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平成 24 1 13 財団法人 長野県学校科学教育奨励基金 理事長 飯田市立座光寺小学校 学校長名 研究テーマ 準絶滅危惧種”フクロウ“のすむ里「座光寺」をめざして! ~野鳥観察とフクロウの保護活動を通して見つめなおす ふるさと「座光寺」のかけがえのない自然~ 研究グループ名 飯田市立座光寺小学校 5 1 23 信州大学教育学部教授 中村浩志 座光寺小学校教諭 田畑孝宏 研究の動機及び目標 (1) 研究の動機 皆さんは、自分たちがくらす「ふるさと」に、どんな生き物たちがくらしているか知っています か。身近な場所で、どんな生き物たちが、どんなくらしをしているか、知っていますか。 私たちは、そのことが知りたくて、ふるさとを自分たちの足で歩き回り、自分たちの目や耳で確 かめたくて、身体全体で自然のつながりを感じ取りたくて、野鳥観察と準絶滅危惧種「フクロウ」 の保護活動を糸口に、ふるさと「座光寺」の自然について調べることにしました。 (2) 研究の目的 座光寺に生息する野鳥の分布を明らかにすること。 座光寺だから見られる絶滅危惧種・希少種の分布を明らかにすること。 希少種・絶滅危惧種を守り増やす方法を考え、実施すること。 これらの活動を通して、「ふるさと『座光寺』の自然と深く関わり、ふるさとを見つめなおし、自然 の豊かさやすばらしさ、かけがえのなさを実感できたら」と考えました。 研究内容の概要 (1) 「座光寺における野鳥の生息分布調査」 (2) 「長野県の準絶滅危惧種“フクロウ”の保護活動」 *総合的な学習の時間はもちろん、夜間や休日にも調査を行いました。 (1) 「座光寺における野鳥の生息分布調査」について 調査地「座光寺」のようす 青い線で囲まれた場所が飯田市の一番北 にある座光寺地籍です。北は南大島川をはさ んで高森町と、南は土曽川をはさんで飯田市 上郷地籍と接しています。座光寺小学校は、 東は標高 400mの天竜川から西は標高 1,270 mの座光寺富士までと、東西に広がる座光寺 地籍のほぼ中央、標高 540mの段丘の上にあ ります。国道 153 号線に沿って大型店が建 ち並び、その周辺に住宅地が広がっています が、水田や果樹園、段丘崖や座光寺富士のふ もとには広い林も残る、自然環境に恵まれた 場所です。

準絶滅危惧種”フクロウ“の すむ里「座光寺」をめざ …こんなに近くにカワセミがいるなんて、 らきれいな鳴き声が聞こえてきました。双眼鏡

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Page 1: 準絶滅危惧種”フクロウ“の すむ里「座光寺」をめざ …こんなに近くにカワセミがいるなんて、 らきれいな鳴き声が聞こえてきました。双眼鏡

