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Progress in Medicine第2号別刷 Vol.33 No. 2 2013.2 慢性腎臓病(CKD)診療の新たなステージ ー「CKD診療ガイド2012」を手がかりとして- 2.「CKD診療ガイド2012」改訂のポイント CKDの新しい分類法 重症度分類について Nari旧Ichiei Wakasugi Minako 若杉三奈子 一術 成Ill ライフ・サイエンス

CKDの新しい分類法 重症度分類について®原因疾忠をlリlらかにすることは. CKDの進行 や予後の予測のためにも,また,その疾患に応じた治

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Progress in Medicine第2号別刷

Vol33 No 2 20132

慢性腎臓病(CKD)診療の新たなステージー「CKD診療ガイド2012」を手がかりとして-

2「CKD診療ガイド2012」改訂のポイント

CKDの新しい分類法重症度分類について

一一一一一

Nari旧IchieiWakasugi Minako

若杉三奈子 一術成Ill

ライフサイエンス

Prog Med-

33191~19420に

慢性腎臓病(CKD)診療の新たなステージー『CKD診療ガイド2012』を手がかりとして-

2 FCKD診療ガイド2012』改訂のポイント if杉2余身

1) CKDの新しい分類法重症度分類について

Wakasugi Minako

若杉三奈子Narita khici成田一術2

I新潟大学教育研究院医歯学系臓器連関研究センター2新潟大学大学院医歯学総合研究科内部環境医学鮒座腎膿原病内科学分野

ごj三 j はじめに慢lsquo性腎臓病(CKD)には慢性的に持続するすべてワ害腎臓病が含まれるそのため死亡や末期if不全L血符死亡といったCKDの予後は均一ではなく原|刺疾患や状態により大きく異なるこのたび改訂された「CKD診療ガイド2012では予後を考噸したCK1WJ新しい分類法(重症度分類表1)が採jMされた本融ではこの重症度分類について解説する

移柚腎など確定した診断がついているものはそれを記赦するしかしすべての症例で確定診断がついているわけではないまた糖尿病脳者でみられる腎機能異常は必ずしも糖尿病性腎症とは限らないし高血圧患稀で合併した将機能低下がi i硬化症であるとも限らないそのため CGA分類では m将を緋尿瓶合併CKD後者を高血圧合併CKDと記職してもよいとしている参考までに少なくとも5年以1倉の糖尿病碓病期間があり尿検奄で微雌アルブミン尿から顕性アルブミン旅(蛋|血I尿Iえ分A 2~A3)が持続し||艮底検査で糖尿病網膜症が存在する場合には糖尿病性I仔症を疑うがそうではない場合糖尿病性腎症以外の腎疾患の合併が疑われるまた商血圧想者で尿蛋白の鼓が多いあるいは多彩な尿沈澄所見を認めるなどの場合には腎硬化症以外の腎疾患の合併が疑われるこれらの場合には診断確定のためI得生検などの輔密検査が必要になることが多い2 G 腎機能(GFR)1粁機能が低ドするほど死亡末期if不全心血管

死亡発症のリスクが高まるため腎機能の評価は重要である表1に示すように腎機能区分はGFRによって定める Gl~G5の区分はこれまでのステージ分類とH様であるが今Hの改訂で GKRK分のG3はGFR45~ ml分173 nrのG3aと GFR30~44 mL分173 m-のG3bに分かれたこれは同じ03でもG3aとG3bでは死亡末期勝不全心lⅢ194797死亡発症のリスクが異なることがIリ1らかになったためである

CKDの重症度はCGA分類で評価するCKDの重症度は C 原因(cause) G W機藍(GFR)A蛋Il尿(アルブミン尿)からなるCGA分類で評価する原因疾患名 GFRK分蛋白尿区分のそれぞれを識fllllし rigA腎症G2A2」や「腎硬化症G3aA 1」のように表記するこの表記により IIの前の患着におけるCKDの状態が共通の言語としてすぐにわかるようになり特にかかりつけ医と腎臓専門医とのIllで情椛を共有するための有川なツールとなることが期待される以下に C G Aそれぞれの項IIについて説明する1 c原因(cause)CKDの原因疾忠をlリlらかにすることは CKDの進行

や予後の予測のためにもまたその疾患に応じた治療を行うためにも亜要である原因疾患は糖尿病性腎症 IgA腎症多発性撰胞I勝

15(191)-

Progress in Medicine Vo133 No2 2013

表1 CKDの重症度分類

色 色 Q 旬 旬 p = -

色 q p 中

G b o 回 ロ 日

p 写 e p 4 Q 凸

一一

重症艇は原疾患GFR区分蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する CKDの重症度は死亡末期礎イく全心Ⅲ管死亡発症のリスクを[二コのステージを雅準に瞳ヨの順にステージが上昇す垂ほどリスクは上昇する

(文献1 p3表2より引用)

これまでの数多くの研究結果から腎機能の低下は死亡末期腎不全心血管死亡発症などのリスクを高めることに間違いはないしかし腎機能の低下そのものがリスクかどうかはいまだ議論の余地がある腎機能を低下させるような原因(高血圧糖尿病肥満不健康な生活習慣など)が心血管イベンlなどのアウトカムとCKDとの共通のリスク要因であって腎機能の低下は結果をみているに過ぎないという可能性もある難しい統計解析技術を用いてもこれらの区別は困難なのが現状である例えば多変髄解析で高iflL圧や糖尿病で補正してもなおGFR低下が有意なリスク要因であったとしても GFR低下そのものが其のリスクともいいきれない統計解析モデルで補正しきれていなかった可能性は否定できないGFR低下そのものが真のリスク要因かどうかを考える上で腎移植ドナーでの興味深い報告があるカナダのオンタリオ州で1992年から2009年までの間に腎移植ドナーとなった全例(登録時年齢の中央値43歳

四分位範囲34~50歳)での検討で健康的な一般住民とマッチさせて比較したところ中央値65年(最長17房年)の観察期間では死亡あるいは心血管イベンlの発症に差を認めなかった2)同じグループが骨折リスクについても同様に検討しており腎移植ドナーと健康的な一般住民とで骨折発症に差を認めなかった3)これらの研究結果は少なくともこの観察期間内では片腎摘出による腎機能の低下は死亡心血管イベンl発症そして骨折発症のリスクを上昇させないことを示しているこれは腎移植ドナー以外のCKD患者での研究結果

