Upload
others
View
1
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
放射性物質の包括的移行状況調査
恩田裕一 (筑波大学生命環境系)田村憲司・辻村真貴・若原妙子・福島武彦・谷田貝亜紀代(筑波大学)北 和之(茨城大学)、山敷庸亮(京都大学)、吉田尚弘(東
京工業大学)高橋嘉夫(広島大学)
Cs-134,137, I-131放射性核種の存在量,下方浸透の実態把握
土壌侵食にともなう放射性核種の土壌側方移動の定量化
土壌から河川,湖沼,河川から海洋への放射性核種負荷量の算出Cs-134,137
ポータブルゲルマニウム検出器に野外での核種量測定
今後の放射性物質の移動の予測Air-Borne センサー校正に利用
流出土砂・流出水の測定
スクレーパープレートによる5mm間隔での核種存在量測定京都大京都大
筑波大筑波大
水の放射性核種の超高精度測定
気象研気象研
筑波大・東工大筑波大・東工大
2
東工大・茨城大・気象研東工大・茨城大・気象研
筑波大筑波大
筑波大・広島大筑波大・広島大
放射性物質を含む土壌微粒子の巻き上げの測定
移行過程の予測のための基礎データ・関係式, モデル研究のための初期値・パラメータを提供
森林から土壌への放射性核種の移行の実態解明
気象研気象研
筑波大・広島大筑波大・広島大
http://fmwse.suiri.tsukuba.ac.jp/
環境中での移行
6
ハイボリウムサンプラー:沈積した放射性物質の巻き上げ測定
ローボリウムサンプラー:沈積した放射性物質の巻き上げ測定
土壌侵食プロット:放射性核種の移動を観測
タワー:気象観測/放射線測定/ダスト収集/樹木から土壌への移行
雨量計:土砂の移動/レーダー等の検証
井戸:土壌水分から地下水への移行をモニタリング
三角堰―河川水・湧水サンプリング:土壌水>地下水>湧水>河川水移行調査
風向風速計:風向とともに風速を計測
川俣町 山木屋地区(計画的避難区域)
スクレーパープレイト
森林での核種分布状態・移行過程の解析
13
樹幹流、林内雨、リターの計測
●森林から土壌への放射性核種の移行の実態を解明する。
森林タワーにおけるポータブルゲルマニウム検出器を用いた放射能測定
広葉樹 スギ壮齢林 スギ若齢林 土壌水の採水
林床面モニタリング
http://fmwse.suiri.tsukuba.ac.jp/
樹幹流捕捉装置の取り付け風景
スギ若齢林の観測装置
観測タワーによる樹冠の放射能の測定風景
スギ壮齢林サイトの観測タワー
スギ若齢林サイトの観測タワー
広葉樹混合林サイトの観測タワー
21
タワー観測結果(スギ壮齢林)
22
タワー観測結果(スギ若齢林)
23
タワー観測結果(広葉樹林)
期間 スギ壮齢林の林内雨 スギ若齢林の林内雨 広葉樹混合林の林内雨
Cs-134濃度
Cs-137濃度
Cs-134濃度
Cs-137濃度
Cs-134濃度
Cs-137濃度
7月3日
~7月10日34.5 47.5 14.8 17.0 37.3 49.2
7月10日
~7月23日242.2 327.3 145.4 183.8 24.5 29.5
7月23日
~8月1日65.3 82.9 60.5 72.6 11.9 14.2
8月1日
~8月6日73.4 87.6 77.5 98.1 30.8 39.1
8月6日
~8月12日104.8 139.2 81.9 106.2 67.0 86.2
8月12日
~8月19日243.2 309.7 73.7 88.6 32.0 39.5
8月19日
~8月23日126.5 171.9 48.5 66.7 8.1 12.2
林内雨に含まれる放射性セシウムの濃度 (Bq/L)
期間 スギ林サイトの林外雨 広葉樹混合林サイトの林外雨
Cs-134濃度
Cs-137濃度
Cs-134濃度
Cs-137濃度
7月3日
~7月10日0.7 1.4 0.3 0.3
7月10日
~7月23日
7月23日
~8月1日 0.5 0.5 0.1 0.28月1日
~8月6日 0.4 0.3 0.3 0.3
