13
[ 復習 : 三角関数 ] θ sinθcosθ・ cos は、直角三角形の斜辺 θをはさむ辺 との比 sin は、角θの対辺 との比 ・ 斜辺 r = 1 なら、cos と sin は、a,b の 長さに等しくなる。 cosθ=a sinθ=b -1 -1 θ P=(a, b) 0 x-y 平面に、半径が1の円(単位円と言う)を描く。 円周上の点Pと、Pから x 軸に垂線を下ろした点 と、 原点0とは、直角三角形になる。 そして、この直角三角形は、斜辺の長さが1である。 Pの座標を(a,b)とする。 また、x軸と半径P-0とが作る角度をθとする。 すると、 cosθ=a sinθ=b となる。 つまり、単位円の上の点Pの座標、(a,b)は、 (cosθ,sinθ) となる。 cos sin 単位円 と 三角関数 ラジアンで表した円の角度 0° 90° 180° 270° 360° ラジアン π π θ 0 θ=0 θπ π π θπ θπ θ=-π θ=- π θπ θ=-π は同じ θ=(3/2)π θ=(-1/2)π は同じ つまり、2πを足したり引いたりしても、 一周するだけなので、円の角度としては同じとなる。 だから、 cos(-π)=cosπ sin(-1/2)π=sin(3/2)π などが成立する。 -1 -1 cos t sin t 0 時間を変数とした 三角関数 関数 cos t は、 単位円上を 等速円周運動をする 点P の x座標 0 cos 信号理論(金田)

[復習:三角関数] - 東京電機大学公式サイト[復習:三角関数] θ r b a b sinθ= r a cosθ= r ・cosは、直角三角形の斜辺rと 角θをはさむ辺aとの比

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[ 復習 : 三角関数 ]

θ

rb

ab

sinθ=r

acosθ=

・ cos は、直角三角形の斜辺 r と

角θをはさむ辺 a との比

sin は、角θの対辺 b との比

・ 斜辺 r = 1 なら、cos と sin は、a,b の

長さに等しくなる。cosθ=a sinθ=b

1-1

-1

θ x

bP=(a, b)

0

x-y 平面に、半径が1の円(単位円と言う)を描く。円周上の点Pと、Pから x 軸に垂線を下ろした点 と、原点0とは、直角三角形になる。そして、この直角三角形は、斜辺の長さが1である。

Pの座標を(a,b)とする。また、x軸と半径P-0とが作る角度をθとする。

すると、 cosθ=a sinθ=b となる。

つまり、単位円の上の点Pの座標、(a,b)は、(cosθ,sinθ) となる。

cos と sin

単位円 と三角関数

ラジアンで表した円の角度

度 0° 90° 180° 270° 360°

ラジアン 0 π 2π

θ x

0

θ=0

θ=

2π

2π

2π

θ=3

2π

θ=π

θ=-π

θ=-1

2π

θ=π と θ=-π は同じθ=(3/2)π と θ=(-1/2)π は同じつまり、2πを足したり引いたりしても、一周するだけなので、円の角度としては同じとなる。

だから、 cos(-π)=cosπsin(-1/2)π=sin(3/2)π

などが成立する。

1-1

-1

tx

cos t

sin t

0

時間を変数とした 三角関数

関数 cos t は、単位円上を等速円周運動をする点Pの x座標

0

cos t

信号理論(金田)

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[ 複素正弦波 1/2 ]

1-1

-1

ωtR(実)

ejωt

0

複素正弦波の定義

ejωt =cosωt+j sinωt

ω:角周波数、 t :時間

・ ejωt は、

実数部が cosωt、虚数部が sinωtを持つ複素数として定義される。

I (虚)

sinωt

cosωt

性質: 複素数 ejωt は、絶対値(大きさ: 原点からの距離)が1で、偏角が ωt の複素数である。

(証明)

・ 性質 1-1: 複素数 ejωt の絶対値 (=原点からの長さ)は、ωt の値によらず常に1である。

(証明): 複素数 ejωt の絶対値 = | ejωt | = √((実数部)2+(虚数部)2 )

= = √((cosωt)2+(sinωt)2 )=1

・ 性質 1-2:複素数 ejωt の偏角はωt である。

(証明): 一般に、複素数 z の絶対値を | z |、偏角をθとすると、

実数部は | z |・cosθ、 虚数部は | z |・sinθと表される。

ejωt の絶対値は 1 なので、その実数部は cosθ、虚数部はsinθと表される。

一方定義より、 ejωt の実数部は cosωt、虚数部はsinωt であるので、

偏角 θ=ωt であることが示される。

( オイラーの公式 )

