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多収米栽培 マニュアル 多収米栽培 マニュアル

多収米栽培マニュアル - maff.go.jp...表1多収米品種の特性一覧 品種名 育成年 育成地 栽培適地 早晩性 出穂期 成熟期 稈長 (cm) 穂長 (cm)

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多収米栽培マニュアル多収米栽培マニュアル

平 成 2 1 年 4 月

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目 次

1 品種について

(1)品種の選定 ・・・・・・・・・ 1

(2)栽培適地 ・・・・・・・・・・ 4

2 種子の確保 ・・・・・・・・・・ 52 種子の確保 5

3 ほ場条件 ・・・・・・・・・・・ 6

4 栽培管理

(1)播種 ・・・・・・・・・・・・ 7

(2)直播栽培の導入に いて 8(2)直播栽培の導入について ・・ 8

(3)肥培管理 ・・・・・・・・・ 10

(4)防除 ・・・・・・・・・・・・ 11

(5)収穫 ・・・・・・・・・・・・ 12

5 乾燥・調製 ・・・・・・・・・・ 13

6 落下種子対策 ・・・・・・・・・ 14

7 異品種混入対策 ・・・・・・・・ 15

多収米栽培上の留意点(概要) ・・・ 16多収米栽培上の留意点(概要) ・・・ 16

多収米栽培のポイントについて ・・・ 17

※ このマニュアルは、多収米品種の特性の発揮と低コスト生産を目的として作成した

ものです。内容は、地域の農業技術指導者等を対象として、多収米品種を栽培する際

の栽培技術上の留意点について、一般の水稲作と異なる点を中心に記載しています。

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1 品種について

■ポイント

多肥栽培や直播栽培に適応できる耐倒伏性の強い品種を選定しましょう

1栽培する地域や用途に適合する品種を選定しましょう。

品種を選定しましょう。

3防除回数の縮減に適応できる病害抵抗性を有する品種を選定しましょう。

・米粉や飼料用米など、低価格で販売することが必要な多収米生産において

は低コスト生産を行うことが 大の課題であることから、品種の選定にあ

(1)品種の選定

たっては、

①栽培地の気象・立地条件や作付体系、用途に適応した品種

②多肥栽培や直播栽培に適応できる耐倒伏性が強い品種

③防除回数の縮減に適応できる病害抵抗性を有する品種

を選定することが重要であり、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機

構(以下、「農研機構」という。)等において育成された多収米品種(表

1)を地域条件等に照らして有効に活用しましょう。ただし、飼料向けの品

種には茎葉重が多く子実重が少ない極端な茎葉タイプの品種もあるので、米

(子実)の多収を目的とする場合にはこうした品種は避けましょう。

P1

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表1 多収米品種の特性一覧

品種名 育成年 育成地 栽培適地 早晩性 出穂期 成熟期稈長(cm)

穂長(cm)

穂数(本/㎡)

きたあおば 2008年 北海道農業研究センター 北海道 晩生の早 8月1日 9月27日 79 17.1 526

ふ系211号2009年

品種登録出願予定

青森県農林総合研究センター

東北北部及び中山間地

中生 8月4日 9月27日 81 17.1 399

べこごのみ 2006年 東北農業研究センタ 東北中部以南 早生の早 7月25日 8月31日 79 22 1 255べこごのみ 2006年 東北農業研究センター 東北中部以南 早生の早 7月25日 8月31日 79 22.1 255

ふくひびき 1993年 東北農業研究センター 東北中部以南 中生の中 8月9日 9月23日 75 18.9 373

べこあおば 2005年 東北農業研究センター 東北中部以南 中生の晩 8月7日 9月24日 70 20.3 299

クサユタカ 2002年中央農業総合研究センター北陸センター

東北中南部、北陸、関東以西

中生の中 7月30日 9月18日 80 20.2 261

夢あおば 2004年中央農業総合研究センター北陸センター

東北中南部、北陸、関東以西

早生の晩 7月30日 9月10日 86 23.5 281

北陸193号2007年

品種登録中央農業総合研究センター

北陸、関東以晩生の晩 8月16日 10月4日 80 29 0 236北陸193号 品種登録

出願ター北陸センター

西晩生の晩 8月16日 10月4日 80 29.0 236

モミロマン2008年 作物研究所 関東以西 晩生の早 8月15日 10月9日 89 23.5 277

クサホナミ 2002年 作物研究所 関東以西 極晩生 8月24日 10月16日 93 21.7 267

クサノホシ 2002年近畿中国四国農業研究センター

関東以西 晩生 8月28日 10月17日 93 20.5 236

タカナリ 1990年 作物研究所 関東以西 中生の早 8月13日 10月1日 74 27.7 288

ホシアオバ 2002年近畿中国四国農業研究センタ

東北南部、関東以西

中生の中 8月14日 10月2日 90 23.4 234

注1)研究試験場における2~3年の試験結果の平均値であり、現地での収量とは異なる。

注2)「-」:データなし。「不明」:いもち病真性抵抗性遺伝子を保有するため、ほ場抵抗性は不明。P2

ホシアオバ 2002年ンター 関東以西

中生の中 8月14日 10月2日 90 23.4 234

西海203号2009年

品種登録出願予定

九州沖縄農業研究センター

九州 晩生の早 9月2日 10月31日 76 21.4 304

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(表1 つづき)

