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宮古島における燃料用エタノール生産実用実証事業と島嶼型低炭素社会への展望

平成 ２３年２月 １０日（木）

株式会社りゅうせきバイオエタノールプロジェクト推進室

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宮古島PJ事業の循環社会システムの概念

残渣糖蜜エタノール燃料

ガソリンCO2

蒸留残渣液・醗酵残渣酵の母利活用

有機特殊肥料 余剰バガス＋畜糞

地力増強

製糖工場

エタノール製造事業

光合成CO2吸収砂糖

サトウキビ増産

E3製造・実車走行事業

収量アップ

E3製造

３％混合

①宮古島のサトウキビ農業の基盤強化と増産を支援する持続可能な事業を目指す。

②砂糖を取った後の残渣糖蜜を原料にﾊﾞｲｵｴﾀﾉｰﾙ燃料を生産し、燃料の一部としてE3、E10燃

を島民が消費し、地球温暖化防止に繋げる環境・エネルギーセキュリティ事業。

③蒸留残渣液は有機肥料として畑の地力増強へ、残渣酵母は子牛飼料、その畜糞は肥料へ循環。

④化学肥料を減量化し、宮古島の命である地下水源の環境を保全する社会を目指す。

ﾊﾞｲｵ燃料分のCO2減雤

有価物抽出事業

3沖縄県におけるE3モデル実証事業

１．サトウキビ畑の占める面積・宮古島総面積 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・225平方ｋｍ・農耕地面積 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・約12,000ha

・サトウキビ畑の総面積 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・約8,400 ha

・サトウキビ生産量（県産の３割強）・・・・・・・・・・・・約250,000ton/年間（過去10年平均）

増産体制により平成21・22年度は340,000ton/年間を生産した。

２．原料糖蜜排出量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・約7,000ton / 年間平成21・22年度の糖蜜排出量は約10,000ton

３．バイオエタノール生産原卖位 ・・・・・・・・・・・・・・・・約250L / ton糖蜜

４．宮古島のガソリン消費量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・約25,000KL / 年間５．宮古島のガソリン自動車台数 ・・・・・・・・・・・・・・・約35,000台６．宮古島の給油所・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19箇所（先離島含む）

７．全島E３化必要バイオエタノール想定量 ・・・・・・・約750 KL / 年間８．仝上 必要糖蜜量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・約3,000ton / 年間

９．蒸留残渣液排出量想定量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・約11,250KL / 年間１０．醗酵残渣酵母排出想定量・・・・・・・・・・・・・・・・・・約150 ton / 年間

１．宮古島事業の概況（人口約 55,027 人、H22年10 月現在）サトウキビ増産により全島E10化も可能な農業基盤である！

１．エコ燃料実用化地域システム実証事業設備概要（平成22年3月竣工：ＥｔＯＨ生産能力：４トン／日）

（200KL）

糖蜜ｻｰﾋﾞｽﾀﾝｸ 発酵槽 常圧・減圧もろみ塔

（20KL×3基）

濃縮塔 ＥｔＯＨ／水分離膜原料調整槽

（40KL）

酒母槽 培養槽

（4KL）（400L）

酵母

有価物回収設備

廃水処理設備（能力：15ton/日）

放流

（2トン／日×2塔） （4トン／日） （4トン／日）

バッファータンク

（20KL×2基）

粗留ＥｔＯＨタンク

（5KL×2基）（40KL×2基）

ローリー車（4KL）

市水タンク

（100KL）

ＵＡＳＢ設備＋ＤＨＳ設備

洗缶廃水タンク

処理水タンク

（200KL）

（200KL）

膜処理設備

バイオガス

有価物 市場化検証中

製品タンク

水

所内熱源活用

ボイラー

（2トン／ｈ×2基）

蒸留残渣液タンク（200KL×2基）

糖蜜搬送コンテナー

（1０KL）

沖縄製糖

所内活用

空気圧縮機

宮古製糖

太陽熱・太陽光利用設備

洗缶廃水

残渣酵母 飼料化肥料化

蒸留残渣液利活用設備（宮古島市資源リサイクルセンター）・蒸留残渣液タンク（200KL×1基）・トラッシュ破砕機（2ton/hr)

・蒸留残渣液移動用設備(10KL)

・蒸留残渣液散布設備

空気圧縮機設備

市水

A重油

廃食油

受電設備

冷却塔設備

ﾁﾗｰ･ﾌﾞﾗｲﾝ設備

その他用役設備

肥料化

培養・発酵工程の技術開発の成果と実用化設備への反映

当初技術 技術開発の改善結果

発酵原液糖濃度 15 % 15 %

発酵ｴﾀﾉｰﾙ濃度 6.5 %（w/w) 6.5 ～7.3%(w/w)