・ 性質より、時間が経過して t が大きくなるにつれて、偏角が増加するので、ejωt は半径が1の円

(単位円 )の上を回転する。

・ ωt = 2πf t より、t = 1/ f となると、ωt=2π となって、1回転する。つまり、ejωt の回転周期は、

周波数の逆数である。 1秒間に f 回回転する。

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[ 複素正弦波 2/2 ]

正弦波として、sin や cos ではなく、 ejωt を使うことの利点

・ 指数関数の形をしているので、微分・積分が簡単。

)2( 1

)1( (

tjtj

tjtj

ej

dte

ejedt

d

(積分)  

微分)  

式からわかるように、微分は jωをかける、積分は jωで割る操作と同じになる。

・ また、2つの正弦波の掛け算や割り算も、複素正弦波の場合は簡単になる。

/

()-(

)(

2121

2121

tjtjtj

tjtjtj

eee

eee

(除算) 

乗算) 

式からわかるように、乗算は加算、除算は減算操作で表される。

通常の正弦波 sin, cos と、複素正弦波の関係。

これらの式は、sin (または cos )が、 e jωt と e -jωt からできていることを表している。

が得られる。

よって、

を加算して、と式が得られる。また、式

よって、

を引き算すると、から式式となる。

として、をの式は、また、

の定義より、複素正弦波

tjtj

tjtj

tjtj

tjtj

tj

tj

tj

tj

eet

tee

eej

t

tjee

tjte

e

tjte

e

2

1cos

cos2

(2)(1)

2

1sin

sin2

(2)(1)

)2(sincos

j- j (1)

)1(sincos

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[ 複素正弦波によるフーリエ級数 ]

が示された。となり、式

    

」なので、周期積分するとを、周期で、「のは角周波数に代入すれば、を式

公式のときは、オイラーの

立する。であるので、上記が成 となり、のときは、を示す。

       

 最初に、

]の証明式[

:信号の周期            

          

得られる。 をかけて積分すれば

複素共役に、同じ複素正弦波のは、の係数 複素正弦波

の求め方]係数[

      

リエ級数複素正弦波によるフー◇

(A1)

000sin 1

cos 1

sincos 1

1

0 cossin (A1)

)A2(sincos

0

1 1 0

(A1)00

01

1

(2.26)

)26.2( )(1

)(

(2.21) )(

T

0

T

0

T

0

T

0

T

0

0

T

0

0

33

221

33

2210

0

0

0

0

00

0000000

dttmjT

dttmT

dttmjtmT

dteT

mmmT

tmjtme

m

Tdteem

m

mdte

T

T

dtetfT

F

etfFe

F

eFeFeFeFeFeFFeFtf

tjm

tjm

tjm

tjm

tjnT

n

tjnn

tjn

n

tjtjtjtjtjtj

n

tjnn

が成立する。となる。よって、式すべて

番目の積分項以外はとなるで、の関係を利用したもの第四の等号は、式

  

 

 

(2.26) 0

(A1)

000000

1111

00

0000

0)(

0

)(

0

)2(20

)1(10 0

nFeFeF

FF

dteFT

dteFT

dteFT

dteFT

ntj

ntnnj

n

nn

T tnnjn

T tnjT tnjT tjn

dteFeFeFeFeFeFeF

T

dteeFeeFeeF

eeFeeFeeFeFT

dteeFeFeFeFeFeFFT

dtetfT

tf

tnjtnjtnjT tnjtnjtnjtjn

tjntjtjntjtjntj

T tjntjtjntjtjntjtjn

tjnT tjtjtjtjtjtj

tjnT

0000000

000000

0000000

0000000

0

)3(3

)2(2

)1(10

)3(3

)2(2

)1(10

33

221

0

33

2210

0

33

221

33

2210

0

1

1

1

)(1

)12.2()()26.2(

   

     

   

     

  

を代入すると、に、式の式

00 0 Fn

信号理論 第4回 金田

・・・

・・・・・・

・・・

・・・

・・・ ・・・

・・・・・・

・・・

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[ 正弦波の和による信号の合成=フーリエ級数 ]

