業所」とは、告示(平成 12年通商産業省告示第 355 号)第5条に規定する

製造所と同等以上のものをいう。

*(2) 「貯槽の外面」とは、ガス又は液化ガスを通ずる部位の外面をいう。例えば、LNG

地上式貯槽の場合では内槽側板の外面となる。

*(3) 特定事業所以外の事業所の境界線(境界線A)とは、省令第6条第1項に規定する境

界線をいう。

特定事業所の境界線(境界線B)とは、省令第6条第3項に規定する境界線をいう。

*(4) 「保安物件」とは、告示第3条に規定する建築物をいう。

*(5)(a) 特定事業所以外の事業所の離隔距離

(ⅰ)境界線Aまでの距離:告示第2条第3項に規定する距離

(ⅱ)保安物件までの距離:告示第4条第1項に規定する距離

(b) 特定事業所の離隔距離

(ⅰ)境界線Bまでの距離:告示第2条第3項及び第5条第4項に規定する距離

(ⅱ)保安物件までの距離:告示第4条第1項に規定する距離

10.2.2 保安区画

(1) 保安区画

10.1 一 般

LNG地上式貯槽の設置にあたっては、事業場境界線、保安物件及び他の設備との間に

保安上必要な距離を確保するとともに、事故の未然防止のための予防設備、事故を早期に

発見するための監視、連絡設備及び事故の拡大を最小限におさえるための拡大防止設備を

設けること。

10.2 レイアウト

10.2.1 離隔距離

特定事業所*1及び特定事業所以外の事業所において、貯槽の外面*2から、境界線*3及び

保安物件*4に対して適切な離隔距離*5を有すること。

【関連条項】

省令第6条(離隔距離)第1項、第2項、第3項

告示第2条(事業場の境界線に対する離隔距離)第3項

告示第3条(保安物件)

告示第4条(保安物件との離隔距離)

告示第5条(特定事業所における離隔距離)

告示別表第2(第5条関係)

【解 説】

*1 「特定事業所」とは、告示(平成 12 年通商産業省告示第 355号)第5条に規定する製

造所と同等以上のものをいう。

*2 「貯槽の外面」とは、ガス又は液化ガスを通ずる部位の外面をいう。例えば、LNG

地上式貯槽の場合では内槽側板の外面となる。

*3 特定事業所以外の事業所の境界線(境界線A)とは、省令第6条第1項に規定する境

界線をいう。

特定事業所の境界線(境界線B)とは、省令第6条第3項に規定する境界線をいう。

*4 「保安物件」とは、告示第3条に規定する建築物をいう。

*5(a) 特定事業所以外の事業所の離隔距離

(ⅰ)境界線Aまでの距離:告示第2条第3項に規定する距離

(ⅱ)保安物件までの距離:告示第4条第1項に規定する距離

(b) 特定事業所の離隔距離

(ⅰ)境界線Bまでの距離:告示第2条第3項及び第5条第4項に規定する距離

(ⅱ)保安物件までの距離:告示第4条第1項に規定する距離

10.2.2 保安区画

(1) 保安区画

パブコメ用ドラフト

- 262 -

第 10章 保安

第 10 章 -4-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

特定事業所の場合、ガス又は液化ガスが漏えいした場合の災害の発生、拡大を防止するた

めに、貯槽又は貯槽群を保安上適切な区画に区分すること。

(2) 保安区画相互の設備間距離

保安区画内にある貯槽は、貯槽の外面から、当該保安区画に隣接する保安区画内にある高

圧のガス工作物等*(1)に対して保安上必要な距離を有すること。

【関連条項】

省令第7条(保安区画)

解釈例第4条(保安区画)

【解 説】

*(1) 高圧のガス工作物等とは、高圧のガス又は液化ガスを通ずるガス工作物であって、

配管、導管及び不活性のガス(空気を含む。)又は不活性の液化ガスのみを通ずるものを

除く。

10.2.3 保安用通路及び保安用道路

(1) 貯槽の周囲には、点検及び検査等が容易に行えるように保安用通路を設けること。

(2) 貯槽の運転、保守及び防消火活動が容易に行えるように、保安区画の周囲に保安用道路を

設けること*(1)。

【解 説】

*(1) 保安用道路の幅員は6m以上とすることが望ましい。なお、貯槽に付属する設備は、

その貯槽の周囲の保安用道路の内側に設置することができる。

10.2.4 火気設備との距離

貯槽は、当該貯槽からのガス又は液化ガスが漏えいした場合の火災等の発生を防止するた

め、その外面から火気を取り扱う設備*(1)に対し、適切な距離を有すること。

【関連条項】

省令第 11条(火気設備との距離)

保安区画は、JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指針」第2章「レイアウト」2.2「保

安区画」2.2.1「保安区画」による。

(2) 保安区画相互の設備間距離

保安区画相互の設備間距離は、JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指針」第2章「レ

イアウト」2.2「保安区画」2.2.2「保安区画相互の設備間距離」による。

【関連条項】

省令第7条(保安区画)

解釈例第4条(保安区画)

10.2.3 保安用通路及び保安用道路

(1) 貯槽の周囲には、点検及び検査等が容易に行えるように保安用通路を設けること。

(2) 貯槽の運転、保守及び防消火活動が容易に行えるように、保安区画の周囲に保安用道路

を設けること。*1

【解 説】

*1 保安用道路の幅員は6m 以上とすることが望ましい。なお、貯槽に付属する設備は、

その貯槽の周囲の保安用道路の内側に設置することができる。

10.2.4 火気設備との距離

火気設備との距離は、JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指針」第2章「レイアウト」

2.3「火気設備との距離」による。

【関連条項】

省令第 11条(火気設備との距離)

パブコメ用ドラフト

- 263 -

第 10章 保安

第 10 章 -5-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解釈例第8条(火気設備との距離)

【解 説】

*(1) 火気源とならない操作架台、歩廊等の付属物は含めない。

10.2.5 設備間距離

(1) 貯槽相互間の距離

貯槽は、その外面から他の液化ガス用貯槽に対して、ガス又は液化ガスが漏えいした場合

の災害の発生を防止するために、保安上必要な距離を有すること。

ただし、特定事業所以外の事業所に設置する液化ガス用貯槽に(a)~(f)に示す能力又は

個数以上の水噴霧装置若しくは散水設備、水消火栓若しくは固定式放水銃、それらを組合せ

たもの又はこれと同等以上の防火上及び消火上有効な能力を有する設備を設置した場合は、

この限りではない。

(a) 貯槽相互間の距離が1m 又は当該貯槽の最大直径*(1)の1

4のいずれか大きいものに満た

ない場合は、表 10-1によること。

表 10-1 水噴霧装置等

貯槽の種類

設備の能力又は個数 右以外の貯槽 準耐火構造貯槽

*(2)

耐火構造貯槽*(2)

貯槽に設置する水噴霧装置若しくは散

水設備による水噴霧量又は散水量 (L

/min・㎡)

8 6.5 4

貯槽の表面積に応じて設置する水消火

栓若しくは固定式放水銃の数 (個数

/㎡)

1/30 1/38 1/60

(b) 貯槽相互間の距離が当該貯槽の最大直径の1

2の距離に満たない場合((a)の場合を除

く。)は、表 10-2によること。

表 10-2 水噴霧装置等

貯槽の種類 設備の能力又は個数 右以外の貯槽

準耐火構造貯

槽 耐火構造貯槽

貯槽に設置する水噴霧装置若しくは散

水設備による水噴霧量又は散水量 (L

/min・㎡)

7 4.5 2

貯槽の表面積に応じて設置する水消火

栓若しくは固定式放水銃の数 (個数

/㎡)

1/35 1/55 1/125

解釈例第8条(火気設備との距離)

10.2.5 設備間距離

(1) 貯槽相互間の距離

貯槽は、その外面から他の液化ガス用貯槽に対して、ガス又は液化ガスが漏えいした場合

の災害の発生を防止するために、保安上必要な距離を有すること。

ただし、特定事業所以外の事業所に設置する液化ガス用貯槽に(a)~(f)に示す能力又は

個数以上の水噴霧装置若しくは散水設備、水消火栓若しくは固定式放水銃、それらを組合せ

たもの又はこれと同等以上の防火上及び消火上有効な能力を有する設備を設置した場合は、

この限りではない。

(a) 貯槽相互間の距離が1m 又は当該貯槽の最大直径*1の1

4のいずれか大きいものに満た

ない場合は、表 10-1によること。

表 10-1 水噴霧装置等

貯槽の種類

設備の能力又は個数

右以外の貯槽 準耐火構造

貯槽*2

耐火構造

貯槽*2

貯槽に設置する水噴霧装置若しくは散

水設備による水噴霧量又は散水量 (L

/min・m2)

8 6.5 4

貯槽の表面積に応じて設置する水消火

栓又は固定式放水銃の数 (個数/m2) 1

30

38

60

(b) 貯槽相互間の距離が当該貯槽の最大直径の1

2の距離に満たない場合((a)の場合を除

く。)は、表 10-2によること。

表 10-2 水噴霧装置等

貯槽の種類

設備の能力又は個数 右以外の貯槽

準耐火構造

貯槽

耐火構造

貯槽

貯槽に設置する水噴霧装置若しくは散

水設備による水噴霧量又は散水量 (L

/min・m2)

7 4.5 2

貯槽の表面積に応じて設置する水消火

栓又は固定式放水銃の数 (個数/m2) 1

35

55

125

パブコメ用ドラフト

- 264 -

第 10章 保安

第 10 章 -6-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(c) 水噴霧装置及び散水装置は、当該貯槽の全表面積に対して均一に水を放射できるもの

とすること。

(d) 水消火栓及び固定式放水銃は、放水ノズルの筒先圧力が 0.34MPa 以上であって、放水能

力が 400L/min 以上のもので、当該貯槽の外面から 40m以内に設置されており、貯槽に対

していずれの方向からも放水できるものとすること。

(e) 水噴霧装置等は、当該貯槽に対して安全な位置において操作でき、かつ防液堤を設けた

貯槽にあっては当該防液堤の外で操作できるものとすること。

(f) 水噴霧装置等は、同時に放水が必要な貯槽に対して 30分以上連続して放水できる水量

を有する水源に接続されているものとすること。

(2) 貯槽と高圧のガスホルダー相互間の距離

貯槽は、その外面から最高使用圧力が高圧のガスホルダーに対して、ガス又は液化ガスが

漏えいした場合の災害の発生を防止するために、保安上必要な距離を有すること。

(3) 貯槽と計器室*(3)相互間の距離

特定事業所に設置する計器室は、災害時の緊急時においても当該貯槽を安全に制御でき

るよう、燃焼熱量の数値*(4)が 1.2×107以上となる貯槽の外面から計器室の外壁の最も近い

位置まで、15m以上の距離を有すること。

【関連条項】

省令第6条(離隔距離)第7項

告示第6条(貯蔵能力の算出方法)第1項

解釈例第3条(離隔距離)第1項第一号、第四号

【解 説】

*(1) 「直径」とは「貯槽の外面」の直径をいう。

*(2) 「耐火構造貯槽」、「準耐火構造貯槽」とは以下のものをいう。

解表 10-1 耐火構造の定義

用語 概要

耐火構造貯槽 以下の(a)及び(b)を満足する貯槽をいう。

(c) 水噴霧装置及び散水装置は、当該貯槽の全表面積に対して均一に水を放射できるもの

とすること。

(d) 水消火栓及び固定式放水銃は、放水ノズルの筒先圧力が 0.34MPa 以上であって、放水

能力が 400L/min以上のもので、当該貯槽の外面から 40m以内に設置されており、貯槽に

対していずれの方向からも放水できるものとすること。

(e) 水噴霧装置等は、当該貯槽に対して安全な位置において操作でき、かつ防液堤を設け

た貯槽にあっては当該防液堤の外で操作できるものとすること。

(f) 水噴霧装置等は、同時に放水が必要な貯槽に対して 30分以上連続して放水できる水量

を有する水源に接続されているものとすること。

(2) 貯槽と高圧のガスホルダー相互間の距離

貯槽と高圧のガスホルダー相互間の距離は、JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指針」

第2章「レイアウト」2.4「貯槽、ホルダー間距離」2.4.3「液化ガス用貯槽と高圧のガ

スホルダー相互間の距離」(1)による。

(3) 貯槽と計器室*3相互間の距離

貯槽と計器室相互間の距離は、JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指針」第4章「監

視、連絡設備」4.5「計器室」4.5.1「特定事業所の計器室」(1)による。

【関連条項】

省令第6条(離隔距離)第7項

告示第6条(貯蔵能力の算出方法)第1項

解釈例第3条(離隔距離)第1項第一号、第四号

【解 説】

*1 「直径」とは「貯槽の外面」の直径をいう。

*2 「耐火構造貯槽」、「準耐火構造貯槽」とは以下のものをいう。

解表 10-1 耐火構造の定義

用語 概要

耐火構造貯槽 以下の(a)及び(b)を満足する貯槽をいう。

パブコメ用ドラフト

- 265 -

第 10章 保安

第 10 章 -7-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(a) 貯槽を断熱材で被覆し、当該断熱材の厚さが当該貯槽の周

辺の火災を考慮したものであって、かつ、十分な耐火性能を

有するものとすること。

(b) 高さ1m以上の支持物に対して厚さ 50mm以上の耐火コン

クリート又はこれと同等以上の耐火性能を有する不燃性の

断熱材で被覆すること。

準耐火構造貯槽 厚さ 25mm 以上のロックウール又はこれと同等以上の耐火性

能を有する断熱材で被覆され、その外側を厚さ 0.35mm 以上の

JIS G 3302(2010)「溶融亜鉛メッキ鋼板及び鋼帯」又はこれと

同等以上の強度及び耐火性能を有する材料で被覆した貯槽を

いう。

*(3) ここでいう計器室とは、製造設備等の運転操作、防消火設備の操作及び緊急連絡等の

ための計器類が集中的に配置されている室であって、常時運転員がいるものをいう。

*(4) 燃焼熱量の数値とは、告示第5条第4項によるものをいう。

10.2.6 防液堤内外の設置設備の制限*(1)

10.5.2.1 の規定により貯槽の周囲に設置される防液堤の内側*(2)及びその外面から防災作業

のために必要な距離以内には、保安上支障のない設備*(3)以外の設備を設けないこと*(4)*(5)。

【関連条項】

省令第 38条(防液堤)

解釈例第 96条(防液堤内外の設備の制限)