品種名 草型粗玄米重(kg/10a)

玄米粒形

耐倒伏性

穂発芽性

耐冷性

脱粒性

葉いもち抵抗性

穂いもち抵抗性

白葉枯病抵抗

縞葉枯病抵抗性

用途

きたあおば 穂重 825 中粒やや弱

-やや強

難弱 弱 --飼料用米・WCS兼用

ふ系211号 穂重 758 中粒 強やや難

極強難やや強 やや強 弱-飼料用米

やべこごのみ 穂重 686 中粒 強易や

弱難強 中 弱 罹病性 飼料用米・WCS兼

ふくひびき 穂重 703 中粒 強やや易

やや弱

難やや強 中 やや弱 罹病性飼料用米

べこあおば 穂重 732やや細長い大粒

強やや易

弱難やや弱 弱 弱 罹病性 飼料用米・WCS兼用

クサユタカ 穂重 729やや細長い大粒

強やや易

弱難中 中 やや弱 罹病性 飼料用米・WCS兼用

夢あおば 穂重 722 大粒極強

中やや弱

難不明 不明 強 抵抗性 飼料用米・WCS兼用

北陸193号 極穂重 780 中粒極強

やや中

やや不明 不明 やや強 抵抗性 飼料用米北陸193号 極穂重 780 中粒

強や難

中や難

不明 不明 やや強 抵抗性 飼料用米

モミロマン極穂重 823

やや細長い大粒

極強

やや易

中難不明 不明 弱 罹病性 飼料用米・WCS兼用

クサホナミ 極穂重669

(精玄米)中粒 強

やや易

-難不明 不明 やや強 抵抗性 飼料用米・WCS兼用

クサノホシ 極穂重670

(精玄米)やや大粒

やや強

難-難不明 不明 強 抵抗性 飼料用米・WCS兼用

タカナリ 極穂重 758やや細長い中粒

極強

極難

極弱

やや難

弱 弱 中 抵抗性飼料用米

ホシアオバ 極穂重694

(精玄米)やや細長い大粒

やや強

やや易

-やや難

不明 不明 中 抵抗性 飼料用米・WCS兼

注3)穂発芽性が難の品種は休眠性を発揮し、落下種子が次期作において発芽することがあるので、落下種子対策が重要

です(特に北陸193号、タカナリ)。P3

(精玄米) い大粒 強易難 用

西海203号 穂重 725 中粒極強

中-難不明 不明 やや弱 罹病性飼料用米

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現在、全国各地域を栽培適地とした玄米収量の高い品種が開発されており、これらの品種は、平成20年産水稲平年収量(530㎏)に比べ、大幅に高い収量(概ね700~800㎏)が期待されます。

(図1)多収稲専用品種の栽培適地の分布

(2)栽培適地

きたあおば

ふ系 号

べこごのみ

ふくひびき北陸193号

べこあおば

ふ系211号

タカナリ

ふくひびき

夢あおば

クサユタカ

西海203号

ホシアオバ

モミロマン

クサユタカ

クサホナミ

○粗玄米重・きたあおば 825kg ・べこごのみ 686kg・べこあおば 732kg ・ふくひびき 703kg・夢あおば 722kg ・ホシアオバ 694kg(精)・北陸193号 780kg ・モミロマン 823kg・タカナリ 758kg

ホシアオクサノホシ

・タカナリ 758kg・西海203号 725kg

注①:研究試験場における2~3年の試験結果の平均値であり、現地での収量とは異なります。

注②:粗玄米重の括弧書きは、「精」は篩下を除く粗玄米重。通常、精玄米重は粗玄米重と比べ10%程度低い数値となります。

P4注③:ふ系211号、西海203号は、平成21年品種登録出願の予定です。

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・現在、多収米品種の種子については、農研機構において種子生産用の原種