信号理論 第4回 金田

0 20 40 60 80-2

-1

0

1

2

0 20 40 60 80-2

-1

0

1

2

0 20 40 60 80-2

-1

0

1

2

0 20 40 60 80-2

-1

0

1

2

sin t t3sin3

1

tt 3sin3

1sin

t5sin5

1

tt 3sin3

1sin

ttt 5sin5

13sin

3

1sin

tsin

t7sin7

1

ttt 5sin5

13sin

3

1sin

tttt 7sin7

15sin

5

13sin

3

1sin

方形波の合成

0 50 100 150-2

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

1.5

2

0 50 100 150-2

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

1.5

2

0 50 100 150-2

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

1.5

2

0 50 100 150-2

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

1.5

2

tsin tsin

tt 2sin2

1sin

t2sin2

1

t3sin3

1tt 2sin

2

1sin

ttt 3sin3

12sin

2

1sin

t4sin4

1ttt 3sin

3

12sin

2

1sin

tttt 4sin4

13sin

3

12sin

2

1sin

のこぎり波の合成

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◇ 例) 「ゲート関数」 または 「方形パルス」 (教科書の p. 19 の (c) の内容)

フーリエ変換の例

0

τ (タウ)

A

・ 時刻 -τ/2 および τ/2の間でのみ値 A を持ち、それ以外の時刻では値が 0 となる下記の信号 f(t) を考える。この信号は、「ゲート関数」 または 「方形パルス」 と呼ばれる。

・ この信号のフーリエ変換 F(ω)は、以下のように求められる。(教科書の式(2.42)の、τ0=τ/2 とおいた場合)

信号理論 第5回 金田

-τ/2 τ/2t

f (t)

t

tAtf

2/0

2/2/)(

)2/(

)2/sin(

22/

)()(

2/2/

2/2/2/2/

2/

2/

2/

2/

Aj

eeA

eej

Aee

j

A

ej

AdteAdtetfF

jj

jjjj

tjtjtj

   

◇ 「標本化関数」 または 「sinc関数」

・ sin(x)/x の形の関数を、「標本化関数」 または 「sinc関数」 と呼ぶ。( 上式は、x=ωτ/2 としたもの。 A と τ は一定値なので、高さはAτ)

0

1 x=π,2π,3π,...で、0 となる

π2π 3π

sin(x)x = sin(x)

x1

振幅

振幅が1/xで小さくなっていく正弦波

よって、

ゲート関数 標本化関数

( =ゲート関数のフーリエ変換は標本化関数である )

1x

1)sin(

lim0

x

xx

注:

sin(x) は 0付近では、sin(x) ≒ x となるので

ω=n・2π/τn=1,2,3,・・・

ごとに0となる

最大値は Aτ

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1) 一般に、信号 f ( t ) はいろいろな周波数の正弦波信号 (音で言えば、低い音から高い音まで)を含んでいる。

2) それぞれの周波数の正弦波(成分)を、どの位多く含んでいるかを分析するのがフーリエ変換である。

3) 分析するためには、信号 f ( t ) に e -j ωt を乗算して積分すればよい。式で表せば、

4) F(ω) は、信号 f (t ) に含まれている周波数ωの正弦波の成分を表す。( F(ω) はスペクトル、または、周波数スペクトルとも呼ばれる。)

5) F(ω) は複素数で、その絶対値 | F(ω) | と偏角 arg(F(ω) ) はそれぞれ、正弦波の大きさと位相を表す。( それぞれ、振幅スペクトル、位相スペクトルと呼ぶ。 )

6) F(ω) を図で表す場合、特にことわらなければ横軸に(角)周波数、縦軸に周波数成分の大きさ を描く。この振幅スペクトルを、単に 「(周波数)スペクトル」 と呼ぶことも多い。

7) ωが負の部分を描くこともあるが、+ωと-ωは同じ周波数を表し、 | F(ω) | の値は同じ。→ よって、 | F(ω) | は ω=0 を中心に左右対称となる。

8) 「信号 f (t ) のフーリエ変換が F(ω) 」 である時、

f (t ) F(ω)

(時間信号) (周波数スペクトル)

と表し、 「 f (t ) と F(ω) はフーリエ変換対である 」 と言う。

dtetfF tj )()(

周波数

| F(ω) |

省略することも多い

ω

( フーリエ変換の式 )

ω0

| F(ω) |

[ フーリエ変換のメモ ] - 概要 -

信号理論 第6回 金田

大きさ

0

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時間波形 → 周波数スペクトル

分析 (周波数分析)

周波数スペクトル → 時間波形

合成 (信号波形の合成)

フーリエ級数

(周期信号)

フーリエ級数:

複素正弦波表現

(周期信号)