研 究 結 果 報 告 書 平成 24 年 1 月 13 日

財団法人 長野県学校科学教育奨励基金 理事長 田 幸 淳 男 様 学 校 名 飯田市立座光寺小学校 学校長名 中 村 貴 俊 印 1 研究テーマ

準絶滅危惧種”フクロウ“のすむ里「座光寺」をめざして! ~野鳥観察とフクロウの保護活動を通して見つめなおす

ふるさと「座光寺」のかけがえのない自然~ 2 研究グループ名 飯田市立座光寺小学校 5 年 1 組 23 名

3 指 導 者 信州大学教育学部教授 中村浩志 ・ 座光寺小学校教諭 田畑孝宏

4 研究の動機及び目標

(1) 研究の動機

皆さんは、自分たちがくらす「ふるさと」に、どんな生き物たちがくらしているか知っています

か。身近な場所で、どんな生き物たちが、どんなくらしをしているか、知っていますか。

私たちは、そのことが知りたくて、ふるさとを自分たちの足で歩き回り、自分たちの目や耳で確

かめたくて、身体全体で自然のつながりを感じ取りたくて、野鳥観察と準絶滅危惧種「フクロウ」

の保護活動を糸口に、ふるさと「座光寺」の自然について調べることにしました。

(2) 研究の目的

① 座光寺に生息する野鳥の分布を明らかにすること。

② 座光寺だから見られる絶滅危惧種・希少種の分布を明らかにすること。

③ 希少種・絶滅危惧種を守り増やす方法を考え、実施すること。

これらの活動を通して、「ふるさと『座光寺』の自然と深く関わり、ふるさとを見つめなおし、自然

の豊かさやすばらしさ、かけがえのなさを実感できたら」と考えました。

5 研究内容の概要 (1) 「座光寺における野鳥の生息分布調査」

(2) 「長野県の準絶滅危惧種“フクロウ”の保護活動」

*総合的な学習の時間はもちろん、夜間や休日にも調査を行いました。

(1) 「座光寺における野鳥の生息分布調査」について

① 調査地「座光寺」のようす

青い線で囲まれた場所が飯田市の一番北 にある座光寺地籍です。北は南大島川をはさ んで高森町と、南は土曽川をはさんで飯田市 上郷地籍と接しています。座光寺小学校は、 東は標高 400mの天竜川から西は標高 1,270 mの座光寺富士までと、東西に広がる座光寺 地籍のほぼ中央、標高 540mの段丘の上にあ ります。国道 153 号線に沿って大型店が建 ち並び、その周辺に住宅地が広がっています が、水田や果樹園、段丘崖や座光寺富士のふ もとには広い林も残る、自然環境に恵まれた 場所です。

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② 調査方法 4 月から 12 月までの 9 ヶ月間に、学校や周辺の林で 18 回、多くの水鳥などが見られた天竜川にか

かる阿島橋周辺で 11 回、冬場にたくさんのカモの仲間が見られた大堤(大堤団地のすぐとなりにあ

る堤)で 17 回、座光寺富士へ 2 回、そのふもとにある山の神公園周辺で 2 回の、計 50 回、58 時間

の野鳥分布調査を行いました。

③ 調査結果 表1:分布調査結果

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・表1に、4 月~12 月の 9 ヶ月間に5つの調査地で 観察された野鳥の種類を示しました。9 ヶ月間の 調査で、70種の野鳥を観察することができまし た。これは、飯田・下伊那地方に生息する野鳥(1 00~110種類)のおよそ70%にあたります。 右の表に示したように、自然が豊かな天龍村や阿 智村、飯田市上村や南信濃で行われた調査結果と 比べても、決しておとらない数になりました。

「東男に京女」と、美しい鳥の代表にあげられる ぼくは、うまれて初めてカワセミを見ました。 オオルリやキビタキが、山の神公園や座光寺富 図鑑で見て、とてもきれいな鳥だったので 士、そして、学校の庭や近くの林でも見ること ぜひ見てみたいと思っていたのですが、大堤 ができました。 の池で、本当にカワセミを見たときは驚きま 「野鳥観察会で学校に集まったら、中庭の方か した。こんなに近くにカワセミがいるなんて、

らきれいな鳴き声が聞こえてきました。双眼鏡 びっくりしました。カワセミは、大堤のほかに

で見たら、キビタキでした。きれいなキビタキ 天竜川にかかる阿島橋の近くにもいました。川

が学校で見られるなんて、すごいなと思いまし に飛び込んで、魚を捕まえる様子も見ること た。」 ができました。すごかったです。

山の神公園での初めての観察会で、オオタカ

を見つけました。はじめはトビかなと思ってい

たけれど、飛び立った時、しっぽの形が長方形

で、よこしまの模様も見えました。走って追い

かけたけれど、林のむこうに飛んでいってしま

いました。 オオタカは、何度も見ることができました。

運動会の練習中に、校庭にも飛んできました。

きっと、座光寺のどこかで繁殖しているんだと

思います。今年の春、絶滅危惧種のオオタカの

巣も見つけてみたいと思います。

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天竜川や大堤では、4 月から 12 月まで、留鳥のカル

ガモや潜水して魚を捕るカイツブリが見られました。 カイツブリは大堤で繁殖していました。7 月には、か

わいいヒナを観察することができました。いつも親鳥の

後をついて泳ぎ、時々親鳥から餌をもらうようすは、 とてもかわいかったです。

カルガモやカイツブリのほかに、11 月からはハクチョウなどと同じ冬鳥の カモの仲間がたくさん見られるように なりました。

大堤では、頭から首が緑色をしたマガ モが 40 羽ほど、小型で目の周りが緑色 のコガモは 60 羽以上、ヒドリガモやホ シハジロ、キンクロハジロも数羽ずつ見 ることができました。住宅地や団地のす ぐとなりにあるのに、100 羽を超えるカ モの仲間が見られる大堤は、カモたちの 大事な越冬地になっているようです。