発酵温度 33 ℃ 38 ℃ → 省ｴﾈﾙｷﾞｰ

酵母培養時間 96 時間 4２ 時間

発酵時間 15～25 時間 10～16 時間 → 生産性向上

沈降時間 6～12 時間 2～6 時間

運転操作 糖濃度、ｴﾀﾉｰﾙ濃度を指標とする試行錯誤的運転操作

指標となり得るﾌﾟﾛｾｽ変数の抽出発酵発熱速度、炭酸ガス発生速度、残糖濃度、ｴﾀﾉｰﾙ濃度､ ﾒｽｼﾘﾝﾀﾞｰ沈降速度､菌密度､生菌率

指標に対する判定基準の設定運転操作手順確立 ・自動化

→ 生産性向上

設計基本 大きな余裕を持った冷却能力

適正冷却システム設計のための条件を把握

→ 省ｴﾈﾙｷﾞｰ､設備ｺｽﾄ削減

前培養・培養工程の実用化に向けたシステム化と改善

発酵槽培養槽酒母槽

（４，０００Ｌ） （２０，０００Ｌ）（４００Ｌ）

卓上ジャーファメンター

フラスコ

（１0Ｌ）（１Ｌ）

前培養（ラボ） 本培養

培養工程のステップ

２４時間 ２４時間 ２４時間 ２４時間

【フラスコ】 【ジャーファメンター】 【酒母槽】 【培養槽】

９６時間

培養時間（従来）

培養時間（改善後）

１０時間 １０時間 １０時間 １２時間

４２時間

工程５４時間短縮と酵母ストレス削減

●培地組成の適正化、培地への金属分添加●攪拌機回転数のアップ●培養温度及び培地糖度の適正化●酵母菌増殖曲線の把握

【改善項目】

繰り返し回分発酵特性の比較（KF7株、BA11株、MY17株）

※エタノール生産性試算の対象時間は静置時間も含む。（1）KF7株は醗酵温度34℃に対し4バッチまで醗酵特性を維持し、5バッチまで醗酵を確認した。（2）ＢＡ11株は発酵温度38℃に対し、4バッチまで発酵特性を維持し、5バッチまで醗酵を確認した。（3）ＭＹ17株はエタノール濃度調整により11以上のバッチまで醗酵特性を維持できる事を確認した。（4）MY11株は本事業で宮古島産独自酵母からBA11相当の醗酵・凝集特性を保有した株を探索した。(5）MY17株の醗酵特性にて醗酵槽3系列で擬似連続醗酵運転が可能となる（6)ＢＡ11株もエタノール濃度調整により発酵特性の検証を予定。

ＫＦ７

ＭＹ17

ＢＡ１１

KF7 １バッチ ２バッチ ３バッチ ４バッチ ５バッチ発酵温度 ℃ 30 30 30 34 34仕込糖度 ｗｔ％ 15.0 16.4 16.4 16.3 15.9ＥｔＯＨ濃度 ｗｔ％ 6.5 7.0 7.1 7.3 7.2残糖 ｗｔ％ 2.1 2.3 2.4 2.3 2.4発酵時間 ｈｒｓ 22 15 16 16 25静置時間 ｈｒｓ 6 6 6 6 15エタノール生産性 ｇ／Ｌ／ｈｒ 2.3 3.3 3.2 3.3 1.8

BA11 １バッチ ２バッチ ３バッチ ４バッチ ５バッチ発酵温度 ℃ 38 38 38 38 38仕込糖度 ｗｔ％ 10.5 15.4 15.7 15.8 15.6ＥｔＯＨ濃度 ｗｔ％ 4.5 6.4 7.3 7.2 7.5残糖 ｗｔ％ 1.4 2.0 2.2 2.0 2.1発酵時間 ｈｒｓ 12 11 12 15 24静置時間 ｈｒｓ 1 2 2 3 4エタノール生産性 ｇ／Ｌ／ｈｒ 3.5 4.9 5.2 4.0 2.7

MY17 １バッチ ２バッチ ３バッチ ４バッチ ５バッチ ６バッチ ７バッチ ８バッチ ９バッチ １０バッチ １１バッチ発酵温度 ℃ 38 38 38 38 38 38 38 38 38 38 38仕込糖度 ｗｔ％ 11.0 15.9 13.8 12.8 12.8 12.7 12.5 12.7 12.6 12.6 12.1ＥｔＯＨ濃度 ｗｔ％ 4.8 6.5 6.5 6.2 5.9 5.9 5.7 5.8 5.7 5.7 5.5残糖 ｗｔ％ 1.5 2.1 2.0 1.3 1.6 1.6 1.7 1.6 1.8 1.6 1.7発酵時間 ｈｒｓ 10 10 10 9 8 8 8 8 8 8 8静置時間 ｈｒｓ 1 2 2 2 3 3 3 3 3 3 4エタノール生産性 ｇ／Ｌ／ｈｒ 4.4 5.4 5.4 5.6 5.4 5.4 5.2 5.3 5.2 5.2 4.6