【解 説】

*(1) 貯槽の操作を安全に行い、かつ、万一の場合の防消火活動を円滑に進めるため、防液

堤の内外に設置できる設備を限定する規定である。

*(2) PCLNG地上式貯槽は除く。

*(3) 「保安上支障のない設備」とは、火源とならないもの及び防災活動上の支障とならな

いものであり、以下に挙げる設備も設置可能である。

(a) 防液堤内に設置することができる設備

(ⅰ)警戒標識等の標識類

(ⅱ)火災検知警報装置及び低温検知警報装置の検知部

(ⅲ)防液堤乗入れ用の階段

(b) 防液堤外に設置することができる設備

(ⅰ)警戒標識等の標識類

(a) 貯槽を断熱材で被覆し、当該断熱材の厚さが当該貯槽の周

辺の火災を考慮したものであって、かつ、十分な耐火性能を

有するものとすること。

(b) 高さ1m以上の支持物に対して厚さ 50mm以上の耐火コン

クリート又はこれと同等以上の耐火性能を有する不燃性の

断熱材で被覆すること。

準耐火構造貯槽 厚さ 25mm 以上のロックウール又はこれと同等以上の耐火性

能を有する断熱材で被覆され、その外側を厚さ 0.35mm 以上の

JIS G 3302(2017)「溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯」又はこれと

同等以上の強度及び耐火性能を有する材料で被覆した貯槽を

いう。

*3 ここでいう計器室とは、製造設備等の運転操作、防消火設備の操作及び緊急連絡等の

ための計器類が集中的に配置されている室であって、常時運転員がいるものをいう。

10.2.6 防液堤内外の設置設備の制限

防液堤内外の設置設備の制限は、JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指針」第2章「レ

イアウト」2.5「防液堤内外の設置設備の制限」による。*1

【関連条項】

省令第 38条(防液堤)

解釈例第 96条(防液堤内外の設備の制限)

【解 説】

*1 防液堤内側については、PCLNG地上式貯槽は除く。

パブコメ用ドラフト

- 266 -

第 10章 保安

第 10 章 -8-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(ⅱ)火災検知警報装置及び低温検知警報装置の検知部

(ⅲ)防液堤乗入れ用の階段

(ⅳ)防液堤の外周を4等分した場合のおおむね相対する防液堤の外側2方向が空地

になっている場合(貯槽に対する防災活動上の死角が生じない場合に限る。)にあ

っては、残りの2方向に設置される鉄道引込み線、当該貯槽に係る受入設備等

*(4) 「地盤面下に埋設した設備」である排水溝、カルバートであって地盤面と同一レベル

に蓋をしたものについても、防液堤外に設置することができる。

*(5) 貯蔵能力が適用法規で定める規定値未満の貯槽の周囲に防液堤を設置する場合、そ

の内側には、保安上支障のない設備以外の設備を設置しないことが望ましい。

10.3 予防設備

10.3.1 表 示

貯槽又はこれらの付近には、その外部から見やすいように、LNG貯槽である旨の表示*(1)

をすること。

【関連条項】

省令第 34条(表示)

【解 説】

*(1) 「表示」は、本体に直接表示するほか、立て札、表示板等でもよい。

10.3.2 誤操作防止措置

10.3.2.1 バルブ等*(1)の基準

貯槽に設置したバルブ等には、作業員が適切な操作をすることができるように、次の措置を

講ずること。

(1) バルブ等には、当該バルブ等の開閉方向を明示すること。操作することにより貯槽に保安

上重大な影響を与えるバルブ等*(2)にあっては、当該バルブ等の開閉状態を含む。

(2) 重要なバルブ等*(3)には、それぞれの名称又はフローシートに基づく記号、番号等を明示

すること。

(3) 操作することにより貯槽に保安上重大な影響を与えるバルブ等*(2)であって、通常使用し

ないバルブ等*(4)には、当該バルブ等のハンドルに施錠又はこれらに類する措置*(5)を講ずる

こと。

(4) 配管には、重要なバルブ等*(3)に近接した部分に、容易に区別することができるように当

該流体の種類を記載し、かつ、流れの方向を表示すること*(6)。

(5) バルブ等を操作する場所には、当該バルブ等の機能及び使用頻度に応じて当該バルブ等

を確実に操作することができる足場を確保すること。

10.3 予防設備

10.3.1 表 示

表示は、JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指針」第3章「予防設備」3.1「立ち入り

の防止及び表示」3.1.2「表示の基準」による。

【関連条項】

省令第 34条(表示)

10.3.2 誤操作防止措置

10.3.2.1 バルブ等の基準

パブコメ用ドラフト

- 267 -

第 10章 保安

第 10 章 -9-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

【関連条項】

省令第 20条(誤操作防止及びインターロック)

解釈例第 75 条(誤操作防止)

【解 説】

*(1) 操作ボタン等により開閉するバルブにあっては、当該操作ボタン等も含む。

*(2) 「操作することにより貯槽に保安上重大な影響を与えるバルブ等」とは、次のものを

いう。

(a) 各圧力区分において圧力を区分するバルブ

(b) 安全弁等の元弁

(c) 緊急遮断弁、緊急放出弁

(d) 計装用空気の送り出し又は受入れ用バルブ

(e) 10.5.1に示す手動弁、遠隔操作弁

*(3) 「重要なバルブ等」とは、*(2)に示すバルブ及び当該バルブの機能及び使用頻度に

応じて事業者が重要と判断するバルブ等をいう。

*(4) 緊急の用に供するものを除く。

*(5) 「施錠又はこれらに類する措置」とは、次のものをいう。

(a) 安全弁の元弁その他通常使用しないバルブ等(緊急の用に供するものを除く。)は、

みだりに操作できないよう、施錠、封印、禁札の取り付け又は操作時に支障のない方

法でハンドルを取り外す等の措置を講ずる。

(b) 計器盤(Digital Control System 等の制御システムを含む。)に設けた緊急遮断

弁、緊急放出弁、10.5.1 に示す遠隔操作弁及び全停止等を行う機構のボタン、ハン

ドル等(ノッチングデバイス型ハンドル等であって、不測の作動のおそれのないもの

を除く。)には、過失等による不測の事故を防止するため、カバー、キャップ又は保

護枠を取り付ける等の措置(制御システムにより制御する場合にはディスプレー上

で行う2アクションや操作グラフィックの札掛け等)を講ずるとともに、緊急遮断弁

等の開閉状態を示すシグナルランプ等の表示を計器盤に設ける。

(c) 緊急遮断弁等で操作位置が2以上である場合にあっては、通常使用しない方のも

のについてみだりに操作してはならない旨及びそれを操作する場合における注意事

項を表示する。

*(6) 配管に直接表示するほか、表示板等を配管に取付ける方法でもよい。

10.3.2.2 照明の基準

貯槽の操作を安全かつ確実に行うために必要な照度*(1)を確保するための措置*(2)を講ずるこ

と。

バルブ等の基準は、JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指針」第3章「予防設備」3.2

「誤操作防止措置」3.2.1「バルブ等の基準」による。

【関連条項】

省令第 20条(誤操作防止及びインターロック)

解釈例第 75 条(誤操作防止)

10.3.2.2 照明の基準

パブコメ用ドラフト

- 268 -

第 10章 保安

第 10 章 -10-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

【解 説】

*(1) 「必要な照度」とは、貯槽の監視、操作及び表示の判読等に支障のない照度をいう。

照度の基準としては、労働安全衛生規則第 604条(照度)、JIS Z 9110(2011)「照明基

準総則」及び JIS Z 9126(2010)「屋外作業場の照明基準」がある。

*(2) 「必要な照度を確保するための措置」とは、誤操作を防止するために必要な照度が得

られる場合には、局部照明(携帯用照明具)も含まれる。ただし、誤操作のおそれがな

い携帯の方法等によること。

10.3.3 ガスの置換装置

貯槽の可燃性の、ガス又は液化ガスを通ずる部分は、次の基準によりガス又は液化ガスの置

換が安全に行える構造とすること。

(1) 貯槽には、遮断装置*(1)等で区切られた区間毎に窒素ガス等の不活性ガス等によって、系

内のガスを確実に置換できる位置に注入ノズル及び放散ノズルを設置すること。

(2) 注入ノズル又は放散ノズルが大気開放の場合にあっては、二重バルブにするか、又はバル

ブと遮断板等*(2)により、漏れない構造とすること。

(3) 注入ノズルが大気開放でなく、不活性ガス等の注入装置に接続している場合にあっては、

逆流しない構造とすること。

(4) 放散口は、系内のガスを安全に放散できる位置*(3)に設置すること。

【関連条項】

省令第 13 条(ガスの置換等)第1項

【解 説】

*(1) 「遮断装置」とは、10.5.1で規定するものをいう。

*(2) 「遮断板等」には、キャップも含むものとする。

*(3) 安全に放散できる位置とは、放散口を次の様な位置に設置するものをいう。ただし、

当該放散口には、仮設のものも含むものとする。

(a) 放散口は、放出されたガスの着地濃度が燃焼下限の4

1未満(緊急時にあっては、

燃焼下限未満)になるような十分な高さとすること。

(b) (a)の様に設計放散量を考慮した高さ及び位置に設置することが基本だが、周囲の

設備状況等によっては、バルブ等の調整により放散をコントロールすることも有効

な措置である。

(c) 放散口の位置は、作業員が定常作業を行うために必要な場所及び作業員が通常通

行する場所から適切な距離を有するものとすること。

照明の基準は、JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指針」第3章「予防設備」3.2「誤

操作防止措置」3.2.2「照明の基準」による。

10.3.3 ガスの置換装置

貯槽の可燃性のガス又は液化ガスを通ずる部分は、次の基準によりガス又は液化ガスの置

換が安全に行える構造とすること。

(1) 貯槽には、遮断装置*1等で区切られた区間毎に窒素ガス等の不活性ガスによって、系内

のガスを確実に置換できる位置に注入ノズル及び放散ノズルを設置すること。

(2) 注入ノズル又は放散ノズルが大気開放の場合にあっては、二重バルブにするか、又はバ

ルブと遮断板等*2により、漏れない構造とすること。

(3) 注入ノズルが大気開放でなく、不活性ガスの注入装置に接続している場合にあっては、

逆流しない構造とすること。

(4) 放散口は、系内のガスを安全に放散できる位置*3に設置すること。

【関連条項】

省令第 13 条(ガスの置換等)第1項

【解 説】

*1 「遮断装置」とは、10.5.1で規定するものをいう。

*2 「遮断板等」には、キャップも含むものとする。

*3 安全に放散できる位置とは、放散口を次の様な位置に設置するものをいう。ただし、

当該放散口には、仮設のものも含むものとする。

(a) 放散口は、放出されたガスの着地濃度が燃焼下限の1

4 未満(緊急時にあっては、

燃焼下限未満)になるような十分な高さとすること。

(b) (a)の様に設計放散量を考慮した高さ及び位置に設置することが基本だが、周囲の

設備状況等によっては、バルブ等の調整により放散をコントロールすることも有効

な措置である。

(c) 放散口の位置は、作業員が定常作業を行うために必要な場所及び作業員が通常通

行する場所から適切な距離を有するものとすること。

パブコメ用ドラフト

- 269 -

第 10章 保安

第 10 章 -11-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

10.3.4 安全弁

(1) 安全弁の設置基準

貯槽には、貯槽内気相部の圧力の異常上昇を防止するため、安全弁を設けること*(1)。

(2) 安全弁の技術上の基準

(a) 安全弁は、パイロット式安全弁とすること*(2)*(3)。

(b) 安全弁から排出されるガスが引火するおそれのない場所及び人畜に対して被害を及ぼ

さない場所に導かれる構造のものとすること*(4)*(5)*(6)。

【関連条項】

省令第 35 条(液化ガス用貯槽の安全弁等)第1項

解釈例第 72 条(安全弁)

【解 説】

*(1) 自然入熱、周辺火災時等の入熱による液化ガスの気化等による貯槽内気相部の圧力

上昇を防止するため、圧力上昇防止装置を設置する。

通常、貯槽内気相部の圧力は、ボイルオフガスコンプレッサーにより所定の範囲内に

納まるように制御している。ボイルオフガスコンプレッサーが作動せず貯槽内気相部

の圧力が上昇しても、圧力警報により貯槽内気相部の圧力の上昇防止に必要な措置を

取ることができるが、ここではさらに、これらの圧力上昇防止装置に加え安全弁を設置

する。

また、PCLNG貯槽の外槽屋根には、圧力上昇防止措置を講じて、外槽内の圧力が

異常に上昇してPC防液堤に影響を与えないようにすること。

*(2) 寒冷地にあっては凍結によりその機能が損なわれないように措置を講ずること。

*(3) 屋根の頂部付近に設けることが望ましい。

*(4) 放散管の先端には、雨水又はほこりの堆積によりその機能が損なわれないように措

置を講ずること。

*(5) 放散管には、放出を阻止する弁を設置しないこと。

*(6) 放散管は弁本体及び屋根に対し有害な振動を生じないように取付けること。また、吹

き出し反力を考慮した対策を行うこと。

10.3.5 負圧防止措置

貯槽には、当該貯槽の内部の圧力が外部の圧力より低下することにより当該貯槽が破壊す

ることを防止するための措置*(1)として、次の装置のうちいずれか1以上備えること。

(1) 真空安全弁

(2) 他のLNG貯槽又は施設からのガス導入配管(均圧管)

(3) ボイルオフガスコンプレッサーを自動的に運転停止すること等により常に正圧に保持す

る措置がとられているもの

【関連条項】

10.3.4 安全弁

(1) 安全弁の設置基準

貯槽には、貯槽内気相部の圧力の異常上昇を防止するため、安全弁を設けること。*1

(2) 安全弁の技術上の基準

(a) 安全弁は、パイロット式安全弁とすること。*2*3

(b) 安全弁から排出されるガスが引火するおそれのない場所及び人畜に対して被害を及ぼ

さない場所に導かれる構造のものとすること。*4*5*6

【関連条項】

省令第 35 条(液化ガス用貯槽の安全弁等)第1項

解釈例第 72 条(安全弁)