2 種子の確保

等を供給しているほか、一部の県において栽培用種子を供給することとして

います。また、(社)日本草地畜産種子協会においても、飼料用の栽培用種子

を供給しています。

・今後、さらに多収米や稲発酵粗飼料等の生産が活発になると見込まれるこ

とから、21年産以降の生産の動向を見通して、都道府県段階において多収米

品種の栽培用の種子を安定的に供給する体制を整えることが重要です。現在、

一部の県において、そのための具体的取組の検討が行われています。

【図 多収米品種の種子の供給体制(例)】

(独)農業・食品産業技術総合研究機構

都道府県、都道府県の種苗関係団体

・ 種子の増殖、保管

・ 種子の需要調査

・ 種子生産の技術指導

原種配布

原種布

種子出荷

種子

種子販売

種子販売

種子需要団体等

技術指導

種子生産団体等

配布種子出荷

販売

種子生産農家 種子購入農家

P5

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3 ほ場条件

■ポイント

作業の効率性・異品種混入防止等のために団地化に取り組みましょう。

2大豆作や野菜作後の田に栽培することで、使用する肥料を減らすことも可能です

・栽培体系を統一して播種から収穫までの栽培管理を効率化するとともに、

主食用米への異品種混入を防止する観点から、生産者の組織化や集団化を推

2 肥料を減らすことも可能です。

(JA等による土壌診断に基づき、適切な施肥設計を立てることが重要です。)

