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現代日本の建築家による光を主題とした設計論に関する研究by Contemporary Japanese Architects 渡邉 啓太(WATANABE, Keita) Keywords : 自然の光、設計論、現代日本の建築家、KJ法

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  • 現代日本の建築家による光を主題とした設計論に関する研究

    Design Themes on Natural Light in the Monographs by Contemporary Japanese Architects

     渡邉 啓太(WATANABE, Keita)

    Keywords : 自然の光、設計論、現代日本の建築家、KJ法natural light, design theme, contemporary Japanese architect, KJ method

    1.はじめに建築にとって光は根源的な問題のひとつであり、そのため建

    築家は光について常に思考を巡らせてきた。近代主義建築の巨

    匠ル・コルビュジエは、建築は自然の光の下に集められた立体

    であることを語り、ルイス・カーンは自然の光によって移り変

    わる空間の重要性を主張している。また日本人建築家、磯崎新

    は伝統的な日本の空間における仄かな光に注目した発言をして

    いる。こうした自然の光に関する建築家の思考について検討す

    ることは、身体的リアリティが希薄になりがちな現代の情報化

    社会において、建築を根源に立ち返って考えるうえで重要な意

    味をもつといえる。そこで本研究では、現代日本の建築家によ

    る自然の光 1) を主題として扱った設計論を資料 2) に、光に関

    する認識と、光の導入に関する実現手法を探ることから、光を

    テーマとした建築家の思考の一端を明らかにすることを目的と

    する。

    2.光に関する認識まずここでは、光を主題として扱っていると明確に読み取れ

    る設計論の中から、光に関する主題3) を抽出する ( 図1)。また、

    こうした主題に加え、光の変化や瞬間的な状態に関する記述が

    みられ、ここから建築家の時間認識を読み取ることができる。

    さらにいくつかの主題からは、光と同時に影や闇に関する記述

    が読み取れるものがあり、これらを合わせて検討することで、

    建築家の光に関する認識を捉える。

    2.1.光に関する主題  設計論から抽出した光に関する主題を、KJ 法 4) によって整理した ( 図2)。その結果、その意味内

    容は、【光が建築の環境をつくる】、【光が自然の環境をつくる】、

    【光が人間の環境をつくる】の大きく3つの枠組みで捉えられ

    た ( 以下、【建築環境】、【自然環境】、【人間環境】とする )。【建

    築環境】では、建築の成立に光が不可欠であるとするもの、光

    による隠喩的イメージの付加や空間を性格づけるもの、また建

    築の形式性の強弱に関わるものがみられた。【自然環境】では、

    室内の屋外化や建築を自然的状態にするもの、また光が抽象化

    された自然であると位置づける、自然への意識をつくるものが

    みられた。【人間環境】では、光による人間の身体性に注目し

    たものや、生活環境の形成、また歴史性や伝統的イメージを想

    起させるものがみられた。

    2.2. 建築家の時間認識  次に光の変化や特定の時間帯を示す記述するものに関しては、建築家の時間認識を抽出し、それ

    らを移行的認識と固定的認識の大きく 2 つの枠組みで捉えた

    ( 図3)。移行的認識は、一日の太陽の運行や四季のように循環

    性のなかで変化を捉えるものや、天気や雲の移り変わりのよう

    に予測のできない偶然性のなかで変化を捉えるものである。ま

    た固定的認識は、朝日や夕日など限定的な光に注目するもので

    ある。さらに前節で検討した光に関する主題と時間認識の関係5) をみたところ ( 図4)、【建築環境】で時間認識なしが、また【自

    然環境】や【人間環境】で移行的認識が多くみられた。ここか

    No.25 sk7702 番匠邸 安藤忠雄

    光が空間の求心性を強め、生活する人のよりどころとなる。しかし、一点から侵入してくる光