【解 説】

*1 自然入熱、周辺火災時等の入熱による液化ガスの気化等による貯槽内気相部の圧力上

昇を防止するため、圧力上昇防止装置を設置する。

通常、貯槽内気相部の圧力は、ボイルオフガスコンプレッサーにより所定の範囲内に

納まるように制御している。ボイルオフガスコンプレッサーが作動せず貯槽内気相部

の圧力が上昇しても、圧力警報により貯槽内気相部の圧力の上昇防止に必要な措置を

取ることができるが、ここではさらに、これらの圧力上昇防止装置に加え安全弁を設置

する。

また、PCLNG貯槽の外槽屋根には、圧力上昇防止措置を講じて、外槽内の圧力が

異常に上昇してPC防液堤に影響を与えないようにすること。

*2 寒冷地にあっては凍結によりその機能が損なわれないように措置を講ずること。

*3 屋根の頂部付近に設けることが望ましい。

*4 放散管の先端には、雨水又はほこりの堆積によりその機能が損なわれないように措置

を講ずること。

*5 放散管には、放出を阻止する弁を設置しないこと。

*6 放散管は弁本体及び屋根に対し有害な振動を生じないように取付けること。また、吹

き出し反力を考慮した対策を行うこと。

10.3.5 負圧防止措置

貯槽には、当該貯槽の内部の圧力が外部の圧力より低下することにより当該貯槽が破壊す

ることを防止するための措置*1として、次の装置のうちいずれか1以上備えること。

(1) 真空安全弁

(2) 他のLNG貯槽又は施設からのガス導入配管(均圧管)

(3) ボイルオフガスコンプレッサーを自動的に運転停止すること等により常に正圧に保持す

る措置がとられているもの

【関連条項】

パブコメ用ドラフト

- 270 -

第 10章 保安

第 10 章 -12-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

省令第 35条(液化ガス用貯槽の安全弁等)第2項

解釈例第 92条(負圧防止)

【解 説】

*(1) 液化ガス又はボイルオフガスの払出しに、ポンプ又はコンプレッサーを使用してい

ないもの、ボイルオフガスラインが有水式ガスホルダー等に接続されているもの等当

該貯槽の内部の圧力が外部の圧力より低下するおそれのないものにあっては、当該措

置が講じられているものとみなされる。

10.3.6 保安電力等

10.3.6.1 保安電力等の設置基準

停電等により貯槽及び付属設備の機能が失われることのないよう、保安上重要な設備には、

保安電力、保安用計装圧縮空気、及び電力以外の動力源等(以下「保安電力等」という。)を

有すること*(1)。

なお、保安上重要な設備には、計測装置、警報装置も含む。

【関連条項】

省令第 21条(保安電力等)

解釈例第 76 条(保安電力等)

【解 説】

*(1) 「保安電力等を有する」とは以下のものがある。

(a) 動力又は信号系統に電力を用いているものにあっては、保安電力を有すること。

(b) 動力又は信号系統に圧縮空気等を用いているものにあっては、保安用計装圧縮空

気を有すること。

(c) ポンプ、圧縮機等にあっては動力源としてエンジン、タービンを有すること。

(d) 防消火設備、散水設備、水噴霧装置等にあっては、常時必要水量を必要な水頭圧を

もつタンク又は貯水池等を有すること。

10.3.6.2 保安電力の性能基準

保安電力の性能は、次の基準によること。

(1) 保安電力は、常用電力が停電した場合直ちに切り替えて使用できるものとすること。

(2) 保安電力は、次に示すいずれか1以上によること。

(a) 買電*(1)

(b) 自家発電

(c) 蓄電池

(3) 保安電力の容量は、対象設備の保安を確保するのに十分なものとすること。

省令第 35条(液化ガス用貯槽の安全弁等)第2項

解釈例第 92条(負圧防止)

【解 説】

*1 液化ガス又はボイルオフガスの払出しに、ポンプ又はコンプレッサーを使用していな

いもの、ボイルオフガスラインが有水式ガスホルダー等に接続されているもの等当該

貯槽の内部の圧力が外部の圧力より低下するおそれのないものにあっては、当該措置

が講じられているものとみなされる。

10.3.6 保安電力等

10.3.6.1 保安電力等の設置基準

停電等により貯槽及び付属設備の機能が失われることのないよう、保安上重要な設備には、

保安電力、保安用計装圧縮空気、及び電力以外の動力源等(以下「保安電力等」という。)を

有すること。*1

なお、保安上重要な設備には、計測装置、警報装置も含む。

【関連条項】

省令第 21条(保安電力等)

解釈例第 76 条(保安電力等)

【解 説】

*1 「保安電力等を有する」とは以下のものがある。

(a) 動力又は信号系統に電力を用いているものにあっては、保安電力を有すること。

(b) 動力又は信号系統に圧縮空気等を用いているものにあっては、保安用計装圧縮空

気を有すること。

(c) ポンプ、圧縮機等にあっては動力源としてエンジン、タービンを有すること。

(d) 防消火設備、散水設備、水噴霧装置等にあっては、常時必要水量を必要な水頭圧を

もつタンク又は貯水池等を有すること。

10.3.6.2 保安電力の性能基準

パブコメ用ドラフト

- 271 -

第 10章 保安

第 10 章 -13-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

【解 説】

*(1) 保安電力として措置されたものに限る。

10.3.6.3 保安用計装圧縮空気の性能基準

保安用計装圧縮空気の性能は、次の基準によること。

(1) 保安用計装圧縮空気は、常用の計装用圧縮空気の供給が停止した場合に直ちに切り替え

て使用できるものとすること。

(2) 保安用計装圧縮空気の供給は、次のいずれか1以上とすること*(1)。

(a) 空気溜めによる供給

(b) 保安電力又は予備の動力(エンジン駆動又はスチーム駆動)を使用する計装空気圧縮機

による供給*(2)

(c) 窒素源による供給*(3)

(3) 保安用計装圧縮空気の容量及び圧力は、対象設備の保安を確保するに十分なものとする

こと。

(4) 保安用計装圧縮空気の配管には、他の配管等へ保安用計装圧縮空気が流出することを防

止するための措置を講ずること*(4)。

【解 説】

*(1) 保安用計装圧縮空気の供給方式は、その供給範囲の規模により以下のような方式が

ある。

(a) 対象機器毎に設置する方法

(b) 1の設備系毎に設置する方法

(c) 複数の設備系に対し設置する方法

(d) 事業所の保安用計装圧縮空気の主管に設置する方法

10.3.6.1(1)に示すような保安上重要な装置に対しては、空気溜めによる供給で供

給範囲を上記(a)又は(b)の方法とすることが望ましい。

*(2) 「計装空気圧縮機による供給」のみの場合は、予備の計装空気圧縮機を設けること。

*(3) 保安用計装圧縮空気として屋内で使用する場合は、操作弁の排気等により酸素欠乏

のおそれがあるので注意を要すること。

*(4) 保安用計装圧縮空気の配管と一般の圧縮空気配管との接続部には、保安用計装圧縮

空気が他に使用されることを防止するため逆止弁等を設置すること。また、不活性ガス

源として他の目的に使用されるような窒素源より窒素の供給を受ける場合には、不活

性ガスラインへの空気の逆流を防止するため逆止弁等を設置すること。

保安電力の性能基準は、JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指針」第3章「予防設備」

3.9「保安電力等」3.9.2「保安電力の性能基準」による。

10.3.6.3 保安用計装圧縮空気の性能基準

保安用計装圧縮空気の性能基準は、JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指針」第3章

「予防設備」3.9「保安電力等」3.9.3「保安用計装圧縮空気の性能基準」による。

パブコメ用ドラフト

- 272 -

第 10章 保安

第 10 章 -14-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

10.3.7 電気設備の防爆

貯槽及び付属設備に設ける電気設備は、できる限り爆発の危険のない安全な場所に設置す

るものとし、やむを得ず可燃性ガス又は引火性の物の蒸気が爆発の危険のある濃度に達するお

それがある場所*(1)に設置する場合は、その設置場所の状況及び当該ガス又は液化ガスの種類

に応じた防爆性能を有する電気設備を設置すること。

【関連条項】

省令第 10 条(電気設備の防爆構造)

解釈例第7条(電気設備の防爆構造)

【解 説】

*(1) 防液堤内の開放空間(防液堤の高さを超えないものとする。)及び外槽の外面から1

m以内は2類場所とし、それ以外は解表 10-2によること。

解表 10-2 危険場所の適用

設置機器 危険場所の種別及び範囲

安全弁、ドレン抜き口、

その他ノズル開口部

1類 2類

周囲1m以内 1種の周囲7m以内

コントロール弁の摺動部 ― 周囲1m以内

10.3.8 静電気除去措置*(1)

貯槽及び付属設備には、静電気を除去する措置を次の基準により講ずること。この場合、ア

ンカーボルト等で固定されていることにより、接地状態になっているものであって、接地抵抗

値が 100Ω以下のものについては、静電気を除去する措置を講じたものとみなされる。

(1) 接地は単独に行うこと*(2)。

(2) ボンディング用接続線*(3)及び接地接続線は、断面積 5.5mm2以上のもの*(4)を用い、ろう付

け、溶接、接続金具を使用する方法等によって確実に接続すること。

(3) 静電気除去措置の接地は、電力設備又は雷保護システム*(5)の接地と共用してもよい。

【関連条項】

省令第 12 条(静電気除去)

解釈例第9条(静電気除去措置)

【解 説】

*(1) 貯槽の作業に係る人体の静電気を除去するための措置を講ずること。

10.3.7 電気設備の防爆

電気設備の防爆は、JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指針」第3章「予防設備」3.11

「電気設備の防爆」による。*1

【関連条項】

省令第 10 条(電気設備の防爆構造)

解釈例第7条(電気設備の防爆構造)

【解 説】

*1 貯槽及び付属設備に関する危険箇所の範囲は、防液堤内の開放空間(防液堤の高さを

超えないものとする。)及び外槽の外面から1m 以内は2類箇所とし、それ以外は解表

10-2によること。

解表 10-2 危険箇所の適用

設置機器 危険箇所の種別及び範囲

安全弁、ドレン抜き口、

その他ノズル開口部

1類 2類

周囲1m以内 1類の周囲7m以内

コントロール弁の摺動部 ― 周囲1m以内

10.3.8 静電気除去措置*1

貯槽及び付属設備には、静電気を除去する措置を次の基準により講ずること。この場合、ア

ンカーボルト等で固定されていることにより、接地状態になっているものであって、接地抵抗

値が 100Ω以下のものについては、静電気を除去する措置を講じたものとみなされる。

(1) 接地は単独に行うこと。*2

(2) ボンディング用接続線*3及び接地接続線は、断面積 5.5mm2以上のもの*4を用い、ろう付

け、溶接、接続金具を使用する方法等によって確実に接続すること。

(3) 静電気除去措置の接地は、電力設備又は雷保護システム*5の接地と共用してもよい。

【関連条項】

省令第 12 条(静電気除去)

解釈例第9条(静電気除去措置)

【解 説】

*1 貯槽の作業に係る人体の静電気を除去するための措置を講ずること。

パブコメ用ドラフト

- 273 -

第 10章 保安

第 10 章 -15-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

*(2) 安全弁についても、機器本体とボンディングして接地しておくこと。

*(3) ボンディング用の金属導体としては、接続線の他、銅板等の金属板、ステンレスボル

ト、金属ガスケット等を使用することができる。ただし、金属素地の露出した金属導体

が互いに機械的に堅固に結合され、腐食、さび等により金属接触面の電気抵抗が絶縁状

態になるおそれのないようにすること。

*(4) ボンディング用接続線及び接地接続線は、原則として単線を使用せず、可とう性のあ

るより線等を使用し、実際は設置後の外的要因による損傷等を考慮すると断面積が

14mm2以上のものを使用することが望ましい。

*(5) 雷保護システムの接地として使用する場合は、10.3.10の規定を満足すること。

10.3.9 伸縮吸収措置

(1) 貯槽に連絡される配管には、温度又は圧力の変化による伸縮等*(1)を吸収する措置を講ず

ること。

(2) 伸縮吸収措置は、原則として次の(a)若しくは(b)又は(a)、(b)の組み合わせによること*(2)。

(a) 自己可とうによる方法

(b) 配管ループによる方法

【解 説】

*(1) 地盤の沈下及び地震の変位等も考慮して伸縮を吸収する措置を講ずること。

*(2) やむを得ずベローズ形伸縮継手を用いる場合は、用途に応じた適切なものを使用し、

取付時の気温、使用温度等を考慮して、あらかじめ調整した上で取付けること。

10.3.10 雷保護システム

雷保護システムは次の基準によること。

(1) 貯槽には、雷保護システムを設置すること*(1)。

(2) 雷保護システムの基準は、JIS A 4201(2003)「建築物等の雷保護」によること。

*2 安全弁についても、機器本体とボンディングして接地しておくこと。

*3 ボンディング用の金属導体としては、接続線の他、銅板等の金属板、ステンレスボル

ト、金属ガスケット等を使用することができる。ただし、金属素地の露出した金属導体

が互いに機械的に堅固に結合され、腐食、さび等により金属接触面の電気抵抗が絶縁

状態になるおそれのないようにすること。

*4 ボンディング用接続線及び接地接続線は、原則として単線を使用せず、可とう性のあ

るより線等を使用し、実際は設置後の外的要因による損傷等を考慮すると断面積が

14mm2以上のものを使用することが望ましい。

*5 雷保護システムの接地として使用する場合は、10.3.10の規定を満足すること。

10.3.9 伸縮吸収措置

(1) 貯槽に連絡される配管には、温度又は圧力の変化による伸縮等*1を吸収する措置を講ず

ること。

(2) 伸縮吸収措置は、原則として次の(a)若しくは(b)又は(a)、(b)の組み合わせによること。

*2

(a) 自己可とうによる方法

(b) 配管ループによる方法

【関連条項】

省令第 15条(構造等)

解釈例第 29条(伸縮継手)

【解 説】

*1 地盤の沈下及び地震の変位等も考慮して伸縮を吸収する措置を講ずること。

*2 やむを得ずベローズ形伸縮継手を用いる場合は、用途に応じた適切なものを使用し、

取付時の気温、使用温度等を考慮して、あらかじめ調整した上で取付けること。

10.3.10 雷保護システム

雷保護システムは次の基準によること。

(1) 貯槽には、外部雷保護システムを設置すること。*1

(2) 外部雷保護システムの基準は、JIS A 4201(2003)「建築物等の雷保護」によること。

パブコメ用ドラフト

- 274 -

第 10章 保安

第 10 章 -16-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(3) 避雷措置の接地を静電気除去措置の接地として使用してもよい*(2)。