とは異なっているI腎移植ドナー以外のCKD患者ではGFRが低下するほど死亡末期腎不全心血管死亡発症のリスクが高まりそして骨折リスクも腎機能が保たれている患者に比べ15~5倍高いことが報告されている骨折に関連する要因に関していえばほかの原因による腎機能低下と同様に腎摘出による腎機能低下でも血液中の活性型ビタミンDは低下し

-16(192)

原秒

糖尿減

高血圧 腎 炎

多発性嚢胞腎移植腎不Iリlその他

GFR区分(mL分173 nr)

CI

G2

G3i

G3b

CI

05

蛋白尿区舟

尿アルブミン定鼠(mg日

尿アルブミンCiii(mggCr

尿蛋白定聞-A日>

尿蛋白Grit(ggCf

正常またI』高惟

正常またに軽度低看

軽度一中等度低可

中等度へ高度低T

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末期腎不全(ESKD

≧H1

60~説

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15~製

<1

A1

30未満

正 常

015未祁

d o = 中

G B g b 巳 q g ロ p 9 p

= 口 中 e D G e 合 由 の ④ C s e e

巴 p = 口 中 C = - e ① 甲

A-

微量アルブミン尿

30~29

軽度蛋白尿

015~049

G 旬 ① 色

① - 印 e e ③ ゆ g e a - p 画

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O ① C G 白 ロ ロO e g g ニ ー ③ ① p - =

Bc

Ce

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顕性アルブミン『

500以_上

高度蛋白尿

050以上

ⅡⅡ

慢性腎臓病(CKD)診療の新たなステージー『CKD診療ガイド2012を手がか号 と して -

(ま)冊哩淑e瞳皿醐

た危険因子であることがIリlらかになっているの評価は重要であるただし日本では尿中ン定量梢密測定は糖尿病または早期糖尿病

ためそ口 全 体口 男 性 アルブミ口 女 性 ン定量輔密測定は糖尿病または早期糖尿病性腎症患

者であって微耀アルブミン脈を疑うもの(糖尿病lsquo性腎症第1期または節2期のものに限る)にしか保険適用が認められていないため糖尿病以外では尿蛋白で評fllllする蛋白尿分類は表1に示すように正常(Al)微斌アルブミン尿または職度蛋白尿(A2)顕lsquo性アルブミン尿または商度蛋白脈(A3)の3つに区分されるrsquoノスクの色づけをみてわかるように同じ腎機能(GFR区分)であっても尿蛋Ilの雌が多ければ多いほど1ノスクがI断ltなるリスクを上げさせないために尿蛋白を発症させない増加させないという戦略が必要である蛋白尿を発症させないための戦略の1つに健康習

慣の遵守が挙げられる日本の般住民を対象とした

遵守している健康習慣の数

研究対象者の人数(男性女性)

図 1 5

0 ~ 2 3 4

鮒 究 対 象 者 の 人 数 6 2 2 1 4 0 5 2 2 3 9 6 3 6(男性女性)(449173)(636769)(7271512)(203433)

図15つの健康習慣スコアと蛋白尿発症率5つの健康習慣スコアが高いほど尿蛋白発症率が低かった(p for trendlt00001 (全体

(文献4より引l改変)

コホート研究で遵守する5つの健康習lsquo慣(禁煙体重管理食習憤運動習仙節酒)の数が多ければ多いほど1年後の蛋1旅発惟率が低いことをわれわれはIりらかにした(図1)さらに蛋M尿発症の約半数は健康習悩の遵守で防げる可能性があることを示したサブグループ解析では非111洲考(BM1 (body mass index)が25 kgm-未満)でも降圧蕊内服中の高lⅢ圧患者でも I剛様の結果であったことからメタポリックシンドロームに該しなくてもまた降圧薬内服中であったとしても生活習mに注IIし介入する必要lsquo性がある生活糊lsquo慨の改諜には医学的要因のみならずその人の社会環境要因なども含めた個別できめ細やかな対応と継続的な介入が必要であると思われることから聯門脹よりもかかりつけ医が得意とする領域であると考える蛋白尿を発症させないために生活習慣に対する硫極的な介入が望まれる

副甲状腺ホルモンや線維芽細胞蛎殖W j-23(FGF-23)は上昇することが報告されているそれにもかかわらず骨折リスクが腎移植ドナーで上昇しなかったとしうことは GFR低下やそれに関迎して起こる変化だけでは CKD慰者におけるf1折リスクの1外を説lリlできないのかもしれないもちろん①両者の差を示すのに十分な研究観察期

間ではなかった②研究対象者の年齢がまだ藩かつたあるいは③コントロールの選択が不適切だったなどの可能性も考えられなくはない上記の研究では般住民の中でも健康的な人を選びコントロールとしているがそれでもなおドナーの方が健康的であった可能性はあるまたオンタリオ州における将移植ドナーの適応基準はかなり厳しいのでこれらの研究結果をそのまま日本を含めた詣外hiの仔移柚ドナーに当てはめることはできないだろうしかしこれらの研究結果は腎機能の低下そのものがリスクではなく腎機能を低下させるようなイIりらかの原因によってリスクが上昇している可能性を考えさせるいずれにせよ GFRの低ドした忠粁をみたらその

背後にGFRを低下させるような要i火lがないかどう力

CGA分類を用いた疫学臨床研究への期待

CGA分類をⅢいて評イIIIしたCKDの亜症度分類別に様々なアウトカムについての研究が今後期待される例えば先に述べた骨折発症リスクを表1のように示すとどのような色付けになるのだろうか残念ながら現時点ではわがI弧|のデータはないが今後このような研究が期待できると考える骨折は高齢者で多く認められまた生命予後やQOL(生活の質)に密接に関述することから世界でも類をみない超高i輪化

を検討し可能であればその要|火Iを改善していくことが CKDの進行および心血管イベントの発症抑制に重要であることに間違いない3 a蛋白尿(アルブミン尿)CGA分類のAはアルブミン尿のAであるアルブミン尿は死亡や末期腎不全心nil管死亡の独立L

-17(193)-

P r o a r e 皇dIcIne欧〕I33No-22C

より日常診療に役立つエビデンスの積み喰ねにつながることが期待される

ウトカ

I1様に骨折以外の様々なアウトカムについての研究が期待される近年心1m管疾患のみならず幅広い疾患においてCKDとの関連が報-告されてきている例えばCKD悠者は感染症リスクが高いことや歯m

文 献1)日本Tチ臓学会編CKD診療ガイド2012東京医学社東京 2012

2 ) Garg AX Meirambayeva A Huang A et al DonorNephrectomy Outcomes Research Network Cardio-vascular disease in kidney donors matched cohortstudy BMJ 2012 344 el203