    は空間全体を均質に照らし出さない。近代建築が空間を均質化したのに対して、この空間は、

    闇と光によって構成されている非均質的なものである。光と闇が錯そうし、両者を際立たせ

    る。この光と闇の織りなす綾が、日本建築の伝統的な空間が持っていた闇を我々の記憶に呼び

    起こす。…われわれの原風景にある空間のイメージを引き継いだ。

    図1.分析例

    ・光に関する主題

    …②日本の伝統性を想起させる

    …①建築・生活の核

    ・影や闇に関する意識…あり

    ・建築家の時間認識…なし

    →【人間+建築】

    →【人間+建築】

  • 図 2註:KJ 図内の数字は資料ナンバーを示す。数字上の  は影や闇を扱っているものを示す。

    建築へのアクセント3, 40 ,42,44,87 ,112

    図2.光に関する主題の意味内容(KJ図)

    16 ,49-2,84-2,103

    生活への刺激

    幻覚作用5,65

    自然を内部に引き込む57-2

    自然の場所をイメージさせる2768,110,117,128-1

    自然光の下に建築が初めて成立する

    52-1

    空間を表す15,66

    建築・都市のメタファー12-1,19

    エネルギーのメタファー12-2

    身体・精神を治療する

    9-1,53,69,72-2,100,122

    場の活性化17-1,78-2

    建築や物を目立たせる

    9-2,21,85,97,120-2,131

    生や死をイメージさせる29,90-1,101

    45,61,82

    生きた環境にする

    105

    生き物のようにする

    17-2,20,90-2

    抽象性を高める

    [ 建築の成立 ]

    活動・行為に呼応する72-1,74-1,126

    源初的な場をつくる116,123

    建築素材となる1 , 70 ,118

    71 ,77, 80 ,81,93,125

    自然を楽しませる

    知覚へ作用する18-2 ,59, 74-2 ,

    102

    室内の屋外化

    7-2,35,41,57-1,84-1,89, 108 ,115-1,

    119,124

    6, 38-2 , 52-2 ,60-1

    精神性を与える

    空間を演出する

    34,36-2, 37-1 ,58,132-2

    リズムをつくる23 , 26-1

    73-1,127,132-1

    さまざまな場をつくる

    空間に深みを与える64 ,78-1, 86 ,94-2,109 ,115-2, 12130,60-2

    特定の人物をイメージさせる

    95

    感性へ好影響を与える48,106, 111

    自然の抽象化13,14, 38-1,51-1

    建築の自然化によって建築を消去する

    28, 98

    10,11,26-2,39,56 ,83-2

    形式性を消去する

    境界を曖昧にする

    43, 46 ,9194-1,129

    17-3,22,55 ,83-1

    重力感を消去する

    空間に落ちつきを与える2 ,37-2,67, 73-2

    土地の固有性の表現79, 104

    空間や物を彩る

    31 ,33, 36-1 ,50, 51-2 ,75 ,88,96, 120-1 ,

    128-2

    54 , 63

    過去へ還元する

    日本の伝統性を呼び起こす18-1 , 25-2 ,32 ,130

    身体の感覚を呼び起こす

    113

    25-1 ,47,92

    建築の核・家族の核をつくる4,8,62, 107

    空間を規定する

    場を結びつける7-1,49-1,114

    [ 空間の性格づけ ]

    [ 建築の自然化 ]

    場に新たな意味を与える

    24

    [ イメージの付着 ]

    【光が人間の環境をつくる】【光が自然の環境をつくる】

    【光が建築の環境をつくる】

    [ 形式性を強調する ][ 物質性や形式性を弱める ]

    宗教的イメージを付ける

    76,99

    [ 生活への影響 ]

    [ 身体性 ][ 自然への意識 ][ 建築の外部化 ]