・ 積分区間は周期 T

フーリエ変換

(非周期信号)

・ 積分区間 ∞ ・ こちらは 「逆フーリエ変換」 と呼ぶ

DFT

(Discrete Fourier Transform: 離散フーリエ変換)

ディジタル信号

(離散時間信号)

コンピュータ計算用

・ 離散時間信号 x(n) n: 整数時間

・ 離散周波数スペクトル X(k) k:整数周波数

・ 積分(Σ)の区間は有限 (Nサンプル)

(=N個の標本化データ)

・ 計算される周波数も N個

・ 周波数間隔は Fs/N (ただし、Fsは標本化

周波数)

・ こちらは 「逆DFT」 と呼ぶ

T

k

T

k

T

dttktxT

b

dttktxT

a

dttxT

a

0 0

0 0

00

)sin()(2

)cos()(2

)(1

)}sin(

)cos({)(

0

100

tkb

tkaatx

k

kk

T tjk dtetx

TkX

0

0)(1

)(

k

tjkekXtx 0)()(

)/(21

0

)()( NknjN

n

enxkX

1

0

)/(2)(1

)(N

k

NknjekXN

nx

dtetxX tj )()(

deXtx tj)(

2

1)(

信号理論 第6回 (金田)

(2.26)(2.25)

(2.31)(2.30)

理論

理論

実用

理論

[ 各種の 時間-周波数変換のまとめ ]

(2.3)

(2.4)(2.5)(2.6)

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◇ δ(デルタ)関数 (インパルス関数)

デルタ関数 δ(t)

t0

τ

1/τ

・ 時間幅がτ、高さが 1/τ のゲート関数を考える。(面積は1)

・ このゲート関数の面積を一定にしたまま、幅を0 に近づける。 (τ → 0 ) すると、高さ 1/τ は、無限大になる。 これをδ関数と呼び、δ(t) と表す。

0

τ

面積 1(一定)

[ 表記 ]

δ(t): t=0 のインパルス

0

矢印で表す

δ( t-t0 ): t =t0 のインパルス

0 t0

[ 性質 ]

1)(

1)(

)(

0)(

0)(0

)0()()(

1)(

0

    

 よって

   

より)のフーリエ変換 (②③

の値を取り出す働きの  

なので 以外では  

②  

  :面積は1①  

t

edtet

t

ttf

tt

fdtttf

dtt

jtj

0

1

δ関数は、全周波数成分を含む

)(2 1)(2

1

2

1)(

2

1

)(

  または      

 よって

   

の逆フーリエ変換④

dte tj

t0

ω0

直流は、ω=0 でだけ値を持つ

δ(t)

δ(ω)

21

 

(一定値=直流)

信号理論 第6回 金田

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[ 関数の平行移動 ]

f(t)

f(t-τ)

τ0 0

τf(t-τ) は、f(t) を

右側に「τ」移動したもの

・ 信号 f(t-τ) は、t =τ の時 (t =τを代入すると)、 値 f(0) となる。

この値は、信号 f(t) が t =0 の時の値である。

・ つまり、f(t-τ) は、t =τ で、 f(t) が t=0 の時の値をとる。

したがって、f(t-τ) は、f(t) を右側に「τ」移動したものである。

・ f(t +τ) は、f(t) を左側に「τ」移動したものとなる。

t =-τ で、 f(t) が t=0 の時の値をとる。

時間 t

f(t)

6時 7時5時

時間 t

f(t -1)

6時 7時5時

時間 t

f(t +1 )

6時 7時5時

・f(t-1) → 信号 f(t)の波形が右に 1時間移動→ 6時に発生した現象が、7時に発生した

→ 信号 f(t) が 1時間遅れた

・ つまり、f(t-τ) は、

信号 f(t) に比べて時間 「τ」 遅れている。

・f(t +1) → 信号 f(t) の波形が左に1時間移動→ 6時に発生した現象が、5時に発生

→ 信号 f(t) が 1時間進んだ

・ つまり、f(t +τ) は、

信号 f(t) に比べて時間 「τ」 進んでいる。

f(t-τ) は、f(t) を

時間「τ」遅らせたもの

τ(タウ)

時間の単位は hour

例) ① y=t と ② y=t-1 を比べてみると、 ②は①を「右に」1動かしたもの

-1

1

0

関数(信号)の時間軸方向の平行移動を「時間推移」と呼ぶ

① ②

信号理論 第7回 金田

( 時間軸上での移動 = 時間推移 )