主食用米 の異品種混入を防止する観点から、生産者の組織化や集団化を推

進し、生産ほ場はできる限り団地化することが効果的です。

・多収栽培を目指しつつ、できる限り施肥量を抑えるためには、地力窒素の

発現量が多い大豆作や野菜作後の田での多収米栽培が効率的であり、基肥を

一定程度減らすことができます。このため、米の生産調整を推進する中での

水田輪作体系の新たな構成品目として検討していくことが可能です。また、水田輪作体系の新たな構成品目として検討していくことが可能です。また、

多収米を栽培すると土壌窒素を多量に吸収することから、その後の主食用米

の倒伏や品質低下を回避することが期待できますが、この場合は、多収米品

種の作付後の落下種子対策を十分に行うことも重要なポイントです。

・基肥量の決定に当たっては、JA等での土壌診断結果に基づき適切な施肥

設計を行うことが重要です。設計を行うことが重要です。

・また、輪作体系の中で野菜などの連作障害回避のためのクリーニングク

ロップとして水稲を位置付けているところも多いですが、このような場合、

食味等に対する配慮が少なくてすむ飼料用の多収米のほうがより取り組みや

すくなります。

【図 多収米を取り入れた輪作体系のイメージ】

年 1年目 2年目 3年目

ほ場 大豆 大豆 多収米P6

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4 栽培管理(1)播種

■ポイント

・多くの多収米品種は、主食用と比較して粒が大きいことから、主食用米品種

と同程度の播種量では種籾数が不足し 移植時での欠株 直播時の出芽 苗立

播種に当たっては千粒重を考慮し、播種量を調整しましょう。

■ポイント

・このため、多収米品種では、千粒重

を確認し、移植時には苗箱当たり播種

量、又は直播栽培の播種量の調整を行

と同程度の播種量では種籾数が不足し、移植時での欠株、直播時の出芽・苗立

ち密度の低下を招く恐れがあります。

表 主な多収米品種の玄米千粒重

品種名 玄米千粒重(g)一般食用品種

に対する倍率

うことが重要です。

・播種作業、移植作業時に種子や苗の

混入・混同が生じないよう、①種子用

のネットの色を変える、②保管場所を

ク サ ユ タ カ 34.5 1.5~1.7

夢 あ お ば 26.5 1.2~1.3

ホ シ ア オ バ 29.4 1.3~1.5

ク サ ノ ホ シ 24.3 1.1~1.2

ク サ ホ ナ ミ 20.3 0.8~ 1

べ こ あ お ば 31.0 1.4~1.6

出典:飼料稲安定多収のための栽培のポイント(中央農業総

合研究センター北陸研究センター)の表を改変

変える、③主食用米と多収米の関連作

業は分離して行う等、充分に注意して

行う必要があります。

一 般 食 用 品 種 20~23 -

・温湯種子消毒の実施により、いもち病、ばか苗病等の種子伝染性の病害を抑制

・株間を慣行よりも広めにする疎植栽培は、育苗にかかる資材や施設、労力等の

コスト縮減効果が期待でき、作付規模を拡大する場合は有効な栽培技術です。疎

植栽培を行った場合でも 初期生育が速く 穂数を確保しやすい西南暖地では比

することが可能となり、防除コストの削減が期待できます。温度管理については、

必要に応じて地域の指導機関と相談して下さい。

P7

植栽培を行った場合でも、初期生育が速く、穂数を確保しやすい西南暖地では比

較的収量を確保しやすいことが考えられますが、多収米品種は穂重型が多く、地

域によっては穂数を十分確保できずに収量が低下する可能性がありますので、地

域の指導機関と相談して下さい。

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(2)直播栽培の導入について

1品種の直播適性を踏まえつつ、直播栽培による低コスト

■ポイント

・直播栽培は、育苗管理・移植作業等が省略できることや収穫時期が移植栽培

よりも遅く作期分散ができることによるコスト縮減が期待できます。多収米品

種の直播栽培技術は、基本的には主食用米に準じますが、各品種の直播適性を

1生産を目指しましょう。

種 直播栽培技術 、 本 食用米 準 す 、各品種 直播適性を

踏まえつつ、各地域で整備されている直播栽培技術マニュアルや都道府県等で

定めた栽培基準を参考とし、JAや普及指導センター、農業試験場の指導協力

を仰いで下さい。

直播栽培のメリット等について

春作業の省力化(育苗不要)により、労働時間2割程度削減、生産費1割程度削減が可能。

経営上のメリット

○湛水直播栽培:耕起・代かき後に水を張った水田に播種する方式。(散播、条播、点播)

種類と特徴

○乾田直播栽培:畑状態の水田に播種する方式。(耕起、不耕起)

湛水直播 乾田直播播種様式

実施状況(18年)

散播

600ha

背負動力散布

条播

7500ha

高精度湛水条播機

点播

2400ha

打込み式点播技

耕起

3400ha

ドリルシーダー

不耕起

1900ha

ディスク駆動式播種機 機、

ラジコンヘリ等 術(代かき同時作

業も可能)等

等 汎用播種機、

V溝直播機 等

省力性

安定性

倒伏性

P8

倒伏性 △ ○ ◎ ○ ◎

ほ場条件 ・用排水管理が自在にできること ・強還元田以外

◎:非常に良好、○:良好又は対応可能、△:要注意

・地表排水良好 ・水持ち良好・地耐力大 ・雑草少

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・苗立ち数の確保が不安定な寒地・寒冷地や標高の高い地域での導入は避けま

しょう。出芽が地温に左右されやすい乾田直播は、比較的温暖な地域に適しま

すが、ほ場の排水性や水持ちなども重要な条件になりますので、直播栽培の方

式の選択に当たってはほ場条件も考慮することが重要です。

・西南暖地などスクミリンゴガイの発生が多い地域では乾田直播が望ましく、西南暖地などスクミリンゴガイの発生が多い地域では乾田直播が望ましく、

湛水直播を行う場合は、食害回避のための対策が必要です。

・大規模に多収米の作付を行う場合には、同一品種であっても直播と移植の組

み合わせにより、防除時期や収穫時期等の作業を分散させることが可能です。

・休眠性の強い品種(一般に穂発芽性が難の品種)では、種子のビニールハウ

スなどでの加温(27~40℃で10日程度)によって休眠を打破し、浸種・催芽をスなどでの加温(27 40℃で10日程度)によって休眠を打破し、浸種 催芽を

丁寧に行って出芽率を高めます。ただし、乾田直播では、播種時期が気温の低

い4月の場合、浸種・催芽された種子はダメージを受けやすく、逆効果になり

ますので注意が必要です。

直播栽培における品種選択上の注意点

次の品種は、特性上、育成地において直播を勧めていませんので注意が必要です。

○きたあおば → 耐倒伏性がやや弱く、直播栽培では倒伏しやすい。

○タカナリ → 休眠性が強く、出芽率が低下する可能性がある。

○北陸193号 → 休眠性が強く、低温出芽性が劣るため、特に寒冷地での出芽不良に注意が必要です。

直播栽培における種子コーティング技術の特徴と注意点

直播栽培における出芽率、苗立ち率を高めるためには、種子コーティングが効果的であり、コーティングにはカルパーコーティング、鉄コーティングの2種類があります。それぞれの特徴及び注意点は以下のとおりです。1.カルパーコーティング(メリット)

①カルパー剤(酸素供給剤)の効果により、高い出芽・苗立ち率を確保可能です。(注意点)

②コーティング種子の保存がきかないため、計画的なコーティング作業が必要です。③コーティング後の加温処理を行わない場合は、コーティング前に催芽を行いますが、コーティング時

に芽が折れないよう、催芽は「ハト胸」状態でとめます。④寒冷地ではコーティング後の加温処理により苗立ちが促進されます。⑤コーティングの出来具合が出芽率や播種機の稼働効率に影響するので事前の技術習得が重要です。

2.鉄コーティング(メリット)

①種子が重くなるため、表面散播しても浮き苗が発生しにくくなります②コーティング種子は長期の保存が可能であり、農閑期のコーティング作業が可能です。③カルパーコーティングより安価です。