    【建築環境】

    【自然環境】

    【人間環境】

    固定的認識

    影や闇

    を扱うもの

    No.23 sk7611 中野本町の家 伊東豊雄ここでは2枚の曲面の壁の間に切られたことによって、予期しないほどにその形状を変えながら、終日、光の軌跡を壁や床に映すことになった。晴れた早朝には日本刀のように細く、わずかに反りをもった光の亀裂を、そして次第に太く直線的な帯となって壁から床に折れ、ふたたびその幅を狭めつつ、西日を映して幕を閉じる。

    No.86 sk9908山田洋次邸アトリエ 横河健

    沈むような空間をつくるには、空間に陰翳が必要である。つまり、光を制御することからはじめなければならない

    図5.影や闇を扱う資料のKJ図内分布

    図3.建築家の時間認識と光の種類

    図4.光に関する主題と建築家の時間認識の関係

    62 27 71

    24 15 40

    9 1 4

    14

    4 4 2

    6

    5 3 6

    9

    4 10

    全体 44/160(影や闇を扱う主題数/主題総数)

    晴れた日であれば昼1~2

    時間程度は天窓から直接光

    が鋭く入り、また雲の運行

    が光の量を変化させ…

    朝日のさし込む時間には

    上方のスリットから光の

    帯をグラフィカルに描き

    出し、若葉のころには明

    るい緑が…

    白い壁面が白く見えるの

    は自然の光によるからで

    ある。また、自然の光は

    移ろう。時刻と季節を表

    している。 

    ex. No.15

    ex. No.132

    ex. No.14

    朝日14 月光6 晴の日の光10 春の光2 冬の光2

    図3註:数の内訳は時間認識が読み取れる記述の数としている。

    昼光4 星の光2 曇の日の光9 夏の光3 特別な時刻の光4夕日18 雨の日の光4 秋の光1 特別な日の光2

    偶然性

    移行的認識

    循環性

    56

    23

    79

    83

    晴れ →移行的認識

    朝日 →固定的認識

    夕日 →固定的認識

    一日の変化 →移行的認識

    全体

    【建築環境】

    【建築+自然】のみ

    のみ

    のみ

    【自然+人間】

    【人間+建築】 【自然環境】【人間環境】

    23/79

    1/14

    7/15

    2/147/28

    4/10

    移行的認識 固定的認識 時間認識なし

    (偶然性)

    (循環性)