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[ 微分・積分時のスペクトル変化の補足 ]

◇ 信号 f (t) の微分・積分のフーリエ変換は、

)(1

)(

Fj

df

Fjtfdt

d

t    

    

となる。 つまり、信号を微分すると周波数成分は jω倍され、積分すると 1/ (j ω)倍になる。例えば、10 kHz の周波数成分は、1kHz の周波数成分に比べてωが10倍なので、10倍大きな値になる(強調される)。

◇ 周波数成分が jω倍されるということの意味を考える。信号 f (t) に含まれる周波数ωの成分とは、sin(ωt) のことである。よって、f(t) = sin(ωt) として、これを微分・積分してみると、

2sincossin

tttdt

d

となる。 すなわち、sin ωt を微分すると、振幅が ω 倍され、位相が π/2 だけ進む。位相 π/2 の進みは複素数で 「 j 倍 」 と表されるので、周波数成分は、「 j ω倍 」 されることになる。一方、sin ωt の積分は、

2

sin1

cos1

sin

ttdtt

となる。 すなわち、sin ωt を積分すると、振幅が 1/ω 倍され、位相が π/2 だけ遅れる。位相 π/2 の遅れは複素数で 「 1/ j 倍 」 と表されるので、周波数成分は、「1/ j ω倍 」 されることになる。

時間t

sin(ωt)

0

傾きは0

傾きは負

0

cos(ωt)

sin(ωt)の微分値= sin(ωt)の傾き、であるのでt=0 で傾きは最大値で、しばらく経つと傾きは0になり、その後傾きは負になる。この性質から、sin の微分は cos となることが予想できる

周波数が高いほど、傾きは大きい→周波数が高いほど、微分値は大きい

◇ さらに定性的に考えてみる。 「 微分は波形の傾き !! 」 なので、

最大値

0

傾き最大

信号理論 第7回 金田

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◎ 伝達関数 H(ω) の例

ω周波数

ω周波数

ω周波数 ω

周波数

H(ω)

ωc ωc

ωc1 ωc2ωc2ωc1

信号理論 第8回 (金田)

・ 低域通過フィルタ (高域カット) ・ 高域通過フィルタ (低域カット)

H(ω)

・ 帯域通過フィルタ

H(ω)1

ω周波数

H(ω)=jω

・ 高域強調フィルタ(微分特性)

・ 帯域除去フィルタ

H(ω)

(ラジオやテレビなどの選局に利用)

・ 低域通過フィルタ (LPF: Low Pass Filter)

・ 高域通過フィルタ (HPF: High Pass Filter)

・ 帯域通過フィルタ (BPF: Band Pass Filter)

・ 帯域除去フィルタ (BEF: Band Elimination Filter)

H(ω)

の大きさ

H(ω)

の大きさ

H(ω)

の大きさ

H(ω)

の大きさ

H(ω)

の大きさ

Page 13: [復習:三角関数] - 東京電機大学公式サイト[復習:三角関数] θ r b a b sinθ= r a cosθ= r ・cosは、直角三角形の斜辺rと 角θをはさむ辺aとの比

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振幅変調 と パルス符号変調信号理論(金田)

◇ 振幅変調(AM: Amplitude Modulation)

① 音声信号など、周波数の低い信号(例えば、100Hz~4000Hz)

② 高い周波数の正弦波信号(搬送波、キャリア)(例えば、TBSラジオなら 954kHz)

③ 上記2つの信号の掛け算この信号が電波として送られる。

・ 正弦波信号の振幅を変化させていることから「振幅(Amplitude) 変調(Modulation): AM」と呼ばれる。

◇ パルス符号変調(PCM: Pulse Coded Modulation)

④ ディジタル信号: (1と0との2値を持つ)・ 方形パルスの有り・無しで、1と0を表す

⑤ 高い周波数の正弦波信号(搬送波、キャリア)

⑥ 上記2つの信号の掛け算。 この信号が通信される。・ 正弦波の有無で1と0を表す・ 方形パルスで 1と0のコード(符合)を表し、

正弦波信号の振幅を変化させていることから「パルス符号(Pulse Coded) 変調(Modulation): PCM」と呼ばれる。

・ 初期のころ、PCM 信号は、AD変換されたディジタル信号をそのまま送信していたので、「PCM」とは、パソコン用語では、「AD変換されたままで、mp3 などのオーディオ圧縮されていない信号」 という意味でも用いられている。

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※ ④で示したパルス波形そのものを伝送する場合もある。

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