業界 TRANSPORTATION 課題 複雑化した情報系仮想化基盤 共有ストレージのノイジーネイバー 煩雑な構成で運用負荷が肥大化 ソリューション 安全を第一とする鉄道の運営を支える情報基盤。 3 ティア・共用ストレージの従来型構成から、 VMware vSAN™ を用いたシンプルなHCI 構成 に転換することで、安定性とパフォーマンスを大 幅に向上し、運用負荷・コストの削減に成功した。 柔軟性・拡張性にもすぐれ、ビジネス環境の変 化に強い基盤へと転換している。 導入効果 シンプルな構成でストレージ運用がほぼ不要 • I/O 性能の高パフォーマンス化を実現し、ノイ ジーネイバーを解消 仮想マシン提供のリードタイムを大幅に短縮 導入環境 • VMware vSAN™ • VMware vRealize® Operations™ • VMware vSphere® プロフェッショナルサービス • vSphere/vSAN 設計、テストレビュー • vSphere/vSAN ヘルスチェック • vRealize Orchestration 運用自動化支援 テクニカルアカウントマネージャサービス(TAMテクニカルサポートサービス(TSSクリティカルサポートマネージャーサービス(CSMサポートサービス ビジネスクリティカルサポート(BCSJR 西日本 IT ソリューションズは、西日本旅客鉄道(JR 西日本)グループのシステ ムインテグレーターとして、企画立案から構築、運用まで一手に引き受けています。 鉄道は極めて重要な社会インフラの1 つであり、鉄道業務を支える IT も計画外の 停止はすべて障害扱いになるほど厳格な運用が求められます。これまでの仮想化 基盤は、煩雑な従来型ストレージ構成による運用の難しさがあり、ノイジーネイバー にも悩まされていました。 VMware SDDC に賛同した同社は、新たに「VMware vSAN™」を採用し、シンプルで安定的な基盤への転換を果たしました。 積極的な IT 活用で 鉄道の安全と快適を守る 西日本旅客鉄道(JR 西日本)は、北陸・近畿・中 国地方の2 16 県に及ぶ鉄道網を中心に事業を 展開する鉄道会社です。 2022 年に向けた中期経 営計画では、「基幹事業である鉄道の安全性向 上に全力で取り組むとともに、地域の皆様と一体 となって、人々が出会い、笑顔が生まれる、安全で 豊かな社会作りに貢献する。」ことを掲げています。 又、鉄道以外の創造事業についても新たな市場 への進出、新たな事業領域への展開を行い、グ ループの総合力を生かし成長することで、 2022 年度連結営業収益は1 6,300 億円を目指して います。 「昨今のインバウンド需要拡大に伴い訪日のお客 様が増えていますし、 2025 年には大阪万博も控 えており、成長機会が多くあります。しかし一方で、 人口減少に伴う市場の縮小や労働力の減少、と いった環境の変化もあります。こうした変化に対 応し中期計画の目標を達成するには積極的なIT の活用が不可欠ですが、変化のスピードに耐えう る柔軟かつ安定したIT 基盤が、これまで以上に 求められていると感じています」と、 JR 西日本 IT 本部 課長代理 木村博之氏は指摘します。 IT 本部では、中期経営計画に掲げる経営課題 を踏まえ、「IT の高度活用による業務変革」「グ ループ会社の IT 活用支援」 「セキュリティを含め ITリスク対策の向上」、それらを支える礎となる IT 人材の確保と育成」をIT 部門の基本方針(3 1)と位置付けて、JR西日本 ITソリューションズ と共に各種施策を推進しています。 JR 西日本 IT ソリューションズ 取締役の森哲郎 氏は、「当社は、 JR 西日本グループのIT 戦略会社 として、グループ約5 万のユーザーが利用するIT を支えています。先端技術の獲得と人材の育成に も注力しており、 JR 西日本のIT 部門と人材交流 を図ったり、若手技術者を海外研修に派遣したり と、積極的な活動を続けています」と説明します。 旧式の IT 基盤の悩みを vSAN で解消 今回、更改が図られたのは 情報系 IT 基盤 です。鉄道運行そのものとは切り離されているも のの、車両や設備の検査、アプリ運営、 ERP やテ ナント管理、災害サポートなどの各種業務を支え る重要なシステムです。 「従来の情報系 IT 基盤はFC-SAN を用いた3ティ ア構成で、物理構造が極めて煩雑でした。配線は 判別が難しく、変更作業はトリプルチェックしなけ ればならないほど。全体を把握しているエンジニ アもいませんでした。また、共通ストレージはノイ ジーネイバーの問題が顕著で、負荷の高いワーク ロードによって他の業務システムが使えなくなるこ ともありました。アラートも多く、運用負荷の肥大 化も課題となっていました」と、運用サービス本部 インフラ整備部長の前田国生氏は振り返ります。 JR 西日本 IT ソリューションズは、より安定的か つ快適に利用できるシステム基盤を求めました。 そんな折、運用サービス本部 インフラ整備部 画・構築グループ マネージャー 奥田諭氏らが、 米国のVMware Briefing Center での研修に参 加してSDDC を学び、課題を解決する施策として vSAN」に注目したのです。 vSAN であれば、煩雑で運用負荷の高いインフ 株式会社JR 西日本 ITソリューションズ 取締役 哲郎 社会インフラを支える情報システム基盤 性能の低下と運用負荷の肥大化をvSANで解消 最重要プロジェクトをプロフェッショナルサービスが支援 CUSTOMER CASE STUDY