林外雨に含まれる放射性セシウムの濃度 (Bq/L)
各サンプラーの雨量とCs濃度との関係
スギ若齢林の林床のリター被覆
林床の放射能の空間分布調査
2011/7/17 2011/9/8
若齢スギ林におけるポータブルGe検出器による2011/7/17と2011/9/8の林床137Cs放射能の比較
137Cs 放射能(CPS)
2011/7/17 2011/9/8
若齢スギ林おけるポータブルGe検出器による2011/7/17と2011/9/8の林床137Cs放射能の比較
137Cs 放射能(CPS)
Young cederYoung cederおけるポータブルGe検出器による2011/7/17と2011/9/8の林床137Cs放射能の違い
7/17と9/8の137Cs測定値の差分(CPS)
2011/7/17 2011/9/8
137Cs 放射能(CPS)
Mixed broad leaf forests
137Cs 放射能(CPS)
広葉樹林
2011/7/17 2011/9/8
7/17と9/8の137Cs測定値の差分(CPS)
Broad leaf Broad leaf ポータブルGe検出器による2011/7/17と2011/9/8の林床137Cs放射能の違い
35
●山地源流域において降水が、土壌水、地下水、湧水、河川水と移行する過程において、移動する放射性核種の量、動態を明らかにする。
湧水
井戸井戸水サンプリング
水温・水量PHEC(電気伝導度)Cs134,Cs137週1回測定中
湧水サンプリング
河川水サンプリング
土壌水サンプリング3深度の土壌水を採取
草地
林地
牧草地では、牧草を刈り、草への放射性物質の移行過程も調査する。
⑪疣石山・渓流水・湧水・地下水
⑥高橋牧場・渓流水・地下水
④石平山・渓流水
調査地(湧水・渓流水、地下水・土壌水)
⑦川俣理工(Forest)
10cm, 30cm and 50cm
⑪疣石山10cm, 30cm and 50cm
Depth
⑥高橋牧場10cm, 20cm and
30cm Depth
高橋
疣石
観測井の諸元
高橋
疣石
サンプリング
⑪疣石山 湧水⑪疣石山 渓流水⑥高橋牧場 渓流水④石平山 渓流水
6月19, 25日7月4, 9, 14, 23日8月5, 17日
計8回
⑪疣石山地下水(井戸5, 15,
30m)
⑥高橋牧場地下水(井戸3, 6, 20m)
7月30日, 8月17日8月5日, 8月17日 計2回
土壌侵食プロット:標準USLEプロット
1ヶ月半の調査(降雨量 261mm)
緩勾配畑 0.263%急勾配畑 0.048%採草値 0.029%牧草地 0.008%スギ若齢林 0.058%
Cs-137流出率
土壌侵食に伴う放射性核種の移行
粒径別エアロゾル濃度
0.0 0.5 1.0 1.5
10.2μm以上
4.2-10.2μm
2.1-4.2μm
1.3-2.1μm
0.69-1.3μm
0.39-0.69μm
0.39μm以下
ガス態
エア
ロゾ
ル粒
径
学校グラウンド
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0
スギ若齢林(林床)
Cs-137濃度(mBq/m3)
49
●放射性物質が、どのような化学形態で土壌に沈着し、その後土壌中でどのように挙動をしたか、また河川へどのような形態で流出するか明らかにする。●たとえば水田にて,土壌はぎとりなど耕作手法の違い等による流出土砂内の放射性核種の移行を調査する。
水-土壌系での放射性物質の挙動
パーシャルフリュームと水位計
表土はがさず耕作した水田土壌下方浸透
スクレーパープレートによる5mm間隔詳細深度分布(8カ所で採取済み)
↑濁度計・浮遊土砂サンプラ-
耕作前に表土を5-10cmはがした水田↓
道路
水田③
水田区分け
荒地
排水路B=1.0m
取水水路B=0.3m
土砂置場
水田区分け
50
水田プロット
43×17m30×17m
道路
通常の耕作
表土を除去後、耕作
水口
UeSita
Plot Sita
観測期間