10

402

273

173

287242 242

689

515

415

0

100

200

300

400

500

600

700

800

従来酵母（現状設備） 従来酵母（省エネ改善後） 耐熱性酵母

電力使用量（ｋｗｈ／日）

バイオエタノール生産設備の電力使用量の状況（従来酵母ｖｓ耐熱性酵母)

発酵工程用

蒸留・脱水工程用

合計

▲129 ▲45

▲100

チラー設備運転に応

じた補機類の停止、

チラーの効率化運転

による電力削減耐熱性酵母の高温発

酵により、発酵熱除熱

媒体がチラー水から

通常の冷却水へと変

更になり電力削減

約２０％改善

ＢＡ11株で省エネ２０％達成 ＭＹ17株の疑似連続醗酵にて更に省エネ改善

JASO(M361)規格 ロット番号

外 観 無色透明で懸濁物や浮遊物を含まないこと

無色透明で懸濁物や浮遊物を含まない

無色透明で懸濁物や浮遊物を含まない

無色透明で懸濁物や浮遊物を含まない

エタノール分 (V/V％) 99.5 以上 99.9以上 99.9 99.9

水分 (wt/wt％) 0.7 以下 0.15 0.11

メタノール (g/L) 4.0 以下 0.05

メタノール以外の有機不純分 (g/L) 10 以下 1.7

電気伝導度 (μ S/m) 500 以下 23 33

蒸発残分 (mg/L) 50 以下 0.1 0.4

銅 (mg/kg) 0.1 以下

酸度（酢酸として）(mg/kg) 70 以下 14 43

ｐＨe ６．０～８．０ 7.9 7.0

硫黄分 （mg/kg） 10 以下 3未満

(10020914)

0.01未満 0.01未満

3未満 3未満

(10052416)ロット番号 ロット番号

0.04

1.7

(10072116)