④ まとめ ・ 座光寺地区で見られた野鳥分布の特徴の一つ

は、下伊那に生息する野鳥のおよそ 7 割を確 認できたということです。これは、自然が豊 かな天龍村や阿智村、飯田市上村や南信濃で 行われた調査結果と比べても、決しておとら ない数になりました。

・ 環境省指定の絶滅危惧種と準絶滅危惧種が合 わせて 3 種類。長野県の絶滅危惧種が 4 種類、 準絶滅危惧種が 4 種類。中でも、赤色で示し たオオタカ、ノスリ、フクロウは、何度か確 認されていて、座光寺で繁殖している可能性 が高いと考えられます。

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私たちは、今まで何気なく座光寺の自然を見てき

ました。しかし、こうして注意して見てみると、そ

こには、美しい鳥たち、絶滅が危惧される貴重な鳥

たちがたくさん生息していることがわかってきまし

た。 私たちが暮らす座光寺には、座光寺富士や天竜川、

南大島川や土曽川、大堤や段丘崖に残る広い林など、

いろいろな自然があって、そこには様々な鳥たちや

生き物が暮らしていることがわかってきました。 私たちだけじゃない、いろいろな生き物たちがく

らす「ふるさと」だから、やたらにゴミを捨てたり、 水を汚したりしてはいけないのだと思います。 ふるさと「座光寺」は、様々な鳥たちもくらす豊

かな自然、かけがえのない自然がある場所だから。 (2) 長野県の準絶滅危惧種“フクロウ”の保護活動

① フクロウってどんな鳥

・フクロウは、体長 50cm。カラスくらいの大

きさの鳥で、1 年中見られる留鳥です。 ・九州から北海道にかけて分布し、平地から山地

の林に生息しています。 ・冬場には山から里におり、天竜川の周辺などで

餌をとる個体もいるようです。 ・古い大木にできた穴、樹洞を使って繁殖します

が、森林の伐採や開発などによって繁殖に適し

た樹洞が少なくなっており、数を減らす準絶滅

危惧種です。そこで、巣箱をかけてフクロウを

増やす取り組みが、県内でも各地で行われて います。

・家族や、地域の方々にお聞きしてみると、昔は麻績神社や高岡の森でもフクロウの鳴き声を聞いた

そうです。しかし、今ではあまり声を聞かないとのこと。私たちは、樹洞の減少で絶滅の危機が迫

るといわれるフクロウを守りたい。かわいらしいフクロウやヒナが成長していく様子を観察してみ

たい。座光寺に絶滅危惧種「フクロウ」が増えたらいいなと考え。巣箱を作って座光寺の森や林に

かけてみることにしました。

② 保護活動の経過

・ 5 月 31 日、長野県学校科学教育奨励基金よりい ただいた奨励金を使わせていただき、巣箱の材 料のスギ板を購入しました。

・ フクロウについて調べてみると、鳥によって、 利用する巣箱の大きさや穴の大きさが違うこと もわかってきました。しかし、フクロウが利用 する巣箱の大きさや穴のサイズはわかりません。 そこで、信州大学教育学部の中村浩志教授にお 聞きし、教えていただきました。また、どんな 場所に巣箱をかけたらフクロウが利用してくれ るかなど、フクロウの生態についても教えてい ただきました。

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・ 6 月 6 日には用務員さんの小池先生が、

中村教授からいただいた設計図をもとに、 巣箱の試作品を作ってくださいました。 とても大きな巣箱に、みんな驚きました。 そして、巣箱の作り方を丁寧に教えてく ださいました。

・ 実際に巣箱を作るまでの間、私たちは野鳥観察を 続けながら、フクロウが繁殖しそうな森や林を探 しました。

・ そして、7 月 2 日には、巣箱をかける場所を地

図で確かめ、その後、林に入って巣箱をかけ る木を決めました。明るすぎず、また、フク ロウが巣箱を見つけて入りやすい場所を考え、 決めました。

・ 座光寺公民館館長の小島稔先生に大変お世話 になり、土地の所有者を探していただいたり、 巣箱を設置するお願いをしていただいたりし て、土地の所有者の方々から巣箱設置の許可 をいただくことができました。また、高岡の 森など、県の所有地からも巣箱設置の許可を いただくことができました。