Cs-137 Cs-134 Cs-137 Cs-134(Bq) (Bq) (Bq) (Bq)
2011/6/13 629863 606645 24843 191756/14-6/20 76 77 34935 269786/21-7/3 3026 2923 68905 50693
7/4 3095 2761 - -7/5-7/15 36114 31836 - -
7/16-7/22 - - 0 07/23-7/31 14159 11933 2927 2573
8/1-8/6 3467 2951 18 17
8/7-8/9 4153 4811 5823 51268/10-8/18 0 0 0 0
8/19 0 0 0 08/20-8/29 0 0 34212 28018
期間合計 693953 663938 171663 132580
通常耕作 表面はぎとり
代掻き時
代掻きによる水田からの浮遊砂流出の観測風景
川・海への放射性核種の移行
浮遊砂の採取作業風景
浮遊砂採取地点の選定風景
浮遊砂中の放射性セシウムの平均濃度
ほとんどが浮遊砂として海に流出
0 1 2 3 4 5 6 7 8
k3 χ(k
)
k (angstrom-1)
Ferrihydrite
Aqua complex
Montmorillonite
Vermiculite
0 1 2 3 4
FT m
agni
tude
R (angstrom)
Ferrihydrite
Aqua complex
Montmorillonite
Vermiculite
粘土鉱物に取り込まれたセシウムの構造- X線吸収微細構造法(XAFS法)-
Csを飽和吸着させた試料を調製- Montmorillonite、Vermiculite
- 水和イオンと比較
放射光施設でXAFS測定
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
0 2 4 6 8 10 12 14
6-16-26-3
pH
0
5
10
15
20
6-16-26-3水田土壌
2M HCl 1M BaCl2 1M NH4Cl
土壌リーチング実験結果
6-1(花崗岩マサ土)6-2(花崗閃緑岩マサ土)6-3(表層土壌)
水田土壌
バルク137Cs
47.0 ± 3.5 Bq/g25.6 ± 1.9 Bq/g44.3 ± 3.3 Bq/g5.43 ± 0.51 Bq/g
抽出量
1M BaCl2 < 2M HCl < 1M NH4Cl“pH変化させてもほとんど溶出しない”
アルカリで溶出量の増加
有機物フラクションからの溶出?
河川懸濁粒子のオートラジオグラフィー
- ろ紙に均一に懸濁粒子は付着- Cs-137の分布は、この試料でもやはり不均質
エアロゾルの不均質とは、質的に変化している- hot particle → 沈着・溶解 → hot particle周辺の粘土鉱物に吸着
→ 河川中の懸濁粒子の一部の放射能が強い
水ろ過量:約10 Lろ紙直径:14.2 cm
口太川下流メンブランフィルター(粒径: 3 μm以上 63 μm以下)
まとめ(1)土壌水、渓流水、地下水への放射線セシウムの移行について
は、現時点では少ない。(2)針葉樹林においては、樹冠に多くの放射性セシウムが存在しており、葉や樹木の幹に付着した放射性セシウムは、森林内に降雨した雨が樹冠を通過する過程で樹冠にトラップされている放射性セシウムを洗い流し、徐々に林床に移行している。(3)様々な土地利用区画からの土砂侵食に伴う放射性セシウムの流出状況を確認したところ、植生量が少ない裸地においては1.5ヶ月の調査において,降下セシウム量の0.026%と程度の土砂が河川へ流
出していることが確認された。一方,放牧地,森林においては,雨水による土砂の流出が防止され、放射性セシウムの流出量が少ない。(4)水中に溶存している放射性物質と浮遊砂に含まれる放射性セシウムの放射能濃度を比較したところ、いずれの観測地点でも 90%以
上が浮遊砂の形で、放射性セシウムが流下していることが確認された。(Cs-137, Cs-134合計で,最大126,000 Bq/kg)。