3 ) Garg AX Pouget JYoung Aet al Donor Nephrec-tomy Outcomes Research (DONOR) Network Frac-ture risk in living kidney donors a matched cohortstudy Am J Kidney Dis 2012 59 770-776

4 ) Wakasugi M Kazama JJ Yamamoto S et ayen A com-bination of healthy lifestyle factors is associated with adecreased incidence of chronic kidney disease a popu-lation-based cohort study Hypertens Res 2012 doi

病との双方向性の関連がんとの関連などであるこれらの疾患とCKDとの関連についてはわがNでの検討も含めまだまだエビデンスは不足しているこの新しいCGA分類はこれらの研究を行う上でも有用なツールになることが期待される

お わ り にCKDの新しい分類法重症度分類について解説した予後を考慮したこの新しい分類法はこれまで以上に「1常診療に役立つツールとなることが期待されるそしてこのCGA分類を用いた疫学臨床研究の発展は

101038hr2012186 [Epub ahead of print]

Theハノeiv Staging of CKD CKノSaassijied Based on CauseGノ71 Cat egoノyαdAbノmzソαCat egoノyCGA Staging

Minako Wakasugi MD MPH PhD and Ichiei Narita MD PhD-

1 ) Center for Inter-organ Communication Research Niigata University Graduate School of Medi-cal and Dental Science

2 ) Division of Clinical Nephrology and Rheumatology Niigata University Graduate School ofMedical and Dental Science

The 2012 update of the Japanese Society of Nephrology (JSN) Clinical Guide for Chronic Kid-ney Disease (CKD) recommends the new CKD staging systemwhich is classified based on causeGFR category and albuminuria category (CGA staging) This recommended staging with inclu-sion of two additional domains represents a revision of the previous JSN CKD guideline whichincluded staging only by level of GFR Cause of disease is included because of its fundamental im-portance in predicting the outcome of CKD and choice of cause-specific treatments Albuminuria(proteinuria) is included as an additional expression of severity of disease not only because it isa marker of the severity of injury but also because albuminuria (proteinuria) itself strongly associ-ates with progression of CKDNumerous studies have identified the adverse prognostic implica-tion of albuminuria (proteinuria) irrespective of level of kidney function The adoption of a health-ier lifestyle is one of the important strategies to prevent new cases of proteinuria This new stag-ing system can be used to inform the need for specialist referral general medical managementand indications for investigation and therapeutic interventions It will also be a tool for the studyof the epidemiology natural history and prognosis of CKD

-18(194)-

Prog Med-

33191~19420に

慢性腎臓病(CKD)診療の新たなステージー『CKD診療ガイド2012』を手がかりとして-

2 FCKD診療ガイド2012』改訂のポイント if杉2余身

1) CKDの新しい分類法重症度分類について

Wakasugi Minako

若杉三奈子Narita khici成田一術2

I新潟大学教育研究院医歯学系臓器連関研究センター2新潟大学大学院医歯学総合研究科内部環境医学鮒座腎膿原病内科学分野

ごj三 j はじめに慢lsquo性腎臓病(CKD)には慢性的に持続するすべてワ害腎臓病が含まれるそのため死亡や末期if不全L血符死亡といったCKDの予後は均一ではなく原|刺疾患や状態により大きく異なるこのたび改訂された「CKD診療ガイド2012では予後を考噸したCK1WJ新しい分類法(重症度分類表1)が採jMされた本融ではこの重症度分類について解説する

移柚腎など確定した診断がついているものはそれを記赦するしかしすべての症例で確定診断がついているわけではないまた糖尿病脳者でみられる腎機能異常は必ずしも糖尿病性腎症とは限らないし高血圧患稀で合併した将機能低下がi i硬化症であるとも限らないそのため CGA分類では m将を緋尿瓶合併CKD後者を高血圧合併CKDと記職してもよいとしている参考までに少なくとも5年以1倉の糖尿病碓病期間があり尿検奄で微雌アルブミン尿から顕性アルブミン旅(蛋|血I尿Iえ分A 2~A3)が持続し||艮底検査で糖尿病網膜症が存在する場合には糖尿病性I仔症を疑うがそうではない場合糖尿病性腎症以外の腎疾患の合併が疑われるまた商血圧想者で尿蛋白の鼓が多いあるいは多彩な尿沈澄所見を認めるなどの場合には腎硬化症以外の腎疾患の合併が疑われるこれらの場合には診断確定のためI得生検などの輔密検査が必要になることが多い2 G 腎機能(GFR)1粁機能が低ドするほど死亡末期if不全心血管

死亡発症のリスクが高まるため腎機能の評価は重要である表1に示すように腎機能区分はGFRによって定める Gl~G5の区分はこれまでのステージ分類とH様であるが今Hの改訂で GKRK分のG3はGFR45~ ml分173 nrのG3aと GFR30~44 mL分173 m-のG3bに分かれたこれは同じ03でもG3aとG3bでは死亡末期勝不全心lⅢ194797死亡発症のリスクが異なることがIリ1らかになったためである

CKDの重症度はCGA分類で評価するCKDの重症度は C 原因(cause) G W機藍(GFR)A蛋Il尿(アルブミン尿)からなるCGA分類で評価する原因疾患名 GFRK分蛋白尿区分のそれぞれを識fllllし rigA腎症G2A2」や「腎硬化症G3aA 1」のように表記するこの表記により IIの前の患着におけるCKDの状態が共通の言語としてすぐにわかるようになり特にかかりつけ医と腎臓専門医とのIllで情椛を共有するための有川なツールとなることが期待される以下に C G Aそれぞれの項IIについて説明する1 c原因(cause)CKDの原因疾忠をlリlらかにすることは CKDの進行

や予後の予測のためにもまたその疾患に応じた治療を行うためにも亜要である原因疾患は糖尿病性腎症 IgA腎症多発性撰胞I勝

15(191)-

Progress in Medicine Vo133 No2 2013

表1 CKDの重症度分類

色 色 Q 旬 旬 p = -

色 q p 中

G b o 回 ロ 日

p 写 e p 4 Q 凸

一一

重症艇は原疾患GFR区分蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する CKDの重症度は死亡末期礎イく全心Ⅲ管死亡発症のリスクを[二コのステージを雅準に瞳ヨの順にステージが上昇す垂ほどリスクは上昇する

(文献1 p3表2より引用)