0.24

0.0７

1.８

45

0.１

0.01未満

37

7.6

宮古島プラント製造バイオエタノール燃料の分析結果（第三者機関へロット毎分析依頼）

１．バイオエタノール燃料製造の熱収支評価蒸留・脱水プロセスの熱収支

⇒エタノール1L当たりの消費熱量5,000KJ / L以下を目標⇒実用化生産設備にて4,200KJ / Lを確認した。

実用化生産設備で海外先進設備に比べ約３０％省エネを確認した。

２．LCA(Life Cycle Assessment)概算評価パイロット設備でガソリン燃料のCO2排出量の約 ６５％ ⇒ A重油専焼、買電

実用化生産設備で約５５％を確認した⇒ A重油+廃食油３０％混焼設備を設置

製糖工場バガスの燃料蒸気、電気連繋の実用化により⇒ 約３６％以下を目指す。糖蜜生産、蒸留残渣液処理、流通のエネルギー投入量は含まれていない

３．バイオエタノール燃料製造コスト評価実用化生産設備にて１３０ 円 /Lを確認（検証データにより全島E３化規模試算）

今後の実用化検証改善により ⇒１１０円 / L 以下を目指す。

バイオエタノール生産設備の減価償却費（300円/L）は含まれていない 。

バイオエタノール燃料実用化実証事業の実績 と目標値

13沖縄県におけるE3モデル実証事業

１．糖蜜の有価成分の抽出事業とその展開生理活性成分の商品化

・ポリフェノール、脂質等⇒耐ストレス酵母、化粧料、風味料等

２．バイオエタノールの付加価値商品化・更に蒸留加工により化粧原料

３．食用培養酵母の付加価値商品化・健康食品

① 地産地消の社会循環システムのうえに成り立つ燃料ﾊﾞｲｵｴﾀﾉｰﾙ事業化への課題は生産コストが高い。

② 補完事業として、原料由来の付加価値の高い有価物事業化を複合的なシステムとして取り組む必要性がある。

微量有価成分の有効利用実用研究

糖蜜抽出物の製造と利用

①既存製造技術応用検討前処理・プラント試験

②製造法改良ＩＳＥＰ®方式

③抽出後糖蜜の発酵性④蒸留残渣原料

①用途開発安全性、培地添加物、化粧品原料

②成分解析③前処理残渣の用途④新画分の解析

製造技術開発 用途開発Ⅰ Ⅱ

■ 課 題 ■●製造技術開発●用途開発・市場性調査（顧客情報）・効果試験・安全性試験・新画分の解析・前処理スラッジの利用・成分解析

微量有価成分の有効利用実用研究

エタノール発酵

新プロセス

ポリフェノール類など

吸着樹脂

従 来 法

糖・塩類

化粧料

溶出用ｴﾀﾉｰﾙ再循環利用

耐ストレス酵母（培地添加物）

新画分の解析

蒸留残渣高EtOH

溶出画分

前処理スラッジの利用

糖 蜜

16沖縄県におけるE3モデル実証事業

エタノール醗酵・蒸留残渣物の利活用技術開発の進捗

１．醗酵残渣酵母の飼料利活用の現状（１）地元の子牛畜産農家における実証検証

地元畜産農家と給飼試験の協力体制を構築中 ⇒良好な成果はあるものの畜産農家よりデータが集まらない

（２）養鶏、養豚畜産農家における実証検証酵母発酵飼料、残渣液、サトウキビ鞘頭部の給飼試験の地元協力体制を構築中

⇒ブランド事業化を支援する（３）海老養殖における実証検証

酵母発酵飼料、蒸留残渣液の給飼試験の地元協力体制を構築中

２．蒸留残渣液、残渣酵母の肥料利活用の現状（１）地元サトウキビ農家圃場における実証確認

⇒地元サトウキビ協力農家の良好な結果が数多く得られている。⇒かぼちゃ、冬瓜栽培の生育、品質改善に顕著な実績が得られている。

（２) 圃場試験場における検証評価⇒バガス混合堆肥、残渣液＋単肥追肥にて顕著な生育実績が得れた。

（３）混合堆肥の製造とその検証（共同実施：東京農業大学宮古亜熱帯センター）⇒バガス、ケーキ、ボイラー灰、畜糞、残渣液の混合堆肥設計、製造、評価。⇒平成23年度サトウキビ圃場施肥の生育検証、水源保全への挙動検証予定。

サトウキビ圃場試験（蒸留残渣液混合バガス、残渣液＋単肥追肥）