    18/537/38

    32/108

    含みこんだ原初的なものを思考するためと考えられる。

    3.光の導入に関する実現手法次に建物に光を採り入れる際の経路や方法 ( 以下、光の導入

    経路、光の導入方法 )、また光の主題となる場所を、実現手法

    として分析する。実現手法が読み取れる資料 (156 主題 ) から

    それぞれ実現化モデルを作成し ( 図6)、光の実現手法を捉える。

    3.1.光の導入経路と導入方法  導入経路は、単一の限定し

    た経路で採り込む [ 単一経路 ] と 6)、上部と側部からなど複数

    の経路から採り込む [ 複数経路 ] の 2 つの水準で捉えた ( 図7)。

    また導入方法は、光を透明ガラスのみ透過させるか、あるいは

    何も透過させず直接建築に採り込む〈質の変化なし〉と、スリ

    ガラスやルーバーなどを通して質に変化を与えるものや、他の

    面に一端反射させることで光を採り込む〈質の変化あり〉、の

    ら、人工物である建築を考える場合は、光を相対化し、ものの

    ように扱うに対し、自然や人間のような生物に関して考える場

    合は、特に光の時間による変化が与える影響に注目する建築家

    の思考が読み取れる。

    2.3.影や闇への意識  ここでは光に関する主題が、光に関する記述のみか、影や闇に関する記述と共に語られるかを検討

    した。そこで図 2 でまとめた KJ 図において影や闇を扱う資料

    がどの意味内容においてみられるかを示した ( 図5)。その結果、

    【人間環境】と【建築環境】の双方に位置づく主題のまとまり(以

    下、【人間+建築】のように記述する)において割合が高く、【自

    然環境】では低くなった。これは、建築家が外部空間や自然に

    光があふれる健康的なイメージをもつ一方で、建築と人間の関

    係を考える場合は、光だけで成り立つものではなく、影や闇を

  • の扱いを様々に思考し展開しているのに対し、人間や自然の環

    境を考える場合、光の時間による変化や瞬間的な状態に生物と

    しての所以を見出す建築家の思考の表れといえる。一方で、【人

    間+建築】では空間イメージ③に、【建築+自然】では空間イメー

    ジ②にもそれぞれ資料が多くみられた。このことは、身体性を

    有する空間をつくる場合、建築を成立させるために光を採り込

    むという根本的な思考をもちながらも、同時にそこに表れる闇

    に対して意味を見出すことで、より豊かな空間の獲得を望み、

    また自然のイメージなどを建築に表現する場合、光のもつ時間

    性だけでなく、光を記号のように扱い、自然的意味を付着させ

    るような扱い方においても自然性を見出している建築家の思考

    の表れといえる。次に導入タイプの内訳をみると、【建築環境】

    のみではすべての空間イメージで、導入タイプそれぞれの数の

    内訳に近い分布となり、特に空間イメージ②で顕著であった。

    このことから、光のみを扱い時間認識がないというモダニズム

    的な状態をつくり出す手法が、導入タイプの基本となっている

    といえる。また空間イメージ①では、タイプ A が多くみられ、

    またここでは主題を《部位》に投影するものが多くみられた。

    このことは限定した経路から直接的に採り込んだ光が壁などに

    映り、それが変化することに空間の装飾性を見出しやすいとい

    う思考の表れとみることができる。また【人間環境】のみで

    光のみを扱うものでは C,D が多くみられ、【人間+建築】では

    特に空間イメージ③でタイプ A のみがみられた。このことは、

    人間の環境を考える場合、質を変化させ光を拡散させるなど操

    2つの水準で捉えた ( 図8)。

    3.2.光の主題となる場所   主題となる場所 7)は、《空間》と《部

    位》の大きく2つの水準で捉えた。《空間》は明確な対象を持

    たずに空間全体で光を捉えるもの、《部位》は床、壁、天井な

    どで光を捉える《面》と、より具体的な家具や架構などで光を

    捉える《その他》とした ( 図9)。

    3.3.光の導入タイプと主題となる場所の関係  ここで、光の導入経路と導入方法の関係 ( 図 10) から、A~D の 4 つのタ

    イプを位置づけ、タイプごとに光の主題となる場所との対応関

    係をみたところ、タイプ A で《部位》が多くみられ、また逆に、

    タイプ B,D のように光を複数の経路から採り込むものでは、《空

    間》が多くみられた。このことは、単一の経路で光を採り込ん

    で建築の部位に投射するものと、多方向から光を採り入れるこ

    とにより空間全体としての雰囲気を付けるという、2つの装飾

    方法の表れだと考えられる。

    4.光に関する認識と実現手法の関係ここでは、2 章で捉えた建築家の時間認識と影や闇を扱う資

    料の組合せから① ~ ③の空間イメージ設定した。その空間イ

    メージと光に関する主題を軸に、3 章で捉えた導入タイプを内

    訳に示し、光をテーマとした建築家の思考を検討する ( 図 11)。

    まず、【建築環境】のみでは、① ~ ③すべての空間イメージで

    資料数が多いのに対し、【人間環境】のみや【自然環境】のみ

    では、空間イメージ①に資料が偏ってみられた。これは、光に

    よって建築の環境を考える場合、光、影や闇、またその時間性

    透明素材素材なし

    質の変化なし 質の変化あり

    図8.光の導入方法

    図6.実現化モデルの抽出例

    91 56 16図9.光の主題となる場所

    透明素材や何も透過させないなど光の質に変化を与えないもの

    スリガラスなどを通して光の質を変えたり、パンチングや格子を通して形を変えたりするもの。また内壁などに反射させているもの

    屋根スラブには半透明と透明の部分があり(前者は透過性の断熱材、後者はペアガラスのトップライト)、半透明の部分から自然光が部屋全体に柔らかく落ちてきて、透明の部分から強い日差しが…朝はベッドに昼はキッチンに降り注ぐ。…天井面のルーバーは光を通すだけでなく、風に反応するようなディテールとした。