【解 説】

*(1) 貯槽は厚さ 3.2mm 以上の金属板で構成され、かつ、密閉されているので突針を要し

ない。避雷突針を設置しない場合は、安全弁のフランジをボンディング用接続線により

接続すること。

*(2) 静電気除去措置の接地として使用する場合は、10.3.8の規定を満足すること。

10.3.11 ロールオーバー防止措置

貯槽には、ロールオーバーを防止するための措置を講ずること*(1)。

【解 説】

*(1) LNG地上式貯槽では、貯槽内液が沸騰状態にあるため、LNGは対流により常に混

合されているので層状化が起りにくいとされている。しかし、組成の異なったLNGを

受入れる(例えば、残留LNGより重いLNGを下部より受入れる)場合に層状化を起

こす場合がある。この場合、下層から上層への熱移動により上層の軽質分がボイルオフ

し、上層の密度が大きくなり下層の密度と同じになるとロールオーバーが起り、下層に

あった蒸気圧の高いLNGが短時間に表面からボイルオフし、大量のガスが発生する。

このロールオーバー防止の対策として次のものが考えられる。

(a) 貯槽ごとに受入れるLNGの組成範囲を制限する。

(b) ジェットノズル等を使用し、受入れるLNGと残留するLNGとを混合する。

(c) 上下に受入れ口を設け、重いLNGは上部から、軽いLNGは下部から受入れる。

(d) 貯槽内LNGを循環し、上層と下層の混合をはかる。

10.4 監視、連絡設備

10.4.1 計測装置

10.4.1.1 計測装置の設置基準

貯槽には、設備の損傷を防止するため使用の状態を計測又は確認できる適切な装置を設置

すること*(1)*(2)*(3)*(4)。

【関連条項】

省令第 18 条(計測装置等)第1項

(3) 外部雷保護システムの接地を静電気除去措置の接地として使用してもよい。*2

【解 説】

*1 避雷突針を設置しない場合は、安全弁のフランジをボンディング用接続線により接続

すること。

*2 静電気除去措置の接地として使用する場合は、10.3.8の規定を満足すること。

10.3.11 ロールオーバー防止措置

貯槽には、ロールオーバーを防止するための措置を講ずること。*1

【解 説】

*1 LNG地上式貯槽では、貯槽内液が沸騰状態にあるため、LNGは対流により常に混

合されているので層状化が起りにくいとされている。しかし、組成の異なったLNG

を受入れる(例えば、残留LNGより重いLNGを下部より受入れる)場合に層状化を

起こす場合がある。この場合、下層から上層への熱移動により上層の軽質分がボイル

オフし、上層の密度が大きくなり下層の密度と同じになるとロールオーバーが起り、

下層にあった蒸気圧の高いLNGが短時間に表面からボイルオフし、大量のガスが発

生する。

このロールオーバー防止の対策として次のものが考えられる。

(a) 貯槽ごとに受入れるLNGの組成範囲を制限する。

(b) ジェットノズル等を使用し、受入れるLNGと残留するLNGとを混合する。

(c) 上下に受入れ口を設け、重いLNGは上部から、軽いLNGは下部から受入れる。

(d) 貯槽内LNGを循環し、上層と下層の混合をはかる。

10.4 監視、連絡設備

10.4.1 計測装置

10.4.1.1 計測装置の設置基準

貯槽には、設備の損傷を防止するため使用の状態を計測又は確認できる適切な装置を設置

すること。*1*2*3*4*5*6

【関連条項】

省令第 18 条(計測装置等)第1項

パブコメ用ドラフト

- 275 -

第 10章 保安

第 10 章 -17-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解釈例第 73 条(計測装置等)第1項第九号、第3項

【解 説】

*(1) 貯槽には、気相部及び底部近傍の液相部に温度計を設けることが望ましい。

*(2) 貯槽内気相部の圧力を計測できる圧力計を2個以上設けることが望ましい。

*(3) 貯槽内液の最低液位から最高液位までの範囲を計測できる液面計を2個以上設ける

ことが望ましい。

*(4) 貯槽内外槽間の圧力を測定できる圧力計を設けることが望ましい。

10.4.1.2 計測装置の構造基準

(1) 圧力計は、当該貯槽の最高使用圧力に応じ、適切な種類のものであり、かつ、その測定範

囲が、当該貯槽の最高使用圧力を適切に測定できるものとすること*(1)*(2)*(3)*(4)。

(2) 圧力計は、使用中その機能を害するような振動を受けることがないようにすること。

(3) 液面計は、フロート式、静電容量式、ディスプレーサー式、電波式又はこれらと同等以上

の安全性及び機能を有するもののうちから、当該貯槽の構造及び流体の種類に応じて適切

な種類のものとすること*(5)。

(4) 温度計は、当該貯槽の最高(最低)使用温度に応じ、適切な種類のものであり、かつ、

その測定範囲が、当該貯槽の最高(最低)使用温度を適切に測定できるものとすること

*(6)*(7)*(8)。

【解 説】

*(1) 圧力計は次の種類のものと同等以上のものとし、1個は(a)に示すものとすること。

解釈例第 73 条(計測装置等)第1項第九号、第3項

【解 説】

*1 貯槽内部や基礎版等に設置する計測装置は、設置場所の特性上、点検・検査・取

替等が困難なため、適切な数量を設置することが望ましい。

*2 貯槽には、液相部の底面近傍及び気相部に温度計を設けることが望ましい。

*3 貯槽内気相部の圧力を計測できる圧力計を2個以上設けることが望ましい。

*4 貯槽内液の最低液位から最高液位までの範囲を計測できる液面計を2個以上設ける

ことが望ましい。

*5 貯槽内外槽間の圧力を測定できる圧力計を設けることが望ましい。

*6 底部加温装置を設置する場合は、その有効性を監視するため底部加温装置下部の温度

を計測すること。また、熱媒を用いた底部加温装置を設置する場合にあっては熱媒の

温度を計測すること。

10.4.1.2 計測装置の構造基準

(1) 圧力計は、当該貯槽の最高使用圧力に応じ、適切な種類のものであり、かつ、その測定

範囲が、当該貯槽の最高使用圧力を適切に測定できるものとすること。*1*2*3*4

(2) 圧力計は、使用中その機能を害するような振動を受けることがないようにすること。

(3) 液面計は、当該貯槽の構造及び流体の種類に応じて適切な種類のものとすること。*5 *6

(4) 温度計は、当該貯槽の最高(最低)使用温度に応じ、適切な種類のものであり、か

つ、その測定範囲が、当該貯槽の最高(最低)使用温度を適切に測定できるものとする

こと。*7*8

【解 説】

*1 圧力計は次の種類のものと同等以上の性能を有するものとすること。ただし、1

個は電源喪失時においても圧力直読が可能な機械式アネロイド型圧力計を使用す

パブコメ用ドラフト

- 276 -

第 10章 保安

第 10 章 -18-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(a) JIS B 7505-1(2007)「アネロイド型圧力計-第1部:ブルドン管圧力計」

(b) (a)以外のアネロイド形圧力計(伝送式を含む。)

*(2) 圧力計の最大目盛りは、最高使用圧力の 1.5 倍以上3倍以下の範囲内となるように

選定することが望ましい。また、圧力監視及び制御用に使用するものにあっては、最大

目盛りは最高使用圧力の 1.5倍以下とすること。

*(3) 圧力計の公差は、精度等級 1.6級以上のものとすること。

*(4) 伝送式圧力計の器差は、測定範囲に対し±1%以内とする。

*(5) 液面計の器差は、総合器差を±10㎜以内とする。

*(6) 温度計は、次の種類のものと同等以上のものとすること。

(a) 熱電対

(b) 測温抵抗体

*(7) 温度計の器差は、総合器差を±2℃以内とする。

*(8) 底部加温装置を設置する場合は、その有効性を監視するため底部加温装置下部の温

度を計測すること。また、熱媒を用いた底部加温装置を設置する場合にあっては熱媒

の温度を計測すること。

10.4.2 警報装置

貯槽には、設備の損傷に至るおそれのある状態を検知し警報する適切な装置を設置するこ

と。なお、液面が異常に上昇した場合*(1)の警報装置も含む。

【関連条項】

省令第 19 条(警報装置)

解釈例第 74 条(警報装置)第七号、第八号

【解 説】

ること。

(a) JIS B 7505-1 (2017)「アネロイド型圧力計-第1部:ブルドン管圧力計」

(b) 差圧式圧力計

(c) ベローズ式圧力計

(d) ストレンゲージ式圧力計

(e) ダイヤフラム式圧力計

*2 圧力計の最大目盛りは、最高使用圧力の 1.5倍以上3倍以下の範囲内となるように選

定することが望ましい。また、圧力監視及び制御用に使用するものにあっては、最大目

盛りは最高使用圧力の 1.5倍以下とすること。

*3 圧力計の公差は、精度等級 1.6級以上のものとすること。

*4 伝送式圧力計の器差は、測定範囲に対し±1%以内とする。

*5 液面計は、次の種類のものと同等以上の安全性及び機能を有するものとすること。

(a) フロート式

(b) 静電容量式

(c) ディスプレーサー式

(d) 電波式

*6液面計の器差は、総合器差を±10㎜以内とする。

*7 温度計は、次の種類のものと同等以上の性能を有するものとすること。

(a) 熱電対

(b) 測温抵抗体

*8 温度計の器差は、総合器差を±2℃以内とする。

10.4.2 警報装置

貯槽には、設備の損傷に至るおそれのある状態を検知し警報する適切な装置を設置するこ

と。なお、液面が異常に上昇した場合*1の警報装置も含む。

【関連条項】

省令第 19 条(警報装置)

解釈例第 74 条(警報装置)第七号、第八号

【解 説】

パブコメ用ドラフト

- 277 -

第 10章 保安

第 10 章 -19-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

*(1) 貯蔵能力が 100t以上のものを対象とする。

10.4.3 ガス漏えい検知警報設備等*(1)

10.4.3.1 ガス漏えい検知警報設備等の設置基準

貯槽及び付属設備の周囲には、次の基準によりガス漏えい検知警報設備*(2)を設けること。

(1) ガス検知部の設置場所及び設置個数は、次の基準によること。

(a) 防液堤を有する貯槽*(3)には、防液堤(間仕切りも含む。)内に2個以上*(4)