Ａ区

Ｂ区

Ｃ区

Ｄ区 農道

スプリンクラー水栓

組成 Ｎ Ｐ Ｋ 組成 Ｎ Ｐ Ｋ

Ａ 慣行区 緑肥あり 堆肥なし 13.2 4.8 4.8 なし なし なし

Ｂ 残渣液区① 緑肥なし残渣液添加バガス

13.2 4.8 4.8 なし なし なし

Ｃ 減肥区 緑肥あり残渣液添加バガス

残渣液＋卖肥

13.2（硫酸アンモニウム）

なし残渣液240Ｌ

/10ａ残渣液＋卖肥

適宜（硫酸アンモニウム）

なし適宜

（残渣液）

Ｄ 残渣液区② 緑肥あり残渣液添加バガス

残渣液＋夏きび一番

13.2 4.84.8（＋残渣液240Ｌ/10ａ）

残渣液＋夏きび一番

なし なし適宜

（残渣液）

緩効性肥料夏きび一番

緩効性肥料夏きび一番

　 夏植え前（8月下旬）まで追肥①10月～11月実施（ｋｇ/10a） 追肥②2月～3月実施（ｋｇ/10a）

注・施肥設計の試算方法は3.施肥設計詳細を参照。・追肥①は平培土とほぼ同時に行った。・追肥②は経過を観察しながら、高培土時期に行う予定であったが、時期を逸したため行わなかった。

生育状況計測結果（縄製糖殿協力 平成23年1月29日実施）

１.蒸留残渣液を散布したＢ，Ｃ，Ｄ区は、慣行区Ａと比較して、収量（見込）が増える結果となった。また、Ｃ，Ｄ区ではＢｒｉxも慣行区より高くなった。（図1）

2.Ｃ，Ｄ区で収量（見込）が大きくなった要因として、特に茎数の多さがある。分けつ期に残渣液を散布により分けつが促進されたと考えられる。（図2）

表. 各試験区におけるサトウキビの生育

10.1 11.0

15.8

14.2

16.9 16.8

18.8

17.0

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

18.0

20.0

Ａ区 Ｂ区 Ｃ区 Ｄ区

見込収量（ｔ/10a) Ｂｒｉｘ

試験区 茎長（ｍ） 茎径（ｃｍ） 1茎重量（ｇ/ｍ） 茎数（本/10a) 見込収量（ｔ/10a) Ｂｒｉｘ

Ａ区 3.15 2.66 589 5433 10.1 16.9

Ｂ区 3.23 2.70 607 5633 11.0 16.8

Ｃ区 3.26 2.82 662 7333 15.8 18.8

Ｄ区 3.14 2.77 639 7100 14.2 17.0

図1. 収量、Ｂｒｉx 図2. 分けつ数

3.2

4.3

4.7 4.7

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

4

4.5

5

Ａ区 Ｂ区 Ｃ区 Ｄ区

2009.12.11調査 （本/株）

サトウキビの分桔が多い状況

B区サトウキビの刈り取り前の生育状況

Ｂ区サトウキビ茎長の茎長と密集生育状況

（平成23年1月29日撮影 ）

「ホウレンソウ」

左側から①一般肥料②蒸留残渣液③泡盛発酵残渣液の消化液④泡盛発酵残渣液

「チンゲン菜」

左側から①一般肥料②蒸留残渣液③泡盛発酵残渣液の消化液④泡盛発酵残

平成２１年度共同実施研究沖縄農業研究会報告

蒸留残渣液１０倍希釈撒布の比較結果

畜産農家での醗酵残渣酵母の飼料化・肥料化検証中（１）

希釈酵母水 希釈酵母水＋配合飼料

牛への「希釈酵母水＋配合飼料」の給飼牛への「希釈酵母水」の給飼

畜産農家での醗酵残渣酵母の飼料化・肥料化検証中（２）

希釈酵母水を堆肥に散布 堆肥に白カビ発生、堆肥熟成早期化

希釈酵母水を生ゴミに散布（悪臭が少ない）堆肥をパパイヤ畑に散布検証中

◎内閣府、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、消防庁の関連府省が相互に連携した「宮古島バイオエタノール実証事業」を実施。◎経済産業省資源エネルギー庁は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）