(注意点)④出芽率低下を防止するため、コーティング作業後の放熱を十分行うことが必要です。 P9

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(3)肥培管理

1耕畜連携による堆肥の導入等により肥料代を節約しましょう

■ポイント

・米粉用や飼料用の多収米は主食用米で求められるほどの食味や玄米外観品質

を考慮する必要がなく、多収米品種は多肥条件下で増収しやすい特性を持って

しょう。

品種の特性が発揮されるよう、適正な施肥管理をしましょう。

を考慮する必要がなく、多収米品種は多肥条件下で増収しやすい特性を持って

います。そこで、高単収を実現するためには倒伏しない範囲で多肥栽培を行う

ことが基本となりますが、その際、肥料代を節約するために、耕畜連携による

堆肥を利用するなど化学肥料の減肥を行うことが重要です。一般に多収米品種

は耐倒伏性が強く多肥栽培に適していることから、主食用の1.6~2倍程度の

窒素施用が可能です。ただし、倒伏しやすい品種では慎重に増肥します。素施用 能 す。 、倒 す 品種 慎 増 す。

・また、施肥量の決定に当たっては、JA等での土壌診断結果に基づき施肥設

計を組み立てることが重要です。

・なお、追肥に当たっては葉色を確認しながら過不足が生じないようにするこ

とが重要です。いもち病等多発地帯での過度な多肥栽培は避けましょう。

表 窒素施用量と飼料用稲品種の収量(移植栽培)

窒素施用量(kg/10a)全乾物収量(kg/10a)

夢あおば クサユタカ コシヒカリ(参考)

5kg 1450 1499 1396

(基肥+穂肥) (100) (100) (100)

7kg 1711 1799 1466

(基肥+中間追肥+穂肥) (118) (120) (105)倒伏

9kg 1827 1934 1550

注)かっこ内は各品種とも窒素5kg施用時の収量を100とした値

9kg 1827 1934 1550

(基肥+中間追肥+穂肥) (126) (129) (111)倒伏

表 飼料稲品種の窒素肥料のめやす(移植栽培)(窒素kg/10a)

品種基肥 中間追肥 穂肥1 穂肥2 合計

施用量 施用量 施用時期 施用量 施用時期 施用量 施用時期 施用量

注)食用コシヒカリは新潟県平坦部(粘質土壌)での基準

施用量 施用量 施用時期 施用量 施用時期 施用量 施用時期 施用量

飼料イネ専用品種3 3

苗当たり分げつ3~4

出穂前- - 9~10

(夢あおば、クサユタカ) 4,5本発生時 35~25日

食用コシヒカリ2~3 - - 0.5~1.5

出穂前0.5~1.5

出穂前5~6

(参考) 18~15日 10日

出典:飼料稲安定多収のための栽培のポイント(中央農業総合研究センター北陸研究センター) P10

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(4)防除

病害虫抵抗性品種の導入や予察防除により、農薬の使用量の節減を図りましょう

■ポイント

①病害虫防除

・多収米品種には病害抵抗性が付与されているものが多いことから、品種ごと

使用量の節減を図りましょう。

2 雑草防除は、適期防除が基本です。特に直播栽培では雑草対策を適切に実施することが重要です。

多収米品種には病害抵抗性が付与されて るものが多 とから、品種 との病害抵抗性を 大限に利用したり、予察情報に基づいて防除を行うなど、農薬使用量を節減し、防除コストを抑えることが重要です。

・主食用米に求められるほどの玄米外観品質を考慮する必要がないので、カメムシ類の防除は主食用米ほど徹底する必要はありませんが、周辺の水田にカメムシ被害が及ばないよう、適期に防除を実施します。その際、ほ場周辺のイネ科雑草を地域ぐるみで刈り取ることでカメムシ類の発生を予防するなど 極力科雑草を地域ぐるみで刈り取ることでカメムシ類の発生を予防するなど、極力農薬使用量を節減した低コスト生産に取り組みましょう。同様にいもち病等の病害についても、周辺へ拡散しないよう、予察情報に注意しながら防除を実施しましょう。

・多収米品種は多肥栽培によって葉色が濃くなる可能性があり、イチモンジセセリ(イネツトムシ)の標的になりやすいことが想定されますので、被害の早期発見に努めましょう期発見に努めましょう。

②雑草防除

・直播栽培では苗と雑草の生育が競合しやすく、特に乾田直播では雑草が繁茂しやすいため、適期の除草剤散布が重要です。水田が傾斜していたり、凹凸が多いと除草剤の効果にムラが出ますので、播種前のほ場の均平作業を徹底しておくことが重要です。

・病害虫・雑草防除に当たっては、「稲」に登録のある農薬を用いることとし、そのラベルに記載されている薬剤の使用方法、使用量等農薬使用基準を遵守することが不可欠です。