社会インフラを支える情報システム基盤 性能の低下と運用負荷の … · 鉄道は極めて重要な社会インフラの1つであり、鉄道業務を支えるitも計画外の

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業界TRANSPORTATION

課題• 複雑化した情報系仮想化基盤• 共有ストレージのノイジーネイバー• 煩雑な構成で運用負荷が肥大化

ソリューション安全を第一とする鉄道の運営を支える情報基盤。3ティア・共用ストレージの従来型構成から、VMware vSAN™を用いたシンプルなHCI構成に転換することで、安定性とパフォーマンスを大幅に向上し、運用負荷・コストの削減に成功した。柔軟性・拡張性にもすぐれ、ビジネス環境の変化に強い基盤へと転換している。

導入効果• シンプルな構成でストレージ運用がほぼ不要• I/O性能の高パフォーマンス化を実現し、ノイジーネイバーを解消

• 仮想マシン提供のリードタイムを大幅に短縮

導入環境• VMware vSAN™

• VMware vRealize® Operations™

• VMware vSphere®

プロフェッショナルサービス• vSphere/vSAN設計、テストレビュー• vSphere/vSANヘルスチェック• vRealize Orchestration運用自動化支援• テクニカルアカウントマネージャサービス(TAM)• テクニカルサポートサービス(TSS)• クリティカルサポートマネージャーサービス(CSM)

サポートサービス• ビジネスクリティカルサポート(BCS)

JR西日本 ITソリューションズは、西日本旅客鉄道(JR西日本)グループのシステムインテグレーターとして、企画立案から構築、運用まで一手に引き受けています。鉄道は極めて重要な社会インフラの1つであり、鉄道業務を支える ITも計画外の停止はすべて障害扱いになるほど厳格な運用が求められます。これまでの仮想化基盤は、煩雑な従来型ストレージ構成による運用の難しさがあり、ノイジーネイバーにも悩まされていました。VMwareのSDDCに賛同した同社は、新たに「VMware vSAN™」を採用し、シンプルで安定的な基盤への転換を果たしました。

積極的な IT活用で 鉄道の安全と快適を守る西日本旅客鉄道(JR西日本)は、北陸・近畿・中国地方の2府 16県に及ぶ鉄道網を中心に事業を展開する鉄道会社です。2022年に向けた中期経営計画では、「基幹事業である鉄道の安全性向上に全力で取り組むとともに、地域の皆様と一体となって、人々が出会い、笑顔が生まれる、安全で豊かな社会作りに貢献する。」ことを掲げています。

又、鉄道以外の創造事業についても新たな市場への進出、新たな事業領域への展開を行い、グループの総合力を生かし成長することで、2022年度連結営業収益は1兆6,300億円を目指しています。