    上ペアガラス

    ルーバー

    透明性素材

    透光性断熱材

    ルーバー

    光の導入経路…複数経路

    モデル化光の導入方法…質の変化あり         ①透明性素材→透過性断熱材          →ルーバー         ②ペアガラス→ルーバー

    光の主題となる場所…①空間 ②家具

    ルーバースリガラス透光断熱材

    樹木

    など…スクリーン水面

    色ガラス

    116

    76 80

    40単一経路 複数経路

    図7.光の導入経路

    図10.光の導入タイプと主題となる場所の関係

    □:空間 部位

    △:面(床、壁、天井など) ▼:その他(架構、家具など)

    単一経路

    光の導入経路

    複数経路

    光の導入方法

    質の変化なし

    質の変化あり

    60Aタイプ

    Bタイプ

    Cタイプ

    56

    FRP

    透過性断熱材

    寒冷紗

    No.116 jt0612 ANNEX 五十嵐淳

    16

    穴の開いた壁

    スカイライト

    No.58 jt9306 CUT-IN HOUSE 竹山聖

    単一の経路で光を取り込む、または外壁にあてるもの

    複数の経路又は、同一方向から複数の違った光を取り込む

    ▼ ▼

    sk0901 宇都宮のハウス 西沢大良

    Dタイプ

    24

    色ガラス(アンバー色)

    色ガラス(虹色)

    木製スクリーン

    No.48 sk8803 女子聖学院礼拝堂. 長島孝一

    透明ガラス

    No.26-1 sk7706 上和田の家 伊東豊雄

  • で、建築と自然の関係を考える場合、光 が溢れ時間感覚のな

    いモダニズムの空間概念に注目し、建築と人間の関係を考える

    場合、闇というモダニズムには見られない側面に注目する建築

    家の思考も捉えられた。また、近年の身体性が希薄になりがち

    な状況に対し、人間的また自然的環境を光によってつくること

    で、リアルな身体性について考える建築家の思考を見出した。

    註1)本研究では自然の光を単に光と記述する。また、影や闇と記述する場合は他の漢字  で同一の意味(陰、翳など)であるものを含むものとする。2)ここでは主要な建築の専門誌である、新建築、新建築住宅特集を基本的な資料とし、  建築文化、都市住宅も少数だか含めている(1955~2010 年まで 132 作品)。3)同じ作品に複数の異なる主題がみられるものは、それぞれ別に抽出した(160 主題 )。4)川喜田二郎:「発想法」(中央公論社)内の KJ 法を用いている。5)1資料に可変的認識と固定的認識を同時に持つ場合、光の瞬間性は変化の一部とし  て可変的認識に含めている。6)複数の透明ガラス窓から光を取り込む場合、それぞれの光の違いを明記していない  ものは単一経路としている。7)1資料に主題となる場所が2つ以上の水準でみられる場合別々にカウントしている。