を通じ、Ｅ３の本格的な導入・普及の促進を目的に、Ｅ３製造から給油実証販売までのフィールドテストを行う「Ｅ３地域流通スタンダードモデル創成事業」を実施。（Ｈ１９～２３年度事業）◎環境省はバイオエタノールを製造しE３製造へ実証販売供給する「エコ燃料実用化地域システム実証事業」を実施。（H１９～２２年度事業）○内閣府は「沖縄ﾊﾞｲｵｴﾀﾉｰﾙ普及啓発広報事業」を実施。（H19～21年度事業）

１府5省連携事業におけるNEDO事業の位置づけ～宮古島バイオエタノール実証事業～

【宮古島の基礎データ】

①島嶼面積：１５９．１１km2

②人口：５５，１９０人（H21.12月）③島内走行車両台数：約２万台（沖縄総合事務局運輸部調べ）④年間ガソリン消費量：２３，９３０kl

実証事業のイメージ

【宮古島のサトウキビ生産（H16）】

①収穫面積：３，１３３ha

②生産量：１７３，０４５ｔ③糖蜜生産量（推定）：５，７１０ｔ④糖蜜から生産可能なエタノール量：１，８２７ｋｌ

ＮＥＤＯ事業の進捗概要

１．Ｅ３燃料の協力車両を限定登録レンタカーに拡大し実車走行協力車両を増や

しつつE３燃料の製造、貯蔵、輸送、供給までの一連の品質管理体制を含め

た運用普及の販売実証データの収 集・分析等を継続的に実施中。

２．新たにＥ１０燃料の実証試験のためのＥ１０ 製造設備を新設し、市内3箇所

の専用給油設備を整備し、製造、貯蔵、輸送、供給までの一連の品質管理

体制を含めた運用普及に向けた実証データ取得・検証を実施中。

３．Ｅ３燃料とＥ１０燃料の誤給油防止検証も併せて実施した。

４．宮古島の石油販売事業の商流にため現状の沿ったフィールドで実施検証

する社会情勢に配慮しつつ協力車両を拡大するためのシステムを整備中。

実車走行試験の状況と今年度の展開

１．Ｅ３燃料の実車走行車両の現状 （登録台数１，５３４台）

（１）公用車 ３５１台

（２）ＪＡ社有車 ５０台

（３）企業契約車両（１４社 ）１３２台

（４）ゴルフカート車 ５０台（東急グループの全面協力）

（５）レンタカー車両１，０３０台のセルフ、フルサービス給油

２．今年度の展開（２，０００台以上を目標）

（１）未登録公用車の掘り起こし

（２）企業契約車両のご協力要請活動（契約先給油所との協働作業）

（３）レンタカー車両協力システムの構築（観光産業のプレミアムとして）

３．協力車両増大に向けては都会型の解放市場ではなく閉鎖市場が故の

難しさと地元商流への細かな配慮が必要

エタノールタンク

１０ＫＬ

実証研究事業の設備概要

Ｅ３専用ローリー出荷（１４ＫＬ）

課税出荷⇒納税

ｴﾀﾉｰﾙ専用ﾛｰﾘｰ

（４ＫＬ）

バイオエタノール未納税移出

宮古島生産設備より

E３タンク２００ＫＬ

E3燃料専用給油設備

宮古油槽所E3専用給油所

ＮＥＤＯ Ｅ３専用給油所

未納税ガソリンタンク

２００ＫＬ

未納税ガソリンタンカー移送

沖縄本島製油所より

エタノールタンク

１０ＫＬ

Ｐ

Ｐ

混合比率制御

E3・E10燃料製造所（油槽所全体）

エタノール ３％

ガソリン ９７％

ブレンダー

ブレンダー

Ｐ

Ｐ

定量遮断弁

エタノール１０％

ガソリン９０％

混合比率制御Ｐ

Ｐ

Ｅ１０製造所

Ｐ Ｐ

JAひらら併置E3・E10給油所

JA上野併置E3・E10給油所

Ｅ１０１０KL

NEDO給油所E３・E10セルフ給油設備（平成22年8月1日運用開始）

E3・E10セルフ給油所案表示（看板・誘導）

セルフ給油設備安全監視設備一式 E3・E10セルフ給油ノズル識別表示

E3・E10セルフ計量機識別表示

JAひらら給油所E３・E10セルフ計量機（平成22年8月1日運用開始）

E3 ・E10セルフ計量機案内表示（看板・誘導） E3・E10セルフ計量機案内識別表示

セルフ計量機安全監視装置一式 E3・E10セルフ給油ノズル識別表示

JA上野給油所E３・E10フルサービス計量機（平成22年8月1日運用開始）

E3 ・E10給油設備案内表示（看板・誘導） E3・E10フルサービス量機案内識別表示

E3・E10フルサービス供給ノズル識別表示 E3・E10給油設備案内表示（看板・誘導）

Ｅ３燃料供給・顧客管理　システム 処理概要図

⑤請求書発行処理

請求書発行及び発送

①Ｅ３給油データ

①Ｅ３給油データ

①Ｅ３給油データ

①Ｅ３給油データ

りゅうせきNW情報システム部(NWJS)①Ｅ３給油データ③Ｅ３顧客データ

③Ｅ３顧客データ

③Ｅ３顧客データ

インターネット網

③Ｅ３顧客データ

④Ｅ３請求データ

④Ｅ３請求データ

②【各種処理実施】・Ｅ３売上集計処理・Ｅ３請求処理・Ｅ３顧客情報

⑤【各種マスター管理】・Ｅ３売上管理・Ｅ３請求管理・Ｅ３顧客管理・他Ｅ３関連管理

バイオエタノールプロジェクト推進室(ＢＥ-ＰＪ)

ＪＡひららＳＳ

ＪＡ上野ＳＳ

ＮＥＤＯ給油所

宮古油槽所内SS

各種管理表

２００８/10/20

Ｍｐｏｓ

Ｍｐｏｓ

Ｍｐｏｓ

Ｒ-ｐｏｓ

顧客管理システム責任者 ： （株）りゅうせき バイオエタノールプロジェクト推進室（ＢＥ－ＰＪ）

①E3給油データ：Ｅ３燃料の売上データを各ＳＳのＰｏｓ、ＭＰｏｓから集信します。　 (タイミングはＭｐｏｓの設定時間による)②集信データをりゅうせきＮＷＪＳセンターにて、売上集計処理及びＢＥ-ＰJからの　 顧客管理情報をＭｐｏｓ向け配信データを準備します。③ＢＥ-ＰＪから登録された顧客情報を①のタイミングで折り返し配信します。④Ｅ３請求データは請求書発行処理のタイミングで配信します。 宮古支店、 ＢＥ-ＰＪの各パソコンより発行可能です。⑤随時機能としてＢＥ-ＰＪで、顧客メンテやお客様の売掛状況等の管理機能が利用可能。