(b) その他ガスが滞留するおそれのある場所*(5)に1個以上

(2) ガス検知部及び警報部の設置位置は、次の基準によること。

(a) ガス検知部は当該ガスの比重、周囲の状況及び設備の高さに応じた適切な位置に設け

ること。

(b) 警報部は関係者が常駐する場所であって、警報のあったのち各種の対策を講ずるのに

適切な場所に設けること。

【関連条項】

省令第9条(ガスの滞留防止)第2項

解釈例第6条(ガスの滞留防止)第2項

【解 説】

*(1) 検知警報設備には、ガス漏えい検知警報設備の他、以下のものがある。これらを設置

する場合は次によること。

(a) 低温検知警報設備

(ⅰ)検出端部は、周囲の状況に応じた適切な位置に設けること。

(ⅱ)低温検知器は、熱電対式、測温抵抗体式又はこれらと同等以上の構造及び性

能を有するものであって、当該設備の構造及び設置場所の状況に応じた適切な

ものとすること。

(b) 火炎検知警報設備

(ⅰ)検出端部は、周囲の状況に応じた適切な位置に設けること。

(ⅱ)火炎検知器は、紫外線式、赤外線式、熱電対式、測温抵抗体式又はこれらと

同等以上の構造及び性能を有するものであって、当該設備の構造及び設置場所

の状況に応じた適切なものとすること。

(ⅲ)火炎検知器に紫外線式を用いる場合は、太陽光での誤動作を防止するよう考

慮すること。

*(2) ガス漏えい検知警報設備は、ガス検知部、警報部及びこれらの間を接続する電気導線

よりなる。

*1 貯蔵能力が 100t以上のものを対象とする。

10.4.3 ガス漏えい検知警報設備等*1

10.4.3.1 ガス漏えい検知警報設備等の設置基準

貯槽及び付属設備の周囲には、次の基準によりガス漏えい検知警報設備*2を設けること。

(1) ガス検知部の設置場所及び設置個数は、次の基準によること。

(a) 防液堤を有する貯槽*3には、防液堤(間仕切りも含む。)内に2個以上*4

(b) その他ガスが滞留するおそれのある場所*5に1個以上

(2) ガス検知部及び警報部の設置位置は、次の基準によること。

(a) ガス検知部は当該ガスの比重、周囲の状況及び設備の高さに応じた適切な位置に設け

ること。

(b) 警報部は関係者が常駐する場所であって、警報のあったのち各種の対策を講ずるのに

適切な場所に設けること。

【関連条項】

省令第9条(ガスの滞留防止)第2項

解釈例第6条(ガスの滞留防止)第2項

【解 説】

*1 検知警報設備には、ガス漏えい検知警報設備の他、以下のものがある。これらを設置

する場合は次によること。

(a) 低温検知警報設備

(ⅰ)検出端部は、周囲の状況に応じた適切な位置に設けること。

(ⅱ)低温検知器は、熱電対式、測温抵抗体式又はこれらと同等以上の構造及び性

能を有するものであって、当該設備の構造及び設置場所の状況に応じた適切な

ものとすること。

(b) 火炎検知警報設備

(ⅰ)検出端部は、周囲の状況に応じた適切な位置に設けること。

(ⅱ)火炎検知器は、紫外線式、赤外線式、熱電対式、測温抵抗体式又はこれらと

同等以上の構造及び性能を有するものであって、当該設備の構造及び設置場所

の状況に応じた適切なものとすること。

(ⅲ)火炎検知器に紫外線式を用いる場合は、太陽光での誤動作を防止するよう考

慮すること。

*2 ガス漏えい検知警報設備は、ガス検知部、警報部及びこれらの間を接続する電気導線

よりなる。

パブコメ用ドラフト

- 278 -

第 10章 保安

第 10 章 -20-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

*(3) 10.5.2に定める防液堤の設置を必要とする貯槽をいう。ただし、PCLNG貯槽は

除く。

*(4) 防液堤内の集液槽、貯槽元弁周囲、LNGポンプ周囲等に設置することが望ましい。

*(5) 「その他ガスが滞留するおそれのある場所」とは、例えば空気より比重の軽いガスに

あっては、上部が囲まれている場所等でガスが滞留するおそれのある場所をいう。

10.4.3.2 ガス漏えい検知警報設備の機能、構造基準

(1) 機能

ガス漏えい検知警報設備は、可燃性ガスの漏えいを検知し警報を発するものとし、その機

能は次の基準によること。

(a) ガス漏えい検知警報設備は、半導体方式、接触燃焼方式その他の方式によって検知エレ

メントの変化を電気的機構等により、あらかじめ設定されたガス濃度(以下「警報設定値」

という。)において自動的に警報するものとすること。

(b) 警報設定値は、設置場所における周囲の雰囲気の温度において、可燃性ガスにあっては

燃焼下限の4

1以下の値とすること。この場合、警報設定値は任意に設定ができるものと

すること。

(c) 目盛精度は、フルスケールの±5%以内とすること。

(d) 警報精度は、警報設定値に対し、可燃性ガス用にあっては±25%以下のものとするこ

と。

(e) 検知警報設備の発信に至るまでの遅れは、警報設定値の 1.6倍の濃度において通常 30秒

以内*(1)とすること。

(f) 電源の電圧等の変動が±10%あった場合においても、警報精度が低下しないものとする

こと。

(g) 警報を発した後は、原則として、雰囲気中のガス濃度が変化しても警報を発信し続ける

ものとし、その確認又は対策を講ずることにより警報が停止するものとすること。

(2) 構造

ガス漏えい検知警報設備の構造は、次の基準によること。

(a) 十分な強度を有し*(2)、かつ、取扱い及び整備*(3)が容易なものとすること。

(b) ガスに接触する部分は耐食性の材料又は十分な防食処理を施した材料を用いたものと

し、その他の部分は塗装及びメッキの仕上げが良好なものとすること。

(c) 防爆性については、労働安全衛生法(昭和 47年法律第 57号)第 44条による検定に合

格したものとすること。

(d) 2以上の検出端部からの警報を受信する場合、受信回路は、他が警報を発し回路が作動

している場合においても、当該ガス漏えい検知警報設備が作動すべき条件の場合は警報

を発することができるものとし、かつ、当該場所が識別できるものとすること。

(e) 受信回路は、作動状態にあることが容易に識別できるものとすること。

(f) 警報は、ランプが点灯又は点滅すると同時に警戒音を発するものとすること。

*3 10.5.2に定める防液堤の設置を必要とする貯槽をいう。ただし、PCLNG貯槽は除

く。

*4 防液堤内の集液槽、貯槽元弁周囲、LNGポンプ周囲等に設置することが望ましい。

*5 「その他ガスが滞留するおそれのある場所」とは、例えば空気より比重の軽いガスに

あっては、上部が囲まれている場所等でガスが滞留するおそれのある場所をいう。

10.4.3.2 ガス漏えい検知警報設備の機能、構造基準

ガス漏えい検知警報設備の機能、構造基準は、JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指

パブコメ用ドラフト

- 279 -

第 10章 保安

第 10 章 -21-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

【解 説】

*(1) 吸引管等による遅れを除く。

*(2) 特に、検知エレメント及び発信回路は耐久力を有するものであること。

*(3) 特に、検知エレメントの交換等をいう。

10.4.4 監視設備

貯槽を設置する区域に監視設備を設ける場合は次によること*(1)。

(1) 監視方法は工業用テレビ(ITV)によること。

(2) 監視部は計器室に設けること。

【解 説】

*(1) LNGポンプ、受入れ配管等の防液堤内主要設備が監視できる位置に設けることが望まし

い。

10.4.5 保安通信設備

緊急時に迅速に処置することができる部署と貯槽を設置する地域との間に、構内電話、ペー

ジング設備、インターホーン又は火災報知設備(自動又は手動)等を設置すること。

10.4.6 内外槽間のガス検知設備

貯槽の外槽には、内外槽間のガスを検知できるよう、サンプリング設備等を設けること。

針」第4章「監視、連絡設備」4.3「ガス漏えい検知警報設備等」4.3.2「ガス漏えい検知

警報設備の機能、構造基準」による。

なお、目盛精度は、フルスケールの±5%以内とすること。

10.4.4 監視設備

貯槽を設置する区域に監視設備を設ける場合は次によること。*1

(1) 監視方法は工業用テレビ(ITV)によること。

(2) 監視部は計器室に設けること。

【解 説】

*1 LNGポンプ、受入れ配管等の防液堤内主要設備が監視できる位置に設けることが望まし

い。

10.4.5 保安通信設備

緊急時に迅速に処置することができる部署と貯槽を設置する地域との間に、構内電話、ペー

ジング設備、インターホーン又は火災報知設備(自動又は手動)等を設置すること。

10.4.6 内外槽間のガス検知設備

貯槽の外槽には、内外槽間のガスを検知できるよう、サンプリング設備等を設けること。

パブコメ用ドラフト

- 280 -

第 10章 保安

第 10 章 -22-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

10.5 拡大防止設備

10.5.1 遮断装置

10.5.1.1 遮断装置の設置基準

(1) 貯槽の液化ガスを送り出し、又は受入れるために用いられる配管(当該貯槽から液化ガス

の流出のおそれのない構造*(1)のものを除く。)には、液化ガスが漏洩した場合の災害の発

生を防止するため、液化ガスの流出及び流入を速やかに遮断することができる適切な装置

を適切な箇所に設けること。

ただし、次に示す規定に従うこと。

(a) 容積が 5,000L 未満の貯槽

遠隔操作弁*(2)等、当該貯槽の防液堤の外面で操作できるものとする。

(b) 容積が 5,000L 以上の貯槽

次の(ⅰ)から(ⅲ)によること。

(ⅰ)緊急遮断装置は、当該貯槽の防液堤の外面で操作できるものとする。

(ⅱ)緊急遮断装置は当該貯槽の遮断装置として設置する手動弁*(3)又は遠隔操作弁等の外

側のできるだけ当該貯槽に近い位置に設けること。

(ⅲ)逆止弁を緊急遮断装置として代用してはならない。

(2) 緊急遮断装置は、貯槽等の沈下又は浮上、配管の熱膨張及び地震の影響を考慮して設置*(4)

すること。

(3) 緊急遮断装置は、計器室から操作を行える措置を講ずること。

【関連条項】

省令第 36 条(液化ガス用貯槽の遮断装置)

解釈例第 93 条(液化ガス用貯槽の遮断装置)

【解 説】

*(1) 「当該貯槽から液化ガスの流出のおそれのない構造」とは、取り出し口が最高液面以

上に設置されている配管又は気相部の圧力によって液化ガスの流出のおそれのない配

管をいう。

*(2) 「遠隔操作弁」は、必要に応じ制限トルクの超過を防止する安全装置を備えたものを

用い、適正な作動ストロークに調節する。

*(3) 「手動弁」は、その操作にあたって、過大な力を加えないようにするため、直接手で操

作することを原則とする。ただし、直接手で操作することが困難であるバルブにあって

は、当該バルブの材質、構造に対して十分安全であることを確認したハンドル廻し等を

使用することができる。

*(4) 貯槽等と緊急遮断装置との間で破損が生じない様に、貯槽等と緊急遮断装置の基礎

を一体化する、各種の変位を考慮した配管計画を行う等の措置を行うこと。

10.5 拡大防止設備

10.5.1 遮断装置

10.5.1.1 遮断装置の設置基準

(1) 貯槽の液化ガスを送り出し、又は受入れるために用いられる配管(当該貯槽から液化ガ

スの流出のおそれのない構造*1のものを除く。)には、液化ガスが漏洩した場合の災害の発

生を防止するため、液化ガスの流出及び流入を速やかに遮断することができる適切な装置

を適切な箇所に設けること。

ただし、次に示す規定に従うこと。

(a) 容積が 5,000L未満の貯槽

遠隔操作弁*2等、当該貯槽の防液堤の外面で操作できるものとする。

(c) 容積が 5,000L以上の貯槽

次の(ⅰ)から(ⅲ)によること。

(ⅰ) 緊急遮断装置は、当該貯槽の防液堤の外面で操作できるものとする。

(ⅱ) 緊急遮断装置は当該貯槽の遮断装置として設置する手動弁*3又は遠隔操作弁等の

外側のできるだけ当該貯槽に近い位置に設けること。

(ⅲ) 逆止弁を緊急遮断装置として代用してはならない。

(2) 緊急遮断装置は、貯槽等の沈下又は浮上、配管の熱膨張及び地震の影響を考慮して設置

*4すること。

(3) 緊急遮断装置は、計器室から操作を行える措置を講ずること。

【関連条項】

省令第 36 条(液化ガス用貯槽の遮断装置)

解釈例第 93 条(液化ガス用貯槽の遮断装置)

【解 説】

*1 「当該貯槽から液化ガスの流出のおそれのない構造」とは、取り出し口が最高液面以

上に設置されている配管又は気相部の圧力によって液化ガスの流出のおそれのない配

管をいう。

*2 「遠隔操作弁」は、必要に応じ制限トルクの超過を防止する安全装置を備えたものを

用い、適正な作動ストロークに調節する。

*3 「手動弁」は、その操作にあたって、過大な力を加えないようにするため、直接手で

操作することを原則とする。ただし、直接手で操作することが困難であるバルブにあ

っては、当該バルブの材質、構造に対して十分安全であることを確認したハンドル廻

し等を使用することができる。

*4 貯槽等と緊急遮断装置との間で破損が生じない様に、貯槽等と緊急遮断装置の基礎を

一体化する、各種の変位を考慮した配管計画を行う等の措置を行うこと。

パブコメ用ドラフト

- 281 -

第 10章 保安

第 10 章 -23-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

10.5.1.2 緊急遮断装置の構造等

(1) 緊急遮断装置の操作機構は、遮断装置の構造に応じて、液圧*(1)、気圧*(1)、電気*(1)又はバ

ネ等を動力源として用いるものとし、緊急時に速やかに*(2)ガス又は液化ガスを遮断できる

ものとすること。

(2) 緊急遮断装置の遮断操作は、簡単であるとともに確実かつ速やかに行うことができるこ

と。

(3) 緊急遮断装置の遮断操作を行う位置で、緊急遮断装置の開閉状態が容易に確認できない

場合は、開閉状態を示すシグナルランプ等の表示を、操作盤等に設けること。

【解 説】

*(1) 停電時等において保安電力等により使用できるものとする。

*(2) 緊急遮断装置の遮断時間は、できるかぎり短くしなければならないが、緊急遮断装

置の構造、駆動方法及び急激な閉止によるウォーターハンマー等を十分考慮して決め

ること。

10.5.2 防液堤等

10.5.2.1 防液堤の設置基準*(1)

貯蔵能力が適用法規で定める規定値以上のLNG地上式貯槽には、当該貯槽から液化ガス

が漏洩した場合の災害の発生を防止するため、その周囲に 10.5.2.2 から 10.5.2.4 の基準に

より適切な防液堤を設けること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)

【解 説】

*(1) 貯蔵能力が適用法規で定める規定値未満で防液堤を設置しないものであっても、付

属配管等からの漏洩が発生した際に液面が広範囲に拡大するおそれがある場合は、液

面の拡大を防止する措置を講ずることが望ましい。

10.5.2.2 防液堤の容量

防液堤の容量は、次の基準によること。

(1) 1基の貯槽を1基の防液堤に設置する場合

防液堤の容量は、貯槽内の液化ガスが瞬時に流出した場合に液体として残留する量(以下

10.5.1.2 緊急遮断装置の構造等

緊急遮断装置*1の構造等は、JGA指-103-16「製造所保安設備設置指針」第5章「拡大防止

設備」5.1「遮断設備」5.1.2「緊急遮断装置の構造等」による。

【解 説】

*1 停電時等において保安電力等により使用できるものとする。

10.5.2 防液堤等

10.5.2.1 防液堤の設置基準

防液堤の設置基準は、JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指針」第5章「拡大防止設

備」5.3「防液堤」5.3.1「防液堤の設置基準」による。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)第1項

解釈例第 95 条(防液堤)

10.5.2.2 防液堤の容量

パブコメ用ドラフト

- 282 -

第 10章 保安

第 10 章 -24-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

「貯槽能力相当容量*(1)」という。)を全量収容できるものとすること。

(2) 2基以上*(2)の貯槽を同一防液堤内に設置する場合(貯槽ごとに、(b)に示す間仕切りを設

けた場合に限る。)

(a) 防液堤の容量は、当該防液堤内の貯槽のうち最大貯槽の貯蔵能力相当容量に他の貯槽

の貯蔵能力相当容量の合計の 10%を加えて得られた容量以上を全量収容できるものとす

ること。

(b) 間仕切りは、集合防液堤の容量に当該集合防液堤内に設置された貯蔵能力相当容量の

合計に対する1の貯槽の貯蔵能力相当容量の割合を乗じて得られた容量に応じて設ける

ものとし、その高さは防液堤より 10cm下げたものとすること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)

【解 説】

*(1) 「貯蔵能力相当容量」とは、解釈例第 95第2項で示されるように、貯蔵能力を容積

に換算した量から貯槽の圧力が解放される時に気化する液化ガスの容積を減じて得ら

れる量をいう。

110 VCνV =

ここに、 0V :貯蔵能力相当容量(L)

ν:1

1C :その容積に対する液化ガスを貯蔵する部分の容積の比の値

1V :内槽の幾何容積(L)

*(2) 1の防液堤内に2基以上の貯槽を設置する場合は、防災活動を十分考慮した上で設

置数及びその配置を定めること。

10.5.2.3 防液堤の位置*(1)

外槽と防液堤との距離は、保守点検及び防災活動を行うに十分なものとすること。ただし、

PCLNG貯槽にあってはこの限りでない。

防液堤の容量は、JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指針」第5章「拡大防止設備」

5.3「防液堤」5.3.2「防液堤の容量」による。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)第1項

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第一号、第二号、第2項、第3項

10.5.2.3 防液堤の位置

防液堤の位置は、JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指針」第5章「拡大防止設備」5.3

「防液堤」5.3.3「防液堤の位置」による。

パブコメ用ドラフト

- 283 -

第 10章 保安

第 10 章 -25-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)

【解 説】

*(1) 貯蔵能力が適用法規で定める規定値未満の貯槽の周囲に防液堤を設置する場合にも

10.5.2.3の基準によることが望ましい。

10.5.2.4 防液堤等の構造*(1)*(2)

(1) 防液堤には、50mに1箇所以上階段、はしご又は土砂の盛り上げ等により昇降のための措

置を講ずること。防液堤の長さが 100m未満の場合にあっては分散して2箇所以上とする。

ただし、PCLNG貯槽にあってはこの限りでない。

(2) 防液堤外において排水及びそのしゃ断の操作ができる排水装置を設けること。ただし、P

CLNG貯槽にあってはこの限りでない。

(3) 防液堤内に出入りする配管は、原則として防液堤を乗り越すように設けること。やむを得

ず防液堤を貫通して配管を設ける場合には、配管の貫通部は耐震性を考慮するとともに、貫

通部からの漏えい防止及び防食の措置を講ずること。

(4) 防液堤に付帯して設置する排水装置にはその開閉状態がわかるような表示を行うこと。

なお、ポンプを使用する排水装置にあっては、そのポンプの運転又は停止の状態がわかるも

のとすること。

(5) 屋根外面の配管から液化ガスの漏えいのおそれがある個所に防液措置を講ずる場合、そ

の措置は漏えい量及び温度に対し十分なものであること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*(1) 貯蔵能力が適用法規で定める規定値未満の貯槽の周囲に防液堤を設置する場合にも