これまでの数多くの研究結果から腎機能の低下は死亡末期腎不全心血管死亡発症などのリスクを高めることに間違いはないしかし腎機能の低下そのものがリスクかどうかはいまだ議論の余地がある腎機能を低下させるような原因(高血圧糖尿病肥満不健康な生活習慣など)が心血管イベンlなどのアウトカムとCKDとの共通のリスク要因であって腎機能の低下は結果をみているに過ぎないという可能性もある難しい統計解析技術を用いてもこれらの区別は困難なのが現状である例えば多変髄解析で高iflL圧や糖尿病で補正してもなおGFR低下が有意なリスク要因であったとしても GFR低下そのものが其のリスクともいいきれない統計解析モデルで補正しきれていなかった可能性は否定できないGFR低下そのものが真のリスク要因かどうかを考える上で腎移植ドナーでの興味深い報告があるカナダのオンタリオ州で1992年から2009年までの間に腎移植ドナーとなった全例(登録時年齢の中央値43歳

四分位範囲34~50歳)での検討で健康的な一般住民とマッチさせて比較したところ中央値65年(最長17房年)の観察期間では死亡あるいは心血管イベンlの発症に差を認めなかった2)同じグループが骨折リスクについても同様に検討しており腎移植ドナーと健康的な一般住民とで骨折発症に差を認めなかった3)これらの研究結果は少なくともこの観察期間内では片腎摘出による腎機能の低下は死亡心血管イベンl発症そして骨折発症のリスクを上昇させないことを示しているこれは腎移植ドナー以外のCKD患者での研究結果

とは異なっているI腎移植ドナー以外のCKD患者ではGFRが低下するほど死亡末期腎不全心血管死亡発症のリスクが高まりそして骨折リスクも腎機能が保たれている患者に比べ15~5倍高いことが報告されている骨折に関連する要因に関していえばほかの原因による腎機能低下と同様に腎摘出による腎機能低下でも血液中の活性型ビタミンDは低下し

-16(192)

原秒

糖尿減

高血圧 腎 炎

多発性嚢胞腎移植腎不Iリlその他

GFR区分(mL分173 nr)

CI

G2

G3i

G3b

CI

05

蛋白尿区舟

尿アルブミン定鼠(mg日

尿アルブミンCiii(mggCr

尿蛋白定聞-A日>

尿蛋白Grit(ggCf

正常またI』高惟

正常またに軽度低看

軽度一中等度低可

中等度へ高度低T

高度低了

末期腎不全(ESKD

≧H1

60~説

45~5(

30~44

15~製

<1

A1

30未満

正 常

015未祁

d o = 中

G B g b 巳 q g ロ p 9 p

= 口 中 e D G e 合 由 の ④ C s e e

巴 p = 口 中 C = - e ① 甲

A-

微量アルブミン尿

30~29

軽度蛋白尿

015~049

G 旬 ① 色

① - 印 e e ③ ゆ g e a - p 画

e g g 言 一 q 年 印 p -

O ① C G 白 ロ ロO e g g ニ ー ③ ① p - =

Bc

Ce

守凸

rdquo

qpe

可e凸

甲 色 ③

印 p

顕性アルブミン『

500以_上

高度蛋白尿

050以上

ⅡⅡ

慢性腎臓病(CKD)診療の新たなステージー『CKD診療ガイド2012を手がか号 と して -

(ま)冊哩淑e瞳皿醐

た危険因子であることがIリlらかになっているの評価は重要であるただし日本では尿中ン定量梢密測定は糖尿病または早期糖尿病

ためそ口 全 体口 男 性 アルブミ口 女 性 ン定量輔密測定は糖尿病または早期糖尿病性腎症患

者であって微耀アルブミン脈を疑うもの(糖尿病lsquo性腎症第1期または節2期のものに限る)にしか保険適用が認められていないため糖尿病以外では尿蛋白で評fllllする蛋白尿分類は表1に示すように正常(Al)微斌アルブミン尿または職度蛋白尿(A2)顕lsquo性アルブミン尿または商度蛋白脈(A3)の3つに区分されるrsquoノスクの色づけをみてわかるように同じ腎機能(GFR区分)であっても尿蛋Ilの雌が多ければ多いほど1ノスクがI断ltなるリスクを上げさせないために尿蛋白を発症させない増加させないという戦略が必要である蛋白尿を発症させないための戦略の1つに健康習

慣の遵守が挙げられる日本の般住民を対象とした

遵守している健康習慣の数

研究対象者の人数(男性女性)

図 1 5

0 ~ 2 3 4

鮒 究 対 象 者 の 人 数 6 2 2 1 4 0 5 2 2 3 9 6 3 6(男性女性)(449173)(636769)(7271512)(203433)

図15つの健康習慣スコアと蛋白尿発症率5つの健康習慣スコアが高いほど尿蛋白発症率が低かった(p for trendlt00001 (全体

(文献4より引l改変)

コホート研究で遵守する5つの健康習lsquo慣(禁煙体重管理食習憤運動習仙節酒)の数が多ければ多いほど1年後の蛋1旅発惟率が低いことをわれわれはIりらかにした(図1)さらに蛋M尿発症の約半数は健康習悩の遵守で防げる可能性があることを示したサブグループ解析では非111洲考(BM1 (body mass index)が25 kgm-未満)でも降圧蕊内服中の高lⅢ圧患者でも I剛様の結果であったことからメタポリックシンドロームに該しなくてもまた降圧薬内服中であったとしても生活習mに注IIし介入する必要lsquo性がある生活糊lsquo慨の改諜には医学的要因のみならずその人の社会環境要因なども含めた個別できめ細やかな対応と継続的な介入が必要であると思われることから聯門脹よりもかかりつけ医が得意とする領域であると考える蛋白尿を発症させないために生活習慣に対する硫極的な介入が望まれる

副甲状腺ホルモンや線維芽細胞蛎殖W j-23(FGF-23)は上昇することが報告されているそれにもかかわらず骨折リスクが腎移植ドナーで上昇しなかったとしうことは GFR低下やそれに関迎して起こる変化だけでは CKD慰者におけるf1折リスクの1外を説lリlできないのかもしれないもちろん①両者の差を示すのに十分な研究観察期

間ではなかった②研究対象者の年齢がまだ藩かつたあるいは③コントロールの選択が不適切だったなどの可能性も考えられなくはない上記の研究では般住民の中でも健康的な人を選びコントロールとしているがそれでもなおドナーの方が健康的であった可能性はあるまたオンタリオ州における将移植ドナーの適応基準はかなり厳しいのでこれらの研究結果をそのまま日本を含めた詣外hiの仔移柚ドナーに当てはめることはできないだろうしかしこれらの研究結果は腎機能の低下そのものがリスクではなく腎機能を低下させるようなイIりらかの原因によってリスクが上昇している可能性を考えさせるいずれにせよ GFRの低ドした忠粁をみたらその