    作的に扱って柔かい光をつくり出すのに対し、建築と人間の関

    係のようなテーマを考える場合、光の採り入れ方を最も単純な

    ものにすることで根源的なものに近づこうとする建築家の思考

    の表れといえる。次に通時的傾向をみると、近年になるに従い

    【建築環境】が相対的に減り【人間環境】や【自然環境】は増

    加する傾向があることから、建築家が人間的また自然的テーマ

    に新たな光の可能性を見出しているといえる。

    5.まとめ光を主題とした設計論を、光に関する認識と実現手法の大き

    く 2 つの水準から捉えた。光を通して純粋に建築の環境をつ

    くることは、その空間イメージを問わず様々に展開され、また

    人間や自然の環境をつくるためには時間性が重要であるという

    建築家の光に関する基本的な思考の一端を明らかにした。一方

    影をできるだけなくし、それによって“ひと”や“もの”の重力感を消し、その存在を希薄にしようとした。

    居間のトップライトのガラスに止まっている雨露が陽の光を受けて室内の白い壁にあふれるような無数の線状痕を映し出す…

    通時的傾向

    影や闇を扱う③時間認識あり① 時間認識なし②

    光のみを扱う

    49-2 方八丁図光 □72-1 木とカーテンウォールの家 □72-2 木とカーテンウォールの家 □74-1 ファサードのない家 □90-1 阿龍山瑞専寺紫光堂 □100 クリニック □

    60-1 カトリック仙台司教区. □116 ANNEX □

    47 光人家 ▼ ◇6 訪問童貞会修院聖堂 □ ◇92 透々居 □ ◇123 光の矩形 □ ◇130 黒蓮 □ ◇24 (光の表徴) ◇

    52-1 COLLEZIONE □90-2 阿龍山瑞専寺紫光堂 △99 しょう名寺本堂 ▼

    128-2 世界遺産熊野本宮館 ▼8 福岡相互銀行大分支店 □58 CUT-IN HOUSE □ 3-1 白翳の家 △39 吉祥寺の家 □

    7-1 宍戸邸 □10 未完の家  □12-2 アルミの家 □19 黒の回帰 □26-2 上和田の家 △36-2 白影 □

    49-1 方八丁図光 □67 漂う舎 △76 聖アンデレ教会礼拝堂 ▼83-1 F5 □83-2 F5 □91 ナチュラルイルミナンス △96 ART SPACE N ▼114 HOUSE SH □

    120-2 駿府教会 △

    4 大分県立図書館 □22 黒川産婦人科医院 □42 粉浜の家‐Ⅱ △43 田崎美術館 □118 日田市民文化会館. □

    60-2 カトリック仙台司教区. □

    128-1 世界遺産熊野本宮館 □

    94-1 多孔質 □117 HOUSE A □110 こもれびの降る丘 遊楽館 □

    30 トチギ・ビデオテック管理棟 □7-2 宍戸邸 □35 進修館 ▼41 育英工業高等専門学校. □124 相間の谷 □

    9-1 象舎東京都上野動物園 □ ◆29 捕郡市戦没者慰霊平和塔 □ ◆101 国立長崎原爆死没者追悼. □ ◇126 オレセン・ノイエ △ ◇69 6 CUBES IN LIGHT □ ◇5 N邸 □ ◆65 すみだ生涯学習センター △ ◇102 ガエ・ハウス △ ◇103 S/N △ ◇48 女子聖学院礼拝堂・講堂棟 □ ◇53 川村記念美術館 □ ◇59 キアロスキューロ □ ◇84-2 光の森 □ ◇106 リゾナーレ △ ◇122 宇都宮のハウス □ ◇

    79 伊豆の長八美術館収蔵庫 □ ◆28 コーヒーショップ・インゴット □ ◆57-2 保谷本町のクリニック △ ◇129 赤堤の住宅 □ ◇27 西日本総合展示場 △ ◇68 上田市マルチメディア情報. □ ◇45 静棲住居 □ ◇82 織田廣喜ミュージアム ▼ ◇

    89 まなびの森フォレストアーク □ ◆

    61 HOUSE TM □ ◇119 柏の住宅 □ ◇105 調布の集合住宅A □ ◇115-1 操陽南山の住宅 □ ◇57-1 保谷本町のクリニック □ ◇84-1 光の森 □ ◇

    14 千ヶ滝の山荘 △ ◆125 GO-TEI □ ◇93 冨田林の家III □ ◇13 水かがみの間 △ ◇77 光井戸の家 □ ◇81 曼月居 □ ◆

    63 大阪府立近つ飛鳥博物館 □ ●74-2 ファサードのない家 □ ◆ ○111 スリットの家 △ ◇ ◐16 SIH 7311 △ ◇ ○95 司馬遼太郎記念館 □ ●18-2 (陰翳礼讃再読) ●54 (闇の空間) ●