【機能説明】

バイオエタノール燃料、Ｅ３燃料製造・供給に必要な許認可項目

エタノール工場

製油所

油槽所・Ｅ３製造所

E3給油所

基材ガソリン（ＪＩＳ規格）

⑦特定加工業者登録申請（新揮発油品確法）

⑧品質維持計画の新規届出（新揮発油品確法）

⑨揮発油税営業等開始申告（揮発油税法）

⑩製造所の許可申請（消防法）

⑪アルコール使用届出（アルコール事業法）

②アルコール製造事業許可申請（アルコール事業法）

③アルコール製造・出荷状況の記録・定期報告（アルコール事業法）

⑥未納税移出手続き（揮発油税法）

⑫未納税移入手続き（揮発油税法）

⑬揮発油税の納税（揮発油税法）

⑭品質分析の実施／委託（揮発油品確法）

⑮アルコール使用状況の記録・定期報告（アルコール事業法）

⑲品質分析の実施／委託（揮発油品確法）

⑯E３免税申請（改正揮発油税法）

⑰品質維持計画の認定申請（揮発油品確法）

⑱部材適合確認・消防設備確認（消防法）

①製造所の許可申請（消防法）

④品質分析の実施（JASO規格）／委託

※建築許認可項目は除く

⑤未納税ガソリンの商流の手配

バイオエタノール（ＪＡＳＯ規格）

Ｅ３燃料（ＪＩＳ規格）

許認可項目製造・供給

Ｅ３、Ｅ１０製造所における納税管理システム

ｴﾀﾉｰﾙ

ｶﾞｿﾘﾝ

（ﾌﾞﾚﾝﾀﾞｰ）

（ﾛｰﾘｰ車）

２

４

りゅうせき宮古油槽所 Ｅ３給油所（４給油所）

（積算流量計）

（積算流量計）

１

２ 未納税ｶﾞｿﾘﾝ受入簿

エタノール受入簿 ４ E３充填所出荷記録簿

ＪＡ上野給油所 ＪＡ平良給油所

ＮＥＤＯ給油所 油槽所給油所

Ｍ（積算流量計）

（地下ﾀﾝｸ）

（計量機）

１

３ E３製造記録簿 ６

Ｅ３タンク

Ｍ

Ｍ

（混和作業）

６

納税申告書

３

・ｴﾀﾉｰﾙ受入量、濃度、在庫量

・未納税ｶﾞｿﾘﾝ製油所出荷数量、受入数量 ・ｶﾞｿﾘﾝ在庫量、ｴﾀﾉｰﾙ在庫量、

Ｅ３生産量、在庫量、出荷量

・ｴﾀﾉｰﾙ・ｶﾞｿﾘﾝ混合量、Ｅ３製造量 ・Ｅ３ローリー出荷量

５ E３製造・在庫・出荷管理表

５

・Ｅ３月間出荷量・Ｅ３中ｴﾀﾉｰﾙ濃度/量・揮発油税額計算書

：管理帳票類

納税業務の流れ

ｴﾀﾉｰﾙ/未納税ｶﾞｿﾘﾝ受入量を帳票記載

Ｅ３製造量（ｴﾀﾉｰﾙ＋ｶﾞｿﾘﾝ混合量）を帳票記載

Ｅ３出荷量を帳票記載

Ｅ３納税申告納税額＝（月間Ｅ３出荷量ーｴﾀﾉｰﾙ

混合量免税分）×税率４６．８円/Ｌ

納税業務管理帳票類

Ｅ３・Ｅ１０製造～給油における品質管理体制

ｴﾀﾉｰﾙ

ｶﾞｿﾘﾝ

（ﾌﾞﾚﾝﾀﾞｰ）

（ﾛｰﾘｰ車）

２５

りゅうせき宮古油槽所 Ｅ３・Ｅ１０給油所（４給油所）

（積算流量計）

（積算流量計）

１

２ 未納税揮発油性状分析表

ｴﾀﾉｰﾙ試料分析証明書５

ＪＡ上野給油所 ＪＡ平良給油所

ＮＥＤＯ給油所 油槽所給油所

Ｍ（積算流量計）

（地下ﾀﾝｸ）

（計量機）１

３

４

Ｅ３（Ｅ１０）タンク

Ｍ

（混和作業）

４

・外観、ｱﾙｺｰﾙ分、ﾒﾀﾉｰﾙ、水分有機不純物、電気伝導度、蒸発残分、銅、酸度、pＨｅ、硫黄分基材受入の都度

（財）新日本検定協会

品質管理ポイント、分析者６

・蒸留試験、蒸気圧、ｴﾀﾉｰﾙ、酸化安定度、色、鉛、硫黄分、ＭＴＢＥ、酸素分、ﾍﾞﾝｾﾞﾝ、灯油混入率、ﾒﾀﾉｰﾙ、密度、銅板腐食、オクタン価基材受入の都度

单西石油株式会社

・蒸気圧、ｴﾀﾉｰﾙ、水分（質量、容量）オクタン価（財）新日本検定協会 １回／月

Ｅ３ｶﾞｿﾘﾝ試料分析証明書

（工程管理分析：自主）（工程管理分析：自主）

７

・エタノール、水分（質量％）自社 １回／月

６

７

（工程管理分析：自主）

・エタノール、水分（容量、質量％）蒸気圧、オクタン価（財）新日本検定協会 １回／月

Ｅ３試料分析証明書・ｴﾀﾉｰﾙ、ﾒﾀﾉｰﾙ、MTBE、酸素分、ﾍﾞﾝｾﾞﾝ、灯油混入、鉛、硫黄分、実在ｶﾞﾑ、色①（社）全国石油協会 １回／月② （財）新日本検定協会 １回／１０日

３第三者機関等

自社分析

・エタノール、水分（質量％）自社 １回／月

(品質調整）

Ｍ

Ｅ３燃料品質管理 （未納税ガソリン、エタノール、E３製品タンク）

品質項目品質規格要求値 分析結果（H20/10/2採取サンプル）

（ＪＩＳ Ｋ２２０２） 計量計測値 オンサイト分析 第三者分析

密度 @15℃,g/cm3 0.783以下 0.7448

蒸留性状 １０％、℃ 70以下 48.5

５０％、℃ 75～110 84.5

９０％、℃ 180以下 143.0

終点、℃ 220以下 177.5

残油量、容量％ 2.0以下 1.0

蒸気圧 @37.8℃,Kpa 44～78 64.0

（夏季用上限：65)