背後にGFRを低下させるような要i火lがないかどう力

CGA分類を用いた疫学臨床研究への期待

CGA分類をⅢいて評イIIIしたCKDの亜症度分類別に様々なアウトカムについての研究が今後期待される例えば先に述べた骨折発症リスクを表1のように示すとどのような色付けになるのだろうか残念ながら現時点ではわがI弧|のデータはないが今後このような研究が期待できると考える骨折は高齢者で多く認められまた生命予後やQOL(生活の質)に密接に関述することから世界でも類をみない超高i輪化

を検討し可能であればその要|火Iを改善していくことが CKDの進行および心血管イベントの発症抑制に重要であることに間違いない3 a蛋白尿(アルブミン尿)CGA分類のAはアルブミン尿のAであるアルブミン尿は死亡や末期腎不全心nil管死亡の独立L

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P r o a r e 皇dIcIne欧〕I33No-22C

より日常診療に役立つエビデンスの積み喰ねにつながることが期待される

ウトカ

I1様に骨折以外の様々なアウトカムについての研究が期待される近年心1m管疾患のみならず幅広い疾患においてCKDとの関連が報-告されてきている例えばCKD悠者は感染症リスクが高いことや歯m

文 献1)日本Tチ臓学会編CKD診療ガイド2012東京医学社東京 2012

2 ) Garg AX Meirambayeva A Huang A et al DonorNephrectomy Outcomes Research Network Cardio-vascular disease in kidney donors matched cohortstudy BMJ 2012 344 el203

3 ) Garg AX Pouget JYoung Aet al Donor Nephrec-tomy Outcomes Research (DONOR) Network Frac-ture risk in living kidney donors a matched cohortstudy Am J Kidney Dis 2012 59 770-776

4 ) Wakasugi M Kazama JJ Yamamoto S et ayen A com-bination of healthy lifestyle factors is associated with adecreased incidence of chronic kidney disease a popu-lation-based cohort study Hypertens Res 2012 doi

病との双方向性の関連がんとの関連などであるこれらの疾患とCKDとの関連についてはわがNでの検討も含めまだまだエビデンスは不足しているこの新しいCGA分類はこれらの研究を行う上でも有用なツールになることが期待される

お わ り にCKDの新しい分類法重症度分類について解説した予後を考慮したこの新しい分類法はこれまで以上に「1常診療に役立つツールとなることが期待されるそしてこのCGA分類を用いた疫学臨床研究の発展は

101038hr2012186 [Epub ahead of print]

Theハノeiv Staging of CKD CKノSaassijied Based on CauseGノ71 Cat egoノyαdAbノmzソαCat egoノyCGA Staging

Minako Wakasugi MD MPH PhD and Ichiei Narita MD PhD-

1 ) Center for Inter-organ Communication Research Niigata University Graduate School of Medi-cal and Dental Science

2 ) Division of Clinical Nephrology and Rheumatology Niigata University Graduate School ofMedical and Dental Science

The 2012 update of the Japanese Society of Nephrology (JSN) Clinical Guide for Chronic Kid-ney Disease (CKD) recommends the new CKD staging systemwhich is classified based on causeGFR category and albuminuria category (CGA staging) This recommended staging with inclu-sion of two additional domains represents a revision of the previous JSN CKD guideline whichincluded staging only by level of GFR Cause of disease is included because of its fundamental im-portance in predicting the outcome of CKD and choice of cause-specific treatments Albuminuria(proteinuria) is included as an additional expression of severity of disease not only because it isa marker of the severity of injury but also because albuminuria (proteinuria) itself strongly associ-ates with progression of CKDNumerous studies have identified the adverse prognostic implica-tion of albuminuria (proteinuria) irrespective of level of kidney function The adoption of a health-ier lifestyle is one of the important strategies to prevent new cases of proteinuria This new stag-ing system can be used to inform the need for specialist referral general medical managementand indications for investigation and therapeutic interventions It will also be a tool for the studyof the epidemiology natural history and prognosis of CKD

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Progress in Medicine Vo133 No2 2013

表1 CKDの重症度分類

色 色 Q 旬 旬 p = -

色 q p 中

G b o 回 ロ 日

p 写 e p 4 Q 凸

一一

重症艇は原疾患GFR区分蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する CKDの重症度は死亡末期礎イく全心Ⅲ管死亡発症のリスクを[二コのステージを雅準に瞳ヨの順にステージが上昇す垂ほどリスクは上昇する

(文献1 p3表2より引用)

これまでの数多くの研究結果から腎機能の低下は死亡末期腎不全心血管死亡発症などのリスクを高めることに間違いはないしかし腎機能の低下そのものがリスクかどうかはいまだ議論の余地がある腎機能を低下させるような原因(高血圧糖尿病肥満不健康な生活習慣など)が心血管イベンlなどのアウトカムとCKDとの共通のリスク要因であって腎機能の低下は結果をみているに過ぎないという可能性もある難しい統計解析技術を用いてもこれらの区別は困難なのが現状である例えば多変髄解析で高iflL圧や糖尿病で補正してもなおGFR低下が有意なリスク要因であったとしても GFR低下そのものが其のリスクともいいきれない統計解析モデルで補正しきれていなかった可能性は否定できないGFR低下そのものが真のリスク要因かどうかを考える上で腎移植ドナーでの興味深い報告があるカナダのオンタリオ州で1992年から2009年までの間に腎移植ドナーとなった全例(登録時年齢の中央値43歳

四分位範囲34~50歳)での検討で健康的な一般住民とマッチさせて比較したところ中央値65年(最長17房年)の観察期間では死亡あるいは心血管イベンlの発症に差を認めなかった2)同じグループが骨折リスクについても同様に検討しており腎移植ドナーと健康的な一般住民とで骨折発症に差を認めなかった3)これらの研究結果は少なくともこの観察期間内では片腎摘出による腎機能の低下は死亡心血管イベンl発症そして骨折発症のリスクを上昇させないことを示しているこれは腎移植ドナー以外のCKD患者での研究結果

とは異なっているI腎移植ドナー以外のCKD患者ではGFRが低下するほど死亡末期腎不全心血管死亡発症のリスクが高まりそして骨折リスクも腎機能が保たれている患者に比べ15~5倍高いことが報告されている骨折に関連する要因に関していえばほかの原因による腎機能低下と同様に腎摘出による腎機能低下でも血液中の活性型ビタミンDは低下し