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・ 7 月 9 日、小池先生にご指導いただき、お父さん、お母さんにお手伝いいただきながら、フクロウの 巣箱を作りました。初めはうまくできるか心配しましたが、お父さんやお母さんたちに支えていただ き、上手に巣箱を作ることができました。初めて、インパクトドリルで釘を打ち込んだり、バーナー で板に焼きを入れたりして、良い経験になりました。できあがった巣箱には、番号と名前を書き、こ の日の午後には林へ巣箱をかけに行きました。

・ 暑い中、はしごや巣箱を 持って山を歩くのは大変 でした。でも、お父さん やお母さんをはじめ、地 域の皆さんや、土地の所 有者の方々も協力してく ださっていることを思う と、頑張ってやろうと思 いました。こういう経験 が大事なんだと思いまし た。そして、フクロウが 巣箱に入ってくれるとい いなと思いました。

・ これが、巣箱をかけた場所の地図

です。全部で 26 個かけました。学 校周辺の林や、座光寺富士の麓の 林など、フクロウが繁殖しそうな 場所のほとんどに、巣箱をかける ことができました。

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・ 運動会が終わった 10 月からは、夜間調査を

始めました。実際に、フクロウがいるかを 確かめるためです。毎週、金曜日の夜8時 から 9 時までの 1 時間行いました。3 ヶ月 間に 9 回行いました。

・ 黄色の線が、夜間調査のコースです。車で 移動しながら、フクロウがいそうな場所に 車を止め、鳴き声を確かめたり、フクロウ の鳴き声を流してそれに応える声を確かめ たりしました。なかなかフクロウの声を聞 くことはできなかったし、寒い中での調査 で大変でしたが、アオマツムシやツヅレサ セコオロギの声を聞いたり、きれいな星座 や惑星の観察などもできました。

・ 夜間調査の結果、丸印で示したうちの 2 カ

所でフクロウの声を聞くことができました。 はじめてフクロウの声を聞いたときは、飛 び上がるほどうれしかったです。そのほか、 地域の方が「声を聞いたよ」と教えてくだ さったり、直樹君のお母さんが実際に「フ クロウを見たよ」と教えてくださったりし ました。12 月の初めには、阿島橋でフクロ ウが車にひかれていたという情報もいただ きました。座光寺に、確かにフクロウがい るということがわかりました。

フクロウは、森の哲学者とか、福を呼ぶ縁起の良い鳥とされ、長野オリンピックのマスコットにもなっ

た鳥ですが、肉食の鳥で、生態系の頂点に立つ鳥でもあります。フクロウが生息していると言うことは、

その地域の自然が豊かで、様々な生き物がバランスよく生息している証にもなります。野鳥の分布調査と、

フクロウの分布調査から、座光寺の自然が豊かで、かけがえのないものであることがわかってきました。

座光寺って、やっぱりいいなと思います。 フクロウの繁殖はこれからです。今頃はペアになって行動しながら、繁殖に適した場所を探しているそ うです。そして、3 月から 4 月に卵を産み、5 月~6 月頃ヒナが巣立っていくそうです。ぼくたちが作った 巣箱で、フクロウが繁殖してくれたらうれしいです。かわいらしいフクロウのヒナを、みんなで見てみた いなと思います。

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野鳥観察・フクロウの保護活動の感想から 私たちのクラスは、5年生になってクラス替えをしてから、鳥に興味を持つようになりました。それま では、鳥になんて何の興味も持たなかったのですが、野鳥観察を始めてみたら、「こんなことができてよ かったな」と思うようになりました。私は、カラスの名前は知っていたけれど、ハシボソガラスやハシブ トガラスがいるなんて、知りませんでした。くちばしの太さの違いや、鳴き声の違いで見分けることがで きることを知り、それからは簡単に見分けることができるようになりました。他の鳥についても同じです。 私は、野鳥観察を始めて、「座光寺ってすごいな」と思うようになりました。それは、私たちが暮らす座