農薬使用基準等について

P11

・多くの場合、籾米は玄米に比べて農薬の残留濃度が高いので、出穂期以降に農薬の散布を行う場合は、家畜へは籾摺りをして玄米で給餌しましょう。籾米のまま、もしくは籾殻を含めて家畜に給餌する場合は、出穂期以降の農薬の散布は控えましょう。

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(5)収穫

刈り取り適期は籾水分25%以下とし、効率的な

■ポイント

1乾燥のために極力低水分で収穫しましょう。

2できる限り主食用品種より晩生の品種を選択し、主食用品種→多収米品種の順で収穫しましょう。(または、多収米専用のコンバインを準備する。)

・刈り取りは籾水分25%以下(籾の90%程度の黄化が目安)になってか

ら行いますが 収穫前にほ場での立毛乾燥を可能な限り行うことで籾水分を

品種切り替え時には、作業後のコンバインの清掃を徹底しましょう。

ら行いますが、収穫前にほ場での立毛乾燥を可能な限り行うことで籾水分を

減少させ、効率的な乾燥に取り組みましょう。一方で、収穫時期を遅らせる

と脱粒性が高まる場合があり、収量低下をもたらすとともに、落下種子が次

年度以降に発芽し、異品種混入の原因となるため注意が必要です(翌年も多

収米を栽培するほ場では、立毛乾燥は特に有効な手段と考えられます)。

また、倒伏や穂発芽が生じると品質が大きく低下し、多収米用途としてのまた、倒伏や穂発芽が生じると品質が大きく低下し、多収米用途としての

適性を欠く恐れがあります。このため、収穫時期は倒伏や脱粒、穂発芽性を

考慮して決定することが重要です。特に穂発芽性については「やや易」とさ

れる多収米品種が多いことから、収穫時期の決定に当たっては、品種特性に

応じて収穫順序を決め、さらに降雨情報にも注意することが必要です。

バイ 等による収穫 は 主食用品種 混入を防止するため き・コンバイン等による収穫では、主食用品種への混入を防止するため、でき

る限り主食用品種より晩生の品種を選択し、主食用品種の収穫後に多収米品

種を収穫します。また、品種切り替え時(特に、多収米品種の収穫後に主食

用米品種を収穫する場合)には、機械内の清掃を徹底します。近年市販され

ている自脱型コンバインは、残留籾を取り除きやすいように掃除口が取り付

けてあるので、清掃を徹底することで、残留籾のほとんどを取り除くことがけてあるので、清掃を徹底することで、残留籾のほとんどを取り除くことが

可能となっています。

・多収米品種は茎葉の量も多くコンバインの作業速度が低下しやすいことに

留意し、計画的な作業を進めましょう。

P12

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5 乾燥・調製

籾の適切な貯蔵のために仕上げ水分は15%程

■ポイント

籾の適切な貯蔵のために仕上げ水分は15%程度としましょう。

機械・施設の清掃を徹底しましょう。

・多収米の乾燥方法は基本的に主食用米に準じますが、米粉用や飼料用の多収

米は主食用米で求められるほどの食味・外観品質を考慮する必要がないので、

乾燥時の温度を高めに設定して乾燥効率を上げる、粒厚・色彩選別を省略する

など、乾燥・調製のコスト低減のための工夫を行います。ただし、出荷先が提

示する品質規格等に応じて乾燥・調製方法を選択することが必要です。

また、通常より高温で乾燥させる場合、穀粒間及び穀粒内部で水分のばらつ

きが大きくなるので、一定の時間経過後に水分含有率を確認するなど、水分管

理に留意します。

・収穫後の籾は水分が高く、そのままの状態ではカビ、腐敗の発生を招きます。

このため、収穫後はできるだけ早く乾燥作業を行うとともに、乾燥中は主食用

様 穀 監 物米と同様、穀温・籾水分・外気温の監視を行います。また、このほか、異物混

入防止等のために、施設内の清掃を徹底することも重要です。これら実施作業

については必ず記録として保管することが大切です。

・貯蔵性を高めるため、仕上げ水分については15%程度としましょう。

異品種混入対策

・乾燥調製施設等における品種混入を防止するため、機械・施設の清掃を徹底

しましょう。機械・施設内に残った多収米品種は翌年の品種混入にもつながる

可能性があります。また、主食用米品種と多収米品種の作期をずらし、乾燥調