「昨今のインバウンド需要拡大に伴い訪日のお客様が増えていますし、2025年には大阪万博も控えており、成長機会が多くあります。しかし一方で、人口減少に伴う市場の縮小や労働力の減少、といった環境の変化もあります。こうした変化に対応し中期計画の目標を達成するには積極的な ITの活用が不可欠ですが、変化のスピードに耐えうる柔軟かつ安定した IT基盤が、これまで以上に求められていると感じています」と、JR西日本 IT本部 課長代理 木村博之氏は指摘します。

同 IT本部では、中期経営計画に掲げる経営課題を踏まえ、「ITの高度活用による業務変革」「グループ会社の IT活用支援」「セキュリティを含めた ITリスク対策の向上」、それらを支える礎となる「IT人材の確保と育成」を IT部門の基本方針(3+1)と位置付けて、JR西日本 ITソリューションズと共に各種施策を推進しています。

JR西日本 ITソリューションズ 取締役の森哲郎氏は、「当社は、JR西日本グループの IT戦略会社として、グループ約5万のユーザーが利用する ITを支えています。先端技術の獲得と人材の育成にも注力しており、JR西日本の IT部門と人材交流

を図ったり、若手技術者を海外研修に派遣したりと、積極的な活動を続けています」と説明します。

旧式の IT基盤の悩みを vSANで解消今回、更改が図られたのは “情報系 ”の IT基盤です。鉄道運行そのものとは切り離されているものの、車両や設備の検査、アプリ運営、ERPやテナント管理、災害サポートなどの各種業務を支える重要なシステムです。

「従来の情報系 IT基盤はFC-SANを用いた3ティア構成で、物理構造が極めて煩雑でした。配線は判別が難しく、変更作業はトリプルチェックしなければならないほど。全体を把握しているエンジニアもいませんでした。また、共通ストレージはノイジーネイバーの問題が顕著で、負荷の高いワークロードによって他の業務システムが使えなくなることもありました。アラートも多く、運用負荷の肥大化も課題となっていました」と、運用サービス本部 インフラ整備部長の前田国生氏は振り返ります。

JR西日本 ITソリューションズは、より安定的かつ快適に利用できるシステム基盤を求めました。そんな折、運用サービス本部 インフラ整備部 企画・構築グループ マネージャー 奥田諭氏らが、米国のVMware Briefing Centerでの研修に参加してSDDCを学び、課題を解決する施策として「vSAN」に注目したのです。

「vSANであれば、煩雑で運用負荷の高いインフ

株式会社JR西日本ITソリューションズ取締役森 哲郎 氏

社会インフラを支える情報システム基盤性能の低下と運用負荷の肥大化をvSANで解消最重要プロジェクトをプロフェッショナルサービスが支援

CUSTOM ER CAS E STUDY

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ヴイエムウェア株式会社 〒105-0013 東京都港区浜松町1-30-5 浜松町スクエア13F URL:www.vmware.com/jpCopyright © 2019 VMware, Inc. All rights reserved. Protected by U.S. and international copyright and intellectual property laws. VMwareおよびVMwareロゴはVMware, Inc.の商標です。他のすべての社名および製品名はそれぞれの企業の商標です。 Item No. CS_JRWEST_JPQ219 07/19 G

vSANによる解決従来型FC-SANの課題

シンプルで柔軟性の高い構造

I/O性能を高パフォーマンス化

ストレージ運用がほぼ不要に

ノイジーネイバーが全体に影響

物理構造が極めて煩雑

運用負荷が肥大化

VM VM VM VM VM VM VM VM VM VM VM VM VM VM

ユーザ提供のリードタイム

ユーザ提供のリードタイム

仮想マシンの作成時間

仮想マシンの作成時間

削減できる年間作業工数

約250時間2~3週間4~5時間 約20分約1ヵ月

図:vSANによるシンプルで運用負荷の低いストレージ環境への転換

ラから脱却し、シンプルで柔軟性が高く、堅牢なインフラを構築できると直感しました。もともと私たちの仮想化基盤はVMware技術で構成されており、その品質を高く評価していました。VMwareのエンジニアやコンサルタントの強力なサポートを得て、実機を用いた綿密なPoCを行い、当社グループの規模でも安定運用を担うことのできる技術だと確信しました(奥田氏)