10.5.2.4の基準によることが望ましい。

*(2) 防液堤内をさらに小区画(サブダイク)に区切ること及び防液堤内に集液槽(ポン

ド)を設けることは、貯槽、付属配管等から液化ガスが流出した場合に流出液化ガスの

拡大を防ぐ上で有効である。

10.5.3 防消火設備*(1)

10.5.3.1 防火設備の基準

貯槽には、次の基準により、防火設備*(2)を設置すること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)第1項

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第三号

10.5.2.4 防液堤等の構造*1*2

(1) 防液堤には、50m に1箇所以上階段、はしご又は土砂の盛り上げ等により昇降のための

措置を講ずること。防液堤の長さが 100m未満の場合にあっては分散して2箇所以上とする。

ただし、PCLNG貯槽にあってはこの限りでない。

(2) 防液堤外において排水及びそのしゃ断の操作ができる排水装置を設けること。ただし、

PCLNG貯槽にあってはこの限りでない。

(3) 防液堤内に出入りする配管は、原則として防液堤を乗り越すように設けること。やむを

得ず防液堤を貫通して配管を設ける場合には、配管の貫通部は耐震性を考慮するとともに、

貫通部からの漏えい防止及び防食の措置を講ずること。

(4) 防液堤に付帯して設置する排水装置にはその開閉状態がわかるような表示を行うこと。

なお、ポンプを使用する排水装置にあっては、そのポンプの運転又は停止の状態がわかるも

のとすること。

(5) 屋根外面の配管から液化ガスの漏えいのおそれがある個所に防液措置を講ずる場合、そ

の措置は漏えい量及び温度に対し十分なものであること。

【関連条項】

省令第 38 条(防液堤)第1項

解釈例第 95 条(防液堤)第1項第四号ロ

【解 説】

*1 貯蔵能力が 1,000t(特定事業所に設置される場合にあっては 500t)未満の貯槽の周囲に

防液堤を設置する場合にも 10.5.2.4の基準によることが望ましい。

*2 防液堤内をさらに小区画(サブダイク)に区切ること及び防液堤内に集液槽(ポンド)を

設けることは、貯槽、付属配管等から液化ガスが流出した場合に流出液化ガスの拡大を

防ぐ上で有効である。

10.5.3 防消火設備*1

10.5.3.1 防火設備の基準

貯槽には、次の基準により、防火設備*2を設置すること。

パブコメ用ドラフト

- 284 -

第 10章 保安

第 10 章 -26-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

(1) 防火設備の設置基準

(a) 防液堤の外面から 40m以内に2箇所以上の水消火栓を設けていること。

(b) 貯槽を設置する地区内で周囲の通路に近接した場所に設け、消火栓の相互間距離は、歩

行距離 70m以内とすること。

(2) 防火設備の性能基準

水消火栓*(3)は、筒先*(4)、ホース、ハンドル等の放水器具を備えたものであって、放水ノ

ズルの筒先圧力が 0.34MPa以上で、放水能力が 400L/min以上のものとすること。

【解 説】

*(1) 貯槽には拡大防止設備として、防消火設備のほか、さらにガスの拡散を制御するため

の設備を設けることが有効である。

ここで「ガスの拡散を制御するための設備」とは、貯槽、付属配管等より液化ガ

スが流出した場合に、その蒸発を抑制するために防液堤内に敷設する断熱材及び蒸

発したガスの分散、希釈をはかるためのウォーターカーテン、高発泡泡沫装置等を

いう。

*(2) 「防火設備」とは、水消火栓、散水設備、固定式放水銃、ウォーターカーテン、消防

車及び屋外給水施設をいい、火災による類焼を防止するためのものをいう。

*(3) 水消火栓は、その設置場所の気候等の条件を考慮して、必要な凍結防止措置を講ずる

こと。

*(4) 「筒先」には、移動式放水銃も含まれる。

10.5.3.2 防火用水等供給設備の基準

防火用水等供給設備は、次の基準によること。

(1) 水消火栓4個以上の水量及び散水設備の固定散水量を 30分以上継続して供給できる水量

を保有すること*(1)。

(2) 防火用水等供給設備の弁*(2)は、当該貯槽の態様に応じ、安全な位置に設置され、又は遠

隔操作で開閉することができるものとすること。

【解 説】

*(1) 必要な量の防水用水等を保有する方法としては、原則として次の(a)又は(b)による。

(a) 必要な水量全量を水槽により保有する方法

(b) 海、河川又は湖沼を水源とする方法

ただし、これらの方法によることが困難な場合には、必要な水量全量を保有してい

ない水槽に対して不足する量を上水、工水、井水等で補給することにより必要な水量

を確保する方法をとることができる。

*(2) 「防火用水等供給設備の弁」とは、防火用水ポンプまわりの弁、散水設備又は固定式

放水銃の操作弁をいう。

(1) 防火設備の設置基準

(a) 防液堤の外面から 40m以内に2箇所以上の水消火栓を設けていること。

(b) 貯槽を設置する地区内で周囲の通路に近接した場所に設け、消火栓の相互間距離は、

歩行距離 70m以内とすること。

(2) 防火設備の性能基準

水消火栓*3は、筒先*4、ホース、ハンドル等の放水器具を備えたものであって、放水ノズ

ルの筒先圧力が 0.34MPa以上で、放水能力が 400L/min以上のものとすること。

【解 説】

*1 貯槽には拡大防止設備として、防消火設備のほか、さらにガスの拡散を制御するため

の設備を設けることが有効である。

ここで「ガスの拡散を制御するための設備」とは、貯槽、付属配管等より液化ガ

スが流出した場合に、その蒸発を抑制するために防液堤内に敷設する断熱材及び蒸

発したガスの分散、希釈をはかるためのウォーターカーテン、高発泡泡沫装置等を

いう。

*2 「防火設備」とは、水消火栓、散水設備、固定式放水銃、ウォーターカーテン、消防

車及び屋外給水施設をいい、火災による類焼を防止するためのものをいう。

*3 水消火栓は、その設置場所の気候等の条件を考慮して、必要な凍結防止措置を講ずる

こと。

*4 「筒先」には、移動式放水銃も含まれる。

10.5.3.2 防火用水等供給設備の基準

防火用水等供給設備は、次の基準によること。

(1) 水消火栓4個以上の水量及び散水設備の固定散水量を 30 分以上継続して供給できる水

量を保有すること。*1

(2) 防火用水等供給設備の弁*2は、当該貯槽の態様に応じ、安全な位置に設置され、又は遠

隔操作で開閉することができるものとすること。

【解 説】

*1 必要な量の防水用水等を保有する方法としては、原則として次の(a)又は(b)による。

(a) 必要な水量全量を水槽により保有する方法

(b) 海、河川又は湖沼を水源とする方法

ただし、これらの方法によることが困難な場合には、必要な水量全量を保有してい

ない水槽に対して不足する量を上水、工水、井水等で補給することにより必要な水量

を確保する方法をとることができる。

*2 「防火用水等供給設備の弁」とは、防火用水ポンプまわりの弁、散水設備又は固定式放

水銃の操作弁をいう。

パブコメ用ドラフト

- 285 -

第 10章 保安

第 10 章 -27-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

10.5.3.3 消火設備の基準

貯槽には、その規模に応じて、適切な消火設備*(1)*(2)*(3)を適切な箇所に設けること。

【関連条項】

省令第8条(防消火設備)

解釈例第5条(防消火設備)第1項第一号ロ(3)

【解 説】

*(1) 「消火設備」とは、消火薬剤を放射する設備をいい、直接消火するためのものをい

う。

*(2) 消火器の総能力において、例えば能力単位 B-10(消火器の技術上の規格を定める省

令(昭和 39 年自治省令第 27号)に基づき定められたものをいう。)の3個は、B-15の

2個に相当する。

*(3) 可搬性又は動力車搭載のものであって B-10以上のものであること。

10.5.4 耐熱措置*(1)*(2)

貯槽及びその支持物には、当該設備が受けるおそれのある熱に対し十分に耐えるものとし、

又は適切な冷却装置を設置すること。

【関連条項】

省令第 37 条(耐熱措置)

解釈例第 94 条(耐熱措置)第1項、第2項

【解 説】

*(1) 冷却用散水装置の散水量を計算する際に用いる「貯槽及び支持物の表面積」とは、火

災発生時に外部より熱の侵入を受ける最外面の表面積とする。断熱材又はコンクリー

トで被覆されている場合は、断熱材又はコンクリートの外装表面積とする。ただし、

10.2.5 解説*(2)に示す耐火構造貯槽及び準耐火構造貯槽の基準により断熱材又はコ

ンクリートで被覆された部分を除く。

*(2) 冷却用散水装置は、防液堤が設置されている場合はその外側から操作できるものと

する。

10.5.3.3 消火設備の基準

消火設備*1の基準は、JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指針」第5章「拡大防止設備」

5.4「防消火設備」5.4.4「消火設備の基準」による。

【関連条項】

省令第8条(防消火設備)

解釈例第5条(防消火設備)第1項第一号ロ(3)

【解 説】

*1 消火設備は、可搬性又は動力車搭載のものであって B-10以上のものであること。

10.5.4 耐熱措置

耐熱措置*1は JGA 指-103-16「製造所保安設備設置指針」第5章「拡大防止設備」5.5「耐

熱措置」5.5.1「液化ガス用貯槽の耐熱措置」による。

【関連条項】

省令第 37 条(耐熱措置)

解釈例第 94 条(耐熱措置)第1項、第2項

【解 説】

*1 冷却用散水装置は、防液堤が設置されている場合はその外側から操作できるものとす

る。

パブコメ用ドラフト

- 286 -

第 11 章 -1-

「第 11 章 維持管理」においての記載内容

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

第11章 維持管理

11.1 一 般 ······················································· 285

11.2 点検及び検査 ··················································· 285

11.3 運転管理 ······················································· 294

第11章 維持管理

11.1 一 般 ·······················································285

11.2 点検及び検査 ···················································285

11.3 運転管理 ·······················································294

パブコメ用ドラフト

- 287 -

第 11章 維持管理

第 11 章 -2-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

11.1 一 般

LNG地上式貯槽及び付属設備の機能を正常に維持、運用するために使用開始後の維持管理

*(1)及び運転管理について規定する。

【解 説】

*(1) 設備の維持管理は外観目視点検及び検査が重要であるため、これらの点検及び検

査が容易に行えるように、計画、設計、建設段階よりレイアウト及び機器、歩廊、

ステージ等の配置に配慮すること。

11.2 点検及び検査

(1) 原則として表11-1に基づいて点検*(1)及び検査*(2)の対象部位、項目、方法、周期等を具体

的に定めた維持管理基準を作成し*(3)、その基準に従い点検及び検査を実施し、状況に応じ

て必要な措置*(4)を講ずること*(5)*(6)。

(2) 点検及び検査の記録用紙の様式を対象部位ごとに定め、点検及び検査の結果を記録するこ

と*(7)。

(3) 記録は初期データを含め、対象部位ごとに期間を定めて保管*(8)し、維持管理に活用する

こと。

表11-1 点検及び検査の部位、項目、方法及び周期

点検・検査

部位

点検・検査

項目

点検・検査

方法

点検 検査

備考 1回/

1日

1回/

6ヶ月

1回/

1年

1回/

2年

1回/

3年

表示 外観 目視 ○

誤操作防止

措置

外観 目視

○ 表示と開閉状態

の照合等

点灯状況 目視 ○ 保安用照明

ガスの置換

装置 外観 目視

置換用ノズル、バ

ルブの設置状況

安全弁 外観 目視 ○

作動状況 圧力計 ○ 作動圧力の確認

負圧防止措置 外観 目視 ○

真空安全弁 作動状況 圧力計 ○

電気設備

防爆構造 外観 目視

設備本体の点検

周期に合わせて

実施してもよい

11.1 一 般

LNG地上式貯槽及び付属設備の機能を正常に維持、運用するために使用開始後の維持管理

*1及び運転管理について規定する。

【解 説】

*1 設備の維持管理は外観目視点検及び検査が重要であるため、これらの点検及び検

査が容易に行えるように、計画、設計、建設段階よりレイアウト及び機器、歩廊、

ステージ等の配置に配慮すること。

11.2 点検及び検査

(1) 原則として表11-1に基づいて点検*1及び検査*2の対象部位、項目、方法、周期等を具

体的に定めた維持管理基準を作成し*3、その基準に従い点検及び検査を実施し、状況に応じ

て必要な措置*4を講ずること*5*6。

(2) 点検及び検査の記録用紙の様式を対象部位ごとに定め、点検及び検査の結果を記録する

こと*7。

(3) 記録は初期データを含め、対象部位ごとに期間を定めて保管*8し、維持管理に活用する

こと。

表11-1 点検及び検査の部位、項目、方法及び周期

点検・検査

部位

点検・検査

項目

点検・検査

方法

点検 検査

備考 1回/

1日

1回/

6ヶ月

1回/

1年

1回/

2年

1回/

3年

表示 外観 目視 ○

誤操作防止

措置

外観 目視

○ 表示と開閉状態

の照合等

点灯状況 目視 ○ 保安用照明

ガスの置換

装置 外観 目視

置換用ノズル、バ

ルブの設置状況

安全弁 外観 目視 ○

作動状況 実作動他 ○ 作動圧力の確認

負圧防止措置 外観 目視 ○

真空安全弁 機能 実作動他 ○

電気設備

防爆構造 外観 目視

設備本体の点検

周期に合わせて

実施してもよい

パブコメ用ドラフト

- 288 -

第 11章 維持管理

第 11 章 -3-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

表11-1 (続き)

点検・検査

部位

点検・検査

項目

点検・検査

方法

点検 検査

備考 1回/

1日

1回/

6ヶ月

1回/

1年

1回/

2年

1回/

3年

静電気除去

措置

外観 目視

雷保護システム

を含む

接地抵抗 接地抵抗

測定器

貯槽内液

液位 液面計 ○

液面計器差 模擬入力他 ○

温度 温度計 ○

気相部

圧力 圧力計 ○

圧力計器差 模擬入力他 ○

温度 温度計 ○

内外槽間

圧力 圧力計 ○

圧力計器差 模擬入力他 ○

ガス検知 ガス検知器 ○

底部加温装置 温度 温度計 ○

警報装置 作動状況 模擬入力他 ○

ガス検知警報

設備

外観 目視

作動状況 サンプルガス

保安通信

設備 作動状況 実作動

遮断装置 外観 目視 ○

作動状況 開閉動作 ○

防液堤 外観 目視 ○

レベル測定 レベル計 ○

防液堤内の

排水装置

排水状況 目視 ○ PCLNG貯槽

は除く 外観 目視 ○

防火設備 外観 目視 ○

水消火栓 作動状況 実作動 ○

消火設備 外観 目視 ○

粉末消火器 機能 機能検査 ○

耐熱散水設備 外観 目視 ○

作動状況 実作動 ○

アンカー 外観 目視

○ PCLNG貯槽

は除く

外槽 外観 目視 ○ ○

表11-1 (続き)