-16(192)

原秒

糖尿減

高血圧 腎 炎

多発性嚢胞腎移植腎不Iリlその他

GFR区分(mL分173 nr)

CI

G2

G3i

G3b

CI

05

蛋白尿区舟

尿アルブミン定鼠(mg日

尿アルブミンCiii(mggCr

尿蛋白定聞-A日>

尿蛋白Grit(ggCf

正常またI』高惟

正常またに軽度低看

軽度一中等度低可

中等度へ高度低T

高度低了

末期腎不全(ESKD

≧H1

60~説

45~5(

30~44

15~製

<1

A1

30未満

正 常

015未祁

d o = 中

G B g b 巳 q g ロ p 9 p

= 口 中 e D G e 合 由 の ④ C s e e

巴 p = 口 中 C = - e ① 甲

A-

微量アルブミン尿

30~29

軽度蛋白尿

015~049

G 旬 ① 色

① - 印 e e ③ ゆ g e a - p 画

e g g 言 一 q 年 印 p -

O ① C G 白 ロ ロO e g g ニ ー ③ ① p - =

Bc

Ce

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甲 色 ③

印 p

顕性アルブミン『

500以_上

高度蛋白尿

050以上

ⅡⅡ

慢性腎臓病(CKD)診療の新たなステージー『CKD診療ガイド2012を手がか号 と して -

(ま)冊哩淑e瞳皿醐

た危険因子であることがIリlらかになっているの評価は重要であるただし日本では尿中ン定量梢密測定は糖尿病または早期糖尿病

ためそ口 全 体口 男 性 アルブミ口 女 性 ン定量輔密測定は糖尿病または早期糖尿病性腎症患

者であって微耀アルブミン脈を疑うもの(糖尿病lsquo性腎症第1期または節2期のものに限る)にしか保険適用が認められていないため糖尿病以外では尿蛋白で評fllllする蛋白尿分類は表1に示すように正常(Al)微斌アルブミン尿または職度蛋白尿(A2)顕lsquo性アルブミン尿または商度蛋白脈(A3)の3つに区分されるrsquoノスクの色づけをみてわかるように同じ腎機能(GFR区分)であっても尿蛋Ilの雌が多ければ多いほど1ノスクがI断ltなるリスクを上げさせないために尿蛋白を発症させない増加させないという戦略が必要である蛋白尿を発症させないための戦略の1つに健康習

慣の遵守が挙げられる日本の般住民を対象とした

遵守している健康習慣の数

研究対象者の人数(男性女性)

図 1 5

0 ~ 2 3 4

鮒 究 対 象 者 の 人 数 6 2 2 1 4 0 5 2 2 3 9 6 3 6(男性女性)(449173)(636769)(7271512)(203433)

図15つの健康習慣スコアと蛋白尿発症率5つの健康習慣スコアが高いほど尿蛋白発症率が低かった(p for trendlt00001 (全体

(文献4より引l改変)

コホート研究で遵守する5つの健康習lsquo慣(禁煙体重管理食習憤運動習仙節酒)の数が多ければ多いほど1年後の蛋1旅発惟率が低いことをわれわれはIりらかにした(図1)さらに蛋M尿発症の約半数は健康習悩の遵守で防げる可能性があることを示したサブグループ解析では非111洲考(BM1 (body mass index)が25 kgm-未満)でも降圧蕊内服中の高lⅢ圧患者でも I剛様の結果であったことからメタポリックシンドロームに該しなくてもまた降圧薬内服中であったとしても生活習mに注IIし介入する必要lsquo性がある生活糊lsquo慨の改諜には医学的要因のみならずその人の社会環境要因なども含めた個別できめ細やかな対応と継続的な介入が必要であると思われることから聯門脹よりもかかりつけ医が得意とする領域であると考える蛋白尿を発症させないために生活習慣に対する硫極的な介入が望まれる

副甲状腺ホルモンや線維芽細胞蛎殖W j-23(FGF-23)は上昇することが報告されているそれにもかかわらず骨折リスクが腎移植ドナーで上昇しなかったとしうことは GFR低下やそれに関迎して起こる変化だけでは CKD慰者におけるf1折リスクの1外を説lリlできないのかもしれないもちろん①両者の差を示すのに十分な研究観察期

間ではなかった②研究対象者の年齢がまだ藩かつたあるいは③コントロールの選択が不適切だったなどの可能性も考えられなくはない上記の研究では般住民の中でも健康的な人を選びコントロールとしているがそれでもなおドナーの方が健康的であった可能性はあるまたオンタリオ州における将移植ドナーの適応基準はかなり厳しいのでこれらの研究結果をそのまま日本を含めた詣外hiの仔移柚ドナーに当てはめることはできないだろうしかしこれらの研究結果は腎機能の低下そのものがリスクではなく腎機能を低下させるようなイIりらかの原因によってリスクが上昇している可能性を考えさせるいずれにせよ GFRの低ドした忠粁をみたらその

背後にGFRを低下させるような要i火lがないかどう力

CGA分類を用いた疫学臨床研究への期待

CGA分類をⅢいて評イIIIしたCKDの亜症度分類別に様々なアウトカムについての研究が今後期待される例えば先に述べた骨折発症リスクを表1のように示すとどのような色付けになるのだろうか残念ながら現時点ではわがI弧|のデータはないが今後このような研究が期待できると考える骨折は高齢者で多く認められまた生命予後やQOL(生活の質)に密接に関述することから世界でも類をみない超高i輪化

を検討し可能であればその要|火Iを改善していくことが CKDの進行および心血管イベントの発症抑制に重要であることに間違いない3 a蛋白尿(アルブミン尿)CGA分類のAはアルブミン尿のAであるアルブミン尿は死亡や末期腎不全心nil管死亡の独立L

-17(193)-

P r o a r e 皇dIcIne欧〕I33No-22C

より日常診療に役立つエビデンスの積み喰ねにつながることが期待される

ウトカ

I1様に骨折以外の様々なアウトカムについての研究が期待される近年心1m管疾患のみならず幅広い疾患においてCKDとの関連が報-告されてきている例えばCKD悠者は感染症リスクが高いことや歯m

文 献1)日本Tチ臓学会編CKD診療ガイド2012東京医学社東京 2012

2 ) Garg AX Meirambayeva A Huang A et al DonorNephrectomy Outcomes Research Network Cardio-vascular disease in kidney donors matched cohortstudy BMJ 2012 344 el203