製施設の計画的な利用を図るなど、主食用米への混入リスクを低減することが

異品種混入対策

重要です。

このため、カントリーエレベーター(CE)、ライスセンター(RC)など

共同利用施設の利用、又は個人乾燥施設の利用等をどのような方法で行うか、

地域の関係者間で予め決めておく必要があります。P13

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6 落下種子対策

代かき前の非選択性除草剤の散布が有効です。

■ポイント

・収穫時にほ場に落下したモミが次年度に発芽し、次期作の主食用米の生

代かき前の非選択性除草剤の散布が有効です。1

田植え後の初中期一発除草剤の散布が有効です。2

産に影響を与える場合があります(漏生イネと呼ぶ)。

・湛水直播での播種後落水、乾田直播での初期畑状態など直播栽培に特有

の管理は、漏生イネの生育にとって有利なため、多収米栽培後のほ場に主

食用米を栽培する場合には、極力直播栽培を避け、移植栽培とします。

・移植栽培では移植イネと漏生イネの生育程度に違いが出るため、次の方

法で落下種子による翌年の漏生イネの発生を防止し、主食用米への多収米

の混入を防止できます。

①代かき前の非選択性除草剤散布

②代かき後のプレチラクロールを含む初期除草剤散布、移植水稲のみを

適用作物とする初中期一発除草剤の散布等適用作物とする初中期一発除草剤の散布等

これら薬剤の使用方法、使用量等については農薬使用基準を遵守するこ

とが不可欠です。

なお、直播水稲に適用のある除草剤は、漏生イネに対して防除効果が期

待できないため使用しません。また、主食用米移植後は水深をやや深めに

保 ことも有効です保つことも有効です。

漏生イネ

食用米(移植)

P14

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7 異品種混入対策・ 当年の多収米の生産及び次期作の主食用米の生産における異品種混入を防

止するための対策(ポイント)は次のようになります。

ほ場の準備

・ほ場の団地化

・前年と異なる品種を栽培する場合は、移植栽培にする。(特に多収米から主食用米に変わるときには注意が必要)

発生した漏生イネを鋤き込む。耕起または代

かき前

代かきから田植えまでの期間は7日以内とする代かき後から

発生する漏生イネを防除するため、移植直後に初期除草剤を散布する。

移植後

代かきから田植えまでの期間は7日以内とする。代かき後から

移植前

本田生育中6月:栽培品種以外の漏生イネを抜き取る。8月:出穂後に形質の異なる穂の株を抜き取る。

収穫作業を組織化する収穫

乾燥・調製

・収穫作業を組織化する。・品種毎に収穫する。・品種の切り替え時にコンバインの清掃を行う。

・品種毎に乾燥・調製する。

・品種の切り替え時に乾燥機・調製用機械の清掃を乾燥・調製 ・品種の切り替え時に乾燥機・調製用機械の清掃を行う。

機械等格納翌年の混入を防止するため、コンバイン等の格納時に清掃を行い、残留籾を取り除く。 P15

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多収米栽培上の留意点(概要)

栽培する地域に合った品種や、直播栽培の場合には耐倒伏性の強い品種等栽培条件に合った品種を選択しましょう。

直播では種子の加温によって休眠を打破し、浸種・催芽を行いましょう。

千粒重が大きい品種は、播種する量を増やしましょう。2

3行いましょう。

浸種等を丁寧に行い、ハト胸状態を維持します。(乾田直播では播種時期が4月の場合には浸種・催芽は逆効果になるので注意します。)

品種の特性が発揮されるよう、適正な施肥管理をしましょう。

44 施用に当たっては、土壌診断に基づく適正施肥や、耕畜連携による堆肥の利用、大豆作や野菜作後の田に多収米を栽培すること等により、化学肥料の使用量を減らし、低コスト化することが重要です。

病害虫抵抗性品種の導入や予察防除により、農薬の使用量の節減を図りましょう。

できる限りほ場で立毛乾燥して刈り取りましょう。

刈り取り開始は籾水分25%以下を目安としますが、多収米は主食用米に求められるような食味や玄米外観品質を考慮する必要がないことから、籾水分が十分低下した後の収穫が可能です。ただし、倒伏・穂発芽・脱粒の発生に注意します。