点検・検査

部位

点検・検査

項目

点検・検査

方法

点検 検査

備考 1回/

1日

1回/

6ヶ月

1回/

1年

1回/

2年

1回/

3年

静電気除去

措置

外観 目視 ○

機能

接地抵抗

測定

雷保護

システム

外観 目視 ○

機能

接地抵抗

測定

貯槽内液

液位 液面計 ○

液面計機能 模擬入力他 ○

温度 温度計 ○

気相部

圧力 圧力計 ○

圧力計機能 模擬入力他 ○

温度 温度計 ○

内外槽間

圧力 圧力計 ○

圧力計機能 模擬入力他 ○

ガス検知 ガス検知器 ○

底部加温装置 温度 温度計 ○

警報装置 作動状況 模擬入力他 ○

ガス漏えい

検知警報設備

外観 目視 ○

作動状況 サンプルガス ○

低温検知

警報設備

外観 目視 ○

作動状況 模擬入力他 ○

火炎検知

警報設備

外観 目視 ○

作動状況 模擬入力他 ○

保安通信

設備 作動状況 実作動

遮断装置 外観 目視 ○

作動状況 実作動 ○

防液堤 外観 目視 ○

レベル測定 レベル計 ○

防液堤内の

排水装置

排水状況 目視 ○ PCLNG貯槽

は除く 外観 目視 ○

防火設備 外観 目視 ○

水消火栓 作動状況 実作動 ○

消火設備 外観 目視 ○

粉末消火器 機能 機能検査 ○

耐熱散水設備 外観 目視 ○

作動状況 実作動 ○

アンカー 外観 目視

○ PCLNG貯槽

は除く

外槽 外観 目視 ○ ○

パブコメ用ドラフト

- 289 -

第 11章 維持管理

第 11 章 -4-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

基礎 外観 目視 ○

レベル測定 レベル計 ○

ブリージング

タンク

在量 在量計 ○

圧力 圧力計 ○

外観 目視 ○ ○

【解 説】

*(1) 点検とは、主として目視等の五感により、運転状況、外面からの損傷、漏えい、

汚れ、振動、異音及び取付状況等を点検することをいう。

*(2) 検査とは、主として検査機器を使用して、一定期間毎に各部位の計測又は作動状

況等を検査することをいう。ただし外観検査は検査機器を使用せず目視により実施

する場合を含む。

*(3) 点検及び検査の一例を解表11-1から解表11-5に示す。

なお、プロセス又は設備を変更した場合は維持管理基準を改正すること。

*(4) 必要な措置には、開放して検査する場合も含むものとする。

*(5) 地震、台風等の後は、状況に応じて臨時点検を行うこと。

*(6) 供用中の製造設備の合理的な維持管理方法として、JGA指-109-07「容器・配管の

腐食及び疲労割れに関する検査・評価・補修指針」等がある。

*(7) 点検等により異常が発見されたときのみ記録を残す場合も、記録されていること

とみなす。

*(8) 設計計算書、完成図面、建設記録、検査成績書、機器取扱説明書等は本章で規定

する点検及び検査の記録とは別に保管し、維持管理及び運転管理に活用すること。

基礎 外観 目視 ○

レベル測定 レベル計 ○

ブリージング

タンク

在量 在量計 ○

圧力 圧力計 ○

外観 目視 ○ ○

【解 説】

*1 「点検」とは、1日1回以上、現場にて主として目視等により、運転状況、外面

からの損傷、漏えい、汚れ、振動、異音及び取付状況等を確認することをいう。な

お「1日1回以上」とは、保安確保のために標準的に定める頻度である。ただし、

これはガス事業者の保安レベル等の実状に応じて合理的な理由があれば保安規程

の考え方に基づき変更することができる。

*2 「検査」とは、一定期間毎に、主として検査機器を使用して、各部位の計測又は

作動状況等を確認することをいう。ただし外観検査は検査機器を使用せず目視によ

り実施する場合を含む。

*3 点検及び検査の一例を解表11-1から解表11-5に示す。

なお、プロセス又は設備を変更した場合は維持管理基準を改正すること。

*4 必要な措置には、開放して検査する場合も含むものとする。

*5 地震、津波、台風等の後は、状況に応じて臨時点検を行うこと。

*6 供用中の製造設備の合理的な維持管理方法として、JGA指-109-17「容器・配管の

腐食及び疲労割れに関する検査・評価・補修指針」等がある。

*7 点検等により異常が発見されたときのみ記録を残す場合も、記録されていること

とみなす。

*8 設計計算書、完成図面、建設記録、検査成績書、機器取扱説明書等は本章で規定

する点検及び検査の記録とは別に保管し、維持管理及び運転管理に活用すること。

パブコメ用ドラフト

- 290 -

第 11章 維持管理

第 11 章 -5-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解表11-1 点検(1回/1日)

点検部位 点検項目 点検方法 判定及び処置

誤操作防止措置

(保安用照明) 点灯状況

点灯状況について異常

がないか確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やかに

原因を調査して修理等の状況に応じ

た処置をする。

貯槽内液

液位

液面計により貯槽内液

の液面の指示が最低液位

から最高液位までの間に

あることを確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 指示に異常が認められた場合は、速

やかに原因を調査して状況に応じた

処置をする。

温度

温度計の指示を確認す

る。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 指示に異常が認められた場合は、速

やかに原因を調査して状況に応じた

処置をする。

気相部

圧力

圧力計により気相部の

圧力の指示が異常に上昇

又は低下していないか確

認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 指示に異常が認められた場合は、速

やかに原因を調査して状況に応じた

処置をする。

温度

温度計の指示を確認す

る。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 指示に異常が認められた場合は、速

やかに原因を調査して状況に応じた

処置をする。

内外槽間 圧力

圧力計により、内外槽

間の圧力が異常に上昇又

は低下していないか確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 指示に異常が認められた場合は、速

やかに原因を調査して状況に応じた

処置をする。

底部加温装置 温度

温度計により、熱媒の

温度が異常に上昇又は低

下していないか確認す

る。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 指示に異常が認められた場合は、速

やかに原因を調査して機器の修理等

の状況に応じた処置をする。

防液堤内の排水装置

(PCLNG貯槽は

除く)

排水状況

防液堤内に水が溜まっ

ていないことを確認す

る。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 水が溜まっている場合は排水する。

外槽 外観

目視により、変形、そ

の他異常の有無を確認す

る。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やかに

原因を調査して状況に応じた処置を

する。

ブリージング

タンク

在量

在量計により、窒素ガス

の在量が異常に増加又は

減少していないか確認す

る。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 指示に異常が認められた場合は、速

やかに原因を調査して窒素ガスの補

給等状況に応じた処置をする。

圧力

圧力計により窒素ガス

の圧力指示を確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 指示に異常が認められた場合は、速

やかに原因を調査して窒素ガスの補

給等状況に応じた処置をする。

外観

目視により、変形、損傷、

その他異常の有無を確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やかに

原因を調査して状況に応じた処置を

する。

解表11-1 点検(1回/1日)

点検部位 点検項目 点検方法 判定及び処置

誤操作防止措置

(保安用照明) 点灯状況

点灯状況について異常

がないか確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やかに

原因を調査して修理等の状況に応じ

た処置をする。

貯槽内液

液位

液面計により貯槽内液

の液面の指示が最低液位

から最高液位までの間に

あることを確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 指示に異常が認められた場合は、速

やかに原因を調査して状況に応じた

処置をする。

温度

温度計の指示を確認す

る。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 指示に異常が認められた場合は、速

やかに原因を調査して状況に応じた

処置をする。

気相部

圧力

圧力計により気相部の

圧力の指示が異常に上昇

又は低下していないか確

認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 指示に異常が認められた場合は、速

やかに原因を調査して状況に応じた

処置をする。

温度

温度計の指示を確認す

る。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 指示に異常が認められた場合は、速

やかに原因を調査して状況に応じた

処置をする。

内外槽間 圧力

圧力計により、内外槽

間の圧力が異常に上昇又

は低下していないか確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 指示に異常が認められた場合は、速

やかに原因を調査して状況に応じた

処置をする。

底部加温装置 温度

温度計により、熱媒の

温度が異常に上昇又は低

下していないか確認す

る。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 指示に異常が認められた場合は、速

やかに原因を調査して機器の修理等

の状況に応じた処置をする。

防液堤内の排水装置

(PCLNG貯槽は

除く)

排水状況

防液堤内に水が溜まっ

ていないことを確認す

る。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 水が溜まっている場合は排水する。

外槽 外観

目視により、変形、そ

の他異常の有無を確認す

る。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やかに

原因を調査して状況に応じた処置を

する。

ブリージング

タンク

在量

在量計により、窒素ガス

の在量が異常に増加又は

減少していないか確認す

る。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 指示に異常が認められた場合は、速

やかに原因を調査して窒素ガスの補

給等状況に応じた処置をする。

圧力

圧力計により窒素ガス

の圧力指示を確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 指示に異常が認められた場合は、速

やかに原因を調査して窒素ガスの補

給等状況に応じた処置をする。

外観

目視により、変形、損傷、

その他異常の有無を確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やかに

原因を調査して状況に応じた処置を

する。

パブコメ用ドラフト

- 291 -

第 11章 維持管理

第 11 章 -6-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解表11-2 検査(1回/6ヶ月)

検査部位 検査項目 検査方法 判定及び処置

消火設備

(粉末消火器)

外観

目視により、次の事項を

確認する。

(1) 所定の能力の消火器

が必要数量以上設置さ

れていること。

(2) 消火器及び収納箱の

腐食、変形、損傷、その

他の異常の有無。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた消火器につい

ては、原因を調査して修理等の状

況に応じた処置をする。修理不可

能なものは廃棄し、必要数量分を

補填する。

機能

設置数及び経過年に応

じ、適切な抜き取りにより

消火器の分解点検、薬剤性

状及び放射能力の確認を

実施する。

解表11-2 検査(1回/6ヶ月)

検査部位 検査項目 検査方法 判定及び処置

消火設備

(粉末消火器)

外観

目視により、次の事項を

確認する。

(1) 所定の能力の消火器

が必要数量以上設置さ

れていること。

(2) 消火器及び収納箱の

腐食、変形、損傷、その

他の異常の有無。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた消火器につい

ては、原因を調査して修理等の状

況に応じた処置をする。修理不可

能なものは廃棄し、必要数量分を

補填する。

機能

設置数及び経過年に応

じ、適切な抜き取りにより

消火器の分解点検、薬剤性

状及び放射能力の確認を

実施する。

パブコメ用ドラフト

- 292 -

第 11章 維持管理

第 11 章 -7-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解表11-3 検査(1回/1年)

検査部位 検査項目 検査方法 判定及び処置

安全弁 外観

目視により変形、損傷、

その他の異常の有無を確

認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に応

じた処置をする。

静電気除去措置

(雷保護システムを

含む)

外観

目視により変形、損傷、

その他の異常の有無を確

認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に応

じた処置をする。

接地抵抗

接地抵抗測定器を用い、

接地線と大地間の抵抗値

を測定する。

(1) 静電接地設備の場合

(a) 100Ω以下であれば合格とする。

(b) 100Ωを超えた場合は、速やかに

原因を調査して、状況に応じた処

置をする。

(2) 雷保護システムの場合

(a) 規定値以下であれば合格とす

る。

(b) 規定値を超えた場合は、速やか

に原因を調査し、状況に応じた処

置をする。

内外槽間 ガス検知

内外槽間のガス検知を

行い異常の有無を確認す

る。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

ガス検知警報設備

外観

目視により、変形、損傷、

その他異常の有無を確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

作動状況

サンプルガスを使用し、

検知能力及び警報作動を

確認する。

次の(1)及び(2)を満足する性能であ

れば合格とする。

(1) 警報作動値が爆発限界の4

1以下。

(2) 警報作動時間は、警報設定値の1.6

倍の濃度において通常30秒以内。

解表11-3 検査(1回/1年)

検査部位 検査項目 検査方法 判定及び処置

安全弁 外観

目視により変形、損傷、

その他の異常の有無を確

認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に応

じた処置をする。

静電気除去措置

(接地、ボンディング

等)

外観

目視により変形、損傷、

その他の異常の有無を確

認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に応

じた処置をする。

機能

接地抵抗測定器を用い、

接地線と大地間の抵抗値

を測定する。

(1) 100Ω以下であれば合格とする。

(2) 100Ωを超えた場合は、速やかに原

因を調査して、状況に応じた処置

をする。

雷保護システム

(受雷部システム、

導線 等)

外観

目視により変形、損傷、

導線の断線、導線接続部の

異常、その他の異常の有無

を確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に応

じた処置をする。

機能

接地抵抗測定器を用い、

接地線と大地間の抵抗値

を測定する。

(1) 規定値以下であれば合格とする。

(2) 規定値を超えた場合は、速やかに

原因を調査し、状況に応じた処置

をする。

内外槽間 ガス検知

内外槽間のガス検知を

行い異常の有無を確認す

る。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

ガス漏えい

検知警報設備

外観

目視により、変形、損傷、

その他異常の有無を確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

作動状況

サンプルガスを使用し、

検知能力及び警報作動を

確認する。

次の(1)及び(2)を満足する性能であ

れば合格とする。

(1) 警報作動値が爆発限界の4

1以下。

(2) 警報作動時間は、警報設定値の1.6

倍の濃度において通常30秒以内。

低温検知警報設備

外観

目視により、変形、損傷、

その他異常の有無を確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

作動状況

模擬入力、その他の方法

により、確実に作動するこ

とを確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

火炎検知警報設備

外観

目視により、変形、損傷、

その他異常の有無を確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

作動状況

模擬入力、その他の方法

により、確実に作動するこ

とを確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

パブコメ用ドラフト

- 293 -

第 11章 維持管理

第 11 章 -8-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

保安通信設備 作動状況

実使用により正常に作

動することを確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に応

じた処置をする。

防液堤

外観

目視により、以下の事項

を確認する。

(1) 本体に亀裂、損傷、そ

の他の異常の有無。

(2) 周辺地盤に陥没、貫通

穴等の異常の有無。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に応

じた処置をする。

レベル測定

あらかじめ定められた

点の鉛直変位をレベル計

によって測定し、異常な沈

下がないことを確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

防液堤内の排水装置

(PCLNG貯槽は

除く)