光寺に、絶滅危惧種のオオタカや、とてもきれいな色をしたオオルリという鳥などがいたからです。先生 から、いろいろな鳥の写真を見せていただいたり、話を聞かせていただいたりする中で、「こんな鳥は、た ぶんいないな」と思っていたのですが、そんなきれいな鳥たちや、めずらしい鳥たちが本当にいたのです。

私が一番感動したのは、オオルリとの出会いでした。みんなで、山の神公園の近くの沢に、オオルリを 探しに行った時、本当に木のてっぺんに止まっているオオルリを見つけることができました。オオルリは、 朝日を浴びて、体がるり色に輝いていたのです。こんなにきれいな鳥がいるんだと思いました。 野鳥観察を始めて良かったことは、「自然を大切にすることが大事なんだ」と思えるようになったことで す。今までは、鳥がいても、また、鳥がいなくなっても、何もかわらないし、関心がなかったのだけれど、 何もかわらないんじゃなくて、鳥がいるかいないかは、とても大事な事なんだと思うようになりました。 森や林、堤や川など、いろいろな自然があるからいろいろな鳥もいる。きれいな鳥やめずらしい鳥、いろ いろな鳥がいる。自然って大事だなと思えるようになりました。 そして、もう一つよかったことがあります。それは、フクロウの巣箱を作ってかけた事です。巣箱を作

ったり、山の林へかけたりしたことは、とっても大変だったけれど、もし、私たちが作った巣箱にフクロ ウが入ってくれたらと思うと、とっても楽しみです。本当に、フクロウが巣箱に入ってくれるといいなあ と思います。 私は、今までの野鳥観察でいろいろな鳥を見てきたけれど、どんな鳥を見る時も「早く見たいな」と 思って、とても楽しかったです。これからも、野鳥観察をみんなで楽しみたいなと思います。 今年の 4 月から、私たちはクラスで野鳥観察を続けてきました。アオサギやトビなどの大型の鳥から、 スズメやシジュウカラのような小型の鳥まで、いろいろな鳥を見てきました。その中で私は、オオルリと カワセミを見た時、とても感動しました。 オオルリは、山の奥の木のてっぺんに止まっているのを見つけました。私は、とてもきれいな「るり色」

をした鳥が、座光寺にいることも知らなかったし、見られるなんて、思っていませんでした。だから、と てもうれしかったです。朝日に当たって「るり色」に輝くオオルリの姿を、今でも覚えています。 カワセミは、大堤にある堤で見つけました。私は、カワセミがいる天竜川に近くに住んでいるのに、今 まで一度もカワセミを見たことがありませんでした。だから、初めてカワセミを見たときは、とてもびっ くりしました。そして、背中の水色とおなかのオレンジ色の美しさにとても感動しました。 また、長野県の準絶滅危惧種フクロウの保護のために、巣箱を作って座光寺の森や林にかけました。巣 箱作りや巣箱かけは、クラスのお父さんやお母さんたちにも手伝っていただきました。信州大学教育学部 の中村浩志教授に、巣箱の大きさや巣箱をかける場所を教えていただき、用務員さんの小池先生に巣箱の 作り方を教えていただきました。とてもりっぱな巣箱が 26 個完成しました。それを、フクロウが入って くれそうな場所にかけました。フクロウが、私たちが作った巣箱に入ってくれたらうれしいです。私たち の保護活動によって、座光寺に準絶滅危惧種のフクロウが増えてくれたらうれしいです。 私たちは、今まで水辺や森などいろいろな場所で野鳥観察をして見てきた鳥たちにとって住みやすい環 境を大切にして、美しい鳥たちや貴重な鳥たちがいつまでも座光寺で見られるように、これからも野鳥観 察や保護活動をがんばっていきたいと思います。