落下種子対策を徹底しましょう

異品種混入を防ぐため、機械・施設の清掃を徹底しましょう。7

異品種混入のリスクを下げるため、機械・施設の清掃を徹底するほか、ほ場の団地化や主食用米品種と作業時期が重ならない品種の選択を検討することも重要です。

落下種子対策を徹底しましょう。

8 耕種的対策:多収米栽培後のほ場に主食用米を栽培する場合には、極力直播栽培を避け、移植栽培としましょう。

薬剤での対策:代かき前の非選択性除草剤散布、代かき後のプレチラクロールを含む初期除草剤散布等によって防除します。

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多収米栽培のポイントについてー 移植栽培 ー

留意点

項目

作業内容等

留意点

品種の選定

①多肥栽培のための耐倒伏性の強い品種

②農薬コストの縮減のための耐病性を有する品種

5 田植え 除草剤

播種

多収米品種は主食用米の1.6~2倍が目安(N成分)となる 葉色を

基肥散布

基本的には主食用米に準ずるが、

多収米品種では千粒重を確認のうえ、必要に応じて播種量を増やす。

落下種子対策

水管理

代かき

6 間断かん漑

中干

田植え 除草剤散布

病害虫防除

幼穂期

2倍が目安(N成分)となる。葉色を確認しながら追肥する。

追肥

多収米品種は比較的病害抵抗性

基本的には主食用米に準ずる。

害虫防除

出穂

落水

減分期

幼穂期

追肥

多収米品種は比較的病害抵抗性が強いが、病気や害虫の発生がみられる場合には、薬剤で防除する。

できる限りほ場で立毛乾燥して刈取る。脱粒による収穫低下、落下種子による異品種混入を回避する

10収穫 乾燥・

調製

種子による異品種混入を回避する。

異品種混入を防ぐため、主食用米との作期をずらす。また、機械・施設の清掃を徹底し、残留籾を取り除く。

落下種子対策

11 収穫後もしくは翌年の主食用米の作付前に湛水し、ほ場に落下した種子を発芽させ、代かきや非選択性除草剤で防除する。次年産栽培までに実施

P17※作業時期は地域の試験研究機関、普及センター、JAに確認しましょう。

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多収米栽培のポイントについてー 湛水直播栽培 ー

留意点

項目

作業内容等

留意点

品種の選定

①多肥栽培や直播栽培のための耐倒伏性の強い品種

②農薬コストの縮減のための耐病性を有する品種

5 播種多収米品種は主食用米の1.6~2倍が目安(N成分)となる 葉色を

基本的には主食用米準ずるが、多収米品種では千粒重を確認のうえ、必要に応じて播種量を増やす。

落下種子対策

水管理

代かき

6 間断かん漑

中干

除草剤散布

病害虫防除

播種

(施肥同時)

2倍が目安(N成分)となる。葉色を確認しながら追肥する。

追肥

多収米品種は比較的病害抵抗性

基本的には主食用米に準ずる。

害虫防除

出穂

減分期

幼穂期

追肥

多収米品種は比較的病害抵抗性が強いが、病気や害虫の発生がみられる場合には、薬剤で防除する。

できる限りほ場で立毛乾燥して刈り取る。脱粒による収穫低下、落下種子による異品種混入を回避する

10

収穫 乾燥・

落水

種子による異品種混入を回避する。

異品種混入を防ぐため、主食用米との作期をずらす。また、機械・施設の清掃を徹底し、残留籾を取り除く。

落下種子

11調製種子

対策 収穫後もしくは翌年の主食用米の作付前に湛水し、ほ場に落下した種子を発芽させ、代かきや非選択性除草剤で防除する。

次年産栽培までに実施

P18※作業時期は地域の試験研究機関、普及センター、JAに確認しましょう。

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多収米栽培のポイントについてー 乾田直播栽培 ー

留意点

項目

作業内容等

留意点

品種の選定

①多肥栽培や直播栽培のための耐倒伏性の強い品種

②農薬コストの縮減のための耐病性を有する品種

播種

(施肥同時)

多収米品種は主食用米の1.6~2倍が目安(N成分)となる。葉色を確認しながら追肥する。

基本的には主食用米準ずるが、多収米品種では千粒重を確認のうえ、必要に応じて播種量を増やす。

落下種子対策

水管理

除草剤散布2~3葉期

耕起・整地

6 間断かん漑

中干

除草剤散布

病害虫防除

確認しながら追肥する。

追肥基本的には主食用米に準ずる。

基本的には主食用米に準ずる。

(出芽以前に雑草が発生している場合には非選択性除草剤を散布)

2 3葉期入水

害虫防除

出穂

減分期

幼穂期

追肥

多収米品種は比較的病害抵抗性が強いが、病気や害虫の発生がみられる場合には、薬剤で防除する。

できる限りほ場で立毛乾燥して刈り取る。脱粒による収穫低下、落下種子による異品種混入を回避する

10

収穫 乾燥・

落水

種子による異品種混入を回避する。

異品種混入を防ぐため、主食用米との作期をずらす。また、機械・施設の清掃を徹底し、残留籾を取り除く。

落下種子

11調製種子

対策 収穫後もしくは翌年の主食用米の作付前に湛水し、ほ場に落下した種子を発芽させ、代かきや非選択性除草剤で防除する

次年産栽培までに実施

P19※作業時期は地域の試験研究機関、普及センター、JAに確認しましょう。

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農林水産省生産局農業生産支援課

このマニュアルに関する問い合わせ先

TEL:(代表)03-3502-8111(内線4792) FAX:03-6744-2523

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TEL:(代表)048-600-0600(内線3314) FAX:048-601-0533

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東海農政局生産経営流通部農産課

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中国四国農政局生産経営流通部農産課

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九州農政局生産経営流通部農産課

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