オクタン価 89以上 91.5

銅板腐食 @50℃,3hrs 1以下 0

酸化安定度 分 240以上 240以上

色 オレンジ系色 オレンジ

ＭＴＢＥ 容量％ 7以下 1.0未満

ベンゼン 容量％ 1以下 0.8

メタノール 容量％ 検出されない 検出されず

エタノール 容量％ 3以下 2.6 2.58 2.60

灯油分 容量％ 4以下 1.0未満

酸素分 質量％ 1.3以下 0.9

硫黄分 質量％ 0.0010以下 0.0001未満

鉛分 g/L 検出されない 検出されず

実在ガム mg/100mL 5以下 5未満

水分 質量ppm - 220 240

赤字：強制規格 その他品質は主要品質のみを

記載

試験項目 サブオクタンガソリン分析値

蒸留試験

１０容量％ 51.0

５０容量％ 85.0

９０容量％ 145.0

終点 177.5

蒸気圧 ｋＰａ 59.5

エタノール 容量％ 0.0

水分 ｗｔ％ 76

酸化安定度 ＞２４０

色 オレンジ系色

鉛 ＜０．００１

硫黄分 ｗｔ％ ＜０．０００１

ＭＴＢＥ 容量％ ＜０．５

酸素分 容量％ ＜０．１

ﾍﾞﾝｾﾞﾝ 容量％ 0.8

灯油混入率 容量％ ＜１．０

メタノール ＜０．５

実在ガム ｍｇ/100ｍｌ 0.0

密度 ｇ/ｃｍ３ 0.7419

銅板腐食 0.0

オクタン価 90.1

試験項目 エタノール燃料分析値

エタノール 容量％ 99.8

水分 ｗｔ％ ０．４３ｗｔ％

硫黄分 ｗｔ％ ＜０．０００１

メタノール ＜０．０５

外観 無色透明

有機不純物 ｇ/Ｌ 1.7

電気伝導度 63

銅 ｐｐｍ ＜０．００１

酸度（酢酸として）ｗｔ％ 0.0045

ｐＨｅ 6

混

合

エタノール

ガソリン

Ｅ３燃料

E３燃料品質管理（未納税ガソリン、エタノール燃料、E3製品タンク）

E3,E10燃料実証の今後の課題

１．環境省事業連携のバイオエタノール燃料を活用してE３燃料を品質

管理のもと品質維持と安定供給体制のもと製造・流通・供給し、継続して

実車走行台数を３,５００台程度を目標に増大協力を得ながら、普及を

想定した実用化レベルでの製造流通システムの検証を進める。

２．更にＥ１０燃料のＥ１０燃料を安定供体制のもと製造・流通・供給し、普及

を想定した実用化レベルでE10大臣認定車両による実車走行試験と

並行して普及を想定した製造流通システムの検証を進める。

３．Ｅ３・Ｅ１０燃料の製造・輸送・供給・利用流通の管理要素を検証する。

４．Ｅ３・Ｅ10燃料の普及促進に向けた管理技術・経済性の課題抽出。

５．地域流通・運営に必要な各種法規・規制等への緩和、改善課題の抽出。

６．国際情勢や社会情勢の動向を勘案し、高濃度燃料普及に向けた課題の

検証を実施する。

36

宮古島広域実用化事業における国策事業スキームイメージ

農業・製糖業

アルコール製造業

原料の安定確保

バイオエタノール燃料製造

サトウキビ農家

粗糖（主製品※）

エタノール（７５０ＫＬ／年）

E3燃料製造

Ｅ３製造流通設備の整備

Ｅ３製造設備の整備宮古島需要分の製造

島内全給油所の整備宮古島全ガソリン車へ供給

燃料流通業

危険物（Ｅ３）の安全対策の検証

地産地消の事業化へ向けた社会制度の整備

関係省庁

E3燃料広域流通タンダードモデル

製糖工場

エタノール燃料製造設備宮古島広域実証

高濃度エタノール自動車の試験走行

（新設）

電力会社

余剰バガス燃料融通

製造オペレータ派遣

蒸留残渣液（母液）、残渣酵母

肥料化・飼料化（製造・販売会社等）

（地消用途の検証体制整備）

（調整設備）

洗缶廃水処理施設流用

電気融通

蒸気・水融通

地力増強

糖蜜原料供給 エタノール燃料供給

農家へ還元

増産体制

E３燃料流通実証と高濃度エタノール燃料の検証

蒸留母液利活用

高圧バガスボイラータービン発電機

㈱りゅうせき（案）

製糖工場ｴﾀﾉｰﾙ製造 ﾎﾞｲﾗｰ･ﾀｰﾋﾞﾝ発電

砂糖

有価物

鞘頭部

残渣酵母

蒸留残液

堆肥化

畜糞・汚泥飼料

サトウキビ

蒸気・電気

バガス

焼却灰

自動車燃料 電気

ﾄﾗｯｼｭ

糖蜜

農村 市街地

サトウキビ畑 ⇒地下水源の保全

宮古島の島嶼型低炭素社会モデルへの展開

沖縄県におけるE3モデル実証事業

宮古島広域実用化事業へ向けての課題

１．既存全給油所にてE３、E10実証販売 可能な環境整備

２．原料糖蜜の安定供給の確保

３．蒸留残渣液、醗酵残渣酵母の肥料、飼料化循環システム

４．製糖会社とのエネルギー融通システムの構築

５．サトウキビ総合利用の付加価値産業の構築

６．持続可能なサトウキビ増産体制、効率経営の促進

※ 監督官庁の積極的な支援と課題解決に向けた横断的政策調整。※ 宮古島市の生産農家、製糖業、一般市民一体となった取組み支援。