外観

五感により、異音、振動、

その他異常の有無を確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

解表11-3 (続き)

検査部位 検査項目 検査方法 判定及び処置

防火設備

(水消火栓)

外観

目視により次の事項を

確認する。

(1) 変形、損傷、腐食、そ

の他の異常の有無。

(2) 消火栓箱内の所定の

ホース及び筒先の装備状

況。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に応

じた処置をする。

作動状況

同一の給水源を有する

ものより設置状況に応じ

適切に抜き取り、実作動に

よる放水検査を実施し、確

実に作動する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に応

じた処置をする。

耐熱散水設備

外観

目視により、変形、損傷、

腐食、その他異常の有無を

確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に応

じた処置をする。

作動状況

実作動により放水検査

を実施し、確実に作動する

ことを確認する。基地内に

貯槽を複数基設置してい

る場合は、1以上の抜き取

りによる。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に応

じた処置をする。

アンカー

(PCLNG貯槽は

除く)

外観

目視により、腐食、変形

その他異常の有無を確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

外槽 外観

目視により、次の事項を

確認する。

(1) 塗膜の損傷及び底板

の腐食防止措置等。

(2) 変形、損傷、腐食、着

霜、その他異常の有無。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

保安通信設備 作動状況

実使用により正常に作

動することを確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に応

じた処置をする。

防液堤

外観

目視により、以下の事項

を確認する。

(1) 本体に亀裂、損傷、そ

の他の異常の有無。

(2) 周辺地盤に陥没、貫通

穴等の異常の有無。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に応

じた処置をする。

レベル測定

あらかじめ定められた

点の鉛直変位をレベル計

によって測定し、異常な沈

下がないことを確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

防液堤内の排水装置

(PCLNG貯槽は

除く)

外観

五感により、異音、振動、

その他異常の有無を確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

解表11-3 (続き)

検査部位 検査項目 検査方法 判定及び処置

防火設備

(水消火栓)

外観

目視により次の事項を

確認する。

(1) 変形、損傷、腐食、そ

の他の異常の有無。

(2) 消火栓箱内の所定の

ホース及び筒先の装備状

況。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に応

じた処置をする。

作動状況

同一の給水源を有する

ものより設置状況に応じ

適切に抜き取り、実作動に

よる放水検査を実施し、確

実に作動する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に応

じた処置をする。

耐熱散水設備

外観

目視により、変形、損傷、

腐食、その他異常の有無を

確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に応

じた処置をする。

作動状況

実作動により放水検査

を実施し、確実に作動する

ことを確認する。基地内に

貯槽を複数基設置してい

る場合は、1以上の抜き取

りによる。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に応

じた処置をする。

アンカー

(PCLNG貯槽は

除く)

外観

目視により、腐食、変形

その他異常の有無を確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

外槽 外観

目視により、次の事項を

確認する。

(1) 塗膜の損傷及び底板

の腐食防止措置等。

(2) 変形、損傷、腐食、着

霜、その他異常の有無。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

パブコメ用ドラフト

- 294 -

第 11章 維持管理

第 11 章 -9-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

基礎

外観

目視により割れ、着霜、

その他異常の有無を確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

レベル測定

あらかじめ定められた

点の鉛直変位をレベル計

によって測定し、異常な沈

下がないことを確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

ブリージング

タンク 外観

目視により、次の事項を

確認する。

(1) 塗膜の損傷及び底板

の腐食防止措置等。

(2) 変形、損傷、腐食、そ

の他異常の有無。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

解表11-4 検査(1回/2年)

検査部位 検査項目 検査方法 判定及び処置

安全弁 作動状況

作動圧力が規定範囲内

にあることを確認する。

(1) 作動圧力が規定範囲内にある場

合は合格とする。

(2) 作動圧力が規定範囲から外れて

いる場合は、調整又は分解検査等を

実施し正常な値にする。

負圧防止措置

(真空安全弁)

外観

目視により、変形、損傷、

その他異常の有無を確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に

応じた処置をする。

機能

作動検査又は分解点検

等により、作動圧力が規定

範囲内にあることを確認

する。

遮断装置

外観

目視により、変形、損傷、

その他異常の有無を確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に

応じた処置をする。

作動状況

運転に支障のない範囲

で開閉操作を行い(遠隔操

作弁、緊急遮断弁について

は、遠隔操作による)、円

滑かつ確実に作動を行う

ことができることを確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して調整等の状況に

応じた処置をする。

基礎

外観

目視により割れ、着霜、

その他異常の有無を確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

レベル測定

あらかじめ定められた

点の鉛直変位をレベル計

によって測定し、異常な沈

下がないことを確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

ブリージング

タンク 外観

目視により、次の事項を

確認する。

(1) 塗膜の損傷及び底板

の腐食防止措置等。

(2) 変形、損傷、腐食、そ

の他異常の有無。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して状況に応じた処置

をする。

解表11-4 検査(1回/2年)

検査部位 検査項目 検査方法 判定及び処置

安全弁 作動状況

作動圧力が規定範囲内

にあることを確認する。

(1) 作動圧力が規定範囲内にある場

合は合格とする。

(2) 作動圧力が規定範囲から外れて

いる場合は、調整又は分解検査等を

実施し正常な値にする。

負圧防止措置

(真空安全弁)

外観

目視により、変形、損傷、

その他異常の有無を確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に

応じた処置をする。

機能

作動検査又は分解点検

等により、作動圧力が規定

範囲内にあることを確認

する。

遮断装置

外観

目視により、変形、損傷、

着霜、その他異常の有無を

確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に

応じた処置をする。

作動状況

運転に支障のない範囲

で開閉操作を行い(遠隔操

作弁、緊急遮断弁について

は、遠隔操作による)、円

滑かつ確実に作動を行う

ことができることを確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して調整等の状況に

応じた処置をする。

パブコメ用ドラフト

- 295 -

第 11章 維持管理

第 11 章 -10-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

解表11-5 検査(1回/3年)

検査部位 検査項目 検査方法 判定及び処置

表示 外観

目視により、表示が明確

であることを確認する。

(1) 明確である場合は合格とする。

(2) 明確でない場合は、補修等状況に

応じた処置をする。

誤操作防止措置 外観

目視により下記のこと

を確認する。

(1) バルブの開閉状態が

表示と同一であること。

(2) バルブ名称、開閉表

示、流体の種類及び方向

表示が明確なこと。

(3) 施錠、封印等の損傷の

無いこと。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に

応じた処置をする。

ガスの置換装置

(置換用ノズル、

バルブの設置状況)

外観

目視により、変形、損傷、

その他異常の有無を確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に

応じた処置をする。

電気設備防爆構造 外観

目視により、変形、損傷、

その他異常の有無を確認

する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に

応じた処置をする。

貯槽内液

(液面計) 液面計器差

模擬入力、その他の方法

により、計測機能が正常で

あることを確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して調整等の状況に

応じた処置をする。

気相部

(圧力計) 圧力計器差

模擬入力、その他の方法

により、計測機能が正常で

あることを確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して調整等の状況に

応じた処置をする。

内外槽間

(圧力計) 圧力計器差

模擬入力、その他の方法

により、計測機能が正常で

あることを確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して調整等の状況に

応じた処置をする。

警報装置

(気相部圧力及び

貯槽内液面に

係るもの)

作動状況

模擬入力、その他の方法

により、確実に作動するこ

とを確認する。

(1) 警報作動値が正常の場合は合格

とする。

(2) 警報作動値が正常でない場合は、

速やかに原因を調査して状況に応

じて調整等の処置をする。

解表11-5 検査(1回/3年)

検査部位 検査項目 検査方法 判定及び処置

表示 外観

目視により、表示が明確

であることを確認する。

(1) 明確である場合は合格とする。

(2) 明確でない場合は、補修等状況に

応じた処置をする。

誤操作防止措置 外観

目視により下記のこと

を確認する。

(1) バルブの開閉状態が

表示と同一であること。

(2) バルブ名称、開閉表

示、流体の種類及び方向

表示が明確なこと。

(3) 施錠、封印等の損傷の

無いこと。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に

応じた処置をする。

ガスの置換装置

(置換用ノズル、

バルブの設置状況)

外観

目視により、腐食、変形、

損傷、その他異常の有無を

確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に

応じた処置をする。

電気設備防爆構造 外観

目視により、腐食、変形、

損傷、その他異常の有無を

確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して修理等の状況に

応じた処置をする。

液面計

(貯槽内液) 機能

模擬入力、その他の方法

により、計測機能が正常で

あることを確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して調整等の状況に

応じた処置をする。

圧力計

(気相部、内外槽間) 機能

模擬入力、その他の方法

により、計測機能が正常で

あることを確認する。

(1) 異常のない場合は合格とする。

(2) 異常が認められた場合は、速やか

に原因を調査して調整等の状況に

応じた処置をする。

警報装置 作動状況

模擬入力、その他の方法

により、確実に作動するこ

とを確認する。

(1) 警報作動値が正常の場合は合格

とする。

(2) 警報作動値が正常でない場合は、

速やかに原因を調査して状況に応

じて調整等の処置をする。

パブコメ用ドラフト

- 296 -

第 11章 維持管理

第 11 章 -11-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

11.3 運転管理

貯槽及び付属設備を正常に運転するために、次に示す各段階ごとに管理項目*(1)、記録の様

式、記録の保存期間等を具体的に定めた運転管理基準を作成*(2)し、それに従って運転管理を

行うこと。

(1) スタートアップ時*(3)

(2) 液受入れ時*(4)

(3) 液払出し時*(5)

(4) 日常管理*(6)

(5) 緊急時*(7)

【解 説】

*(1) 液の受入れ回数についても記録すること。

*(2) プロセス又は設備を変更した場合は運転管理基準を改正し、その内容を速やかに

関係者に徹底させること。

*(3) スタートアップ時の作業には次のものが含まれる。

(a) 乾燥(ドライアップ)作業

(b) ガス置換作業

(c) 冷却(クールダウン)作業

(d) 液張り作業

*(4) 液受入れ時の運転管理項目の一例を解表11-6に示す。

解表11-6 液受入れ時の運転管理項目の例

作業 液受入れ時の運転管理項目

液受入れの準備作業

ローディングアームの作動確認

サンプリング設備の作動確認

桟橋防消火設備の作動確認

リターンガスブロワの作動確認

受入れ遮断弁の作動確認

受入れ対象貯槽内のLNGの性状確認

受入液(タンカー船積時)の性状確認

貯槽内液の液位の確認

液受入れ作業

船側との連絡による船側タンク圧力及びポンプ運転状況の確認

受入れ液のサンプリング及び分析

貯槽の圧力管理

ボイルオフガス発生量の確認

ボイルオフガス圧縮機の運転管理

リターンガスブロワの運転管理

貯槽内液の液位の確認

液受入れ後の監視

ボイルオフガス発生量の確認

貯槽の圧力管理

貯槽内液温の監視

貯槽内液の液位の確認

11.3 運転管理

貯槽及び付属設備を正常に運転するために、次に示す各段階ごとに管理項目*1、記録の様

式、記録の保存期間等を具体的に定めた運転管理基準を作成*2し、それに従って運転管理を

行うこと。

(1) スタートアップ時*3

(2) 液受入れ時*4

(3) 液払出し時*5

(4) 日常管理*6

(5) 緊急時*7

【解 説】

*1 液の受入れ回数についても記録すること。

*2 プロセス又は設備を変更した場合は運転管理基準を改正し、その内容を速やかに

関係者に徹底させること。

*3 スタートアップ時の作業には次のものが含まれる。

(1) 乾燥(ドライアップ)作業

(2) ガス置換作業

(3) 冷却(クールダウン)作業

(4) 液張り作業

*4 液受入れ時の運転管理項目の一例を解表11-6に示す。

解表11-6 液受入れ時の運転管理項目の例

作業 液受入れ時の運転管理項目

液受入れの準備作業

ローディングアームの作動確認

サンプリング設備の作動確認

桟橋防消火設備の作動確認

リターンガスブロワの作動確認

受入れ遮断弁の作動確認

受入れ対象貯槽内のLNGの性状確認

受入液(タンカー船積時)の性状確認

貯槽内液の液位の確認

液受入れ作業

船側との連絡による船側タンク圧力及びポンプ運転状況の確認

受入れ液のサンプリング及び分析

貯槽の圧力管理

ボイルオフガス発生量の確認

ボイルオフガス圧縮機の運転管理

リターンガスブロワの運転管理

貯槽内液の液位の確認

液受入れ後の監視

ボイルオフガス発生量の確認

貯槽の圧力管理

貯槽内液温の監視

貯槽内液の液位の確認

パブコメ用ドラフト

- 297 -

第 11章 維持管理

第 11 章 -12-

現行 LNG地上式貯槽指針 LNG地上式貯槽指針 改訂案

*(5) 液払出し時の運転管理項目の一例を解表11-7に示す。

解表11-7 液払出し時の運転管理項目の一例

作業 液払出し時の運転管理項目

液払出しの準備作業

貯槽内液の液位の確認

払出し配管遮断弁の全開確認

LNGポンプの起動条件の確認

液払出し作業

LNGポンプ起動

LNGポンプの吐出圧力・流量・電流値の確認

貯槽内液の液位の確認

貯槽の圧力管理

液払出し後の監視 貯槽内液の液位の確認

*(6) 日常管理項目の一例として、液位及び液温の確認、気相部の圧力及び温度の確認、

内外槽間圧力の確認、ブリージングタンク在量及び圧力の確認、底部加温装置の温

度確認がある。

*(7) 警報装置から警報が発せられた場合及び停電時、地震時等の緊急時を想定した運

転管理基準をそれぞれの場合について作成し、訓練を通じて関係者に内容を習熟さ

せておくこと。

*5 液払出し時の運転管理項目の一例を解表11-7に示す。

解表11-7 液払出し時の運転管理項目の一例

作業 液払出し時の運転管理項目

液払出しの準備作業

貯槽内液の液位の確認

払出し配管遮断弁の全開確認

LNGポンプの起動条件の確認

液払出し作業

LNGポンプ起動

LNGポンプの吐出圧力・流量・電流値の確認

貯槽内液の液位の確認

貯槽の圧力管理

液払出し後の監視 貯槽内液の液位の確認

*6 日常管理項目の一例として、液位及び液温の確認、気相部の圧力及び温度の確認、

内外槽間圧力の確認、ブリージングタンク在量及び圧力の確認、底部加温装置の温

度確認がある。

*7 警報装置から警報が発せられた場合及び停電時、地震時等の緊急時を想定した運

転管理基準をそれぞれの場合について作成し、訓練を通じて関係者に内容を習熟さ

せておくこと。

パブコメ用ドラフト

- 298 -