    18-1 (陰翳礼讃再読) ●

    25-1 番匠邸 □ ●25-2 番匠邸 □ ●32 利賀山房 △ ●38-2 梅宮邸 △ ●52-2 COLLEZIONE □ ●113 高円寺の住処 □ ●

    ◐104 赤城のアトリエ ▼ ◆ ●98 House of Shadows △ ◇

    108 スローライトハウス □ ◇ ○

    38-1 梅宮邸 △ ●51-1 光の教会 △ ◆ ●71 成城の住宅 △ ○80 ばん来庵 △ ◆ ○

    2 中央公論ビルディング △ ○26-1 上和田の家 □ ○31 青木邸 ▼ ●36-1 白影 △ ○37-1 光香 □ ◇ ○

    87 白雨館 △ ◆ ○107 地中美術館 □ ●120-1 駿府教会 △ ◆ ○23 中野本町の家 △ ◇

    55 愛知芸術文化センター △ ○

    73-2 白翳の家 △ ◇ ○1 クラブハウス △ ○40 日時計の家 □ ◆ ○46 キッチンハウス駒沢 △ ○51-2 光の教会 △ ◆ ●56 レイクウッドゴルフクラブ △ ○64 トタンの茶室 茫々庵 △ ◇75 METAL ART MUSEUM. ▼ ○86 山田洋次邸アトリエ △ ●109 燈翳 □ ○121 KM □ ◇ ○70 物質試行37. □ ◆ ●

    132-1 ホールのある住宅 □ ◇ ○

    佐竹さんの家 □ ◇象舎東京都上野動物園 □ ◆Yellow SuBmArine △ ◇アルミの家 △ ◆群馬県立近代美術館 △ ◇段象の家 △ ◆群馬ロイヤルホテル △ ◆るるるる阿房中村錦平邸 ▼ ◇小篠邸増築 △ ◇三養荘新館 △ ◆彩の国さいたま芸術劇場 △ ◇北会津村役場庁舎 ▼ ◆泉ガーデン △ ◇LOVE HOUSE △ ◇東京造形大学 CS PLAZA ▼ ◆最高裁判所 □ ◇光香 □ ◇多孔質 □ ◇群馬県立近代美術館 △ ◇群馬県立近代美術館 △ ◇ART HUT SD □ ◆風の丘葬祭場 △ ◇風の丘葬祭場 △ ◇操陽南山の住宅 □ ◇HOUSE-R □ ◆光格子の家 □ ◆諏訪のハウス □ ◇ホールのある住宅 □ ◇

    39-21112-117-220213344506285971121311537-294-217-117-36678-178-2115-21273488

    132-2

    【建築環境】のみ

    のみ【人間+建築】【人間環境】

    【自然環境】

    図11.光に関する認識と実現手法の関係

    ~60’ s全体 70’ s 80’ s 00’ s

    90’ s

    【光が人間の 環境をつくる】

    【光が建築の 環境をつくる】

    【光が自然の 環境をつくる】

    【人間+建築】

    【建築+自然】

    【自然+人間】

    779 15 17 20 20

    138

    43

    5 5 12 15

    3 7 6 12 1551-2 光の教会 C △ ◆ ●凡例

    資料No 作品名 導入タイプ

    主題となる場所:□空間△面▼他□空間+面□空間+他

    時間認識:◇移行的認識◆固定的認識空間イメージ:○影を扱う●闇を扱う

    影と闇両方扱う◐

    A

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    C

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    C

    C

    C

    C

    C

    空間イメージ

    群馬ロイヤルホテル

    西の空が茜色から、ぶどう色、そして濃藍色に変わり周囲が空に溶け込み始めた後も、この建物だけが中に明かりを入れた行燈のように輝いているさまを…