3 ) Garg AX Pouget JYoung Aet al Donor Nephrec-tomy Outcomes Research (DONOR) Network Frac-ture risk in living kidney donors a matched cohortstudy Am J Kidney Dis 2012 59 770-776

4 ) Wakasugi M Kazama JJ Yamamoto S et ayen A com-bination of healthy lifestyle factors is associated with adecreased incidence of chronic kidney disease a popu-lation-based cohort study Hypertens Res 2012 doi

病との双方向性の関連がんとの関連などであるこれらの疾患とCKDとの関連についてはわがNでの検討も含めまだまだエビデンスは不足しているこの新しいCGA分類はこれらの研究を行う上でも有用なツールになることが期待される

お わ り にCKDの新しい分類法重症度分類について解説した予後を考慮したこの新しい分類法はこれまで以上に「1常診療に役立つツールとなることが期待されるそしてこのCGA分類を用いた疫学臨床研究の発展は

101038hr2012186 [Epub ahead of print]

Theハノeiv Staging of CKD CKノSaassijied Based on CauseGノ71 Cat egoノyαdAbノmzソαCat egoノyCGA Staging

Minako Wakasugi MD MPH PhD and Ichiei Narita MD PhD-

1 ) Center for Inter-organ Communication Research Niigata University Graduate School of Medi-cal and Dental Science

2 ) Division of Clinical Nephrology and Rheumatology Niigata University Graduate School ofMedical and Dental Science

The 2012 update of the Japanese Society of Nephrology (JSN) Clinical Guide for Chronic Kid-ney Disease (CKD) recommends the new CKD staging systemwhich is classified based on causeGFR category and albuminuria category (CGA staging) This recommended staging with inclu-sion of two additional domains represents a revision of the previous JSN CKD guideline whichincluded staging only by level of GFR Cause of disease is included because of its fundamental im-portance in predicting the outcome of CKD and choice of cause-specific treatments Albuminuria(proteinuria) is included as an additional expression of severity of disease not only because it isa marker of the severity of injury but also because albuminuria (proteinuria) itself strongly associ-ates with progression of CKDNumerous studies have identified the adverse prognostic implica-tion of albuminuria (proteinuria) irrespective of level of kidney function The adoption of a health-ier lifestyle is one of the important strategies to prevent new cases of proteinuria This new stag-ing system can be used to inform the need for specialist referral general medical managementand indications for investigation and therapeutic interventions It will also be a tool for the studyof the epidemiology natural history and prognosis of CKD

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慢性腎臓病(CKD)診療の新たなステージー『CKD診療ガイド2012を手がか号 と して -

(ま)冊哩淑e瞳皿醐

た危険因子であることがIリlらかになっているの評価は重要であるただし日本では尿中ン定量梢密測定は糖尿病または早期糖尿病

ためそ口 全 体口 男 性 アルブミ口 女 性 ン定量輔密測定は糖尿病または早期糖尿病性腎症患

者であって微耀アルブミン脈を疑うもの(糖尿病lsquo性腎症第1期または節2期のものに限る)にしか保険適用が認められていないため糖尿病以外では尿蛋白で評fllllする蛋白尿分類は表1に示すように正常(Al)微斌アルブミン尿または職度蛋白尿(A2)顕lsquo性アルブミン尿または商度蛋白脈(A3)の3つに区分されるrsquoノスクの色づけをみてわかるように同じ腎機能(GFR区分)であっても尿蛋Ilの雌が多ければ多いほど1ノスクがI断ltなるリスクを上げさせないために尿蛋白を発症させない増加させないという戦略が必要である蛋白尿を発症させないための戦略の1つに健康習

慣の遵守が挙げられる日本の般住民を対象とした

遵守している健康習慣の数

研究対象者の人数(男性女性)

図 1 5

0 ~ 2 3 4

鮒 究 対 象 者 の 人 数 6 2 2 1 4 0 5 2 2 3 9 6 3 6(男性女性)(449173)(636769)(7271512)(203433)

図15つの健康習慣スコアと蛋白尿発症率5つの健康習慣スコアが高いほど尿蛋白発症率が低かった(p for trendlt00001 (全体

(文献4より引l改変)

コホート研究で遵守する5つの健康習lsquo慣(禁煙体重管理食習憤運動習仙節酒)の数が多ければ多いほど1年後の蛋1旅発惟率が低いことをわれわれはIりらかにした(図1)さらに蛋M尿発症の約半数は健康習悩の遵守で防げる可能性があることを示したサブグループ解析では非111洲考(BM1 (body mass index)が25 kgm-未満)でも降圧蕊内服中の高lⅢ圧患者でも I剛様の結果であったことからメタポリックシンドロームに該しなくてもまた降圧薬内服中であったとしても生活習mに注IIし介入する必要lsquo性がある生活糊lsquo慨の改諜には医学的要因のみならずその人の社会環境要因なども含めた個別できめ細やかな対応と継続的な介入が必要であると思われることから聯門脹よりもかかりつけ医が得意とする領域であると考える蛋白尿を発症させないために生活習慣に対する硫極的な介入が望まれる

副甲状腺ホルモンや線維芽細胞蛎殖W j-23(FGF-23)は上昇することが報告されているそれにもかかわらず骨折リスクが腎移植ドナーで上昇しなかったとしうことは GFR低下やそれに関迎して起こる変化だけでは CKD慰者におけるf1折リスクの1外を説lリlできないのかもしれないもちろん①両者の差を示すのに十分な研究観察期

間ではなかった②研究対象者の年齢がまだ藩かつたあるいは③コントロールの選択が不適切だったなどの可能性も考えられなくはない上記の研究では般住民の中でも健康的な人を選びコントロールとしているがそれでもなおドナーの方が健康的であった可能性はあるまたオンタリオ州における将移植ドナーの適応基準はかなり厳しいのでこれらの研究結果をそのまま日本を含めた詣外hiの仔移柚ドナーに当てはめることはできないだろうしかしこれらの研究結果は腎機能の低下そのものがリスクではなく腎機能を低下させるようなイIりらかの原因によってリスクが上昇している可能性を考えさせるいずれにせよ GFRの低ドした忠粁をみたらその

背後にGFRを低下させるような要i火lがないかどう力

CGA分類を用いた疫学臨床研究への期待

CGA分類をⅢいて評イIIIしたCKDの亜症度分類別に様々なアウトカムについての研究が今後期待される例えば先に述べた骨折発症リスクを表1のように示すとどのような色付けになるのだろうか残念ながら現時点ではわがI弧|のデータはないが今後このような研究が期待できると考える骨折は高齢者で多く認められまた生命予後やQOL(生活の質)に密接に関述することから世界でも類をみない超高i輪化