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ぼくが野鳥観察を始めた時の目標は、「いろいろな鳥を見てみたい」でした。最初の野鳥観察会は、4月 16 日の土曜日でした。その時、ぼくは、あまり野鳥観察に興味はありませんでした。でも、初めての観察 で、16 種もの鳥がいて、びっくりしました。2 回目の観察会では 13 種類もいました。この座光寺には、 意外にも鳥がいるんだと、初めて知りました。それから、野鳥観察には毎回参加するようになりました。 5 月 28 日に、山の神公園でオオタカを見つけました。初めて見た絶滅危惧種のオオタカに、感動しました。 6 月 4 日には、山の神公園でオオルリを見ました。とてもきれいな青色でした。こんなにきれいな鳥がい るんだと思いました。野鳥観察会ではカワセミも見ました。大堤にも、天竜川にもいました。とてもきれ いでした。11 月になると、初めてノスリやチョウゲンボウも見ることができて、すごかったです。カモの 仲間のホシハジロやキンクロハジロ、ヒドリガモもいました。 ぼくは、バードウォッチングを始めてよかったと思います。これからも、欠かさず観察会に参加した いと思います。そして、春には巣箱で繁殖するフクロウを観察してみたいと思います。 フクロウの巣箱作りがありました。最初は、もっと材料が多くてむずかしいかと思ったんだけれど、そ

んなに材料は多くなくて、予想していたよりかんたんでした。おいそがしい中、小池先生がずっと前から

少しずつ用意してきてくださったからだと思いました。作業で 1番むずかしかったのがドリルです。ドリ

ルは、どこまで打ち込んでいいのか分からなかったので、だいたいでやっていたら、かんたんにできるよ

うになりました。できるようになったので、楽しかったです。次に、巣箱をかけに行きました。巣箱は全

部で 27個作りました。いっぱい巣箱ができてよかったです。巣箱をかけるのは、暑くて大変でしたが、お

父さんやお母さんたちが手伝ってくれたおかげでできました。ぼくたちは、4つめの巣箱をかけるとき、

木に奇妙な巣らしきものを発見しました。たぶん、田畑先生が言うには、「前にみんなで見た、タカの巣だ

ろう」と言っていました。フクロウが巣箱に入ってくれるといいです。

今日、フクロウの巣箱作りがありました。私は、お父さんと行きました。すっごく楽しみにしていまし

た。フクロウが、私たちが作った巣箱に入って増えてくれたら、ほんとうにうれしいです。

さあ、巣箱作りが始まりました。巣箱の入り口の穴を切ったり、板にドリルで釘を打ち込んで組み立て

たりしました。とても楽しかったです。みんなもとても楽しそうでした。

巣箱ができあがると、みんなで記念写真をとりました。そして、暑かったけれど、みんなで分担して巣

箱をかけました。暑くて、おなかもすいて、大変でした。巣箱をかけ終わると、楽しみにしていたお弁当

でした。いろいろなおかずが入っていて、おいしかったです。

私は、これこそが「プロジェクトZ(座光寺)」だと思いました。私は「絶対に入ってほしいな~フクロ

ウ・・・」と思いました。でも、ちがう鳥でもいいから、何か入ってほしいです。でも、目標はフクロウ

です。

フクロウの巣箱作りがありました。私は、お母さんと参加しました。はじめはしっかりできるか心配だ

ったけれど、フクロウが巣箱に入ってくれるように頑張りました。まずは、巣箱の裏面と下の面とを合わ

せました。電気ドリルで釘を打ち込みました。電気ドリルを使うのは初めてで、すごく怖かったです。釘

をドリルの先に付けて、ハンドルをにぎると釘が打ち込まれます。最初はお母さんがやりました。お母さ

んは上手にできました。次に私がやってみました。上手にできるか心配でしたがやってみました。しかし、

最初の釘が横に倒れてうまくできませんでした。次も失敗してしまいした。そして次に上手にできました。

今度は、巣箱の横板を付けました。4枚の板を、下から順につけていきました。今度は上手にできまし

た。次は、反対の面に板をつけました。その次に前板を付け、下の面からも釘でつなぎました。最後に屋

根板をつけました。できあがった巣箱は、本物の木のようにするために、バーナーで焼いて焦げ目をつけ

ました。ここまでできたら、針金を通す穴と水抜きの穴をあけ、木に取り付ける針金を通しました。全員

で記念写真を撮った後、巣箱の底に名前を書き、上段と下段、そして学校の周りや南本城の3つのグルー

プに分かれて巣箱をかけに行きました。私は上段です。私の巣箱は山の神公園にかけてもらいました。

フクロウが巣箱に入ってくれるといいなあ!!

それから 3カ所の林に巣箱をかけました。フクロウが巣箱に入るために、いろいろなお手伝いがいっぱ

いできてよかったです。