重責を支えるプロフェッショナルサービス 1年で大きな効果を実証JR西日本 ITソリューションズにとって、JR西日本のビジネスを支える IT基盤の更改は、けっして失敗できないミッションです。そうした重責にある奥田氏らを支えたのが、VMwareのプロフェッショナルサービス(PSO)です。

「もちろん不安はありましたが、PSOのおかげで乗り越えることができました。障害のテストケースや設計の見直しなど、ベンダー各社とも協力体制を敷いて細かなところまでしっかりと対応してくれました。ミッションクリティカルなシステムの構築において、たいへん心強い存在です」(奥田氏)

JR西日本 ITソリューションズでは、vSANのベースとしてオールフラッシュ構成のサーバ マシンを採用したことで、非常にパフォーマンスの高い環境を構築することができました。I/O性能は従来の8倍まで向上し、ノイジーネイバーの問題も発生していません。

「仮想マシンの作成作業に1台あたり4~5時間かかっていたものが、たった20分程度になりました。年間では、およそ250時間の作業工数を削減できると試算しています。利用者への払い出しには、1か月かかっていましたが、2~3週間まで短縮できています。なにより煩雑なストレージ運用がほとんど不要で、リソースの増減だけ気にすればよいというのが助かります」と、運用サービス本

部 インフラ整備部 企画・構築グループ ミドルSEの松本健氏は述べています。

松本氏は、共通ストレージに比べて安価で、拡張性を大幅に強化できたことも高く評価します。重要システムも安定的に稼働しており、1年以上の運用で大きな障害はゼロ。「トータルコストの削減につながっていると実感します」(松本氏)

さらなる ITの進化へ VMwareの技術とサポートに期待JR西日本 ITソリューションズでは、vSANの導入を大きな成功と捉えており、他の ITシステムの移行や将来的なシステム拡張においてもvSAN環境への受け入れを中心に行っていきたいとしています。

そして将来的には、vSANの活用範囲を拡大するとともにハイブリッドクラウドの活用も視野に入れ、「VMware NSX®」を活用したネットワーク環境の仮想化まで検討していく計画です。また運用の高度化を目指して、「VMware vRealize® Log Insight™」などのソリューションにも注目しているとのことです。

「私たちは、外部環境の変化に強い ITインフラを整備し、柔軟で迅速性に優れた ITを提供していきたいと考えています。プロフェッショナルサービス(PSO)は、特定ベンダーに依存しないフラットな提案で、多角的に考えることができるサービスだと感じています。VMwareは、これからもJR西日本グループとともにビジネスと安全を支えてほしいと考えています」(森氏)

JR西日本とJR西日本 ITソリューションズは、これからも鉄道の安全とアーバンネットワークの商流を支えていくことでしょう。VMwareのテクノロジーは、両社のビジネスと社会インフラを IT技術によって強力にサポートし続けます。

カスタマープロフィール北陸3県・近畿地方・中国地方を中心に鉄道路線網を持つ西日本旅客鉄道(JR西日本)と同グループの IT戦略会社として、システムの企画や開発、運用に携わる。ITの高度活用や活用推進、セキュリティ対策、リスク対策を担う。JR西日本との人材交流を通じた技術者の育成や獲得にも注力している。

「ミッションクリティカルな仮想化基盤の更改は、負荷が高く不安も大きなものです。vSANによるシンプルなシステム設計と、プロフェッショナルサービス(PSO)の手厚いサポートによって、安心して稼働を迎えられました。管理負荷も大幅に軽減され、非常に安定的に運用できるようになりました」

株式会社JR西日本 ITソリューションズ 森 哲郎 氏

株式会社JR西日本ITソリューションズ運用サービス本部 インフラ整備部長 前田 国生 氏

株式会社JR西日本ITソリューションズ運用サービス本部 インフラ整備部 企画・構築グループ マネージャー 奥田 諭 氏

株式会社JR西日本ITソリューションズ運用サービス本部 インフラ整備部 企画・構築グループ ミドルSE 松本 健 氏

西日本旅客鉄道株式会社IT本部 ITインフラ 課長代理 木村 博之 氏

社会インフラを支える情報システム基盤性能の低下と運用負荷の肥大化をvSANで解消

最重要プロジェクトをプロフェッショナルサービスが支援