を検討し可能であればその要|火Iを改善していくことが CKDの進行および心血管イベントの発症抑制に重要であることに間違いない3 a蛋白尿(アルブミン尿)CGA分類のAはアルブミン尿のAであるアルブミン尿は死亡や末期腎不全心nil管死亡の独立L

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P r o a r e 皇dIcIne欧〕I33No-22C

より日常診療に役立つエビデンスの積み喰ねにつながることが期待される

ウトカ

I1様に骨折以外の様々なアウトカムについての研究が期待される近年心1m管疾患のみならず幅広い疾患においてCKDとの関連が報-告されてきている例えばCKD悠者は感染症リスクが高いことや歯m

文 献1)日本Tチ臓学会編CKD診療ガイド2012東京医学社東京 2012

2 ) Garg AX Meirambayeva A Huang A et al DonorNephrectomy Outcomes Research Network Cardio-vascular disease in kidney donors matched cohortstudy BMJ 2012 344 el203

3 ) Garg AX Pouget JYoung Aet al Donor Nephrec-tomy Outcomes Research (DONOR) Network Frac-ture risk in living kidney donors a matched cohortstudy Am J Kidney Dis 2012 59 770-776

4 ) Wakasugi M Kazama JJ Yamamoto S et ayen A com-bination of healthy lifestyle factors is associated with adecreased incidence of chronic kidney disease a popu-lation-based cohort study Hypertens Res 2012 doi

病との双方向性の関連がんとの関連などであるこれらの疾患とCKDとの関連についてはわがNでの検討も含めまだまだエビデンスは不足しているこの新しいCGA分類はこれらの研究を行う上でも有用なツールになることが期待される

お わ り にCKDの新しい分類法重症度分類について解説した予後を考慮したこの新しい分類法はこれまで以上に「1常診療に役立つツールとなることが期待されるそしてこのCGA分類を用いた疫学臨床研究の発展は

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Theハノeiv Staging of CKD CKノSaassijied Based on CauseGノ71 Cat egoノyαdAbノmzソαCat egoノyCGA Staging

Minako Wakasugi MD MPH PhD and Ichiei Narita MD PhD-

1 ) Center for Inter-organ Communication Research Niigata University Graduate School of Medi-cal and Dental Science

2 ) Division of Clinical Nephrology and Rheumatology Niigata University Graduate School ofMedical and Dental Science

The 2012 update of the Japanese Society of Nephrology (JSN) Clinical Guide for Chronic Kid-ney Disease (CKD) recommends the new CKD staging systemwhich is classified based on causeGFR category and albuminuria category (CGA staging) This recommended staging with inclu-sion of two additional domains represents a revision of the previous JSN CKD guideline whichincluded staging only by level of GFR Cause of disease is included because of its fundamental im-portance in predicting the outcome of CKD and choice of cause-specific treatments Albuminuria(proteinuria) is included as an additional expression of severity of disease not only because it isa marker of the severity of injury but also because albuminuria (proteinuria) itself strongly associ-ates with progression of CKDNumerous studies have identified the adverse prognostic implica-tion of albuminuria (proteinuria) irrespective of level of kidney function The adoption of a health-ier lifestyle is one of the important strategies to prevent new cases of proteinuria This new stag-ing system can be used to inform the need for specialist referral general medical managementand indications for investigation and therapeutic interventions It will also be a tool for the studyof the epidemiology natural history and prognosis of CKD

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P r o a r e 皇dIcIne欧〕I33No-22C

より日常診療に役立つエビデンスの積み喰ねにつながることが期待される

ウトカ

I1様に骨折以外の様々なアウトカムについての研究が期待される近年心1m管疾患のみならず幅広い疾患においてCKDとの関連が報-告されてきている例えばCKD悠者は感染症リスクが高いことや歯m

文 献1)日本Tチ臓学会編CKD診療ガイド2012東京医学社東京 2012

2 ) Garg AX Meirambayeva A Huang A et al DonorNephrectomy Outcomes Research Network Cardio-vascular disease in kidney donors matched cohortstudy BMJ 2012 344 el203

3 ) Garg AX Pouget JYoung Aet al Donor Nephrec-tomy Outcomes Research (DONOR) Network Frac-ture risk in living kidney donors a matched cohortstudy Am J Kidney Dis 2012 59 770-776

4 ) Wakasugi M Kazama JJ Yamamoto S et ayen A com-bination of healthy lifestyle factors is associated with adecreased incidence of chronic kidney disease a popu-lation-based cohort study Hypertens Res 2012 doi

病との双方向性の関連がんとの関連などであるこれらの疾患とCKDとの関連についてはわがNでの検討も含めまだまだエビデンスは不足しているこの新しいCGA分類はこれらの研究を行う上でも有用なツールになることが期待される

お わ り にCKDの新しい分類法重症度分類について解説した予後を考慮したこの新しい分類法はこれまで以上に「1常診療に役立つツールとなることが期待されるそしてこのCGA分類を用いた疫学臨床研究の発展は

101038hr2012186 [Epub ahead of print]

Theハノeiv Staging of CKD CKノSaassijied Based on CauseGノ71 Cat egoノyαdAbノmzソαCat egoノyCGA Staging

Minako Wakasugi MD MPH PhD and Ichiei Narita MD PhD-

1 ) Center for Inter-organ Communication Research Niigata University Graduate School of Medi-cal and Dental Science

2 ) Division of Clinical Nephrology and Rheumatology Niigata University Graduate School ofMedical and Dental Science

The 2012 update of the Japanese Society of Nephrology (JSN) Clinical Guide for Chronic Kid-ney Disease (CKD) recommends the new CKD staging systemwhich is classified based on causeGFR category and albuminuria category (CGA staging) This recommended staging with inclu-sion of two additional domains represents a revision of the previous JSN CKD guideline whichincluded staging only by level of GFR Cause of disease is included because of its fundamental im-portance in predicting the outcome of CKD and choice of cause-specific treatments Albuminuria(proteinuria) is included as an additional expression of severity of disease not only because it isa marker of the severity of injury but also because albuminuria (proteinuria) itself strongly associ-ates with progression of CKDNumerous studies have identified the adverse prognostic implica-tion of albuminuria (proteinuria) irrespective of level of kidney function The adoption of a health-ier lifestyle is one of the important strategies to prevent new cases of proteinuria This new stag-ing system can be used to inform the need for specialist referral general medical managementand indications for investigation and therapeutic interventions It will also be a tool for the studyof the epidemiology natural history and prognosis of CKD

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